(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494033
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】用紙センサの設計
(51)【国際特許分類】
G01N 33/52 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
G01N33/52 B
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-160364(P2015-160364)
(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公開番号】特開2016-45199(P2016-45199A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2018年8月14日
(31)【優先権主張番号】62/041,174
(32)【優先日】2014年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/799,832
(32)【優先日】2015年7月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】マンダキニ・カナンゴ
(72)【発明者】
【氏名】シン・リュー
(72)【発明者】
【氏名】ナンシー・ワイ・ジア
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ジェイ・ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】ローラ・リュー
【審査官】
赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/049348(WO,A2)
【文献】
国際公開第2012/160857(WO,A1)
【文献】
特開2008−298481(JP,A)
【文献】
特開昭51−003291(JP,A)
【文献】
特開2009−039350(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0034908(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の軸対称の検査ゾーンと、
前記複数の軸対称の検査ゾーンを囲む基準領域と、
を含む、流体中の生体物質の濃度を判定するための生物医学的用紙センサであって、
前記複数の軸対称の検査ゾーンが中心点から外側に放射状に広がってそれぞれ扇形を有しており、
前記複数の軸対称の検査ゾーンの各々が、ワックスインク障壁によって分割されており、
前記複数の軸対称の検査ゾーンの各々が、その中に固有の試薬を含み、
前記基準領域が、関連する複数の軸対称の検査ゾーンの各々と比較するための別個の予め判定可能な色を各サブエリアに含む複数のキャリブレーション色サブエリアを含み、
前記基準領域が前記複数の検査ゾーンを囲む補助情報エリアをさらに含んでおり、前記補助情報エリアにおいて、各検査ゾーンにおける検査の種類を示す補助情報又は識別テキストが該検査ゾーンの外側で、かつ該検査ゾーンに隣接する位置に示されている、
生物医学的用紙センサ。
【請求項2】
前記複数の検査ゾーンが少なくとも2つである、請求項1に記載の用紙センサ。
【請求項3】
基準領域エリア及び軸対称の検査ゾーンエリアの合成エリアを含む全装置エリアをさらに含み、
前記軸対称の検査ゾーンエリアが、前記全装置エリアの少なくとも37.5%である、
請求項1に記載の用紙センサ。
【請求項4】
前記基準領域エリアが、さらに、軸対称の検査ゾーンエリアとキャリブレーション色エリアとを分離する基板領域を含む、請求項3に記載の用紙センサ。
【請求項5】
前記複数の軸対称の検査ゾーンの各々の面積が少なくとも5mm2である、請求項1に記載の用紙センサ。
【請求項6】
前記ワックスインク障壁が100μmの厚さを有する、請求項1に記載の用紙センサ。
【請求項7】
さらに血漿分離膜層を含む、請求項1に記載の用紙センサ。
【請求項8】
前記血漿分離膜層が、上面及び底面に一連の孔を含み、前記一連の孔は、前記上面と前記底面との間において孔サイズの勾配を有する、請求項7に記載の用紙センサ。
【請求項9】
前記上面の孔サイズが、前記底面の孔サイズよりも大きい、請求項8に記載の用紙センサ。
【請求項10】
軸に対して放射状に広がってそれぞれ扇形を有する複数の検査ゾーンと、
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンを囲む基準領域と、
