(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持部材と、当該支持部材に傾動可能に支持される被支持部材との間に設けられ、前記被支持部材が前記支持部材に対して傾動するときの反力を調整可能な反力機構において、
前記支持部材に連結される第1の軸部材と、前記被支持部材に連結される第2の軸部材と、前記第1の軸部材と前記第2の軸部材以外の第3の軸部材とを含み、略同軸にかつ径方向に多層に配置される複数の軸部材と、
径方向で隣接する前記軸部材の間を連結する複数の付勢部材と、
前記第3の軸部材を、前記第1の軸部材または前記第2の軸部材に対して回動規制することによって、前記第1の軸部材と前記第2の軸部材の間に介在される前記付勢部材によるベース反力に対して反力を増加させる反力調整部と、を備えることを特徴とする反力機構。
複数の前記軸部材のうちの径方向内側に配置される軸部材の軸方向の長さは、径方向外側に配置される軸部材の軸方向の長さよりも長く設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反力機構。
前記付勢部材は、径方向で隣接する前記軸部材の間に充填されて、径方向内側と外側の前記軸部材に接合されるゴム状弾性部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反力機構。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、前後、上下、左右の各方向は、特別に断らない限り椅子に着座した着座者から見た方向を意味するものとする。また、以下で説明する各実施形態においては、同一部分には共通符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0018】
最初に、
図1〜
図10に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態に係る椅子1を正面側から見た斜視図であり、
図2は、この実施形態に係る椅子1を背面側から見た斜視図である。
この実施形態に係る椅子1は、フロア等の載置面上に載置される脚部2と、脚部2の上端部に設置される支基3と、支基3の上部に取り付けられて着座者の臀部及び腿部を支持する座4と、支基3に取り付けられて座4の後部側で着座者の背部を支持する背凭れ5と、背凭れ5を介して支基3に支持され、着座者の腕先部が載せ置かれる肘掛6とを備えている。なお、この実施形態においては、支基3が椅子1における支持構造体の主要部を構成している。
【0019】
脚部2は、下端にキャスタ2a1を有する多肢脚2aと、多肢脚2aの中央部より起立する脚柱2bとを備えている。脚柱2bは、外筒2b1と、外筒2b1に対して進退動作するロッド2b2とを有するガススプリングによって構成されている。ロッド2b2の上端部は、一部が支基3内に配置された状態で支基3に結合されている。ロッド2b2の上端部には、ガススプリング内のガス(空気)を給排するためのプッシュバルブ2b3(
図7参照)が設けられている。脚柱2bは、プッシュバルブ2b3が押圧されることによって外筒2b1に対するロッド2b2の昇降動作を許容され、プッシュバルブ2b3に対する押圧が解除されることによってロッド2b2の昇降がロックされる。したがって、支基3を介して脚柱2bに支持される座4や背凭れ5は、プッシュバルブ2b3の押圧操作によって昇降調整が可能とされている。
脚部2に取り付けられた支基3は、座4を下方から支持するとともに、背凭れ5を後下方に傾動可能に支持している。この支基3の詳細構造については後に詳述する。
【0020】
図3は、支基3と背凭れ5の連結部分を分解して示した図である。
同図に示すように、背凭れ5は、矩形枠状の荷重受け部を有する強度部材であるフレーム5aと、フレーム5aの荷重受け部の開口を閉じるように当該フレーム5aに張設される第1の張材5bと、第1の張材5bの外側を覆う第2の張材5cと、を備えている。
背凭れ5のフレーム5aは、荷重受け部の下端から支基3側に向かって延出する左右一対の前向杆5a1と、左右の前向杆5a1同士を連結するとともに後述するトーションユニット7の連結部15cが連結される接続部5a2と、を備えている。また、肘掛6は、背凭れ5のフレーム5aの左右の各下縁の外側側面に固定されている。
なお、トーションユニット7は、支基3と背凭れ5の連結部に設けられ、背凭れ5が支基3に対して後下方に傾動するときに、背凭れ5に、初期位置方向への所定の反力を付与するように機能する。また、トーションユニット7は、背凭れ5に付与する反力を強弱二段階に調整できるように構成されるとともに、背凭れ5の回動を初期位置でロックできるように構成されている。トーションユニット7は、この実施形態に係る反力機構を構成している。
【0021】
つづいて、支基3とトーションユニット7の詳細構造について説明する。
図4は、支基3とトーションユニット7の一部を後部下方側から見た分解図であり、
図5は、支基3とトーションユニット7を前部上方側から見た分解図である。また、
図6は、支基3の上面側の中央領域を上方側から見た図であり、
図7は、
図6のVII−VII断面に対応する支基3とトーションユニット7の断面図であり、
図8は、
