特許第6493939号(P6493939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493939
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】地組鉄筋施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   E04G21/12 105A
   E04G21/12 105D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-20035(P2018-20035)
(22)【出願日】2018年2月7日
(62)【分割の表示】特願2015-166739(P2015-166739)の分割
【原出願日】2015年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-100589(P2018-100589A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2018年2月28日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年2月27日 飛鳥大橋右岸下部工事において地組鉄筋施工方法を施工
(73)【特許権者】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515234462
【氏名又は名称】株式会社ヤマモト
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】池田 澄人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝則
(72)【発明者】
【氏名】水井 隆之
(72)【発明者】
【氏名】和田 脩平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】松崎 繁
(72)【発明者】
【氏名】加藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】松本 勝弘
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4150981(JP,B1)
【文献】 特開2006−125038(JP,A)
【文献】 特開2001−115649(JP,A)
【文献】 特開2003−313860(JP,A)
【文献】 特開平09−032109(JP,A)
【文献】 特開昭61−172967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な作業ヤード上に配置した土台に下端を嵌合して立設した吊込支柱および地組支柱に鉄筋を配筋して鉄筋ユニットを構築する鉄筋ユニット構築工程と、
クレーンに吊り下げた吊枠と前記吊込支柱を吊りワイヤを介して連結し、前記クレーンにより前記吊枠、前記吊込支柱および前記吊込支柱にて支持した前記鉄筋ユニットを吊り上げる、鉄筋ユニット吊り上げ工程と、
吊り上げた前記鉄筋ユニットから前記地組支柱を外す工程と、
吊り上げた前記鉄筋ユニットおよび前記吊込支柱を所定の位置まで吊り下げる、鉄筋ユニット吊り下げ工程と、
前記鉄筋ユニットと柱主筋を結束する工程と、
前記鉄筋ユニットから前記吊込支柱を取り外して、前記吊込支柱を吊り上げる工程と、を有する地組鉄筋施工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の地組鉄筋施工方法において、前記鉄筋ユニット吊り下げ工程は、
前記鉄筋ユニットの最下段の鉄筋が前記柱主筋の直上になる位置まで前記鉄筋ユニットおよび前記吊込支柱を吊り下げる工程と、
前記柱主筋の先端に鉄筋誘導キャップを取り付けて、前記鉄筋誘導キャップの側面を前記鉄筋ユニットの最下段の鉄筋に接触させて、前記柱主筋を前記最下段の鉄筋に対して所定の位置に誘導する工程と、
前記鉄筋誘導キャップにより前記柱主筋を誘導した状態で前記鉄筋ユニットおよび前記吊込支柱を所定の位置まで吊り下げる工程と、を有し、
