特許第6494515号(P6494515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチの特許一覧

特許6494515幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494515
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させる方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/07 20100101AFI20190325BHJP
   C12N 5/0735 20100101ALI20190325BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20190325BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20190325BHJP
【FI】
   C12N5/07
   C12N5/0735
   C12N5/10
   !C12N15/12ZNA
【請求項の数】37
【全頁数】97
(21)【出願番号】特願2015-537668(P2015-537668)
(86)(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公表番号】特表2015-534805(P2015-534805A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】SG2013000453
(87)【国際公開番号】WO2014062138
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】201207832-5
(32)【優先日】2012年10月19日
(33)【優先権主張国】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】508305029
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(72)【発明者】
【氏名】アン レイ テン
(72)【発明者】
【氏名】ロー カイル エム.
(72)【発明者】
【氏名】リム ビン
【審査官】 伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/139628(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/143193(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0094381(US,A1)
【文献】 特表2008−546414(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/019092(WO,A1)
【文献】 Journal of Cellular Biochemistry,2011, Vol.112, pp.1022-1034
【文献】 Proceedings of the National Academy of Sciences of USA,2006, Vol.103, No.45, pp.16806-16811
【文献】 Stem Cells,2007, Vol.25, pp.29-38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C12N 5/00
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多能性幹細胞を胚体内胚葉(DE)系列の細胞に分化させる、インビトロでの方法であって、
i)前記多能性幹細胞を、
a.TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター
b.Wntシグナリングの1又は2以上のアクチベーター;及び
c.PI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビター
と接触させて、原始線条前部(APS)系列の細胞を産生するステップであって、前記APS系列の細胞が、前記多能性幹細胞から24時間以内に産生されるステップと、
ii)前記APS系列の細胞を、
a.TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター;及び
b.BMPシグナリングの1若しくは2以上のインヒビタ
と接触させて、DE系列の細胞を産生するステップであって、前記DE系列の細胞が、前記APS系列の細胞から48時間以内に産生されるステップと
を含む、前記方法。
【請求項2】
TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーターが、アクチビンA、TGFβ1、TGFβ2及びNodalからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
BMPシグナリングの1又は2以上のインヒビターが、DM3189/LDN−193189、ノギン、コーディン、ドルソモルフィン及びDMH1からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(ii)のAPS系列の細胞を、100ng/mlのアクチビンA及び250nMのLDN−193189と接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ステップ(ii)のAPS系列の細胞を1ng/ml〜10μg/mlのアクチビンA及び1nM〜100mMのLDN−193189と接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
DE系列の細胞が、未分化細胞と比較して内胚葉遺伝子発現の上昇及び多能性遺伝子発現の低下を含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
DE系列の細胞が、有意に低下した中胚葉遺伝子発現を含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
Wntシグナリングの1又は2以上のアクチベーターがCHIR99201又はWnt3aである、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
PI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターがPI−103、PIK−90、GDC0941、又はLY294002である、請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
PI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターがPI−103である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(i)の多能性幹細胞をアクチビンA、PI−103及びCHIR99201と接触させる、請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
多能性幹細胞を、1ng/ml〜100μg/mlのアクチビンA、1nM〜100mMのPI−103及び1nM〜100mMのCHIR99201と接触させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
多能性幹細胞を、100ng/mlのアクチビンA、50nMのPI−103及び2μMのCHIR99201と接触させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
APS系列の細胞が、未分化細胞と比較して線条前部又は全線条マーカーであるBRACHYURY、FOXA2、GSC、FZD8、HHEX、LHX1及びEOMESの1又は2以上の遺伝子発現の上昇、並びに、線条後部マーカーであるMESP1及びEVX1の1又は2の発現の低下を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
多能性幹細胞のAPS系列の細胞への分化が、24時間以内に完了する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
DE系列の細胞を、レチノイン酸、BMPインヒビター、Wntインヒビター及びFGF/MAPKインヒビターと接触させることにより、前記DE系列の細胞を前腸後部(PFG)の細胞に分化させることをさらに含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
DE系列の細胞を、1nM〜100mMのレチノイン酸、1nM〜100mMのLDN193189、1nM〜100mMのIWP2及び1nM〜100mMのPD0325901と接触させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
DE系列の細胞を、2μMのレチノイン酸、250nMのLDN193189、4μMのIWP2及び0.5μMのPD0325901と接触させる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
PFGの細胞が、未分化の細胞と比較して、中腸/後腸(MHG)遺伝子であるCDX2、EVX1及び5‘HOXの1又は2以上;又は前腸前部(AFG遺伝子であるOTX2、IRX3、TBX1、PAX9、及びSOX2の1又は2以上;のいずれかの発現レベルの上昇を含まず、前腸後部(PFG)遺伝子であるSOX2、ODD1、PDX1、HNF1β、HNF4α、HNF6、及びHOXA1の1又は2以上の発現レベルの上昇を含む、請求項1618のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
DE系列の細胞を、BMPアクチベーター、Wntアクチベーター及びFGFアクチベーターと接触させることにより、前記DE系列の細胞を中腸/後腸(MHG)の細胞に分化させることをさらに含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
DE系列の細胞を、1ng/ml〜100μg/mlのBMP4、1ng/ml〜100μg/mlのFGF2、及び1nM〜100μMのCHIR99201と接触させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
DE系列の細胞を、10ng/mlのBMP4、100ng/mlのFGF2、及び3μMのCHIR99201と接触させる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
MHGの細胞が、未分化の細胞と比較してMHG遺伝子であるCDX2、EVX1及び5’HOXの1又は2以上の発現レベルの上昇を含む、請求項2022のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
PFGを、
a)1又は2以上のFGF/MAPKインヒビター;
b)1又は2以上のBMPインヒビター;及び
c)レチノイン酸(RA)
と接触させることにより、DE系列の細胞を膵臓前駆体に3日以内に誘導することをさらに含む、請求項1619のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
PFGを1又は2以上のヘッジホッグインヒビターと接触させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
PFGを1又は2以上のWntインヒビターと接触させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
PFGをアクチビンAと接触させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
PFGを1又は2以上のヘッジホッグインヒビター;1又は2以上のWNTインヒビター及びアクチビンAと接触させることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
PFGを、1nM〜100mMのPD0325901又はPD173074、1nM〜100mMのSANT1、1nM〜100mMのLDN193189、1nM〜100mMのIWP2又はC59、1nM〜100mMのレチノイン酸及び1ng/ml〜100μg/mlのアクチビンAと接触させる、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
PFGを、0.5μMのPD0325901又は100nMのPD173074、150nMのSANT1、250nMのLDN193189、4μMのIWP2、2μMのレチノイン酸及び10ng/mlのアクチビンAと接触させる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
膵臓前駆体の細胞が、未分化の細胞と比較して膵臓遺伝子であるPDX1の発現レベルの上昇を含み、肝臓前駆体遺伝子であるAFP及びHNF4Aの発現を含まない、請求項2430のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
PFGを1ng/ml〜100μg/mlのFGF2と接触させることをさらに含む、請求項2431のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
PFGを10〜20ng/mlのFGF2と接触させることをさらに含む、請求項24〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
PFGを、
a)1又は2以上のTGFβインヒビター;
b)レチノイン酸(RA);
c)1又は2以上のBMPアクチベーター、及び
d)1又は2以上のWntインヒビター
と接触させることにより、DE系列の細胞を前記PFGの肝臓前駆体に4日以内に誘導することをさらに含む、請求項1619のいずれに記載の方法。
【請求項35】
PFGを、1nM〜100mMのA83−01、1nM〜100mMのRA、1ng/ml〜10μg/mlのBMP4、及び1nM〜100mMのIWP2又はC59と接触させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
PFGを、1μMのA83−01、2μMのRA、10ng/mlのBMP4、及び4μMのIWP2と接触させる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
肝臓前駆体の細胞が、未分化の細胞と比較して肝臓遺伝子であるAFP及びHNF4Aのいずれか1又は2の発現レベルの上昇を含み、膵臓前駆体遺伝子であるPDX1の発現を含まない、請求項3436のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年10月19日に出願された、シンガポール国特許出願第201207832−5号明細書の優先権の利益を主張し、その内容はあらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組込まれる。
【0002】
本発明は、一般にバイオテクノロジーの分野に関する。特に、本発明は、多能性幹細胞又は多能性細胞を複数の細胞系列に分化させるための方法に関する。本発明はさらに、本明細書に記載の方法の実施における使用のための培養培地及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
複数の発生岐路で、系列特定転写因子(TF、transcription factor)は、多能性前駆体(progenitor)を単一の系列結果に向かわせ、別の運命を抑制し、片側性の系列決定を確保する(Graf, T., and Enver, T. (2009). Forcing cells to change lineages. Nature 462, 587-594、Loh, K.M., and Lim, B. (2011). A precarious balance: pluripotency factors as lineage specifiers. Cell Stem Cell 8, 363-369.)。しかしながら、そのような系列分岐を支配する外部シグナル及びそれらが特定する正確な細胞型は、インビボでの遺伝的摂動(Schier, A.F., and Talbot, W.S. (2005). Molecular genetics of axis formation in zebrafish. Annu Rev Genet 39, 561-613、Tam, P.P.L., and Loebel, D.A.F. (2007). Gene function in mouse embryogenesis: get set for gastrulation. Nature Reviews Genetics 8, 368-381)及びエクスビボでの外植片手法(例えば、(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881))から獲得された情報的洞察にも拘らず、まだ完全には解明されていない。関連する問題は、連続的な細胞運命移行を駆動する動的シグナリングスイッチの順序及びタイミング(Wandzioch, E., and Zaret, K.S. (2009). Dynamic signaling network for the specification of embryonic pancreas and liver progenitors. Science 324, 1707-1710)並びに別の系列がどのように各分岐点で分離するかを含む。従って、初期の系列分岐を統轄するシグナルの知識は、ヒト多能性幹細胞(hPSC、human pluripotent stem cell)などの多能性幹細胞を、細胞補充療法のための運命付けられた細胞型に分化させる際に非常に有益である(Cohen, D.E., and Melton, D. (2011). Turning straw into gold: directing cell fate for regenerative medicine. Nature Reviews Genetics、McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308、Murry, C.E., and Keller, G. (2008). Differentiation of embryonic stem cells to clinically relevant populations: lessons from embryonic development. Cell 132, 661-680、Smith, A.G. (2001). Embryo-derived stem cells: of mice and men. Annu Rev Cell Dev Biol 17, 435-462)。
【0004】
これに関して、胚体内胚葉(DE、definitive endoderm)の胚葉の誘導及び前後パターン化並びにその後の器官形成を駆動するシグナリング動力学をさらに精査する必要がある。DEは甲状腺、肺、膵臓、肝臓及び腸などの器官の胚前駆体である(Svajger, A., and Levak-Svajger, B. (1974). Regional developmental capacities of the rat embryonic endoderm at the head-fold stage. J Embryol Exp Morphol 32, 461-467)。多能性胚盤葉上層(マウス胚形成におけるE5.5)は、原始線条前部(約E6.5)に分化し、DEを生成する(約E7.0〜E7.5)(Lawson, K.A., Meneses, J.J., and Pedersen, R.A. (1991). Clonal analysis of epiblast fate during germ layer formation in the mouse embryo. Development 113, 891-911、Tam, P.P., and Beddington, R.S. (1987). The formation of mesodermal tissues in the mouse embryo during gastrulation and early organogenesis. Development 99, 109-126)。次いで、DEは前後軸に沿って異なる前腸、中腸、及び後腸テリトリー(約E8.5)にパターン化され、内胚葉器官原基が特定の前後ドメイン(約E9.5)から生じる(Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251)。
【0005】
hPSCなどの多能性幹細胞を、DEに向かって分化させる様々な方法は、動物血清、フィーダー共培養又は規定の条件を用いる(Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384、D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)が、典型的には、DEと他の夾雑系列との混合物が得られ、その誘導効率は細胞株間で変動する(Cohen, D.E., and Melton, D. (2011). Turning straw into gold: directing cell fate for regenerative medicine. Nature Reviews Genetics、McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308、Smith, A.G. (2001). Embryo-derived stem cells: of mice and men. Annu Rev Cell Dev Biol 17, 435-462)。夾雑系列を担持する混合された初期DE集団は、内胚葉器官誘導体のその後の生成を複雑にする(McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308)。脊椎動物の胚において、及びPSC分化の間に、Nodal/TGFβ/アクチビンシグナリングはDE特定にとって必須であるが、BMPは中胚葉サブタイプを広く誘導する(例えば、(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541、Dunn, N.R., Vincent, S.D., Oxburgh, L., Robertson, E.J., and Bikoff, E.K. (2004). Combinatorial activities of Smad2 and Smad3 regulate mesoderm formation and patterning in the mouse embryo. Development 131, 1717-1728))。しかし、TGFβシグナリング(さらなる因子と一緒であっても)は、均質なDE((Chetty, S., Pagliuca, F.W., Honore, C., Kweudjeu, A., Rezania, A., and Melton, D.A. (2013). A simple tool to improve pluripotent stem cell differentiation. Nature Methods)によって定量される)を特定するには不十分である。BMP、FGF、VEGF及びWntもまた、DEを生成するためにTGFβシグナルと一緒に用いられてきた(Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384、Goldman, O., Han, S., Sourrisseau, M., Dziedzic, N., Hamou, W., Corneo, B., D’souza, S., Sato, T., Kotton, Darrell N., Bissig, K.-D., et al. (2013). KDR Identifies a Conserved Human and Murine Hepatic Progenitor and Instructs Early Liver Development. Cell Stem Cell 12, 748-760、Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452、Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)。しかしながら、これらのモルフォゲンもまた中胚葉の運命付けに関与し(Davis, R.P., Ng, E.S., Costa, M., Mossman, A.K., Sourris, K., Elefanty, A.G., and Stanley, E.G. (2008). Targeting a GFP reporter gene to the MIXL1 locus of human embryonic stem cells identifies human primitive streak-like cells and enables isolation of primitive hematopoietic precursors. Blood 111, 1876-1884、Gertow, K., Hirst, C.E., Yu, Q.C., Ng, E.S., Pereira, L.A., Davis, R.P., Stanley, E.G., and Elefanty, A.G. (2013). WNT3A Promotes Hematopoietic or Mesenchymal Differentiation from hESCs Depending on the Time of Exposure. Stem Cell Reports 1, 53-65)、DE誘導におけるその正確な関与はまだ解明されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Graf, T., and Enver, T. (2009). Forcing cells to change lineages. Nature 462, 587-594
【非特許文献2】Loh, K.M., and Lim, B. (2011). A precarious balance: pluripotency factors as lineage specifiers. Cell Stem Cell 8, 363-369.
