【文献】
Journal of Cellular Biochemistry,2011, Vol.112, pp.1022-1034
【文献】
Proceedings of the National Academy of Sciences of USA,2006, Vol.103, No.45, pp.16806-16811
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
BMPシグナリングの1又は2以上のインヒビターが、DM3189/LDN−193189、ノギン、コーディン、ドルソモルフィン及びDMH1からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
多能性幹細胞を、1ng/ml〜100μg/mlのアクチビンA、1nM〜100mMのPI−103及び1nM〜100mMのCHIR99201と接触させる、請求項11に記載の方法。
DE系列の細胞を、レチノイン酸、BMPインヒビター、Wntインヒビター及びFGF/MAPKインヒビターと接触させることにより、前記DE系列の細胞を前腸後部(PFG)の細胞に分化させることをさらに含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
DE系列の細胞を、1nM〜100mMのレチノイン酸、1nM〜100mMのLDN193189、1nM〜100mMのIWP2及び1nM〜100mMのPD0325901と接触させる、請求項16に記載の方法。
DE系列の細胞を、BMPアクチベーター、Wntアクチベーター及びFGFアクチベーターと接触させることにより、前記DE系列の細胞を中腸/後腸(MHG)の細胞に分化させることをさらに含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
DE系列の細胞を、1ng/ml〜100μg/mlのBMP4、1ng/ml〜100μg/mlのFGF2、及び1nM〜100μMのCHIR99201と接触させる、請求項20に記載の方法。
PFGを、1nM〜100mMのPD0325901又はPD173074、1nM〜100mMのSANT1、1nM〜100mMのLDN193189、1nM〜100mMのIWP2又はC59、1nM〜100mMのレチノイン酸及び1ng/ml〜100μg/mlのアクチビンAと接触させる、請求項24に記載の方法。
PFGを、0.5μMのPD0325901又は100nMのPD173074、150nMのSANT1、250nMのLDN193189、4μMのIWP2、2μMのレチノイン酸及び10ng/mlのアクチビンAと接触させる、請求項29に記載の方法。
PFGを、1nM〜100mMのA83−01、1nM〜100mMのRA、1ng/ml〜10μg/mlのBMP4、及び1nM〜100mMのIWP2又はC59と接触させる、請求項34に記載の方法。
【実施例】
【0128】
実験セクション
材料及び方法
hESC及びhiPSCの未分化増殖
1.MEF同時培養から規定の培養条件への初期適合化
本研究において用いられる多くのhESC株は、照射されたマウス胚性線維芽細胞(MEF)フィーダー層上で元々培養されたものであった。hESC株をフィーダーフリー培養物に適合させるために、MEFで増殖させたhESCをMatrigel被覆プレート上で連続的に継代し、MEF条件培地(CM、conditioned medium)中で増殖させた。MEF−CMを生成するために、集密なMEF培養物をKOSR培地(20%KOSR(Gibco社、v/v)、L−グルタミン、非必須アミノ酸(NEAA、non-essential amino acid)、α−メルカプトエタノール、ペニシリン、ストレプトマイシン及び4ng/mLのFGF2(MEFサイトカイン産生を刺激するため)を添加したDMEM/F12)で処理し、24時間後、KOSR条件培地を回収、濾過し、さらに15ng/mLのFGF2を添加した後、hESC培養物に添加した。
【0129】
2.規定条件における長期未分化増殖(mTeSR1)
一旦、hESC株をMEF−CM培養条件に適合させた後、それらをmTeSR1(StemCell Technologies社)中での増殖に適合させた。これを達成するために、hESCをMEF−CM中に塗布した2日後に、それらをmTeSR1に移した。MEF−CMからmTeSR1への初期導入時に初めはわずかなhESC増殖の阻害が見られ、通常はいくらかの分化が同様に得られた。hESCをmTeSR1中で連続的に継代し、最終的に未分化のhESCをmTeSR1中で安定に増殖させることができるまで、明らかに分化した細胞を機械的に擦り取った(
図52)。hESCが高品質でmTeSR1に適合した(すなわち、同時的分化が完全に排除された)後にのみ、それらを分化実験のために続けて用いた。これを行って、交絡下流分化に由来する未分化状態の動物フィーダー又は未規定の培地成分へのhESCの曝露を防止した。最終的に、H1、H7、H9、HES2及びHES3 hESC株がmTeSR1中での未分化増殖に最終的に適合し、核型的に正常であった(
図52)。
【0130】
hiPSC株BJC1及びBJC3を、ヒトBJ包皮線維芽細胞株に必須再プログラミング因子(obligatory reprogramming factor)(J Durruthy-Durruthy、V Sebastiano、非公開の研究)をコードするmRNAをトランスフェクトすることにより誘導し、続いてそれらを、hESCを増殖させ、継代するために用いられるものと同一の技術によりmTeSR1を用いて未分化状態で増殖させた(
図52)。
【0131】
分化のための被覆細胞培養プラスチック
細胞培養プラスチックを、ヒトフィブロネクチン(Millipore社、FC010)又はMatrigel(BD Biosciences社)のいずれかで予め被覆した後、SR1分化のためにhPSCを上に塗布した。12穴プレート中の単一のウェルについて、ウェルを100μLの滅菌PBSで簡単に湿らせて、ウェルの全表面積を覆った後、過剰のPBSを除去した。次いで、200μLのヒトフィブロネクチン(PBS中で10μg/mLに希釈されたもの)をウェルに添加し、37℃で1時間、ウェルの表面に吸着させた。フィブロネクチン被覆が完了した後、全てのフィブロネクチン溶液を除去し、次いで、hPSCを塗布した。Matrigel被覆のために、Matrigelを最初にDMEM/F12(Gibco社)中で1:15に希釈した。ウェルを十分に希釈されたMatrigelで簡単に被覆して、全表面積を覆った後、Matrigelを回収し、将来の使用のために保存した。次いで、プレートを37℃で15分間インキュベートして、Matrigel層の集合を可能にした。これを2回繰り返した。つまり、再びウェルを、希釈されたMatrigelで簡単に覆った後、37℃で15分間インキュベートした。その後、残留するMatrigelを吸引し、続いて、hPSCを塗布した。
【0132】
SR1中での定義された胚体内胚葉特定化
全てのhESC及びhiPSC株を、mTeSR1中でフィーダーフリーで増殖させた(
図52)。完全に限定された無血清のCDM2基本培地中、フィーダーフリーで分化が行なわれた。分化の前に、集密なhPSC培養物を、ヒトフィブロネクチン又はMatrigelのいずれかで被覆された新しいプレート上でコラゲナーゼIV(典型的には、1:3の分割比)を用いて小塊として継代した。mTeSR1中に回収した1〜2日後、hPSCをF12(Gibco社)で洗浄して、全てのmTeSR1を排出させ、次いで、CDM2中のアクチビンA(100ng/mL、R&D Systems社)、CHIR99021(2μM、Stemgent社)、及びPI−103(50nM、Tocris社)で24時間処理して、APSを特定した。その後、細胞を洗浄(F12)した後、CDM2中のアクチビンA(100ng/mL)及びLDN−193189/DM3189(250nM、Stemgent社)で48時間処理して、3日目までにDEを生成させた。培地を24時間毎に新しくした。
【0133】
7日目までその後4日間、DEをAFG(A−83−01、1μM及びDM3189、250nM)、PFG(RA、2μM及びDM3189、250nM)、又はMHG(BMP4、10ng/mL;CHIR99021、3μM;及びFGF2、100ng/mL)のいずれかに前後パターン化させた。
【0134】
SR1中での胚体内胚葉の定義された前後パターン化
3日目のDEを、CDM2中での継続的分化の4日目までにAFG、PFG、又はMHGにパターン化させた。DEを洗浄(F12)した後、以下のように分化させた:AFG、A−83−01(1μM、Tocris社)、及びDM3189(250nM);PFG、RA(2μM、Sigma社)及びDM3189(250nM);MHG、BMP4(10ng/mL、R&D Systems社)、CHIR99021(3μM)、及びFGF2(100ng/mL)、7日目の前後ドメインを得た。
【0135】
hESC由来肝臓前駆体(CDM2+ノックアウト血清補充(KOSR、10%v/v、Gibco社)中)を誘導するために、3日目のDEを洗浄し、初期PFGに向かってDM3189(250nM)、IWP2(4μM、Stemgent社)、PD0325901(500nM、Tocris社)、及びRA(2μM)で1日処理した(全て「DIPR」として知られる;4日目)。続いて、細胞を洗浄(F12)した後、A−83−01(1μM)、BMP4(10ng/mL)、IWP2(4μM)、及びRA(2μM)でさらに3日間分化させて、分化の7日目に肝臓前駆体を含有する集団を得た。
図25に詳述されるように、DEからの一過的な1日のDIPR処理の原理は、(i)PFGドメインを区域化するためのRA(Stafford, D., and Prince, V.E. (2002). Retinoic acid signaling is required for a critical early step in zebrafish pancreatic development. Curr Biol 12, 1215-1220)と共に、(ii)MHG形成を抑制し、過剰の後方化(posteriorization)を防止するためのBMP、FGF/MAPK及びWntシグナリングの阻害(それぞれ、DM3189、PD0325901及びIWP2を用いる)を用いることであった。
図63ivに示されるように、PFGを一時的に特定するための初日のDIPR処理は、その後の膵臓発生を増強する。
【0136】
CDM2基本分化培地の調製
1mg/mLのポリビニルアルコール(Sigma社、A1470又はEuropa Bioproducts社、EQBAC62)、1%v/vの化学規定脂質濃縮物(Gibco社、11905−031)、450 Mのモノチオグリセロール(Sigma社、M6145)、0.7μg/mLのインスリン(Roche社、1376497)及び15μg/mLのトランスフェリン(Roche社、652202)を添加した、50%IMDM(Gibco社)及び50%F12(Gibco社)を含むCDM2を滅菌濾過(22μmフィルター、Millipore社)し、2週間以内の分化のために用いた。化合物及び組換え増殖因子を添加して、上記のような異なるステップの分化を惹起した。APS、DE、AFG、PFG、及びMHGへのhESC分化を、CDM2のみの中で行った。初期PFG(DIPR)へのhESC分化並びにその後の肝臓前駆体分化のために、10%v/vのKOSRを添加したCDM2を用いて細胞生存を補助した。
【0137】
別の系列への分化
AFBLy(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)又は血清(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)を用いるDEに向かうhESC分化を、以前に記載のように実行した。AFBLyについては、hESCを簡単に洗浄(F12)した後、アクチビンA(100ng/mL)、FGF2(20ng/mL)、BMP4(10ng/mL)、及びLY294002(10μM)で3日連続で同時に処理した。血清分化については、hESCを簡単に洗浄(F12)した後、増加する量のFBS(Hyclone)−それぞれ、0%(1日目)、0.2%(2日目)、及び2%(3日目)v/vと組み合わせた、アクチビンA(100ng/mL)で3日連続で持続的に処理した。SR1との直接比較のために、AFBLy又は血清のいずれかにおける分化を、CDM2基本培地中で行った。
【0138】
運命相互変換分化実験
前腸分化能実験(
図18)のために、3日目のDEを洗浄(F12)し、AFG(A−83−01+DM3189)又はPFG(RA+DM3189)に1〜2日間、一過的に分化させた後、再度洗浄(F12)し、続いて、さらに3日間、膵臓又は肝臓系列のいずれかに分化させた(上記のように)。
【0139】
RNA抽出、逆転写、及び定量的PCR
数分にわたって350μLのRLTバッファーを添加することにより、12穴プレートの個々のウェル中で増殖させた付着細胞からRNAは回収された。RNAは−80℃で無期限に凍結するか、又は直接抽出することができた。RNA抽出物はRNeasy Micro Kit(Qiagen社)にて行い、通常は製造業者の推奨通り、残留するゲノムDNAを除去するために中間の1時間はカラム上でDNase消化を行い、RNAは最終的に30μLのH2O中でカラムから溶出された。全RNA濃度の評価後、通常は100〜500ngの全RNAが、製造業者の説明書通りに逆転写(SuperScript Reverse Transcriptase、Invitrogen社)のために用いられた。最後に、cDNAはH2O中で1:30に希釈され、384穴ハイスループット形式でのqPCRのために用いられた。ウェルあたりそれぞれ個々のqPCR反応液(10μL)について、5μLの2X SYBR Green Master Mix(Applied Biosystems社)を使用し、0.4μLの組み合わせたフォワード及びリバースプライマーミックスと混合した(組み合わせたプライマーミックス中、10μMのフォワード+リバースプライマー)。qPCRをTm=60℃で40サイクル行い、反応の終わりに解離曲線を生成して、プライマー対あたりただ1つの生成物が特異的に増幅されたことを確保した。ddCt法によりqPCR分析を行った:それぞれのcDNA試料について、実験遺伝子の発現を、その同じcDNA試料のヒトハウスキーピング遺伝子(Pbgd)の発現に対して内部的に正規化した後、実験遺伝子の発現を、異なるcDNA試料間で決定することができた。全ての分化した集団について、実験遺伝子の発現を、同じ実験セットのために塗布した未分化のhESCと比較して、遺伝子発現の任意の気付かれた増加又は低下が未分化のhESC中でのその遺伝子のアブイニシオ(ab initio)の発現と有意に比例することを確保した。かくして、マトリックス(
図1〜4)とヒストグラム(
図39〜65)の両方における全てのqPCRデータについて、全ての遺伝子発現は、hESC中での遺伝子(例えば、SOX17の)発現のレベル=1となるように正規化される。それぞれの実験について、条件あたりの少なくとも2つの異なるウェルを回収し、それぞれのウェルについて、2又は3の技術的反復を、それぞれの遺伝子について実施し、その発現をqPCRにより分析した。
【0140】
「未定」の値に40のCT値を割り当て、かくして、その遺伝子の発現の保存的過剰評価を提供し、かくして、未定値と決定された値に達した試料との倍数機会(fold chance)を保存的に過少評価した。全てのqPCRプライマー対(表1に提供される配列)を、qPCR産物の増幅の直線性を確保するために広く検証した。
【0141】
【表1】
【0142】
細胞運命分岐の基礎となる発生シグナリング論理を推定するために、シグナリング摂動行列(
図1〜23)を作成して、様々なシグナリング摂動(列)に応答する発生遺伝子発現(行)のqPCRデータを視覚的に表した。シグナリング摂動行列を、GenePatternのHeatMapViewerモジュール(http://genepattern.broadinstitute.org)を用いて、上記のような未分化のhESC中での発生遺伝子発現のレベルに対して正規化されたシグナリング摂動qPCR応答の入力データ行列として用いて作成した。HeatMapViewerにおいて、遺伝子発現値を色に直線的に変換し(それぞれの行列の下の色の凡例により示される)、無色は低い遺伝子発現を表し、より強い色はより高い遺伝子発現を表し、最も強い影の色はその行列中で試験された全てのシグナリング摂動において発現された遺伝子の最も高いレベルと等しい。
【0143】
単一細胞qPCR
個々の未分化のH7 hESC又はSR1、AFBLy若しくは血清レジメンにより48時間分化させたものを、マウスピペットを用いて手動で採取した(全体で合計80個の細胞について、条件あたり20個の細胞)。次いで、それらを溶解させ、個々の細胞からのRNAを逆転写し、CellsDirect One-Step qRT-PCR Kit(Life Technologies社、11753−500)を用いてプールされた特異的プライマー対(Actb、Yuhazi、Pbgd、Blimp1、Foxa2、Gata6、Sox17、Shisa2、Mixl1、Gata4、Mesp2、Pdgfrα、Oct4、Sox2、Nanog及びPrdm14のため;表2)を用いる予備増幅を対象とした。
