(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧縮部は、前記第1通信部が通信する第1電子機器の種別、前記電子機器が送信する前記DICOM画像データの量、及び前記第2通信部が通信する前記他の通信装置に接続された第2電子機器の種別の少なくともいずれかに基づいて決定される圧縮方法を用いて前記DICOM画像データを圧縮する、
請求項2に記載の通信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の通信システムにおけるルータは、SCU装置から受信したデータを、インターネット等のネットワークを介してSCP装置に送信する。ルータは、ネットワークにおける輻輳及び混信等の影響によりネットワーク内で通信エラーが発生すると、SCU装置に対して再送要求をする。したがって、ネットワーク内での通信エラーが頻繁に発生すると、SCU装置は、既に送信したDICOM画像データを何度も再送しなければならなかった。
【0005】
また、SCU装置は、DICOM画像データを送信後、送信したDICOM画像データに対するSCP装置からの応答を受けるまで、次のDICOM画像データを送信することができなかった。したがって、ネットワーク内において通信エラーが発生すると、SCU装置は、再送したDICOM画像データがSCP装置に正常に届いて応答を受信するまで、次のDICOM画像データを送信できなかった。その結果、ネットワークの品質が悪いと、SCU装置は、長時間にわたってDICOM画像データの送信処理を継続しなければならず、次の医療画像の撮影に支障が生じていた。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、SCU装置がSCP装置に対してDICOM画像データを送信する際に、ネットワーク上の通信エラーの影響を受けにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、DICOM規格に基づく通信が可能な電子機器との間でDICOM規格に基づいてデータを送受信する通信装置であって、DICOM規格に基づいて前記電子機器が出力したDICOM画像データを受信する第1通信部と、前記DICOM画像データを一時的に蓄積するバッファ部と、前記バッファ部に蓄積された前記DICOM画像データを、ネットワークを介して他の前記通信装置に送信する第2通信部と、を備える通信装置を提供する。
【0008】
上記の通信装置は、前記第1通信部が受信した前記DICOM画像データを圧縮して圧縮データを生成し、生成した前記圧縮データを前記バッファ部に記憶させる圧縮部をさらに備え、前記第2通信部は、前記圧縮データを前記通信装置に送信してもよい。
【0009】
前記圧縮部は、前記第1通信部が通信する第1電子機器の種別、前記電子機器が送信する前記DICOM画像データの量、及び前記第2通信部が通信する前記他の通信装置に接続された第2電子機器の種別の少なくともいずれかに基づいて決定される圧縮方法を用いて前記DICOM画像データを圧縮してもよい。
【0010】
前記第2通信部は、前記他の通信装置が前記圧縮データを受信したことを示す送達確認メッセージを前記他の通信装置から受信し、上記の通信装置は、前記第2通信部が前記送達確認メッセージを受信するまで、前記バッファ部に前記DICOM画像データ及び前記圧縮データの少なくともいずれかを保持させ、前記第2通信部が前記送達確認メッセージを受信した後に、前記バッファ部から前記DICOM画像データ及び前記圧縮データの少なくともいずれかを削除する制御部をさらに備えてもよい。
【0011】
また、前記通信装置に、前記DICOM画像データを受信する複数の前記電子機器が接続されている場合に、前記第1通信部は、前記第2通信部を介して前記他の通信装置から受信した前記DICOM画像データの種別に基づいて、前記複数の電子機器から一以上の電子機器を選択し、選択した前記一以上の電子機器に、前記DICOM画像データを送信してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様においては、互いに通信可能な第1通信装置及び第2通信装置を備える通信システムであって、前記第1通信装置は、DICOM規格に基づく通信が可能な第1電子機器が出力したDICOM画像データを受信する第1通信部と、前記DICOM画像を一時的に蓄積する第1バッファ部と、前記第1バッファ部に蓄積された前記DICOM画像データを、ネットワークを介して前記第2通