(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁性ナノ粒子と前記ターゲット分子の複合体が塩基性水溶液または酸性水溶液によって洗浄されることにより,前記ターゲット分子は,前記磁性ナノ粒子と前記ターゲット分子の複合体から脱着される,
請求項1に記載の方法。
前記磁性ナノ粒子と前記ターゲット分子の複合体を洗浄することにより,前記磁性ナノ粒子と前記ターゲット分子の複合体から,前記ターゲット分子を脱着する工程を,さらに含む,
請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0004】
セレンは,人,動物,及び植物にとって少量,必要とされる微量元素である。しかし高濃度の場合,生存に決定的な影響を与える。セレンの濃度上昇はアメリカの西部やその他のアメリカのエリア,そして全世界で続いており,大きな問題となっている。
【0005】
セレンの酸化物イオンは,セレンを含む灌漑農業土壌の排水中の環境毒素とされた。セレンに関する環境問題においては,非常に狭い濃度範囲内で人や動物,及び植物の毒性や欠乏の原因を起こす可能性があるとされている。水中で限りなく低い濃度の10ppbのセレネイト(SeO
42−)で,水鳥の死亡や産まれながらの奇形を引き起こすことがわかっている。その結果,アメリカの環境保護庁(U.S.EPA)は基本的に飲料水として用いるものは,セレンを0.01mg/Lとすることを定めた。
【0006】
セレン酸塩はアメリカ西部の地域で高い濃度で検出され,灌漑活動によりセレン酸塩は地中や地表に移動した。セレンを多く含んでいる土壌からの灌漑や排水により,セレンは地下水や表面の水に溶解する。水溶性のセレン酸塩は主に(SeO
42−)や(SeO
32−)として存在している。この2種のセレン酸塩は水溶性で安定しているため,比較的,取り除くことが困難である。土壌中や排水中のセレンの濃度や化学的構造は酸化還元状態,pH.表面吸着などの様々な物理化学的要因によって決まる。
【0007】
セレンは特に,セレン化物,セレン元素,亜セレン酸塩,セレン酸塩,シアニンや有機塩基とのセレン化合物として存在する。現時点では化学沈殿,触媒還元やイオン交換といった物理化学的方法が水からセレンを除去する方法として主に用いられている。これらの方法では,イオン交換ではセレン酸塩であるセレンシアン酸塩,亜セレン酸塩であるセレン酸塩は除去できる。一方で,水酸化鉄はセレンシアン酸塩を吸着できるが,亜セレン酸塩であるセレン酸塩には吸着しない。
【0008】
多くの精製所の最終排水や天然水にはセレン酸塩と亜セレン酸セレンの混合物を含んでいるが,精製所の排水や天然水から一度で,その混合物を除去することを試みるのは困難であった。さらに,セレン酸塩を酸化や還元することは動力学的に非常に遅いため,除去することが効率的にはならない。セレン酸塩と硫酸塩はイオン樹脂に対する親和性が同じであるため,イオン交換も優れた除去方法ではない。通常,硫酸塩はセレン酸塩よりも数オーダー高い濃度で存在しているからである。そのため,硫酸塩はセレン酸塩よりも優先的にイオン交換樹脂に結合しまうからである。さらに,イオン交換樹脂はセレンの排水を流すと詰まってしまい,樹脂の再生は不十分か再生されない。
【0009】
微生物によりセレン酸塩(Se
6+)を,亜セレン酸塩(Satoshi Soda (Se
4+))を経てセレン元素(Se
0)へ還元することは,自然環境の中で水溶性セレンを解毒化する大切な役割を果たすことが知られている。セレン元素にはほとんど毒性はなく,不溶性の性質を持つことから水溶液相から容易に取り除くことができる。この還元方法は特に水溶性のセレン酸塩のようなセレン取り除き,解毒化する排水浄化するシステムに応用することができる。
【0010】
現在の水の浄化の方法はスケールアップして使用するには効果的ではなく,エネルギー消費が多く,コストが高くなる。従来から行われている技術には,水源から生物学的方法によるセレンの還元(嫌気性細菌を用いた方法,痛性細菌を用いた方法,微細藻類を用いた方法など),微生物型揮発方法,地球化学的固定化,重金属吸着方法,水酸化鉄吸着方法,膜による方法(逆浸透,浸透),イオン交換カラムやほかの方法を含む。
【0011】
これらの方法は効率がよくないため,現在はこの分野においては,ほとんどが実用化されていない。カナダのサン・ジョアキン・バレーといった農業用地におけるセレン問題の処理には,大規模な貯水タンクの蒸発や,農業用地の廃地化が慣習的な方法として用いられている。
【0012】
現在の水の浄化方法は,エネルギー消費が多く,方法としては膜技術もしくは,他の複雑な水浄化装置が使われている。本発明は,水の浄化技術をシンプルにし,他の水の浄化技術より少ないエネルギーでセレンを還元する方法を提供し,塩水や他の有害な副生成物による環境への影響を制御することである。本発明はセレンを除去するための費用対効果が高く,かつ,環境へ良い影響をもたらす。この新規発明は,元素やイオン,分子の特異性があり,安全で,繰り返し利用が可能で,費用対効果が高いセレンの除去方法に関するものであり,持久性があり電力消費が少なく,環境負荷の少ないことを特徴とする。
【0013】
淡水化とは,塩や他のミネラルを水から取り除く方法のことをいう。水は飲用可能な真水に変換されるために,脱塩される。近年,新鮮な水が入手しにくい地域の人に新鮮な飲料水を提供できる費用対効果が高い方法を発展させることに,多くの関心が寄せられている。
【0014】
2008年1月17日のWall Street Journal world−wide,13,080の記事によると淡水化プラントは1日あたり45億m
3(120億ガロン)の水を産出する。大規模な淡水化は通常,非常に大量のエネルギーを使うと同時に,特殊化しており,高額のインフラ設備を必要とする。多くの要因,例えば容量規模や施設の種類,立地,労働力,エネルギー,資本などが,淡水化処理能力に必要な資本と運用コストを決める。
【0015】
ある程度の濃度の食塩水は灌漑や農業用水として使われており,ここでは飲料水のような厳格な基準は必要とされない。しかし,現在まで,食塩水から真水を大規模に生産することは,必要なエネルギーと淡水化にかかる高いコストによって制約されていた。
【0016】
エネルギーと電力要求量は70%まで減らせると推定される。そのことによって,淡水化した水はより手軽に灌漑などに利用できる。コストの見積りは,大量のエネルギー消費は要求されない,という事実に基づいて試算されている。塩分などの分離は恒久的な希土類磁石からの磁場勾配を適用することによって行われるため,現在,40万Paから80万Paの圧力で作動させる淡水化の方法で使われているような高圧吸水ポンプを使用しないため,大量のエネルギー消費はなされないからである。官能化磁性ナノ粒子の淡水化に使われるエネルギーコストは最初に撹拌タンク装置に吸水するポンプであり,エネルギーはそれぞれのタンクを連続的に撹拌するために必要とされるだけである。
【0017】
地球の表面の約70%は水で覆われている。そのほとんどは海であるが淡水化をしなくては使用することはできない。真水は地球上のすべての水の3%未満である。しかし,その水の大部分は南極と北極で常時氷となっている。そのため,1%未満の水しか人類は利用することができない。
【0018】
飲料や灌漑水の需要増加は,世界的な社会経済的重要性と,海水や塩水湖の水,塩分を含む井戸水を真水として供給することの重要性を増加させている。
【0019】
科学者や技術者は,ますます厳しい基準において,需要者が水の需要を満たすことや,実行の可能性の問題に直面している。親例えば,ナトリウム,カリウム,フッ化物,塩化物のような,水溶性の高いイオンの水和の高い自由エネルギーをもつため,水溶液からこれらのイオンを取り除くことは非常に困難な分離方法である。
【0020】
膜の逆浸透(RO)による分離方法は水を淡水化する標準的な手段となっている。逆浸透による淡水化の方法は,逆浸透膜を水が透過するために高い圧力(40〜80バール)が要求されることが主な理由で,コストとエネルギーがかかる。
【0021】
従って,逆浸透は水の淡水化においては信頼できる方法であることはわかっているが,高い電力需要のため淡水化の方法の継続的な使用には課題がある。それに関連した温室効果ガスの大幅な産出,膜の再生が遅いことの他に,バイオやコロイドが膜への付着するなどの課題がある。
【0022】
淡水化のための逆浸透技術に替わるものは,塩の除去の有効性を損なうことなく,少ないエネルギーで淡水化できる技術である。膜を用いた方法は非常に急速に開発されており,新設備のほとんどが逆浸透技術を利用している。膜のシステムは通常,熱蒸留より少ないエネルギーを消費するため,過去十年間における淡水化の費用全体は削減されている。淡水化は高エネルギーを必要とするが,しかし,将来的なコストはエネルギーと淡水化技術の価格による。
【0023】
2008年1月17日のWall Street Journalには以下の記載がある。「11月に,コネティカット州にあるポセイドン・リソース社はサンディエゴの北部にあるカールスバッドに3億ドルの淡水化プラントを建設するための重要な承認を得た。その設備は西半球では最大のもので,一日に190000m
3(50ミリオンガロン)もの飲料水,つまり,10万世帯に十分に供給できる量を3.800m
3(1000ガロン)あたり3.06ドルで生産できる。イスラエルは現在,1m
