(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配線保護層が、保護フィルム及び保護フィルム貼着用粘着剤層からなり、該保護フィルム貼着用粘着剤層が前記金属配線に接するように、前記配線保護層が前記センサ用シートに貼着されている、請求項1に記載の静電容量式タッチセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
本発明の静電容量式タッチセンサ(以下、「タッチセンサ」と略す。)の第1実施形態について説明する。
図1に、本実施形態のタッチセンサを示す。本実施形態のタッチセンサ1は、センサ用シート10と、紫外線吸収性前面パネル板(以下、「前面パネル板」と略す。)20と、センサ用シート10に前面パネル板20を貼着するパネル貼着用粘着剤層30と、配線保護層40aとを備える。
なお、タッチセンサ1においては、前面パネル板20の、センサ用シート10とは反対側の面が、タッチセンサ1の使用者側の前面となり、センサ用シート10側の面が裏面となる。
【0011】
(センサ用シート)
本実施形態におけるセンサ用シート10は、透明フィルム基材11と透明電極部12と透明レジスト層13と金属配線14とを備える。
また、本実施形態におけるセンサ用シート10は、電極領域10aと配線領域10bとから構成される。
電極領域10aは、透明電極部12と、透明レジスト層13と、金属配線14における透明電極部12近傍の部分とを含む領域である。本実施形態における電極領域10aは矩形状である。
配線領域10bは、電極領域10a以外の領域であって、金属配線14における透明電極部12近傍以外の部分を含む領域である。本実施形態における配線領域10bは電極領域10aよりも小さい矩形状であり、電極領域10aの一方の長辺の中央部から突出するように形成されている。また、配線領域10bにおいては、電極領域10aから突出する方向が長手方向になっている。後述するように、配線領域10bは、前面パネル板20に貼着されないので、折り曲げ可能な可撓性を有する。配線領域10bの可撓性が高いと、タッチセンサ1を筐体に収容する際、配線領域10bの配置の自由度が高くなる。
【0012】
[透明フィルム基材]
透明フィルム基材11は透明樹脂フィルムであり、且つ、絶縁フィルムである。ここで、本発明における「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上のことである。また、「絶縁」とは、電気抵抗値が1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上のことである。
透明フィルム基材11の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロースなどが挙げられる。
透明フィルム基材11の厚さは10〜250μmであることが好ましく、25〜188μmであることがより好ましい。透明フィルム基材11の厚さが前記下限値以上であれば、充分な強度・剛性を確保でき、前記上限値以下であれば、タッチセンサ1を容易に薄型化できる。
【0013】
[透明電極部]
透明電極部12は、透明フィルム基材11の第1面11a、具体的には前面側の面に設けられた透明導電膜からなる。本発明において、「導電」とは、電気抵抗値が1MΩ未満であることである。
本実施形態では、
図2に示すように、矩形状の透明電極部12が3つ並んで形成されている。
透明導電膜としては、導電性高分子を含む膜、導電性ナノワイヤーを含む膜、金属粒子又は導電性金属酸化物粒子を含む膜、カーボンを含む膜、金属蒸着法によって形成された金属蒸着膜等が挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等が挙げられる。導電性高分子のなかでもポリチオフェンが好ましく、特に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)にポリスチレンスルホン酸がドープしたものが好ましい。
導電性ナノワイヤーとしては、銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
金属粒子としては、例えば、銀、銅、金等の金属の粒子が挙げられる。
導電性金属酸化物粒子としては、例えば、インジウムドープ酸化錫の粒子が挙げられる。
カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
金属蒸着膜を形成する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、金等を使用することができる。これらの中でも、電気抵抗が低く、低コストであることから、銅が好ましい。
【0014】
