【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、金属粉末を製造するための方法であって、
塩基性金属塩溶液を準備するステップと;
塩基性金属塩溶液を還元剤と接触させ、それから金属粉末を沈殿させるステップと;
沈殿した金属粉末を溶媒から回収するステップと
を含む方法を提供する。
【0009】
本明細書において定義されるような各態様又は実施形態は、そうでないことが明確に示されない限り、任意の他の態様又は実施形態と組み合わされてもよい。特に、好ましい、又は有利であるとして示される任意の特徴は、好ましい、又は有利であるとして示される任意の他の特徴と組み合わされてもよい。
【0010】
「焼結用粉末」という用語は、本明細書において使用される場合、焼結接合部を形成することができる粉末を包含し得る。焼結接合部は、接合される2つの加工対象物の間に配置された金属粒子の原子拡散により形成される。「焼結用粉末」という用語は、粒状物を包含し得る。焼結用粉末は、規則的形状粒子(例えば球等)又は不規則形状粒子(例えばウィスカー、プレート、ロッド又はフレーク等)を含み得る。
【0011】
「キャッピング剤」という用語は、本明細書において使用される場合、金属粒子の表面上に存在する場合に、金属粒子の凝集を低減し、粉末製造中の粒子サイズ制御を可能にし、粒子表面の酸化又は他の汚染を低減する種を包含し得る。
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、本方法に従って製造された金属粉末が、2g/cm
3超、典型的には3g/cm
3超、より典型的には3.5から5.5g/cm
3のタップ密度を示し得ることを見出した。より低いタップ密度は、粒子の凝集の増加をもたらし得る。したがって、本明細書に記載の方法により製造された粉末は、取り扱いが容易であり、細線を形成するために使用され得る。より低いタップ密度は、好ましくない非圧密及び多孔質の焼結接合部をもたらし得る。タップ密度は、タップ密度計を使用して、標準的手順で測定され得る。
【0013】
金属粉末は、典型的にはミクロンサイズであり、特に有利な焼結特性を提供するサイズ分布を示し得る。例えば、粉末は、典型的には500nmから10μmのD50を示す。D50は、動的光散乱法又はレーザ散乱法を使用した粒径分析器を用いて測定され得る。有利には、粉末を形成する粒子の大部分が、100nmから50μm、好ましくは100nmから30μmの最長寸法を有する。典型的には、粉末を形成する粒子の実質的に全てが、これらの範囲内の最長寸法を有する。粒子が球状である場合、最長寸法は、球の直径となる。
【0014】
金属粉末により示されるサイズ、サイズ及び形状分布、並びにタップ密度値の組合せによって、粉末は、例えば高密度で低空隙率の焼結金属接合部の製造における、焼結用粉末としての使用に特に効果的となり得る。そのような接合部は、工業及び自動車用途に必要な現代の電力モジュールの電力及び熱サイクル能力を拡張することができる。
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の方法に従って製造された粉末が、極めて低い圧力の印加だけで、典型的には実質的に圧力なしで比較的低温で焼結され得ることを見出した。その結果、金属粉末を使用した加工対象物間の焼結接合部の形成は、加工対象物への損傷の低減を伴って生じ得る。更に、高い圧力の印加が必要でないため、焼結接合部の形成は単純化され、より容易に自動化され得る。更に、ナノサイズ粒子とは対照的に、金属粒子の凝集は、ごく僅かな量のキャッピング剤の使用により回避され得る。したがって、ナノサイズ粒子のみを含む焼結用粉末とは対照的に、得られる焼結接合部中に含有される残留有機物の量が低減され、それにより接合部の機械的特性が改善される。
【0016】
塩基性金属塩溶液は、典型的には水性であり、典型的には、7超、より典型的には約7.5超、更により好ましくは約8のpHを示す。高いpHは、金属含有水酸化物、例えば水酸化ナトリウム等の存在により提供され得る。代替として、又は追加的に、高いpHは、3級有機塩基、例えばトリエチルアミン等の存在により提供され得る。
【0017】
特に好適な金属塩溶液は、金属硝酸塩溶液である。金属硝酸塩溶液の例は、例えば、硝酸銀溶液及び硝酸銅溶液を含む。金属硝酸塩溶液は、界面活性剤、例えばDAXAD等を含んでもよい。
【0018】
金属粉末を形成する金属粒子は、全て同じ金属を含んでもよい。代替として、粒子のいくつかは、異なる金属を含んでもよい。更に、個々の粒子は、2種以上の異なる金属を含んでもよい。「金属」という用語は、本明細書において使用される場合、合金又はコアシェル構造を包含し得る。したがって、粒子は、1種若しくは複数種の金属の1種若しくは複数種の合金若しくはコアシェル構造を含み得る。
【0019】
得られる金属粉末を構成する粒子の形状は、球状、ファセット状、不規則形状、フレーク状又はそれらの2つ以上の組合せであってもよい。
