(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記登録生体情報生成部は、オン操作の後に前記登録操作を受け付けて前記登録生体情報を生成した後、当該オン操作の後のオフ操作時に読み取られたオフ操作時生体情報と前記登録生体情報を合成して前記登録生体情報を拡張する、
請求項1に記載の判定装置。
前記登録生体情報生成部は、操作者の生体情報と登録者の前記登録生体情報との類似度を算出して照合し、前記類似度が予め定められたしきい値よりも大きい場合、操作者が登録者であると判定する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る判定装置は、スイッチになされたオン操作及びオフ操作の際、スイッチに接触する操作者の操作指の生体情報を読み取る生体情報読取部と、操作者の登録操作を受け付け、登録操作を行った操作者を登録者として当該登録者の生体情報と関連付けた登録生体情報を登録させる登録部と、オン操作時に読み取られたオン操作時生体情報を保存し、当該オン操作とその後のオフ操作までの間に登録部が登録操作を受け付けた場合、オン操作時生体情報を登録生体情報として生成する登録生体情報生成部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この判定装置は、スイッチのオン操作の際に読み取った生体情報を登録生体情報とするので、操作者が意識することなく生体情報の照合に必要な登録生体情報を生成することができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
(車両設定装置1の全体構成)
図1(a)は、第1の実施の形態に係る車両設定装置のブロック図の一例であり、
図1(b)は、車両設定装置の生体情報読取部の配置の一例を示す概略図である。
図2(a)は、第1の実施の形態に係る車両設定装置の制御部が取得するオン操作時生体情報の一例について説明するための概略図であり、
図2(b)は、類似度の算出に利用する指紋パターンの特徴点の一例について説明するための概略図である。
図3は、第1の実施の形態に係る車両設定装置が含まれる車両の車両設定システムのブロック図の一例である。なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また
図1(a)及び
図3では、主な情報の流れを矢印で示している。
【0013】
判定装置としての車両設定装置1は、
図1(a)、
図1(b)及び
図2(a)に示すように、スイッチになされたオン操作及びオフ操作の際、スイッチに接触する操作者の操作指の生体情報100を読み取る生体情報読取部10と、操作者の登録操作を受け付け、登録操作を行った操作者を登録者として当該登録者の生体情報100と関連付けた登録生体情報140を登録させる登録部としての登録読出部12と、オン操作時に読み取られたオン操作時生体情報101を保存し、当該オン操作とその後のオフ操作までの間に登録読出部12が登録操作を受け付けた場合、オン操作時生体情報101を登録生体情報140として生成する登録生体情報生成部としての制御部18と、を備えて概略構成されている。
【0014】
なお本実施の形態のスイッチは、一例として、駆動装置の始動又は始動準備を指示するスタートスイッチ5であるが、これに限定されない。オン操作は、スイッチがスタートスイッチ5である場合、駆動装置を始動又は始動準備させる操作である。またオフ操作は、オン操作の後に行われる操作であり、駆動装置を停止させる操作である。
【0015】
この制御部18は、操作者の生体情報100と登録者の登録生体情報140との類似度を算出して照合し、類似度が予め定められたしきい値としての識別しきい値180よりも大きい場合、操作者が登録者であると判定する。
【0016】
また車両設定装置1は、車両に搭載された複数の車載装置ごとに行われた設定とこの設定を行った登録者とを関連付けた車両設定テーブル160を生成する車両設定テーブル生成部16を備えている。制御部18は、照合の結果、操作者が登録者であると判定した場合、車両設定テーブル160に基づいて当該登録者が登録した設定を読み出して車両設定情報S
4として出力する。
【0017】
この車両設定装置1は、一例として、電子キーなどによる無線通信に基づく認証によってドアが開錠された後、車両のバッテリーから駆動電圧が供給され、生体情報読取部10による生体情報の取得が行える状態となる。なお車両設定装置1は、無線通信に基づく認証によるドアの開錠ではなく、物理キーによるドアの開錠、又はドアが開けられたことによって駆動電圧が供給されるように構成されても良い。
【0018】
(スタートスイッチ5の構成)
スタートスイッチ5は、例えば、運転席に着座する操作者の前方や運転席と助手席の間に位置するフロアコンソールなどに配置されている。このスタートスイッチ5は、操作面50になされたプッシュ操作により、車両の駆動装置の始動開始、又は始動準備を車両に指示する。
