【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、国土交通省関東地方整備局、東京外かく環状道路本線トンネル(北行)大泉南工事委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、発進防護壁や地中支障物をシールド掘削機のビットで切削する事例が多くなっている。このような切削処理では、ビットの異常摩耗が発生する場合があった。この異常摩耗に対しては、ビットの異常摩耗を前記摩耗検出装置で検知して、摩耗が検知されたビットを交換することで対処していた。
【0006】
以上のように、従来の摩耗検出装置は、異常摩耗を検知することはできるものの、摩耗を低減することはできない。摩耗を低減することができれば、ビット交換の回数を減らすこともできるので、非常に効果が大きい。
【0007】
このような観点から、本発明は、カッタビットの摩耗を低減することができるビット摩耗低減方法およびビット摩耗低減構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明は、シールド掘削機のカッタビットの摩耗を低減させるビット摩耗低減方法であって、前記カッタビットの内部温度を計測し、計測された前記内部温度に応じて、前記カッタビットを冷却することを特徴とするビット摩耗低減方法である。
【0009】
本発明者らは、カッタビットの温度上昇が異常摩耗の原因の一つである点に着目し、カッタビットの内部温度に応じて、カッタビットを冷却するようにした。本発明によれば、カッタビットが異常摩耗を引き起こす温度以上になるのを防止できる。これによって、異常摩耗を抑制することができるので、カッタビットの摩耗を低減することができる。
【0010】
また、本発明のビット摩耗低減方法は、前記カッタビットの摩耗状態と前記内部温度との関係に基づいて内部温度管理値を予め設定しておき、前記内部温度が前記内部温度管理値を超えたときに、前記カッタビットの冷却を開始することが好ましい。このような方法によれば、カッタビットの異常摩耗が進行する前に冷却を行うことができるので、効率的な掘削および異常摩耗の抑制を行うことができる。
【0011】
さらに、本発明のビット摩耗低減方法は、前記カッタビットの表面温度と摩耗状態との関係に基づいて表面温度管理値を予め設定し、前記カッタビットの前記表面温度と前記内部温度との温度差を前記表面温度管理値から減じた数値を、前記内部温度管理値とすることが好ましい。このような方法によれば、カッタビットの表面温度を正確かつ容易に検知できるので、摩耗状態に即した精度の高い内部温度管理値を設定できる。
【0012】
前記課題を解決するための本発明は、シールド掘削機のカッタビットの摩耗を低減させるビット摩耗低減構造であって、前記カッタビットの内部に埋設された温度計測手段と、前記カッタビットに冷却水を供給する冷却水供給手段と、前記温度計測手段で計測された前記カッタビットの内部温度に応じて、前記冷却水供給手段を作動させる制御手段とを備えたことを特徴とするビット摩耗低減構造である。
【0013】
このような構成によれば、カッタビットの温度が所定値を超える前にカッタビットを冷却することで、カッタビットの異常な温度上昇を防止できる。これによって、カッタビットの異常摩耗を抑制することができるので、カッタビットの摩耗を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カッタビットの摩耗を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るビット摩耗低減方法およびビット摩耗低減構造を、添付した図面を参照しながら説明する。まず、ビット摩耗低減構造の構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るビット摩耗低減構造1は、シールド掘削機2のカッタビット3の摩耗を低減させるものである。ビット摩耗低減構造1は、カッタビット3の内部に埋設された温度計測手段10と、カッタビット3に冷却水を供給する冷却水供給手段20と、温度計測手段10で計測されたカッタビット3の内部温度に応じて、冷却水供給手段20を作動させる制御手段30とを備えている。
