【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、
−少なくとも1つのチャンバと、
−生産物を入口からこのチャンバを通して出口に案内するためのコンベヤ手段と、
−ガスを用いてチャンバ内の温度および/または湿度を調整および制御するための温度制御手段であって、ガスを加熱する加熱器、送風機、および加熱されたガスをチャンバ内に導くダクトを備えている、温度制御手段と、
を備えているオーブンであって、
該オーブンは、燻液および/または風味液をオーブン内に霧化(atomize)する手段を備えている、
オーブンによって解消されることになる。
【0007】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0008】
オーブン内における燻製および/または風味付けによって、製造時間が短縮され、改良された風味および/または改良された外観が生産物にもたらされる。また、本発明のオーブンおよびプロセスによって、担当者および/または製造施設のリスクも軽減される。燻液および/または風味液を、オーブンを汚染することなく、オーブンに直接施すことができることは、驚きであり、当業者によって予期されることができなかったことである。燻液および/または風味液は、オーブン内において損なわれず、および/または生産物への燻煙/風味の吸収は、所望の味覚を達成するのに十分である。燻液および/または風味液の霧化は、燻液および/または風味液の完全な蒸発をもたらし、これによって、どのような液分を収集、排除、および再生利用する必要がない。燻液および/または風味液は、極めて正確に投与することができる。
【0009】
本発明によるオーブンは、少なくとも1つのチャンバ、好ましくは、2つ以上のチャンバを備えている。各チャンバにおいて、異なる熱伝達、温度、湿度、および/または燻製/風味付け状態を有する区域を設定することができる。処理されるべき生産物は、好ましくは、食品、さらに好ましくは、食肉または魚のようなタンパク質含有食品である。代替的に、生産物は、菜食品、例えば、食肉および/または魚の代替生産物であってもよい。生産物は、骨、すなわち、魚骨を含んでいてもよい。本発明のオーブンは、生産物を入口からこのチャンバを通して出口に案内するためのコンベヤ手段をさらに備えている。コンベヤ手段は、好ましくは、少なくとも部分的に螺旋路の形態で配置されている。コンベヤ手段は、好ましくは、エンドレスコンベヤベルトであり、このエンドレスコンベヤベルトは、さらに好ましくは、処理ガス、すなわち、空気、蒸気、および/または燻製物質/風味物質に対して少なくとも部分的に透過性になっている。加えて、本発明のオーブンは、通常空気と蒸気との混合物であるガスを用いてチャンバ内の温度および/または湿度を調整および制御するための温度制御手段を備えている。ガスの温度は、加熱器によって調整される。ガスの湿度は、蒸気または(例えば)低湿度の空気を加えることによって調整される。好ましくは、ガスは、各チャンバ内において、好ましくは送風機によって、好ましくは個別に循環される。送風機は、チャンバの一端においてガスを取り出し、チャンバの他端においてガスを再導入することができる。この再循環によって、チャンバ内にガス運動が生じ、これによって、ガスから生産物への熱伝達が改良され、および/または各チャンバ内の温度差が低減される。オーブン内において、生産物は、乾燥および蒸煮されることができるようになっている。この乾燥/蒸煮は、少なくとも部分的に同時におよび/または継続的に行うことができる。
【0010】
オーブンは、生産物を連続的に移動させる連続操作樋式オーブンであってもよいし、またはバッチ式オーブンであってもよい。
【0011】
本発明によれば、生産物は、蒸煮の前に乾燥されてもよいし、または蒸煮の最中に乾燥されてもよい。本発明による乾燥は、食品の重量が減少することを意味している。食品の乾燥は、食品からの物質の滴落によって生じることもあり、および/または食品の表面からの物質の蒸発によって生じることもある。好ましくは、乾燥ステップ中の食品の重量損失は、乾燥チャンバ内に入る前の食品の元の重量に対する0.5〜30重量%、好ましくは、2〜20重量%、さらに好ましくは、3〜10重量%、さらに一層好ましくは、4.5〜7.5重量%である。食品の乾燥は、好ましくは、正確な温度パラメータおよび湿度パラメータを有する気候調節チャンバ内において行なわれる。好ましくは、食品の乾燥は、60〜180℃の温度で行なわれる。乾燥中に、燻液を乾燥チャンバ内において霧化することができる。