3あたり0.53USドルのコストで水の淡水化を行っている。シンガポールは1m
3あたり0.49USドルで淡水化を行っている。フォーブスの記事によると,カリフォルニアのサン・リアンドロにあるエネルギー・リカバリー社は1m
3あたり0.46USドルで水を淡水化している(非特許文献1)。」
【0024】
高いエネルギーコストのため,新たな技術が必要とされており,そして,様々な淡水化の研究が行われている。今までも,新規な淡水化技術はある程度の成功はしている。アメリカの政府は実用的な太陽光を利用した淡水化に取り組んでいる。ローレンス・リバモア国立研究所の研究成果は,ナノチューブ膜が水の濾過に有用であることを示し,逆浸透よりも実質的に少ないエネルギーで実行可能な淡水化方法を生み出した(非特許文献2,非特許文献3)。
【0025】
ジーメンス・ウォーター・テクノロジーは1m
3の水を淡水化するためにたったの1.5キロワットのエネルギー,調査によると他の方法が利用する半分のエネルギーしかを使わない新しい技術を開発した(非特許文献4)。
【0026】
比較的新しい方法であるLow Temperature Thermal Desalination(LTTD)は真空ポンプによって作られた内部の低い圧力と,低い圧力と周囲温度で沸騰するという原理を利用している。
【0027】
別の研究では,化学的に微細な穴を持つ高分子膜である限外濾過膜が使われている。ここでは限外濾過膜に圧力によって水を通すものである。
【0028】
イオン交換技術は一般的に不要なイオンであるCa
2+及びMg
2+を除去し,無害であるNa
+やK
+と置き換えるためにイオン交換樹脂やゼオライト充填カラムを使用している。イオン交換樹脂は硝酸や亜硝酸塩,鉛,水銀,ヒ素などの有害なイオンを取り除くためにも使われている。
【0029】
消毒とは有害な微生物を濾過し,消毒剤である化学物質を追加する両方をすることである。飲料水を浄化する最後の段階で,水はフィルタを通過するすべての病原菌を殺すために消毒さえる。一般的な病原菌には,大腸菌,カンピロバクターや赤痢菌,及び原生生物,腸管寄生虫やその他のクリプトスポリジウムのようなウイルスや細菌が含まれる。
【0030】
天然に酸性水がある地域では,水を運ぶ鉛のパイプから鉛を溶解させる場合がある。少量のリン酸イオンが加えられた場合,pHは若干増加し,パイプの内側に不溶性鉛塩を作ることにより,鉛イオンを減らすのに役立つ。
【0031】
地下水源のいくつかにはラジウムが含まれている。その水源には,イリノイ州にあるイリノイ川の北に多く存在する地下水源などがある。ラジウムは一般的に,イオン交換によって除去されるか,水を調製することによって取り除かれる。
【0032】
フッ化物は,多くの地域で水に添加されているが,フロリダ州の一部などの地域では,天然のフッ化物が過度のレベルで含有されている。過度のレベルのフッ化物は有毒であり,歯を染色するなどの好ましくない影響をもたらす。フッ化物レベルを低減する1つの方法は,活性アルミナによる浄化があげられる。
【発明を実施するための形態】
【0057】
磁気による分離技術のナノテクノロジーはすでに,バイオセンサー,磁気によるターゲットドラッグデリバリー,新たな診断装置,細胞分離だけでなく,他の健康関連分野への利用など,様々な分野において大きな注目を集めている。
【0058】
鉄を含有しているナノ粒子は磁性をもつナノ材料に適しており,上述した応用においては,毒性がなく,米国ですでに承認されている。
【0059】
食品医薬品安全庁は医学研究会(MRI)とは対照的に,磁性ナノ粒子の成功の主要因は,ブラウン運動や粘性抵抗や沈降のような,相反する力に打ち勝つ磁場を利用する磁性ナノ粒子の操作性にあると考えている。磁性ナノ粒子は特定の分子に選択性を有する生物学的レセプターを結合することができ,細胞,組織,血清,たんぱく質と免疫学的相互作用をすることが,米国特許出願公開第2009/024019 Al USSN 12/175,147に開示されており,これを参照することにより,全体が本明細書に取り込まれている。
【0060】
ナノスケールのアプローチは排水から特定の汚染物質を取り除くために使われている。ナノ粒子技術の最近の進歩により,ヒ素が低磁場下で有効にかつ低コストで酸化鉄ナノ粒子に吸着されることにより取り除くことがわかっている。H. D. Coutoの「Development of a low−cost Sustainable water filter」では磁性ナノ粒子を使って汚染物質であるヒ素や鉛を水から除去する研究について述べられており(Journ.Of the US SJWP(2008),vol.1,pg.32−47),これを参照することにより,本明細書に取り込まれている。
【0061】
一の実施形態においては,ナトリウムや塩化物イオンに高い選択結合をする最新の合成イオンレセプターを持つ超常磁性酸化鉄ナノ粒子を含む新規なナノ官能化材料が開示されている。得られた官能化ナノ材料は塩水と混合させた際に塩化ナトリウムと結合する。塩化ナトリウムに結合した官能化ナノ粒子は高いエネルギーコストや環境への負荷なく,外部磁界により溶液から引き抜かれ,淡水化が可能となる。
【0062】
他の実施形態においては,セレン酸塩イオンと高い選択結合能をもつ表面が官能化された超常磁性酸化鉄ナノ粒子を含む新規な官能化ナノ材料が開示されている。得られた官能化ナノ材料は汚染水と混合した場合にはセレン酸塩と結合することができる。セレン酸塩に結合した官能化ナノ粒子は高いエネルギーコストや環境への負荷なく,外部磁界により溶液から引き抜かれ,淡水化が可能となる。
【0063】
他の実施形態においては,セレン酸塩イオンと高い選択結合能をもつが,表面活性物質をもたない新規な官能化ナノ材料が開示されている。それは,単分散性である超常磁性酸化鉄ナノ粒子であり,表面積の割合が高い。得られた官能化ナノ材料は汚染水と混合した場合にはセレン酸塩と結合することができる。セレン酸塩に結合した官能化ナノ粒子は高いエネルギーコストや環境への負荷なく,外部磁界により溶液から引き抜かれ,淡水化が可能となる。
【0064】
他の実施形態においては,表面活性物質で官能化された超常磁性酸化鉄ナノ粒子を含む新規なナノ官能化材料が開示されている。それはナトリウムイオンと高い結合特異性をもつ。得られた官能化ナノ材料は汚染水と混合した場合にはナトリウムと結合することができる。ナトリウムに結合した官能化ナノ粒子は高いエネルギーコストや環境への負荷なく,外部磁界により溶液から引き抜かれ,淡水化が可能となる。
【0065】
本発明は,磁性ナノ粒子と,生物製剤,小分子,検体,イオン,または目的の分子を,液体から選択的に除去するために磁性ナノ粒子を使用する方法に関すものである。。開示された方法において磁性ナノ粒子は,様々な有用な磁気特性を持っている。磁気特性は反磁性,常磁性,超常磁性,強磁性,フェリ磁性,反強磁性,スピングラス,電磁性などを含むが,これらに限定されるものではない。
【0066】
磁性ナノ粒子は,好ましくは,マグネタイト,ウルボスピネル,ヘマタイト,イリメナイト,マグヘマイト,ヤコブサイト,トレボライト,マグネシオフェライト,ピロータイト,グレイジャイト,トロイライト,ゲーサイト,レピドクロサイト,フェロキシハイト,鉄,ニッケル,コバルト,アワルアイト,ワイラウアウト,または,その類似体や混合物である。磁性ナノ粒子は,様々なサイズと形状にすることができる。
【0067】
ここで使用される反磁性とは,外部から働かせる磁場と反対の磁場をつくることができ,反発効果を生じさせる磁石の性質のことである。外部磁場が外部磁場とは反対方向に磁気双極子モーメントを変える。反磁性磁石は1より小さい比透磁率を持つ。水,木やほとんどの有機物,例えば,石油,プラスチック,銅,水銀,金,蒼鉛などの多くの金属は反磁性をもつ。
【0068】
ここで使用される常磁性とは外部から働かせる磁場の存在によってのみ生じる磁性のことをいう。常磁性材料は,1以上の比透磁率を持つ。常磁性磁石は外部から働く磁界の非存在下では磁性を保持しない。
【0069】
ここで使用される超常磁性とは小さな強磁性やフェリ磁性ナノ粒子にみられる磁性のことをいう。ここで使用されるような磁化率は常磁性磁石の一つよりもはるかに大きい。
【0070】
磁性は温度の影響を受けて,ランダムに反転する。反転する間の時間は,一般的にニール緩和時間と呼ばれている。外部磁場がない場合は,それらの磁性は平均してゼロとなる。その状態は超常磁性と呼ばれる。この状態では,外部磁場がナノ粒子を磁化することができ,同様に常磁性磁石も磁化することができる。
【0071】
ここでは,フェロ磁性は常磁性体である鉄のような材料が磁石と強い相互作用を示すという基本的なメカニズムである。外部の磁界によって磁化され,かつ,外部の磁場がなくなったあとに磁化された状態を維持することがきる全ての材料は強磁性やフェリ磁性と言われる。
【0072】
ここでは,フェリ磁性とは反対の副格子上の原子の磁気モーメントが妨害される中にある性質である。その反対モーメントは不均衡である。異なる材料やイオンのような所に維持される自発磁化はFe
2+やFe
3+のような副格子中に存在する。フェリ磁性体の例としてYIG(イットリウムイオンガーネット)や酸化鉄や他の元素(例えばアルミニウム,コバルト,ニッケル,マンガン,亜鉛など)から作られるフェライトがあげられる。
【0073】