【非特許文献3】Schier, A.F., and Talbot, W.S. (2005). Molecular genetics of axis formation in zebrafish. Annu Rev Genet 39, 561-613
【非特許文献4】Tam, P.P.L., and Loebel, D.A.F. (2007). Gene function in mouse embryogenesis: get set for gastrulation. Nature Reviews Genetics 8, 368-381
【非特許文献5】Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155
【非特許文献6】Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881
【非特許文献7】Wandzioch, E., and Zaret, K.S. (2009). Dynamic signaling network for the specification of embryonic pancreas and liver progenitors. Science 324, 1707-1710
【非特許文献8】Cohen, D.E., and Melton, D. (2011). Turning straw into gold: directing cell fate for regenerative medicine. Nature Reviews Genetics
【非特許文献9】McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308
【非特許文献10】Murry, C.E., and Keller, G. (2008). Differentiation of embryonic stem cells to clinically relevant populations: lessons from embryonic development. Cell 132, 661-680
【非特許文献11】Smith, A.G. (2001). Embryo-derived stem cells: of mice and men. Annu Rev Cell Dev Biol 17, 435-462
【非特許文献12】Svajger, A., and Levak-Svajger, B. (1974). Regional developmental capacities of the rat embryonic endoderm at the head-fold stage. J Embryol Exp Morphol 32, 461-467
【非特許文献13】Lawson, K.A., Meneses, J.J., and Pedersen, R.A. (1991). Clonal analysis of epiblast fate during germ layer formation in the mouse embryo. Development 113, 891-911
【非特許文献14】Tam, P.P., and Beddington, R.S. (1987). The formation of mesodermal tissues in the mouse embryo during gastrulation and early organogenesis. Development 99, 109-126
【非特許文献15】Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251
【非特許文献16】Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384
【非特許文献17】D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541
【非特許文献18】Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765
【非特許文献19】Dunn, N.R., Vincent, S.D., Oxburgh, L., Robertson, E.J., and Bikoff, E.K. (2004). Combinatorial activities of Smad2 and Smad3 regulate mesoderm formation and patterning in the mouse embryo. Development 131, 1717-1728
【非特許文献20】Chetty, S., Pagliuca, F.W., Honore, C., Kweudjeu, A., Rezania, A., and Melton, D.A. (2013). A simple tool to improve pluripotent stem cell differentiation. Nature Methods
【非特許文献21】Goldman, O., Han, S., Sourrisseau, M., Dziedzic, N., Hamou, W., Corneo, B., D’souza, S., Sato, T., Kotton, Darrell N., Bissig, K.-D., et al. (2013). KDR Identifies a Conserved Human and Murine Hepatic Progenitor and Instructs Early Liver Development. Cell Stem Cell 12, 748-760
【非特許文献22】Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol
【非特許文献23】Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452
【非特許文献24】Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871
【非特許文献25】Davis, R.P., Ng, E.S., Costa, M., Mossman, A.K., Sourris, K., Elefanty, A.G., and Stanley, E.G. (2008). Targeting a GFP reporter gene to the MIXL1 locus of human embryonic stem cells identifies human primitive streak-like cells and enables isolation of primitive hematopoietic precursors. Blood 111, 1876-1884
【非特許文献26】Gertow, K., Hirst, C.E., Yu, Q.C., Ng, E.S., Pereira, L.A., Davis, R.P., Stanley, E.G., and Elefanty, A.G. (2013). WNT3A Promotes Hematopoietic or Mesenchymal Differentiation from hESCs Depending on the Time of Exposure. Stem Cell Reports 1, 53-65
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
胚葉の誘導及びパターン化並びに様々な細胞系列への分化の複数のステップの基礎となるシグナリング論理の理路整然とした理解は現在ない。
【0008】
本発明の目的は、無関係の系列を最小にしながら幹細胞を単一の細胞運命に一方的に駆動するための幹細胞の誘導及び分化の基礎となるシグナリング論理を解明することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、幹細胞をTGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター及びWntシグナリングの1又は2以上のアクチベーターと接触させることを含む、前記細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させる方法が提供される。
【0010】
別の態様によれば、原始線条前部系列の細胞を、TGFβ/Nodalシグナリングの1若しくは2以上のアクチベーター、及びBMPシグナリングの1若しくは2以上のインヒビター、又はWntシグナリングの1若しくは2以上のインヒビターと接触させることにより、原始線条前部細胞を胚体内胚葉(DE)系列の細胞に分化させる方法が提供される。
【0011】
別の態様によれば、DE細胞をTGFβインヒビター及びBMPインヒビターと接触させることにより、DEの細胞(cells of the DE)をAFGの細胞に分化させる方法が提供される。
【0012】
別の態様によれば、DEの細胞をレチノイン酸、BMPインヒビター、Wntインヒビター及びFGF/MAPKインヒビターと接触させることにより、DE系列の細胞をPFGの細胞に分化させる方法が提供される。
【0013】
別の態様によれば、DE細胞(DE cells)をBMPアクチベーター、Wntアクチベーター及びFGFアクチベーターと接触させることにより、DE系列の細胞(cells of the DE lineage)をMHGの細胞に分化させる方法が提供される。
【0014】
別の態様によれば、PFGを、1又は2以上のFGF/MAPKインヒビター;1又は2以上のBMPインヒビター;及びレチノイン酸(RA、retinoic acid)と接触させることにより、3日以内のDEからPFGの膵臓前駆体を誘導する方法が提供される。
【0015】
別の態様によれば、PFGを、1又は2以上のTGFβインヒビター;1又は2以上のBMPアクチベーター、レチノイン酸及び1又は2以上のWntインヒビターと接触させることにより、4日以内のDEからPFGの肝臓前駆体を誘導する方法が提供される。
【0016】
別の態様によれば、1又は2以上の下記因子:1又は2以上のFGF/MAPKインヒビター;1又は2以上のヘッジホッグインヒビター;1又は2以上のBMPインヒビター、1又は2以上のWntインヒビター、レチノイン酸、アクチビンA、及びPI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0017】
別の態様によれば、1又は2以上の下記因子:TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター、Wnt/β−カテニンシグナリングの1又は2以上のアクチベーター、及びPI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0018】
別の態様によれば、1又は2以上の下記因子:TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター、及びBMPシグナリングの1又は2以上のインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0019】
別の態様によれば、TGFβインヒビター及びBMPインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0020】
別の態様によれば、1又は2以上の下記因子:レチノイン酸、BMPインヒビター、Wntインヒビター及びFGF/MAPKインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0021】
別の態様によれば、1又は2以上の下記因子:BMP4、Wntアクチベーター及びFGFアクチベーターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0022】
別の態様によれば、1又は2以上の下記因子:1又は2以上のFGF/MAPKインヒビター;1又は2以上のヘッジホッグインヒビター;1又は2以上のBMPインヒビター;1又は2以上のWNTインヒビター;レチノイン酸(RA)、及びアクチビンAを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0023】
別の態様によれば、1又は2以上の下記因子:1又は2以上のTGFβインヒビター;1又は2以上のBMPアクチベーター、及び1又は2以上のWntインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0024】
別の態様によれば、本明細書に記載の方法のいずれかに従って産生される細胞が提供される。
【0025】
別の態様によれば、本明細書に記載の細胞培養培地の1又は2以上の容器を使用説明書と一緒に含む、本明細書に記載の方法のいずれかにおける使用のためのキットが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
本明細書で用いられる以下の単語及び用語は、示される意味を有する。
【0027】
本明細書で用いられる用語「幹細胞」は、限定されるものではないが、単一細胞レベルで、子孫細胞を産生するために自己複製する能力と、分化する能力との両方により定義される未分化の細胞、例えば、自己複製する前駆体、複製しない前駆体、及び最終的に分化した細胞を含む。例えば、「幹細胞」は、(1)全能性幹細胞;(2)多能性幹細胞;(3)多分化能幹細胞;(4)少能性幹細胞;及び(5)単能性幹細胞を含んでもよい。
【0028】
本明細書で用いられる用語「全能性」とは、成体における全ての細胞並びに胚外組織、例えば、胎盤を作る発生能力を有する細胞を指す。受精卵(接合体)は、桑実胚(受精後の16細胞段階まで)の細胞(割球)であるため、全能性である。
【0029】
本明細書で用いられる用語「多能性幹細胞」とは、異なる条件下で、3つ全ての胚葉、すなわち、内胚葉(例えば、腸組織)、中胚葉(血液、筋肉、及び血管を含む)、並びに外胚葉(皮膚及び神経など)に特徴的な細胞型に分化する発生能力を有する細胞を指す。3つ全ての胚葉に分化する細胞の発生能力を、例えば、ヌードマウス奇形腫形成アッセイを用いて決定することができる。いくつかの実施形態においては、多能性を、胚性幹(ES、embryonic stem)細胞マーカーの発現により証明することもできるが、本明細書に記載の組成物及び方法を用いて生成される細胞又は細胞集団の多能性に関する好ましい試験は、細胞が3つの胚葉のそれぞれの細胞に分化する発生能力を有することの証明である。
【0030】
本明細書で用いられる用語「誘導多能性幹細胞」又はiPSCは、幹細胞が、3つ全ての胚葉又は皮層:中胚葉、内胚葉、及び外胚葉の組織に分化することができる細胞に誘導又は変化された、すなわち、再プログラミングされた分化した成体細胞から産生されることを意味する。産生されるiPSCは、それらが天然に見出される細胞を指さない。
【0031】
本明細書で用いられる用語「胚性幹細胞」とは、胚性胚盤胞の内部細胞集団の天然の多能性幹細胞を指す。同様に、そのような細胞を、体細胞核移植から誘導される胚盤胞の内部細胞集団から取得することができる。胚性幹細胞は多能性であり、発生中に3つの一次胚葉:外胚葉、内胚葉及び中胚葉の全ての誘導体を生じさせる。換言すれば、それらは特定の細胞型のための必要十分な刺激を与えた場合、成体の200を超える細胞型のそれぞれに発生することができる。それらは胚体外膜又は胎盤に寄与しない、すなわち、全能性ではない。
【0032】
本明細書で用いられる用語「多分化能幹細胞」とは、1又は2以上の胚葉の細胞に分化する発生能力を有するが、3つ全ての胚葉の細胞に分化する発生能力を有さない細胞を指す。かくして、多分化能細胞を「部分的に分化した細胞」と呼ぶこともできる。多分化能細胞は当業界で周知であり、多分化能細胞の例としては、例えば、造血幹細胞及び神経幹細胞などの成体幹細胞が挙げられる。「多分化能」は、細胞が所与の系列の多くの細胞型を形成し得るが、他の系列の細胞を形成しないことを示す。例えば、多分化能造血細胞は、多くの異なる型の血液細胞(赤血球、白血球、血小板など)を形成することができるが、ニューロンを形成することはできない。従って、用語「多分化能性」とは、全能性及び多能性未満である一定程度の発生能力を有する細胞の状態を指す。
【0033】
本明細書で用いられる用語「分化」は、特殊化されていない(「運命付けられていない」)又はあまり特殊化されていない細胞が、例えば、神経細胞又は筋肉細胞などの特殊化された細胞の特徴を獲得するプロセスである。分化した細胞又は分化誘導された細胞は、細胞の系列内のより特殊化された(「運命付けられた」)位置を獲得したものである。用語「運命付けられた」は、分化のプロセスに適用される場合、正常な環境下で、特定の細胞型又は細胞型のサブセットに分化し続け、正常な環境下で、異なる細胞型に分化するか、又はあまり分化していない細胞型に復帰することができない地点まで分化経路中で進行した細胞を指す。脱分化とは、細胞が、細胞の系列内のあまり特殊化されていない(又は運命付けられていない)位置に復帰するプロセスを指す。本明細書で用いられる場合、細胞の系列は、細胞の遺伝、すなわち、細胞がどの細胞に由来するか、及び細胞がどんな細胞を生じ得るかを定義する。細胞の系列は、発生及び分化の遺伝的スキーム内にその細胞を置く。系列特異的マーカーとは、所望の系列の細胞の表現型と特異的に関連する特徴を指し、それを用いて、運命付けられていない細胞の所望の系列への分化を評価することができる。
【0034】
本明細書で用いられる用語「未分化細胞」とは、自己複製する性質を有し、発生能力に関する特定の暗示される意味(すなわち、全能性、多能性、多分化能など)を有さない、複数の細胞型に分化する発生能力を有する未分化状態にある細胞を指す。
【0035】
本明細書で用いられる用語「前駆細胞(progenitor cell)」とは、より高い発生能力を有する細胞、すなわち、それが分化により生じさせることができる細胞と比較してより原始的である(例えば、発生経路又は進行に沿ったより早いステップにある)細胞表現型を指す。しばしば、前駆細胞は、有意な、又は非常に高い増殖能力を有する。前駆細胞は、発生経路並びに細胞が発生及び分化する環境に応じて、より低い発生能力を有する複数の異なる細胞、すなわち、分化した細胞型、又は単一の分化した細胞型を生じさせることができる。
【0036】
本明細書で用いられる用語「マーカー」とは、所望の細胞中で示差的に発現される核酸又はポリペプチド分子を指す。この文脈において、示差的発現とは、陽性マーカーのレベルの増加及び陰性マーカーのレベルの低下を意味する。マーカー核酸又はポリペプチドの検出可能なレベルは、当業界で公知の様々な方法のいずれかを用いて所望の細胞を同定し、他の細胞から識別することができるような、他の細胞と比較して所望の細胞において十分により高いか、又はより低いものである。
【0037】