【0019】
具体的には、駆動装置が内燃機関(エンジン)である場合、シフト装置やブレーキ装置の操作条件が満足された状態でなされたプッシュ操作によりエンジンが始動開始する。また駆動装置がモータである場合、上記の操作条件が満足された状態でなされたプッシュ操作によりモータに電流を供給する始動準備が行われる。さらに駆動装置がエンジンとモータのハイブリッドである場合、上記の操作条件が満足された状態でなされたプッシュ操作により、始動時に優先される駆動装置に対応して始動開始又は始動準備が行われる。
【0020】
(生体情報読取部10の構成)
生体情報読取部10は、スタートスイッチ5の操作面50の下方に配置され、操作面50に接触する操作指の生体情報100を読み取るように構成されている。この生体情報100は、一例として、操作指の指紋パターン及び静脈パターンの少なくとも一方のパターンの情報を含んでいる。
【0021】
この生体情報読取部10は、例えば、指紋パターンを読み取る場合、光学式、静電容量方式、電界強度測定方式、感圧式及び感熱式などの指紋パターンを読み取るように構成されたセンサが用いられる。
【0022】
また生体情報読取部10は、例えば、静脈パターンを読み取る場合、照射した近赤外線の反射に基づいて静脈パターンを読み出すように構成されたセンサが用いられる。
【0023】
さらに生体情報読取部10は、例えば、指紋パターンと静脈パターンの両方を読み取る場合、可視光を照射して撮像した画像を画像処理して指紋パターンと静脈パターンを抽出するように構成されたセンサが用いられる。
【0024】
本実施の形態の生体情報読取部10は、一例として、指紋パターンを読み取る静電容量方式のセンサであるものとする。生体情報読取部10は、読み取った指紋パターンの情報である生体情報100を制御部18に出力する。
【0025】
(登録読出部12の構成)
登録読出部12は、一例として、
図1(b)に示すように、スタートスイッチ5の近傍に配置されたセットボタン120、登録ボタン121〜登録ボタン123を備えて概略構成されている。このセットボタン120、登録ボタン121〜登録ボタン123は、例えば、プッシュボタンとして構成されているがこれに限定されず、タッチスイッチであっても良い。
【0026】
セットボタン120、登録ボタン121〜登録ボタン123は、操作者が自分好みに調整した車載装置ごとの設定、つまり車両設定を登録する際、及び登録した車両設定を呼び出す際に押されるボタン群である。
【0027】
車載装置は、一例として、
図3に示すように、ステアリング調整装置24、シート調整装置26、ミラー調整装置28、車両周囲撮像装置30、衝突警告装置32、タッチパネル34、表示装置36、タッチパッド38、空調装置40、ナビゲーション装置42、音楽再生装置44及び映像再生装置46などである。また車両設定装置1は、例えば、車両制御部22が表示装置36に表示させるメニューの項目数や種類などの設定を設定できる場合、当該設定を車両設定として車両設定テーブル160に登録する。
【0028】
セットボタン120には、一例として、「SET」の文字が印刷されている。登録ボタン121〜登録ボタン123には、一例として、「A」〜「C」の文字が印刷されている。この「A」〜「C」は、登録者A〜登録者Cを示している。なお登録ボタンの数や登録可能な登録者の数は、任意である。
【0029】
ここで操作者が現在の車両設定を登録する場合、一例として、セットボタン120を押した後、当該車両設定を登録したい登録ボタンを押すことで登録される。この登録操作では、スタートスイッチ5を操作した際の生体情報100が登録生体情報140として記憶される。そして登録の後、操作者が車両に乗り込んでスタートスイッチ5を操作すると、操作者の生体情報100と登録生体情報140とが照合され、例えば、操作者が登録者Aであった場合、登録者Aが設定した車両設定が読み出される。
【0030】
なお登録読出部12の操作によって以前登録した車両設定を読み出したい場合、一例として、当該車両設定を登録した登録ボタンを押した後、セットボタン120を押すことで押された登録ボタンに関係する登録者の車両設定が読み出される。
【0031】
セットボタン120、登録ボタン121〜登録ボタン123は、例えば、点灯又は点滅するように構成される。制御部18は、例えば、操作者が未登録者である場合、登録操作を報知するため、車両設定が登録されていない登録ボタンを点灯又は点滅させる。また制御部18は、例えば、登録された車両設定が読み出される場合、既に登録されている登録ボタンを点灯又は点滅させる。この報知は、例えば、車両のスピーカから出力される音声メッセージによりなされても良いし、表示装置にメッセージ画像を表示させることによってなされても良いし、点灯又は点灯と組み合わせて行われても良い。
【0032】
登録読出部12は、例えば、押されたボタンの組み合わせに応じた登録読出情報S
1を生成し、制御部18に出力する。制御部18は、登録読出情報S
