特許第6493921号(P6493921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493921
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】耳鏡装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/227 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   A61B1/227
【請求項の数】24
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2015-555617(P2015-555617)
(86)(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公表番号】特表2016-511019(P2016-511019A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】EP2014000294
(87)【国際公開番号】WO2014117955
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月13日
(31)【優先権主張番号】13000552.3
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/760,507
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13000553.1
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/760,511
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13001748.6
(32)【優先日】2013年4月5日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/809,048
(32)【優先日】2013年4月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410110
【氏名又は名称】ヘレン オブ トロイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ラッパーズバーグ・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】レプル−ヴィーンフース・アルブレヒト
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/016651(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0327426(US,A1)
【文献】 特開平05−253184(JP,A)
【文献】 特開2000−030063(JP,A)
【文献】 特開2009−178482(JP,A)
【文献】 特表2011−520501(JP,A)
【文献】 特開2009−153664(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/061697(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/049562(WO,A1)
【文献】 特開2009−201853(JP,A)
【文献】 特表2004−535834(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/002935(WO,A1)
【文献】 特開昭57−128129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼓膜の状態を評価する耳鏡装置であって、
耳道内に挿入され、軸方向に直交する断面形状が略円形であるヘッド部分と、
前記ヘッド部分の先端部から光を出射するように設けられ、照明強度を変化可能な少なくとも1つの光源と、
前記光源から出射した光による物体からの反射光で画像を捕捉する電子撮像ユニットと、
前記電子撮像ユニットが捕捉した前記画像の輝度及び可視光の色情報の少なくともいずれかに基づいて鼓膜を同定し、同定した前記鼓膜から反射した光の分光組成を決定する電子手段と、
を有することを特徴とする耳鏡装置。
【請求項2】
前記電子手段が、前記可視光の色情報に基づき鼓膜を同定する際に、前記光源によってもたらされる特定の照明強度に依存して、前記反射光のスペクトルを評価する請求項1に記載の耳鏡装置。
【請求項3】
前記分光組成の決定中に、前記光源の照明強度を変化させる請求項1から2のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項4】
同定される前記物体の種類に依存して最適化されている照明レベルに基づいて、前記耳道内の特定の対象領域に対して照明強度を調整する請求項3に記載の耳鏡装置。
【請求項5】
鼓膜の後方に配置されている被験体の鼓室を同定することができるように、前記光源によって発せられる光が、前記鼓膜の後方に配置されている前記被験体の鼓室内の任意の物体又は流体によって少なくとも部分的に反射され得るように前記光が前記鼓膜を少なくとも部分的に透過するように、前記光源によってもたらされる照明強度を調整する請求項4に記載の耳鏡装置。
【請求項6】
前記電子手段が、幾何学的パターンのパターン認識を行い、前記物体を同定する請求項1から5のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項7】
前記電子手段が、前記物体の角度又は角度範囲の決定に基づいて前記パターン認識を行う請求項6に記載の耳鏡装置。
【請求項8】
前記電子手段が、前記耳道内の前記物体の距離を決定して前記物体を同定する請求項1から7のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項9】
前記電子撮像ユニットのスペクトル感度の較正、並びに前記光源の分光組成及び照明強度の少なくともいずれかの較正を行う請求項1から8のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項10】
少なくとも2枚の画像を捕捉する間にスイッチを順次入り切りされる前記照明が、前記電子撮像ユニットのシャッターと同期している請求項1から9のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項11】
体温を決定するための、耳道の表面から放射される赤外線を検出する赤外線センサユニットを更に有する請求項1から10のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項12】
前記電子撮像ユニットが、前記耳道内の様々な位置から少なくとも2枚の画像を捕捉し、前記耳道内の様々な位置から照らしながら少なくとも2枚の画像を捕捉し、又は前記耳道内の様々な位置から照らしながら前記耳道内の様々な位置から少なくとも2枚の画像を捕捉し、
前記電子手段が、前記少なくとも2枚の画像を互いに比較して、前記画像に示されている前記物体を同定し、
前記電子手段が、前記耳道内の様々な位置から捕捉した少なくとも2枚の画像における様々な前記物体の位置を比較することによって、又は前記耳道内の様々な位置から照らしながら捕捉した少なくとも2枚の画像における前記様々な物体の外観を比較することによって、前記様々な物体を識別する請求項1から11のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項13】
前記電子手段が、前記鼓膜の同定に失敗した場合、それに対応してユーザに通知する請求項1から12のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項14】
前記電子手段がユーザに通知する場合には、前記鼓膜の同定の信頼性を示す情報、及び前記耳道内の前記物体の検出レベルを示す情報の少なくともいずれかをユーザに提供する請求項13に記載の耳鏡装置。
【請求項15】
前記耳鏡の適用中に、ユーザが前記耳鏡を操作できるようにするハンドル部分を更に有し、
前記ヘッド部分が、前記ヘッド部分の長手方向軸に沿って延在している実質的に先細の形態であって、前記ハンドル部分に隣接している近位端及び被験体の外耳の耳道に導入されるようになっている、より小さな遠位端を有し、
前記電子撮像ユニットが、前記ヘッド部分の前記遠位端に配置され、少なくとも1本の光軸が、前記長手方向軸から径方向にオフセットして配置される請求項1から14のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項16】
少なくとも2枚の画像を捕捉中、前記耳道内に可変圧を印加する加圧手段を更に有する請求項1から15のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項17】
前記加圧手段が、前記ヘッド部分と前記ヘッド部分に被せられているプローブカバーとの間に気体を通過させる請求項16に記載の耳鏡装置。
【請求項18】
前記電子手段が、少なくとも2枚の画像に基づいて前記鼓膜の可動性を評価する請求項16から17のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項19】
前記電子手段が、前記鼓膜を捕捉した少なくとも1枚の画像に基づいて前記鼓膜を医学的に特徴付け、前記鼓膜の赤色度を決定し、前記被験体の鼓室内の物体を同定し、前記鼓膜の湾曲を決定し、及び前記鼓膜を加圧して前記鼓膜の可動性を評価することの少なくともいずれかを行う請求項1から18のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項20】
前記電子手段が、特定の疾患の可能性を示す情報をユーザに提供する請求項19に記載の耳鏡装置。
【請求項21】
前記電子手段が、前記鼓室についての情報を得るために、前記鼓室に光を通し、前記鼓室から反射された光の画像を少なくとも1枚捕捉して前記鼓室内の前記物体を同定する請求項19から20のいずれかに記載の耳鏡装置。
【請求項22】
被験体の耳内の鼓膜を同定し、医学的に特徴付ける耳鏡装置の作動方法であって、
前記耳鏡装置が、前記被験体の外耳の耳道に導入される、電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源、並びに電子手段及び加圧手段を有し、
前記電子撮像ユニットが、遠位方向を向いている少なくとも1本の光軸を示す工程と、
前記電子撮像ユニットが、前記鼓膜の少なくとも1枚の画像を捕捉する工程と、
前記電子撮像ユニットが、少なくとも1つのカラービデオカメラを備え、前記電子手段が、前記鼓膜を自動的に同定するために、色情報、又は輝度及び前記色情報を決定して、前記少なくとも1枚の画像に示されている前記鼓膜を同定する工程と、
前記鼓膜が同定されたら、前記電子手段が、前記鼓膜の反射の分光組成を決定する工程と、
前記電子手段が、前記加圧手段により前記鼓膜を加圧した際に、前記鼓膜の可動性を評価して前記鼓膜の医学的な特徴付けを行う工程と、
を含むことを特徴とする耳鏡装置の作動方法。
【請求項23】
被験体の耳内の鼓膜を同定し、医学的に特徴付ける耳鏡装置の作動方法であって、
前記耳鏡装置が、前記被験体の外耳の耳道に導入される、電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源、並びに電子手段を有し、
前記電子撮像ユニットが、遠位方向を向いている少なくとも1本の光軸を示す工程と、
前記電子撮像ユニットが、前記鼓膜の少なくとも1枚の画像を捕捉する工程と、
前記電子撮像ユニットが、少なくとも1つのカラービデオカメラを備え、前記電子手段が、前記鼓膜を自動的に同定するために、色情報、又は輝度及び前記色情報を決定して、前記少なくとも1枚の画像に示されている前記鼓膜を同定する工程と、
前記鼓膜が同定されたら、前記電子手段が、前記鼓膜の反射の分光組成を決定する工程と、
を含み、
前記分光組成を決定する工程が、照明強度を変化させながら、特定の照明強度に対して前記分光組成を決定することを含むことを特徴とする耳鏡装置の作動方法。
【請求項24】
被験体の耳内の鼓膜を同定し、医学的に特徴付ける耳鏡装置の作動方法であって、
前記耳鏡装置が、前記被験体の外耳の耳道に導入される、電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源、並びに電子手段を有し、
前記電子撮像ユニットが、遠位方向を向いている少なくとも1本の光軸を示す工程と、
前記電子撮像ユニットが、前記鼓膜の少なくとも1枚の画像を捕捉する工程と、
前記電子撮像ユニットが、少なくとも1つのカラービデオカメラを備え、前記電子手段が、前記鼓膜を自動的に同定するために、色情報、又は輝度及び前記色情報を決定して、前記少なくとも1枚の画像に示されている前記鼓膜を同定する工程と、
前記鼓膜が同定されたら、前記電子手段が、前記鼓膜の反射の分光組成を決定する工程と、
前記電子手段が、前記電子撮像ユニットのスペクトル感度の較正又は前記少なくとも1つの光源の分光組成の較正を行う工程と、
を含むことを特徴とする耳鏡装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体の耳内の物体を同定する方法に関する。耳の中を覗き込み、調べることを「耳鏡検査」(オトスコピー)と呼ぶ。耳鏡検査は、100年間以上前に確立された標準的な医学的検査技術である。医学生は、生理学の実習課程の早い段階で耳鏡検査について学ぶ。耳鏡検査は、例えば、中耳炎(OM)、滲出性中耳炎(OME)、外耳炎、及び鼓膜穿孔によって影響を受け得る耳道又は鼓膜の検査において熟練した医師を支援するものである。OMEは、中耳滲出液、即ち、急性感染症の徴候も症状もない無傷の鼓膜の後方における液体の存在によって定義される。OMEは、小児において診断される頻度の最も高い疾患の1つである。また、耳鏡検査における物体認識は、耳道を塞いだり鼓膜を覆ったりし得る粒子又は任意の物質(例えば、毛髪、耳垢、異物等)の同定も目的とする。かかる用途は、日常医療にとって非常に望ましい。
【0002】
耳鏡検査を実施するためには、「耳鏡」(オトスコープ)と呼ばれる(時に「検耳鏡」とも呼ばれる)医療機器が用いられる。耳鏡検査は、100年間以上前に確立された標準的な医学的検査技術である。医学生は、生理学の実習課程の早い段階で耳鏡検査について学ぶ。耳鏡検査に基づく典型的な診断結果は、中耳炎(OM)、滲出性中耳炎(OME)、外耳炎、及び鼓膜穿孔である。OMEは、中耳滲出液、即ち、急性感染症の徴候も症状もない無傷の鼓膜の後方における液体の存在によって定義される。OMEは、小児において診断される頻度の最も高い疾患の1つである。しかし、耳鏡検査は、一般的に、耳垢、毛髪、及び鼓膜等の耳内の物体を同定及び観察するためにも用いられる。典型的な耳鏡10’を図3に示す。耳鏡10’は、その適用中にユーザが耳鏡を操作できるようにするハンドル部分12’を備えている。本明細書において「操作する」という用語は、耳鏡を握る、被験体の耳に対して耳鏡の位置を調整する、及びライトを点けたり消したりする等であるがこれらに限定されない様々な種類の操作を指す。耳鏡10’は、ハンドル部分12’に接続されているヘッド部分14’を更に備えている。ヘッド部分14’は、ヘッド部分14’の長手方向軸A’に沿って延在する、実質的に先細の形態(通常、円錐形)を有する。ヘッド部分14’は、先端の直径が通常3mmである空の漏斗から実質的になる。更に、ヘッド部分14’は、ハンドル部分12’に隣接する近位端16’と、被験体の外耳の耳道Cに導入されるようになっている、より小さな遠位端18’とを有する。本明細書において「端」という用語は、単点を意味するものではなく、ヘッド部分14’の領域又は部分を指し、ここでは、近位端16’が長手方向軸A’に対して遠位端18’の反対側に位置している。耳道Cは、軟部結合組織C1によって部分的に取り囲まれ、更に中耳に向かって下ると、硬骨C2によって部分的に取り囲まれている。
【0003】
例えば、(物体として)被験体の鼓膜を検査するために従来技術における耳鏡検査方法を適用する場合、3mmの先端が耳道Cに深く押し込まれた状態で空の漏斗を通して被験体の鼓膜EDを照らすと同時に、観察しなければならない。通常、耳道Cは生来湾曲しているので、耳の外側からは鼓膜EDが見えない。耳道Cが生来湾曲していることによる問題を克服するために、熟練した医師は、鼓膜を観察するのに必要な深さまで漏斗の先端を耳道に慎重に押し込みながら、外耳を慎重に上方及び後方に引っ張らなければならない。医師が耳鏡10’の光軸(ヘッド部分14’の長手方向軸A’に対応する軸)に沿って鼓膜EDを自由に見られるように耳道Cを変形させなければならない。耳鏡の光学系は、漏斗の幅の広い方の端、即ち、ヘッド部分14’の近位端16’にのみ配置され、ランプ及び鼓膜EDの画像を拡大するためのレンズ(不図示)から本質的になる。
【0004】
耳鏡手技には、内部を見ながら且つ耳を引っ張ることにより耳道Cの湾曲を操作しながら漏斗を耳道Cに慎重に押し込む手先の熟練とかなりの訓練が必要である。例えば、熟練した医師は、頭部に人指し指又は小指を置くことによって、耳道C及び鼓膜EDへの損傷を避けるために耳鏡を握っている手を被験体の頭部で支えることを十分に意識している。特に、耳道の内部が比較的短く、検査中に突然頭部を動かすことの多い小児においては、傷つきやすい耳道の皮膚又は更には鼓膜EDを貫通してしまうリスクがある。疼痛及び難聴以外に、かかる損傷は、迷走神経の過剰刺激を介して心血管合併症を引き起こす可能性があることも知られているので、如何なる状況下においても避けなければならない。
【0005】
更に、特に炎症を起こしている耳において、耳道Cを「真っ直ぐにする」機械的操作は、通常、相当な不快感又は更には痛みを引き起すので、幼児の検査を更により困難なものにしている。
【0006】
図4は、耳鏡10’の遠位先端が骨部C2内の遠くに配置されている状態では、長手方向軸Aが少なくとも略鼓膜EDの方を向くように耳道Cを相当「真っ直ぐに」しなければならないことを示す。軟部結合組織C1に接触しているヘッド部分14’の近位端が軟部結合組織C1を押し下げることができるように、ヘッド部分14’の遠位端は、骨部C2内で支持されている。ヘッド部分14’は、鼓膜EDに触れる危険が残っているような形状である。
【0007】
耳鏡の任意の用途又はその使用モードについて、耳道又はその端に位置する物体、特に鼓膜自体又は鼓膜に付着している任意の物体をユーザが識別できることが望ましい。
【背景技術】
【0008】
上記理由のため、従来技術の耳鏡を確実且つ安全に取り扱えるのは、現在、十分に訓練された医師のみであり、多くの開業医にはできない。調査の結果米国で最近公開された研究によって、医師でさえも、多くの場合、例えば、被験体の鼓膜の状態を(正確に)判定することができなかったり、耳鏡によって得られる画像を正確に解釈する(即ち、正確且つ有意義な物体認識を行う)ことができなかったりすることが示された。かかる失敗により、内耳道又は鼓膜の状態が誤って解釈される。その結果、例えば、医師が警戒を怠る傾向があるので、想定される鼓膜の炎症を治療するために抗生物質の過剰投薬が行われたり、無意味な画像解釈が行われたりする。
【0009】
尚、熟練した専門家が被験体の鼓膜及び耳道の画像を捕捉することができる他の耳鏡検査装置(例えば、ビデオ耳鏡等)も存在する。かかるビデオ耳鏡は、ヘッド部分の遠位端から、前記遠位端から離れた位置にあるCCDチップまで延在する光導体束を備えている。画像の達成可能な解像度は、光導体の数に依存している。満足のいく解像度を有する画像を得るためには、かなりの数の個々の光導体を備えていなければならず、それ故、装置が日常医療にとってあまりにも高価なものになる。更に、ヘッド部分の遠位端から離れた位置にあるCCDチップを有する公知のビデオ耳鏡は全て、医師の優れた取り扱い技能を必要とする。上記理由のため、ビデオ耳鏡は、多くの開業医及び非医師の家庭内使用のために設計されてはおらず、また適してもいない。
【0010】
当技術分野において公知の耳鏡検査方法は、実際のところ、上記のような耳鏡の構造的及び幾何学的特徴を前提としている。ビデオ耳鏡を含む現在販売されている耳鏡は全て、一般に、以下の基本設計に基づいている:比較的薄い開放型漏斗。漏斗の長さ、角度、視野、及び大きさは、全ての市販の耳鏡について本質的に類似している。これら共通の特徴を受けて、かかる装置の使用容易性(安全性の問題に起因)が制限される。かかる公知の耳鏡を用いて鼓膜を含む耳道内の物体を確実に検出する方法は、非常に複雑である。
【0011】
したがって、今日まで耳鏡の適用は、十分に訓練された医師に殆ど限られていた。しかし、訓練を受けた専門家以外でも耳鏡を取り扱えるようにすることが望ましい。用途が広範囲に及ぶため、例えば、小児の耳道内に汚物又は粒子が存在するかどうかを調べたいと欲する可能性がある両親等、任意の非医師でも検査できるようにすべきである。
【0012】
従来技術の特許文献1には、例えば、CCD又はCMOSチップを含むカメラを備えている、直径の小さな耳道サイドスキャナが記載されている。前記カメラは、前記サイドスキャナのプローブの先端に配置し得る。前記スキャナにより、例えば、耳道の長さを決定するために、耳道の外側面をサイドスキャンすることが可能になる。前記サイドスキャナの先端は、スキャンする前に鼓膜に近接して配置される。
【0013】
従来技術の特許文献2には、例えば、CCD又はCMOS等の小型ビデオカメラ又は固体イメージャを備える耳鏡が記載されている。光源は、発光繊維の連続環の形態で提供され得る。鼓膜を観察するためには、耳鏡のヘッド部分を真っ直ぐになった耳道に深く導入しなければならない。
【0014】
従来技術の特許文献3には、照明手段及びウエハレベルの光学系(例えば、固体イメージャ)に基づくビデオカメラを備え、3.2mm未満の最大外径を有する医療機器(耳鏡)が記載されている。
【0015】
従来技術の特許文献4には、鼓膜の画像を捕捉するための機器、及び特に色検出又は輝度検出に基づいて画像上で鼓膜の位置を確認する方法が記載されている。2つの特定の組織を識別するために、輝度を評価してよい。2枚の光学フィルタのうちの1枚を適用するための回転機構を備えてもよい。
【0016】
従来技術の特許文献5には、特に感色性CCD素子を用いて画像内の特定の色の相対含量を決定することによって、耳道内の異物の位置を確認する方法が記載されている。光は、偏心的に配置されている光導体から前記光を反射する鏡上の環状レンズを介して透明材料の管を通過し得、反射された光は、鏡を介してレンズを通過し、中心に配置されているイメージガイドによって捕捉される。
【0017】
従来技術の特許文献6には、黒色及び白色のCCD、又は感色性CCDを用いて耳腔の幾何学的データを取得するための装置が記載されている。それによって、周面及び鼓膜に対して距離測定を実施することができる。
【0018】
従来技術の特許文献7には、ヘッド部分と、ディスプレイ部分に前記ヘッド部分を両方向に実装するための締結リングとを備える耳鏡が記載されている。
【0019】
従来技術の特許文献8には、特に温度センサを遠位端に配置することができる空洞を提供するために、径方向にオフセットして配置されているイメージセンサを備える耳体温計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/027515号明細書
【特許文献2】米国特許第5,910,130号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/063428号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/030295号明細書
【特許文献5】米国特許第7,529,577号明細書
【特許文献6】欧州特許第2,014,220号明細書
【特許文献7】欧州特許第2,289,391号明細書
【特許文献8】欧州特許第2,277,439号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明の目的は、被験体の耳内の物体を確実に同定することができ、好ましくは、被験体に損傷を引き起こすリスクがない又は少なくとも著しく低減された、非医師によっても家庭内で適用できる方法を提供することにある。具体的には、本発明の目的は、医師による支援の必要なしに、物体を確実に鑑別することができ、特に鼓膜を同定することができる画像を捕捉する方法を提供することにある。また、本発明の目的は、特別な医学的経験又は知識とは実質的に関係なく、鼓膜を確実に同定できる方法を提供することにあると記載することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的は、請求項1の特徴を示す方法によって本発明に従って達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属項によって提供される。
【0023】
具体的には、前記目的は、被験体の耳内の物体を同定する方法であって、前記被験体の外耳の耳道に光学電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源を導入する工程であって、前記電子撮像ユニットが、遠位方向、特に前記被験体の耳の鼓膜に向かっている少なくとも1本の光軸を示す工程と、前記電子撮像ユニットを用いて少なくとも1枚の画像を捕捉する工程と、前記物体、特に前記鼓膜を自動的に同定するために、色情報、又は輝度及び色情報を決定して、電子手段によって少なくとも1枚の画像に示されている物体を同定する工程とを含み、前記電子撮像ユニットは、少なくとも1つのカラービデオカメラ、好ましくは、少なくとも80°、好ましくは少なくとも110°、特に120°の広い角度の視野を有する広角カラービデオカメラを備え、前記鼓膜が同定されたら、前記鼓膜の反射の分光組成、特に赤色度を決定する工程を更に含む方法によって達成される。本発明に係る電子撮像ユニットは、好ましくは、光学撮像に基づき、好ましくは、光軸を画定する少なくとも1つの光学カメラ及びビームスプリッタ光学素子によって画定される少なくとも2本の光軸の少なくともいずれかを備える。
【0024】