信装置に送信する第2通信部と、を有し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から受信した前記DICOM画像データを受信する第3通信部と、前記第3通信部が受信した前記DICOM画像データを一時的に蓄積する第2バッファ部と、前記第2バッファ部に蓄積された前記DICOM画像データを、DICOM規格に基づく通信が可能な第2電子機器に送信する第4通信部と、を有する、通信システムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、SCU装置がSCP装置に対してDICOM画像データを送信する際に、ネットワーク上の通信エラーの影響を受けにくくなるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る通信システムS1の構成を示す図である。通信システムS1は、ネットワークNを介して互いにデータを送受信可能なルータ1A及びルータ1Bと、ルータ1Aに接続されたSCU装置2と、ルータ1Bに接続されたSCP装置3とを有する。
【0016】
ルータ1A及びルータ1Bは、VPN(Virtual Private Network)により互いに接続される。ルータ1AとSCU装置2との間、及びルータ1BとSCP装置3との間は、例えばLAN(Local Area Network)により接続されている。
【0017】
SCU装置2は、CT診断装置、MRI診断装置、及び超音波診断装置等の医療機器(モダリティ装置)である。SCU装置2は、DICOM画像データを生成し、生成したDICOM画像データをルータ1Aに送信する。SCU装置2は、DICOM規格により定められた通信プロトコルに則った通信手順(以下、「DICOM通信手順」という)を用いて、DICOM画像データをルータ1Aに送信する。
【0018】
ルータ1Aは、SCU装置2から受信したDICOM画像データを、内蔵するバッファに一時的に蓄積する。ルータ1Aは、バッファに蓄積したDICOM画像データを圧縮して圧縮データを生成し、圧縮データを、ルータ1A及びルータ1Bの間での通信に用いられる独自通信手順を用いてルータ1Bに送信する。
【0019】
ルータ1Bは、ルータ1Aから受信した圧縮データをバッファに一時的に蓄積する。ルータ1Bは、バッファに蓄積した圧縮データを解凍し、解凍後のDICOM画像データを、DICOM通信手順を用いてSCP装置3に送信する。
【0020】
SCP装置3は、複数のSCU装置2から送信されるDICOM画像データを管理している。SCP装置3は、例えば、SCU装置2から受信したDICOM画像データに、当該DICOM画像データを送信したSCU装置2の識別番号を付してハードディスク等の記憶媒体に記憶する。
【0021】
以上のとおり、通信システムS1においては、ルータ1A及びルータ1Bが、夫々SCU装置2及びSCP装置3との間でDICOM通信手順を用いてDICOM画像データの送受信をする。また、ルータ1A及びルータ1Bは、バッファにDICOM画像データを蓄積し、独自通信手順を用いて、DICOM画像データを圧縮した圧縮データを互いに送受信する。このようにすることで、SCU装置2は、ネットワークNにおいて通信エラーが発生した場合であっても、SCP装置3からの応答を待つことなく、次のDICOM画像データを送信することができるので、DICOM画像データを送信する際に、ネットワーク上の通信エラーの影響を受けにくくなる。
以下、ルータ1A及びルータ1Bの構成及び動作について詳細に説明する。
【0022】
[ルータ1Aの構成]
図2は、ルータ1Aの構成を示す図である。ルータ1Bも、ルータ1Aと同様の構成を有する。ルータ1Aは、LAN通信部10と、WAN通信部20と、記憶部30と、制御部40とを有する。
【0023】
LAN通信部10は、例えばLANコントローラであり、SCU装置2との間でデータを送受信することができる。
図2においては、LAN通信部10にSCU装置2が接続されているが、LAN通信部10には、SCP装置3が接続されていてもよく、一以上のSCU装置2及び一以上のSCP装置3が接続されていてもよい。LAN通信部10は、SCU装置2又はSCP装置3から受信したDICOM画像データを制御部40へと出力する。また、LAN通信部10は、制御部40から入力されたDICOM画像データをSCU装置2又はSCP装置3へと出力する。
【0024】
