特許第6494412号(P6494412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494412
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】段ボール製緩衝材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20190325BHJP
   B65D 85/68 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   B65D81/05 521A
   B65D85/68 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-97085(P2015-97085)
(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-210482(P2016-210482A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰弘
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−080783(JP,U)
【文献】 特開2012−081974(JP,A)
【文献】 特開2009−184691(JP,A)
【文献】 実開平06−016261(JP,U)
【文献】 米国特許第05429232(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
B65D 85/68
B65D 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(11)、側板(12,12A,14)及び天板(13,13A)を連設し、一方の側板(12A)に中折板(15)を連設し、中折板(15)に押突片(16)を突設し、底板(11)に逆折片(17)を切込により設け、底板(11)、側板(12,12A,14)及び天板(13,13A)を巻き込むように折り曲げて筒体(1)を形成すると共に、中折板(15)を他方の側板(14)へ向けて折り曲げ、押突片(16)で逆折片(17)を裏面側から押し出して、逆折片(17)の抜出穴から押突片(16)を突出させることにより、逆折片(17)と押突片(16)とで、逆折片(17)の裏面に押突片(16)の端縁が当接して、逆折片(17)の揺動が抑制された支柱(2)を形成し、逆折片(17)の表面が物品の当接面となるようにした段ボール製緩衝材。
【請求項2】
前記一方の側板(12)と底板(11)との稜部に、底板(11)を切り込んで側面片(18)を設け、筒体(1)を巻込により形成する際、側面片(18)を底板(11)から下方へ突出させ、支柱(2)と側面片(18)との間に、物品を挟み込む間隔を設けた請求項1に記載の段ボール製緩衝材。
【請求項3】
前記一方の側板(12)の端部を、筒体(1)から長さ方向及び下方へ延長し、この側板(12)の端辺にガード板(20)を連設し、ガード板(20)の上端から上折板(21)を延出し、他方の側板(14)の端辺に連設された端板(19A)に対向するようにガード板(20)を折り曲げ、上折板(21)を折り曲げて天板(13A)に連設された端板(19B)に係合させることにより、ガード板(20)の揺動を抑制し、端板(19A)とガード板(20)との間に物品の起立壁を挟み込んで、ガード板(20)を物品の外面に沿わせるようにした請求項1又は2に記載の段ボール製緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗面化粧台等、天面に凹状部分を有する大型物品の輸送用梱包に適した段ボール製緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗面化粧台の梱包に使用される段ボール製緩衝材として、下記特許文献1には、図8に示すようなものが記載されている。
【0003】
この緩衝材Pは、本体51と補強体52とから構成される。本体51は、段ボールを箱状に折り曲げ、その側部に溝状凹部53を形成し、底面に水平に突出する足片54を設けたものとされ、補強体52は、段ボールをコ字状に折り曲げたものとされている。このような本体51と補強体52とを噛み合わせて、緩衝材Pが組み立てられる。
【0004】
この緩衝材Pを一対使用して洗面化粧台60を梱包する際には、洗面ボウル61の左右両側において、天板62に足片54を有する底面を載せ、後方に立ち上がる起立壁63を溝状凹部53に差し込むようにする。洗面化粧台60の底部及び天部には、段ボール製のキャップを被せ、上下のキャップに亘りバンド掛けする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5511617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、洗面化粧台には、洗面ボウルの左右両側に天板を有する形式のものだけでなく、洗面ボウルの側方に天板がない形式のものがあり、そのような洗面化粧台を梱包する際には、上記のような緩衝材を使用することができない。
【0007】