を含む、流体中の生体物質の濃度を判定するための生物医学的用紙センサであって、
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々が、ワックスインク障壁によって分割されており、
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々が、その中に固有の濃度の試薬を含み、
前記基準領域が、前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々と比較するための予め判定可能な色を含むキャリブレーション色エリアを含み、
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々が、単一の検体分析判定について、前記固有の濃度の試薬に起因して色変化の勾配を表示し、
前記基準領域が前記複数の検査ゾーンを囲む補助情報エリアをさらに含んでおり、前記補助情報エリアにおいて、各検査ゾーンにおける検査の種類を示す補助情報又は識別テキストが該検査ゾーンの外側で、かつ該検査ゾーンに隣接する位置に示されている、
生物医学的用紙センサ。
【請求項11】
基準領域エリア及び軸に対して放射状に広がった検査ゾーンエリアの合成エリアを含む全装置エリアをさらに含み、
前記軸に対して放射状に広がった検査ゾーンエリアが、前記全装置エリアの少なくとも37.5%である、
請求項10に記載の用紙センサ。
【請求項12】
前記基準領域エリアが、さらに、前記軸に対して放射状に広がった検査ゾーンエリアと前記キャリブレーション色エリアとを分離する基板領域を含む、請求項11に記載の用紙センサ。
【請求項13】
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々の面積が少なくとも5mm2である、請求項10に記載の用紙センサ。
【請求項14】
前記ワックスインク障壁が100μmの厚さを有する、請求項10に記載の用紙センサ。
【請求項15】
軸に対して放射状に広がってそれぞれ扇形を有する複数の検査ゾーンと、
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンを囲む基準領域と、
基準領域エリア及び軸に対して放射状に広がった検査ゾーンエリアの合成エリアを含む全装置エリアと、
を含む、流体中の生体物質の濃度を判定するための生物医学的用紙センサであって、
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々が、ワックスインク障壁によって分割されており、
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々が、その中に固有の試薬を含み、
前記軸に対して放射状に広がった検査ゾーンエリアが、前記全装置エリアの少なくとも37.5%であり、
前記基準領域エリアが、さらに、前記軸に対して放射状に広がった検査ゾーンエリアとキャリブレーション色エリアとを分離する基板領域を含み、
前記キャリブレーション色エリアが、前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々と比較するための予め判定可能な色を含み、
前記基板領域において、各検査ゾーンにおける検査の種類を示す補助情報又は識別テキストが該検査ゾーンの外側で、かつ該検査ゾーンに隣接する位置に示されている、
生物医学的用紙センサ。
【請求項16】
前記軸に対して放射状に広がった複数の検査ゾーンの各々の面積が少なくとも5mm2である、請求項15に記載の用紙センサ。
【請求項17】
前記ワックスインク障壁が100μmの厚さを有する、請求項15に記載の用紙センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙センサの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙ベースの検知(すなわち、用紙ベースの検査装置)は、コスト及び多重化の点で従来の検査片に対する利点を有する新たな技術である。比色測定に起因する用紙ベースのセンサ及び用紙検査片における精度不良の懸念は、定量的なアプリケーションからそれらを制限している。既存の検査片アプリケーションにおいて、ユーザは、別個の基準カード上の色のセットに対して結果として得られた色を手動で比較しなければならない。これは、ユーザフレンドリではなく信頼性もない。最近、携帯電話のカメラを使用して検査片の読み取りプロセスを自動化するために携帯電話の「アプリ」をいくつかの企業が開発している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、流体中の生体物質の濃度を判定するための生物医学的用紙センサを提供する。用紙センサは、複数の軸対称の検査ゾーンを備え、検査ゾーンは、中心点から外側に放射状に広がっている。軸対称の検査ゾーンのそれぞれは、ワックスインク障壁によって分割されることができる。軸対称の検査ゾーンは、その中に固有の試薬を含む。さらに、用紙センサは、複数の軸方向の検査ゾーンを囲む基準領域を備え、基準領域は、軸方向の検査ゾーンのうちの1つ以上に対して比較するための予め判定可能な色を含むキャリブレーション色エリアを含む。
