(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開放揺動された状態の前記空冷式冷却機器と開放揺動された状態の前記別の空冷式冷却機器とが互いに係止されることにより、前記空冷式冷却機器と前記別の空冷式冷却機器との両方が開放揺動された状態に保持されるように構成されている請求項8に記載の作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、防塵ケースと空冷式冷却機器とを同一の支持構造が受け持つため、支持構造にかかる負荷が大きくなっていた。また、仮に、防塵ケースの開放移動用の支持構造が破損した場合、防塵ケースの開放移動が行えなくなるとともに、空冷式冷却機器の開放移動も行えなくなる不都合を生じるおそれがあった。
【0005】
このような実状に鑑み、防塵ケースの開放移動用の支持構造とは関係なく、空冷式冷却機器の開放移動を好適に行うことができる作業車の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車は、
エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、
前記ラジエータに対して機体内側に配置されて、前記ラジエータを冷却する冷却ファンと、
前記ラジエータの機体外側を通気を許容し且つ塵埃の通過を阻止する状態で覆う防塵網を有し、且つ、開放揺動可能な防塵ケースと、
前記防塵網と前記ラジエータとの間に位置する空冷式冷却機器と、が備えられ、
前記空冷式冷却機器は、前記防塵ケースの開放移動方向と異なる方向に開放移動可能に構成され
、
前記防塵ケースと前記空冷式冷却機器とのうちいずれか一方は、上下移動可能に構成され、
前記防塵ケースと前記空冷式冷却機器とのうちいずれか他方は、水平移動可能に構成されているものである。
【0007】
本発明によると、空冷式冷却機器の開放移動方向が、防塵ケースの開放移動方向とは異なるので、空冷式冷却機器は、防塵ケースの開閉移動用の支持構造には支持されないものとなる。よって、防塵ケースの開閉移動用の支持構造が破損する等したとしても、防塵ケースの開閉移動用の支持構造とは関係なく、空冷式冷却機器の開放移動を好適に行うことができる。
【0008】
【0009】
また、本構成によれば、空冷式冷却機器の開放移動方向が、防塵ケースの開放移動方向と略直交する関係となるので、空冷式冷却機器の開放移動操作、防塵ケースの開放移動操作の操作感覚が夫々異なるものとなり、空冷式冷却機器のメンテナンス性を向上できる。
ここで、『上下移動』とは、上下方向に沿った揺動移動や、上下方向に沿ったスライド移動を含む概念である。
また、『水平移動』とは、横方向に沿った揺動移動や、横方向に沿ったスライド移動を含む概念である。
【0010】
上記構成において、
前記防塵ケース及び前記空冷式冷却機器は、回動可能であると好適である。
【0011】
本構成によれば、防塵ケースや空冷式冷却機器がスライド移動可能に構成されているもののようにスライド範囲に不干渉スペースを確保する必要がないので、防塵ケースや空冷式冷却機器のレイアウトが行い易くなる。
【0012】
上記構成において、
前記空冷式冷却機器は、冷却対象である装置と可撓性ホースによって接続され、
前記空冷式冷却機器は、前記可撓性ホースの変形により回動可能であると好適である。
【0013】
本構成によれば、冷却対象である装置に接続される可撓性ホースを空冷式冷却機器の回動構造に兼用できる。このため、空冷式冷却機器に専用の回動構造を設ける必要がなく、構造を簡素化できる。
【0014】
上記構成において、
前記ラジエータを収容するフレーム体に貫通支持部が設けられ、
前記可撓性ホースは、前記貫通支持部に貫通支持され、
前記空冷式冷却機器は、前記貫通支持部の近傍を基点として回動可能であると好適である。
【0015】
本構成によれば、可撓性ホースがフレーム体の貫通支持部から遠い箇所を基点として回動するものに比べて、可撓性ホースの変形量が小さくなり、可撓性ホースの耐久性の低下を抑制できる。
【0016】
上記構成において、
前記貫通支持部は、前記フレーム体に対して着脱可能であると好適である。
【0017】
本構成によれば、フレーム体から貫通支持部を取り外すことにより、可撓性ホースを変形させ易くなり、可撓性ホースが接続される空冷式冷却機器の回動操作が行い易くなる。