TGFβ/Nodalシグナリング、Wntシグナリング、PI3K/mTORシグナリング、BMPシグナリング、増殖因子シグナリング、又はレチノイン酸、FGF/MAPK、ヘッジホッグの活性の文脈における本明細書で用いられる用語「モジュレーター」とは、規定のシグナリング経路又はその標的の生物活性を増強又は阻害する任意の分子又は化合物を指す。インヒビター又はアクチベーターは、限定されるものではないが、シグナリング経路又は標的天然リガンドの一部であり、それによってシグナリング経路の生物活性を調節する、受容体、転写因子、シグナリングメディエータ/トランスデューサなどを標的とするペプチド、抗体、又は低分子を含んでもよい。これに関して、TGFβ/Nodalシグナリング、Wntシグナリング、PI3K/mTORシグナリング、BMPシグナリング、増殖因子シグナリング、又はレチノイン酸、FGF/MAPK、若しくはヘッジホッグの活性の文脈における本明細書で用いられる「インヒビター」又は「アクチベーター」とは、限定されるものではないが、シグナリングリガンド、受容体、トランスデューサ、シグナリングメディエータ及び転写因子などの規定のシグナリングの1又は2以上の成分の阻害又は活性化を指す。特に、「インヒビター」又は「アクチベーター」は、シグナリング経路のリガンドタンパク質又はリガンドタンパク質以外のシグナリング伝達経路の任意の成分(例えば、受容体、トランスデューサ、シグナリングメディエータ)のアンタゴニスト又はアゴニストを指してもよい。
【0038】
本明細書で用いられる語句「培養培地」とは、幹細胞及び任意の細胞系列の増殖を支援するために用いられる液体物質を指す。いくつかの実施形態に従って本発明により用いられる培養培地は、液体に基づく培地、例えば、塩、栄養素、ミネラル、ビタミン、アミノ酸、核酸、サイトカイン、増殖因子及びホルモンなどのタンパク質などの物質の組合せを含んでもよい水であってもよい。
【0039】
本明細書で用いられる用語「フィーダー細胞」とは、幹細胞がフィーダー細胞と共培養された場合、又はフィーダー細胞により生成される条件培地の存在下で、多能性幹細胞がマトリックス(例えば、細胞外マトリックス、合成マトリックス)上で培養された場合、幹細胞を増殖状態に維持するフィーダー細胞(例えば、線維芽細胞)を指す。フィーダー細胞の支持は、培養物(例えば、組織培養プレート中でフィーダー細胞を培養することにより形成される三次元マトリックス)中にある間のフィーダー細胞の構造、フィーダー細胞の機能(例えば、フィーダー細胞による増殖因子、栄養素及びホルモンの分泌、フィーダー細胞の増殖速度、老化前のフィーダー細胞の増殖能力)及び/又はフィーダー細胞層への幹細胞の結合に依存する。
【0040】
本開示を通して、ある特定の実施形態を範囲形式で開示することができる。範囲形式での記載は、単に便宜上及び簡潔性のためのものであると理解されるべきであり、開示される範囲に関する柔軟性のない限定と解釈されるべきではない。従って、ある範囲の記載は、特に開示される全ての可能なサブ範囲並びにその範囲内の個々の数値を有すると考えるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの特に開示されるサブ範囲、並びにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5及び6を有すると考えるべきである。これは、範囲の幅に関わりなく適用される。
【0041】
任意選択の実施形態の開示
本発明を説明する前に、本発明が記載される特定の実施形態に限定されず、そのようなものとして変化してもよいことが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲においてのみ限定されるため、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定を意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0042】
別途定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する業界の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。改変及び変更が本開示の精神及び範囲内に包含されることが理解されるため、本明細書に記載のものと類似するか、又は同等である任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験において用いることができる。
【0043】
本開示及び実施形態は、原始線条(PS、primitive streak)誘導に関する内胚葉発生;内胚葉と中胚葉の胚葉の分離;内胚葉前後パターン化;及び細胞系列の分岐の4つの連続ステップで相互排他的な細胞系列を分離する方法に関する。特に、本開示及び実施形態は、どのシグナルが、一方又は他方に向かう均質なhPSC分化を可能にするそれぞれの内胚葉分岐で特定の発生結果を指示又は抑制したかの決定に関する。有利には、本開示は、それぞれの分岐点で別の系列を排除することにより多様なhPSC株を様々な内胚葉細胞型の純粋な集団に普遍的に分化させるための単一の戦略になった、連続発生ステップを通じた効率的な分化と組み合わせた正確な時間的シグナリング動力学の知識を提供する。
【0044】
従って、本発明は、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させる方法を提供する。これに関して、幹細胞は、限定されるものではないが、全能性幹細胞、多能性幹細胞、多分化能幹細胞、少能性幹細胞、又は単能性幹細胞を含んでもよい。
【0045】
一実施形態においては、幹細胞は、限定されるものではないが、ヒト胚起源から誘導されていてもいなくてもよいヒト胚性幹細胞(hESC、human embryonic stem cell)を含む多能性幹細胞であってもよい。例えば、本発明における使用にとって好適な多能性幹細胞は、限定されるものではないが、ヒト胚性幹細胞株H9(NIHコード:WA09)、ヒト胚性幹細胞株H1(NIHコード:WA01)、ヒト胚性幹細胞株H7(NIHコード:WA07)、ヒト胚性幹細胞株SA002(Cellartis社、Sweden)、Hes3(NIHコード:ES03)、MeL1(NIHコード:0139)、又は多能性細胞に特徴的な以下のマーカー:ABCG2、cripto、CD9、FoxD3、Connexin43、Connexin45、Oct4、Sox2、Nanog、hTERT、UTF−I、ZFP42、SSEA−3、SSEA−4、Tral−60、Tral−81の少なくとも1つを発現する幹細胞を含んでもよい。同様に、多能性幹細胞は、非胚起源から誘導されていてもよく、無制限に増殖し、3つの胚葉のそれぞれに分化することができる誘導多能性幹(iPS、induced pluripotent stem)細胞であってもよい。例えば、IPS細胞株としては、限定されるものではないが、BJC1及びBJC3が挙げられる。iPS細胞は培養物中でESCと本質的に同じように振舞うことが理解される。
【0046】
これに関して、当技術分野の文脈において周知である通り、多能性幹細胞は、内胚葉、中胚葉又は外胚葉のいずれかの複数の胚葉に由来する様々な細胞系列の機能的細胞に分化し、並びに移植後に複数の胚葉の組織を生じさせ、胚盤胞への注入後に全てではないとしても、実質的に多くの組織に寄与することができる。例えば、多能性幹細胞を、限定されるものではないが、原始線条前部(APS、anterior primitive streak)系列、胚体内胚葉(DE)系列、前腸前部(AFG、anterior foregut)系列、前腸後部(PFG、posterior foregut)系列、中腸後部(MHG、mid gut hind)系列、膵臓前駆体系列、又は肝細胞前駆体系列を含んでもよい内胚葉の細胞系列に分化させることができる。あるいは、多能性幹細胞を、限定されるものではないが、心臓中胚葉、側板中胚葉、沿軸中胚葉、未分節中胚葉、体節中胚葉、中間中胚葉及び胚外中胚葉を含む中胚葉の細胞系列に分化させるか、又は限定されるものではないが、神経外胚葉、神経堤及び表層外胚葉を含む外胚葉の細胞系列に分化させることができる。
【0047】
特定の遺伝子及び/又はタンパク質マーカーの発現を測定することにより、1又は2以上の細胞系列への幹細胞の分化の進行を検出し、その進行をモニタリングすることができる。培養された、又は単離された細胞中の遺伝子及び/又はタンパク質マーカーの発現を測定及び評価するための方法は、標準的なものであり、当業界で公知である。例えば、そのような方法としては、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR、reverse transcriptase polymerase chain reaction)、ノーザンブロット、ハイブリダイゼーション、及び免疫アッセイ、例えば、切片化された材料の免疫組織化学分析、免疫染色及び蛍光画像化、ウェスタンブロッティング、並びに無処置の細胞中に到達可能であるマーカーについては、フローサイトメトリー分析(FACS、flow cytometry analysis)が挙げられる。特に、系列特異的細胞の単離は、蛍光活性化細胞選別装置(FACS、fluorescence activated cell sorter)による細胞の選別により行われる。
【0048】
様々な増殖因子及び他の化学的シグナルは、1又は2以上の特定の所望の細胞系列の子孫細胞培養物への幹細胞の分化を調節することができる。本発明において用いることができる分化因子としては、限定されるものではないが、TGFβ/Nodalシグナリング、Wntシグナリング、PI3K/mTORシグナリング、BMPシグナリング、増殖因子シグナリング、レチノイン酸、FGF/MAPK又はヘッジホッグの1又は2以上の活性を調節する化合物又は分子が挙げられる。
【0049】
一実施形態においては、TGFβ/Nodalシグナリングのモジュレーターは、限定されるものではないが、アクチビンA、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、1DE1/2若しくはNodalなどのアクチベーターを含んでもよく、又は限定されるものではないが、A−83−01(3−(6−メチル−2−ピリジニル)−N−フェニル−4−(4−キノリニル)−1H−ピラゾール−1−カルボチオアミド)、SB431542(4−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−ピリジン−2−イル−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド)、SB−505124(2−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1H−イミダゾール−5−イル]−6−メチル−ピリジン)、IDE1(1−[2−[(2−カルボキシフェニル)メチレン]ヒドラジド]ヘプタン酸)、IDE2(ヘプタン二酸−1−(2−シクロペンチリデンヒドラジド)、Lefty1及びLefty2などのインヒビターを含んでもよい。一実施形態においては、Wntシグナリングのモジュレーターは、限定されるものではないが、CHIR99201(6−[[2−[[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2ピリミジニル]アミノ]エチル]アミノ]−3−ピリジンカルボニトリル、A1070722(1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]尿素)、Wnt3a、アセトキシム若しくはWntシグナリング経路のファミリーメンバーなどのアクチベーターを含んでもよく、又は限定されるものではないが、C59(2−(4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル)−N−(4−(ピリジン−3−イル)フェニル)アセトアミド)、IWP2(N−(6−メチル−2−ベンゾチアゾリル)−2−[(3,4,6,7−テトラヒドロ−4−オキソ−3−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)チオ]−アセトアミド)、Dkk1、XAV939(3,5,7,8−テトラヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−チオピラノ[4,3−d]ピリミジン−4−オン)、IWR1(4−(1,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−4,7−メタノ−2H−イソインドール−2−イル)−N−8−キノリニル−ベンズアミド)FH−535=(2,5−ジクロロ−N−(2−メチル−4−ニトロフェニル)ベンゼンスルホンアミドなどのインヒビターを含んでもよい。
【0050】
iCRT−14=5−[[2,5−ジメチル−1−(3−ピリジニル)−1H−ピロール−3−イル]メチレン]−3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン)、JW−55(N−[4−[[[[テトラヒドロ−4−(4−メトキシフェニル)−2H−ピラン−4−イル]メチル]アミノ]カルボニル]フェニル]−2−フランカルボキサミド)、JW−67(トリスピロ[3H−インドール−3,2’−[1,3]ジオキサン−2’’,3’’’−[3H]インドール]−2,2’’’(1H,1’’’H)−ジオン)又はFzd8(Frizzled8)。
【0051】
一実施形態においては、PI3K/mTORシグナリングのモジュレーターは、限定されるものではないが、PI−103(3−[4−(4−モルホリニル)ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール)、PIK−90(N−(2,3−ジヒドロ−7,8−ジメトキシイミダゾ[1,2−c]キナゾリン−5−イル)−3−ピリジンカルボキサミド),又はLY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、AS−252424(5−[[5−(4−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−フラニル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン)、AS−605240(5−(6−キノキサリニルメチレン)−2,4−チアゾリジン−2,4−ジオン)、AZD−6482((−)−2−[[(1R)−1−[7−メチル−2−(4−モルホリニル)−4−オキソ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−9−イル]エチル]アミノ]安息香酸)、BAG−956(α,α,−ジメチル−4−[2−メチル−8−[2−(3−ピリジニル)エチニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−ベンゼンアセトニトリル)、CZC−24832(5−(2−アミノ−8−フルオロ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)−3−ピリジンスルホンアミド)、GSK−1059615(5−[[4−(4−ピリジニル)−6−キノリニル]メチレン]−2,4−チアゾリデンジオン)、化合物401(2−(4−モルホリニル)−4H−ピリミド[2,1−a]イソキノリン−4−オン)、PF−05212384(N−[4−[[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]カルボニル]フェニル]−N’−[4−(4,6−ジ−4−モルホリニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素)などのインヒビターを含んでもよい。
【0052】
一実施形態においては、BMPシグナリングのモジュレーターは、限定されるものではないが、DM3189/LDN−193189(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリンヒドロクロリド)、ノギン、コーディン、又はドルソモルフィン(6−[4−(2−ピペリジン−1−イルエトキシ)フェニル]−3−ピリジン−4−イルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン)、又はDMH1(4−(6−(4−イソプロポキシフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノロン)などのインヒビターを含んでもよく、又は限定されるものではないが、Bmp4及びBmp2などのアクチベーターを含んでもよい。
【0053】
一実施形態においては、FGF/MAPKのモジュレーターは、限定されるものではないが、PD0325901(N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド)、PD173074(N−[2−[[4−(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]−6−(3,5−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−N’−(1,1−ジメチルエチル)尿素)、PD−161570(N−[6−(2,6−ジクロロフェニル)−2−[[4−(ジエチルアミノ)ブチル]アミノ]ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−N’−(1,1−ジメチルエチル)尿素)又はFIIN 1塩酸塩(N−(3−((3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシフェニル)−7−(4−(ジエチルアミノ)ブチルアミノ)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)アクリルアミド)、FR−180204(5−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルアミン)及びSU5402(2−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−4−メチル−1H−ピロール−3−プロパン酸)などのインヒビターを含んでもよい。一実施形態においては、ヘッジホッグのモジュレーターは、限定されるものではないが、SANT1(N−[3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチレン]−4−(フェニルメチル)−1−ピペラジンアミン)、シクロパミン又はその誘導体、ビスモデギブ、IPI−926(N−((2S,3R,3aS,3’R,4a’R,6S,6a’R,6b’S,7aR,12a’S,12b’S)−3,6,11’,12b’−テトラメチル−2’,3a,3’,4,4’,4a’,5,5’,6,6’,6a’,6b’,7,7a,7’,8’,10’,12’,12a’,12b’−イコサヒドロ−1’H,3H−スピロ[フロ[3,2−b]ピリジン−2,9’−ナフト[2,1−a]アズレン]−3’−イル)メタンスルホンアミド)、LDE225(N−(6−((2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメトキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−カルボキサミド)、XL139(N−(2−メチル−5−((メチルアミノ)メチル)フェニル)−4−((4−フェニルキナゾリン−2−イル)アミノ)ベンズアミド)及びPF−0449913などのインヒビターを含んでもよい。
