特許第6494032号(P6494032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6494032封入された二酸化チタン、蛍光顔料、および顔料を含むポリウレタン分散物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494032
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】封入された二酸化チタン、蛍光顔料、および顔料を含むポリウレタン分散物
(51)【国際特許分類】
   C09D 17/00 20060101AFI20190325BHJP
   C09C 1/36 20060101ALI20190325BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20190325BHJP
   C09D 11/322 20140101ALI20190325BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20190325BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C09D17/00
   C09C1/36
   C09C3/10
   C09D11/322
   B41M5/00 120
   B41J2/01 501
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-144713(P2015-144713)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2016-35051(P2016-35051A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2018年7月23日
(31)【優先権主張番号】14/451,317
(32)【優先日】2014年8月4日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・エイ・ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エイチ・バニング
(72)【発明者】
【氏名】ジアン・ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ジュール・ダブリュ・トーマス・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジーザス・ゴンザレス・ジュニア
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−520545(JP,A)
【文献】 特開2004−175861(JP,A)
【文献】 特表2006−522190(JP,A)
【文献】 特開2005−029706(JP,A)
【文献】 特表2002−503746(JP,A)
【文献】 特開2013−227413(JP,A)
【文献】 特開2011−038035(JP,A)
【文献】 特開2007−161843(JP,A)
【文献】 特開2011−001498(JP,A)
【文献】 特開2009−263571(JP,A)
【文献】 特開平11−349870(JP,A)
【文献】 特表2012−527510(JP,A)
【文献】 特開平11−152424(JP,A)
【文献】 特開2000−239392(JP,A)
【文献】 特開2008−156463(JP,A)
【文献】 特開平02−022367(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0011941(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 17/00
B41J 2/01
B41M 5/00
C09C 1/36
C09C 3/10
C09D 11/322
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ポリオール;
(ii)ポリイソシアネート;および
(iii)内部界面活性剤
の触媒反応生成物であるウレタンプレポリマーを調製することと、
前記ウレタンプレポリマーと中和剤とを反応させることによって、中和されたプレポリマーを作製することと、
前記中和されたプレポリマーに、TiO顔料、蛍光顔料、燐光顔料およびこれらの混合物からなる群から選択される顔料であって、前記ポリイソシアネートに対して反応性ではない顔料を加えることと、
前記中和されたプレポリマーに水を加えることによって、中和されたプレポリマーの水性分散物を作製することと、
前記中和されたプレポリマーの水性分散物と、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびこれらの混合物からなる群から選択される鎖延長剤とを反応させることによって、封入された顔料の分散物を製造することと、
を含む、封入された顔料の分散物を製造する方法であって
前記ウレタンプレポリマーと前記中和剤とを反応させることによって、中和されたプレポリマーを作製する工程は、前記中和されたプレポリマーの水性分散物と前記鎖延長剤とを反応させることによって、封入された顔料の分散物を製造する工程より前に行われる、
封入された顔料の分散物を製造する方法
【請求項2】