所望の物体(例えば、鼓膜)が同定されたら、耳道(耳道又は鼓膜の皮膚)内の任意の生理学的物体の反射の分光組成を決定することにより、物体の同定及び鑑別を容易にすることができる。具体的には、鼓膜の明確且つ明瞭な指標として赤色度を評価してよく、それによって、鼓膜と耳道を画定する任意の組織との鑑別が容易になる。また、かかる方法は、潜在的に鼓膜の炎症を示すことができるので、医師に掛かるべきかどうかを非医師が決定するのに役立つ。鼓膜の炎症は、例えば、(細菌/ウイルス)感染を示唆し得る。任意のかかるより高度な又は最終的な疾患診断は、医師又は医師による更なる検査によって認められる被験体が示す他の症状に基づいて、医師が行わなければならない。したがって、疾患診断は、本発明に係る方法によって得られるアウトプット、例えば、画像情報のみに基づいて行うことはできない。反射の分光組成、特に赤色度の決定は、医師に掛かるべきかどうかを非医師が決定するのに役立ち得る。
【0025】
具体的には、例えば、炎症は被験体の外耳の耳道の内側部分にも影響を与える場合があるので、鼓膜に対してだけではなく、耳道の他の箇所でも特定の赤色度が観察される場合がある。したがって、本発明に係る方法は、それに加えて又はそれに代えて、本発明の方法によって耳道の内側部分の物体認識を行う際、被験体の外耳の耳道の内部の反射の分光組成を決定してよい。
【0026】
本発明の方法は、広角ビデオカメラ、好ましくは小型カメラ、特にウエハレベルカメラを備えていることが好ましい電子撮像ユニットに基づく。本明細書において「広角」という用語は、少なくとも80°、好ましくは少なくとも110°、例えば120°の視野角を指す。かかる広角カメラに基づく方法は、本発明の方法を適用するとき、カメラの光軸(「視方向」に一致)が鼓膜に対して一直線に中心に配置されていない場合でさえも、被験体の鼓膜を検出することを可能にする。それは、鼓膜と従来技術の耳鏡の先端との間の適用中の距離に比べて、鼓膜が(本発明の方法を適用することによって)カメラから比較的離れた位置に配置される場合にも同じことがいえる。本発明の方法によって用いられる電子撮像ユニットは、3mm×3mm未満、好ましくは2mm×2mm未満、更により好ましくは約1mm×約1mm、又は更には1mm×1mm未満の寸法を有する小型カメラ、特に実質的に平坦な構造のウエハレベルカメラを備えていてよい。かかるウエハレベルカメラは、現在、僅か約3マイクロメートル/ピクセルの極めて小さいサイズで製造することができる。したがって、ウエハレベルの撮像技術によって、レンズを含むカメラの設置面積は、僅か約1mm×約1mm又は更にはそれ以下でありながら、「十分な」解像度の鼓膜の画像、例えば、250ピクセル×250ピクセルの画像を得ることができる。
【0027】
「小型カメラ」という用語は、画像を捕捉する必要な方法に関して、最小寸法、好ましくは、0.5mm〜2.5mm、より好ましくは0.5mm〜1.5mm、又は1mmの横寸法又は径方向寸法を有するカメラを指す。「小型カメラ」は、例えば、0.5mm〜1.5mmの直径を有し得る。(長手方向軸に対して平行な)軸方向におけるカメラの寸法は、状況による、即ち、それ程重要ではない。2mm×2mm未満、更により好ましくは約1mm×1mmの径方向寸法は、電子撮像ユニット又はカメラの光軸をヘッド部分の内側面又は外側面に非常に近接して配置することができ、それによって、例えば、10°〜60°、好ましくは15°〜40°、より好ましくは20°〜30°の角度等の比較的大きな角度で耳鏡が「角を見回す」ことができるという利点をもたらす。
【0028】
特に、ウエハ技術に基づくカメラは、感光性と必要なスペースとの間の優れた折衷案をもたらす。感光性は、カメラの開口部又はレンズの寸法に依存する。開口部が大きいほど、感光性が高い。
【0029】
広角カメラは、特に、径方向オフセット及びヘッド部分の長手方向に対して傾斜している光軸の少なくともいずれかと併せて、耳鏡が有効に「角を見回す」ことを可能にし得る。径方向オフセットは、「広角」の能力と併せて、光軸を傾斜させる必要なしに「角を見回す」という利点をもたらし得る。それにもかかわらず、「角を見回す」能力は、径方向にオフセットして配置され且つ傾斜している光軸を有するカメラによっても保証され得る。最も効果的には、「角を見回す」能力は、径方向にオフセットして配置され且つ傾斜している光軸も有する広角カメラによって保証され得る。
【0030】
「角を見回す」能力は、本発明の方法を、非医師にとってさえも実施可能なものにするのを容易にすることができる。本発明の方法は、非医師によって用いられる耳鏡に関連して適用することができ、この場合、非医師の任意の特別な知識に実質的に関係なく、耳鏡のヘッド部分を耳道内に配置することができる。本発明の方法は、耳道の骨部への任意の特定の挿入深さに実質的に関係なく(自動的に)実施することができる。
【0031】
好ましくは、電子撮像ユニットは、少なくとも3つ又は4つのカメラ、特に小型カメラ、例えばウエハレベルカメラを備え、これらは、全てのカメラがヘッド部分の長手方向軸から(最大径方向オフセットで)径方向にオフセットして配置され得るような寸法を有する。
【0032】
具体的には、特に約1mm×約1mm又は更にはそれ未満の寸法をそれぞれ有する小型カメラでは、カメラの数は3つで十分であり得るが、その理由は、かかる小さなカメラは、比較的大きい径方向オフセットで配置することができるためである。カメラが小さいほど、実現可能なカメラの光軸の径方向オフセットが大きくなる。また、カメラの数が僅か3つであることは、コスト削減という利点ももたらす。例えば、約1.2mm×約1.2mm又は約1.5mm×約1.5mmの寸法を有するカメラの場合、カメラの数は4つが好ましい。カメラ又は光軸の数が増えるにつれて、鼓膜を全体的に観察するために、耳道内の好ましい偏心位置に少なくとも1本の光軸が配置される可能性が高まる。1つの実施形態によれば、電子撮像ユニットは、同一の径方向オフセットで配置され且つ周方向において互いに同一の距離を有する4つのカメラを備える。
【0033】
3つ、4つ、5つ、又は6つの数の小型カメラ又は光軸により、好ましい偏心観察点にカメラを配置するためにヘッド部分を変位又は回転させる必要がなくなり得る。例えば、かかる配置では、耳鏡のヘッド部分又は耳鏡のハンドル部分を全く回転させなくてもよいことを保証し得る。言い換えれば、非医師は、軸方向に耳鏡を導入するだけでよい。耳鏡の任意の部分を回転させる必要はない。このことによって、組織に任意の刺激を与える可能性を低減することができる。また、非医師の技能又は訓練が必ずしも必要ではなくなり得る。好ましくは、電子撮像ユニットは、ヘッド部分の長手方向軸に対して回転対称的に配置される複数の光軸を示す。1つの実施形態によれば、各光軸は、1つのカメラによって提供されてよい。
【0034】
それにもかかわらず、光軸の数に関係なく、運動機構を更に備えていてもよい。幾つかのカメラ、例えば2つのカメラを運動機構と併せて備えていれば、「角を見回す」ための好ましい位置にカメラのうちの少なくとも1つを変位させるために、回転させるとしても、ヘッド部分又は耳鏡を最大で約20°〜50°の角度回転させるだけでよいという利点をもたらす。最大40°又は50°の回転移動によって、カメラのうちの少なくとも1つを、鼓膜が最もよく見える位置に配置することができる。40°又は50°の角度は、非医師によって適用される場合でさえも、特に非医師によって人間工学的方法で全く問題なく取り扱う又は操作できることが見出された。したがって、少なくとも3本の光軸を備えていることにより、任意の運動機構の必要性をなくすことができる。3又は4超のカメラ又は光軸が必ずしも必要である訳ではないことが見出された。
【0035】
電子撮像ユニットの上記特徴は、実用的に本発明の方法を実施するために非医師が耳鏡を使用することを可能にする特定の態様に関する。本発明の方法を実施することができる状況をより明確に例証するために、これら特徴について述べる。
【0036】
上記の通り、多くの場合、従来技術に係る耳鏡検査方法を実施するのに適している耳鏡の光学系(ランプ及びレンズを含む)は、ヘッド部分の近位端と遠位端との間のどこか、特に漏斗の広い方の末端に配置され、即ち、ヘッド部分の遠位端には配置されない。その結果、ヘッド部分の長手方向軸が耳鏡の光軸を形成する。光軸は、耳道を通って鼓膜に視覚的にアクセスできるようにするために、真っ直ぐに鼓膜に向かっていなければならない。かかる視覚的アクセスを可能にするために、従来技術の方法では、医師が被験体の耳を著しく変形させる、即ち、耳道を真っ直ぐにする必要があり、更に、漏斗の相対的に狭い先端を被験体の耳道、特に耳道の骨部に深く導入する必要がある。
【0037】
本発明の方法に従って、少なくとも1つの偏心観察点及び/又は少なくとも1つの光源(好ましくはこれら両方)を提供する電子撮像ユニットを被験体の外耳の耳道に導入し、偏心位置から画像を捕捉することにより、公知の耳鏡を用いるかかる従来技術の方法の問題点が克服される。具体的には、本発明の方法を実施するために用いられる耳鏡の光軸は、ヘッド部分の長手方向軸に一致していなくてもよい。その代わり、電子撮像ユニットの光軸を径方向にオフセットして配置してよい。
【0038】
特に、多くの場合、外耳の耳道は、直線ではなく、特に耳道を画定する軟部結合組織と硬骨との間の移行領域又は移行点において少なくとも1つの湾曲を有する。「角」は、この湾曲によってもたらされる。したがって、本発明の方法を実施するとき、被験体の耳を変形させる必要がなくなるか又は大幅に低減される。更に、本発明の方法は、従来技術に係る耳鏡に比べて、著しく大きな寸法を有するヘッド部分の先端を備える耳鏡を使用することによって、耳道(特に、耳道の骨部)又は鼓膜に対する損傷のリスクを避けられる。したがって、耳鏡のヘッド部分を被験体の耳道に深く導入しすぎるリスクが著しく低減される。これら改善により、非医師が本発明に係る方法を実施するための道が開かれる。
【0039】
偏心位置又は観察点により、「角を見回す」ことが可能になる。具体的には、耳道を画定する軟部結合組織と硬骨との間の移行領域までしか耳鏡の遠位先端を導入しない場合でさえも、鼓膜全体を観察することができる。径方向オフセットが大きくなるほど、耳道を画定する軟部結合組織と硬骨との間の移行領域にしか耳鏡の遠位端を配置しない場合でさえも、鼓膜をよりよく見ることができる。
【0040】
具体的には、本発明に係る方法により、耳道内の耳鏡のヘッド部分の相対位置に実質的に関係なく、特に、耳道の骨部、即ち、硬骨によって画定される部分への任意の特定の挿入深さに関係なく、又は耳鏡のヘッド部分若しくはハンドル部分の任意の特定の配向に関係なく、鼓膜を同定することができる。
【0041】
好ましくは、「電子撮像ユニットの光軸」は、遠位方向、特に鼓膜に向かう方向における電子撮像ユニットの最遠位点から延在する軸であり、その配向は、任意の光学部品によってそれ以上変化しない。電子撮像ユニットの「電子撮像ユニットの光軸」は、径方向オフセットが最大の光軸であることが好ましい。
【0042】
本発明の方法の更なる利点として、より大きな視野が得られる撮像装置の使用が可能になる。かかる装置の電子撮像ユニットの視野(又は視野角)を規定する光学部品は、ヘッド部分の遠位端、特に遠位先端に配置してよい。それによって、従来技術に係る耳鏡の比較的先の鋭い空の漏斗に基づく方法よりも遥かに大きな視野(又は視野角)を本方法によって得ることができる。
【0043】
少なくとも1つの電子撮像ユニットによって少なくとも1枚の画像が捕捉されたら、少なくとも1枚の捕捉画像の画素の色情報、又は輝度及び色情報を決定することによって、物体認識及び明確な物体同定(例えば、耳垢、毛髪等の物体と鼓膜との区別)を実施することができる。電子撮像ユニットによって得られる画像の各画素は、その画素の輝度に対応する数値によって特徴付けられ、また、電子撮像ユニットがカラー撮像装置を備えている場合、その画素の色に対応する数値によっても特徴付けられる。様々な物体は、例えば、その典型的な色によって同定することができる。
【0044】
本発明に係る方法において、色情報の決定は、特に少なくとも1つの光源によってもたらされる特定の照明強度に依存して、反射光、特に鼓膜から反射された光のスペクトルを評価することを含むことが好ましい。スペクトル応答の評価により、観察された組織の種類及び可能性のある病態(例えば、炎症における赤色度の増大)の少なくともいずれかに関するより確かな情報を得ることができる。強度に基づく評価により、特に耳道の内側面の任意の特徴に関してより信頼性の高い結果を得ることができるので、鼓膜と耳道の内面との区別が容易になる。
【0045】
本発明に係る方法において、少なくとも2つの異なる照明強度に基づいて、反射の分光組成、特に赤色度を決定することができるように、特に反射の分光組成の決定中、少なくとも1つの光源によってもたらされる照明強度が変動することが好ましい。照明強度の変動により、特に鼓膜の任意の特徴に関してより信頼性の高い結果を得ることができる。具体的には、反射の分光組成を高精度で決定することができる。照明強度は、複数の画像を捕捉する工程中に変動、特に連続的に変動することが好ましい。これにより、赤色度の任意の変化をより確実に評価することが可能になる。
【0046】
本発明に係る方法において、特に同定される物体の種類に依存して、耳道内の特定の対象領域に対する照明強度を調整することが好ましい。言い換えれば、少なくとも1枚の画像の捕捉中又は第1の画像の捕捉と第2の画像の捕捉との間の時間内に、例えば耳道の内側面の画像を捕捉する場合、特定の第1の範囲内で照明強度を変動させるか、又は例えば鼓膜の画像を捕捉する場合、特定の第2の範囲内で照明強度を変動させる。前記第1の範囲は、前記第2の範囲とは異なる。画像センサによって決定された対象領域を用いて照明強度のフィードバックコントロールを実施することができるように、耳道内の特定の対象領域に対して照明強度を変動させる。様々な照明レベルで画像を記録してよく、各照明レベルは、様々な対象領域を評価するために最適化される。具体的には、鼓膜を評価するために最適化された照明レベルに基づいて本発明に係る方法を実施してよい。
【0047】
本発明に係る方法において、特に、鼓膜を通して鼓膜の後方に配置されている被験体の鼓室を照らすことができ、鼓室からの反射光を観察することができ、最適には、画像センサのダイナミックレンジに配慮して照らすことができるように、撮像ユニットが受けたときの反射放射線に基づいて、少なくとも1つの光源によってもたらされる照明強度を調整することが好ましい。鼓膜の背景を観察できるように照明強度を調整することにより、より確実に鼓膜を同定することができる。電子撮像ユニットのダイナミックレンジに配慮しながら鼓膜又はその背景を最適に照らすことにより、物体を確実に同定することが容易になる。更に、中耳、即ち鼓室における病態を決定することができる。また、本発明は、鼓室の前に配置されている外耳道内の唯一の組織が鼓膜であるので、半透明の膜によって被覆されている鼓室を同定することにより鼓膜の同定が容易になり得るという知見に基づいている。鼓膜を照らすことと併せて、特に、1つ又は幾つかの撮像ユニット及び光源と接続されている論理演算ユニットによって照明のフィードバックコントロールを行ってよい。
【0048】
また、本発明は、医師に掛かるべきかどうかのアドバイスを非医師に与えるために、患者の鼓室の特徴に関する情報を(例えば、論理演算ユニットによって)評価又は処理することができるという知見に基づいている。具体的には、本発明は、また、鼓室内の任意の漿液又は粘液が鼓膜自体の指標となり得、且つ中耳における病態の指標にもなり得るという知見に基づいている。耳道内では、鼓膜の後方でのみ、かかる体液を同定することができる。したがって、任意の体液の証拠は、鼓膜自体の証拠、及び病態(例えば、OME)の証拠を提供することができる。
【0049】
本発明に係る方法では、好ましくは、鼓膜の後方に配置されている被験体の鼓室内の任意の物体又は流体によって少なくとも部分的に反射され得るように、少なくとも1つの光源が発する光が少なくとも部分的に鼓膜を通過するように配置されるように、少なくとも1つの光源によって提供される照明強度を調整する。本発明は、耳道内の異なる物体を区別するため、特に鼓膜をより確実に同定するために、鼓膜の半透明の特徴を評価してよいという知見に基づいている。それによって、耳道を画定する組織又は硬骨が多量の光に曝露されて、無視できる、即ち、自動的に差し引かれる反射(反射放射線又は反射光)、特に公知のスペクトル内の反射を提供するように、照明を調整することができる。かかる方法により、鼓膜をより確実に同定することができる。
【0050】
具体的には、赤色スペクトル域における赤色度又は光の反射率を様々な照明強度で求めることができる。光の反射率は、例えば、緑色又は青色のスペクトル域内の反射率に対して評価してよい。典型的な極大スペクトル波長は、それぞれの(色)チャネルについて450nm(青色光)、550nm(緑色光)、及び600nm(赤色光)である。例えば、カラービデオカメラ又は任意の感光センサを備える電子撮像ユニットは、それぞれ、赤色、緑色、又は青色のスペクトル域に関する画像を記録することができる。論理演算ユニットは、特にそれぞれの画像の各別個の画素に関して、各赤色、緑色、及び青色の画像について輝度値を計算、比較、及び正規化することができる。また、かかる評価は、鼓膜の医学的特徴付けを容易にすることができる。具体的には、健康な鼓膜は、数本の比較的小さな血管のみを有する薄い半透明膜である。対照的に、炎症を起こした鼓膜は、厚化及び血管新生の増加の少なくともいずれかを示す場合がある。また、耳道を画定する任意の皮膚又は組織に加えて中耳における任意の粘膜において、多数の血管が新生され得る。言い換えれば、異なるスペクトル域における反射率は、異なる構造又は物体間、及び健康な組織と炎症を起こした組織との間で著しく変動する。したがって、スペクトル域を参照することにより、鼓膜自体、又は鼓膜の後方の物体若しくは任意の流体、又は粘膜によって被覆されている鼓室壁によって反射される光をより確実に鑑別することができる。
【0051】
それによって、耳道及び鼓膜の任意の赤色の(炎症を起こした)部分を混同するリスクを最小化することができる。また、鼓膜は、鼓室を同定することによって間接的に同定することができる。具体的には、鼓室内の任意の不透明な流体、特に白血球及びタンパク質を含有する琥珀色の流体は、照明強度に依存して反射光のスペクトルに影響を及ぼし得る。比較的高照明強度では、光が鼓膜を透過し、不透明な流体によって少なくとも部分的に反射されるので、反射光のスペクトルは、白血球等の粒子を含有する漿液又は粘液における散乱に典型的なものとなる。比較的低照明強度では、光のかなりの部分が鼓膜を透過せず、鼓膜によって直接反射されるので、反射光のスペクトルは鼓膜自体によって支配される。したがって、鼓室に関する情報、特により詳細な色情報は、鼓膜、及び中耳における病態の同定を容易にすることができる。
【0052】
具体的には、本発明は、鼓膜に光を通すことにより、鼓膜の特徴(例えば、形状、特に鼓膜の凸状)及び鼓室内の任意の流体の存在の少なくともいずれかに関する補足情報を得ることができるという知見にも基づいている。鼓膜の反射及び鼓室の反射に典型的な反射光のスペクトルパターンを用いて、特に照明のフィードバックコントロールと併せて、対象領域、並びに鼓膜及び鼓室の生理学的状態又は病態を決定することができる。
【0053】
また、本発明は、鼓室内の任意の流体が、生理学的に存在する空気よりも高度の反射を引き起こすという知見に基づいている。前記流体は、反射率を増大させる。対照的に、鼓室が空気で満たされている場合、光の大部分が鼓室内で吸収されるので、鼓膜を透過する任意の光はより低強度でしか反射されない。言い換えれば、鼓膜の透過及び照明強度に基づく反射光の評価は、様々な波長及び強度に基づく鼓膜の特定の特徴(例えば、絶対反射率)の決定を容易にすることができ、組織の種類及びその状態に関するより多くの情報又はより確かな情報が得られる。反射光の評価は、特に様々な照明強度における半透明反射のスペクトル解析を含んでいてよい。
【0054】
また、本発明は、鼓膜の領域からの赤色スペクトルにおける反射率が、照明レベル、即ち、照明強度に依存し得るという知見に基づいている。具体的には、赤色チャネル反射は、照明強度の増大に伴って増加し得る。照明強度が高くなるほど、赤色チャネル反射強度も高くなる。また、比較的高照明強度では、鼓膜だけではなく任意の他の組織も赤色スペクトルにおいてより多くの光を反射することが見出された。したがって、一方では、照明強度を調整するために配置される制御又は論理演算ユニットを設けることによって、鼓膜の同定を容易にすることができる。他方では、鼓膜の特定の特徴、例えば、絶対赤色チャネル反射率の決定を容易にすることができ、その結果、赤色チャネル反射から、組織の種類及びその状態に関するより多くの情報又はより確かな情報が得られる。
【0055】
具体的には、本発明は、また、鼓膜の後方の体液の存在に依存して、赤色チャネル反射率が、照明強度の増加と同様には増加しないという知見に基づいている。鼓室内に体液が存在する場合、照明強度が増大しても、赤色チャネル反射率は、鼓室が空であるかのように強くは増加しないことが見出された。したがって、(絶対)赤色チャネル反射率に基づいて、鼓膜の後方の流体の存在を評価することができる。これにより、病態(例えば、OME)の決定が容易になり得る。
【0056】
本発明に係る方法では、好ましくは、物体の同定は、幾何学的パターン、特に円形状若しくは楕円形状、又は槌骨を特徴付ける幾何学的パターン、又は外耳若しくは中耳の更なる解剖学的特徴のパターン認識を含む。パターン認識により、鼓膜をより確実に同定することが可能になる。パターン認識は、例えば、槌骨、槌骨柄、鼓膜、又は鼓膜の特定の部分(例えば、弛緩部又は線維軟骨輪)の形状等、特徴及び形状に基づく認識を含んでよい。具体的には、パターン認識は、縁検出及び/又はスペクトル解析、特に、槌骨又は弛緩部で角が遮断されている円形状又は楕円形状の形状検出を含んでよい。
【0057】
本発明に係る方法では、好ましくは、パターン認識は、物体の角度又は角度の範囲、特に、耳道の内側面又は耳道の長手方向軸に対する角度の決定に基づく。角度の評価により、物体、特に鼓膜をより確実に同定することが可能になる。典型的に、鼓膜は、鼓膜に隣接する外耳の耳道の内側面又は耳道の部分の長手方向軸に対して約30°〜約60°、特に40°〜50°の角度で配置される。特に、耳道内の任意の他の物体が任意の(単一の)特定の角度では配置されていないという仮定に基づいて、鼓膜の同定を容易にするためにこの解剖学的特徴を用い得ることが見出された。
【0058】
好ましくは、この方法は、同定される任意の物体の角度、特に、耳鏡のヘッド部分の長手方向軸に対する角度及び耳道の長手方向軸に対する角度の少なくともいずれかを決定するために配置されている論理演算ユニットを備える耳鏡を用いて実施することができる。
【0059】
本発明に係る方法では、好ましくは、物体の同定は、特に電子撮像ユニットの観察点に対する耳道内の物体の距離を決定することを含む。また、本発明は、異なる物体の鑑別、特に鼓膜の同定が、外耳の耳道内の最も遠い物体を決定することによって容易になり得るという知見に基づいている。外耳の耳道内の観察点からは、鼓膜が最も遠い物体である。
【0060】
具体的には、耳道内の物体の距離が特定の量変動するかどうかを評価することによって、鼓膜をより確実に同定することができる。鼓膜の直径は、典型的に、8mm〜11mmである。鼓膜は、通常、外耳の耳道の内側面又は長手方向軸に対して約30°〜約60°、特に40°〜50°の角度で配置されているので、鼓膜から観察点までの距離は、特に約±3mm又は約±3.5mm(最大変動は、約5.5mm〜約7.5mm)の範囲で著しく変動する。
【0061】
好ましくは、この方法は、同定される任意の物体の距離を決定するために配置されている論理演算ユニットを備える耳鏡を用いて実施することができる。
【0062】
本発明に係る方法では、好ましくは、前記方法は、電子撮像ユニットのスペクトル感度の較正、並びに分光組成(色)及び/又は少なくとも1つの光源の照明強度の較正の少なくともいずれかを更に含む。較正により、物体をより確実に同定することが可能になる。半透明である健康な鼓膜を光が通過できる非常に高い光強度の場合、(特に、中耳内の赤色粘膜を照らすことに起因して)赤色スペクトル内のかなりの量の光が鼓室によって反射され得ることが見出された。したがって、発せられる光の強度の較正により、(絶対)赤色チャネル反射率及びその源をより正確に評価することが可能になる。言い換えれば、照明手段のスペクトル較正と併せて撮像センサのスペクトル較正を行うことにより、組織の種類及び状態を評価することができる。
【0063】
具体的には、較正を含む方法において、前記方法を実施するための耳鏡の任意の電池の任意の(実際の)電圧変動は、任意のエラー源を意味するものでもなく、関連するものでもない。従来の耳鏡を用いると、低電圧では、特にハロゲン電球を用いたとき、照明スペクトルが赤色スペクトルの方に、即ち、よりエネルギーを消費しない波長にシフトする傾向がある。スペクトル域及び/又は照明強度の較正により、絶対スペクトル解析が可能になる。言い換えれば、電子撮像ユニットは、較正された色バランスを備えていてよい。
【0064】
それぞれの物体又は組織が同定されたら、例えば、様々な物体又は様々な種類の組織に対する照明のフィードバックコントロールに基づいて較正を実施することができる。それによって、様々な光強度に対するスペクトル正規曲線は、それに基づいて較正を実施することができる更なるデータを提供する。
【0065】
光源又は任意の他の照明手段のスペクトル較正と併せて撮像センサのスペクトル較正を行うことにより、組織の種類及び状態のより確実な評価が可能になる。
【0066】
本発明に係る方法では、好ましくは、少なくとも2枚の画像が捕捉され、捕捉中、照明のスイッチを順次入り切りし、照明は、好ましくは、電子撮像ユニットのシャッターと同期する。感光電子センサを露光させるシャッター、即ち、所定の時間光を通過させたり集光したりする装置と同期することにより、様々な照明条件で個々のフレームを露光させることができる。かかる方法は、物体の鑑別を容易にする。少なくとも1つの光源は、LEDによって提供されることが好ましい。また、撮像センサの露光時間中にのみ照明に電力が供給されるので、かかる方法は、電力を節約し、電池の寿命を延ばすことができる。
【0067】
本発明に係る方法では、好ましくは、複数の画像が捕捉され、各画像は様々な照明強度で捕捉される。様々な照明レベルで複数の画像を取得することにより、画像のダイナミックレンジを増大させることができる。各画素について、画像に含まれている情報をより詳細に評価することができる。具体的には、前記方法は、様々な照明レベルで取得される複数の画像に基づいて計算された画像を処理又は計算することができる論理演算ユニットを有する耳鏡を用いて実施することができる。