1に基づいて車両設定の登録操作がなされたのか、読出操作がなされたのかを判断して適切な処理を行う。
【0033】
なお登録読出部12は、例えば、登録ボタン121が押された場合、登録ボタン121を押した操作者を登録者Aとして登録読出情報S
1を生成する。同様に、登録読出部12は、例えば、登録ボタン122が押された場合、登録ボタン122を押した操作者を登録者Bとして登録読出情報S
1を生成し、登録ボタン123が押された場合、登録ボタン123を押した操作者を登録者Cとして登録読出情報S
1を生成する。
【0034】
変形例として車両設定装置1は、例えば、複数の登録ボタンを操作することにより、押された登録ボタンの組み合わせに応じて3人より多くの登録者の車両設定の登録、及び読出しを行うことができるように構成されても良い。
【0035】
(記憶部14の構成)
記憶部14は、一例として、半導体メモリである。この記憶部14は、登録者ごとの登録生体情報140を記憶している。なお記憶部14は、例えば、制御部18が備えるRAM(Random Access Memory)18aであっても良い。
【0036】
この登録生体情報140は、プッシュ操作された際に読み取られた生体情報100である。より具体的には、登録生体情報140は、例えば、読み取られた生体情報100と、登録操作の際に押された登録ボタンが示す登録者と、を関連付けた情報である。
【0037】
なお生体情報読取部10が静脈パターンを読み取る場合は、登録生体情報140が登録を指示された静脈パターンの情報となり、指紋パターン及び静脈パターンを読み取る場合は、登録を指示された指紋パターン及び静脈パターンの情報となる。
【0038】
(車両設定テーブル生成部16の構成)
図4は、第1の実施の形態に係る車両設定装置の車両設定テーブル生成部が生成する車両設定テーブルの一例を示す概略図である。
図4に示す設定は、登録可能な設定の一部を図示している。
【0039】
車両設定テーブル生成部16は、車載装置ごとの設定とこの設定を登録した登録者とを関連付けた車両設定テーブル160を生成する。
図4に示す車両設定テーブル160には、車両制御部22〜映像再生装置46の設定の一部が図示されている。
【0040】
図4に示す車両設定テーブル160の車両制御部22に関する項目は、一例として、表示装置36に表示される基準画面のメニュー項目に関する設定の項目であり、設定範囲が詳細メニュー、標準メニュー、簡易メニュー、初期設定が標準メニューである。なお他の設定可能な設定は、一例として、メニュー項目の配置などに関する設定である。
【0041】
ステアリング調整装置24に関する項目は、一例として、ステアリングの上下角に関する設定の項目であり、設定範囲が10段階、初期設定が5である。なお他の設定可能な設定は、一例として、ステアリングの長さ調整などに関する設定である。
【0042】
シート調整装置26に関する項目は、一例として、シートの前後位置に関する設定の項目であり、設定範囲が30段階、初期設定が15である。なお他の設定可能な設定は、一例として、シートの倒れる角度、シートの高さなどに関する設定である。
【0043】
ミラー調整装置28に関する項目は、一例として、ミラーの左右角度に関する設定の項目であり、設定範囲が30段階、初期設定が15である。なお他の設定可能な設定は、一例として、上下角度などに関する設定である。
【0044】
車両周囲撮像装置30に関する項目は、一例として、表示装置36に表示させる車両の周囲の画像範囲に関する設定の項目であり、設定範囲が全方向、後方、左方向、初期設定が全方向である。なお他の設定可能な設定は、一例として、予測される軌道の表示などに関する設定である。
【0045】
衝突警告装置32に関する項目は、一例として、警告音に関する設定の項目であり、設定範囲が20段階、初期設定が10である。なお他の設定可能な設定は、一例として、障害物を検知する感度などに関する設定である。
【0046】
タッチパネル34に関する項目は、一例として、操作指の検出感度に関する設定の項目であり、設定範囲が20段階、初期設定が10である。このタッチパネル34は、表示装置36に重ねて設置されている。なお他の設定可能な設定は、一例として、自動感度調節のON、OFFなどに関する設定である。
【0047】
表示装置36に関する項目は、一例として、明度に関する設定の項目であり、設定範囲が50段階、初期設定が25である。なお他の設定可能な設定は、一例として、コントラストなどに関する設定である。
【0048】
タッチパッド38に関する項目は、一例として、操作指の検出感度に関する設定の項目であり、設定範囲が20段階、初期設定が10である。このタッチパッド38は、例えば、運転席と助手席の間のフロアコンソールに配置されている。なお他の設定可能な設定は、一例として、自動感度調節のON、OFFなどに関する設定である。
【0049】
空調装置40に関する項目は、一例として、設定温度に関する設定の項目であり、設定範囲が18〜30℃、初期設定が20℃である。なお他の設定可能な設定は、一例として、運転席、助手席、後部座席ごとの設定温度、吹出口、自動温度調整のON、OFFなどに関する設定である。
