特許第6494188号(P6494188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494188
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】化粧組成物中の日光遮断剤の安定化
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20190325BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20190325BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/35
   A61K8/36
   A61K8/37
   A61Q17/04
【請求項の数】33
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-129458(P2014-129458)
(22)【出願日】2014年6月24日
(62)【分割の表示】特願2013-49150(P2013-49150)の分割
【原出願日】2003年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-205702(P2014-205702A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年6月24日
【審判番号】不服2016-11276(P2016-11276/J1)
【審判請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】60/366,908
(32)【優先日】2002年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アーサー・レイ・ラブ
(72)【発明者】
【氏名】ジユデイス・リン・カールシユナー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジエームズ・バラツト
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・チヨウ
(72)【発明者】
【氏名】プレム・チヤンダー
【合議体】
【審判長】 關 政立
【審判官】 井上 明子
【審判官】 冨永 みどり
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/093812(WO,A1)
【文献】 特開2002−053448(JP,A)
【文献】 特開2001−253813(JP,A)
【文献】 特開2001−106612(JP,A)
【文献】 特開2001−302505(JP,A)
【文献】 特開平09−104856(JP,A)
【文献】 特開平07−002643(JP,A)
【文献】 特開平02−049715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
JSTPlus、JMEDPlus、JST7580(JDREAM3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機日光遮断剤に一般式I:
【化1】

[式中、
及びRの各々は独立に、水素原子または−CO−Rを表し、ここにRはC炭化水素基を表し、
は2−6個の炭素原子を有しているアルキル基を表す]
の4−置換レゾルシノール誘導体を添加する、化粧組成物中での有機日光遮断剤の光安定性の改良方法であって、該4−置換レゾルシノール誘導体が、該化粧組成物の全量に対して2.5重量%〜5.0重量%の量で添加され、有機日光遮断剤と4−置換レゾルシノール誘導体は組成物中に1:1−1:100の重量比で存在し、且つ有機日光遮断剤が、EAメトキシシンナメート、オクチルメトキシシンナメート(パルソール MCX)、−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(パルソール 1789)及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
4−置換レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノール、4−プロピルレゾルシノール、4−イソプロピルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノール、4−ペンチルレゾルシノール、4−ヘキシルレゾルシノール及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記4−置換レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノールまたは4−ヘキシルレゾルシノールを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
更に、レチノール、レチナール、アルファ−ヒドロキシ酸またはベータ−ヒドロキシ酸を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記レゾルシノールが、4−ブチルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記レゾルシノールが、4−ヘキシルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機日光遮断剤が、ブチルメトキシジベンゾイルメタンを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機日光遮断剤が、オクチルメトキシシンナメートを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