【0144】
【表2】
【0145】
このアッセイの前に、プライマー対を、直線的増幅について、及び鋳型なしの対照(NTC、no template control)におけるシグナルの欠如について綿密に検証した。予備増幅後、使用されなかったプライマーを、エキソヌクレアーゼI(New England BioLabs社、PN M0293)を用いる清浄化ステップにおいて除去し、個々の細胞から得られるcDNAを、示されたプライマー対及びSsoFast EvaGreen Supermix with Low ROX(Bio-Rad社)を用いるBiomark HD System(Fluidigm社)上のBiomark 96.96 Dynamic Array(Fluidigm社)中でのハイスループットqPCRのために調製した。続いて、Ct値を、それぞれの単一細胞に関するYuhazi発現に対して内部的に正規化し、典型的には、逸脱したハウスキーピング遺伝子発現を示す個々のクローンを下流の分析から排除した。単一細胞のqPCRデータを、GenePatternのHeatMapViewerモジュール(http://genepattern.broadinstitute.org)を用いる遺伝子発現ヒートマップとして可視化した。有意なFoxa2レベルを発現する細胞を決定するために、全てのCt値をYuhaziに対して内部的に正規化(全ての細胞についてdCtYuhazi=0となるように)した後、6.5未満のdCtFoxa2を有するいかなる細胞もFoxa2+であると見なした。このカットオフで、hESC(20/20)はFoxa2を発現しなかったが、全てのSR1分化細胞(20/20)はFoxa2を発現し、わずかのAFBLy又は血清により誘導された細胞(それぞれ、1/20及び2/20)はFoxa2を発現した。
【0146】
蛍光活性化細胞選別(FACS)分析
6ウェル形式のSR1分化又は未分化hPSCを洗浄(DMEM/F12)し、TrypLE Express(Gibco社、6穴プレート中で0.75mL/ウェル)で簡単に処理し、激しくタップして細胞を剥離させた。TrypLE中の細胞を収集した後、ウェルをFACSバッファー(PBS+0.5%BSA+5mM EDTA)で複数回洗浄して残留する細胞を収集し、完全に粉砕したところ、単一細胞懸濁液が得られた。この細胞懸濁液を遠心分離(5分)し、FACSバッファー中に再懸濁(個々の染色あたり30〜50μL)し、暗室中で氷上で30分間、抗Cxcr4抗体PE Cy7(BD Biosciences社、560669、1:5に希釈)及び/又は抗Pdgfrα抗体PE(BD Biosciences社、556005、1:50に希釈)で染色した。続いて、細胞をFACSバッファー(個々の染色あたり1.5mL)で2回洗浄し、遠心分離(5min)により収集した。最後に、洗浄した細胞をFACSバッファー(個々の染色あたり300μL)中に再懸濁し、濾過(40μmフィルター、BD Biosciences社)し、DAPIで数分染色し(細胞の生存能力を評価するため)、FACSAria II(Stranford Stem Cell Institute FACS Core Facility)上で分析した。デジタル補償を実施して、チャンネル裏抜けについて制御し、蛍光マイナス1(FMO、fluorescence minus one)制御に基づいてゲートを綿密に設定した。未分化hPSC及びSR1分化細胞を常に同一に染色し、同じ実験で並行して分析して、抗体染色の特異性を確保した。それぞれ個々の染色につき、最少で10,000の事象を分析した後、FSC−A/SSC−A分析に基づいて事象を解析した;FSC−W/FSC−H、次いで、SSC−H/SSC−W上でのゲーティングにより細胞シングレットを選択し、最後に死滅した細胞をDAPI−細胞上でのみのゲーティングにより排除した(
図57に示されるゲーティング戦略)。CD90は未分化のhPSCを同定するため(例えば、(Drukker, M., Tang, C., Ardehali, R., Rinkevich, Y., Seita, J., Lee, A.S., Mosley, A.R., Weissman, I.L., and Soen, Y. (2012). Isolation of primitive endoderm, mesoderm, vascular endothelial and trophoblast progenitors from human pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、Tang, C., Lee, A.S., Volkmer, J.-P., Sahoo, D., Nag, D., Mosley, A.R., Inlay, M.A., Ardehali, R., Chavez, S.L., Pera, R.R., et al. (2011). An antibody against SSEA-5 glycan on human pluripotent stem cells enables removal of teratoma-forming cells. Nat Biotechnol 29, 829-834))、場合により、細胞を上記のように(
図56)抗CD90抗体FITC(BD Biosciences社、555595、1:50に希釈)で同時染色した。
【0147】
hPSC由来DEを、Cxcr4+Pdgfrα−として、これらの細胞表面マーカーの対応する胎生発現ドメインに基づいて定義した。典型的には、Cxcr4+のみを用いてhPSC分化中のDEを割り当てるが(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)、Cxcr4は、胚外及び胚内中胚葉を含む脊椎動物原腸胚中、インビボで胚外内胚葉並びに中胚葉のサブタイプにおいても発現される(Drukker, M., Tang, C., Ardehali, R., Rinkevich, Y., Seita, J., Lee, A.S., Mosley, A.R., Weissman, I.L., and Soen, Y. (2012). Isolation of primitive endoderm, mesoderm, vascular endothelial and trophoblast progenitors from human pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、McGrath, K.E., Koniski, A.D., Maltby, K.M., McGann, J.K., and Palis, J. (1999). Embryonic expression and function of the chemokine SDF-1 and its receptor, CXCR4. Developmental Biology 213, 442-456)。かくして、Cxcr4+のみでは、hPSC分化中のDEを正確に定義するには好適ではない((Drukker, M., Tang, C., Ardehali, R., Rinkevich, Y., Seita, J., Lee, A.S., Mosley, A.R., Weissman, I.L., and Soen, Y. (2012). Isolation of primitive endoderm, mesoderm, vascular endothelial and trophoblast progenitors from human pluripotent stem cells. Nat Biotechnol)により主張されている)。しかしながら、Pdgfrαは、内臓内胚葉と体壁内胚葉の両方を含む胚外内胚葉(移植前及び移植後の両方)において発現され、さらに、Pdgfrαはインビボで初期の胚内中胚葉及び胚外中胚葉において広く発現される(Orr-Urtreger, A., Bedford, M.T., Do, M.S., Eisenbach, L., and Lonai, P. (1992). Developmental expression of the alpha receptor for platelet-derived growth factor, which is deleted in the embryonic lethal Patch mutation. Development 115, 289-303、Plusa, B., Piliszek, A., Frankenberg, S., Artus, J., and Hadjantonakis, A.-K. (2008). Distinct sequential cell behaviours direct primitive endoderm formation in the mouse blastocyst. Development 135, 3081-3091)。かくして、Cxcr4+Pdgfrα−は同時に、潜在的な中胚葉又は胚外内胚葉を排除することによりDEをより正確に説明する。
【0148】
APS及びDE分化効率を正確に定量するために、蛍光リポーターが相同組換えにより示された遺伝子座に導入された、MIXL1−GFP HES3(Davis, R.P., Ng, E.S., Costa, M., Mossman, A.K., Sourris, K., Elefanty, A.G., and Stanley, E.G. (2008). Targeting a GFP reporter gene to the MIXL1 locus of human embryonic stem cells identifies human primitive streak-like cells and enables isolation of primitive hematopoietic precursors. Blood 111, 1876-1884)及びSOX17−mCHERRY H9ノックインリポーター株(以下に記載)をそれぞれ用いた。SR1中での分化の24時間後(APS)又はSR1中での分化の48時間後(DE)、分化及び未分化リポーターhESCを単一の細胞中で解離させ、上記のようにフローサイトメトリーにより分析した。それぞれの分化処理後のMIXL1−GFP+又はSOX17−mCHERRY+細胞の数を決定するために、並行して分析した未分化hESC中でのこれらのリポーターの発現に基づいてゲーティングを綿密に設定した:全ての例において、1〜2%未満の未分化hESCがMIXL1−GFP+又はSOX17−mCHERRY+となるようにゲートを設定した。
【0149】
Sox17
mCHERRY/whESCリポーター株の作成
SOX17−mCHERRY標的化ベクターは、Sox17翻訳開始部位のすぐ上流に位置するゲノム配列、mCHERRYをコードする配列(Shaner, N.C., Campbell, R.E., Steinbach, P.A., Giepmans, B.N.G., Palmer, A.E., and Tsien, R.Y. (2004). Improved monomeric red, orange and yellow fluorescent proteins derived from Discosoma sp. red fluorescent protein. Nat Biotechnol 22, 1567-1572)、loxPに隣接するPGK−Neo抗生物質耐性カセットを包含する8.3kbの5’ホモロジーアーム及び3.6kbの3’SOX17ホモロジーアーム(L Azolla, EG Stanley and AG Elefanty、未公開の結果)を含んでいた。H9 hESC株に、線状化ベクターをエレクトロポレーションし、PCRに基づくスクリーニング戦略を用いて同定されたクローンを正確に標的化した(Costa, M., Dottori, M., Sourris, K., Jamshidi, P., Hatzistavrou, T., Davis, R., Azzola, L., Jackson, S., Lim, S.M., Pera, M., et al. (2007). A method for genetic modification of human embryonic stem cells using electroporation. Nature Protocols 2, 792-796)。抗生物質耐性カセットを、Creリコンビナーゼを用いて切り出した。用いたSOX17
mCHERRY/whESCリポーター株(本明細書を通してSOX17−mCHERRYと呼ぶ)を、FACSにより選別された細胞の集団上でのSOX17 RNA及びタンパク質及びmCHERRY発現の間の相関を証明することにより検証した(L Azolla, ES Ng, EG Stanley and AG Elefanty、原稿準備中)。
【0150】
ディープトランスクリプトームシーケンシング(RNA−seq)
それぞれの系列の全細胞RNAを上記のように抽出し(RNeasy Micro Kit、Qiagen社)、1μgの全RNAを用いて、それぞれ個々のRNA−seqライブラリーを調製した。RNA−seqライブラリーの構築を、TruSeq RNA Library Preparation Kit(Illumina社)を用いて製造業者の説明書通りに行った。簡単に述べると、全RNAを2回、ポリA選択し、化学誘導及び熱誘導切断により300〜500bpに断片化し、末端修復し、3’アデニル化した。その後、アダプターライゲーションを行い、ライブラリーを、アダプターに対するプライマーによりPCR増幅した(15サイクル)。ライブラリー構築の後、挿入物のサイズをオンチップ電気泳動(Agilent Bioanalyzer)により評価し、読取り可能な断片を、アダプターに対するプライマーを用いるqPCRにより定量した。個々のHi−Seqレーンあたり2つのRNA−seqライブラリーが評価されるように、ライブラリーを多重化した。Genome Institute of Singapore's Solexa GroupによりHi-Seq 2000(Illumina社)上で1x36+7サイクル(1回の読取り、多重化ライブラリーの36bpの挿入物、アダプターバーコード同定のための7bp)でハイスループット配列決定を行った。RNA−seq読取りを、TopHat(Trapnell, C., Pachter, L., and Salzberg, S.L. (2009). TopHat: discovering splice junctions with RNA-Seq. Bioinformatics 25, 1105-1111)を用いてhg19ヒト参照ゲノムに対してマッピングした。整列された読取りを集合させ、FPKM(100万のマッピングされた読取りあたりエクソン1キロベースあたりの断片)をCufflinksを用いて算出した。1を超えるFPKMの発現値を有する遺伝子を、その後の分析のために選択した。FPKM値を対数変換[log2(FPKM+1)]し、系列特異的遺伝子を全系列にわたって2を超えるlog2(FPKM+1)と定義した(
図24)。ライブラリー配列決定統計値を
図70に提供する。
【0151】
マイクロアレイ分析
それぞれの生物学的条件につき、4つの生物学的反復物をhESC分化(HES3 hESC株)により産生し、RNAを抽出し(RNeasy Micro Kit、上記の通りQiagen社)、RNAの品質をBioanalyzerオンチップ電気泳動(Agilent社)により評価した。9.5を超えるRNA完全性(RIN、RNA integrity)値を有する試料のみを、マイクロアレイ分析のために使用し、最終的に最も高いRNA品質の3つの生物学的反復物をマイクロアレイ分析のために選択し、Affymetrix Human Genome U133 Plus 2.0 ArrayへのハイブリダイゼーションによりStanford PAN Microarray Core(Elizabeth Guo)により行った。生データ(.celファイル)をエクスポートし、Broad Institute's GenePatternオンラインプラットフォーム(http://genepattern.broadinstitute.org)にアップロードし、変換し(ExpressionFileCreatorモジュール)、予備プロセッシングし(PreprocessDatasetモジュール、フロア閾値=20、天井閾値=20,000、試験したデータセット間の最小倍数変化=3)、そのヒートマップを作出した(HeatMapViewerモジュール)。
【0152】