前記鉄筋誘導キャップは先端を丸く形成した円筒状の部材であり、後端の円筒内部に前記柱主筋を挿入して嵌合し、
前記鉄筋誘導キャップの後端に前記柱主筋を挿入した際に、前記鉄筋誘導キャップの先端が前記最下段の鉄筋よりも上となるように、前記鉄筋誘導キャップの内部にストッパーを設ける、地組鉄筋施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋ユニットをあらかじめ地組し、施工位置に建て込むための地組鉄筋施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤中の基礎や、鉄道・高速道路の橋脚などの柱状の鉄筋コンクリート構造物を構築する際に、あらかじめ鉄筋を地組して鉄筋ユニットを形成し、形成した鉄筋ユニットを構造物の施工位置に搬送して固定する方法が知られている。
【0003】
このときに用いられる鉄筋地組装置としては、特許文献に記載のものが知られている。
これは、地上にて鉄筋ユニットを地組するための仮組治具と、地組した鉄筋ユニットを吊り込むための移載治具と、からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4150981号公報
【特許文献2】特許第4385236号公報
【特許文献3】特許第4883462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した鉄筋地組装置においては、以下のような課題がある。
(1)地組用の仮組治具と、吊り込み用の移載治具を別々に用意する必要がある。
(2)仮組治具上で仮組みした鉄筋ユニットを、移載治具に載せ替える工程が必要となる。
(3)載せ替え作業の効率化のために、全ての金具が回動可能に構成されており、高価である。
(4)全ての金具を回動可能に構成しているため、大径(D38以上)の鉄筋には対応できない。
【0006】
本発明は、地組に利用した治具をそのまま吊り込むことができる、鉄筋地組施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本願の第1発明は、平坦な作業ヤード上に配置した土台に下端を嵌合して立設した吊込支柱および地組支柱に鉄筋を配筋して鉄筋ユニットを構築する鉄筋ユニット構築工程と、クレーンに吊り下げた吊枠と前記吊込支柱を吊りワイヤを介して連結し、前記クレーンにより前記吊枠、前記吊込支柱および前記吊込支柱にて支持した前記鉄筋ユニットを吊り上げる、鉄筋ユニット吊り上げ工程と、吊り上げた前記鉄筋ユニットから前記地組支柱を外す工程と、吊り上げた前記鉄筋ユニットおよび前記吊込支柱を所定の位置まで吊り下げる、鉄筋ユニット吊り下げ工程と、前記鉄筋ユニットと柱主筋を結束する工程と、前記鉄筋ユニットから前記吊込支柱を取り外して、前記吊込支柱を吊り上げる工程と、を有する地組鉄筋施工方法を提供する。
本願の第2発明は、第1発明の地組鉄筋施工方法において、前記鉄筋ユニット吊り下げ工程は、前記鉄筋ユニットの最下段の鉄筋が前記柱主筋の直上になる位置まで前記鉄筋ユニットおよび前記吊込支柱を吊り下げる工程と、前記柱主筋の先端に鉄筋誘導キャップを取り付けて、前記鉄筋誘導キャップの側面を前記鉄筋ユニットの最下段の鉄筋に接触させて、前記柱主筋を前記最下段の鉄筋に対して所定の位置に誘導する工程と、前記鉄筋誘導キャップにより前記柱主筋を誘導した状態で前記鉄筋ユニットおよび前記吊込支柱を所定の位置まで吊り下げる工程と、を有し、前記鉄筋誘導キャップは先端を丸く形成した円筒状の部材であり、後端の円筒内部に前記柱主筋を挿入して嵌合し、前記鉄筋誘導キャップの後端に前記柱主筋を挿入した際に、前記鉄筋誘導キャップの先端が前記最下段の鉄筋よりも上となるように、前記鉄筋誘導キャップの内部にストッパーを設ける、地組鉄筋施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)地組に使用する吊込治具によって鉄筋ユニットを吊り上げるため、別に移載治具を用意して載せ替える工程が不要である。