【0004】
本開示は、さらに、生体物質及び流体の濃度を判定するための生物医学的用紙センサを提供する。用紙センサは、複数の軸方向に放射状に広がった検査ゾーンを含み、軸方向に放射状に広がった検査ゾーンのそれぞれは、ワックスインク障壁によって分割される。軸方向に放射状に広がった検査ゾーンのそれぞれは、その中に固有の試薬を含むことができる。用紙センサは、さらに、複数の軸方向に放射状に広がった検査ゾーンを囲む基準領域を含み、基準領域は、軸方向に放射状に広がった検査ゾーンのうちの1つ以上に対して比較するための予め判定可能な色を含むキャリブレーション色エリアを含む。
【0005】
本開示は、さらに、複数の軸方向に放射状に広がった検査ゾーンを備える生体物質及び流体の濃度を判定するための生物医学的用紙センサを提供し、軸方向に放射状に広がった検査ゾーンのそれぞれは、ワックスインク障壁によって分割されることができる。軸方向に放射状に広がった検査ゾーンのそれぞれは、その中に固有の試薬を含むことができる。用紙センサは、さらに、複数の軸方向に放射状に広がった検査ゾーンを囲む基準領域を含む。装置は、さらに、基準領域エリアと軸方向に放射状に広がった検査ゾーンエリアとの合成エリアを含む全装置エリアを備え、軸方向に放射状に広がった検査ゾーンエリアは、全装置エリアの少なくとも37.5%であり、基準領域エリアは、さらに、軸方向に放射状に広がった検査ゾーンエリアとキャリブレーション色エリアとを分離する基板領域を含む。
【0006】
本開示は、さらに、下部ラミネートフィルム領域と、血漿分離膜層と、構造形成層と、上部ラミネートフィルム層とを備える生体物質及び流体の濃度を判定するための生物医学的用紙センサを提供する。構造形成層は、上部ラミネートフィルムの層に隣接している。血漿分離膜層は、下部ラミネートフィルム層と構造形成層との間にある。構造形成層は、複数の軸方向に放射状に広がった検査ゾーンを含み、軸方向に放射状に広がった検査ゾーンのそれぞれは、ワックスインク障壁によって分割される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、用紙ベースのセンサ又は検査装置の1つの種類を示している。
【
図2】
図2は、
図1の用紙ベースのセンサの拡大部分断面を示している。
【
図3】
図3は、基準キャリブレーション色エリア、複数の検査ゾーン、複数のインク障壁及びラベルエリアを含む例示的な用紙ベースの検査装置の平面図を示している。
【
図4】
図4は、
図3に示される例示的な用紙ベースの検査装置の底面図を示している。
【
図5】
図5は、本開示にかかる用紙ベースのセンサの分解図である。
【
図6】
図6は、例示的なトリグリセリド検査用紙センサである。
【
図7】
図7は、用紙センサ装置の代表的な表示及び使用するための方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び
図2に示されるように、用紙ベースのセンサ又は用紙ベースの検査装置10は、血液、尿及び唾液などの検査流体又は検査液体において生物学的検定を分析することができる用紙、ワックス及び試薬からなる小型の生物医学的装置である。一連の検査領域30、31、32、33、34、35、36、37、流体入口40、41、42、43、44、45、46、47、輸送流路50、51、52、53、54、55、56、57及びミキサ又は試薬などの様々な流体成分を形成して分離(すなわち、分割)するために疎水性障壁16、18が用紙20の厚さ全体を浸透するワックス(すなわち、親水性マトリクス)から構成されている。輸送流路50−57は、親水性マトリクス紙20を通って延在する疎水性(すなわち、ワックス)チャネルとすることができる。様々な及び/又は異なる濃度を有する様々な試薬は、検査領域30−37上に予め被覆させることができる。診断プロセス中において、毛管管力は、関連する複数の検査領域30−37に対して及び予め被覆させた試薬を接触させることによって検査流体70の一部を引っ張り、検査流体70の各部と反応する。信号、色変化又は色合いは、特定の検体が検査流体70に存在する場合に生成される。例えば、色濃度が検体の濃度の結果として変化する場合に色合い又は色変化が生じる。