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特許6493944スピニングコンポーネントの変位を決定するための無線システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493944
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】スピニングコンポーネントの変位を決定するための無線システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20190325BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20190325BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20190325BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   G01B21/00 C
   G01B7/00 101H
   G08C17/00 B
   G08C19/00 S
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-504914(P2018-504914)
(86)(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公表番号】特表2018-526631(P2018-526631A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016045704
(87)【国際公開番号】WO2017027347
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2018年3月2日
(31)【優先権主張番号】62/311,087
(32)【優先日】2016年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/202,233
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508151105
【氏名又は名称】デーナ、オータモウティヴ、システィムズ、グループ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、ジャスティン、エス.
(72)【発明者】
【氏名】クリーチ、マイケル、ズィー.
(72)【発明者】
【氏名】ミッツェル、アナ、エム.
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー、セス、エー.
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−2959(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0102256(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00−21/32
G01B 7/00−7/34
G08C 17/00
G08C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動アセンブリのスピニングコンポーネントの変位を決定するための無線システムであって、
差動ケースと、
前記差動アセンブリと、
前記差動ケースに回転不能に搭載された少なくとも1つのセンサアセンブリと
を備え、
前記差動ケースは、中空内部空間を有し、
前記差動アセンブリは、アクチュエータを有し、
前記少なくとも1つのセンサアセンブリは、少なくとも1つのセンサを有し、
前記アクチュエータは、コイルと、差動ギア機構と選択的に係合された前記スピニングコンポーネントとを含む電磁石を含み、
前記少なくとも1つのセンサは、プリント回路基板と、送信機と、電源とに通信可能に連結され、
前記差動ケースは、前記差動ギア機構を収容し、
前記少なくとも1つのセンサアセンブリの一部分は、前記差動ケース内で軸方向および径方向に延在し、
前記少なくとも1つのセンサは、前記差動ケースの前記中空内部空間において、前記差動アセンブリの前記スピニングコンポーネントに軸方向に隣接して位置決めされ、
前記少なくとも1つのセンサは、前記スピニングコンポーネントの軸方向変位を直接感知し、
前記少なくとも1つのセンサアセンブリは、前記スピニングコンポーネントの前記軸方向変位を表す信号を生成し、
