(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結部は、前記Jフック引掛部の挿入方向に沿った寸法が、前記基部と前記先部との対向方向に沿った寸法に対して65%以上に設定されている請求項1に記載のトリムカバーの端末係止構造。
前記Jフックが前記他方側からの荷重を受けることにより、前記Jフックの前記連結部側が前記ストッパー部よりもシート外方側へ突出し、且つ前記突起部が前記Jフック引掛部の下端と対向した状態では、前記先部の先端部が前記Jフック引掛部からの反力によって前記基部とは反対側へ弾性変形するように構成されている請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のトリムカバーの端末係止構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記各特許文献に記載された構造では、Jフックをシートフレームの下端部に取り付ける際に、Jフックの突起とシートフレームの切り起し部との位置を合わせなければならいため、シートフレームに対するJフックの取付作業が煩雑であった。
【0006】
そこで、Jフック脱落防止用の切り起し部をシートフレームに形成しない構造(
図8に示される従来のトリムカバーの端末係止構造50参照)が採用されている。このトリムカバーの端末係止構造50では、シートフレームの一部を構成するレッグ18の前壁部32が部分的にシート前方側へ切り起され、シート下方側へ延びるJフック引掛部36が形成されると共に、当該前壁部32におけるJフック引掛部36よりもシート下方側に、シート前方側へ突出したストッパー部38が設けられている。
【0007】
また、
図8及び
図9に示されるように、Jフック52は、トリムカバー24の前縁部24Aが縫着された基部52Aと、該基部52Aと対向した先部52Bと、基部52Aと先部52Bの下端部を一体に連結した連結部52Cとを有しており、基部52Aと先部52Bとの間にJフック引掛部36が挿入されている。基部52Aからは、先部52B側へ向けて突起部52Dが突出しており、当該突起部52Dと先部52BとがJフック引掛部36に接触している。また、上記の連結部52Cがストッパー部38に対してシート上方側から近接して対向しており、当該ストッパー部38と上記連結部52Cとの係合によって、Jフック引掛部36からのJフック52の脱落を防止するようにしている。
【0008】
上記の構造では、
図8に示されるように、Jフック引掛部36に引っ掛けられたJフック52の連結部52Cとストッパー部38との間に、隙間42が形成されるように構成されている。この隙間42を狭く設定すると、Jフック52がJフック引掛部36から脱落し難くなるが、Jフック引掛部36に対してJフック52を取り付けられなくなる。このため、上記の隙間42をある程度の確保する必要があり、Jフック引掛部36に対するJフック52の脱落防止性能が低下する原因になっていた。
【0009】
本発明は上記事実を考慮し、シートフレームのJフック引掛部に対するJフックの取付容易性を損なわずに、Jフックの脱落防止性能を向上させることができるトリムカバーの端末係止構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明に係るトリムカバーの端末係止構造は、シートフレームの縦壁部が部分的にシート外方側へ切り起されて形成され、前記縦壁部に沿った一方側へ延びるJフック引掛部と、前記Jフック引掛部よりも前記一方側で前記縦壁部に設けられ、シート外方側へ突出したストッパー部と、トリムカバーの端末が結合された基部と該基部に対してシート外方側から対向した先部との間に前記Jフック引掛部が挿入されており、前記基部から前記先部側へ突出した突起部と前記先部とが前記Jフック引掛部に接触し、前記基部と前記先部とを前記一方側で連結した連結部が前記ストッパー部に対して前記縦壁部に沿った他方側から近接して対向しており、前記先部における前記Jフック引掛部との接触面が前記突起部の先端側部分よりも前記他方側へ延長された樹脂製のJフックと、を備えている。
【0011】
請求項1に記載のトリムカバーの端末係止構造では、Jフックに対してJフック引掛部から脱落する方向の荷重、すなわちシートフレームの縦壁部に沿った一方側からの荷重が入力されると、Jフックが縦壁部に沿った他方側へ変位し、Jフックの連結部がシートフレームのストッパー部に係合する。これにより、Jフックの上記他方側への変位が制限されるため、Jフックは、シート外方側へ弾性変形しようとする。この際には、Jフックの一部が、Jフック引掛部と接触した突起部を支点として回転するように弾性変形しようとするが、本発明では、Jフックの先部におけるJフック引掛部との接触面が突起部の先端側部分よりも連結部とは反対側(上記他方側)へ延長されている。
【0012】
これにより、Jフック引掛部に対するJフックの保持力が増加すると共に、上記のような回転を伴うJフックの弾性変形が抑制されるので、前述した従来構造(
