(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494350
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】減圧用弁
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20190325BHJP
F16K 1/22 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
F16K27/00 A
F16K1/22 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-55471(P2015-55471)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-176490(P2016-176490A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 進
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−135808(JP,A)
【文献】
特開昭49−039827(JP,A)
【文献】
特開2004−138202(JP,A)
【文献】
実開平05−036168(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00 − 27/12
F16K 1/00 − 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の流体が流れる減圧用弁であって、
流入口と流出口とを備えた筒状のボディと、ボディ内に設けられたオリフィス装置および内筒と、ボディの内面に設けられた断熱材とを有し、
オリフィス装置はオリフィス板を有し、
内筒の入口側端部がボディの流入口側端部に取り付けられ、
オリフィス板が内筒の出口側端部に取り付けられ、
内筒は、出口側が入口側よりも縮径した円錐台状であり、断熱材に埋め込まれており、ボディと同じ材質の接合用筒部と、接合用筒部よりも耐熱性に優れた異なる材質の本体筒部とを有し、
接合用筒部の一端がボディの流入口側端部に溶接され、
接合用筒部の他端と本体筒部の一端とが溶接され、
本体筒部の他端にオリフィス板が取り付けられていることを特徴とする減圧用弁。
【請求項2】
高温の流体が流れる減圧用弁であって、
流入口と流出口とを備えた筒状のボディと、ボディ内に設けられたオリフィス装置および内筒と、ボディの内面に設けられた断熱材とを有し、
オリフィス装置はオリフィス板と可変オリフィスを有し、
内筒の入口側端部がボディの流入口側端部に取り付けられ、
オリフィス板が内筒の出口側端部に取り付けられ、
内筒は、出口側が入口側よりも縮径した円錐台状であり、断熱材に埋め込まれており、
可変オリフィスは、オリフィス板の下流側に設けられた弁箱と、弁箱内に設けられた回動自在な弁体と、弁体に設けられた弁棒とを有し、
弁箱は流れ方向における両端部が開口し、
弁箱に第1弁棒挿通穴が貫通して形成され、
ボディに第2弁棒挿通穴が貫通して形成され、
弁棒は流れ方向に直交する方向から第1および第2弁棒挿通穴に挿通され、
弁棒と第1弁棒挿通穴の周縁との間に、ボディの流路軸心方向における弁箱とボディとの熱膨張量の差を吸収する熱膨張吸収代が形成されていることを特徴とする減圧用弁。
【請求項3】
断熱材は、オリフィス板よりも流入口側の領域から、オリフィス板の外周とボディの内周との間の領域を介し、オリフィス板よりも流出口側の領域にわたって、流れ方向に連続して設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の減圧用弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高温の排ガス等の流体が流れる減圧用弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の減圧用弁としては、例えば
図7に示すように、流入口101と流出口102とを有する円筒状のボディ103と、ボディ103内に設けられたオリフィス装置104と、ボディ103の内周面に設けられた断熱用ライニング材105とを有するものがある。
【0003】
