特許第6494512号(P6494512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494512
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】蒸煮と燻製との組合せ
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/04 20060101AFI20190325BHJP
   F24C 15/32 20060101ALI20190325BHJP
   A23B 4/044 20060101ALI20190325BHJP
   A47J 27/16 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   A47J37/04 101Z
   F24C15/32
   A23B4/044 503C
   A23B4/044 503D
   A47J27/16 G
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-532455(P2015-532455)
(86)(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公表番号】特表2015-535700(P2015-535700A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】EP2013069865
(87)【国際公開番号】WO2014048925
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年9月21日
(31)【優先権主張番号】12185955.7
(32)【優先日】2012年9月25日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13150399.7
(32)【優先日】2013年1月7日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13150464.9
(32)【優先日】2013年1月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514054823
【氏名又は名称】ジーイーエイ・フード・ソリューションズ・バーケル・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】コップ,ベン
(72)【発明者】
【氏名】フェルブルッヘン,ポール
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0023413(US,A1)
【文献】 米国特許第04455924(US,A)
【文献】 特開平08−252497(JP,A)
【文献】 特開平10−290752(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/142086(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/04
A23B 4/044
A47J 27/16
F24C 15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−生産物が蒸煮されるようになっている少なくとも1つのチャンバ(3,4)と、
−生産物を入口(10)からこのチャンバ(3,4)を通して出口(12)に案内するためのコンベヤ手段(7)と、
−空気(23)および蒸気を用いて前記チャンバ内の温度および湿度を調整および制御するための温度制御手段(15)であって、前記空気(23)を加熱する加熱器(32)、送風機(16)、および前記加熱されたガスを前記チャンバ(3,4)内に導くダクト(18)を備えている、温度制御手段(15)と、
を備えている、オーブン(1)において、
前記オーブンは、燻液および/または風味液を前記オーブン内に霧化する手段(27,28)を備えており、
前記手段(27,28)は、前記加熱器(32)の上流に配置された2相ノズルであり、前記コンベヤ手段は、前記空気、蒸気、および燻製物質および風味物質に対して透過性になっているエンドレスベルトであり、前記オーブンは、連続的に操作されるようになっており、
前記ノズルへのガス流れに対する前記ノズルへの燻液および/または風味液の流れの比率は、0.5kg/m―5.0kg/mである、ことを特徴とする、オーブン。
【請求項2】
前記燻液および/または風味液を前記オーブン内に供給する手段(27,28)は、前記送風機(16)の入口および/または出口に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のオーブン。
