(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態に係る図書返却装置100について説明する。
【0020】
図書返却装置100は、貸出施設から貸し出されていた図書200の返却を受け付ける図書返却装置100である。以下では、貸出施設として自動図書貸出装置20が採用され、図書返却装置100は、自動図書貸出装置20で利用者に貸し出された図書200の返却を受け付けるものとして説明する。ここでは、図書返却装置100は、自動図書貸出装置20とともに、図書取扱装置10の一部である例で説明する。
【0021】
{1.図書取扱装置の全体構成について}
<全体構成について>
図1は図書取扱装置10を示す概略斜視図であり、
図2は同図書取扱装置10を示す概略側面図であり、
図3は図書取扱装置10を示す概略平面図であり、
図4は図書取扱装置10の内部構造を示す概略正面図である。
【0022】
この図書取扱装置10は、図書館等に設置される装置であり、自動図書貸出装置20と、図書返却装置100とを備える。自動図書貸出装置20は、格納された複数の図書の中から利用者により選択された図書を自動的に貸出す装置である。図書返却装置100は、貸出されていた図書の返却を受付ける装置である。
【0023】
ここでは、自動図書貸出装置20と図書返却装置100とは、並んで設置されており、それぞれの装置20、100が一部で各構成を共有している。もっとも、図書取扱装置において、自動図書貸出装置と図書返却装置とが、物理的に分離した態様で設けられることもある。また、図書取扱装置において、図書返却装置が省略され、自動図書貸出装置単独で用いられる場合もあり得る。
【0024】
<自動図書貸出装置の全体構成について>
自動図書貸出装置20は、利用者による図書の貸出指示に応じて当該装置に格納されている図書を利用者に自動で貸出すことができる装置である。利用者による図書の貸出指示は、本自動図書貸出装置20に設置された貸出受付部70等によってなされる。
【0025】
自動図書貸出装置20は、ここでは、格納部30と、ピッカー40と、取出口機構部50と、可動フォルダ格納部としての入庫台車60と、貸出受付部70と、制御部80(
図18参照)とを備える。
【0026】
自動図書貸出装置20の四方及び上方は、パネル22によって囲われている。ここでは、自動図書貸出装置20のうち格納部30と、ピッカー40と、取出口機構部50の一部とが、四方及び上方をパネル22で囲われた閉鎖空間内に配置されている。また、取出口機構部50の他の一部と貸出受付部70とが、パネル22の外に配設されている。以降、自動図書貸出装置の内部とは、パネル22の内部を指すものとする。自動図書貸出装置20の内部はパネル22により関係者以外の立ち入りが制限されている。また、入庫台車60は、自動図書貸出装置20の内外に出入り可能に配置されている。
【0027】
本自動図書貸出装置20においては、図書200は、図書収納用フォルダ210に収納された状態で格納及び搬送される。
【0028】
すなわち、図書200は、図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30に格納されている(
図2において一部の図書収納用フォルダ210に図書200を収納した状態を図示)。そして、利用者が貸出受付部70を通じて所望の図書200の貸出しを指示すると、ピッカー40は、所望の図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、取出口機構部50内の図書外部取出位置P(
図3参照)に向けて搬送する。取出口機構部50では、図書収納用フォルダ210から外部に図書200を取出可能な状態で、図書収納用フォルダ210が支持される。そして、利用者は、取出口機構部50において、図書収納用フォルダ210を自動図書貸出装置20内に残したまま、当該図書収納用フォルダ210から図書200を取出す。これにより、利用者に対して、所望の図書を自動で貸出せるようになっている。
【0029】
また、入庫台車60は、例えば、図書200を収納したフォルダ210を、本自動図書貸出装置20内に格納する際に用いられる。
【0030】
すなわち、入庫台車60は、複数の図書収納用フォルダ210を格納した状態で走行可能に構成されている。そして、図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、入庫台車60に格納した状態で、当該入庫台車60を、自動図書貸出装置20内に入れる。この状態で、ピッカー40が、入庫台車60に格納された図書収納用フォルダ210を、格納部30の空き格納位置に向けて搬送することによって、図書を収納した図書収納用フォルダ210が格納部30に格納される。
【0031】
制御部80は、上記各動作を含む本自動図書貸出装置20の各動作を制御可能に構成されている。制御部80は、パネル22内に設けられていてもよいし、パネル22外に設けられていてもよい。
【0032】
<図書返却装置の全体構成について>
図書返却装置100は、仕切24と、遮蔽機構部110と、制御部80とを備える。
【0033】
ここでは、図書返却装置100は、自動図書貸出装置20の一端部の位置に設けられている。
【0034】
すなわち、上記パネル22によって仕切られる内部空間の一端部に、返却された図書を収納するための空間23が形成されている。パネル22のうち当該空間23と外部とを仕切る部分の一部が仕切24である。ここでは、仕切24は、パネル22のうち上記貸出受付部70が設けられる側のパネル部分であって、前記空間23に面する部分が仕切24とされている。この仕切24には、図書200が通過可能な返却口24hが形成されている。なお、
図1等では、空間23の一側部が外方に開口しているが、当該開口は、扉(好ましくは施解錠可能な扉)により閉じられている。
【0035】
遮蔽機構部110は、上記返却口24hを開閉可能に覆う蓋部112を備える。蓋部112は、通常時には、返却口24hを塞いでおり、図書200の返却時には、開可能な状態となる。これにより、利用者は、返却口24hを通じて図書200を空間23内に格納することができる。
【0036】
上記空間23内には、返却用収納台車120が配設されている。返却用収納台車120は、上方が開口する容器状の収納部120aを備えている。パネル22のうち空間23の一側部に面する部分には、返却用収納台車120を出し入れ可能な開口22aが設けられており、返却用収納台車120は、当該開口22aを通じて、上記空間23と外部との間で出し入れ可能に構成されている。
【0037】
そして、返却用収納台車120が空間23内に配設された状態で、返却口24hを通じて返却された図書200が返却用収納台車120の収納部120a内に落下して収納される。また、図書200を収納した返却用収納台車120は、上記開口22aを通って外部に取出され、作業員等によって、返却された図書200として取扱われる。返却された図書200は、例えば、上記自動図書貸出装置20内に格納され、次の貸出しに供される。
【0038】
制御部80は、本図書返却装置100の各動作をも制御する。自動図書貸出装置の動作制御を行う制御部と、図書返却装置の動作制御を行う制御部とが、別々の制御部によって実現されていてもよい。
【0039】
<図書取扱装置における図書の流れについて>
上記図書取扱装置10における図書200の流れについて説明しておく。
【0040】
まず、複数の図書200が、それぞれ別々の図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30内に格納されている。
【0041】
図書200の貸出し時においては、貸出しを望む利用者が、上記貸出受付部70を通じて、貸出しを望む図書200の特定情報及び貸出指示を入力する。すると、制御部80の制御下、ピッカー40が当該図書200を収納する図書収納用フォルダ210を図書外部取出位置Pに向けて搬送する。図書外部取出位置Pは、利用者がアクセス可能な位置である。これにより、利用者は、図書外部取出位置Pの図書収納用フォルダ210から図書200を取出し、当該図書200を借出すことができる。
【0042】
図書200の返却時においては、利用者が図書200を図書返却装置100の返却口24hに返却する。返却された図書200は、返却用収納台車120に収納される。返却用収納台車120には、返却された複数の図書200を収納可能である。これにより、図書200が返却される。
【0043】
返却された図書200の格納部30への格納は次のようになされる。
【0044】
すなわち、図書館の館員等の作業者は、上記返却用収納台車120を図書返却装置100から外部に移動させ、返却用収納台車120に収納された図書200を取出す。この際、作業者は、当該図書200の汚損状況の確認等を行い、汚損等がひどい場合には、当該図書200の修理又は補修等を行う。この後、作業者は、図書200を図書収納用フォルダ210に収納し、図書収納用フォルダ210を入庫台車60に格納する。そして、入庫台車60を自動図書貸出装置20内に入れる。すると、ピッカー40が、図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、格納部30のうち空きとなった箇所に搬送して、格納する。これにより、図書200が図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30に格納され、次の貸出しに供される。