オリフィス装置104はオリフィス板106と可変オリフィス107とを有している。オリフィス板106は、中央部が開口した円形の板であり、複数の流通孔108を有している。また、可変オリフィス107にはバタフライ弁が用いられており、可変オリフィス107はオリフィス板106の下流側に設けられている。
【0004】
ボディ103の内周面には円環状の座板110が全周にわたり設けられている。オリフィス板106は複数のボルト,ナット111によって座板110に接続されている。
これによると、高温の排ガス116が、スライド弁115を通って、減圧用弁114の流入口101からボディ103内に流れ込み、オリフィス板106の流通孔108と可変オリフィス107を通過して、流出口102から流出する。これにより、排ガス116が減圧される。
【0005】
尚、上記のような減圧用弁114の上流側には、適切な長さの配管115を介して高温用のスライド弁(図示省略)が設置されており、この高温用のスライド弁については例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平2−66770
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、排ガス116の熱によりオリフィス板106が高温に加熱され、オリフィス板106の熱が座板110とボルト,ナット111を経てボディ103に伝わり、ボディ103の一部分Bが他の部分よりも局所的に高温になり、ボディ103の一部分Bが径方向へ熱膨張する。
【0008】
これに対して、断熱用ライニング材105の熱膨張量はボディ103の熱膨張量よりも少なく、このため、
図8に示すように、ボディ103の一部分Bと断熱用ライニング材105との間に微小な隙間117が発生し、ボディ103内を流れる高温の排ガス116の一部が、オリフィス板106と断熱用ライニング材105との境界部分118、座板110と断熱用ライニング材105との境界部分119およびオリフィス板106と座板110との間等を伝って、上記隙間117に侵入する。
【0009】
これにより、次第にボディ103の高温箇所が増加し、上記隙間117に高温の排ガス116の流れが生じた場合、ボディ103の内面が排ガス116の流れにより摩耗し、ボディ103が損傷するといった問題がある。
【0010】
本発明は、ボディの損傷を防止することが可能な減圧用弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、高温の流体が流れる減圧用弁であって、
流入口と流出口とを備えた筒状のボディと、ボディ内に設けられたオリフィス装置および内筒と、ボディの内面に設けられた断熱材とを有し、
オリフィス装置はオリフィス板を有し、
内筒の入口側端部がボディの流入口側端部に取り付けられ、
オリフィス板が内筒の出口側端部に取り付けられ、
内筒は、出口側が入口側よりも縮径した円錐台状であり、断熱材に埋め込まれて
おり、ボディと同じ材質の接合用筒部と、接合用筒部よりも耐熱性に優れた異なる材質の本体筒部とを有し、
接合用筒部の一端がボディの流入口側端部に溶接され、
接合用筒部の他端と本体筒部の一端とが溶接され、
本体筒部の他端にオリフィス板が取り付けられているものである。
【0012】
これによると、流入口からボディ内に流入した高温の流体は、オリフィス装置によって減圧され、流出口から流出する。この際、高温の流体の熱によりオリフィス板が高温に加熱され、オリフィス板の熱が内筒を経てボディに伝わる。これにより、オリフィス板の熱がボディに伝わるまでの伝熱経路の長さが従来よりも長くなり、さらに、内筒は断熱材に埋め込まれているため、内筒の入口側端部の温度が出口側端部の温度よりも大幅に低下する。
【0013】
これにより、ボディの一部分が他の部分よりも局所的に高温になるのを抑制することができ、ボディの一部分と断熱材との間に微小な隙間が発生するのを防止することができるため、ボディの内面が高温の流体により摩耗して損傷するのを防止することができる。
【0014】
また、本体筒部の一端と接合用筒部の他端とを溶接することにより、内筒が形成される。この際、本体筒部の材質と接合用筒部の材質とは異なっているが、内筒の内周面側と外周面側との両側から完全溶け込み溶接することが可能であるため、溶接部分の強度を高く保つことができる。
【0015】