図7のVIII−VIII断面に対応する支基3とトーションユニット7の断面図である。
支基3は、脚柱2bのロッド2b2の上端部に固定される強度部材であるベース部材3aを有している。ベース部材3aは、上面の中央領域に、平面視が略矩形状である収容凹部20が設けられ、その収容凹部20を形成する左右の側壁には、後方側に向かって延出する一対の後向杆3a5と、前部上方側に向かって延出する一対のアーム3a1が延設されている。一対の後向杆3a5は、収容凹部20の形成されるベース部材3aの本体部との間で、前方側に向かって凹状に窪む凹部3a2を形成している。
【0022】
ベース部材3aの収容凹部20内は、仕切部材23によって上収容室20aと下収容室20bとに隔成されている。
ベース部材3aの中央部には、脚柱2bのロッド2b2が取り付けられ、
図7に示すように、プッシュバルブ2b3を含むロッド2b2の上端部が収容凹部20の下収容室20b内に突出している。仕切部材23の下面側には、プッシュバルブ2b3を押圧操作するための揺動レバー27が回動可能に軸支されている。揺動レバー27は、一端側に昇降用ワイヤー30(
図6参照)が接続され、他端側が、プッシュバルブ2b3に押圧操作可能に対向している。昇降用ワイヤー30は、仕切部材23から上収容室20a側に引き出され、ワイヤーガイド25を介して支基3の外部に引き回されている。支基3から引き出された昇降用ワイヤー30は座4の右側部に設けられた操作ユニット8の昇降操作レバー8a(
図2参照)に接続されている。昇降用ワイヤー30は、昇降操作レバー8aの押し上げ操作によって引っ張られ、それによってプッシュバルブ2b3を押圧するように揺動レバー27を回動させる。
【0023】
ベース部材3aの収容凹部20の後壁20cには、前後方向に貫通する一対の保持孔3dが左右に離間して形成されている。この各保持孔3dには、進退方向に長手である操作ピン19が摺動自在に嵌合されている。操作ピン19は、保持孔3dに摺動自在に嵌入される大径部19bと、大径部19bからトーションユニット7側に突出する小径部19aと、大径部19bから収容凹部20内方向に突出する係止部19cと、を有している。操作ピン19は、前後方向の進退位置に応じて、背凭れ5に作用するトーションユニット7の反力調整と背凭れ5の傾動ロックを実行する。この実施形態においては、操作ピン19がトーションユニット7(反力機構)における反力調整部を構成している。
【0024】
また、収容凹部20の上収容室20aには、左右の操作ピン19の各係止部19cが連結される連動部材24と、左右の各操作ピン19と同心に配置されて連動部材24を後方側(トーションユニット7側)に付勢する付勢手段である一対のコイルばね28が収容されている。したがって、左右の操作ピン19は、連動部材24を介して、コイルばね28によってトーションユニット7側に付勢されている。また、連動部材24には、背凭れ操作用ワイヤー31が接続されている。背凭れ操作用ワイヤー31は、ワイヤーガイド25を介して支基3の外部に引き回されている。支基3から引き出された背凭れ操作用ワイヤー31は、座4の右側部に設けられた操作ユニット8の背凭れ操作レバー8b(
図2参照)に接続されている。背凭れ操作用ワイヤー31は、背凭れ操作レバー8bの回動操作によって引っ張られ、それによって左右の操作ピン19をコイルばね28の付勢力に抗して後退させる。この実施形態の場合、背凭れ操作レバー8bの回動位置は、三位置に変更可能とされている。したがって、左右の操作ピン19は、背凭れ操作レバー8bの回動位置に応じて前後三位置に変更可能とされている。
【0025】
ベース部材3aの前部上方側に向かって延出する左右のアーム3a1の各先端部は、座4の下面に対して直接固定されている。また、ベース部材3aの後方側の凹部3a2には、トーションユニット7が収容されるようになっている。凹部3a2の対向する二つの内側側面には、トーションユニット7の枢軸10を嵌合するための嵌合溝3a4が設けられている。なお、後向杆3a5同士の離間距離は、上述の背凭れ5の左右の前向杆5a1同士の離間距離と略等しく設定されている。
また、ベース部材3aのうちの、凹部3a2内の後方側に臨む壁部には、
図4,
図5に示すように規制突起33が設けられている。規制突起33は、左右の操作ピン19の略中間位置において後方側に突出している。規制突起33は、後に詳述するように、背凭れ5の傾動範囲を規制し、かつ、トーションユニット7に初期荷重を付与するように機能する。
【0026】
ところで、トーションユニット7は、
図7,
図8に示すように、最内層の軸部材である金属製の枢軸10と、枢軸10の径方向外側に第1のゴム状弾性部材11(付勢部材)を介して隣接して配置される内筒12と、内筒12の径方向外側に第2のゴム状弾性部材13(付勢部材)を介して隣接して配置される外筒14と、外筒14の外側を覆うハウジング15と、を備えている。なお、この実施形態においては、枢軸10と内筒12と外筒14が略同軸にかつ径方向に多層に配置される複数の軸部材を構成している。
【0027】
枢軸10は、軸方向の両側の端部10aが断面方形状に形成され、その両側の端部10aがハウジング15の外側に突出している。ハウジング15から外側に突出した枢軸10の端部を10aは、支基3の凹部3a2に設けられた嵌合溝3a4に回転を規制された状態で嵌合固定されている。したがって、枢軸10は、支基3のベース部材3aに対して相対回転不能に固定されている。