【0017】
図2に示すように、カッタビット3の先端部側には、切削チップ3aが設けられている。切削チップ3aは、工具鋼や超硬合金などの硬度が高い素材で形成されている。温度計測手段10は、たとえば熱電対からなる。熱電対の先端側のセンサ部分は、カッタビット3の後方から穿設された収容穴11に挿入されている。収容穴11は、カッタビット3の両側に設けられた一対の切削チップ3a,3aに挟まれた位置に形成されている。熱電対の基端側にはケーブル12が設けられている。このケーブル12は、シールド掘削機2のロータリジョイント4(
図1参照)を介して、シールド掘削機2の後方まで延在していて、制御手段30に電気的に接続されている。収容穴11の切羽側先端部は、カッタビット3の先端部から所定距離(たとえば50mm)の位置に形成されている。熱電対の先差部分は、収容穴11の切羽側先端部まで挿入されており、カッタビット3の先端部から50mmの深さ位置の内部温度を計測する。
【0018】
図3に示すように、カッタ5には、複数(本実施形態では四つ)の温度計測手段10が、設けられている。複数の温度計測手段10は、径方向に沿って所定ピッチで配置されている。カッタ5の中央部に位置する温度計測手段10は、センタカッタ6の中心部に設けられたカッタビット3に設けられている。その他の温度計測手段10は、径方向に延在する1本のカッタスポーク7に配列されたカッタビット3に設けられている。本実施形態では、カッタスポーク7に三つの温度計測手段10が設けられている。最も外周側に位置する温度計測手段10は、カッタスポーク7の先端部(カッタ5の外周縁部)に設けられている。以上のように本実施形態では、温度計測手段10は、径方向に沿って略均等なピッチで4箇所にもうけられており、カッタ5の全面の温度変化を把握できるようにカバーしている。なお、温度計測手段10の個数および設置位置は、前記構成に限定されるものではなく、掘削するトンネル径や地山の硬さに応じて適宜設定される。但し、カッタ5の中心部と外周縁部には、温度計測手段10を設けることが好ましい。
【0019】
図1に示すように、冷却水供給手段20は、ポンプ21と冷却水タンク22とを備えている。ポンプ21と冷却水タンク22は、シールド掘削機2の後方の後続台車(図示せず)上に配置されている。ポンプ21は、制御手段30に電気的に接続されており、制御手段30からの作動信号に基づいて作動する。ポンプ21の吸水口23は、冷却水タンク22に接続されている。ポンプ21の給水口24は、カッタ5の前面の中央部と外側部の2箇所に設けられた加水注入口25(
図3参照)と、カッタ5の前面に設けられた複数の加泥注入口26のうちの2箇所の加泥注入口26a(
図3参照)とに接続されている。
【0020】
加水注入口25は、冷却水専用の注入口である。
図3に示すように、カッタ5の中央部に位置する加水注入口25は、センタカッタ6の中心部に開口している。カッタ5の外側部に位置する加水注入口25は、カッタスポーク7の切羽側表面に開口している。外側部の加水注入口25は、外周から2つめの温度計測手段10の移動軌跡に近い位置に配置されている。加水注入口25は、温度計測手段10が設けられたカッタスポーク7とは異なるカッタスポーク7に設けられている。
【0021】
加泥注入口26は、複数のカッタスポーク7,7・・の各種位置に設けられている。なお、各加泥注入口26は、他の加泥注入口26の移動軌跡と重ならないように配置されている。これらの加泥注入口26のうち、カッタ5の外周部に位置する加泥注入口26aと、外周から3つめの温度計測手段10の移動軌跡に近い位置に配置された加泥注入口26aの2つは、加泥と加水が切替え可能に構成されている。これらの加泥注入口26a,26aは、冷却水を供給する際に冷却水の注入口として用いられる。加泥注入口26aは、温度計測手段10が設けられたカッタスポーク7とは異なるカッタスポーク7に設けられている。