【0068】
本発明に係る方法では、好ましくは、少なくとも1枚の画像の捕捉中、耳道内に偏心的に配置されている偏心照明点から耳道を照らす。かかる方法は、少なくとも1つの偏心観察点から捕捉され得る全ての物体を適切に照らすことができる。
【0069】
本発明に係る方法では、好ましくは、特に耳道の長手方向軸及び前記方法を実施するために用いられる耳鏡のヘッド部分の長手方向軸の少なくともいずれかに対して傾斜している少なくとも1本の光軸に沿って、少なくとも1枚の画像が捕捉される。光軸が傾斜していることにより、より有効に「角を見回す」ことが可能になる。偏心観察点と併せて、更により有効に「角を見回す」ことができる。言い換えれば、径方向にオフセットして配置することに加えて、電子撮像ユニットの少なくとも1本の光軸を長手方向軸に対して角度を成して配置してもよく(長手方向軸に対して傾斜していてもよく)、それによって、装置がより有効に「角を見回す」ことが可能になる、又は中心観察点からでさえも装置が「角を見回す」ことが可能になる。
【0070】
本発明に係る方法では、好ましくは、前記方法は、赤外線センサユニットを用いて赤外線を検出することを更に含む。物体の光学的同定と併せて温度検出を含む方法を提供することにより、物体、例えば鼓膜をより確実に同定することが可能になる。特に遠位先端の中心に配置されている赤外線センサユニットを更に備える耳鏡を提供することにより、誤診のリスクを最小化することができる。赤外線センサユニットは、論理演算ユニットに接続してよく、前記論理演算ユニットは、赤外線センサユニット及び電子撮像ユニットからのデータを(特に同時に)処理するようになっている。赤外線センサユニットによって取得されるデータは、電子撮像ユニットによって取得されるデータに基づいて検証することができ、逆もまた同様である。輝度データ又は色情報データは、温度データと相関し得る。赤外線センサユニットは、電子撮像ユニット又は光源に関して論じた位置と同じ位置に設けてよい。それにもかかわらず、赤外線センサユニットは、中心点から、又は径方向にオフセットしている光軸が配置されている耳鏡の遠位先端の断面の半円若しくは四分円内に径方向にオフセットして配置されている任意の点から温度データを取得するように配置することが好ましい。同様に、赤外線センサユニットは、電子撮像ユニット又は光源に関して論じたのと同じ方法で変位させてよい。
【0071】
物体の同定を改善するために、本発明に係る方法は、以下の工程を更に含むことが好ましい:電子撮像ユニットを用いて、耳道内の様々な位置(特に、偏心位置)から及び/又は耳道内の様々な位置(特に、偏心位置)から照らしながら、少なくとも2枚の画像を捕捉する工程と;少なくとも2枚の捕捉された画像を互いに比較して、画像に示されている物体を同定する工程。
【0072】
これら特徴により、電子撮像ユニットは、例えば、被験体の耳道に配置されたときに1つの電子撮像ユニットを移動させることによって、及び/又は耳道内の様々な部位に配置されている2以上の画像センサからの画像を提供することによって、耳道内の様々な位置から少なくとも2枚の画像を捕捉するのに好適である。それに代えて又はそれに加えて、前記方法は、様々な位置(例えば、2以上の位置)から耳道内の物体を照らすようになっている少なくとも1つの照明ユニットの実行に基づいていてよい。好ましくは、本発明の装置によって両アプローチの組み合わせが実現され、それによって、様々な照明条件下で様々な位置から画像を捕捉することができる。かかる作用機構により、以下により詳細に記載する通り、異なる物体(例えば、被験体の耳内の鼓膜、耳垢の粒子、毛髪等)を確実に同定することが可能になる。それによって、画像の誤った解釈及び物体認識の失敗のリスクが著しく低減される。
【0073】
耳道内の様々な位置から少なくとも2枚の画像を捕捉する場合、少なくとも2枚の画像に提供されている位置を比較することによって、異なる物体(鼓膜と他の物体等)が識別される。即ち、本発明の方法により、従来技術の方法とは対照的に、「視差」としても知られている立体視の基本原理に従って、電子撮像ユニットに対する耳道内の様々な物体の距離を決定することが可能になる。
【0074】
視差は、2つの異なる視線に沿って見たときの物体の見かけの位置の変位又は差であり、これら2本の線間の傾斜の角度又は半角によって測定される。例えば、左目だけを閉じているヒトは、右目だけを閉じない限り、ある位置において比較的近い物体を見る。しかし、前記ヒトは、実質的に同じ位置において比較的離れた物体を見る。このようにして、ヒトの脳は、視差現象の結果として観察者から物体までの距離を決定することができる。耳道内の様々な位置から画像を捕捉するとき、論理演算ユニット等の電子手段を用いることによって、本発明の方法に従って同じアプローチを実現することができる。電子撮像ユニットは、本発明によれば被験体の耳道に深く導入され過ぎることなく、また深く導入することができないので、耳道の終点である膜(物体)としての鼓膜は、電子撮像ユニットに対して比較的離れており、一方、電子撮像ユニットにより近接して配置されている耳道内の他の物体は、参照点として撮像ユニットからそれ程離れていないと認識される。したがって、例えば、本発明の方法によって耳道内に比較的近接して存在する他の物体から鼓膜を容易に区別することができる。更に、例えば、鼓膜の陥没又は隆起等、中耳疾患に起因する鼓膜の病態を区別することができる。また、これは、耳道内の鼓膜と他の物体とをより良好に区別することを可能にする。
【0075】
それに代えて又はそれに加えて、耳道内の様々な位置(各単一画像について)から照明下で捕捉した少なくとも2枚の画像が示す外観を比較することによって、被験体の耳道内の耳垢、毛髪、及び鼓膜等の様々な物体を識別することができる。耳垢等の電子撮像ユニットに比較的近接して存在する物体を(例えば、本発明の方法を実施するときに再配置することができる2以上の異なる光源によって、又は1つの光源によって)耳道内の様々な位置から照らした場合、かかる物体の外観は、本発明の方法に従って捕捉される少なくとも2枚の画像において著しく異なる。通常、照明源の位置は、本発明の方法を実施するときに電子撮像ユニットに近接して存在するように選択される。それとは対照的に、鼓膜等の電子撮像ユニットから比較的離れて存在する物体は、典型的に、様々な位置からこのように照らすことによって本発明の方法に従って捕捉された少なくとも2枚の画像において外観が変化しない。
【0076】
本発明に係る方法では、前記様々な位置は、捕捉された画像が立体視可能であるように規定又は調整されることが好ましく、前記様々な位置は、特に画像を捕捉するための位置間、特に少なくとも2つの偏心観察点(EOP)間の距離については、少なくとも2mm又は3mm、好ましくは少なくとも3.5mm、より好ましくは少なくとも3.7mm、特に3.7mm〜4.4mm、又は照らすための位置間、特に少なくとも2つの偏心照明点(EIP)間の距離については、3.7mm〜4.6mmの距離(d)だけ互いに離間している。かかる範囲の距離により、同定された物体を立体視によって区別できることを保証することができる。前記距離は、偏心観察点に対して規定されることが好ましい。異なる観察点間の距離が長いと、立体視が容易になる。視差画像からの3Dマッピングによって決定される立体情報を決定することができる。
【0077】
本発明に係る方法では、好ましくは、特に耳道内の同心円状の同じピッチ円において、耳道内に同じ径方向オフセットで配置されることが好ましい少なくとも2つの異なる偏心観察点(EOP)から少なくとも2枚の画像を捕捉する。径方向オフセットが大きいと、著しく変動する方向から物体を観察できることを保証することができる。同じピッチ円上に偏心観察点(EOP)又は光軸を配置することにより、回転によって複数の偏心観察点(EOP)を自動的に変位させることができるので、物体の識別が容易になる。
【0078】
本発明に係る方法では、具体的には、電子撮像ユニットの単一の画像センサによって、又は電子撮像ユニットの少なくとも2つのカメラによって、電子撮像ユニットの少なくとも2本の光軸から少なくとも2枚の画像を捕捉することが好ましい。或いは、電子撮像ユニットの1本の光軸から少なくとも2枚の画像を捕捉する。異なる光軸から捕捉すると、例えば、画像データを迅速に取得できるという利点が得られる。1本の単一光軸から捕捉すると、例えば、電子撮像ユニットのカメラの変位中に連続して画像データを取得できるという利点が得られる。言い換えれば、いずれの選択肢も、より有効に「角を見回せる」という利点が得られる。
【0079】
本発明に係る方法では、特に少なくとも2つの偏心観察点から、特定の時間枠内に少なくとも2枚の画像を捕捉することが好ましい。時間に関連して画像データを捕捉することにより、それぞれの物体、例えば、加圧されている鼓膜が動かないのか動くのかを決定するのが容易になる。例えば、1秒間当たり10枚又は20枚の画像を捕捉してよい。例えば、特にそれぞれの光軸又はカメラの変位中、最大で1秒間当たり60枚の画像を捕捉する。1秒間当たりに捕捉される画像の数は、少なくとも1本の光軸又は少なくとも1つの光源の変位、特に回転の速度に依存して調整することができる。具体的には、1秒間当たりに捕捉される画像の数は、変位速度の増大と共に増加する。
【0080】
本発明に係る方法では、特に耳道内の同心円状の同じピッチ円において、耳道内に同じ径方向オフセットで配置されていることが好ましい少なくとも2つの異なる偏心照明点(EIP)から照らしながら、少なくとも2枚の画像を捕捉することが好ましい。偏心照明点から照らすことにより、より有効に又はより確実に「角を見回す」ことが可能になる。偏心照明点により、耳鏡の遠位先端が、耳道を画定する軟部結合組織と硬骨との間の移行領域までしか導入されない場合でさえも、鼓膜、特に鼓膜全体を照らすことが可能になる。
【0081】
本発明に係る方法では、特に耳道内の同じ径方向オフセットで、具体的には、耳道内に偏心的に配置されている少なくとも2つの光源によって、少なくとも2本の照明軸から照らしながら少なくとも2枚の画像を捕捉することが好ましい。或いは、単一の照明軸から照らしながら少なくとも2枚の画像を捕捉し、この場合、光源を耳道内で変位させる。様々な光軸から照らすことによって、例えば、照明又は発光の方向を迅速に変更又は修正できるという利点が得られる。それによって、全く変位運動することなしに別個の光源が耳道を照らすことができる。1本の単一の照明軸から照らすことにより、例えば、照らすことが好ましい特定の時点において任意の画像を捕捉するために、少なくとも1つの光源の変位中に連続して照明を修正できるという利点が得られる。言い換えれば、いずれの選択肢も、好ましい照明条件が得られるという利点が得られる。
【0082】
更に、様々な角度で照らすと、電子撮像ユニットに近接して配置されている物体の反射パターン及び外観を劇的に変化させることができるが、より離れている物体の反射パターン及び外観は、僅かにしか変化しない。したがって、様々な角度、即ち、様々な偏心照明点からの照明に基づいて、撮像ユニットに対する物体の距離を推定するために外観の変化を評価することができる。
【0083】
本発明に係る方法は、少なくとも2枚の捕捉された画像に基づいて計算された画像を作成する工程を更に含むことが好ましい。本発明の方法を実施する1つの形態は、鼓膜の排他的な物体認識に関するものであり得る。それによって、計算された画像は、好ましくは、耳垢及び毛髪等の他のより近接している(電子撮像ユニットにより近接して存在する)物体を表示しない。
【0084】
かかる状況下では、耳道内の鼓膜上の特定の位置において電子撮像ユニットの視界を少なくとも部分的に遮る耳道内の任意の物体(例えば、毛髪)が、ユーザが所望の画像情報を得るのを妨げないことがある。本発明の方法は、更に、耳道内の別の位置に撮像ユニットを再配置することができるので、電子撮像ユニットによって鼓膜を自由に見られるようにしたり、又はそれによって、少なくともそれまで毛髪で部分的に遮られていた鼓膜の部分を自由に見られるようにしたりすることができる。本発明のかかる実施形態については、電子撮像ユニットに比較的近接して存在する物体(耳垢及び毛髪等)も同様に同定されることが好ましく、それによって、本発明の方法は、計算された画像を作成する電子手段(論理演算ユニット等)による更なる工程を提供し得る。かかる計算された画像は、その実施形態について記載した通り、本発明の方法が鼓膜の最良の画像を捕捉することを意図している場合、電子撮像ユニットに比較的近接して存在する任意の物体(耳垢及び毛髪等)を表示しない。その結果、鼓膜(及びその構造)のみを表す画像が本発明の方法によって計算されるが、一方、毛髪及び耳垢等の他の物体は、認識された際に「削除」されている。
【0085】
本明細書において「比較的近接している」という用語は、参照点、例えば、電子撮像ユニットから好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下の距離を指す。
【0086】
本発明の方法に従って計算された画像は、ディスプレイ装置によってユーザに提供してもよく、メモリカードに保存してもよく、ケーブルを介して又は無線で外部装置に転送してもよい。計算された画像を保存する場合、ユーザは、非医師であろうと医師であろうと、如何なる目的のためにも画像を後で解析することができる。
【0087】
本発明に係る方法は、更に、鼓膜の同定に失敗した場合、それに対応してユーザに通知する工程を含むことが好ましい。例えば、耳道が大量の耳垢又は他の粒子によって塞がれていることが原因で、耳道内の電子撮像ユニットの位置に関係なく、電子撮像ユニットが鼓膜及び耳道の内部の少なくともいずれかを検出することが不可能になる場合がある。或いは、対応する装置(耳鏡)の不適切な取り扱いにより、ユーザが本発明の方法を実施しなかったことが原因で、鼓膜を同定できない場合もある。かかる場合、ユーザは、耳鏡装置の位置を正確に再調整することによって又は耳道を清浄にすることによって、本発明に係る方法の実施を再度試みることができる。
【0088】
本発明に係る方法では、音響信号、特に耳道の外に発せられる音響信号、及び視覚信号の少なくともいずれかによってユーザに通知されることが好ましい。検査されている患者の耳から音響信号を発することにより、患者が任意の音によって刺激を受けるのを防ぐ。これにより、診断、特に自己診断を静かに続けることができる。それに代えて又はそれに加えて、視覚信号は、任意の情報、また更なる情報を提供することができる。視覚信号は、例えば、鏡の前で自己診断する場合でさえも、ユーザによって認識され得る。
【0089】
ユーザに通知する工程は、情報、特に、計算された「鼓膜認識指数」をユーザに提供することを含んでいてよく、前記指数は、鼓膜同定の信頼性を示すものである。「鼓膜認識指数」は、画像データに基づいて、又は画像データと温度データとに基づいて論理演算ユニットによって計算されることが好ましい。それに代えて又はそれに加えて、ユーザに通知する工程は、情報、特に計算された「耳垢指数」をユーザに提供することを含んでいてよく、前記指数は、耳道内の物体、例えば、遠位ヘッドと鼓膜との間に存在する耳垢、毛髪、及び任意の物体の検出レベルを示すものである。「耳垢指数」は、画像データに基づいて、又は画像データと温度データとに基づいて論理演算ユニットによって計算されることが好ましい。かかるユーザへのフィードバックは、ユーザの任意の特定の技能又は知識のレベルに関係なく、方法又は耳鏡の適用を容易にすることができる。
【0090】
本発明に係る方法では、電子撮像ユニットの少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかは、第1の画像の捕捉の瞬間と第2の画像の捕捉の瞬間との間に所定の経路に沿って及び/又はの所定の距離、被験体の外耳の耳道内で変位することが好ましい。電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかを耳道内で変位させるための対応する運動機構を比較的単純な構造にするために、前記所定の経路は、円形であることが好ましい。更に、(上記視差現象に従って)耳道内の様々な位置から捕捉した2枚の画像に示されている物体の位置間の差をはっきりと認識するために、前記所定の距離は、少なくとも約1mmであることが好ましい。
【0091】
本発明に係る方法では、第1及び第2の画像は、少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかの変位中に、又は変位前後に捕捉することが好ましい。これにより、予め規定する必要はない好ましい観察点から複数の画像を迅速に取得することができる。評価は、最も好ましい画像、例えば、最も好ましい照明条件中に捕捉された画像に基づいて行ってよい。
【0092】
好ましくは、電子撮像ユニット又はその任意の部品、特にカメラと少なくとも1つの光源とは、鼓膜から少なくとも数ミリメートル、好ましくは少なくとも3mm、より好ましくは少なくとも10mm、更に好ましくは少なくとも15mmの距離までしか被験体の外耳の耳道に導入されない。これにより、鼓膜の損傷が安全に避けられる。上述の通り、より深く導入されるのを防ぐために、本発明に係る方法を実施するようになっている耳鏡のヘッド部分の先端は、当技術分野において公知の耳鏡に比べてより大きな寸法を有していてよい。
【0093】
本発明に係る方法では、電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源は、硬骨によって画定される耳道の一部に接触しない深さまでしか、又は耳道を画定している軟部結合組織と硬骨との間の移行領域の深さまでしか導入されないことが好ましい。かかる短い挿入深さにより、非医師によって本方法を実施することが容易になる又は可能になる。
【0094】
本発明に係る方法では、電子撮像ユニット又は電子撮像ユニットの少なくとも1つのカメラが耳道の湾曲を見回すように、特に、耳道の長手方向軸に対して又は本方法を実施するために用いられる耳鏡のヘッド部分の長手方向軸に対して傾斜している光軸において偏心観察点(EOP)から少なくとも1枚の画像を捕捉することが好ましい。偏心観察点は、傾斜している光軸と併せて、耳道を画定している軟部結合組織と硬骨との間の移行領域に配置されている観察点から鼓膜を観察できるように、有効に「角を見回す」ことを可能にする。偏心観察点は、傾斜している光軸と併せて、遠位先端をそれ程深く導入しないことを可能にし、これにより、非医師でさえも安全に取り扱えることが保証される。
【0095】
本発明の方法を実施するために、好ましくは、その適用中にユーザが耳鏡を操作できるようにするハンドル部分と、ヘッド部分の長手方向軸に沿って延在する実質的に先細の形態のヘッド部分であって、前記ハンドル部分に隣接する近位端及び被験体の外耳の耳道に導入されるようになっているより小さな遠位端を有するヘッド部分とを備えている耳鏡を用いる。これら特徴は、上記の通り従来技術の耳鏡でも公知である。しかし、本発明を実施するために用いられる耳鏡は、好ましくは、ヘッド部分の遠位端、特にヘッド部分の遠位先端に配置されている電子撮像ユニット、特にカメラを更に備え、少なくとも1本の光軸が長手方向軸から径方向にオフセットして配置されている。それによって、耳道内に著しく偏心的に配置されている観察点から画像を捕捉することができ、この場合、電子撮像ユニットの少なくとも1本の光軸のうちの少なくとも1本は、ヘッド部分の長手方向軸から径方向にオフセットして配置される。上記の通り、かかる構成により、電子撮像ユニットをヘッド部分の長手方向軸の丁度中心に配置する場合に必要となる深さまで電子撮像ユニットを導入する必要なしに鼓膜を自由に見ることができる。オフセットは、長手方向軸から少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、より好ましくは少なくとも1.8mm又は2mmであってよい。
【0096】
被験体の外耳の外耳道の外側部分と内側部分との間の境界、即ち、2種類の組織の間の移行領域の深さまでしかヘッド部分の先端を耳道に導入しない場合、外耳道の外側部分からの耳垢、毛髪、及び他の種類の汚れ等のアーチファクトが、被験体の鼓膜において小さな電子撮像ユニットの視界を遮るリスクが存在する。したがって、耳道内の様々な位置から、特に様々な偏心光軸から数枚の画像を捕捉することが有利である。このようにするために、本発明に係る方法を実施するようになっている耳鏡は、それぞれ、ヘッド部分の遠位端に配置され、ヘッド部分の様々な位置に位置している、電子撮像ユニットの幾つかのカメラ及び電子撮像ユニットのビームスプリッタ光学素子の少なくともいずれかによって提供される1本超の光軸、例えば、複数の光軸を有していてよい。
【0097】
径方向にオフセットしている少なくとも1本の光軸を示すヘッド部分の遠位端に比較的小さな電子撮像ユニットを設けることによって、患者の耳道を変形させる必要なしに、又は少なくとも、上記従来の耳鏡と同程度耳道を変形させる必要なしに、患者の鼓膜を「見る」ことができる。この理由は、電子撮像ユニットの「視方向」を耳鏡のヘッド部分の長手方向軸に一致させる必要がないためである。むしろ、径方向オフセットにより、耳道が真っ直ぐになっていない場合でさえも、鼓膜に視線を確実に存在させることができるので、装置が「角を見回す」ことが可能になる。具体的には、多くの場合、外耳の耳道は、直線状ではなく、特に、耳道を画定している軟部結合組織と硬骨との間の移行領域又は移行点において少なくとも1つの湾曲を有している。「角」は、この湾曲によって生じる。具体的には、実質的に殆ど常に、耳道は、第1の湾曲及び第2の湾曲を備えるS字(S状)形を有し、前記第2の湾曲は、前記第1の湾曲よりも鼓膜に近接している。具体的には、耳道の第2の湾曲は、耳道の骨部内に少なくとも数ミリメートルも導入されない耳鏡の任意の光学的視線又は視覚通信を遮る。「角」は、耳道の第2の湾曲であると定義することができる。具体的には、遠位方向において、第2の湾曲は、耳道の骨部につながる。軟部結合組織と硬骨との間の移行点又は領域は、この第2の湾曲に配置される。第2の湾曲は、硬骨によってのみ限定される耳道の部分につながる。好ましくは、移行領域は、湾曲に対して約数ミリメートル遠位(後方)及び約数ミリメートル近位(前方)(特に、0mm〜5mm又は1mm〜3mm)の領域であると定義することができる。
【0098】
かかる電子撮像ユニットは、広範な耳鏡検査訓練を受けることなしに非医師が用いることができ、且つ損傷を引き起こすリスクが著しく低減されている、特に、患者の組織、例えば、耳道の硬骨部分内の組織を刺激するリスクが著しく低減されている耳鏡を提供することができる。かかる電子撮像ユニットは、耳道内の耳鏡のヘッド部分の相対位置に実質的に関係なく、特に耳道の骨部、即ち、硬骨によって画定されている部分への任意の特定の挿入深さに関係なく、鼓膜を観察することを可能にする。「角又は湾曲を見回す」ように耳鏡を配置したとき、非医師は、硬骨によって限定されている耳道の部分までヘッド部分を導入する必要はない。従来の耳鏡では、医師が耳道の骨部内に少なくとも数ミリメートル、即ち、第2の湾曲よりも著しく更に内側に耳鏡を導入しなければならないが、本発明にかかる耳鏡は、第2の湾曲に隣接して配置することができる。従来の耳鏡では、特にある種の支持又は静止又は固定点を耳鏡の遠位先端に設けるために、耳道の骨部にまで耳鏡を導入する必要がある。耳鏡の遠位先端が骨部内で支持されたら、医師は、耳道を真っ直ぐにするため、及び鼓膜上に光学的視線を確保するために、耳鏡のハンドル部分に梃子の作用を適用することができる。しかし、耳鏡をこのように「整列」させたり、耳道をこのように真っ直ぐにしたりすることは、痛みを伴う。対照的に、本発明に係る耳鏡は、このように「整列」させたり真っ直ぐにしたりする必要がない。
【0099】
電子撮像ユニットの1本の光軸は、ヘッド部分の長手方向軸に対して実質的に中心に配置してよい。電子撮像ユニットの1本の光軸がヘッド部分の長手方向軸に配置されている場合、電子撮像ユニットの実質的に平坦な光学部品は、ヘッド部分の長手方向軸に対して傾斜しているか又は傾斜可能であることが好ましく、その結果、電子撮像ユニットの1本の光軸(即ち「視方向」)は、ヘッド部分の長手方向軸に対して角度を成し(長手方向軸に対して傾斜し)、中心観察点からでさえも耳鏡が「角を見回す」ことが可能になる。
【0100】
本発明に係る方法では、特に、少なくとも2枚の画像の捕捉中に、耳道内に可変圧を印加することが好ましい。耳鏡は、耳道内に可変圧を印加するようになっている加圧手段を備えていてもよい。或いは、耳鏡は、加圧手段と接続するようになっていてよく且つ少なくとも1本のガス導管を有している。圧力は、(圧縮又は排気)空気によって印加されることが好ましく、この場合、被験体の外耳道及び対応する装置によって気密チャンバが形成される。可変圧によって、鼓膜の可動性を評価又は判断することができる。ヘッド部分と前記ヘッド部分に被せられているプローブカバーとの間を気体が通過することが好ましい。具体的には、二重プローブカバーの2つの殻の間を気体が通過する。二重プローブカバーは、プローブカバーが深絞りによって作製される場合でさえも、高い構造的安定性をもたらす。好ましくは、カメラを被覆する遠位箔部分は、非常に薄く且つ透明であり、例えば、30マイクロメートル(μm)〜50マイクロメートル、特に20マイクロメートルの壁厚を有する。二重プローブカバーは、最小限の汚染又は感染リスクで耳道を加圧することを容易にする。プローブカバーの少なくとも1つの殻は、気密シェルとして設けてよい。前記シェルは、気体透過性である必要はない。気密シェルは、有効にヘッド部分から耳道を分離する。
【0101】
プローブカバーが電子撮像ユニット又は少なくとも1本の光軸の回転中にハンドル部分に対して移動しないように、プローブカバーは、耳鏡のヘッド部分及びハンドル部分の少なくともいずれかの少なくとも一部に固定されるようになっていてよい。かかる配置は、耳道内の圧力が非意図的に変化しないことを保証し得る。耳鏡におけるプローブカバーの相対位置が一定(不変)であることにより、気密接続が容易になる。
【0102】
本発明に係る方法では、鼓膜の可動性は、特に可変圧の印加中に、少なくとも2枚の画像に基づいて評価されることが好ましい。耳鏡は、例えば、被験体の中耳内の気圧低下に起因する鼓膜の可動性の低下を検出するようになっている可動性センサユニットを備えていてもよい。可動性センサユニットは、鼓膜の可動性を検査するためのセンサユニットを表す。可動性センサユニットは、鼓膜をより確実に鑑別することを可能にする。
【0103】