独立実験により行われるH9 hESC株におけるAFBLy分化の分析のために(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)、その試験からの生のマイクロアレイデータをArrayExpressレポジトリ(http://www.ebi.ac.uk/microarray-as/ae/、受託番号E−MEXP−2373)からダウンロードし、GeneSpring GXソフトウェアを用いて分析した。生のマイクロアレイデータを正規化し、標準的な手順通りにプロセッシングし、最後に、少なくとも1つの集団中で最小に発現されるマイクロアレイにより検出される全ての遺伝子のうち、未分化のH9 hESC及びAFBLyにより分化したhESCの発現データを比較した。AFBLyにより分化したhESCと未分化のhESCとの間で示差的に発現された遺伝子(2.0倍を超える変化)を列挙し、AFBLyにより上方調節された遺伝子の機能を、バックグラウンド「HumanRef−8_V3_0_R2_11282963_A」の下で遺伝子オントロジー用語のDAVID/EASE割当てにより公平に確認した(http://david.abcc.ncifcrf.gov/)。
【0153】
免疫化学
付着細胞をPBS(Gibco社)で1回洗浄し、室温で15分間、4%パラホルムアルデヒド(PBS中)中で固定し、2回洗浄した(PBSで)。固定された細胞を、4℃で1時間、遮断溶液(PBS中の5%ロバ血清+0.1%Triton X100)中で同時に遮断し、透過処理し、2回洗浄した(PBS)。一次抗体染色を、4℃で一晩、遮断バッファー中に希釈した一次抗体を用いて行った。その後、細胞を2回洗浄した(PBS)。二次抗体染色を、4℃で1時間、遮断バッファー中で行った。その後、二次抗体を除去し、核対抗染色を室温で5分間、DAPI(Invitrogen Molecular Probes社、PBS中で希釈)を用いて行った。細胞をPBS中で3回洗浄して、過剰の抗体及びDAPIを除去し、Zeiss Observer D1を用いて蛍光顕微鏡観察を行った。抗体及び有効濃度を表3に提供する。
【0154】
【表3】
【0155】
ウェスタンブロッティング
試料をSDS−PAGEにより分離し、PVDF膜に移した(4℃で100V、1時間)。膜を室温で1時間、TBST+5%ミルク中で遮断した後、室温で1時間、ヤギ抗Sox17(R&D Systems社、AF1924)又はマウス抗Foxa1(Abcam社、ab55178)一次抗体(1:1000)又は抗β−アクチン(Santa Cruz社、1:5000)一次抗体と共にインキュベートした。β−アクチンを、内部ローディング対照として用いた。膜をTBST中で5回洗浄し、ヤギ抗マウス(Jackson ImmunoResearch社、1:5000)又はロバ抗ヤギ(Santa Cruz社、1:2000)HRPコンジュゲートIgG二次抗体と共に1時間インキュベートした。TBST中で洗浄した後、タンパク質をECL Prime(GE Healthcare社)を用いて検出した。
【0156】
hESC由来肝臓子孫の移植及びその後の分析
H7 hESCに、構成的に活性なCAG−GFPベクターを安定にトランスフェクトして、GFPを用いてそれら及びその子孫を消えないように標識した。SR1を用いて、それらを上記のように初期のAfp+肝臓前駆体に分化させ(分化の6〜7日目)、又はその後、12日間のさらなる経験的な分化:2日間のBMP4(10ng/mL)、次いで、さらに10日間のデキサメタゾン(Sigma社、10μM)及びオンコスタチンM(10ng/mL、R&D Systems社)を用いてより後の肝臓子孫に分化させた。初期のhESC分化前駆体又はより後の肝臓子孫を、単一の細胞に解離させ、50,000〜100,000個の細胞を以前に記載のように(Chen, Q., Khoury, M., Limmon, G., Choolani, M., Chan, J.K., and Chen, J. (2013). Human Fetal Hepatic Progenitor Cells Are Distinct from, but Closely Related to, Hematopoietic Stem/Progenitor Cells. Stem cells (Dayton, Ohio))、新生児マウスの肝臓に移植した。簡単に述べると、新生児免疫不全NOD−SCID Il2γr
−/−マウス(遺伝的に限定されたものではなく)を、亜致死的に照射し(100rad)、肝細胞を誕生の24時間以内に肝臓に直接移植した。2〜3カ月後、血清を、ヒトアルブミンの存在についてELISAにより分析し((Chen, Q., Khoury, M., Limmon, G., Choolani, M., Chan, J.K., and Chen, J. (2013). Human Fetal Hepatic Progenitor Cells Are Distinct from, but Closely Related to, Hematopoietic Stem/Progenitor Cells. Stem cells (Dayton, Ohio))により記載のように)、マウスを屠殺した。レシピエントの肝臓を固定(ホルマリン)し、包埋(パラフィン)した後、切片化し、ウサギ抗ヒトアルブミン抗体(Abcam社、ab2406)、マウス抗GFP抗体(Santa Cruz Biotechnology社、sc−9996)、マウス抗HepPar1抗体(Abcam社、ab720)又はウサギ抗Afp抗体(Sigma社、HPA010607)で染色して、レシピエント肝臓実質中のhESC由来肝臓子孫を検出した。hESC由来初期肝臓前駆体又はより後の分化した肝細胞を移植したマウスにおけるヒトアルブミン血清濃度間の統計的有意性を、両側Whitney-Mann検定により評価した(
図23)。
【0157】
しかしながら、
図67について、抗GFP抗体染色を、ウサギ抗GFP抗体(Abcam社、ab290)を用いて行った:これは、抗ヒトアルブミン抗体はウサギのバックグラウンドでも上昇し、両マーカーに関する同時染色を同時に実施することができず、むしろ、連続切片がそれぞれ対応する抗体で染色されたためである。
【0158】
低密度リポタンパク質(LDL、low-density lipoprotein)取込みアッセイ
hESC、HepG2細胞又はhESC由来肝臓子孫を、HGF(20ng/mL)を添加して24時間、その対応する基本培地中でインキュベートした後、LDLを取り込むその能力を、LDL Uptake Cell-Based Assay Kit(Cayman Chemical社、10011125)を用いて評価した。簡単に述べると、1:100のLDL-DyLight 594を、37℃で3時間、3つ全ての細胞集団の対応する基本培地に添加した。LDL染色を示さない陰性対照を同じ方法で処理したが、LDL-DyLight 594は添加しなかった。その後、細胞を固定し、抗LDLR抗体を4℃で一晩インキュベートしたこと以外は、製造業者の説明書(Cayman Chemical社)に従ってLDLRについて染色した。細胞を蛍光顕微鏡により可視化して、蛍光LDL-Dylight 594の取込み及びまた免疫蛍光によるLDLR発現を評価した。
【0159】
Cyp3a4代謝アッセイ
発光アッセイにおいてCyp3a4酵素活性を決定するために、hESC、HepG2細胞又はhESC由来肝臓子孫を簡単に洗浄し(PBS)、次いで、37℃で30〜60分間、3μMの生物発光Cyp3a4基質ルシフェリン−IPA(Promega社)を含有するその対応する基本培地で処理した。続いて、25μLの培地を、96穴不透明なルミノメータープレートの別々のウェルに移し、ウェルあたり25μLのルシフェリン検出試薬(Promega社)を添加し、プレートを暗室中で20分間インキュベートした。ルミノメーター(Promega GloMax社、E9031)を用いて、発光を記録した。ルシフェリン−IPA基質を含む基本培地のみを含有する陰性対照ウェルも記録して、技術的バックグラウンドを決定した。
【0160】
次いで、Cyp3a4発光シグナルを、CellTiter-Gloキット(Promega社)を用いて決定された、各アッセイにおいて用いられた生細胞数に対して正規化した。簡単に述べると、hESC後、HepG2細胞又はhESC由来子孫を、ルシフェリン−IPAを含有する基本培地で処理し、25μLの培地を、96穴乳白色ルミノメータープレートの別々のウェルに移し、25μLのCellTiter-Glo Reagentを各ウェルに添加した。2分間インキュベートした後、上記のようにルミノメーターを用いて発光を測定し、Cyp3a4発光アッセイ値(上記)を、CellTiter-Gloアッセイ値で除算して、正規化されたCyp3a4活性結果を得た。正規化されたCyp3a4活性結果を、未分化のhESCから得られたものと比較して提示する。
【0161】
クロマチン免疫沈降及び配列決定(ChIP−seq)
付着細胞を洗浄し(PBS)、PBS中の1%ホルムアルデヒド中で固定し(10min)、0.2Mグリシンで中和し(5min)、擦り取ることにより収集し、洗浄し(完全プロテアーゼインヒビター(Roche社)を添加した冷PBS)し、ペレット化し、フラッシュ凍結し(液体N2)、保存した(−80℃)。免疫沈降の前に、固定された細胞ペレットを解凍し、1%SDS溶解バッファー(1X完全プロテアーゼインヒビターを含む50mM HEPES−KOH pH7.5、150mM NaCl、1mM EDTA、1%Triton X−100、0.1%Naデオキシコレート、1%SDS)中でそれぞれ30分間で2回溶解して、核を抽出し、予め冷却したNext-Gen Bioruptor(Diagenode社)を含む1%SDS溶解バッファー中で高い強度で10サイクル(30秒間のオン、60秒間のオフ)にわたって超音波処理した。超音波処理効率を評価するために、少量の超音波処理されたクロマチンを、プロテイナーゼK(1時間、50℃)で消化し、カラム精製し、電気泳動して、超音波処理が成功した(サイズ100〜300bpの断片)ことを確認した。超音波処理されたクロマチンをchIP希釈バッファー(0.01%SDS、1.1%Triton X−100、1.2mM EDTA、16.7mM Tris−HCl pH8.1、及び167mM NaCl)中で10倍に希釈して、免疫沈降のための有効な約0.1%SDS濃度を得て、遠心分離(13,200rpm、10min)して、細胞破片を除去し、プロテインG Dynabeads(Invitrogen社)を用いて一晩予備清浄した。
【0162】
同時に、それぞれ個々のchIPについて、100μLのプロテインG Dynabeadsを2回洗浄し(PBS+0.1%Triton X−100)、4℃で一晩、ChIP正規抗体(表4)と複合体化し、さらに3回洗浄して、抗体−ビーズ複合体を得た。抗体−ビーズ複合体を予備清浄したクロマチンに添加した。
【0163】
【表4】
【0164】
一晩免疫沈降させた後(4℃)、抗原−抗体−ビーズ複合体を、それぞれ、低塩洗浄バッファー(0.1%SDS、1%Triton X−100、2mM EDTA、20mM Tris pH8.0、150mM NaCl)、高塩洗浄バッファー(0.1%SDS、1%Triton X−100、2mM EDTA、20mM Tris pH8.0、500mM NaCl)、LiCl洗浄バッファー(10mM Tris pH8.0、1mM EDTA、0.25M LiCl、1%Nonidet P−40)、最後に、TEバッファー中で2回洗浄した。抗体をビーズから溶出させ、穏和な加熱(65℃)により一晩、ホルムアルデヒド架橋を逆転させ、クロマチンをRNase及びプロテイナーゼKで連続的に処理した後、最後のカラム精製を行った。免疫沈降したクロマチンの最終濃度を、PicoGreen(Invitrogen社)により定量した。
【0165】
Illumina社の配列決定ライブラリーを、TruSeq ChIP Sample Preparation Kit(Illumina社)を用いて作成した。簡単に述べると、10ngのChIP富化DNAを末端修復し、3’アデニル化し、Illuminaアダプターを用いてライゲーションし、アダプターに対するプライマーと共にPhusion High Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzymes社)を用いる15サイクルのPCR増幅により増幅した。ライブラリー構築が完了した後、オンチップ電気泳動(Agilent Bioanalyzer)により挿入物のサイズを再検証し、読取り可能な断片を、アダプターに対するプライマーを用いるqPCRにより定量した。Genome Institute of Singapore's Solexa GroupによりHi-Seq 2000(Illumina社)上で1x36+7サイクル(1回の読取り、多重化ライブラリーの36bpの挿入物、アダプターバーコード同定のための7bp)でハイスループット配列決定を行った。配列決定された読取りを、Bowtie(Langmead, B., Trapnell, C., Pop, M., and Salzberg, S.L. (2009). Ultrafast and memory-efficient alignment of short DNA sequences to the human genome. Genome Biol 10, R25)を用いてhg19ヒト参照ゲノムに対してマッピングし、3bpまでの不一致を許容し、1より多いゲノム遺伝子座に対してマッピングされる読取りを廃棄した。それぞれの整列された断片を200bpまで伸長させ、MACS(Zhang, X., Huang, C.T., Chen, J., Pankratz, M.T., Xi, J., Li, J., Yang, Y., Lavaute, T.M., Li, X.-J., Ayala, M., et al. (2010). Pax6 is a human neuroectoderm cell fate determinant. Cell Stem Cell 7, 90-100)を用いて入力正規化を行った。Broad Institute社からのIntegrative Genomics Viewerを用いて、ヒストンピーク可視化を行った(Thorvaldsdottir, H., Robinson, J.T., and Mesirov, J.P. (2012). Integrative Genomics Viewer (IGV): high-performance genomics data visualization and exploration. Brief Bioinform)。ライブラリー配列決定統計値を
図20に提供する。
【0166】
ChIP−seq分析中のエンハンサーの割当て及び分析
活性エンハンサーを、DFilter(Kumar, V., Muratani, M., Rayan, N.A., Kraus, P., Lufkin, T., Ng, H.H., and Prabhakar, S. (2013). Uniform, optimal signal processing of mapped deep-sequencing data. Nature Biotechnology 31, 615-622)を用いて整列され、入力正規化されたH3K27ac ChIP−seqデータから割り当てた。シグナル検出問題としてChIP−seqデータからピークコーリングを処理することにより、DFilterは、変動する幅のChIP−seqピークを同定するためにシグナルプロセッシング理論からの最適な解を正式に用いる。簡単に述べると、DFilterは、「真」陽性領域とノイズ領域とのChIP−seqシグナル差異を最大化するために線形検出フィルター(Hotellingオブザーバー)を用いることによって受信者操作特性面積−曲線下面積(ROC−AUC、receiver area characteristic-area under the curve)を最大化することを試みることによりChIP−seqシグナル中のピークを検出する。6kBのカーネルサイズ及びゼロ平均フィルターを用いて、6つの細胞型(hESC、APS、DE、AFG、PFG、及びMHG)のそれぞれにおいてDFilterによりH3K27acピークを個々に同定し、全てのピークが、対応する入力ライブラリービン(対照局所タグ密度)におけるよりも、少なくとも1つの100bpビンにおいて15倍以上のH3K27acタグを有することが必要であった。chr_randomコンティグ、部分重複、サテライトリピート及びリボソームRNAリピートにマッピングされるピークを除去した。その後、任意のRefSeq TSS又はUCSC Known Gene TSSの1kB以内にあるピークを切り取り、遠位ピークを得た。次いで、6つの細胞型のそれぞれに由来する重複する遠位H3K27acピークを融合させ、試験した少なくとも1つの系列において活性な全てのエンハンサーの融合体を得た。この活性エンハンサー融合の結果を、
図26中に、バイナリークラスタリングの後に表示した。
【0167】