更に、レチノール、レチナール、レチニルエステル、アルファ−ヒドロキシ酸またはベータ−ヒドロキシ酸を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記4−置換レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノール、4−イソプロピルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノールまたは4−ヘキシルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記4−置換レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノール、4−イソプロピルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノールまたは4−ヘキシルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記レゾルシノールが4−エチルレゾルシノール、4−イソプロピルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノールまたは4−ヘキシルレゾルシノールであり、前記日光遮断剤がブチルメトキシジベンゾイルメタンであることを特徴とする請求項1、4又は10に記載の方法。
【請求項14】
前記日光遮断剤がブチルメトキシジベンゾイルメタンであり、前記レゾルシノールが4−ヘキシルレゾルシノールであることを特徴とする請求項1、4又は10に記載の方法。
【請求項15】
前記日光遮断剤がブチルメトキシジベンゾイルメタンであり、前記レゾルシノールが4−ブチルレゾルシノールであることを特徴とする請求項1、4又は10に記載の方法。
【請求項16】
前記レゾルシノールが4−イソプロピルレゾルシノールであることを特徴とする請求項1、4又は10に記載の方法。
【請求項17】
前記レゾルシノールが4−イソプロピルレゾルシノールであり、前記日光遮断剤がブチルメトキシジベンゾイルメタンであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a.0.01重量%〜20重量%の有機日光遮断剤と、
b.2.5重量%〜5.0重量%の一般式I:
【化2】

[式中、
及びRの各々は独立に、水素原子または−CO−Rを表し、ここにRはC炭化水素基を表し、
は2−6個の炭素原子を有しているアルキル基を表す]
の4−置換レゾルシノール誘導体と、
c.化粧品に許容される担体と、
を含む化粧組成物であって、但し、
前記有機日光遮断剤が、EAメトキシシンナメート、オクチルメトキシシンナメート(パルソール MCX)、−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(パルソール 1789)及びそれらの混合物から選択され、
前記4−置換レゾルシノール誘導体が4−ブチルレゾルシノールの場合は前記有機日光遮断剤がパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンのいずれでもい、
前記組成物。
【請求項19】
4−置換レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノール、4−プロピルレゾルシノール、4−イソプロピルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノール、4−ペンチルレゾルシノール、4−ヘキシルレゾルシノール及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の化粧組成物。
【請求項20】
前記4−置換レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノールまたは4−ヘキシルレゾルシノールを含むことを特徴とする、請求項18に記載の化粧組成物。
【請求項21】
更に、レチノール、レチナール、アルファ−ヒドロキシ酸またはベータ−ヒドロキシ酸を含むことを特徴とする請求項18から20のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項22】
前記レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項18から21のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項23】
前記レゾルシノールが、4−ブチルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項18から21のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項24】
前記レゾルシノールが、4−ヘキシルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項18から21のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項25】
前記有機日光遮断剤が、ブチルメトキシジベンゾイルメタンを含むことを特徴とする請求項18から22及び24のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項26】
前記有機日光遮断剤が、オクチルメトキシシンナメートを含むことを特徴とする請求項18から22及び24のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項27】
更に、レチノール、レチナール、レチニルエステル、アルファ−ヒドロキシ酸またはベータ−ヒドロキシ酸を含むことを特徴とする請求項18から26のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項28】
前記4−置換レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノール、4−イソプロピルレゾルシノールまたは4−ヘキシルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項25に記載の化粧組成物。
【請求項29】
前記4−置換レゾルシノールが、4−エチルレゾルシノール、4−イソプロピルレゾルシノールまたは4−ヘキシルレゾルシノールを含むことを特徴とする請求項26に記載の化粧組成物。
【請求項30】