【請求項3】
前記燻液および/または風味液は、前記生産物(25)上に直接噴霧されるようになっていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のオーブン。
【請求項4】
前記手段(27,28)と前記生産物との間の距離は、100〜400mm、好ましくは、150〜350mmであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のオーブン。
【請求項5】
前記オーブンは、一列に並んだノズル(27,28)を備えていることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のずれか一項に記載のオーブン。
【請求項6】
−生産物が蒸煮されるようになっている少なくとも1つのチャンバ(3,4)と、
−生産物を入口(10)からこのチャンバ(3,4)を通して出口(12)に案内するためのコンベヤ手段(7)と、
−空気(23)および蒸気を用いて前記チャンバ内の温度および湿度を調整および制御するための温度制御手段(15)であって、前記空気(23)を加熱する加熱器(34)、送風機(16)、および前記加熱されたガスを前記チャンバ(3,4)内に導くダクト(18)を備えている、温度制御手段(15)と、
を備えている、オーブン(1)を連続的に操作するプロセスにおいて、
燻液および/または風味液(29)が、前記加熱器(34)の上流に配置された2相のノズルによって、前記オーブン内において前記生産物に施されるようになっており、
前記ノズルへのガス流れに対する前記ノズルへの燻液および/または風味液の流れの比率は、0.5kg/m―5.0kg/mである、ことを特徴とするプロセス。
【請求項7】
前記燻液および/または風味液は、霧化され、好ましくは、完全に蒸発されるようになっていることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記燻液および/または風味液は、前記送風機(16)の上流および/または下流に施されるようになっており、および/または前記生産物(25)上に直接噴霧されるようになっていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記2相のノズルのうちの1相は、圧縮ガス、好ましくは、圧縮空気が用いられ、前記圧縮ガスは、好ましくは、5〜7バール、好ましくは、5.5〜6.5バールの圧力で供給されるようになっていることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
燻液および/または風味液(29)は、前記生産物(25)上に噴霧されるようになっていることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
−少なくとも1つのチャンバと、
−好ましくは、生産物を入口からこのチャンバを通して出口に案内するためのコンベヤ手段と、
−ガスを用いてチャンバ内の温度および/または湿度を制御するための温度制御手段であって、流体を加熱する加熱器、送風機、および加熱された流体をチャンバ内に導くダクトを備えている、温度制御手段と、
を備えているオーブンに関する。
【0002】
本発明は、このオーブンを操作するプロセスにさらに関する。
【背景技術】
【0003】
この種のオーブンは、例えば、特許文献1,2から知られており、食品、特に、チキン、ハンバーガ、コルドンブルーなどのようなタンパク質含有食品の完全または部分的蒸煮に適している。前述の特許出願は、参照することによってここに含まれ、本特許出願の開示の一部をなすものとする。温度および湿度は、コンベヤベルトの長さおよび速度に依存するオーブン内の滞留時間内に、所望の蒸煮および必要に応じて褐変が行なわれるように、設定可能である。今日、市場では、燻製および/風味付けされた生産物に対する要求が、ますます大きくなっている。この燻製および/または風味付けは、現状の技術水準によれば、生産物が蒸煮された後または生産物が蒸煮される前に、別の燻製および/または風味付けハウス内においてオフラインで行われるようになっているが、これは、手間が掛かり、大きなスペースを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1221575号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0558151号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、現状の技術水準による欠点を解消するオーブンおよびプロセスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、