前記封入された顔料の分散物の室温での粘度が2〜150cpである、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記封入された顔料の分散物の室温での表面張力が15〜65ダイン/cmである、請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記ポリオールに対する前記内部界面活性剤の化学量論的なモル当量比は、0.5〜2であり、前記プレポリマー中の合計OH基に対するNCO基の化学量論的なモル当量比は、1〜3である、請求項1に記載の方法
【請求項5】
前記封入された顔料の分散物において、前記顔料は、前記封入された顔料の分散物の0.1〜30重量%の量で存在する、請求項1に記載の方法
【請求項6】
前記ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記内部界面活性剤は、アニオン性内部界面活性剤、カチオン性内部界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法
【請求項8】
前記内部界面活性剤は、ジメチロールプロピオン酸を含む、請求項1に記載の方法
【請求項9】
前記中和剤は、トリアルキルアミンを含む、請求項1に記載の方法
【請求項10】
前記中和されたプレポリマーは、重量平均分子量が1,000〜20,000である、請求項1に記載の方法
【請求項11】
前記ウレタンプレポリマーと前記中和剤とを反応させた後、前記中和されたプレポリマーに水を加える前に、前記顔料を加える工程を行う、請求項1に記載の方法
【請求項12】
(i)ポリオール;
(ii)ポリイソシアネート;および
(iii)内部界面活性剤
の触媒反応生成物であるウレタンプレポリマーであって、前記ポリオールに対する前記内部界面活性剤の化学量論的なモル当量比が、0.5〜2.0であり、前記プレポリマー中の合計OH基に対するNCO基の化学量論的なモル当量比が、1.2〜2.0であるウレタンプレポリマーを調製することと、
前記ウレタンプレポリマーと中和剤とを反応させることによって、中和されたプレポリマーを作製することと、
前記中和されたプレポリマーに水を含む水性分散物を加えることによって、中和されたプレポリマーの水性分散物を作製することと、
前記中和されたプレポリマーの水性分散物と、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびこれらの混合物からなる群から選択される鎖延長剤とを反応させることによって、封入された顔料の分散物を製造することと、
を含む、封入された顔料の分散物を製造する方法であって
前記顔料は、前記ポリイソシアネートに対して反応性ではない顔料であり、
前記封入された顔料の分散物は、室温での粘度が2〜150cp、室温での表面張力が15〜65ダイン/cmであり、
前記ウレタンプレポリマーと前記中和剤とを反応させることによって、中和されたプレポリマーを作製する工程は、前記中和されたプレポリマーの水性分散物と前記鎖延長剤とを反応させることによって、封入された顔料の分散物を製造する工程より前に行われる、
封入された顔料の分散物を製造する方法
【請求項13】
(i)ポリオール;
(ii)ポリイソシアネート;および
(iii)内部界面活性剤
の触媒反応生成物であるウレタンプレポリマーを調製することと、
前記ウレタンプレポリマーと中和剤とを反応させることによって、中和されたプレポリマーを作製することと、
前記中和されたプレポリマーに水を含む水性分散物を加えることによって、中和されたプレポリマーの水性分散物を作製することと、
前記中和されたプレポリマーの水性分散物と、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびこれらの混合物からなる群から選択される鎖延長剤とを反応させることによって、封入された顔料の分散物を製造することと、
を含む、封入された顔料の分散物を含むインクジェットインク組成物を製造する方法であって
前記方法は、前記中和されたプレポリマーの水性分散物と前記鎖延長剤とを反応させる前に行われる、TiO顔料、蛍光顔料、燐光顔料およびこれらの混合物からなる群から選択される顔料であって前記ポリイソシアネートに対して反応性ではない顔料を加える工程を更に含み、
前記ウレタンプレポリマーと前記中和剤とを反応させることによって、中和されたプレポリマーを作製する工程は、前記中和されたプレポリマーの水性分散物と前記鎖延長剤とを反応させることによって、封入された顔料の分散物を製造する工程より前に行われる、
封入された顔料の分散物を含むインクジェットインク組成物を製造する方法
【請求項14】
前記封入された顔料の分散物は、室温での粘度が2〜150cp、室温での表面張力が15〜65ダイン/cmである、請求項13に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリウレタン分散物は、水性インクジェットインクの担体として(例えば、米国特許第5,700,851号)および水性印刷インクの担体として(例えば、米国特許第5,637,638号)使用されてきた。これらの特許に記載される分散物は、共有結合によって分子のポリウレタン骨格に組み込まれ、最終的なインクの着色源として作用する反応性ポリマー着色剤を使用した。
【背景技術】
【0002】