【0020】
沈殿した金属粉末は、例えば濾過及び/又はデカンテーション及び/又は遠心分離により、溶媒から回収され得る。濾過及び/又はデカンテーション及び/又は遠心分離された金属粉末は、次いで、例えば洗浄及び/又は乾燥に供されてもよい。
【0021】
還元剤は、好ましくは、ヒドラジン、ホルムアルデヒド及びホウ化水素の1つ又は複数を含む。そのような還元剤は、得られる金属粉末の好ましいサイズ分布及びタップ密度値を提供する上で特に効果的である。これに関して、ヒドラジン及び水酸化物の組合せを含む還元剤が特に好ましい。当該技術分野において、ヒドラジンの使用は、典型的にはナノサイズ粒子の形成をもたらすと理解されているため、これは驚くべきことである。理論に束縛されないが、反応媒体中の、ヒドラジンと組み合わされた、また任意のキャッピング剤の(初期の)非存在下での水酸化物の存在は、反応速度を遅速化し、オストワルド熟成プロセスによってより大きな粒子の成長を促進し、それによりナノサイズ粒子よりむしろ好ましいサイズ分布を有するミクロンサイズ粒子の形成をもたらすと考えられている。更に、キャッピング剤を遅らせて添加すること(下記を参照されたい)により、粒子の凝集の好ましいサイズ分布が得られると考えられている。好適な還元剤の例は、例えば、水和ヒドラジン、塩基性ホルマリン溶液及び水素化ホウ素ナトリウムを含む。
【0022】
好ましくは、方法は、塩基性金属塩溶液を還元剤と接触させるステップの後に、塩基性金属塩溶液をキャッピング剤と接触させるステップを更に含む。換言すれば、キャッピング剤は、好ましくは、還元剤が溶液に添加された後であるが、沈殿した金属粒子が溶媒から回収される前に添加される。キャッピング剤は、金属粉末を形成する粒子の表面を少なくとも部分的にコーティングすることができ、したがって、粒子の制御されない凝集を低減するのに役立ち得る。制御されない凝集の程度がより高いと、タップ密度が減少し得、非圧密及び多孔質の焼結接合部がもたらされるため、これは好ましくない。キャッピング剤の使用は、金属の劣化、例えば空気への金属の曝露により引き起こされる損傷等を回避するのに役立ち得る。更に、還元剤の添加後のキャッピング剤の添加は、好ましい粒子サイズ分布及びタップ密度値をもたらすのに役立ち得る。キャッピング剤は、好ましくは、還元剤の少なくとも1秒後、より好ましくは還元剤の少なくとも2秒後、更により好ましくは2から600秒、更により好ましくは3から120秒後に溶液と接触される。特に好ましい実施形態において、キャッピング剤は、還元剤の約5秒後に溶液と接触される。
【0023】
キャッピング剤は、例えば、脂肪酸、並びにエステル、アミド、アミン、界面活性剤及び/又はポリマーを含んでもよい。キャッピング剤は、好ましくは、脂肪酸、より好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びオレイン酸の1つ又は複数を含む。そのようなキャッピング剤は、金属粉末を形成する金属粒子の凝集を防止する上で特に効果的である。
【0024】
方法は、好ましくは、回収された沈殿した金属粉末を粉砕するステップを更に含む。そのような粉砕は、平坦又は「フレーク様」形状を有する金属粉末を形成する粒子の割合の増加をもたらし得る。例えば、粉末は、典型的には、少なくとも10体積%、より典型的には20から80体積%のフレーク様形状を有する粒子を含み得る。粉砕時間の増加は、フレーク様粒子の割合及びアスペクト比を増加させ得る。より高い割合のフレーク様粒子を有する、そのような粒子サイズ分布を有する粉末は、球を含む粉末と比較して向上した圧密度を示すことができ、それによってより好ましい焼結特性を示すことができる。更に、そのような粉末を含むペーストは、粘度の増加を示すことができ、したがって取り扱いがより容易となり得る。更に、そのような粉末を含むペーストは、より低いタップ密度を有する球状粒子のみで作製されたペーストと比較して、適切なサイズ、アスペクト比、分布及びタップ密度を有するフレーク様粒子の存在により、基板及び加工対象物に対する向上した濡れ挙動を示す。濡れの向上は、焼結中の金属原子の原子拡散によりもたらされる、2つの加工対象物間の強固な結合を形成するために非常に重要である。フレーク形状と、本明細書に記載のタップ密度、サイズ及びアスペクト比分布との組合せは、特に好ましい焼結特性を示す金属粉末をもたらす。
【0025】
粉砕するステップは、好ましくは、ボールミルを使用して行われる。ボールミルの使用は、フレーク様粒子の割合を増加させる一方で、好ましいサイズ分布及びタップ密度値を保持する上で特に効果的である。ジルコニアビーズを使用したアトライターボールミルが、好適なボールミルの一例である。好ましいビーズ直径は、例えば、0.05mmから2mm、好ましくは約0.1mmを含む。
【0026】