鼓膜の後方の流体又は異常な(特に、低い)気圧が原因で鼓膜が不動化することがある。したがって、鼓膜から反射された波は、鼓膜によって吸収及び/又は減衰されにくくなる。これは、例えば、「音響反射」として知られている技術に従って音響変換器及びマイクロホンを用いることにより決定できる。この技術は、参照することにより本明細書に援用される米国特許第5,868,682号明細書に詳細に記載されている。しかし、可動性センサユニットの技術は、例えば、音響反射、ティンパノメトリー及び耳音響放射等であるが、これらに限定されない任意の公知の技術に基づいていてよい。
【0104】
可動性センサユニットは、電子撮像ユニットと接続されてもよく、電子撮像ユニットの部品として提供されてもよく、この場合、前記電子撮像ユニットは、耳道において可変圧に曝されたときの被験体の鼓膜の可動性を検査するようになっていることが好ましい。或いは、1つの特定の実施形態によれば、可動性センサは、可変圧に曝されたときの被験体の鼓膜の可動性を検査するようになっている光学手段に接続されていてもよく、前記光学手段を備えていてもよい。この技術は、「気密耳鏡検査法」としても知られており、この技術は、従来、目視検査のために電子撮像ユニットではなく従来の光学手段を適用する。本発明によれば、電子撮像ユニットは、かかる従来の光学手段と接続されていてもよく、前記光学手段を備えていてもよい。1つの実施形態によれば、可動性センサは、電子撮像ユニットとは別個に設けられる。1つの特定の実施形態によれば、可動性センサ及び光学手段は、電子撮像ユニットとは別個に設けられる。
【0105】
可変圧に曝されたときの鼓膜の可動性を決定するために電子撮像ユニットと併せて可動性センサを用いることにより、(複数のレンズ等)目視検査のために通常適用される光学手段を省略することができ、それによって、別の相乗効果が得られる。規定の値の高圧及び低圧の少なくともいずれかにおいて耳道内の画像を捕捉するために、可動性センサユニットは、特に空気ポンプ(手動又は電動の空気ポンプ)と併せて、例えば圧力センサを有していてよい。空気ポンプは、後で耳道内の圧力を低下及び上昇させるために配置される。鼓膜の可動性を評価するために、撮像ユニットによって捕捉された鼓膜の外観の変化、例えば、鼓膜の反射における任意の変化又は任意の形状変化を評価してよい。
【0106】
本発明に係る方法では、それぞれが電子撮像ユニットの光軸を画定する電子撮像ユニットの少なくとも2つのカメラ、及び少なくとも2本の光軸を画定するビームスプリッタ光学素子であって、好ましくは、単一の画像センサと併用されるビームスプリッタ光学素子の少なくともいずれかを用いて、少なくとも2枚の画像を捕捉することが好ましい。いずれの方法も、単一の偏心観察点から取得された画像データよりも詳細に評価することができる画像データを提供する。複数の異なる偏心観察点により、例えば、距離又は三次元形状の評価が容易になる。
【0107】
電子撮像ユニットが、長手方向軸から径方向にオフセットして配置されている少なくとも2本の光軸を画定するビームスプリッタ光学素子を有する場合、複数のカメラの必要なしに、任意の物体、特に鼓膜をヘッド部分の遠位先端の様々な点から観察することができる。ビームスプリッタ光学素子を用いると、各光軸の比較的大きな径方向オフセット、特に、カメラ又は比較的小さな小型カメラの径方向オフセットよりも更に大きくできる径方向オフセットを実現することができる。具体的には、レンズ、ミラー、又はプリズム等のビームスプリッタ光学素子の光学部品は、比較的小さな径方向寸法を有していてよい。具体的には、前記光学部品は、1mm未満、好ましくは0.9mm未満、更には0.8mm又は0.7mm未満の径方向寸法又は直径を有していてよい。
【0108】
また、ビームスプリッタ光学素子は、比較的大きな径方向寸法を有する開口部を備えていてよい。大きな開口部は、優れた光学特性、特に、優れた感光度及び高いダイナミックレンジの少なくともいずれかをもたらす。更に、ビームスプリッタ光学素子は、コスト効率よく「角を見回す」ための配置を提供することができる。ビームスプリッタ光学素子は、ヘッド部分の長手方向軸に対して回転対称に配置されている複数の光軸を画定することができる。かかる設計は、ユーザが耳道内のヘッド部分の配向を自由に選択し得ることを保証し得る。ユーザは、特定の方向に耳鏡のハンドル部分を配向する必要はない。
【0109】
電子撮像ユニットは、ビームスプリッタ光学素子、特に光軸のうちの少なくとも2本と任意で光学的に接続されており、且つ長手方向軸の中心に配置されている画像センサを有することが好ましい。画像センサを中心に配置することにより、対称設計の撮像ユニットを得ることができ、これは、構築又は製造面からみても好ましい場合がある。特に、画像センサは、遠位先端よりも大きな径方向寸法を有するヘッド部分の部分により近位に配置し得るので、中心に配置される画像センサは、大きな径方向寸法を有し得る。画像センサは、複数の光軸と併せて、例えば、ビームスプリッタ光学素子と併せて設けられることが好ましい。言い換えれば、電子撮像ユニットは、単一の画像センサ及び複数の光軸を備える配置を提供するようになっている。画像センサの数を減らすと、真っ直ぐな設計の耳鏡を提供することができ、これは、コスト効率がよい。
【0110】
本発明に係る方法では、耳道を画定している軟部結合組織と硬骨との間の移行点に又は前記移行点に隣接して少なくとも1本の光軸が配置されている耳道内の位置から、特に、0mm〜5mm、好ましくは1mm〜3mmの最大距離で、少なくとも1枚の画像の捕捉を実施することができる。移行点又は領域に対する最大距離が0mm〜5mm、好ましくは1mm〜3mmであることにより、挿入深さを最小化することができる。
【0111】
本発明に係る方法では、電子撮像ユニットの少なくとも1本の光軸は、長手方向軸に対して平行であってもよく、又は長手方向軸に対して、特に10°〜60°、好ましくは15°〜40°、より好ましくは20°〜30°の傾斜角(β)で傾斜している。光軸は、必ずしも傾斜していなくてよい。むしろ、偏心観察点及び/又は広角視野は、特に小型カメラと併せて、それぞれ、湾曲を見回すことを可能にする。
【0112】
本発明に係る方法では、互いに対して所定の幾何学配置で、特に、互いに対して最大距離で且つ同じピッチ円上に配置されている少なくとも2本の光軸、好ましくは3本又は4本の光軸から少なくとも2枚の画像を捕捉することができる。特に最大径方向オフセットで同じピッチ円上に回転対称に配置されている複数の光軸は、短時間で複数の画像を捕捉するのを容易にする。具体的には、耳道内のヘッド部分の相対位置をユーザが変更できないようにし得るので、同時に複数の好ましい観察点から耳道を観察することができ、これにより、物体の同定が容易になり得る。また、所定の幾何学配置は、画像データの評価を容易にすることができる。
【0113】
本発明に係る方法では、少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかを、特にハンドル部分に対して回転させることができる。少なくとも1本の光軸の変位、特に回転により、耳道内のヘッド部分の配置(配向又は深さ)とは実質的に関係なく、最も好ましい位置に観察点を配置することができる。また、複数の径方向に変位させたカメラを、予め選択しておいた様々な回転位置(偏心観察点)に配置することができる。
【0114】
電子撮像ユニット、即ちカメラ及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかは、ヘッド部分の遠位先端の直径に対して最大径方向オフセットを有するピッチ円上において回転することができる。この最大径方向オフセットにより、ヘッド部分を(耳道の任意の骨部に接触することなしに)軟部結合組織内にのみ導入した場合でさえも、又は例えば、非医師が耳道の内側部分の長手方向軸に対して正確にヘッド部分を配向又は整列しないことが原因で位置が好ましくない場合でさえも、鼓膜全体を観察するための好ましい配置が可能になる。
【0115】
本発明の方法を実施するための耳鏡は、特に所定の運動経路に沿って、ハンドル部分に対して電子撮像ユニット、即ち少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかを変位させるようになっている運動機構を備えていてよい。かかる運動機構を用いて、耳道内のヘッド部分の位置とは実質的に関係なく、好ましい偏心観察点に少なくとも1本の光軸を配置することができる。また、1つの単一のカメラによって様々な位置から、又は被験体の耳道内の1本の光軸から複数の画像を捕捉することができ、それによって、2以上のカメラの必要がなくなる。
【0116】
電子撮像ユニット、即ち少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかは、運動機構のモータ、特にブラシレスモータによって回転させることができる。(それぞれの)光軸の自動変位により、全く問題なく非医師が取り扱うことができる耳鏡を提供する。非医師は、任意の特別な方法で耳道内にてヘッド部分を整列又は配向する必要はない。非医師は、移行領域までヘッド部分を導入するだけでよい。更に、適切な整列及び適切な挿入深さを保証するために、誘導システムによってユーザを誘導してもよい。
【0117】
本発明に係る方法では、好ましくは、物体の同定は、少なくとも2つの異なる偏心観察点から回転中の耳道内における物体までの距離を決定することを含む。本発明によれば、少なくとも2つの異なる偏心観察点から撮影された少なくとも2枚の異なる画像に基づいて、鼓膜を比較的容易に同定できることが見出された。典型的に、鼓膜は、耳道の内側部分の長手方向軸に対して約30°〜約80°の角度で傾斜している。外耳の耳道内に少なくとも略同心円状に配置されている耳鏡のヘッド部分の遠位先端に設けられる2つの異なる偏心観察点は、鼓膜のそれぞれの対向する部分に対して異なる距離で配置される可能性が高いことが見出された。遠位先端の前面は、外耳の耳道の長手方向軸に対して少なくとも略直角に配置されることが好ましい。少なくとも、前面は、耳道の内側面又は長手方向軸に対して鼓膜が配置されている角度よりも小さい、耳道の内面に対する角度で配置される。したがって、遠位先端に設けられる2つの異なる偏心観察点は、殆ど必然的に又は確実に異なる距離で配置される。
【0118】
耳鏡は、回転軸を中心として電子撮像ユニット、即ち少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかを少なくとも部分的に回転させるようになっている運動機構を備えていてよい。回転軸は、特に所定の運動経路に沿って、ヘッド部分の長手方向軸に一致していてよい。所定の運動経路に沿って電子撮像ユニットを変位させることによって、上記の通り、電子撮像ユニットと検出される物体との間の距離を自動的に計算することができる。毛髪及び耳垢粒子等の耳道内にみられる物体の典型的な大きさを考慮して、運動機構は、少なくとも1本の光軸を被験体の耳道内で好ましくは少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも2mm、更に好ましくは少なくとも3mm変位させる。例えば、1.8mm又は2mmの径方向オフセットが実現される場合、90°の回転によって約3mmの変位が引き起こされる。回転軸を中心として少なくとも90°、より好ましくは少なくとも120°、更により好ましくは180°、又は更にはそれ以上の角度の回転を実現することができる。最も好ましい偏心観察点を見出すためには、2本の光軸を示すか又は2つのカメラを備える電子撮像ユニットと併用する場合、最大90°の回転が適切であり得る。3本の光軸を示すか又は3つのカメラを備える電子撮像ユニットと併用する場合、最大60°又は70°の回転が適切であり得る。運動機構は、両方向、即ち時計方向及び逆時計方向の回転を可能にすることが好ましい。また、運動機構は、1本超の光軸を中心とした回転変位も可能にし得る。運動機構は、少なくとも1つのモータと、1以上のギヤ及び軸受の少なくともいずれかとを備えていてよい。電子撮像ユニットは、かかる運動を可能にするために可撓性ケーブル(例えば、可撓性リボンケーブル)に接続してよい。
【0119】
ヘッド部分の長手方向軸が回転軸と一致することにより、少なくとも1本の光軸が、長手方向軸の周囲を同心円状に変位することができる。したがって、光軸の相対位置とは関係なく、最大径方向オフセットを確保することができる。
【0120】
運動機構は、モータを備えていてよく、且つ回転軸を中心として回転するように配置され、この場合、前記回転軸は、ヘッド部分の長手方向軸に一致している。かかる配置は、遅くとも少なくとも1本の光軸がヘッド部分の長手方向軸の周囲を約330°〜約360°回転した後に、最も好ましい偏心観察点を見出すことができることを保証する。画像を捕捉するのに好ましい露光時間に対して調整した速度で回転を実施してよい。好ましくは、10°毎に画像又はフレームを捕捉してよい。
【0121】
本発明に係る方法では、比較的大きな曲率半径を有する耳道の側面に配置されるように、電子撮像ユニット、即ち少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかを回転させることが好ましい。偏心観察点が大きな曲率半径を有する耳道の部分に隣接する位置に配置されている場合、偏心観察点から、鼓膜を特に良好に観察できることが見出された。具体的には、かかる部分では、任意の位置移動又はヘッド部分の任意の意図しない変位が、小さな曲率半径を有する耳道の部分ほど鼓膜の可視性に負の影響を及ぼさない。言い換えれば、高い曲率半径を有する耳道の部分に偏心観察点を配置することにより、非医師による耳鏡の使用が容易になる。
【0122】
最適偏心位置(偏心観察点又は偏心照明点)は、耳道の曲がり角の湾曲の最小半径に対して定義できることが見出された。具体的には、最適偏心位置は、最小曲率半径の横方向に対向する位置として、即ち、2種類の組織間の移行領域又は耳道の曲がり角における最大曲率半径に隣接する位置として定義することができる。
【0123】
本発明に係る方法では、電子撮像ユニット又は少なくとも1本の光軸が運動機構によって回転するとき、少なくとも1つの光源は、電子撮像ユニット又は少なくとも1本の光軸に対して所定の距離を保つように回転することが好ましい。少なくとも1つの光源と光軸との間の所定の遠位関係が(自動)画像解析を改善することができるので、かかる方法は有利である。運動機構を備えている場合、運動機構は、少なくとも1つの光源も変位させることが好ましい。光源が光導体の形態で提供される場合、前記光導体は、少なくとも1つの光源をこのように変位させるのに十分な程度可撓性でなければならない。光導体は、ヘッド部分内で遠位に固定されることが好ましく、この場合、前記光導体は、弾性であり、弾性であることにより曲がり及びねじりの少なくともいずれかが可能になる。或いは、光導体は剛性であってもよく、この場合、ヘッド部分と共に照明装置全体が変位し得る。
【0124】
本発明に係る方法では、運動機構が、電子撮像ユニットを回転させることによって少なくとも1つの光源及び電子撮像ユニットの両方を少なくとも部分的に回転させることができるように、前記少なくとも1つの光源は.前記電子撮像ユニットの回転によって回転し得る。電子撮像ユニットによって光源を回転させることにより、高い信頼性でこれらの間の所定の距離を保つことができる。
【0125】
好ましくは、電子撮像ユニット又はその光学部品(例えば、カメラ)、即ち少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかは、電子撮像ユニットに対して一定の距離を有する回転軸又は長手方向軸上の所定の点に継続的に向くように、回転軸又は長手方向軸に対して傾斜している。被験体の外耳の外耳道の内側部分の典型的な長さを考慮して、前記距離は、3mm〜20mm、好ましくは10mm〜15mmであってよい。したがって、電子撮像ユニットの光軸(「視方向」に一致)は、鼓膜の中心に配置されるように最適化される。
【0126】
特に電子撮像ユニットを導入する工程後、電子撮像ユニット、即ち少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかは、傾動機構によって、好ましくは10°〜50°、より好ましくは20°〜40°の傾斜角だけ傾斜し得る。傾動機構は、更により有効に「角を見回す」ことを可能にする。特に非医師によってヘッド部分が好ましくない位置に配置された場合、傾動機構により、何としても鼓膜を確実に見られるようにすることができる。傾動機構は、運動機構と共に設けられてよい。具体的には、運動機構が傾動機構を含んでいてよい。
【0127】
本発明に係る方法では、ハンドル部分に対する電子撮像ユニット又は前記電子撮像ユニットの少なくとも1本の光軸の変位、及び長手方向軸に対する電子撮像ユニット又は少なくとも1本の光軸の傾斜の少なくともいずれかを実施してよい。2つの運動、特に、互いに依存して制御される2つの運動により、より有効に「角を見回す」ことができる。具体的には、光軸の傾斜と併せて光軸を軸方向に変位又は回転させることにより、比較的小さな径方向オフセットの観察点又は耳道内の好ましくない位置に配置されている観察点からでさえも、鼓膜全体を観察することができるようになる。言い換えれば、耳鏡は、長手方向軸に対して傾斜させることと併せて、ハンドル部分に対して電子撮像ユニット又は前記電子撮像ユニットの少なくとも1本の光軸若しくは少なくとも1つのカメラを変位させられるようになっている少なくとも1つの機構を更に備えていてよい。かかる複合機構、即ち、互いに組み合わせられている2つの運動機構、特に、互いに依存して制御可能である2つの運動機構は、より有効に「角を見回す」ことを可能にする。具体的には、光軸の傾斜と併せて光軸を軸方向に変位又は回転させることにより、比較的小さな径方向オフセットの観察点又は耳道内の好ましくない位置に配置されている観察点からでさえも、鼓膜全体を観察するのを可能にすることができるようになる。
【0128】
本発明の方法を実施するための耳鏡のヘッド部分は、電子撮像ユニット又は光学部品(例えば、カメラ)を備えるその遠位端を、鼓膜に接触しない深さまでしか、特に、耳道を画定している軟部結合組織と硬骨との間の移行領域までしか耳道に導入できないような形状であることが好ましい。被験体の外耳の耳道は、鼓膜によって限定されている。尚、被験体の外耳の耳道は、軟部結合組織によって取り囲まれており且つ通常毛髪及び耳垢を含む被験体の外耳の部分(即ち、被験体の外耳道)を指す外側部分を含む。前記外側部分は、被験体の外耳の耳道の略外側半分を含む。更に、被験体の外耳の耳道は、硬い頭蓋によって取り囲まれており且つ通常毛髪及び耳垢を全く含まない被験体の外耳の部分(即ち、被験体の外耳道)を指す内側部分も含む。この部分は、被験体の外耳の耳道の外側部分の近位端から鼓膜まで延在している。耳道の内側部分は、機械的摩擦により損傷した場合、非常に痛みを感じやすい。耳道の内側部分の損傷は、更に、迷走神経の過剰刺激を介する心血管合併症のリスクを有する。
【0129】
本発明に係る方法では、好ましくは、ヘッド部分は、耳道を画定している軟部結合組織と硬骨との間の移行領域までしか導入されず、この場合、耳道内において前記ヘッド部分がブロックされる。好ましくは、ヘッド部分は、円錐形を有し、遠位端は、4mm〜6mm、好ましくは4.5mm〜5.3mm、更に好ましくは4.7mm〜5.1mm、特に4.9mmの最小直径を有する。耳道内で遠位先端を機械的にブロックすることにより、安全な取り扱いが可能になる。
【0130】
好ましくは、遠位端の先端部分は、鼓膜から数ミリメートル、好ましくは少なくとも3mm、より好ましくは少なくとも10mm、更に好ましくは少なくとも15mmの距離までしか被験体の外耳の耳道に導入することができない。
【0131】
本発明に係る方法を実施するための耳鏡の先細のヘッド部分は、従来公知の耳鏡と比べて鈍く丸い先端を有する形状であってよく、それによって、被験体に損傷又は不快感を与えるリスクが低減される。したがって、非医師が装置を安全に取り扱うことができる。それにもかかわらず、径方向にオフセットしている少なくとも1本の光軸を示す電子撮像ユニットがヘッド部分の遠位端に設けられているので、本発明に係る方法を実施するようになっている耳鏡は、鼓膜を検出することができる。
【0132】
ヘッド部分の遠位端は、丸く滑らかな形状を備えていることが好ましい。更に、遠位端は、シリコーン等の比較的軟質の材料で作製してもよく、かかる軟質の材料で作製された外面を備えていてもよい。更に、伸縮機構によって又は弾性要素の使用によって、耳道に導入する際の長手方向力を制限することができる。伸縮機構を設ける場合、好ましくは、耳鏡にかかる力の検出を容易にするために、伸縮機構を固定してよい。
【0133】
しかし、図3に関連して上記した通り、従来分野の耳鏡の機能的概念には、ヘッド部分の先端が比較的小さく(通常、約3mmの直径しか有しない)且つ尖っている(鋭い)ことが必要である。成人の外耳道の内側部分の直径が約4mmであることに留意すべきである。したがって、(訓練を受けていない)ユーザが注意を払わない場合、先端部分が外耳道の内側部分に深く導入され、被験体に重篤な損傷を与えることがある。このリスクを実質的に避けるために、本発明に係る方法を実施するようになっている耳鏡のヘッド部分(これも先細の形態を有する)は、好ましくは、ヘッド部分の長手方向軸に沿ってヘッド部分の遠位端点から4mm以下の位置において、少なくとも4mm、好ましくは5mm超、より好ましくは6mm超の直径を有する。したがって、幾何学的に、ヘッド部分の遠位端を被験体の耳道に深く導入し過ぎる余地がない。好ましくは、被験体の年齢層に従って様々な先細形状を用いてよい。小児の場合、例えば、本発明に係る方法を実施するようになっている耳鏡のヘッド部分は、ヘッド部分の長手方向軸に沿ってヘッド部分の遠位端点から4mm以下離れた位置において、約5mmの直径を有してよい。
【0134】
本発明に係る方法では、1つの特定の実施形態によれば、電子撮像ユニット又は少なくとも1本の光軸に対して、ヘッド部分に被せられているプローブカバーの少なくとも一部を相対的に移動させる工程を、特に、軸方向に運動するように配置されているプローブカバー移動機構によって実施してよい。具体的には、プローブカバーの移動により、電子撮像ユニット又はカメラの光軸を、特に、任意の耳垢粒子が視界を遮るという問題を引き起こすことなしに又はかかる耳垢粒子の可能性を低減して、比較的大きな径方向オフセットで配置できることを保証することができる。耳垢粒子又は耳垢の層は、多くの場合、耳道の内面を被覆する。したがって、高い径方向オフセットで配置されている、即ち、耳道の内側面に近接して配置されている光軸については、光軸を被覆する部分においてプローブカバーに耳垢粒子が付着し、それによって、鼓膜における視界が遮られる可能性が高くなり得る。言い換えれば、耳道への挿入中、遠位先端の縁部に径方向にオフセットして配置されている光軸は、耳垢によって遮られる可能性がより高い。径方向にオフセットしている光軸は、少なくとも略中心に配置されている光軸よりも、遮られる可能性が高い。特に軸方向におけるプローブカバーの移動は、光軸が耳道の内側面に近接して最大径方向オフセットで配置されている場合でさえも、鼓膜における視界が遮られないことを保証することができる。したがって、本発明は、プローブカバーを移動させることによって、比較的大きな径方向オフセットで偏心観察点から鼓膜を観察することがより実用的且つより確実になり得るという知見に基づいている。プローブカバーの移動は、非医師がヘッド部分の導入前に耳道を清浄にしていない場合でさえも、「角を見回す」という概念が実行可能であり且つ従来の方法で実現可能であることを保証することができる。
【0135】
具体的には、光軸が径方向にオフセットして、特に最大径方向オフセットで配置されている場合、視線から任意の粒子又は耳垢を変位させるためには、移動機構によってプローブカバーを相対運動又は変位させることが最も有効である。本発明は、殆どの場合、プローブカバーの遠位先端における中心遠位点から離れるように、プローブカバー全体を変位させることが最も好ましい場合があるという知見に基づいている。言い換えれば、プローブカバーの遠位先端における中心遠位点を除いて、プローブカバー全体を、例えば、近位方向に引き戻してよい。この遠位点には、好ましくは、プローブカバーリザーバが設けられる。したがって、プローブカバーとヘッド部分との間の相対運動は、遠位点において最小であってよいが、径方向にオフセットして配置されている遠位先端の任意の点で最大であってよい。
【0136】
本発明に係る方法では、プローブカバーは、プローブカバーが接続されている移動機構のアダプタによって、ヘッド部分に対して少なくとも1つの特定の軸方向位置に軸方向配置してよい。所定の軸方向位置は、特定の条件下でのみ、例えば、特に耳道にヘッド部分を挿入している間にプローブカバー又はヘッド部分に特定の(軸)力がかかるときのみ、プローブカバーが軸方向に移動することを保証することができる。
【0137】
本発明に係る方法では、プローブカバーは、アダプタによってヘッド部分に沿って軸方向に誘導され得る。軸方向の誘導により、カメラの前でプローブカバーが均一に引っ張られるように、プローブカバーを展開することができる。
【0138】
本発明に係る方法では、軸方向変位中に、好ましくは弾性的に変形可能なエネルギー貯蔵手段によって、特に遠位軸方向において、アダプタに反力がかかることがある。反力の閾値は、ヘッド部分又は前記ヘッド部分の遠位先端が、耳道を画定している軟部結合組織と硬骨との間の移行領域にその末端位置が配置されているときのみ、特に機械的な方法で、プローブカバーが後方に移動又は変位することを保証することができる。近位方向においてプローブカバー及び移動機構にかかる軸力が閾値を超えた場合にのみ、プローブカバーは軸方向に変位し得る。耳鏡が特定の人々の集団又は特定の種類の用途に適するように、閾値を調整してよい。例えば、閾値は、実用的価値に基づいて調整してもよく、或いは、例えば、任意のエネルギー貯蔵手段、特に弾性的に変形可能なエネルギー貯蔵手段を変位させるか又は予応力をかけておくことによって調整可能であり得る。それによって、プローブカバーの変位は、耳鏡の撮像ユニット、少なくとも1つの光源、及び論理演算ユニットの少なくともいずれかに接続されている運動センサによって検出される。変位の検出は、プローブカバーの変位と任意の更なる方法工程、例えば、カメラの起動又は少なくとも1枚の画像の捕捉とを関連付ける方法を提供することができる。
【0139】