(2)吊込支柱、地組支柱の支持金具はいずれも固定するものであるため安価で強度が高く、D38以上の大径の鉄筋の地組にも使用することができる。
(3)鉄筋誘導キャップによって柱主筋を誘導しながら鉄筋ユニットを吊り下げることができるため、確実に所定の位置に鉄筋ユニットを吊り入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の鉄筋地組装置の斜視図
図2】鉄筋ユニットの斜視図
図3】吊込支柱、地組支柱、土台の斜視図
図4】本発明の地組鉄筋施工方法の吊り上げ方法の説明図
図5】本発明の地組鉄筋施工方法の吊り下げ方法の説明図
図6】鉄筋誘導キャップの斜視図
図7】その他実施例にかかる吊込支柱の斜視図
図8】固定金具の使用状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
[1]鉄筋地組装置
<1>鉄筋地組装置の構成。
本発明の鉄筋地組装置は、複数段のフープ筋を支持するための複数の支持金具11、21を有する吊込支柱1および地組支柱2と、吊込支柱1と地組支柱2を作業ヤード上に立たせるための土台3と、吊込支柱1および地組支柱2により地組した鉄筋ユニット5を水平に吊り込むための吊枠4と、からなる。(図1
鉄筋ユニット5は、鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋をあらかじめ組んだものであり、フープ筋51やせん断補強鉄筋52を組み合わせて構成し、鉄筋コンクリート構造物の柱主筋6を取り囲むように配置して連結するものである。(図2
【0012】
<2>吊込支柱。
吊込支柱1は平板状の柱体である。(図3
吊込支柱1には鉤状の支持金具11を長さ方向の一方の側辺から突出し溶接等により固定する。
支持金具11は高さ方向に間隔を隔てて複数個並設する。支持金具11の本数や間隔は、地組する鉄筋ユニット5のフープ筋51の本数や間隔に合わせる。
吊込支柱1の支持金具11が突出する側の下端には、切り欠き12を設ける。
吊込支柱1の上端付近には、吊穴13を設ける。
【0013】
<3>地組支柱。
地組支柱2は平板状の柱体である。(図3
吊込支柱2には吊込支柱1と同様に、地組する鉄筋ユニット5のフープ筋51の本数や間隔に合わせて、鉤状の支持金具21を長さ方向の一方の側辺から突出し溶接等により固定する。
吊込支柱1の最下段の支持金具11と、地組支柱2の最下段の支持金具21は、それぞれの支柱の下端部からの長さを同一とする。
【0014】
<4>土台。
土台3は例えばH鋼からなり、平坦な作業ヤード上に配置する。作業ヤードの地面が鋼製覆工板により覆われている場合には鋼製覆工板に溶接固定してもよい。
土台3には、吊込支柱1または地組支柱2が垂直に立設した状態で下端を支持するための支柱差し込み口31を設ける。(図3
支柱差し込み口31は立設する吊込支柱1および地組支柱2の断面よりもやや大きくし、支柱差し込み口31と吊込支柱1、地組支柱2とは緩嵌合とする。
【0015】
<5>吊込支柱、地組支柱の配置位置。
吊込支柱1は組み上げた鉄筋ユニット5の吊込時にも使用するものであり、吊込時に鉄筋ユニット5が変形せずかつ水平に吊り込むために必要な本数を配置する。
吊込支柱1の間隔が広すぎると地組する際にフープ筋51やせん断補強筋52が自重で垂れ下がってしまうため、吊込支柱1の間に地組支柱2を配置する。
吊込支柱1は吊込の際に施工位置において既に配置してある柱主筋6と干渉しない位置とする。
本実施例のようにフープ筋51が二重になるような鉄筋ユニットの場合には、
外側のフープ筋51a用に吊込支柱1、内側のフープ筋51b用に地組支柱2を配置する。(図1)このとき、吊込支柱1の支持金具11は外側を向くようにし、地組支柱2の支持金具21は内側を向くようにすることで、内側と外側の両フープ筋51a、bを同時に配筋することができる。
吊込支柱1、地組支柱2の支持金具11、21はいずれも溶接等により固定した状態で鉄筋を支持するため安価でありかつ強度が高く、D38以上の大径の鉄筋の地組にも使用することができる。
【0016】
<6>吊枠。