【0054】
一実施形態においては、増殖因子シグナリングのモジュレーターは、限定されるものではないが、アドレノメデュリン(AM、Adrenomedullin)、アンギオポエチン(Ang、Angiopoietin)、自己分泌型細胞運動刺激因子、骨形成タンパク質(BMP、Bone morphogenetic protein)、脳由来神経栄養因子(BDNF、Brain-derived neurotrophic factor)、表皮増殖因子(EGF、Epidermal growth factor)、エリスロポエチン(EPO、Erythropoietin)、線維芽細胞増殖因子(FGF、Fibroblast growth factor)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF、Glial cell line-derived neurotrophic factor)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF、Granulocyte colony-stimulating factor)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、Granulocyte macrophage colony-stimulating factor)、増殖分化因子−9(GDF9、Growth differentiation factor-9)、肝細胞増殖因子(HGF、Hepatocyte growth factor)、ヘパトーマ由来増殖因子(HDGF、Hepatoma-derived growth factor)、インスリン様増殖因子(IGF、Insulin-like growth factor)、遊走刺激因子(Migration-stimulating factor)、ミオスタチン(GDF−8)、神経増殖因子(NGF、Nerve growth factor)及び他のニューロトロフィン、血小板由来増殖因子(PDGF、Platelet-derived growth factor)、トロンボポエチン(TPO、Thrombopoietin)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF−α、Transforming growth factor alpha)、腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α、Tumor necrosis factor-alpha)、血管内皮増殖因子(VEGF、Vascular endothelial growth factor)、胎盤増殖因子(PlGF、placental growth factor)、ウシ胎仔ソマトトロピン(FBS、Foetal Bovine Somatotrophin)、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6又はIL−7のシグナリング経路のいずれか1つのファミリーメンバータンパク質を含んでもよい。一実施形態においては、増殖因子シグナリングのモジュレーターは、限定されるものではないが、FGFタンパク質のファミリーのいずれか1つなどのFGFシグナリングリガンドを含んでもよい。
【0055】
一実施形態においては、レチノイン酸のモジュレーターは、限定されるものではないが、レチノイン酸前駆体、オールトランスレチノイン酸又はビタミンAなどのアクチベーターを含んでもよい。オールトランスレチノイン酸(ATRA、All-trans retinoic acid)のアクチベーターは、限定されるものではないが、3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2E,4E,6E,8E−ノナテトラエン酸を含んでもよい;ATRAの代替的な実施形態は、9−cisレチノイン酸及び13−cisレチノイン酸である(9−cisレチノイン酸のIUPAC名は3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)ノナ−2E,4E,6Z,8E−テトラエン酸であり、13−cisレチノイン酸は(2Z,4E,6E,8E)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)ノナ−2,4,6,8−テトラエン酸である)。
【0056】
TGFβ/Nodalシグナリング、BMPシグナリング又は増殖因子シグナリングのアクチベーターを、約0.01ng/ml〜約20μg/ml、又は約0.5ng/ml〜約15μg/ml、又は約1ng/ml〜約10μg/ml、又は約10ng/ml〜約10μg/ml、又は約15ng/ml〜約5μg/mlの量で用いることができる。TGFβ/Nodalシグナリングのインヒビター、Wntシグナリングのアクチベーター、PI3K/mTORシグナリングのインヒビター、BMPシグナリングのインヒビター、レチノイン酸のアクチベーター、ヘッジホッグのインヒビターを、約0.1nM〜約200mM、又は約0.5nM〜約150mM、又は約0.5nM〜約100mM、又は約1nM〜約100mMの範囲の量で用いることができる。
【0057】
従って、本発明は、幹細胞を、TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター、及びWntシグナリングの1又は2以上のアクチベーターと接触させることを含む、前記細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させる方法を提供する。
【0058】
一実施形態においては、1又は2以上の細胞系列は、原始線条前部細胞系列のものである。
【0059】
一実施形態においては、TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のモジュレーターを、アクチビンA、TGF−β1、TGF−β2又はnodalから選択することができる。一実施形態においては、Wntシグナリングの1又は2以上のアクチベーターを、CHIR99201、Wnt3a又はWntシグナリング経路の他のファミリーメンバーから選択することができる。
【0060】
別の実施形態においては、幹細胞を、PI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターとさらに接触させる。一実施形態においては、PI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターを、PI−103、PIK−90又はLY294002から選択することができる。
【0061】
一実施形態においては、細胞を、アクチビンA、PI−103及びCHIR99201と接触させることができる。
【0062】
別の実施形態においては、幹細胞を、約1ng/ml〜10μg/mlの量のアクチビンAと、約1nM〜100mMの量のCHIR99201と接触させることができる。
【0063】
別の実施形態においては、幹細胞を、約100ng/mlの量のアクチビンA、約50nMの量のPI−103及び約2μMの量のCHIR99201と接触させる。
【0064】
別の実施形態においては、幹細胞を、アドレノメデュリン(AM)、アンギオポエチン(Ang)、自己分泌型細胞運動刺激因子、骨形成タンパク質(BMP)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、表皮増殖因子(EGF)、エリスロポエチン(EPO)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、増殖分化因子−9(GDF9)、肝細胞増殖因子(HGF)、ヘパトーマ由来増殖因子(HDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、遊走刺激因子、ミオスタチン(GDF−8)、神経増殖因子(NGF)及び他のニューロトロフィン、血小板由来増殖因子(PDGF)、トロンボポエチン(TPO)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF−α)、腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α)、血管内皮増殖因子(VEGF)、胎盤増殖因子(PlGF)、ウシ胎仔ソマトトロピン(FBS)、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6又はIL−7からなる群から選択される1又は2以上の増殖因子とさらに接触させる。
【0065】
一実施形態においては、増殖因子シグナリングのモジュレーターは、限定されるものではないが、FGFタンパク質のファミリーのいずれか1つなどのFGFシグナリングリガンドを含んでもよい。一実施形態においては、FGFファミリーメンバータンパク質は、約1ng/ml〜約1000ng/mlの量にあってもよい。一実施形態においては、FGFファミリーメンバータンパク質は、約15ng/ml〜約40ng/mlの量にあってもよい。別の実施形態においては、FGFファミリーメンバータンパク質は、20ng/mlの量のFGF2である。
【0066】
さらなる実施形態において、原始線条前部細胞系列は、未分化細胞と比較して、限定されるものではないが、BRACHYURY、FOXA2、GSC、FZD8、HHEX、LHX1及び/又はEOMESなどの、線条前部又は全線条(pan-streak)マーカーの遺伝子又はタンパク質発現が上昇していてもよく、限定されるものではないが、MESP1及びEVX1などの線条後部マーカーの発現が低下していてもよい。
【0067】
一実施形態においては、1又は2以上の細胞系列への幹細胞の分化は、約12〜84時間、12〜72時間、18〜72時間、18〜66時間、18〜60時間又は24〜60時間で完了する。一実施形態においては、1又は2以上の細胞系列への幹細胞の分化は、約24〜60時間で完了してもよい。
【0068】
一実施形態においては、原始線条前部(APS)系列の細胞への幹細胞の分化は、約12〜84時間、12〜72時間、18〜72時間、18〜66時間、18〜60時間又は24〜60時間以内に完了してもよい。一実施形態においては、APSへの幹細胞の分化は、約24〜27時間で完了してもよい。
【0069】
幹細胞が原始線条前部細胞系列に分化した事象において、原始線条前部細胞を、胚体内胚葉(DE)系列の細胞にさらに分化させることができる。従って、別の実施形態においては、本明細書に開示される方法により得られる原始線条前部系列の細胞を、TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター、BMPシグナリングの1又は2以上のインヒビター及びWNTシグナリングの1又は2以上のインヒビターと接触させることにより、原始線条前側系列の前記細胞を胚体内胚葉(DE)系列の細胞にさらに分化させる。
【0070】
一実施形態においては、TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のモジュレーターを、アクチビンA、TGF−β1、TGF−β2又はNodalから選択することができる。
【0071】
一実施形態においては、BMPシグナリングの1又は2以上のインヒビターを、DM3189/LDN−193189、ノギン、コーディン、ドルソモルフィン又はDMH1から選択することができる。
【0072】
別の実施形態においては、原始線条前部細胞を、約1ng/ml〜10μg/mlの量のアクチビンA、及び約1nM〜100mMの量のLDN−193189と接触させる。
【0073】
別の実施形態においては、幹細胞を、約1nM〜10mMの量のPI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターとさらに接触させる。別の実施形態においては、原始線条前部細胞を、約100ng/mlの量のアクチビンA及び約250nMの量のLDN−193189と接触させる。
【0074】
一実施形態においては、胚体内胚葉系列の細胞は、未分化細胞と比較して、限定されるものではないが、FOXA2、HHEX、FZD8、CER1、SOX17及びFOXA1などの内胚葉マーカーの遺伝子又はタンパク質発現が上昇していてもよく、限定されるものではないが、SOX2、NANOG及びOCT4などの多能性遺伝子又はタンパク質発現が低下していてもよい。
【0075】
別の実施形態においては、胚体内胚葉系列の細胞は、限定されるものではないが、MESP1、MESP2、FOXF1、BRACHYURY、HAND1、EVX1、IRX3、CDX2、TBX6、MIXL1、ISL1、SNAI2、FOXC1及びPDGFRαなどの中胚葉マーカーの遺伝子又はタンパク質発現の低下を含む。
【0076】
一実施形態においては、胚体内胚葉(DE)系列の細胞への原始線条前部細胞の分化は、約12〜120時間、12〜114時間、18〜114時間、18〜108時間、24〜108時間、24〜102時間又は24〜96時間以内に完了してもよい。一実施形態においては、胚体内胚葉(DE)系列の細胞への原始線条前部細胞の分化は、約24〜96時間以内に完了してもよい。
【0077】
一実施形態においては、本明細書に記載の方法により得られる胚体内胚葉(DE)系列の細胞を、前腸前部(AFG)、前腸後部(PFG)又は中腸/後腸(MHG)のいずれか1つの細胞にさらに分化させることができる。
【0078】
従って、一実施形態においては、胚体内胚葉(DE)系列の細胞を、TGFβインヒビター及びBMPインヒビターと接触させることにより、前記DE細胞を前腸前部(AFG)の細胞にさらに分化させることができる。
【0079】
一実施形態においては、TGFβインヒビターを、A−83−01、SB431542、Lefty1又はLefty2から選択することができる。一実施形態においては、BMPインヒビターを、DM3189/LDN−193189、ノギン、コーディン、又はドルソモルフィンから選択することができる。
【0080】
別の実施形態においては、胚体内胚葉細胞を、約1nM〜100mMの量のA−83−01、及び約1nM〜100mMの量のLDN−193189と接触させる。別の実施形態においては、胚体内胚葉細胞を、約1μMの量のA−83−01及び約250nMの量のLDN−193189と接触させる。
【0081】
一実施形態においては、前腸前部の細胞は、前腸後部(PFG)又は中腸/後腸(MHG)転写因子のいずれかを含まず、未分化細胞と比較して、限定されるものではないが、OTX2、IRX3、TBX1、PAX9、SOX2などの前腸前部マーカーの遺伝子又はタンパク質発現レベルの上昇を含む。
【0082】
一実施形態においては、胚体内胚葉(DE)系列の細胞を、レチノイン酸、BMPインヒビター、Wntインヒビター及びFGF/MAPKインヒビターと接触させることにより、DEの前記細胞を前腸後部(PFG)の細胞にさらに分化させることができる。
【0083】
別の実施形態においては、BMPインヒビターはLDN193189を含み、WntインヒビターはIWP2を含み、FGF/MAPKインヒビターはPD0325901を含む。
【0084】
別の実施形態においては、胚体内胚葉細胞を、約1nM〜100mMのレチノイン酸、約1nM〜100mMのLDN193189、約1nM〜100mMのIWP2及び約1nM〜100mMのPD0325901と接触させる。別の実施形態においては、胚体内胚葉細胞を、約2μMのレチノイン酸、約250nMのLDN193189、約4μMのIWP2及び約0.5μMのPD0325901と接触させる。
【0085】
一実施形態においては、前腸後部の細胞は、MHG又はAFG遺伝子又はタンパク質発現のいずれも含まず、未分化細胞と比較して、限定されるものではないが、SOX2、ODD1、PDX1、HNF1β、HNF4α、HNF6、及びHOXA1の発現などの前腸後部遺伝子又はタンパク質発現の遺伝子又はタンパク質発現レベルが上昇していてもよい。
【0086】
一実施形態においては、胚体内胚葉(DE)系列の細胞を、BMPアクチベーター、Wntアクチベーター及びFGFアクチベーターと接触させることにより、前記DE細胞を中腸/後腸(MHG)の細胞にさらに分化させることができる。
【0087】
一実施形態においては、BMPアクチベーターはBMP4を含み、FGFアクチベーターはFGF2を含み、WntアクチベーターはCHIR99201を含む。
【0088】
別の実施形態においては、胚体内胚葉細胞を、約1ng/ml〜10μg/mlのBMP4、約1ng/ml〜10μg/mlのFGF2、及び約1nM〜10μMのCHIR99201と接触させる。別の実施形態においては、胚体内胚葉細胞を、約10ng/mlのBMP4、約100ng/mlのFGF2、及び約3μMのCHIR99201と接触させる。
【0089】
一実施形態においては、前腸後部の細胞は、未分化細胞と比較して、限定されるものではないが、CDX2、EVX1、及び5’HOXクラスター遺伝子などのMHGマーカーの遺伝子又はタンパク質発現レベルが上昇していてもよい。
【0090】
一実施形態においては、前腸前部(AFG)、前腸後部(PFG)又は中腸/後腸(MHG)のいずれか1つへの胚体内胚葉細胞の分化は、約12〜300時間、12〜280時間、18〜280時間、18〜260時間、24〜260時間、24〜250時間又は24〜240時間内に完了してもよい。一実施形態においては、前腸前部(AFG)、前腸後部(PFG)又は中腸/後腸(MHG)のいずれか1つへの胚体内胚葉細胞の分化は、24〜240時間以内に完了する。
【0091】
別の実施形態においては、前腸後部(PFG)の細胞を、1又は2以上のFGF/MAPKインヒビター;1又は2以上のヘッジホッグインヒビター;1又は2以上のBMPインヒビター;1又は2以上のWntインヒビター;レチノイン酸(RA)、及びアクチビンAと接触させることにより、前記PFGを3日以内の胚体内胚葉から誘導して、膵臓前駆細胞にさらに分化させることができる。
【0092】
一実施形態においては、FGF/MAPKインヒビターはPD0325901又はPD173074を含み、ヘッジホッグインヒビターはSANT1を含み、BMPインヒビターはLDN193189を含み、WntアクチベーターはIWP2又はC59を含む。
【0093】