ここでは,反強磁性とは,近隣のスピンと規則的パターンで整列する原子や分子の磁気モーメント中にあるものである。一般的に反強磁性の状態は十分に低い温度で存在し,ある一定温度,すなわちネ―ル温度を超えると消失する。ネ―ル温度を超えると,磁性は典型的な常磁性となる。
【0074】
ここでは,スピングラスは確率的な不規則性をもつ磁石であり,フェロ磁性と反フェロ磁性の結合がランダムに分散している中にある。その磁石の規則配列は従来の化学ガラスの規則配列と共通点がある。スピングラスはキュリーの法則に従っている。そこでは磁化がT℃に到達するまでは温度に反比例し,T℃に達すると,磁化のレベルは実質上一定となる。これがスピングラス状態のはじまりである。
【0075】
ここでは,電磁石は電磁場の発生によって電場を変化させることに対応する磁石である。
【0076】
ここでは,レアアース磁石はサマリウムコバルト磁石とネオジウム合金磁石を含む。サマリウムコバルト磁石(SmCo
5)はネオジウム合金よりもより高いキュリー温度を持っている。そのため,サマリウムコバルト磁石は高い温度下において高い磁場強度を必要とする場面での利用に有用である。サマリウムコバルト磁石は高い耐酸化性を持つ。しかし,焼結されたサマリウムコバルト磁石はもろく,切れたり,割れたりする傾向があり,熱による衝撃にさらされると砕ける可能性がある。ネオジウム合金磁石(Nd
2Fe
I4B)はレアアース磁石よりも強い性質を持つ。ネオジウム合金磁石は最も高い磁場強度を持っているが,サマリウムコバルト磁石にはキュリー温度の点において劣る。
【0077】
(磁性素材のナノ粒子としての有用性)
ここでは,スピネルはA
2+B
23+O
42の一般式からなる鉱物であり,立方最密格子中に酸素イオンを配置でき,陽イオンAとBが格子中で8面体や4面体の一部又は全てを占有する等軸晶系の結晶構造をもつ。AとBは二価,三価,四価の陽イオンになりうる。この陽イオンにはマグネシウム,亜鉛,鉄,マンガン,アルミニウム,クロム,チタン,シリコンを含む。
【0078】
ここでは,マグネタイトはFe
3O
4のようなフェリ磁性をもつ鉱物であり,酸化鉄やスピネル族の一種である。共通の化学的名称は第一−第二酸化鉄である。マグネタイトの化学式はときどき,FeOFe
2O
3と書かれ,FeOの部分とFe
2O
3の部分に特定できる。マグネタイトは,地球上のすべての天然に存在する鉱物の中でもっとも磁性が強い。
【0079】
ここでは,ウルボスピネルは酸化チタン鉄(Fe
2TiO
4)である。それは,(Fe
3O
4)のマグネタイトのように,鉱物のスピネル族に属している。ウルボスピネルは高温条件と還元条件において,マグネタイトとの固溶体としてウルボスピネルを形成する。
【0080】
ここでは,ヘマタイト(Fe
2O
3)はマグネタイトと酸素反応の産物である。火山岩には普通2つの固溶体をふくみ,1つの固溶体はマグネタイトとウルボスピネルや他の固溶体はイルメナイトやヘマタイトの間の性質である。
【0081】
ここでは,イリメナイト(FeTiO
3)は弱い磁性をもつ。
【0082】
ここでは,マグヘマイト(Fe
2O
3,,y−Fe
2O
3)はマグネタイトと同じようにスピネル型構造であり。フェリ磁性を持つ。その特徴は,マグネタイトとヘマタイトとの中間性質である。
【0083】
ここでは,ヤコブサイトはマンガン酸化鉄の鉱物,つまり,マグネタイトスピネルである。
【0084】
ここでは,トレボライト(NiFe
3+2O
4)はスピネル族に属しており,ニッケルを含む稀な鉱物である。
【0085】
ここでは,マグネシオフェライトはマグネシウム鉄酸化鉱物でありスピネル族のマグネタイトの一つである。Fe
(1‘)S(x=0から0.2)
【0086】
ここでは,グレイジャイトはFe(II)Fe(III)
2S
4,やFe
3S
4のような化学式で表わされる硫化鉄の鉱物である。すべての分子は,1つのFe
2+と2つのFe
3+イオンをもっている。これは酸化鉄マグネタイトの磁性硫化物類似体である(Fe304)。
【0087】
ここでは,トロイライト(FeS)は硫化鉄の鉱物であり隕石中に存在する磁硫鉄鉱である。
【0088】
ここでは,ゲーサイト,(FeO(OH))はオキシ水酸化鉄である。フェロキシサイトと,レピドクロサイトは多形体であり,レピドクロサイトと同じ化学式をもつが,結晶構造は異なっている。
【0089】
ここではレピドクロサイト(FeO(OH))は酸化鉄の多形体である
【0090】
ここではフェロキシサイト(FeO(OH))は水酸化鉄の多形体である。
【0091】
ここでは,アワルワイト(Ni
3Fe)はニッケルと鉄を含有する鉱物である
【0092】
ここではワイラウアウト(CoFe)は鉄とコバルトを含有する鉱物である。
【0093】
磁性ナノ分子に加えて,CoFe
2O
4,MnFe
2O
4やニッケル,コバルトの組成物も有用である。鉱物種の選択の主な決定要因は合成の容易さで決まる。磁性粒子の強度や,ある場合には表面に機能性を持たせること,及び/または特異的なレセプターと複合体の形成や連結の容易さも決定要因となる
【0094】
(磁性ナノ粒子の合成)
多くの種類の磁性ナノ粒子は開示された方法で使用可能であり,既知の方法やここに開示された新規な方法により合成される。常磁性ナノ粒子が好ましいが超常磁性ナノ粒子を用いることが最も好ましい。超常磁性マグネタイト(Fe
3O
4)ナノ粒子と超常磁性マグネタイト(Fe
3O
4)及び/またはマグヘマイト(y−Fe
2O
3)は超常磁性ナノ粒子のとして好ましい。
【0095】
ナノ粒子は既知の金属前駆体の熱分解法により合成され得る(C.Barrera,A.P.Herrera,C.Rinaldi,Colloidal dispersions of monodisperse magnetite nanoparticles modified with poly(ethylene glycol).J Colloid Interface Sci.(2009),vol.329,pg.107−113)。合成は引用文献の一部を参照し,技術的に知られているものや,以下に開示した新規方法によりなされる。
【0096】
表面活性物質として安定化リガンドの存在下での熱分解や,表面活性物質として安定化したリガンドの存在下または非存在下での共沈により超常磁性ナノ粒子は合成される。直径が約1〜500nmの間,好ましくは1〜50nm,より好ましくは1〜20nmの範囲でナノ粒子を調製することができる。
【0097】
超常磁性酸化鉄ナノ粒子などのナノ粒子は,表面活性物質として安定化リガンドの存在下で金属前駆体の熱分解などの高温法によって製造することができる。オレイン酸及び/またはオレイルアミンなどの表面活性物質は,合成時の成長を制御し,ナノ粒子の凝集を阻害する。
【0098】
金属前駆体には,カルボニルとアセチルアセトン化合物(Fe(CO)
5とFe(acac)
3)が含まれているが,これらに限定されるものではない。熱分解反応は不活性雰囲気中で行うことができる。熱分解に続いて,昇温条件下でトリメチルアミン酸化物((CH
3)3N0)による穏やかな酸化が起こる。
【0099】
他の合成方法はナノ粒子の性質を変更するために用いることができる。例えば,共沈,マイクロエマルション,および熱水合成などがあげられる。共沈法を使用した例の開示は実施例4に開示されている。この方法は安定化リガンドである表面活性物質の存在下で使われる
【0100】
共沈法は超常磁性酸化鉄のナノ粒子を合成する際に使われる。FeCl
2とFeCl
3の溶液を水と混合し,1Mのアンモニア水NH
4OHに加える方法である。黒色沈殿物は形成され,室温〜37℃で1時間放置し,反応を行う。ナノ粒子は常磁性体上に置かれ,または,遠心分離により分離される。ナノ粒子は脱イオン水で3〜5回洗浄される。溶液中では安定剤は使用せずに,ナノ粒子は生成される。安定剤が添加されないと、ナノ粒子の表面は剥き出しのままである。剥き出しのナノ粒子は動的光散乱(DLS),透過型電子顕微鏡(TEM)をもちいて同定される。
共沈法の合成式を以下に示す。
【数1】
【0101】
反応条件は,粒子が1〜500nmの間,好ましくは1〜50nm,より好ましくは1〜20nmの範囲のサイズとなるように選択する。他の実施形態では,CoFe
2O
4やMnFe
2O
4などの超常磁性ナノ粒子形成をするためにCo
2+やMn
2+のような他の金属を含んでもよい。
【0102】
ある実施形態においては,異なるタイプ及び/またはサイズの異なるナノ粒子の混合物を用いることができる。この方法では,異なるターゲット分子や,ターゲット分子は同じであるが異なる合成物を同時に取りだすことができる。
【0103】
ナノ粒子はさらなる処理を行い,体積比に対して高い表面積とし、合成が促進されるよう,単分散されることが好ましい。表面活性物質の添加は分散のなどの表面を活性化するために用いられる
【0104】
(ナノ粒子の表面の官能基化)
磁性ナノ粒子はコーティングによって表面が官能基化したものも用いられる。磁性ナノ粒子は特定のターゲットへの選択性及び/または親和性を増強させるためにコーティングされる。デキストラン,糖,PEG,PEG−OHや他の修飾されたPEGの一部,ポリビニルアルコール,金,アジド,カルボキシル基,活性炭,ゼオライト,アミン,ポリアクリル酸,荷電ポリマーなどが表面が官能基として用いられる。
【0105】
