特許第6494146号(P6494146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494146
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20190325BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20190325BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20190325BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20190325BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   H01F17/00 B
   H01F17/04 A
   H01F27/29 P
   H01F41/04 C
   H01F27/28 104
【請求項の数】24
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-93882(P2018-93882)
(22)【出願日】2018年5月15日
(65)【公開番号】特開2019-4142(P2019-4142A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2018年5月15日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0074202
(32)【優先日】2017年6月13日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0143076
(32)【優先日】2017年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオク
(72)【発明者】
【氏名】ボン、カン ウク
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−216336(JP,A)
【文献】 特開2001−185426(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/005161(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0189840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 17/04
H01F 27/28
H01F 27/29
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結されてスパイラル状を形成する複数のコイルパターンと、
前記複数のコイルパターンの最外側のコイルパターンの端部と直接連結される引き出し部と、
前記最外側のコイルパターンの側面に配置され、伝導性物質を含むギャップ充填部と、
前記引き出し部と連結される外部電極と、を含むコイル部品であって、
前記ギャップ充填部は内側のコイルパターンから第1距離だけ離隔し、前記最外側のコイルパターンは前記内側のコイルパターンから第2距離だけ離隔し、前記第1及び第2距離は実質的に同一である、コイル部品。
【請求項2】
前記ギャップ充填部は、前記最外側のコイルパターンと一体に構成される、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記複数のコイルパターンの間には絶縁壁が配置される、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記絶縁壁の上面には絶縁体がさらに配置される、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記引き出し部と前記最外側のコイルパターンとが連結される領域内で、前記最外側のコイルパターンとそれに最も隣接したコイルパターンとの間の離隔した距離はコイルの巻取り方向に沿って一定である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記コイルパターンは支持部材により支持され、前記支持部材は中央に貫通孔を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記貫通孔は磁性物質で充填される、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記最外側のコイルパターンの曲率半径はコイルの巻取り方向に沿って一定である、請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項9】