前記送信機は、前記差動ケースの外に位置決めされた受信機に無線連結される、
無線システム。
【請求項2】
前記電源は充電式電源である、
請求項1に記載の無線システム。
【請求項3】
前記電源はバッテリである、
請求項1または2に記載の無線システム。
【請求項4】
前記電源はエネルギー生成システムをさらに含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の無線システム。
【請求項5】
前記エネルギー生成システムはシェーカー型システムである、
請求項4に記載の無線システム。
【請求項6】
前記エネルギー生成システムは前記差動ケース上に位置決めされる、
請求項5に記載の無線システム。
【請求項7】
前記エネルギー生成システムは、前記電源に接続され、かつ、前記少なくとも1つのセンサアセンブリに隣接する前記差動ケース上に搭載された少なくとも1つのコイルと、前記差動ケースから径方向外側に位置決めされた固定筐体に接続された少なくとも1つの磁石とを含む、
請求項4から6のいずれか一項に記載の無線システム。
【請求項8】
前記差動ケースは、中に一体的に形成された少なくとも1つの磁路特徴部を有する、
請求項7に記載の無線システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁路特徴部は、前記差動ケース内に一体的に形成された溝を含み、
前記溝は、前記差動ケースの外面と同一平面上の上面を含むコイルを含む、
請求項8に記載の無線システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサは、前記少なくとも1つのセンサから径方向内側の前記スピニングコンポーネントに取り付けられたセンサ要素を含むホール効果センサである、
請求項1から9のいずれか一項に記載の無線システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサは、前記少なくとも1つのセンサアセンブリから軸方向に離れて前記スピニングコンポーネントに向かって延在する圧力センサである、
請求項1から10のいずれか一項に記載の無線システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのセンサアセンブリと通信するコントローラをさらに備える、
請求項1から11のいずれか一項に記載の無線システム。
【請求項13】
第1端および第2端を有する付勢部材をさらに備え、
前記第1端は前記差動ギア機構に接続され、前記第2端は前記スピニングコンポーネントに接続される、
請求項1から12のいずれか一項に記載の無線システム。
【請求項14】
前記付勢部材はばねである、
請求項13に記載の無線システム。
【請求項15】
前記送信機は無線周波数送信を用いる、
請求項1から14のいずれか一項に記載の無線システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照 本出願は、2015年8月7日に出願された米国仮出願第62/202,233号および2016年3月21日に出願された米国仮出願第62/311,087号の利益を主張する。それらの出願の全体の開示が、ここに参照により組み込まれている。
【0002】
本開示は、スピニングコンポーネントの変位を決定するための無線システムに関し、より具体的には、ロッキングディファレンシャルにおけるギアの変位を決定するための無線システムに関する。
【背景技術】
【0003】
スピニングコンポーネントまたは回転コンポーネントの位置または状態を感知することが有益である場合、自動車は複数のシステムを含む。例えば、スピニングコンポーネントはロッキングディファレンシャル、車軸連結解除システムおよびパワーテイクオフユニットにおいて用いられる。スピニングコンポーネントの位置または状態を感知することは困難であり得る。特にロッキングディファレンシャルにおいて、スピニングギアは、他のギアと係合および係合解除するように動かされ得る。係合の影響を測定することによりギアが係合される場合、当該ギア間の距離は間接的に測定され得る。しかしながら、いくつかの機構において、係合の影響を間接的に測定する必要がある条件は、必ずしも満たされていない可能性がある。故に、ギアが係合されているかどうかを判断するための唯一の決定的な方法は、移動/スピニングギアが移動した距離を測定することである。
【0004】