色変化又は色合いは、スマートフォンやカメラ電話などの撮像装置によって撮像されて記録されることができ、そして、装置のキャリブレーション曲線又はカラースケールに基づいて、各検体の濃度を計算するためのアルゴリズムによって処理されることができる。(画像処理及び診断分析がサーバ側で行われる場合)診断結果及び/又は生データは、データサーバにアップロードされることができ、ユーザ又は患者の履歴は、照会のために記憶されることができ、高度なデータ分析が行われることができることができ、不利な健康状態/疾患を検出して防止するのに役立つ。ユーザのデータ分析又は予測分析は、傾向監視、人間ドック、リスク評価などに使用可能であることが理解されるべきであり、その結果は、不利でない健康状態を含むことができる。
【0009】
用紙ベースのセンサは、従来の検査片に比べていくつかの利点を有する。検査片は単一である(片あたり1回の検査)一方で、用紙センサは、多重化(1つの装置において複数の検査)することができる。従来の検査片は、用紙センサよりも比較的多くの検査流体を必要とする。検査片は、アナログ技術によって製造される一方で、用紙センサは、ディジタル的に印刷され、定量的に分析されることができ、より多くのカスタマイズ及びパーソナライズを可能とする。
【0010】
用紙ベースのセンサを使用することは、コスト及び多重化の点で従来の検査片を超える利点を提供する新たな技術である。現在の用紙ベースのセンサは、検査の精度を保証するために所定量の検査液体(血液、尿など)を提供するようにユーザに要求する。多重化のレベルは、典型的には、印刷解像度、印刷ワックス垂直壁/障壁の真直度によって制限される。さらに、比色情報を読み取る現在の方法は、別個の手動の基準カードを使用するか又は個々の読み取り装置(カメラ、照明、光条件、周囲の光条件など)についての変動を被る可能性がある市販のモバイルアプリケーションを使用する。市販されている現在の装置よりも高いレベル多重化を達成することができ、個々の読み取り装置からの変動にかかわらず、より高い読み出し精度を提供することができる用紙ベースのセンサについての新規な設計を思い付くことが重要である。
【0011】
本開示(
図3−
図7を参照)は、全固定装置エリアに対して増加した全検査エリアを有する用紙センサ又は検査装置100の設計及び構成を提供する。この新規な設計及び構成は、多重化の程度を増加させ、読み出し精度を向上させる。本開示は、いくつかの固有の機能を含む装置100を提供する。向上した読み出し精度のために装置がより高いレベルの多重化を達成することができ且つ全装置エリアに対してより大きな全検査エリアを含むことができるように、ワックス障壁の解像度は高い。キャリブレーション色エリアを含む基準領域は、各検査領域における対応する比色反応に対して直接並べて比較するために用紙センサに直接印刷されることができる。これは、用紙ベースのセンサの「読み取り」及び解釈のためにこれまで必要であった別個の基準カードの使用を排除することができる。
【0012】
従来の用紙ベースのセンサ10(
図1−
図2)は、典型的には、手動のオーブンプロセスを介して構成される。疎水性チャネル50−57におけるワックスは、用紙を通る全透過を達成するためにより横方向(リフロー)に拡散する必要がある。結果として、検査エリア30−37のサイズ及び多重化のレベルは、ワックスの非制御リフローによって生じる不均一な/大きなチャネル変動に起因して全固定装置サイズに対して制限される。対照的に、O’Neilらによって2014年6月23日に提出され且つ「SYSTEM AND METHOD FOR FORMING HYDROPHOBIC STRUCTURES IN A POROUS SUBSTRATE」と名称が付された米国特許出願第14/311,909号に記載された制御されたプロセスを使用して製造される装置は、より高い解像度及び優れたチャネル均一性を有する。これらの利点は、用紙ベースのセンサが後述するような設計及び構成を達成するのを可能とする。
【0013】
ここで
図3及び
図4を参照すると、本願明細書に開示された用紙ベースのセンサ100のいくつかの特徴は、従来のセンサと比較して全固定サイズ装置エリア102に対してセグメント化された検査ゾーン130、131、132、133、134を含むより大きな検査エリア110と、血液からの血漿の向上した分離のための装置の背面における完全に利用される血漿分離膜層112とを含む。用紙ベースのセンサ100は、より大きな検査サンプル(すなわち、血液)を必要とすることなく読み出し精度及び多重化レベルを増加させるチャネル構造エリア124を含むことができる。基準又はキャリブレーション基準色エリア126は、異なるエリアを含むことができ、チャネル構造の一部として又は追加パターンとして装置上に直接印刷されることができる。補助情報エリア128は、検査エリア110を囲むことができる。