ある実施形態においては,セレン酸塩が磁性ナノ粒子に吸着するよう,PEG−OHが表面をコーティングするために使用される。PEG−OHは酸化鉄ナノ粒子が,より多くのセレン酸塩が一つの粒子に結合するよう体積比に対して高い表面積をもつよう単分散を維持しながら,セレン酸塩を吸着する。
【0106】
ある実施形態においては,ナトリウムが磁性ナノ粒子に吸着するよう,ポリアクリル酸が表面をコーティングコーティングするために使用される。ポリアクリル酸は酸化鉄ナノ粒子が,より多くのセレン酸塩が一つの粒子に結合するよう体積比に対して高い表面積にもつよう単分散を維持しながら,セレン酸塩を吸着する。
【0107】
他の例においても、ポリアクリル酸がナノ粒子に結合することがなされている。ポリアクリル酸がナノ粒子に結合するためにはアミンとの結合を間に使用することが容易なプロセスである。
【0108】
(官能化部分とナノ粒子の結合)
磁性ナノ粒子はコーティングされ,及び/または,ターゲットとする特異的レセプターとの複合体として使用することができる。磁性ナノ粒子は特異性を高めるため,及び/または,磁性ナノ粒子と特異的なターゲットとの親和性を高めるためまたは,ターゲットとの結合を促進させるためにコーティングされる。
【0109】
コーティング/リンカーにはポリエーテルがあげられる。ポリエーテルは二つまたは多官能基を有する化合物であり、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのエーテル基よりも結合しやすい。クラウンエーテルは上記方法で使用されるのには適した低分子量のポリエーテルの他の例である。
【0110】
NaおよびClレセプターに関しては,マクロサイクル構造が好ましい。
【0111】
ポリエチレングリコール(PEG)とは,通常,分子量20,000g/mol以下のオリゴマーとポリマー,分子量20,000g/mol以上のポリエチレンオキシド(PEO)とポリマー,分子量には関係なくポリオキシエチレン(POE)のことをいう。ポリプロピレングリコール(PPG)の二級水酸基はポリエチレングリコールの一級水酸基よりもより反応性が低いが,ポリエチレングリコールを使用してもよい。反応性ヒドロキシル基をもつ任意の分子量ポリビニルアルコールも使用される。ほとんどのポリエチレングリコール(PEG)は多分散され,それらには様々な分子量の分子が含まれている。分子量400〜2400の範囲に平均の分子量をもつポリエチレングリコール(PEG)が好ましいポリエーテルである。
【0112】
その他の二つまたは多官能基は本発明の方法においてコーティング/リンカーとして機能することができる。a)アミン結合磁気ナノ粒子は以下の開示された方法に基づいた新規方法に従ってアミノ基により官能性をもたせることができる(C.Barrera,A.P.Herrera,C.Rinaldi,Colloidal dispersions of monodisperse magnetite nanoparticles modified with poly(ethylene glycol).J Colloid Interface Sci.(2009),vol.329,pg107−113.)。
【0113】
mPEG−COOHを使い3−アミノプロピルトリエトキシシランと反応させシランポリエチレングリコール(PEG)を形成し,ナノ粒子と反応させる替わりに,改良した方法ではシラン結合を利用する。3−アミノプロピルトリエトキシシランはアミンが結合したナノ粒子と結合し、レセプターとの反応に用いられる。
【0114】
ナノ粒子は3−アミノプロピルトリエトキシシラン,トルエン,酢酸と激しく撹拌しながら反応させアミン結合をつくることができる。生成物は移され,トルエンで洗浄し,そして真空下で乾燥させる。
【0115】
磁性ナノ粒子(24mg)は26mlのトルエンに溶解する。0.55mlの3−アミノプロピルトリエトキシシランは0.5mlのトルエンに溶解させ,そこに粒子の入った溶液を加える。そこに酢酸3.6uLを加え,得られた溶液を室温で72時間強く振る。72時間後,粒子を取り出し,常磁性体の上に置かれる。磁性ナノ粒子は,トルエンで洗浄され,その後デシケーター中で乾燥させる。
【0116】
上記の手順によりアミンが結合した8nmの一定のサイズ,形,磁性をもつ磁性ナノ粒子が作られる。(
図7と
図14が手順の概要がある。これらの数字は,均一性を示していないが,アミンの存在は示されている。サイズや形,磁性の不均一性はナノ粒子合成の最初の段階,つまり,アミンによって表面を変える前の核として利用される段階でみられる(
図5,
図6,
図23))。上記の改良された手順はほかの結合においても成功している。
【0117】
(アミドが結合したイオンレセプター)
淡水化に関するある実施例においては,生成されたアミン官能化磁性ナノ粒子は選択的にナトリウムイオンや塩化物イオンに結合する合成されたイオンレセプターにクロスリンクする。イオンレセプターはさらにカルボン酸などの官能基を持ち,それは磁性ナノ粒子のアミノ基とペプチド結合する。
【0118】
他のリンカーは,アジド,チオール,エステル含有物が利用される。それらと結合して得られた磁性ナノ粒子は水溶液中でイオンと選択的結合をすることができる(
図12,
図13,
図15)。従って,塩水などの水溶液に添加した際,イオンレセプターはイオンに結合し,外部の磁場によって,結合したナノ粒子複合体を溶液の外に引き出す。イオンレセプターはクラウンエーテルを含むマクロサイクル構造で構成されている。マクロサイクル構造には塩化物イオンが結合することができ,ナトリウムイオンとも結合することができる。複数の官能化レセプターを用いてもよい。
【0119】
一方,アミド結合をもつイオンレセプターは,図に記載されているが,他のリンカーは官能化ナノ粒子の表面と多官能化や1種以上のレセプターと結合するために用いられる。例えば,他のリンカーにはシロキサン,マレイミド,ジチオール,エステルなどがあげられるが,これらに制限されるものではない。
【0120】
(アミド結合した陽イオン受容体とトリアジンが結合した陰イオンレセプターに基づいた二重官能化ナノ粒子)
一つのイオンレセプターは,個々に磁性ナノ粒子に結合しており、アミド結合をもつ陽イオンレセプターやトリアジン結合をもつ陰イオンレセプターとつながっている。この結合技術では,磁性ナノ粒子はアミノ基と、アジド陰イオンで官能化される。それらはナトリウム陽イオンレセプターとアミド結合を形成し,塩化物陰イオンレセプターとトリアジン結合を形成する(
図13)。
【0121】
レセプターは官能化磁性ナノ粒子に直接結合するか,または,ポリエチレングリコール(PEG)スペーサーは,磁性ナノ粒子を個々のレセプターに結合するために用いられる。PEGスペーサーは水溶液中での良好な溶解性,非特異的結合の削減,安定性の向上,より良好な単分散性に適している。
【0122】
個々の陽イオンと陰イオンの受容体は,それぞれ選択的にナトリウムや塩化物に結合することができる。ナトリウム陽イオンレセプターはクラウンエーテル構造を,塩化物陰イオンレセプターはマクロサイクル構造をもつ。同様に,他のカリウムや塩化物,フッ化物などの陽イオンや陰イオンと結合することができる個々のイオンレセプターは合成される。
【0123】
(イオンレセプターに結合するPEGスペーサーをもつ磁性ナノ粒子)
磁性ナノ粒子は直接イオンレセプターに結合するか,または,様々な長さをもつPEGスペーサーによって結合する。PEGスペーサーは水溶液中での良好な溶解性,非特異的結合の削減,安定性の向上,単分散性のために,ナノ粒子のコーティングに用いられる。最適なPEG鎖の長さは,充填密度と複雑さを緩和し,水和エネルギーの最適化をする。異なるPEG鎖の長さは4〜24ユニット以上で(18.lA−108.6A)で,特定のレセプターに応じて変化する場合がある。
【0124】
PEGが磁性ナノ粒子と結合することができるリンカーの例には,カルボキシ−PEG−アミンのようなPEG化試薬がある。
図15Aと15BはカルボキシPEG−アミンがPEGの末端のカルボキシ基と磁性ナノ粒子のアミノ基の間のペプチド結合によって磁性ナノ粒子の表面のアミノ基に結合する状態を示している。得られたPEG化された磁性ナノ粒子は,アミノ基をもつ末端にPEG鎖がついた磁性ナノ粒子である。PEG鎖の末端に結合するアミノ基は,カルボン酸を末端にもち,イオン対を複数もつレセプターや,個々のイオンレセプターとの結合部位として機能する。上記の実施形態はでは,スペーサーとしてカルボキシ−PEG−アミンのようなPEG化試薬を用いている。そのスペーサーは多くの修飾されたPEGスペーサーの一例であり,他の基が,最適な結合のためのPEG鎖の末端に追加されることがある。
【0125】
図15Bは様々な長さをもち,PEG鎖の末端にイオンレセプターとメチル基を持つ二重にPEG化された磁性ナノ粒子を示した図である。
この二重PEG化を用いた方法では,水溶液中での良好な溶解性,非特異的結合の削減,そして,最適な充填密度と実現できることがわかった。
【0126】
他の実施形態では,ナノ粒子は選択的に一つ以上の検体,陽イオン,陰イオン及び/または分子のような特異的ターゲット分子と結合する。特異的に結合する分子は,結合するターゲットにもとづいて選択される。
【0127】