本発明に係る方法では、プローブカバーの変位は、耳鏡の撮像ユニットによって検出され得る。電子撮像ユニットによるプローブカバーの相対運動の検出により、更なるセンサを全く必要とすることなしにプローブカバー移動機構を制御することができる。プローブカバーを移動させる工程の制御により、相対運動を最小化することができる。電子撮像ユニットの光軸が、例えば、耳垢によって遮られないように、プローブカバーを僅かに変位させることが好ましい。プローブカバーとヘッド部分との間又はプローブカバーと耳道との間の摩擦を最小化することができる。組織への刺激を最小化することができる。例えば、特にプローブカバーが可変壁厚を有している場合、プローブカバーの透明性に基づいて、又は特にプローブカバーが特定の色を有する特定の部分を有している場合、プローブカバーの色に基づいて、検出を実施することができる。
【0140】
本発明に係る方法では、電子撮像ユニットによる変位検出を電気化学的ラッチの起動と組み合わせてよく、それによって、画像解析によって適切な挿入深さ、及び軸方向又は径方向の配置の少なくともいずれかが明らかになった後にのみプローブカバーを移動させることができる。電気化学的ラッチは、電子撮像ユニットによって特定の位置が検出された場合にのみ起動され得る。
【0141】
本発明に係る方法では、特に電子撮像ユニット、即ち少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかの任意の変位前に、電子撮像ユニット、即ち少なくとも1本の光軸及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかの変位に依存してプローブカバーの変位を実施してよい。具体的には、電子撮像ユニットの変位中、特に連続的に画像を捕捉してよい。したがって、電子撮像ユニットの任意の変位前にプローブカバーを変位させることによって、任意の潜在的な好ましい観察点が耳垢又は他の物体によって遮られないことを保証することができる。
【0142】
本発明に係る方法では、少なくとも1枚の捕捉画像に基づいて、特に電子撮像ユニットの導入工程中に、電子撮像ユニット又は少なくとも1本の光軸の適切な配置を検証することができ、その結果、ユーザを誘導することができる。任意で赤外線センサユニットによって取得されるデータと併せて、捕捉画像に基づいて配置を検証することによって、誘導を実施することが好ましい。誘導により、非医師による耳鏡の使用が容易になり得る。非医師は、適切な挿入深さ及び挿入方向についてフィードバックを受けることができる。誘導は、例えば、光学的ユーザフィードバック(例えば、光の矢印)として、又は音響フィードバック(例えば、警報音)として実行してよく、これらは、耳道内にプローブを配置する方法についてユーザに指示を与える。
【0143】
ユーザ誘導は、画像を捕捉し、耳道を照らすための特定の方法と併せて実施してよい。具体的には、少なくとも2つの光源、特にLEDのスイッチを交互に入れながら、カメラ又は光軸を円形の軌道上を数ミリメートル移動させてよい。次いで、アーチファクト、例えば、プローブカバー上の汚れによって引き起こされるアーチファクト、即ち毛髪及び耳垢を差し引くために、及び鼓膜の形状を識別するために、一連の画像を捕捉してよい。カメラの移動は、サーボモータによって誘導され、論理演算ユニットによって制御され得る。1つの方法によれば、例えば、約1秒間以内に、カメラを約1mmの距離だけ2回移動させる。カメラは、対応する3つの位置のそれぞれにおいて2枚の画像を捕捉するが、好ましくは、1枚は、カメラの1つの側面に配置されている光源によって照らしながら、もう1枚は、カメラの他の(対向する側)面に配置されている光源によって照らしながら捕捉する。それぞれ、両画像を平均化し、差分をとってよい。次いで、アーチファクトの除去を通して最後の(計算された)画像を計算するために平均化画像を撮影してよい。最終画像は、(光沢)反射が全くなくてもよい。特に「赤色」成分を定量することによって、この最終画像の色情報を評価することができる。差分画像は、照明を左右に変化させた際に光の反射が変動するかどうかを測定する。LEDを切り換えた際の光反射パターンの差は、耳垢等のカメラに近接している光沢表面では非常に強いが、鼓膜反射については弱い。これにより、光沢のある耳垢(強変分)と鼓膜反射(変分無し)とが識別される。
【0144】
したがって、本方法を実施するために用いられる耳鏡のハンドル部分の挿入深さを示す指示をユーザに通知することができる。挿入深さに関する指示を与えることにより、耳道の骨部内に著しく深くヘッド部分を導入するリスクを低減することができる。具体的には、本方法を実施するために用いられる耳鏡のハンドル部分の回転方向を示す指示をユーザに通知することもできる。特定の径方向位置又は回転位置に関する指示を与えることによって、鼓膜(全体)を良好に見られる好ましい位置に観察点又は光軸を配置するのが容易になる。また、特に耳道の長手方向軸に対する、本方法を実施するために用いられる耳鏡のハンドル部分の傾斜角を示す指示をユーザに通知することもできる。傾斜角に関する指示を与えることによって、耳道の解剖学的構造について知らない非医師でさえも、遠位先端の最終位置を容易に見出すことができることを保証することができる。
【0145】
本発明に係る方法では、少なくとも1つの光学電子撮像ユニットの導入中、ヘッド部分にかかる力、特に長手方向軸の方向にかかる力を検出することができる。これにより、耳鏡に印加される力に基づいてユーザを誘導することができる。また、力の検出により、特に2種類の組織間の末端位置において、例えば、ヘッド部分の遠位先端が耳道内でブロックされている状況に関して、耳鏡に印加される力に基づいて、即ち耳道内の位置に基づいて移動機構又は運動機構を制御することができる。
【0146】
ユーザ誘導は、検出された力の特定の値に基づいて実施してよい。かかるユーザ誘導により、ユーザがヘッド部分を更に導入するか、又はヘッド部分にかかる力を低減するのを促すことができる。言い換えれば、遠位先端が末端位置に既に配置されているか又は遠位先端が未だ十分な深さまで導入されていないかを決定することができるので、力の検出は、ユーザ誘導を促進することができる。また、プローブカバー又はヘッド部分にかかる力の検出により、特に自動的に、プローブカバーを相対的に移動させる適切な瞬間を制御又は調整することができ、その結果、非医師が耳鏡の使用について容易に理解できる。非医師は、プローブカバーを移動させなければならないかどうか又はいつ移動させなければならないかを決定しなくてよい。
【0147】
本発明に係る方法では、運動機構に接続されている力検出手段によって力を検出することができる。かかる力検出手段により、ヘッド部分にかかる力、特に、耳道の側面からかかる軸方向の力に従って運動機構を起動させることができる。かかる方法により、ヘッド部分の遠位先端が耳道の内側湾曲に隣接する末端位置に配置された時点で運動機構を起動させることができる。それに代えて又はそれに加えて、力検出手段は、ヘッド部分に配置されているプローブカバーを移動させるための移動機構に接続されていてよく、この場合、前記力検出手段は、好ましくは力の閾値を超えた場合、移動機構を起動、特に解放する。閾値は、適切な挿入深さを確保することができるように定義してよい。具体的には、1つの特定の方法によれば、プローブカバーは、ヘッド部分が末端位置に配置された時点においてのみ変位させるべきである。例えば、実験値に基づいて定義することができるかかる閾値は、ヘッド部分が十分な深さまで導入されるのを保証することができる。具体的には、かかる力検出は、ヘッド部分が深く導入され過ぎるのを防ぐために、従来技術よりも大きな直径を有するヘッド部分に関連して有利である。
【0148】
本発明に係る方法では、好ましくは、耳道は複数の光源によって照らされ、各光源は、耳道の特定の部分を照らす。それによって、耳道を区分毎に分けて照らすことができる。例えば、3つの光源が、それぞれ、耳道の特定の部分を照らす。光源をそれぞれフィードバック制御することにより、特に様々な照明レベルに基づいて、耳道を均一に照らすことができる。好ましくは、論理演算ユニットを各光源と接続し、前記論理演算ユニットによって、照明レベルのフィードバック制御及び/又は調整を可能にする。
【0149】
本発明に係る方法では、耳鏡は、耳道内の物体、特に鼓膜の温度を検出する赤外線センサユニットを更に備えていてよく、この場合、前記赤外線センサユニットは、遠位端、特に遠位先端、好ましくは遠位先端の中心に配置される。複数の画像の捕捉と併せて温度を検出することにより、耳道内の物体、特に鼓膜を確実に鑑別することができる。
【0150】
好ましくは、少なくとも1つの小型カメラ、及び任意の他の光学ユニット又は光源の少なくともいずれかが耳道内の遠位先端の位置に対して可能な限り深く導入されるように、これら部品は、ヘッド部分の遠位先端から3mm未満、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満の距離に配置される。かかる配置、特に遠位先端に対して可能な限り近接している配置により、耳道内で最大偏心度を得ることができ、有効に「角を見回す」ことができる。
【0151】
本発明に係る方法では、物体の同定は、鼓膜の同定を含むことが好ましく、前記方法は、鼓膜の医学的証拠を提供するために、鼓膜の少なくとも1枚の捕捉画像に基づいて鼓膜を医学的に特徴付ける工程を更に含む。これは、医師に掛かるべきかどうかについて非医師が決定するのに役立ち得る。本発明に係る方法は、画像情報から論理演算ユニットによって計算される、中耳疾患の「リスク指数」の計算値をユーザに提供することができる。
【0152】
鼓膜を医学的に特徴付けることは、好ましくは、例えば、温度又は特定の赤色度に関して、特に所定の範囲に基づいて、装置によって自動的に行われる。言い換えれば、鼓膜を医学的に特徴付けることは、例えば、上記鼓膜の特徴のうちの1つに基づいて、特に論理演算ユニットを用いて、電子撮像ユニットによって捕捉された画像を自動的に評価する少なくとも1つの工程を含む。それによって、予診を容易にすることができる。任意のかかるより高度な又は最終的な疾患診断は、医師又は医師による更なる検査によって認められる被験体が示す他の症状に基づいて、医師が行わなければならない。
【0153】
本発明に係る方法では、好ましくは、鼓膜を医学的に特徴付けることは、鼓膜の赤色度を決定することを含む。鼓膜の赤色度の決定により、鼓膜の炎症の可能性を評価するための指数を提供することができる。鼓膜の炎症は、例えば(細菌/ウイルス)感染を示唆し得る。
【0154】
本発明に係る方法では、好ましくは、鼓膜を医学的に特徴付けることは、被験体の鼓室内の物体を同定することを含む。具体的には、鼓室内の任意の不透明な体液、特に黄色の体液を疾患の指標として評価することができる。比較的高強度の照明(鼓膜を通過する)は、患者の医学的状態に関する情報を(より確実に)取得するのを可能にすることが見出された。鼓室内の任意の体液によって高度の反射が引き起こされることが見出された。流体は、反射率を増大させる。対照的に、鼓室が空である場合、光の大部分が鼓室内で吸収されるので、鼓膜を通過する任意の光は、より弱い強度でしか反射されない。鼓膜の後方の体液、特に黄色の体液は、滲出性中耳炎(OME)、即ち、中耳滲出液(即ち、急性感染症の徴候も症状もない鼓膜の後方の液体)の存在の指標として評価することができる。具体的には、かかる体液は、炎症の前兆として評価することができる。かかる体液は、感染に対する免疫応答に起因して白血球を含有する漿液及び粘液の少なくともいずれかを含有し得る。言い換えれば、鼓膜の通過及び反射光の評価は、特に照明強度に依存して、鼓膜の特定の特徴(例えば、絶対赤色度)の決定を容易にすることができ、その結果、前記特定の特徴は、任意の医学的状態(例えば、炎症)の可能性に関するより多くの情報又はより正確な情報を提供する。これは、医師に係るべきかどうかを非医師が決定するのに役立ち得る。任意のかかるより高度な又は最終的な疾患診断は、医師又は医師による更なる検査によって認められる被験体が示す他の症状に基づいて、医師が行わなければならない。
【0155】
具体的には、本発明は、鼓膜又は鼓膜を含む鼓膜の周囲の領域の反射の分光組成が、照明レベル、即ち、照明強度に依存し得るという知見にも基づいている。具体的には、赤色度は、照明強度の増大と共に増加し得る。照明強度が高くなるにつれて、赤色度も高くなる。また、比較的高い照明強度においては、鼓膜だけでなく任意の他の組織も高い赤色度を示し得ることが見出された。したがって、鼓室の観察により、鼓膜の特定の特徴、例えば、絶対赤色度の決定を容易にすることができ、その結果、前記赤色度は、任意の炎症の可能性に関するより多くの情報又はより正確な情報、即ち、炎症指数を提供する。
【0156】
本発明に係る方法では、好ましくは、鼓膜を医学的に特徴付けることは、鼓膜の湾曲、特に凸性を決定することを含む。これにより、鼓膜の膨隆又は陥没を検出することができる。これは、鼓膜の同定を容易にすることができる。また、これは、鼓室内の体液(特定の医学的状態の指標である)の場合のように、診断を容易にすることもでき、鼓膜の湾曲が凸状であることは、中耳内の圧力上昇を示す。大量の体液は、凸状の湾曲、即ち、耳鏡の方に向かう湾曲を引き起こす。膨隆又は陥没は、特定の医学的状態、即ち疾患(例えば、OME)の指標であり得る。
【0157】
本発明に係る方法では、好ましくは、鼓膜を医学的に特徴付けることは、鼓膜を加圧することを含む。例えば、前記方法を実施するための耳鏡は、被験体の外耳道内に可変圧を印加するようになっている加圧手段、例えば、圧力変換器又はポンプを備えていてよい。この技術は、「気密耳鏡検査」としても知られている。好ましくは、電子撮像ユニット自体が、可変圧に曝されたときの被験体の鼓膜の可動性を検査するようになっている。圧力は、(圧縮)空気によって印加されることが好ましく、この場合、被験体の外耳道と対応する装置、即ち、ヘッド部分又は前記ヘッド部分に被せられているプローブカバーとによって気密チャンバが形成される。
【0158】
本発明に係る方法では、好ましくは、鼓膜を医学的に特徴付けることは、鼓膜の可動性を評価することを含む。本発明に係る方法を実施するための耳鏡は、被験体の中耳内の流体を検出するようになっている流体センサユニット、特に、音響反射、ティンパノメトリー、及び耳音響放射の少なくともいずれかに基づいて検出するようになっている流体センサユニットを備えていてよい。耳内における流体及び異常な低可動性の少なくともいずれかの検出は、急性中耳炎(OM)、特に滲出性中耳炎(OME)、又は重篤な耳感染症の診断において別の要因を表す。OMEは、中耳滲出液、即ち、急性感染症の徴候も症状もない無傷の鼓膜の後方における液体の存在によって定義される。OMEは、小児において診断される頻度の最も高い疾患の1つである。鼓膜の後方に流体が蓄積した場合、又は中耳内の異常な気圧が原因で鼓膜が膨隆又は陥没した場合、後者は、圧力又は音波に曝されたときに、正常時のように自由に振動することができない。したがって、鼓膜から反射される波は、鼓膜によって吸収及び/又は減衰されにくい。これは、例えば、「音響反射」として知られている技術に従って音響変換器及びマイクロホンを用いることによって決定することができる。この技術は、参照することによりその内容が本明細書に援用される米国特許第5,868,682号明細書に詳細に記載されている。しかし、流体センサユニットの技術は、音響反射、ティンパノメトリー、及び耳音響放射等であるが、これらに限定されない任意の公知の技術に基づいていてよい。
【0159】
例えば、流体センサユニットは、被験体の外耳道内に可変圧を印加するようになっている加圧手段を備えていてよい。流体センサユニットは、電子撮像ユニットと接続されていてもよく、電子撮像ユニットの部品として提供されてもよい。或いは、1つの特定の実施形態によれば、流体センサは、任意の流体を検出するようになっている光学手段と接続されていてもよく、前記光学手段を備えていてもよい。1つの実施形態によれば、流体センサは、電子撮像ユニットとは別個に設けられる。1つの特定の実施形態によれば、流体センサ及び光学手段は、電子撮像ユニットとは別個に設けられる。鼓膜の可動性を決定するために電子撮像ユニットと流体センサユニットとを併用することにより、(複数のレンズ等)目視検査に通常適用される光学手段を省略することができ、それによって、別の相乗効果が得られる。
【0160】
本発明に係る方法は、情報、特に中耳疾患の「リスク指数」の計算値(これは、特定の疾患、特に中耳炎の可能性を示す)をユーザに提供することを更に含んでいてよい。好ましくは、「リスク指数」は、画像データに基づいて、又は画像データ及び温度データに基づいて、論理演算ユニットによって計算される。
【0161】
鼓室内の物体を同定することは、組織の種類を認識するため、並びに鼓室及び鼓膜の病理学的状態を認識するために鼓室についての情報を得るために、鼓膜に光を通し、鼓室から反射される光の画像を少なくとも1枚捕捉することを含む。
【0162】
鼓膜を医学的に特徴付けることは、耳疾患を診断することを含んでいてよい。かかる診断方法は、既に記載した被験体の耳内の物体を同定する本発明の方法の全ての工程を含んでいてよい。本発明の物体認識方法は、本発明の診断方法の一部を形成し得る。先ず、少なくとも1枚の捕捉画像に示されている物体を同定し(そして、被験体の耳内の他の物体と区別し)、次いで、同定された物体のうちの少なくとも1つの状態(輝度、色等)を決定する。かかる診断方法により、更に、熟練した医師の支援なしに、例えば、鼓膜の炎症を確実に診断することが可能になり得る。本発明に係る診断方法を実施するようになっている耳鏡は、鼓膜を自動的に検出及び同定し、検出された鼓膜を医学的に特徴付け、鼓膜の医学的状態、例えば、鼓膜が炎症を起こしているかどうかについてユーザ(非医師であってよい)に通知することができる。また、かかる診断方法は、上に詳細に記載した通り、被験体の耳内の物体を同定する方法の好ましい特徴のうちの少なくとも幾つかを更に含んでいてよい。
【0163】
衛生上の理由のために、本発明に係る方法を実施するようになっている耳鏡は、ヘッド部分に被せるようになっている少なくとも部分的に透明なプローブカバーを更に備えることが好ましい。プローブカバーは、プラスチック材料、好ましくは、透明なプラスチック材料から作製してよい。かかるプローブカバーは、低コストで大量に生産することができる使い捨て製品として設計してよい。電子撮像ユニットが鼓膜をはっきりと見ることができるように、プローブカバーは、少なくとも電子撮像ユニットを被覆する箇所において透明でなければならない。また、プローブカバーは、特に、ヘッド部分を被験体の耳道に導入するとき、電子撮像ユニットを含む耳鏡のヘッド部分の汚染を防ぐ。
【0164】
好ましくは、プローブカバーは、運動機構による電子撮像ユニットの変位中にプローブカバーがハンドル部分に対して移動しないように、ヘッド部分及びハンドル部分の少なくともいずれかの少なくとも1つの部分に固定されるようになっている。そうしなければ、運動機構によって電子撮像ユニットが変位した場合でさえも、プローブカバーに付着している耳垢粒子等のアーチファクトが電子撮像ユニットによって示される。しかし、これは、物体の同定(例えば、同定されるべき物体が鼓膜である場合)及び捕捉画像からのアーチファクトの除去に干渉する。
【0165】
本発明に係る方法を実施するようになっている耳鏡は、電子撮像ユニットに対してプローブカバーの少なくとも一部を移動させるようになっているプローブカバー移動機構を更に備えていてよい。それによって、プローブカバーに付着し且つ鼓膜における電子撮像ユニットの視界を遮っている耳垢粒子等のアーチファクトを、プローブカバー移動機構によって電子撮像ユニットから離すことができる。具体的には、プローブカバー移動機構は、上述の通り、電子撮像ユニット又はカメラの光軸を比較的大きな径方向オフセットで配置できることを保証することができる。
【0166】
プローブカバーは、例えば、電子撮像ユニットから離れて存在する耳垢で汚染されているプローブカバーの部分を移動させるために、プローブカバーの一部を展開又は剥離できるように設計されることが好ましい。本発明に係る方法は、電子撮像ユニットとは逆の方向にプローブカバーを移動させる工程を更に含み、逆もまた同様である。
【0167】
被験体の耳道及び鼓膜を照らすために、本発明の方法を実施するようになっている耳鏡は、典型的にヘッド部分の遠位端、特にヘッド部分の遠位先端に配置される少なくとも1つの光源を更に備えていてよい。用語「光源」は、光子を放出する任意の源に当てはまると理解される。光源を遠位端又は遠位先端に配置することにより、遠位先端が2種類の組織間の移行領域までしか導入されない場合でさえも、確実に耳道を照らす。遠位光源は、「角を見回す」という概念の実現を容易にする。
【0168】
幾何学的制約によりヘッド部分の遠位端における空間が限定されるので、光源は、光導体の遠位端によって形成されることが好ましい。例えば、光導体は、1mm未満、好ましくは0.5mm未満、より好ましくは約0.2mmの直径を有し得る。光導体は、ヘッド部分の遠位端から離れた位置に存在するLEDに接続されていてよい。光導体は、例えば、好ましくは直径が僅か約0.2mm〜約1mmであるナイロン光導体であってよい。或いは、光源は、例えば、ヘッド部分の遠位端に直接配置されている小さな発光ダイオード(LED)によって形成されてもよい。LEDは、低エネルギー消費及び最小限の発熱での照明を保証することができる。
【0169】
光導体は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリアミド、特にポリアミド6.6で作製されてよい。PMMAは、光学特性が優れているという利点をもたらす。ポリアミド6.6は、可撓性が高いという利点をもたらす。
【0170】
本発明の方法を実施するようになっている耳鏡が、ヘッド部分の遠位端に複数の光源を備えている場合、好ましくは、各光源を別個に制御可能であることが有利である。それによって、例えば、陰影を低減する好ましい偏心照明点から耳道を照らすことができる。また、様々な位置から被験体の耳道内の物体を照らすことによって、例えば、個々の光源のスイッチを順次入り切りすることによって、必ずしも耳道内の運動機構により電子撮像ユニットを変位させる必要なしに、耳内の異なる物体が区別されると予想することができる。鼓膜等の電子撮像ユニットから比較的離れている物体は、ヘッド部分の遠位端における様々な位置から照らされたとき、外観が僅かしか変化しない。しかし、電子撮像ユニットに比較的近接しているアーチファクト(毛髪及び耳垢等)は、外観(位置)が大幅に変化する。したがって、耳鏡は、様々な位置から照らされている物体を撮影した画像に基づいて、被験体の耳内の異なる物体を区別するようになっている手段、具体的には、論理演算ユニット(例えば、マイクロプロセッサ)を備えることが好ましい。
【0171】
それに代えて又はそれに加えて、少なくとも1つの光源は、光源によって発せられる光の色が変化するように、色を考慮して制御してよい。例えば、耳垢を認識するためには緑色が好ましい場合がある。
【0172】
好ましくは、論理演算ユニットは、光源のうちの少なくとも2つと接続され、光源のスイッチを個々に入り切りするため及び/又は光の強度を個々に変化させるために配置される。耳鏡は、論理演算ユニットを備えることが好ましい。論理演算ユニットにより、照明レベルのフィードバック制御及び調整の少なくともいずれかが可能になる。個々にスイッチを入り切りすることにより、反射光パターンの変化に起因する立体視、特に光軸に沿った深さ解析が可能になる。また、耳道を区分毎に分けて照らすことができる。例えば、3つの光源が、それぞれ、耳道の特定の部分を照らす。光源をそれぞれフィードバック制御することにより、特に様々な照明レベルに基づいて、耳道を均一に照らすことができる。照明レベルを変更及び調整することにより、特に、周囲の組織に対する及び特定の照明強度に対する鼓膜の赤色度に基づく鼓膜の同定が容易になる。論理演算ユニットは、少なくとも1つの減光スイッチを備えることが好ましい。少なくとも1つの光源は、好ましくは、減光可能、特に連続的に減光可能であることが好ましい。
【0173】
電子撮像ユニットと同様に、少なくとも1つの光源は、ヘッド部分の長手方向軸から径方向にオフセットして配置されることが好ましい。かかる構成により、光源をヘッド部分の長手方向軸の中心に配置した場合に必要になるほど光源を耳道に深く導入する必要なしに鼓膜を照らすことが可能になる。オフセットは、長手方向軸から少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、より好ましくは少なくとも2mmであってよい。オフセットは、ヘッド部分の外径の輪郭に対して最大であることが好ましい。1つの実施形態によれば、オフセットは、少なくとも1本の光軸の径方向オフセットと同じ範囲である。1つの実施形態によれば、少なくとも1つの光源の径方向オフセットは、電子撮像ユニットのカメラの径方向と同程度である。鼓膜全体を観察するため又は陰影を低減するためには、かかる配置が好ましい。
【0174】
少なくとも1つの光源は、少なくとも1本の光軸に隣接して、好ましくは、2mm未満、より好ましくは1.5mm未満、更に好ましくは1.3mm未満、特に1mm〜1.3mm又は0.6mm〜0.8mmの距離(b)で配置されることが好ましい。かかる配置により、1つの特定のカメラ又は光軸に対して光を発することを可能にし得る。具体的には、陰影を低減することができる。特に、例えば、耳道に対して少なくとも略平行な方向において、好ましい位置から鼓膜に光を発することができる。また、光軸に近接して配置することにより、好ましい偏心照明点に光源を配置するために、光軸と共に光源を容易に変位させられることを保証することができる。
【0175】
耳鏡は、互いに最大距離(d)離間して配置されている少なくとも2つの光源又は光導体を有することが好ましく、前記最大距離(d)は、少なくとも3.5mm、より好ましくは少なくとも4mm、更に好ましくは4.2mm〜4.6mmである。特に特定の位置においてカメラ又は光源を回転させる必要なしに、鼓膜全体を観察するためには、かかる配置が好ましい。比較的大きな距離は、少なくとも2つ、3つ、又は4つの光源のうちの1つが好ましい偏心照明点に配置される可能性が高いことを保証することができる。
【0176】