粉砕するステップは、好ましくは、脂肪酸、好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びオレイン酸の1つ又は複数の存在下で;並びに/又はポリマー、好ましくはPEG400の存在下で;並びに/又はポリアミン、好ましくはトリエチレンテトラミンの存在下で行われる。これらの種は、粉砕中にキャッピング剤として機能し、それにより、粉砕中、及び使用前の粉末の凝集及び/又は酸化を低減するのに役立つことができる。
【0027】
粉砕するステップは、好ましくは、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも90分間行われる。粉砕時間の増加は、フレーク様形状を有する粒子の割合を増加させ得る。
【0028】
金属は、好ましくは、銀、銅及びそれらの1つ又は複数の合金の1つ又は複数を含む。そのような金属は、高い電気及び熱伝導率を示し、したがって、粉末がエレクトロニクス用途、例えばダイ取付け及びマイクロ電子パッケージングにおいて使用される場合、特に有利である。好適な銀合金は、例えば、AgSn、AgPd、AuAg、AgCu及びAgNiを含む。金属粒子は、銀コーティング粒子、例えば銀コーティング銅、銀コーティングニッケル、銀コーティングCuNi、銀コーティングCuNiZn及び銀コーティングBN等のコアシェル構造を含み得る。
【0029】
粒子が銀を含む場合、粉末は、有利には、以下のサイズ分布を示し得る:3から6μm、好ましくは4から5.5μmのD90;及び/又は0.9から2μm、好ましくは1から1.8μmのD50;及び/又は0.3から0.8μm、好ましくは0.5から0.75μmのD10。粒子が銅を含む場合、粉末は、有利には、以下のサイズ分布を示し得る:4から15μm、好ましくは10から13μmのD90;及び/又は2から10μm、好ましくは4から6μmのD50;及び/又は0.5から3μm、好ましくは1.5から2.5μmのD10。好ましいタップ密度値と組み合わせて、これは、粉末が高密度及び低空隙率焼結接合部の製造において使用されることを可能にし得る。銅粒子は、ファセット状であってもよい。
【0030】
特に好ましい実施形態において、
金属は、銀を含み;
還元剤は、ヒドラジンを含み、
方法は、
塩基性金属塩溶液を還元剤と接触させるステップの後に、塩基性金属塩溶液をオレイン酸キャッピング剤と接触させるステップと、
回収された沈殿した金属粉末を、オレイン酸キャッピング剤の存在下で、ボールミルを使用して少なくとも30分間粉砕するステップと
を更に含む。
【0031】
そのような方法により製造された金属粉末は、特に好ましい粒子サイズ分布及びタップ密度値を示し、上述の好ましいサイズ分布を示し得る。
【0032】
金属が銅を含む場合、方法は、好ましくは、粉末を形成する粒子に銀コーティングを適用するステップを更に含む。そのような銀コーティングされた銅粒子は、銅粒子の比較的低いコストを伴って、銀粒子の高い電気及び熱伝導率を示す。銀コーティングされた銅粒子は、好ましくは、以下のサイズ分布を示す:4から13μm、好ましくは9から12μmのD90;及び/又は1から10μm、好ましくは4から5.5μmのD50;及び/又は0.5から3μm、好ましくは2から2.8μmのD10。
【0033】
銀コーティングを適用するステップは、好ましくは、
銅粒子から酸化物層をエッチングするステップと;
ガルバニめっきを使用して銅粒子に銀コーティングを適用するステップと
を含む。
【0034】
そのような方法は、銅粒子をコーティングする上で特に効果的である。一実施形態において、エッチングは、ポリアミン、例えばトリエチレンテトラミン等を使用して行われ、ガルバニめっきは、脱イオン水及びクエン酸に溶解した水溶性銀塩の存在下で行われる。代替の実施形態において、硫酸アンモニウム及び水酸化アンモニウムの組合せを使用して2段階エッチングが行われ、続いて、ポリアミン、例えばトリエチレンテトラミン等により処理される。
【0035】
方法は、好ましくは、銀コーティングされた粒子に脂肪酸コーティングを適用するステップを更に含む。脂肪酸コーティングは、キャッピング剤として機能し、それにより、金属粉末を形成する金属粒子の凝集及び/又は酸化を低減するのに役立ち得る。
【0036】
さらなる態様において、本発明は、銅粉末を製造する方法であって、
銅粉末を準備するステップと;
銅粉末を、ポリマー及び/又はポリアミンの存在下で、ボールミルを使用して粉砕するステップと
を含む方法を提供する。
【0037】
得られる銅粉末は、主に「フレーク様」形状を示す粒子を含み得る。得られる粉末は、500nmから10μmのD50値及び/又は2g/cm
3超のタップ密度を示し得る。ポリマーは、例えば、PEG400を含んでもよく、及び/又は、ポリアミンは、例えばトリエチレントリアミン等を含んでもよい。
【0038】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の方法に従って製造された金属粉末を提供する。
【0039】
さらなる態様において、本発明は、