一般的な方法では磁性ナノ粒子は超音波処理され,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,トルエン,酢酸と激しく撹拌され反応させることによってアミン複合体となる。混合条件は15〜30℃,好ましくは17.5〜20℃の温度条件下で48〜90時間,好ましくは60〜80時間である。
【0128】
PEGのような表面活性物質が結合した磁性ナノ粒子,他の実施形態ではレセプターと結合するかもしくは,結合していない金や磁性ナノ粒子は,レセプターに選択されたターゲットもしくは,ターゲットに特異的に結合する。様々な物質は磁性ナノ粒子の表面を官能化するために利用される。その例として,PEG,金,アミン,カルボキシ基,チオール,アジドや他のリンカーがあげられるが,それらに限定されるものではない。
【0129】
合成したレセプターは次に磁性ナノ粒子の表面に結合する(
図1,
図2,
図13,
図15)。一つのレセプターは個々の検体に,複数の特異性をもつレセプターは2つ以上の異なる検体に結合し,磁性ナノ粒子に結合し,複合体を形成する。
【0130】
本発明では,同じ磁性ナノ粒子上において2つ以上の単一特異性をもつレセプターも開示されている。単一のまたは多機能化レセプターを官能化されたナノ粒子の表面に結合するために様々なリンカーが使われている。リンカーの例としてはシロキサン,マレイミド,ジチオールまたは,磁性ナノ粒子に直接結合できるレセプターがあげられるが,それらに限定されるものではない特性は動的光散乱(DLS),熱重量測定(TGA),透過型電子顕微鏡(TEM),走査型電子顕微鏡(SEM),電子間力顕微鏡(AFM),ゼータ電位,フーリエ変換赤外分光法(FTIR),スクイド磁気測定(SQUID)と使って連結の段階の分析によりわかる。得られたレセプターが結合磁性ナノ粒子を移し,トルエンで洗浄し,真空条件下で乾燥する。アミンが結合したナノ粒子生成物の特性はフーリエ変換赤外分光を利用し得ることができる。
【0131】
(官能化されたナノ粒子と特異的レセプターの結合)
本発明の実施形態において,食塩水から塩化物イオンを取り除く場合カルボキシ化した塩化物レセプターはアミン反応性のN−ヒドロキシスルホスチニミドエステルと置き換わる。その反応は,カルボキシ化した塩化物レセプターと1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(EDC)とN−ヒドロキシスルホスチニミドエステル,電化を持たないN−ヒドロキシスルホスチニミドエステルを混合し,激しい撹拌条件下で10〜30分反応させることで起こる。反応はジチオスレイトールによって抑えられる。得られたアミン反応性の塩化物レセプターは次に,アミンが結合した磁性ナノ粒子と15〜30℃,好ましくは17.5〜25℃で75〜150分,好ましくは100〜135分間混合される。塩化物レセプターに結合している得られた官能化磁性ナノ粒子を脱イオン水で洗浄し,取り出し,そして,水溶液から塩化物分離/抽出をし,乾燥をする。
【0132】
図16〜22では官能化磁性ナノ粒子や官能化磁性ナノ材料が,特定の検体,イオン及び/または分子と選択性のあるレセプターと結合し官能化されている磁性ナノ粒子を使った水の浄化方法について説明している。表面が官能化コーティングされている,または,されていないナノ粒子は,水を浄化することに利用できる。検体,イオン及び/または分子が修飾された表面電化をもつナノ粒子や官能化されていないナノ粒子に結合することによって,水が浄化される。
【0133】
ナノ粒子複合体は水と混合され,検体,イオン,及び/または目的の分子とナノ粒子の表面で結合し,結合ナノ粒子複合体がつくられる。
【0134】
希土類磁石は電気や電磁石を使用していないエネルギー消費の少なく,強力な電場を作る。電場はナノ粒子をタンクの底や水の貯蔵所にひきつけ,そして,浄化された水を生成する。この方法は検体,イオン,及び/または目的の分子を含む水をさらに浄化するために複数回行うことができる(
図22)。そして,ナノ粒子は再利用される。
【0135】
ここに開示されている方法は水を浄化する技術で,水を浄化するために必要な大量のエネルギーを減少させる技術であり,食塩水や他の有害な副産物から受ける環境への影響を少なくするものである。この方法を利用することは環境へ良い影響を与える。様々な実施形態が開示されているが,そこではナノ粒子が複合体又は結合体を形成させることで,それらが存在している液体からそれらを除去する方法を提供している
【0136】
開示された方法によって,水から特異性のある検体,イオン,及び/又など不要物を取り出すことができる。検体,イオン,及び/又は分子にはウイルス,細菌,抗体,核酸,タンパク質,細胞,脂肪酸,アミノ酸,炭水化物,ペプチド,医薬品,毒素,農薬,及び,その他の有機物質,陰イオン,陽イオンが含まれるが,これらに限定されるものではない。陰イオンには例えば,フッ化物,塩化物,臭素物,硫酸塩,硝酸塩,ケイ酸塩,クロム酸塩,ホウ酸塩,シアン化物,ヘキサシアノ鉄酸塩,亜硫酸塩,チオ硫酸塩,リン酸塩(リン),過塩素酸塩,セレン化合物などがあげられる。陽イオンには例えば,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,マンガン,アルミニウム,ニッケル,アンモニウム,銅,鉄,亜鉛,ストロンチウム,カドミウム,銀,水銀,鉛,ヒ素,セレン,金,ウランなどがあげられる。方法はターゲットに制限されることはなく,相互作用のターゲットはここに開示されたレセプターから選択された適切なレセプターを選択して使用することができる。
【0137】
セレンがターゲットである場合,セレン元素,セレン酸塩,亜セレン酸塩,セレン化物,イオンの形態,酸化物の形態,有機化合物,セレン同位体,セレンが結合した他の基質をとる。有機化合物の例としては,ジメチルセレニド,セレノメチオニン,セレノシステイン,メチルセレノシルテインなどがあげられる。
【0138】
(ターゲットとの結合)
レセプターが官能基として官能化された表面や,何も結合していない剥き出しのナノ粒子は相互作用のターゲットを含む溶液に混合され,ターゲット分子はターゲットを磁性ナノ粒子に結合させ,ターゲット−ナノ粒子複合体を形成する。水溶液は特に開示された方法に適している。液体は,任意で浄化プロセスの効率を落とさないようにするために,限外濾過や精密濾過を用いた前処理工程を設けることができ,大きな分子や他の物質を取り除くことができる。
【0139】
ターゲットと結合する段階は,ナノ粒子がターゲットと互いに接触し,結合するのを可能とするために十分な時間,液体と混合することにより,容易に達成される。3種類のナノ粒子:1)表面が官能化されているナノ粒子,2)レセプターが官能性をもたせているナノ粒子,3)官能化されていない剥き出しのナノ粒子,は一般的には室温条件で混合し,ある程度時間が必要であるが,その時間は1分〜72時間,好ましくは,1分〜1時間の範囲である。
【0140】
ナノ粒子とターゲットの相対的な量が,結合に要する時間に関係することは,この技術分野では知られていることである。より少ないターゲットでかつより薄い溶液であれば,結合にかかる時間は長くなる。ターゲットが取り除かれる溶液中のリットル当たりのナノ粒子の量は溶液中のターゲットの量できまる。
【0141】
用いられるナノ粒子の量が溶液中のターゲットの量と相関関係にあることは,この技術分野では知られていることである。取り除かれるターゲットの混合量が多い場合は,ナノ粒子に対するターゲットの割合はターゲットの結合部分1つにつきナノ粒子の結合部分が0.01から約10000であることが望ましい。取り除かれるターゲットの混合量が少ない場合は,ナノ粒子に対するターゲットの割合はターゲットの結合部分1つにつきナノ粒子の結合部分が0.01から約10000であることが望ましい。一連の分離の数は混合される割合により異なる。
【0142】
(分離)
磁性ナノ粒子(もしくはターゲットが結合した分子)がターゲット分子と結合すると,結合したナノ粒子複合体は磁場を使って液体から分離される。結合したナノ粒子複合体(同様に,結合していない磁性ナノ粒子)を分離するために使用される磁場は既知の方法で供給される。磁場は磁場フラックスを生み出すために一つ以上の外部の磁石によって作られ,磁場フラックスは100ガウス〜150000ガウス,好ましくは100ガウス〜60000ガウス,より好ましくは5000ガウス〜30000ガウスである。
【0143】
磁場はどのような方法でも形成することができ,磁力によって磁性ナノ粒子は液体中の決められた場所に集められる。好ましい実施形態においては,用いられた磁場はナノ粒子を含む液体が入った容器の底にナノ粒子が集まるように設定されている。
【0144】
あらゆるタイプの磁石が磁場を生み出すために用いることができるが,希土類磁石,電磁石,及び/または,超伝導電磁石は磁場を提供するために好んで用いられる。特に好ましい実施形態においては,5000ガウス〜30000ガウスの希土類磁石が用いられる。
【0145】
(抽出)
抽出工程には,外部の磁界を用いることが必要とされる。液体はそのままで一部またはすべてのナノ粒子がターゲットと結合し,複合体である磁性ナノ粒子は分離される。抽出はバッチ式または連続方法でなされる。外部磁場をつくるためには十分な磁力をもっている磁石であればどんな種類のものでもよい。
【0146】
