特許第6493928号(P6493928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493928
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】バックル装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/03 20060101AFI20190325BHJP
   B60R 22/26 20060101ALI20190325BHJP
   B60R 22/20 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   B60R22/03
   B60R22/26
   B60R22/20
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-8704(P2017-8704)
(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-132460(P2017-132460A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-10973(P2016-10973)
(32)【優先日】2016年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】秦 靖徳
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 拓宏
(72)【発明者】
【氏名】村▲崎▼ 竜博
(72)【発明者】
【氏名】綿田 侑祐
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−025955(JP,A)
【文献】 特開2009−113723(JP,A)
【文献】 特開平11−173462(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0030264(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00−22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルト装置のウェビングに設けられたタングが係合可能なバックルと、
長手方向先端側が前記バックルに係止された移動部材と、
出力された駆動力によって前記移動部材の長手方向基端部を前記移動部材の長手方向へ移動させ、前記バックルを移動させる駆動手段と、
前記移動部材の長手方向中間部が配置され、前記移動部材が曲げられる中間部材と、
第1連結部が車両側の支持部に固定されると共に、第2連結部に前記中間部材が固定される連結部材と、
前記第1連結部に貫通配置されて前記第1連結部を前記車両側の前記支持部へ固定すると共に、前記移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって軸方向に対して直交する方向の荷重が作用する1又は複数の第1固定ボルトと、
軸方向が前記第1固定ボルトの軸方向と平行にされ、前記第2連結部に貫通配置されて前記中間部材を前記第2連結部に固定し、前記移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって軸方向に対して直交する方向の荷重が作用すると共に当該荷重又は当該荷重の合力に対し、前記移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって前記第1固定ボルトに作用される荷重又は当該荷重の合力が同一直線上に作用される1又は複数の第2固定ボルトと、
を備えるバックル装置。
【請求項2】
記第1固定ボルト及び前記第2固定ボルトは、それぞれ1とされる請求項1に記載のバックル装置。
【請求項3】
前記第1固定ボルト及び前記第2固定ボルトの少なくとも一方の固定ボルトは、複数設けられ、前記第1固定ボルト及び前記第2固定ボルトのうち複数設けられた方の合力が前記同一直線上に作用される請求項1に記載のバックル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動手段が駆動されることによってバックルを移動できるバックル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ等によって構成された移動部材の長手方向中間部が、中間部材によって曲げられ、移動部材が駆動手段の駆動力によって移動部材の長手方向に移動され、これによって、移動部材の長手方向先端部に設けられたバックルが移動されるバックル装置がある(一例として、下記特許文献1を参照)。
【0003】