前記レゾルシノールが4−エチルレゾルシノール、4−イソプロピルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノールまたは4−ヘキシルレゾルシノールであり、前記日光遮断剤がブチルメトキシジベンゾイルメタンであることを特徴とする請求項18、21又は27に記載の化粧組成物。
【請求項31】
前記日光遮断剤がブチルメトキシジベンゾイルメタンであり、前記レゾルシノールが4−ヘキシルレゾルシノールであることを特徴とする請求項18、21又は27に記載の化粧組成物。
【請求項32】
前記レゾルシノールが4−イソプロピルレゾルシノールであることを特徴とする請求項18、21又は27に記載の化粧組成物。
【請求項33】
前記レゾルシノールが4−イソプロピルレゾルシノールであり、前記日光遮断剤がブチルメトキシジベンゾイルメタンであることを特徴とする請求項32に記載の化粧組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に4−置換レゾルシノール誘導体を含有させることによって分解しな
いように安定化された有機日光遮断剤を含有する化粧組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
日光遮断剤として知られておりその分子が有害な紫外光線を吸収するようなある種の有
機物質は、日光による損傷作用からヒトの皮膚を保護するために化粧組成物中で広汎に使
用されている。日光遮断剤は、Nicollらの米国特許第5,188,831号及びD
obrowskiらの米国特許第5,961,961号のような多くの刊行物に記載され
ている。当業者によく知られているように日光遮断剤の有効性は、紫外線防御指数(Su
n Protection Factor,SPF)として知られた特性によって測定さ
れる。
【0003】
理想的な日光遮断剤は保存中に適格な包装寿命を維持することができるように化学的に
も物理的にも十分に安定でなければならない。製品の塗布後、製品がその保護効果を長時
間維持することが特に望ましい。即ち有効物質が皮膚に存在するとき、有効物質は化学分
解または光分解を生じ難く、皮膚から吸収され難く、また、発汗、皮膚の油または水によ
って落ち難いものでなければならない。
【0004】
日光遮断剤はその有効性の高い順に、高度に発色性のモノマー有機化合物、無機化合物
及び最小限に発色性のポリマー有機固体に分類できる。
【0005】
米国特許第5,219,558号(Woodin,Jr.ら)及び第4,919,93
4号(Decknerら)は、発色性のモノマー有機化合物に分類された日光遮断剤を有
効成分として含む光防御組成物を開示している。それらの実施例は、オクチルメトキシシ
ンナメート(パルソール MCX)、ベンゾフェノン−3(オキシベンゾン)及びオクチ
ルジメチルPABAのような市販の日光遮断剤について特に記載している。
【0006】
発色性モノマー有機化合物にはいくつかの問題が生じ易い。有機日光遮断剤を身体手入
れ組成物に含有させたときまたは皮膚に付着させたとき、それらの日光遮断性が失われる
。また、多くの要因によってそれらの特性が経時的変化を生じることがある。
【0007】
分解が生じる多くの理由のうちで、サンスクリーンファクター(SPF)の低下または
特性変化の原因となる1つの要因は、有機日光遮断剤が酸化または光酸化に対して不安定
なことである。不安定性は有機日光遮断剤の望ましくない特性である。従って、有機日光
遮断剤を分解に逆らって安定させる物質が必要である。特に、有機日光遮断剤の酸化また
は光酸化を防止する物質が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,188,831号明細書
【特許文献2】米国特許第5,961,961号明細書
【特許文献3】米国特許第5,219,558号明細書
【特許文献4】米国特許第4,919,934号明細書
【発明の概要】
【0009】
出願人らはここに、身体手入れ組成物が有機日光遮断剤に組合せて4−置換レゾルシノ
ール誘導体を含むとき有機日光遮断剤に酸化安定性または光酸化安定性が与えられること
を発見した。従って本発明は、
a.約0.01重量%〜約20重量%の有機日光遮断剤と、
b.約0.0001重量%〜約50重量%の一般式(I):
【0010】
【化1】
[式中、
及びRの各々は独立に、水素原子、−CO−R、−COO−R、CONHRを表し
、ここにRは飽和または不飽和の線状、分枝状または環状のC−C18炭化水素基を表
し、
は、(1)1−18個の炭素原子、好ましくは2−12個の炭素原子を有しており、
直鎖状アルキル基の1つまたは複数の水素原子がメチル基もしくはエチル基で置換されて
いるかまたは未置換のアルキル基を表す;例えば、Rが直鎖状または分枝状のアルキル
を構成するか、あるいは、(2)一般式(II):
【0011】
【化2】
の基を表し、ここにXは、水素;OR{Rは水素、(C−C)アルキルまたはア
リール−(C−C)アルキル};OCOR{Rは(C−C)アルキル、アリ
ール−(C−C)アルキルまたはフェニル};ハロゲン;(C−C)アルキル;
アリール−(C−C)アルキルまたはアリール−(C−C)アルキル;またはN
HR{Rは上記の定義と同義}を表し、
nは一般式IIの構造が5、6、7または8員環となるような0−3の数であり、
点線は場合によっては存在する二重結合を表す]
の4−置換レゾルシノール誘導体と、
c.化粧品に許容されるビヒクルと、
を含む化粧組成物を提供する。
【0012】
本発明の組成物は見た目にも美しく、また、酸化安定性または光酸化安定性が改善され
、皮膚に塗布後の持続効果も延長され、また、貯蔵中の分解についても改善されている。
【0013】
本文中で使用した“化粧組成物”という用語は、リーブオン製品及びウォッシュオフ製
品のようなヒトの皮膚に外用塗布する組成物を表すものである。
【0014】
本文中で使用した“皮膚”という用語は、顔、首、胸、背中、腕、腋の下、手、脚及び
頭皮の皮膚を包含する。
【0015】
日光遮断剤の酸化に関して使用した“阻害する”という用語は、日光遮断剤の酸化を少
なくともある程度の量だけ減少させること、多ければ完全に防ぐことを表すものである。
【0016】
実施例を除いてまたは異なる明白な指示がある場合を除いて、材料の量または反応の条
件、材料の物理的特性及び/または使用を示す本明細書中の全ての数値は“約”という用
