特許第6494474号(P6494474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494474
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】高周波半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20190325BHJP
   H03F 3/195 20060101ALN20190325BHJP
【FI】
   H01L23/12 301Z
   !H03F3/195
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-177033(P2015-177033)
(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公開番号】特開2017-54893(P2017-54893A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】高木 一考
【審査官】 平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−100344(JP,A)
【文献】 特開2008−22235(JP,A)
【文献】 特開2014−107398(JP,A)
【文献】 特開2005−327903(JP,A)
【文献】 特開平11−168151(JP,A)
【文献】 特開2012−182306(JP,A)
【文献】 特開昭64−47108(JP,A)
【文献】 特開2006−190712(JP,A)
【文献】 特開2014−112789(JP,A)
【文献】 特開昭58−184801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/54
H01L 23/00−23/04
H01L 23/06−23/26
H01P 5/00−5/22
H03F 1/00−3/45
H03F 3/50−3/52
H03F 3/62−3/64
H03F 3/68−3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波集積回路が設けられた半導体素子と、
前記半導体素子が接合された金属板と、前記半導体素子を囲みかつ前記金属板上に接合された絶縁体枠部と、前記絶縁体枠部に設けられかつ50Ωの特性インピーダンスを有する伝送線路と、を有する実装部材であって、前記伝送線路は第1のスリットにより第1領域と前記半導体素子に隣接する第2領域とに分割された、実装部材と、
前記第1のスリットの前記第1領域と前記第2領域とを接続する第1のボンディングワイヤと、
前記半導体素子の第1の電極と、前記第2領域の端部と、を接続する第2のボンディングワイヤと、
を備えた高周波半導体装置。
【請求項2】
前記第1のボンディングワイヤのインダクタンスと、前記第2のボンディングワイヤのインダクタンスと、は同一である請求項1記載の高周波半導体装置。
【請求項3】
前記実装部材は、前記伝送線路の前記第2領域から離間して配置され前記第2領域の中央部に接続可能な容量性スタブを前記絶縁体枠部にさらに有する請求項1または2に記載の高周波半導体装置。
【請求項4】
前記実装部材は、前記伝送線路の前記第2領域から離間して配置され前記第2領域の中心から等距離の位置に接続される2つの容量性スタブをさらに有する請求項1または2に記載の高周波半導体装置。
【請求項5】
第3のボンディングワイヤをさらに備え、
前記第2領域には、電気長を等分する第2のスリットが中央部にさらに設けられ、
前記第3のボンディングワイヤは、前記第2のスリットにより分割された領域を接続する請求項1または2に記載の高周波半導体装置。
【請求項6】
前記マイクロ波集積回路は、電界効果トランジスタ増幅器を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の高周波半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高周波半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子チップのサイズが大きくなると、スクラブによりチップを確実にパッケージに接着するために、スクラブのストロークを長く確保する必要がある。このため、パッケージ信号端子の内部端とチップとの隙間が大きくなる。その結果として、ボンディングワイヤが長くなる。