スピニングコンポーネントの位置を感知するための現在の方法は、スピニングコンポーネントの周囲に強固に搭載されたセンサを用いており、当該センサは、スピニングコンポーネントの動きを非スピニングコンポーネントの動きに変換する。スピニングコンポーネントから非スピニングコンポーネントへの変換は、大きなエラーおよびコストをもたらす。例えば、スピニングコンポーネントの何らかの振れは、小さな軸方向移動として現れるので、測定された信号にはノイズが追加され、エラーが増える。これらの変換感知システムは、当該システムにさらなるノイズおよびコストを各々が加え得るいくつかの追加コンポーネントも有する。加えて、スピニングコンポーネントと非スピニングコンポーネントとの間に接触があると、さらなる摩耗が生じ、システムの耐用期間が減り、システムのコストが増える。
【0005】
潜在的な解決法は、スピニングコンポーネントをセンサに埋め込んで、センサが当該コンポーネントに沿ってスピンするのを可能にすることである。しかしながら、センサへの電力供給およびセンサ外への信号の送信において困難が生じる。有線センサシステムは機能しない。なぜなら、ワイヤがスピニングコンポーネントの周囲に迅速に巻き付いてしまうからである。
【0006】
従って、スピニングコンポーネントの変位を直接感知する無線システムを有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
中空内部空間を有する差動ケースと、コイルを含む電磁石を含むアクチュエータを有する差動アセンブリと、差動ギア機構と選択的に係合されたスピニングコンポーネントと、プリント回路基板、送信機および電源に通信可能に連結された少なくとも1つのセンサを含む、差動ケースに回転不能に搭載された少なくとも1つのセンサアセンブリとを含む、差動アセンブリのスピニングコンポーネントの変位を決定するための無線システム。差動ケースは、差動ギア機構を収容する。センサアセンブリの一部分は、差動ケース内で軸方向および径方向に延在し、少なくとも1つのセンサは、差動ケースの中空内部空間内に、かつ、差動アセンブリのスピニングコンポーネントに軸方向に隣接して配置される。少なくとも1つのセンサは、スピニングコンポーネントの軸方向変位を直接感知するように構成される。センサアセンブリは、スピニングコンポーネントの軸方向変位を表す信号を生成するように構成される。送信機は、差動ケース外に位置決めされた受信機に信号を無線送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本実施形態の上記および他の利点は、添付の図面に照らして考慮された場合、以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになるであろう。
図1】ロッキングディファレンシャルにおける無線システムの好ましい実施形態の断面図である。
図2】係合解除状態にあるロッキングディファレンシャルにおける無線システムの別の好ましい実施形態の断面図である。
図3】係合状態にあるロッキングディファレンシャルにおける、図2の無線システムの断面図である。
図4】ロッキングディファレンシャルにおける無線システムの別の好ましい実施形態の断面図である。
図5】ロッキングディファレンシャルにおける無線システムの別の好ましい実施形態の斜視図である。
図6図5の無線システムのエネルギー生成システムの詳細図である。
図7A】シェーカー型エネルギー生成システムの概略図である。
図7B】シェーカー型エネルギー生成システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
そうでないと明示的に特定されている場合を除いて、実施形態は、様々な代替的な向きおよびステップの順序を想定し得ることが理解されるべきである。添付の図面に示され、かつ、以下の明細書において説明される特定のデバイスおよびプロセスは、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の概念の例示的な実施形態に過ぎないことも理解されるべきである。よって、特定の寸法、方向または他の物理的特性は、実施形態に関連する。
【0010】
ここで、図1を参照すると、スピニングコンポーネントのための無線システム10の一実施形態が示されている。車両のロッキング差動アセンブリ12内でのロッキングギアの軸方向位置を決定するための無線システム10は、ロッキング差動アセンブリ12内に示されている。しかしながら、無線システム10は、パワーテイクオフユニット、車軸連結解除システム等を含むがそれらに限定されない他のシステムにおいても用いられ得る。
【0011】