【0012】
本発明によれば、オーブンは、燻液および/または風味液をオーブン内に霧化する手段を備えている。燻液および/または風味液は、好ましくは、水状物質である。燻液および/または風味液をオーブン内に霧化する手段は、好ましくは、ノズル、さらに好ましくは、2相ノズルである。2相ノズルは、燻液および/または風味液とガス、好ましくは、空気とによって作動するようになっている。2相ノズルには、好ましくは、1〜15バール、さらに好ましくは、3〜8バール、さらに一層好ましくは、4〜6バールの圧縮空気が供給される。ノズルへのガス流れに対するノズルへの燻液および/または風味液の流れの比率は、好ましくは、0.1kg/m
3:1.0kg/m
3、さらに好ましくは、0.3kg/m
3:0.6kg/m
3である。各ノズルへのガス流れは、好ましくは、3.0〜10.0m
3/h、さらに好ましくは、5.0〜6.5m
3/hに設定され、燻液および/または風味液は、好ましくは、0.2〜25kg/h、さらに好ましくは、1〜10kg/h、さらに一層好ましくは、3〜6kg/hの流量に調整される。燻液および/または風味液を霧化する手段は、1つまたは複数のノズル、例えば、一列に並んだノズルを備えることができる。霧化手段は、霧化された燻液および/または風味液を連続的または間欠的に供給することができる。霧化された燻液および/または風味液の液滴の大きさは、好ましくは、<3.0μm、さらに好ましくは、<1.5μm、さらに一層好ましくは、<1.0μmである。霧化中、好ましくは、霧化された燻液および/または風味液の一部が、各ノズルからガスとして放出される。この一部は、好ましくは、ノズルに供給される燻液および/または風味液の20重量%未満、さらに好ましくは、14〜16重量%未満である。霧化された燻液および/または風味液の流れは、好ましくは、オーブンの1つのチャンバ内に循環される空気流れに放出され、この空気流れは、特に燻液および/または風味液の放出箇所において、好ましくは、50〜250℃、さらに好ましくは、100〜200℃の温度を有している。放出の箇所における空気流れの速度は、好ましくは、0.5〜35m/s、さらに好ましくは、1〜9m/sである。前述の条件の少なくとも1つによって、液滴の完全な蒸発が確実に得られることになる。
【0013】
霧化の後、液滴の粒子径分布は、好ましくは、以下の通りである。
<0.20μm 1.99%
<0.50μm 6.26%
<0.60μm 22.48%
<0.70μm 45.89%
<0.85μm 69.37%
<1.00μm 86.70%
<5.00μm 100.00%
【0014】
オーブン内において、煙濃縮物は、その100%が見えないガス相内に転移される。
【0015】
好ましくは、過量の燻液および/または風味液を捕捉するどのような手段もオーブン内に設ける必要がない。
【0016】
さらに好ましくは、オーブンは、2つ以上のチャンバを備えており、これらのチャンバ内において、異なる温度状態、異なる湿度状態、および/または異なる熱伝達状態をそれぞれ設定することができる。好ましくは、各チャンバは、送風機および加熱手段を備えており、送風機および/または加熱手段は、各チャンバ内において個別に操作可能になっている。好ましくは、1つまたは複数のチャンバは、螺旋経路を備えており、これらのチャンバは、さらに好ましくは、特に、第3のチャンバによって互いに分離されており、第3のチャンバは、さらに好ましくは、直線状コンベヤベルトを有する区域である。好ましくは、各チャンバは、燻液および/または風味液を霧化する少なくとも1つの手段を備えており、燻液および/または風味液および/または該手段、例えば、ノズルの操作状態は、各チャンバにおいて異なっていてもよい。
【0017】
好ましくは、1つの手段が1つまたは各チャンバの送風機の入口および/または出口に配置されており、燻液および/または風味液は、さらに好ましくは、この手段に連続的に送給されるようになっている。さらに好ましくは、燻液および/または風味液は、送風機の吸引側において霧化される。送風機によって、燻液および/または風味液の液滴および/またはガス相は、生産物を蒸煮するガスに混合されることになる。