【0022】
加水注入口25と加泥注入口26aは、温度計測手段10が設けられたカッタスポーク7とは異なるカッタスポーク7に設けられているが、カッタ5が回転することで、温度計測した位置付近のカッタビット3も冷却することができる。また、本実施形態のように、加水注入口25と加泥注入口26aの位置と、温度計測手段10の位置が離れていることによって、カッタ5の全面のカッタビット3が冷却された後に、温度計測手段10が温度低下を検知できる。温度計測手段10が加水注入口25または加泥注入口26aの近くに設置したとすると、他のカッタビット3が冷却される前に、加水注入口25または加泥注入口26aの近くのカッタビット3のみが冷却された状態で、温度計測手段10が温度低下を検知してしまうので、本実施形態の配置が好ましい。なお、加水注入口25の個数および設置位置は、前記構成に限定されるものではなく、掘削するトンネルの径や地山の硬さに応じて適宜設定される。また、冷却水の注入口として利用される加泥注入口26aの個数および位置も、前記構成に限定されるものではなく、トンネルの径や地山の硬さに応じて適宜設定される。
【0023】
以上のように、冷却水を供給することによって、カッタビット3の冷却効果が高くなる。つまり、発進防護壁を切削する場合、加泥水と切削されたコンクリートが混合し、より粘性が高くなって周囲のビットへ流れにくくなり冷却効果が小さい。これに対して、冷却水は、コンクリートが混合しても流れやすいので、冷却効果は高い。なお、地山掘削時は、全ての加泥注入口26aを使用し、加泥材(鉱物系泥水や高分子系加泥水や気泡)を注入し掘削するが、発進防護壁や支障物の切削時は5mm/min程度の微速の掘進速度で掘進するので、全ての加泥注入口26aを使用しないでよい。よって、一部の加泥注入口26aを冷却水用に切り替えても問題ない。
【0024】
図1に示すように、制御手段30は、熱電対制御盤31とポンプ制御盤32とを備えている。熱電対制御盤31は、カッタ5に設けられた温度計測手段10の操作を行うためのものであって、メータやスイッチなどが設けられている。熱電対のケーブル12は、熱電対制御盤31に接続されている。
【0025】
ポンプ制御盤32は、計測されたカッタビット3の内部温度(熱電対の計測値)に応じて、ポンプ21を作動させる。具体的には、カッタビット3の摩耗状態と内部温度との関係に基づいて内部温度管理値を予め設定しておき、内部温度が内部温度管理値を超えたときに、カッタビット3の冷却を開始する(ポンプ21を作動させる)。内部温度管理値は、内部温度がこの温度を超えるとカッタビット3の単位摺動距離当たりの摩耗量が増大する(異常摩耗が発生する)という温度閾値である。なお、カッタビット3の冷却は、カッタ5の回転を継続して掘進速度を維持しながら行う。
【0026】
ポンプ制御盤32は、内部温度と内部温度管理値とを比較して、ポンプ21の作動を指示する制御装置と、データを表示する表示モニターとを備えている。制御装置は、受信部と、比較部と、作動決定部と、送信部とを有している。制御装置は、各部の動作が適宜為されるようにプログラムされたマイクロコンピュータにて構成されている。
【0027】
受信部は、熱電対からの温度情報(内部温度)を受信して比較部に送る。温度情報には、場所情報(どの部分の熱電対であるか)も含まれている。比較部には、内部温度管理値が入力されている。比較部は、内部温度と内部温度管理値とを比較して、内部温度が内部温度管理値を超えると、超えたという情報を作動決定部に送る。また、比較部は、内部温度が、内部温度管理値を超えた状態から低下して、内部温度管理値より低くなると、低くなったという情報を作動決定部に送る。作動決定部は、内部温度が内部温度管理値を超えたという情報を受けると、ポンプ21を作動させる決定を行う。また、作動決定部は、内部温度が内部温度管理値より低くなったという情報を受けると、ポンプ21を停止させる決定を行う。比較部は、内部温度が内部温度管理値を超えたという信号を警報発生器に送るようにしてもよい。信号を受けた警報発生器は、一定時間警報を発信して、内部温度が内部温度管理値を超えたことを作業者に知らせる。