【0014】
他の例示的な実施形態(
図5)において、用紙センサ装置200は、以下の要素を含むことができる。構造形成層216、任意のフィルタ膜層212及び少なくとも2つのラミネート層218、220。構造形成層216は、チャネル構造エリア224、検査エリア210、キャリブレーション基準エリア226及び補助情報エリア228を含むことができる。
【0015】
検査ゾーン又は検査エリア210は、1からn(n≧2)個の個々のセグメント化された検査ゾーン230、231、232、233、234、235を含むことができる。セグメント化された検査ゾーン230−235は、軸対称又は軸方向に放射状に広がって配置されることができる。全検査エリア210は、全装置エリア202の約25%から約60%であり、好ましくは少なくとも37.5%である。個々の検査ゾーン230−235の最小面積は、約5mm
2とすることができる。従来の装置(
図1)と比較すると、本開示の個々の検査ゾーン230−235は、少なくとも3倍大きい。検査ゾーン230−235は、装置202の制限された空間やエリアに対して検査領域又はゾーン230−235の面積を最大化するために、約100μmの壁幅を有するワックスインク障壁236、237、238、239、240、241(すなわち、固体インク障壁)によって囲まれて分割される。検査サンプルの大部分の容積が利用されて検査ゾーン230−235のそれぞれにおいて試薬に到達、すなわち反応することが理解されるべきである。
【0016】
1つの例示的な検査パネルは、トリグリセリド、総コレステロール、HDL(すなわち、3つの個々の検査ゾーン)のレベルを測定するために検査ゾーン230−235において各試薬を含むことができる。他の例示的な検査パネルは、脂質パネル、すなわち、トリグリセリドのレベル、総コレステロール、HDL、ヘモグロビンA1C(HbA1C値)、グルコース(すなわち、5つの個々の検査ゾーン)を測定するために検査ゾーンにおいて各試薬を含むことができる。上述したように、各検査ゾーン230−235は、異なる試薬を有する。各検査ゾーンは、単一の生物学的検定の異なるレベルを測定するために異なる濃度の同じ試薬を代わりに有することができることが理解されるべきである。
【0017】
各検査ゾーン230−235における検査の種類を示す補助情報又は識別テキスト(例えば、GL、TG、HbA1C、HDL、TCラベル、製造業者名及び日付など)は、外側に印刷され、検査ゾーン又は領域(すなわち、補助情報エリア228)に隣接することができる。補助情報又は識別テキスト(例えば、GLはグルコースを表し、TGはトリグリセリドを表し、A1Cはヘモグロビンを表し、HDLはHDLコレステロールを表し、TCは総コレステロールを表す)は、各検査ゾーン230−235において検査の種類をラベリングし、外側に印刷され、検査ゾーン又は領域(すなわち、基準領域)に隣接することができる。
【0018】
任意のフィルタ膜層212は、全検査エリア210を被覆する分離膜217(すなわち、血漿分離)を有することができる。あるいは、任意のフィルタ膜217は、検査サンプルの制御された流れを可能とするために部分的な分離膜及び部分的な「他の材料」(すなわち、用紙)を有することができる。血漿分離膜217は、上面及び底面に一連の孔を含むことができる。一連の孔は、上面と底面との間において孔サイズの勾配を有することができる。特に、上面の孔サイズは、底面の孔サイズよりも大きくすることができる。
【0019】
膜層212及び構造形成層216は、ラミネートフィルム層218、220の間に挟持されることができる。膜217のサイズよりも小さい孔221は、装置(
図5)の背面において下部ラミネート層220に切断されることができる。血漿分離膜217は、装置200が組み立てられた構成にあるとき、装置200の背面において視認可能である。
【0020】
図5を再度参照すると、本開示は、血液、尿及び唾液などの流体中の生体物質の濃度を判定することができる生物医学的用紙センサ200の設計を提案している。センサ200は、薄壁を生成するプロセスによって形成されたワックスインク障壁236−241によって分割された(例えば)パイのスライスと同様に配置された軸方向に放射状に広がった及び/又は軸対称の検査ゾーン230−235を含むことができる。各検査ゾーン230−235は、固有の試薬を含むことができ、エリア228に印刷されたテキスト(図示しない)によって識別される。検査ゾーン230−235の装置外側の領域226は、均一な基準色によって印刷されることができる。さらに、ワックス壁の色はまた、それが明確でない場合に基準色としての役割を果たすことができる。センサ200の利点は、より大きな検査ゾーンエリアに起因する生体物質の濃度の測定精度の向上を含む。利点はまた、センサ200への基準又はキャリブレーション色226の統合を含み、検査流体(すなわち、検査サンプル)の濃度の定量化のための視覚的なキャリブレーション検討、確認又は比較を簡便化する。