【0018】
代替的または追加的に、燻液および/風味液は、生産物上に、好ましくは、生産物の一部または少なくとも本質的に生産物の全面に直接噴霧(spray)されてもよい。燻液および/または風味液を全面に噴霧するには、多数のノズルが必要である。好ましくは、燻液および/または風味液は、生産物が配置される移送手段を通して噴霧される。好ましくは、該手段と生産物との間の距離は、100mmから400mmの間、好ましくは、150mmから350mmの間にある。生産物の表面温度は、好ましくは、液分が生産物上に噴霧される箇所において、50℃よりも高く、さらに好ましくは、80℃よりも高く、これによって、液分は、生産物の表面において蒸発することになる。さらに好ましくは、生産物の表面温度は、オーブン内において180℃を超えないようになっている。生産物上に噴霧される燻液および風味液は、少なくとも1つのチャンバ内に霧化されて蒸発する燻液および/または風味液と同じであってもよいし、または異なっていてもよい。
【0019】
燻液および/または風味液を生産物上に噴霧する手段は、好ましくは、ノズル、さらに好ましくは、2相ノズルである。
【0020】
噴霧用途のこの2相ノズルには、好ましくは、2.0〜4.5バール、さらに好ましくは、3.0〜3.5バールの圧縮ガス、さらに好ましくは、圧縮空気が供給される。ノズルへのガス流れに対するノズルへの燻液および/または風味液の流れの比率は、好ましくは、0.5kg/m
3:5.0kg/m
3、さらに好ましくは、1.0kg/m
3:2.0kg/m
3である。ノズルへの圧縮ガス流れ、好ましくは、圧縮空気流れの比率は、好ましくは、ノズル当たり1.0〜5.5m
3/h、さらに好ましくは、3.0〜3.5m
3/hであり、ノズルへの燻液および/または風味液の流れは、より好ましくは、2.0〜8.0kg/h、最も好ましくは、4.0〜6.0kg/hである。粒子径分布は、好ましくは、5μm〜100μmであり、80重量%超が、好ましくは、5μmよりも大きく、少なくとも40%は、さらに好ましくは、10μmよりも大きい。好ましくは、燻液および/または風味液は、ノズルによって直接蒸発しないようになっている。
【0021】
好ましくは、特に燻液および/または風味液が噴霧され、該液分が蒸発するかまたは蒸発した後、生産物の表面に琥珀色および特異なロースト風味を促進する加速されたメイラード熱反応が生じることになる。
【0022】
噴霧は、好ましくは、第1の蒸煮チャンバ、特に、燻煙および/または風味付けが生産物に施される蒸煮チャンバ内および/またはその下流、およびさらに好ましくは、第2の燻製/風味付けチャンバ、特に、2つの好ましくは螺旋チャンバ間の直線区域間の上流側において、行なわれる。第2のチャンバは、好ましくは、蒸煮チャンバである。
【0023】
付加的に、生産物の表面は、生産物の表面への加熱ガスの衝突によって処理されてもよい。
【0024】
多数の(好ましくは、3つの)異なる区域を有するという特徴と高温オーブン内に燻液および/または風味液を施す多数の(好ましくは、2つの)異なる方法とによって、食品を蒸煮しながら同時に高温で褐変および燻製するための最適なプロセスを設計することが可能になる。蒸焼および/または燻製される食品の望まれる最終結果および該食品の特性に依存して、熱プロセスにおける適切な適用時期、最も有力な適用方法、および褐変、燻製および/または風味付けのための最適な材料が、選択されるとよい。特別に較正された2相ノズルを特別に考案された褐変剤および煙濃縮物と組み合わせることによって、運動エネルギーおよび熱エネルギーを用いて、高反応液をガス相内に完全に転移させることが可能である。
【0025】
本発明の他の主題は、
−少なくとも1つのチャンバと、
−好ましくは、生産物を入口からこのチャンバを通して出口に案内するためのコンベヤ手段と、
−ガスを用いてチャンバ内の温度および/または湿度を制御するための温度制御手段であって、ガスを加熱する加熱器、送風機、および加熱されたガスをチャンバ内に導くダクトを備えている、温度制御手段と、
を備えているオーブンを操作するプロセスであって、
燻液および/または風味液が、オーブン内において生産物に施されるようになっている、
プロセスである。