図8参照)と比較して、Jフック引掛部に対するJフックの脱落防止性能を向上させることができる。しかも、上記の従来構造に対してJフックの先部の形状を変更するだけで上記の効果が得られるため、Jフック引掛部に対するJフックの取付容易性が損なわれないようにすることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明に係るトリムカバーの端末係止構造は、請求項1において、前記連結部は、前記Jフック引掛部の挿入方向に沿った寸法が、前記基部と前記先部との対向方向に沿った寸法に対して65%以上に設定されている。
【0014】
請求項2に記載のトリムカバーの端末係止構造では、例えば、Jフックの連結部において、Jフック引掛部の挿入方向に沿った寸法が、基部と先部との対向方向に沿った寸法に対して57%程度に設定されている場合(
図8に示される従来構造の場合)と比較して、連結部がストッパー部に対してより近接する。これにより、Jフックに対して脱落方向の荷重が入力された際には、連結部がストッパー部に対して早期に係合する。しかも、上記の従来構造と比較して、基部と先部とが互いに離間する方向に連結部が弾性変形し難くなるので、Jフック引掛部に対するJフックに保持力を向上させることができる。以上のことから、Jフック引掛部に対するJフックの脱落防止性能を更に向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明に係るトリムカバーの端末係止構造は、請求項1又は請求項2において、前記Jフックを構成する樹脂は、ショア硬
さが5
7±5
HSに設定されている。
【0016】
請求項3に記載のトリムカバーの端末係止構造では、例えばJフックを構成する樹脂のショア硬
さが65
HS程度に設定されている場合(
図8に示される従来構造の場合)と比較して、Jフックが撓み易くなる。これにより、Jフックが脱落方向の荷重によって弾性変形する際に、JフックがJフック引掛部やストッパー部の形状に追従し易くなり、Jフック引掛部から脱落し難くなる。しかも、Jフックが撓み易くなることで、Jフック引掛部に対するJフックの取付容易性を確保し易くなる。
【0017】
請求項4に記載の発明に係るトリムカバーの端末係止構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項において、前記Jフックが前記他方側からの荷重を受けることにより、前記Jフックの前記連結部側が前記ストッパー部よりもシート外方側へ突出し、且つ前記突起部が前記Jフック引掛部の下端と対向した状態では、前記先部の先端部が前記Jフック引掛部からの反力によって前記基部とは反対側へ弾性変形するように構成されている。
【0018】
請求項4に記載のトリムカバーの端末係止構造では、上記の状態すなわちJフックがシートフレームから脱落する寸前の状態では、先部の先端部がJフック引掛部からの反力によって基部とは反対側へ弾性変形する。これにより、上記脱落寸前の状態においても、レッグに対するJフックの保持力を確保することができるので、Jフックの脱落防止性能を一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係るトリムカバーの端末係止構造では、シートフレームのJフック引掛部に対するJフックの取付容易性を損なわずに、Jフックの脱落防止性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1〜
図7を用いて本発明の実施形態に係るトリムカバーの端末係止構造10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印LHは、同構造が適用された車両用シート12の前方向、上方向、左方向(幅方向一方)をそれぞれ示している。
【0022】
(構成)
図1及び
図2に示されるように、車両用シート12は、乗員が着座するシートクッション14と、シートクッション14の後端部に連結されて乗員の背部を支持するシートバック16と、シートクッション14を図示しない車体床部に連結(ここでは固定)するためのレッグ18とを有している。
【0023】
シートクッション14は、パンフレーム20上に載置されたクッションパッド22がトリムカバー24によって覆われた構成になっている。また、レッグ18は、例えば板金によって略箱状に形成されており、パンフレーム20等と共にシートフレームの一部を構成している。
【0024】
このレッグ18は、シート幅方向に対向した左右の側壁部26、28と、左右の側壁部26、28の下端部をシート幅方向に連結した下壁部30と、左右の側壁部26、28の上端部をシート幅方向に連結した図示しない上壁部とを備えている。さらに、このレッグ18は、左右の側壁部26、28の前端部の上部側をシート幅方向に連結した前壁部32と、左右の側壁部26、28の後端部の上部側をシート幅方向に連結した図示しない後壁部と備えている。下壁部30の前端部及び後端部からは、それぞれ固定片34が延出されており、これらの固定片34がボルト締結等の手段によって車体床部に固定される構成になっている。