【0021】
ここで
図6を参照すると、例示的なトリグリセリド用紙センサ300がその中に表示されている。基準又はキャリブレーション色エリアを識別することは、検査ゾーン1、2、3、4、5とキャリブレーション色エリア又は領域326、327との間に基板領域又は補助情報エリア328を含むことができる。エリア326、327及び328は、基準色エリア又はコントラスト色エリアとして使用可能である。エリア327及び328は、検査ゾーン1−5と基準エリア326、327及び328との間においてコントラスト(黒、カラー、コントラストカラーなど)を提供するために任意の色とすることができる。キャリブレーション基準エリア326は、各サブエリア(図示しない)に関連付けられた別個の基準色を含む複数のサブエリアに分離されることができることが理解されるべきである。複数の色基準エリアは、検査ゾーン1−5において異なる色素色を有する試薬の使用を可能とする。あるいは、基準領域は、軸方向の検査ゾーンのうちの1つ以上に対する比較のために第1の予め判定可能な色を含む第1のキャリブレーション色エリアを含むことができる。基準領域は、さらに、軸方向の検査ゾーンのうちの1つ以上に対する比較のために第2の予め判定可能な色を含む第2のキャリブレーション色エリアを含むことができる。第1及び第2のキャリブレーション色エリアは、それぞれ、各検査エリアにおけるキャリブレーションされた読み取りに基づいて少なくとも2つの検査物質検体の濃度を報告するか又は示すための軸方向の検査ゾーンのうちの1つ以上に対する比較のために第1及び第2の予め判定可能な色を含むことができる。1つの実施形態において、基板領域328は、検査ゾーン1−5とキャリブレーション色エリア326とを区別するために対比色を含むことができる。
図6には示されていないが、トリグリセリド用紙センサ300は、トリグリセリドの異なる濃度に起因する検査ゾーン1−5における色変化の勾配を表示することができる。検査ゾーン1−5の色変化又は色合いは、基準色326(すなわち、マゼンタ)と比較されることができる。色変化又は色濃度は、それぞれ、(例えば)関連する検査ゾーン1、2、3、4、5からのトリグリセリドの濃度を表し、100、150、200、250、300mg/dLの濃度を含むことができることが理解されるべきである。
【0022】
図7は、用紙センサ装置400を使用する方法を表示している。血液サンプルBは、患者又はユーザから採取され、用紙センサ400の底部、すなわち検査エリア410に配置されるか又は「吸い込まれる」(ステップ1)。用紙センサ400は、右側上に回転させることができ、血液サンプル処理をみることができる420(ステップ2)。血液サンプルBが検査ゾーン430、431、432、433、434における各試薬と接触して分析の進行を進める(ステップ3)。サンプルが試薬と反応した後、進行した分析が続いて形成される440(ステップ4)。基準又はキャリブレーション色エリアを識別することは、検査ゾーン430−434とキャリブレーション色エリア又は領域446との間に基板領域447及び448を含むことができる。基板領域447及び448は、検査ゾーン430−434とキャリブレーション色エリア446とを区別するために対比色を含むことができる。
図7に示される例において、用紙センサ400は、異なる種類の試薬及び/又は異なる濃度の試薬に起因して検査ゾーン430−434における色変化の勾配を表示することができ、異なるレベルの生物学的検定を測定することができる。検体の各種類(GL、TG、HbA1C、HDL、TC)は、異なる試薬を使用することができ、各検体/試薬対は、色基準についての関連するキャリブレーション曲線を有することができることが理解されるべきである。さらに、単一の検体分析判定について、検査ゾーン430−434における色変化は、各検査ゾーンにおける同じ試薬の異なる濃度に起因することができる。検査ゾーン430−434は、キャリブレーション又は基準色446(すなわち、マゼンタ)と比較されることができる。このように、生物医学的用紙センサ400は、流体中に含まれる生体物質(すなわち、血液サンプル)の濃度を判定するために使用される。
【0023】
