特許第6494097号(P6494097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494097
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】回転角度検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20190325BHJP
   G01D 5/14 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   G01D5/12 Q
   G01D5/14 H
   G01D5/12 H
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-73480(P2015-73480)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-194418(P2016-194418A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 龍一
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−221655(JP,A)
【文献】 特開2012−083212(JP,A)
【文献】 特開2006−126136(JP,A)
【文献】 特開2010−093869(JP,A)
【文献】 特開2013−148457(JP,A)
【文献】 特開2010−038573(JP,A)
【文献】 特開2014−211434(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0219817(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
G01D 5/00−5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に取り付けられた磁石の磁束の向きから前記回転軸の角度を磁気的に検出する回転角度検出装置であって、
前記磁石は、前記回転軸の軸方向と直交する直交方向に一対の磁極を形成するリング形状を有し、
前記磁石には、前記一対の磁極の境界線が通る境界領域に、前記直交方向で前記リング形状の軸心を通る中心線に対し非線対称形状となる非線対称部が設けられており、
前記磁石は、前記軸方向の一方側において前記回転軸の端部の外径よりも小さい第1の内径を有すると共に、前記軸方向の他方側において前記回転軸の端部の外径よりも大きい第2の内径を有する、ことを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項2】
前記非線対称部は、前記リング形状の外周に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の回転角度検出装置。
【請求項3】
前記非線対称部は、前記リング形状の軸心に向かって窪む凹形状を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の回転角度検出装置。
【請求項4】
前記回転軸の端部には、係合突部が設けられ、
前記磁石は、前記係合突部が圧入により係合する係合孔部を有する保持部材に保持され、
前記係合孔部は、前記境界線及び前記中心線のそれぞれに対し線対称形状である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転角度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角度検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転軸に取り付けられた磁石の磁束の向きから前記回転軸の角度を磁気的に検出する回転角度検出装置として、例えば、下記特許文献1に記載の回転角度センサーが知られている。
この回転角度センサーは、リング形状の磁石と、磁石を保持する磁石保持ユニットと、を有する。磁石保持ユニットは、D字形状の差し込み溝を有し、この差し込み溝が、絞り弁軸部材(回転軸)の端部に嵌合する。これにより、磁石が絞り弁軸部材に対して位置決めされる(特許文献1のFig.5c参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−504428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術には、次のような問題がある。
従来技術では、差し込み溝がD字形状であるため、差し込み溝に絞り弁軸部材の端部が圧入されることを想定した場合、圧入による差し込み溝の変形量が半径方向で不均一となる。このため、磁石保持ユニットに保持されるリング形状の磁石の軸心が、絞り弁軸部材の軸心からずれて、回転角度検出の精度が低下する虞がある。
【0005】