−少なくとも1つのチャンバと、
−生産物を入口からこのチャンバを通して出口に案内するためのコンベヤ手段と、
−ガスを用いてチャンバ内の温度および/または湿度を調整および制御するための温度制御手段であって、ガスを加熱する加熱器、送風機、および加熱されたガスをチャンバ内に導くダクトを備えている、温度制御手段と、
を備えているオーブンであって、
該オーブンは、燻液および/または風味液をオーブン内に霧化(atomize)する手段を備えている、
オーブンによって解消されることになる。
【0007】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0008】
オーブン内における燻製および/または風味付けによって、製造時間が短縮され、改良された風味および/または改良された外観が生産物にもたらされる。また、本発明のオーブンおよびプロセスによって、担当者および/または製造施設のリスクも軽減される。燻液および/または風味液を、オーブンを汚染することなく、オーブンに直接施すことができることは、驚きであり、当業者によって予期されることができなかったことである。燻液および/または風味液は、オーブン内において損なわれず、および/または生産物への燻煙/風味の吸収は、所望の味覚を達成するのに十分である。燻液および/または風味液の霧化は、燻液および/または風味液の完全な蒸発をもたらし、これによって、どのような液分を収集、排除、および再生利用する必要がない。燻液および/または風味液は、極めて正確に投与することができる。
【0009】
本発明によるオーブンは、少なくとも1つのチャンバ、好ましくは、2つ以上のチャンバを備えている。各チャンバにおいて、異なる熱伝達、温度、湿度、および/または燻製/風味付け状態を有する区域を設定することができる。処理されるべき生産物は、好ましくは、食品、さらに好ましくは、食肉または魚のようなタンパク質含有食品である。代替的に、生産物は、菜食品、例えば、食肉および/または魚の代替生産物であってもよい。生産物は、骨、すなわち、魚骨を含んでいてもよい。本発明のオーブンは、生産物を入口からこのチャンバを通して出口に案内するためのコンベヤ手段をさらに備えている。コンベヤ手段は、好ましくは、少なくとも部分的に螺旋路の形態で配置されている。コンベヤ手段は、好ましくは、エンドレスコンベヤベルトであり、このエンドレスコンベヤベルトは、さらに好ましくは、処理ガス、すなわち、空気、蒸気、および/または燻製物質/風味物質に対して少なくとも部分的に透過性になっている。加えて、本発明のオーブンは、通常空気と蒸気との混合物であるガスを用いてチャンバ内の温度および/または湿度を調整および制御するための温度制御手段を備えている。ガスの温度は、加熱器によって調整される。ガスの湿度は、蒸気または(例えば)低湿度の空気を加えることによって調整される。好ましくは、ガスは、各チャンバ内において、好ましくは送風機によって、好ましくは個別に循環される。送風機は、チャンバの一端においてガスを取り出し、チャンバの他端においてガスを再導入することができる。この再循環によって、チャンバ内にガス運動が生じ、これによって、ガスから生産物への熱伝達が改良され、および/または各チャンバ内の温度差が低減される。オーブン内において、生産物は、乾燥および蒸煮されることができるようになっている。この乾燥/蒸煮は、少なくとも部分的に同時におよび/または継続的に行うことができる。
【0010】
オーブンは、生産物を連続的に移動させる連続操作樋式オーブンであってもよいし、またはバッチ式オーブンであってもよい。
【0011】
本発明によれば、生産物は、蒸煮の前に乾燥されてもよいし、または蒸煮の最中に乾燥されてもよい。本発明による乾燥は、食品の重量が減少することを意味している。食品の乾燥は、食品からの物質の滴落によって生じることもあり、および/または食品の表面からの物質の蒸発によって生じることもある。好ましくは、乾燥ステップ中の食品の重量損失は、乾燥チャンバ内に入る前の食品の元の重量に対する0.5〜30重量%、好ましくは、2〜20重量%、さらに好ましくは、3〜10重量%、さらに一層好ましくは、4.5〜7.5重量%である。食品の乾燥は、好ましくは、正確な温度パラメータおよび湿度パラメータを有する気候調節チャンバ内において行なわれる。好ましくは、食品の乾燥は、60〜180℃の温度で行なわれる。乾燥中に、燻液を乾燥チャンバ内において霧化することができる。
【0012】