WAN通信部20は、例えば光通信回線とのインターフェイスであり、光通信回線の終端装置(不図示)を介してネットワークNに接続されている。WAN通信部20は、制御部40から入力された圧縮データをネットワークNに送信し、送信した圧縮データをルータ1Bが受信したことを示す送達確認メッセージを受信する。また、WAN通信部20は、ネットワークNを介して受信した圧縮データを制御部40へと出力し、圧縮データを受信したことを示す送達確認メッセージをルータ1Bに送信する。
【0025】
記憶部30は、ROM及びRAM等の記憶媒体である。記憶部30は、ハードディスクを含んでもよい。記憶部30は、制御部40が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部30は、LAN通信部10を介してSCU装置2から受信したDICOM画像データ、ルータ1Bに送信する圧縮データ、WAN通信部20を介してルータ1Bから受信した圧縮データ、及びSCP装置3に送信するDICOM画像データを蓄積するバッファを有する。バッファのサイズは、例えば、ルータ1Aに接続されるSCU装置2の台数、及びSCU装置2の種別に基づいて決定されたサイズである。
【0026】
制御部40は、例えばCPUである。制御部40は、記憶部30に記憶されたプログラムを実行することにより、DICOM通信部41、圧縮/解凍部42及び独自通信部43として機能する。
【0027】
DICOM通信部41は、SCP部411及びSCU部412を有する。SCP部411は、LAN通信部10を介して接続されたSCU装置2からDICOM画像データを受信する。DICOM通信部41は、LAN通信部10を介してSCU装置2からDICOM画像データの送信要求を受信した場合に、SCP部411を起動することにより、SCP部411に、SCU装置2が送信したDICOM画像データを受信させる。
【0028】
SCP部411は、受信したDICOM画像データを、順次、記憶部30内のバッファ領域に記憶させる。SCP部411は、SCU装置2から全てのDICOM画像データを受信すると、SCU装置2に対して応答メッセージを送信する。
【0029】
SCU部412は、LAN通信部10を介して接続されたSCP装置3にDICOM画像データを送信する。DICOM通信部41は、WAN通信部20を介してルータ1Bから圧縮データの送信要求を受信した場合に、SCU部412を起動することにより、SCU部412に、ルータ1Bが送信した圧縮データを受信させる。
【0030】
SCU部412は、圧縮/解凍部42から、ネットワークNを介して受信した圧縮データの解凍が完了し、解凍後のDICOM画像データが記憶部30内のバッファに格納された旨の通知を受けると、記憶部30に記憶されているDICOM画像データを読み出す。SCU部412は、読み出したDICOM画像データを、LAN通信部10を介してSCP装置3へと出力する。
【0031】
SCU部412は、LAN通信部10が、SCP装置2に送信したDICOM画像データを受信したことを示す応答メッセージをSCP装置2から受信するまで、記憶部30内のバッファにDICOM画像データが保持された状態を維持する。SCU部412は、LAN通信部10が応答メッセージを受信した後に、記憶部30内のバッファから、送信が完了したDICOM画像データを削除する。
【0032】
圧縮/解凍部42は、圧縮部421及び解凍部422を有する。圧縮部421は、記憶部30に蓄積された、SCU装置2から受信したDICOM画像データを圧縮することにより圧縮データを生成する。圧縮部421は、可逆圧縮方式によりDICOM画像データを圧縮することが好ましいが、非可逆圧縮方式により圧縮してもよい。圧縮部421は、生成した圧縮データを独自通信部43へと出力する。圧縮部421は、生成した圧縮データを記憶部30に記憶させ、圧縮データを記憶部30に記憶させた旨を独自通信部43に通知してもよい。
【0033】
圧縮部421は、LAN通信部10が通信するSCU装置2の種別、又はSCU装置2が送信するDICOM画像データの量に基づいて、圧縮方法を決定する。例えば、圧縮部421は、SCU装置2が、大容量のDICOM画像データを送信するCT装置である場合に、圧縮率が高い圧縮方法を用いることに決定し、SCU装置2が、比較的小容量のDICOM画像データを送信するレントゲン装置である場合に、圧縮率が低い圧縮方法を用いることに決定する。
【0034】