【0045】
{2.各部構成について}
自動図書貸出装置及び図書返却装置の各部構成について説明する。
【0046】
<図書>
図5に示すように、図書200には、自己の識別符号を記録したタグ202が設けられている。タグ202は、図書のうち、表紙、裏表紙及び背表紙の少なくとも1つに取付けられるとよい。
【0047】
タグ202としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリと、外部と電磁波(電波)等を通じて外部の無線読取装置等との間で無線通信可能な通信部とを備えたRFID(Radio Frequency Identifier)等を用いることができる。上記不揮発性メモリには、当該図書を識別するための識別符号が記憶されている。そして、タグ202が、無線読取装置等からの識別符号問合信号に応じて、自己の識別符号を含む応答信号を送信することで、無線読取装置等かタグ202の識別符号を読取ることができる。この識別符号が制御部80に与えられることにより、制御部80は、図書200を識別することができる。
【0048】
もっとも、図書200に付されるタグは、上記例に限られない。例えば、タグとして、磁気によって自己の識別符号を記録したもの(磁気バーコード等)、一次元又は二次元の図形の形状でデータを記録したもの(バーコード又はQRコード(登録商標)等)が採用されてもよい。この際に、読取装置は、タグに準拠したものが用いられればよいが、タグと読取装置とは、非接触で識別符号を読取可能であるものが好ましい。
【0049】
ここでは、タグとして、RFIDタグが採用されているため、読取装置としては、タグと非接触で無線通信を行うものが用いられる。
【0050】
<図書収納用フォルダ>
図6は図書収納用フォルダ210(以下、単にフォルダと称する)を示す概略側面図であり、
図7はフォルダ210を示す概略正面図であり、
図8はフォルダ210を示す概略平面図であり、
図9は
図8のIX−IX線概略断面図である。なお、各図の側面において開口した領域には、網点が付されている。
【0051】
図書収納用フォルダ210は、図書200を内部に収納した状態で、格納部30に格納可能に、また、ピッカー40により搬送可能に構成されている。
【0052】
具体的には、フォルダ210は、フォルダ本体部222と、付勢部226、227と、被保持部228とを備える。
【0053】
フォルダ本体部222は、図書200を収納可能な筒状に形成されている。ここでは、フォルダ本体部222は、底部223と、一対の側面部224とを備える。
【0054】
底部223は、樹脂等によって形成されており、細長い板状に形成されている。底部223の両端部223b(
図8参照)は、外方に向けて徐々に幅狭になる形状に形成されている。これにより、フォルダ210をピッカー40から格納部30に収納する際に、当該フォルダ210を格納する位置の両側にすでにフォルダ210が格納されている場合でも、両側のフォルダ210の間に当該フォルダ210を挿入しやすくなる。同様に、フォルダ210をピッカー40から取出口機構部50に収納する際及び格納部30又は取出口機構部50からピッカー40に取り込む際にも、フォルダ210を挿入しやすくなる。
【0055】
また、底部223の上面には、その両端側の段部223S1,223S2を介して凹む載置凹部223aが形成されている。そして、図書200を底部223上に載置する際に、上記載置凹部223a内に収容することによって、図書200がフォルダ210から脱落することが抑制される。特に、図書200の下部の背表紙側の部分を、一方側の段部223S1に当接させるようにしつつ、図書200を載置凹部223a上に載置することによって、図書200のサイズに拘らず、本フォルダ210における図書200の背表紙の位置を一定にすることができる(
図9参照)。これにより、利用者が、フォルダ210から図書200を取出しやすくなる。
【0056】
側面部224は、樹脂等により形成されており、側面本体部224aと、側面本体部224aの上端部に設けられた天井部224bとを備える。
【0057】
側面本体部224aは、平板状に形成されている。天井部224bは、側面本体部224aの上端縁部からその一方主面側(フォルダ本体部222の内向き)に延出する部分と、その部分の先端部から上方に延出する部分とを含む形状に形成されている。
【0058】
そして、一対の側面部224の側面本体部224aの下部を、底部223の両側部に嵌め込み構造、接着剤等によって固定すると共に、一対の側面本体部224aの上側の天井部224bを突合わせることによって、両端が開口した直方体筒状(ここでは、上下方向に扁平な直方体筒状)をなすフォルダ本体部222が構成される。
【0059】
また、フォルダ本体部222を側面視した状態において、その両側開口縁部、すなわち、側面本体部224aの両端側縁部には、上下方向中央部で凹む凹部224d、224eが形成されている。一方の凹部224eの最も凹んだ部分は、段部223S1の位置を越えている。このため、上記したように、図書200の下部の背表紙側の部分を、一方側の段部223S1に当接させるようにしつつ、図書200を底部223上に載置した状態において、図書200のうち背表紙側の一部は、当該一方の凹部224eで外部に露出している。このため、利用者は、図書200のうち一方の凹部224eで外部に露出した部分を掴んで、図書200をフォルダ210から容易に取出すことができる。
【0060】
なお、側面本体部224aには、その変形を抑制するためのリブ224cが形成されている。
【0061】
付勢部226、227は、一対の側面部224のそれぞれに一体形成された部分である。
【0062】
付勢部226、227は、側面部224の内向き面から突出し、フォルダ本体部222の内部に収納された図書200の表紙又は裏表紙を押さえる。
【0063】
ここでは、付勢部226は、側面部224の中央部に設けられており、付勢部227は、付勢部226よりも下方でかつ段部223S1に近い位置に設けられている。また、各付勢部226、227は、側面部224の内向き面から図書200を取出す方向(
図6、
図8及び
図9において右方向)に向って延びつつ、徐々にフォルダ本体部222の幅方向中央部に向けて突出するように延在している。これにより、図書200をフォルダ本体部222に対して、上記図書200の取出し方向とは逆側の開口(
図6、
図8及び
図9において左側開口)から図書200を収納する際には、当該図書200が両側の付勢部226及び両側の付勢部227を開きつつ、それらの間に収納することができる。また、図書200をフォルダ本体部222から取出す際には、付勢部226、227が図書200に引っ掛かったりすることなく、円滑に図書200を取出すことができる。
【0064】
また、各付勢部226、227の先端部は、側面本体部224aの延在方向に沿うように延出しており、各付勢部226、227が図書200に対してなるべく大きい接触面積で接触するようになっている。これにより、付勢部226、227と図書200との接触による、図書200のダメージが抑制される。
【0065】
被保持部228は、フォルダ本体部222の上方外側に設けられており、格納部30及びピッカー40等に吊し掛け可能に構成されている。
【0066】
具体的には、被保持部228は、樹脂等によって形成された細長い棒状の部材であり、上記一対の天井部224bの上端縁部に取付けられている。被保持部228の幅寸法は、一対の天井部224bの上端縁部の厚み寸法よりも大きい。従って、フォルダ210を正面視すると、被保持部228は、一対の天井部224bの上端部よりも両側外方に張出している。そして、この被保持部228が格納部30に配設された隣り合うハンガー36の対向するレール37に引っ掛かることで被保持部228が格納部30に吊るし掛けられる。
【0067】
<格納部及びピッカーについて>
図10はピッカー40及び格納部30を示す概略側面図であり、
図11は格納部30の一部を示す概略正面図であり、
図12はピッカー40の一部を示す正面図である。
【0068】
図2〜
図4、
図10〜
図12に示すように、格納部30は、自動図書貸出装置20においてパネル22によって外部から遮断された空間内に配設されている。また、ピッカー40は、自動図書貸出装置20においてパネル22によって外部から遮断された空間内に配設されており、格納部30に対してフォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0069】
格納部30は、複数のフォルダ210のそれぞれに図書200を収納した状態で、複数のフォルダ210を格納可能に構成されている。
【0070】
より具体的には、格納部30は、フレーム部32と、複数のハンガー36とを備える。
【0071】
フレーム部32は、互いに間隔を空けて対向する一対の側壁部33aと、一対の側壁部33a間を結ぶように配設された横支持棒33bとを備える。
【0072】