互いに連結されてスパイラル状を形成する複数のコイルパターンと、
前記複数のコイルパターンのうち最内側のコイルパターンと直接連結される貫通ビアと、
前記貫通ビアに配置され、伝導性物質を含むギャップ充填部と、を含むコイル部品であって、
前記ギャップ充填部は外側のコイルパターンから第1距離だけ離隔し、前記最内側のコイルパターンは前記外側のコイルパターンから第2距離だけ離隔し、前記第1距離は前記第2距離と実質的に同一である、コイル部品。
【請求項10】
前記ギャップ充填部は、前記貫通ビアと一体に構成される、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記コイルパターンのスパイラル状と平行なL−W面を基準として、前記最内側のコイルパターンがそれに隣接したコイルパターンと互いに向い合う一角部と、前記ギャップ充填部の最外側の角部とが成す角度は90°以下である、請求項9または10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記複数のコイルパターンの間には絶縁壁が配置される、請求項9から11のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記コイルパターンは支持部材により支持され、前記支持部材は中央に貫通孔を含む、請求項9から12のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記貫通孔は磁性物質で充填される、請求項13に記載のコイル部品。
【請求項15】
互いに連結されてスパイラル状を形成する複数のコイルパターンと、
前記複数のコイルパターンのうち最内側のコイルパターンと電気的に連結され、前記最内側のコイルパターンと離隔する貫通ビアと、
前記貫通ビアが前記最内側のコイルパターンと連結されるようにその間に配置され、伝導性物質を含むギャップ充填部と、を含むコイル部品であって、
前記ギャップ充填部は前記最内側のコイルパターンと垂直である、コイル部品。
【請求項16】
前記ギャップ充填部の線幅は、前記最内側のコイルパターンの線幅と同一であり、前記ギャップ充填部の前記線幅は、前記貫通ビアと前記最内側のコイルパターンとが連結する方向と直交する方向の前記ギャップ充填部の幅である、請求項15に記載のコイル部品。
【請求項17】
スパイラル状を形成するように互いに連結され、曲線部を有する最外側のコイルパターンを含むコイルパターンと、
前記最外側のコイルパターンの前記曲線部と直接連結される引き出し部と、
前記引き出し部と連結される外部電極と、を含むコイル部品であって、
前記最外側のコイルパターンの曲線部は、伝導性物質を含むギャップ充填部を含み、
前記最外側のコイルパターンの曲線部は第1曲線部及び第2曲線部を含み、
前記第1曲線部は、前記最外側のコイルパターンの内側の面が実質的に前記外部電極に向かう部分から前記外部電極と実質的に平行な部分まで曲線を成し、
前記第2曲線部は、前記最外側のコイルパターンの内側の面が実質的に前記外部電極と平行な部分から前記外部電極から斜めな部分まで曲線を成す、コイル部品。
【請求項18】
前記引き出し部は第1引き出し部及び第2引き出し部を含み、
前記第1引き出し部は前記第1曲線部から前記外部電極まで延び、
前記第2引き出し部は前記第2曲線部から前記外部電極まで延び、
前記第1及び第2引き出し部は互いに離隔する、請求項17に記載のコイル部品。
【請求項19】
前記最外側のコイルパターンから離隔し、且つそれに隣接した内側のコイルパターンをさらに含み、
前記内側のコイルパターンと前記第1曲線部との間の第1距離は、前記内側のコイルパターンと前記第2曲線部との間の第2距離と実質的に同一である、請求項17または18に記載のコイル部品。
【請求項20】
前記最外側のコイルパターンから離隔し、且つそれに隣接した内側のコイルパターンをみ、
前記内側のコイルパターンと前記第2曲線部との間の側面空間は絶縁物質で充填される、請求項17から19のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項21】
互いに連結されてスパイラル状を形成し、最内側のコイルパターン、及び前記最内側のコイルパターンから離隔し、且つそれに隣接した外側のコイルパターンを含む複数のコイルパターンと、
前記最内側のコイルパターンと直接連結される貫通ビアと、を含むコイル部品であって、