本発明によれば、オーブンは、燻液および/または風味液をオーブン内に霧化する手段を備えている。燻液および/または風味液は、好ましくは、水状物質である。燻液および/または風味液をオーブン内に霧化する手段は、好ましくは、ノズル、さらに好ましくは、2相ノズルである。2相ノズルは、燻液および/または風味液とガス、好ましくは、空気とによって作動するようになっている。2相ノズルには、好ましくは、1〜15バール、さらに好ましくは、3〜8バール、さらに一層好ましくは、4〜6バールの圧縮空気が供給される。ノズルへのガス流れに対するノズルへの燻液および/または風味液の流れの比率は、好ましくは、0.1kg/m:1.0kg/m、さらに好ましくは、0.3kg/m:0.6kg/mである。各ノズルへのガス流れは、好ましくは、3.0〜10.0m/h、さらに好ましくは、5.0〜6.5m/hに設定され、燻液および/または風味液は、好ましくは、0.2〜25kg/h、さらに好ましくは、1〜10kg/h、さらに一層好ましくは、3〜6kg/hの流量に調整される。燻液および/または風味液を霧化する手段は、1つまたは複数のノズル、例えば、一列に並んだノズルを備えることができる。霧化手段は、霧化された燻液および/または風味液を連続的または間欠的に供給することができる。霧化された燻液および/または風味液の液滴の大きさは、好ましくは、<3.0μm、さらに好ましくは、<1.5μm、さらに一層好ましくは、<1.0μmである。霧化中、好ましくは、霧化された燻液および/または風味液の一部が、各ノズルからガスとして放出される。この一部は、好ましくは、ノズルに供給される燻液および/または風味液の20重量%未満、さらに好ましくは、14〜16重量%未満である。霧化された燻液および/または風味液の流れは、好ましくは、オーブンの1つのチャンバ内に循環される空気流れに放出され、この空気流れは、特に燻液および/または風味液の放出箇所において、好ましくは、50〜250℃、さらに好ましくは、100〜200℃の温度を有している。放出の箇所における空気流れの速度は、好ましくは、0.5〜35m/s、さらに好ましくは、1〜9m/sである。前述の条件の少なくとも1つによって、液滴の完全な蒸発が確実に得られることになる。
【0013】
霧化の後、液滴の粒子径分布は、好ましくは、以下の通りである。
<0.20μm 1.99%
<0.50μm 6.26%
<0.60μm 22.48%
<0.70μm 45.89%
<0.85μm 69.37%
<1.00μm 86.70%
<5.00μm 100.00%
【0014】
オーブン内において、煙濃縮物は、その100%が見えないガス相内に転移される。
【0015】
好ましくは、過量の燻液および/または風味液を捕捉するどのような手段もオーブン内に設ける必要がない。
【0016】
さらに好ましくは、オーブンは、2つ以上のチャンバを備えており、これらのチャンバ内において、異なる温度状態、異なる湿度状態、および/または異なる熱伝達状態をそれぞれ設定することができる。好ましくは、各チャンバは、送風機および加熱手段を備えており、送風機および/または加熱手段は、各チャンバ内において個別に操作可能になっている。好ましくは、1つまたは複数のチャンバは、螺旋経路を備えており、これらのチャンバは、さらに好ましくは、特に、第3のチャンバによって互いに分離されており、第3のチャンバは、さらに好ましくは、直線状コンベヤベルトを有する区域である。好ましくは、各チャンバは、燻液および/または風味液を霧化する少なくとも1つの手段を備えており、燻液および/または風味液および/または該手段、例えば、ノズルの操作状態は、各チャンバにおいて異なっていてもよい。
【0017】
好ましくは、1つの手段が1つまたは各チャンバの送風機の入口および/または出口に配置されており、燻液および/または風味液は、さらに好ましくは、この手段に連続的に送給されるようになっている。さらに好ましくは、燻液および/または風味液は、送風機の吸引側において霧化される。送風機によって、燻液および/または風味液の液滴および/またはガス相は、生産物を蒸煮するガスに混合されることになる。
【0018】
代替的または追加的に、燻液および/風味液は、生産物上に、好ましくは、生産物の一部または少なくとも本質的に生産物の全面に直接噴霧(spray)されてもよい。燻液および/または風味液を全面に噴霧するには、多数のノズルが必要である。好ましくは、燻液および/または風味液は、生産物が配置される移送手段を通して噴霧される。好ましくは、該手段と生産物との間の距離は、100mmから400mmの間、好ましくは、150mmから350mmの間にある。生産物の表面温度は、好ましくは、液分が生産物上に噴霧される箇所において、50℃よりも高く、さらに好ましくは、80℃よりも高く、これによって、液分は、生産物の表面において蒸発することになる。さらに好ましくは、生産物の表面温度は、オーブン内において180℃を超えないようになっている。生産物上に噴霧される燻液および風味液は、少なくとも1つのチャンバ内に霧化されて蒸発する燻液および/または風味液と同じであってもよいし、または異なっていてもよい。
【0019】
