特許第6494501号(P6494501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494501
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/11 20060101AFI20190325BHJP
   B62D 33/06 20060101ALI20190325BHJP
   B62D 27/02 20060101ALI20190325BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20190325BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20190325BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   B60R21/11
   B62D33/06 E
   B62D27/02
   B62D49/00 M
   A01D34/64 Z
   E02F9/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-244461(P2015-244461)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-109567(P2017-109567A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】金井 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】小森田 武史
(72)【発明者】
【氏名】泉 雅容
(72)【発明者】
【氏名】高岡 将樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】降▲旗▼ あづさ
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−230305(JP,A)
【文献】 特開2002−372018(JP,A)
【文献】 実開昭52−121017(JP,U)
【文献】 実開昭54−122549(JP,U)
【文献】 実開昭53−165510(JP,U)
【文献】 実開平01−089278(JP,U)
【文献】 実開平01−138847(JP,U)
【文献】 実開昭61−122141(JP,U)
【文献】 実開昭58−099182(JP,U)
【文献】 米国特許第04669565(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
A01D 34/00 − 34/01
A01D 34/412 − 34/90
A01D 42/00 − 42/08
A01D 43/06 − 43/077
B62D 41/00 − 67/00
B62D 31/00 − 39/00
E02F 9/00 − 9/18
E02F 9/24 − 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、前記車体フレームから上方に延び出る保護フレームとを備え、
前記車体フレームは、前記保護フレームを着脱可能に支持する支持フレームを備え、
前記保護フレームは、左右の支柱部材と、左右の前記支柱部材にわたるアーチ部材とを分離可能に備え、
前記支持フレームは、その上端部に左右の前記支柱部材を抜き差し可能に支持するパイプ状の左右の支持部と、左右の前記支持部を連結する横長の連結部材とを備え、
左右の前記支柱部材は、前記支持部に差し込まれた状態で連結具にて前記支持部に連結される連結部を備え、
左右の前記支持部は、それらの上部側ほど車体の横外側に位置する横外向きの傾斜姿勢で前記支持フレームに備えられている作業車。
【請求項2】
前記支持フレームは、左右の前記支持部に差し込まれた左右の前記支柱部材の下端を受け止める左右の受止具を備えている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記支持フレームは、前記車体フレームの後部に配備され、
前記連結部材は、左右の前記支持部から横外方に延び出る左右の延出部を備えて、左右の前記延出部により左右のリアフェンダの上端部を支持し、
左右の前記リアフェンダは、それらの上端部における車体内側の左右一側端部位に、左右の前記支持部の入り込みを許容する凹部を有している請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
前記車体フレームは、その後端部に作業装置連結用の3点リンク機構を備え、
前記連結部材は、前記3点リンク機構のトップリンクが上下揺動可能にピン連結されるリンク連結部を備えている請求項1〜3のいずれか一つに記載の作業車。