市販の「安定化されていない」顔料、例えば、TiO顔料、蛍光顔料、および/または燐光顔料は、インク用途およびコーティング用途に非常に重宝されている。しかし、乳化重合中に、ラテックスにこれらの「安定化されていない」顔料を封入すること、または組み込むことは、簡単な取り組みではない。乳化重合中、市販のTiO顔料、蛍光顔料、および/または燐光顔料が以下の要求をみたさなければならないからである。(1)乳化重合に用いられるモノマーに可溶性であること、(2)乳化重合がミセルの内側で起こるにつれて、モノマーミセルに取り込まれること、および(3)遊離ラジカル重合環境で安定であること。多くの市販のTiO顔料、蛍光顔料、および/または燐光顔料は、このような環境で安定ではなく、その色は、その後破壊される。典型的には、封入された市販のTiO顔料、蛍光顔料、および/または燐光顔料が全重合プロセスを耐え抜いたとしても、このプロセス終了時に酸化条件または還元条件ですべての過剰なモノマーが破壊されるとき、遊離ラジカル環境には安定でないことが多い。市販のTiO顔料、蛍光顔料、および/または燐光顔料をポリウレタン分散物に封入し、これらすべての問題を回避する。TiO顔料、蛍光顔料、および/または燐光顔料をポリウレタン分散物に封入し、これらすべての問題を回避する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
顔料分散物を含むインク組成物が、貯蔵中だけではなく、繰り返される吐出サイクルのときにも安定なままであることが重要である。従って、市販の顔料をラテックスに封入し、インクジェット用途で使用可能な、非常に安定な顔料ポリウレタン分散物を提供するための方法の必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、水と、本開示の特定の実施形態にかかる可視光染料を含有する中和されるプレポリマーとの混合物の油中水分散物を示す。
図2図2は、本開示の特定の実施形態にかかる高速スピニング後の、水と、可視光染料を含有する中和されるプレポリマーとの混合物の水中油分散物を示す。
図3図3は、本開示の特定の実施形態にかかる水中の1個の可視光染料分散物粒子の拡大図を示す。
図4図4は、本開示の特定の実施形態にかかる鎖延長剤分散物を添加した後の1個の可視光染料分散物粒子の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、封入された顔料分散物であって、(a)(i)ポリオール;(ii)ポリイソシアネート;および(iii)内部界面活性剤の触媒反応生成物である、ウレタンプレポリマー;(b)中和剤;(c)鎖延長剤の反応生成物であるポリウレタン分散物と;TiO顔料、蛍光顔料、燐光顔料およびこれらの混合物からなる群から選択される顔料とを含み、顔料が、ポリイソシアネートに対して反応性ではない、封入された顔料分散物を提供する。
【0006】
さらなる実施形態において、本開示は、封入された顔料分散物であって、(a)(i)ポリオール;(ii)ポリイソシアネート;および(iii)内部界面活性剤の触媒反応生成物であり、ポリオールに対する内部界面活性剤の化学量論的なモル当量比は、約0.5〜約2.0であり、プレポリマー中の合計OH基に対するNCO基の化学量論的なモル当量比は、約1.2〜約2.0である、ウレタンプレポリマー;(b)中和剤;(c)鎖延長剤の反応生成物である、ポリウレタン分散物と;ポリイソシアネートに対して反応性ではない顔料を含む水性顔料分散物とを含み、顔料が、ポリウレタン分散物に封入されており、さらに、封入された顔料分散物は、平均粒径が約20nm〜約900nm、室温での粘度が約2〜約150cp、室温での表面張力が約15〜約65ダインである、封入された顔料分散物を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、本開示は、(a)(i)ポリオール;(ii)ポリイソシアネート;および(iii)内部界面活性剤の触媒反応生成物である、ウレタンプレポリマー;(b)中和剤;(c)鎖延長剤の反応生成物であるポリウレタン分散物と;TiO顔料、蛍光顔料、燐光顔料およびこれらの混合物からなる群から選択される顔料とを含み、この顔料が、ポリイソシアネートに対して反応性ではない、封入された顔料を含むインクジェットインク組成物も提供する。
【0008】
本明細書で使用する場合、「分散物」という用語は、1つの相が、塊状物質全体に分布する細かく分けられた粒子(多くは、コロイド状の粒径範囲)からなり、この粒子が分散しているか、または、内部相および塊状物質が、連続した相または外部相である二相系を意味する。塊状系は、水系であることが多い。
【0009】
本明細書で使用する場合、「PUD」という用語は、本明細書に記載するポリウレタン分散物を意味する。
【0010】
本明細書で使用する場合、「DMPA」という用語は、ジメチロールプロピオン酸を意味する。
【0011】
開示は、ポリウレタン分散物と、ウレタンプレポリマーの任意の試薬/または前駆体(すなわち、ポリオール、ポリイソシアネート、および/または内部界面活性剤)に対して反応しないTiO顔料、蛍光顔料、燐光顔料およびこれらの混合物から選択される顔料を含む水性顔料分散物とを含む、封入された顔料分散物を提供する。本開示のポリウレタン分散物は、(a)ウレタンプレポリマー、(b)中和剤および(c)鎖延長剤の反応生成物であり、ウレタンプレポリマーは、(i)ポリオール、(ii)ポリイソシアネートおよび(iii)内部界面活性剤から調製される。
【0012】
本開示の封入された顔料分散物を調製するとき、例えば、鎖延長剤の添加前に、ポリウレタン分散物作成中に顔料を加えることによって、顔料をポリウレタン分散物に組み込んでもよく、または封入してもよい。
【0013】
封入された顔料分散物の調製は、粘性プレポリマーを最初に作成し、次いで、プレポリマーを作成した後に市販のTiO蛍光顔料および/または燐光顔料を加えることを必要とする。
【0014】
これらの市販の顔料は、「安定化されておらず」、水に分散させることができない。従って、ポリウレタン分散物を作成した後に、これらの顔料をポリウレタン分散物に加えると、顔料は、単純に、ラテックスの水部分に「浮く」だろう。本開示において、市販のTiO蛍光顔料および/または燐光顔料をプレポリマー、またはプレポリマーを製造するために反応する成分(すなわち、ポリイソシアネート、ポリオールおよび内部界面活性剤)に加える。これらの顔料が、これらの有機物には可溶性だからである。