【0003】
高周波半導体装置に搭載されるマイクロ波集積回路の入出力インピーダンスは、たとえば、50Ω近傍の負荷インピーダンスを前提に設計される。
【0004】
マイクロ波集積回路を構成する半導体素子チップとパッケージ端子とをボンディングワイヤで接続すると、パッケージ端子におけるインピーダンスが50Ωからずれることがある。50Ωからのインピーダンスのずれは、周波数が高くなるほど大きくなる。パッケージ信号端子の内部端とチップとの隙間を中継基板で埋める技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5439415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パッケージとの接続ボンディングワイヤのインダクタンスが大きく影響するような周波数、たとえば30GHzでは、パッケージ信号端子の内部端とチップとの隙間を埋める中継基板を介する場合、後述する第1、第2のボンディングワイヤ、および中継基板の線路長には設計値に対する精度が求められる。しかしボンディングワイヤを設計値通りに形成することは難しい。ボンディングワイヤのずれによる、マイクロ波集積回路と実装部材端子との間のインピーダンスのずれに対する微調整が容易な高周波半導体装置を提供する。
これに加えて、中継基板を用いないことで部品点数が低減されるとともに、ばらつき要因が低減された高周波半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の高周波半導体装置は、半導体素子と、実装部材と、第1のボンディングワイヤと、第2のボンディングワイヤと、を有する。前記半導体素子は、マイクロ波集積回路を含む。前記実装部材は、前記半導体素子が接合された金属板と、前記半導体素子を囲みかつ前記金属板上に接合された絶縁体枠部と、前記絶縁体枠部に設けられかつ50Ωの特性インピーダンスを有する伝送線路と、を有する。前記伝送線路は第1のスリットにより第1領域と前記半導体素子に隣接する第2領域とに分割される。前記第1のボンディングワイヤは、前記第1のスリットの前記第1領域と前記第2領域とを接続する。前記第2のボンディングワイヤは、前記半導体素子の第1の電極と、前記第2領域の端部と、を接続する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は第1の実施形態にかかる高周波半導体装置の模式斜視図である。
図2図2(a)は第1の実施形態にかかる高周波半導体装置の模式平面図、図2(b)はA−A線に沿った模式断面図、図2(c)は部分拡大模式平面図、である。
図3図3(a)は第1の実施形態のリターンロスを表すグラフ図、図3(b)はそのインピーダンスを表すスミス図、である。
図4図4(a)は比較例にかかる高周波半導体装置の模式斜視図、図4(b)はそのインピーダンスを表すスミス図、である。
図5図5(a)は伝送線路の第1変形例の模式平面図、図5(b)は容量性スタブが伝送線路に接続されていないときのインピーダンスを表すスミス図、図5(c)は容量性スタブが伝送線路に接続されたときの中継基板のインピーダンスを表すスミス図、である。
図6図6(a)は伝送線路の第2変形例の模式平面図、図6(b)は容量性スタブが伝送線路に接続されていないときのインピーダンスを表すスミス図、図6(c)は容量性スタブが伝送線路に接続されたときの中継基板のインピーダンスを表すスミス図、である。
図7図7(a)は伝送線路の第3変形例、図7(b)は接続ボンディングワイヤのインダクタンスが大きいときの作用を説明するスミス図、図7(c)は接続ボンディングワイヤのインダクタンスが小さいときの作用を説明するスミス図、である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる高周波半導体装置の模式斜視図である。
高周波半導体装置10は、半導体素子20と、実装部材30と、第1のボンディングワイヤ60と、第2のボンディングワイヤ70と、第3のボンディングワイヤ(図示せず)と、第4のボンディングワイヤ(図示せず)と、を有する。
【0010】