燻液および/または風味液を生産物上に噴霧する手段は、好ましくは、ノズル、さらに好ましくは、2相ノズルである。
【0020】
噴霧用途のこの2相ノズルには、好ましくは、2.0〜4.5バール、さらに好ましくは、3.0〜3.5バールの圧縮ガス、さらに好ましくは、圧縮空気が供給される。ノズルへのガス流れに対するノズルへの燻液および/または風味液の流れの比率は、好ましくは、0.5kg/m:5.0kg/m、さらに好ましくは、1.0kg/m:2.0kg/mである。ノズルへの圧縮ガス流れ、好ましくは、圧縮空気流れの比率は、好ましくは、ノズル当たり1.0〜5.5m/h、さらに好ましくは、3.0〜3.5m/hであり、ノズルへの燻液および/または風味液の流れは、より好ましくは、2.0〜8.0kg/h、最も好ましくは、4.0〜6.0kg/hである。粒子径分布は、好ましくは、5μm〜100μmであり、80重量%超が、好ましくは、5μmよりも大きく、少なくとも40%は、さらに好ましくは、10μmよりも大きい。好ましくは、燻液および/または風味液は、ノズルによって直接蒸発しないようになっている。
【0021】
好ましくは、特に燻液および/または風味液が噴霧され、該液分が蒸発するかまたは蒸発した後、生産物の表面に琥珀色および特異なロースト風味を促進する加速されたメイラード熱反応が生じることになる。
【0022】
噴霧は、好ましくは、第1の蒸煮チャンバ、特に、燻煙および/または風味付けが生産物に施される蒸煮チャンバ内および/またはその下流、およびさらに好ましくは、第2の燻製/風味付けチャンバ、特に、2つの好ましくは螺旋チャンバ間の直線区域間の上流側において、行なわれる。第2のチャンバは、好ましくは、蒸煮チャンバである。
【0023】
付加的に、生産物の表面は、生産物の表面への加熱ガスの衝突によって処理されてもよい。
【0024】
多数の(好ましくは、3つの)異なる区域を有するという特徴と高温オーブン内に燻液および/または風味液を施す多数の(好ましくは、2つの)異なる方法とによって、食品を蒸煮しながら同時に高温で褐変および燻製するための最適なプロセスを設計することが可能になる。蒸焼および/または燻製される食品の望まれる最終結果および該食品の特性に依存して、熱プロセスにおける適切な適用時期、最も有力な適用方法、および褐変、燻製および/または風味付けのための最適な材料が、選択されるとよい。特別に較正された2相ノズルを特別に考案された褐変剤および煙濃縮物と組み合わせることによって、運動エネルギーおよび熱エネルギーを用いて、高反応液をガス相内に完全に転移させることが可能である。
【0025】
本発明の他の主題は、
−少なくとも1つのチャンバと、
−好ましくは、生産物を入口からこのチャンバを通して出口に案内するためのコンベヤ手段と、
−ガスを用いてチャンバ内の温度および/または湿度を制御するための温度制御手段であって、ガスを加熱する加熱器、送風機、および加熱されたガスをチャンバ内に導くダクトを備えている、温度制御手段と、
を備えているオーブンを操作するプロセスであって、
燻液および/または風味液が、オーブン内において生産物に施されるようになっている、
プロセスである。
【0026】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0027】
少なくとも1つのチャンバ内において、生産物は、蒸煮され、すなわち、個々の生産物に対して望ましい深部温度に加熱されるようになっている。
【0028】
生産物が蒸煮される前および/または蒸煮される最中に、生産物は、好ましくは、乾燥されるとよい。
【0029】
燻製および/または乾燥は、乾燥および/または蒸煮の最中に行うことができる。
【0030】
好ましくは、燻液および/または風味液は、霧化されるとよい。
【0031】
好ましくは、燻液および/または風味液は、送風機の上流および/または下流に施され、および/または生産物上に直接噴霧されてもよい。さらに好ましくは、燻液および風味液は、2相ノズルによって施される。第2相として、好ましくは、5〜7バール、さらに好ましくは、5.5〜6.5バールの圧力で供給される圧縮ガス、好ましくは、圧縮空気が利用される。
【0032】
好ましくは、燻液および/または風味液は、生産物上に直接噴霧され、生産物の表面を濡らし、その直後に蒸発するようになっている。蒸発中または蒸発後に、好ましくは、メイラード反応が生じる。
【0033】
本発明の好ましいまたは他の実施形態によれば、燻煙物質および/または風味物質は、生産物が少なくとも部分的に乾燥した後に、該生産物に吸着および/または吸収されるようになっている。さらに好ましくは、生産物の少なくとも表面は、燻煙物質および/または風味物質が吸着および/または吸収される前に、少なくとも部分に乾燥されているとよい。
【0034】
本発明の他の主題は、