この種のバックル装置で、中間部材と車両側との間に連結部材を設け、連結部材を介して中間部材が車両側に固定される構成の場合には、移動部材が長手方向先端側へ引張られて、中間部材が移動部材から荷重を受けると、連結部材と中間部材との連結部分に回転モーメントが生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−44460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、移動部材が長手方向先端側へ引張られた際に連結部材と中間部材との連結部分で回転モーメントが発生することを抑制できるバックル装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のバックル装置は、シートベルト装置のウェビングに設けられたタングが係合可能なバックルと、長手方向先端側が前記バックルに係止された移動部材と、出力された駆動力によって前記移動部材の長手方向基端部を前記移動部材の長手方向へ移動させ、前記バックルを移動させる駆動手段と、前記移動部材の長手方向中間部が配置され、前記移動部材が曲げられる中間部材と、第1連結部が車両側の支持部に固定されると共に、第2連結部に前記中間部材が固定される連結部材と、前記第1連結部に貫通配置されて前記第1連結部を前記車両側の前記支持部へ固定すると共に、前記移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって軸方向に対して直交する方向の荷重が作用する1又は複数の第1固定ボルトと、軸方向が前記第1固定ボルトの軸方向と平行にされ、前記第2連結部に貫通配置されて前記中間部材を前記第2連結部に固定し、前記移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって軸方向に対して直交する方向の荷重が作用すると共に当該荷重又は当該荷重の合力に対し、前記移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって前記第1固定ボルトに作用される荷重又は当該荷重の合力が同一直線上に作用される1又は複数の第2固定ボルトと、を備えている。
【0007】
請求項1に記載のバックル装置によれば、連結部材の第1連結部には、第1固定ボルトが貫通配置され、第1連結部は、第1固定ボルトによって車両側の支持部に固定される。また、連結部材の第2連結部には、第2固定ボルトが貫通配置され、中間部材が第2固定ボルトによって連結部材の第2連結部に固定される。ここで、移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって連結部材の第1連結部に貫通配置された第1固定ボルトに作用される荷重又は第1固定ボルトが複数の場合には各第1固定ボルトに作用される荷重の合力が、連結部材の第2連結部に貫通配置された第2固定ボルトに作用される荷重又は第2固定ボルトが複数の場合には各第2固定ボルトに作用される荷重の合力に対して同一直線上に作用される。このため、第2固定ボルトによる連結部材と中間部材との連結部分で回転モーメントが発生することを抑制できる。
【0008】
請求項2に記載のバックル装置は、請求項1に記載のバックル装置において、記第1固定ボルト及び前記第2固定ボルトは、それぞれ1とされる
【0009】
請求項2に記載のバックル装置では、第1固定ボルト及び第2固定ボルトは、それぞれ1つとされる。ここで、移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって第2固定ボルトの軸方向に対して直交する方向に第2固定ボルトに作用する荷重は、移動部材が長手方向先端側へ引張られることによって第1固定ボルトの軸方向に対して直交する方向に第1固定ボルトに作用する荷重と同一直線上に作用される。このため、移動部材が長手方向先端側へ引張られた際に、第2固定ボルトによる連結部材と中間部材との連結部分で回転モーメントが発生することを効果的に抑制できる。
【0010】
請求項3に記載のバックル装置は、請求項1に記載のバックル装置において、前記第1固定ボルト及び前記第2固定ボルトの少なくとも一方の固定ボルトは、複数設けられ、前記第1固定ボルト及び前記第2固定ボルトのうち複数設けられた方の合力が前記同一直線上に作用される
【0011】
請求項3に記載のバックル装置によれば、第固定ボルトび第固定ボルトの少なくとも一方の固定ボルトは、複数設けられる。ここで、第1固定ボルト及び第2固定ボルトのうち複数設けられた方の合力は、上記の同一直線上で作用される。このため、第2固定ボルトによる連結部材と中間部材との連結部分で回転モーメントが発生することを効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係るバックル装置では、移動部材が長手方向先端側へ引張られた際に連結部材と中間部材との連結部分で回転モーメントが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態に係るバックル装置が適用されたシートを車幅方向内側から見た側面図である。
図2】第1の実施の形態に係るバックル装置の側面断面図で、更に、カバープレートを外した図である。
図3】第1の実施の形態に係るバックル装置のカバープレート及びその近傍を拡大した側面図である。
図4】第1の実施の形態に係るバックル装置のワイヤガイド及びその近傍を拡大した側面図である。
図5図3における仮想線L1に沿って切って車両下側から見た断面図である。
図6】第2の実施の形態に係るバックル装置のカバープレート及びその近傍を拡大した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の各実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。なお、各図において矢印FRは本バックル装置10が適用された車両前側を示し、矢印OUTは車幅方向外側を示し、矢印UPは車両上側を示す。
【0015】
<第1の実施の形態の構成>