図1に示されるように、差動アセンブリ12は、差動ケース14を含む。差動ケース14は、差動筐体(不図示)に配置され、差動筐体内で回転するように搭載される。差動ケース14は中空内部空間14aを含む。
【0012】
差動スパイダシャフト16が差動ケース14内に配置される。スパイダシャフト16は、差動ケース14の中空内部空間14aにわたって延在する。一実施形態において、スパイダシャフト16の端部16aが、差動ケース14のアパーチャ14b内に固定される。
【0013】
差動アセンブリ12は、第1差動サイドギア18と、第2差動サイドギア(不図示)と、第1差動ピニオンギア24と、第2差動ピニオンギア(不図示)とを有する差動ギア機構を含む。第1差動サイドギア18は、差動ケース14内のスパイダシャフト16の端部16a上に搭載される。差動ケース14は、差動ギア機構を収容する。図1に示されるように、スパイダシャフト16は、第1差動サイドギア18におけるアパーチャ18aを通って延在し得る。
【0014】
第1差動サイドギア18は、円周方向周囲に一組の歯20を有する。差動サイドギアの歯20は、第1差動ピニオンギア24上の一組の歯22と選択的に噛み合わされて係合している。差動サイドギアの歯20は、第2差動ピニオンギア(不図示)上の歯とも噛み合わされる。差動サイドギアの歯20は、第1差動サイドギア18の第1側面18a上にある。第1側面18aは、差動ケース14の内側に面する。
【0015】
第1差動サイドギア18は、第1側面18aと反対の第2側面18bを有する。第2側面は外側に面する。第1差動サイドギア18の第2側面18bは、第1差動サイドギア18へと延在する、軸方向に延在するポケット18cを有する。ポケット18cは、付勢部材26の第1端部26aを中に受け入れる。付勢部材26は、ばね、コイルばねまたは波状ばねであり得るが、それらに限定されない。
【0016】
第1差動サイドギア18の第2側面18bは、一組の歯28も有する。歯28は、付勢部材26の径方向上方に配置される。
【0017】
付勢部材26の第2端26bは、スピニングコンポーネントまたはカムリング30と接触している。一実施形態において、カムリング30は、径方向内側内部30aと、径方向外側内部30bと、径方向外側外部30cとを有する。径方向外側内部30bおよび径方向外側外部30cは概して、互いに軸方向に位置合わせされる。付勢部材26は、カムリング30の径方向内側内部30aと接触している。
【0018】
また、カムリング30は、一組の歯32を上に有する。歯32は、径方向内側内部30a上に配置される。より具体的には、歯32は、カムリング30上の付勢部材26の接触点26cの径方向上方に配置される。
【0019】
カムリング30の径方向内側内部30aおよび径方向外側内部30bは、両方とも差動ケース14内に配置される。径方向外側外部30cは、差動ケース14外に配置され、差動ケース14における軸方向開口14cを通って延在する。径方向外側外部30c、径方向外側内部30bおよび径方向内側内部30aは、1つの部品かつ一体であって一体的に形成され得るか、または互いに接続された個々の部品によるものであり得る。
【0020】
カムリング30の径方向外側外部30cは、軸方向に移動可能なブッシュ34と接触している。好ましくは、ブッシュ34は連続するリング形状の構造である。ブッシュ34は、プラスチックなどであるがそれに限定されない非磁性体で構成され得る。一実施形態において、ブッシュ34は、カムリング30の径方向外側外部30cから径方向内側および軸方向外側に配置される。
【0021】
ブッシュ34は、軸方向に移動可能な滑動継ぎ輪36と接触している。滑動継ぎ輪36は、スチールを含むがそれに限定されない、磁力の影響を受けやすい金属材料で構成される。滑動継ぎ輪36は、アクチュエータ46の電磁石38の径方向内側に配置される。
【0022】
電磁石38は、コイル40およびコイル筐体42を含む。コイル筐体42は、中空であり、コイル40を包囲する。一実施形態において、コイル40は、コイル筐体42内のポッティング材料に収納された複数の銅巻線を含む。コイル40の巻線は、電源(不図示)に接続される。
【0023】
コイル筐体42は、1つの部品または互いに接続されたいくつかの部品であり得る。コイル筐体42および電磁石38は、差動ケース14上に配置され得る。コイル筐体42は、回転差動ケース14に対して固定され得る。ブッシュ44は、コイル筐体42と差動ケース14との間に配置されて、それら2つの間の相対的な回転を容易にし得る。
【0024】