【0050】
ナビゲーション装置42に関する項目は、一例として、表示装置36に表示される地図画像の縮尺に関する設定の項目であり、設定範囲が25m(1/2500)〜200km(1/2048万)、初期設定が100m(1/1万)である。なお他の設定可能な設定は、一例として、目的地の選択、駐車場などのアイコンの表示・非表示などに関する設定である。
【0051】
音楽再生装置44に関する項目は、一例として、曲のシャッフルに関する設定の項目であり、設定範囲がONとOFF、初期設定がOFFである。なお他の設定可能な設定は、一例として、音量、音質などに関する設定である。
【0052】
映像再生装置46に関する項目は、一例として、再生位置に関する設定の項目であり、設定範囲が前回再生位置及びメインメニュー、初期設定が前回再生位置である。なお他の設定可能な設定は、一例として、音量、音質などに関する設定である。
【0053】
なお他の車載装置としては、ワイパ装置(例えば、自動ワイパ機能のON・OFF)、ヘッドライト(例えば、自動ライト機能のON・OFF)、無線ネットワーク装置(例えば、携帯電話及びスマートフォンなどとの接続・非接続)、アイドリングストップ装置(例えば、アイドリングストップのON・OFF)、駆動方法切替装置(例えば、2WDと4WDの切り替え)、走行モード切替装置(例えば、ノーマルモード、スポーツモード、オールウェザーモード)、横滑り安全装置(例えば、機能のON・OFF)などがある。
【0054】
車両設定テーブル生成部16は、例えば、現在の車両設定の登録操作が行われた場合、現在の車両設定に関する設定情報S
3を車両制御部22から取得すると共に制御部18から登録者を識別する識別情報S
2を取得し、登録者と車両設定とを関連付けて車両設定テーブル160を作成する。この設定情報S
3は、例えば、制御部18が登録読出情報S
1に基づいて登録操作が行われたと判定し、車両制御部22に設定情報S
3の出力を依頼することで得られる。
【0055】
また車両設定テーブル生成部16は、例えば、車両設定の読み出しが行われる場合、制御部18が出力した識別情報S
2が示す登録者の車両設定を車両設定テーブル160から読み出し、車両設定情報S
4として出力する。
【0056】
(制御部18の構成)
制御部18は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM18a及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部18が動作するためのプログラムと、識別しきい値180と、が格納されている。RAM18aは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0057】
制御部18は、生体情報読取部10から取得した生体情報100と記憶部14から取得した登録生体情報140とを照合し、車両の操作者がいずれの登録者であるか、又は未登録者であるかを識別するように構成されている。
【0058】
制御部18は、一例として、生体情報100に基づく操作者の指紋パターンの特徴点と、登録生体情報140に登録された登録者の指紋パターンの特徴点と、の類似度が識別しきい値180より大きい場合、操作者が登録者であると判定する。
【0059】
この特徴点とは、例えば、
図2(b)に示すように、中心点110、分岐点111、端点112及び三角州113と呼ばれる4つの点である。中心点110とは、
図2(b)に示す指紋パターン90の中心となる点である。分岐点111とは、指紋の隆線が分岐している点である。端点112とは、隆線が切れている点である。三角州113とは、三方向から隆線が集まった点である。
【0060】
制御部18は、生体情報100及び登録生体情報140の指紋パターンの特徴点を照合し、一致する特徴点の数に応じて類似度を判定し、操作者が登録者のいずれなのか、それとも未登録者なのかを識別する。
【0061】
具体的には制御部18は、一例として、登録生体情報140に基づく登録者A〜登録者Cの指紋パターンの特徴点がそれぞれ50箇所であり、操作者の指紋パターンの特徴点との一致点が、登録者Aが40箇所、登録者Bが20箇所、登録者Cが33箇所である場合、登録者Aとの類似度が80(%)、登録者Bとの類似度が40(%)、及び登録者Cとの類似度が66(%)と算出する。制御部18は、一例として、識別しきい値180が70(%)である場合、操作者が登録者Aであると判定する。
【0062】
本実施の形態の制御部18は、