「細胞型特異的活性エンハンサー」(例えば、DE特異的活性エンハンサー)を同定するために、エンハンサーは、所与の系列(例えば、DE)と未分化のhESCにおいてピーク領域内に4倍以上多いH3K27acタグを有する必要があった(かくして、分化の際に有意な量のH3K27acを獲得するエンハンサーを同定する)。次いで、10,543の「DE特異的活性エンハンサー」のこのコホートを、遺伝子オントロジー及びモチーフ分析のために用いた。
【0168】
内胚葉特異的活性エンハンサーと関連する遺伝子オントロジー用語を、GREATにより確認した(McLean, C.Y., Bristor, D., Hiller, M., Clarke, S.L., Schaar, B.T., Lowe, C.B., Wenger, A.M., and Bejerano, G. (2010). GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol 28, 495-501):それぞれのエンハンサーについて、100kB以内の最も近い遺伝子を用いた(TSSから1kB上流又は2kB下流のエレメントを除去する「ベーサルプラス伸長」)。
図28中に、最も有意に関連するGO用語(生物学的プロセス及びMGI発現)を記載し、任意の用語の以前の予備選択又は予備フィルタリングなしにオンラインGREATポータル(http://bejerano.stanford.edu/great/public/html/)上に示されたようにP値により順位付けた。
【0169】
内胚葉エンハンサーの平均進化的保存を、
図30に示されるようなエンハンサー中心の周囲の±3kBのウィンドウ内でCistromeのConservation Plot関数(http://cistrome.org/ap/)を用いて評価した。
【0170】
DE特異的エンハンサー中で富化された転写因子モチーフを、HOMER(Heinz, S., Benner, C., Spann, N., Bertolino, E., Lin, Y.C., Laslo, P., Cheng, J.X., Murre, C., Singh, H., and Glass, C.K. (2010). Simple combinations of lineage-determining transcription factors prime cis-regulatory elements required for macrophage and B cell identities. Mol Cell 38, 576-589)(http://biowhat.ucsd.edu/homer/chipseq/)を用いて決定し、トップ30ヒット内の代表的な転写因子モチーフを、
図32に示した。
【0171】
内胚葉TFが活性DEエンハンサーにどのように収束するかを理解するために、DE中のEomes、Smad2/3、Smad4及びFoxh1 ChIP−seqデータ(Kim, S.W., Yoon, S.-J., Chuong, E., Oyolu, C., Wills, A.E., Gupta, R., and Baker, J. (2011). Chromatin and transcriptional signatures for Nodal signaling during endoderm formation in hESCs. Developmental Biology 357, 492-504、Teo, A.K.K., Arnold, S.J., Trotter, M.W.B., Brown, S., Ang, L.T., Chng, Z., Robertson, E.J., Dunn, N.R., and Vallier, L. (2011). Pluripotency factors regulate definitive endoderm specification through eomesodermin. Genes & Development 25, 238-250)をGEOからダウンロードし(それぞれ、GSE26097及びGSE29422)、上記のように整列、入力正規化し、最後にHOMERを用いてピークをコールした。全てのDE TF ChIP−seqピークの融合体を作出し、重複するピークを融合させ、RefSeqの1kB以内にある全てのピークを除去して、全部で53,902の遠位DE TF結合部位を得た。HOMERを用いて、それぞれのDE TF結合部位の周囲のビン化されたタグ計数を抽出し、k平均クラスタリングを適用して、3つの主要なクラスの結合事象:(i)Eomes結合のみ、(ii)Smad2/3/4及びFoxh1結合、並びに(iii)Eomes、Smad2/3/4及びFoxh1による同時結合を同定し、これを
図33中のDE及びhESC中のH3K27ac ChIP−seqデータと一緒に空間ヒートマップ中で可視化した。
【0172】
SR1により誘導された内胚葉エンハンサーサインと以前の内胚葉エンハンサーサインの比較
アクチビンA、Wnt3a及び0.5%FBS処理により4日間分化させたHUES64由来DE集団のChIP−seqデータは以前に報告されており(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)、未分化のHUES64及びHUES64由来Cxcr4+DEに関するH3K27ac ChIP−seqデータをダウンロードした(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/roadmap/epigenomics/?view=matrix)。その後、HUES64 ChIP−seqデータを、SR1 ChIP−seqデータについて上記されたのと同一に処理した:H3K27ac読取りをhg19と整列させ、対応する対照ライブラリーに対して入力正規化した。HUES64由来DE中で富化された活性エンハンサーを同定するために、H3K27acピークをDFilter(Kumar, V., Muratani, M., Rayan, N.A., Kraus, P., Lufkin, T., Ng, H.H., and Prabhakar, S. (2013). Uniform, optimal signal processing of mapped deep-sequencing data. Nature Biotechnology 31, 615-622)により割り当て、DEと未分化HUES64におけるH3K2acタグ計数の倍数変化を算出した。上から10,000のDE富化エンハンサー(DEと未分化HUES64における最も高いH3K27acの倍数変化を有する)をコールして、偏りのない比較を提供し、SR1 DEデータセットからの上から10,000のDE富化エンハンサーを、未分化のHUES64に対するSR1 DE H3K27acタグ計数の倍数変化を比較することによりコールした。続いて、SR1データセット又はGifford et al.のデータセットから引き出した上から10,000のDE富化活性エンハンサーを抽出し、富化されたGO用語を、以下のパラメータ:単一の最も近い遺伝子、1,000,000bpの最大伸長及びキュレートされた(curated)調節ドメインを含ませてGREAT(McLean, C.Y., Bristor, D., Hiller, M., Clarke, S.L., Schaar, B.T., Lowe, C.B., Wenger, A.M., and Bejerano, G. (2010). GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol 28, 495-501)を用いて対照的に関連させた。この対照DEエンハンサー比較の結果を、
図31に提示する。
【0173】
hESCにおけるプレエンハンサークロマチン状態の同定
DEエンハンサーが分化の前に未分化hESC中でどのようにマークを付けられるかを確認するために、本発明者らは最初に10,543のDE特異的エンハンサーの上記一覧を予備フィルタリングして、TSSの±3kBにあるピークを完全に廃棄して、プロモーターシグナルの裏抜けを最小化した。本発明者らは、それぞれ、GEO(GSE29611)又はUCSC Genome Browserダウンロードポータル(http://hgdownload.cse.ucsc.edu/goldenPath/hg19/encodeDCC/wgEncodeBroadHistone)から、24を超えるマークについてChIP−seqデータをダウンロードした:10のヒストン改変(H3K4me1、H3K4me2、H3K4me3、H3K9me3、H3K36me3、H3K79me2、H4K20me1、H3K9ac、H3K27ac及びH2AZ)(Ernst, J., Kheradpour, P., Mikkelsen, T.S., Shoresh, N., Ward, L.D., Epstein, C.B., Zhang, X., Wang, L., Issner, R., Coyne, M., et al. (2011). Mapping and analysis of chromatin state dynamics in nine human cell types. Nature 473, 43-49)並びに14のクロマチン調節因子(Chd1、Chd7、Ezh2、Hdac2、Hdac6、Jarid1a、Jmjd2a、p300、Phf8、Plu1、Rbbp5、Sap30、Sirt6、Suz12)(Ram, O., Goren, A., Amit, I., Shoresh, N., Yosef, N., Ernst, J., Kellis, M., Gymrek, M., Issner, R., Coyne, M., et al. (2011). Combinatorial patterning of chromatin regulators uncovered by genome-wide location analysis in human cells. Cell 147, 1628-1639)。全ての可能な「プレエンハンサー」状態を体系的に同定することを目的として、実質的に最も公知のヒストン改変及びクロマチン調節因子によるhESC中のDEエンハンサーの占有を包括的に評価するために、これを行った。「プレエンハンサー」クロマチン状態の理路整然としたパターンを同定するために、本発明者らは、クラスタリングのためのChIP−seqデータを調製した:所与のエンハンサーでの複数のヒストン改変及びクロマチン調節因子ChIP−seqシグナルをクラスター化するために、最初にそれぞれのChIP−seqシグナルをエンハンサー領域にわたって200bpのビン中のタグ計数の形態に分解した。ビン化されたタグ計数シグナルを、全ライブラリー中の平均タグ計数により正規化した。正規化されたタグ計数シグナルの対数を用いて、さらなるクラスタリングのための空間ヒートマップ(
図35)を作製した。それぞれのChIP−seqライブラリーについて、エンハンサー中心の1kB以内にある最大ビン化タグ計数を、2次元(n x k)(ここで、nは分析されたDEエンハンサーの数であり、kは試験したChIP−seqライブラリーの総数である)行列の列に示した。この2D行列をk平均クラスタリング(Matlab)のために用いて、プレエンハンサークラスを学習した。プレエンハンサークラスを学習した後、1つの2D行列(n x 2w)をそれぞれのChIP−seqライブラリーについて作製し、行列の行としてそれぞれのエンハンサーの周囲のwビン中のシグナルを取った。次いで、それぞれのChIP−seqライブラリーについて、算出された2D行列(n x 2w)を、imagesc関数(Matlab)を用いてプロットした。ヒストン改変及びクロマチン調節因子の相対的普及を評価するために、hESC中のDEプレエンハンサーの「プレマーキング」、ヒストン改変及びクロマチン調節因子ENCODEピークコール(http://hgdownload.cse.ucsc.edu/goldenPath/hg19/encodeDCC/wgEncodeBroadHistone)による全てのDEプレエンハンサーの被覆率を確認した(
図36)。容易な視覚的表示のために、DEエンハンサーを約5%を超えてマークしたヒストン改変又はクロマチン調節因子のみを、
図35〜36に示した。hESCにおける中胚葉プレエンハンサークラスを同定するために、中胚葉活性エンハンサーの一覧を、CD56/NCAM1+hESC由来中胚葉集団の以前のH3K27ac ChIP−seqプロファイリングから差し引いたこと以外は、内胚葉プレエンハンサーを評価するために用いたものと同様の手順を用いた(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)。
【0174】
DE分化の際のDE TFによる異なるプレエンハンサークラスの占有を全体的に評価するために、DEにおける平均Eomes、Smad2/3、Smad4及びFoxh1 ChIP−seqシグナルを、6kBのウィンドウサイズを用いて全てのクラス1プレエンハンサー(H2AZのみ)及び全てのクラス5プレエンハンサー(大部分は潜在的)にわたってプロットした(
図37)。
【0175】
ChIP−seq、RNA−seq、及びマイクロアレイデータ寄託
内胚葉分化に関する生のChIP−seq、RNA−seq、及びマイクロアレイデータ(
図20にまとめる)を、ユーザー名「review123」及びパスワード「review」の下でhttp://collaborations.gis.a-star.edu.sg/~cmb6/kumarv1/endoderm/にオンラインで寄託した。生データは、受託時に公共オンラインリポジトリーにアップロードされる。
【0176】
実験結果
BMP及びWntシグナリングにおける動的スイッチは原始線条を誘導し、続いて胚体内胚葉発生を抑制する
これは、アクチビンが、FGF、BMP及びPI3Kインヒビター(「AFBLy」)と共に(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)又は動物血清と一緒になって(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)、hESCからDEを特定化するという知見から始まった。しかしながら、これらの方法は、5つのhESC株の分化中に明らかな、混合した系列の結果を依然としてもたらした(
図1、
図6〜7、
図39〜61)。例えば、AFBLy(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)は同時に中胚葉を生成し、骨格、血管及び心臓遺伝子を上方調節したが(P<10
−8;
図1、
図39〜42)、アクチビン及び血清処理(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)は一定割合の未分化細胞をもたらした(
図6〜8)。純粋でない初期DE集団の作出は、下流分化の後の非内胚葉系列の発生を説明することができる(Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452、Rezania, A., Bruin, J.E., Riedel, M.J., Mojibian, M., Asadi, A., Xu, J., Gauvin, R., Narayan, K., Karanu, F., O'Neil, J.J., et al. (2012). Maturation of human embryonic stem cell-derived pancreatic progenitors into functional islets capable of treating pre-existing diabetes in mice. Diabetes)。
【0177】
無血清条件におけるhPSC分化の特定の胚段階で発生シグナルを選択的に摂動させ(個別に、又は組み合わせて、3,200を超えるシグナリング条件)、qPCRにより得られた系列の結果を評価した(16,000を超えるデータ点が得られる、
図39〜63)。これらのシグナリング摂動は、DE誘導の基礎となるシグナリング論理の要素を示していた(
図1〜23)。
【0178】
インビボでは、DEは原始線条(PS、約E6.5)から生じる(Levak-Svajger, B., and Svajger, A. (1974). Investigation on the origin of the definitive endoderm in the rat embryo. J Embryol Exp Morphol 32, 445-459)。最前部PS(APS)はDEを生成するが(約E7.0〜E7.5)、後部PS(PPS)は中胚葉を形成する(Lawson, K.A., Meneses, J.J., and Pedersen, R.A. (1991). Clonal analysis of epiblast fate during germ layer formation in the mouse embryo. Development 113, 891-911、Tam, P.P., and Beddington, R.S. (1987). The formation of mesodermal tissues in the mouse embryo during gastrulation and early organogenesis. Development 99, 109-126)。