【0015】
特定の実施形態において、封入された顔料分散物は、ウレタンプレポリマーを調製することと;ウレタンプレポリマーと中和剤を反応させることと;中和されるプレポリマーに水を加え、中和されるプレポリマーの水性分散物を作成することと;中和されるプレポリマーの水性分散物と鎖延長剤とを反応させることによって、封入された顔料分散物を製造することとを含むプロセスによって調製されてもよく、ここで、ウレタンプレポリマーを調製する工程は、反応混合物に顔料を加える工程を含む。例えば、顔料を、触媒存在下、ポリオール、ポリイソシアネートおよび内部界面活性剤の混合物に加えてもよい。
【0016】
特定の実施形態において、封入された顔料分散物は、ウレタンプレポリマーを調製することと;顔料をウレタンプレポリマーに添加することと;ウレタンプレポリマーと中和剤を反応させ、中和されるプレポリマーを作成することと;中和されるプレポリマーに水を加え、中和されるプレポリマーの水性分散物を作成することと;中和されるプレポリマーの水性分散物と鎖延長剤とを反応させることによって、封入された顔料分散物を製造することを含むプロセスによって調製されてもよい。
【0017】
特定の実施形態において、封入された顔料分散物は、ウレタンプレポリマーを調製することと;ウレタンプレポリマーと中和剤を反応させ、中和されるプレポリマーを作成することと;中和されるプレポリマーに顔料を加えることと;中和されるプレポリマーに水を加え、中和されるプレポリマーの水性分散物を作成することと;中和されるプレポリマーの水性分散物と鎖延長剤を反応させることによって、封入された顔料分散物を製造することとを含むプロセスによって調製されてもよい。
【0018】
ウレタンプレポリマーは、触媒存在下、ポリオール、ポリイソシアネートおよび内部界面活性剤を反応させることによって調製されてもよい。ポリオールおよびポリイソシアネートを添加する前に、内部界面活性剤を、有機溶媒、例えば、NMP、DMF、または他の極性非プロトン性溶媒に溶解してもよい。
【0019】
一般的に、ポリオールに対する内部界面活性剤の化学量論的なモル当量比は、約0.5〜約2、約0.75〜1.75、または約1〜約1.5であってもよく、プレポリマー中の合計OH基に対するNCO基の化学量論的なモル当量比は、約1.0〜3.0、約1.25〜2.5、または約1.5〜約2.0であってもよい。ポリオールに対する内部界面活性剤の比率が高く、OH基に対するNCO基の比率が低いことが望ましい。典型的には、例えば、ジ−n−ブチルアミン滴定法によって決定されてもよい理論的なイソシアネート含有量に到達するまで、ウレタンプレポリマー反応は、約70℃〜約100℃で約1〜約5時間行われ、内部界面活性剤を含有するウレタンプレポリマー(末端がイソシアネート)を生成する。
【0020】
このウレタンプレポリマー(内部界面活性剤を含有する、末端がイソシアネートプレポリマー)を、中和剤、例えば、トリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミンで中和してもよい。使用する中和剤の量は、ウレタンプレポリマーに存在する内部界面活性剤の量に依存して変わってもよく、内部界面活性剤が、約50%〜約110%または約90%〜約105%の範囲の量であってもよい。この中和工程によって、ウレタンプレポリマーの官能基を中和することによって、ウレタンプレポリマーを分散させる。一実施形態において、内部界面活性剤の上に存在するカルボン酸を中和することによって、塩(例えば、−COHN、ここで、Rは、低級アルキル基である)を作成してもよい。
【0021】
中和されるプレポリマーは、典型的には、重量平均分子量(MW)が約5,000〜約10,000、約1,000〜約20,000、約3,000〜約15,000、または約5,000〜約10,000である。水1(例えば、脱イオン(DI)水)を、中和されるプレポリマー3に加えてもよく、中和されるプレポリマー3は、プレポリマー作成中、またはプレポリマー作成後で中和剤を加える前に加えてもよい染料2を含有する。水性分散物中の水の量は、最終的なポリウレタン分散物中の望ましい固体の割合に基づき、水性分散物の合計重量を基準として、約1.0〜約99%、約20〜約80または約35〜約60%の量であってもよい。水性分散物は、通常は、「油中水」分散物として開始し、このとき、水は、分散状態で加えられる。図1は、中和されるプレポリマー3に最初に水が加えられるときの「油中水」分散物を示す。分散プロセス中、混合物(すなわち、水と、中和されるプレポリマー3)を高速(例えば、5,000〜10,000rpm)で回転させてもよく、「油中水」分散物が「水中油」分散物に変換されてもよい。ブレード(例えば、分散ブレード4)を回転させることによって、分散を達成することができる。高速で分散ブレードを使用する効果は、混合するよりも系に分散させる方にエネルギーを与えることである。この時点で、最終的な封入された染料分散物の粒径を決定してもよい。図2は、「水中油」分散物を示し、ここで、中和されるプレポリマー3を水に懸濁させる。中和されるプレポリマー3の液滴の内側に、中和されるプレポリマーの末端(すなわち、遊離NCO基)が、液滴の内部表面にある。本開示の一実施形態において、図3は、水中の1個の分散物粒子の拡大図を示し、DMPAは、内部界面活性剤として使用される。
【0022】