【0028】
ポンプ21の作動指示および停止指示は、作動決定部より指示を受信した送信部からポンプ21へ送られる。流路の弁の開閉指示は、送信部から各流路の開閉弁へ送られる。
【0029】
なお、本実施形態では、ポンプ21の停止を行う内部温度の閾値は、ポンプ21の作動開始の閾値(内部温度管理値)と同じであるが、これに限定されるものではない。ポンプ21の停止を行う内部温度の閾値は、ポンプ21の作動開始の閾値(内部温度管理値)よりも低く設定して、一定の温度範囲でカッタビット3を冷却した後に、ポンプ21を停止させるようにしてもよい。
【0030】
次に、内部温度管理値の決定方法を説明する。内部温度管理値Tを決定するには、まず、カッタビット3の表面温度(切削チップ3aの表面温度)Tsと摩耗状態(切削チップ3aの摩耗状態)との関係を調べ、表面温度管理値T
0を設定する。表面温度管理値T
0は、表面温度Tsがこの温度を超えるとカッタビット3の単位摺動距離当たりの摩耗量が増大する(異常摩耗が発生する)という温度である。その後、カッタビット3の表面温度Tsと内部温度Tiとの温度差(ΔT=Ts−Ti)を測定し、この温度差ΔT(>0)を表面温度管理値T
0から減じた数値を、内部温度管理値Tとする。
【0031】
本実施形態では、表面温度管理値T
0は、次の試験を行って決定した。まず、熱電対を内蔵したカッタビット3を摺動ジャッキに設置する。次に、カッタビット3の先端部をコンクリート試験体に当接させた状態で、摺動ジャッキを伸縮させて、コンクリート試験体を切削するとともに、カッタビット3の摩耗状態(摺動距離1km当たりの摩耗量)を計測した。カッタビット3には、ヒータが装着されており、各種温度に加熱した状態で試験を行った。カッタビット3の表面温度はサーモグラフィにて計測した。
【0032】
図4に示すように、表面温度が60℃、80℃、140℃および200℃では、単位摺動距離(1km)当たりの摩耗量が略一定(17mm
3/km前後)であったが、220℃では摩耗量21.99mm
3/km、240℃では摩耗量21.61mm
3/kmであった。
【0033】
以上の結果より、カッタビット3の表面温度が200℃を越えなければ、単位摺動距離当たりの摩耗量が一定量を推移しており、通常の摩耗状態であると考えられる。これに対して、表面温度が220℃以上になると、単位摺動距離当たりの摩耗量が、通常の摩耗状態の場合の1.2〜1.6倍に増加して急激に増加することが解った。そこで、この温度を超えるとカッタビット3の単位摺動距離当たりの摩耗量が増大するという表面温度管理値を200℃とした。
【0034】
カッタビット3の表面温度と内部温度との温度差は、以下の試験を行って測定する。本試験は、前記した試験装置を用いて行う。試験を行うに際して、カッタビット3の温度上昇は、切削深さ(カッタビット3のスポーク表面からの突出長さ)および切削速度(掘削面に対する移動速度)に比例して大きくなる。これは、切削深さが深いとカッタビット3と地山との接触面積が大きくなり、摩擦力が大きくなるためである。また、切削速度が早いと、摩擦力が大きくなるためである。そこで、切削深さが最大となるカッタ5の中心部と、切削速度が最大となるカッタ5の外周部を想定し、これら2ケースの実験を行った。各ケースとも、切削により発熱したチップからビットの母材内部に熱が伝達され、温度が平衡になるまで繰り返し切削を行う。カッタビット3の内部に埋設された熱電対による計測値(内部温度)を、カッタビット3の表面温度(チップの温度)に正確に換算するのに必要なデータ(温度差)を収集するために、カッタビット3内部の温度を熱電対で計測するとともに、カッタビット3の表面温度と熱伝導の状況をサーモグラフィにより計測している。内部温度と表面温度は、所定の摺動距離ごとに計測している。
【0035】