【0179】
APSとPPSは両方とも、hESC分化の1日目にBMP、FGF及びWntにより組合せで誘導された。これらのシグナルはPS誘導において個々に関与していたが(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Blauwkamp, T.A., Nigam, S., Ardehali, R., Weissman, I.L., and Nusse, R. (2012). Endogenous Wnt signalling in human embryonic stem cells generates an equilibrium of distinct lineage-specified progenitors. Nat Commun 3, 1070、Gadue, P., Huber, T.L., Paddison, P.J., and Keller, G.M. (2006). Wnt and TGF-β signaling are required for the induction of an in vitro model of primitive streak formation using embryonic stem cells. Proc Natl Acad Sci USA 103, 16806-16811)、PSパターン化におけるそれらの役割は詳細に解明されていない。BMP、FGF又はWntのいずれかが阻害された場合、APSとPPS形成は両方とも失敗し(
図2)、BMP及びWnt経路ノックアウトマウスにおけるPSの欠如を裏付けるものである(Beppu, H., Kawabata, M., Hamamoto, T., Chytil, A., Minowa, O., Noda, T., and Miyazono, K. (2000). BMP type II receptor is required for gastrulation and early development of mouse embryos. Dev Biol 221, 249-258、Liu, P., Wakamiya, M., Shea, M.J., Albrecht, U., Behringer, R.R., and Bradley, A. (1999). Requirement for Wnt3 in vertebrate axis formation. Nature Genetics 22, 361-365、Mishina, Y., Suzuki, A., Ueno, N., and Behringer, R.R. (1995). Bmpr encodes a type I bone morphogenetic protein receptor that is essential for gastrulation during mouse embryogenesis. Genes & Development 9, 3027-3037)。FGFシグナリングはAPSとPPSの両方の発生について同等に許容され、内因性FGFはいずれかの結果を駆動するのに十分なものであった(
図2i、
図47〜49)。しかしながら、PS誘導を最大化するためには外因性Wnt(Wnt3a又はGSK3阻害のいずれか[CHIR])が必要であり、WntはAPSとPPSの両方を広く促進した(
図2ii〜iii)。外因性Wntがない場合、限られたPS形成が起こり得たが、内因性Wntに依存していた(
図2ii)。BMPレベルはAPSとPPSの間を仲裁した:より低い(内因性)BMPレベルはAPSを惹起したが、より高いBMPはPPSをもたらした(
図2iv、
図48)。しかしながら、BMPは典型的には中胚葉形成と関連していたため(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155)、MIXL1−GFP
+APS誘導にとってのBMPの絶対的必要性(
図4i、P<0.025)は予想外であった。従って、FGF、Wnt及び低いBMPは、APS特定化にとって必須であった。
【0180】
APSをDEに向かってさらに分化させるために、以前の研究は両方の系列を3〜5日間にわたって誘導する同様の因子を用いた(Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)。その代わりに、APS及びDEを、分化の24時間以内に正反対のシグナルにより連続的に駆動した。BMP及びWntは1日目にhESCからAPSを初期に特定したが、24時間後に、BMP及びWntは中胚葉を誘導し、分化の2〜3日目にPSからのDE形成を相互に抑制した(
図3i〜ii)。興味深いことに、外因性BMPを除去するだけでなく、内因性BMPを中和すること(ノギン又はDM3189/LDN−193189を用いて)は、中胚葉を除去し、DEに一方的に向かうPS分化を相互に逸らすために必要であった(
図3i)。これは、2つの別々のhESC株におけるMESP1の約3000倍の下方調節並びにSOX17、HHEX、FOXA1及びFOXA2の同時的上方調節により立証された(
図41〜43)。長期的なBMP及びWntは中胚葉を誘導することが公知であったことを考慮すると(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Gadue, P., Huber, T.L., Paddison, P.J., and Keller, G.M. (2006). Wnt and TGF-β signaling are required for the induction of an in vitro model of primitive streak formation using embryonic stem cells. Proc Natl Acad Sci USA 103, 16806-16811、Gertow, K., Hirst, C.E., Yu, Q.C., Ng, E.S., Pereira, L.A., Davis, R.P., Stanley, E.G., and Elefanty, A.G. (2013). WNT3A Promotes Hematopoietic or Mesenchymal Differentiation from hESCs Depending on the Time of Exposure. Stem Cell Reports 1, 53-65)、その結果は全て、hESCからDEを誘導するための以前の持続的BMP処理に対して異議を唱えるものであり(Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384、Goldman, O., Han, S., Sourrisseau, M., Dziedzic, N., Hamou, W., Corneo, B., D’souza, S., Sato, T., Kotton, Darrell N., Bissig, K.-D., et al. (2013). KDR Identifies a Conserved Human and Murine Hepatic Progenitor and Instructs Early Liver Development. Cell Stem Cell 12, 748-760、Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)、本発明者らはDEの無効化及びその代わりに中胚葉を特定したことを示す。時宜を得たBMP阻害はまた、mESCからのDE誘導も改善したが、BMP阻害が作用する発生段階は依然として不明であった(Sherwood, R.I., Maehr, R., Mazzoni, E.O., and Melton, D.A. (2011). Wnt signaling specifies and patterns intestinal endoderm. Mech Dev 128, 387-400)。
【0181】
同様に、2〜3日目の内因性Wntの阻害(IWP2、Dkk1又はXAV939を用いて)が2つのhESC株からの中胚葉形成を遮断するように、内因性Wnt/β−カテニンシグナルはPSを中胚葉に対して指向させた(
図3ii、
図45〜46)。しかしながら、BMP又はWntのいずれかを個別に阻害することは、中胚葉を無効化するのに十分であり、これは両方の阻害が不必要であることを示していた(
図46)。かくして、続いて、PSからDEを誘導するためにBMPのみを阻害した。最後に、結果はDEを誘導するための長期のWnt処理と対照的であり(Sumi, T., Tsuneyoshi, N., Nakatsuji, N., and Suemori, H. (2008). Defining early lineage specification of human embryonic stem cells by the orchestrated balance of canonical Wnt/β-catenin, Activin/Nodal and BMP signaling. Development 135, 2969-2979)、本発明者らはその代わりにPSから中胚葉を特定し、DEを遮断したことを示す。全体として、BMP及びWntはPSから中胚葉を誘導し、内胚葉を抑制した;従って、その阻害は中胚葉を除去し、分化をDEに向かって逸らした。
【0182】
BMP及びWntは中胚葉を特定したが、PSからのDE形成はTGFβと共にFGFにより一緒に駆動された(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)。FGFが阻害された場合、中胚葉形成はBMPの非存在下であっても再度可能になった(さもなければ中胚葉形成にとって必須である)が、これはFGFが将来のDEの中胚葉への非正統的な変換を防止したことを示している。FGFはまた、mESCからのDE形成にとっても必須であり、逆説的ではあるが、外因性FGFはDE誘導にとって有害であることが以前に見出されており(Hansson, M., Olesen, D.R., Peterslund, J.M.L., Engberg, N., Kahn, M., Winzi, M., Klein, T., Maddox-Hyttel, P., and Serup, P. (2009). A late requirement for Wnt and FGF signaling during activin-induced formation of foregut endoderm from mouse embryonic stem cells. Developmental Biology 330, 286-304)、これは観察されなかった(
図3iii)。
【0183】
結論として、これらのデータは、BMP及びWntと、FGF及びTGFβがそれぞれ、PSから中胚葉と内胚葉を誘導し、別の運命を交叉抑制することによりそうしたシグナリング交叉拮抗作用を明らかにした(
図4ii〜iii)。さらに、BMP及びWntは曝露の発生時間に依存して二分された系列結果をもたらし、その効果は24時間以内に逆転するようになった(
図4、
図44)。
【0184】
連続的APS形成及び中胚葉抑制による多様なhPSC株からの高度に精製されたDEの普遍的生成
APS及びDEが反対のシグナルにより連続的に特定されたという上記の知見は、PSから中胚葉を除去するためのBMP阻害の必要性と一緒になって、DE誘導のための無血清単層手法(「SR1」)を動機付けた。最初に、高いアクチビン/TGFβを、CHIR(Wnt/β−カテニンシグナリングを模倣する)及びPI3K/mTOR阻害と組み合わせること(「ACP」と省略される)により外胚葉を排除しながら(
図49〜51)、hPSCを24時間でAPSに分化させた(
図5)。これにより、99.3±0.1%のMIXL1−GFP
+PS集団(Davis, R.P., Ng, E.S., Costa, M., Mossman, A.K., Sourris, K., Elefanty, A.G., and Stanley, E.G. (2008). Targeting a GFP reporter gene to the MIXL1 locus of human embryonic stem cells identifies human primitive streak-like cells and enables isolation of primitive hematopoietic precursors. Blood 111, 1876-1884)が得られ、全PS TF BRACHYURYがAPS特異的TF EOMES、FOXA2及びLHX1と同時発現された(
図5、
図54)。24時間後、CHIRを取り出した後、APSを、中胚葉を排除するためのBMP遮断剤(DM3189)と併用した高アクチビンによりDEに分化させた。内因性FGFが十分であった場合、外因性FGFは余分であった(
図3iii、
図47)。
【0185】
連続的なAPS形成、次いで、DE誘導により、分化の3日以内に7つの多様なhESC(H1、H7、H9、HES2及びHES3)並びにhiPSC(BJC1及びBJC3)株から93.9±3.1%のCXCR4
+PDGFRα
−DE集団が普遍的に得られ(
図6〜9、
図55)、株間の誘導変動性を克服した。SR1は広いFOXA2及びSOX17同時発現を惹起し(
図7、
図60)、hPSCマーカーであるCD90を下方調節した(
図56)。hESC(94.0±3.1%)及びhiPSC(93.9±3.9%)は、DE誘導効率において有意に異ならなかった(P>0.97、
図61)。SOX17−mCHERRYノックインhESCリポーター株をさらに活用して(LA, ESN, AGE, EGS,未公開)、分化効率を定量し、SR1が90%を超えるSOX17−mCHERRY
+DE集団を誘導したことがわかった(
図8)。
【0186】
SR1によるDE誘導を、5つの多様なhESC株にわたって2つの広まっているプロトコール、AFBLy(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)又はアクチビン及び血清処理(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)に対して直接比較し、得られる系列結果を追跡した(
図58a〜f)。SR1分化により、最小中胚葉、胚外内胚葉又は神経外胚葉を含む全部で5つのhESC株からDEが一方的に得られた(SOX17、FOXA1、FOXA2、CER1、FZD8)(
図6、
図58a〜f)。対照的に、他のDEプロトコールは混合した系列結果をもたらした:AFBLyは中胚葉TF(FOXF1、HAND1、MSX1、ISL1)を上方調節したが、多能性TF発現(OCT4、SOX2、NANOG)は5つ全部の株にわたって血清誘導後に持続した(
図6、
図58a〜f)。従って、AFBLy及び血清は両方とも、より低いSOX17
+FOXA2
+DE収率をもたらし(
図7、
図60)、内胚葉TFを中程度に上方調節したに過ぎなかった(
図6、
図58a〜f)。FACS定量により、SR1がAFBLy又は血清処理のいずれかよりも純粋なDEをもたらすことが確認された(P<2.2x10
−12;
図7、
図58a〜f)。クローンレベルで、単一細胞qPCRは、内胚葉TFが大部分のSR1誘導細胞中で強固に上方調節されることを示した:20/20の細胞がFOXA2
+であり(
図10)、それぞれの細胞について、遺伝子発現値をYuhaziに対して正規化した(それ自身を0と設定した)。その後、+6.5よりも低いものを全てFOXA2+陽性と見なした。対照的に、AFBLy(1/20の細胞)又は血清処理(2/20の細胞)集団中のいくつかの細胞がFOXA2を高度に発現した(
図10)。かくして、3つ全ての分化プロトコールが高アクチビンを用いたとしても、明らかにアクチビンだけでは純粋なDEを生成するには不十分であった。
【0187】
最後に、神経分化能は、SR1誘導の24時間以内に放棄されたが(
図11)、これは相互排他的な系列潜在能力がAPS/DE運命付けの際に失われたことを示す。
【0188】
BMP、FGF、RA、TGFβ及びWntシグナリングによるhESC由来DEのAFG、PFG及びMHGドメインへの相互排他的な前後パターン化
インビボでのその初期の特定化の後、DEは前後軸に沿って、内胚葉器官に対する領域的先祖である異なるドメインにパターン化される(Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251)。前腸前部(AFG)は、肺及び甲状腺を生じさせ、前腸後部(PFG)は膵臓及び肝臓を生じさせ、中腸/後腸(MHG)は小腸及び大腸を生じさせる(