一方で、差し込み溝をD字形状にせずに、例えば、磁石の外周の一部を切り落とし、その切り落とし部分を目印にして、絞り弁軸部材に対する周方向の磁石の位置決めを行うことが考えられる。しかしながら、不用意に磁石の一部を切り落とすと、磁石の磁束が歪み、回転角度検出の精度が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、回転角度検出の精度の低下を抑制しつつ、回転軸に対する周方向における磁石の位置決めを容易に行える回転角度検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、回転軸に取り付けられた磁石の磁束の向きから前記回転軸の角度を磁気的に検出する回転角度検出装置であって、前記磁石は、前記回転軸の軸方向と直交する直交方向に一対の磁極を形成するリング形状を有し、前記磁石には、前記一対の磁極の境界線が通る境界領域に、前記直交方向で前記リング形状の軸心を通る中心線に対し非線対称形状となる非線対称部が設けられている、という構成を採用する。
【0008】
また、本発明においては、前記非線対称部は、前記リング形状の外周に設けられている、という構成を採用する。
【0009】
また、本発明においては、前記非線対称部は、前記リング形状の軸心に向かって窪む凹形状を有する、という構成を採用する。
【0010】
また、本発明においては、前記回転軸の端部には、係合突部が設けられ、前記磁石は、前記係合突部が圧入により係合する係合孔部を有する保持部材に保持され、前記係合孔部は、前記境界線及び前記中心線のそれぞれに対し線対称形状である、という構成を採用する。
【0011】
また、本発明においては、前記磁石は、前記軸方向の一方側において前記回転軸の端部の外径よりも小さい第1の内径を有すると共に、前記軸方向の他方側において前記回転軸の端部の外径よりも大きい第2の内径を有する、という構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、回転軸の軸方向と直交する直交方向に一対の磁極を有するリング形状の磁石が、当該一対の磁極の境界線が通る境界領域に非線対称部を有する。この境界領域は、着磁できない領域であり、非線対称形状に変形しても磁束の歪みが生じ難い。このため、回転角度検出の精度の低下を抑制することができる。また、非線対称部を目印にできるため、回転軸に対して誤った方向に磁石を組み付けてしまうことがない。このため、回転軸に対する周方向における磁石の位置決めを容易に行える。
このように、本発明によれば、回転角度検出の精度の低下を抑制しつつ、回転軸に対する周方向における磁石の位置決めを容易に行える回転角度検出装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態における回転角度検出装置の構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態における磁石の取り付け構造を示す分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態における発磁体を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態における発磁体の弁軸への取り付け作業を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における回転角度検出装置1の構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の回転角度検出装置1は、スロットルバルブ100に設けられている。このスロットルバルブ100は、図示しないエンジンの吸気ポートに設けられており、そのエンジンの吸気量を調整するものである。
【0015】
スロットルバルブ100は、エンジンの吸気ポートに連通する吸気道101aが形成されているスロットルボディ101を有する。このスロットルボディ101には、吸気道101aを横断するように弁軸102(回転軸)が回転自在に支承されている。弁軸102には、吸気道101aを開閉するバタフライ型の弁体103がネジ止めされている。
【0016】
弁軸102は、軸方向の一方側において、その周面が軸受104によって回転自在に支持されている。また、弁軸102は、図示しない軸方向の他方側において、その周面が図示しない軸受によって回転自在に支持されている。
弁軸102の軸方向の一方側には、回転角度検出装置1が設けられている。また、弁軸102の軸方向の他方側は、図示しない電動機に連結されている。
【0017】
回転角度検出装置1は、電動機によって駆動する弁軸102の回転角度を検出するものである。この回転角度検出装置1は、弁軸102に取り付けられてそれと共に回転する磁石10を有する発磁体2と、磁石10の磁束の向きから弁軸102の回転角度を磁気的に検出する磁気センサー3と、を有する。発磁体2は、磁気センサー3に対して相対回転可能に弁軸102の端部102aに取り付けられている。
【0018】
磁気センサー3は、磁電変換素子を有し、基板4に実装されている。磁電変換素子としては、例えばホール効果を用いて磁石10の磁束を検出するホール素子を採用することができる。基板4は、センサーユニット5に取り付けられており、外部をカバー6で覆われている。スロットルボディ101は、センサーユニット5を装着するための装着孔105を有する。センサーユニット5は、装着孔105に嵌合可能な嵌合部7を有する。
【0019】
嵌合部7には、有底円筒状の溝部7aが形成されている。溝部7aは、径方向において発磁体2と対向する側壁面7a1と、軸方向において発磁体2と対向する天面7a2(底面)と、を有する。また、センサーユニット5には、嵌合部7の周りにリング形状の溝部8が形成されている。溝部8には、シールリング8aが配置されており、センサーユニット5とスロットルボディ101との間がシールされている。