電子撮像ユニットが運動機構によって変位される場合でさえも電子撮像ユニットに対して所定の距離が維持されるように、少なくとも1つの光源を配置することが好ましい。少なくとも1つの光源と電子撮像ユニットとの間の所定の遠位関係により(自動)画像解析を改善することができるので、かかる構成は有利である。運動機構が設けられている場合、前記運動機構は、少なくとも1つの光源も変位させることが好ましい。光源が光導体の形態で提供される場合、光導体は、少なくとも1つの光源のかかる変位を可能にするのに十分な程度可撓性でなければならない。光導体は、ヘッド部分内で遠位に固定されることが好ましく、この場合、前記光導体は、弾性であり、弾性であることにより曲がり及びねじりの少なくともいずれかが可能になる。或いは、光導体は剛性であってもよく、この場合、ヘッド部分と共に照明装置全体が変位し得る。
【0177】
運動機構が、回転軸を中心として少なくとも1つの光源を少なくとも部分的に回転させることができるように、少なくとも1つの光源は、特に、直接又は電子撮像ユニットを介して運動機構と接続されることが好ましく、この場合、前記回転軸は、長手方向軸に一致していることが好ましい。好ましい位置において光源を回転させることにより、高い信頼性で鼓膜全体を観察するのを可能にすることができる。
【0178】
少なくとも1つの光源は、電子撮像ユニットに固定されることが好ましく、具体的には、電子撮像ユニットのカメラに又は電子撮像ユニットの少なくとも1つの光学部品を収容するか若しくは少なくとも1本の光軸を画定する支持体に横方向に固定される。かかる配置により、電子撮像ユニット及び光源の両方の回転をかなり容易に実現することができる。したがって、運動機構をこれら部品のうちの1つに接続するだけでよい。
【0179】
耳鏡は、ヘッド部分の遠位端、特に遠位先端の中心に配置されている赤外線センサユニットを更に備えることが好ましい。物体の光学的同定と併せて温度検出を行うための赤外線センサユニットを備える耳鏡を提供することにより、物体、例えば、鼓膜をより確実に同定することができる。
【0180】
本発明の方法を実施するようになっている耳鏡は、マイクロプロセッサ等の論理演算ユニットを更に備えていてよい。論理演算ユニットは、電子撮像ユニット、少なくとも1つの光源、及び赤外線センサユニットの少なくともいずれかを制御するようになっていてよい。論理演算ユニットは、例えば、被験体の耳内の異なる物体を同定及び識別するために、耳内の様々な位置に配置された電子撮像ユニットから得られた及び/又は様々な位置から照らした物体から得られた2枚の画像を比較するために、電子撮像ユニットによって得られた画像及び赤外線センサユニットによって取得されたデータを解析することができる。論理演算ユニットは、更に、既に同定されている所定の物体が消去された新たな画像を作成又は計算するようになっていてよい。
【0181】
1つの特定の実施形態によれば、上述の物体は、被験体の耳内の鼓膜を同定し、医学的に特徴付ける方法であって、
− 前記被験体の外耳の耳道に光学電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源を導入する工程であって、前記電子撮像ユニットが、遠位方向、特に前記被験体の耳の鼓膜の方を向いている少なくとも1本の光軸を示す工程と、
− 前記電子撮像ユニットを用いて、少なくとも1枚の前記鼓膜の画像を捕捉する工程と、
− 前記鼓膜を自動的に同定するために、色情報、又は輝度及び色情報を決定して、少なくとも1枚の画像に示されている前記鼓膜を電子手段によって同定する工程であって、前記電子撮像ユニットが、少なくとも1つのカラービデオカメラを備える工程と
を含み、更に、
− 前記鼓膜が同定されたら、前記鼓膜の反射の分光組成を決定する工程を含み、前記鼓膜の医学的な特徴付けが、前記鼓膜を加圧する工程と、前記鼓膜の可動性を評価する工程とを含む方法によっても得られる。かかる方法により、例えば、赤色度と耳道内の特定の圧力条件との間の任意の相関を決定することができる。前記方法は、予診を容易にするために、鼓膜の医学的データに関する情報を非医師に提供することができる。例えば、鼓膜の湾曲又は可動性についての情報と併せて、例えば、赤色度についても非医師に通知することができる。これにより、特定の医学的状態に関連する情報を自動的に作成することが可能になる。任意のかかるより高度な又は最終的な疾患診断は、医師又は医師による更なる検査によって認められる被験体が示す他の症状に基づいて、医師が行わなければならない。
【0182】
1つの特定の実施形態によれば、上述の物体は、被験体の耳内の鼓膜を同定し、医学的に特徴付ける方法であって、
− 前記被験体の外耳の耳道に光学電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源を導入する工程であって、前記電子撮像ユニットが、遠位方向、特に前記被験体の耳の鼓膜の方を向いている少なくとも1本の光軸を示す工程と、
− 前記電子撮像ユニットを用いて、少なくとも1枚の前記鼓膜の画像を捕捉する工程と、
− 前記鼓膜を自動的に同定するために、色情報、又は輝度及び色情報を決定して、少なくとも1枚の画像に示されている前記鼓膜を電子手段によって同定する工程であって、前記電子撮像ユニットが、少なくとも1つのカラービデオカメラを備える工程と
を含み、更に、
− 前記鼓膜が同定されたら、前記鼓膜の反射の分光組成を決定する工程を含み、前記分光組成が、照明強度を変化させながら決定され、前記分光組成が、特定の照明強度に対して決定される方法によっても得られる。かかる方法により、炎症の可能性をより確実に評価するために、例えば、赤色度と照明強度との間の任意の相関を決定することができる。前記方法は、予診を容易にするために、鼓膜の医学的データに関する情報を非医師に提供することができる。これにより、特定の医学的状態に関連する情報を自動的に作成することが可能になる。任意のかかるより高度な又は最終的な疾患診断は、医師又は医師による更なる検査によって認められる被験体が示す他の症状に基づいて、医師が行わなければならない。
【0183】
1つの特定の実施形態によれば、上述の物体は、被験体の耳内の鼓膜を同定し、医学的に特徴付ける方法であって、
− 前記被験体の外耳の耳道に光学電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源を導入する工程であって、前記電子撮像ユニットが、遠位方向、特に前記被験体の耳の鼓膜の方を向いている少なくとも1本の光軸を示す工程と、
− 前記電子撮像ユニットを用いて、少なくとも1枚の前記鼓膜の画像を捕捉する工程と、
− 前記鼓膜を自動的に同定するために、色情報、又は輝度及び色情報を決定して、少なくとも1枚の画像に示されている前記鼓膜を電子手段によって同定する工程であって、前記電子撮像ユニットが、少なくとも1つのカラービデオカメラを備える工程と
を含み、更に、
− 前記鼓膜が同定されたら、前記鼓膜の反射の分光組成を決定する工程を含み、前記電子撮像ユニットのスペクトル感度の較正及び前記少なくとも1つの光源の分光組成の較正の少なくともいずれかを更に含む方法によっても得られる。かかる方法により、例えば、赤色度と鼓膜の炎症の可能性との間の任意の相関をより確実に決定することができる。前記方法は、予診を容易にするために、鼓膜の医学的データに関する情報を非医師に提供することができる。これにより、特定の医学的状態に関連する情報を自動的に作成することが可能になる。任意のかかるより高度な又は最終的な疾患診断は、医師又は医師による更なる検査によって認められる被験体が示す他の症状に基づいて、医師が行わなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0184】
本発明の方法及び本発明の方法を実施するのに適している耳鏡の例示的な実施形態について、図面を参照して以下により詳細に記載する。任意の参照番号がそれぞれの図に明確に記載されていない場合には、他の図を参照する。言い換えれば、類似の参照番号は、異なる図においても装置の同じ部品又は同じ種類若しくは群を指す。
図1図1は、本発明の方法を実施するための耳鏡のある実施形態のヘッド部分とハンドル部分の一部との概略断面図である。
図2図2は、図1に示すヘッド部分に設けられている孔を被覆するプレートの拡大図である。
図3図3は、ヘッド部分が被験体の耳道に部分的に導入されている、従来技術の耳鏡を示す。
図4図4は、ヘッド部分が被験体の耳道に完全に導入されている、図3の耳鏡を示す。
図5図5は、ヘッド部分が患者の耳道に導入されている、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の概略図である。
図6図6は、ヘッド部分が患者の耳道に導入されており、且つカメラが第1の位置に配置されている、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡を示す。
図7図7は、カメラが第2の位置に配置されている、図6の耳鏡を示す。
図8図8は、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の更なる実施形態のヘッド部分とハンドル部分の一部との概略断面図である。
図9A図9Aは、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の更なる実施形態の、耳道内の第1の位置にあるヘッド部分に配置されているプローブカバーの概略断面図である。
図9B図9Bは、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の更なる実施形態の、耳道内の第2の位置にあるヘッド部分に配置されているプローブカバーの概略断面図である。
図10図10は、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡のヘッド部分の概略斜視側面図である。
図11図11は、耳鏡の光源及びカメラの径方向位置が図示されている、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡のヘッド部分の概略前面図である。
図12図12は、耳鏡の光源及び複数の光軸の径方向位置が図示されている、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡のヘッド部分の概略前面図である。
図13A図13Aは、ヘッド部分が患者の耳道に部分的に導入されている、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の概略図である。
図13B図13Bは、鼓膜を観察することができる末端位置までヘッド部分が患者の耳道に導入されている、図13Aに図示されている耳鏡の概略図である。
図14図14は、第1の位置に配置されている二重プローブカバーを備える、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の更なる実施形態のヘッド部分の概略断面図である。
図15図15は、プローブカバーが第2の位置に配置されている、図14に図示されているヘッド部分及びプローブカバーを示す。
図16図16は、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の更なる実施形態のヘッド部分とハンドル部分の一部との概略断面図である。
図17図17は、鼓膜を観察することができる末端位置までヘッド部分が患者の耳道に導入されている、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の概略図である。
図18図18は、鼓膜を観察することができる末端位置までヘッド部分が患者の耳道に導入されている、本発明に係る方法に用いることができる耳鏡の概略図である。
図19図19は、円筒形の遠位端を有する、本発明に係る耳検査装置のヘッド部分の概略図である。
図20図20は、本発明の実施形態に係る方法の概略工程図である。
図21図21は、本発明の実施形態に係る方法の詳細な概略工程図である。
図22図22は、本発明の実施形態に係る方法の詳細な概略工程図である。
図23図23は、本発明の実施形態に係る方法の概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0185】
図1は、本発明に係る方法を実施するのに適している耳鏡10の実施形態のヘッド部分14とハンドル部分12の一部(想像線でのみ示されている)との概略断面図である。図1から分かる通り、ヘッド部分14は、ヘッド部分14の長手方向軸Aに沿って延在する実質的に先細の形態を有している。ヘッド部分14は、ハンドル部分12に隣接する相対的に大きな近位端16とより小さな遠位端18とを備えている。ヘッド部分14の遠位端18は、被験体の耳道に導入するのに適している。
【0186】
更に、ヘッド部分14は、回転可能な径方向内側部分20と固定されている径方向外側部分22とを備えている。回転可能な部分20は、図示されている例示的な実施形態では、ヘッド部分14の長手方向軸Aと一致する回転軸Rを中心として回転可能である。ヘッド部分の固定されている部分22に対して及び耳鏡10のハンドル部分12に対して回転可能な部分20が回転軸Rを中心として回転するように、サーボモータ26を備える運動機構24は、ハンドル部分12内に配置され、且つヘッド部分14の回転可能な部分20に接続されている。回転可能な部分20は、ラジアル軸受28(これも概略的にしか図示されていない)によって支持されている。
【0187】
図示されている例示的な実施形態では、ヘッド部分14の外側部分22は、ヘッド部分14に必要な安定性をもたらす支持構造30を備えている。前記支持構造は、シリコーン等の比較的軟質の材料で形成されている外側クラッド32によって少なくとも部分的に被覆されている。クラッド32により、被験体がヘッド部分14の遠位端18を耳道に導入する際の苦痛を軽減することができる。クラッド32は、補足的に形成されるプローブカバーの円形の舌部(不図示)に嵌合するようになっている円形スロット状凹部33を備えていてよい。プローブカバーは、プラスチック材料で形成してよく、ヘッド部分14に被せるようになっていてよい。好ましくは、プローブカバーは、透明な材料で形成される。プローブカバーの壁は、比較的薄くてよく、それによって、プローブカバーが比較的可撓性になる。ヘッド部分14の遠位端18に位置する電子撮像ユニット(以下に記載)をプローブカバーを通して自由に見ることができるように、ヘッド部分14の遠位端18を被覆するプローブカバーの少なくとも一部は、透明でなければならない。衛生上の理由から、プローブカバーは、使い捨て製品として設計されることが好ましい。また、プローブカバーは、電子撮像ユニットを備える遠位端18の汚染を確実に防ぐ。かかるプローブカバーがなければ、遠位端18を被験体の耳道の外側部分に導入するときに、例えば耳垢粒子が電子撮像ユニットに付着し得る(それによって、画像品質が低下する)等のリスクが高くなる。
【0188】
ヘッド部分14は、図示されている例示的な実施形態では、ヘッド部分14の長手方向軸A上に実質的に位置する遠位端点34を備えている。しかし、ヘッド部分14は、(図1に示す通り)その長手方向軸Aに対して実質的に対称ではなく、ヒトの耳道の解剖学的構造により適合している先細形状を有していてもよい。
【0189】
ヘッド部分14の正確な形状に関係なく、ヘッド部分14は、被験体の外耳の外耳道の内側部分には導入できないような寸法であることが好ましい。図示されている例示的な実施形態では、ヘッド部分14の遠位端18は、実質的に丸胴形を有する。長手方向軸Aの方向に遠位端点34から僅か数ミリメートル(4mm未満)離れた位置において、ヘッド部分14は、5mm超の直径を有する。成人の外耳道の内側部分の直径は、通常4mmであるので、ヘッド部分14の遠位端18が不注意で被験体の耳道に深く導入され過ぎてしまうリスクはない。したがって、外耳道の内側部分の敏感な皮膚及び鼓膜の少なくともいずれかに対する損傷を確実に避けることができる。
【0190】
移動可能な部分20は、ヘッド部分14の軸方向Aに実質的に沿って延在するが、厳密に平行ではない孔36を備えている。孔36の遠位端は、遠位端点34に近接して位置するが、孔軸Bにおいて長手方向軸Aから少なくとも2mmオフセットしている。更に、孔36の遠位端は、プレート38によって閉じられている。プレート38の拡大上面図を図2に示す。孔36は円筒形状であるので、プレート38は、図2では、孔軸Bがその中心を形成している概して円形の外観を有している。しかし、孔30及びプレート38の少なくともいずれかは、同様に、他の形状を有していてもよい。
【0191】
プレート38は、広角カラービデオカメラ40.1と4つの光導体42の遠位端とを備える電子撮像ユニット40を支持している。例示的な実施形態では、実質的に矩形のビデオカメラ40.1の4つの各側面に1つの光導体42が関連付けられるように、光導体42は、ビデオカメラ40.1の周囲に位置している。しかし、これは、本発明にとって必須ではない。4つの光導体42の代わりに、例えば、耳鏡10は、光導体42を2つだけ備えていてもよい。ビデオカメラ40.1は、実質的に平坦な構造を有する1mm〜2mmの寸法のウエハレベルカメラであることが有利である。ウエハレベルカメラは、約250ピクセル×約250ピクセルの解像度をもたらす僅か約1mm×約1mmの寸法を有することが有利である。プレート38は、1.5mm〜2.0mmの直径を有し、光導体42は、僅か約0.2mmの直径を有する。
【0192】
ビデオカメラ40.1は、ケーブル(不図示)の遠位端に接続される。ケーブル(例えば、リボンケーブル)は、耳鏡10の孔36を通ってハンドル部分12まで延びる。ケーブルの遠位端は、図1に概略的に図示されている論理演算ユニット44(例えば、マイクロプロセッサ)に接続される。同様に、光導体42(図1には不図示)も、耳鏡10の孔36を通ってハンドル部分12まで延びる。光導体42の近位端は、それぞれ、4つのLED46に接続されている。LED46は、論理演算ユニット44と同様に、耳鏡10のハンドル部分12内に配置されている。LED46は、個々にスイッチを入り切りすることができる。更に、ハンドル部分12は、ビデオカメラ40.1によって捕捉された画像を保存するためのメモリ48を備えることが好ましい。前記メモリは、例えば、メモリカードスロット及び前記スロットに挿入される対応するメモリカードによって形成され得る。ハンドル部分12は、更に、カメラ40.1によって撮影された画像をユーザに表示するためのディスプレイ(不図示)を備えていてもよい。それに加えて又はそれに代えて、ハンドル部分12は、USBポート等のケーブル接続ポート、Bluetooth(登録商標)又はWIFI(登録商標)等のワイヤレス接続、及び(充電式)電池等のエネルギー供給の少なくともいずれかを備えていてもよい。ハンドル部分12のこれら追加(任意)部品は、例えば、デジタルカメラにおいて知られている。
【0193】
被験体の耳道の内側部分、特に被験体の鼓膜の画像を捕捉するためには、ヘッド部分14の遠位端18を被験体の耳道に導入しなければならない。ヘッド部分14の形状に起因して、遠位端18が耳道に深く挿入され過ぎるリスクはない。即ち、遠位端18の形状及び幾何学的構造により、非常に痛みを感じやすい被験体の耳道の内側部分に遠位端点34を深く導入することができない。したがって、耳道の内側部分の皮膚及び鼓膜の少なくともいずれかに対する損傷を確実に避けることができる。本発明の耳鏡の幾何学的構造及び技術は、上記の通り、従来技術の耳鏡のように被験体の耳を変形させる必要がない。したがって、本発明に係る方法を実施するようになっている耳鏡は、非医師によっても安全に適用され得る。
【0194】
たとえヘッド部分14の遠位端18が耳道の内側部分に挿入されなくても、ヘッド部分14の遠位端18に設けられている広角カメラ40.1により、耳鏡は、耳道の内側部分及び鼓膜から画像を捕捉することができる。カメラ40.1が鼓膜を「見る」能力を改善するために、カメラ40.1は、ヘッド部分14の長手方向軸Aからオフセットして配置される。更に、孔軸Bに一致するカメラ40.1の主な「視方向」は、ヘッド部分14の長手方向軸Aに対して角度を成している。孔軸B及び長手方向軸Aは、遠位端点34から所定の距離(被験体の耳道の内側部分の典型的な長さに相当する)を有する点で交差し、その結果、カメラ40.1は、鼓膜の方に向く。
【0195】
ヘッド部分の遠位端18を被験体の耳道に導入するとき、例えば、プローブカバーに付着している、カメラ40.1の前の耳垢粒子又は毛髪等の物体が、鼓膜に対する視界を部分的に又は更には完全に遮ることがある。したがって、運動機構24は、回転軸Rを中心として残りの耳鏡10に対してヘッド部分14の回転可能な部分20を回転させてよい。例えば、運動機構24は、回転可能な部分20を初期位置から時計方向に約120°回転させ、次いで、初期位置から逆時計方向に約120回転させ、最後に初期位置に戻してよい。カメラ40.1は、これら等間隔で離間している3つの点のそれぞれから1以上の画像を捕捉することができる。論理演算ユニット44は、カメラ40.1から受信した画像を比較することによって、被験体の耳内の様々な物体を同定することができる。特に、論理演算ユニット44は、上により詳細に記載した通り、立体視の原理に従ってカメラ40.1までの距離を決定することによって、鼓膜と他の物体とを識別することができる。
【0196】
上記同定プロセスに加えて又は代えて(好ましくは、加えて)、各捕捉される画像について様々なLED46のスイッチを入り切りしながら、カメラ40.1の3つの位置のそれぞれから1超の画像を撮影してよい。様々な位置から鼓膜及び他の物体を照らすことも、上により詳細に記載した通り、これら物体を識別するのに役立つ。
【0197】
最後に、鼓膜をはっきりと示すために毛髪及び耳垢等の物体が消去されている新たな画像を(好ましくは、論理演算ユニット44によって)作成してよい。論理演算ユニットは、LED46を切り換えて様々な位置から照らしているとき、特定の閾値を超えて輝度値が変化する画像画素領域を識別することができる。更に、論理演算ユニットは、反射強度を評価することによって遠位先端に近接している(極近接している)物体を表す領域を決定することができる。論理演算ユニットは、特に、対象領域の露出を最適化するため及び/又は最前面における任意の妨害物体(毛髪及び耳垢粒子等)を消去するために、様々な照明角度で撮影された様々な画像からの画素情報を用いることによって「モザイク」画像を計算することができる。かかる「モザイク」又は「つぎはぎ」又は「合成」画像を作成するために、別々の画像からの画素情報及び同じ画像からの画素情報を平均化、減算、加算、乗算、及び/又は正規化してよい。次いで、特に、上記任意のかかる画像評価方法に基づいて、鼓膜の反射の分光組成、特に赤色度を容易に決定することができる。ユーザは、対応する情報を受け取ることができ、これは、医師に掛かるかどうかを判断する助けとなる。また、被験体の耳道における大量の耳垢が原因で耳鏡が鼓膜を検出することができなかった場合、対応する情報をユーザに提供することもできる。その後、ユーザは、耳道を清浄にするために医師に掛かるかどうかを判断することができる。
【0198】
或いは、耳鏡は、鼓膜以外の物体のみ、例えば、鉛筆の芯等の意図せず耳道に入ってしまった物体のみを示す写真を提供することもできる。
【0199】
図5では、カメラ40.1を備える電子撮像ユニットを含むヘッド部分14を有する耳鏡10を示す。カメラ40.1は、ヘッド部分14の長手方向軸Aに対して偏心的に(即ち、径方向にオフセットして)配置されている。偏心距離(径方向オフセット)は、例えば、1.5mm〜2mmである。ヘッド部分14は、耳道Cに導入され、ヘッド部分14の外面又はプローブカバー(不図示)は、軟部結合組織C1に接触している。鼓膜EDに近接する領域において耳道Cを画定する硬骨C2とは対照的に、軟部結合組織C1は、弾性であり、ヘッド部分14によって広げることができる。
【0200】
鼓膜EDは、鼓室TCと外耳の耳道Cとを仕切る。鼓室TC内では、鼓膜EDの後方に、鼓膜EDに接触して槌骨MCが配置されている。
【0201】
カメラ40.1は、好ましくは円錐状である視野41を有する。幾何学的に、視野41は、少なくとも80°、好ましくは少なくとも100°、例えば、120°の範囲の開口角を有する円錐として記載され得る。カメラ40.1は、広角カラービデオカメラであることが好ましい。カメラ40.1の光軸Xは、長手方向軸Aに対して角度βで配置されている(又は任意で配置することができる)ので、装置が有効に「角を見回す」ことが可能になる。角度βは、好ましくは、10°〜50°である。広角視野に加えて、傾斜して配置されてもよい。角度βは、一定であってもよく、可変であってもよい。カメラ40.1は、鼓膜EDから比較的離れた観察点から鼓膜EDをスキャンするために、「角を見回す」ように配置される。この目的のために、カメラ40.1は、径方向にオフセットして又は比較的大きな曲率半径を示す耳道の側面に配置される。
【0202】
図5には、耳道Cの解剖学的構造を示し、前記耳道は、湾曲C4を有する。耳道の様々な形状の大部分について典型的である湾曲C4は、ある種の「角」を形成する。カメラ40.1は「角を見回す」ように配置されるので、耳道Cを画定している軟部結合組織C1と硬骨C2との間の移行領域又は移行点C3までヘッド部分14の遠位先端35を導入する必要はない。言い換えれば、耳道Cが湾曲C4又は特に小さな曲率半径を有する移行領域C3までヘッド部分14の遠位先端35を導入する必要はない。また、硬骨C2、即ち、耳道の骨部分C2まで遠位先端35を導入する必要もない。具体的には、遠位先端35と鼓膜EDとの間に少なくとも10mm、好ましくは少なくとも15mm、又は更にそれ以上の距離を保つことができる。これにより、非医師による耳鏡10の使用が容易になる。更に、耳道Cを「真っ直ぐにする」機械的操作を必要としない。一般的に用いられている耳鏡とは対照的に、本発明の耳鏡10の適用は、医師による支援を必ずしも必要としない。
【0203】
図5に示す通り、ヘッド部分14の直径は、ヘッド部分14の遠位先端が、硬骨C2によって画定される耳道Cの領域に嵌まらないように限定される。具体的には、平均で(男性及び女性)、外耳道の直径は約4.8mm±0.5mmであることが見出された。男性の平均直径に関する概要は、Salvinelli F,Maurizi M et al.;Scand.Audiol.1991;20(4):253−6に見出すことができる。
【0204】