図12〜13)。従って、3日目までにhPSCからほぼ均質なDEを誘導したら、本発明者らは次に、インビボ(Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251)及びインビトロ(例えば、(Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、Sherwood, R.I., Maehr, R., Mazzoni, E.O., and Melton, D.A. (2011). Wnt signaling specifies and patterns intestinal endoderm. Mech Dev 128, 387-400、Spence, J.R., Mayhew, C.N., Rankin, S.A., Kuhar, M.F., Vallance, J.E., Tolle, K., Hoskins, E.E., Kalinichenko, V.V., Wells, S.I., Zorn, A.M., et al. (2011). Directed differentiation of human pluripotent stem cells into intestinal tissue in vitro. Nature 470, 105-109))でのDEパターン化を制御するシグナルの増大する知識に基づいて、その後の4日間の分化によってそれを異なるAFG、PFG又はMHG集団に前後パターン化させることを試みた(
図12)。
【0189】
脊椎動物の胚においては、尾芽中胚葉はBMP4、FGF4/8及びWNT3Aを発現し、後部内胚葉と並列しているが、これはこれらのシグナルがMHGの近くで後部パターン化し得ることを示唆する。インビトロでは、BMPはDEを顕著に後方化し(
図14i)、MHG TF(例えば、CDX2、EVX1及び5’HOX遺伝子)を誘導し、ゼブラフィッシュデータを反映している(Tiso, N., Filippi, A., Pauls, S., Bortolussi, M., and Argenton, F. (2002). BMP signalling regulates anteroposterior endoderm patterning in zebrafish. Mech Dev 118, 29-37)。Wnt(CHIRにより模倣される)は同様に後方化しており(
図14ii)、FGFはPFGをMHGに部分的に後方化することができたが(
図62)、これは以前の研究(Sherwood, R.I., Maehr, R., Mazzoni, E.O., and Melton, D.A. (2011). Wnt signaling specifies and patterns intestinal endoderm. Mech Dev 128, 387-400、Spence, J.R., Mayhew, C.N., Rankin, S.A., Kuhar, M.F., Vallance, J.E., Tolle, K., Hoskins, E.E., Kalinichenko, V.V., Wells, S.I., Zorn, A.M., et al. (2011). Directed differentiation of human pluripotent stem cells into intestinal tissue in vitro. Nature 470, 105-109)を確認するものである。相互に、BMP、FGF及びWntは全て、前部内胚葉TFのSOX2を抑制した(
図14、
図62)。従って、BMP、CHIR及びFGFの組合せを用いて、無血清条件で前腸(
図16)を抑制しながら、3日目のDEを、99%を超えるCDX2
+MHG(
図15)にパターン化させた。
【0190】
逆に、後方化するBMPシグナルの阻害は、前部内胚葉(前腸)を広くもたらした。BMP阻害とTGFβ阻害とを組み合わせると(Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol)、インビボでOTX2
+最前部咽頭内胚葉を刺激する、分化の7日目までに98%を超えるOTX2
+AFG(
図15)が得られた(表1)。別に、BMP阻害はRAシグナリングと共に、PFGを生成し(
図16〜17)、これはRAがインビボでPFGをどのように認識するかと一致する(Stafford, D., and Prince, V.E. (2002). Retinoic acid signaling is required for a critical early step in zebrafish pancreatic development. Curr Biol 12, 1215-1220)。AFGとPFGは機能的に異なっていたが、PFGのみが肝臓及び膵臓の潜在能力を担持し(
図18)、これはPFGのみが肝臓及び膵臓をその後形成する能力を獲得したことを示す。
【0191】
上記シグナリング論理を発動すれば、マイクロアレイ及びqPCR分析により立証されたように、DEに由来する別々のAFG、PFG及びMHG集団が相互排他的な様式で生成された。前後遺伝子発現は明らかに発生的に境界があった(
図16〜17、2つのhESC株で再現された)。段階的な、空間的に同一線上のHOX遺伝子発現(Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251)が、インビトロパターン化の後に観察され、それによりPFGは3’前部HOX遺伝子(例えば、HOXA1)を発現し、対照的に、MHGは5’後部HOX遺伝子及びCDX遺伝子を排他的に発現した(
図16〜17)。
【0192】
TGFβは、膵臓及び肝臓運命の相互排他的な分岐を特定するBMP/MAPKシグナリングと競合する
インビボでは、肝臓及び膵臓は、二分系列決定に向かう共通のPFG前駆体から発生する(Chung, W.-S., Shin, C.H., and Stainier, D.Y.R. (2008). Bmp2 signaling regulates the hepatic versus pancreatic fate decision. Developmental cell 15, 738-748、Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881)。膵臓及び肝臓誘導シグナルはインビボ及びインビトロで同定されているが、肝臓及び膵臓がPSC分化の間にどのように分離されるかはあまり明らかではない。BMP及びFGFは典型的には、肝臓を誘導するために用いられるが、ヘッジホッグ阻害及びFGFは膵臓を生成するために適用される(例えば、(Cho, C.H.-H., Hannan, N.R.-F., Docherty, F.M., Docherty, H.M., Joao Lima, M., Trotter, M.W.B., Docherty, K., and Vallier, L. (2012). Inhibition of activin/nodal signalling is necessary for pancreatic differentiation of human pluripotent stem cells. Diabetologia、Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452))。500を超える条件を包含するシグナリング摂動分析(
図19、
図63)により、膵臓と肝臓の相互排他的特定化のためのシグナリングスイッチが明確になった(
図19)。
【0193】
TGFβシグナリングは膵臓形成(PDX1により追跡される)を促進することがわかったが、BMP及びFGF/MAPKシグナリングは肝臓を特定化した(AFP)(
図19)。重要なことに、これらのシグナルのそれぞれが別の系列の形成を相互に抑制することが明確になった(
図19)が、これはPFG系列決定がどれぐらい双安定であるかを強調するものである(Chung, W.-S., Shin, C.H., and Stainier, D.Y.R. (2008). Bmp2 signaling regulates the hepatic versus pancreatic fate decision. Developmental cell 15, 738-748)。そのような交叉抑制のため、前膵臓TGFβの除去は肝臓を相互に拡張したが(
図19i〜ii)、前肝臓FGF/MAPKの阻害(Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881)は分化を膵臓に向かって逸らした(
図19iv)。本明細書に提示される結果は、以前の研究と異なり、肝臓又は膵臓誘導における以前の不十分性を説明することができる。膵臓誘導のためのFGFの以前の使用(Cho, C.H.-H., Hannan, N.R.-F., Docherty, F.M., Docherty, H.M., Joao Lima, M., Trotter, M.W.B., Docherty, K., and Vallier, L. (2012). Inhibition of activin/nodal signalling is necessary for pancreatic differentiation of human pluripotent stem cells. Diabetologia、Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452、Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871)は事実、胚研究により示唆されたように(Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881)、膵臓を遮断し、その代わりに肝臓を特定化することができる(
図19iv)。他方、肝臓誘導のためのTGFβの提供(Rashid, S.T., Corbineau, S., Hannan, N., Marciniak, S.J., Miranda, E., Alexander, G., Huang-Doran, I., Griffin, J., Ahrlund-Richter, L., Skepper, J., et al. (2010). Modeling inherited metabolic disorders of the liver using human induced pluripotent stem cells. J Clin Invest 120, 3127-3136)は、肝臓を無効化し、その代わりに膵臓を駆動してもよい(
図19i〜ii)。
【0194】
機構的には、それぞれ膵臓と肝臓を特定化する際のTGFβとBMPにおける二分(
図20)は、以前には解明されておらず、これらのシグナリング経路が互いの伝達をしばしば交叉抑制する方法によく似ている(Candia, A.F., Watabe, T., Hawley, S.H., Onichtchouk, D., Zhang, Y., Derynck, R., Niehrs, C., and Cho, K.W. (1997). Cellular interpretation of multiple TGF-β signals: intracellular antagonism between activin/BVg1 and BMP-2/4 signaling mediated by Smads. Development 124, 4467-4480)。これらのモルフォゲン間で組合せ相互作用がさらに同定された。例えば、TGFβが同時に阻害された場合、FGFMAPK阻害は無効であったため、TGFβシグナリングとFGF/MAPK阻害とが膵臓形成にとって必須であった(
図63i)。逆に、FGF/MAPKが同時に阻害された場合、TGFβ阻害は肝臓を効率的に作出することができなかったため、肝臓誘導はTGFβ阻害とFGF/MAPKシグナリングを協働的に必要とした(
図19iv、
図63i)。
【0195】
hESC由来肝臓子孫は条件付けられていないマウス肝臓中で長期間生着する
膵臓を明確に阻害しながら肝臓に向かってDEを分化させるために、本発明者らは、DEをPFGに向かって1日間誘導し(
図20i、
図63iv)、次いで、BMP及び他の因子と共にTGFβ阻害を用いて、膵臓夾雑を最少にしながらその後3日間にわたって肝臓に向かってPFGを指向させた(
図64)。本発明者らは、分化の7日以内に4つのhESC株から72.3±6.3%のAFP
+初期肝臓前駆体(
図64)を生成し、これは以前の方法の2倍迅速であった(Rashid, S.T., Corbineau, S., Hannan, N., Marciniak, S.J., Miranda, E., Alexander, G., Huang-Doran, I., Griffin, J., Ahrlund-Richter, L., Skepper, J., et al. (2010). Modeling inherited metabolic disorders of the liver using human induced pluripotent stem cells. J Clin Invest 120, 3127-3136):さらに肝臓マーカーは以前のプロトコールと比較して約60〜210倍高く誘導された(
図65)。
【0196】
初期AFP
+肝臓前駆体の肝臓潜在能力を検証するために、それらをオンコスタチンM及びデキサメタゾン(Kamiya, A., Kinoshita, T., Ito, Y., Matsui, T., Morikawa, Y., Senba, E., Nakashima, K., Taga, T., Yoshida, K., Kishimoto, T., et al. (1999). Fetal liver development requires a paracrine action of oncostatin M through the gp130 signal transducer. EMBO J 18, 2127-2136)を用いてインビトロで混合アルブミン(hALB)
+肝芽細胞集団に経験的に成熟させたところ(
図66)、ある程度のCYP3A4代謝活性を示し(
図22i)、LDLRを発現し、コレステロールを取り込むことができた(
図22ii)。新生児マウス肝臓に移植した場合、初期AFP
+肝臓前駆体は生着することができなかったが(
図67)、その分化したhALB
+子孫を移植した場合、移植の2〜3カ月後にレシピエントの47%の血中でヒトアルブミンが検出され(両側Mann-Whitney検定により決定された場合、平均7.2ng/mL)、長期的生着を示した(
図23)。実際、hALB
+hESC由来肝細胞の巣(移植前に構成的に発現されるGFPでマークされる)が成体肝臓の全ての小葉に存在していた(
図23、
図67)。これは、hALB
+肝細胞が肝臓を通して統合及び/又は移動し、それらが移植部位で単に局部的に持続していたのではないことを示唆していた。最後にhALB
+細胞はヒト肝臓マーカーHepPar1を同時発現していたが(
図68)、胎児マーカーAFPを検出可能に発現せず(
図69)、これはそれらが胎児段階を通過して進行したことを示唆している。これは、hESC由来肝細胞がマウス肝臓中に長期間生着することができ、広範な薬理学的又は遺伝的損傷により損なわれなかったことを初めて証明するものである((Yusa, K., Rashid, S.T., Strick-Marchand, H., Varela, I., Liu, P.-Q., Paschon, D.E., Miranda, E., Ordonez, A., Hannan, N.R.F., Rouhani, F.J., et al. (2011). Targeted gene correction of α1-antitrypsin deficiency in induced pluripotent stem cells. Nature 478, 391-394)を参照されたい)。
【0197】
内胚葉誘導及び前後パターン化の包括的転写状態及びクロマチン状態のマッピング
hESC由来内胚葉系列のむしろ同種の集団を取得する能力を利用して、4つのヒストンH3改変(K4me3、K27me3、K27ac及びK4me2;
図24〜38、
図66〜80)に関するRNA−seq及びChIP−seqを用いて6つの純粋な前駆体集団(hESC、APS、DE、AFG、PFG及びMHG)の階層をプロファイリングすることにより、転写及びクロマチン動力学を内胚葉発生中に捕捉した。これにより、4つの胚段階(胚盤葉上層、PS、DE及び前後パターン化)に広がる30の転写及びクロマチン状態マップが得られ、合計13億を超える整列された読取りであった(
図70)。
【0198】
この分析は、急性発生移行を捕捉した。RNA−seqは、インビトロでの多能性からAPSへの同期的移行中の24時間以内に劇的な転写的変化を示し(