図1に示されるように、本バックル装置10は、駆動手段としてのバックル駆動装置12を備えている。バックル駆動装置12は、本バックル装置10が適用されるシート14の車幅方向内側に設けられている。バックル駆動装置12は、スライダガイド機構としてのガイドレール16を備えている。ガイドレール16は、ボルト等の締結手段によって車両の車体の床部等の車体側に固定されている。図2に示されるように、ガイドレール16は、スライダガイド部としての車幅方向に対向した一対のガイド壁20、22を備えており、ガイド壁20、22の間には、駆動部としての駆動ねじ26が設けられている。駆動ねじ26の中心軸線方向は、車両前後方向に沿っており、駆動ねじ26は、中心軸線周りに回転自在とされている。
【0016】
一方、ガイドレール16の車両前側には、駆動力出力手段としてのモータアクチュエータ24が設けられている。モータアクチュエータ24には、駆動ねじ26の車両前側の端部が連結されており、駆動ねじ26は、モータアクチュエータ24のモータから出力される駆動力によって駆動ねじ26の中心軸線周りに回転される。モータアクチュエータ24は、モータドライバやECU等の制御手段(図示省略)に電気的に接続されている。この制御手段は、例えば、本バックル装置10が適用されるシート14に対応する車両のドアの開閉を検出するカーテシスイッチ等のドア開閉検出手段又はシート14のシートクッション28に設けられた荷重センサ等の乗員検出手段等の検出手段に電気的に接続されている。さらに、制御手段は、図1に示されるシートベルト装置30のウェビング32に設けられたタング34が、後述するバックル装置10のバックル36(図2参照)に係合されたことを検出するバックルスイッチ(何れも図示省略)に電気的に接続されている。モータアクチュエータ24は、ドア開閉検出手段や乗員検出手段等の検出手段やバックルスイッチ等から出力される電気信号に基づいて制御される。
【0017】
一方、図2に示されるように、ガイドレール16のガイド壁20とガイド壁22との間には、スライダ38が設けられている。スライダ38は、ブロック状に形成されており、スライダ38の車幅方向側面が、ガイドレール16のガイド壁20、22に当接されている。また、スライダ38には、駆動ねじ26が貫通されるねじ孔が形成されており、スライダ38は、駆動ねじ26が回転することによって、ガイド壁20、22に案内されて車両前後方向へスライドされる。
【0018】
また、図2に示されるように、バックル装置10は、移動部材としての2本のワイヤロープ40を備えている。これらワイヤロープ40は、長尺状に形成されており、図5に示されるように、車幅方向(シート14の幅方向)に並んで設けられている。図2に示されるように、ワイヤロープ40の長手方向中間部よりも基端側では、ワイヤロープ40の長手方向が車両前後方向に沿っており、更に、ワイヤロープ40の長手方向基端部は、駆動ねじ26よりも車両下側でスライダ38に連結されている。このため、スライダ38が車両前後方向へスライドされると、ワイヤロープ40がその長手方向へ移動される。
【0019】
さらに、ガイドレール16の車両後側には、中間部材としてのワイヤガイド42が設けられている。ワイヤガイド42には、溝部としてのワイヤガイド溝44が形成されている。ワイヤガイド溝44は、ワイヤガイド42の車幅方向内側面で開口されている。さらに、ワイヤガイド溝44の長手方向一端は、ワイヤガイド42の車両前側面で開口されていると共に、ワイヤガイド溝44は、長手方向中間部で車幅方向を軸方向とする軸周り方向に湾曲されており、ワイヤガイド溝44の長手方向他端は、ワイヤガイド42の車両上側面で開口されている。ワイヤガイド溝44には、ワイヤロープ40が通されており、ワイヤロープ40は、ワイヤガイド42のワイヤガイド溝44に倣って車幅方向(シート14の幅方向)を軸方向とする軸周り方向へ曲げられている。さらに、ワイヤガイド42の車両上側面で開口よりもワイヤロープ40の先端側は、車両前斜め上側(図2の矢印A方向)へ延びている。
【0020】
一方、バックル装置10は、バックルカバー50を備えている。バックルカバー50は、長手方向が車両上下方向に対して車両前後方向へ傾斜した方向(図2の矢印A方向及び矢印B方向)とされた筒形状とされている。バックルカバー50内における車両上側部分には、バックル36が設けられている。バックル36は、バックルボデー52を備えている。バックルボデー52は、車幅方向外側へ開口した断面U字形状に形成されており、バックルボデー52の内側には、ラッチ等のバックル36の構成部品(図示省略)が設けられている。図1に示されるシートベルト装置30のウェビング32に設けられたタング34が、バックルボデー52の車両前斜め上側からバックルボデー52の内側に挿入されると、バックルボデー52に設けられたラッチが、タング34に形成された孔部に入り、これによって、タング34がバックル36に係合される。
【0021】
また、図2に示されるように、バックル装置10は、バックルガイド54を備えている。バックルガイド54は、バックルカバー50よりも柔軟な合成樹脂材によって形成されている。バックルガイド54は、バックルカバー50の長手方向(図2矢印A方向及び矢印B方向)に長い筒状にとされており、バックルガイド54の車両後斜め下側部分は、ガイドレール16に連結されている。バックルガイド54は、バックルカバー50の車両後斜め下側の端部からバックルカバー50に挿入されており、これによって、バックルカバー50は、バックルガイド54に案内されて、車両前斜め上側(図2の矢印A方向側)及び車両後斜め下側(図2の矢印B方向側)へ移動できる。
【0022】