希土類磁石は電気や電磁石を使用せず,低電力消費である。強力な希土類磁石は磁場を提供し,その磁場はナノ粒子を特定の方法や器具の形状に依存して特定の位置に引き寄せる。しかし,一般的には浄化する液体を含む液体容器の下部に集められ,その上に浄化された水が生成される。この方法は検体,イオン,及び/または目的の分子を含む水をさらに浄化するために,複数回再利用することができる(
図22)。ナノ粒子は再生され,再利用が可能である。
【0147】
代表的な例では,タンクバッチ式の実施形態では,撹拌機能を備えた混合タンク中に液体は保持される。撹拌機は連続撹拌,非連続撹拌,磁気撹拌または,他の混合装置が用いられ,液体とナノ粒子が適切に混合される。官能化され,またが官能化されていないナノ粒子は混合装置を用いて,汚染された水と1〜140分,好ましくは15〜200分,より好ましくは30〜60分間混合される。
【0148】
水の淡水化に関しての実施例では,塩化ナトリウムに対し高い品和性をもつ官能化されたナノ粒子を用いた方法の淡水化は,食塩水は様々な量の官能化された磁性酸化鉄ナノ粒子と混合される。超音波処理は磁性ナノ粒子を分散させ,次いで,塩が結合し,分散したナノ粒子は常磁性体を用いた磁場を用いて,液体から分離される。
【0149】
いったん,磁気分離装置が配置されると,液体中のナノ粒子に取り込まれた塩は,磁石が設置された容器の端に沈降することで浄化される。この浄化された水は集められ,そして他のコンテナにある官能化ナノ粒子と混合されるというこのプロセスは繰り返される。
【0150】
最終的には,浄化溶液(製品水)は集められ,分析にかけられる。重要なパラメーターは(i)製品水中の塩化ナトリウム(塩分)の濃度,(ii)官能化ナノ粒子の塩化ナトリウム結合能力,(iii)塩分除去効率,(iv)溶液のpHの変化,(v)有機化合物の存在,である。
【0151】
水溶液中のナトリウムの濃度は原子吸光分析やナトリウムプローブによって測定される。水溶液中の塩化物の初期と最終濃度はイオンクロマトグラフィーやクロライドプローブによって分析される。水の塩分濃度は導電率系を用いた電気伝導率の標準的な測定によって求められる。
【0152】
図16〜
図22は開示された方法を用いた淡水化プラントを図示した例である。大規模な応用のために,プロセスフローを
図22に示した。プロセスは一連の連続撹拌により構成されており,水はポンプによって撹拌されている反応タンクに送られる。官能化ナノ粒子は処理する必要のある水の量に応じて,連続的に反応タンクに添加される。タンクは水で満たされた後,撹拌機は混合を開始し,出口弁は閉められる。いったん,反応が平衡化すれば,磁場,好ましくは常磁性体を反応機の底に用いて,タンクの出口弁を開く。ナノ粒子はタンクの底に集められる。水は重力または,低圧ポンプを用いて次の反応器に流される。
【0153】
同様の機能を備えたバッチ処理手順は,一連のすべての反応タンクのために実行される。一連の反応タンクの数は,製品の水の所望の塩分濃度により決まる。プロセスの実行能力を評価するために,水中に塩化ナトリウムの濃度は,導電率計により各々のステージで分析される。
【0154】
浄化の後に,結合した塩化ナトリウムはナノ粒子から放出され,そして,再利用される。
【0155】
ある実施形態においては,磁石のサイズに依存した様々な磁力をもつ常磁性体は,磁性の遮蔽ケージから超過の磁界を制限するため,磁気の遮蔽ケージ内に設置されている。十分に均衡に混合した後,分離している磁気の遮蔽の抑制(蓋)は取り除かれ,外部磁界によりナノ粒子は混合タンクの底か,他の部分に引っ張られる。複数タンクを持つバッチプロセスにおいては,1つ以上の混合タンクが抽出タンクに接続されている。混合タンクは抽出タンクに順次,接続される。各々の混合タンクが平衡状態に達した時,混合タンクは抽出タンクに接続される。抽出タンクにおける滞留時間は混合タンクにおける時間よりも遥かに短い。一般的な滞留時間は1〜30分であり,好ましくは2〜15分,より好ましくは3から10分である。
【0156】
連続的なプロセスの実施形態においては,乱流を起こすため,ナノ粒子は様々な長さの複数のチューブをもつ反応タンクにおいて混合される。そのチューブではナノ粒子とターゲット物質の接触がしやすくなる。
【0157】
連続的なプロセスの実施形態においては,チューブ内で乱流を起こすため,ナノ粒子は様々な長さの複数のチューブをもつ反応タンクにおいて混合される。そのチューブではナノ粒子とターゲット物質の接触がしやすくなる。チューブの長さと,チューブを通過するスピードは,ナノ粒子とターゲットとの最適な結合のための十分な時間を確保するために制限されており,その後,チューブが液体から粒子を分離するのに十分な強さをもった磁界に入る。液体は容器に注がれ,そして,ナノ粒子と結合し磁性をもったターゲットは連続的に容器の底から取り除かれる。
【0158】
連続プロセスの代替の実施形態では,向流直立反応タンクが利用される。そこでは,処理されていない液体が反応タンクを通過しながら結合平衡状態に達し,そして,流出液は磁界により分離される。そこでは,ナノ粒子と結合したターゲットは重力や他の方法で分離される。この実施形態では,ポンプを備える一つの混合タンクが利用される。そこでは,処理されていない液体がナノ粒子との結合平衡状態に達し,そして,ナノ粒子は磁場によって分離される。
【0159】
浄化された水は2つの方法で低圧水ポンプを用いて,浄化水タンクに流される。ナノ粒子は再利用のために洗浄され,磁場を用いて洗浄水から分離される。次いで,洗浄水はポンプを使って排水タンクに移される。浄化水タンク中の水は複数回浄化するために混合タンクにポンプを使って戻される。廃水量を減らすため,廃水も混合タンクにポンプをつかって戻し,再利用することもできる。
【0160】
混合タンクと他のタンクの間にある電磁石や常磁性体は,不要なナノ粒子をトラップするために使われ,混入を防ぐためにタンクの外に流れ出させる。尚,タンクと,磁性による分離ステージの配管は,ポイマーや磁性のない金属のような材料からできており,磁性による分離を邪魔しない。
【0161】
(再生と洗浄)
浄化された水は次いで,重力やポンプによる力,または他の力を使って浄化水タンクに集められる。ナノ粒子が残っている混合タンクでは,磁気遮蔽ケージの蓋をし,磁気を遮り,2.0MのNaOHやHClや他の洗浄液が混合タンクに加えられ,1分〜24時間撹拌しながら混合される。十分に混合され平衡状態となったら,磁気遮蔽蓋は再びはずされ,ナノ粒子はタンクの底に静かに移動する。そこに残った水には,元の水から取り除かれたイオンや,分子,他の混入物が入っている。廃水は浄化水タンクが集める方法と同様の方法で,廃水タンクに集められる。
【0162】
ナノ粒子は再利用のために調製される。そのプロセスは始まりから繰り返され,ナノ粒子は,混合タンク内で前処理した汚染水と混合される(
図16〜19)。
【0163】
ある実施形態においては,希土類磁石及び/または,電磁石が地場を提供するために利用される。好ましい実施形態においては,超伝導の電磁石が使われる。
【0164】
ある実施形態においては,水浄化方法には,限外濾過法/精密濾過法で大きな分子や生物的材料を除去した前処理された水源である汚染源を用いることが含まれる。その水は次いで,混合タンクに移され,撹拌機により撹拌される。撹拌機はある実施例では連続撹拌機,非連続撹拌機,磁気撹拌機,または他の撹拌機を用いることができる。官能化または非官能化ナノ粒子は1分〜数時間の間,撹拌機により汚染された水と混合される。タンクはポリマーや非磁性金属のような非磁性材料によりつくられている場合がある。ここでは利用可能である常磁性体の磁力は磁石のサイズに依存しており,超過地場を制限する磁気の遮蔽ケージ内に設置される。十分に平衡状態に達するまで混合した後に,地場の遮蔽は取り除かれ,外部地場により混合タンクの底にナノ粒子は引きつけられる。浄化された水は,重力やポンプによる力,または他の力を使って浄化水タンクに集められる。
【0165】
ナノ粒子が残っている混合タンクでは,磁気遮蔽ケージの蓋をし,磁気を遮り,2.0MのNaOH,HClや他の洗浄液が混合タンクに加えられ,混合タンクにおいて1分〜24時間撹拌しながら混合される。十分に混合され平衡状態となったら,磁気遮蔽蓋は再びはずされ,ナノ粒子はタンクの底に静かに移動する。そこに残った水には,元の水から取り除かれたイオンや,分子,他の混入物が入っている。廃水は浄化水タンクが集める方法と同様の方法で,廃水タンクに集められる。
【0166】
ナノ粒子は再利用のために調製される。そのプロセスは始まりから繰り返され,ナノ粒子は,混合タンク内で前処理した汚染水と混合される(
図16〜22)。
【実施例1】
【0167】
(官能化超常磁性酸化鉄ナノ粒子を利用し,水溶液から塩化物除去する方法)
(磁性ナノ粒子の合成)
この実施例においては,超常磁性酸化鉄(マグネタイト)ナノ粒子を合成した。この合成は表面活性物質として安定化リガンドの存在下においてなされ,金属前駆体の熱分解の行程を含んだ。合成では,鉄(III)アセチルアセトン,ベンジルエーテル1,2―ヘキサデカンジオール,オレイン酸,アルゴンガスの条件下で混合されたオレイン酸を150℃で1時間,そして,その後に300℃で2時間加熱し成長させた。生成物はエタノールで洗浄され,常磁性体の上に置かれた。
【0168】
得られたナノ粒子はフィルターにかけられ,次いで,トルエンに再懸濁し,動的光散乱法(DLS)と透過型電子顕微鏡(TEM)により同定された(