圧縮部421は、SCU装置2から受信したDICOM画像データの量が所定の第1閾値よりも小さい場合に、受信したDICOM画像データを圧縮しないで独自通信部43へと出力してもよい。圧縮部421は、SCU装置2から受信したDICOM画像データの量が第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合には、DICOM画像データの量が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合よりも圧縮率が高い圧縮方法を使用してもよい。
【0035】
また、圧縮部421は、WAN通信部20が通信するルータ1Bに接続されたSCP装置3の種別に基づいて、SCP装置3に適した圧縮方法を用いてDICOM画像データを圧縮してもよい。例えば、SCP装置3が、DICOM画像データを圧縮した状態で蓄積している場合、圧縮部421は、SCP装置3が使用する圧縮方法を用いて圧縮データを生成し、ルータ1Bは、ルータ1Aから受信した圧縮データを解凍しないでSCP装置3に送信してもよい。このように、圧縮部421がSCP装置3の種別に基づいて圧縮方法を選択できるようにするために、圧縮部421は、圧縮データの送信を開始する前に、ルータ1BからSCP装置3の種別を示す情報を取得する。
【0036】
さらに、圧縮部421は、ネットワークNにおけるエラー発生率及び遅延時間等の通信品質に基づいて、圧縮方法を選択してもよい。例えば、圧縮部421は、ルータ1Bとの間でのデータの再送回数、及びデータを送信してから送達確認メッセージを受信するまでの時間に基づいて通信品質を判定し、通信品質が所定のレベルより低い場合に圧縮率が高い圧縮方法を選択する。このようにすることで、圧縮部421は、通信品質が悪い場合に圧縮データのサイズを小さくできるので、通信品質が低い影響を受けにくくすることができる。
【0037】
解凍部422は、独自通信部43がルータ1Bから受信した圧縮データを解凍して、DICOM画像データを再生する。解凍部422は、再生したDICOM画像データを記憶部30に記憶させる。解凍部422は、LAN通信部10にSCP装置3が接続されている場合、SCP装置3の種別に基づいて、独自通信部43から入力された圧縮データを解凍するか否かを決定してもよい。例えば、SCP装置3が、DICOM画像データを圧縮した状態で蓄積している場合、解凍部422は、圧縮データを解凍することなく、そのままの状態でSCU部412及びLAN通信部10を介してSCP装置3に出力する。
【0038】
独自通信部43は、WAN通信部20を介して、ルータ1Bとの間で圧縮データを送受信するための処理を行う。具体的には、独自通信部43は、ルータ1Bの独自通信部43との間でVPNの接続手順を実行してVPN接続を確立した後に、圧縮部421が生成した圧縮データを、WAN通信部20を介してルータ1Bに送信する。また、独自通信部43は、WAN通信部20を介して、ルータ1Bから圧縮データを受信し、受信した圧縮データを記憶部30に記憶させる。独自通信部43は、ネットワークNにおいて通信エラーが発生した場合、再送処理等のエラー処理を行う。
【0039】
独自通信部43は、WAN通信部20が、ルータ1Bに送信した圧縮データを受信したことを示す送達確認メッセージをルータ1Bから受信するまで、記憶部30内のバッファに圧縮データが保持された状態を維持する。独自通信部43は、WAN通信部20が送達確認メッセージを受信した後に、記憶部30内のバッファから、送信が完了した圧縮データを削除する。独自通信部43は、同じタイミングで、記憶部30内のバッファに蓄積されたDICOM画像データを削除してもよい。
【0040】
[ルータ1Aにおける処理手順を示すフローチャート]
図3は、ルータ1Aにおける処理手順を示すフローチャートである。まず、ルータ1Aは、電源が投入されると、独自通信部43がルータ1Bとの間でVPN接続の処理を実行する(S101)。ルータ1A及びルータ1Bが互いにVPN接続されると、DICOM通信部41は、LAN通信部10及びWAN通信部20におけるデータの受信を監視する。具体的には、DICOM通信部41は、LAN通信部10を介してSCU装置2が送信したデータを受信したか否かを監視する(S102)。DICOM通信部41は、SCU装置2が送信したデータを受信したことを検出すると(S102においてYes)、SCPモードに設定し、SCP部411が動作を開始する(S103)。
【0041】