横支持棒33bは、一対の側壁部33a間に掛渡すように、上下方向に間隔をあけて複数箇所に配設されている。また、上下方向における各箇所において、2つの横支持棒33bが間隔を空けて配設されている。
【0073】
ハンガー36は、長尺状のレール37と、当該レール37を横支持棒33bに対して支持するブラケット部38とを備える。
【0074】
2つのブラケット部38は、上下方向において所定高さ位置の2つの横支持棒33bのそれぞれに垂下状に固定されている。レール37は、2つのブラケット部38の下端部に固定されている。これにより、レール37が横支持棒33bに対して直交する姿勢でかつ水平姿勢で支持されている。
【0075】
複数のハンガー36は、横支持棒33bに対して等間隔で並列状に支持されている。隣り合うハンガー36の対向するレール37間には、隙間が形成されている。この隙間の幅寸法は、フォルダ210の天井部224bの上端部の幅寸法と同じかそれよりも大きく、且つ、被保持部228の幅寸法よりも小さく設定されている。また、隙間の高さ寸法は、フォルダ210の天井部224bの上端部の幅寸法と同じかそれよりも大きく設定されている。そして、ハンガー36のレール37の長手方向一方側から他方側に向けて、隣り合う一対のハンガー36の対向するレール37間にフォルダ210の天井部224bの上端部を挿通すると共に、その一対のレール37上にフォルダ210の被保持部228をスライド挿入することで、ハンガー36に対してフォルダ210を一定位置に格納することができる。すなわち、複数のハンガー36は、フォルダ210を吊し掛け可能に構成されている。
【0076】
なお、ここでは、格納部30は、後述するピッカー40のレール41を挟んで互いに対向する位置に2つ設けられている。もっとも、格納部30は、レール41の一側にのみ設けられていてもよい。
【0077】
また、格納部30のうち取出口機構部50が設けられる位置には、ハンガー36が省略され、その位置に取出口機構部50が配設されている。
【0078】
ピッカー40は、複数のフォルダ210を、格納部30から選択的に取出して、図書外部取出位置Pに向けて搬送可能に構成されている。ここでは、ピッカー40は、入庫台車60に格納されたフォルダ210を格納部30まで搬送可能に構成されている。
【0079】
より具体的には、ピッカー40は、レール41と、走行機構部42と、昇降機構部43と、回転支持機構部44と、フォルダ出入ユニット45とを備える。
【0080】
レール41は、間隔を空けて対向配置された格納部30間において、床上に直線状に配設されている。
【0081】
走行機構部42は、車輪、当該車輪を正逆両方向に回転駆動する走行回転駆動部等を備えており、当該走行回転駆動部の駆動によって、上記レール41を往復走行可能に構成されている。走行機構部42がレール41に沿って走行することによって、ハンガー36の並列方向におけるフォルダ出入ユニット45の位置が調整される。
【0082】
昇降機構部43は、フォルダ出入ユニット45を昇降移動させるように構成されている。このような昇降機構部43としては、例えば、回転支持機構部44を、走行機構部42上に立設された支柱によって昇降移動可能に支持し、支柱の上下端部に設けられた一対の歯車に環状ベルト(環状チェーン等)を巻掛け、搬送ユニットを一対の歯車体間で環状ベルトに連結し、一方の歯車体をモータ等の昇降回転駆動部で回転させることで、環状ベルトを回転させて、フォルダ出入ユニット45を昇降移動させる構成を採用することができる。昇降機構部としては、上記の他、リニアモータを用いた構成であってもよいし、つり合いおもりを用いたトラクション式の機構において滑車部分をモータで駆動して搬送ユニットを昇降させる構成であってもよい。
【0083】
回転支持機構部44は、上記昇降機構部43によって昇降駆動可能に支持されている。回転支持機構部44は、昇降機構部43の支柱より外方に突出するように片持ち状に支持された長尺状に形成されている。その先端部にフォルダ出入ユニット45が回転可能に支持されている。回転支持機構部44は、フォルダ出入ユニット45を回転駆動するモータ等の回転駆動部を有しており、フォルダ出入ユニット45を、レール41の一側の格納部30に対向させる姿勢とレール41の他側の格納部30に対向させる姿勢との間で回転駆動可能(つまり、180度正逆両方向に回転駆動可能)に構成されている(
図3及び
図4参照、なお、
図4ではフォルダ出入ユニット45の回転途中の状態を示している)。
【0084】
フォルダ出入ユニット45は、格納部30、入庫台車60及び取出口機構部50に対して、フォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0085】
すなわち、フォルダ出入ユニット45は、ユニットケース46と、フォルダケース47と、フォルダ移載機構部48とを備える。
【0086】
ユニットケース46は、両端が開口した箱状に形成されており、上記回転支持機構部44の先端部において、鉛直方向に沿った軸周りに回転可能に支持されている。
【0087】
このユニットケース46内に、フォルダケース47と、フォルダ移載機構部48とが組込まれている。
【0088】
フォルダケース47は、ここでは、2つ設けられている。フォルダケース47は、両端が開口した扁平な箱状に形成されている。フォルダケース47の両開口の向きは、ユニットケース46の両開口の向きと同じである。
【0089】
フォルダケース47は、上記フォルダ210を収容可能な程度の大きさ及び形状(ここでは、フォルダ210のフォルダ本体部222を一定位置及び姿勢で収容できる程度の大きさ及び形状)に形成されている。フォルダケース47の上端部には、フォルダ210の天井部224bの上端部を挿通可能なスリット47Sが形成されている。そして、天井部224bの上端部をスリット47S内に配設すると共にその上方に被保持部228を配設した状態で、フォルダ210のフォルダ本体部222がフォルダケース47内に格納される。
【0090】
2つのフォルダケース47は、上記ユニットケース46内において並列状態で支持されている。
【0091】
フォルダ移載機構部48は、外部とフォルダケース47との間でフォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0092】
より具体的には、フォルダ移載機構部48は、出入移動機構部48aと把持部48bとを備える。
【0093】
把持部48bは、一対の把持爪部48b1と、電磁アクチュエータ等により構成され、当該一対の把持爪部48b1を開閉駆動する開閉駆動部48b2とを備える。そして、開閉駆動部48b2の駆動によって一対の把持爪部48b1を開閉駆動することによって、一対の把持爪部48b1がフォルダ210の被保持部228を掴んだ状態と、掴むのを解除した状態とに切替駆動することができる。
【0094】
出入移動機構部48aは、把持部48bを、フォルダケース47の両側開口を結ぶ方向に移動駆動可能に構成されている。この出入移動機構部48aは、リニアモータ等のリニアアクチュエータ等により構成されている。出入移動機構部48aは、ユニットケース46内の上部等に、フォルダケース47の両側開口を結ぶ方向に沿って取付けられている。
【0095】
そして、出入移動機構部48aの駆動によって、把持部48bを、ユニットケース46の一方側の開口から突出させて格納部30等に格納されたフォルダ210の被保持部228の一端部を把持可能な位置と、フォルダケース47内に格納されたフォルダ210の被保持部228の一端部を把持可能な位置と、そのさらに外方に退避した位置との間で移動駆動することができる。
【0096】
また、ここでは、上記2つのフォルダケース47を、選択的に把持部48bの下方位置に配設可能な幅方向移動機構部48cが、フォルダケース47内に設けられている。
【0097】
幅方向移動機構部48cは、リニアモータ等のリニアアクチュエータ等により構成されており、ユニットケース46の下部に配設されて、上記2つのフォルダケース47をその幅方向に移動可能に支持している。
【0098】
この幅方向移動機構部48cの駆動によって、一対のフォルダケース47をその幅方向に往復駆動することで、その一方のフォルダケース47を把持部48bの下方に配設した状態と、他方のフォルダケース47を把持部48bの下方に配設した状態とで切替えることができる。
【0099】
そして、2つのフォルダケース47の一方を把持部48bの下方に配設した状態で、フォルダ移載機構部48によって、そのフォルダケース47と格納部30又は入庫台車60との間で、フォルダ210を移載することができる。
【0100】
なお、出入移動機構部48aの一端側延長上には、フォルダ210の被保持部228を、フォルダケース47のスリット47Sの上方に向けて案内する長尺状の補助ガイド48dが設けられている。フォルダ210が格納部30等とフォルダケース47との間を移動する際には、フォルダ210の被保持部228が当該補助ガイド48d上をスライド移動するようになっている。
【0101】
なお、このフォルダ出入ユニット45には、図書200のタグ202を読取る読取装置49a及び格納部30又は入庫台車60でのフォルダ210の有無を検出するフォルダ検出部49bが設けられている。
【0102】