内筒12は、金属や硬質樹脂等の剛体によって形成されている。内筒12は、その軸長がハウジング15の軸長よりも短くなるように形成されている。したがって、内筒12の軸長は、枢軸10の軸長よりも短く設定されている。
第1のゴム状弾性部材11は、略円筒状に形成され、その内周面と外周面が枢軸10の外周面と内筒12の内周面とに加硫接着されている。第1のゴム状弾性部材11の軸方向両側の端面は、径方向内方側が軸方向外側に膨出するように、軸線方向と直交する方向に対して傾斜している。
【0028】
外筒14は、内筒12と同様に、金属や硬質樹脂等の剛体によって形成されている。外筒14は、その軸長が内筒12の軸長よりも充分に短くなるように形成されている。この実施形態の場合、外筒14の軸長は内筒12の軸長の3分の1程度の長さに設定されている。外筒14は、内筒12の軸方向の略中央領域に配置されている。
第2のゴム状弾性部材13は、略円筒状に形成され、その内周面と外周面が内筒12の外周面と外筒14の内周面とに加硫接着されている。第2のゴム状弾性部材13の軸方向両側の端面は、径方向内方側が軸方向外側に膨出するように、軸線方向と直交する方向に対して傾斜している。
【0029】
また、内筒12の周壁のうちの、外筒14よりも軸方向外側に突出する領域には、ハウジング15との相対回転を規制するための係止孔12b(
図8参照)が設けられている。ハウジング15の内側には、係止孔12bと嵌合される嵌合凸部15dが設けられている。
ハウジング15は、上部材15aと下部材15bとを備え、これらが外筒14及び内筒12の上側と下側とを枢軸10の径方向外側から覆っている。そして、ハウジング15は、上述のように嵌合凸部15dが内筒12の係止孔12bに嵌合されることにより、内筒12に対して相対回転不能に係止されている。ただし、ハウジング15は、外筒14に対しては所定隙間をもって離間している。
【0030】
また、ハウジング15の後部側には、後方に向かって膨出する連結部15cが設けられ、その連結部15cが背凭れ5にボルト締結等によって連結されるようになっている。したがって、ハウジング15と、そのハウジング15に係止される内筒12は、背凭れ5に対して相対回動不能に連結されている。
なお、この実施形態においては、枢軸10が、支持構造体(支持部材)である支基3に連結される第1の軸部材を構成し、内筒12が、背凭れ5(被支持部材)に連結される第2の軸部材を構成している。また、外筒14は、第1の軸部材と第2の軸部材以外の軸部材である第3の軸部材を構成している。
【0031】
また、ハウジング15の前部側の壁には、支基3から後方に突出した規制突起33と一対の操作ピン19のハウジング15内への進入を許容する開口部15e(
図3,
図5,
図7参照)が形成されている。操作ピン19は、
図7に示す最も後退した(前方に変位した)位置において、小径部19aの先端部が開口部15e内に配置される。ハウジング15の開口部15eは、背凭れ5の傾動範囲内において、操作ピン19との干渉を回避し得る上下幅に形成されている。
【0032】
ここで、トーションユニット7の外筒14には、左右に離間して一対の嵌合孔14aが形成されている。各嵌合孔14aには、支基3側に保持された左右の操作ピン19の小径部19aが軸方向に沿って嵌入可能とされている。外筒14は、嵌合孔14aに操作ピン19が嵌合されると、支基3に対する相対的な回動がロックされる。
図9は、操作ピン19の小径部19aが外筒14の嵌合孔14aにのみ嵌合された状態を示す
図7と同様の断面図である。
【0033】
トーションユニット7の内筒12には、左右に離間して一対の嵌合孔12aが形成されている。各嵌合孔12aには、操作ピン19の小径部19aが軸方向に沿って嵌入可能とされている。内筒12は、嵌合孔12aに操作ピン19が嵌合されると、支基3に対する相対的な回動がロックされる。
なお、外筒14と内筒12を連結する第2のゴム状弾性部材13と、内筒12と枢軸10を連結する第1のゴム状弾性部材11には、操作ピン19の進退変位を許容するための逃げ孔13a,11aが設けられている。外筒14の嵌合孔14aと内筒12の嵌合孔12aとは、背凭れ5が初期位置(最も起立した初期回動姿勢)にあるときに、両者が同軸になるように設定されている。したがって、背凭れ5が初期位置にあるときには、操作ピン19を、外筒14側の嵌合孔14aと内筒12側の嵌合孔12aとに跨って嵌合させることが可能となっている。
図10は、操作ピン19の小径部19aが外筒14の嵌合孔14aと内筒12の嵌合孔12aに跨って嵌合された状態を示す
図7と同様の断面図である。
【0034】
ここで、支基3に突設された規制突起33は、トーションユニット7のハウジング15の開口部15e内に配置され、開口部15eの上辺側の面または下辺側の面と当接することによって、ハウジング15と一体の背凭れ5の傾動範囲を規制する。