SCP部411は、SCU装置2から受信したデータを、記憶部30内のバッファに格納する(S104)。また、SCP部411は、SCU装置2に対して、データを受信したことに対する応答メッセージを送信する(S105)。続いて、圧縮部421は、SCU装置2から受信したデータを記憶部30から読み出して、圧縮データを生成し、生成した圧縮データを記憶部30内のバッファに記憶させる(S106)。独自通信部43は、バッファに記憶されている圧縮データをルータ1Bに送信する(S107)。その後、ルータ1は、電源がオフされると(S108においてYes)、処理を終了し、電源がオフされていないと(S108においてNo)、S102に戻って処理を継続する。
【0042】
DICOM通信部41は、S102において、SCU装置2が送信したデータを受信していない場合は(S102においてNo)、ルータ1Bが送信した圧縮データをWAN通信部20が受信したか否かを監視する(S109)。DICOM通信部41は、ルータ1Bが送信した圧縮データをWAN通信部20が受信したことを検出すると(S109においてYes)、SCUモードに設定し、SCU部412が動作を開始する(S110)。
【0043】
WAN通信部20が圧縮データを受信した場合、独自通信部43は、ルータ1Bから受信したデータを、記憶部30内のバッファに格納する(S111)。また、独自通信部43は、WAN通信部20を介して、圧縮データを受信したことに対する送達確認メッセージをルータ1Bに送信する(S112)。続いて、解凍部422は、ルータ1Bから受信した圧縮データを記憶部30から読み出して、読み出した圧縮データを解凍して、DICOM画像データを再生する(S113)。解凍部422は、再生したDICOM画像データを記憶部30内のバッファに格納するとともに、SCU装置2に送信する(S114)。
【0044】
[通信シーケンス]
図4は、SCU装置2からSCP装置3に対してDICOM画像データを送信する場合の通信シーケンスを示す図である。
図4は、SCU装置2が、データa1〜a4を送信する場合の通信シーケンスを示している。本例においては、データa1〜a4が全て揃って、一つの画像を再生できるものとする。
【0045】
ルータ1Aは、SCU装置2が送信したデータa1を受信すると、データa1の圧縮データ(圧縮データa1)をルータ1Bに送信する。ルータ1Bは、データa1を受信したことを通知する送達確認メッセージをルータ1Aに送信する。なお、ルータ1Bにおいては、データa1〜a4の全てが揃うまでの間、データa1及び圧縮データa1の少なくともいずれかをバッファに格納した状態で待機する。
【0046】
続いて、ルータ1Aは、SCU装置2が送信したデータa2を受信すると、圧縮データa2をルータ1Bに送信する。ここで、ルータ1Aが圧縮データa2を送信した後に、ネットワークNにおいて通信エラーが発生し、圧縮データa2がルータ1Bに到達していない。その結果、ルータ1Aは、圧縮データa2に対する送達確認メッセージをルータ1Bから受信できない。ルータ1Aは、所定の時間以内にルータ1Bから送達確認メッセージを受信しない場合、通信エラーが発生したと判定して、圧縮データa2を再送する。
【0047】
ルータ1Aは、圧縮データa2の再送処理を行っている間にも後続のデータa3及びデータa4をSCU装置2から受信する。ルータ1Aは、データa1〜a4を受信すると、受信が完了したことを通知する応答メッセージをSCU装置2に送信する。
【0048】
ルータ1Aは、SCU装置2に応答メッセージを送信した後も、バッファに格納している圧縮データa3及び圧縮データa4をルータ1Bに送信する動作を継続する。ルータ1Bは、圧縮データa1〜a4を解凍して得られるデータa1〜a4の全てが揃うと、SCP装置3に対して、データa1〜a4を送信する。
【0049】
ルータ1Aは、ルータ1Bにデータa3及びデータa4を送信している間に、新たなデータb1〜b3をSCU装置2から受信し、SCU装置2に対して応答メッセージを送信する。
ルータ1Aは、SCU装置2から受信したデータ及び圧縮データの少なくともいずれかをバッファに格納しているので、ルータ1Bとの間の通信においてエラーが発生しても、SCU装置2に影響を与えることなく再送処理を行い、SCU装置2からは、新たなデータを継続的に受信することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るルータ1Aは、SCU装置2から受信したDICOM画像データ及び圧縮データの少なくともいずれかを一時的に蓄積するバッファ、並びにルータ1Bから受信した圧縮データ及び解凍後のDICOM画像データの少なくともいずれかを一時的に蓄積するバッファを有する。また、ルータ1Bは、ルータ1Aから受信した圧縮データ及び解凍後のDICOM画像データを一時的に蓄積するバッファ、並びにSCP装置3から受信したDICOM画像データ及び圧縮データの少なくともいずれかを一時的に蓄積するバッファを有する。このようにすることで、ルータ1Aとルータ1Bとの間で通信エラーが発生し、ルータ1Aとルータ1Bとの間の通信処理に長時間を要する場合であっても、SCU装置2は、通信エラーの影響を受けることなく、DICOM画像データをルータ1Aに送信し続けることができる。