図2(a)に示すように、オン操作時に読み取られたオン操作時生体情報101をRAM18aに一時的に保存し、当該オン操作とその後のオフ操作までの間に登録読出部12が登録操作を受け付けた場合、オン操作時生体情報101を登録生体情報140として生成するように構成されている。このオン操作時生体情報101は、記憶部14に記憶されても良い。また一時的に保存とは、少なくともオン操作時生体情報101が生成されたオン操作の次に行われるオン操作までである。言い換えるなら、第1のオン操作時生体情報の次の第2のオン操作時生体情報が生成されるまで、第1のオン操作時生体情報が一時的に保存される。なおオン操作時生体情報101は、オン操作の後に行われたオフ操作時に消去されても良い。
【0063】
また制御部18は、例えば、
図3に示すように、車両LAN(Local Area Network)20に電磁気的に接続されている。制御部18は、例えば、車両LAN20を介して車両制御部22などと接続され、相互に情報などを交換している。この車両LAN20は、一例として、車両設定装置1と車載装置などと共に車両設定システム2を構成している。以下では、この車両設定システム2について説明する。
【0064】
(車両設定システム2の構成)
車両設定システム2は、一例として、
図3に示すように、車両設定装置1と、複数の車載装置と、車両設定装置1から出力された車両設定情報S
4に基づいて複数の車載装置を制御する制御装置としての車両制御部22と、を備えている。
【0065】
車両制御部22は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU、半導体メモリであるRAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。
【0066】
この車両制御部22は、
図3に示すように、制御部18からの依頼によってステアリング調整装置24〜映像再生装置46の設定の情報である現在設定情報S
10〜現在設定情報S
21を、車両LAN20を介して取得する。そして車両制御部22は、取得した現在設定情報S
10〜現在設定情報S
21に基づいて設定情報S
3を生成し、車両LAN20を介して車両設定装置1に出力する。
【0067】
また車両制御部22は、車両設定装置1から車両LAN20を介して車両設定情報S
4を取得する。車両制御部22は、取得した車両設定情報S
4に基づいて車載装置ごとの設定の情報である個別設定情報S
30〜個別設定情報S
41を生成し、車両LAN20を介して対応する車載装置に出力する。車載装置は、自身に対応する個別設定情報に基づいて登録者が登録した設定に変更する。
【0068】
以下に本実施の形態の車両設定装置1の動作の一例について
図5のフローチャートに従って説明する。
【0069】
(動作)
車両設定装置1は、電子キーを携帯した操作者が車両のドアを開錠すると、車両から駆動電圧が供給され、生体情報読取部10が指紋パターンの読み取りが可能な状態となる。
【0070】
制御部18は、操作者がスタートスイッチ5をオン操作すると、生体情報読取部10からオン操作時生体情報101を取得して一時的にRAM18aに保存する(Step1)。
【0071】
制御部18は、登録読出部12から出力された登録読出情報S
1を取得すると登録指示(登録操作)を確認する。制御部18は、登録指示があった場合(Step2:Yes)、RAM18aに保存していたオン操作時生体情報101から登録生体情報140を生成し(Step3)、記憶部14に記憶させ、登録生体情報140の生成動作を終了する。
【0072】
ここでステップ2において制御部18は、登録指示がオフ操作までなされなかった場合(Step2:No)、スタートスイッチ5がオフ操作された際にオン操作時生体情報101をRAM18aから消去する(Step4)。
【0073】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る車両設定装置1は、スタートスイッチ5のオン操作の際に読み取ったオン操作時生体情報101を登録生体情報140とするので、設定のためにスイッチに触る場合と比べて、操作者が意識することなく生体情報の照合に必要な登録生体情報140を生成することができる。
【0074】
車両設定装置1は、設定のためにスイッチに触れる必要がないので、操作者が意図しない駆動装置の始動や電源遷移といった誤操作が抑制される。
【0075】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、オフ操作時の生体情報を登録生体情報140に合成して登録生体情報140を拡張する点で第1の実施の形態と異なっている。
【0076】
図6(a)は、第2の実施の形態に係る車両設定装置の登録生体情報の拡張の一例を説明するための概略図であり、
図6(b)は、拡張された登録生体情報の一例を示す概略図である。
図6(a)及び
図6(b)に示す指紋パターン90は、スタートスイッチ5を操作する操作指の指紋パターンの一例を示している。また
図6(a)は、小さい円の内側がオン操作時に読み取られた第1の領域101aであり、大きい円の内側がオフ操作時に読み取られた第2の領域102aである。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0077】