500nmから10μmのD50;及び
2g/cm
3を超えるタップ密度
を有する金属粉末であって、銀、銅及びそれらの1つ又は複数の合金の1つ又は複数を含む金属粉末を提供する。
【0040】
金属粉末により示されるサイズ分布及びタップ密度値の組合せによって、粉末は、例えば高密度で低空隙率の焼結金属接合部の製造における、焼結用粉末としての使用に特に効果的となり得る。
【0041】
金属粉末は、有利には、低レベルの有機物、例えば5wt.%未満の有機物、好ましくは3wt.%未満の有機物、より好ましくは1wt.%未満の有機物、更により好ましくは0.5wt.%未満の有機物を有する。(本明細書において使用されるwt.%の有機物という用語は、熱又は化学分析により測定される炭素のwt.%を指す。)
【0042】
金属粉末は、有利には、例えば1.5m
2/g未満、好ましくは1m
2/g未満、より好ましくは0.8m
2/g未満の低い比表面積(BET)を示し得る。
【0043】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載のような金属粉末を使用して形成された焼結接合部を提供する。そのような焼結接合部は、特に高い強度並びに/又は特に高い電気及び熱伝導率を示し得る。更に、焼結接合部は、熱衝撃後にごく僅かなせん断強度の変化を示し、典型的には実質的にせん断強度の変化を示さないことが可能である。
【0044】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の焼結接合部を備える、LED(発光ダイオード)、MEMS(微小電気機械システム)、OLED(有機発光ダイオード)、PVセル(光電池)、パワーエレクトロニクス、或いはポリマー又は他のフレキシブル若しくは成形可能な基板上のプリンテッドエレクトロニクスを提供する。
【0045】
さらなる態様において、本発明は、
本明細書に記載のような金属粉末と;
結合剤と;
溶媒と;
任意選択で、レオロジー調節剤及び/又は有機銀化合物及び/又は活性剤及び/又は界面活性剤及び/又は湿潤剤及び/又は過酸化水素若しくは有機過酸化物と
を含む、焼結用ペーストを提供する。
【0046】
ペーストは、印刷可能、及び/又は分注可能、及び/又は噴射可能、及び/又はピン転写可能であってもよい。ペーストは、分注に特に好ましい粘度及び流動特性を有してもよく、これは、ペーストがはんだの1対1の代用品として使用され得ることを意味する。
【0047】
当該技術分野において知られている焼結用ペーストと比較して、本発明の焼結用ペーストは、室温で高い安定性を示す。これは、焼結用ペーストの低温保存が必要ないことを意味する。これは、本発明の焼結用ペーストの特に重要な利点である。
【0048】
結合剤及び/又は溶媒は、典型的には、焼結用粉末の標的焼結温度を下回る温度で(例えば蒸発及び/又は燃焼により)ペーストから除去され得るように選択される。これは、金属粒子のほぼ完全な焼結を促進するのに役立ち得る。焼結の間に接合部中に有機材料が残留する場合、金属粒子の不十分な焼結が生じ得る。これは、弱い焼結接合部をもたらし得る。
【0049】
結合剤は、取り扱い、及び所望の焼結接合部の場所への正確な位置付けがより容易となるように、ペースト同士を結合させるのに役立ち得る。好適な結合剤の例は、これらに限定されないが、熱可塑性ポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等;又は熱硬化性ポリマー、例えばポリウレタン、ポリシアヌレート、エポキシ樹脂、ポリイミド、メラミン樹脂及びビスマレイミド樹脂等を含む。特に好ましい例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トリアセチン及びポリ酢酸ビニルを含む。好ましくは、結合剤は、エポキシ系樹脂を含む。エポキシ系樹脂は、ペーストの取り扱いがより容易であり、ペーストの所望の焼結接合部の場所への正確な位置付けがより容易となり得るように、ペースト同士を結合させる上で特に効果的となり得る。更に、エポキシ樹脂の使用は、焼結前により強固な接合部の形成をもたらすことができ、これは、焼結前に、接合される加工対象物を互いに保持する必要性がないことを意味する。エポキシ樹脂の使用は、キャッピング剤がアミン官能基を含む場合に特に有利である。この場合、アミンは、硬化剤として機能し、架橋構造を形成する。これは、焼結前に特に強固な接合部をもたらし得る。
【0050】
溶媒は、好ましくは、モノテルペンアルコール及び/又はグリコール及び/又はグリコールエーテル、好ましくはテルピネオール及び/又はジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを含む。モノテルペンアルコール及び/又はグリコールエーテルは、ペースト中に金属粒子を分散させる上で特に効果的となり得、クラスタ凝集及び/又は集塊(aggregation and/or agglomeration)の低減を伴う、有機成分のマトリックス中の金属粒子の均一分布をもたらす。モノテルペンアルコール及び/又はグリコールエーテルの使用は、焼結用ペーストの流動性及び印刷可能性を増加させるのに役立ち得る。