次いで、化学量論的な当量の量の約60〜約100%のプレポリマー、または約85〜約95%のプレポリマーを用いることによって、鎖延長剤(例えば、適切なジアミン、トリアミン、ジオールまたはトリオール)を加え、ポリウレタン分散物の重量平均分子量を上げてもよい。使用されるポリオールおよび使用される特定の鎖延長剤の重量平均分子量は、最終的な受け入れ基材へのインクの付着に影響を与えるだろう。鎖延長剤は、分散物粒子内部に拡散または移動し、中和されるプレポリマーの末端遊離イソシアネート基と反応することによって、ポリウレタンポリマーの分子量を大きくし、このプロセスで尿素を生成してもよい。本開示の一実施形態において、図4は、鎖延長剤(例えば、エチレンジアミン)を水に添加した後の1個の分散物粒子の拡大図を示し、DMPAは、内部界面活性剤として使用される。
【0023】
本開示で使用するのに適した鎖延長剤の例としては、ジアミン、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンおよび1,4−シクロヘキサンジアミン;1個の一級アミノ基と1個の二級アミノ基を有するジアミン、例えば、N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミンおよびN−メチルアミノプロピルアミン;ポリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンおよびトリエチレンテトラミンが挙げられる。一実施形態において、鎖延長剤は、エチレンジアミンを含む。
【0024】
安定な顔料を含むポリウレタン分散物が生成する限り、任意の適切な量のプレポリマー、中和剤、水および鎖延長剤をウレタンプレポリマーに加えてもよい。
【0025】
顔料を分散するための攪拌/分散デバイスとして、例えば、種々の既知のディスペンサ、例えば、高速インペラディスク、超音波ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダ、ダイノミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザなどを使用してもよい。
【0026】
次いで、封入された顔料のポリウレタン分散物を、水性媒体、少なくとも1つの保水剤、場合により少なくとも1つの可塑剤と合わせる。
【0027】
本開示の封入された顔料の分散物は、分散物の平均粒径(すなわち、粒子直径)が約20nm〜約900nm、約30nm〜約600nm、または約50nm〜約100nmであってもよい。この粒径範囲は、粒子および粒子が分散して得られるインクの沈降および安定性/分散の問題を解消する。平均粒子直径は、種々の方法によって測定することができ、例えば、Nikkiso Co.,Ltd.によって製造された粒子分析機UPA 150を用いて測定することができる。
【0028】
本開示の封入された顔料分散物は、室温での粘度が、約2〜約150cp、約10〜約100cp、または約20〜約80cpであってもよい。本開示の封入された顔料分散物は、室温での表面張力が約15〜約65ダイン、約25〜約60ダイン、または約35〜約55ダインであってもよい。
【0029】
本開示の封入された顔料分散物の顔料の含有量は、封入された顔料分散物の約0.1〜約30重量%、約1.0〜約15重量%、または約2.0〜約5.0重量%の範囲であってもよい。顔料は、一般的に、顔料粒子の平均粒径(すなわち、粒子直径)が、約20nm〜約900nm、約50nm〜約500nm、または約100nm〜約250nmである。
【0030】
本開示の顔料は、ウレタンプレポリマーの任意の試薬/または前駆体(すなわち、ポリオール、ポリイソシアネートおよび内部界面活性剤)に対して反応しない。特に、顔料は、非フェノール性ヒドロキシル基も脂肪族の一級アミンまたは二級アミンも含まないが、3つの置換基の1つが芳香族環であるフェノール性ヒドロキシル基および/または三級アミンを含んでいてもよい。
【0031】
本開示で使用される顔料は、TiO、蛍光顔料、燐光顔料、または任意のこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0032】
本開示で有用な二酸化チタン(TiO)顔料は、ルチル型またはアナターゼ型の結晶性形態であってもよい。この顔料は、一般的に、塩化物プロセスまたは硫酸プロセスのいずれかによって作られる。塩化物プロセスにおいて、TiClをTiO粒子に酸化する。硫酸プロセスにおいて、硫酸およびチタンを含有する鉱物を溶解し、得られた溶液に一連の工程を行い、TiOを得る。硫酸プロセスおよび塩化物プロセスは、両方とも、「The Pigment Handbook」、Vol.1、2nd Ed.、John Wiley & Sons、NY(1988)に非常に詳細に記載されている。二酸化チタン粒子は、平均粒径が、約50〜約950ナノメートル、約75〜約750ナノメートル、または約100〜約500ナノメートルであってもよい。二酸化チタン顔料は、それ自体が白色である。
【0033】
蛍光顔料は、従来の色よりももっと多くの光を吸収し、反射し、もっと明るく、もっと強力な影を生じる。従来の色は、その主要な波長と合う可視光スペクトルの一部を吸収し、再発光するが、残りの色は、吸収され、熱として散逸される。蛍光顔料は、可視光スペクトルと、従来の色と比較してもっと小さな波長の両方を大量に使用する。蛍光顔料は、主要な波長の光エネルギーを吸収し、変換するだけではなく、紫外線および可視光より低波長の他の色も吸収し、変換する。任意の蛍光顔料を本開示で使用してもよい。蛍光顔料粒子は、粒径が、約100nm〜約2000nm、約200nm〜約1500nm、または約300nm〜約1000nmであってもよい。蛍光顔料の例としては、Day−Glo Color Corporationから商品名Splash Colors(商標) SPL−NおよびEcho Colors(商標) ECXによって上市されているものが挙げられる。Day−Glo(商標) SPL−NおよびDay−Glo(商標) ECX蛍光顔料の粒子は、比重が約1.0〜1.1の分散物として供給される。Day−Glo(商標) SPL−N分散物は、固形分46〜50%、粒径範囲0.25〜0.40ミクロンとして供給される。Day−Glo(商標) ECX分散物は、固形分42〜46%、粒径範囲0.20ミクロン未満として供給される。