吊枠4は鋼材を組み合わせて構成する枠体である。(図1
吊枠4は枠体の下方に吊込支柱1が位置するように構成し、それぞれの吊込支柱1に対応する位置に吊り点41を設ける。
【0017】
[2]地組鉄筋施工方法
<1>吊込支柱、地組支柱の配置。
上述の配置位置に吊込支柱1および地組支柱2が配置されるように、土台3を配置し、土台3の支柱差し込み口31に吊込支柱1および地組支柱2の下端を差し込んで立設する。(図4a)
吊込支柱1と地組支柱2の支持金具11、21は、最下段の支持金具11、21がそれぞれの支柱の下端部からの長さが同じであり、また、あらかじめ決められた間隔で設けられているため、土台3に立設することにより、対応する支持金具11、21の高さは同一となる。
土台3上に段取り筋7を配置して配筋の墨出しを行うこともできる。段取り筋7は、平坦な作業ヤード上で構築するフープ筋の形状に合わせる雛形の鉄筋であって、既に配置されている柱主筋6の位置を墨出しした鉄筋である。
【0018】
<2>鉄筋ユニットの構築。
吊込支柱1の支持金具11、地組支柱2の支持金具21にフープ筋51およびせん断補強筋52を支持させて配筋していき、鉄筋ユニット5を地組により構築する。(図4b)
支持金具11、21があらかじめ決められた間隔で同じ高さに位置する吊込支柱1および地組支柱2間に配筋するため、常に一定の間隔でフープ筋51を平行に配筋することができる。
【0019】
<3>鉄筋ユニットの吊り上げ。
地組した鉄筋ユニット5の上部にクレーンに吊り下げた吊枠4を配置する。そして吊枠4の吊り点41に取り付けた吊りワイヤ42の下端を吊込支柱1の吊穴13に取り付ける。
そして、吊枠4を吊り上げていくことにより、吊込支柱1の支持金具11でフープ筋51を支持して鉄筋ユニット5を吊り上げる。吊込支柱1の下端と土台3の支柱差し込み口31は緩嵌合のため、吊枠4を吊り上げることにより土台3から引き抜かれる(図4c)。
このとき、地組支柱2は吊枠4によっては吊り上げられずにフープ筋51が支持金具21から離れるが、そのまま鉄筋ユニット5を吊り上げていくと、下段のフープ筋51によって、地組支柱2が持ち上がってしまう。よって、地組支柱2を90°以上回転させることにより、支持金具21がフープ筋51を躱して鉄筋ユニット5から外す。
地組に使用した吊込支柱1をそのまま鉄筋ユニット5の吊り上げに使用するため、別に移載治具を用意して載せ替える必要が無い。
【0020】
<4>鉄筋ユニットの吊り入れ。
鉄筋ユニット5を柱主筋6の間に吊り入れていく。(図5a)
鉄筋ユニット5は柱主筋6を包囲した状態で連結するものであるため、そのまま吊り入れていくと鉄筋ユニット5のフープ筋51と柱主筋6は干渉してしまう。
よって、鉄筋ユニット5の最下端のフープ筋51cを柱主筋6の先端の直上の高さまで吊り下げたら、柱主筋6の先端に鉄筋誘導キャップ8を取り付けて、柱主筋6をフープ筋51に対する所定の位置に誘導する。(図5b)
【0021】
<5>鉄筋誘導キャップ。
鉄筋誘導キャップ8は円筒状の部材であり、先端を丸く形成する(図6)。
鉄筋誘導キャップ8の後端は内径を柱主筋6の外径よりも大きくし、柱主筋6の先端を挿入して嵌合する。
鉄筋誘導キャップ8内部には丸鋼などからなるストッパー81を設けて、柱主筋6に嵌合した際に鉄筋誘導キャップ8の先端の高さが柱主筋6の先端から少なくともフープ筋51の間隔以上の高さとなるようにする。この高さは、柱鉄筋6の直上まで吊り下げた鉄筋ユニット5の最下段のフープ筋51cの高さ以上となるようにする。
【0022】
<5.1>鉄筋誘導キャップによる誘導。
柱主筋6の直上には鉄筋ユニット5のフープ筋51cが位置している。この柱主筋6の先端に鉄筋誘導キャップ8を取り付ける。このとき鉄筋誘導キャップ8の先端がフープ筋51cよりも上になるように鉄筋ユニット5を柱主筋6の直上まで吊り下げておく。
鉄筋誘導キャップ8は柱主筋6をフープ筋51cに対する所定の方向に撓らせてから取り付けることで、鉄筋誘導キャップ8の側面がフープ筋51cに接触し、鉄筋誘導キャップ8の先端がフープ筋51cに対して所定の位置となる。