読取装置49aは、RFIDタグとしてのタグ202と無線通信可能な装置であり、ここでは、2つの読取装置49aが、上記2つのフォルダケース47のそれぞれに設けられている。そして、一方の読取装置49aが一方のフォルダケース47内に配設された図書200のタグ202を読取り、他方の読取装置49aが他方のフォルダケース47内に配設された図書200のタグ202を読取るようになっている。
【0103】
また、フォルダ検出部49bは、反射式の光センサ等によって構成されている。フォルダ検出部49bは、本フォルダ移載機構部48が格納部30又は入庫台車60に対向して配設された状態で、その検出光がその対向部分で保持されるフォルダ210の被保持部228の一端部に向けて照射される位置及び姿勢で、ユニットケース46に取付けられている。そして、本フォルダ移載機構部48が格納部30又は入庫台車60に対向する、ある位置に配設された状態で、前記検出光の反射光の有無によって、当該位置におけるフォルダ210の有無を検出できるようになっている。そして、当該フォルダ210が存在する位置にいずれか一方のフォルダケース47を対向させた状態で、上記出入移動機構部48aによって格納部30又は入庫台車60から当該フォルダケース47内にフォルダ210を移載することができる。或は逆に、当該フォルダ210が存在しない位置にいずれか一方のフォルダケース47を対向させた状態で、上記出入移動機構部48aによってフォルダケース47から格納部30又は入庫台車60にフォルダ210を移載することができる。
【0104】
<取出口機構部について>
図13は取出口機構部50の概略正面図であり、
図14は取出口機構部50の概略側面図であり、
図15は取出口機構部50の概略平面図である。
図1、
図3、
図13〜
図15に示すように、取出口機構部50は、格納部30の四方を囲むパネル22の1つに設けられている。ここでは、1方のパネル22の外側に取出用テーブル26が水平姿勢で設けられている。この取出用テーブル26の一端部よりの位置に取出口機構部50が設けられている。
【0105】
取出口機構部50は、蓋部52と、蓋開閉駆動部54と、フォルダ210を支持するフォルダ支持部56とを備える。
【0106】
蓋部52は、パネル22に形成された取出口22hを開閉可能に配設されている。すなわち、パネル22のうち取出用テーブル26の一端部よりの上方位置に図書200を取出し可能な取出口22hが形成されている。ここでは、取出口22hは、図書200を縦向き姿勢で取出すことができる縦長な方形状に形成されている。蓋部52は、取出口22hを閉塞可能な板状に形成されている。取出口22hの内側の上下位置に水平方向に沿って一対の蓋ガイド部53が設けられている。蓋部52の上下部分が一対の蓋ガイド部53によってスライド移動可能に支持されることによって、蓋部52が取出口22hを閉じる閉位置と、当該閉位置から側方に移動して取出口22hを開放させた開位置との間で移動可能に支持されている。
【0107】
蓋開閉駆動部54は、上記蓋部52を閉位置と開位置との間で移動駆動可能に構成されている。ここでは、蓋開閉駆動部54は、モータ等の駆動部54aと、操作部54bとを備える。操作部54bは、長尺状に形成され、駆動部54aの回転軸部に対して直交する姿勢で、その一端部が回転軸部に連結されている。また、操作部54bの先端部には、ピン54cが突設されている。このピン54cが蓋部52に連結されている。
【0108】
ここでは、蓋部52の一側部に、ピン受部59aが設けられている。ピン受部59aは、上下方向に沿って延びる溝部59bを有している。そして、上記ピン54cが、ピン受部59aの溝部59bの延在方向に沿って移動可能に当該溝部59bに嵌め込まれている。
【0109】
そして、ピン54cを溝部59bに嵌め込んだ状態で、駆動部54aの駆動により操作部54bを回転させると、ピン54cが溝部59b内をその延在方向に沿って移動しつつ、蓋部52の移動方向にも変位する。そして、駆動部54aの回転駆動によりピン54cを閉位置側に移動させると、ピン受部59aと共に蓋部52が閉位置側に移動し、逆に、駆動部54aの回転駆動によりピン54cを開位置側に移動させると、ピン受部59aと共に蓋部52が開位置側に移動する。これにより、駆動部54aの正逆両方向への回転駆動によって、蓋部52を開閉駆動できるようになっている。
【0110】
なお、蓋部及び当該蓋部を開閉する構成は上記例に限られない。例えば、蓋部は、ヒンジ周りに回転することによって開閉する構成であってもよい。また、蓋部の開閉は人手によって行われるものであってもよい。また、蓋部が省略されていてもよい。
【0111】
フォルダ支持部56は、パネル22の上記取出口22hの内側に配設されている。フォルダ支持部56は、両端が開口した扁平な箱状に形成されており、その内部にフォルダ210を収容可能な大きさ及び形状に形成されている。フォルダ支持部56の一方側の開口は、上記取出口22hに対向している。これにより、フォルダ支持部56内に収容されたフォルダ210内の図書200を、取出口22h及びフォルダ支持部56の一方側開口を通じて、外部に取出せるようになっている。
【0112】
また、フォルダ支持部56の他方側開口は、一対の格納部30間の空間に向けて開口している。そして、上記ピッカー40によって搬送されるフォルダ210を、当該開口を通じてフォルダ支持部56内に移載できるようになっている。なお、ここでは、フォルダ支持部56の他方側開口の両側部には、外向きに順次広がるガイド部56gが形成されており、ピッカー40からのフォルダ210をフォルダ支持部56内により確実に移載できるようになっている。
【0113】
フォルダ支持部は、上記格納部30と同様に、フォルダ210を吊下げて支持するものであってもよい。
【0114】
また、ここでは、取出口22hにおける物体の通過を検出可能な取出検出部58が設けられている。ここでは、取出検出部58は、複数対の透過型光センサの組合わせ等によって構成されている。そして、取出検出部58による検出光の遮光の有無によって、取出口22hにおける物体(書籍、利用者の手等)の有無を検出できるようになっている。
【0115】
なお、上記取出用テーブル26の他端部よりの位置には、貸出受付部70が設けられている。貸出受付部70は、本自動図書貸出装置20に対する図書200の貸出し指令を受付ける装置である。
【0116】
ここでは、貸出受付部70は、表示部及び入力受付部としての機能を備えるタッチパネル装置72と、カードリーダ74とを備える。
【0117】
カードリーダ74は、各利用者に付与された図書館利用者カード等を読取る装置である。カードリーダ74が当該図書館利用者カードを読取ることによって、利用者が設備の利用権限があるかどうか等を判断することができる。
【0118】
タッチパネル装置72のタッチパネル装置には、貸出しを受付けるための諸画面が表示される。例えば、利用者の判別後、当該利用者に貸出し予約がなされている場合には、当該貸出し予約された図書200を表示し、貸出し指示を受付ける。なお、予約は、事前にインターネット回線等を介して受付けることができようにするとよい。また、例えば、利用者の判別後、格納された図書200のリストの表示又は図書200の検索画面等を表示し、当該表示に基づいて貸出しを望む図書200の指示を受付ける。
【0119】
<入庫台車について>
図1〜
図3に示すように、入庫台車60は、フォルダ210を格納可能でかつ移動可能な可動フォルダ格納部である。ここでは、入庫台車60は、複数のフォルダ210を格納可能に構成されている。
【0120】
より具体的には、入庫台車60は、台車フレーム部62と、複数のハンガーと、車輪68とを備える。
【0121】
台車フレーム部62は、少なくとも一側が開口する箱状に形成されている。この台車フレーム部62内に、上記格納部30の同様構成のハンガーが設けられている。ここでは、ハンガーは、台車フレーム部62に対して上下2箇所の位置に設けられている。このため、入庫台車60に対して上下2列で、フォルダ210を格納することができる。また、上下の列において、ハンガーは、複数(3つ以上)並列配置されており、従って、上下の列において、それぞれ複数のフォルダ210を格納することができる。入庫台車60におけるフォルダ210の支持構成は、格納部30におけるフォルダ210の支持構成と同じであるため、入庫台車60を、格納部30に隣接して配設することによって、ピッカー40は、当該入庫台車60に対してフォルダ210を出し入れできる。
【0122】
この入庫台車60の下部には、車輪68が取付けられており、入庫台車60は車輪68を転がすことによって床下を移動することができる。
【0123】
ここでは、上記パネル22内であって、一方の格納部30に隣接する位置に、入庫台車60を配設可能なスペースS1が設けられている。パネル22のうちスペースS1に隣接する部分には、開口22G1が設けられると共に、当該開口を開閉可能に閉じる扉22G2が設けられている。扉22G2は、施解錠可能とされていることが好ましい。そして、入庫台車60は、前記開口22G1を通じてパネル22によって囲まれる空間と外側との間で出し入れ可能とされる。
【0124】
<図書返却装置について>
図16は図書返却装置100を示す部分概略側面図である。
図1〜
図4、