また、内筒の接合用筒部の材質はボディの材質と同じであるため、接合用筒部の一端をボディの流入口側端部に溶接する際、容易かつ確実に溶接することができる。これにより、内筒を容易にボディ内に取り付けることができる。
【0016】
本第
2発明における減圧用弁は、
高温の流体が流れる減圧用弁であって、
流入口と流出口とを備えた筒状のボディと、ボディ内に設けられたオリフィス装置および内筒と、ボディの内面に設けられた断熱材とを有し、
オリフィス装置はオリフィス板と可変オリフィスを有し、
内筒の入口側端部がボディの流入口側端部に取り付けられ、
オリフィス板が内筒の出口側端部に取り付けられ、
内筒は、出口側が入口側よりも縮径した円錐台状であり、断熱材に埋め込まれており、
可変オリフィスは、オリフィス板の下流側に設けられた弁箱と、弁箱内に設けられた回動自在な弁体と、弁体に設けられた弁棒とを有し、
弁箱は流れ方向における両端部が開口し、
弁箱に第1弁棒挿通穴が貫通して形成され、
ボディに第2弁棒挿通穴が貫通して形成され、
弁棒は流れ方向に直交する方向から第1および第2弁棒挿通穴に挿通され、
弁棒と第1弁棒挿通穴の周縁との間に、ボディの流路軸心方向における弁箱とボディとの熱膨張量の差を吸収する熱膨張吸収代が形成されているものである。
【0017】
これによると、
流入口からボディ内に流入した高温の流体は、オリフィス装置によって減圧され、流出口から流出する。この際、弁棒を介して弁体を回動して、可変オリフィスの開度を変更することにより、減圧される流体の圧力を調節することができる。
【0018】
この際、弁箱とボディとは高温の流体によって流路軸心方向へ熱膨張するが、弁箱の熱膨張量とボディの熱膨張量とに差がある場合、両者の熱膨張量の差は熱膨張吸収代によって吸収される。これにより、弁箱とボディとの熱膨張量の差によって弁箱又はボディ或いは弁棒が損傷するのを防止することができる。
【0019】
本第
3発明における減圧用弁は、
断熱材は、オリフィス板よりも流入口側の領域から、オリフィス板の外周とボディの内周との間の領域を介し、オリフィス板よりも流出口側の領域にわたって、流れ方向に連続して設けられているものである。
【0020】
これによると、
断熱材は、オリフィス板を境にして流入口側の領域と流出口側の領域とに分断されることなく、オリフィス板よりも流入口側の領域から流出口側の領域にわたって、流れ方向に連続して設けられている。これにより、断熱効果が向上し、内筒の入口側端部の温度が出口側端部の温度よりも大幅に低下するため、ボディの一部分が他の部分よりも局所的に高温になるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によると、ボディの一部分が他の部分よりも局所的に高温になるのを抑制することができ、ボディの一部分と断熱材との間に微小な隙間が発生するのを防止することができるため、ボディの内面が高温の流体により摩耗して損傷するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態における減圧用弁の断面図である。
【
図3】同、減圧用弁の内筒の入口側端部の拡大断面図である。
【
図5】
図4における弁箱の両第1ボス部28の箇所の拡大断面図である。
【
図6】
図5におけるZ−Z矢視図であり、(a)はボディと弁箱とに熱膨張量の差が生じていない状態を示し、(b)はボディと弁箱とに生じた熱膨張量の差を熱膨張吸収代で吸収した状態を示す。
【
図8】
図7における座板110の箇所の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1,
図2に示すように、1はガソリンの製造設備の流動接触分解装置の再生塔排ガスライン等に設けられる減圧用弁であり、この減圧用弁1の上流側には、適切な長さの配管2を介して高温用のスライド弁(図示省略)が接続されている。これら減圧用弁1とスライド弁とには、高温の流体の一例として、摩耗性触媒を含有する約800℃の高温で且つ高流速の排ガス3が流れる。
【0025】
減圧用弁1は、円筒状のボディ7と、ボディ7内に設けられたオリフィス装置8および内筒9と、ボディ7の内周面に設けられた断熱ライニング材10(断熱材の一例)とを有している。
【0026】
ボディ7は、一端部に流入口14を有するとともに、他端部に流出口15を有し、内部に、流入口14から流出口15に至る流路が形成されている。また、ボディ7の材質は炭素鋼である。