【0020】
また、センサーユニット5には、コネクタ9が設けられている。コネクタ9には、外部の図示しない制御装置に磁気センサー3の検出信号を出力するための電極9aが設けられている。このようなセンサーユニット5及びカバー6は、絶縁性を有する合成樹脂材等から形成されている。
【0021】
次に、磁石10の取り付け構造について図2及び図3を参照して詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態における磁石10の取り付け構造を示す分解斜視図である。図3は、本発明の実施形態における発磁体2を示す平面図である。
図2に示すように、発磁体2は、磁石10と、保持部材20と、を有する。磁石10は、保持部材20を介して弁軸102に取り付けられている。
【0022】
保持部材20は、所定厚みを有する平板形状を有し、弁軸102の端部102aに締結固定されている。保持部材20は、その一方の面20a側から挿入されるボルト30(締結部材)によって、弁軸102の端部102aに締結固定されている。
弁軸102の端部102aには、ボルト30の軸部31が螺入可能なネジ孔106が設けられている。ネジ孔106は、端部102aの端面102a1に対して垂直に弁軸102の軸方向に形成されている。
【0023】
また、弁軸102の端部102aには、係合突部107が設けられている。係合突部107は、端面102a1において、ネジ孔106を挟んだ両側から軸方向に突出するように形成されている。係合突部107は、保持部材20に設けられた係合孔部21に軸方向で係合可能な間隔で配置されている。係合突部107は、発磁体2の締結固定の際にボルト30の両脇で係合孔部21に係合することで、発磁体2の回り止めと位置決めをするようになっている。
【0024】
保持部材20は、ボルト30の軸部31が挿通される係合孔部21を有する。係合孔部21は、保持部材20の中心に形成されている。係合孔部21は、平面視で長穴状に形成されている。この係合孔部21の短辺方向の幅は、ボルト30の頭部32の直径よりも小さくなっており、ボルト30の挿入によって頭部32と弁軸102との間で保持部材20を挟み込んで締結固定できるようになっている。係合孔部21は、係合突部107が圧入により係合可能な大きさを有し、発磁体2のガタを防止するようになっている。
【0025】
保持部材20は、非磁性の金属材から形成されている。本実施形態の保持部材20は、例えばSUS304から形成されている。保持部材20の外縁部22には、磁石10が保持されている。保持部材20の外縁部22は、磁石10の内周10aに埋設されており、弁軸102の軸方向から視て、磁石10と保持部材20とが重なる部分が形成されている。本実施形態の保持部材20の外縁部22は、平面視で六角形状を有している。
【0026】
磁石10は、保持部材20にモールド成形されている。磁石10は、合成樹脂製の永久磁石である。この磁石10は、例えば、フェライト磁石等の焼結磁石を粉砕した磁性粉を、ナイロンやポリエチレンの熱可塑性樹脂等の結合剤(バインダ)に分散させ、これを、保持部材20をセットした成形金型を用いてリング形状に成形した後、着磁して成るものである。当該着磁により、磁石10は、図3に示すように、弁軸102の軸方向と直交する直交方向に一対の磁極11N,11S(N極、S極)を形成する。
【0027】
一対の磁極11N,11Sの境界線L1が通る境界領域には、一対の磁極11N,11Sが形成される磁界の方向でリング形状の軸心C1を通る中心線L2に対し非線対称形状となる非線対称部13が設けられている。境界線L1とは、弁軸102の軸方向に直交し、且つ、一対の磁極11N,11Sを通る直線(中心線L2)に直交し、磁石10の軸心C1を通る線である。また、中心線L2とは、弁軸102の軸方向に直交し、且つ、境界線L1に直交し、磁石10の軸心C1を通る線である。
【0028】
非線対称部13は、リング形状の外周10bに設けられている。この非線対称部13は、リング形状の軸心C1に向かって窪む凹形状を有する。具体的に、非線対称部13は、磁石10の外周10bが真円だった場合の仮想円を基準に設定された軸心C1に向かって窪み、その溝中央が最も軸心C1に近くなる平面視円弧形状の溝面を有する。なお、係合孔部21は、境界線L1及び中心線L2のそれぞれに対し線対称形状となっている。
【0029】
非線対称部13は、図2に示すように、磁石10の外周10bに対し一定の深さで直線状に形成されている。磁石10は、外周10bが弁軸102の軸方向に対して傾斜する円錐台形状を有する。このため、非線対称部13は、弁軸102の軸方向に対して傾斜している。具体的に、非線対称部13は、弁軸102の軸方向の他方側、すなわち弁軸102に近づくに連れて弁軸102の軸心C2から徐々に離間するように傾斜している。
【0030】
図4は、本発明の実施形態における発磁体2の弁軸102への取り付け作業を説明するための図である。
図4(a)に示すように、発磁体2は、専用の取付治具200を用いて、弁軸102に取り付ける。取付治具200は、磁性体から形成され、磁石10の磁力により発磁体2を保持する構成となっている。取付治具200は、磁石10の内周10aの軸方向の一方側に係合する第1係合突部201と、磁石10の非線対称部13に係合する第2係合突部202を有する。
【0031】