また、バックルガイド54の内側には、ワイヤロープ40が通っている。ワイヤロープ40の長手方向先端側は、バックルガイド54の車両前斜め上側の端部からバックルガイド54の外側へ延び、バックルカバー50に設けられたバックルボデー52へ連結されている。このため、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ移動されることによって、ワイヤロープ40の長手方向先端部が、車両前斜め上側(図2の矢印A方向側)へ移動されると、バックル36がバックルカバー50を伴って車両前斜め上側へ移動される。これに対して、ワイヤロープ40が長手方向基端側へ移動されることによって、ワイヤロープ40の長手方向先端部が車両後斜め下側(図2の矢印B方向側)へ移動されると、バックル36がバックルカバー50を伴って車両後斜め下側へ移動される。
【0023】
一方、図5に示されるように、上述したワイヤガイド42の車幅方向外側には、ガイドレール16のガイド壁20の車両後側端部から延出された延出片56が配置されている。延出片56は、ワイヤガイド42の車両後側で車幅方向内側へ曲げられており、この延出片56において車幅方向内側へ曲げられた部分の車幅方向内側端部からは、図5に示されるガイドレール固定片58が車両後斜め下側へ延出されている。
【0024】
また、図1及び図3に示されるように、ワイヤガイド42の車幅方向内側には、連結部材としてのカバープレート60が設けられている。カバープレート60は、第2連結部としてのカバープレート本体61を備えており、ワイヤガイド42のワイヤガイド溝44は、カバープレート60のカバープレート本体61によって車幅方向内側から閉じられている。図3に示されるように、カバープレート60は、第1連結部としてのカバープレート固定片62を備えている。カバープレート固定片62は、カバープレート60のカバープレート本体61から車両後斜め下側へ延出されており、カバープレート60のカバープレート固定片62は、ガイドレール16のガイドレール固定片58の車幅方向内側でガイドレール固定片58と対向されている。さらに、図5に示されるように、ガイドレール16のガイドレール固定片58の車幅方向外側には、車両の車体の床部に設けられた支持プレート64が配置されている。
【0025】
カバープレート60のカバープレート固定片62には、カバープレート第1孔部66が形成され、ガイドレール16のガイドレール固定片58には、ガイドレール固定片孔部68が形成され、車両の車体の床部の支持プレート64には、支持プレート孔部70が形成されている。これらのカバープレート第1孔部66と、ガイドレール固定片孔部68と、支持プレート孔部70とは、車幅方向に対向されており、カバープレート第1孔部66、ガイドレール固定片孔部68、支持プレート孔部70には、第1固定ボルト72が貫通配置されている。第1固定ボルト72の先端部には、第1ナット74が螺合されている。これによって、カバープレート60のカバープレート固定片62及びガイドレール16のガイドレール固定片58は、車両の車体の床部の支持プレート64に固定されている。
【0026】
一方、図4に示されるように、ワイヤガイド42のワイヤガイド溝44よりもワイヤガイド溝44の曲率半径方向内側部分には、ワイヤガイド孔部76が形成されている。図5に示されるように、ワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76は、車幅方向に貫通されている。ワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76の車幅方向外側には、上述したガイドレール16の延出片56が配置されている。延出片56には、延出片孔部78が形成されており、延出片56の延出片孔部78は、車幅方向にワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76と対向されている。また、ワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76の車幅方向内側では、カバープレート60のカバープレート本体61に形成されたカバープレート第2孔部80がワイヤガイド孔部76と対向されている。
【0027】
一方、図5に示されるように、ワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76、ガイドレール16の延出片56の延出片孔部78、カバープレート60のカバープレート第2孔部80には、第2固定ボルト82が貫通配置されている。第2固定ボルト82の先端部には第2ナット84が螺合されている。これによって、ワイヤガイド42は、カバープレート60及びガイドレール16の延出片56に固定され、更に、カバープレート60及びガイドレール16の延出片56を介してワイヤガイド42が、車両の車体の床部に設けられた支持プレート64に固定されている。
【0028】
ここで、本実施の形態では、ワイヤロープ40のワイヤガイド42よりも長手方向基端側におけるワイヤロープ40の長手方向(図3の矢印FR方向及びその反対方向)に対して、ワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76の中心と、カバープレート60のカバープレート第1孔部66の中心とを通る仮想線L1が成す角度は、ワイヤロープ40のワイヤガイド42よりも長手方向基端側におけるワイヤロープ40の長手方向(図3の矢印FR方向及びその反対方向)に対して、ワイヤロープ40のワイヤガイド42よりも長手方向先端側におけるワイヤロープ40の長手方向(図3の矢印A方向及び矢印B方向)が成す角度の略1/2とされている。また、上記の仮想線L1は、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ引張られた場合に、ワイヤガイド42のワイヤガイド溝44におけるワイヤロープ40の曲げの内側の壁面である内側壁面44Aが、ワイヤロープ40から受ける押圧力F1の方向に沿っている。