【0027】
オリフィス装置8はオリフィス板17と可変オリフィス18とを有している。
内筒9の入口側端部E1がボディ7の流入口14側の端部内周に取り付けられ、オリフィス板17が内筒9の出口側端部E2に取り付けられている。内筒9は、出口側が入口側よりも縮径した円錐台状であり、断熱ライニング材10に埋め込まれている。
図1,
図3に示すように、内筒9は、ボディ7と同じ材質である炭素鋼からなる接合用筒部9aと、接合用筒部9aよりも耐熱性に優れた材質であるステンレス鋼からなる本体筒部9bとを有している。接合用筒部9aの一端はボディ7の流入口14側の端部内周に全周溶接されている。また、接合用筒部9aの他端と本体筒部9bの一端とは、両側突き合せ溶接により、内周側と外周側との両側から全周溶接されている。
【0028】
図1,
図2に示すように、オリフィス板17は、中央部が開口したステンレス鋼製の円形の板であり、周方向における複数箇所に流通孔20を有している。オリフィス板17は内筒9の本体筒部9bの他端に溶接されて取付けられている。
【0029】
図1,
図4に示すように、可変オリフィス18は、バタフライ弁であり、オリフィス板17の下流側に設けられた弁箱21と、弁箱21内に設けられた回動自在な弁体22と、弁体22に設けられた弁棒23とを有している。
【0030】
弁箱21は上流側と下流側とに開口部25,26を有するステンレス鋼製の円筒状の部材である。
図1,
図4,
図5に示すように、弁棒23は流れ方向Aに直交する方向からボディ7と弁箱21とに貫通している。すなわち、弁箱21は弁棒23の軸心方向において相対向する一対の円筒状の第1ボス部28を有している。これら両第1ボス部28はそれぞれ、弁箱21の内外両側に貫通する第1弁棒挿通穴29と、内周面に設けられた耐摩耗用ライニング材41とを有している。
【0031】
ボディ7は弁棒23の軸心方向において相対向する一対の円筒状の第2ボス部31を有している。これら両第2ボス部31はそれぞれボディ7の内外両側に貫通する第2弁棒挿通穴32を有している。
【0032】
弁棒23は、両第1ボス部28の第1弁棒挿通穴29と、両第2ボス部31の第2弁棒挿通穴32とに挿通されて、回動自在に保持されている。尚、弁棒23はその外周面に溶接によって固着された円筒状の耐摩耗用のカラー42を有しており、これらカラー42は第1弁棒挿通穴29内に挿入されている。
【0033】
図6(a)に示すように、第1弁棒挿通穴29は、流路軸心16の方向Cにおける直径が上記方向Cに直交する方向Dの直径よりも長い長穴である。これにより、弁棒23のカラー42と第1弁棒挿通穴29の周縁(すなわち耐摩耗用ライニング材41の内周)との間には、上記方向Cにおける弁箱21とボディ7との熱膨張量の差を吸収する熱膨張吸収代33が形成されている。尚、熱膨張吸収代33とは、弁棒23のカラー42と第1弁棒挿通穴29の周縁との間に形成された隙間である。
【0034】
図1に示すように、断熱ライニング材10には例えばキャスタブル耐火物等が用いられている。断熱ライニング材10は、オリフィス板17よりも流入口14側(上流側)の領域36から、オリフィス板17の外周とボディ7の内周との間の領域37を介し、オリフィス板17よりも流出口15側(下流側)の領域38にわたって、流れ方向Aに連続して設けられている。
【0035】
尚、
図2に示すように、ボディ7の外側には、ハンドル44を回すことにより弁棒23を回動させる操作機45が設けられている。
以下、上記構成における作用を説明する。
【0036】
図1に示すように、高温の排ガス3は、スライド弁及び配管2を通過した後、減圧用弁1の流入口14からボディ7内に流入し、オリフィス装置8の流通孔20と弁箱21内を通り、減圧されて流出口15から流出する。この際、操作機45のハンドル44を回すことによって、弁棒23と共に弁体22を回動させ、可変オリフィス18の開度を変更することができるため、減圧される排ガス3の圧力を可変オリフィス18の開度に応じて調節することができる。
【0037】
ボディ7内を流れる排ガス3の熱により、オリフィス装置8が高温に加熱され、オリフィス板17の熱が内筒9を経てボディ7に伝わる。これにより、オリフィス板17の熱がボディ7に伝わるまでの伝熱経路の長さが従来よりも長くなり、さらに、内筒9は断熱ライニング材10に埋め込まれているため、内筒9の入口側端部E1の温度が出口側端部E2の温度よりも大幅に低下する。