語で修飾されることを理解されたい。全ての量は異なる指定がない限り重量基準の値であ
る。
【0017】
疑念が生じないように、“含む”という用語は、包含するという意味であるが、必ずし
も、から成るまたはから構成されたという意味ではない。言い換えると、段階または選択
肢を網羅し尽くす必要はない。
【0018】
本発明は、その内部に存在する有機日光遮断剤の分解を阻害するために4−置換レゾル
シノール誘導体を使用する化粧組成物に関する。好ましくは、本発明の化粧組成物中で4
−置換レゾルシノール誘導体は酸化または光酸化に逆らって有機日光遮断剤を安定させる
ために使用されている。化粧組成物の種類次第で、場合によっては別の皮膚有益物質及び
/または化粧品添加剤を存在させることができる。4−置換レゾルシノール誘導体はまた
、日光遮断剤を安定化させる機能をもつことに加えて皮膚有益効果を与える機能も果たし
得る。
【0019】
本発明の化粧組成物は過度の日光被浴による有害作用を防御する有機日光遮断剤を含む
。本発明組成物に適した有機日光遮断剤は、290−400nmの範囲内の紫外線を吸収
する少なくとも1つの発色性基を有している有機日光遮断剤である。発色性有機日光遮断
剤は以下の種類(かっこ内は具体例)に分類できる:p−アミノ安息香酸、その塩及びそ
の誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル類;p−ジメチルアミノ安息香酸)
;アントラニレート(o−アミノベンゾエート;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル
、フェニルエチル、リナリル、テルピニル及びシクロヘキセニルエステル類);サリチレ
ート(オクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル、グリセリル及びジプロピレン
グリコールエステル類);ケイ皮酸誘導体(メンチル及びベンジルエステル類、アルファ
−フェニルシンナモニトリル;ブチルシンナモイルピルベート);ジヒドロキシケイ皮酸
誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン
);トリヒドロキシケイ皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン及
びグリコシド類、エスクリン及びダフニン);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチル
ベン);ジベンザルアセトン及びベンザルアセトフェノン;ナフトールスルホネート(2
−ナフトール−3,6−ジスルホン酸及び2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のナト
リウム塩);ジヒドロキシ−ナフトエ酸及びその塩;o−及びp−ヒドロキシビフェニル
ジスルホネート;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジア
ゾール(2−アセチル−3−ブロモインダゾール、フェニルベンズオキサゾール、メチル
ナフトオキサゾール、種々のアリールベンゾチアゾール);キニン塩(ビスルフェート、
スルフェート、クロリド、オレエート及びタンネート);キノリン誘導体(8−ヒドロキ
シキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシ−またはメトキシ−置換ベンゾフェ
ノン;尿酸及びビオルル酸;タンニン酸及びその誘導体(例えば、ヘキサエチルエーテル
);(ブチルカルビチル)(6−プロピルピペロニル)エーテル;ヒドロキノン;ベンゾ
フェノン(オキシベンゾン、スリソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール
、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4
,4′−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン;4−イソプロピルジベンゾイルメ
タン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;エトクリレン;及び4−イソプロピル−ジベ
ンゾイルメタン)。
【0020】
特に有用なものは:2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、4,4′−t−ブ
チルメトキシベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチ
ルジメチルp−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2−ジヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン、エチル4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエ
ート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチル
ヘキシルサリチレート、グリセリルp−アミノベンゾエート、3,3,5−トリメチルシ
クロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p−ジメチルアミノ安息香酸また
はアミノベンゾエート、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェ
ニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−
スルホニオベンズオキサゾイック酸及びそれらの混合物である。
【0021】
市販の適当な有機日光遮断剤の具体例を以下の表に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
身体手入れ組成物中の有機日光遮断剤の量は、一般には約0.01%−約20%の範囲
、好ましくは約0.1%−約10%の範囲である。
【0024】
好ましい有機日光遮断剤は、それらの有効性及び商品の入手容易性の観点からパルソー
ル MCX及びパルソール 1789である。
【0025】