【0029】
<第1の実施の形態の作用、効果>
本バックル装置10では、例えば、本バックル装置10が適用されるシート14に対応した車両のドアが、閉状態から開状態に変化すると、このドアの開閉状態の変化がカーテシスイッチ等のドア開閉検出手段等の検出手段によって検出される。また、例えば、乗員86がシート14に着座すると、シート14のシートクッション28等に設けられた荷重センサ等の乗員検出手段等の検出手段によってシート14への乗員86の着座が検出される。このような車両への乗員の乗車に伴うドアやシート14の状態の変化によって検出手段から制御手段へ出力される電気信号のレベルが切替わる。これによって、モータアクチュエータ24が駆動されて、駆動ねじ26が回転されると、スライダ38がガイドレール16のガイド壁20、22に案内されて車両後側へスライドされる。これによって、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ移動されると、バックルボデー52がワイヤロープ40によって車両前斜め上側へ押圧される。
【0030】
このワイヤロープ40からの押圧力がバックルボデー52を介してバックルカバー50に伝わると、図2に示されるように、バックルカバー50は、バックルガイド54に案内されて車両前斜め上側(図2の矢印A方向側)へ移動される。このように、バックルカバー50が移動されることによって、乗員86はタング34をバックル36へ容易に係合させることができ、ウェビング32を容易に装着できる。
【0031】
これに対し、タング34がバックル36に係合されると、バックル36のバックルスイッチから制御手段へ出力される電気信号のレベルが切替わる。これによってモータアクチュエータ24が駆動されて、駆動ねじ26が回転されると、スライダ38がガイドレール16のガイド壁20、22に案内されて車両前側へスライドされる。これによって、ワイヤロープ40が長手方向基端側へ移動されると、バックルカバー50がバックルボデー52を介してワイヤロープ40に引張られる。これによって、バックルカバー50がバックルガイド54に案内され、図1に示されるように、バックルカバー50は、車両後斜め下側(図3の矢印B方向側)へ移動される。
【0032】
一方、車両衝突時等の車両急減速時には、シート14に着座した乗員86の身体に装着されたウェビング32が、乗員86の身体によって引張られる。これによって、バックル装置10のバックル36が、ウェビング32に設けられたタング34によって車両前斜め上側へ引張られると、バックル装置10のバックル36に連結されたワイヤロープ40の長手方向先端側が、車両前斜め上側へ引張られる。
【0033】
このように、ワイヤロープ40の長手方向先端側が、車両前斜め上側へ引張られると、ワイヤロープ40のワイヤガイド42よりも長手方向基端側は、車両後側へ引張られる。しかしながら、ワイヤロープ40の長手方向基端部は、スライダ38によって保持されているため、ワイヤロープ40の長手方向基端部の車両後側への移動が阻止され、これによって、ワイヤロープ40の長手方向先端側に付与された引張力の反力が、ワイヤロープ40の長手方向基端部に作用される。この状態では、ワイヤガイド42のワイヤガイド溝44の内側壁面44Aが、ワイヤロープ40によって押圧される。
【0034】
このように、ワイヤガイド42のワイヤガイド溝44の内側壁面44Aが、ワイヤロープ40から押圧力F1(図4参照)を受けると、ワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76に貫通配置された第2固定ボルト82の軸部(ねじ部)が、ワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76の内周部によって押圧される。これによって、カバープレート60のカバープレート固定片62のカバープレート第1孔部66に貫通配置された第1固定ボルト72は、カバープレート60のカバープレート固定片62のカバープレート第1孔部66の内周部から押圧力F2(図3参照)を受ける。
【0035】
しかしながら、第1固定ボルト72は、車両の車体の床部に設けられた支持プレート64に固定されており、これによって、ワイヤガイド42は、カバープレート60を介して車体の床部に固定されている。このため、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ引張られた場合に、ワイヤガイド42が移動されることを抑制できる。
【0036】
ところで、ワイヤロープ40からワイヤガイド42のワイヤガイド溝44の内側壁面44Aに付与される押圧力F1は、車幅方向内側から見て、ワイヤガイド42のワイヤガイド孔部76の中心と、カバープレート60のカバープレート固定片62のカバープレート第1孔部66の中心と、を通る仮想線L1に沿っている。また、カバープレート60を車両の車体の床部に設けられた支持プレート64からカバープレート60を支持プレート64に固定する第1固定ボルト72に付与される押圧力F2は、車幅方向内側から見て、上記の仮想線L1に沿っている。したがって、押圧力F2の方向は、押圧力F1の方向と同じ方向になっている。