このため、洗面ボウルからその側方へかけて嵌合させる段ボール製の仕切状緩衝材等が使用されるが、樹脂製洗面ボウルの場合には、傷が付きやすく、表面に傷防止用フィルムを貼り付けても、段ボールの硬い端縁が当たると、傷が付く場合がある。
【0008】
そこで、この発明は、梱包する物品に十分な平面部分がなくても、傷付けることなく輸送できる段ボール製緩衝材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明に係る段ボール製緩衝材は、底板、側板及び天板を連設し、一方の側板に中折板を連設し、中折板に押突片を突設し、底板に逆折片を切込により設け、底板、側板及び天板を巻き込むように角筒状に折り曲げて筒体を形成すると共に、中折板を他方の側板へ向けて折り曲げ、押突片で逆折片を裏面側から押し出して、逆折片の抜出穴から押突片を突出させることにより、逆折片の裏面に押突片の端縁が当接して、逆折片の揺動が抑制された支柱を形成し、支柱の逆折片の表面が物品の当接面となるようにしたのである。
【0010】
また、前記一方の側板と底板との稜部に、底板を切り込んで側面片を設け、筒体を巻込により形成する際、側面片を底板から下方へ突出させ、支柱と側面片との間に、物品を挟み込む間隔を設けたのである。
【0011】
さらに、前記一方の側板の端部を、筒体から長さ方向及び下方へ延長し、この側板の端辺にガード板を連設し、ガード板の上端から上折板を延出し、筒体に設けた端板に対向するようにガード板を折り曲げ、上折板を折り曲げて筒体の端板に係合させることにより、ガード板の揺動を抑制し、端板とガード板との間に物品の起立壁を挟み込んで、ガード板を物品の外面に沿わせるようにしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る段ボール製緩衝材では、押突片で逆折片の揺動が抑制された支柱を、洗面化粧台の洗面ボウルのような凹状部分に差し込んで、凹状部分の側面に支柱の逆折片の表面を当接させることにより、段ボールの硬い端縁を物品に当てることなく、支柱をしっかりと物品に沿わせることができ、物品を傷付けることがない。
【0013】
また、側面片を底板から下方へ突出させ、支柱と側面片との間に、洗面ボウルの側壁を挟み込むと、平面をなす天板部分がなくても、洗面化粧台に固定することができる。
【0014】
さらに、筒体の端板と側板の延長部に連設したガード板との間に洗面化粧台の後部の起立壁を挟み込んで、ガード板を洗面化粧台の後面に沿わせると、洗面化粧台への固定がより確実となるほか、洗面化粧台の角部を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施形態に係る段ボール製緩衝材のブランクを示す図
図2】同上の組立過程を示す斜視図
図3】同上の組立状態を上方から示す斜視図
図4】同上の組立状態を下方から示す斜視図
図5】同上の緩衝材を使用した洗面化粧台の梱包状態を示す斜視図
図6図5のVI−VI断面図
図7図5のVII−VII断面図
図8】従来の緩衝材による洗面化粧台の梱包状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
この緩衝材Pは、図1に示すような段ボールのブランクから形成される。このブランクでは、段ボールの中芯の段頂が延びる方向である段目が縦方向へ向けられている。そして、横方向に長い底板11の一方の長辺に側板12及び天板13が順次連設され、底板11の他方の長辺に側板14、天板13A及び側板12Aが順次連設されている。側板12Aは間隔をあけて二分割され、側板12Aの両端には中折板15が連設されている。
【0018】
側板12Aの内側の中折板15には、組立時に底板11の内面に沿う端辺に押突片16が突設されている。押突片16の片側の端縁は傾斜し、先端角部は丸味を帯びている。
【0019】
底板11には、側板12Aの内側の端辺に対応する位置に、先細り形状の逆折片17が切込により設けられ、そのヒンジとなる罫線17aは、側板12寄りに位置し、段ボールの表面から押圧した逆罫に折曲抵抗を軽減する切目を入れたものとされている。
【0020】
側板12には、底板11との境界の中央部から底板11へのコ字状の切込により、側面片18が突設されている。また、側板12には、組立時に側板12Aの中央部に対応する位置に、先広がりの係合片12aが切込により設けられ、側板12Aの中央部には、方形状の係合穴12bが穿設されている。
【0021】
中折板15の先端には、係合突起15aが突設され、側板14には、側板12Aの両端辺に対応する位置に、スリット状の係合穴14aが穿設されている。
【0022】
天板13には、先端に2個の差込片13aが間隔をあけて突設され、天板13Aには、側板14との境界に沿って、組立時に差込片13aに対応する位置に、2個のスリット状の差込穴13bが穿設されている。
【0023】
側板14及び天板13Aの片側の端辺には、それぞれ端板19A,19Bが連設され、端板19A,19Bの先端には、それぞれ係合突起19a,19bが突設されている。
【0024】
側板12及び天板13の片側の端部は、底板11、側板14及び天板13Aに対し、長さ方向へ延長され、また、側板12の片側の端部は、組立時に下方となる底板11の側方へ延長されて、この側板12の端辺には、ガード板20が連設されている。ガード板20の組立時に上端となる端辺には、上折板21及び折込片22が順次連設されている。