導電性高分子を含む透明導電膜からなる場合には、透明電極部12の平均厚さは、0.1〜5.0μmであることが好ましく、0.1〜2.0μmであることがより好ましい。
金属ナノワイヤーを含む透明導電膜からなる場合には、透明電極部12の平均厚さは、20〜1000nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。
金属粒子、導電性金属酸化物粒子又はカーボンを含む透明導電膜からなる場合には、透明電極部12の平均厚さは、0.01〜25μmであることが好ましく、0.1〜15μmであることがより好ましい。
金属蒸着膜の透明導電膜からなる場合には、透明電極部12の平均厚さは、0.01〜1.0μmであることが好ましく、0.05〜0.3μmであることがより好ましい。
透明電極部12の厚さが前記下限値未満であると、ピンホールが形成して断線するおそれがあり、前記上限値を超えると、薄型化が困難になる。
厚さを測定する方法としては、厚さのレンジによって異なる。例えば、μmオーダーの膜厚の場合には、マイクロメーター、デジマティックインジケーターやレーザー変位計測によって厚さを測定することができる。また、μmオーダーよりも薄い膜厚の場合には、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察や蛍光X線分析装置によって厚さを測定することができる。
【0015】
[透明レジスト層]
透明レジスト層13は、透明電極部12を被覆して保護する層である。具体的に、透明レジスト層13は透明絶縁樹脂膜からなり、透明絶縁樹脂は熱可塑性樹脂であってもよいし、硬化性樹脂の硬化物であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリエステルウレタン、ビニル系樹脂(例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン)等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、活性エネルギー線硬化性樹脂(例えば、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂等)又は熱硬化性樹脂が挙げられ、具体的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタンアクリル樹脂等が挙げられる。
また、透明レジスト層13には紫外線吸収剤が含まれてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これら紫外線吸収剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
透明レジスト層13の厚さは0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。透明レジスト層13の厚さが前記下限値以上であれば、透明電極部12を充分に保護でき、前記上限値以下であれば、タッチセンサ1を容易に薄型化できる。
【0017】
[金属配線]
金属配線14は、
図2に示すように透明電極部12に電気的に接続され、金属を主成分とした配線である。具体的に、金属配線14は、導電性ペーストの硬化膜、又は、金属蒸着膜が挙げられる。金属配線14を容易に形成できる点では、導電性ペーストの硬化膜が好ましい。銀は硫黄化合物によって硫化しやすいため、導電性ペーストの硬化膜のなかでも、銀ペーストの硬化膜を選択した場合には、本発明の耐硫化性向上効果がより発揮される。
金属配線14の幅は20〜500μmであることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましい。金属配線14の幅が前記下限値以上であれば、金属配線14の断線を防止でき、前記上限値以下であれば、より低コスト化できる。
本実施形態では、金属配線14の端部に、外部の回路に接続するための導電性の外部接続用端子14aが設けられている。外部接続用端子14aは、導電性ペースト又は金属めっきから形成される。導電性ペーストのなかでも、カーボンペーストが好ましく、金属めっきのなかでも、金めっきが好ましい。
【0018】
[耐紫外線層]
センサ用シート10は、
図3に示すように、透明レジスト層13の前面側の表面に、透明レジスト層13の少なくとも一部、好ましくは全部を被覆する耐紫外線層15が設けられてもよい。耐紫外線層15を設ければ、紫外線による透明電極部12の劣化をより防止できる。
耐紫外線層15としては、樹脂と紫外線吸収剤とを含む層、紫外線吸収性樹脂を含む層が挙げられる。
樹脂としては各種熱可塑性樹脂又は各種硬化性樹脂を使用することができ、熱可塑性アクリル樹脂が好ましい。
紫外線吸収剤としては上述したものと同様のものを使用することができる。なお、紫外線吸収剤は、ポリマーではなく、紫外線吸収性樹脂とは異なる。