【請求項5】
車体フレームと、前記車体フレームから上方に延び出る保護フレームとを備え、
前記車体フレームは、前記保護フレームを着脱可能に支持する支持フレームを備え、
前記保護フレームは、左右の支柱部材と、左右の前記支柱部材にわたるアーチ部材とを分離可能に備え、
前記支持フレームは、その上端部に左右の前記支柱部材を抜き差し可能に支持するパイプ状の左右の支持部を備え、
左右の前記支柱部材は、前記支持部に差し込まれた状態で連結具にて前記支持部に連結される連結部を備え、
左右の前記支持部は、それらの上部側ほど車体の横外側に位置する横外向きの傾斜姿勢で前記支持フレームに備えられ、
左右の前記支柱部材は、鋼管製で、前記連結部の内部に補強部材を備え、
左右の前記補強部材は、左右の前記連結部に内接する横幅を有する鋼板製で、前記連結具の抜き差しを許容する空間を有するU字部と、前記U字部の上端から横外方に延び出て延出端を前記連結部に内接させる一対の延出部とを備える形状に曲げ形成されて、前記U字部の底部が前記連結部に溶接されている作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームと、前記車体フレームから上方に延出する保護フレームとを備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業車としては、車体フレームに、メインフレームと、メインフレームの後部側に連結された取付フレームとを備え、取付フレームの上部に左右のロプス取付部を備え、左右のロプス取付部に上壁とロプス支持部材とを備え、かつ、保護フレーム(ロプス)に、左右の支柱と、左右の支柱の上端部を連結する連結部と、左右の支柱の下端が固定される基部部材とを備え、保護フレーム側の基部部材が、取付フレーム側の左右の上壁及び左右のロプス支持部材に載置された状態でボルト連結されることにより、保護フレームを車体フレームに固定装備しているものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−20677号公報(段落番号0014、0021、0027、0029、0030、図5〜10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、保護フレームを取付フレームに載置した状態でボルト連結することから、保護フレームと取付フレームとの間において高い連結強度を得るためには、保護フレームと取付フレームとを連結するボルトの本数を多くする必要がある。その結果、保護フレームの組み付けに手間がかかるようになっていた。
【0005】
つまり、保護フレームの組み付けを容易にしながら、保護フレームを車体フレームに高い強度で固定装備できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、
本発明に係る作業車は、車体フレームと、前記車体フレームから上方に延び出る保護フレームとを備え、
前記車体フレームは、前記保護フレームを着脱可能に支持する支持フレームを備え、
前記保護フレームは、左右の支柱部材と、左右の前記支柱部材にわたるアーチ部材とを分離可能に備え、
前記支持フレームは、その上端部に左右の前記支柱部材を抜き差し可能に支持するパイプ状の左右の支持部と、左右の前記支持部を連結する横長の連結部材とを備え、
左右の前記支柱部材は、前記支持部に差し込まれた状態で連結具にて前記支持部に連結される連結部を備え、
左右の前記支持部は、それらの上部側ほど車体の横外側に位置する横外向きの傾斜姿勢で前記支持フレームに備えられている。
【0007】
この手段によると、作業者は、保護フレームを支持フレームに組み付ける場合には、先ず、分離されている左右の支柱部材の連結部を支持フレームの左右の支持部に差し込み、この状態で、左右の連結部を左右の支持部に連結具にて連結する。その後、アーチ部材を左右の支柱部材に連結することにより、保護フレームの組み付けが完了する。
この組み付け状態では、保護フレーム側の左右の連結部が、支持フレームにおいて横外向きの傾斜姿勢に姿勢設定された左右の支持部に差し込まれていることから、仮に連結具による連結がなくても、支持フレームに対する保護フレームの水平方向及び上下方向への変位が阻止された安定状態で、保護フレームを支持フレームにて支持することができる。
又、左右の連結部における車体横外側の外面を、左右の支持部における車体横外側の内面により、広い接触面積で、かつ、楔効果による高い圧接力で強固に受け止め支持することができる。
これにより、左右の連結部を左右の支持部に連結する連結具の数量を少なくしても、保護フレームを、高い支持強度で、かつ、確実に抜け止めされた状態で、支持フレームに強固に支持させることができる。
その結果、保護フレームの組み付けを容易にしながら、保護フレームを車体フレームに高い強度で確実に固定装備することができる。