【0051】
ペーストの粘度を制御するために、レオロジー調節剤が添加されてもよい。好適なレオロジー調節剤の例は、これらに限定されないが、短鎖若しくは長鎖(C=2から30)カルボン酸若しくはジカルボン酸若しくはヒドロキシルカルボン酸、例えばラウリン酸、ステアリン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、又は短鎖若しくは長鎖(C=2から30)アミン、例えばブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、Thixcin R及びCrayvallac Super、又はそれらの2つ以上の組合せを含む。
【0052】
焼結中、有機銀化合物は、金属銀に分解し得、これは、焼結接合部の熱伝導率を増加させ得る。更に、有機銀化合物の存在は、接合部界面に対するペーストの濡れを増加させる。有機銀化合物は、短鎖又は長鎖カルボン酸(C=1から30)、例えばステアリン酸銀、パルミチン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、ネオデカン酸銀、デカン酸銀、オクタン酸銀、ヘキサン酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀、クエン酸銀、酢酸銀及びコハク酸銀等の1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施形態において、有機銀化合物は省略されてもよい。
【0053】
印刷されている表面から存在し得る任意の金属酸化物を除去するために、及び/又は焼結用粉末中に存在し得る任意の酸化物を除去するために、活性剤が添加されてもよい。活性剤として、アリール又はアルキルカルボン酸、例えばアジピン酸、コハク酸及びグルタル酸の1つ又は複数等が使用され得る。
【0054】
焼結用ペースト中に焼結用粉末が分散するのを補助するために、界面活性剤が焼結用ペーストに添加されてもよい。好適な界面活性剤の例は、これらに限定されないが、Disperbyk 163、IGEPAL CA−630、ラウリルグルコシド及びTritonX 100を含む。
【0055】
焼結用ペーストは、好ましくは、過酸化物を更に含む。好適な過酸化物の例は、これらに限定されないが、過酸化水素又は有機過酸化物、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシド及びtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を含む。過酸化物は、ペーストに酸素を導入し、これは、ダイ取付け方法においてダイ領域の下のペーストの焼結を補助し得る。酸素はまた、不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下等での金属粒子の焼結を可能にし得る。焼結用ペーストは、好ましくは、3wt.%までの過酸化水素又は有機過酸化物、好ましくは0.5から2wt.%の過酸化水素又は有機過酸化物、より好ましくは0.7から1.8wt.%の過酸化水素又は有機過酸化物を含む。レオロジー及び銀の沈降を制御するためには、液体過酸化物が好ましい。
【0056】
焼結用ペーストは、好ましくは、
1から15wt%の結合剤;及び/又は
1から30wt%の溶媒;及び/又は
5wt%までのレオロジー調節剤;及び/又は
10wt%までの有機銀化合物;及び/又は
2wt%までの活性剤;及び/又は
6wt%までの界面活性剤;及び/又は
2wt%までの過酸化水素若しくは有機過酸化物
を含む。
【0057】
これらの範囲内の結合剤及び/又は溶媒含量は、焼結用ペーストに特に望ましい流動性及び印刷可能性を提供するのに役立ち得る。好ましくは、焼結用ペーストは、2から8wt%の結合剤を含む。一実施形態において、焼結用ペーストは、約4.5wt%の結合剤を含む。好ましくは、焼結用ペーストは、5から30wt%の溶媒を含む。一実施形態において、焼結用ペーストは、約26wt%の溶媒を含む。焼結用ペーストは、0から5wt%のレオロジー調節剤、及び/又は0から2wt%の活性剤、及び/又は0から6wt%の界面活性剤、及び/又は0から2の過酸化水素若しくは有機過酸化物を含んでもよい。焼結用ペーストは、62から90wt%の焼結用粉末を含んでもよい。焼結用粉末は、焼結用ペーストの残りを形成し得る。
【0058】
さらなる態様において、本発明は、
本明細書に記載のような金属粉末と;
有機銀化合物と;
溶媒と;
任意選択で、活性剤及び/又はレオロジー調節剤及び/又は界面活性剤及び/又は過酸化水素若しくは有機過酸化物と
を含む焼結用ペーストを提供する。
【0059】