フェノール:0.1〜0.56%
カルボニル:3.5〜13.0%
ポリソルベート:0〜2.25%
残部:水
を含んでいる煙濃縮物である。
【0035】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0036】
本発明の他の好ましい実施形態は、
酸:2.5〜6.5%
フェノール:0.1〜0.56%
カルボニル:3.5〜13.0%
ポリソルベート:0〜2.25%
ベンゾ(a)ピレン <10ppb
ベンゾ(a)アントラゼン <20ppb
を含んでいる煙濃縮物である。
【0037】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0038】
本発明の他の好ましい実施形態は、
フェノール 0.1〜0.35重量%
カルボニル 3.5〜8.5重量%
ポリソルベート 0〜1.5重量%
を含んでいる煙濃縮物である。
【0039】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0040】
本発明の煙濃縮物は、オーブンを汚染せず、良好に制御可能な燻製プロセスをもたらすことになる。煙濃縮物は、例えば、燃焼プロセスから得られた煙を凝縮することによって、作製される。煙濃縮物は、好ましくは、濾過され、濃縮されるとよい。
【0041】
本発明のこの主題に関する開示内容は、本出願の他の主題にも適用され、逆に本出願の他の主題もこの主題に適用される。
【0042】
好ましくは、煙濃縮物のph値は、2.0と3.5との間である。
【0043】
煙濃縮物の粘度は、好ましくは、20℃で測定された4.0〜5.5mPas/secである。
【0044】
煙濃縮物の密度は、好ましくは、1.01〜1.04kg/Lである。
【0045】
煙濃縮物のpH値は、好ましくは、2.0〜3.5である。
【0046】
さらに好ましくは、煙濃縮物は、少なくとも本質的に、灰分粒子および/またはタール粒子のような固形粒子を含まないようになっている。
【0047】
煙濃縮物は、好ましくは、霧化され、次いで、オーブン内に導入されるようになっている。
【0048】
霧化の後、液滴の粒子径分布は、好ましくは、以下の通りである。
<0.20μm 1.99%
<0.50μm 6.26%
<0.60μm 22.48%
<0.70μm 45.89%
<0.85μm 69.37%
<1.00μm 86.70%
<5.00μm 100.00%
【0049】
オーブンにおいて、煙濃縮物は、その100%が、見えないガス相内に転移される。
【0050】
以下、本発明を図1〜4に基づいて説明する。これらの説明は、保護の範囲を制限するものではない。説明は、本出願の全ての発明に対して同じように適合される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明のオーブンの一実施形態を示す図である。
図2図1によるオーブンの上面図である。
図3】調整手段を示す図である。
図4】霧化された燻液および/または風味液が生産物の表面に直接施される状態を示す図である。
図5】霧化された燻液および/または風味液の液滴径分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1,2は、本発明のオーブンを示している。オーブン1は、第1のチャンバ3および第2のチャンバ4を備えている。これらのチャンバは、仕切り2によって分割されている。ここでは、回転ドラム5,6が、それぞれ、これらのチャンバ内に配置されており、これらの回転ドラムの回りに、コンベヤベルト7が2つの螺旋経路8,9に沿って案内されている。エンドレスコンベヤベルトは、直線状コンベヤベルト区域11によって、入口10を介してオーブン1に入り、同様に、直線状区域13によって、出口12を介してオーブン1から出るようになっている。2つの螺旋区域8,9は、ここでは、頂部に位置する直線状コンベヤベルベルト区域14によって互いに接続されている。ベルトは、処理流体、例えば、空気および蒸気に対する透過性を有している。仕切り手段2は、ベルト区域14に対する通路2.1を備えている。この通路2.1は、コンベヤベルト14よりも大きくなっている。当業者であれば、オーブンは、必ずしも2つのチャンバを備える必要がないことを理解するだろう。
【0053】
総称的に15で示されている加熱手段が、ハウジングの上に配置されている。これらの加熱手段15は、各々、螺旋ケーシング17を有する送風機16を備えている。螺旋ケーシング17は、ダクト18に開いている。加熱要素が、各ダクト18内に配置されている。処理流体、例えば、空気および蒸気は、送風機16によって、入口24を介してチャンバ3,4の外から吸い上げられ、螺旋ケーシング17を介して、ダクト18内に送り込まれる。処理流体31は、加熱要素34を超えて流れ、次いで、それぞれのチャンバ3,4内に再循環するようになっている。図3における矢印23は、チャンバ3、4内の流体流れを示している。オーブン内において蒸煮される生産物(図示せず)の運動は、矢印29によって示されている。