図16に示すように、図書返却装置100は、格納部30の四方を囲むパネル22の1つに設けられている。ここでは、1方のパネル22の外側に返却台(返却用テーブル27)が水平姿勢で設けられている。ここでは、返却用テーブル27は、取出用テーブル26に隣接する位置に設けられている。図書返却装置100は、返却用テーブル27及びこれよりもパネル22側の部分に設けられている。なお、ここでは、取出用テーブル26と返却用テーブル27との間も仕切用パネルで仕切られている。
【0125】
上記したように、図書返却装置100は、仕切24と、遮蔽機構部110と、制御部80とを備える。ここでは、図書返却装置100は、さらに、第1読取部121と、第2読取部122と、投入物検出部123とを備える。また、ここでは、返却用テーブル27、後述する傾斜ガイド130及び同じく後述する収納部120aは、図書返却装置100に含まれているものとする。
【0126】
仕切24は、パネル22のうち上記取出口機構部50が設けられた部分の隣の部分である。この仕切24に、図書200が通過可能な返却口24hが形成されている。ここでは、返却口24hは、水平方向に沿って長い方形状の開口であり、図書200は横向き姿勢で当該返却口24hを通過することができる。
【0127】
返却用テーブル27は、外部に設けられるとともに、その上面(上向き面)が第1読取部121で図書200を読み取り可能な位置から仕切24に至るまで滑らかに連続するように設けられている。そして、返却口24hが、仕切24のうち返却用テーブル27の上面と連なる部分に設けられている。より詳細には、ここでは、返却口24hの下縁部が、返却用テーブル27の上向き面の延長上に位置している。これにより、返却用テーブル27上を滑らすようにして、図書200を返却口24hに入れることができる。
【0128】
遮蔽機構部110は、蓋部112と、ロック部116(
図17も参照)とを備える。
【0129】
蓋部112は、返却口24hを開閉可能に覆うように構成されている。ここでは、蓋部112は、返却口24hよりも大きく広がる方形板状に形成され、蓋部112が返却口24hを閉じた状態で返却口24hの内周縁部と蓋部112とが接触し、返却口24hと蓋部112との間に隙間が生じることのないように設けられている。これにより、返却口24hと蓋部112との間の隙間からごみ等が挿入されることを抑制できる。この際、返却口24hの内周縁部と蓋部112とが接触する部分に例えば、ゴム等の弾性材料を配設することで水密性を確保してもよい。
【0130】
ここでは、蓋部112は、回動することで返却口24hを開閉可能に設けられている。より詳細には、蓋部112の上縁部が軸部113を介してパネル22の内面側のブラケットに回転可能に支持されている。蓋部112が、回転可能に取り付けられることで、蓋部112が返却口24hを覆った状態から回動し、返却口24hが開く。また、ここでは、蓋部112が返却口24hを閉じた状態で、蓋部112と返却口24hの内周縁部とが接触するため、蓋部112は、返却口24hを閉じた状態で、パネル22の外面側には回動しない。つまり、ここでは、蓋部112は、内面側にのみ回動することで、返却口24hを開ける。これにより、初期状態で蓋部112が返却口24hを閉じており、この状態から、利用者が返却しようとする図書200で蓋部112を押すことで返却口24hを容易に開けることができる。
【0131】
さらに、ここでは、蓋部112は、ねじりコイルバネ等の付勢部又は自重によって、返却口24hを閉じる方向に付勢されている。
【0132】
なお、蓋部としては、上記した構成に限られるものではなく、例えば、パネル22の外面側に回動するものであってもよいし、パネル22の主面に沿ってスライド移動するものであってもよい。
【0133】
ロック部116は、蓋部112が閉じている状態で蓋部112をロック及びロック解除可能に構成されている。また、ロック部は、ロック解除信号に基づいてロック及びロック解除を切り替え可能なに構成されている。ここでは、ロック部116は、制御部80からの指示に基づいて、蓋部112が閉じている状態で蓋部112をロック及びロック解除可能に構成されている。
【0134】
具体的には、ここでは、ロック部116は、電磁アクチュエータ等により構成され、本体部116aに対して進退駆動される抑え部116bを備える。そして、抑え部116bを進出駆動させた状態で、抑え部116bを蓋部112の裏面に当接させることによって、蓋部112が閉じた状態にロックされる。また、抑え部116bを退避駆動させることによって、抑え部116bが蓋部112の裏面を抑え込んだ状態が解除され、もって、ロック解除される。この状態では、利用者が図書200を通じて蓋部112をパネル22の内側に抑えることにより、蓋部112がパネル22の内側に開くことができる。
【0135】
第1読取部121は、仕切24の外部であって返却口24h周辺に位置する図書200に取付けられたタグ202を読取り可能に構成されている。第1読取部121としては、無線通信等を利用した無線リーダー等が用いられる。ここでは、第1読取部121は、返却用テーブル27に設けられている。例えば、第1読取部121は、返却用テーブル27の下面側に配設されている。そして、利用者が返却用テーブル27上に図書200を載置することにより、第1読取部121がタグ202と無線通信を行って、当該タグ202に格納された識別符号を読み取る。
【0136】
第2読取部122は、返却口24hを通過した図書200に取付けられたタグ202を読み取り可能に構成されている。第2読取部122としては、第1読取部121と同様に、無線通信等を利用した無線リーダー等が用いられる。ここでは、第2読取部122は、仕切24の内側、より詳細には、仕切24の内側に設けられた傾斜ガイド130に設けられている。そして、図書200が傾斜ガイド130を滑り落ちる際に、第2読取部122が図書200のタグ202と無線通信を行って、当該タグ202に格納された識別符号を読取る。
【0137】
投入物検出部123は、図書200が返却口24hを通過したことを検知可能に構成されている。投入物検出部123は、反射式の光センサ等によって構成されている。ここでは、投入物検出部123は、傾斜ガイド130に設けられ、傾斜ガイド130を滑り落ちる図書200等の物体を検出することができる。より詳細には、投入物検出部123は、その検出光が傾斜ガイド130を滑落している図書200等の物体に向けて照射される位置及び姿勢で、傾斜ガイド130に(ここでは、傾斜ガイド130の重力方向下方の先端に)取付けられている。そして、前記検出光の反射光の有無によって、傾斜ガイド130を滑落する図書200等の物体の有無を検出できるようになっている。そして、投入物検出部123は、返却口24hから挿入された図書200について、第2読取部122がタグ202に格納された識別符号の読み取りに失敗した場合でも、当該図書200と思われる物体が傾斜ガイド130を通過したことを検出することができる。もっとも、投入物検出部123が傾斜ガイドに設けられていることは必須ではなく、投入物検出部123は、返却口24hから挿入された図書200が収納部120aに達するまでの間に設けられていればよい。この際、好ましくは、利用者が返却口24hから図書200を投入する際に、利用者の届かない位置に設けられているとよい。
【0138】
傾斜ガイド130は、仕切24の内側であって返却口24hの下部に、返却口24hから内側に向けて下向き傾斜する態様で設けられている。傾斜ガイド130の先端部の下方には、返却用収納台車120が配設されている。返却用収納台車120の収納部120aの上方開口は、傾斜ガイド130の先端部を向いている。そして、返却口24hを通過した図書200は、傾斜ガイド130を滑り落ちて、返却用収納台車120の収納部120a内に収納される。傾斜ガイド130は、ガイド本体部132とガイドリブ134とを備える。
【0139】
ガイド本体部132は、平板状に形成され、返却口24hの幅と同じかそれよりも大きい幅寸法を有する。そして、ガイド本体部132の長手方向一方側端部が返却口24hの下方に位置するとともに、長手方向他方側端部の鉛直方向に沿った位置が長手方向一方側端部の鉛直方向に沿った位置より下になるように配置される。そして、ガイド本体部132の長手方向他方側端部の下方に返却用収納台車120の収納部120aがその開口を上側にして配置される。これにより、返却口24hを通過した図書200は、ガイド本体部132の上面を滑り落ちて返却用収納台車120の収納部120aに収納される。
【0140】
ガイドリブ134は、ガイド本体部132の上面を滑り落ちる図書200がガイド本体部132の上面から途中で落下するのを抑制するものである。ガイドリブ134は、ガイド本体部132の幅方向両側端部からガイド本体部132に立設する態様でガイド本体部132の上面よりも上方に突出するように設けられている。また、ガイドリブ134は、ガイド本体部132の長手方向一方側端部から長手方向他方側端部にかけて設けられている。なお、ここでは、ガイドリブ134は、蓋部112の回動を阻害しないように、ガイド本体部132の長手方向一方側端部の先端縁部には設けられていない。
【0141】