また、トーションユニット7は、支基3に対する組み付け時に、前述のように枢軸10の両端部10aが支基3側の対応する嵌合溝3a4に相対回動不能に嵌合された後に、内筒12と一体のハウジング15を、背凭れ5を後傾させる方向に回動させることによって第1のゴム状弾性部材11を所定量捩り、その状態でハウジング15の開口部15eに支基3側の規制突起33が嵌入される。これにより、ハウジング15の開口部15eの上辺側の面が第1のゴム状弾性部材11の反力を受けて規制突起33の上面に当接する。したがって、このようにしてトーションユニット7が組み付けられると、第1のゴム状弾性部材11が捩られて初期反力を蓄えたまま、背凭れ5が初期位置(初期姿勢)において回動を規制されることになる。
【0035】
支基3に保持された左右の操作ピン19は、前述のように背凭れ操作レバー8bの回動位置に応じて前後三位置に変更可能とされているが、その三位置は以下の位置とされている。
(1)第1の付勢力調整位置A1
操作ピン19が、第3の軸部材である外筒14と、第2の軸部材である内筒12のいずれにも係合(嵌合)されていない最も後退した位置(
図7参照)。
(2)第2の付勢力調整位置A2
操作ピン19が、第3の軸部材である外筒14にのみ係合(嵌合)される中間進退位置(
図9参照)。
(3)ロック位置A3
操作ピン19が、第3の軸部材である外筒14だけでなく、第2の軸部材である内筒12にも係合(嵌合)される最前進位置(
図10参照)。
【0036】
つづいて、この実施形態に係る椅子1の背凭れ5の傾動反力の調整と、背凭れ5の傾動ロックについて説明する。
【0037】
背凭れ5の傾動反力を「弱」に設定する場合には、着座者が操作ユニット8の背凭れ操作レバー8bを把持して「弱」位置まで回動させる。このとき、背凭れ操作用ワイヤー31は最大に引き込まれ、支基3に支持されている操作ピン19が、
図7に示す第1の付勢力調整位置A1に進退操作される。このとき、操作ピン19は外筒14と内筒12のいずれにも係合されていないため、外筒14の回動は支基3側に拘束されずに自由になる。
【0038】
この状態において、着座者が背凭れ5に凭れて、背凭れ5が後下方に傾動すると、支基3と一体の枢軸10に対して背凭れ5と一体の内筒12が相対回動し、枢軸10と内筒12の間に介在されている第1のゴム状弾性部材11が捩れ、このとき第1のゴム状弾性部材11が反力を発生する。このとき、外筒14は内筒12の回動に追従して回動するため、内筒12と外筒14の間に介装されている第2のゴム状弾性部材13は反力を発生しない。したがって、このとき第1のゴム状弾性部材11によるベース反力のみが背凭れ5に作用する。
【0039】
また、背凭れ5の傾動反力を「強」に設定する場合には、着座者が操作ユニット8の背凭れ操作レバー8bを把持して「強」位置まで回動させる。このとき、背凭れ操作用ワイヤー31は相対的に小さく引き込まれ、支基3に支持されている操作ピン19が、
図9に示す第2の付勢力調整位置A2に進退操作される。このとき、操作ピン19は外筒14に係合されるため、外筒14の回動が支基3によって規制される。
【0040】
この状態において、着座者が背凭れ5に凭れて、背凭れ5が後下方に傾動すると、支基3と一体の枢軸10に対して背凭れ5と一体の内筒12が相対回動し、枢軸10と内筒12の間に介在されている第1のゴム状弾性部材11が捩れる。また、このとき外筒14の回動が支基3によって規制されているため、外筒14と内筒12の間に介在されている第2のゴム状弾性部材13も同時に捩じれる。この結果、第1のゴム状弾性部材11と第2のゴム状弾性部材13がともに反力を発生し、第1のゴム状弾性部材11によるベース反力に第2のゴム状弾性部材13による反力が加算されて、その合計反力が背凭れ5に作用する。
【0041】
一方、背凭れの傾動をロックする場合には、着座者が操作ユニット8の背凭れ操作レバー8bを把持して「ロック」位置まで回動させる。このとき、背凭れ操作用ワイヤー31の引き込みが解除され、支基3に支持されている操作ピン19がコイルばね28の付勢力を受けて、
図10に示すロック位置A3に進退操作される。このとき、操作ピン19は、外筒14だけでなく内筒12にも係合されるため、背凭れ5の回動が操作ピン19によってロックされる。
【0042】
以上のように、この実施形態に係る椅子1で採用するトーションユニット7(反力機構)においては、枢軸10と内筒12と外筒14とが略同軸にかつ径方向に多層に配置されるとともに、枢軸10と内筒12、内筒12と外筒14の各間が第1のゴム状弾性部材11と第2のゴム状弾性部材13によってそれぞれ連結され、支基3や背凭れ5に直接結合されていない外筒14が反力調整部である操作ピン19によって回動を規制されることで、背凭れ5に作用する反力を増大できるようになっている。即ち、この実施形態に係るトーションユニット7では、操作ピン19を第1の付勢力調整位置A1から第2の付勢力調整位置A2に変位させて外筒14の回動を規制することにより、第1のゴム状弾性部材11によるベース反力に、第2のゴム状弾性部材13による反力を加算して、背凭れ5に作用する反力を増大できるようになっている。このため、トーションユニット7で確保できる軸方向のスペースが限られている場合にも、第1のゴム状弾性部材11、内筒12、第2のゴム状弾性部材13、外筒14の各軸長を充分に確保することができる。したがって、反力を容易に変更できるトーションユニット7を過剰な設計精度を必要とせずに得ることができる。
【0043】