前記貫通ビアは、伝導性物質を含むギャップ充填部を含み、前記外側のコイルパターンと実質的に平行な第1面、前記第1面と直角以下の角度で連結される第2面、及び曲面を含む形状を有する、コイル部品。
【請求項22】
前記角度は実質的に直角であり、前記曲面は実質的に一定の曲率半径を有する、請求項21に記載のコイル部品。
【請求項23】
前記角度は直角よりも小さ、請求項21に記載のコイル部品。
【請求項24】
前記外側のコイルパターンと前記角度を形成する前記貫通ビアとの間の空間は絶縁物質で充填される、請求項21から23のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものであり、具体的には、薄膜型パワーインダクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用無線通信機器及びウェアラブル機器の発展に伴い、高機能の軽薄短小の部品が求められている。特に、最新の携帯用スマートフォン及びウェアラブル機器は、その使用周波数が高周波化しているため、使用周波数領域での安定した電源の供給が必要である。したがって、スマートフォン及びウェアラブル機器の発展に伴い、電源端における電流の急激な変化を抑制する機能を有するパワーインダクターには、高周波数及び高電流で使用可能であることが益々求められている。
【0003】
従来の薄膜型パワーインダクターでは、コイルパターンの間に磁性成分の粒子が浸透し得る程度のギャップが存在するため、粒子がギャップに浸透していた。その結果、高周波数及び高電流で浸透粒子(金属材料)によって絶縁が破壊され、ショートが発生する可能性が高くなり、結果として、製品の信頼性に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開1999−204337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、上記のような製品の信頼性を改善させるためのものであって、具体的に、金属磁性粒子がコイルパターンの間の空間に浸透しないように変更したコイルパターンの構造を含むコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例によるコイル部品は、互いに連結されてスパイラル状を形成する複数のコイルパターンと、上記複数のコイルパターンの最外側のコイルパターンの端部と直接連結される引き出し部と、上記最外側のコイルパターンの側面に配置され、伝導性物質を含むギャップ充填部と、上記引き出し部と連結される外部電極と、を含み、上記ギャップ充填部は内側のコイルパターンから第1距離だけ離隔し、上記最外側のコイルパターンは上記内側のコイルパターンから第2距離だけ離隔し、上記第1及び第2距離は実質的に同一である。
【0007】
本発明の他の例によるコイル部品は、互いに連結されてスパイラル状を形成する複数のコイルパターンと、上記複数のコイルパターンのうち最内側のコイルパターンと直接連結される貫通ビアと、上記貫通ビアに配置され、伝導性物質を含むギャップ充填部と、を含み、上記ギャップ充填部は外側のコイルパターンから第1距離だけ離隔し、上記最内側のコイルパターンは上記外側のコイルパターンから第2距離だけ離隔し、上記第1距離は上記第2距離と実質的に同一である。
【0008】
本発明のさらに他の例によるコイル部品は、互いに連結されてスパイラル状を形成する複数のコイルパターンと、上記複数のコイルパターンのうち最内側のコイルパターンと電気的に連結され、上記最内側のコイルパターンと離隔する貫通ビアと、上記貫通ビアが上記最内側のコイルパターンと連結されるようにその間に配置され、伝導性物質を含むギャップ充填部と、を含み、上記ギャップ充填部は上記最内側のコイルパターンと垂直である。
【0009】
本発明のさらに他の例によるコイル部品は、スパイラル状を形成するように互いに連結され、曲線部を有する最外側のコイルパターンを含むコイルパターンと、上記最外側のコイルパターンの上記曲線部と直接連結される引き出し部と、上記引き出し部と連結される外部電極と、を含み、上記最外側のコイルパターンの曲線部は第1曲線部及び第2曲線部を含み、上記第1曲線部は、上記最外側のコイルパターンの内側の面が実質的に上記外部電極に向かう部分から上記外部電極と実質的に平行な部分まで曲線を成し、上記第2曲線部は、上記最外側のコイルパターンの内側の面が実質的に上記外部電極と平行な部分から上記外部電極から斜めな部分まで曲線を成す。
【0010】