【0026】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0027】
少なくとも1つのチャンバ内において、生産物は、蒸煮され、すなわち、個々の生産物に対して望ましい深部温度に加熱されるようになっている。
【0028】
生産物が蒸煮される前および/または蒸煮される最中に、生産物は、好ましくは、乾燥されるとよい。
【0029】
燻製および/または乾燥は、乾燥および/または蒸煮の最中に行うことができる。
【0030】
好ましくは、燻液および/または風味液は、霧化されるとよい。
【0031】
好ましくは、燻液および/または風味液は、送風機の上流および/または下流に施され、および/または生産物上に直接噴霧されてもよい。さらに好ましくは、燻液および風味液は、2相ノズルによって施される。第2相として、好ましくは、5〜7バール、さらに好ましくは、5.5〜6.5バールの圧力で供給される圧縮ガス、好ましくは、圧縮空気が利用される。
【0032】
好ましくは、燻液および/または風味液は、生産物上に直接噴霧され、生産物の表面を濡らし、その直後に蒸発するようになっている。蒸発中または蒸発後に、好ましくは、メイラード反応が生じる。
【0033】
本発明の好ましいまたは他の実施形態によれば、燻煙物質および/または風味物質は、生産物が少なくとも部分的に乾燥した後に、該生産物に吸着および/または吸収されるようになっている。さらに好ましくは、生産物の少なくとも表面は、燻煙物質および/または風味物質が吸着および/または吸収される前に、少なくとも部分に乾燥されているとよい。
【0034】
本発明の他の主題は、
フェノール:0.1〜0.56%
カルボニル:3.5〜13.0%
ポリソルベート:0〜2.25%
残部:水
を含んでいる煙濃縮物である。
【0035】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0036】
本発明の他の好ましい実施形態は、
酸:2.5〜6.5%
フェノール:0.1〜0.56%
カルボニル:3.5〜13.0%
ポリソルベート:0〜2.25%
ベンゾ(a)ピレン <10ppb
ベンゾ(a)アントラゼン <20ppb
を含んでいる煙濃縮物である。
【0037】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0038】
本発明の他の好ましい実施形態は、
フェノール 0.1〜0.35重量%
カルボニル 3.5〜8.5重量%
ポリソルベート 0〜1.5重量%
を含んでいる煙濃縮物である。
【0039】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0040】
本発明の煙濃縮物は、オーブンを汚染せず、良好に制御可能な燻製プロセスをもたらすことになる。煙濃縮物は、例えば、燃焼プロセスから得られた煙を凝縮することによって、作製される。煙濃縮物は、好ましくは、濾過され、濃縮されるとよい。
【0041】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0042】
好ましくは、煙濃縮物のph値は、2.0と3.5との間である。
【0043】
煙濃縮物の粘度は、好ましくは、20℃で測定された4.0〜5.5mPas/secである。
【0044】
煙濃縮物の密度は、好ましくは、1.01〜1.04kg/Lである。
【0045】
煙濃縮物のpH値は、好ましくは、2.0〜3.5である。
【0046】
さらに好ましくは、煙濃縮物は、少なくとも本質的に、灰分粒子および/またはタール粒子のような固形粒子を含まないようになっている。
【0047】
煙濃縮物は、好ましくは、霧化され、次いで、オーブン内に導入されるようになっている。
【0048】
霧化の後、液滴の粒子径分布は、好ましくは、以下の通りである。
<0.20μm 1.99%
<0.50μm 6.26%
<0.60μm 22.48%
<0.70μm 45.89%
<0.85μm 69.37%
<1.00μm 86.70%
<5.00μm 100.00%
【0049】
オーブンにおいて、煙濃縮物は、その100%が、見えないガス相内に転移される。
【0050】
以下、本発明を
図1〜4に基づいて説明する。これらの説明は、保護の範囲を制限するものではない。説明は、本出願の全ての発明に対して同じように適合される。