また、特にこの実施形態に係るトーションユニット7では、最内層の軸部材である枢軸10が支基3に結合されるとともに、枢軸10の径方向外側に隣接して配置される内筒12が背凭れ5に連結され、内筒12の径方向外側に外筒14が配置され、反力調整部である操作ピン19が、前述の第1の付勢力調整位置A1と第2の付勢力調整位置A2の間で進退操作されるようになっている。このため、操作ピン19が第2の付勢力調整位置A2(「強」位置)に操作されるときの反力を所望通りの反力に比較的容易に設定することができる。つまり、この実施形態の場合、第1のゴム状弾性部材11によるベース反力に第2のゴム状弾性部材13による反力を単純に加算するかたちで容易に総反力を設定することができる。
【0044】
また、この実施形態に係るトーションユニット7においては、径方向内側に配置される内筒12の軸方向の長さが、径方向外側に配置される外筒14の軸方向の長さよりも長く設定され、内筒12の軸方向の両側の端部が外筒14から軸方向外側に突出している。このため、内筒12の軸方向両側の突出部分を利用し、例えば、嵌合凸部15dに嵌合する係止孔12bを設ける等して、外筒14の内側に配置される内筒12をハウジング15等に容易に位置決めすることができる。
【0045】
また、この実施形態に係るトーションユニット7では、枢軸10と内筒12の間と、内筒12と外筒14の間に介在される付勢部材がそれぞれの周面に加硫接着されるゴム状弾性部材(第1のゴム状弾性部材11,第2のゴム状弾性部材13)によって構成されている。このため、枢軸10と内筒12の間や、内筒12と外筒14の間で相対的な回動が生じたときに、ゴム状弾性部材が全域でほぼ均等に捩れ変形する。したがって、この構造を採用することにより、トーションユニット7全体をコンパクトな構造としながらも、安定した傾動反力を得ることができる。
【0046】
さらに、この実施形態の場合、第1のゴム状弾性部材11や第2のゴム状弾性部材13の軸方向の外側端面が、軸方向と直交する方向に対して軸方向外側方に傾斜するように形成され、それによって各ゴム状弾性部材の軸方向に沿う断面が略台形状とされている。このため、各ゴム状弾性部材の径方向内側と外側に配置されている軸部材の軸方向の相互のずれをゴム状弾性部材によって効率良く規制することができる。このため、この実施形態に係るトーションユニット7においては、常に安定した反力を得ることができる。
【0047】
次に、
図11〜
図13に示す第2の実施形態について説明する。なお、
図11は、第1の実施形態の
図7に対応する図であり、
図12は、第1の実施形態の
図9に対応する図であり、
図13は、第1の実施形態の
図10に対応する図である。
この第2の実施形態に係る椅子101は、第1の実施形態と同様に反力機構であるトーションユニット107が枢軸10、内筒12、外筒14、及び、ハウジング15を有するとともに、枢軸10と内筒12の間が第1のゴム状弾性部材11によって連結されるとともに、内筒12と外筒14の間が第2のゴム状弾性部材13によって連結されている。ただし、枢軸10は、図示しない背凭れに一体に結合され、外筒14は、支基3に一体に結合されている。そして、外筒14と内筒12には、反力調整部である操作ピン19の小径部19aが嵌合可能な嵌合孔14a,12aがそれぞれ形成され、枢軸10には、操作ピン19の小径部19aの先端が嵌入可能なロック穴35が形成されている。また、操作ピン19は、第1の実施形態と同様に支基3に進退変位可能に保持されている。
この実施形態の場合、外筒14が第1の軸部材を構成し、枢軸10が第2の軸部材を構成し、内筒12が第3の軸部材を構成している。
【0048】
操作ピン19は、内筒12と枢軸10のいずれにも係合されない第1の付勢力調整位置A11(
図11参照)と、内筒12の嵌合孔12aに嵌合される第2の付勢力調整位置A12(
図12参照)と、枢軸10のロック穴35に嵌合されるロック位置(
図13参照)と、の間で進退操作される。
【0049】
背凭れの傾動反力を「弱」に設定する場合には、支基3に支持されている操作ピン19が、
図11に示す第1の付勢力調整位置A11に進退操作される。このとき、操作ピン19は内筒12と枢軸10のいずれにも係合されていないため、背凭れとともに枢軸10が回動すると、内筒12が第1のゴム状弾性部材11を介して隣接する枢軸10に追従して回動変位し、枢軸10と内筒12の間の第1のゴム状弾性部材11と、内筒12と外筒14の間の第2のゴム状弾性部材13が直列に接続された状態でベース反力を発生するようになる。したがって、このとき第1のゴム状弾性部材11や第2のゴム状弾性部材13が単独で捩れて反力を発生する場合に比較して、発生する反力は相対的に小さくなる。この結果、背凭れ5には、比較的小さい反力が作用する。
【0050】
また、背凭れの傾動反力を「強」に設定する場合には、支基3に支持されている操作ピン19が、
図12に示す第2の付勢力調整位置A12に進退操作される。このとき、操作ピン19は内筒12の嵌合孔12aに嵌合されるため、内筒12の回動が操作ピン19によってロックされる。したがって、このとき背凭れとともに枢軸10が回動すると、枢軸10と内筒12の間の第1のゴム状弾性部材11のみが捩れ変形し、上記のベース反力よりも大きな反力を発生するようになる。この結果、背凭れ5には、比較的大きい反力が作用する。
【0051】