また、この手段によると、左右の支持部を、左右方向の所定位置に強固に位置させることができ、保護フレームの組み付け後に生じる楔効果で左右の支持部の間隔が広がる虞をより確実に回避することができる。
その結果、保護フレームを、保形性が高められた支持フレームにより、より安定性良く支持することができる。
【0008】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記支持フレームは、左右の前記支持部に差し込まれた左右の前記支柱部材の下端を受け止める左右の受止具を備えている。
【0009】
この手段によると、作業者は、左右の支柱部材の連結部を支持フレームの左右の支持部に差し込んで連結するときに、左右の支柱部材を把持して所定の連結位置に保持する必要がなくなる。
その結果、保護フレームの組み付けを更に容易にすることができる。
【0010】
【0011】
【0012】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記支持フレームは、前記車体フレームの後部に配備され、
前記連結部材は、左右の前記支持部から横外方に延び出る左右の延出部を備えて、左右の前記延出部により左右のリアフェンダの上端部を支持し、
左右の前記リアフェンダは、それらの上端部における車体内側の左右一側端部位に、左右の前記支持部の入り込みを許容する凹部を有している。
【0013】
この手段によると、連結部材が左右のリアフェンダの支持部材を兼ねることから、連結部材の代わりにリアフェンダ専用の支持部材を備える場合に比較して、部品点数の削減による構成の簡素化などを実現することができる。
又、左右のリアフェンダと左右の支持部との接触を回避しながら、左右の支持部の間隔を広くすることができ、これにより、保護フレームをより安定性良く支持することができる。
【0014】
ところで、左右の支持部の間隔を広くするために、左右のリアフェンダに支持部挿入用の開口を形成することも考えられるが、この場合には、左右のリアフェンダを取り外すときに、保護フレームを取り外す必要が生じることから、左右のリアフェンダの着脱に要する手間が多くなる。そのため、左右のリアフェンダを取り外した状態で行う必要のある、左右のリアフェンダの周辺機器などに対するメンテナンスが行い難くなる。
これに対し、この手段では、左右のリアフェンダの着脱を、保護フレームを取り外すことなく行えることから、左右のリアフェンダの周辺機器などに対するメンテナンスが行い易くなる。
【0015】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記車体フレームは、その後端部に作業装置連結用の3点リンク機構を備え、
前記連結部材は、前記3点リンク機構のトップリンクが上下揺動可能にピン連結されるリンク連結部を備えている。
【0016】
この手段によると、連結部材がトップリンクの連結部材を兼ねることから、連結部材の代わりにトップリンク専用の連結部材を備える場合に比較して、部品点数の削減による構成の簡素化などを実現することができる。
【0017】
上記の課題を解決するための手段として、
本発明に係る作業車は、車体フレームと、前記車体フレームから上方に延び出る保護フレームとを備え、
前記車体フレームは、前記保護フレームを着脱可能に支持する支持フレームを備え、
前記保護フレームは、左右の支柱部材と、左右の前記支柱部材にわたるアーチ部材とを分離可能に備え、
前記支持フレームは、その上端部に左右の前記支柱部材を抜き差し可能に支持するパイプ状の左右の支持部を備え、
左右の前記支柱部材は、前記支持部に差し込まれた状態で連結具にて前記支持部に連結される連結部を備え、
左右の前記支持部は、それらの上部側ほど車体の横外側に位置する横外向きの傾斜姿勢で前記支持フレームに備えられ、
左右の前記支柱部材は、鋼管製で、前記連結部の内部に補強部材を備え、
左右の前記補強部材は、左右の前記連結部に内接する横幅を有する鋼板製で、前記連結具の抜き差しを許容する空間を有するU字部と、前記U字部の上端から横外方に延び出て延出端を前記連結部に内接させる一対の延出部とを備える形状に曲げ形成されて、前記U字部の底部が前記連結部に溶接されている。
【0018】
この手段によると、左右の補強部材を、簡単かつ確実に、左右の連結部の内部における適正位置に、適正姿勢で固定することができる。これにより、連結具による左右の連結部と左右の支持部との連結を阻害することなく、左右の連結部を好適に補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】トラクタの左側面図である。
図2】トラクタの平面図である。
図3】支持フレーム及び保護フレームの構成などを示す要部の分解斜視図である。
図4】支持フレーム及び保護フレームの構成などを示す要部の縦断左側面図である。