半導体素子20のチップには、マイクロ波集積回路(MMIC:Microwave Monolythic Integrated Circuit)などが設けられる。マイクロ波集積回路は、たとえば、HEMT(High Electron Mobility Transistor)を含む電界効果トランジスタと、整合回路と、を含む。整合回路は、伝送線路、インダクタ、キャパシタ、バイアス回路、などを含むことができる。
【0011】
半導体素子20は、基板および基板上に設けられた積層体を含む。たとえば、基板をSiC、積層体を窒化ガリウム系材料とすると、マイクロ波からミリ波帯MMIC化増幅器などが構成できる。
【0012】
実装部材30は、半導体素子20が接合された金属板32と、半導体素子20を囲みかつ金属板32上に接合された絶縁体枠部34と、絶縁体枠部34に設けられかつ50Ωの特性インピーダンスを有する伝送線路37と、を有する。伝送線路37は、第1のスリット37cにより第1領域37aと半導体素子20に隣接する第2領域37bとに分割される。実装部材30は、特性インピーダンスが50Ωである伝送線路57をさらに有することができる。伝送線路57は、スリットにより第1領域と第2領域とを分割される。
本図において、リード36、56は、リードフレーム状に多数個連結されている。
【0013】
図2(a)は第1の実施形態にかかろ高周波半導体装置の模式平面図、図2(b)はA−A線に沿った模式断面図、図2(c)はその部分拡大模式平面図、である。
絶縁体枠部34は、たとえば、アルミナ、窒化アルミニウムなどとすることができる。また金属板32は、CuMo、CuWなどとすることができる。絶縁体枠部34と金属板32とは、銀ロウなどを用いて接合される。
【0014】
リード36、56の幅を0.2mm、伝送線路37、57の幅を0.4mmなどとする。また、絶縁体枠部34の厚さは、0.4〜0.6mmなどとすることでリードの確実な接合が得られるとともに、50Ω近傍のインピーダンスが広い周波数範囲において得られる。
【0015】
半導体素子20がHEMT多段増幅器の場合、その平面サイズは、たとえば、30mm×30mmなどと大きくなる。金属板32に大面積の半導体素子20をAuSbなど半田材を用いて接合する場合、絶縁体枠部34との間の隙間を1mm程度に保ちスクラブを行いつつ接合するとボイドを抑制できるので好ましい。
【0016】
また、半導体素子20がSiC基板とその上の窒化ガリウム積層体とを含む場合、その厚さは50〜100μmなどのように絶縁体枠部34の厚さに比べて非常に薄い。その結果、接続ボンディングワイヤは長くなる。
【0017】
第1領域37aと第2領域37bとは、第1のボンディングワイヤ60により接続される。第2領域37bの端部と、半導体素子20の第1の電極20aとは、第2のボンディングワイヤ70により接続される。ボンディング位置を、基準面Q1とする。第2のボンディングワイヤ70と第2領域37bとのボンディング位置を基準面Q2とする。第2のボンディングワイヤ70と第1の電極20aとのボンディング位置を基準面Q3とする。
【0018】
伝送線路57と、半導体素子20の第2の電極20bと、は、第3のボンディングワイヤ62により接続される。第1領域57aと第2領域57bとは、第4のボンディングワイヤ72により接続される。
【0019】
図3(a)は第1の実施形態にかかる高周波半導体装置のリターンロスを表すグラフ図、図3(b)はそのインピーダンスを説明するスミス図、である。
図3(a)において、縦軸はリターンロス(dB)、横軸は周波数(GHz)である。高周波半導体装置は、中心周波数が30GHzなどとする。
図3(b)において、スミス図は特性インピーダンスZcc=50Ωで正規化されているものとする。リード36は、50Ω負荷に接続されている。第1のボンディングワイヤ60と第1領域37aとのボンディング位置からみた負荷インピーダンスは50Ωとなる。
【0020】
負荷50Ωに、第1のボンディングワイヤ(wire1)60のインダクタンスが付加され、基準面Q1からみた負荷インピーダンスは、z1@Q1となる。これに、第2領域37bの50Ωラインのインピーダンスが付加された負荷インピーダンスは、z2@Q2となる。これに、第2のボンディングワイヤ(wire2)70のインダクタンスが付加され、基準面Q3からみた負荷インピーダンスは、z3@Q3となる。すなわち、z3は、周波数30GHzにおいて、50Ω近傍となっている。
【0021】