【0038】
また、断熱ライニング材10は、オリフィス板17を境にして流入口14側の領域36と流出口15側の領域38とに分断されることなく、オリフィス板17よりも流入口14側の領域36から流出口15側の領域38にわたって、流れ方向Aに連続して設けられている。これにより、断熱効果が向上し、内筒9の入口側端部E1の温度が出口側端部E2の温度よりも大幅に低下する。
【0039】
以上のことから、ボディ7の一部分が他の部分よりも局所的に高温になるのを抑制することができ、ボディ7の一部分と断熱ライニング材10との間に微小な隙間が発生するのを防止することができるため、ボディ7の内面が排ガス3により摩耗して損傷するのを防止することができる。
【0040】
また、
図6(a)に示すように、弁棒23のカラー42と第1弁棒挿通穴29の周縁との間に熱膨張吸収代33が形成されているため、弁箱21の第1ボス部28が弁棒23に対して流路軸心16の方向Cへ変位可能となる。従って、高温の排ガス3によってボディ7と弁箱21とが上記方向Cへ熱膨張した際、ボディ7の熱膨張量と弁箱21の熱膨張量とに差がある場合、両者の熱膨張量の差は熱膨張吸収代33によって吸収される。
【0041】
例えば、
図6(a)を熱膨張する前の状態とし、ボディ7と弁箱21とが排ガス3で加熱されて流れ方向Aに熱膨張する場合、ボディ7の熱膨張量をL1、弁箱21の熱膨張量をL2とすると、弁箱21はボディ7よりも高温になるため、弁箱21の熱膨張量L2はボディ7の熱膨張量L1よりも大きくなり、ボディ7と弁箱21との熱膨張量L1,L2に差L3(L3=L2−L1)が生じることがある。この熱膨張量L1,L2の差L3に応じて、
図6(b)に示すように、弁箱21の第1ボス部28が、弁棒23に対して、熱膨張吸収代33を上記差L3の距離だけ流れ方向Aに変位する。これにより、両者の熱膨張量L1,L2の差L3は熱膨張吸収代33によって吸収され、ボディ7と弁箱21との熱膨張量L1,L2の差L3によってボディ7又は弁箱21或いは弁棒23が損傷するのを防止することができる。
【0042】
尚、
図6(a)に示す熱膨張吸収代33は、想定されるボディ7と弁箱21との熱膨張量L1,L2の差L3の最大値以上の寸法に設定されている。
また、減圧用弁1を製作する際、
図3に示すように、接合用筒部9aの材質(炭素鋼)と本体筒部9bの材質(ステンレス鋼)とは異なっているが、内筒9の内周面側と外周面側との両面側から接合用筒部9aと本体筒部9bとを完全溶け込み溶接することが可能であるため、溶接部分の強度を高く保つことができる。
【0043】
また、内筒9の接合用筒部9aの材質(炭素鋼)はボディ7の材質(炭素鋼)と同じであるため、接合用筒部9aを容易かつ確実にボディ7の流入口14側の端部内周に溶接することができる。これにより、内筒9を容易にボディ7内に取り付けることができる。
【0044】
上記実施の形態では、ボディ7と内筒9の接合用筒部9aとの材質を炭素鋼とし、内筒9の本体筒部9bの材質をステンレス鋼としているが、ボディ7と内筒9の接合用筒部9aとが同じ材質であり、内筒9の本体筒部9bが接合用筒部9aと異なる材質で且つ接合用筒部9aよりも耐熱性に優れた材質であれば、上記の材質に限定されるものではない。
【0045】
上記実施の形態では、
図2に示すように、操作機45のハンドル44を手動で回して可変オリフィス18の開度を変更したが、手動操作ではなく、電動機等を用いて自動的に弁棒23を回動させ、可変オリフィス18の開度を変更してもよい。
【0046】
上記実施の形態では、高温の流体の一例として排ガス3を挙げたが、排ガス3以外の流体であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 減圧用弁
3 排ガス(流体)
7 ボディ
8 オリフィス装置
9 内筒
9a 接合用筒部
9b 本体筒部
10 断熱ライニング材(断熱材)
14 流入口
15 流出口
16a 流路軸心
17 オリフィス板
18 可変オリフィス
21 弁箱
22 弁体
23 弁棒
29 第1弁棒挿通穴
32 第2弁棒挿通穴
33 熱膨張吸収代
36〜38 領域
A 流れ方向
C 流路軸心の方向
E1 内筒の入口側端部
E2 内筒の出口側端部