滑動継ぎ輪36は、コイル筐体42から径方向内側に配置され、それと直接接触している。滑動継ぎ輪36は、コイル筐体42に対して相補的な形状を有し得る。
【0025】
センサアセンブリ50が差動ケース14内に配置される。より具体的には、センサアセンブリ50は、差動ケース14を通って延在するアパーチャ14d内に配置され得る。一実施形態において、図1に示されるように、アパーチャ14dは、差動ケースの外壁を通って延在する、径方向に延在するアパーチャ14dである。
【0026】
センサアセンブリ50は、プリント回路基板(PCB)52と、電源54と、送信機56と、少なくとも1つのセンサ58とを含み得る。送信機56は、アンテナおよび他の追加のコンポーネントを含み得る。一実施形態において、PCB52はマイクロコントローラを含み得る。PCB52、電源54、送信機56および少なくとも1つのセンサ58は、図1に示されるように単一の筐体64内に配置され得るか、または差動ケース14の中または上の個々の分離した筐体内に配置され得る。
【0027】
図1に示されるように、センサ58はホール効果センサであり得る。加えて、センサ58は、抵抗スライドまたは小型の線形可変差動変圧器を含むがそれらに限定されない、圧力センサまたは線形位置センサであり得る。一実施形態において、センサアセンブリ50は、ホール効果センサおよび圧力センサを含み得る。
【0028】
好ましくは、センサアセンブリ50は、差動ケース14の中空内部14aへと径方向に延在する内部50aを有する。好ましくは、センサ58は、筐体64内に、またはカムリング30に軸方向に隣接して、差動ケースの中空内部内で筐体64外に、位置決めされる。好ましくは、内部50aは、カムリング30の径方向外側内部30bに隣接して配置される。内部50aは、第1差動サイドギア18とカムリング30との間で軸方向に配置され得、差動ピニオンギア24の外側で径方向に配置され得る。
【0029】
センサアセンブリ50は、好ましくは非回転式の態様で、差動ケース14に固定される。差動ケース14は回転可能である。差動ケースが回転する場合、センサアセンブリ50は差動ケース14と共に回転する。しかしながら、センサアセンブリ50は、差動ケース14とセンサアセンブリ50との間に相対的な回転が起こらないように搭載される。さらに、センサアセンブリ50は、差動ケース14に対して相対的な移動がないようにするために、差動ケース14内で軸方向および径方向に固定される。
【0030】
一実施形態において、図2に示されるように、センサアセンブリ50は、側面50bから延在する圧力センサ58を含む。圧力センサ58は、エラストマまたはばねなどの付勢部材66を含み得る。
【0031】
圧力センサ58は、カムリング30の径方向外側内部30bと接触しているように設計される。圧力センサ58は、カムリング30と絶えず接触してい得るか、または閉鎖可能な間隙によりカムリング30から分離され得る。いずれの場合においても、付勢部材66がカムリング30により軸方向で移動させられたかまたは圧縮された量は、圧力センサ58により感知される。付勢部材66は、カムリング30の線形的な平行移動を吸収し、比例する力を圧力センサ58上に生成する。一実施形態において、圧力センサ58は、SP37 450kPa圧力センサまたは同様のものである。これが圧力センサの一実施形態であるが、他の実施形態は、他のサイズおよび能力の圧力センサを含み得る。
【0032】
感知された変位は、例えばPCB52、送信機56、およびセンサアセンブリ50内の他の電子コンポーネントを通じて、信号に変換され得る。次に、信号は、送信機56によりセンサアセンブリ50から送受信機70および/またはコントローラに無線送信され得る。一実施形態において、信号は、無線周波数送信または他の周波数を通じて送信され得る。
【0033】
一実施形態において、センサアセンブリ50は、その上または中に配置されたホール効果センサ58を含み得る。図1に示されるように、センサ58は、センサアセンブリ50内に配置される。より具体的には、ホール効果センサ58は、センサアセンブリ50の内部50aの径方向の最も内側の部分に配置され得る。センサアセンブリ50の内部50aは、それらの間に間隙74が存在するように、差動ピニオンギア24から径方向外側に配置され得る。
【0034】
感知要素76が、カムリング30の径方向外側内部30bの上または中に配置される。感知要素76の位置、形状およびサイズの一実施形態が、図1に示されている。しかしながら、他の場所、形状および/またはサイズが可能である。
【0035】