紫外線吸収性樹脂としては、例えば、紫外線吸収性アクリル樹脂等が挙げられる。
【0019】
前面パネル板20が紫外線吸収性を有するから、耐紫外線層15の厚さは、薄めでもよく、0.1〜20μmであることが好ましく、1.0〜10μmであることがより好ましい。耐紫外線層15の厚さが前記下限値以上であれば、透明電極部12の劣化防止効果をより発揮でき、前記上限値以下であれば、タッチセンサ1を容易に薄型化できる。
【0020】
(前面パネル板)
本実施形態における前面パネル板20は、透明樹脂板21と、透明樹脂板21の前面側に設けられた加飾層22とを備える。
前面パネル板20は紫外線吸収性を有するものであり、本実施形態では、透明樹脂板21及び加飾層22の少なくとも一方が紫外線吸収性を有していればよい。
【0021】
[透明樹脂板]
本実施形態で使用する透明樹脂板21は、透明樹脂により形成された厚さ一定の板である。
透明樹脂板21に含まれる透明樹脂は非晶性樹脂でもよいし、結晶性樹脂でもよい。このうち、非晶性樹脂は水分を包含しやすく、その水分が原因となってパネル貼着用粘着剤層30との界面における空気の膨れが発生しやすいため、透明樹脂板21が非晶性の透明樹脂からなる場合には、本発明の効果がより発揮される。
非晶性の透明樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、非晶性ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
結晶性の透明樹脂としては、例えば、結晶性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0022】
透明樹脂板21に紫外線吸収性を持たせる場合には、透明樹脂に紫外線吸収剤を添加すればよい。
紫外線吸収剤としては上述したものと同様のものが挙げられる。
透明樹脂板21における紫外線吸収剤の含有割合は、透明樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有割合が前記下限値以上であれば、透明樹脂板21の紫外線吸収性をより高くできる。しかし、紫外線吸収剤の含有割合が前記上限値を超えると、耐紫外線性向上効果は頭打ちとなるため、無益である。
【0023】
透明樹脂板21の平均厚さは、0.5〜10mmであることが好ましく、1.0〜5.0mmであることがより好ましい。透明樹脂板21の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分な強度を確保でき、また、透明樹脂板21が紫外線吸収剤を含有する場合、透明樹脂板21の平均厚さが前記下限値以上であれば、紫外線吸収性をより向上させることができる。一方、透明樹脂板21の平均厚さが前記上限値以下であれば、タッチセンサ1の薄型化が容易になる。
【0024】
[加飾層]
加飾層22は、前面パネル板20において、透明電極部12に対応する位置を示すために透明樹脂板21を被覆して加飾する層である。通常、加飾層22は、着色されており、遮光性を有する。加飾層22の主成分としては、樹脂、ゴム、金属が挙げられる。
加飾層22は着色されているため、それ自体でも紫外線を透過しにくいが、加飾層22に紫外線吸収剤を含有させて、加飾層22の紫外線吸収性をより高めてもよい。
また、加飾層22は、単一の色又は単一の材料で形成される必要はなく、複数の配色で形成されてもよいし、複数の材料で形成されてもよい。例えば、透明電極部12に対応する領域と、それ以外の領域とで、色及び材料の少なくとも一方が異なってもよい。
加飾層22は、加飾用インクの印刷により形成されてもよいし、加飾用フィルムの貼着により形成されてもよい。
【0025】
加飾層22は、透明樹脂板21の全面に設けられるものではない。すなわち、透明樹脂板21の表面の一部には、加飾層22が設けられず、
図4に示すように、光を透過する透光部23が形成される。透光部23は、文字、数字、図形、記号、絵柄等でもよいし、四角形等の窓でもよい。タッチセンサ1の裏面側に光源を配置すれば、文字等を形成する透光部23を容易に視認できる。また、窓状の透光部23に対応して、タッチセンサ1の裏面側に、液晶表示装置等の画像表示装置を配置すれば、タッチセンサ1を通して画像表示装置の画像を見ることができる。
【0026】
加飾層22の平均厚さは、0.05〜0.5mmであることが好ましく、0.1〜0.5mmであることがより好ましい。加飾層22の平均厚さが前記下限値以上であれば、可視光及び紫外線の透過性を充分に低下させることができ、前記上限値以下であれば、タッチセンサ1の薄型化が容易になる。
【0027】
(パネル貼着用粘着剤層)