図5】支持フレームの構成及びリアフェンダの形状などを示す要部の斜視図である。
図6】支持部及び連結部の構成などを示す要部の縦断左側面図である。
図7】連結部の補強構造を示す要部の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
尚、図1に記載した符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向がトラクタの上側である。
又、図2に記載した符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Lの矢印が指し示す方向がトラクタの左側である。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体の骨組みを形成する車体フレーム1、車体の前部側に配置される原動ユニット2、車体の後部側に配置される変速ユニット3と搭乗式の運転部4と燃料タンク5、操舵可能で原動ユニット2からの動力で駆動される左右の前輪6、原動ユニット2からの動力で駆動される左右の後輪7、原動ユニット2を覆う揺動開閉式のボンネット8、左右の後輪7を覆う左右のリアフェンダ9、車体フレーム1から上方に延出する保護フレーム10、及び、左右の前輪6と左右の後輪7との間の下腹部に配置されるモーア11、などを備えている。
【0023】
図1〜6に示すように、車体フレーム1は、鋼板製で前後に長い左右のメインフレーム12、及び、保護フレーム10を着脱可能に支持する支持フレーム13、などを備えている。保護フレーム10は、左右の支柱部材14と、左右の支柱部材14にわたるアーチ部材15とを分離可能に備えている。支持フレーム13は、その上端部に左右の支柱部材14を抜き差し可能に支持するパイプ状の左右の支持部13Aを備えている。左右の支柱部材14は、支持部13Aに差し込まれた状態で上下のボルト(連結具の一例)16などにて支持部13Aに連結される連結部14Aを備えている。左右の支持部13Aは、それらの上部側ほど車体の横外側に位置する横外向きの傾斜姿勢で支持フレーム13に備えられている。
この構成により、作業者は、保護フレーム10を支持フレーム13に組み付ける場合には、先ず、分離されている左右の支柱部材14の連結部14Aを支持フレーム13の左右の支持部13Aに差し込み、この状態で、左右の連結部14Aを左右の支持部13Aに上下のボルト16などにて連結する。その後、アーチ部材15を左右の支柱部材14に連結することにより、保護フレーム10の組み付けが完了する。
この組み付け状態では、保護フレーム側の左右の連結部14Aが、支持フレーム13において横外向きの傾斜姿勢に姿勢設定された左右の支持部13Aに差し込まれていることから、仮にボルト16などによる連結がなくても、支持フレーム13に対する保護フレーム10の水平方向及び上下方向への変位が阻止された安定状態で、保護フレーム10を支持フレーム13にて支持することができる。又、左右の連結部14Aにおける車体横外側の外面14aを、左右の支持部13Aにおける車体横外側の内面13aにより、広い接触面積で、かつ、楔効果による高い圧接力で強固に受け止め支持することができる。
これにより、左右の連結部14Aを左右の支持部13Aに連結するボルト16などの数量を少なくしても、保護フレーム10を、高い支持強度で、かつ、確実に抜け止めされた状態で、支持フレーム13に強固に支持させることができる。
その結果、保護フレーム10の組み付けを容易にしながら、保護フレーム10を車体フレーム1に高い強度で確実に固定装備することができる。
【0024】
図3図4及び図6に示すように、支持フレーム13は、左右の支持部13Aに差し込まれた左右の支柱部材14の下端を受け止める左右の受止具13Bを備えている。
この構成により、作業者は、左右の支柱部材14の連結部14Aを支持フレーム13の左右の支持部13Aに差し込んでボルト連結するときに、左右の支柱部材14を把持して所定の連結位置に保持する必要がなくなる。
その結果、保護フレーム10の組み付けを更に容易にすることができる。
【0025】
図2〜6に示すように、支持フレーム13は、左右の支持部13Aを連結する横長の連結部材17を備えている。
これにより、左右の支持部13Aを、左右方向の所定位置に強固に位置させることができ、保護フレーム10の組み付け後に生じる楔効果で左右の支持部13Aの左右間隔が広がる虞をより確実に回避することができる。
その結果、保護フレーム10を、保形性が高められた支持フレーム13により、より安定性良く支持することができる。
【0026】