【0051】
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態に係る通信システムS2の構成を示す図である。
図5に示す通信システムS2においては、ルータ1AにSCU装置2A及びSCP装置3Aが接続され、ルータ1BにはSCU装置2B及びSCP装置3Bが接続されている。
【0052】
通信システムS2においては、SCU装置2AからSCP装置3Bに対して、
図4に示した通信シーケンスでDICOM画像データが送信されると同時に、SCU装置2BからSCP装置3Aに対して、同様のシーケンスでDICOM画像データが送信される。通信システムS2は、例えば、多数のSCU装置2を使用しているとともに、DICOM画像データを管理するSCP装置3を備えた病院において好適である。
図5に示す通信システムS2によれば、このような病院間でDICOM画像データを容易に送受信することが可能になる。
【0053】
<第3の実施形態>
図6は、第3の実施形態に係る通信システムS3の構成を示す図である。
図6に示す通信システムS3においては、SCU装置2が、ルータ1Bに接続されたSCP装置3B及びルータ1Cに接続されたSCP装置3Cに対して、同一のDICOM画像データに基づく圧縮データを送信する点で、第1の実施形態と異なる。ルータ1Cは、ルータ1A及びルータ1Bと同等の構成を有する。
【0054】
通信システムS3のルータ1Aは、ルータ1B及びルータ1Cの両方から、DICOM画像データの受信が完了したことを示す応答メッセージを受信すると、記憶部30に蓄積されているDICOM画像データ又は圧縮データのうち、SCP装置3B及びSCP装置3Cの両方への送信が完了したDICOM画像データ又は圧縮データを削除する。ルータ1Aが送受信するデータを一時的に蓄積するバッファを有していることにより、このように、ルータ1Aは任意の数のルータ1に対して同一の圧縮データを送信することができる。したがって、SCU装置2は、例えばSCP装置3Bに送信したDICOM画像データを、バックアップ用のデータとしてSCP装置3Cに送信することが可能になる。
【0055】
<第4の実施形態>
第1の実施形態においては、ルータ1Aに1台のSCP装置3が接続されていた。これに対して、第4の実施形態においては、ルータ1Aに複数のSCP装置3が接続されている点で、第1の実施形態と異なる。
【0056】
DICOM通信部41は、ルータ1Aに複数のSCP装置3が接続されている場合に、独自通信部43を介してルータ1Bから受信したDICOM画像データの種別に基づいて、複数のSCP装置3から一以上のSCP装置3を選択する。そして、DICOM通信部41は、選択した一以上のSCP装置3に、受信したDICOM画像データを送信する。
【0057】
DICOM通信部41は、例えば、DICOM画像データに付されたタグが示す情報に基づいて、DICOM画像データの種別を識別する。DICOM画像データのタグには、検査日、検査装置名、検査部位(胸部、腹部等)、患者名等の情報が含まれている。DICOM通信部41は、例えばDICOM画像データが胸部レントゲン画像であることを特定すると、胸部レントゲン画像のDICOM画像データを格納するように定められたSCP装置3に、受信したDICOM画像データを送信する。DICOM通信部41は、バックアップ用のSCP装置3を含めて、DICOM画像データの種別ごとに定められた複数のSCP装置3に対して、受信したDICOM画像データを送信してもよい。
【0058】
このようにすることで、ルータ1Aを設置した事業者は、DICOM画像データの種別に応じて異なるSCP装置3にDICOM画像データを格納できる。したがって、例えば、SCP装置3ごとにアクセス可能な人を割り当てることにより、アクセスが必要な人に限定して、DICOM画像データにアクセスできるようにすることが可能になる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。