【0025】
レッグ18の前壁部32は、請求項1に記載の「縦壁部」に相当している。この前壁部32には、
図3に示されるように、シート幅方向に並ぶ複数(ここでは3つ)のJフック引掛部36と、シート幅方向に並ぶ複数(ここでは2つ)のストッパー部38とが設けられている。複数のJフック引掛部36と複数のストッパー部38とは、シート幅方向において互い違いに並んでおり、複数のストッパー部38が複数のJフック引掛部36よりもシート下方側に配置されている。
【0026】
複数のJフック引掛部36は、
図4に示されるように、前壁部32がプレス加工によるZ曲げによって部分的にシート外方側(ここではシート前方側)へ切り起されることにより形成されたものである。これらのJフック引掛部36は、シート幅方向から見た断面形状が略逆L字状に形成されており、前壁部32に沿った一方側(ここではシート下方側)へ延びている。
【0027】
複数のストッパー部38は、
図5に示されるように、前壁部32がプレス加工によって部分的にシート前方側へ膨出されることにより形成されたものであり、シート幅方向から見た断面形状がシート後方側へ開口した略コ字状(略C字状)に形成されている。これら複数のストッパー部38及び上記複数のJフック引掛部36は、Jフック40に対応している。
【0028】
Jフック40は、樹脂(ここでは低密度ポリエチレン)によって長尺状に形成されたものであり、
図4〜
図7に示されるように、長手直交方向の断面形状が略J字状に形成されている。このJフック40は、トリムカバー24の端末(ここでは前縁部24A)が結合された基部40Aと、該基部40Aに対向した先部40Bと、基部40A及び先部40Bの幅方向一端部を連結した連結部40Cと、基部40Aから先部40B側へ突出した突起部40Dとによって構成されている。
【0029】
このJフック40は、レッグ18の前壁部32におけるJフック引掛部36と本体部37との間に基部40Aがシート下方側から挿入されると共に、基部40Aと先部40Bとの間に複数のJフック引掛部36が挿入されている。これにより、Jフック40が複数のJフック引掛部36に引っ掛けられており、トリムカバー24の前縁部24AがJフック40を介してレッグ18の前壁部32に係止されている。
【0030】
先部40Bは、基部40Aに対してシート前方側から対向しており、先部40BがJフック引掛部36に対してシート前方側から接触すると共に、突起部40DがJフック引掛部36に対してシート後方側から接触している。また、連結部40Cは、ストッパー部38に対してシート上方側(前壁部32に沿った他方側)から近接して対向している。
【0031】
ここで、本実施形態に係るトリムカバーの端末係止構造10と、
図8〜
図10に示される従来のトリムカバーの端末係止構造50(以下、従来構造50と称する)とにおける構成上の相違点について説明する。なお、
図8〜
図10では、本実施形態と同様の構成に同符号を付している。
【0032】
図9に示される従来構造50のJフック52では、例えば、Jフック52の幅寸法L1が20mm、先部52Bの幅寸法L2が9mm、Jフック引掛部36の挿入方向IN(Jフック52の幅寸法W)に沿った連結部52Cの寸法L3が2.5mm、先部52Bと基部52Aとの対向方向(Jフック52の厚さ寸法T)に沿った連結部52Cの寸法L4が4.4mmに設定されている。つまり、連結部52Cは、寸法L3が寸法L4に対して57%程度に設定されている。
【0033】
このJフック52では、先部52Bの先端側が基部52Aとは反対側へ向けて屈曲した屈曲部52B1とされている。また、レッグ18に対するJフック52の取付状態(
図8図示状態)では、先部52BにおけるJフック引掛部36との接触面53において、連結部52Cとは反対側の端部53Aが、突起部52Dの先端側部分52D1よりも連結部52Cとは反対側に位置しないように構成されている。なお、上記の先端側部分52D1は、突起部52Dを先端側(先部52B側)と基端側(基部52A側)とに二分割した場合における先端側の部分のことである。
【0034】
一方、
図6に示される本実施形態のJフック40では、例えば、Jフック40の幅寸法L1が20.5±0.5mm、先部40Bの幅寸法L2が11mm、Jフック引掛部36の挿入方向INに沿った連結部40Cの寸法L3が3mm、先部40Bと基部40Aとの対向方向に沿った連結部40Cの寸法L4が4.4mmに設定されている。つまり、連結部40Cは、寸法L3が寸法L4に対して68%程度(65%以上)に設定されている。
【0035】
このJフック40では、
図4〜
図7(C)に示される長手直交方向の断面において、先部40Bの全体が直線状(ストレート)に形成されており、先部40Bの先端部40B1が屈曲していない構成になっている。つまり、このJフック40では、従来構造50のJフック52に対して、先部40Bの形状が変更される(ストレートにされる)と共に、先部40Bが連結部40Cとは反対側へ1mm延長されており、更にJフック引掛部36の挿入方向に沿った連結部40Cの寸法L3が0.5mm増加されている。