【0025】
側板12のガード板20寄りの部分には、組立時に後述の筒体1の端面となる位置に、スリット状の係合穴12cが穿設され、上折板21の折込片22寄りの部分には、スリット状の係合穴21aが穿設されている。
【0026】
このようなブランクから緩衝材Pを組み立てるには、図2に示すように、底板11、側板12,14及び天板13,13Aを巻き込むように折り曲げ、側板12Aを側板14に対向させ、中折板15を側板14の方向へ折り曲げて、係合突起15aを係合穴14aに係合させる。また、端板19Aを中折板15に対向する方向へ折り曲げる。
【0027】
次に、図3及び図4に示すように、底板11を中折板15の端縁に沿わせ、側板12の内面に側板12Aを重ね、係合片12aを係合穴12bに押し込み、係合突起19aを係合穴12cに係合させ、天板13Aの外面に天板13を重ねて、差込片13aを差込穴13bに差し込むことにより、角筒状の筒体1を形成する。
【0028】
このとき、押突片16により、逆折片17が罫線17aをヒンジとして裏面側から押し出され、逆折片17の抜出穴から押突片16が突出し、逆折片17の反発に伴い、逆折片17の裏面に押突片16の傾斜した端縁が当接して、逆折片17の揺動が抑制された2本の支柱2が形成される。
【0029】
その後、ガード板20を端板19Aに対向する方向へ折り曲げ、上折板21を端板19Aの上端に被せるように折り曲げて、折込片22を下方へ折り曲げ、続いて、端板19Bを下方へ折り曲げ、係合突起19bを係合穴21aに係合させることにより、ガード板20の揺動を抑制すると、組み立てが完了する。
【0030】
このように組み立てた緩衝材Pは、図5に示すような洗面化粧台30の梱包に使用される。洗面化粧台30は、洗面ボウル31の左側に天板がなく、右側に若干の天板が存在するものであり、その梱包時には、洗面ボウル31の左側の側壁32と後方に立ち上がる起立壁33とを利用して緩衝材Pを固定し、洗面ボウル31の右側の天板と起立壁33とを利用して、別途形成した緩衝材Pを固定する。
【0031】
この洗面化粧台30に緩衝材Pを固定するには、図5及び図6に示すように、2本の支柱2と側面片18との間に、洗面ボウル31の左側の側壁32を挟み込み、支柱2の逆折片17の表面を洗面ボウル31の内面をなす側壁32の傾斜面に当接させ、同時に、図5及び図7に示すように、端板19Aとガード板20の間に起立壁33を挟み込む。
【0032】
上記緩衝材Pによると、押突片16で逆折片17の揺動が抑制された支柱2を、洗面化粧台30の洗面ボウル31に差し込んで、側壁32の内面に逆折片17の表面を当接させることにより、段ボールの硬い端縁を側壁32に当てることなく、支柱2をしっかりと側壁32に沿わせることができ、洗面化粧台30を傷付けることがない。
【0033】
また、側面片18を底板11から下方へ突出させ、支柱2と側面片18との間に、洗面ボウル31の側壁32を挟み込むので、平面をなす天板部分がなくても、洗面化粧台30に固定することができる。
【0034】
さらに、端板19Aと側板12の延長部に連設したガード板20との間に洗面化粧台30の起立壁33を挟み込んで、ガード板20を洗面化粧台30の後面に沿わせるので、洗面化粧台30への固定がより確実となるほか、洗面化粧台30の角部を衝突等による傷が付かないように保護できる。
【0035】
なお、上記緩衝材Pでは、筒体1の形成に際し、側板12,12Aを重ね合わせているが、側板12Aを省略し、側板12を切り込むことにより中折板15を設けてもよい。また、天板13,13Aを重ね合わせているが、そのいずれかを省略した上で、筒体1を保形できる手段を設けてもよい。
【0036】
一方、洗面ボウル31の右側に沿わせる緩衝材Pは、上記緩衝材Pから2本の支柱2を除去したものであり、底板11を洗面ボウル31の右側の天板に載せ、側面片18を洗面化粧台30の右側面に沿わせ、端板19Aとガード板20との間に起立壁33を挟み込んで、洗面化粧台30に固定する。
【0037】
そして、洗面化粧台30の底部は、予め、段ボール製のキャップに嵌め込んでおき、緩衝材P,Pを洗面ボウル31の左右両側に固定した後、洗面化粧台30の天部に段ボール製のキャップを被せ、上下のキャップに亘りバンド掛けする。
【0038】
このように梱包すると、洗面ボウル31の両側部分を緩衝材P,Pにより効率的に保護するので、材料の段ボールの使用量を抑制できる。また、耐圧強度に優れた梱包となるので、洗面化粧台30を多段に積み重ねて、トラックの荷台等に積載することができ、輸送コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0039】
,P 緩衝材
1 筒体
2 支柱
11 底板
12,12A 側板
12a 係合片
12b,12c 係合穴
13,13A 天板
13a 差込片
13b 差込穴
14 側板
14a 係合穴
15 中折板
15a 係合突起
16 押突片
17 逆折片
17a 罫線
18 側面片
19A,19B 端板
19a,19b 係合突起
20 ガード板
21 上折板
21a 係合穴
22 折込片
30 洗面化粧台
31 洗面ボウル
32 側壁
33 起立壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8