本発明のさらに他の例によるコイル部品は、互いに連結されてスパイラル状を形成し、最内側のコイルパターン、及び上記最内側のコイルパターンから離隔し、且つそれに隣接した外側のコイルパターンを含む複数のコイルパターンと、上記最内側のコイルパターンと直接連結される貫通ビアと、を含み、上記貫通ビアは、上記外側のコイルパターンと実質的に平行な第1面、上記第1面と直角以下の角度で連結される第2面、及び曲面を含む形状を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の一効果は、コイルパターンの引き出し部の周りのコイルパターンの構造及び貫通ビアの構造を変更することで、コイルの形成またはコイルの使用環境で、コイルパターンの間に磁性粒子が浸透することによる絶縁材の損傷など不所望の信頼性低下の問題を防止することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態によるコイル部品の概略的な斜視図である。
図2図1のL−W面を基準とするコイルパターンの概略的な平面図である。
図3図1のI−I'線に沿って切断した概略的な断面図である。
図4】本発明の第2実施形態によるコイル部品の概略的な斜視図である。
図5図4のL−W面を基準とするコイルパターンの概略的な平面図である。
図6a図5の第1変形例による貫通ビアの平面図である。
図6b図5の第2変形例による貫通ビアの平面図である。
図7】本発明の第3実施形態によるコイル部品において、L−W面を基準とするコイルパターンの平面図である。
図8】本発明の第4実施形態によるコイル部品の概略的な斜視図である。
図9図8のL−W面を基準とするコイルパターンの概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0014】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0015】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0016】
以下では、本発明の一例によるコイル部品について説明するが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0017】
図1は本発明の第1実施形態によるコイル部品100の概略的な斜視図であり、図2図1のL−W面を基準とするコイルパターンの概略的な平面図であり、図3図1のI−I'線に沿って切断した断面図である。
【0018】
図1から図3を参照すると、本発明の第1実施形態によるコイル部品100は、磁性物質11で充填された本体1と、上記本体の外部面上に配置された第1及び第2外部電極21、22と、を含む。
【0019】
上記第1及び第2外部電極21、22は導電性物質で構成され、コイルと外部電子部品との電気的連結を可能とする構成である。具体的に、上記第1外部電極21はコイル13の一端部の第1引き出し部13aと連結され、上記第2外部電極22はコイル13の他端部の第2引き出し部13bと連結される。
【0020】
上記第1及び第2外部電極の形状は、当業者が適宜選択することができ、図1に示されたように略アルファベットのC字状を有するようにしてもよいことは言うまでもなく、その他にも、上面までは延びないようにアルファベットのL字状を有するようにしてもよい。
【0021】
上記本体1はコイル部品の外観を成すものであって、厚さ(T)方向において互いに向い合う上面及び下面、長さ(L)方向において互いに向い合う第1端面及び第2端面、幅(W)方向において互いに向い合う第1側面及び第2側面を含み、実質的に六面体形状を含むことができるが、これに制限されない。
【0022】
上記本体1は、磁性物質11を含み、例えば、フェライトまたは金属系軟磁性材料が充填されて形成されることができる。上記フェライトは、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ba系フェライト、またはLi系フェライトなどの公知のフェライトを含むことができる。上記金属系軟磁性材料は、Fe、Si、Cr、Al、Ni、B、Nb、及びCuからなる群から選択される何れか一つ以上を含む合金であることができ、例えば、Fe−Si−B−Cr系非晶質金属粒子を含むことができるが、これに制限されるものではない。上記金属系軟磁性材料の粒径は0.1μm以上20μm以下であり、エポキシ樹脂またはポリイミドなどの高分子に分散された形態で含まれることができる。
【0023】