磁石10に非線対称部13が設けられたことで、図4(b)に示すように、発磁体2が左右逆向きとなった場合、第2係合突部202が磁石10の外周10bに当たって、磁石10の内周10aに対する第1係合突部201の係合を不能にし、磁石10の左右逆向きの取り付けを防止することができる。
また、第2係合突部202は、非線対称部13の傾斜に応じた傾斜を有する。このため、仮に発磁体2が、上下逆向きとなった場合、第2係合突部202と非線対称部13とを無理に係合させても、取付治具200に対し、図4(a)に示すような正規の姿勢で保持させることを不能にすることができる。
【0032】
また、図4(a)に示すように、磁石10は、軸方向の一方側において弁軸102の端部102aの外径bよりも小さい第1の内径a1を有すると共に、軸方向の他方側において弁軸102の端部102aの外径bよりも大きい第2の内径a2を有する。この構成によれば、発磁体2を上下逆向きで弁軸102の端部102aに取り付けようとしても、磁石10の一方側の内径は端部102aより小さく、端部102aに当たるため、磁石10の上下逆向きの取り付けを確実に防止することができる。
【0033】
続いて、上記構成の回転角度検出装置1の動作について説明する。
【0034】
図示しない電動機によって弁軸102が回転すると、弁軸102の端部102aに取り付けられた発磁体2が回転する。発磁体2は、一対の磁極11N,11Sが形成されている磁石10を有する。弁軸102と共に発磁体2が回転すると、磁石10の軸心C1に対向して配置された磁気センサー3が受ける磁束の向きが変化する。磁気センサー3は、磁電変換素子によって、磁石10の中央部11a(図3参照)の磁束の向きに応じた検出信号を出力する。この検出信号は、コネクタ9に設けられた電極9aを介して図示しない制御装置に入力され、スロットルバルブ100の開閉制御が行われる。
【0035】
本実施形態では、図3に示すように、弁軸102の軸方向と直交する直交方向に一対の磁極11N,11Sを有するリング形状の磁石10が、一対の磁極11N,11Sの境界線L1が通る境界領域に非線対称部13を有する。この境界線L1が通る境界領域は、着磁できない領域であり、非線対称形状に変形しても磁束の歪みが生じ難い。このため、非線対称部13を設けても、回転角度検出の精度に影響することは殆どない。また、非線対称部13は目印となるため、弁軸102に対して誤った方向に磁石10を組み付けてしまうことを防止できる。このため、弁軸102に対する周方向における磁石10の位置決めを容易に行える。
【0036】
また、本実施形態においては、非線対称部13は、リング形状の磁石10の外周10bに設けられている。この構成によれば、境界線L1が通る境界領域のうち磁石10の外周10bでの形状変化は、磁石10の中央部11aの磁束に影響を与えることが少ないため、回転角度検出の精度に影響を与えることを防止することができる。
また、非線対称部13は、リング形状の磁石10の軸心C1に向かって窪む凹形状を有する。この構成によれば、例えば、磁石10の外周10bを平取りするような構成と比較すると、非線対称部13を所定の深さで形成した場合、磁石10の体積の減少量が少なく済むため、磁石10の中央部11aにおける磁束の歪みを好適に防止することができる。
【0037】
また、本実施形態においては、弁軸102の端部102aには、係合突部107が設けられ、磁石10は、係合突部107が圧入により係合する係合孔部21を有する保持部材20に保持され、係合孔部21は、境界線L1及び中心線L2のそれぞれに対し線対称形状である。この構成によれば、係合孔部21に係合突部107を圧入すると、保持部材20は変形するが、その変形量は、境界線L1及び中心線L2のそれぞれに対して線対称となる。そうすると、磁石10の変形量も保持部材20と同様になるため、磁石10の軸心C1が弁軸102の軸心C2からずれてしまうことを抑制できる。これにより、磁石10の中央部11aの磁束変化を抑制することが可能となり、回転角度検出の精度を維持することができる。
【0038】
このように、上述の本実施形態によれば、弁軸102に取り付けられた磁石10の磁束の向きから弁軸102の角度を磁気的に検出する回転角度検出装置1であって、磁石10は、弁軸102の軸方向と直交する直交方向に一対の磁極11N,11Sを形成するリング形状を有し、磁石10には、一対の磁極11N,11Sの境界線L1が通る境界領域に、上記直交方向でリング形状の軸心C1を通る中心線L2に対し非線対称形状となる非線対称部13が設けられている、という構成を採用することによって、回転角度検出の精度の低下を抑制しつつ、弁軸102に対する周方向における磁石10の位置決めを容易に行うことができる。
【0039】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、本発明に係る回転角度検出装置をスロットルバルブに適用した構成について説明したが、本発明はこの構成に限らず、例えば、ギアードモータ等の回転式アクチュエーター全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…回転角度検出装置、10…磁石、11N,11S…一対の磁極、20…保持部材、21…係合孔部、102…弁軸(回転軸)、102a…端部、107…係合突部、a1…第1の内径、a2…第2の内径、b…外径、C1…軸心、C2…軸心、L1…境界線、L2…中心線
図1
図2
図3
図4