図6は、耳鏡10の長手方向軸Aを中心として回転し得るヘッド部分14を備えている耳鏡10を示す。電子撮像ユニットは、長手方向軸Aから径方向にオフセットして配置されているカメラ40.1を備えている。カメラ40.1は、ヘッド部分14の遠位先端に配置されている。図6に示す位置(第1の位置)では、カメラ40.1は、まだ鼓膜EDをスキャンすることはできない。カメラ40.1は、まだ鼓膜EDと光学連通していない。むしろ、点線によって示されている通り、耳道Cの湾曲C4が任意の光学連通を遮断している。図6に示されている第1の位置では、カメラ40.1によって鼓膜EDを完全に見ることはできない。鼓膜EDと確実に光学連通させるために、先ず、耳道C内のカメラ40.1の(径方向)位置を補正しなければならない。これは、特に耳鏡10のハンドル部分12を更に運動、特に回転させることなしに、ヘッド部分14又はヘッド部分14の一部を長手方向軸Aを中心として回転させることによって行い得る。この目的のために、耳鏡10は、運動機構24を備えている。運動機構24は、ハンドル部分12内に配置されている。運動機構24は、運動可能な部分20とハンドル部分12とを接続する駆動軸24.1を備えている。図8に詳細に示されている通り、運動可能な部分20は、軸受28によって支持されている。
【0205】
図7は、軟部結合組織C1と硬骨C2との間の移行領域C3までヘッド部分14の遠位先端を導入していないにもかかわらず、カメラ40.1の光軸Xが鼓膜EDの方を向くことができる位置にあるカメラ40.1を示す。カメラ40.1は、図7に示す第2の位置に回転した。
【0206】
カメラ40.1の回転は、以下に記載する通り実施することができる。ヘッド部分14の運動可能な部分20は、サーボモータ(不図示)、例えば、小型の標準的なサーボモータ(例えば、Modelcraft Micro−Servo MC1811 JR)に取り付けることができる。前記サーボモータは、特に180°以下、運動可能な部分20を回転させるように配置される。前記サーボモータは、例えば、約2mmの高さを有し、回転運動可能な部分20の軸に直接配置してよい。前記サーボモータは、モータ筐体を数ミリメートル超える回転部分を有し得る。前記サーボモータは、軸受によって保持されている運動可能な部分20と整列してしっかりと保持されるように設計された金属部分を用いて耳鏡のシャーシに取り付けてよい。1以上の光導体(不図示)及びケーブル(不図示)をプリント基板(不図示)に接続してよい。前記ケーブルは、前記プリント基板に直接はんだ付けしてよく、一方、前記光導体は、光源(不図示)に直接実装してよい。
【0207】
図8は、ハンドル部分12及びヘッド部分14を備えている耳鏡10を示す。ヘッド部分は、運動可能な部分20及び支持構造30を備えている。運動可能な部分20は、ハンドル部分12に配置されている運動機構24によって回転することができる。運動可能な部分20は、支持構造30に対して回転することができ、その場合、シャーシ軸受を使用してよい。運動機構24は、運動可能な部分20とハンドル部分12とを接続する駆動軸24.1を備えている。運動機構24は、駆動軸24.1に接続されているブラシレスモータ26aを備えている。任意で、モータ26aと駆動軸24.1との間にギヤ24.2が設けられる。特に音響放射を低減するために、ギヤ24.2は、ウォームギヤであることが好ましい。運動可能な部分20は、それ自体ハンドル部分12によって支持されている軸受28によって支持されている。支持構造30は、ハンドル部分12によって支持されている。支持構造30は、ヘッド部分14の外側面の一部を提供している。言い換えれば、ヘッド部分14の形状は、支持構造30によって部分的に画定される。具体的には、ヘッド部分14の近位部分の形状は、支持構造30によって画定される。支持構造30は、軸受28を用いてハンドル部分12に固定される。
【0208】
ヘッド部分14は、遠位先端35を含む遠位端18を有し、前記遠位端18は、(点線によって示されている通り)円錐形又は円筒形を有する。遠位端18の中心に赤外線センサユニット140が配置されている。この位置は、一例として図示しているだけである。図8に図示されている赤外線センサユニット140は、以上又は以下の図面にも記載されている通り、耳鏡の他の実施形態と併せて提供されてもよい。遠位端18は、プローブカバー(不図示)の一部を収容するためにくぼみ35を備えている。光軸Xを有するカメラ40.1は、ヘッド部分14の長手方向軸Aに対して径方向にオフセットして配置され、前記光軸Xの径方向オフセットr1は、好ましくは1.5mm〜2mmである。カメラ40.1は、遠位端18の内側面に隣接して配置される。カメラ40.1は、遠位端18の内側面と接触していることが好ましい。
【0209】
耳鏡10は、論理演算ユニット44を備えている。論理演算ユニット44は、特に遠位先端35に対する耳道内の任意の物体の距離を決定するため及び/又は任意の物体の角度、特に、耳道の内側面若しくは耳道の長手方向軸に対する角度を決定するために配置してよい。或いは、論理演算ユニット44は、距離を決定するための手段44.1及び角度を決定するための手段44.2の少なくともいずれかを備えていてもよい。
【0210】
図6、7、及び8には、プローブカバーが図示されていない。本発明によれば、プローブカバーは、ヘッド部分と共に回転してもよく、静止していてもよい。プローブカバーは回転しない、即ち、プローブカバーは静止していることが好ましい。
【0211】
図9Aは、耳道C内に配置されている耳鏡10のヘッド部分を示す。耳道Cは、部分的に軟部結合組織C1によって、及び更に鼓膜EDに向かって下ると部分的に硬骨C2によって取り囲まれている、即ち、画定されている。鼓膜EDを適切に観察するためには、軟部結合組織C1と硬骨C2との間の移行点C3に位置する湾曲C4までヘッド部分14を導入しなければならない。カメラ40.1は、ヘッド部分14内に径方向にオフセットして配置されている。
【0212】
耳鏡10は、カメラ40.1及び任意の光源(不図示)の少なくともいずれかを変位させるために配置されている運動機構24を有する。更に、ヘッド部分14内には移動機構65が配置されている。運動機構24及び移動機構65は、いずれも、機構24、65を別々に又は互いに依存して制御するために配置されている論理演算ユニット44に接続されている。移動機構65は、肩部66.6を有するアダプタ66を有している。第1の位置におけるアダプタ66が図示されている。プローブカバーリザーバ60.3を有するプローブカバー60が、ヘッド部分14全体を覆っている。ヘッド部分14は、プローブカバーリザーバ60.3を収容するための溝又はくぼみ14.3を有する。プローブカバー60は、移動機構65を用いてプローブカバー60の軸位置を決めることができるように、肩部66.6に嵌合するか又は肩部を包囲するU字形若しくはS字形部分又は内向突起を備えている。プローブカバー60の軸位置は、移動機構65、即ちアダプタ66の軸位置によって画定することができる。
【0213】
耳垢EW及び他の物体の少なくともいずれかは、耳道Cを部分的に塞ぐ。具体的には、耳垢EWは、プローブカバー60の外面に付着し、カメラ40.1と鼓膜EDとの光学連通を遮断する。
【0214】
図9Bは、耳道内の第2の位置にあるヘッド部分14を示す。ヘッド部分14の遠位先端は、移行点C3まで導入されている。プローブカバー60及びアダプタ66は、2本の矢印によって示されている通り、近位方向に移動した。それによって、プローブカバー60に対して近位方向の引張力がかかる。第2の軸位置にあるアダプタ66が図示されている。プローブカバーリザーバ60.3は、くぼみ14.3から引き出された。リザーバ60.3は、少なくとも部分的に、ヘッド部分14の遠位先端から側面に向かって変位した。それによって、耳垢EWも側面に向かって変位した。カメラ40.1の視野は、もはや耳垢によって遮られてはいない。
【0215】
図9A及び9Bに示されている位置では、特に、移動機構65、特にアダプタ66及びヘッド部分14の少なくともいずれかに接続されている力検出手段80によって、プローブカバー60又はヘッド部分14にかかる力を検出することができる。力検出手段80は、論理演算ユニット44及び運動機構24の少なくともいずれかに接続されている。
【0216】
組織、特に軟部結合組織C1と、プローブカバー60の外側面との間にかかる摩擦力F1が存在する。力F2、特に導入力又は挿入力は、ヘッド部分14からプローブカバー60にかかる。移動機構65は、特に、ヘッド部分に対して近位方向においてプローブカバーを軸方向に変化させるために超えなければならない軸力の閾値を決定するために、(挿入力F2に相当する)反力を提供し得る。力検出手段80は、特に、閾値を超える時点で移動機構65を解放するように配置してよい。それに代えて又はそれに加えて、移動機構65は、特定の力で解放され得るラッチ機構を有していてよい。力検出手段80は、力センサ、例えば、圧縮力を検出するために配置される任意の一般的な力センサを有していてよい。
【0217】
図10は、遠位端18に電子撮像ユニット40が配置されている耳鏡のヘッド部分14を示す。電子撮像ユニット40は、複数の光軸X1、X2に加えて複数の照明軸X3、X4を有し、各軸X1、X2、X3、X4は、ヘッド部分14の長手方向軸Aに対して径方向にオフセットして配置されている。複数の光軸X1、X2は、少なくとも部分的に、電子撮像ユニット40のビームスプリッタ光学素子40.2によって提供され得る。照明軸X3、X4の径方向位置は、それぞれ、偏心照明点EIPによって画定され得る。光軸X1、X2の径方向位置は、それぞれ、偏心観察点EOPによって画定され得る。ビームスプリッタ光学素子40.2は、(点線によって概略的に示されている通り)径方向にオフセットしている(偏心)観察点EOPを提供するようになっている複数のレンズ47及び鏡の少なくともいずれかを備えていてよい。ビームスプリッタ光学素子40.2は、レンズ47と画像センサ43とを光学的に接続する。それぞれの偏心照明点EIPは、光導体42又は光源、即ちLED46の前面の中心に配置される。それぞれの偏心観察点EOPは、電子撮像ユニット40のカメラ40.1又は任意の他の光学部品、即ちレンズ47の前面の中心に配置される。光学部品47は、図10に概略的に図示されている通り、好ましくは中心に配置される電子撮像ユニット40の単一の画像センサ43と光学連通し得る。画像センサ43は、それぞれ、1本の光軸につき1つの領域を提供するために、(概略的に図示されている通り)異なる領域又はセグメント、例えば、4つのセグメントを備えていてよい。
【0218】
図11は、1つのカメラ40.1を備える電子撮像ユニット40を収容しているヘッド部分14を示す。カメラ40.1は、ヘッド部分14の遠位先端35において最大径方向オフセットで径方向にオフセットして配置されている。特にカメラ40.1と同じピッチ円上に、2つの光導体又は光源42(例えば、LED)がカメラ40.1に隣接して配置されている。光源42は、ヘッド部分14の長手方向(中心)軸Aと各光源42の中心軸M2との間の径方向距離に相当する径方向オフセットr2で配置されている。具体的には、光源42の径方向オフセットr2は、カメラ40.1の径方向オフセットに一致していてもよく、或いは、カメラ40.1の径方向オフセットよりも更に大きい。
【0219】
カメラ40.1は、特に、光導体42又は少なくとも光導体42の遠位端と共に運動機構(不図示)によって回転できることが好ましい。光導体42の直径は、0.2mm〜1.5mm、好ましくは0.7mm〜1.2mm、特に1.0mmである。(偏心)径方向距離、即ちオフセットr2は、光導体42の直径に依存して、1.8mm〜2.5m、好ましくは1.9mm〜2.3mm、更に好ましくは2.0mm〜2.1mmである。2つの光導体42は、カメラに対して距離bでカメラ40.1に隣接して配置されており、前記距離bは、カメラ40.1及び2つの光導体42が配置されているピッチ円の円弧(の一部)の長さに相当する。距離bは、カメラ40.1の中心軸と各光導体42の中心軸M2との間で測定される。距離bは、好ましくは0.5mm〜2mm、より好ましくは0.8mm〜1.8mm、特に約1.5mmである。
【0220】
図12は、遠位先端35を備えるヘッド部分14を示す。電子撮像ユニット40は、遠位先端35内に配置されている。電子撮像ユニット40は、複数のレンズ47.3又は光学面(特に16個のレンズ又は光学面)(図12にはそのうち8個が図示されている)を有するビームスプリッタ光学素子40.2を備えている。ビームスプリッタ光学素子40.2は、4つの異なる光路X1、X2を備えている。各光路は、4つの光学面によって画定される。光路を画定するレンズは、それぞれ、同一面に配置される。4つの光導体又は光源42又はLED46は、それぞれ、レンズ47.3の間に配置されている。光導体42又はLED46は、特に各レンズ47.3に対して距離bで、最大径方向オフセットを有するレンズ47.3に隣接して配置されている。距離bは、レンズ47.3及び光導体42が配置されているピッチ円の円弧の長さに対応する。距離bは、各レンズ47.3の中心軸と各光導体42の中心軸M2との間で測定される。距離bは、光導体42の直径に依存して、好ましくは2mm未満(例えば、1.5mm)、より好ましくは1.5mm未満(例えば、1.35mm)、更に好ましくは1.3mm未満(特に1mm〜1.3mm)である。
【0221】
レンズを収容する支持部40.3の外側面は、遠位先端35の内側面に隣接して配置されている。支持部40.3の外側面は、特に4つの異なる部分において、内側面に接触している。光導体42又はLED46は、支持部40.3の凹部又は溝部40.3a内に配置されている。
【0222】
光源42は、ヘッド部分14の長手方向(中心)軸Aと各光源42の中心M2との間の径方向距離に相当する径方向オフセットr2で配置されている。具体的には、光源42の径方向オフセットr2は、カメラ40.1の径方向オフセットに相当し得るか、或いは、カメラ40.1の径方向オフセットよりも更に大きい。(偏心)径方向距離、即ちオフセットr2は、光導体42の直径に依存して、1.8mm〜2.5mm、好ましくは1.9mm〜2.3mm、更に好ましくは2.0mm〜2.1mmである。
【0223】
光源42又はLED46のうちの2つは、それぞれ、互いに対して距離b’で配置されている。距離b’は、光源42又はLED46が配置されているピッチ円の円弧(の一部)の長さに相当する。距離b’は、好ましくは5mm〜3mm(例えば、4mm)、より好ましくは3.5mm〜4.5mmである。かかる配置では、特に、レンズ47.3のうちの1つに対して光導体42又はLED46のうちの2つが光を有効に提供することができる。具体的には、図12に図示されている4本の光軸X1、X2と併せて4つの光源42の配置を用いて、耳道内の各レンズ47.3又は光導体42若しくはLED46の正確な位置とは実質的に関係なく耳道を観察することができる。
【0224】
光源、即ち光導体42又はLED46のうちの少なくとも2つは、互いから最大距離d離間して配置される。最大距離dは、各光導体42の中心軸M2の間で測定される。最大距離dは、好ましくは少なくとも3.5mm、より好ましくは少なくとも4mm、更に好ましくは4.2mm〜4.6mmである。この比較的長い距離dにより、様々な方向から反射される反射光を分析するために、特に、互いから最も離れた2つの点から光を発することによって、立体視が容易になる。また、この比較的長い距離dは、耳道内の任意の物体(例えば、耳垢)と鼓膜とを区別するために有用であり得る深さ情報の評価を容易にする。
【0225】
図13Aは、第1の湾曲C4’及び第2の湾曲C4を有するS字形(S状)の耳道Cを示し、前記第2の湾曲C4は、前記第1の湾曲C4’よりも鼓膜EDに近接している。耳鏡10のヘッド部分14は、耳道C内に導入されている。図13Aに図示されている位置では、耳道Cの第2の湾曲C4は、ヘッド部分14の遠位端18と鼓膜EDとの任意の光学連通を遮断する。
【0226】
図13Aでは、硬骨C2によって画定される耳道Cの部分は、長手方向軸C5によって特徴付けられる直線形状を示す。この部分は、内側面C6によって画定される。鼓膜EDは、耳道Cの内側面C6に対して又は長手方向軸C5に対して約40°〜約50°の角度で配置されている。
【0227】
図13Bに図示されている位置からは、鼓膜EDを完全に、即ち全体を観察することができる。ヘッド部分14の遠位先端に配置されている電子撮像ユニット(不図示)の光軸に配置されている偏心観察点EOPから鼓膜ED全体を観察することができる。同様に、偏心照明点EIPから鼓膜ED全体を照らすことができる。しかし、図13Bに図示されている位置までヘッド部分14を導入する必要はない。耳鏡10は、第2の湾曲C4まで、即ち、軟部結合組織C1と硬骨C2との間の移行領域C3付近まで耳道C内に導入される。図13Bに図示されている位置では、耳鏡10は、「角を見回す」ことができる。「角」は、耳道Cの第2の湾曲C4として定義することができる。
【0228】
図5に図示したのと同様に、ヘッド部分14の直径は、硬骨C2によって画定される耳道Cの部分に嵌まらないような形状であってよい。図13Aは、ヘッド部分14の相対軸位置のみを図示又は言及するものであって、ヘッド部分14の任意の好ましい直径を示すものではない。具体的には、特に遠位先端におけるヘッド部分14の外径は、硬骨C2によって画定されている耳道Cの部分の内径よりも大きいことが好ましい。
【0229】
ヘッド部分14の遠位先端35又は前面は、耳道Cの内側面C6又は長手方向軸C5に対して、鼓膜EDが配置されているそれぞれの角度よりも小さい角度で配置されている。
【0230】
図14は、耳鏡のヘッド部分14を示し、前記ヘッド部分14は、ハンドル部分12に接続されている。ヘッド部分14は、遠位端18、円錐部分14.1、及び近位部分37を有する。近位部分37は、円筒形を有する。ヘッド部分14内には、少なくとも3つの光導体42及びカメラ40.1が配置されている。カメラ40.1は、ヘッド部分14の長手方向軸Aに対して径方向にオフセットして遠位端18に配置されている。ヘッド部分14は、プローブカバー60によって被覆されている。プローブカバー60は、内殻62及び外殻63を有する。プローブカバー60は、二重プローブカバー60、即ち、二枚重ねプローブカバーである。両殻62、63は、類似の材料で作製してよい。殻62、63間の少なくとも1つのギャップ又は溝により、検査中に耳道への気体導管、特に空気チャネルが得られる。これにより、鼓膜を加圧することができる。殻62、63は、ヘッド部分14の形状に少なくとも部分的に一致している類似の形状を有する。特に、遠位先端において、内殻62は、遠位先端において内殻62の補充材料を提供する圧縮されているか又は折り畳まれている部分62.1の形態の遠位部分を有する。折り畳まれている部分62.1は、プローブカバーリザーバを提供する。好ましくは、前記部分62.1は、同心円状の曲がり目、ひだ、又は折り目を有し、特に、2個〜10個、好ましくは3個〜8個、より好ましくは4個〜6個、特に5個の曲がり目又は折り目を有する。かかる数により、有効な展開機構を確保できることが見出され、この場合、折り畳まれている部分は、それ程大きなスペースを必要としない。同心円状の曲がり目又は折り目の形態のプローブカバーリザーバは、プローブカバーリザーバを収容するためのヘッド部分の遠位端内に任意の溝を必ずしも必要としないという利点をもたらす。対照的に、ヘッド部分の遠位前面の形状は、平坦、即ち平面であってよい。このことから、遠位先端の中心に更なるセンサ(例えば、赤外線センサ)を収容することができる。
【0231】
遠位先端では、外殻63は、穴又は開口部63.3を有する。それに加えて又はそれに代えて、遠位先端では、外殻63は、所定の破壊点若しくは部分又は展開点若しくは部分63.4(図7に図示されている通り)、例えば、ミシン目、切り込み、くぼみ又はノッチを有し得る。具体的には、開口部63.3は、円形を有し得、ヘッド部分の遠位先端の直径よりも僅かに小さい直径を有し得る。プローブカバーがヘッド部分14に対して軸方向に移動するとき、外殻63が径方向に弾性的に広がる又は膨らむように、開口部63.3の直径は、遠位先端の直径よりも僅かに小さい(2/3倍又は1/2倍)ことが好ましい。開口部63.3が遠位先端の直径よりも小さいことにより、患者の耳垢又は任意の他の物体を、より有効にヘッド部分14の側面に向かって確実に変位させることができる。
【0232】
プローブカバー60の壁厚は、好ましくは0.05mm〜0.15mm、より好ましくは0.07mm〜0.13mm、特に約0.1mmである。内殻62及び外殻63は、少なくとも略同じ壁厚を有していてよい。内殻62及び外殻63は、いずれも深絞りによって作製することができるので、遠位方向において、内殻62及び外殻63の壁厚は、遠位端に向かって減少し得る。折り畳まれている部分62.1の壁厚は、好ましくは0.01mm〜0.05mm、より好ましくは0.02mm〜0.04mm、特に約0.02mmである。特に内殻62がポリプロピレン(PP)で作製されている場合、かかる壁厚が可視性に影響を及ぼさないことが見出された。内殻62の円錐部分の壁厚及び外殻63の円錐部分の壁厚は、好ましくは0.02mm〜0.5mm、より好ましくは0.02mm〜0.4mm、更に好ましくは0.02mm〜0.3mmである。
【0233】
内殻62及び外殻63は、プローブカバー60全体が使い捨てになるように、使い捨て部品として提供されることが好ましい。
【0234】
また、二重プローブカバー60の各殻の厚みを比較的薄くできることが見出された。それによって、一方では、各殻を深絞りすることが可能になる。他方では、両殻が互いに緊密に接触し、互いを安定化させることができるので、プローブカバー60が、比較的高い剛性又は寸法安定性を備えることができる。(1つの変形例によれば)外殻は遠位先端に開口部を有するので、遠位先端においてのみ、1つの殻、即ち内殻しか存在しない。
【0235】
内殻62は、光学的に透明な材料で作製されることが好ましい。外殻は、遠位先端に開口部を有するので、必ずしも光学的に透明な材料で作製される必要はない。
【0236】
更に、プローブカバー60は、円錐部分60.1と、溝、縁、又は切下げ部60.2とを有する。具体的には、この溝60.2は、S字形を有するプローブカバー60の部分によって提供され得る。好ましくは、近位端において、内殻62は、U字形縁部62.2を有し、外殻63は、S字形部分63.1及び径方向に突出している円盤状襟部63.2(図示されている通り)を有する。襟部63.2は、径方向においてハンドル部分12と重なっている。襟部63.2は、ハンドル部分12、特にプローブカバー移動機構65が収容される空洞を部分的に被覆し、且つ例えば、患者の任意の体液からハンドル部分12及び移動機構65を保護するために配置される。
【0237】
襟部63.2は、ハンドル部分12、及びヘッド部分14の静止部分の少なくともいずれかに固定されるように配置されている。好ましくは、プローブカバー60の回転を防ぐために、襟部62.3がプローブカバー60からハンドル部分12にトルクを伝達するように配置されるように、襟部63.2はハンドル部分12に固定される。言い換えれば、ハンドル部分12に襟部63.2を固定すると、手動であろうと移動機構(不図示)を用いてであろうと、ヘッド部分14が耳道内で回転したときにプローブカバー60が耳道に対して回転しないことを保証することができる。耳道を画定する患者の組織とプローブカバー60との間の相対運動を低減することにより、患者の組織への刺激を防ぐことができる。回転する場合、プローブカバーが耳道内で移動しないように保持又は配置することが好ましい。固定機構は、プローブカバーの切下げ部に(例えば、3つの突起を用いて)スナップインしてよいが、ヘッド部分の回転可能な部分は、スナップイン固定に対して回転し得る。
【0238】
好ましくは、プローブカバー60は、ポリプロピレン(PP)で作製され、特に内殻62及び外殻63は、例えば、薄いシート(例えば、0.38m)を用いて特に熱成形プロセスによって作製される。内殻62及び外殻63は、深絞りによって作製できることが見出された。また、ポリプロピレン(PP)は、比較的剛性が高いという利点をもたらす。それによって、プローブカバー60にかかる軸力の特定の閾値を超えるまで、プローブカバー60の任意の部分が変位しないことを保証できることができる。ポリプロピレンは、1.5GPa〜2GPaの弾性係数を有し、比較的剛性である。対照的に、ポリエチレンは、より弾性(0.11GPa〜0.45GPa)であるので、ゴム(0.01GPa〜0.1GPa)と同様に剛性が低い。或いは、プローブカバー60は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作製されてもよく、少なくとも部分的に、特に光学的透明性を必要としない部分において、多孔質の気体透過性構造を備えていてよい。
【0239】
耳鏡は、ヘッド部分14とプローブカバー60との間に少なくとも部分的に配置されるプローブカバー移動機構65を備えている。移動機構65は、アダプタ66及び移動装置67を備えている。アダプタ66は、移動装置67に接続され且つ軸位置において移動装置67によって保持されていることが好ましい。アダプタ66は、内側面66.1及び外側面66.2を有する環状要素であることが好ましい。内側面66.1及び外側面66.2は、互いに平行に配置されることが好ましい。内側面66.1は、近位部分37の外側面37.1と同じ形状を有することが好ましい。具体的には、内側面66.1は、外側面37.1に接触し且つ外側面37.1上を摺動するように配置される。アダプタ66は、更に、固定手段66.3、例えば、ある種の襟部又は径方向突起又は径方向に突出している縁部又はリム66.3を有し、これは、リム60.2と嵌合する。言い換えれば、固定手段66.3は、プローブカバー60の対応する部分の直径よりも大きな直径を有する。それに代えて又はそれに加えて、アダプタ66及びプローブカバー60の少なくともいずれかは、アダプタ66にプローブカバー60を固定するための糸を有していてよい。
【0240】
アダプタ66は、更に、長手方向軸Aと少なくとも略平行な方向に力を伝達するように配置されている近位面、特に近位前面66.4を有する。アダプタ66は、移動装置67に接続され且つ軸位置において移動装置67によって保持されていることが好ましい。アダプタ66は、更に、長手方向軸Aと少なくとも略平行な方向に力を伝達するように配置されている遠位面、特に遠位前面66.5を有する。遠位前面66.5は、長手方向軸Aに対して90°よりも小さな又は大きな角度で配向される。遠位前面66.5は、近位前面66.4に対して、好ましくは10°〜50°、より好ましくは15°〜30°の角度で配向される。遠位前面66.5は、プローブカバー60、特に内殻62との接触面を提供する。遠位前面66.5は、プローブカバー60、特に内殻62と一致する。
【0241】