収納部120aは、仕切24の内側であって、返却口24hの下方に設けられている。収納部120aは、返却口24hに入れられた図書200を収納しておくものである。ここでは、収納部120aは、一端が開口した箱状又は袋状に形成され、開口を返却口に向けた状態で、仕切24内に配設されている。また、収納部120aは、外部に取り出し可能に設けられている。ここでは、上述したように、収納部120aが車輪120bが設けられた返却用収納台車120に設けられることで、収納部120aは返却用収納台車120ごと外部に取り出し可能となっている。
【0142】
<制御部のハードウエア構成について>
図18は、本図書取扱装置10の動作制御を司る制御部80を示すブロック図である。なお、ここでは、制御部80は、自動図書貸出装置20の動作制御を司る制御部と、図書返却装置100の動作制御を司る制御部との両方の機能を備えた例で説明するが、これらの各制御部が、物理的に別々の制御部によって構成されていてもよい。
【0143】
この制御部80は、CPU81、ROM82、RAM83、外部記憶装置84等がバスラインを介して相互接続されたコンピュータによって構成されている。ROM82は本コンピュータを起動させるための基本プログラム(BIOS)等を格納しており、RAM83はCPU81が所定の手順に従った処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置84は、フラッシュメモリ或はハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。
【0144】
外部記憶装置84には、OS(オペレーションシステム)84a、入出庫制御プログラム84b、返却制御プログラム84c、図書管理データ84d等が格納されている。
【0145】
入出庫制御プログラム84bは、上記したように自動図書貸出装置20におけるフォルダ210の搬送処理を行うための手順を定めたものであり、この入出庫制御プログラム84bに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU81が演算処理を行うことにより、フォルダ210の搬送処理がなされる。
【0146】
返却制御プログラム84cは、図書返却装置100における遮蔽機構部110の動作制御等を行うための手順を定めたものであり、この返却制御プログラム84cに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU81が演算処理を行うことにより、遮蔽機構部110の動作が制御される。
【0147】
図書管理データ84dは、
図19に示すように、図書200の特定情報に対して、図書200の在庫の有無、在庫のある図書200の各位置、予約登録、貸出し中の図書200の借主、貸出し中の図書200の返却期限を対応付けたテーブルである。図書200の特定情報は、各図書200に割り与えられた固有の識別符号であり、通常、上記タグ202に付与された識別符号と同じである。この特定情報には、図書の題名、著作者等の図書情報も関連付けられているが、
図19では、省略している図書200の各位置は、格納部30における図書200の位置を示す情報である。この位置を参照することによって、特定された図書200が格納部30においてどの位置に格納されているかを判別することができる。予約登録は、各図書200に対する予約者の有無を示す情報である。ある図書200に対する予約者が存在する場合には、その予約者の名称(或は予約者の識別情報)が登録されている。この情報を参照することによって、ある予約者に対する図書200の予約の有無が判別される。借主は、在庫が無い図書、すなわち、貸出し中の図書200の借主を特定する情報(氏名或は借主の識別符号等)である。また、返却期限は、貸出し中の図書200の返却期限である。ある図書200に対する借主及び返却期限に関する情報を参照することによって、ある借主が図書200を返却しようとする場合において、当該図書200が返却期限を過ぎているか否かを判別することができる。この図書管理データ84dは、図書200が入庫台車60から格納部30に格納されたとき、図書200が貸し出されたとき、及び、図書200が返却されたときなどに生成、更新される。
【0148】
また、CPU81は、入出力インターフェースを介して、ピッカー40、貸出受付部70、取出口機構部50、図書返却装置100の遮蔽機構部110、第1読取部121及び第2読取部122等と通信可能に接続されている。
【0149】
なお、本制御部80が、通信インターフェースを介して外部の管理サーバに相互通信可能に接続され、当該外部の管理サーバに上記図書管理データ84dが格納されていてもよい。この場合に、利用者が、自己の端末装置等を通じて、公衆通信網等を介して管理サーバにアクセスし、当該端末から図書200の予約を行えるようにするとよい。
【0150】
なお、この図書返却装置100には、上記返却口24hを含む範囲を撮像可能なカメラが設けられ、図書200を返却しようとする利用者を撮像可能としておくとよい。
【0151】
{3.処理について}
次に、図書取扱装置10の処理について説明する。
【0152】
<入庫処理について>
自動図書貸出装置20に図書200を入庫する処理について
図20を参照して説明する。
【0153】
自動図書貸出装置20における入庫処理は、入庫台車60が自動図書貸出装置20内にセットされた状態で開示される。本入庫処理は、作業者が格納開始のボタンを押すこと、又は、ピッカー40が貸出動作を終了した後であって次の貸出動作指令がなされていない期間中等になされる。
【0154】
なお、本入庫処理がなされる前に、本自動図書貸出装置20を運用する作業者、準備作業を行う。準備作業として、空フォルダ210内にタグ202付きの図書200を収納する作業、図書200が収められたフォルダ210を入庫台車60に格納する作業、及び、フォルダ210が格納された入庫台車60を自動図書貸出装置20内にセットする作業が設定されている。
【0155】
自動図書貸出装置20における入庫動作が開始されると、ステップS101において、制御部80は、ピッカー40に対して、入庫台車60にフォルダ210が有るか否かを確認するように指令を与える。ここでは、この確認は、ピッカー40が入庫台車60に対向する位置に移動すると共に、フォルダ出入ユニット45を入庫台車60におけるフォルダ210の格納位置のうちの1つに対向する位置に移動させ、この状態で、フォルダ検出部49bからの検出光の反射の有無を確認することで行われる。また、このフォルダ210の有無の確認は、フォルダ出入ユニット45を入庫台車60前で順次移動させることによって、当該入庫台車60におけるフォルダ210の各格納位置に対して順次なされる。そして、フォルダ210無し(入庫台車60においてフォルダ210無し)と判断された場合には、入庫処理を終了する。一方、フォルダ210有りと判断された場合には、ステップS102に進む。
【0156】
次ステップS102において、制御部80は、ピッカー40に対して、入庫台車60からフォルダ210を取込むように指令を与える。これにより、フォルダ出入ユニット45は、ステップS101においてフォルダ210有りと判断された位置からフォルダ210を取込む。
【0157】
次ステップS103において、制御部80は、ピッカー40に対して、取り込んだフォルダ210内の図書200のタグ202のデータを読取るように指令を与える。これにより、読取装置49aがタグ202との間で通信を行ってその図書200の識別符号を読取り、その識別符号を含む信号を制御部80に与える。
【0158】
次ステップS104において、格納部30における、フォルダ210の格納位置を決定する。格納位置は、上記格納部30における全ての格納位置において、
図20に示す図書管理データ84dを参照して、空き位置を特定し、当該空き位置のうちの一つを選ぶこと等によって決定される。
【0159】
次ステップS105において、制御部80は、ピッカー40に対して格納作業開始指令を与える。具体的には、制御部80は、ピッカー40に、ステップS104で決定された格納位置を伝え、この位置にフォルダ210を格納するように指令を出す。これを受けてピッカー40が格納位置までフォルダ210を搬送し、このフォルダ210を当該格納位置に格納する。
【0160】
そして、次ステップS106において、制御部80において、ピッカー40における格納作業終了信号に基づいて、ピッカー40による格納作業終了が確認されると、次ステップS107に進む。
【0161】
次ステップS107では、図書管理データ84dを更新する。すなわち、図書管理データ84dのうち格納完了した図書200を格納有りとして、格納位置を更新する。この後ステップS101に戻る。
【0162】
以降は、入庫台車60からフォルダ210がなくなるまでステップS101〜ステップS107を繰り返せば、入庫台車60における全てのフォルダ210を格納部30に格納することができる。
【0163】
なお、ここでは、フォルダ出入ユニット45は、複数(ここでは、2つ)のフォルダを格納して搬送することが可能である。このため、上記ステップS101〜S103を複数回繰返して、ピッカー40に2つのフォルダ210を取込み、その後、ステップS104〜S107を複数回繰返して、入庫処理を行うようにすればよい。この場合、複数の格納位置が近ければ、ピッカー40の移動距離を小さくすることができ、効率的な入庫が可能となる。