図5に、カッタ5の中央部を想定したケース(切削深さ3mm、切削速度16.2m/min)での試験結果を示す。熱電対の計測温度(内部温度)は、菱形にて示し、その近似線を実線にて示している。サーモグラフィによる計測温度(表面温度)は、四角形にて示し、その近似線を破線にて示している。内部温度と表面温度との温度差は、三角形にて示し、その近似線を二点鎖線にて示している。
図5に示すように、表面温度は、所定幅で上下しながら徐々に上昇している。内部温度は、上下動は殆どない状態で徐々に上昇している。これによって、温度差は上下しながら、その近似線は概ね一定の値を保っている。温度差の近似線は、40〜50℃を推移しているが、切削条件(たとえば硬い岩盤を切削するなど)によって表面温度が急激に上昇している部分が見受けられる。表面温度が表面温度管理値である200℃に近くに急激に温度上昇(185℃)したときに、内部温度は68℃程度を推移していて、このときの温度差は117℃となる。この温度差が最大値となっている。なお、図示しないが、カッタ5の外周部を想定したケース(切削深さ0.4mm、切削速度43.5m/min)においても、中央部と同様の知見が得られた。
【0036】
そこで、最大値より大きく、きりの良い数値である120℃を、カッタビット3の表面温度と内部温度との温度差と設定する。このように、温度差を最大値より大きい値とすることによって、急激な表面温度の上昇や計測誤差の発生も含んで、表面温度が表面温度管理値である200℃を短時間でも超える可能性を排除している。これによって、異常摩耗を確実に防止できる。
【0037】
以上のように表面温度管理値が200℃であり、温度差を120℃としたので、内部温度管理温度は80℃となる。
【0038】
前記構成のビット摩耗低減構造を備えたシールド掘削機におけるビット摩耗低減方法を説明する。かかるビット摩耗低減方法を実施するに際しては、まず、制御手段30のポンプ制御盤32の制御装置に、内部温度管理値(80℃)を入力しておく。その後、カッタ5によって掘削を行いながら、温度計測手段10でカッタビット3の内部温度を計測する。
【0039】
内部温度が80℃を超えると、制御装置が温度超過を検知し、ポンプ21を作動させる信号を送信する。そして、ポンプ21が作動し冷却水が供給されると、カッタビット3の表面温度および内部温度は低下する。これによって、カッタビット3が異常摩耗する温度(表面温度管理値)に達することはないので、異常摩耗を抑制することができる。したがって、カッタビット3の摩耗を低減することができる。
【0040】
また、内部温度管理値を異常摩耗が発生する温度よりも低く設定し、内部温度が内部温度管理値を超えたときに、カッタビット3の冷却を開始することによって、カッタビット3の異常摩耗が進行する前に冷却を行うことができる。したがって、効率的な掘削および異常摩耗の抑制を行うことができる。
【0041】
さらに、カッタビット3の表面温度と摩耗状態との関係に基づいて表面温度管理値を予め設定し、カッタビット3の表面温度と内部温度との温度差を表面温度管理値から減じた数値を、内部温度管理値としているので、カッタビット3の表面温度を正確かつ容易に検知できる。したがって、カッタビット3の表面の摩耗状態に即した精度の高い内部温度管理値を設定できる。
【0042】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、温度計測手段10は、4箇所に設けられているが、これに限定されるものではない。温度計測手段10の個数および設置位置は、掘削するトンネル径や地山の硬さに応じて適宜設定される。
【0043】
また、内部温度管理値は、ビットの大きさや形状、熱電対の埋設位置に応じて適宜設定される。さらに、温度計測手段10は、熱電対に限定されるものではなく、公知の他の温度計であってもよい。
【0044】
前記実施形態では、カッタ5の回転を継続しながら掘進速度を変更せずに冷却水を供給しているが、掘進速度を低下させた状態、または掘進を停止させた状態で冷却水を供給するようにしてもよい。このようにすれば、カッタビット3の摩擦が低減されるので、冷却時間を短縮することができる。