この状態で鉄筋ユニット5を吊り下げていくと、先端を丸く形成した鉄筋誘導キャップ8を取り付けた柱主筋6がフープ筋51に対する適正位置を保ったままで確実に鉄筋ユニット5を吊り下げることができる(図5c)。
誘導が完了した柱主筋6にとりつけた鉄筋誘導キャップ8は取り外す。
柱主筋6の高さは鉄筋コンクリート構造物の高さによって複数に分けられており、また、柱主筋6は機械式継手を用いて所定の高さまで延長する。このため、鉄筋ユニット5を吊り下げる際には、柱主筋6の異なる高さで複数回、鉄筋ユニット5の誘導が必要となる。
鉄筋誘導キャップ8は柱主筋6に取り付けるものであるため容易に取り外しができ作業も容易であり、複数回の作業にも対応できる。
【0023】
<6>吊込支柱の取り外し。
鉄筋ユニット5を所定の高さまで吊り下げたら、フープ筋51と柱主筋6を結束する。
鉄筋ユニット5は複数段を積層するものであるが、吊込支柱1の下端には切り欠き12を設けているため、すでに配置された下段の鉄筋ユニット5の最上段のフープ筋51dに吊込支柱1が干渉しない。(図5d)
鉄筋ユニット5を柱主筋6に結束して固定した後に吊込支柱1を吊り下げていくと、柱主筋6に固定したフープ筋51が吊込支柱1の支持金具11から離れる。そして吊込支柱1を90°以上回転することにより支持金具11がフープ筋51を躱し、鉄筋ユニット5から外すことができる。(図5d)
そして、このまま吊枠4を吊り上げて吊込支柱1を吊り上げて、再度鉄筋ユニット5の地組に利用する。
【0024】
[3]その他実施例
<1>固定金具。
吊込支柱1には、支持金具11の他に固定金具14を取り付けてもよい。(図7
固定金具14は、フープ筋51の支持金具11に対する上方への離脱を防止する部材であり、吊込支柱1の取付面に軸支する回転軸141と、回転軸141の先端に設けた鉤状の固定部142と、回転軸141の後端に設けた止め部143とからなる略U字状の金具である。
吊込支柱1の取付面に軸支した回転軸141は取付面方向に摺動可能とし、固定金具14を吊込支柱1から突設しない状態に吊込支柱1の平面視した取付面内に収容することができる。
【0025】
<2>固定金具による吊込支柱の固定。
固定金具14はあらかじめ固定部142および止め部143を上方に向けた状態で吊込支柱1側に収容しておく。(図8a)
そして、吊込支柱1の支持金具11にフープ筋51を配筋したのち、回転軸141を摺動して吊込支柱1から固定部142を支持金具11と同じ方向に引き出す。吊込支柱1の他端には止め部143を設けるため、固定部142が支持金具11方向に突出した状態で停止する。そして、回転軸141を回転して固定部142を下方に向けることで、支持金具11と固定金具の固定部142とによってフープ筋51を挟持し、鉄筋ユニット5と吊込支柱1を一体とする。(図8b)
鉄筋ユニット5と吊込支柱1を固定して一体とすることにより、鉄筋ユニット5を吊り下げる際に鉄筋ユニット5が障害物に当たった際に、吊込支柱1のみが下がって鉄筋ユニット5から離脱すること防止することができる。
固定金具14は、支持金具11ごとに設けてもよいし、複数の支持金具11のうちから選択して設けてもよい。
【0026】
<3>吊込支柱の取り外し。
鉄筋ユニット5を所定の高さまで吊り下げてフープ筋51を柱主筋6に固定したのち、回転軸141を回転して固定部142を上方に向けることでフープ筋51が支持金具11から離脱できるようにする。そして、固定軸141を摺動して固定部142を吊込支柱1側に引き込む。
これにより、吊込支柱1を鉄筋ユニット5から外して吊り上げる際に、固定金具14が干渉することがない。
【符号の説明】
【0027】
1 吊込支柱
11 支持金具
12 切り欠き
13 吊穴
14 固定金具
141 回転軸
142 固定部
143 止め部
2 地組支柱
21 支持金具
3 土台
31 支柱差し込み口
4 吊枠
41 吊り点
42 吊りワイヤ
5 鉄筋ユニット
51 フープ筋
52 せん断補強筋
6 柱主筋
7 段取り筋
8 鉄筋誘導キャップ
81 ストッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8