適当な4−置換レゾルシノール誘導体は公知の化合物であり、例えば、飽和カルボン酸
とレゾルシノールとを塩化亜鉛の存在化で縮合させ、得られた縮合物を亜鉛アマルガム/
塩酸で還元させる方法(Lille.J.Bitter,LA.Peiner.V,Tr
.Nauch−Issled.Inst.slantsev 1969,No.18,1
27)、または、レゾルシノールと対応アルキルアルコールとをアルミナ触媒の存在下で
200−400℃の高温で反応させる方法(英国特許第1,581,428号)によって
容易に得ることができる。
【0026】
本発明の組成物は一般に、約0.01%〜約20%の有機日光遮断剤と約0.0000
01%〜約50%の4−置換レゾルシノールとを含有する。本発明の組成物の特別な利点
は、有機日光遮断剤が4−置換レゾルシノールによって酸化または光酸化に逆らって安定
させられることである。
【0027】
本発明組成物の安定性は、以下の式(I):
【0028】
【化3】
のレゾルシノール誘導体を有効成分として含む抗酸化剤の使用によって得られる。
【0029】
式中のR及びRの各々は独立に、水素原子、−CO−R基(アシル基)、−COO
−R基、CONHR基を表す。ここにRは、飽和または不飽和の線状、分枝状または環状
のC−C18炭化水素を表す。好ましい実施態様では、R及び/またはRの各々ま
たは双方が水素を表す。より好ましい実施態様では、R及びRの双方が水素を表す。
【0030】
は、
(1)1−18個の炭素原子、好ましくは2−12個の炭素原子を好ましくは有しており
、直鎖状アルキル基の1つまたは複数の水素原子がメチル基もしくはエチル基で置換され
ているかまたは未置換のアルキル基を表す;例えば、Rが直鎖状または分枝状のアルキ
ルを構成するか、
あるいは、
(2)一般式(II):
【0031】
【化4】
の基を表す。式中の、Xは、水素;OR{Rは、水素、(C−C)アルキルま
たはアリール−(C−C)アルキル};OCOR{Rは、(C−C)アルキ
ル、アリール−(C−C)アルキルまたはフェニル};ハロゲン;(C−C)ア
ルキル;アリール−(C−C)アルキルまたはアリール−(C−C)アルキル;
またはNHR{Rは上記の定義と同義}を表し、
nは一般式IIの構造が5、6、7または8員環となるような0−3の数であり、
点線は場合によっては存在する二重結合を表す。
【0032】
上記の式(I)において、Rによって表され好ましくは2−12個の炭素原子を有して
いる未置換の直鎖状アルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基
、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基及びドデシ
ル基がある。これらの直鎖状アルキル基はその1つまたは複数の水素原子がメチル基また
はエチル基で置換されていてもよい。置換アルキル基の特定例は、イソプロピル基、イソ
ブチル基、イソアミル基または2−メチルエキシル基である。好ましいアルキル基は、R
がエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチル基を表すア
ルキル基である。最も好ましいアルキルレゾルシノールは、Rがエチル、ブチルまたはヘ
キシル基を表すものである。
【0033】
上記の式(I)中でRが一般式IIで表される場合、本文中ではこのような化合物を
一般式III
【0034】
【化5】
の4−シクロ−置換レゾルシノールと呼ぶ。
式中の
Xは、水素;OR{Rは水素、(C−C)アルキルまたはアリール−(C−C
)アルキル};OCOR{Rは(C−C)アルキル、アリール−(C−C
)アルキルまたはフェニル};ハロゲン;(C−C)アルキル;アリール−(C
)アルキルまたはアリール−(C−C)アルキル;またはNHR{Rは上記
の定義と同義}を表し、
nは0−3の数であり、
点線は図示の位置に場合によっては存在する二重結合を表す。
【0035】
4−シクロ−置換レゾルシノールのより特定的な具体例としては例えば以下の化合物が
ある:
(a)式中の単結合が2個の炭素原子を点線で結合させている式(III)の化合物;
(b)式中のnが1を表す式(III)の化合物;
(c)式中のXが水素を表す式(III)の化合物;
(d)式中のXが水素、メチルまたはエチルを表す式(III)の化合物;
(e)式中のnが0を表す式(III)の化合物;
(f)式中のnが2を表す式(III)の化合物;
(g)式中のXがベンジルオキシを表す式(III)の化合物。
【0036】
好ましい式(III)の化合物は、4−シクロペンチルレゾルシノール、4−シクロヘ
キシルレゾルシノール、4−シクロヘプチルレゾルシノール及び4−シクロオクチルレゾ
ルシノールである。最も好ましい式(III)の化合物は4−シクロヘキシルレゾルシノ
ール及び4−シクロペンチルレゾルシノールである。
【0037】
有機日光遮断剤の酸化を阻害するために有効な4−置換レゾルシノールの量は実験によ
って決定し得る。有機日光遮断剤と4−置換レゾルシノール誘導体とは組成物中に約1:
1000−1000:1、好ましくは1:100−100:1、より好ましくは1:1−
1:100の重量比で存在する。
【0038】
レゾルシノール誘導体の量は好ましくは、化粧組成物の全量の約0.00001%−約
10%の範囲、より好ましくは約0.001%−7%の範囲、最も好ましくは0.01%
−約5%の範囲である。
【0039】
好ましい化粧組成物はヒトの皮膚に塗布するのに適した組成物であり、場合によっては
、皮膚有益物質を含有するのが好ましい。
【0040】
適当な皮膚有益物質は、老化防止剤、しわ抑制剤、皮膚美白剤、にきび防止剤及び皮脂
抑制剤である。これらの具体例としては、アルファ−ヒドロキシ酸及びエステル、ベータ
−ヒドロキシ酸及びエステル、ポリヒドロキシ酸及びエステル、コージ酸及びエステル、
フェルラ酸及びフェルレート誘導体、バニリン酸及びエステル、ジオン酸(セバシン酸、
アゾライン酸など)及びエステル、レチノール、レチナール、レチニルエステル、ヒドロ
キノン、t−ブチルヒドロキノン、クワエキス、カンゾウエキス、並びに、本文中に上述
した4−置換レゾルシノール誘導体以外のレゾルシノール誘導体がある(この場合には、
二つの機能、即ち、有機日光遮断剤の酸化安定化を与える機能、及び、明色化のような皮