焼結中、有機銀化合物は、金属銀に分解し得、これは、焼結接合部の熱伝導率を増加させ得る。更に、有機銀化合物の存在は、接合部界面へのペーストの濡れを増加させる。有機銀化合物は、短鎖又は長鎖カルボン酸(C=1から30)、例えばステアリン酸銀、パルミチン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、ネオデカン酸銀、デカン酸銀、オクタン酸銀、ヘキサン酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀、クエン酸銀、酢酸銀及びコハク酸銀等の1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施形態において、有機銀化合物は省略されてもよい。
【0060】
焼結用ペーストは、好ましくは、脂肪酸及び/又は湿潤剤、好ましくは、短鎖若しくは長鎖(C=2から30)カルボン酸若しくはジカルボン酸若しくはヒドロキシルカルボン酸、より好ましくはラウリン酸、ステアリン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、クエン酸若しくは乳酸;又は短鎖若しくは長鎖(C=2から30)アミン、より好ましくはブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン若しくはヘキサデシルアミン;又は界面活性剤、より好ましくはトリトンX100、IGEPAL CA−630若しくはラウリルグルコシドの1つ又は複数を含んでもよい。脂肪酸の存在は、ペースト同士を結合させるのに役立つ。換言すれば、脂肪酸の存在は、上述のエポキシ系樹脂結合剤等の別個の結合剤の必要性を回避する。したがって、ペースト中の有機物の総量はより少なく、より強固な最終接合物をもたらす。
【0061】
焼結用ペーストは、好ましくは、過酸化物を更に含む。好適な過酸化物の例は、これらに限定されないが、過酸化水素又は有機過酸化物、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシド及びtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を含む。過酸化物は、ペーストに酸素を導入し、これは、ダイ取付け方法においてダイ領域の下のペーストの焼結を補助し得る。酸素はまた、不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下等での金属粒子の焼結を可能にし得る。焼結用ペーストは、好ましくは、3wt.%までの過酸化水素又は有機過酸化物、好ましくは0.5から2wt.%の過酸化水素又は有機過酸化物、より好ましくは0.7から1.8wt.%の過酸化水素又は有機過酸化物を含む。レオロジー及び銀の沈降を制御するためには、液体過酸化物が好ましい。
【0062】
焼結用ペーストは、フィルム形成剤、例えば、ポリアミド、ポリイソブチレン、ポリアミドワックスレオロジー調節剤及びヒマシ油系チキソトロープ剤等を含んでもよい。
【0063】
好ましくは、焼結用ペーストは、実質的に樹脂を含まず、より好ましくは完全に樹脂を含まない。樹脂の存在は、銀の熱及び電気伝導性を低減し得る。溶媒は、好ましくは、モノテルペンアルコール及び/又はグリコール及び/又はグリコールエーテル、より好ましくはテルピネオール及び/又はジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを含む。
【0064】
焼結用ペーストは、好ましくは、
1から30wt%の溶媒;及び/又は
50wt%まで、好ましくは0.1から25wt%、より好ましくは0.1から10wt%、更により好ましくは0.1から9wt%の有機銀化合物;及び/又は
5wt%までのレオロジー調節剤;及び/又は
2wt%までの活性剤;及び/又は
6wt%までの界面活性剤;及び/又は
2wt%までの過酸化水素若しくは有機過酸化物
を含む。
【0065】
焼結用ペーストは、0から5wt%のレオロジー調節剤、及び/又は0から2wt%の活性剤、及び/又は0から6wt%の界面活性剤、及び/又は0から2の過酸化水素若しくは有機過酸化物を含んでもよい。焼結用粉末は、焼結用ペーストの残りを形成し得る。
【0066】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載のような金属粉末及び結合剤を含む焼結用フィルムを提供する。フィルムは、ウエハレベル、ダイレベル、パッケージ/基板レベル、及び/又はモジュールレベルで適用されてもよい。そのようなフィルムは、例えば、本明細書に記載のような焼結用ペーストをポリエステルシート上に印刷し、溶媒を少なくとも部分的に除去するためにペーストを加熱してフィルムを形成し、次いでポリエステルシートからフィルムを剥がすことにより得ることができる。本明細書に記載のようなフィルムは、単に若干高い温度でダイをフィルムに押し付けることによりダイ上に転写され得るため、特に有利である。転写フィルムは、ある特定の状況において有益に提案される、代替の適用方法である。フィルムは、ポリマー、ガラス、金属又はセラミック基板上に形成されてもよく、又はウエハ上に直接形成されてもよい。フィルムは、ポリエステルを含むポリマー基板上にあってもよい。フィルムは、ポリマー基板上に形成されてもよく、ポリマー基板は、剥離コーティングを備える。フィルムは、材料の印刷又はキャストによってペースト組成物を適用することにより生成されてもよい。フィルムは、連続層状に印刷により生成されてもよい。代替として、フィルムは、別個の形状のアレイを形成するように印刷により生成されてもよい。