図5A−6)。この例においては,生成物の割合と量は20mlのベンジルエーテル,0.706gの鉄(III)アセチルアセトン,2.58gの1,2−ヘキサデカンジオール,1.89mlのオレイン酸,1.97mのオレイルアミンであった。
【0169】
(ナノ粒子の結合)
ナノ粒子は結合分子と結合させた。結合分子は,検体,陽イオン,陰イオン,及び/または分子のような,一つ以上の特異性をもつターゲット分子に対して選択的なものである。この実施例においては,マグネタイトナノ粒子は超音波処理され,3−アミノプロピル−トリエトキシシラン,トルエン,アセチル酸と72時間激しく撹拌し、アミンと結合した。生成物はトルエンによって洗浄され,真空条件下において乾燥させた。アミンが結合したナノ粒子はフーリエ変換赤外分光法(FTIR)により同定した(
図7)。
【0170】
カルボキシ化した塩化物レセプターはアミン反応性のN−ヒドロキシスルホサッカニミド(Sulfo−NHS)エステルと置き換わる。それは,カルボキシ化した塩化物レセプターに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(EDC)と,Sulfo−NHSや電荷を持たないNHSを混合し,激しい撹拌条件下に15分間反応させてできる。反応はジチオスレイトール(DTT)によって抑えられる。得られたアミン反応性塩化物レセプターは次いで,アミンが結合した磁性ナノ粒子と2時間混合される。塩化物レセプターと結合した得られた官能化磁性ナノ粒子は,水から塩化物を分離/抽出するプロセスにおいて,脱イオン水で洗浄され,従来と同じように乾燥させた。アミンが結合した磁性ナノ粒子の作成に使われた材料の量とその割合は,26mlのトルエンに溶解した24mgのマグネタイトナノ粒子,0.551mlの3−アミノプロピルートリエトキシシラン,3.6plのアセチル酸である。
【0171】
(分離/抽出)
結合,または非結合ナノ粒子は,磁性ナノ粒子が結合−ナノ粒子複合体を形成することによりターゲット分子と結合するよう,水と混合される。ターゲット分子には過塩素酸,セレン,ナトリウム,あるいは塩化物のようなものがあげられる。磁性ナノ粒子(または,ターゲット結合分子)がターゲット分子と結合すると,結合−ナノ粒子複合体は磁場を利用して水から分離される。希土類磁石及び/または電磁石は磁場を提供し,その磁場は結合−ナノ粒子複合体(結合していない磁性ナノ粒子も同様に)を取り除くことに使われた。
【0172】
塩化物を含有する既知の濃度の水溶液は,既知の量の超常磁性酸化鉄官能化ナノ粒子と混合された。超常磁性酸化鉄官能化ナノ粒子は塩化物レセプターをもつものや非官能化磁性ナノ粒子である。混合溶液は平衡状態となるまでに40分以上かかった。磁性ナノ粒子は常磁性体によって,浄化した溶液と分離された。浄化された液体の塩化物の濃度は調製されたイオン選択塩化物電極,導電率計,及び/またはイオンクロマトグラフィーを用いて計測することができる。結合能力は以下の式に基づいて決めた。
【数2】
【0173】
ここで,[塩化物イオン]
初期と[塩化物イオン]
最終は初期と最終の水溶液中の塩化物イオンの濃度(mg/L)である。C
dは溶液中のナノ粒子の濃度(g/L)である。BCは結合能力であり,溶液中のナノ粒子の1gあたりに結合する塩化物イオンの量(mg)で表している。
【0174】
官能化磁気ナノ粒子の再利用可能性は,0.2MのNaOHで1から15分間粒子を洗浄することにより官能化ナノ粒子から結合した塩化物がはずれることで評価した。官能化ナノ粒子は磁石により再生され,磁場に置かれ、さらに,脱イオン水で洗浄された。
【0175】
再生された官能化ナノ粒子は塩化物との結合に再利用した。官能化された磁性ナノ粒子の塩化物との結合能力は62〜66mg/gの範囲であり,再生された官能化ナノ粒子は同様の結合能力を有しており,官能化磁性ナノ粒子の再利用可能性を示した(
図9)。このような官能化ナノ粒子の結合能力は塩化物を廃水から取り除くことができるイオン交換樹脂と比較されることとなる。
【0176】
初期濃度が1000mg/Lから最終濃度が0.01mg/Lとなるような塩化物の一連の除去においては,30mgの塩化物レセプターをもつ官能化されたナノ粒子をつかって,6回の連続した操作をすることで達成された(
図10)。実験操作には各々,NaClを含有した10m1の脱イオン水が使われた。結合能力はナノ粒子1gあたり約62mgの塩化物であり,後半には、非常に低いクロライド濃度となった(
図11)。
【0177】
最初の操作において、効率は約23%と低いが,塩化物イオンの濃度に対するナノ粒子の割合がますにつれて,効率はあがっている(
図12)。
【実施例2】
【0178】
(表面の官能基として常磁性酸化鉄ナノ粒子を用い,ナトリウムを水溶液から取り除く方法)
(磁性ナノ粒子の合成)
ある実施例においては,超常磁性酸化鉄(マグネタイト)ナノ粒子を合成した。ここの合成は表面活性物質として安定化リガンドの存在下においてなされ,金属前駆体の熱分解の行程を含んだ。合成では,鉄(III)アセチルアセトン,ベンジルエーテル1,2−ヘキサデカンジオール,オレイン酸,アルゴンガスの条件下で混合されたオレイン酸を150℃で1時間,そして,その後に300℃で2時間加熱し成長させた。生成物はエタノールで洗浄され,常磁性体の上に置かれた。得られた名の粒子はフィルターにかけられ,次いで,トルエンに再懸濁し,動的光散乱法(DLS)と透過型電子顕微鏡(TEM)により同定された(
図5A−6)。この例においては,生成物の割合と量は20mlのベンジルエーテル,0.706gの鉄(III)アセチルアセトン,2.58gの1,2−ヘキサデカンジオール,1.89mlのオレイン酸,1.97mのオレイルアミンであった。
【0179】
(ナノ粒子の表面の官能化)
ナノ粒子は表面が荷電をもつポリマーで官能化されている。荷電をもつポリマーは検体,陽イオン,陰イオン,及び/または分子のような,一つ以上の特異的ターゲット分子に対して選択的に結合するように,ナノ粒子の表面を官能化する。表面の官能化はまた,ナノ粒子が単分散しやすくさせる。ナノ粒子の表面の割合が増加するほど,表面のイオン結合が増加する。特異的な表面の官能基は結合するターゲットよって選ばれる。
【0180】
この実施例においては,マグネタイトナノ粒子は超音波処理され,3−アミノプロピル−トリエトキシシラン,トルエン,アセチル酸と72時間激しく撹拌 することでアミンと結合した。生成物はトルエンによって洗浄され,真空条件下において乾燥した。アミンが結合したナノ粒子はフーリエ変換赤外分光法(FTIR)により同定された(
図7)。
【0181】
磁性ナノ粒子と分子量100000のポリアクリルを混合することにより,ポリアクリル酸は磁性ナノ粒子の表面をコートする。そして,1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロライド(EDC)と混合し,反応させるために激しい撹拌条件下に30分間放置してできる。表面がポリアクリル酸で官能化され得られた磁性ナノ粒子は,水からナトリウムのような陽イオンを分離/抽出する行程において,脱イオン水で洗浄され,従来と同じように乾燥させた。アミン結合のために使用された材料の量と割合は,26mlのトルエンに溶解した24mgのマグネタイトナノ粒子,0.551mlの3−アミノプロピルートリエトキシシラン,3.6μLのアセチル酸である。表面がポリアクリル酸により官能化されるために使用された材料の量は100mgのアミンが結合したナノ粒子,35重量%(水中に)の分子量100000の2.5mlのポリアクリル酸(PAA)溶液と,19.122mgのハイドロクロライド(EDC)である。
【実施例3】
【0182】
(表面の官能基としてPEG−OHを用い,セレン酸塩を水溶液から取り除く方法)
(超常磁性酸化鉄ナノ粒子,磁性ナノ粒子の合成)
ある実施例においては,超常磁性酸化鉄(マグネタイト)ナノ粒子を合成した。ここの合成は表面活性物質として安定化リガンドの存在下においてなされ,金属前駆体の熱分解の行程を含んだ。合成では,鉄(III)アセチルアセトン,ベンジルエーテル1,2−ヘキサデカンジオール,オレイン酸,アルゴンガスの条件下で混合されたオレイン酸を150℃で1時間,そして,その後に300℃で2時間加熱し成長させた。生成物はエタノールで洗浄され,常磁性体の上に置かれた。得られたナノ粒子はフィルターにかけられ,次いで,トルエンに再懸濁し,動的光散乱法(DLS)と透過型電子顕微鏡(TEM)により同定された(
図5A−6)。この例においては,生成物の割合と量は20mlのベンジルエーテル,0.706gの鉄(III)アセチルアセトン,2.58gの1,2−ヘキサデカンジオール,1.89mlのオレイン酸,1.97mのオレイルアミンであった。
【0183】
(ナノ粒子表面の官能化)
ナノ粒子は表面が水酸基をもつ
ポリエチレングリコールで官能化されている。水酸基をもつ
ポリエチレングリコールは検体,陽イオン,陰イオン,及び/または分子のような,一つ以上の特異性をもつターゲット分子に対して選択的に結合するように,ナノ粒子の表面を官能化する。表面の官能化はまた,ナノ粒子が単分散しやすくさせる。ナノ粒子が表面の割合が増加するほど,表面のイオン結合が増加する。特異的な表面の官能基は結合するターゲットよって選ばれる。
【0184】
実施例においては。オレイン酸とオレイルアミンを用いて合成されたマグネタイトナノ粒子はトルエンに再懸濁され,超音波処理され,アセチル酸と両端にカルボキシル基と水酸基を両方もつ