上記本体1内には支持部材12が配置され、上記支持部材は上述の磁性物質11により封止された状態である。上記支持部材12は中央の貫通孔Hを含み、上記貫通孔は磁性物質で充填される。上記貫通孔は高透磁率の磁性物質で充填され、磁性コアを成すため、コイルの透磁率を向上させる機能を果たす。上記支持部材は、上記貫通孔の他に、貫通孔から離隔したビアホールVを含み、上記ビアホールは伝導性物質で充填されて貫通ビアVC1を形成する。上記貫通ビアVC1は、上記支持部材により支持される上部コイル131と下部コイル132を互いに電気的に連結する機能を果たす。
【0024】
上記支持部材12により支持されるコイル13について説明すると、上記コイル13は、上記支持部材の上面と当接する上部コイル131と、上記支持部材の下面と当接する下部コイル132と、を含む。一方、上記上部及び下部コイルは、貫通ビアVC1を介して電気的に連結される。上記上部及び下部コイルのそれぞれはスパイラル状を有する。上記上部及び下部コイルは互いに対称して構成されるため、上記上部コイルについての内容が、上記下部コイルについての内容にそのまま適用可能である。したがって、説明の便宜のために、図2に示されたように上部コイルのみについて説明し、その内容が下部コイルにそのまま適用可能である。
【0025】
上部コイル131は複数のコイルパターン131a、131bを含む。上記複数のコイルパターンは互いに連結されて、全体的にスパイラル状を実現する。
【0026】
上記複数のコイルパターンの巻取数や線幅、AR値は、当業者が必要に応じて適宜選択することができることは言うまでもない。
【0027】
上記複数のコイルパターンのそれぞれは、L−W面を基準として少なくとも一部の曲線部を含み、実質的に、それぞれのコイルパターンの曲線部の曲率半径は、コイルが巻き取られる間に一定に維持される。ここで、コイルパターンの曲線部の曲率半径が一定に維持されるため、互いに隣接するコイルパターンの間の離隔した距離も、コイルが巻き取られる間に一定に維持されることができる。
【0028】
上記複数のコイルパターンのうち最外側のコイルパターン131aは、コイルの第1引き出し部13aと連結される。上記第1引き出し部13aは中央に貫通部hを含み、上記貫通部hは磁性物質で充填される。上記第1引き出し部が貫通部を含むため、上記第1引き出し部の過めっきが防止されるとともに、コイルの厚さばらつきが低減され、Rdcも低減されることができる。
【0029】
上記最外側のコイルパターン131aは、第1引き出し部13aと連結される先端にギャップ充填部3が含まれる。上記ギャップ充填部は、伝導性物質で構成され、実質的に最外側のコイルパターンと一体に構成される。上記ギャップ充填部3は、互いに隣接するコイルパターンの間の余裕空間内に磁性物質中の磁性粒子が充填されることで、コイルパターンを囲む絶縁層が破壊されることを防止すべく、上記余裕空間を除去する機能を果たす。上記ギャップ充填部により、最外側のコイルパターンとそれに最も隣接した第1コイルパターン131bとの間の離隔した距離d1が、コイルの巻取り方向に沿って一定に維持されることができる。
【0030】
第1引き出し部13aと連結された最外側のコイルパターンにおいて、曲線部の曲率半径R11、R12は実質的に同一である。このように、最外側のコイルパターンが巻き取られる際に、曲線部の曲率半径が実質的に一定に維持されるため、互いに隣接するコイルパターンの間の余裕空間が除去されることができる。したがって、両コイルパターンの間に磁性物質中の磁性粒子が浸入し得る空間が不十分となり、磁性粒子の浸透可能性を予め防止することができる。
【0031】
上記最外側のコイルパターンの曲率半径がコイルの巻取り方向に沿って一定に維持され、上記最外側のコイルパターンとそれに隣接した第1コイルパターンとの間の間隔が一定に維持されることができる理由は、上記最外側のコイルパターンが、上記最外側のコイルパターンの先端と一体に構成されるギャップ充填部3を含むためである。上記ギャップ充填部を、上記最外側のコイルパターンと第1コイルパターンとの間の余裕空間が生じないように、余裕空間が伝導性物質で充填されるようにする。
【0032】
一方、互いに隣接したコイルパターンの間には絶縁壁41が配置される。上記離隔した空間の幅が一定に維持されるため、それを充填している絶縁物質の幅も実質的に均一であることができる。上記絶縁壁41の厚さは、それに隣接したコイルパターンの厚さと実質的に同一であるか、より厚ければよい。これは、当業者が必要に応じて適宜選択することができることは言うまでもない。また、上記絶縁壁の上面及び側面のうち磁性物質と接することになる面は、絶縁体42によって囲まれる。これにより、上記絶縁壁によって絶縁されないコイルパターンの上面などが、磁性物質から絶縁されることができる。上記絶縁体は、上記絶縁壁と異なる材質で構成されることができ、化学気相蒸着法が適用可能な材質であれば制限されずに含まれることができ、例えば、ペリレン樹脂が含まれることができる。