【0034】
燐光顔料は、一般的に、蓄光顔料と呼ばれ、エネルギーを吸収し、貯蔵する能力を有する。光源が除去されると、燐光顔料は、光の形態で貯蔵されたエネルギーを放出し始める。本開示に従って使用するための燐光顔料としては、当該技術分野の技術の範囲内にある任意のこのような顔料が挙げられる。適切な顔料としては、いくつかの実施形態において、Mnおよび/またはCuが場合によりドープされたZnSを含め、ZnS顔料が挙げられる。このようなZnS顔料としては、CuがドープされたZnS、例えば、USR Optonix Inc.から市販され、粒径が約12ミクロン〜約30ミクロンのものが利用可能な、緑色の光沢を有する2330、およびP170 SPS BLUEとしてUSR Optonix Inc.から市販され、粒径が約18ミクロンであり、青色の光沢を有するSr2MgSi2O7が挙げられる。適切な燐光顔料の他の例としては、アルカリ土類アルミネートおよびアルカリ土類シリケートが挙げられる。例えば、適切なアルカリ土類アルミネートとしては、Nemoto & Co.,Ltd.から市販され、青色の光沢を有するLUMINOVA(登録商標)が挙げられる。Nemoto & Co.,Ltd.から市販される他の適切なLUMINOVA(登録商標)顔料としては、EuおよびDyがドープされたSrAl2O4、例えば、粒径が約2〜約60ミクロンであり、G−300として販売されるもの、粒径が約2〜約40ミクロンであり、GLL−300として販売されるもの、EuおよびDyがドープされ、粒径が約2〜約40ミクロンであるSr4Al14O25、例えば、BG−300およびBGL−300として販売されるもの、EuおよびNdがドープされ、粒径が約20〜約60ミクロンのCaAl2O4、例えば、V−300として販売されるもの、または顔料の混合物、例えば、EuおよびNdがドープされたCaAl2O4と、EuおよびDyがドープされたSr4Al14O25を合わせたものを含め、B−300として販売されるものが挙げられる。また、黄色/橙色に輝く14ミクロンのNG−15または20ミクロンのCuがドープされたNG−20ZnS;橙色に輝く、18ミクロンのMnおよびCuがドープされたNG−25ZnS;青色に輝く、26ミクロンのNGX−19Sr2MgSi2O7(DyおよびEuがドープされている);および黄緑色に輝く、23ミクロンのNGX−6Y SrAl2O4(DyおよびEuがドープされている)が挙げられ、すべてDaygloから市販されている。
【0035】
本明細書で使用する場合、「ポリオール」という用語は、2個以上のヒドロキシル基、例えば、ジオール、トリオール、テトラオールなどを含む材料を含むことを意図している。ポリオールの重量平均分子量は、約60〜約10,000、約500〜約5000、または約1000〜約2000の範囲であってもよい。ポリオールの非限定例としては、ジオール、トリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切なポリエーテルポリオールとしては、限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールおよびこれらの混合物が挙げられる。炭化水素鎖は、飽和または不飽和の結合と、置換または非置換の芳香族および環状基とを有していてもよい。適切なポリアクリレートポリオールとしては、限定されないが、グリセロール、1,3−ジグリセロレートジアクリレートが挙げられる。適切なポリエステルポリオールとしては、限定されないが、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール;o−フタレート−1,6−ヘキサンジオール;ポリ(ヘキサメチレンアジペート)グリコール;およびこれらの混合物が挙げられる。適切なポリカーボネートポリオールとしては、限定されないが、ポリ(ポリTHFカーボネート)ジオールが挙げられる。
【0036】
本明細書で使用する場合、「ポリイソシアネート」という用語は、2個以上のイソシアネート基を含む材料を含むことを意図している。ポリイソシアネートの重量平均分子量は、約140〜約1000、約168〜約262、または約222〜約680の範囲であってもよい。適切なポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート、トリイソシアネート、ジイソシアネートのコポリマー、トリイソシアネートのコポリマー、ポリイソシアネート(3個より多いイソシアネート官能基を有する)など、およびこれらの混合物が挙げられる。ジイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI);トルエンジイソシアネート(TDI);ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI);水素化ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI);テトラ−メチルキシレンジイソシアネート(TMXDI);ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート(HDI);ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート;3,3’−ジメチル−4,4’−ビメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート;フェニレンジイソシアネート;4,4’−ビフェニルジイソシアネート;トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;テトラメチレンキシレンジイソシアネート;4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアネート);1,12−ジイソシアナトドデカン;1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン;1,4−ジイソシアナトブタン;ダイマージイソシアネートおよびシクロヘキシレンジイソシアネートおよびその異性体;HDIのウレチジオンダイマーなど、およびこれらの混合物が挙げられる。トリイソシアネートまたはその等価物の例としては、TDIなどのトリメチロールプロパントリマー、TDI、HDI、IPDIなどのイソシアヌレートトリマー、およびTDI、HDI、IPDIなどのビウレットトリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。高級イソシアネート官能基の例としては、TDI/HDIなどのコポリマー、およびMDIオリゴマー、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
適切な内部界面活性剤としては、アニオン性内部界面活性剤およびカチオン性内部界面活性剤の両方を含む。これらには、スルホネートジアミンおよびジオールおよびジヒドロキシカルボン酸が含まれる。一実施形態において、内部界面活性剤は、α,α−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)である。
【0038】
任意の従来のウレタンを生成する触媒をプレポリマー生成反応に使用してもよい。適切なウレタン反応触媒としては、限定されないが、ジブチルスズジラウレート、ビスマストリス−ネオデカノエート、安息香酸コバルト、酢酸リチウム、第一スズオクトエート、トリエチルアミンなどが挙げられる。
【0039】
本開示の封入された顔料分散物をインクジェットインクに使用してもよい。本発明のインクジェットインクは、本発明の封入された顔料分散物を、水、または水を含有する水性溶媒で希釈し、必要な場合、これに他の任意要素の添加剤、例えば、保水剤、可塑剤、導電性剤、消泡剤、酸化防止剤、腐食抑制剤、殺菌剤、pH制御剤を加えることによって、調製することができる。
【0040】
インクジェットインク組成物は、保水剤を含んでいてもよい。保水剤の例としては、限定されないが、アルコール、例えば、グリコール、例えば、2,2’−チオジエタノール、グリセロール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールおよびテトラエチレングリコール;ピロリドン、例えば、2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;N−メチル−2−オキサゾリジノン;およびモノアルコール、例えば、n−プロパノールおよびイソ−プロパノールが挙げられる。保水剤は、インク組成物の約2重量%〜約20重量%、または約4重量%〜約10重量%の量で存在していてもよい。
【0041】
インクジェットインク組成物は、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤の例としては、限定されないが、脂肪族ポリオール、フタレートエステル(例えば、1,6−ヘキサンジオールおよびジオクチルフタレート)および他のウレタンに相溶性の可塑剤が挙げられる。
【0042】
インクジェットインク組成物は、インクジェット印刷用途に望ましい特徴を付与するために、他の成分を含んでいてもよい。これらの任意要素の成分としては、インク製造およびプリンタの性能を高める導電性剤、消泡剤、酸化防止剤および腐食抑制剤;インク製造装置およびプリンタを腐敗させる細菌の攻撃を防ぐ殺菌剤;および操作可能な範囲の水含有量において、貯蔵期間および使用期間の間、インク組成物の成分が可溶性のままであることを確保するpH制御剤が挙げられる。
【0043】
本開示のインクジェットインク組成物は、高い透明度および輝度を有する。本開示のインクは、表面張力が、約20ダイン/cm〜約70ダイン/cmの範囲、または30ダイン/cm〜約50ダイン/cmの範囲であってもよく、室温での粘度が、約1.0〜約10.0、または約1.0〜約5.0センチポイズの範囲であってもよい。
【0044】
封入された顔料分散物の粒子は、pHが約4〜約10、約5〜約9、または約6〜約8のインク中の液体を保有する媒体中に安定化されるか、分散したままである。
【実施例】
【0045】
以下の実施例は、本発明をさらに説明する。他の意味であると明示的に示されていない限り、あらゆる部および百分率は、重量基準であり、あらゆる温度は、摂氏である。
【0046】
実施例1
中和される顔料プレポリマーの調製
前もって溶解されるDMPA/NMP溶液:
50mlフラスコにテフロン(登録商標)コーティングされた攪拌磁気棒を取り付け、9.75gの2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA、MW=134、ミルウォーキー、ウィスコンシンのAdrich Chemicalから入手可能)および15.64gのN−メチルピロリドン(NMP)を加えた。DMPAが完全に溶解するまで、混合物を攪拌しつつ70℃で加熱した。
【0047】
プレポリマーの生成