また、フレーム体に貫通支持部を取り付けることにより、貫通支持部に可撓性ホースが安定して支持されるものとなる。
【0018】
上記構成において、
前記フレーム体に、前記空冷式冷却機器の開放移動に際して前記可撓性ホースの移動を規制する規制部材が備えられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、規制部材により可撓性ホースが過度に変形しないように規制されるので、可撓性ホースの耐久性の低下を抑制できる。
【0020】
上記構成において、
前記空冷式冷却機器の機体内側に、前記空冷式冷却機器と異なる別の空冷式冷却機器が備えられ、
前記別の空冷式冷却機器は、前記空冷式冷却機器の開放移動方向及び前記防塵ケースの開放移動方向と異なる方向に開放移動可能に構成されていると好適である。
【0021】
本構成によれば、防塵ケースの支持構造、空冷式冷却機器の支持構造、別の空冷式冷却機器の支持構造が、互いに異なるものとなるので、いずれかの機器の支持構造が破損する等しても、他の支持構造には影響を与えないものとなる。また、防塵ケース、空冷式冷却機器、及び、別の空冷式冷却機器の開放移動方向が互いに異なるので、防塵ケースの開放移動操作、空冷式冷却機器の開放移動操作、別の空冷式冷却機器の開放移動操作の操作感覚が夫々異なるものとなり、空冷式冷却機器、別の空冷式冷却機器のメンテナンス性を向上できる。
【0022】
上記構成において、
前記防塵ケースは、縦向き軸心周りに回動可能であり、
前記空冷式冷却機器と前記別の空冷式冷却機器とのうちいずれか一方は、上方側に向けて回動可能であり、
前記空冷式冷却機器と前記別の空冷式冷却機器とのうちいずれか他方は、下方側に向けて回動可能であると好適である。
【0023】
本構成によれば、防塵ケースが縦向き軸心周りに回動できるので、防塵ケースの開放移動操作を、防塵ケースを持ち上げることなく楽に行うことができる。そして、空冷式冷却機器と別の空冷式冷却機器とを上下方向に異なる側に回動可能となっているので、空冷機器冷却機器の開放移動操作、別の空冷式冷却機器の開放移動操作の操作感覚が夫々異なるものとなり、空冷式冷却機器、別の空冷式冷却機器のメンテナンス性を向上できる。
【0024】
上記構成において、
開放揺動された状態の前記空冷式冷却機器と開放揺動された状態の前記別の空冷式冷却機器とが互いに係止されることにより、前記空冷式冷却機器と前記別の空冷式冷却機器との両方が開放揺動された状態に保持されるように構成されていると好適である。
【0025】
本構成によれば、空冷式冷却機器や別の空冷式冷却機器を開放揺動された状態に係止するための専用の係止部材を設ける必要がなく、構造を簡素化できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、
図2に示されるように、普通型コンバイン(「作業車」の一例)の走行機体には、機体前後方向に沿って延びる枠状の機体フレーム11と、機体フレーム11を下方から支持する左右一対のクローラ走行装置12と、が備えられている。また、走行機体には、機体フレーム11に対して昇降可能な刈取搬送部13と、脱穀装置14と、穀粒貯留部15と、アンローダ16と、運転部17と、原動部18と、が備えられている。
【0028】
刈取搬送部13は、走行機体の前部側に備えられている。脱穀装置14は、走行機体における刈取搬送部13の後側に備えられている。穀粒貯留部15は、走行機体における脱穀装置14の横側に備えられている。アンローダ16は、穀粒貯留部15の後側から立ち上がり、穀粒貯留部15の上側を通過して、刈取搬送部13の上側に至るまで延出されている。運転部17は、走行機体における刈取搬送部13の後側且つ穀粒貯留部15の前側に備えられている。原動部18は、運転部17の下側に備えられている。
【0029】
刈取搬送部13には、回転駆動により圃場の植立穀稈を掻き込む掻込リール19と、植立穀稈の株元を刈る刈刃20と、刈取穀稈を機体後方に向けて搬送する横送りオーガ21と、横送りオーガ21により送られてきた刈取穀稈を脱穀装置14の入口に向けて斜め後ろ上方側へ搬送するフィーダ22と、が備えられている。
【0030】