別の実施形態においては、PFG細胞を、約1nM〜100mMのPD0325901又はPD173074、約1nM〜100mMのSANT1、約1nM〜100mMのLDN193189、約1nM〜100mMのIWP2又はC59、約1nM〜100mMのレチノイン酸及び約1ng/ml〜10μg/mlのアクチビンAと接触させることができる。別の実施形態においては、PFG細胞を、約0.5μMのPD0325901又は100nMのPD173074、約150nMのSANT1、約250nMのLDN193189、約4μMのIWP2、約2μMのレチノイン酸及び約10ng/mlのアクチビンAと接触させることができる。
【0094】
別の実施形態においては、膵臓前駆体の細胞は、未分化細胞と比較して、限定されるものではないが、PDX1遺伝子などの膵臓遺伝子の遺伝子又はタンパク質発現レベルが上昇していてもよく、限定されるものではないが、AFP及びHNF4Aなどの肝臓前駆体遺伝子又はタンパク質発現を排除してもよい。別の実施形態においては、膵臓前駆体の細胞は、未分化細胞と比較して、限定されるものではないが、PDX1遺伝子などの膵臓遺伝子の発現レベルの上昇を含み、限定されるものではないが、AFP及びHNF4Aなどの膵臓前駆体遺伝子又はタンパク質発現を排除する。
【0095】
一実施形態においては、前腸後部(PFG)の細胞を、1又は2以上のTGFβインヒビター;レチノイン酸(RA);1又は2以上のBMPアクチベーター、及び1又は2以上のWntインヒビターと接触させることにより、前記PFGを4日以内の胚体内胚葉から誘導して肝臓前駆細胞にさらに分化させることができる。
【0096】
一実施形態においては、TGFβインヒビターはA83−01を含み、1又は2以上のBMPアクチベーターはBMP4を含み、1又は2以上のWntインヒビターはIWP2又はC59を含む。
【0097】
別の実施形態においては、PFGを、約1nM〜100mMのA83−01、約1nM〜100mMのRA、約1ng/ml〜10μg/mlのBMP4、及び約1nM〜100mMのIWP2又はC59と接触させる。別の実施形態においては、PFGを、約1μMのA83−01、約2μMのRA、約10ng/mlのBMP4、及び約4μMのIWP2と接触させる。
【0098】
別の実施形態においては、肝臓前駆体の細胞は、未分化細胞と比較して、限定されるものではないが、AFP及びHNF4A遺伝子などの肝臓遺伝子の遺伝子又はタンパク質発現レベルの上昇を含んでもよく、限定されるものではないが、PDX1などの膵臓前駆体遺伝子又はタンパク質発現を排除してもよい。
【0099】
一実施形態においては、原始線条前部系列の細胞を、TGFβ/Nodalシグナリングの1若しくは2以上のアクチベーター、及びBMPシグナリングの1若しくは2以上のインヒビター、又はWntシグナリングの1若しくは2以上のインヒビターと接触させることにより、原始線条前部細胞を胚体内胚葉(DE)系列の細胞に分化させる方法が提供される。
【0100】
一実施形態においては、DE細胞をTGFβインヒビター及びBMPインヒビターと接触させることにより、前記DEの細胞をAFGの細胞に分化させる方法が提供される。
【0101】
一実施形態においては、DE系列の細胞をレチノイン酸、BMPインヒビター、Wntインヒビター及びFGF/MAPKインヒビターと接触させることにより、DEの前記細胞をPFGの細胞に分化させる方法が提供される。
【0102】
一実施形態においては、DE系列の細胞をBMPアクチベーター、Wntアクチベーター及びFGFアクチベーターと接触させることにより、前記DE細胞をMHGの細胞に分化させる方法が提供される。
【0103】
一実施形態においては、PFGの膵臓前駆体を、1又は2以上のFGF/MAPKインヒビター;1又は2以上のヘッジホッグインヒビター;1又は2以上のBMPインヒビター;1又は2以上のWNTインヒビター;レチノイン酸(RA)、及びアクチビンAと接触させることにより、3日以内のDEから前記PFGを誘導する方法が提供される。
【0104】
一実施形態においては、PFGの肝臓前駆体を、1又は2以上のTGFβインヒビター;レチノイン酸、1又は2以上のBMPアクチベーター、及び1又は2以上のWntインヒビターと接触させることにより、4日以内のDEから前記PFGを誘導する方法が提供される。
【0105】
本明細書に記載の方法において、細胞を接触させるステップは、意図される細胞系列への細胞の増殖及び/又は分化を支援することができる好適な培養培地中で細胞を培養することを含んでもよい。特に、細胞の接触は、培養培地中の細胞を、1又は2以上の分化因子と一緒にインビトロでインキュベートすることを含むことが意図される。用語「接触」は、分化因子への細胞のインビボでの曝露を含むことが意図されず、任意の好適な様式で行うことができる。例えば、細胞を、1又は2以上の分化因子を含む接着培養液、又は懸濁培養液中で処理することができる。1又は2以上の分化因子と接触させた細胞を、他の細胞分化環境でさらに処理して、細胞を安定化させるか、又は細胞をさらに分化させることができることが理解される。
【0106】
一実施形態においては、幹細胞を、他の因子を添加するか、又は細胞系列の増殖、維持若しくは分化のために適合するように加工することができる培養培地中の1又は2以上の分化因子と接触させる。幹細胞の多能性を維持するために、例えば、本明細書に開示される幹細胞及び細胞系列を、条件培地、例えば、mEF−CM、又は新鮮な無血清培地のみ、mTesR、又は当業界で公知である他のhPSC維持培地又は異種由来成分非含有(xeno-free)培地、例えば、Essential 8中で培養することができる。幹細胞を分化させるために、本明細書に開示される幹細胞及び細胞系列を、フィーダーフリー培地又はフィーダー層を含む培地中で培養することができ、ここで、培養培地をIscove's Modified Dulbecco's Media(IMDM)、F12、トランスフェリン、インスリン、濃縮脂質、又はポリビニルアルコール(PVA、polyvinyl alcohol)を含有するものとして化学的に定義することができる。多能性維持培地を分化のために用いることができる。あるいは、分化のために、当業界で公知の細胞の生存及び増殖のための基本成分を含有し、分化を混乱させる追加の増殖因子/化学物質を含有しない最小基本培地から誘導される基本培地を用いることができる。
【0107】
一実施形態においては、培養培地は、フィーダー層から得られる条件培地であってもよい。フィーダー層は線維芽細胞を含み、一実施形態においては、胚性線維芽細胞を含むことが企図される。
【0108】
本発明の一実施形態においては、フィーダー細胞層は、フィーダー層を形成する細胞を培養し、該細胞を不活化することを本質的に含む方法により生成される。フィーダー細胞層を形成する細胞を、好適な培養基質上で培養することができる。一実施形態においては、好適な培養基質は、細胞外マトリックス成分、例えば、基底膜から誘導されるもの、又は接着分子受容体−リガンドカップリングの一部を形成することができるものなどである。一実施形態においては、好適な培養基質は、MATRIGEL(登録商標)(Becton Dickenson社)である。MATRIGEL(登録商標)は、室温でゲル化して再構成された基底膜を形成するEngelbreth-Holm-Swarm腫瘍細胞に由来する可溶性調製物である。別の実施形態においては、好適な培養基質は、ゼラチン(Sigma社)である。他の細胞外マトリックス成分及び成分混合物は、代替物として好適である。1つの他の実施形態は、Geltrex(商標)LDEV-Free hESC qualified reduced growth factor基底膜マトリックスである。増殖させる細胞型に応じて、これはラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、ビトロネクチン、エンタクチン、硫酸ヘパランなどを、単独で、又は様々な組合せで含んでもよい。
【0109】
代替的な培養系は、胚性幹細胞の増殖を促進することができる増殖因子を添加した無血清培地を用いる。例えば、幹細胞を、幹細胞自己複製を誘発することができる異なる増殖因子を添加した非条件化血清補充(SR、serum replacement)培地中で維持するフィーダーフリー、無血清培養系。
【0110】
一実施形態においては、培養培地は、フィーダー細胞を含有しなくてもよいフィーダーフリー培養培地又は培養物中にフィーダー細胞も外因的に添加されたフィーダー細胞も含まない培養物から取得された外因的に添加された条件培地であってもよい。勿論、培養される細胞がフィーダー細胞を含有した種培養から誘導される場合、偶発的な同時単離及び所望の細胞(例えば、未分化霊長類幹細胞)と共にいくらか小さい割合のこれらのフィーダー細胞の別の培養物へのその後の導入は、フィーダー細胞の意図的な導入と見なされるべきではない。そのような例においては、培養物はデミニミス数のフィーダー細胞を含有する。「デミニミス」とは、分化可能な細胞がフィーダー細胞上で培養されていてもよい以前の培養条件から現在の培養条件にわたって保持されるフィーダー細胞の数を意味する。同様に、培養物中に播種された幹細胞から発生するフィーダー細胞又はフィーダー様細胞は、培養物中に意図的に導入されたと見なされるべきではない。例えば、APS、DE、AFG、PFG(4日プロトコール)及びMHG分化のために、化学的に定義され、PVA、インスリン、トランスフェリン、濃縮脂質、モノチオグリセロール、IMDM、又はF12を含有してもよいフィーダーフリー培養培地を用いることができる。あるいは、PFG、膵臓及び肝臓分化のために、化学的に定義され、PVA、濃縮脂質、ノックアウト血清補充(KOSR、knockout serum replacement)、IMDM、F12を含有してもよいフィーダーフリー培養培地を用いることができる。
【0111】
従って、一実施形態においては、幹細胞の増殖及び/又は分化のために本明細書に記載の本発明の方法において用いられる培養培地は、フィーダー細胞又はフィーダー層を実質的に含まなくてもよい。さらに、フィーダーフリー培養培地は、幹細胞を、好適な培養基質、例えば、細胞外マトリックス成分(すなわち、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、エンタクチン、硫酸ヘパランなどを単独で、又は様々な組合せで)で被覆された任意の基質、又はMATRIGEL(商標)上で増殖させる必要があってもよい。そのようなものとして、別の実施形態においては、幹細胞を、培養基質としてマトリックス成分を使用しながら、フィーダー細胞層を含まない培養培地中で培養することができる。別の実施形態においては、幹細胞の増殖及び/又は分化のために本明細書に記載の本発明の方法において用いられる培養培地は、懸濁培養培地などの基質マトリックスを使用せずに、フィーダー細胞又はフィーダー層を実質的に含まなくてもよい。
【0112】
一実施形態においては、1又は2以上の下記因子:1又は2以上のFGF/MAPKインヒビター;1又は2以上のヘッジホッグインヒビター;1又は2以上のBMPインヒビター、1又は2以上のWNTインヒビター、レチノイン酸、アクチビンA、及びPI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地が提供される。
【0113】
別の実施形態においては、本発明は、1又は2以上の下記因子:マトリックス成分、TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター、Wnt/β−カテニンシグナリングの1又は2以上のアクチベーター、及びPI3K/mTORシグナリングの1又は2以上のインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地を提供する。
【0114】
別の実施形態においては、本発明は、1又は2以上の下記因子:TGFβ/Nodalシグナリングの1又は2以上のアクチベーター、及びBMPシグナリングの1又は2以上のインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地を提供する。
【0115】
別の実施形態においては、本発明は、TGFβインヒビター及びBMPインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地を提供する。
【0116】
別の実施形態においては、本発明は、1又は2以上の下記因子:レチノイン酸、BMPインヒビター、Wntインヒビター及びFGF/MAPKインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地を提供する。
【0117】
別の実施形態においては、本発明は、1又は2以上の下記因子:BMP4、Wntアクチベーター及びFGFアクチベーターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地を提供する。
【0118】
別の実施形態においては、本発明は、1又は2以上の下記因子:1又は2以上のFGF/MAPKインヒビター;1又は2以上のヘッジホッグインヒビター;1又は2以上のBMPインヒビター;1又は2以上のWntインヒビター;レチノイン酸(RA)、及びアクチビンAを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地を提供する。
【0119】
別の実施形態においては、本発明は、1又は2以上の下記因子:1又は2以上のTGFβインヒビター;1又は2以上のBMPアクチベーター、及び1又は2以上のWntインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地を提供する。
【0120】
別の実施形態においては、本発明は、1又は2以上の下記因子:Nodal/TGFβの1又は2以上のインヒビター;BMPの1又は2以上のインヒビター;FGF/MAPKの1又は2以上のインヒビター、及びWntの1又は2以上のインヒビターを含む、幹細胞を1又は2以上の細胞系列に分化させるための細胞培養培地を提供する。
【0121】
別の実施形態においては、TGFβ/Nodalシグナリング、BMPシグナリングのアクチベーター又は増殖因子シグナリングのモジュレーターを含む分化因子は、約0.01ng/ml〜約20μg/ml、又は約0.5ng/ml〜約15μg/ml、又は約1ng/ml〜約10μg/ml、又は約10ng/ml〜約10μg/ml、又は約15ng/ml〜約5μg/mlの範囲の量の細胞培養系中にあってもよい。さらに、TGFβ/Nodalシグナリングのインヒビター、Wntシグナリングのアクチベーター、PI3K/mTORシグナリングのインヒビター、BMPシグナリングのインヒビター、レチノイン酸のアクチベーター、FGF/MAPKのインヒビター、ヘッジホッグのインヒビターを含む分化因子は、約0.1nM〜約200mM、又は約0.5nM〜約150mM、又は約0.5nM〜約100mM、又は約1nM〜約100mMの範囲の量の細胞培養系中にあってもよい。
【0122】
一実施形態においては、本明細書に記載の方法のいずれかに従って産生される細胞が提供される。
【0123】
一実施形態においては、本明細書に記載の細胞培養培地の1又は2以上の容器を使用説明書と一緒に含む、本明細書に記載の方法のいずれか1つにおける使用のためのキットが提供される。
【0124】
本明細書に例示的に記載される開示を、本明細書に特に開示されない、任意の要素又は複数の要素、限定又は複数の限定の非存在下で好適に実行することができる。かくして、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などは、広く、また限定なく読まれるべきである。さらに、本明細書で用いられる用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として用いられたものであり、示され、記載される特徴又はその一部の任意の等価物を含まないそのような用語及び表現の使用における意図はないが、様々な改変が特許請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。かくして、本発明は好ましい実施形態及び任意選択の特徴により特に開示されたが、当業者であれば本明細書に開示される本発明において実施される本発明の改変及び変更を用いることができ、そのような改変及び変更が本発明の範囲内にあると考えられることが理解されるべきである。
【0125】
本開示は、本明細書に広く、一般的に記載されてきた。一般的開示内にあるより狭い種及び亜属群もそれぞれ、本発明の一部を形成する。これは、切り出された材料が本明細書に特に記載されたかどうかに関係なく、属から任意の主題を除去する条件又は負の限定で本発明の一般的記載を含む。
【0126】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲及び非限定的例の中にある。さらに、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ形式を単位として記載される場合、当業者であれば、本発明もまたマーカッシュ形式の任意の個々のメンバー又はそのメンバーの亜群を単位としてそれにより記載されることも認識する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
本発明は、非限定例及び添付の図面と共に考えた場合、詳細な説明を参照してより良く理解される。
図1】H9 hESCのAFBLy処理及びGO分析中に2倍を超えて上方調節された遺伝子のマイクロアレイ再分析の略図である。
図2】PS形成に対する、増加するFGF2(10〜40ng/mL)、Wnt3a(15〜100ng/mL)、CHIR99021(50〜1000nM)又はBMP4(3〜20ng/mL)(それぞれ、パネルi、ii、iii及びiv)並びに対応するインヒビター(100nMのPD173074、2μMのIWP2、150ng/mLのDkk1及び250nMのDM3189)の試験効果を示す図である。H1 hESCを、示されたシグナリング摂動と共にアクチビン(100ng/mL)、FGF2(20ng/mL)及び10μMのLY294002(「AFLy」又は「ALy」)の示された基本的組合せを用いて24時間、PSに向かって分化させ、qPCRを実施した(1日目)。
図3】PSからのDEと中胚葉発生に対する、増加するBMP、FGF又はWntシグナリング(10ng/mLのBMP4、3μMのCHIR及び5〜20ng/mLのFGF2;それぞれ、パネルi、ii及びiii)の試験効果を示す図である。H1 hESCを、AFBLyでPSに向かって24時間最初に分化させた後、示されたシグナリング摂動と共にAFLy、AFBLy又はALy+250nMのDM3189(「ADLy」)で48時間分化させ、qPCRを実施した(3日目)。
図4】原始線条、中胚葉及び胚体内胚葉の特定のための時間的動力学シグナリング論理を示す図である。(i)MIXL1−GFP APS誘導のためのBMPの必要性を示す;(ii)BMP、FGF、Wnt及びTGFβシグナリング並びに誘導された系列に対するその効果を示す;及び(iii)(ii)のグラフ表示を示す。