1LケトルにTruboreスターラーおよびTeflon攪拌パドル、温度制御器、100mLの定圧滴下漏斗およびN注入口を取り付け、72.76gのあらかじめ溶融させたTerathane(登録商標)2000(平均Mn=2000のポリ(テトラヒドロフラン)、Simga−Aldrichから入手可能)を入れた。ケトルをブラケットで密閉し、ケトルの底部1/3を70℃の油浴に沈め、内容物を15分間攪拌した。前もって溶解させたDMPA/NMP溶液をこのケトルに加えた。内容物を約15分間攪拌した後、42.4gのイソフェロンジイソシアネート(IPDI、MW=222、ピスカタウェイ、ニュージャージーのHuls America,Inc.から入手可能)を、滴下漏斗によって約30分かけてこのケトルに滴下した。わずかな発熱が観察された。反応混合物を攪拌しつつ、70℃での加熱を約3時間45分続けた。
【0048】
ポリウレタン分散物中の顔料の中和および組み込み
実施例1a):得られた混合物に、3.0gのDay−Glo Color Corp製Corona Magenta Pigment Sample A−21[Day−Glo magenta]を加え、数分間攪拌した後、連続的に攪拌し、70℃で加熱しつつ、約7.35gのトリエチルアミン(MW=101)を加えた。攪拌し、約15分間加熱した後、中和されるプレポリマーを分散する準備ができた。中和される顔料を含むプレポリマーを含むケトルを、中和されるプレポリマー表面より約0.25インチ下に分散ブレードを備えた分散装置に移した。
【0049】
実施例1b):得られた混合物に、7.35gのトリエチルアミンを加え、次いで、連続的に攪拌し、70℃で加熱しつつ、7.6gの固体二酸化チタン(TiO、アナターゼ、ナノ粉末、15nm APS、Nanostructured & Amorphous Material,Inc.製)を加えた。攪拌し、約15分間加熱した後、中和されるプレポリマーを分散する準備ができた。中和される顔料を含むプレポリマーを含むケトルを、中和されるプレポリマー表面より約0.25インチ下に分散ブレードを備えた分散装置に移した。
【0050】
実施例1c):得られた混合物に、連続的に攪拌し、70℃で加熱しつつ、7.35gのトリエチルアミンを加え、中和されるプレポリマーを得た。その間に、500mlのエレンマイヤーフラスコに、7.6gの固体二酸化チタン(TiO、アナターゼ、ナノ粉末、15nm APS、Nanostructured & Amorphous Material,Inc.製)を加え、IKA Crushing Disperser(T50 basic ULTRA−TURRAX)を用い、245mlのアセトンおよびTiO/アセトンを高速(約10,000rpm)で約10秒かけて分散させた。あらかじめ分散させたTiO/アセトンを、中和されるプレポリマーに加えた。窒素を流すことによって、アセトンを80℃で留去した。1時間蒸留した後、家庭用の掃除機によって約20分間引張り、最後の残りのアセトンを留去した。この時点で、中和されるプレポリマーを分散する準備ができた。中和される顔料を含むプレポリマーを含むケトルを、中和されるプレポリマー表面より約0.25インチ下に分散ブレードを備えた分散装置に移した。
【0051】
実施例1a、1bまたは1cから得られた中和される顔料を含むプレポリマーに、245mLの冷やした(約5℃)脱イオン水にそれぞれ加えた。IKA(登録商標)Crushing Disperserを用い、得られた混合物を高速(約7,500rpms)で約15秒間分散させた。長い木製の舌圧子を使用し、ケトルの壁に固着した分散していないプレポリマーを剥がした。分散していないプレポリマーを、IKA(登録商標)Crushing Disperserのブレードの底部に置き、最高速のrpmに設定し、再び、約10秒間分散させた。中和されるプロポリマーの水性顔料分散物を得た。
【0052】
実施例2
鎖の延長
実施例1で得られる中和されるプレポリマーの水性顔料分散物に、それぞれ、エチレンジアミン溶液(4.91gのエチレンジアミン/10gの蒸留水)を約5分かけて滴下した。約1時間攪拌した後、得られる混合物を32オンスのガラス瓶に移し、密封し、少なくとも約72時間保存した。72時間経過時に、封入された顔料分散物が得られた(すなわち、封入されたMagenta−PUD顔料分散物、または封入されたTiO顔料分散物)。
【0053】
実施例3
水性インクジェットインクの調製
3個の別個の2オンス瓶に、それぞれ、10gの実施例2から得られる異なる封入された顔料分散物と、2gの0.1M pH8 KHPO/KHPOバッファーと、8gのDI水を入れた。内容物を約2分間攪拌した。
【0054】
得られたインクを、EPSON WF−3540プリンタで使用するために3個の別個の空のインクカートリッジに入れ、Xerox 4200紙およびXerox Digital Color Elite Gloss紙の上に、文字および塗りつぶした四角で構成される印刷を行った。
【0055】
実施例4
分析および測定
実施例2で得られたそれぞれの約20gの封入された顔料分散物を100mm×10cmのペトリ皿の上部および底部に注ぎ、48時間かけて乾燥/融着させた。さらなる分析のために、このサンプルをペトリ皿から剥がした。
【0056】
封入されたマゼンタ−PUD顔料分散物は、透明な蛍光の桃色に着色した溶液であった。数週間後、封入されていない顔料であると思われる固体がいくらか沈殿した。封入されたマゼンタ−PUD顔料分散物粒子の平均粒径は、MalvernによるZetasizer 6.34で測定されるように、25.83nmであった。
【0057】
封入されたTiO顔料分散物は、白色に着色した溶液であった。
図1
図2
図3
図4