膚有益効果を与える機能の双方に役立つ)。
【0041】
皮膚有益物質は本発明の有機日光遮断化合物及びレゾルシノール誘導体と共に通常は化
粧品ベースに加えて使用される。化粧品に許容される適当な担体は当業者に公知である。
化粧品ベースは、皮膚有益物質に常用のいかなるベースでもよく、従って、厳密に規定す
る必要はない。本発明の皮膚有益物質を配合し得る化粧品用調製物の具体的な形態は、ク
リーム、軟膏、エマルジョン、ローション、油、パック及び不織拭取り材である。クリー
ムのベースは例えば、蜜蝋、セチルアルコール、ステアリン酸、グリセリン、プロピレン
グリコール、プロピレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンセチルエーテ
ルなどである。ローションのベースは例えば、オレイルアルコール、エタノール、プロピ
レングリコール、グリセリン、ラウリルエーテル、ソルビタンモノラウレートなどである
【0042】
化粧品に許容されるビヒクルは、組成物を皮膚に塗布したときにその分配を促進するよ
うに、組成物中の皮膚有益成分の希釈剤、分散剤または担体として作用し得る。
【0043】
ビヒクルは水性、無水またはエマルジョンでよい。好ましくは組成物が水性またはエマ
ルジョン、特に油中水型または水中油型のエマルジョン、優先的には水中油型エマルジョ
ンである。水が存在する場合、水は5重量%−99重量%、好ましくは20重量%−70
重量%、最適には40重量%−70重量%の範囲であろう。
【0044】
水以外に、比較的揮発性の溶媒も本発明の組成物内部で担体として使用し得る。一価の
−Cアルカノールが最も好ましい。これらとしてはエチルアルコール、メチルアル
コール及びイソプロピルアルコールがある。一価のアルカノールの量は、1重量%−70
重量%、好ましくは10重量%−50重量%、最適には15重量%−40重量%の範囲で
あろう。
【0045】
皮膚緩和材料もまた化粧品に許容される担体として使用し得る。これらはシリコーン油
及び合成エステルの形態であろう。皮膚緩和剤の量は、0.1重量%−50重量%、好ま
しくは1重量%−20重量%の範囲であろう。
【0046】
シリコーン油は揮発性品種と不揮発性品種とに分類し得る。本文中で使用した“揮発性
”という用語は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有している材料を意味する。揮発性シリ
コーン油は好ましくは、3−9個、好ましくは4−5個のケイ素原子を含有している環状
または線状のポリジメチルシロキサンから選択される。線状の揮発性シリコーン材料は一
般に、25℃で約5センチストークス未満の粘度を有しているが、環状材料は典型的には
約10センチストークス未満の粘度を有している。皮膚緩和材料として有用な不揮発性シ
リコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、及び
、ポリエーテルシロキサンコポリマーがある。本発明に有用な本質的に不揮発性のポリア
ルキルシロキサンとしては例えば、25℃で約5−約25,000,000センチストー
クスの粘度をもつポリジメチルシロキサンが挙げられる。本発明の組成物に有用な好まし
い不揮発性皮膚緩和剤は、25℃で約10−約400センチストークスの粘度を有してい
るポリジメチルシロキサンである。
【0047】
適当なエステル皮膚緩和剤を以下に挙げる:
(1)10−20個の炭素原子を有している脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル
。その具体例は、イソアラキジルネオペンタノエート、イソノニルイソナノノエート、オ
レイルミリステート、オレイルステアレート及びオレイルオレエート;
(2)エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステルのようなエーテル−エステル;
(3)多価アルコールエステル、例えば、エチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エス
テル、ジエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(
200−6000)モノ−及びジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−及びジ
−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレン
グリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレ
ート、グリセリルモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪エステル
、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレ
ート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪
酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステルが充分に有用な多価アルコールエステルである;
(4)ワックスエステル、例えば、蜜蝋、鯨蝋、ミリスチルミリステート、ステアリルス
テアレート、アラキジルベヘネート;及び
(5)コレステロール脂肪酸エステルを代表例とするステロールエステル。
【0048】
10−30個の炭素原子を有している脂肪酸も本発明組成物用の化粧品に許容される担
体に包含される。この種類の代表は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノ
ール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びエルカ酸である。
【0049】
多価アルコール型の保湿剤も本発明組成物中で化粧品に許容される担体として使用され
得る。保湿剤は皮膚緩和剤の有効性の向上を助け、皮膚の乾燥を抑え、肌触りを改善する
。典型的な多価アルコールは、グリセロール、ポリアルキレングリコールであり、より好
ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体であり、例えば、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及び
それらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリ
セロール、プロポキシル化グリセロール及びそれらの混合物がある。保湿剤の量は、組成
物の0.5重量%−30重量%、好ましくは1重量%−15重量%の範囲内の任意の値で
よい。
【0050】
本発明の組成物では化粧品に許容される担体の一部として増粘剤を使用してもよい。典
型的な増粘剤は、架橋アクリレート(例えば、Carbopol 982)、疎水的に改
質されたアクリレート(例えば、Carbopol 1382)、セルロース系誘導体及
び天然ガムである。有用なセルロース系誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロースがある。本
発明に適した天然ガムは、グアーガム、キサンタンガム、スクレロチウム、カラゲナン、
ペクチン及びこれらのガムの組合せである。増粘剤の量は。0.0001重量%−5重量
%、通常は0.001重量%−1重量%、最適には0.01重量%−0.5重量%の範囲
でよい。
【0051】
水、溶媒、シリコーン、エステル、脂肪酸、保湿剤及び/または増粘剤が全体で1重量
%−99.9重量%、好ましくは80重量%−99重量%の量の化粧品に許容される担体
を構成する。
【0052】
使用される乳化剤の平均親水−親油バランス(HLB)に大きく依存する油中水型エマ
ルジョンまたは水中油型エマルジョンを形成するために、油または油性材料が乳化剤と共
に存在してもよい。
【0053】
界面活性剤もまた本発明の化粧組成物中に存在し得る。リーブオン製品の場合、界面活
性剤の全体濃度は組成物の0.1重量%−40重量%、好ましくは1重量%−20重量%
、最適には1重量%−5重量%の範囲であろう。クレンザー及びセッケンのようなウォッ
シュオフ製品の場合には、界面活性剤の全体濃度は約1%−約90%の範囲であろう。界
面活性剤はアニオン性、非イオン性、カチオン性及び両性の界面活性剤から選択され得る
【0054】
特に好ましい非イオン性界面活性剤は、1モルの疎水基あたり2−100モルのエチレ
ンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10−C20脂肪アルコールまたは脂
肪酸疎水基をもつもの;2−20モルのアルキレンオキシドと縮合したC−C10アル
キルフェノール;エチレングリコールのモノ−及びジ−脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリ
セリド;ソルビタン、モノ−及びジ−C−C20脂肪酸;ブロックコポリマー(エチレ
ンオキシド/プロピレンオキシド);及びポリオキシエチレンソルビタン並びにこれらの
組合せである。アルキルポリグリコシド及び糖脂肪酸(例えば、メチルグルコンアミド)
も適当な非イオン性界面活性剤である。
【0055】
好ましいアニオン性界面活性剤は、セッケン、アルキルエーテルスルフェート及びスル
ホネート、アルキルスルフェート及びスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ア
ルキル及びジアルキルスルホスクシネート、C−C20アシルイセチオネート、アシル
グルタメート、C−C20アルキルエーテルホスフェート及びそれらの組合せである。
【0056】
本発明の化粧組成物は場合によっては起泡界面活性剤を含有する。“起泡界面活性剤”
という用語は、水を加えて機械的に撹拌すると気泡または泡を発生する界面活性剤を意味
する。好ましくは、起泡界面活性剤は無刺激性でなければならない。これは、十分な清浄
化効果または洗浄効果を与えるが皮膚を過度に乾燥させたりしないこと、しかも上述の泡
立ち基準を満たしていなければならないことを意味する。本発明の化粧組成物は起泡界面
活性剤を約0.01%−約50%の濃度で含有し得る。
【0057】
本発明の化粧組成物には、可塑剤、エラストマー、カラミン、顔料、抗酸化剤、キレー
ト化剤及び香料のような様々な別の任意成分、並びに、UV散乱剤のような追加の日光遮
断剤を添加し得る。UV散乱剤の典型例は微細化した酸化チタン及び酸化亜鉛である。
【0058】
その他の微量補助成分も化粧組成物に含有させ得る。これらの成分としては着色剤、乳
白剤及び香料がある。このようなその他の微量補助成分は組成物の0.001重量%−2
0重量%の範囲内の任意の値でよい。
【0059】
本発明組成物の所期の用途は主として、ヒトの皮膚に外用塗布し過度の日光被浴による
有害作用から露出皮膚を保護する身体手入れ用製品である。
【0060】
使用の際には、適当な容器またはアプリケーターから少量例えば約0.1−約5mlの
組成物を皮膚の露出領域に塗布し、必要ならば次いで手、指または適当なデバイスを使用
して皮膚に塗り拡げたり及び/または擦り込んだりする。
【0061】
本発明の化粧組成物は、4,000−10,000mPasの粘度を有しているローシ
ョン、10,000−20,000mPasの粘度を有している流体クリーム、あるいは
、20,000−100,000mPasまたはそれ以上の粘度を有しているクリームと
して配合できる。これらの粘度はいずれも25℃で測定した粘度である。組成物はその粘
度及び消費者の所期の使用に適した適当な容器に包装できる。例えば、ローションまたは
流体クリームはびん、ロールボールアプリケーター、噴射剤駆動エアロゾルデバイスまた
は適当な指操作ポンプを備えた容器に包装できる。組成物がクリームであるときは、非変
形性びんまたはチューブのような絞り出し容器または蓋付きのつぼに容易に充填できる。
【0062】
従って本発明はまた、本文中に定義したような化粧品として許容される組成物を収容し
た閉鎖容器を提供する。
【0063】
以下の特定実施例によって本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れない。全ての実施例において、有機日光遮断剤はGivaudan Corpから入手
した。
【0064】
(実施例1−8)
本発明の範囲内の一群の組成物を調製し、以下の表に示した。組成は重量%で表す。
【0065】
【表2】
【0066】