また、背凭れの傾動をロックする場合には、支基3に支持されている操作ピン19が、
図13に示すロック位置A13に進退操作される。このとき、操作ピン19は内筒12の嵌合孔12aだけでなく枢軸10のロック穴35にも嵌合されるため、枢軸10の回動が操作ピン19によって規制される。この結果、背凭れの傾動がロックされる。
【0052】
以上のように、この第2の実施形態に係る椅子101で用いるトーションユニット107は、操作ピン19が第1の付勢力調整位置A11にあるときに、第1のゴム状弾性部材11と第2のゴム状弾性部材13が直列に接続された状態で反力を発生し、その状態から操作ピン19が第2の付勢力調整位置A12に操作されて内筒12の回転を規制したときに、第1のゴム状弾性部材11が単独で反力を発生するようになっている。このため、操作ピン19が第1の付勢力調整位置A11から第2の付勢力調整位置A12に操作された場合には、第1のゴム状弾性部材11と第2のゴム状弾性部材13が直列状態で反力を発生するベース反力に対して、背凭れに作用する反力を増大させることができる。
したがって、この第2の実施形態に係るトーションユニット107の場合も、確保できる軸方向のスペースが限られていても、第1のゴム状弾性部材11、内筒12、第2のゴム状弾性部材13、外筒14の各軸長を充分に確保することができる。したがって、反力を容易に変更できるトーションユニット107を過剰な設計精度を必要とせずに得ることができる。
【0053】
つづいて、
図14〜
図23に示す第3の実施形態について説明する。なお、
図14は、支基3の一部とトーションユニット7を前方側から見た分解図であり、
図15,
図17,
図19は、それぞれ第1の実施形態の
図7,
図9,
図10に対応する断面図である。また、
図16は、
図15のXVI−XVI断面に対応する断面を示す図であり、
図18,
図20は、
図17のXVIII−XVIII断面に対応する図と、
図19のXX−XX断面に対応する図である。また、
図21は、
図20のXXI−XXI断面に対応する断面図であり、
図22,
図23は、
図16のXXII−XXII断面に対応する断面図である。
この第3の実施形態に係る椅子201は、トーションユニット7(反力機構)が、枢軸10、内筒12、外筒14、及び、ハウジング15を有し、枢軸10と内筒12の間が第1のゴム状弾性部材11によって連結されるとともに、内筒12と外筒14の間が第2のゴム状弾性部材13によって連結されている点や、枢軸10が支基3側に一体に結合され、内筒12がハウジング15を介して背凭れ側に一体に結合されている点等の基本構成は第1の実施形態と同様とされている。
【0054】
この第3の実施形態の場合、操作ピン219が一つである点や操作ピン219の形状等が第1の実施形態と異なっているが、操作ピン219は、第1の実施形態のものと同様に、外筒14と内筒12のいずれにも係合されない第1の付勢力調整位置A1(
図15,
図16参照)と、外筒14にのみ係合される第2の付勢力調整位置A2(
図17,
図18参照)と、内筒12の回動をロックするロック位置A3(
図19,
図20参照)と、の間で進退操作される。
この第3の実施形態の第1の実施形態との大きな相違は、操作ピン219がロック位置A3に操作されたときに、操作ピン219が、内筒12と一体のハウジング15に嵌合されて内筒12の回動をロックする点である。
【0055】
支基3の後壁220cには、操作ピン219を摺動自在に保持する左右方向に長い略矩形状(コーナーと両側の側部が丸みをおびた略矩形状)の保持孔203dが形成されている。また、後壁220cの保持孔203dを間に挟む左右両側には、後方側に向かって突出する一対の変位規制突起40が突設されている。変位規制突起40は、突出方向と直交する方向の断面が縦長の略矩形状に形成されている。後壁220cは、ボルト41によって支基3の本体部に固定されるようになっている。
【0056】
操作ピン219は、断面が保持孔203dと略同形状の拡幅部219bと、拡幅部219bの軸方向の一端から同軸に突出する小径部219aと、拡幅部219bの軸方向他端から同軸に突出する係止部219cと、を有している。拡幅部219bは、後壁220cの保持孔203dに摺動自在に保持される。小径部219aは、拡幅部219bの最小幅部(高さ方向の幅部分)よりも小径の円形断面に形成されている。また、小径部219aは、トーションユニット7側に向かって突出し、トーションユニット7の径方向内側方向に進入可能とされている。係止部219cには、一対のコイルばね28によってトーションユニット7方向に付勢された連動部材24が連結されている。連動部材24には、第1の実施形態と同様に背凭れ用操作ワイヤ(図示せず)が接続されている。
【0057】
一方、トーションユニット7のハウジング15の前面には、操作ピン219の拡幅部219bが嵌合可能な横長の略矩形状の嵌合孔42が形成されている。嵌合孔42は、正確には、
図14に示すように操作ピン219の拡幅部219bの断面と略同形状の矩形状部の下部側の中央領域に、下方に略半円状に窪む窪み部42aが連設されている。操作ピン219の小径部219aは、拡幅部219bの最小幅部よりも小径であるため、背凭れ5が初期位置にあるとき(初期姿勢のとき)には嵌合孔42に対しては自由に挿通可能とされているが、背凭れ5が後下方に大きく傾動したときに、操作ピン219の小径部219aがハウジング15と干渉するのを回避するために、窪み部42aは設けられている。トーションユニット7のハウジング15は、