【0054】
図3によれば、オーブンは、ベルトの幅にわたる処理流体の流れを調整する調整手段、この例では、プレート19を備えているとよい。このプレート19は、コンベヤベルト7の直線部分14に配置され、図2から分かるように、長さLにわたって延在している。プレート19は、ダクト18内に部分的に位置しており、制御領域21内に延在している。プレート19は、軸26を中心として旋回するようになっている。プレート19の垂直位置に対する偏向の度合いは、両矢印αによって示されている。流体流れ31が加熱手段を超えた後、プレート19は、その流体流れ31を案内し、かつ分流させ、これによって、コンベヤベルトの幅にわたる所望の流れパターンが達成されることになる。プレート19によって、流れ31は、分流され、ベルト7の外側7’’から内側7’にまたは逆に案内される。幅Wにわたるあらゆる所望の流体流れが、プレート9によって達成される。流体流れの分布の例は、図7に示されている。所望の流体流れ分布が、プレート19の全長Lにわたって達成される。均等化手段20,ここでは、孔付きプレートが、プレート19の流れ分布を支援し、および/または制御領域における圧力を高めるために、制御領域21の底に配置されている。流体流れは、生産物25を加熱した後、透過性ベルト7を通って、傾斜プレート22によって偏向される。チャンバ3の内側の流れ23は、螺旋経路8を超えて流れ、次いで、送風機16によって、入口24を介して再び吸い上げられることになる。当業者であれば、これらの調整手段は、本発明にとって必ずしも必要ではないことを理解するだろう。
【0055】
本発明によれば、送風機16の上流および/または下流および/または加熱器32の上流および/または下流に、燻液および/または風味液を霧化する手段27,28、ここでは、1つまたは複数の2相ノズル27,28が設けられている。霧化された燻液および/または風味液は、極めて微細な流体粒子の雲状体としてもたらされ、空気−蒸気31内に放出され、空気−蒸気31内において、該液滴は、集滴する前に蒸発することになる。各2相ノズル27,28は、燻液および/または風味液の流れを微細粒子に分割し、液滴を空気−蒸気31内に分配するために、加圧ガス(図示せず)によって操作される。燻液および/または風味液は、各チャンバ3,4に供給されてもよいし、または1つのチャンバ3,4のみに供給されてもよい。燻液および/または風味液は、オーブン内の種々の箇所に導かれてもよい。各チャンバには、同じまたは異なる燻液および/または風味液が供給されてもよい。燻煙および/または風味は、生産物、ここでは、食肉によって吸収されることになる。生産物の燻製および/または風味付けと生産物の蒸煮とが、同時に行なわれるようになっている。これによって、時間およびスペースを節約することができる。
【0056】
図4は、燻液および/または風味液が生産物上に直接噴霧される本発明の実施形態を示している。燻液および/または風味液のミストが生産物と衝突し、該生産物の表面を濡らす。続いて、該液分が蒸発し、生産物の色および/または風味を変化させる物質が生産物の表面に残ることになる。生産物の表面への燻液および/または風味液のこの噴霧は、吸収による生産物の燻製および/または風味付けに対して、追加的に行なわれてもいし、または代替的に行なわれてもよい。噴霧は、オーブンの内側および/または出口のどこで行なわれてもよい。好ましくは、ノズルと生産物との間の距離は、150mmと350mmとの間にある。好ましくは、生産物の表面温度は、噴霧された液分の蒸発を容易にするために、少なくとも80℃である。
【0057】
図5は、図4による噴霧用途における好ましい液滴径分布を示している。液滴は、好ましくは、1μmと100μmとの間にある。
【符号の説明】
【0058】
1 オーブン
2 分離手段、仕切り
2.1 第1のチャンバから第2のチャンバへの通路
3 第1のチャンバ
4 第2のチャンバ
5 ドラム
6 ドラム
7 コンベヤ手段、コンベヤベルト
8 螺旋区域の第1のチャンバ
9 螺旋区域の第2のチャンバ
10 入口
11 直線状コンベヤ手段
12 出口
13 直線状コンベヤ手段
14 接続コンベヤ手段区域
15 加熱手段
16 送風機
17 螺旋ケーシング
18 空気ダクト
19 制御手段、弁
20 均等化手段
21 制御領域、ボックス
22 案内手段
23 流体の流れ
24 入口
25 生産物
26 軸
27 ノズル
28 ノズル
29 生産物の運動
30 ノズル
31 処理流体、空気、蒸気、および/または燻煙
32 加熱手段
図1
図2
図3
図4
図5