図2に示されるように、穀粒貯留部15は、走行機体の後端部付近の第1縦向き軸心Y1周りに揺動可能となっており、機体内側に格納された通常状態と、機体外側に向けて展開された開状態と、に切り替えることができる。穀粒貯留部15を開状態にするだけで、通常状態の穀粒貯留部15で隠れていた機体内部のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0031】
図1、
図2に示されるように、運転部17には、操縦者が着座する運転座席23、各種操作入力を行う複数の操作レバー24等が備えられている。
【0032】
普通型コンバインは、クローラ走行装置12により走行機体を走行させながら、刈取搬送部13で圃場の植立穀稈を刈り取り、刈取穀稈の全稈を脱穀装置14で脱穀処理し、穀粒を穀粒貯留部15に貯留するように構成されている。穀粒貯留部15に貯留された穀粒は、アンローダ16によって機外に排出可能に構成されている。
【0033】
図3〜
図5、
図7に示されるように、原動部18には、エンジン25(「冷却対象である装置」の一例)と、ラジエータ26と、冷却ファン27と、防塵ケース28と、インタークーラ29(「空冷式冷却機器」の一例)と、作業機用オイルクーラ30(「別の空冷式冷却機器」の一例)と、ミッション用オイルクーラ31(「別の空冷式冷却機器」の一例)と、が備えられている。
【0034】
図4等に示されるように、エンジン25は、機体フレーム11の上部に支持されている。エンジン25は、運転座席23を下方から支持するボンネット32(「フレーム体」に相当)内に収容されている。ボンネット32は、エンジン25の上方に位置する横向きの上面部33と、上面部33の機体横外側に連設される縦向きの側面部34と、を有している。側面部34には、通風用の開口35が形成されている。また、ボンネット32は、機体フレーム11のうち前後方向に沿って延びる最横外側の前後フレーム11Aよりも側面部34が機体横外側に位置するように、横外側に張り出して形成されている。
【0035】
図3〜
図5、
図7に示されるラジエータ26は、エンジン25の冷却水を冷却するように構成されている。ラジエータ26は、エンジン25の機体横外側に位置している。ラジエータ26は、ボンネット32に収容されている。ラジエータ26は、アッパーホース26A及びロワーホース26Bにより、エンジン25に接続されている。アッパーホース26Aは、エンジン25で加熱された冷却水をラジエータ26に導入する。ロワーホース26Bは、ラジエータ26で冷却された冷却水をエンジン25へ導出して戻す。
【0036】
冷却ファン27は、エンジン25、ラジエータ26、インタークーラ29、作業機用オイルクーラ30、ミッション用オイルクーラ31を冷却するように構成されている。冷却ファン27は、エンジン25の出力軸36に連繋されるベルト伝動機構37により駆動される。
図4に示されるように、冷却ファン27の駆動により、ラジエータ26からエンジン25に向かう方向に風が発生する。冷却ファン27は、エンジン25に対して機体外側、且つ、ラジエータ26に対して機体内側に配置されている。
【0037】
図3〜
図5、
図7に示されるインタークーラ29は、エンジン25に供給される圧縮空気の冷却を行うように構成されている。インタークーラ29は、エンジン25に対して、往路管38(「可撓性ホース」の一例)及び復路管39(「可撓性ホース」の一例)により接続されている。往路管38及び復路管39は、インタークーラ29の上端部に接続されている。往路管38及び復路管39は、成型ホースで構成され、可撓性と形状保持性を有している。往路管38は、過給機で圧縮された空気をインタークーラ29に導入する。
復路管39は、インタークーラ29で冷却された圧縮空気をエンジン25に導入する。
【0038】
図3〜
図5、
図7に示される作業機用オイルクーラ30は、刈取搬送部13等を駆動するための作業系の油圧回路装置の作動油の冷却を行うように構成されている。作業機用オイルクーラ30は、インタークーラ29の機体内側、且つ、ラジエータ26の機体外側に備えられている。作業機用オイルクーラ30は、側面視で、インタークーラ29と重複するように配置されている(
図3)。作業機用オイルクーラ30は、冷却対象である装置としての作業系の油圧回路装置に対して、可撓性ホースである第1導入管40及び第1導出管41により接続されている。第1導入管40及び第1導出管41は、作業機用オイルクーラ30の下端部に接続されている。第1導入管40及び第1導出管41は、成型ホースで構成され、可撓性と形状保持性を有している。第1導入管40は、作業機系の油圧回路装置から作動油を作業機用オイルクーラ30に導入する。第1導出管41は、作業機用オイルクーラ30において冷却された作動油を作業機系の油圧回路装置へ導出して戻す。