具体的には、移動装置67は、特に弾性要素の形態のエネルギー貯蔵部を備えていてよい。前記弾性要素は、金属で作製されることが好ましい。移動装置67は、機械的に格納することができる。移動装置67は、約2mm軸方向に変位できることが好ましい。移動装置67は、特に長手方向軸Aと平行な方向において、前面66.4に作用する。例えば、移動装置67は、弾性バネ、特に円筒形圧縮バネ(図示されている通り)、又は同じ効果をもたらす任意の別の弾性要素を備えている。図14に図示されている移動装置67は、機械的移動装置である。任意で、移動装置67は、電気部品、例えばモータ、特にリニアモータとして設けられてよい。また、移動装置67は、ラッチ機構として設けられてもよい。具体的には、ラッチ機構は、2つの所定の位置を有し得、第1の位置では、内殻の遠位部分(即ち、プローブカバーリザーバ)が折り畳まれており、第1の位置では、内殻の遠位部分が展開されている。これら2つの位置は、例えば、リミットストップ又は鎖錠装置によって規定され得る。ラッチ機構は、撮像ユニット及び論理演算ユニットの少なくともいずれかに接続されていてよい。ラッチ機構は、手動で又は自動で解放又は作動し得る。具体的には、ラッチ機構は、電子撮像ユニットから発せられる信号、特に、電子撮像ユニットが鼓膜と視覚的に連通したとき(直ちに)発せられる信号に従って解放され得る。ラッチ機構は、電気信号に応答して軸方向の移動のブロックを解除することができる電磁ラッチを備えていてよい。
【0242】
好ましくは、図14に図示されている位置では、移動装置67には、予め応力が加えられてもおらず、弾性的に予め負荷がかけられてもいない。即ち、移動装置67は、解放されているか、又は全ての負荷が取り除かれている。任意で、移動装置67に予め負荷をかけておいてもよい。即ち、移動装置67は、プローブカバー60に予めかけられている張力で支持されていてもよい。図14に図示されている位置を参照すると、移動装置67に弾性的に予め負荷がかかるように配置されている場合、ヘッド部分14、特に近位部分37は、アダプタ66がそれ以上遠位方向に押されず、アダプタ66によってプローブカバー60が第1の位置(図示されている通り)で支持され得る軸位置に留まることを保証する突起又はリミットストップ又は鎖錠装置(不図示)を有していてよい。かかる予張力は、近位方向においてプローブカバー60を軸方向移動させるために、近位方向においてアダプタ66にかけなくてはならない軸力の閾値を規定し得る。移動装置67は、ヘッド部分14又はハンドル部分12の適切な支持構造(不図示)によって支持されることが好ましい。
【0243】
以下に、図14及び15を参照して、特に二重プローブカバー60と併せて移動機構65の機能を説明する。
【0244】
先ず、特に、プローブカバー60の内面がアダプタ66、特に遠位前面66.5に接触するように、プローブカバー60をヘッド部分14に実装する。次いで、ヘッド部分14を耳道に導入する。プローブカバー60が耳道の内側面に接触すると直ちに、プローブカバー60に摩擦力がかかる。摩擦力は、耳道内のヘッド部分14の位置に依存し、挿入深さが増大すると共に摩擦力も増大する。摩擦力は、後方、即ち、ハンドル部分12の方向にかかる。プローブカバー60がアダプタ66に接触しているとき、摩擦力は、少なくとも部分的に、アダプタ66及び移動装置67に軸方向に伝達される。
【0245】
アダプタ66は軸方向に変位可能又は移動可能であるので、プローブカバー60は、ヘッド部分14に対して軸方向に移動することができる。圧縮されているか又は折り畳まれている部分62.1は、ヘッド部分14に対するプローブカバー60の軸方向移動によって展開され得る。言い換えれば、折り畳まれている部分62.1は、内殻62の(展開されている状態の)部分62.1のみがヘッド部分14の遠位先端を被覆するように展開することができる。外殻63は、遠位先端を被覆しない。
【0246】
図15は、バネ67に予め負荷がかかっている、即ち、近位方向に少なくとも部分的に圧縮されている第2の軸位置におけるプローブカバー60及びアダプタ66を示す。内殻62の部分62.1は、ヘッド部分14の遠位先端に緊密に適合している。内殻62の部分62.1は、展開され、遠位先端全体に接触している。部分62.1は、ヘッド部分の遠位前面を被覆し、遠位前面又は遠位先端において完全に平坦になっている。
【0247】
図15に図示されている第2の位置では、カメラ40.1は、内殻63以外の如何なる物体によっても被覆されていない。移動機構を用いて、内殻63を伸ばしたり引っ張ったりすることができる。このプローブカバー60を開く又は展開する方法工程により、確実に視野から任意の物体をなくすことができる。任意の耳垢又は任意の他の物体は、外殻63を用いて遠位先端から引き離されている。
【0248】
ヘッド部分14、特に近位部分37は、アダプタ66がそれ以上近位方向に押されず、所定の張力によって内殻62がヘッド部分14に引っ張られているか又は伸びている軸位置に留まることを保証する径方向突起又はリミットストップ又は鎖錠装置(不図示)を有していてよい。かかる鎖錠装置は、部分62.1が、所定の閾値を超えて引っ張られたり伸ばされたりしないことを保証することができる。
【0249】
図15から分かる通り、ヘッド部分14の遠位先端に内殻62の部分62.1を収容するための任意の溝を設けることは必須ではない。それにもかかわらず、ヘッド部分14は、部分62.1又は任意の他のプローブカバーリザーバを収容するように配置されている溝又は凹部を有していてよい。
【0250】
移動機構65は、カメラ40.1のうちの少なくとも1つ及び論理演算ユニットの少なくともいずれかと電気的に接続されることが好ましい。移動機構65は、ヘッド部分14に対するプローブカバー60の相対(軸方向)運動を検出するために配置されている運動検出器(不図示)を有していてよい。プローブカバー60が軸方向に変位した場合、運動検出器は、少なくとも1つのカメラ40.1又は任意の論理演算ユニット若しくは制御ユニットに伝達される電気信号を発して、カメラ40.1を起動させるか又は動力を供給することができる。この方法では、プローブカバー60の運動検出又は軸位置の検出を用いて、カメラ40.1が鼓膜と視覚的に連通したときにカメラ40.1に動力供給することができる。それによって、処理しなければならないデータの量を低減することが可能である。また、鼓膜を観察するために必要なエネルギーの量を低減することもできる。それに加えて又はそれに代えて、移動機構65は、カメラ40.1から発せられる信号、特に、カメラ40.1が鼓膜と視覚的に連通したとき(直ちに)発せられる信号に基づいて作動し得る。
【0251】
任意で、カメラ40.1が鼓膜と視覚的に連通しているときのみ、光源を起動させるか又は動力を供給するために、1つ又は幾つかの光源(不図示)に電気信号を伝達してよい。それによって、光源が発する熱の量を低減することができる。また、鼓膜を観察するために必要なエネルギーの量をより効率的に低減することもできる。
【0252】
図15に図示されている二重プローブカバー60を用いて、内殻62と外殻63との間に配置されている1つ又は幾つかの空洞に気体(例えば、空気)を通すことができる。これによって、汚染のリスクなしに鼓膜を加圧することができる。具体的には、ヘッド部分を完全に被覆している内殻62は、任意の汚染リスクを確実に最小化することができる。気体は、プローブカバー60の遠位先端に輸送され得る。外殻63は、遠位先端(全体を)被覆している訳ではないので、気体は、空洞から出ることができ、耳道に入り込むことができる。任意の多孔質の気体透過性部分は必要ない。
【0253】
図14及び15では、特に外周の全ての部分において、内殻62と接触している外殻63を有する二重プローブカバー60が図示されている。或いは、フィン又はその間にギャップ開口部又はスロット又は長手方向溝を提供するランドを備える内殻を有する二重プローブカバーを備えていてもよい。フィン又はランドは、径方向に突出していてよい。好ましくは、フィン又はランドは、ヘッド部分の長手方向軸と少なくとも略平行な方向に配向される。かかる構成は、内殻と外殻との間のギャップ開口部又はスロット内において毛管力を引き起し得る。外殻は、内殻のフィン又はランドと接触していてよく、毛管力の場合、フィン又はランドの間の部分において、内殻の外側面とも接触していてよい。毛管力は、任意の流体がプローブカバーを通過するのを防ぐことができる。したがって、耳道を加圧し、且つ感染のリスクを低減することができるプローブカバーを提供することができる。その間にギャップ開口部又はスロット又は長手方向溝を有するフィン又はランドを備える内殻は、例えば、深絞りによって作製することができる。
【0254】
図16は、ハンドル部分12及びヘッド部分14を備える耳鏡10を示す。ヘッド部分は、運動可能な部分20及び支持構造30を備える。運動可能な部分20は、ハンドル部分12に配置されている運動機構24によって回転することができる。運動可能な部分20は、支持構造30に対して回転することができる。運動機構24は、運動可能な部分20とハンドル部分12とを接続する駆動軸24.1を備えている。運動機構24は、駆動軸24.1に接続されているブラシレスモータ26aを備えている。任意で、モータ26aと駆動軸24.1との間にギヤ24.2が設けられる。運動可能な部分20は、ハンドル部分12によって支持されている軸受28によって支持されている。支持構造30は、ハンドル部分12によって支持されている。支持構造30は、ヘッド部分14の外側面の一部を提供する。支持構造30は、軸受28を用いてハンドル部分12に固定される。
【0255】
ヘッド部分14は、遠位先端35を含む遠位端18を有し、前記遠位端18は、(点線によって示されている通り)円錐形又は円筒形を有する。赤外線センサユニット140は、遠位端18の中心に配置されている。この位置は、一例として図示されているだけである。図16に図示されている赤外線センサユニット140は、以上又は以下の図面にも記載されている耳鏡の他の実施形態と併せて提供されてもよい。遠位端18は、プローブカバー(不図示)の一部を収容するためのくぼみ14.3を備えている。光軸Xを有するカメラ40.1は、ヘッド部分14の長手方向溝Aに対して径方向にオフセットして配置され、前記光軸Xの径方向オフセットr1は、好ましくは、1.5mm〜2mmである。カメラ40.1は、遠位端18の内側面に隣接して配置されている。好ましくは、カメラ40.1は、遠位端18の内側面と接触している。
【0256】
プローブカバー(不図示)は、移動機構65によって特に軸方向に変位することができる。また、ヘッド部分14に対するプローブカバーの軸位置は、移動機構65によって規定することができる。移動機構65は、プローブカバーの対応する輪郭と連結することができる少なくとも1つの径方向突起66.3、特に襟部を有するアダプタ66を備える。移動機構65は、更に、運動可能な部分20のリム20.1によって支持されている移動装置67、特に圧縮バネを備えている。近位方向においてプローブカバー又はヘッド部分14にかかる軸力は、特に移動装置67によってかけられる反力に逆らって、近位方向にアダプタ66を軸方向変位させることができる。或いは、移動装置67は、所定の軸位置に配置され得るモータ駆動型機構の形態で設けられてもよい。
【0257】
耳鏡10は、更に、加圧手段90とアダプタ66とを接続する少なくとも1本の圧力線90.1を備える加圧手段90を有する。気体がアダプタ66を通過するか又はアダプタ66に沿って移動することができ、且つプローブカバー(不図示)とヘッド部分14との間又は二重プローブカバー(不図示)の2つの殻の間を通ることができるように、圧力線90.1は、加圧手段90(例えば、エアポンプ)と径方向突起又はリム66.3とを接続することが好ましい。気体は、アダプタの遠位前側又は前面で導入されるか又は出て行くことが好ましい。言い換えれば、アダプタは、好ましくはアダプタの遠位前側又は前面につながる気体導管を有する。
【0258】
図17は、第1の湾曲C4’(ある程度「真っ直ぐに」なっている)及び第2の湾曲C4を有するS字形(S状)を有する耳道Cを示し、第2の湾曲C4は
前記第1の湾曲C4’よりも鼓膜EDに近接している。耳鏡10のヘッド部分14は、耳道C内に導入される。耳鏡10は、第2の湾曲C4まで、即ち、おおよそ軟部結合組織C1と硬骨C2との間の移行領域C3まで耳道C内に導入される。図17に図示されている位置では、耳鏡10は、「角を見回す」ことができる。「角」は、耳道Cの第2の湾曲C4として定義することができる。耳鏡10は、加圧手段90をヘッド部分14の外側面に接続する少なくとも1本の第1の圧力線90.1と、加圧手段90をヘッド部分14の前端、即ち、遠位端18に配置されている遠位先端に接続する少なくとも1本の第2の圧力線90.2とを備える加圧手段90を有する。
【0259】
それに代えて又はそれに加えて、加圧手段90は、耳鏡内には存在しないが、例えば、耳鏡の外面に、特にヘッド部分又はハンドル部分の外面とプローブカバーの殻との間において耳鏡のプローブカバーの外側と接続されている少なくとも1本の圧力線を有していてよい。この配置により、耳鏡が任意の加圧手段と接続するようになっていない場合でさえも、任意の耳鏡と併せて加圧手段を提供することができる。具体的には、二重プローブカバーは、耳鏡とは関係なく加圧手段と接続することができる。これにより、ある種のアドオンモジュールとして任意の加圧手段を提供することができる。
【0260】
遠位先端には、ヘッド部分14と鼓膜EDとの間の耳道内の圧力を検出することができる圧力センサ92が配置されている。圧力センサ92の位置は、図17に図示されている位置とは異なっていてもよい。一重又は二重のプローブカバー60が、ヘッド部分14を被覆している。加圧手段90は、鼓膜EDに圧力をかけるために、プローブカバー60の内殻と外殻との間の空洞であろうと、1つの殻の少なくとも1つの多孔質部分又は二重プローブカバーの内殻及び外殻のうちの1つであろうと、気体がプローブカバー60を通過することを可能にする。
【0261】
図18は、第1の湾曲C4’(ある程度「真っ直ぐに」なっている)及び第2の湾曲C4を有するS字形(S状)を有する耳道Cを示し、前記第2の湾曲C4は、前記第1の湾曲C4’よりも鼓膜EDに近接している。耳鏡10のヘッド部分14は、耳道C内に導入されている。耳鏡10は、第2の湾曲C4まで、即ち、おおよそ軟部結合組織C1と硬骨C2との間の移行領域C3まで耳道C内に導入されている。図18に図示されている位置では、耳鏡10は、「角を見回す」ことができる。「角」は、耳道Cの第2の湾曲C4として定義することができる。耳鏡の遠位先端35には、赤外線センサユニット52と電子撮像ユニット40の部品である小型カメラ40.1とが、ヘッド部分14の長手方向軸に対して径方向にオフセットして配置されている。赤外線センサユニット52に代えて又は加えて、流体センサユニット又は可動性センサ40aを遠位端に配置してよい。流体センサユニット又は可動性センサ40aは、電子撮像ユニット40に一体化していてもよい。即ち、流体センサユニット又は可動性センサ40aは、電子撮像ユニット40の部品として提供されてもよい。
【0262】
図11は、直径d1を有する遠位端18又は遠位先端35を有するヘッド部分14を示す。直径d1は、4.7mm〜5.2mm、好ましくは4.8mm〜5mm、特に4.9mmである。遠位端18は、円筒形を有する。少なくとも1つのカメラ40.1、赤外線センサユニット52;140、光導体42又は光源46、及び可動性センサユニット40aの少なくともいずれかは、ヘッド部分14の長手方向軸Aに対して径方向オフセットr1で径方向にオフセットして配置されている。カメラ40.1又は各装置は、光軸Xを有する。カメラ40.1及びその光軸Xは、長手方向軸Aに対して傾斜している。傾斜角βは、例えば、10°〜30°である。光軸Xは、遠位端18の側面に対して傾斜している。
【0263】
少なくとも1つのカメラ40.1は、最も遠位位置に配置されている、即ち、遠位先端35と接触しているか又は前記遠位先端を提供している。遠位先端が距離A1の位置に設けられている(突出遠位先端35a)例示的な別の構成が図示されている。距離A1は、ヘッド部分14の最遠位前側又は前面、即ち、突出遠位先端35aと、カメラ40.1、赤外線センサユニット52;140、又は光源46の最遠位(光学)部品との間の距離である。好ましくは、各装置は、突出遠位先端35aから3mm未満、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満の距離A1で配置されている。これにより、径方向オフセットが、耳道内の観察点又は照明点又は温度検出点の最偏心位置を確実に提供することができる。
【0264】
図20では、本発明の実施形態に係る方法の方法工程S1〜S17に加えて、これらの間の相互依存性について説明する。工程S1は、電子撮像ユニットを導入することを含む。工程S1aは、赤外線センサユニットと共に電子撮像ユニットを導入することを含む。工程S2は、少なくとも1枚の画像を捕捉することを含む。工程S3は、物体を同定するために色情報、又は輝度及び色情報を決定することを含む。工程S3aは、物体を同定するために色情報、又は輝度及び色情報を決定すると共に、赤外線を検出することを含む。工程S4は、画像を比較することを含む。工程S5は、計算された画像を作成することを含む。工程S6は、鼓膜の同定に失敗したことをユーザに通知することを含む。
【0265】
工程S7は、電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかを変位させることを含む。工程S8は、電子撮像ユニット又はその光軸を傾斜させるか、又は光源を傾斜させることを含む。工程S9は、ヘッド部分に対してプローブカバーを移動させることを含む。工程S10は、プローブカバー又はヘッド部分にかかる力を検出することを含む。工程S11は、プローブカバーの運動検出を含む。工程S12は、鼓膜を医学的に特徴付けることを含む。工程S13は、ユーザの誘導を含む。工程S14は、プローブカバーに気体を通すことを含む。工程S15は、較正を含む。工程S16は、区分毎に照らすことを含む。工程S17は、赤外線センサユニットを用いて温度を測定することを含む。
【0266】
工程S1で始まる本発明の実施形態に係る方法。工程S1に代えて、工程S1aを実施してもよい。工程S3に代えて、工程S3aを実施してもよい。工程S1〜S6は、順次実施してよい。工程S6は、様々な工程において任意で実施してよい。工程S12は、任意で実施してよい。工程S10は、独立して、又は例えば工程S9又はS11と併せて実施してよい。工程S7〜S11は、互いに組み合わせて、及び工程S1〜S6のうちの1つ又はS12と併せて実施してよい。工程S7及びS8は、(任意の)赤外線センサユニットの変位に対しても実施してよい。工程S13は、工程S1又はS1a中に実施することが好ましい。工程S14〜S17は、互いに組み合わせて及び/又は他の工程のうちの1つと組み合わせて実施してよい。
【0267】
図21では、本発明の実施形態に係る方法の方法工程に加えて、これらの間の相互依存性について詳細に概略的に説明する。工程S1〜S17に関しては、図20を参照する。また、工程S1では、特定の時間枠内で複数の画像を捕捉してよい。特に、それぞれの光軸又はカメラの変位中、最大で、例えば1秒間当たり60枚の画像が捕捉される。工程S1は、鼓膜まで所定の距離を下回らないように電子撮像ユニットを導入する工程S1.1を含んでいてよい。工程S2は、様々な位置から少なくとも2枚の画像を捕捉する工程S2.1、及び様々な位置から照らしながら又は様々な位置から照らしている間に少なくとも2枚の画像を捕捉する工程S2.2の少なくともいずれかを含んでいてよい。工程S3は、鼓膜若しくは鼓膜を含む鼓膜の周囲の領域の反射の分光組成、特に赤色度を決定する工程S3.1、特に赤色度を決定するために、照明強度を変動させる工程S3.2、特に鼓膜を同定するためのパターン認識の工程S3.3、及び特に鼓膜を同定するために物体の距離を決定する工程S3.4の少なくともいずれかを含んでいてよい。工程S4は、様々な位置から捕捉した画像の位置を比較することによって物体を識別する工程S4.1、及び様々な位置から照らしながら捕捉した画像における位置を比較することによって物体を識別する工程S4.2の少なくともいずれかを含んでいてよい。工程S6は、音響信号によってユーザに通知する工程S6.1、及び視覚信号によってユーザに通知する工程S6.2の少なくともいずれかを含んでいてよい。
【0268】
工程S1〜S6は、物体の画像の捕捉に関する。本発明に係る方法は、更に、工程S7〜S11のうちの少なくとも1つを含んでいてよく、前記工程S7〜S11は、耳鏡の光学部品の変位、プローブカバーの変位、及び赤外線センサユニットの変位の少なくともいずれかに関する。工程S7は、電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかを回転させる工程S7.1を含んでいてよい。工程S9は、プローブカバーの軸方向の位置を合わせる工程S9.1を含んでいてよい。工程S10は、検出された力に基づいて移動機構を起動、特に解放する工程S10.1を含んでいてよい。工程S11は、電子撮像ユニットによってプローブカバーの相対運動を検出する工程S11.1を含んでいてよい。工程S15は、電子撮像ユニットの分光感度を較正する工程S15.1、並びに分光組成の較正(色の較正)及び/又は少なくとも1つの光源の照明強度の較正を行う工程S15.2の少なくともいずれかを含んでいてよい。
【0269】
工程S1中に、特に軟部結合組織と硬骨との間の移行領域、即ち第2の湾曲に遠位先端が配置された状態に耳道内の耳鏡の位置をより容易に合わせるために、ユーザの誘導を行ってよい。ユーザの誘導は、工程S13によって概略的に説明することができる。工程S13は、工程S13.1を更に含んでいてよい。工程S13.1は、挿入深さを指示することを含む。工程S13は、工程S13.2を更に含んでいてよい。工程S13.2は、回転方向を指示することを含む。工程S13は、工程S13.3を更に含んでいてよい。工程S13.3は、ハンドル部分の傾斜角を指示することを含む。工程S7、S8、S9、S10及びS11は、工程S1、S13、S2、S3、S4、S5、及びS6のいずれかの間に実施してよい。
【0270】
図21に図示されている通り、本発明の実施形態に係る方法は、鼓膜を医学的に特徴付ける任意の方法工程なしに実施してよい。図21に示されている方法工程は、物体の同定に関する。
【0271】
図22では、図21に示されている方法工程に加えて、本発明の実施形態に係る方法は、鼓膜を医学的に特徴付ける更なる工程S12を含む。工程S12は、例えば、ユーザ、特に非医師に対して医師に掛かるべきかどうかの示唆を与えることを含む。工程S12は、例えば、ユーザに炎症指数を提供することを含む。工程S12は、工程S12.1を更に含んでいてよい。工程S12.1は、鼓膜の赤色度を決定することを含む。工程S12は、工程S12.2を更に含んでいてよい。工程S12.2は、鼓膜の後方の鼓室内の物体を同定することを含む。工程S12は、工程S12.3を更に含んでいてよい。工程S12.3は、鼓膜の湾曲を決定することを含む。工程S12は、工程S12.4を更に含んでいてよい。工程S12.4は、鼓膜を加圧することを含む。工程S12は、工程S12.5を更に含んでいてよい。工程S12.5は、ヘッド部分が左耳に配置されているか又は右耳に配置されているかを決定することを含む。
【0272】
工程S7、S8、S9、S10、S11、及びS12は、工程S1、S13、S2、S3、S4、S5、及びS6のいずれかの間に加えて、工程S14〜S17のいずれかの間に実施してよい。
【0273】
図23は、工程S1、S1a、S2、S7、S9、S11、S14、及びS17の図を示す。工程S1は、ヘッド部分に被せられている少なくとも部分的に透明なプローブカバーと併せて耳鏡のヘッド部分を被験体の外耳の耳道に導入し、それによって、ヘッド部分の遠位端に配置されている電子撮像ユニットを導入することを含む。或いは、工程S1aを実施してもよい。工程S1aは、赤外線センサユニットと併せて電子撮像ユニットを導入することを含む。工程S2は、電子撮像ユニットを用いて、少なくとも1本の光軸に配置されている観察点から少なくとも1枚の画像を捕捉することを含む。工程S7は、電子撮像ユニット及び少なくとも1つの光源の少なくともいずれかを変位させることを含む。工程S9は、ヘッド部分内に収容されている光学電子撮像ユニットの少なくとも1本の光軸に対してプローブカバーの少なくとも一部を相対的に移動させることを含む。好ましくは、工程S9は、プローブカバーの近位部分を軸方向に移動させ、プローブカバーの遠位部分を径方向に移動させることを含む。工程S11は、プローブカバーの運動検出を含む。S14は、耳鏡のヘッド部分に被せられているプローブカバーに気体を通す、特に、プローブカバーの2つの殻の間の二重プローブカバーに気体を通すことを含む。S17は、赤外線センサユニットを用いて温度を測定することを含む。
【0274】
S9は、2つの異なるシナリオに基づいて調整してよい:プローブカバーの少なくとも一部の相対移動は、ヘッド部分の更なる軸方向の挿入に基づいて(即ち、ヘッド部分の挿入中に)実施してよい、又はプローブカバーの少なくとも一部の相対移動は、ヘッド部分が末端位置に配置されている場合、即ち、ヘッド部分がそれ以上導入されない場合にのみ実施してよい。
【0275】
ヘッド部分の更なる軸方向の挿入に基づくプローブカバーの少なくとも一部の相対移動は、プローブカバーとヘッド部分の内側面との間の摩擦低減に対して好ましい場合がある。したがって、ヘッド部分は更に導入されるが、耳道の内側面に対するプローブカバーの相対位置は、少なくとも略同じ位置に留まることが好ましい。言い換えれば、プローブカバーの内面とヘッド部分との間でのみ摩擦が生じる。ユーザ/非医師は、遠位方向においてヘッド部分にかかる軸力によってかかる相対運動を補助することができる。
【0276】
ヘッド部分が末端位置に配置されている場合にのみ、プローブの少なくとも一部を相対的に移動させることは、特に、ヘッド部分の遠位先端が内側面に対してそれ以上移動しないので、耳道内の視界を遮る任意のアーチファクトのリスクを最小化することに関して好ましい場合がある。その結果、プローブカバーの遠位先端にそれ以上耳垢が付着する可能性は極めて低くなる。
【0277】
工程S7は、工程S1又はS1aの後、S9〜S14の後、及びS2〜S17の後の少なくともいずれかに実施してよい。工程S11は、工程S2〜S17の前に実施することが好ましい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23