【0033】
次に、図3を参照してコイルパターンについてより詳細に説明すると、複数のコイルパターンのそれぞれの線幅は、本体の厚さ方向に沿って実質的に同一に維持される。このように、コイルパターンの線幅を均一にする方法は特に制限されないが、一例として、感光性絶縁物質をラミネートし、それを露光、現像することで開口パターンを有する絶縁壁41を確保した後、かかる開口パターン内にコイル物質を充填する方法を活用することができる。複数のコイルパターンのうち最外側のコイルパターン131aとそれに隣接した第1コイルパターン131bとの間の離隔した幅d1は、それ以外のコイルパターンの間の離隔した幅と実質的に同一であることが分かり、上記幅d1は、下部から上部に向かって細くなるか広くなることなく、一定の値を有する。ここで、実質的に幅が一定の値を有するとは、下部から上部に向かって広くなるか細くなる程度が、略5μmの数値範囲を超えない場合を意味する。その結果、最外側のコイルパターンとそれに隣接した第1コイルパターンとの間に磁性粒子が浸透し得る余裕空間が除去されることができ、上記磁性粒子がコイルパターンの外表面に付着された絶縁物質を損傷させて絶縁破壊を起こし、ショートを発生させるおそれが除去されることができる。
【0034】
次に、図4は本発明の第2実施形態によるコイル部品200の概略的な斜視図であり、図5図4のL−W面を基準とするコイルの概略的な平面図である。説明の便宜のために、上述の第1実施形態によるコイル部品100と区別される構成を中心に説明する。上記コイル部品200は、複数のコイルパターンのうち最内側のコイルパターンと連結される貫通ビアVC2にギャップ充填部230が含まれるという点で、その構造の特異性を有する。
【0035】
上記コイル部品200は、磁性物質211を含む本体210と、上記本体の外部面上に配置される第1及び第2外部電極221、222と、を含む。
【0036】
上記ギャップ充填部230は、伝導性物質で構成され、上記貫通ビアVC2と一体に構成される。図4及び図5を参照すると、上記貫通ビアVC2において、上記貫通ビアと最も隣接した第1コイルパターン2131bと互いに向い合う一角部L1と、上記一角部L1と直接連結される上記貫通ビアの角部L2とが成す角度θ1は、実質的に直角である。上記貫通ビアの一角部L2は、ギャップ充填部230の一角であると表現してもよいことは言うまでもない。これは、ギャップ充填部が貫通ビアと一体に構成され、物理的に区別されず、ギャップ充填部は貫通ビアの一構成であるためである。通常、貫通ビアのL−W面を基準とした断面は円形状に実現されるため、上記角度は90°より大きい鈍角である。この場合、上記角度が直角である場合と比較してギャップ充填部を含まない。この際、貫通ビアと第1コイルパターンとの間の余裕空間内に磁性粒子が浸透する可能性が高い。換言すれば、貫通ビアの断面が円形状に実現される場合は、ギャップ充填部が含まれない場合であり、上記ギャップ充填部が含まれないと、貫通ビアとそれに隣接した第1コイルパターンとの間に磁性粒子が浸透するおそれがある。
【0037】
これに対し、上記コイル部品200の場合、上記角度が90°であるため、磁性粒子が浸透する空間がなくなる。したがって、コイル部品の製造若しくは使用中に、磁性粒子がコイルパターンの間に浸透して絶縁破壊を起こし、ショートを発生させる可能性を実質的に除去することができる。
【0038】
一方、図4に示されたコイル部品200の貫通ビアの断面形状とは異なっても、最内側のコイルパターンの角部のうち最も隣接した第1コイルパターンと互いに向い合う一角部L1と、上記最内側のコイルパターンの上記一角部L1と直接連結される上記貫通ビアの一角部L2とが成す角度θ1が90゜以下であれば十分であって、特定の貫通ビアの断面形状にのみ限定されるものではない。ここで、上記貫通ビアの一角部L2は、該当部分の貫通ビアの角部が直線である場合には差し支えないが、該当部分の貫通ビアの角部が曲線である場合には、それに対する接線を一角部L2と見なすことができる。
【0039】
例えば、図5に示された貫通ビアは、図6a及び図6bに示された断面形状を有する貫通ビアに変形可能である。説明の便宜のために、図5図6a及び図6bにおける互いに対応する構成要素についての説明は省略する。
【0040】