本実施の形態の制御部18は、オン操作の後に登録操作を受け付けて登録生体情報140を生成した後、当該オン操作の後のオフ操作時に読み取られたオフ操作時生体情報102と登録生体情報140を合成して登録生体情報140を拡張するように構成されている。
【0078】
具体的には、制御部18は、例えば、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、オン操作時に読み取ったオン操作時生体情報101(拡張前の登録生体情報140)の領域である第1の領域101aと、オフ操作時に読み取ったオフ操作時生体情報102の領域である第2の領域102aと、を合成して拡張登録領域142を作成し、この拡張登録領域142を登録生体情報140とするように構成されている。
【0079】
以下に本実施の形態の車両設定装置1の動作の一例について
図6のフローチャートに従って説明する。
【0080】
(動作)
車両設定装置1は、電子キーを携帯した操作者が車両のドアを開錠すると、車両から駆動電圧が供給され、生体情報読取部10が指紋パターンの読み取りが可能な状態となる。
【0081】
制御部18は、操作者がスタートスイッチ5をオン操作すると、生体情報読取部10からオン操作時生体情報101を取得して一時的にRAM18aに保存する(Step10)。
【0082】
制御部18は、登録読出部12から出力された登録読出情報S
1を取得すると登録指示(登録操作)を確認する。制御部18は、登録指示があった場合(Step11:Yes)、さらにオフ操作時生体情報102を取得する(Step12)。
【0083】
制御部18は、オン操作時生体情報101(拡張前の登録生体情報140)とオフ操作時生体情報102とを合成して登録生体情報140を生成し(Step13)、記憶部14に記憶させ、拡張された登録生体情報140の生成動作を終了する。
【0084】
ここでステップ11において制御部18は、登録指示がオフ操作までなされなかった場合(Step11:No)、スタートスイッチ5がオフ操作された際にオン操作時生体情報101をRAM18aから消去する(Step14)。
【0085】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態の車両設定装置1は、オン操作時生体情報101によって生成された登録生体情報140をオフ操作時生体情報102によって拡張するので、拡張しない場合と比べて、登録生体情報140の情報量が増加し、判定精度が向上する。
【0086】
また車両設定装置1は、判定精度が向上するので、操作者に適した車両設定を提供することができる。
【0087】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、オン操作時の生体情報とオフ操作時の生体情報を合成して登録生体情報140を生成する点で上述の実施の形態と異なっている。
【0088】
本実施の形態の制御部18は、オン操作の後に登録操作を受け付けた後、当該オン操作時に読み取られ、保存されていたオン操作時生体情報101と、当該オン操作の後のオフ操作時に読み取られたオフ操作時生体情報102とを合成して登録生体情報140を生成するように構成されている。オン操作時生体情報101は、RAM18aに一時的に保存される。
【0089】
以下に本実施の形態の車両設定装置1の動作の一例について説明する。
【0090】
(動作)
車両設定装置1は、電子キーを携帯した操作者が車両のドアを開錠すると、車両から駆動電圧が供給され、生体情報読取部10が指紋パターンの読み取りが可能な状態となる。
【0091】
制御部18は、操作者がスタートスイッチ5をオン操作すると、生体情報読取部10からオン操作時生体情報101を取得して一時的にRAM18aに保存する。
【0092】
制御部18は、登録読出部12から出力された登録読出情報S
1を取得すると登録指示(登録操作)を確認する。制御部18は、登録指示があった場合、さらにオフ操作時生体情報102を取得する。
【0093】
制御部18は、オン操作時生体情報101とオフ操作時生体情報102とを合成して登録生体情報140を生成し、記憶部14に記憶させ、登録生体情報140の生成動作を終了する。
【0094】
(第3の実施の形態の効果)
本実施の形態の車両設定装置1は、オン操作時生体情報101とオフ操作時生体情報102を合成して登録生体情報140を生成するので、合成しない場合と比べて、登録生体情報140の情報量が増加し、判定精度が向上し、操作者に適した車両設定を提供することができる。
【0095】
上述の実施の形態及び変形例に係る車両設定装置1は、例えば、用途に応じて、その一部が、コンピュータが実行するプログラム、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって実現されても良い。
【0096】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。