図24)、どれぐらいの胚盤葉上層(約E5.5)及びPS(約E6.5)がマウスにおいて1日以内に生じるかを反映している。BRACHYURY及びNODALプロモーターは、hESC中で活性化関連K4me3及び抑制関連K27me3により二価的にマークされたが、APS誘導の24時間以内に、それらは一方的に分解され、抑制的K27me3を失い、APSにおける迅速なBRACHYURY及びNODAL上方調節と共に活性マークK27ac及びK4me3を獲得した(
図25)。
【0199】
内胚葉エンハンサー活性化はEOMES、SMAD2/3/4及びFOXH1同時占有と関連する
遠位K27ac富化により同定される異なる一連の活性エンハンサー(Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)はそれぞれの細胞運命移行中に発動された(
図26)。APSエンハンサー(例えば、BRACHYURY及びNODAL)は24時間以内に迅速に開始された(
図25)。DEパターン化中に、異なるコホートのエンハンサーがAFG(SIX1及びTBX1;
図79)、PFG(HOXA1;
図80)及びMHG(CDX2及びPAX9;
図27、
図72)中のそれぞれの前後ドメイン中で任命された。
【0200】
10,543のDEエンハンサーがDE特定化の際に活性化され、hESC中で大部分不活性であるにも拘らずK27acを獲得した。活性DEエンハンサーは、典型的なDE調節因子、例えば、SOX17(
図34)及びCXCR4(
図71)に隣接していた。遺伝子オントロジー(GO)分析(McLean, C.Y., Bristor, D., Hiller, M., Clarke, S.L., Schaar, B.T., Lowe, C.B., Wenger, A.M., and Bejerano, G. (2010). GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol 28, 495-501)はこれらのエンハンサーを内胚葉発生(P<3.84x10
−26)及び原腸形成(P<7.92x10
−26;
図28)と最も有意に関連付けたが、これは分化したDE集団の純度を支持する。活性DEエンハンサーに隣接する遺伝子は、インビボで原腸段階の内胚葉中で(P<1.38x10
−39、
図28)及びインビトロでDE分化の際に(
図29)上方調節された。真正染色質マークK4me2と一致した活性DEエンハンサー(
図73)は、抑制関連K27me3がなく(
図73)、進化的に保存され(
図75)、他の系列では広く不活性であった(
図74)。
【0201】
以前の研究のほとんどがプロモーターマークのみを評価したため(Kim, S.W., Yoon, S.-J., Chuong, E., Oyolu, C., Wills, A.E., Gupta, R., and Baker, J. (2011). Chromatin and transcriptional signatures for Nodal signaling during endoderm formation in hESCs. Developmental Biology 357, 492-504、Xie, R., Everett, L.J., Lim, H.-W., Patel, N.A., Schug, J., Kroon, E., Kelly, O.G., Wang, A., D'amour, K.A., Robins, A.J., et al. (2013). Dynamic chromatin remodeling mediated by polycomb proteins orchestrates pancreatic differentiation of human embryonic stem cells. Cell Stem Cell 12, 224-237、Xie, W., Schultz, M.D., Lister, R., Hou, Z., Rajagopal, N., Ray, P., Whitaker, J.W., Tian, S., Hawkins, R.D., Leung, D., et al. (2013). Epigenomic analysis of multilineage differentiation of human embryonic stem cells. Cell 153, 1134-1148)、DEエンハンサーは以前には依然として理解しにくかった。しかしながら、hESC由来DEのエンハンサープロファイリングが最近報告され(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)、従って、本発明者らの2つのDEデータベースを、同一の分析方法を用いて比較した。逆説的ではあるが、神経TF BRN2及びPAX3のためのエンハンサーは活性化されたが、SOX17エンハンサーは実質的に沈黙化されたため(
図75)、前者のデータセット(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)からのDEエンハンサーは、神経機能について高度に富化されていた(P<3.93x10
−28;
図31)。DEエンハンサーの神経遺伝子との結合は、内胚葉及び外胚葉発生が関連するという以前の結論(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)を導いたが、これは胚葉分離のインビボでの順序と対照的である((Tzouanacou, E., Wegener, A., Wymeersch, F.J., Wilson, V., and Nicolas, J.-F. (2009). Redefining the progression of lineage segregations during mammalian embryogenesis by clonal analysis. Developmental Cell 17, 365-376)を参照されたい)。対照的に、神経期間はSR1由来DE中に大部分存在せず(
図28)、最終的にはわずか4.8%のDEエンハンサーが、本発明者らのデータセットと彼らのデータセットとの間で共有された。かくして、混合DE集団の分子プロファイリング(外胚葉について潜在的に富化される;(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28))は、内胚葉発生の正確な分子的説明を不可能にしてきた。
【0202】
DEエンハンサーが分化の間にどのように開始されるかは依然として不明確である。DE特定因子EOMES及びFOXA2並びにTGFβシグナリングエフェクターSMAD2/3及びFOXH1(P=10
−59〜10
−197)などの複数のTFのためのモチーフはDEエンハンサー中で富化されていたが(
図32)、これはこれらのTFがインビボでDEをどのように特定するかと一致していた(例えば、(Dunn, N.R., Vincent, S.D., Oxburgh, L., Robertson, E.J., and Bikoff, E.K. (2004). Combinatorial activities of Smad2 and Smad3 regulate mesoderm formation and patterning in the mouse embryo. Development 131, 1717-1728、Teo, A.K.K., Arnold, S.J., Trotter, M.W.B., Brown, S., Ang, L.T., Chng, Z., Robertson, E.J., Dunn, N.R., and Vallier, L. (2011). Pluripotency factors regulate definitive endoderm specification through eomesodermin. Genes & Development 25, 238-250))。興味深いことに、本発明者らは、EOMES、SMAD2/3、SMAD4及びFOXH1(Kim, S.W., Yoon, S.-J., Chuong, E., Oyolu, C., Wills, A.E., Gupta, R., and Baker, J. (2011). Chromatin and transcriptional signatures for Nodal signaling during endoderm formation in hESCs. Developmental Biology 357, 492-504、Teo, A.K.K., Arnold, S.J., Trotter, M.W.B., Brown, S., Ang, L.T., Chng, Z., Robertson, E.J., Dunn, N.R., and Vallier, L. (2011). Pluripotency factors regulate definitive endoderm specification through eomesodermin. Genes & Development 25, 238-250)がSOX17エンハンサー(
図34)を含む、広範囲の一連のDEエンハンサー(
図33)を同時占有することを見出した。EOMESはいくつかのエレメントに個々に関与したが、EOMESと、TGFβシグナリングエフェクターSMAD2/3/4及びFOXH1との共局在化は、最大のエンハンサーであるアセチル化と相関していた(
図33、Fisherの直接確率検定により算出された場合、P<10
−300、4TF対1〜3TFクラス)。かくして、系列特定化及びシグナリングエフェクターTFの両方の収束は、分化の際に本格的なエンハンサー活性化を推進することができる(Calo, E., and Wysocka, J. (2013). Modification of enhancer chromatin: what, how, and why? Molecular Cell 49, 825-837)。
【0203】
内胚葉エンハンサーは活性化の前に運命付けられていない細胞中で多様な「プレエンハンサー」状態にある
DEエンハンサーがhESC分化の際にどれぐらい迅速に関与するかは依然として不明確である。SMAD2/3/4及びFOXH1は分化の際にDEエンハンサーを占有するが、運命付けられていない状態では稀にしかそうしない(
図73)。おそらく、その代わりにこれらのエンハンサーはクロマチンのレベルで活性化のためにプライミングされる。ESC中の真正染色質K4me1による発生エンハンサーのプレマーキングは、その後のエンハンサー活性化のための「機会のウィンドウ」を示す(Calo, E., and Wysocka, J. (2013). Modification of enhancer chromatin: what, how, and why? Molecular Cell 49, 825-837、Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)。発生の進行を再検討し、エンハンサー活性化の前にhESC中での24を超えるヒストン改変及びクロマチン調節因子(Ernst, J., Kheradpour, P., Mikkelsen, T.S., Shoresh, N., Ward, L.D., Epstein, C.B., Zhang, X., Wang, L., Issner, R., Coyne, M., et al. (2011). Mapping and analysis of chromatin state dynamics in nine human cell types. Nature 473, 43-49)によるDEエンハンサーの占有を評価した(
図35)。予想外に、K4me1はhESC中の将来のDEエンハンサーの1/3未満しか標識しなかったが、これはhESC中でのK4me1による「平衡化(poising)」は、即時のエンハンサー活性化にとって常に必須であるというわけではないことを暗示している(
図35〜36)。かくして、本発明者らは、hESC中のDEエンハンサーの全ての可能な「プレエンハンサー」クロマチン状態を体系的に発見することを求めた。
【0204】
監視されていないクラスタリングにより、25%のDEエンハンサーが、ヒストンバリアントH2AZ及び他の公知でないクロマチンマークにより大部分定義されたhESC中で新しいプレエンハンサー状態(クラスター1)で存在していることが示された(
図35、
図76)。K4me1の実質的な非存在にも拘らず、H2AZマークされたプレエンハンサーは、DE誘導の3日以内に迅速に活性化されるようになった(
図35)。DEエンハンサーは、異質染色質マークK9me3により指定される抑制された状態(クラスター2)(Zhu, Y., van Essen, D., and Saccani, S. (2012). Cell-type-specific control of enhancer activity by H3K9 trimethylation. Molecular Cell 46, 408-423)又は公知のヒストン改変を大部分欠く「潜在的な」プレエンハンサー状態(クラスター5、
図35)(Ostuni, R., Piccolo, V., Barozzi, I., Polletti, S., Termanini, A., Bonifacio, S., Curina, A., Prosperini, E., Ghisletti, S., and Natoli, G. (2013). Latent enhancers activated by stimulation in differentiated cells. Cell 152, 157-171)で存在することはあまりなかった。わずか10%のDEエンハンサーがhESC中でK27me3によりマークされたが(
図36)、これはポリコーム(Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)がhESC中の発生エンハンサーを抑制するのに常に必要であるわけではないことを示唆している:おそらく、K27ac/ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)の非存在は、不活性を与えるのに十分であった。ほんのわずかのDEエンハンサー(10%)がHAT p300に予備充填されたが(Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)(
図36)、これは分化中の迅速なエンハンサーアセチル化がデノボでのHAT動員を大部分含んでもよいことを示唆している。
【0205】
他の検出可能な識別因子を用いずにH2AZにより単に説明された「プレエンハンサー」状態は、以前には記載されていなかった。H2AZは活性エンハンサーと関連することが多いが(Hu, G., Cui, K., Northrup, D., Liu, C., Wang, C., Tang, Q., Ge, K., Levens, D., Crane-Robinson, C., and Zhao, K. (2013). H2A.Z facilitates access of active and repressive complexes to chromatin in embryonic stem cell self-renewal and differentiation. Cell Stem Cell 12, 180-192)、それはまた不活性エンハンサーを修飾することが見出された(
図35)。H2AZを積んだヌクレオソームは不安定であり、TFにより容易に置換される(Hu, G., Cui, K., Northrup, D., Liu, C., Wang, C., Tang, Q., Ge, K., Levens, D., Crane-Robinson, C., and Zhao, K. (2013). H2A.Z facilitates access of active and repressive complexes to chromatin in embryonic stem cell self-renewal and differentiation. Cell Stem Cell 12, 180-192、Jin, C., Zang, C., Wei, G., Cui, K., Peng, W., Zhao, K., and Felsenfeld, G. (2009). H3.3/H2A.Z double variant-containing nucleosomes mark 'nucleosome-free regions' of active promoters and other regulatory regions. Nat Genet 41, 941-945)。これにより、内胚葉TFは分化の際にDEエンハンサーに迅速に浸潤し、迅速なエンハンサー活性化を説明することができる。実際、hESC中のH2AZによりマークされたDEプレエンハンサーは、潜在的なプレエンハンサーと比較して、分化の際にEOMES、SMAD2/3/4及びFOXH1をより容易に誘引した(