【0164】
なお、ステップS102とステップS103とS104とは、ステップS105が完了する前に行われればよく、順不同で構わない。例えば、入庫台車の所定位置の近傍に図書のタグを読み取る読み取り機が配設され、位置情報とタグとを同時に読み取るものであってもよいし、タグの情報を読み取ってから位置情報を読み取ってもよい。また、上述したようにステップS105の一部(例えば、入庫台車から搬送機構部に図書を格納する指令)は、ステップS102の後であって、ステップS103又はステップS104の前に行われることもあり得る。
【0165】
<貸出処理について>
自動図書貸出装置20から利用者に図書200を貸出す処理について
図21を参照して説明する。本処理は、利用者が自動図書貸出装置20に対して図書200を借りにきた場合に行われる処理である。
【0166】
なお、利用者には、予め図書館利用者カードが付与されているものとする。また、利用者は、公衆通信網等を通じて、本自動図書貸出装置20に格納された図書200の事前予約が可能であるとする。
【0167】
まず、ステップS201において、制御部80により、利用者データを取得できたか否かが判定される。ここで、図書200の貸出を希望する利用者が、図書館利用者カードをカードリーダ74に読み取らせると、利用者データが取得される。これにより、次ステップS202に進む。
【0168】
次ステップS202において、制御部80は、ステップS201で受信した利用者データの持ち主が利用権利を有しているかどうかを照合する。利用権利の有無は、予め作成された利用者リストと上記図書利用者カードに記録された利用者IDとを照合すること等によりなされる。利用権利を有していると判断された場合は、ステップS203に進み、利用権利を有していない場合は、ステップS208に進む。利用権利を有していない場合としては、利用者リストにおける利用者IDの利用可能期間が経過している場合等が想定される。
【0169】
ステップS208では制御部80からエラー信号が出力される。これにより、貸出受付部70に、「利用できません」等の表示がなされる。そして、処理を終了する。
【0170】
ステップS203に進んだ場合、貸出可能な図書予約データがあるかを照合する。具体的には、ステップS201で読み取った利用者データと図書管理データ84dとを照合し、利用者が予約してあり且つ在庫がある図書200を探し、あればステップS204に進み、無ければステップS209に進む。
【0171】
ステップS204において、制御部80は、予約された図書200の貸出指示の有無を確認する。例えば、予約され且つ在庫がある図書200を貸出受付部70の表示部に対象となる図書200を表示する。そして、利用者により当該図書200に対する貸出指示があるか否かが判断される。貸出指示が無いと判断された場合には、処理を終了する。一方、貸出指示有りと判断されると、ステップS205に進み、貸出処理を実行する。
【0172】
ステップS205は、制御部80が、利用者が受取りを希望した図書200が収納されフォルダ210を格納部30から図書外部取出位置Pに搬送するように、ピッカー40に指示を与える処理である。これにより、図書200が収納されたフォルダ210が、利用者によりその図書200を取出し可能な位置に搬送される。
【0173】
次ステップS206では、制御部80は、利用者が図書を受け取ったかどうかを判断する。ここでは、取出口22hから図書200を取り出したかどうかを判断する。具体的には、制御部80は、取出口22hに設けられた取出検出部58の検出信号に基づいて、取出口22hを図書200が通過したか否かを判断する。利用者が図書を受け取ったと判断されると、取出口22hの蓋部52を閉じ、次ステップS207に進む。
【0174】
ステップS207において、制御部80は、図書管理データ84dを更新する。更新するデータとしては、例えば、図書管理データ84dのうち貸出が完了した図書200の在庫を無しに更新し、予約登録を無しにし、借主を記録し、当日の日付に貸出可能な期間を付加して返却期限を設定しこれを記録する。
【0176】
ステップS203において図書予約データが無かった場合における図書の選択貸出処理(ステップS209)について
図22を参照して説明する。
【0177】
この場合、ステップS211にいて、制御部80により、貸出希望指示の有無が判定される。この判定は、利用者による貸出受付部70への指示操作を通じてなされる。貸出希望指示が無いと判定されると、元のフローチャートに戻り処理を終了する。貸出希望有りと判断されると、ステップS212に進む。
【0178】
ステップS212において、制御部80は、貸出受付部70に図書選択画面を表示するよう指令を与える。これにより、貸出受付部70の表示部に、格納部30に格納された図書200の書籍名のリスト等、或は、図書200の検索画面等が表示される。
【0179】
次ステップS213において、利用者により、図書200の選択指示が入力されると、次ステップS214に進む。
【0180】
ステップS214は、ステップS205と同じく、制御部80が、利用者が受取りを希望した図書200が収納されフォルダ210を格納部30から図書外部取出位置Pに搬送するように、ピッカー40に指示を与える処理である。これにより、図書200が収納されたフォルダ210が、利用者によりその図書200を取出し可能な位置に搬送される。
【0181】
次ステップS215では、制御部80は、利用者が図書を受け取ったかどうかを判断する。ここでは、取出口22hから図書200を取り出したかどうかを判断する。具体的には、制御部80は、取出口22hに設けられた取出検出部58の検出信号に基づいて、取出口22hを図書200が通過したか否かを判断する。利用者が図書を受け取ったと判断されると、取出口22hの蓋部52を閉じ、次ステップS216に進む。
【0182】
ステップS216において、制御部80は、図書管理データ84dを更新する。更新するデータとしては、例えば、図書管理データ84dのうち貸出が完了した図書200の在庫を無しに更新し、借主を記録し、当日の日付に貸出可能な期間を付加して返却期限を設定しこれを記録する。
【0184】
上記ステップS205、S215の図書取出処理について
図23に示すフローチャートを参照して説明する。
【0185】
すなわち、貸出対象となる図書200が決った段階で本処理が実行される。
【0186】
まず、ステップS221において、制御部80は、図書管理データ84dを参照して、格納部30における選択された図書200の格納位置を取得する。
【0187】
次ステップS222において、制御部80は、ピッカー40に対して、図書200の格納位置を指定して取出開始指令を与える。これにより、ピッカー40は、指定された格納位置に向けて移動し、その格納位置に格納されたフォルダ210をフォルダ出入ユニット45に取込む。そして、ピッカー40は、フォルダ210を、図書外部取出位置Pに向けて搬送する。これにより、図書200を収納したフォルダ210が取出口機構部50のフォルダ支持部56に支持される。この後、制御部80から駆動部54aに蓋部52を開くように指示を与える。すると、蓋部52が開き、利用者は、取出口22hを通じて、フォルダ210内の図書200を取出せるようになる。
【0189】
なお、ステップS215において受取完了と判定された場合に、制御部80は、ピッカー40に対して、図書外部取出位置Pにあるフォルダ210を、入庫台車60の空き格納位置に移動させるように指令を与えるとよい。これにより、ピッカー40は、図書外部取出位置Pに向けて移動して、図書外部取出位置Pにある空きフォルダ210をフォルダ出入ユニット45内に取込む。この後、ピッカー40は、入庫台車60に向けて移動し、当該入庫台車60において空きとなっている格納位置をステップS101の処理と同様にして探す。そして、フォルダ出入ユニット45内の空きフォルダ210を、入庫台車60の空きとなった格納位置に移載する。これにより、作業員は、入庫台車60を取出すことによって、空きフォルダ210を容易に外部に取出すことができる。
【0190】
図書外部取出位置Pにおいて、空きとなったフォルダ210は、ピッカー40によって、格納部30のうちの空きとなった格納位置に搬送されてもよい。上記入庫台車60が自動図書貸出装置20外に移動している場合等には、空きとなったフォルダ210を一時的に格納部30に移載しておき、その後、入庫台車60が自動図書貸出装置20内に移動し、かつ、空きとなる格納位置が生じた場合に、格納部30に一時的に格納された空きフォルダ210を、ピッカー40によって、入庫台車60に移載するようにするとよい。
【0191】
<返却処理について>
次に、利用者が図書返却装置100へ図書200を返却する返却時の動作に関する処理について、
図24を参照して説明する。
【0192】
ステップS301において、制御部80は、第1読取部121を通じて、タグ202に記憶されたタグデータを受信したか否かを判別する。ここで、利用者が図書返却装置100へ図書200を返却する際には、図書200を返却用テーブル27上に置く。すると、第1読取部121が返却用テーブル27上の図書200のタグ202と通信を行い、タグ202のデータを受信することになる。このように、返却用テーブル27上に、タグ202が取付けられた図書200が置かれた場合に、ステップS301において、タグデータの受信有りと判断され、次ステップS302に進む。