【0036】
また、本実施形態では、レッグ18に対するJフック40の取付状態(
図4及び
図5図示状態)では、先部40BにおけるJフック引掛部36との接触面41において、連結部40Cとは反対側の端部41Aが、突起部40Dの先端側部分40D1よりも連結部40Cとは反対側に位置するように構成されている。つまり、接触面41は、突起部40Dの先端側部分40D1よりも連結部40Cとは反対側(前壁部32に沿った他方側)に延長されている。なお、上記の先端側部分40D1は、突起部40Dを先端側(先部40B側)と基端側(基部40A側)とに二分割した場合における先端側の部分のことである。
【0037】
また、従来構造50のJフック52を構成する樹脂は、本実施形態のJフック40を構成する樹脂と同じ種類の樹脂(低密度ポリエチレン)であるが、Jフック52を構成する樹脂とJフック40を構成する樹脂は、硬
さが異なっている。すなわち、Jフック52を構成する樹脂は、ショア硬
さが例えば65
HSに設定されており、Jフック40を構成する樹脂は、ショア
硬さが5
7±5
HSに設定されている。
【0038】
また、従来構造50では、
図8に示されるように、レッグ18に対するJフック52の取付状態において、連結部52Cとストッパー部38との間の隙間42の幅寸法L5が、例えば2mmになるように構成されている。これに対し、本実施形態では、
図5に示されるように、レッグ18に対するJフック40の取付状態において、連結部40Cとストッパー部38との間の隙間42の幅寸法L5が、例えば1mmになるように構成されている。
【0039】
これは、Jフック引掛部36の挿入方向に沿った連結部40Cの寸法L3がJフック52の連結部52Cよりも0.5mm増加されること、及び、当該増加によって基部40Aと先部40Bとが互いに離間する方向に連結部40Cが弾性変形し難くなり、基部40Aと先部40Bとの間の付け根側へのJフック引掛部36の入り込みが少なくなったことによるものである。
【0040】
また、従来構造50では、
図10(A)に示されるように、Jフック52の連結部52Cがストッパー部38に当たった状態では、先部52BにおけるJフック引掛部36との接触面53において、Jフック引掛部36の挿入方向に沿った長さ寸法L6が例えば2.9mmになるように構成されている。またこの状態では、突起部52DにおけるJフック引掛部36との接触面からJフック引掛部36の先端(下端)までの寸法L7が例えば2.4mmになるように構成されている。
【0041】
一方、本実施形態では、
図7(A)に示されるように、Jフック40の連結部40Cがストッパー部38に当たった状態では、先部40BにおけるJフック引掛部36との接触面41において、Jフック引掛部36の挿入方向に沿った長さ寸法L6が例えば5.9mmになるように構成されている。またこの状態では、突起部40DにおけるJフック引掛部36との接触面からJフック引掛部36の先端までの寸法L7が例えば3.2mmになるように構成されている。なお、
図7(A)〜
図7(C)及び
図10(A)〜
図10(C)では、Jフック40、52が単品の状態(トリムカバー24が縫着されていない状態)でレッグ18に取り付けられた状態が図示されている。
【0042】
また、従来構造50では、
図10(C)に示されるように、Jフック52がシート上方側からの荷重を受けることにより、Jフック52の連結部52C側がストッパー部38よりもシート外方側へ突出し、且つ突起部52DがJフック引掛部36の下端(先端)と対向した状態では、先部52Bの先端側の屈曲部52B1がJフック引掛部36に接する。この状態では、先部52BがJフック引掛部36から殆ど反力を受けないように構成されている。
【0043】
一方、本実施形態では、
図7(C)に示されるように、Jフック40がシート上方側からの荷重によってシート下方側へ変位することにより、Jフック40の連結部40C側がストッパー部38よりもシート外方側へ突出し、且つ突起部40DがJフック引掛部36の下端(先端)と対向した状態では、先部40Bの先端部40B1がJフック引掛部36からの反力によって基部40Aとは反対側へ弾性変形(屈曲又は湾曲)するように構成されている。上記以外の点では、本実施形態のJフック40は、従来構造50のJフック52と基本的に同様の構成とされている。
【0044】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0045】