図21に示すように、操作ピン219の拡幅部219bが嵌合孔42に嵌合されることにより、支基3に対する回動がロックされる。
【0058】
また、ハウジング15の前面の嵌合孔42を間に挟む左右両側位置には、支基3側の後壁220cの左右の変位規制突起40が挿入される係止穴43が形成されている。係止穴43の内側の上下方向の離間幅は、変位規制突起40の高さよりも充分に大きく設定されている。係止穴43は、
図22,
図23に示すように、ハウジング15が背凭れとともに上下方向に大きく回動変位したときに、その内面に変位規制突起40が当接することによって背凭れの傾動を規制する。なお、
図22は、背凭れ5が初期位置方向(起立姿勢となる方向)に最大に回動して係止穴43の上辺側の面43aが規制突起33の上面に当接した状態を示しており、
図23は、背凭れ5が後下方に最大に回動して係止穴43の下辺側の面43bが規制突起33の下面に当接した状態を示している。
【0059】
また、トーションユニット7を支基3に組み付けるときには、トーションユニット7の枢軸10の両端部10aを支基3側の対応する嵌合溝3a4に相対回動不能に嵌合し、その後に内筒12と一体のハウジング15を、背凭れ5を後傾させる方向に回動させることによって第1のゴム状弾性部材11を所定量捩り、その状態でハウジング15の係止穴43に支基3側の変位規制突起40を嵌入する。これにより、
図22に示すように、ハウジング15の係止穴43の上辺側の面43aが第1のゴム状弾性部材11の反力を受けて変位規制突起40の上面に当接する。こうしてトーションユニット7が組み付けられると、第1のゴム状弾性部材11が捩られて初期反力を蓄えたまま、背凭れ5が初期位置(初期姿勢)において回動を規制されることになる。
【0060】
トーションユニット7の外筒14と内筒12には、操作ピン219の小径部219aが嵌入可能な嵌合孔14a,12aが形成されている。また、第2のゴム状弾性部材13と第1のゴム状弾性部材11には、操作ピン219の小径部219aの進入を許容するための逃げ孔13a,11aが形成されている。
なお、この第3の実施形態においては、後に詳述するように操作ピン219がハウジング15に嵌合されて背凭れの傾動をロックするものであるため、内筒12の嵌合孔12aは、操作ピン219の小径部219aが遊挿され得る径であっても良い。また、操作ピン219の小径部219aの長さが、操作ピン219の最大突出時に小径部219aと内筒12の外面が干渉しない長さである場合には、内筒12には嵌合孔12aを設けなくても良い。
この実施形態の場合、枢軸10が第1の軸部材を構成し、内筒12とハウジング15が第2の軸部材を構成し、外筒14が第3の軸部材を構成している。
【0061】
背凭れの傾動反力を「弱」に設定する場合には、支基3に支持されている操作ピン219が、
図15,
図16に示す第1の付勢力調整位置A1に進退操作される。このとき、操作ピン219は外筒14と内筒12のいずれにも係合されていないため、背凭れとともにハウジング15と内筒12が回動すると、枢軸10と内筒12の間に介在されている第1のゴム状弾性部材11が捩れ、このとき第1のゴム状弾性部材11が反力を発生する。また、このとき外筒14は内筒12の回動に追従して回動するため、内筒12と外筒14の間に介装されている第2のゴム状弾性部材13は反力を発生しない。このため、背凭れには、第1のゴム状弾性部材11によるベース反力のみが作用する。
【0062】
また、背凭れの傾動反力を「強」に設定する場合には、支基3に支持されている操作ピン219が、
図17,
図18に示す第2の付勢力調整位置A2に進退操作される。このとき、操作ピン219が外筒14の嵌合孔14aに嵌合されるため、外筒14は回転を規制される。このため、背凭れの傾動時には、回転停止している枢軸10と外筒14に対して内筒12が相対的に回動し、第1のゴム状弾性部材11と第2のゴム状弾性部材13が捩れ変形する。この結果、第1のゴム状弾性部材11によるベース反力に第2のゴム状弾性部材13による反力が加算され、背凭れには、その加算された反力が作用するようになる。
【0063】
また、背凭れの傾動をロックする場合には、支基3に支持されている操作ピン219が、
図19,
図20に示すロック位置A3に進退操作される。このとき、操作ピン219は、小径部219aが内筒12の嵌合孔12aと外筒14の嵌合孔14aに嵌合されるとともに、拡幅部219bがハウジング15の嵌合孔42に嵌合され、その結果、ハウジング15と一体の背凭れの傾動がロックされる。
【0064】
以上のように、この第3の実施形態に係る椅子201で採用するトーションユニット7は、第1の実施形態と同様に、操作ピン219を第1の付勢力調整位置A1から第2の付勢力調整位置A2に変位させて外筒14の回動を規制することにより、第1のゴム状弾性部材11によるベース反力に、第2のゴム状弾性部材13による反力を加算して、背凭れ5に作用する反力を増大させることができる。したがって、トーションユニット7で確保できる軸方向のスペースが限られている場合にも、第1のゴム状弾性部材11、内筒12、第2のゴム状弾性部材13、外筒14の各軸長を充分に確保でき、反力を容易に変更できるトーションユニット7を過剰な設計精度を必要とせずに得ることができる。