【0193】
ステップS302では、図書管理データ84dを参照し、タグデータの識別符号が貸出し中の図書200に対応するものか否かが判定される。ここで、NOと判定された場合には、ステップS308に進み、エラー信号を出力する。エラー信号が出力された場合、制御部80は、音声案内又は表示部等によって、「この図書館の書籍ではありません」等を報知するとよい。そして、処理を終了する。貸出し中の図書200であると判定された場合、ステップS303に進む。
【0194】
なお、ステップS302において、図書200が貸出し中のものであると判定された場合でも、返却期限を過ぎている場合には、判定不合格とすることも考えられる。
【0195】
ステップS303では、制御部80は、遮蔽機構部110のロック部116に、ロック解除信号を出力する。なお、初期状態では、ロック部116は、蓋部112をロックした状態に保っている。これにより、ロック部116がアンロック状態となり、蓋部112は開ける状態となり、利用者は、返却口24hを通じて図書200を返却できるようになる。
【0196】
次ステップS304では、制御部80は、上記ステップS303処理後の一定時間内において、第2読取部122を通じてタグ202に記憶されたタグデータを受信したか否かを判別する。ここで、利用者が、図書200を返却口24hへ投入すると、図書200は傾斜ガイド130上を滑って返却用収納台車120内に入る。図書200が傾斜ガイド130上を滑り落ちる際、第2読取部122が図書200のタグ202と通信を行い、タグデータを受信する。ここで、タグデータの受信無しと判別された場合には、ステップS306に進む。タグデータの受信有りと判別された場合には、ステップS305に進む。
【0197】
ステップS306では、制御部80は、投入物検出部123の検出信号に基づいて滑落物(図書200)の有無を検出する。ここで、滑落物ありと利用者が、図書200等の物体を返却口24hへ投入すると、図書200等の物体は傾斜ガイド130上を滑って返却用収納台車120内に入る。図書200等の物体が傾斜ガイド130上を滑り落ちる際、投入物検出部123が照射している光の反射光の有無を検出することで、滑落物の有無を検出する。そして、YESと判定された場合、S307に進む。また、NOと判定された場合、S310に進む。なお、S310に進む際に、音声案内又は表示部等によって、「書籍を返却してください」等を報知するとよい。
【0198】
ステップS310では、制御部80は、ロック解除信号出力後、予め設定された時間を経過したか否かを判断する。あらかじめ設定された時間は、例えば、30秒である。ここで、予め設定された時間を経過したと判断されると、ステップS309に進む。また、予め設定された時間を経過したと判断されないと、ステップS304に戻る。
【0199】
一方、ステップS305に進んだ場合、図書管理データ84dを参照し、第2読取部122を通じて読取られた識別符号が貸出し中の図書200に対応するものか否かが判定される。ここで、YESと判定された場合には、ステップS307に進む。また、NOと判定された場合には、ステップS306に進む。
【0200】
次ステップS307において、制御部80は、図書管理データ84dを更新する。更新するデータとしては、例えば、返却を受け付けた図書200の借主、返却期限等をクリアする。
【0201】
次ステップS309では、返却口24hのロック部116にロック信号を出力する。これを受けてロック部116が蓋部112をロックすることで、利用者等が返却口24hの蓋部112を開けることができなくなる。
【0203】
{4.効果等について}
実施形態に係る図書返却装置100によると、図書200が通過可能な態様で開口する返却口24hが形成され、外部と図書200の収納空間23とを分ける仕切24と、返却口24hを開閉可能に覆うように設けられた蓋部112と、蓋部112が閉じている状態で蓋部112をロック及びロック解除可能であるとともにロック解除信号に基づいてロック及びロック解除を切り替え可能なロック部116とを含む遮蔽機構部110と、外部であって返却口24h周辺に位置する図書200に取り付けられたタグ202内に保存された識別データを読み取り可能な第1読取部121と、第1読取部121が読み取った識別データに基づいて、図書200が返却可能な図書であるかどうか判定し、返却可能な図書であると判定した場合に、ロック部にロック解除信号を出力する制御部80と、を備えるため、当該貸出施設の蔵書であることを確認できない場合には、ロック部116のロックが解除されず、蓋部112が開かない。これにより、返却口24hから他館の蔵書又はゴミなど当該貸出施設の蔵書以外の物がなるべく入れられないようにすることができる。
【0204】
また、返却口24hを通過し、収納空間23内に位置する図書200に取り付けられたタグ202に保存された識別データを読み取り可能な第2読取部122をさらに備えるため、図書200が返却口24hから投入されたことを認識可能となる。これにより、適切なタイミングで蓋部112をロックすることができる。
【0205】
また、外部に設けられるとともに、その上面が第1読取部121で図書200を読み取り可能な位置から仕切24に至るまで滑らかに連続するように設けられた返却テーブル27をさらに備え、返却口24hが、仕切24のうち返却テーブル27の上面と連なる部分に設けられているため、利用者は、借りていた図書200を返却テーブル27の上面を滑らせるようにして返却口24hに入れることができる。これにより、利用者は、図書200の返却作業が容易になる。
【0206】
また、返却口24hの下方に容器状の収納部120aが配置されているため、収納部120aを取り出すことで、返却された図書200を図書返却装置100から容易に取り出すことができる。さらに、ここでは、収納部120aが返却用収納台車120に設けられ、図書返却装置100内に収められた返却用収納台車120に返却された図書200がたまるため、返却された図書200を返却用収納台車120ごと取り出すことで、図書返却装置100から容易に取り出すことができる。この際、図書館員等の作業者が図書200の汚損状況をチェックすることで、図書200の補修等を随時行うことができる。
【0207】
また、図書200が返却口24hを通過したことを検知可能な投入物検出部123をさらに備えるため、第2読取部122が設けられない場合、又は設けられる場合であっても図書200のタグを読み取れない場合でも、図書200と思しき物体が返却口24hを通過したことを検知することができる。
【0208】
{変形例}
なお、上記実施形態では、図書返却装置100は、自動図書貸出装置20とともに、図書取扱装置10の一部とされていたが、図書返却装置は、例えば、有人の貸出窓口で貸し出された図書を図書返却装置で受け付ける態様など、図書返却装置のみで独立して運用される場合もあり得る。また、
図25のように、自動図書貸出装置320と図書返却装置400とが分離して設置されている場合もあり得る。これらの場合、図書返却装置400において、図書200の格納空間は、利用者が存在する外部空間に対して、パネル等によって仕切られている。
【0209】
また、これらの場合には、図書返却装置の制御部が、独立している、又は、自動図書貸出装置の制御部と分離されていることが考えられる。このような場合の図書返却装置の制御部は例えば、以下のように構成されていればよい。即ち、制御部は、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置等がバスラインを介して相互接続されたコンピュータによって構成されている。ROMは本コンピュータを起動させるための基本プログラム(BIOS)等を格納しており、RAMはCPUが所定の手順に従った処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置は、フラッシュメモリ或はハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。
【0210】
外部記憶装置には、OS(オペレーションシステム)、返却制御プログラム84c、図書管理データ等が格納されている。ここで、図書返却装置の制御部の図書管理データは、上記図書管理データ84dでもよいし、上記図書管理データ84dのうちの一部(例えば、借主と返却期限)だけを抜粋したものであってもよい。
【0211】
そして、CPUは、入出力インターフェースを介して、図書返却装置100の遮蔽機構部110、第1読取部121及び第2読取部122等と通信可能に接続されている。
【0212】
この際、本制御部が、通信インターフェースを介して外部の自動図書貸出装置又は有人窓口に設置された制御部等と、相互通信可能に接続され、図書管理データを共有可能、又は、それぞれ有する図書管理データ(もしくはその一部)を更新等可能であるとよい。
【0213】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。