【0039】
図3〜
図5、
図7に示されるミッション用オイルクーラ31は、動力の変速を行うトランスミッションの作動油の冷却を行うように構成されている。ミッション用オイルクーラ31は、インタークーラ29の機体内側、且つ、ラジエータ26の機体外側に備えられている。ミッション用オイルクーラ31は、作業機用オイルクーラ30の下側に位置している。ミッション用オイルクーラ31は、冷却対象である装置としてのトランスミッションに対して、可撓性ホースである第2導入管42及び第2導出管43により接続されている。第2導入管42及び第2導出管43は、ミッション用オイルクーラ31の下端部に接続されている。第2導入管42及び第2導出管43は、成型ホースで構成され、可撓性と形状保持性を有している。第2導入管42は、トランスミッション内から作動油をミッション用オイルクーラ31に導入する。第2導出管43は、ミッション用オイルクーラ31において冷却された作動油をトランスミッションへ導出して戻す。
【0040】
図3に示されるように、作業機用オイルクーラ30に接続される第1導入管40及び第1導出管41、ミッション用オイルクーラ31に接続される第2導入管42及び第2導出管43は、ボンネット32の横外側下部の横面部に形成される貫通孔部44を貫通した状態で配置されている。
【0041】
図1〜
図5に示されるように、防塵ケース28は、ボンネット32の横外側に配置されている。防塵ケース28は、ラジエータ26の機体外側を通気を許容し且つ塵埃の通過を阻止する状態で覆う第1防塵網45(「防塵網」に相当)を有している。また、
図4に示されるように、防塵ケース28は、運転部17の後部側からの通気を許容し且つ塵埃の通過を阻止する第2防塵網46を有している。
図3、
図5に示されるように、防塵ケース28は、ボンネット32の前端部側に形成される上下一対の縦向きの支軸47に支持されている。防塵ケース28の後端部には上下一対のロック具48が備えられている。
【0042】
図4等に示されるように、防塵ケース28は、ボンネット32の横外側を覆う閉状態の際は、第1防塵網45により、インタークーラ29、作業機用オイルクーラ30、ミッション用オイルクーラ31、ラジエータ26の横外側を覆っている。つまり、インタークーラ29は、後述の防塵ケース28が閉状態の際は、第1防塵網45とラジエータ26との間に位置している。防塵ケース28は、ロック具48により、閉状態に保持可能となっている。一方、防塵ケース28は、ロック具48を解除することにより、防塵ケース28は、開放揺動可能となるように構成されている。説明を加えると、防塵ケース28は、
図2に示されるように、ロック具48を解除することにより、支軸47の中心である第2縦向き軸心Y2(「縦向き軸心」に相当)周りに回動可能となる。防塵ケース28を開放揺動された状態にすると、インタークーラ29の横外面、作業機用オイルクーラ30の横外面、ミッション用オイルクーラ31の横外面、ラジエータ26の横外面が露出される。
【0043】
[インタークーラの支持構造について]
図3等に示されるように、インタークーラ29の機体内面側には、枠状に組まれた縦長の梯子状部材49が固定されている。梯子状部材49には、横向きの上横枠部50と、上横枠部50の下方に位置する横向きの下横枠部52と、縦向きの一対の縦枠部53と、が備えられている。縦枠部53には、一対の第1取付部53Aによりインタークーラ29の上端部が取り付け固定されている。また、縦枠部53には、一対の第2取付部53Bによりインタークーラ29の下端部が取り付け固定されている。上横枠部50、下横枠部52は、夫々、それらの両端を一対の縦枠部53に架け渡して固定されている。上横枠部50は、一対の第1蝶ボルト54で、ボンネット32の側面部34に着脱可能に取り付けられている。下横枠部52には、当接部55と、被挟持部56と、が備えられている。インタークーラ29の下方で、一対の縦枠部53の間は、機体内外方向に空気の通流が可能な開放部57が形成されている。
【0044】
図3〜
図5に示されるように、インタークーラ29に接続される往路管38及び復路管39は、ボンネット32に設けられる貫通支持部58に貫通支持されている。インタークーラ29は、往路管38及び復路管39によりエンジン25側に支持されている。