本願明細書における詳細な説明のいくつかの部分は、中央処理装置(CPU)、CPU用のメモリ記憶装置及び接続された表示装置を含む従来のコンピュータ要素によって実行されるデータビットに対する操作のアルゴリズム及び記号表現に関して提示される。これらのアルゴリズム記述及び表現は、他の当業者にそれらの動作の本質を最も効果的に伝えるために、データ処理分野における当業者によって使用される手段である。アルゴリズムは、一般に、所望の結果をもたらす首尾一貫した一連のステップとして認識される。ステップは、物理量の物理的な操作を必要とするものである。通常、必須ではないが、これらの量は、記憶、伝送、結合、比較、その他の操作が可能な電気又は磁気信号の形態をとる。ビット、値、要素、シンボル、文字、用語、数字などとしてこれらの信号を参照することは、主に共通使用の理由から時には便利であることが証明されている。
【0024】
しかしながら、これらの及び類似の用語の全ては、適切な物理量に関連付けられ、単にこれらの量に適用される便利なラベルにすぎないことが理解されるべきである。特に明記しない限り、本願明細書における説明から明らかなように、説明全体を通して、「処理」又は「計算」又は「算出」又は「判定」又は「表示」などの用語を利用した説明は、コンピュータシステムのレジスタ又はメモリ内の物理(電子的)量として表されるデータを、コンピュータシステムメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータへと操作して伝送するコンピュータシステム又は同様の電子計算装置の動作及び処理を指すことが理解される。
【0025】
例示的な実施形態はまた、本願明細書において説明された動作を実行する装置に関するものである。この装置は、必要な目的のために特別に構成されることができ、又は、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを含むことができる。そのようなコンピュータプログラムは、これらに限定されるものではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD−ROM及び光磁気ディスクを含む任意の種類のディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気若しくは光カード又は電子命令を記憶するのに適しており且つコンピュータシステムバスにそれぞれ結合された任意の種類の媒体などのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されることができる。
【0026】
本願明細書において提示されるアルゴリズム及び表示は、本質的に、特定のコンピュータ又は他の装置に関連するものではない。本願明細書における教示にかかるプログラムとともに様々な汎用システムが使用されてもよく、又は、本願明細書に記載された方法を実行するために、より特化した装置を構築するのが便利であることがわかるかもしれない。様々なこれらのシステムについての構成は、上述した説明から明らかである。さらに、例示的な実施形態は、いかなる特定のプログラミング言語も参照して説明されるものではない。様々なプログラミング言語が、本願明細書に記載された例示的な実施形態の教示を実装するために使用可能であることが理解される。
【0027】
機械読み取り可能な媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送する任意の機構を含む。例えば、機械読み取り可能な媒体は、いくつかの例を言及すると、読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置、及び、電気的、光学的、音響的又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、ディジタル信号など)を含む。
【0028】
明細書全体にわたって図示された方法は、コンピュータ上で実行可能なコンピュータプログラム製品において実装されることができる。コンピュータプログラム製品は、制御プログラムが記録されたディスク、ハードディスクドライブなどの持続性コンピュータ読み取り可能な記録媒体を含むことができる。持続性コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ若しくは任意の他の磁気記憶媒体、CD−ROM、DVD若しくは任意の他の光媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM若しくは他のメモリチップ若しくはカートリッジ、又は、コンピュータが読み取って使用可能な任意の他の有形媒体を含む。
【0029】
あるいは、本方法は、無線及び赤外線データ通信中などに生成されるものなど、音波又は光波などの伝送媒体を使用してデータ信号として制御プログラムが具現化される伝送可能な搬送波などの一時的媒体において実装されることができる。