先ず、図6aを参照すると、コイル部品200'のB領域を拡大した図において、最内側のコイルパターンの角部のうち最も隣接した第1コイルパターン2131b'と互いに向い合う一角部L1'と、上記最内側のコイルパターン2131a'の上記一角部L1'と直接連結される上記貫通ビアの一角部L2'とが成す角度θ1'は、90°より小さい鋭角で構成される。この場合、図5に示された貫通ビアと比較して、貫通ビアの断面面積が減少するようになり、通常貫通ビアの周りで頻繁に発生する過めっきが防止されることができる利点がある。図6aの場合も、上記貫通ビアVC2'にはギャップ充填部230'が含まれる。
【0041】
図6bを参照すると、コイル部品200''の最内側のコイルパターン2131a''の角部のうち最も隣接した第1コイルパターン2131b''と互いに向い合う一角部L1''と、上記最内側のコイルパターンの上記一角部L1''と直接連結される上記貫通ビアVC2''の一角部L2''とが成す角度θ1''が90°以下であるということは図6aと同一であるが、貫通ビアの長さをさらに長く延ばせたという点で異なる。図6bは、図6aと比較して貫通ビアがさらに長く延びているため、その区別のために、図6aに例示した貫通ビアの断面は点線で表現する。図6bのC領域を拡大した図を参照すると、図6bに示された貫通ビアVC2''の断面形状を有する場合にも、ギャップ充填部230''を含むことで、貫通ビアと第1コイルパターン2131b''との間の余裕空間内に磁性物質が浸透する可能性が除去されるため、コイル部品の信頼性を改善させることができることは言うまでもない。
【0042】
図7は、図1から図3に示された引き出し部の周りのコイルパターンの構造と、図4及び図5に示された貫通ビアの周りのコイルパターンの構造とを併合したものであって、説明の便宜のために、図7に示された第3実施形態によるコイル部品300についての別の説明は省略する。第3実施形態によるコイル部品300は、上述の第1及び第2実施形態によるコイル部品100、200と比較して、引き出し部の周りと貫通ビアの周りの両方で、磁性粒子の浸透によって発生する絶縁破壊に起因する信頼性低下の問題が防止されることができるため、さらに優れた信頼性を有するコイル部品が提供されることができる。
【0043】
図8は第4実施形態によるコイル部品400の概略的な斜視図であり、図9図8のL−W面を基準とするコイルパターンの概略的な平面図である。上記コイル部品400は、磁性物質411を含む本体410と、上記本体の外部面上の第1及び第2外部電極421、422と、を含む。
【0044】
図8及び図9を参照すると、貫通ビアVC4は、最内側のコイルパターン4131aから延び、且つコイルの中心部に向かって突出するように構成される。具体的に、上記貫通ビアVC4にはギャップ充填部430が含まれ、上記ギャップ充填部が上記最内側のコイルパターンから垂直に延びている。このように、上記貫通ビアVC4をコイルの巻取り方向からコイルの中心部に向かって突出させる場合、コイル部品の製造若しくは使用時に、絶縁破壊が発生するおそれが低減される。上記貫通ビアの突出長さや突出角度などは何ら制限されず、本体内に含まれる磁性粒子の粒径を考慮して、上記磁性粒子によって発生し得る絶縁破壊を防止することができる程度の長さや角度で突出させることができる。上記貫通ビアの突出長さや突出角度は、ギャップ充填部が延びる長さ及び角度によって決定される。
【0045】
上述のコイル部品100、200、300、400によると、コイルパターンの間またはコイルパターンと磁性物質との間を被覆する絶縁物質が損傷される可能性が除去され、その結果、コイル部品の信頼性を著しく改善させることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0047】
一方、本発明で用いられた一例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一例は、他の例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の例で説明されていなくても、他の例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0048】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0049】
100 コイル部品
1 本体
11 磁性物質
12 支持部材
13 コイル
21、22 第1及び第2外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9