【0045】
[貫通支持部について]
図3〜
図6に示されるように、貫通支持部58は、縦面部59と縦面部59に連設される横面部60とを有し、全体が略L字状の形状に形成されている。貫通支持部58は、ボンネット32に対して取り付けている際に、往路管38及び復路管39の上側を支持している。貫通支持部58は、ボンネット32に対して着脱可能である。貫通支持部58の縦面部59には、折り曲げ状の一対の第1差込部61が形成されている。また、貫通支持部58の横面部60には、両端を残して中央部側を下方側にL字状に折り曲げた第2差込部62が形成されている。
【0046】
図6等に示されるように、貫通支持部58を機体横方向に沿って移動させて、一対の第1差込部61をボンネット32の側面部34に形成された一対の差込孔63に夫々差し込むとともに、第2差込部62をボンネット32の上面部33に形成された開口縁部64に差し込むことで、貫通支持部58をボンネット32に保持できる。つまり、貫通支持部58は、ボンネット32に対して機体横方向に沿って移動させるだけで、着脱可能となっている。
【0047】
図3、
図4等に示されるように、貫通支持部58をボンネット32に取り付けている際、インタークーラ29に接続される往路管38及び復路管39は、夫々、円環状のゴム部材65を介して貫通支持部58の上側支持部66及びボンネット32の下側支持部67に支持されている。
【0048】
[規制部材について]
図4〜
図7に示されるように、ボンネット32には、インタークーラ29の開放移動に際して往路管38及び復路管39の移動を規制する規制部材68が備えられている。規制部材68は、棒状に形成されている。規制部材68は、ボンネット32の上面部33に形成された開口縁部64よりもインタークーラ29寄りの箇所に固定されている。
【0049】
[作業機用オイルクーラ及びミッション用オイルクーラの支持構造について]
図3等に示されるように、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31は、枠状に組まれた桟状部材69に固定されている。桟状部材69には、横向きの上横部70、上横部70の下方に位置する横向きの下横部71、上横部70に作業機用オイルクーラ30の上端部を固定する一対の第1固定部72、下横部71に作業機用オイルクーラ30の下端部を固定する一対の第2固定部73、下横部71にミッション用オイルクーラ31を固定する一対の第3固定部74が備えられている。上横部70は、一対の第2蝶ボルト75で、ボンネット32の側面部34に着脱可能に取り付けられている。ボンネット32の側面部34には、横外側に上方に向けて立ち上がる立設部を有する一対のステー76が固定されている。下横部71は、一対のステー76の保持空間内に落とし込まれて、ステー76により下方から支持されるようになっている。ステー76の保持空間内に下横部71を落とし込むことにより、ミッション用オイルクーラ31側の下横部71の機体横方向の移動が規制される。
【0050】
[インタークーラ等のメンテナンスについて]
図4等に示されるように、防塵ケース28が閉状態の際は、防塵ケース28の下端部の機体内面に形成された下側押さえ部77と、ボンネット32の側面部34の下端部とにより、インタークーラ29に固定される梯子状部材49の被挟持部56が挟持されている。
また、防塵ケース28に形成された上側押さえ部78と、ボンネット32の上側支持部66により、貫通支持部58の縦面部59が挟持されている。これにより、防塵ケース28が閉状態の際に、貫通支持部58がボンネット32から抜け落ちないようになっている。
防塵ケース28を、第2縦向き軸心Y2周りに前側に回動させて開放揺動された状態にすると、被挟持部56の挟持が解除されるとともに、インタークーラ29、作業機用オイルクーラ30、ミッション用オイルクーラ31、ラジエータ26の夫々の横外側面が露出する。
【0051】
次に、
図4、