ポリエチレングリコール(OH−PEG−COOH)と混合された。この混合液は72時間激しく撹拌され,トルエンで洗浄された。そして,真空条件下で乾燥させた。そのカルボキシル基は酸化鉄ナノ粒子の表面にある水酸基と結合を作り,オレイン酸を置換する。そして,ナノ粒子の表面にOH−PEG−COOHをクロスリンクさせる。得られたナノ粒子は表面が末端に水酸基をもつ
ポリエチレングリコールで官能化されている。PEG−OHナノ粒子は
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)により同定された(
図8)。
【0185】
表面をPEG−OHで官能化するために使用された材料の量と割合は,26mlのトルエンに溶解した20mgのマグネタイトナノ粒子,10mlのトルエンに溶解した20mgのOH−PEG−COOH,3μlのアセチル酸である。
【実施例4】
【0186】
(剥き出しの酸化鉄を用い,セレン酸塩を水溶液から取り除く方法)
(剥き出しのナノ粒子の合成)
超常磁性酸化鉄ナノ粒子を合成するために,共沈の方法を用いた。FeCl
2とFeCl
3の溶液が混合され,反応させるために,室温〜37℃で1時間放置した。ナノ粒子は常磁性体の上に置かれるか,または遠心分離してナノ粒子を分離する。ナノ粒子は脱イオン水で3〜5回洗浄される。安定剤は溶液中で用いられず,ナノ粒子は剥き出しのままである。剥き出しの磁性ナノ粒子は動的光散乱法(DLS)により同定された。共沈による合成方法の式は以下の通りである。
【数3】
【実施例5】
【0187】
(4つの実施例の分離/抽出)
リガンドセレプターが結合したもの,表面が官能化したもの,または,剥き出しのナノ粒子は水と混合され,ターゲット分子と混合される。ターゲット分子には過塩素酸,セレン,ナトリウム,あるいは塩化物のようなものがあげられ,それらは磁性ナノ粒子と結合し,結合−ナノ粒子複合体を形成する。磁性ナノ粒子(または,ターゲット結合分子)がターゲット分子と結合すると,結合−ナノ粒子複合体は磁場を利用して水から分離される。
【0188】
希土類磁石及び/または電磁石は磁場を提供し,その磁場は結合−ナノ粒子複合体(結合していない磁性ナノ粒子も同様に)を取り除く。
【0189】
ナトリウム,塩化物やセレンのようなイオンを含有する既知の濃度の水溶液は,レセプターが結合した既知の量の超磁性酸化鉄ナノ粒子と混合された。酸化鉄ナノ粒子は表面がポリアクリル酸(PAA)やポリエチレングリコール(PEG)で官能化したものや,ナノ粒子が剥き出しのものであった。混合溶液は平衡状態となるまでに40分以上かかった。磁性ナノ粒子は常磁性体上に移され,浄化した溶液は分離された。浄化された液体のイオン濃度は調製されたイオン選択塩化物電極,導電率計,質量分光測定法及び/またはイオンクロマトグラフィーを,そしてセレン酸塩の検出にはEPA 200.8 で定められている方法を,用いて計測することができる。結合能力は以下の式に基づいて決めた。
【数4】
ここで,[イオン]
初期と[イオン]
最終は初期と最終の水溶液中のイオンの濃度(mg/L)である。C
dは溶液中のナノ粒子の濃度(g/L)である。BCは結合能力であり,溶液中のナノ粒子の1gあたりに結合するイオンの量(mg)で表している。
【0190】
レセプターが結合し,表面が官能化し,剥き出しである磁気ナノ粒子の再利用可能性は,水酸化ナトリウム,塩酸や,硝酸で1から15分間粒子を洗浄することにより各々のナノ粒子から結合したイオンがはずれることで評価した。
【0191】
ナノ粒子は磁石により再生され,そしてさらに,上記と同様のプロセスを用いて脱イオン水で洗浄した。再生されたナノ粒子はイオンとの結合に再利用した。0.2M NaOH及び/またはHClは塩化物とナトリウムがナノ粒子に結合した塩化物結合レセプターから脱離すること,かつ、ポリアクリル酸(PAA)が表面に官能化されたナノ粒子から脱離することに使われた。
【0192】
官能化された磁性ナノ粒子の塩化物との結合能力は62〜66mg/gの範囲であり,再生された官能化ナノ粒子は同様の結合能力を有しており,官能化磁性ナノ粒子の再利用可能性を示した(
図9)。このような官能化ナノ粒子の結合能力は塩化物を廃水から取り除くことができるイオン交換樹脂と比較される。
【0193】
初期濃度が1000mg/Lから最終濃度が0.01mg/Lとなるような塩化物の一連の除去においては,30mgの塩化物レセプターをもつ官能化されたナノ粒子をつかって,6回の連続した操作をすることで達成された(
図10)。実験操作には各々,NaClを含有した10m1の脱イオン水が使われた。結合能力はナノ粒子1gあたり約62mgの塩化物であり,後半には、非常に低いクロライド濃度となった(
図11)。
【0194】
最初の操作において、効率は約23%と低いが,塩化物イオンの濃度に対するナノ粒子の割合が増すにつれて,効率は上がっている(
図12)。
【実施例6】
【0195】
(表面が官能化されたナノ粒子,剥き出しの酸化鉄ナノ粒子を使ったナセレン酸塩を取り除く方法)
(第1段階)
15mgのPEG−OHが表面に官能化された酸化鉄ナノ粒子は15mlのコニカル瓶に加えられた。濃度が234.6μg/Lであるセレン酸ナトリウム5mlがこのコニカル瓶に添加され,瓶の中の試料は平衡状態になるために,72時間以上かかった。
【0196】
その15mlのコニカル瓶は磁石の上に置かれ,粒子は引っ張られ落ちる。3mlの溶液(上澄み)は取り除かれ,新しい15mlのコニカル瓶に入れられた。この新しい瓶は6485ガウスの磁場の強さをもつ常磁性磁石の上に粒子が落ちるまで,約5分置かれた。この新しい瓶から1mlの溶液(上澄み)が50mlのコニカル瓶中の45mlの脱イオン水に加えられた。
【0197】
(第2段階)
もとの瓶には残ったセレン酸塩溶液が含まれている。この残ったセレン酸塩溶液はNaOHの希釈溶液(0.015gのNaOHを45mlの脱イオン水に加えてつくられた)を加え,脱イオン水で3回洗浄することにより,磁性ナノ粒子からセレン酸塩を取り除いた。2μlのNaOH溶液は、上記のように5mlの脱イオン水に加えることで調製した。このNaOHの量と同等の量のセレンイオンが粒子に結合した。
【0198】
濃度が234.6μg/Lであるセレン酸ナトリウム5mlが洗浄されたPEG−OH官能化ナノ粒子に添加され,試料は平衡状態になるために,72時間以上かかった。その15ml瓶は6485ガウスの磁場の強さをもつ磁石の上に置かれ,粒子は引っ張られ落ちる。3mlのセレン酸塩溶液(上澄み)は取り除かれ,新しい15mlのコニカル瓶に入れられた。この新しい瓶は6485ガウスの磁場の強さをもつ常磁性磁石の上に粒子が落ちるまで,約5分置かれた。この新しい瓶から1mlの溶液(上澄み)が50mlのコニカル瓶中の45mlの脱イオン水に加えられた。浄化されたサンプルのセレンの濃度は標準的な方法であるEPA 200.8の方法,IPC−MS分析を使って分析した。装置の検出限界は0.0004mg/L(ppm)であった。
【実施例7】
【0199】
(共沈合成を利用した表面が官能化された酸化鉄ナノ粒子の合成)
ガラクトース官能化酸化鉄ナノ粒子,0.2:1と2:1の各々の割合のデキストラン/ガラクトース官能化酸化鉄ナノ粒子,表面が官能化していないか。安定剤を使用していない剥き出しの酸化鉄ナノ粒子が調製された。
【0200】
4.4mlのFeCl
2/FeCl
3をプラスチック製のピペットを介して,50mlコニカル瓶に添加した。そこには40mlの1MのNH
4OHと必要な安定剤(ガラクトース,デキストラン/ガラクトース)が入っていた。剥き出しの酸化鉄ナノ粒子の調製の時には安定剤は用いなかった。FeCl
2/FeCl
3の質量割合は1:2.8であった。
【表1】
試料は約1時間,撹拌機に入れられた。温度は37℃前後の範囲であった。試料は5000rpmで5分間遠心分離された。上澄みは取り除かれ,試料は脱イオン水で洗浄した。この操作を4回行った。少量の試料はクライオ−チューブに移され,速乾ロータリーエバポレーターで乾燥させた。
【実施例8】
【0201】
(表面が官能化ナノ粒子や剥き出しの酸化鉄ナノ粒子を使ったセレン酸塩の除去)
15mg(±3mg)の各種表面が官能化されたナノ粒子や剥き出しの酸化鉄ナノ粒子を15mlのコニカル瓶に添加した。782μg/Lのセレン酸ナトリウム3mlをその瓶に添加した。試料はボルテックス/超音波処理し,オーバーナイトの撹拌機で撹拌した。その15ml瓶は6485ガウスの磁場の強さをもつ磁石の上に粒子が落ちるまでの間,約5分置かれた。2mlの溶液(上澄み)は取り除かれ,新しい15mlのコニカル瓶に入れられた。この新しい瓶は磁場の強さをもつ磁石の上に粒子が落ちるまで,約5分置かれた。この新しい瓶から1mlの溶液(上澄み)が50mlのコニカル瓶中の45mlの脱イオン水に加えられた。浄化されたサンプルのセレンの濃度は標準的な方法であるEPA 200.8の方法,IPC−MS分析を使って分析した。装置の検出限界は0.0004mg/L(ppm)であった。
【0202】
結果は
図24〜28に示してある。全ての引用文献は記載の通りである。これらの様々な修飾やバリエーションの技術はナノ粒子とレセプターに関する方法であり,これらは本発明の範囲から逸脱したものではない。また、本発明と上記実施例の修飾やバリエーションを記載したが、実施例は本発明の実施形態であるが発明の範囲は、これに制限されるものではない。