上記構成のトリムカバーの端末係止構造10では、Jフック40に対してJフック引掛部36から脱落する方向の荷重、すなわちシート上方側からの荷重が入力されると、Jフック40がシート下方側へ変位し、Jフック40の連結部40Cがレッグ18のストッパー部38に係合する。これにより、Jフック40の上記他方側への変位が制限されるため、Jフック40は、シート前方側(シート外方側)へ弾性変形しようとする。この際には、Jフック40の一部が、Jフック引掛部36と接触した突起部40Dを支点として回転するように弾性変形しようとするが、本実施形態では、Jフック40の先部40BにおけるJフック引掛部36との接触面41が、突起部40Dの先端側部分40D1よりも連結部40Cとは反対側へ延長されている。
【0046】
これにより、Jフック引掛部36に対するJフック40の保持力が増加すると共に、上記のような回転を伴うJフック40の弾性変形が抑制されるので、従来構造50と比較して、Jフック引掛部36に対するJフック40の脱落防止性能を向上させることができる。しかも、従来構造50に対してJフック40の先部40Bの形状を変更するだけで上記の効果が得られるため、Jフック引掛部36に対するJフック40の取付容易性が損なわれないようにすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、Jフック40の連結部40Cは、Jフック引掛部36の挿入方向に沿った寸法L3が、基部40Aと先部40Bとの対向方向に沿った寸法L4に対して65%以上に設定されている。このため、従来構造50のように、Jフック52の連結部52Cにおいて、Jフック引掛部36の挿入方向に沿った寸法L3が、基部52Aと先部52Bとの対向方向に沿った寸法L4に対して57%程度に設定されている場合と比較して、連結部40Cがストッパー部38に対してより近接する。
【0048】
これにより、Jフック40に対して脱落方向の荷重が入力された際には、連結部40Cがストッパー部38に対して早期に係合する。しかも、従来構造50と比較して、基部40Aと先部40Bとが互いに離間する方向に連結部40Cが弾性変形し難くなるので、Jフック引掛部36に対するJフック40に保持力を向上させることができる。以上のことから、Jフック引掛部36に対するJフック40の脱落防止性能を更に向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、Jフック40を構成する樹脂は、ショア硬
さが5
7±5
HSに設定されている。このため、従来構造50のように、Jフック52を構成する樹脂のショア硬
さが65
HS程度に設定されている場合と比較して、Jフック40が撓み易くなる。これにより、Jフック40が脱落方向の荷重によって弾性変形する際に、Jフック40がJフック引掛部36やストッパー部38の形状に追従し易くなり、Jフック引掛部36から脱落し難くなる。しかも、Jフック40が撓み易くなることで、Jフック引掛部36に対するJフック40の取付容易性を確保し易くなる。
【0050】
さらに、本実施形態では、
図7(C)に示されるように、Jフック40がシート上方側からの荷重によってシート下方側へ変位することにより、Jフック40の連結部40C側がストッパー部38よりもシート外方側(ここではシート前方斜め下方側)へ突出し、且つ突起部40DがJフック引掛部36の下端と対向した状態、すなわちJフック40がレッグ18から脱落する寸前の状態では、先部40Bの先端部40B1がJフック引掛部36からの反力によって基部40Aとは反対側へ弾性変形する。これにより、上記のような脱落寸前の状態においても、レッグ18に対するJフック40の保持力を確保することができるので、Jフック40の脱落防止性能を一層向上させることができる。
【0051】
次に、上述した効果について、本願発明の発明者が実施したJフック脱落試験の結果に基づいて補足する。この試験では、Jフック40及びJフック52を、それぞれ単品でレッグ18に取り付け、
図11に示されるように、Jフック40及びJフック52の長手方向一端部に対して、プッシュロッドにより脱落方向の荷重Fを負荷した。そして、Jフック40、52がレッグ18から脱落した際の荷重Fを測定した。以下の表1には、上記の試験を3回行った結果が示されている。この表1に記載されている数値(Jフック40、52の符号を除く)は、Jフック40、52がレッグ18から脱落した際の荷重Fであり、単位はニュートンである。
【0053】
表1に示されるように、本実施形態のJフック40では、従来構造50のJフック52に対して、レッグ18から脱落する際の荷重が約2倍になっている。これにより、本実施形態における上述の効果が定量的に確認された。
【0054】
なお、上記実施形態では、レッグ18の前壁部32が本発明における縦壁部とされた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、レッグ18の左側壁部26、右側壁部28又は図示しない後壁部が本発明における縦壁部とされた構成にしてもよい。また、シートクッションフレーム又はシートバックフレームに設けられた縦壁部が、本発明の縦壁部とされた構成にしてもよい。
【0055】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。