図5】BRACHYURY、FOXA2、EOMES及びLHX1(DAPIによる核対抗染色)について染色された、24時間にわたってACPにより分化させたH1 hESCを示す図である。スケールバーはこれ以降の図面の全てについて100μmである(左側);実質的に全てのHES3 hESCは、FACSにより示されるように、ACP分化の24時間後にMIXL1−GFP+である(右側)。
図6】独立した3つのマイクロアレイヒートマップを示す図である;未分化のHES3 hESC(0日目)、ACPにより誘導されたAPS(1日目)、SR1により誘導されたDE(3日目)又はAFBLy若しくは血清により3日間分化させたhESC。
図7】3日間の分化後にSR1、血清又はAFBLyで処理されたH1 hESCのFOXA2及びSOX17染色を示す図である(上);7つのhPSC株からのhPSC中(灰色)又はSR1分化後(青色)のCXCR4+PDGFRα−DEパーセンテージの概要。ドットは実験反復物を表す(左下);異なる分化プロトコール後のCXCR4+PDGFRα−DEパーセンテージをまとめるヒストグラムである。エラーバーは標準偏差を表す(右下)。
図8】H9 SOX17−mCHERRY hESCのFACS分析を示す図である;2日間のSR1分化の前又は後のリポーター発現。
図9】示されたhPSC株からのSR1分化の前又は後のCXCR4及びPDGFRα発現のFACS分析を示す図である。
図10】SR1、AFBLy又は血清による2日間の分化の前又は後の80のH7 hESCの単一細胞qPCRヒートマップを示す図である。
図11】0〜2日間のSR1誘導後のH1 hESCの神経分化能(neural competence)を示す図である。これを神経化培地(「N」、3日間)に移し(「→」)、神経遺伝子発現をSR1により誘導されたDEと比較した(「3日目のDE」)。
図12】hESC由来内胚葉の前後パターン化の模式図である。
図13】転写因子がインビボで前後ドメインの境界を定めることを示す図である。
図14】MHG誘導に対する(i)増加するBMP4(10〜25ng/mL)又は(ii)増加するCHIR(3〜6μM)の効果を示す図である。3日目のDEを、示されたAFG及びPFG対照と共に7日目まで指定のシグナリング摂動と共に示された基本条件でその後4日間分化させた(図S4aにより包含される);(i)FGF+CHIR=100ng/mL FGF2+3μM CHIR;(ii)BF=10ng/mL BMP4+100ng/mL FGF2。
図15】それぞれH1由来の7日目のAFG及びMHGのOTX2、FOXA2及びCDX2免疫染色を定量と共に示す図である。
図16】独立した3回における7日目のHES3由来AFG、PFG、及びMHG集団のマイクロアレイヒートマップを示す図である。
図17】H7及びHES3 hESC株に由来する7日目のAFG、PFG、及びMHG集団のqPCRを示す図である。HOX遺伝子を囲みで示す。
図18】膵臓又は肝臓分化能を示す図である。3日目のDEが1〜2日でAFG又はPFGにパターン化された場合、その後それぞれをさらに3日間で膵臓又は肝臓に向かって分化させた。
図19】膵臓対肝臓誘導に対する増加する量の(i〜iii)BMP/TGFβシグナリング又は(iv)FGF/MAPKシグナリングの効果を示す図である。3日目のDEを、(i〜ii)5〜20ng/mLのアクチビン又は(ii〜iii)5〜10ng/mLのBMP4及び示される場合、対応するインヒビター(1μMのA8301、250nMのDM3189、100nMのPD173074、500nMのPD0325901)を用いる示された条件を用いて分化させた。基本条件に関する省略:(i)RS=2μMのRA+SANT1;(ii〜iii)RS+PD=RS+PD0325901;(iv)DRK=DM3189+RA+KAAD−シクロパミン。
図20】肝臓対膵臓誘導に関する(i)動力学シグナリング入力、(ii)真理値表並びに(iii)BMP及びTGFβシグナリングの二分を示す図である。
図21】Afp肝臓前駆体の効率的特定を示す図である。
図22】hESC由来後期肝臓子孫における、CYP3A4代謝活性に関する基質ルシフェラーゼアッセイ(i)及びLDLR発現及びLDL−DyLight594取込みに関する染色(ii)を示す図である。
図23】CAG−GFP+hESCが、移植された場合に初期肝臓前駆体又は後期肝臓子孫に分化したことを示す図である(左上);マウス血清中のヒトアルブミンレベル、それぞれのドットは個々のマウスである(上手く生着したマウスの画分を示した;右上);異なる小葉及び部分体に関するレシピエント全肝臓横断面を示す。スケールバー=5mm(中央右);4つの異なる肝葉におけるヒトアルブミン及びGFPに関する同時染色、フィールドを上に番号付けた(下)。
図24】示された系列移行で上方調節される段階特異的遺伝子のRNA−seqヒートマップを示す図である。
図25】APSエンハンサーが分化の24時間以内に迅速に活性化されることを示す図である。
図26】異なる活性エンハンサープログラムが内胚葉発生の際に起動されることを示す図である。
図27】別々の前後ドメインにおける相互排他的なエンハンサー活性化を示す図である。
図28】予備選択を用いないGREATによるDE特異的活性エンハンサーと関連する上位GO用語を示す図である。
図29】内胚葉エンハンサー活性化が近隣の遺伝子活性化と相関することを示す図である。
図30】内胚葉特異的活性エンハンサーが保存されることを示す図である。
図31】同時的内胚葉エンハンサーの比較一覧を示す図である。
図32】内胚葉特異的活性エンハンサー内で富化される転写因子モチーフを示す図である。
図33】内胚葉エンハンサー活性と関連する結合転写因子同時占有を示す図である。
図34】転写因子及びシグナリングエフェクターが活性内胚葉エンハンサーを同時占有することを示す図である。
図35】内胚葉エンハンサーが多能性細胞中で複数の異なる「プレエンハンサー」状態で存在することを示す図である。
図36】hESC中の所与のクロマチン因子による内胚葉プレエンハンサー標識化の頻度を示す図である。
図37】H2Azのみのプレエンハンサーが分化の際に内胚葉転写因子をより容易に誘引することを示す図である。
図38】運命付けられていない細胞中の複数の「プレエンハンサー」状態のグラフ表示である。
図39】AFBLy条件で分化したhESC細胞中での中胚葉と内胚葉の両方の調節遺伝子の発現を示す図である。
図40】AFBLyが中胚葉転写因子を優先的に上方調節することを示す図である。
図41】原始線条からの効率的な内胚葉形成が内因性BMPシグナリングの阻害を必要とすることを示す図である。
図42】独立したH1 hESC株における後期BMP遮断が中胚葉形成を編集することを示す図である。
図43】BMP阻害が内胚葉を拡張させることを示す図である。
図44】初期BMPシグナリング動力学の概要を表す図である。
図45】3つの独立したWntアンタゴニストが原始線条からの中胚葉形成を編集することを示す図である。
図46】BMP及びWntの二重の阻害が中胚葉形成を抑制するのに不必要であることを示す図である。
図47】分化中の内因性シグナリングの上方調節を示す図である。
図48】FGFが前部及び後部PPS特定を許容することを示す図である。
図49】FGF及びPI−103の発現レベルがPS誘導から変化することを示す図である。
図50】化学的PI3Kインヒビターの化学構造、特異性及び効能を示す図である。
図51】PS分化におけるPI3KインヒビターLY294002、PIK−90及びPI−103の比較効能を示す図である。
図52】核型的に正常であるフィーダーフリー条件での未分化増殖への民族的に多様なhESC株の適応を示す図である。
図53】フィブロネクチンの内胚葉誘導を示す図である。
図54】TGFβ及びWntシグナリング並びにPI3K/mTOR阻害が線条前部を効率的に特定することを示す図である。
図55】SR1によるHES2及びHES3の分化のFACSを示す図である。
図56】内胚葉におけるCD90及びPdgfraの放棄(relinquishing)を示す図である。
図57】FACS分析のためのゲーティング戦略を示す図である。
図58】SR1が多様なhESC株から胚体内胚葉、中胚葉欠如又は他の外来性系列を効率的に特定することを示す図である。
図59】異なる方法間でのFACS比較を示す図である。
図60】SR1によるSox17Foxa2胚体内胚葉の効率的誘導を示す図である。
図61】hESC及びhiPSCがSR1によって内胚葉に同等に効率的に分化することを示す図である。
図62】hESC由来胚体内胚葉の前後パターン化のための仮定的シグナリング要件を示す図である。
図63】BMP、FGF/MAPK、Wnt及びヘッジホッグシグナリングが膵臓特定化を協調的に抑制することを示す図である。
図64】肝臓特定化中の膵臓の排除を示す図である。
図65】hESCからの肝臓分化戦略の比較を示す図である。
図66】6日の期間後のhESC分化の肝臓成熟中のアルブミンの誘導を示す図である。
図67】初期ではなく、後期のhESC由来子孫生着を示す図である。
図68】hESC由来生着子孫によるHepPar1及びアルブミンの同時発現を示す図である。
図69】生着したhESC由来肝臓細胞が検出可能なレベルのAfpを発現しないことを示す図である。
図70】内胚葉分化の統計学的分析を示す図である。
図71】CXCR4エンハンサーでの片側性のH3K27ac活性化及び付随するPRC2抑制を示す図である。
図72】前後パターン化中の細胞型特異的エンハンサー使用を示す図である。
図73】Eomes、Smad2/3、Smad4及びFoxh1が内胚葉エンハンサーを同時占有することを示す図である。
図74】他の系列エンハンサーがSR1により誘導される内胚葉中で頻繁に不活化されることを示す図である。
図75】神経関連エンハンサーが以前のhESC由来内胚葉集団中で活性であることを示す図である。
図76】hESCにおけるDEプレエンハンサークラスの普及のグラフ表示である。
図77】DEプレエンハンサークラスのゲノム位置を示す図である。
図78】中胚葉プレエンハンサークロマチン状態を示す図である。
図79】前腸前部に限定される活性エンハンサーを示す図である。
図80】前後パターン化中のHoxa遺伝子座のクロマチン構造を示す図である。
【実施例】
【0128】
実験セクション
材料及び方法
hESC及びhiPSCの未分化増殖
1.MEF同時培養から規定の培養条件への初期適合化
本研究において用いられる多くのhESC株は、照射されたマウス胚性線維芽細胞(MEF)フィーダー層上で元々培養されたものであった。hESC株をフィーダーフリー培養物に適合させるために、MEFで増殖させたhESCをMatrigel被覆プレート上で連続的に継代し、MEF条件培地(CM、conditioned medium)中で増殖させた。MEF−CMを生成するために、集密なMEF培養物をKOSR培地(20%KOSR(Gibco社、v/v)、L−グルタミン、非必須アミノ酸(NEAA、non-essential amino acid)、α−メルカプトエタノール、ペニシリン、ストレプトマイシン及び4ng/mLのFGF2(MEFサイトカイン産生を刺激するため)を添加したDMEM/F12)で処理し、24時間後、KOSR条件培地を回収、濾過し、さらに15ng/mLのFGF2を添加した後、hESC培養物に添加した。
【0129】
2.規定条件における長期未分化増殖(mTeSR1)
一旦、hESC株をMEF−CM培養条件に適合させた後、それらをmTeSR1(StemCell Technologies社)中での増殖に適合させた。これを達成するために、hESCをMEF−CM中に塗布した2日後に、それらをmTeSR1に移した。MEF−CMからmTeSR1への初期導入時に初めはわずかなhESC増殖の阻害が見られ、通常はいくらかの分化が同様に得られた。hESCをmTeSR1中で連続的に継代し、最終的に未分化のhESCをmTeSR1中で安定に増殖させることができるまで、明らかに分化した細胞を機械的に擦り取った(図52)。hESCが高品質でmTeSR1に適合した(すなわち、同時的分化が完全に排除された)後にのみ、それらを分化実験のために続けて用いた。これを行って、交絡下流分化に由来する未分化状態の動物フィーダー又は未規定の培地成分へのhESCの曝露を防止した。最終的に、H1、H7、H9、HES2及びHES3 hESC株がmTeSR1中での未分化増殖に最終的に適合し、核型的に正常であった(図52)。
【0130】
hiPSC株BJC1及びBJC3を、ヒトBJ包皮線維芽細胞株に必須再プログラミング因子(obligatory reprogramming factor)(J Durruthy-Durruthy、V Sebastiano、非公開の研究)をコードするmRNAをトランスフェクトすることにより誘導し、続いてそれらを、hESCを増殖させ、継代するために用いられるものと同一の技術によりmTeSR1を用いて未分化状態で増殖させた(図52)。
【0131】
分化のための被覆細胞培養プラスチック
細胞培養プラスチックを、ヒトフィブロネクチン(Millipore社、FC010)又はMatrigel(BD Biosciences社)のいずれかで予め被覆した後、SR1分化のためにhPSCを上に塗布した。12穴プレート中の単一のウェルについて、ウェルを100μLの滅菌PBSで簡単に湿らせて、ウェルの全表面積を覆った後、過剰のPBSを除去した。次いで、200μLのヒトフィブロネクチン(PBS中で10μg/mLに希釈されたもの)をウェルに添加し、37℃で1時間、ウェルの表面に吸着させた。フィブロネクチン被覆が完了した後、全てのフィブロネクチン溶液を除去し、次いで、hPSCを塗布した。Matrigel被覆のために、Matrigelを最初にDMEM/F12(Gibco社)中で1:15に希釈した。ウェルを十分に希釈されたMatrigelで簡単に被覆して、全表面積を覆った後、Matrigelを回収し、将来の使用のために保存した。次いで、プレートを37℃で15分間インキュベートして、Matrigel層の集合を可能にした。これを2回繰り返した。つまり、再びウェルを、希釈されたMatrigelで簡単に覆った後、37℃で15分間インキュベートした。その後、残留するMatrigelを吸引し、続いて、hPSCを塗布した。
【0132】
SR1中での定義された胚体内胚葉特定化
全てのhESC及びhiPSC株を、mTeSR1中でフィーダーフリーで増殖させた(図52)。完全に限定された無血清のCDM2基本培地中、フィーダーフリーで分化が行なわれた。分化の前に、集密なhPSC培養物を、ヒトフィブロネクチン又はMatrigelのいずれかで被覆された新しいプレート上でコラゲナーゼIV(典型的には、1:3の分割比)を用いて小塊として継代した。mTeSR1中に回収した1〜2日後、hPSCをF12(Gibco社)で洗浄して、全てのmTeSR1を排出させ、次いで、CDM2中のアクチビンA(100ng/mL、R&D Systems社)、CHIR99021(2μM、Stemgent社)、及びPI−103(50nM、Tocris社)で24時間処理して、APSを特定した。その後、細胞を洗浄(F12)した後、CDM2中のアクチビンA(100ng/mL)及びLDN−193189/DM3189(250nM、Stemgent社)で48時間処理して、3日目までにDEを生成させた。培地を24時間毎に新しくした。
【0133】
7日目までその後4日間、DEをAFG(A−83−01、1μM及びDM3189、250nM)、PFG(RA、2μM及びDM3189、250nM)、又はMHG(BMP4、10ng/mL;CHIR99021、3μM;及びFGF2、100ng/mL)のいずれかに前後パターン化させた。
【0134】
SR1中での胚体内胚葉の定義された前後パターン化
3日目のDEを、CDM2中での継続的分化の4日目までにAFG、PFG、又はMHGにパターン化させた。DEを洗浄(F12)した後、以下のように分化させた:AFG、A−83−01(1μM、Tocris社)、及びDM3189(250nM);PFG、RA(2μM、Sigma社)及びDM3189(250nM);MHG、BMP4(10ng/mL、R&D Systems社)、CHIR99021(3μM)、及びFGF2(100ng/mL)、7日目の前後ドメインを得た。
【0135】
hESC由来肝臓前駆体(CDM2+ノックアウト血清補充(KOSR、10%v/v、Gibco社)中)を誘導するために、3日目のDEを洗浄し、初期PFGに向かってDM3189(250nM)、IWP2(4μM、Stemgent社)、PD0325901(500nM、Tocris社)、及びRA(2μM)で1日処理した(全て「DIPR」として知られる;4日目)。続いて、細胞を洗浄(F12)した後、A−83−01(1μM)、BMP4(10ng/mL)、IWP2(4μM)、及びRA(2μM)でさらに3日間分化させて、分化の7日目に肝臓前駆体を含有する集団を得た。図25に詳述されるように、DEからの一過的な1日のDIPR処理の原理は、(i)PFGドメインを区域化するためのRA(Stafford, D., and Prince, V.E. (2002). Retinoic acid signaling is required for a critical early step in zebrafish pancreatic development. Curr Biol 12, 1215-1220)と共に、(ii)MHG形成を抑制し、過剰の後方化(posteriorization)を防止するためのBMP、FGF/MAPK及びWntシグナリングの阻害(それぞれ、DM3189、PD0325901及びIWP2を用いる)を用いることであった。図63ivに示されるように、PFGを一時的に特定するための初日のDIPR処理は、その後の膵臓発生を増強する。
【0136】
CDM2基本分化培地の調製
1mg/mLのポリビニルアルコール(Sigma社、A1470又はEuropa Bioproducts社、EQBAC62)、1%v/vの化学規定脂質濃縮物(Gibco社、11905−031)、450 Mのモノチオグリセロール(Sigma社、M6145)、0.7μg/mLのインスリン(Roche社、1376497)及び15μg/mLのトランスフェリン(Roche社、652202)を添加した、50%IMDM(Gibco社)及び50%F12(Gibco社)を含むCDM2を滅菌濾過(22μmフィルター、Millipore社)し、2週間以内の分化のために用いた。化合物及び組換え増殖因子を添加して、上記のような異なるステップの分化を惹起した。APS、DE、AFG、PFG、及びMHGへのhESC分化を、CDM2のみの中で行った。初期PFG(DIPR)へのhESC分化並びにその後の肝臓前駆体分化のために、10%v/vのKOSRを添加したCDM2を用いて細胞生存を補助した。
【0137】
別の系列への分化