図37、P=10
−13〜10
−15)。これは、mESC中のH2AZによりマークされたプロモーターが、どれぐらい分化の際にFOXA2結合により感受性であるかと同等である(Li, Z., Gadue, P., Chen, K., Jiao, Y., Tuteja, G., Schug, J., Li, W., and Kaestner, K.H. (2012). Foxa2 and H2A.Z Mediate Nucleosome Depletion during Embryonic Stem Cell Differentiation. Cell 151, 1608-1616)。
【0206】
まとめると、初期のK4me1「平衡化」は、その後のエンハンサー活性化の唯一の予測因子ではない。データは、クロマチンマークの異なる組合せにより特徴付けられるプレエンハンサー状態の多様性が存在することを示す(
図38)。
【0207】
考察
PSC分化は、典型的には、PSC株間で変化する一定範囲の発生結果をもたらす。ここで、単一系列の正確な誘導を、別の運命が発生分岐点で排除される方法を理解することにより、及び動的シグナリング移行の正確な時間的動力学を精査することにより達成することができる。本発明者らは、PSCからのヒト内胚葉の誘導及び前後パターン化に関する、並びに膵臓と肝臓のその後の分岐に関するシグナリング論理を説明し、それぞれのステップにおける別の系列の分離を明確にした。そのような知識により、多様なhESC/hiPSC株からの精製された内胚葉の普遍的生成が可能になった。このレベルの内胚葉純度により、内胚葉発生の正確なクロマチン状態の分析及び長期間生着するhESC由来肝臓細胞の産生が可能になった。
【0208】
相互排他的な内胚葉運命の発生的分離
PSCから内胚葉と中胚葉の両方を惹起するために、BMP、FGF、TGFβ及びWntシグナルが用いられ(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384、Gertow, K., Hirst, C.E., Yu, Q.C., Ng, E.S., Pereira, L.A., Davis, R.P., Stanley, E.G., and Elefanty, A.G. (2013). WNT3A Promotes Hematopoietic or Mesenchymal Differentiation from hESCs Depending on the Time of Exposure. Stem Cell Reports 1, 53-65、Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)、従って、これらのシグナルにより駆動される正確な系列結果は依然として不明瞭であった。これらの矛盾する知見は、ここで調整されるが、これは、これらの因子が実際にその時間的動力学に基づいて内胚葉又は中胚葉のいずれかを特定することを示している。4つの連続する段階の内胚葉発生を通して、所与の系列を指示するか、又は抑制するシグナルは正確に定義され、内胚葉系列の分岐がどのように駆動されるかのより明確な見解を提供する。事実、この正確な理解は、以前のプロトコールがDE形成を抑制する不正確なシグナルを提供し、それによって、非効率的な分化をもたらすことを示唆した。
【0209】
本開示は、内胚葉発生のいくつかの連続する段階に広がる統合されたシグナリング「ロードマップ」を解決しようと試み、本発明者らはインビボで胚葉分離の階層後の全ての段階で別の運命を合理的に排除することができた(Tzouanacou, E., Wegener, A., Wymeersch, F.J., Wilson, V., and Nicolas, J.-F. (2009). Redefining the progression of lineage segregations during mammalian embryogenesis by clonal analysis. Developmental Cell 17, 365-376)。かくして、DE特定化の基礎となるシグナリング論理の解明により、典型的には現在の分化戦略から生じる外因性系列なしに、無血清条件で多様なhESC及びhiPSC株からの高度に純粋なDE集団の体系的生成が可能になった。例えば、DEは、中胚葉又は外胚葉の実質的な非存在下で生成した。BMP、FGF、TGFβ及びWntシグナリングの組合せ($10、Blauwkamp, T.A., Nigam, S., Ardehali, R., Weissman, I.L., and Nusse, R. (2012). Endogenous Wnt signalling in human embryonic stem cells generates an equilibrium of distinct lineage-specified progenitors. Nat Commun 3, 1070、$44)が、APS(99%を超えるMIXL1
+)を特定し、外胚葉(Murry, C.E., and Keller, G. (2008). Differentiation of embryonic stem cells to clinically relevant populations: lessons from embryonic development. Cell 132, 661-680)を抑制するのに必要であり、APS誘導の24時間以内に外胚葉分化能を無効化することがわかった。外胚葉の排除後、中胚葉はBMP阻害により連続的に除去され、TGFβ及びFGFシグナリング(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)と組み合わせた場合、PSをDEに向かって排他的に駆動した。重要なことに、純粋なDE集団を達成するためには、PS内の内因性BMP及びWntシグナリングを抑制することが必須であった。1つのシグナルの受容が他のシグナルへの応答を変化させたことを示す、シグナルの組合せの解釈における微妙な差異も明確化された。例えば、BMP阻害は典型的には中胚葉を絶滅させたが、DEを誘導するFGFが並行して遮断された場合、中胚葉形成は再び可能となった。かくして、FGFはDEの運命付けを確立するために必須であった。
【0210】
PFG形成の後、TGFβとBMPシグナリングは、膵臓と肝臓を特定化するように争った。ある運命を特定化する誘導シグナルは別の運命を相互に交叉抑制し、胚形成の間の双安定の系列割当ての想起(Graf, T., and Enver, T. (2009). Forcing cells to change lineages. Nature 462, 587-594)を例示した。従って、効率的な肝臓誘導には、肝臓を積極的に駆動するBMP及びFGF/MAPKと共に膵臓運命を除去するTGFβ阻害及びその逆が必要であった。まとめると、抑制シグナルの阻害は、それぞれの分岐点で効率的なhPSC分化を誘導するための誘導シグナルの提供と同等に重要である。
【0211】
それぞれの岐路での別の運命の除去は、以前のプロトコールにより典型的に誘導される外因性系列なしに、7つの多様なhESC/hiPSC株を高度に純粋なDE集団に普遍的に分化させるための単一の有効な戦略を定義した。これは、異なるhPSC株が異なる分化の偏りを有し、それぞれが効率的な運命付けを駆動するためのカスタマイズされたシグナルを必要としてもよいという意見に反する。細胞補充療法のための必要条件は既定の無血清条件下でのhPSCからの均質なヒト系列の生成であるため、本明細書に記載の観察は時宜を得ている(Cohen, D.E., and Melton, D. (2011). Turning straw into gold: directing cell fate for regenerative medicine. Nature Reviews Genetics、McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308)。hPSCから「自己複製する」DE(Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384)又は肝芽(Takebe, T., Sekine, K., Enomura, M., Koike, H., Kimura, M., Ogaeri, T., Zhang, R.-R., Ueno, Y., Zheng, Y.-W., Koike, N., et al. (2013). Vascularized and functional human liver from an iPSC-derived organ bud transplant. Nature 499, 481-484)を生成するための最近の戦略は魅力的である;しかしながら、それらは異種フィーダーとの同時培養を必要とし、かくして、異なる型の適用を適合させる必要がある。
【0212】
必須の内胚葉シグナリング入力は高度に時間的に動的である
インビボ及びインビトロでの動的内胚葉シグナリング移行の重要性にも拘らず(Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、Wandzioch, E., and Zaret, K.S. (2009). Dynamic signaling network for the specification of embryonic pancreas and liver progenitors. Science 324, 1707-1710)、そのようなシグナルの正確な配列及び動力学は依然として完全には解明されていない。例えば、BMP及びWntは、数日にわたる長期的処理の研究により中胚葉誘導と伝統的に関連してきた(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Gadue, P., Huber, T.L., Paddison, P.J., and Keller, G.M. (2006). Wnt and TGF-β signaling are required for the induction of an in vitro model of primitive streak formation using embryonic stem cells. Proc Natl Acad Sci USA 103, 16806-16811)。しかしながら、BMP及びWntはAPSを初期に特定するが、分化の24時間以内に、シグナリング要件は逆転し、BMP及びWntがPSからのDE生成を抑制し、その代わりに中胚葉を誘導することがわかった。重要なことに、以前のスキームは単一の長さの段階にAPS及びDE誘導を減少させ、3〜5日間にわたってBMPを持続的に提供し(Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)、同様により後の段階の中胚葉の夾雑をもたらし、DE形成を阻害した。注目すべきことに、BMP及びWntがインビトロで(24時間以内に)解釈された驚くべき時間的ダイナミズムは、胚盤葉上層、PS及びDEがマウス胚中で互いに24時間以内にどのように生じるかを正確に追跡した。従って、前内胚葉又は抗内胚葉のいずれかとしてBMP及びWntを割り当てることは、これらのシグナルはちょうど24時間以内に二分された結果を得るために動的に解釈されるため、誤った名称である。
【0213】
発生能力及びプレエンハンサー状態の多様性
発生能力に関するWaddingtonの形式主義以来(Waddington, C.H. (1940). Organisers and Genes (Cambridge, UK, Cambridge University Press))、その分子的基礎は依然として謎が多い。運命付けられていない細胞中での発生エンハンサーの許容されるクロマチンプライミングは、能力の前兆となり得る(Calo, E., and Wysocka, J. (2013). Modification of enhancer chromatin: what, how, and why? Molecular Cell 49, 825-837)。様々なモデルが、活性化の前に「平衡化された」又は「潜在的な」クロマチン状態のいずれかにある迅速な誘導のためにプライミングされるエンハンサーを提唱した(Ostuni, R., Piccolo, V., Barozzi, I., Polletti, S., Termanini, A., Bonifacio, S., Curina, A., Prosperini, E., Ghisletti, S., and Natoli, G. (2013). Latent enhancers activated by stimulation in differentiated cells. Cell 152, 157-171、Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)。しかしながら、「平衡化された」又は「潜在的な」プレエンハンサー状態の相対的普及(及びそれらが全ての可能なプレエンハンサー状態を表すかどうか)は依然として不明確であった。
【0214】
hESC中の全ての予想されるDEエンハンサーのクロマチン状態を、監視されていないクラスタリングを用いて問い合わせた。個々のDEエンハンサーは、「平衡化された」又は「潜在的な」状態を超えて伸長する、活性化の前に広く連続する示差的にマークされるプレエンハンサー状態で存在することがわかった。DEエンハンサーのサブセットのみが、hESC中のK4me1、K27me3、p300又は他の提唱された「平衡化」因子によってプレマークされ、普遍的な平衡化サインは存在しないことを示した。
【0215】
驚くべきことに、多くの予想されるDEエンハンサーは、他の「開いた」又は「閉じた」クロマチンマークの全体的非存在下でH2AZにより排他的にマークされることがわかった。これは、H2AZがmESCからのDE誘導にとって機能的に必須であり、プロモーターでのその存在がFOXA2動員の増加と相関したという最近の知見を補完するものである(Li, Z., Gadue, P., Chen, K., Jiao, Y., Tuteja, G., Schug, J., Li, W., and Kaestner, K.H. (2012). Foxa2 and H2A.Z Mediate Nucleosome Depletion during Embryonic Stem Cell Differentiation. Cell 151, 1608-1616)。H2AZは時には最も早く認識可能なエンハンサーマークであることが示された(K4me1の代わりに)。従って、エンハンサー活性化の間のクロマチン変化の複数の可能な配列が存在し、従って、普遍的な初期エンハンサー「平衡化」事象は存在しない。DEエンハンサーにH2AZを予め配置することにより、分化の際に系列特定因子EOMES及びシグナリングエフェクターSMAD2/3/4及びFOXH1により最適な浸潤が可能となり、これらのTFの全てによる同時占有が最大のエンハンサー活性化と相関することがさらに推測された。要するに、これにより、hESC中のDEエンハンサーの始原クロマチン状態が分化の際のその将来の関与に影響し得ることが証明された。
【0216】
複数の連続的内胚葉系列分岐の基礎となる発生シグナリング論理の説明は、多様なhPSC株からの精製された内胚葉の普遍的生成において決定的であることが証明された。任意の運命付けられた細胞型の生成は、複数の前駆体の仲介によって起こる:従って、それぞれの中間体段階での高度に効率的な分化が、最終生成物の富化された収率を得るために必要である(McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308)。本発明者らは、高度に純粋な内胚葉集団が生着可能な内胚葉誘導体を生成し、内胚葉運命付けにおける正確な分子的洞察を得るための必須の基礎であることを示す。DE集団における異種性は以前には雑多な細胞型をもたらし、DE分化の分子サインを不明瞭にしてきた。発生TF及び細胞表面マーカー発現、クロマチン状態分析及び限定された発生能力の試験は全て、この研究において産生される内胚葉集団の純度及び同一性を実証及び確認するものである。
【0217】
まとめると、本明細書の開示は、内胚葉特定化及びパターン化を促進し、従って、hPSC分化を利用し、独特の視点からヒト発生生物学の知識を富化するシグナリング論理及びクロマチン動力学の理路整然とした見解を提供する。特に、hPSC分化から行われる観察は、独特な視点からの発生生物学の我々の知識を相互に富化するであろう。本明細書で報告されるシグナリング摂動、転写プロファイリング及びクロマチン分析はそれぞれ、ヒト内胚葉発生を活発にする外来シグナル、調節遺伝子及びゲノム調節エレメントを明らかにするものである。
【0218】
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