感知要素76は磁石であり得る。図1に示されるように、磁石76は、カムリング30の径方向外側内部30bの内側側面30d上に配置され得る。磁石76は、カムリング30上の一組の歯32から径方向外側、かつ、付勢部材26から径方向外側に配置される。磁石76をカムリング30の径方向外面上に配置することも可能である。さらに、窪み内などカムリング30内に、またはカムリング30内に完全に収納されるように、磁石76を配置することが可能である。
【0036】
図1は、実質的に水平な向きの磁石76を示す。つまり、磁石76は、ディファレンシャルの回転軸Aに対して水平である。磁石76は、回転軸Aに対して実質的に垂直な向きにも向けられ得る。また、磁石76は、45度の角度などの角度で、回転軸Aに対して向けられ得る。
【0037】
無線システム10は、受信機/復調器80も含み得る。図1において、受信機/復調器80は、コイル筐体42上に配置されているものとして示される。より具体的には、受信機/復調器80は、磁石76と、センサアセンブリ50と、受信機/復調器80との間に間隙が存在するように、カムリング30または差動ケース14からある距離のところに配置される。受信機/復調器80は、差動筐体上または車両内の他の箇所にも配置され得る。代替的に、受信機/復調器80は、車両用のタイヤ充填システムなどの他の既存の車両電子機器に統合され得る。
【0038】
感知ステップ、信号生成、プリント回路基板52によるあらゆる動作、および信号送信は、センサアセンブリ50内に配置された電源54により電力供給され得る。電源54は充電式電源であり得る。一実施形態において、電源54はバッテリである。より具体的には、電源54は、車両の耐用期間中は交換の必要がないバッテリである。
【0039】
電源54からの電力消費は、車両の電源が切られている場合、または特定のシステムが非アクティブである場合など、それが必要でない場合にはセンサアセンブリ50がスリープモードに入るのを可能とすることにより制御され得る。
【0040】
コントローラ(不図示)は、センサアセンブリ50および/または電源54に「スリープ」になるよう信号で伝え得る。一実施形態において、無線コントローラが、受信機/復調器80の一部であり、および/またはセンサアセンブリ50と通信し、センサアセンブリ50および/または電源54にスリープするよう信号で伝え得る。車両が再度オンにされたか、または無線システム10が起動された場合、コントローラは、センサアセンブリ50および/または電源54に再度オンになるよう信号で伝え得る。
【0041】
コントローラおよび/または送受信機70は、差動筐体上または車両内の他の箇所に配置され得る。代替的に、コントローラおよび/または送受信機70は、車両のタイヤ充填システムなどの他の既存の車両電子機器に統合され得る。
【0042】
無線システム10は、ディファレンシャルが係合されているかまたは係合解除されているかを示す信号が、正確かつ瞬間的に決定されてコントローラに伝えられることを可能にする。コントローラは、センサアセンブリ50に通信可能に連結される。コントローラは、センサ58により生成された信号を受信し、受信した信号を処理してスピニングコンポーネントの軸方向変位を決定する。より具体的には、無線システム10は、カムリング30の位置を決定して、カムリング30が差動サイドギア18と係合されているか、または係合解除されているかを判断する。
【0043】
差動アセンブリ12は2つの動作モードを有する。第1動作モードでは、図2に示されるように、差動アセンブリ12はロックされていない。カムリング30の歯32および差動サイドギア18は、互いに係合されていない。代わりに、カムリング30の歯と差動サイドギア18との間には間隙がある。このモードにより、差動サイドギアおよびピニオンギアが互いに対して回転することが可能になる。
【0044】
第2動作モードは、電気がコイル40に送られると始まり、コイルワイヤが磁束を生じさせる。コイル40中の電流がコイル筐体42を磁化させる。図3に示されるように、コイル40の磁束とコイル筐体42の磁気との和は、カムリング30と差動サイドギア18との間の付勢部材26からのばね力と、滑動継ぎ輪36の摩擦力との和よりも大きく、これが、滑動継ぎ輪36を移動させる。
【0045】
コイル40が励磁される数ミリ秒内で、磁束が、滑動継ぎ輪36を内側軸方向に移動させる。滑動継ぎ輪36は、ブッシュ34を軸方向に移動させ、その結果として、カムリング30を内側軸方向において軸方向に移動させる。カムリング30は、差動サイドギア18へと軸方向に移動することで、カムリングの歯32をマッチングサイドギアの歯28と係合させる。