AFBLy(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)又は血清(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)を用いるDEに向かうhESC分化を、以前に記載のように実行した。AFBLyについては、hESCを簡単に洗浄(F12)した後、アクチビンA(100ng/mL)、FGF2(20ng/mL)、BMP4(10ng/mL)、及びLY294002(10μM)で3日連続で同時に処理した。血清分化については、hESCを簡単に洗浄(F12)した後、増加する量のFBS(Hyclone)−それぞれ、0%(1日目)、0.2%(2日目)、及び2%(3日目)v/vと組み合わせた、アクチビンA(100ng/mL)で3日連続で持続的に処理した。SR1との直接比較のために、AFBLy又は血清のいずれかにおける分化を、CDM2基本培地中で行った。
【0138】
運命相互変換分化実験
前腸分化能実験(図18)のために、3日目のDEを洗浄(F12)し、AFG(A−83−01+DM3189)又はPFG(RA+DM3189)に1〜2日間、一過的に分化させた後、再度洗浄(F12)し、続いて、さらに3日間、膵臓又は肝臓系列のいずれかに分化させた(上記のように)。
【0139】
RNA抽出、逆転写、及び定量的PCR
数分にわたって350μLのRLTバッファーを添加することにより、12穴プレートの個々のウェル中で増殖させた付着細胞からRNAは回収された。RNAは−80℃で無期限に凍結するか、又は直接抽出することができた。RNA抽出物はRNeasy Micro Kit(Qiagen社)にて行い、通常は製造業者の推奨通り、残留するゲノムDNAを除去するために中間の1時間はカラム上でDNase消化を行い、RNAは最終的に30μLのH2O中でカラムから溶出された。全RNA濃度の評価後、通常は100〜500ngの全RNAが、製造業者の説明書通りに逆転写(SuperScript Reverse Transcriptase、Invitrogen社)のために用いられた。最後に、cDNAはH2O中で1:30に希釈され、384穴ハイスループット形式でのqPCRのために用いられた。ウェルあたりそれぞれ個々のqPCR反応液(10μL)について、5μLの2X SYBR Green Master Mix(Applied Biosystems社)を使用し、0.4μLの組み合わせたフォワード及びリバースプライマーミックスと混合した(組み合わせたプライマーミックス中、10μMのフォワード+リバースプライマー)。qPCRをTm=60℃で40サイクル行い、反応の終わりに解離曲線を生成して、プライマー対あたりただ1つの生成物が特異的に増幅されたことを確保した。ddCt法によりqPCR分析を行った:それぞれのcDNA試料について、実験遺伝子の発現を、その同じcDNA試料のヒトハウスキーピング遺伝子(Pbgd)の発現に対して内部的に正規化した後、実験遺伝子の発現を、異なるcDNA試料間で決定することができた。全ての分化した集団について、実験遺伝子の発現を、同じ実験セットのために塗布した未分化のhESCと比較して、遺伝子発現の任意の気付かれた増加又は低下が未分化のhESC中でのその遺伝子のアブイニシオ(ab initio)の発現と有意に比例することを確保した。かくして、マトリックス(図1〜4)とヒストグラム(図39〜65)の両方における全てのqPCRデータについて、全ての遺伝子発現は、hESC中での遺伝子(例えば、SOX17の)発現のレベル=1となるように正規化される。それぞれの実験について、条件あたりの少なくとも2つの異なるウェルを回収し、それぞれのウェルについて、2又は3の技術的反復を、それぞれの遺伝子について実施し、その発現をqPCRにより分析した。
【0140】
「未定」の値に40のCT値を割り当て、かくして、その遺伝子の発現の保存的過剰評価を提供し、かくして、未定値と決定された値に達した試料との倍数機会(fold chance)を保存的に過少評価した。全てのqPCRプライマー対(表1に提供される配列)を、qPCR産物の増幅の直線性を確保するために広く検証した。
【0141】
【表1】
【0142】
細胞運命分岐の基礎となる発生シグナリング論理を推定するために、シグナリング摂動行列(図1〜23)を作成して、様々なシグナリング摂動(列)に応答する発生遺伝子発現(行)のqPCRデータを視覚的に表した。シグナリング摂動行列を、GenePatternのHeatMapViewerモジュール(http://genepattern.broadinstitute.org)を用いて、上記のような未分化のhESC中での発生遺伝子発現のレベルに対して正規化されたシグナリング摂動qPCR応答の入力データ行列として用いて作成した。HeatMapViewerにおいて、遺伝子発現値を色に直線的に変換し(それぞれの行列の下の色の凡例により示される)、無色は低い遺伝子発現を表し、より強い色はより高い遺伝子発現を表し、最も強い影の色はその行列中で試験された全てのシグナリング摂動において発現された遺伝子の最も高いレベルと等しい。
【0143】
単一細胞qPCR
個々の未分化のH7 hESC又はSR1、AFBLy若しくは血清レジメンにより48時間分化させたものを、マウスピペットを用いて手動で採取した(全体で合計80個の細胞について、条件あたり20個の細胞)。次いで、それらを溶解させ、個々の細胞からのRNAを逆転写し、CellsDirect One-Step qRT-PCR Kit(Life Technologies社、11753−500)を用いてプールされた特異的プライマー対(Actb、Yuhazi、Pbgd、Blimp1、Foxa2、Gata6、Sox17、Shisa2、Mixl1、Gata4、Mesp2、Pdgfrα、Oct4、Sox2、Nanog及びPrdm14のため;表2)を用いる予備増幅を対象とした。
【0144】
【表2】
【0145】
このアッセイの前に、プライマー対を、直線的増幅について、及び鋳型なしの対照(NTC、no template control)におけるシグナルの欠如について綿密に検証した。予備増幅後、使用されなかったプライマーを、エキソヌクレアーゼI(New England BioLabs社、PN M0293)を用いる清浄化ステップにおいて除去し、個々の細胞から得られるcDNAを、示されたプライマー対及びSsoFast EvaGreen Supermix with Low ROX(Bio-Rad社)を用いるBiomark HD System(Fluidigm社)上のBiomark 96.96 Dynamic Array(Fluidigm社)中でのハイスループットqPCRのために調製した。続いて、Ct値を、それぞれの単一細胞に関するYuhazi発現に対して内部的に正規化し、典型的には、逸脱したハウスキーピング遺伝子発現を示す個々のクローンを下流の分析から排除した。単一細胞のqPCRデータを、GenePatternのHeatMapViewerモジュール(http://genepattern.broadinstitute.org)を用いる遺伝子発現ヒートマップとして可視化した。有意なFoxa2レベルを発現する細胞を決定するために、全てのCt値をYuhaziに対して内部的に正規化(全ての細胞についてdCtYuhazi=0となるように)した後、6.5未満のdCtFoxa2を有するいかなる細胞もFoxa2+であると見なした。このカットオフで、hESC(20/20)はFoxa2を発現しなかったが、全てのSR1分化細胞(20/20)はFoxa2を発現し、わずかのAFBLy又は血清により誘導された細胞(それぞれ、1/20及び2/20)はFoxa2を発現した。
【0146】
蛍光活性化細胞選別(FACS)分析
6ウェル形式のSR1分化又は未分化hPSCを洗浄(DMEM/F12)し、TrypLE Express(Gibco社、6穴プレート中で0.75mL/ウェル)で簡単に処理し、激しくタップして細胞を剥離させた。TrypLE中の細胞を収集した後、ウェルをFACSバッファー(PBS+0.5%BSA+5mM EDTA)で複数回洗浄して残留する細胞を収集し、完全に粉砕したところ、単一細胞懸濁液が得られた。この細胞懸濁液を遠心分離(5分)し、FACSバッファー中に再懸濁(個々の染色あたり30〜50μL)し、暗室中で氷上で30分間、抗Cxcr4抗体PE Cy7(BD Biosciences社、560669、1:5に希釈)及び/又は抗Pdgfrα抗体PE(BD Biosciences社、556005、1:50に希釈)で染色した。続いて、細胞をFACSバッファー(個々の染色あたり1.5mL)で2回洗浄し、遠心分離(5min)により収集した。最後に、洗浄した細胞をFACSバッファー(個々の染色あたり300μL)中に再懸濁し、濾過(40μmフィルター、BD Biosciences社)し、DAPIで数分染色し(細胞の生存能力を評価するため)、FACSAria II(Stranford Stem Cell Institute FACS Core Facility)上で分析した。デジタル補償を実施して、チャンネル裏抜けについて制御し、蛍光マイナス1(FMO、fluorescence minus one)制御に基づいてゲートを綿密に設定した。未分化hPSC及びSR1分化細胞を常に同一に染色し、同じ実験で並行して分析して、抗体染色の特異性を確保した。それぞれ個々の染色につき、最少で10,000の事象を分析した後、FSC−A/SSC−A分析に基づいて事象を解析した;FSC−W/FSC−H、次いで、SSC−H/SSC−W上でのゲーティングにより細胞シングレットを選択し、最後に死滅した細胞をDAPI−細胞上でのみのゲーティングにより排除した(図57に示されるゲーティング戦略)。CD90は未分化のhPSCを同定するため(例えば、(Drukker, M., Tang, C., Ardehali, R., Rinkevich, Y., Seita, J., Lee, A.S., Mosley, A.R., Weissman, I.L., and Soen, Y. (2012). Isolation of primitive endoderm, mesoderm, vascular endothelial and trophoblast progenitors from human pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、Tang, C., Lee, A.S., Volkmer, J.-P., Sahoo, D., Nag, D., Mosley, A.R., Inlay, M.A., Ardehali, R., Chavez, S.L., Pera, R.R., et al. (2011). An antibody against SSEA-5 glycan on human pluripotent stem cells enables removal of teratoma-forming cells. Nat Biotechnol 29, 829-834))、場合により、細胞を上記のように(図56)抗CD90抗体FITC(BD Biosciences社、555595、1:50に希釈)で同時染色した。
【0147】
hPSC由来DEを、Cxcr4+Pdgfrα−として、これらの細胞表面マーカーの対応する胎生発現ドメインに基づいて定義した。典型的には、Cxcr4+のみを用いてhPSC分化中のDEを割り当てるが(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)、Cxcr4は、胚外及び胚内中胚葉を含む脊椎動物原腸胚中、インビボで胚外内胚葉並びに中胚葉のサブタイプにおいても発現される(Drukker, M., Tang, C., Ardehali, R., Rinkevich, Y., Seita, J., Lee, A.S., Mosley, A.R., Weissman, I.L., and Soen, Y. (2012). Isolation of primitive endoderm, mesoderm, vascular endothelial and trophoblast progenitors from human pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、McGrath, K.E., Koniski, A.D., Maltby, K.M., McGann, J.K., and Palis, J. (1999). Embryonic expression and function of the chemokine SDF-1 and its receptor, CXCR4. Developmental Biology 213, 442-456)。かくして、Cxcr4+のみでは、hPSC分化中のDEを正確に定義するには好適ではない((Drukker, M., Tang, C., Ardehali, R., Rinkevich, Y., Seita, J., Lee, A.S., Mosley, A.R., Weissman, I.L., and Soen, Y. (2012). Isolation of primitive endoderm, mesoderm, vascular endothelial and trophoblast progenitors from human pluripotent stem cells. Nat Biotechnol)により主張されている)。しかしながら、Pdgfrαは、内臓内胚葉と体壁内胚葉の両方を含む胚外内胚葉(移植前及び移植後の両方)において発現され、さらに、Pdgfrαはインビボで初期の胚内中胚葉及び胚外中胚葉において広く発現される(Orr-Urtreger, A., Bedford, M.T., Do, M.S., Eisenbach, L., and Lonai, P. (1992). Developmental expression of the alpha receptor for platelet-derived growth factor, which is deleted in the embryonic lethal Patch mutation. Development 115, 289-303、Plusa, B., Piliszek, A., Frankenberg, S., Artus, J., and Hadjantonakis, A.-K. (2008). Distinct sequential cell behaviours direct primitive endoderm formation in the mouse blastocyst. Development 135, 3081-3091)。かくして、Cxcr4+Pdgfrα−は同時に、潜在的な中胚葉又は胚外内胚葉を排除することによりDEをより正確に説明する。
【0148】
APS及びDE分化効率を正確に定量するために、蛍光リポーターが相同組換えにより示された遺伝子座に導入された、MIXL1−GFP HES3(Davis, R.P., Ng, E.S., Costa, M., Mossman, A.K., Sourris, K., Elefanty, A.G., and Stanley, E.G. (2008). Targeting a GFP reporter gene to the MIXL1 locus of human embryonic stem cells identifies human primitive streak-like cells and enables isolation of primitive hematopoietic precursors. Blood 111, 1876-1884)及びSOX17−mCHERRY H9ノックインリポーター株(以下に記載)をそれぞれ用いた。SR1中での分化の24時間後(APS)又はSR1中での分化の48時間後(DE)、分化及び未分化リポーターhESCを単一の細胞中で解離させ、上記のようにフローサイトメトリーにより分析した。それぞれの分化処理後のMIXL1−GFP+又はSOX17−mCHERRY+細胞の数を決定するために、並行して分析した未分化hESC中でのこれらのリポーターの発現に基づいてゲーティングを綿密に設定した:全ての例において、1〜2%未満の未分化hESCがMIXL1−GFP+又はSOX17−mCHERRY+となるようにゲートを設定した。
【0149】
Sox17mCHERRY/whESCリポーター株の作成
SOX17−mCHERRY標的化ベクターは、Sox17翻訳開始部位のすぐ上流に位置するゲノム配列、mCHERRYをコードする配列(Shaner, N.C., Campbell, R.E., Steinbach, P.A., Giepmans, B.N.G., Palmer, A.E., and Tsien, R.Y. (2004). Improved monomeric red, orange and yellow fluorescent proteins derived from Discosoma sp. red fluorescent protein. Nat Biotechnol 22, 1567-1572)、loxPに隣接するPGK−Neo抗生物質耐性カセットを包含する8.3kbの5’ホモロジーアーム及び3.6kbの3’SOX17ホモロジーアーム(L Azolla, EG Stanley and AG Elefanty、未公開の結果)を含んでいた。H9 hESC株に、線状化ベクターをエレクトロポレーションし、PCRに基づくスクリーニング戦略を用いて同定されたクローンを正確に標的化した(Costa, M., Dottori, M., Sourris, K., Jamshidi, P., Hatzistavrou, T., Davis, R., Azzola, L., Jackson, S., Lim, S.M., Pera, M., et al. (2007). A method for genetic modification of human embryonic stem cells using electroporation. Nature Protocols 2, 792-796)。抗生物質耐性カセットを、Creリコンビナーゼを用いて切り出した。用いたSOX17mCHERRY/whESCリポーター株(本明細書を通してSOX17−mCHERRYと呼ぶ)を、FACSにより選別された細胞の集団上でのSOX17 RNA及びタンパク質及びmCHERRY発現の間の相関を証明することにより検証した(L Azolla, ES Ng, EG Stanley and AG Elefanty、原稿準備中)。
【0150】
ディープトランスクリプトームシーケンシング(RNA−seq)