本実施形態におけるパネル貼着用粘着剤層30は、センサ用シート10の電極領域10aの全面に設けられ、センサ用シート10の電極領域10aと前面パネル板20とを貼着する。なお、パネル貼着用粘着剤層30は配線領域10bには設けられず、配線領域10bには前面パネル板20は貼着されない。
また、本実施形態におけるパネル貼着用粘着剤層30は、センサ用シート10の第1面11a側に形成されて、センサ用シート10の、透明フィルム基材11の露出した部分と、透明レジスト層13と、金属配線14を覆っている。
【0028】
パネル貼着用粘着剤層30は、酸基を有するアクリル系粘着剤を含有する。酸基を有するアクリル系粘着剤は凝集力が高く、硬くなる傾向にあるため、変形しにくい。酸基を有するアクリル系粘着剤は、より凝集力が高くなることから、酸価が1mgKOH/g以上であることが好ましく、2mgKOH/g以上であることがより好ましい。
酸基を有するアクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との共重合体である。
(メタ)アクリル酸単量体は、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は1種でもよいし、2種以上でもよい。
(メタ)アクリル酸単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との合計量に対する(メタ)アクリル酸単量体の割合は、0.1〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との共重合体は架橋剤によって架橋されても構わない。架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
【0029】
パネル貼着用粘着剤層30の平均厚さは10〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。パネル貼着用粘着剤層30の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分な接着力を確保でき、前面パネル板20とパネル貼着用粘着剤層30との界面における空気の膨れをより防止できる。一方、パネル貼着用粘着剤層30の平均厚さが前記上限値以下であれば、パネル貼着用粘着剤層30を容易に形成でき、また、タッチセンサ1を容易に薄型化できる。
【0030】
[配線保護層]
配線保護層40aは、センサ用シート10の配線領域10bに設けられ、金属配線14を被覆して保護する層である。配線保護層40aは、絶縁樹脂により構成される。
本実施形態における配線保護層40aは、保護フィルム41及び保護フィルム貼着用粘着剤層42からなり、センサ用シート10の配線領域10bに貼着されている。
保護フィルム41としては、絶縁樹脂フィルムが使用され、金属配線14の硫化をより防ぐためには、ガス透過性が低い樹脂フィルムが好ましい。ガス透過性が低い樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を積層して使用してもよい。
保護フィルム41の平均厚さは10〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。保護フィルム41の平均厚さが前記下限値以上であれば、耐硫化性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、配線領域10bの可撓性低下を防止できる。
保護フィルム貼着用粘着剤層42は、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を使用することができる。
保護フィルム貼着用粘着剤層42の平均厚さは10〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。保護フィルム貼着用粘着剤層42の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分な粘着力を確保でき、前記上限値以下であれば、配線領域10bの可撓性低下を防止できる。
【0031】
(製造方法)
上記タッチセンサ1は、例えば、下記(1)〜(9)の工程を有する方法により製造される。
(1)透明フィルム基材11の第1面11aの全面に透明導電膜を形成する。
(2)前記透明導電膜の表面に、スクリーン印刷により導電性ペーストを印刷して金属配線14を形成する。
(3)前記透明導電膜の、透明電極部12になる部分に、スクリーン印刷により透明レジストインクを印刷して、透明レジスト層13を形成する。
(4)プラズマエッチング処理を施して、前記透明導電膜のうち露出している部分を除去して、透明電極部12を形成し、センサ用シート10を得る。
(5)配線領域10bにおける金属配線14の端部の表面に、スクリーン印刷により導電性ペーストを印刷して外部接続用端子14aを形成する。