図3及び図5に示すように、支持フレーム13は、左右のメインフレーム12の後端部にボルト連結される鋼板製で縦長の左右の第1部材18、及び、左右の第1部材18の下端部に架設される鋼板製で横長の第2部材19、を備えている。左右の第1部材18は、それらの下端部が車体の左右中心に向かうように屈曲されている。左右の第1部材18は、それらの上部が、上部側ほど車体の横外側に位置する横外向きの傾斜姿勢となるように屈曲されている。第2部材19は、その左右の端部が左右の第1部材18の下端部にボルト連結されている。
これにより、左右の第1部材18と第2部材19とを連結することにより、前後方向視での全体形状がU字状で、かつ、前後方向視での上部形状が、上部側ほど左右間隔が広くなる上広がり形状の下部構造体20を得ることができる。
【0027】
図3〜6に示すように、左右の支持部13Aは、第1部材18の上部に沿う形状に屈曲された第1鋼板21の上部に、断面形状がU字状の第2鋼板22が溶接されることにより、断面形状が矩形のパイプ状に形成されている。左右の第2鋼板22は、支持部13Aと連結部14Aとのボルト連結時に、工具などの抜き差しを許容する貫通孔22A及び切欠22Bを有している。連結部材17は、鋼板製で、その左右両端側に、左右の支持部13Aが前述した横外向きの傾斜姿勢で挿入される開口17Aを有している。左右の支持部13Aは、それらの上端部が連結部材17の左右の開口17Aに挿入された状態で連結部材17に溶接されている。
そして、このように左右の支持部13Aと連結部材17とを溶接することにより、下部構造体20の上部に対して、左右の第1鋼板21の外側面21aが左右の第1部材18における上部側の内側面18aに面接触する状態で載置することが可能な形状の上部構造体23を得ることができる。
上部構造体23は、左右の第1鋼板21が左右の第1部材18にボルト連結され、かつ、連結部材17が変速ユニット3のケーシング3Aにボルト連結されることにより、下部構造体20の上部に載置された状態で固定されている。
【0028】
図3図4及び図6に示すように、左右の受止具13Bは、鋼板製で、左右の第1鋼板21における第2鋼板22の下方箇所に起立姿勢で溶接されている。
【0029】
図1〜6に示すように、左右の支柱部材14及びアーチ部材15は、断面形状が矩形の角形鋼管製で、それらの連接端部に備えた連結部14B,15Aが、アーチ部材15の揺動支点を兼ねる左右向きのボルト24などを介して連結されている。そして、この連結構造により、アーチ部材15は、左右の支柱部材14の真上の保護位置と、左右の支柱部材14の真後ろの格納位置とにわたる揺動変位が可能となっている。アーチ部材15は、ロックピン25による保護位置及び格納位置での固定保持が可能になっている。左右の支柱部材14は、それらの下側の連結部14Aを左右の支持部13Aに連結した場合に、左右の支柱部材14の上部側が垂直姿勢になる形状に屈曲形成されている。
【0030】
図2図3図5及び図6に示すように、連結部材17は、左右の支持部13Aから横外方に延び出る左右の延出部17Bを備えて、左右の延出部17Bにより左右のリアフェンダ9の上端部を支持している。左右のリアフェンダ9は、それらの上端部における車体内側の左右一側端部位に、左右の支持部13Aの入り込みを許容する凹部9Aを有している。
つまり、連結部材17が左右のリアフェンダ9の支持部材を兼ねることから、連結部材17の代わりにリアフェンダ専用の支持部材を備える場合に比較して、部品点数の削減による構成の簡素化などを実現することができる。
又、左右のリアフェンダ9と左右の支持部13Aとの接触を回避しながら、左右の支持部13Aの間隔を広くすることができ、これにより、保護フレーム10をより安定性良く支持することができる。
【0031】
ところで、左右の支持部13Aの間隔を広くするために、左右のリアフェンダ9に支持部挿入用の開口を形成することも考えられるが、この場合には、左右のリアフェンダ9を取り外すときに、保護フレーム10を取り外す必要が生じることから、左右のリアフェンダ9の着脱に要する手間が多くなる。そのため、左右のリアフェンダ9を取り外した状態で行う必要のある、左右のリアフェンダ9の周辺機器の一例である左右のリアフェンダ9の下方に配備された燃料タンク5などに対するメンテナンスが行い難くなる。
これに対し、このトラクタでは、左右のリアフェンダ9の着脱を、保護フレーム10を取り外すことなく行えることから、左右のリアフェンダ9の周辺機器などに対するメンテナンスが行い易くなる。
尚、左右のリアフェンダ9は、それらの前部側が連接された左右一体構造である。
【0032】
図1〜4に示すように、車体フレーム1は、その後端部に作業装置連結用の3点リンク機構26を備えている。連結部材17は、3点リンク機構26のトップリンク27が上下揺動可能にピン連結されるリンク連結部17Cを備えている。
つまり、連結部材17がトップリンク27の連結部材を兼ねることから、連結部材17の代わりにトップリンク専用の連結部材を備える場合に比較して、部品点数の削減による構成の簡素化などを実現することができる。
【0033】