【0046】
センサアセンブリ50が圧力センサ58を含む一実施形態において、カムリング30が移動すると、それが付勢部材26を圧縮し、センサ58への圧力が増す。センサ58は、カムリング30の新しい軸方向位置を処理し、送受信機70に伝達する。
【0047】
センサアセンブリがホール効果センサ58を含む一実施形態において、カムリング30の内側への軸方向移動により、磁石76が同じ方向に動かされる。サイドギアの歯28およびカムリングの歯32が、完全な係合など、係合されている場合、磁石76は、少なくともセンサ58の径方向下側など、径方向に隣接して配置されている。センサアセンブリ50と磁石76との間には、それら2つが互いに物理的に接触していないように、径方向の間隙が存在する。感知された磁石76は、例えばプリント回路基板52および/またはセンサアセンブリ50内の他の電子コンポーネントを通じて、信号に変換され得る。次に、信号は、センサアセンブリ50から受信機/復調器80に無線送信され得る。信号は、例えば無線周波数送信もしくは他の周波数を通じて、または誘導結合を通じて、送信され得る。
【0048】
感知ステップ、信号生成、プリント回路基板52によるあらゆる動作、および信号送信は、センサアセンブリ50内に配置された電源54により電力供給され得る。
【0049】
上述の無線システム10は、差動アセンブリ12が係合されているかまたは係合解除されているかを示す信号が、正確かつ瞬間的に決定されてコントローラに信号で伝えられることを可能にする。より具体的には、無線システム10は、カムリング30の軸方向変位を決定して、カムリング30が差動サイドギア18と係合しているかまたは係合解除しているかを判断する。
【0050】
差動アセンブリ12が係合位置にあることがもはや望まれない場合、当該電気はコイル40から除去される。付勢部材26は、差動サイドギア18から離れるようにカムリング30を付勢し、故にそれら2つを分離する。
【0051】
一実施形態において、図4に示されるように、電源54は、上述のシステムがあるセンサアセンブリ50用のエネルギー生成システム110を含み得る。エネルギー生成システム110は、常に使用され得るか、選択的に用いられ得るか、または上述の無線システム10なしに完全に単独で用いられ得る。例えば、無線システム10は、車両が動いていないか、またはディファレンシャルが回転していない場合に用いられ得る電源54を含み得るが、エネルギー生成システム110は、他のあらゆるときに用いられ得る。エネルギー生成システム110は、センサアセンブリ50内の電源54、センサアセンブリ50外のバッテリ、および/またはセンサアセンブリ50内に、または隣接して配置されたコンデンサに接続され得る。
【0052】
一実施形態において、図4に示されるように、エネルギー生成システム110は、差動ケース14の中または上に配置された金属ワイヤコイルなどのコイル112を含む。コイル112は、差動ケース14に対して固定され得、差動ケース14と共に回転する。コイル112は、センサアセンブリ50の電源54に電子的に接続される。好ましくは、コイル112は、エネルギー効率が良く、比較的短くて安価な電気接続部が形成され得るように、センサアセンブリ50に隣接して、センサアセンブリ50上に、またはセンサアセンブリ50内に配置される。
【0053】
エネルギー生成システム110は、固定筐体116の中または上に配置された磁石114も含む。固定筐体116は、差動ケース114から径方向外側である。好ましくは、コイル112および磁石114は、他方に近接して配置される。一実施形態において、コイル112および磁石114は互いに、径方向に配置され、かつ、軸方向に位置合わせされるが、径方向または軸方向のいずれかに互いにずらされ得もする。
【0054】
差動ケース14が選択的に筐体116内で回転するとき、コイル112は、磁石114により回転する。磁石114によるコイル112の回転により、コイル112内に電流が生成される。当該電流は、必要な場合に電源54の維持または電源54の効果的な交換を補助するために、電源54に提供され得る。
【0055】
図4は、1つのコイル112および磁石114を含むエネルギー生成システム110を示す。しかしながら、エネルギー生成システム110は、複数のコイルおよび/または磁石を含み得る。追加のコイル/磁石は、無線システム10全体の電力生成ニーズに応じて用いられ得る。単なる例として、一実施形態は、上述のように配置された単一の磁石114と、さらに、上述のように配置された、複数の離間されたコイルとを含み得る。1つまたは複数のコイル112は、磁束がコイル112を通過してコイル112中に行き渡る場合、電気を生成し得る。