(6)センサ用シート10の配線領域10bに、保護フィルム41と保護フィルム貼着用粘着剤層42とからなる粘着フィルムを貼着する。
(7)一対の離型フィルムにパネル貼着用粘着剤層30が挟まれた両面粘着シートを用い、センサ用シート10の電極領域10aにパネル貼着用粘着剤層30を貼り付ける。
(8)フィルム状の加飾層22を金型内に配置した状態で透明樹脂を射出成形して透明樹脂板21を形成するインサート成形法により前面パネル板20を得る。
(9)センサ用シート10に貼り付けたパネル貼着用粘着剤層30の露出面と、前面パネル板20の透明樹脂板21とを貼り付ける。これにより、タッチセンサ1を得る。
【0032】
(作用効果)
上記のタッチセンサ1では、金属配線14が前面パネル板20及び配線保護層40aで覆われているため、硫黄化合物濃度が高い環境下でタッチセンサ1を使用しても金属配線14に硫黄化合物が接触しない。そのため、タッチセンサ1は耐硫化層を備えていないにもかかわらず、金属配線14の耐硫化性が高い。
また、前面パネル板20が紫外線吸収性を有するため、タッチセンサ1が耐紫外線層を備えない場合でも、透明電極部12の耐紫外線性が高い。
上記のようにタッチセンサ1は、耐硫化層を備えないため、薄型化しやすい。また、タッチセンサ1を構成する層が少なくなるため、製造が簡便になり、さらに、製造に使用する材料が少なくなるため、製造コストが低くなる。
また、タッチセンサ1においては、センサ用シート10と前面パネル板20とを貼着するパネル貼着用粘着剤層30が、酸基を有するアクリル系粘着剤を含有し、凝集力が高く、変形しにくい。そのため、透明樹脂板21の内部からパネル貼着用粘着剤層30との界面に水分が移動しても、透明樹脂板21とパネル貼着用粘着剤層30との間にて、空気の膨れが生じにくい。
また、透明レジスト層13によって透明電極部12を被覆するため、透明電極部12はパネル貼着用粘着剤層30に接触しない。そのため、パネル貼着用粘着剤層30に含まれる酸基によって透明電極部12が劣化することを防止できる。
【0033】
<第2実施形態>
本発明のタッチセンサの第2実施形態について説明する。
図5に、本実施形態のタッチセンサを示す。本実施形態のタッチセンサ2は、センサ用シート10と前面パネル板20とパネル貼着用粘着剤層30と配線保護層40bとを備える。
本実施形態は、配線保護層40bが第1実施形態における配線保護層40aではない以外は同様である。すなわち、本実施形態におけるセンサ用シート10、前面パネル板20及びパネル貼着用粘着剤層30は、第1実施形態におけるセンサ用シート10、前面パネル板20、パネル貼着用粘着剤層30と同様である。
【0034】
本実施形態における配線保護層40bは、単層の絶縁樹脂層である。
配線保護層40bとしては、熱可塑性樹脂層、熱硬化性樹脂の硬化物層、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物層が挙げられる。
また、配線保護層40bは、耐硫化性がより高いものが好ましい。耐硫化性がより高い配線保護層40bとしては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリウレタン・ポリウレア系樹脂、スチレン・ブタジエン系樹脂等が挙げられる。
配線保護層40bの平均厚さは1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。配線保護層40bの平均厚さが前記下限値以上であれば、耐硫化性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、配線領域10bの可撓性低下を防止できる。
【0035】
配線保護層40bの形成方法としては、樹脂を含むインクを、少なくとも配線領域10bの金属配線14を被覆するように印刷する方法を適用することができる。
具体的に、配線保護層40bが熱可塑性樹脂層である場合には、熱可塑性樹脂を含むインクを、少なくとも配線領域10bの金属配線14を被覆するように印刷し、乾燥する方法を適用することができる。
配線保護層40bが熱硬化性樹脂の硬化物層である場合には、熱硬化性樹脂を含むインクを、少なくとも配線領域10bの金属配線14を被覆するように印刷し、加熱する方法を適用することができる。
配線保護層40bが活性エネルギー線硬化性樹脂層である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂を含むインクを、少なくとも配線領域10bの金属配線14を被覆するように印刷し、活性エネルギー線を照射する方法を適用することができる。
【0036】
(作用効果)