第1の実施形態では、第1のボンディングワイヤ60のインダクタンスと、第2のボンディングワイヤ70のインダクタンスを同一とし、かつ第2領域(50Ωライン)37bの電気長EL1を図3(b)のように設定することにより、図3(a)に表すように、周波数30GHzにおいて、50Ωに整合させている。
【0022】
図4(a)は比較例にかかる高周波半導体装置の模式斜視図、図4(b)はそのインピーダンス整合を説明するスミス図、である。
高周波半導体装置110は、半導体素子120と、実装部材130と、第1のボンディングワイヤ160と、第2のボンディングワイヤ170と、第3のボンディングワイヤ162と、第4のボンディングワイヤ172と、第1の中継基板137と、第2の中継基板157と、を有する。
【0023】
たとえば、中継基板137、157は、アルミナや窒化アルミニウムなどのセラミック、石英・サファイヤ・高抵抗半導体、などの絶縁体材料を含むものとすることができる。中継基板137の裏面に導電部を設けると、金属板132の表面にAuSnなどの半田材で接合できる。信号伝搬方向に沿った中継基板137の長さは、隙間である1mm以下とする。中継基板40の幅はたとえば、0.5mm〜1mmなどとすることができる。
【0024】
中継基板137は、特性インピーダンスが50Ωの伝送線路を有する。中継基板137の伝送線路の電気長を第1の実施形態の第2領域37bの電気長と等しくし、第1および第2のボンディングワイヤのインダクタンスを第1の実施形態のボンディングワイヤのインダクタンスと等しくする。このとき、図4(b)に表すように、インピーダンス整合の作用は、第1の実施形態と同様になる。但し、比較例では、中継基板137を実装部材130と、半導体素子120と、のギャップに配置することが必要であり、その位置精度が十分でないと設計値からのずれが大きくなる。また、中継基板137、157の部品点数が増える。
【0025】
これに対して、第1の実施形態では中継基板は不要であり、第1領域37a、57aと第2領域37b、57bとの間の距離を一定値に保つことができるので設計値からのずれは小さい。また、部品点数が少ないので、量産性に富み価格低減が可能となる。
【0026】
図5(a)は伝送線路の第1変形例の模式平面図、図5(b)は容量性スタブが伝送線路に接続されていないときのインピーダンスを表すスミス図、図5(c)は容量性スタブが伝送線路に接続されたときの中継基板のインピーダンスを表すスミス図、である。
図5(a)に表すように、容量性スタブ45は、第2領域37bの中央部近傍に接続可能な複数の領域を有する。複数の領域から適正な数を接続することにより、実効的にスタブの電気長を調整できる。
【0027】
図5(b)に表すように、第1のボンディングワイヤ(wire1)60と第2のボンディングワイヤ(wire2)70のインダクタンスが設計値どおりのとき、容量性スタブ45を接続しなくても50Ωへ整合できる。
【0028】
図5(c)に示すように第1のボンディングワイヤ(wire1)60と第2のボンディングワイヤ(wire2)70のインダクタンスが設計値よりも小さいとき、容量性スタブ45の複数の領域の内のいくつかと第2領域37bの中間位置とをボンディングワイヤで接続することにより基準面Q4からみた負荷インピーダンスz5@Q4は50Ω近傍となる。
【0029】
図5(c)に示すように、第1のボンディングワイヤ(wire1)60による位相の回転量と第2領域37bによる位相の回転量の半分の和が180度より小さく、かつ第2のボンディングワイヤ(wire2)70による位相の回転量と第2領域37bによる位相の回転量の半分の和が180度よりも小さくなるときには、容量性スタブ45を接続して180度に足りない分を補償することで、基準面Q4からみた負荷インピーダンスz5@Q4は50Ω近傍となる。
【0030】
第1のボンディングワイヤ(wire1)60と第2のボンディングワイヤ(wire2)70のインダクタンスを等しくし、かつ第2領域37bの両端から等しい位置に、容量性スタブ45を配置することで、基準面Q3からみた負荷インピーダンスz4@Q3が負荷インピーダンスz1@Q1と複素共役となるように決定できる。すなわち、容量性スタブ45によるインピーダンス変化分を付加する微調整により、基準面Q4からみた負荷インピーダンスz5@Q4は50Ω近傍となる。複数の領域を接続するには、ボンディングワイヤなどを用いることができる。
【0031】
図6(a)は伝送線路の第2変形例の模式平面図、図6(b)は容量性スタブが伝送線路に接続されていないときのインピーダンスを表すスミス図、図6(c)は容量性スタブが伝送線路に接続されたときの中継基板のインピーダンスを表すスミス図、である。