【0056】
別の実施形態において、エネルギー生成システム110は、スパイダシャフト16または他の構造の周りを回転する小型のおもりおよび磁石を含み得る。おもりおよび磁石は、互いに接続され、好ましくは、互いに直接取り付けられる。おもりは差動ケース14に接続される。差動ケース14の選択的な回転が、おもりに回転を与える。動いているおもりの慣性力が、磁石に、コイル112に隣接して、またはコイル112の直上もしくは周りを通らせる。故に、磁石はコイル112内に電流を生成する。当該電流は、必要な場合にバッテリ54の維持またはバッテリ54の効果的な交換を補助するために、電源またはバッテリ54に提供され得る。1つよりも多くのおもり/磁石システムが、システムに必要な電力を生成するために用いられ得ることが理解され得る。
【0057】
一実施形態において、図5および6に示されるように、差動ケース14は、磁路を提供するために差動ケース14内に一体的に形成された磁路特徴部210を含み得る。磁路特徴部210は、1つの部品かつ差動ケース14との一体品として一体的に形成され得、および/または別個に取り付けられ得る。磁路特徴部210は、スチールを含むがそれに限定されない導電性材料で構成され得る。
【0058】
図5および6は磁路特徴部210の一実施形態を示しているが、磁路特徴部210は様々な形状およびサイズのものであり得、差動ケース14に対する磁路特徴部210の位置は異なり得る。図5および6は、電磁石38に隣接して配置された磁路特徴部210がある差動ケース14の一部分を示す。本実施形態において、図5に示されるように、センサアセンブリ50は、差動ケース14における、カムリング30からの軸方向開口14e内に配置される。差動ケース14の磁路特徴部210は、電磁石38とセンサアセンブリ50との間に配置される。
【0059】
磁路特徴部210は、コイル212が配置された曲線状の溝210aを含み得る。溝210aは、一定の深さおよび幅がある円または楕円として示されているが、他の形状および寸法も許容され得る。コイル212は、図6に示されるようにコイル212の上面が差動ケース14の外面と面一であるように、溝210a内に配置され得る。図6において、磁路は、差動ケース14における矢印により示される。
【0060】
別の実施形態において、エネルギー生成システムは、システム内で生成される慣性力を用いて、物質を動かしたり、電気を生じさせたりし得る。本実施形態において、エネルギー生成システム310は、図7A、7Bに示されるように、シェーカー型エネルギー生成システムである。シェーカー型エネルギー生成システム310は、磁石312を少なくとも部分的に囲むワイヤ製のコイル314内で例えば軸方向などに選択的に移動する磁石312を含む。コイル314は、必要な場合に電源54の維持または電源54の効果的な交換を補助するために、電源54に接続される。ばねを含むがそれに限定されない付勢部材318が、磁石312を定位置に選択的に配置するために用いられ得る。
【0061】
図7Bに示されるように、付勢部材318は、磁石312を収容する筐体320内に配置される。付勢部材318は磁石312の一方の側に配置され得るが、他の場所および配置も許容され得る。図7Bに示されるように、磁石318は、付勢部材318を収容する筐体320の部分と比べてより大きい、筐体320の径部分320aにおける滑動を可能とされる。
【0062】
エネルギー生成システム310は、差動ケース14を予め定められた量だけ加速および/または減速させるために、磁石312が付勢部材318を圧縮し、コイル314内の磁石312の移動により電流が生成されるように、差動ケース14に接続される。
【0063】
エネルギー生成システム310は、差動ケース14上に、部分的に差動ケース14の外壁内に、完全に差動ケース14の外壁内に、または差動ケース14内に、配置され得る。
【0064】
無線システム10の電力ニーズに基づいて任意の数のシェーカー型エネルギー生成システム310が用いられ得ることが理解され得る。
【0065】
特許法の規定に従って、本発明は、その好ましい実施形態を表すとみなされるものについて説明されてきた。しかしながら、当該実施形態は、その思想または範囲を逸脱することなく、具体的に図示され、説明されているものとは異なる方法で実施され得ることに留意すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B