図7に示されるように、インタークーラ29側の上横枠部50をボンネット32の側面部34に取り付けている2つの第1蝶ボルト54を取り外し、梯子状部材49がボンネット32に対して移動自在な状態にする。次に、貫通支持部58を、機体横外側へ引き抜いてボンネット32から取り外し、往路管38及び復路管39がボンネット32に拘束されず、往路管38及び復路管39をある程度自由に変形可能な状態にする。この状態になると、インタークーラ29が、往路管38及び復路管39のみに支持される状態となる。つまり、インタークーラ29は、往路管38及び復路管39の変形により回動可能に構成されている。インタークーラ29は、往路管38及び復路管39の変形により、貫通支持部58の近傍を基点として回動可能である。このようにして、インタークーラ29は、防塵ケース28の開放移動方向と異なる方向に開放移動可能に構成されている。
【0052】
次に、
図4、
図7に示されるように、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31側の桟状部材69をボンネット32に取り付けている2つの第2蝶ボルト75を取り外す。そして、桟状部材69を少し持ち上げて、下横部71をステー76から浮き上がらせる。この状態になると、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31が、第1導入管40、第1導出管41、第2導入管42、第2導出管43のみに支持される状態となる。
【0053】
この状態になると、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31は、インタークーラ29の開放移動方向及び防塵ケース28の開放移動方向と異なる方向に開放移動可能となる。説明を加えると、インタークーラ29を、往路管38及び復路管39が当接する規制部材68を基点として上側に揺動させるとともに、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31を、第1導入管40、第1導出管41、第2導入管42、第2導出管43が当接する貫通孔部44を基点として下側に揺動させる。往路管38及び復路管39の変形が、規制部材68により規制されるようになっているので、往路管38の過給機に対する接続部及び復路管38のエンジン25に対する接続部に、過大な曲げ負荷がかからないものとなっている。また、第1導入管40、第1導出管41、第2導入管42、第2導出管43は、ある程度の形状保持性を有しているため、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31は、必要以上に垂れ下がらないものとなっている。
【0054】
インタークーラ29が開放揺動された状態、且つ、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31が開放揺動された状態で、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31側の桟状部材69の上横部70の上端部を、インタークーラ29側の梯子状部材49の下横枠部52における当接部55に突き合わせて係止する。すなわち、
図4、
図7に示されるように、開放揺動された状態のインタークーラ29と開放揺動された状態の作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31とが互いに係止されることにより、インタークーラ29と、作業機用オイルクーラ30と及びミッション用オイルクーラ31と、の両方が開放揺動された状態に保持されるように構成されている。
【0055】
この状態にすることにより、
図7に示されるように、インタークーラ29の横外面及び横内面と、作業機用オイルクーラ30の横外面及び横内面、ミッション用オイルクーラ31の横外面及び横内面、ラジエータ26の横外面を露出させることができる。これにより、インタークーラ29、作業機用オイルクーラ30、ミッション用オイルクーラ31、ラジエータ26に対してエアの吹き付けによる掃除等のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0056】
[別実施形態について]
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。下記の各別実施形態は、説明している事項以外は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と下記の各別実施形態とは、矛盾が生じない限り、適宜組み合わせることができる。なお、本発明の範囲は、上記実施形態、及び、下記の各別実施形態に限られるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜改変可能である。