3点リンク機構26の左右のロワーリンク28は、左右の第1部材18に上下揺動可能に支持されている。リンク連結部17Cは、連結部材17における背面の左右中央部位に溶接された左右の鋼板29により構成されている。
【0034】
図6及び図7に示すように、左右の支柱部材14は、連結部14Aの内部に補強部材30を備えている。左右の補強部材30は、左右の連結部14Aに内接する横幅を有する鋼板製で、ボルト16の抜き差しを許容する空間31を有するU字部30Aと、U字部30Aの上端から横外方に延び出て延出端30Bを連結部14Aに内接させる一対の延出部30Cとを備える形状に曲げ形成されて、U字部30Aの底部が連結部14Aに溶接されている。
これにより、左右の補強部材30を、簡単かつ確実に、左右の連結部14Aの内部における適正位置に、適正姿勢で固定することができる。これにより、ボルト16などによる左右の連結部14Aと左右の支持部13Aとの連結を阻害することなく、左右の連結部14Aを好適に補強することができる。
【0035】
図4及び図5に示すように、燃料タンク5は、変速ユニット3と運転部4の運転座席32との間に位置する左右中央の貯留部5Aが、左右の後輪7と左右のリアフェンダ9との間に位置する左右の貯留部5Bよりも下方に位置する前後方向視でU字状に形成されている。燃料タンク5は、左右の貯留部5Aにおける内部空間の上端領域を連通させる通気用のバイパスホース33を備えている。バイパスホース33は、連結部材17の上面と、連結部材17の上部に取り付けられたカバー部材34との間に形成されるホース案内経路35を通って、左右の貯留部5Bの上部に備えられた接続部5Cに接続されている。
これにより、バイパスホース33が他部品の間に挟まれる虞を防止することができる。
又、バイパスホース33を、弛みの生じ難い状態で左右の貯留部5Bの接続部5Cに接続することができる。これにより、車体が左右方向に大きく傾くことにより、バイパスホース33の内部に燃料が流れ込んだ場合であっても、バイパスホース33の弛み部分に燃料が溜まって通気路としての機能を損なう虞を回避することができる。
【0036】
図示は省略するが、カバー部材34には、電線用のクランプの取り付けを可能にする複数の取付孔が形成されている。これにより、カバー部材34を電線用の支持部材に兼用することができる。
【0037】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0038】
〔1〕車体フレーム1は、例えば、変速ユニット3のケーシング3Aが車体フレーム1の後部側に兼用される構成であってもよい。
【0039】
〔2〕車体フレーム1の前部側又は前後中央側に配備されるものであってもよい。
【0040】
〔3〕保護フレーム10は、左右の支柱部材14及びアーチ部材15が断面形状が円形などの鋼管製であってもよく、又、左右の支柱部材14及びアーチ部材15が断面形状がU字状又はC字状などの鋼材製であってもよい。
【0041】
〔4〕保護フレーム10は、左右の支柱部材14に対してアーチ部材15が抜き差し可能で、アーチ部材15を左右の支柱部材14に対する差し込み状態で固定保持可能に構成されていてもよい。
【0042】
〔5〕支持フレーム13は、断面形状が円形又は矩形などの鋼管製、又は、断面形状がU字状又はC字状などの鋼材製であってもよい。又、支持フレーム13は、断面形状がU字状又はC字状などの鋼材と鋼板材との組み合わせで構成されていてもよい。
【0043】
〔6〕連結部材17は、断面形状が円形又は矩形などの鋼管製、又は、断面形状がU字状又はC字状などの鋼材製であってもよい。
【0044】
〔7〕左右の補強部材30は、連結具16の抜き差しを許容する空間31を有する下向きのU字部30Aと、下向きのU字部30Aの下端から横外方に延び出て延出端30Bを連結部14Aに内接させる一対の延出部30Cとを備える形状に曲げ形成されて、一対の延出部30Cが連結部14Aに溶接される構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、車体フレームと、前記車体フレームから上方に延び出る保護フレームとを備えた、例えば、トラクタ、乗用草刈機、及び、ホイールローダ、などの作業車に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 車体フレーム
9 リアフェンダ
9A 凹部
10 保護フレーム
13 支持フレーム
13A 支持部
13B 受止具
14 支柱部材
14A 連結部
15 アーチ部材
16 連結具
17 連結部材
17B 延出部
17C リンク連結部
26 3点リンク機構
27 トップリンク
30 補強部材
30A U字部
30B 延出端
30C 延出部
31 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7