容量性スタブ46、47は、第2領域37bの中心から等しい距離である2つの位置にボンディングワイヤなどで接続される。なお、容量性スタブを構成する複数の領域から、適正な数の領域を接続する。
【0032】
図6(b)に表すように、第1のボンディングワイヤ(wire1)60と第2のボンディングワイヤ(wire2)70のインダクタンスが設計値どおりのとき、容量性スタブ45を接続しなくても、50Ωへ整合できる。
【0033】
図6(c)に示すように、第1のボンディングワイヤ(wire1)60と第2のボンディングワイヤ(wire2)70のインダクタンスが設計値よりも小さいとき、容量性スタブ46、47の複数の領域の内のいくつかを第2領域37bの両端にボンディングワイヤで接続することにより基準面Q3からみた負荷インピーダンスz5@Q3は50Ω近傍となる。
【0034】
図6(c)では、第1のボンディングワイヤ60のインダクタンスが図6(b)のインダクタンスよりも小さい。これに、容量性スタブ46のリアクタンスが付加されると、基準面Q1からみた負荷インピーダンスがz2(stub)@Q1となる。さらに固定電気長(基準面Q1と基準面Q2との間)が付加されたとき、負荷インピーダンスはz3@Q2となる。さらに、容量性スタブ(stub2)47が付加されると、基準面Q2からみた負荷インピーダンスは、z4(stub)@Q2となる。さらに、第2のボンディングワイヤ(wire2)70のインピーダンスが付加されたとき、基準面Q3からみた負荷インピーダンスは、z5@Q3となる。
【0035】
第2変形例では、第2領域37bの中心から等しい距離に設けられた容量性スタブ46、47の容量を微調整することにより、半導体素子20と、実装部材30の端子と、の間インピーダンスのずれを微調整できる。
【0036】
図7(a)は伝送線路の第3変形例、図7(b)は接続ボンディングワイヤのインダクタンスが大きいときの作用を説明するスミス図、図7(c)は接続ボンディングワイヤのインダクタンスが小さいときの作用を説明するスミス図、である。
第3のボンディングワイヤ80は、第2領域37bに設けられた第2のスリット37dを接続する。
【0037】
図7(a)に表すように、第2領域37bにおいて第2のスリット37dにより分割された2つの領域の電気長は等しいものとする。基準面Q2からみた負荷インピーダンスz2@Q2は、基準面Q1からみた負荷インピーダンスz1@Q1に固定電気長(Q1とQ2との間)によるインピーダンスが付加されたものである。
【0038】
さらに、第3のボンディングワイヤ80によるインピーダンスが付加され、基準面Q3からみた負荷インピーダンスは、z3@Q3となる。さらに、負荷インピーダンスz3@Q3に第2領域37bの固定インピーダンスが付加されたとき、負荷インピーダンスはz4@Q4となる。
【0039】
さらに、第1のボンディングワイヤ60のインピーダンスが付加されて、基準面Q5からみた負荷インピーダンスはz5@Q5となる。
【0040】
第2領域37bの第2のスリット37dの中心に関して、第2領域37bと、第1〜第3のボンディングワイヤと、を対称配置することにより、インピーダンスを複素共役にし、結果として50Ωに整合させることが容易となる。すなわち、第3変形例では、第2のスリット37dを接続する第3のボンディングワイヤ80のインダクタンスを微調整することにより、50Ωに整合させる。
【0041】
第1の実施形態およびその第1〜第3の変形例によれば、マイクロ波集積回路を構成する半導体素子と、実装部材の信号端子と、が整合する帯域の中心周波数を微調整可能な高周波半導体装置が提供される。この高周波半導体装置は、たとえば、30GHz帯の衛星通信地上局などに用いることができる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 高周波半導体装置、20 半導体素子、20a 第1の電極、30 実装部材、32 金属板、34 絶縁体枠部、37 伝送線路、37a 第1領域、37b 第2領域、37c 第1のスリット、37d 第2のスリット、45、46、47 容量性スタブ、60 第1のボンディングワイヤ、70 第2のボンディングワイヤ、80 第3のボンディングワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7