【0067】
さらなる態様において、本発明は、
(i)本明細書に記載の焼結用フィルムを、接合されるダイと基板との間に配置するステップと;
(ii)焼結用フィルムを焼結するステップと
を含み、焼結するステップは、圧力の印加なしで行われる、ダイ取付け方法を提供する。
【0068】
この「低圧」又は「無加圧」焼結は、プロセスの自動化をより容易とし得るため、特に有利である。更に、加工対象物への損傷が低減され得る。加圧焼結を使用した方法に勝るさらなる利点は、ダイの配置に必要な時間がより短い(高UPH)、配置のための低い圧力要件(薄型ウエハの処理に高度に有利である)、商用ダイボンダとの適合性、及び外部加熱機器における焼結(UPHを改善するためのバッチプロセス)を含む。
【0069】
焼結は、好ましくは、150から400℃の温度で最長120分間行われる。そのような条件は、加工対象物への損傷を回避しながら、焼結用フィルムの特に効果的な焼結をもたらし得る。
【0070】
ステップ(i)は、好ましくは、
(a)焼結用フィルムをダイに適用して、ダイ側及び焼結用フィルム側を有するアセンブリを形成するステップと;
(b)アセンブリのフィルム側を基板と接触させるステップと
を含む。
【0071】
そのようなステップは、プロセスの自動化をより単純化することができ、例えばスタンプの使用により実行され得る。
【0072】
ステップ(a)は、好ましくは、15から400℃の温度及び0.1から5MPaの圧力で、0.1から60秒間行われる。そのような条件は、ダイへの損傷を回避しながら、焼結用フィルムの特に効果的な適用をもたらし得る。
【0073】
ステップ(b)は、好ましくは、15から400℃の温度及び0.1から40MPaの圧力で、0.1から60分間行われる。そのような条件は、ダイ又は基板への損傷を回避しながら、ダイの基板への特に効果的な接触をもたらし得る。
【0074】
さらなる態様において、本発明は、
(i)本明細書に記載の焼結用フィルムを、接合されるダイと基板との間に配置するステップと;
(ii)焼結用フィルムを焼結するステップと
を含み、焼結するステップは、0.1から40MPaの圧力を印加しながら行われる、ダイ取付け方法を提供する。
【0075】
さらなる態様において、本発明は、
(i)本明細書に記載の焼結用フィルムを、接合される2つ以上のウエハの間に配置するステップと;
(ii)焼結用フィルムを焼結するステップと
を含み、焼結するステップは、圧力の印加なしで行われる、ウエハ結合方法を提供する。
【0076】
さらなる態様において、本発明は、焼結用フィルムを部品に転写する方法であって、
本明細書に記載の焼結用フィルムを基板に適用して、焼結用フィルム側及び基板側を有するアセンブリを形成するステップと;
アセンブリの焼結用フィルム側を部品と接触させるステップと;
アセンブリを、50から200℃の温度に加熱するステップと;
アセンブリに、1から5MPaの圧力を、0.1秒から60分間印加するステップと;
基板を焼結用フィルムから分離するステップと
を含む方法を提供する。
【0077】
基板は、ポリマーであってもよい。焼結用フィルムは、部品と実質的に同じサイズであってもよい。部品は、LEDであってもよい。
【0078】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の焼結用フィルムを基板に適用するステップと;ダイをフィルム上に配置してアセンブリを形成するステップと;アセンブリに、5MPa未満の圧力を印加するステップと;40MPa未満の圧力を印加しながら、アセンブリを100から400℃の温度で0.1秒から60分間焼結するステップとを含む、ダイ取付け取付け方法を提供する。同アセンブリは、焼結を開始及び完了させるのに適切な度数の熱を提供する様々なプロセス及び機器を使用して、無加圧様式で175から400℃の温度で更に焼結されてもよい。
【0079】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の焼結用フィルムをウエハの裏側に適用するステップと;ウエハを切り出して複数のダイを形成するステップと;少なくとも1つのダイを基板上に配置してアセンブリを形成するステップと;アセンブリに、1MPa超の圧力を印加するステップと;アセンブリを100から400℃の温度で0.1秒から60分間焼結するステップと、40MPa未満の圧力を印加するステップとを含む、ダイ取付け取付け方法を提供する。同アセンブリは、焼結を開始及び完了させるのに適切な度数の熱を提供する様々なプロセス及び機器を使用して、無加圧様式で175から400℃の温度で更に焼結されてもよい。