本実施形態のタッチセンサ2においても、第1実施形態のタッチセンサ1と同様に、金属配線14の耐硫化性、透明電極部12の耐紫外線性が高い。また、タッチセンサ2は、耐硫化層を必須としないから、薄型化しやすい。また、パネル貼着用粘着剤層30が、酸基を有するアクリル系粘着剤を含むから、前面パネル板20とパネル貼着用粘着剤層30との間の空気の膨れを防止できる。さらに、透明レジスト層13によって、透明電極部12の酸による劣化を防止できる。
本実施形態における配線保護層40bは単層であるが、単層の配線保護層40bであっても、金属配線14を被覆することにより保護でき、金属配線14の硫化を防ぐことができる。また、配線保護層40bが単層であると、低コストになる。
【0037】
<他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
前面パネル板においては、加飾層を備えていなくても構わない。ただし、前面パネル板が加飾層を備えない場合には、紫外線吸収剤を含有する透明樹脂板を使用する。
また、本発明で使用するセンサ用シートにおいては、誤検知を防止するために、透明電極部に重複しない部分に公知の接地用配線を設けてもよい。
また、本発明で使用するセンサ用シートの配線領域においては、裏面に、強度を補強するための補強用シートが貼着されてもよい。
【実施例】
【0038】
下記(1)〜(9)の工程を有する方法により、
図1に示すタッチセンサ1を製造した。
(1)厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる透明フィルム基材11の第1面11aの全面に、導電性高分子分散液をグラビア印刷して、厚さ0.2μmの透明導電膜を形成した。その際、導電性高分子分散液としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸が水に分散した分散液を使用した。
(2)前記透明導電膜の表面に、スクリーン印刷により銀ペーストを印刷して金属配線14を形成した。
(3)前記透明導電膜の、矩形状の透明電極部12になる部分に、スクリーン印刷により、ポリエステル系樹脂を含む透明レジストインクを印刷し、乾燥して、厚さ1μmの透明レジスト層13を形成した。
(4)プラズマエッチング処理を施して、前記透明導電膜のうち露出している部分を除去して、透明電極部12を形成し、センサ用シート10を得た。
(5)配線領域10bにおける金属配線14の端部の表面に、スクリーン印刷によりカーボンペーストを印刷して外部接続用端子14aを形成した。
(6)センサ用シート10の配線領域10bに、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(保護フィルム41)と厚さ50μmのアクリル系粘着剤層(保護フィルム貼着用粘着剤層42)とからなる粘着フィルムを貼着した。
(7)一対の離型フィルムにパネル貼着用粘着剤層30が挟まれた両面粘着シートを用意した。パネル貼着用粘着剤層30を構成する粘着剤としては、カルボキシ基を有するアクリル系粘着剤を用いた。前記両面粘着シートの一方の離型フィルムを剥離し、これにより露出したパネル貼着用粘着剤層30の一方の面を、センサ用シート10の電極領域10aに貼り付けた。
(8)厚さ200μmのフィルム状の加飾層22を金型内に配置した状態でポリカーボネートを射出成形して厚さ3mmの透明樹脂板21を形成するインサート成形法により前面パネル板20を得た。
(9)センサ用シート10に貼り付けた両面粘着シートの他方の離型フィルムを剥離してパネル貼着用粘着剤層30の他方の面を露出させ、その露出面と、前面パネル板20の透明樹脂板21とを貼り付けた。これにより、タッチセンサ1を得た。
【0039】
<評価及び結果>
得られたタッチセンサ1について、耐硫化性、耐紫外線性、空気の膨れの有無を以下の方法により評価した。
【0040】
(耐硫化性)
得られたタッチセンサ1を、硫化水素濃度:10ppm、温度:40℃、相対湿度:80%の環境下に240時間放置した。その後、銀の金属配線を目視により観察したところ、金属配線の変色は見られなかった。したがって、耐硫化性は良好であった。
【0041】
(耐紫外線性)
サンシャインウェザーメータを用いて、得られたタッチセンサ1を紫外線が当たる環境下に200時間放置した。その際のサンシャインウェザーメータの条件は、JIS D0205−1987に従い、放電電圧:50V、放電電流:60A、フィルタ:ガラスフィルタAタイプ、ブラックパネル温度:63℃とした。その後、タッチセンサ1の動作を試験したところ、問題は生じなかった。したがって、耐紫外線性は良好であった。
【0042】
(空気の膨れの有無)
得られたタッチセンサ1を、温度:60℃、相対湿度:95%の環境下に500時間放置した。その後、タッチセンサ1の内部を目視により観察したところ、気泡の発生は見られず、空気の膨れは生じなかった。