前表の実施例1−7の組成物、及び、レゾルシノール誘導体を全く加えないベース組成
物である実施例8の組成物を以下の手順で調製した。相Aを75℃に加熱する。相Bを相
Aの容器とは別の容器で75℃に加熱する。その後、加熱をやめ、2つの相を掻き混ぜな
がら合わせる。相Cをプレミックスして加温し、次いで混合直後の相A及び相Bに加える
。相Dを予め溶解し、60℃でメインポットに加える。混合物を40℃に冷却し、次いで
包装する。
【0067】
(実施例9)
レゾルシノール誘導体の存在下及び非存在下の種々の化粧組成物中の有機日光遮断剤の
光安定性を測定した。この目的で前表の実施例5−8を試験した。これらの実施例中のレ
ゾルシノール誘導体は配合物中で等価のモル濃度(18.09mM)で試験した。以下に
簡単に説明する手順で単色光防御指数(Monochromatic Protecti
on Factor,MPF)の経時的な低下をモニターすることによってこれらの組成
物中のUVA有機日光遮断剤、パルソール 1789の光安定性を評価した。比較組成物
(実施例8)は実施例5−7の組成物からレゾルシノール誘導体を除去することによって
調製した。
【0068】
化粧用配合物のMPFの測定手順
Optometrics USA社の積分球付きSPF−290 Analyzerを
使用してMPFデータを採取した。ソフトウェアは、290nm−400nmの走査範囲
で5nm部分毎の単色光防御指数(MPF)を作成する。これらの波長(λまたはガンマ
)の各々で透過の逆数からMPFを計算する(MPF=1/Tλ)。SPF即ち紫外線防
御指数はUVスペクトルの種々の波長のMPF値の加重平均なので、MPFは皮膚用組成
物のUV防御特性の指標である。従って、MPFの経時的低下は日光遮断活性の低下を表
す指標となる。
【0069】
SPF−290計器の光源は75Wで作動する125Wのキセノンアーク灯であり、そ
のビームはワイヤ減衰器とSchott UG05フィルターとを通過する。フィルター
は光源の500nmより上の光線を減衰させ、スペクトル分布を変更して、UV−B領域
及びUV−A領域の相対的日光照射スペクトルに近似させる。サンプルに入射するビーム
の強度は約16mW/cmであり、これは米国北東部の夏の真昼の太陽光線のUV強度
のほぼ8倍に相当する。完全走査の度毎に必要な被験部位のUVビーム照射の最小時間は
約30秒である。
【0070】
サンプル通過後の光線を積分球に集め、UV効率に最適化したインラインFastie
−Ebert格子モノクロメーターで不連続波長バンドに分割する。バンドがデテクタに
衝突し、光線の強度に比例した信号を発生する。実施例5−8の日光遮断剤の光安定性評
価には360nm(VA)のMPF値を使用した。
【0071】
UV透過性石英プレート(10.16cm×10.48cm×0.32cm,4″×4
1/8″×1/8″)を、先ず全自動プログラマブルX−Yステージに載せることによ
って校正し、バックグラウンドを補正するために走査した。次に、校正した石英プレート
に製品薄膜をへらで均一に塗布した。パス幅7.62cm(3″)の8パスの湿潤薄膜ア
プリケーター(Paul Gardner Company,Inc.)を使用した。1
.5milのギャップ(1mil=0.001インチ、即ち、約25マイクロメーター)
を使用しアプリケーターを手でプレートの端から端まですべらせ、薄膜を15分間乾燥さ
せた。製品薄膜を設けた石英プレートをX−Yステージに載せ、基底線測定値(t=0)
を走査した。製品薄膜の予め設定した6つの部位を走査するようにX−Yステージを設定
した。製品配合物を120ml容の琥珀色ガラスジャーに25℃で保存しながら同じ6つ
の予設定部位を105分後まで15分毎に走査し、日光遮断剤性能の継時的な低下をモニ
ターした。
【0072】
各測定の合間には、製品薄膜をUV光源から外して、周囲温度の引出しに入れておいた
。表に示したMPF値は各時点で異なる6つの部位から得られた読取り値の平均を表す。
【0073】
【表3】
上の表3の結果は、本発明の組成物にレゾシノール及びその誘導体を添加すると、追加
の安定性が得られたことを証明する。
【0074】
上の表のデータはp−値0.0001未満であり統計的に有意であることが知見された
。p−値は以下のように決定した。
【0075】
目的 − レゾシノール誘導体を含有する実施例5−7の組成物に対する実施例8のベ
ース組成物の光遮断を比較する。レゾシノール添加剤を含む製品のほうが光遮断の低下が
遅いと予測される。光透過の逆数を光遮断の仮想測定値として使用する。
【0076】
方法 − 製品をガラススライドに塗布し、各スライド上の6つの点を測定する。4種
類の製品の各々に3つのスライドを使用する。その結果、各製品毎に合計18個の点が測
定される。日光遮断剤の試験の標準にならって、15分間の乾燥期間の経過後に第一回目
の測定を行う。次いで15分毎に120分後まで測定し、合計8つの時点で測定する。ス
ライド内部の測定点及び測定時点間の相関関係を考慮にいれて混合作用型(mixed
effects)分散分析を行う。
【0077】
分散分析では、時間作用、製品作用、及び、時間−製品交互作用を調べる。有意な時間
−製品交互作用は製品間で光遮断の変化速度に何らかの違いが存在することを示すであろ
う。実施例8のベースの変化速度がレゾシノールを含有する3つの製品の変化速度とは有
意に違っているか否かは、対比比較(contrast comparison)から判
断できるであろう。各製品の回帰モデルは各製品のデータに1つの関数を適合させるであ
ろう。関数は時間と光透過の逆数との関係を評価するであろう。関数は線形の時間作用を
評価するであろう。
【0078】
結果 − 製品作用、時間作用、製品と時間の交互作用の全てについてp−値が0.0
001未満であるという有意な結果が得られる。対比は、実施例8の組成物と実施例5−
7のレゾシノール誘導体含有組成物との間にp=0.0001の有意な違いがあることを
示す。
【0079】
本文中に例示し説明した本発明の特定形態は単なる代表例であることを理解されたい。
記載内容から明らかな教示を逸脱することなく、本明細書中に非限定的に示唆したような
変更を例示の実施態様に加えることができる。従って、本発明の完全範囲は特許請求の範
囲に基づいて判断されるべきである。