【0080】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の焼結用フィルムをウエハの裏側に適用するステップと;もう1つの同じ又は異なる種類のウエハを、焼結可能なAgフィルムを含有するウエハ上に配置して、アセンブリを形成するステップと;アセンブリに、0.1MPa超の圧力を印加するステップと;アセンブリを、100 400℃の温度で0.25秒から120分間焼結するステップとを含む、ウエハ結合方法を提供する。同アセンブリは、焼結を開始及び完了させるのに適切な度数の熱を提供する様々なプロセス及び機器を使用して、無加圧様式で175から400℃の温度で更に焼結されてもよい。
【0081】
さらなる態様において、本発明は、焼結用フィルムをウエハの裏側に適用するステップと;もう1つの同じ又は異なる種類のウエハを、焼結用フィルムを含有するウエハ上に配置して、アセンブリを形成するステップと;アセンブリに、40MPa未満の圧力を印加するステップと;アセンブリを、100から400℃の温度で0.25秒から120分間焼結するステップとを含む、ウエハ結合方法を提供する。同アセンブリは、焼結を開始及び完了させるのに適切な度数の熱を提供する様々なプロセス及び機器を使用して、無加圧様式で175から400℃の温度で更に焼結されてもよい。
【0082】
さらなる態様において、本発明は、ダイ取付け(例えば、チップから回路基板、チップから基板、チップからヒートシンク、チップから取付け具)、ウエハ間結合(例えば、チップからヒートシンク)、反射層印刷、気密及び略気密シーリング(例えば、パッケージ及び周縁部シール)、相互接続線の製造(例えば、回路、パッド)、半導体デバイス及び基板におけるビアフィリング、並びにフリップチップ及びウエハバンプ形成から選択される方法における、本明細書に記載のような金属粉末、又は本明細書に記載のような焼結用ペースト若しくはフィルムの使用を提供する。
【0083】
さらなる態様において、本発明は、焼結接合部を製造する方法であって、
本明細書に記載のような金属粉末、又は本明細書に記載のような焼結用ペースト若しくはフィルムを、接合される2つ以上の加工対象物の近くに提供するステップと;
金属粉末又は焼結用ペースト若しくはフィルムを加熱して、少なくとも部分的に金属を焼結するステップと
を含む方法を提供する。
【0084】
有利には、加熱するステップは、大気圧下で行うことができる。金属粉末又は焼結用ペースト若しくはフィルムは、低圧下で加工対象物の周縁部に配置され得る(典型的には1〜5MPa、約175から250℃の温度で0.1から60秒間)。
【0085】
加熱するステップは、好ましくは、少なくとも140℃、より好ましくは150から350℃、更により好ましくは160から300℃の温度で行われる。140℃未満の温度は、焼結用粉末中の粒子の十分な焼結をもたらさない可能性があり、並びに/又は蒸発及び/若しくは燃焼による有機物の十分な除去をもたらさない可能性がある。350℃を超える温度は、加工対象物に損傷をもたらす可能性がある。
【0086】
さらなる態様において、本発明は、焼結用ペーストを製造する方法であって、
本明細書に記載の方法に従って、金属粉末を調製するステップと;
金属粉末を、結合剤、溶媒、並びに任意選択でレオロジー調節剤及び/又は有機銀化合物及び/又は活性剤及び/又は過酸化物と混合するステップと
を含む方法を提供する。
【0087】
理解されるように、本明細書において開示される方法、粉末、ペースト及びフィルムは、先行技術に勝る多くの利益に関連する。特に、ペーストを用いて印刷した際に、スランプ現象、ブリッジ、プリント堆積物中の気泡、にじみ、及び開口部閉塞がない。更に、平坦な堆積物を有し、隅の折れがなく、また起伏がない80〜90マイクロメートルのペーストの高さを提供することが可能である。したがって、結合剤(例えば樹脂)を含むペーストの利益は、以下を含む。
無加圧焼結
標準的なSMTラインにおける処理可能性
平坦で均一な表面形態
15MPaを超えるダイシェア強度平均
界面破壊モードがない
室温安定性=最低1カ月
熱サイクル:1000サイクルまでの許容される接合部強度(−40℃から+125℃、10分の滞留時間)。
ニードル及び噴射分注可能
フィルム形態因子
【0088】
上述の利益に加えて、有機銀化合物を含有するペーストは、以下で列挙されるいくつかのさらなる利益を有する。
高いダイシェア強度(15から45MPa)
高い熱伝導率(>100W/mK)
ピン転写可能
良好な高温特性
【0089】
ここで、以下の限定されない図を参照しながら本発明を説明する。