【0037】
このため、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ引張られて、カバープレート60に押圧力F2が付与されても、カバープレート60に回転モーメント(例えば、カバープレート60を支持プレート64に固定する第1固定ボルト72の中心軸線周りの回転モーメント)が発生することを抑制できる。これによって、このような回転モーメントに基づく回転力が、ワイヤガイド42をカバープレート60に連結する第2固定ボルト82に作用されることを抑制でき、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ引張られた場合に、比較的安定した荷重を第2固定ボルト82に入力させることができる。これによって、例えば、第2固定ボルト82の機械的強度等を決めることが容易になる。
【0038】
これによって、第2固定ボルト82の機械的強度等を特別大きくしたり、第2固定ボルト82とは別にワイヤガイド42をカバープレート60に連結するための部材を設けたりしなくてもよい。このため、ボルト等の部品点数の増加を抑制できると共に、バックル装置10の小型化が可能になり、バックル装置10の車両への搭載性を向上でき、例えば、シート14の骨格部材等への組付けも可能になる。
【0039】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、本第2の実施の形態を説明するにあたり、前記第1の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0040】
図6に示されるように、本実施の形態では、カバープレート60にカバープレート第2孔部80が複数設けられている。図6での図示は省略するが、カバープレート60のカバープレート第2孔部80の各々に対応して、ワイヤガイド42には複数のワイヤガイド孔部76が形成されており、ガイドレール16の延出片56には複数の延出片孔部78が形成されている。さらに、図6での図示は省略するが、カバープレート60のカバープレート第2孔部80の各々には、第2固定ボルト82が貫通配置されている。
【0041】
ここで、車幅方向内側から見てカバープレート60のカバープレート第2孔部80のうちの1つの中心を通り、仮想線L1と交差する一点鎖線L2と、仮想線L1とが成す角度は、カバープレート60の他のカバープレート第2孔部80の中心と、仮想線L1と一点鎖線L2とが交差する部分とを通る一点鎖線L3と仮想線L1とが成す角度と同じ大きさに設定されている。このため、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ引張られた際に、カバープレート60の各カバープレート第2孔部80の内周部から各カバープレート第2孔部80に貫通配置された各第2固定ボルト82に付与される荷重の合力は、仮想線L1に沿い、支持プレート64からカバープレート60を支持プレート64に固定する第1固定ボルト72に付与される押圧力F2と同じ方向になる。
【0042】
このため、本実施の形態でも、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ引張られて、カバープレート60に押圧力F2が付与されても、カバープレート60に回転モーメント(例えば、カバープレート60を支持プレート64に固定する第1固定ボルト72の中心軸線周りの回転モーメント)が発生することを抑制できる。これによって、このような回転モーメントに基づく回転力が、ワイヤガイド42をカバープレート60に連結する第2固定ボルト82に作用されることを抑制でき、ワイヤロープ40が長手方向先端側へ引張られた場合に、比較的安定した荷重を第2固定ボルト82に入力させることができる。これによって、例えば、第2固定ボルト82の機械的強度等を決めることが容易になる。
【0043】
これによって、第2固定ボルト82の機械的強度等を特別大きくしたり、第2固定ボルト82とは別にワイヤガイド42をカバープレート60に連結するための部材を設けたりしなくてもよい。このため、ボルト等の部品点数の増加を抑制できると共に、バックル装置10の小型化が可能になり、バックル装置10の車両への搭載性を向上でき、例えば、シート14の骨格部材等への組付けも可能になる。
【0044】
なお、本実施の形態では、カバープレート60に複数のカバープレート第2孔部80が形成された構成であったが、カバープレート60に複数のカバープレート固定片62を設け、各カバープレート固定片62にカバープレート第1孔部66を設ける構成とし、各カバープレート第1孔部66の内周部から各カバープレート第1孔部66に貫通配置された各第1固定ボルト72に付与される荷重の合力が、仮想線L1上に位置する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 バックル装置
12 バックル駆動装置(駆動手段)
30 シートベルト装置
32 ウェビング
34 タング
36 バックル
42 ワイヤガイド(中間部材)
60 カバープレート(連結部材)
61 カバープレート本体(第2連結部)
62 カバープレート固定片(第1連結部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6