【0057】
(1)上記実施形態では、防塵ケース28が水平移動可能に構成され、インタークーラ29が上下移動可能に構成されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、防塵ケース28が上下移動可能に構成され、インタークーラ29が水平移動可能に構成されていてもよい。すなわち、防塵ケース28とインタークーラ29とのうちいずれか一方が、上下移動可能に構成され、防塵ケース28とインタークーラ29とのうちいずれか他方が、水平移動可能に構成されているものであると好適である。また、防塵ケース28を回動可能に支持する縦向きの支軸47の後方に、別の縦向きの支軸を設け、その別の縦向きの支軸にインタークーラ29を回動可能に支持するようにしてもよい。この場合、防塵ケース28は前側に開放移動され、インタークーラ29は後側に開放移動されるものとなり、インタークーラ29が、防塵ケース28の開放移動方向と異なる方向に開放移動可能に構成されたものとなる。
【0058】
(2)上記実施形態では、防塵ケース28及びインタークーラ29が、回動可能であるものが例示されているが、これに限られない。例えば、防塵ケース28及びインタークーラ29のいずれか一方または両方が、スライド可能に構成されていてもよい。
【0059】
(3)上記実施形態では、インタークーラ29が、「可撓性ホース」である往路管38及び復路管39の変形により回動可能であるものが例示されているが、これに限られない。
例えば、インタークーラ29が支軸周りに回動可能に構成されていてもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、「可撓性ホース」である往路管38及び復路管39の上半部のみに当接する貫通支持部58が例示されているが、これに限られない。例えば、「可撓性ホース」である往路管38及び復路管39の周部の全周を覆う他の貫通支持部58であってもよい。
【0061】
(5)上記実施形態では、「空冷式冷却機器」としてのインタークーラ29が、上方側に向けて回動可能であり、「別の空冷式冷却機器」としての作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31が、下方側に向けて回動可能であるものが例示されているが、これに限られない。例えば、インタークーラ29が、下方側に向けて回動可能であり、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31が、上方側に向けて回動可能に構成されていてもよい。すなわち、インタークーラ29と、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31とのうちいずれか一方は、上方側に向けて回動可能であり、インタークーラ29と、作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31とのうちいずれか他方は、下方側に向けて回動可能であると好適である。
【0062】
(6)上記実施形態では、開放揺動された状態の「空冷式冷却機器」としてのインタークーラ29と開放揺動された状態の「別の空冷式冷却機器」としての作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31とが互いに係止されることにより、インタークーラ29と作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31との両方が開放揺動された状態に保持されるものが例示されているが、これに限られない。例えば、インタークーラ29や作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31を開放揺動された状態に保持するための専用の保持部材が備えられていてもよい。
【0063】
(7)上記実施形態では、「空冷式冷却機器」としてインタークーラ29が例示され、「別の空冷式冷却機器」として作業機用オイルクーラ30及びミッション用オイルクーラ31が例示されているが、これに限られない。「空冷式冷却機器」と「別の空冷式冷却機器」との対応関係を入れ替えたり、「空冷式冷却機器」と「別の空冷式冷却機器」として他の機器を配置したりしたものであってもよい。