ただし、この第3の実施形態に係るトーションユニット7は、操作ピン219がトーションユニット7の最外周部に位置されるハウジング15に嵌合されることで、背凭れの傾動がロックされる構造とされているため、径の小さい内筒12等に過大な負荷が作用するのを未然に防止することができる。したがって、トーションユニット7の出荷時における性能を長期に亙って維持することができる。
【0065】
次に、
図12に示す第4の実施形態について説明する。
図24は、第4の実施形態に係るトーションユニット307(反力機構)を軸方向に沿って切った断面を示す図である。
この第4の実施形態に係るトーションユニット307は、枢軸10の径方向外側に内筒12が配置され、内筒12の径方向外側に2つの外筒14A,14Bが軸方向に並列に並んで配置されている。そして、枢軸10と内筒12の間は第1のゴム状弾性部材11によって連結され、内筒12と各外筒14A,14Bの間は、個別に第2のゴム状弾性部材13A,13Bを介して連結されている。
【0066】
反力調整部をなす操作ピン19A,19Bは、各外筒14A,14Bに対応して2つ設けられている。各外筒14A,14Bには、操作ピン19A,19Bが嵌合可能な嵌合孔14Aa,14Baが形成され、内筒12には、操作ピン19A,19Bが嵌合可能な嵌合孔12Aa,12Baが形成されている。
【0067】
この第4の実施形態に係るトーションユニット307は、例えば、枢軸10が支基等の支持構造体(支持部材)に一体に結合され、内筒12が背凭れ(被支持部材)に一体に結合されて用いられる。
このトーションユニット307では、弱い反力を得る場合には、操作ピン19A,19Bを内筒12にも外筒14A,14Bに係合しない位置に変位させ、中程度の反力を得る場合には、一方の操作ピン19Aを外筒14Aの嵌合案14Aaと嵌合する位置に変位させ、さらに強い反力を得る場合には、2つの操作ピン19A,19Bを対応する外筒14A,14Bの嵌合孔14Aa,14Baと嵌合する位置に変位させる。
【0068】
即ち、操作ピン19A,19Bが内筒12にも外筒14A,14Bに係合しない位置にあるときには、第1の弾性部材11が単独でベース反力を発生する。
一方の操作ピン19Aが外筒14Aの嵌合孔14Aaと嵌合する位置にあるときには、一方の外筒14Aの回動がロックされ、一方の第2のゴム状弾性部材13Aが反力を発生するようになる。この結果、第1の弾性部材11によるベース反力に一方の第2のゴム状弾性部材13Aによるベース反力が加算される。
2つの操作ピン19A,19Bが対応する外筒14A,14Bの嵌合孔14Aa,14Baと嵌合する位置にあるときには、2つの外筒14A,14Bの回動がロックされ、2つの第2のゴム状弾性部材13A,13Bが反力を発生するようになる。この結果、第1の弾性部材11によるベース反力に2つの第2のゴム状弾性部材13A,13Bによるベース反力が加算される。
【0069】
したがって、第4の実施形態に係るトーションユニット307は、軸長や外径の増大を招くことなく3段階の反力調整を実現することができる。
なお、このトーションユニット307の場合、操作ピン19A,19Bのうちの少なくとも一方を内筒の嵌合孔12Aa,12Baに嵌合することによって背凭れの傾動をロックすることができる。
【0070】
最後に、
図25に示す第5の実施形態について説明する。
図25は、第5の実施形態に係るトーションユニット407(反力機構)を軸方向に沿って切った断面を示す図である。
この第5の実施形態に係るトーションユニット407は、枢軸10の径方向外側に第1のゴム状弾性部材11を介して内筒12が結合され、内筒12の径方向外側に第2のゴム状弾性部材13が結合されている。このトーションユニット407は、例えば、枢軸10が支基等の支持構造体(支持部材)に結合され、内筒12が背凭れ(被支持部材)に結合されて用いられる。そして、内筒12の外周面と外筒14の外周面には、それぞれギヤ歯12e,14eが設けられており、各歯12e,14eには、進退変位可能な操作ギヤ33,34が噛合可能とされている。この実施形態においては、操作ギヤ34が反力調整部を構成している。
【0071】
この第5の実施形態に係るトーションユニット407では、弱い反力を得る場合には、操作ギヤ33,34を内筒12と外筒14から離反させる。これにより、外筒14が内筒12に追従回転し、第1のゴム状弾性部材11が単独でベース反力を発生するようになる。
また、強い反力を得る場合には、操作ギヤ34を外筒14のギヤ歯14eに噛合させる。これにより、外筒14の回動がロックされ、第1のゴム状弾性部材11に加えて第2のゴム状弾性部材13も反力を発生するようになる。
さらに、背凭れの傾動をロックする場合には、操作ギヤ33を内筒12のギヤ歯12eに噛合させる。これにより、枢軸10と内筒12の相対回動がロックされる。
【0072】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、枢軸と内筒と外筒が三層の軸部材を構成しているが、径方向に配置する軸部材は三層以上であればさらに多くても良い。