それぞれの系列の全細胞RNAを上記のように抽出し(RNeasy Micro Kit、Qiagen社)、1μgの全RNAを用いて、それぞれ個々のRNA−seqライブラリーを調製した。RNA−seqライブラリーの構築を、TruSeq RNA Library Preparation Kit(Illumina社)を用いて製造業者の説明書通りに行った。簡単に述べると、全RNAを2回、ポリA選択し、化学誘導及び熱誘導切断により300〜500bpに断片化し、末端修復し、3’アデニル化した。その後、アダプターライゲーションを行い、ライブラリーを、アダプターに対するプライマーによりPCR増幅した(15サイクル)。ライブラリー構築の後、挿入物のサイズをオンチップ電気泳動(Agilent Bioanalyzer)により評価し、読取り可能な断片を、アダプターに対するプライマーを用いるqPCRにより定量した。個々のHi−Seqレーンあたり2つのRNA−seqライブラリーが評価されるように、ライブラリーを多重化した。Genome Institute of Singapore's Solexa GroupによりHi-Seq 2000(Illumina社)上で1x36+7サイクル(1回の読取り、多重化ライブラリーの36bpの挿入物、アダプターバーコード同定のための7bp)でハイスループット配列決定を行った。RNA−seq読取りを、TopHat(Trapnell, C., Pachter, L., and Salzberg, S.L. (2009). TopHat: discovering splice junctions with RNA-Seq. Bioinformatics 25, 1105-1111)を用いてhg19ヒト参照ゲノムに対してマッピングした。整列された読取りを集合させ、FPKM(100万のマッピングされた読取りあたりエクソン1キロベースあたりの断片)をCufflinksを用いて算出した。1を超えるFPKMの発現値を有する遺伝子を、その後の分析のために選択した。FPKM値を対数変換[log2(FPKM+1)]し、系列特異的遺伝子を全系列にわたって2を超えるlog2(FPKM+1)と定義した(図24)。ライブラリー配列決定統計値を図70に提供する。
【0151】
マイクロアレイ分析
それぞれの生物学的条件につき、4つの生物学的反復物をhESC分化(HES3 hESC株)により産生し、RNAを抽出し(RNeasy Micro Kit、上記の通りQiagen社)、RNAの品質をBioanalyzerオンチップ電気泳動(Agilent社)により評価した。9.5を超えるRNA完全性(RIN、RNA integrity)値を有する試料のみを、マイクロアレイ分析のために使用し、最終的に最も高いRNA品質の3つの生物学的反復物をマイクロアレイ分析のために選択し、Affymetrix Human Genome U133 Plus 2.0 ArrayへのハイブリダイゼーションによりStanford PAN Microarray Core(Elizabeth Guo)により行った。生データ(.celファイル)をエクスポートし、Broad Institute's GenePatternオンラインプラットフォーム(http://genepattern.broadinstitute.org)にアップロードし、変換し(ExpressionFileCreatorモジュール)、予備プロセッシングし(PreprocessDatasetモジュール、フロア閾値=20、天井閾値=20,000、試験したデータセット間の最小倍数変化=3)、そのヒートマップを作出した(HeatMapViewerモジュール)。
【0152】
独立実験により行われるH9 hESC株におけるAFBLy分化の分析のために(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)、その試験からの生のマイクロアレイデータをArrayExpressレポジトリ(http://www.ebi.ac.uk/microarray-as/ae/、受託番号E−MEXP−2373)からダウンロードし、GeneSpring GXソフトウェアを用いて分析した。生のマイクロアレイデータを正規化し、標準的な手順通りにプロセッシングし、最後に、少なくとも1つの集団中で最小に発現されるマイクロアレイにより検出される全ての遺伝子のうち、未分化のH9 hESC及びAFBLyにより分化したhESCの発現データを比較した。AFBLyにより分化したhESCと未分化のhESCとの間で示差的に発現された遺伝子(2.0倍を超える変化)を列挙し、AFBLyにより上方調節された遺伝子の機能を、バックグラウンド「HumanRef−8_V3_0_R2_11282963_A」の下で遺伝子オントロジー用語のDAVID/EASE割当てにより公平に確認した(http://david.abcc.ncifcrf.gov/)。
【0153】
免疫化学
付着細胞をPBS(Gibco社)で1回洗浄し、室温で15分間、4%パラホルムアルデヒド(PBS中)中で固定し、2回洗浄した(PBSで)。固定された細胞を、4℃で1時間、遮断溶液(PBS中の5%ロバ血清+0.1%Triton X100)中で同時に遮断し、透過処理し、2回洗浄した(PBS)。一次抗体染色を、4℃で一晩、遮断バッファー中に希釈した一次抗体を用いて行った。その後、細胞を2回洗浄した(PBS)。二次抗体染色を、4℃で1時間、遮断バッファー中で行った。その後、二次抗体を除去し、核対抗染色を室温で5分間、DAPI(Invitrogen Molecular Probes社、PBS中で希釈)を用いて行った。細胞をPBS中で3回洗浄して、過剰の抗体及びDAPIを除去し、Zeiss Observer D1を用いて蛍光顕微鏡観察を行った。抗体及び有効濃度を表3に提供する。
【0154】
【表3】
【0155】
ウェスタンブロッティング
試料をSDS−PAGEにより分離し、PVDF膜に移した(4℃で100V、1時間)。膜を室温で1時間、TBST+5%ミルク中で遮断した後、室温で1時間、ヤギ抗Sox17(R&D Systems社、AF1924)又はマウス抗Foxa1(Abcam社、ab55178)一次抗体(1:1000)又は抗β−アクチン(Santa Cruz社、1:5000)一次抗体と共にインキュベートした。β−アクチンを、内部ローディング対照として用いた。膜をTBST中で5回洗浄し、ヤギ抗マウス(Jackson ImmunoResearch社、1:5000)又はロバ抗ヤギ(Santa Cruz社、1:2000)HRPコンジュゲートIgG二次抗体と共に1時間インキュベートした。TBST中で洗浄した後、タンパク質をECL Prime(GE Healthcare社)を用いて検出した。
【0156】
hESC由来肝臓子孫の移植及びその後の分析
H7 hESCに、構成的に活性なCAG−GFPベクターを安定にトランスフェクトして、GFPを用いてそれら及びその子孫を消えないように標識した。SR1を用いて、それらを上記のように初期のAfp+肝臓前駆体に分化させ(分化の6〜7日目)、又はその後、12日間のさらなる経験的な分化:2日間のBMP4(10ng/mL)、次いで、さらに10日間のデキサメタゾン(Sigma社、10μM)及びオンコスタチンM(10ng/mL、R&D Systems社)を用いてより後の肝臓子孫に分化させた。初期のhESC分化前駆体又はより後の肝臓子孫を、単一の細胞に解離させ、50,000〜100,000個の細胞を以前に記載のように(Chen, Q., Khoury, M., Limmon, G., Choolani, M., Chan, J.K., and Chen, J. (2013). Human Fetal Hepatic Progenitor Cells Are Distinct from, but Closely Related to, Hematopoietic Stem/Progenitor Cells. Stem cells (Dayton, Ohio))、新生児マウスの肝臓に移植した。簡単に述べると、新生児免疫不全NOD−SCID Il2γr−/−マウス(遺伝的に限定されたものではなく)を、亜致死的に照射し(100rad)、肝細胞を誕生の24時間以内に肝臓に直接移植した。2〜3カ月後、血清を、ヒトアルブミンの存在についてELISAにより分析し((Chen, Q., Khoury, M., Limmon, G., Choolani, M., Chan, J.K., and Chen, J. (2013). Human Fetal Hepatic Progenitor Cells Are Distinct from, but Closely Related to, Hematopoietic Stem/Progenitor Cells. Stem cells (Dayton, Ohio))により記載のように)、マウスを屠殺した。レシピエントの肝臓を固定(ホルマリン)し、包埋(パラフィン)した後、切片化し、ウサギ抗ヒトアルブミン抗体(Abcam社、ab2406)、マウス抗GFP抗体(Santa Cruz Biotechnology社、sc−9996)、マウス抗HepPar1抗体(Abcam社、ab720)又はウサギ抗Afp抗体(Sigma社、HPA010607)で染色して、レシピエント肝臓実質中のhESC由来肝臓子孫を検出した。hESC由来初期肝臓前駆体又はより後の分化した肝細胞を移植したマウスにおけるヒトアルブミン血清濃度間の統計的有意性を、両側Whitney-Mann検定により評価した(図23)。
【0157】
しかしながら、図67について、抗GFP抗体染色を、ウサギ抗GFP抗体(Abcam社、ab290)を用いて行った:これは、抗ヒトアルブミン抗体はウサギのバックグラウンドでも上昇し、両マーカーに関する同時染色を同時に実施することができず、むしろ、連続切片がそれぞれ対応する抗体で染色されたためである。
【0158】
低密度リポタンパク質(LDL、low-density lipoprotein)取込みアッセイ
hESC、HepG2細胞又はhESC由来肝臓子孫を、HGF(20ng/mL)を添加して24時間、その対応する基本培地中でインキュベートした後、LDLを取り込むその能力を、LDL Uptake Cell-Based Assay Kit(Cayman Chemical社、10011125)を用いて評価した。簡単に述べると、1:100のLDL-DyLight 594を、37℃で3時間、3つ全ての細胞集団の対応する基本培地に添加した。LDL染色を示さない陰性対照を同じ方法で処理したが、LDL-DyLight 594は添加しなかった。その後、細胞を固定し、抗LDLR抗体を4℃で一晩インキュベートしたこと以外は、製造業者の説明書(Cayman Chemical社)に従ってLDLRについて染色した。細胞を蛍光顕微鏡により可視化して、蛍光LDL-Dylight 594の取込み及びまた免疫蛍光によるLDLR発現を評価した。
【0159】
Cyp3a4代謝アッセイ
発光アッセイにおいてCyp3a4酵素活性を決定するために、hESC、HepG2細胞又はhESC由来肝臓子孫を簡単に洗浄し(PBS)、次いで、37℃で30〜60分間、3μMの生物発光Cyp3a4基質ルシフェリン−IPA(Promega社)を含有するその対応する基本培地で処理した。続いて、25μLの培地を、96穴不透明なルミノメータープレートの別々のウェルに移し、ウェルあたり25μLのルシフェリン検出試薬(Promega社)を添加し、プレートを暗室中で20分間インキュベートした。ルミノメーター(Promega GloMax社、E9031)を用いて、発光を記録した。ルシフェリン−IPA基質を含む基本培地のみを含有する陰性対照ウェルも記録して、技術的バックグラウンドを決定した。
【0160】
次いで、Cyp3a4発光シグナルを、CellTiter-Gloキット(Promega社)を用いて決定された、各アッセイにおいて用いられた生細胞数に対して正規化した。簡単に述べると、hESC後、HepG2細胞又はhESC由来子孫を、ルシフェリン−IPAを含有する基本培地で処理し、25μLの培地を、96穴乳白色ルミノメータープレートの別々のウェルに移し、25μLのCellTiter-Glo Reagentを各ウェルに添加した。2分間インキュベートした後、上記のようにルミノメーターを用いて発光を測定し、Cyp3a4発光アッセイ値(上記)を、CellTiter-Gloアッセイ値で除算して、正規化されたCyp3a4活性結果を得た。正規化されたCyp3a4活性結果を、未分化のhESCから得られたものと比較して提示する。
【0161】
クロマチン免疫沈降及び配列決定(ChIP−seq)
付着細胞を洗浄し(PBS)、PBS中の1%ホルムアルデヒド中で固定し(10min)、0.2Mグリシンで中和し(5min)、擦り取ることにより収集し、洗浄し(完全プロテアーゼインヒビター(Roche社)を添加した冷PBS)し、ペレット化し、フラッシュ凍結し(液体N2)、保存した(−80℃)。免疫沈降の前に、固定された細胞ペレットを解凍し、1%SDS溶解バッファー(1X完全プロテアーゼインヒビターを含む50mM HEPES−KOH pH7.5、150mM NaCl、1mM EDTA、1%Triton X−100、0.1%Naデオキシコレート、1%SDS)中でそれぞれ30分間で2回溶解して、核を抽出し、予め冷却したNext-Gen Bioruptor(Diagenode社)を含む1%SDS溶解バッファー中で高い強度で10サイクル(30秒間のオン、60秒間のオフ)にわたって超音波処理した。超音波処理効率を評価するために、少量の超音波処理されたクロマチンを、プロテイナーゼK(1時間、50℃)で消化し、カラム精製し、電気泳動して、超音波処理が成功した(サイズ100〜300bpの断片)ことを確認した。超音波処理されたクロマチンをchIP希釈バッファー(0.01%SDS、1.1%Triton X−100、1.2mM EDTA、16.7mM Tris−HCl pH8.1、及び167mM NaCl)中で10倍に希釈して、免疫沈降のための有効な約0.1%SDS濃度を得て、遠心分離(13,200rpm、10min)して、細胞破片を除去し、プロテインG Dynabeads(Invitrogen社)を用いて一晩予備清浄した。
【0162】
同時に、それぞれ個々のchIPについて、100μLのプロテインG Dynabeadsを2回洗浄し(PBS+0.1%Triton X−100)、4℃で一晩、ChIP正規抗体(表4)と複合体化し、さらに3回洗浄して、抗体−ビーズ複合体を得た。抗体−ビーズ複合体を予備清浄したクロマチンに添加した。
【0163】
【表4】
【0164】
一晩免疫沈降させた後(4℃)、抗原−抗体−ビーズ複合体を、それぞれ、低塩洗浄バッファー(0.1%SDS、1%Triton X−100、2mM EDTA、20mM Tris pH8.0、150mM NaCl)、高塩洗浄バッファー(0.1%SDS、1%Triton X−100、2mM EDTA、20mM Tris pH8.0、500mM NaCl)、LiCl洗浄バッファー(10mM Tris pH8.0、1mM EDTA、0.25M LiCl、1%Nonidet P−40)、最後に、TEバッファー中で2回洗浄した。抗体をビーズから溶出させ、穏和な加熱(65℃)により一晩、ホルムアルデヒド架橋を逆転させ、クロマチンをRNase及びプロテイナーゼKで連続的に処理した後、最後のカラム精製を行った。免疫沈降したクロマチンの最終濃度を、PicoGreen(Invitrogen社)により定量した。
【0165】
Illumina社の配列決定ライブラリーを、TruSeq ChIP Sample Preparation Kit(Illumina社)を用いて作成した。簡単に述べると、10ngのChIP富化DNAを末端修復し、3’アデニル化し、Illuminaアダプターを用いてライゲーションし、アダプターに対するプライマーと共にPhusion High Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzymes社)を用いる15サイクルのPCR増幅により増幅した。ライブラリー構築が完了した後、オンチップ電気泳動(Agilent Bioanalyzer)により挿入物のサイズを再検証し、読取り可能な断片を、アダプターに対するプライマーを用いるqPCRにより定量した。Genome Institute of Singapore's Solexa GroupによりHi-Seq 2000(Illumina社)上で1x36+7サイクル(1回の読取り、多重化ライブラリーの36bpの挿入物、アダプターバーコード同定のための7bp)でハイスループット配列決定を行った。配列決定された読取りを、Bowtie(Langmead, B., Trapnell, C., Pop, M., and Salzberg, S.L. (2009). Ultrafast and memory-efficient alignment of short DNA sequences to the human genome. Genome Biol 10, R25)を用いてhg19ヒト参照ゲノムに対してマッピングし、3bpまでの不一致を許容し、1より多いゲノム遺伝子座に対してマッピングされる読取りを廃棄した。それぞれの整列された断片を200bpまで伸長させ、MACS(Zhang, X., Huang, C.T., Chen, J., Pankratz, M.T., Xi, J., Li, J., Yang, Y., Lavaute, T.M., Li, X.-J., Ayala, M., et al. (2010). Pax6 is a human neuroectoderm cell fate determinant. Cell Stem Cell 7, 90-100)を用いて入力正規化を行った。Broad Institute社からのIntegrative Genomics Viewerを用いて、ヒストンピーク可視化を行った(Thorvaldsdottir, H., Robinson, J.T., and Mesirov, J.P. (2012). Integrative Genomics Viewer (IGV): high-performance genomics data visualization and exploration. Brief Bioinform)。ライブラリー配列決定統計値を図20に提供する。
【0166】
ChIP−seq分析中のエンハンサーの割当て及び分析
活性エンハンサーを、DFilter(Kumar, V., Muratani, M., Rayan, N.A., Kraus, P., Lufkin, T., Ng, H.H., and Prabhakar, S. (2013). Uniform, optimal signal processing of mapped deep-sequencing data. Nature Biotechnology 31, 615-622)を用いて整列され、入力正規化されたH3K27ac ChIP−seqデータから割り当てた。シグナル検出問題としてChIP−seqデータからピークコーリングを処理することにより、DFilterは、変動する幅のChIP−seqピークを同定するためにシグナルプロセッシング理論からの最適な解を正式に用いる。簡単に述べると、DFilterは、「真」陽性領域とノイズ領域とのChIP−seqシグナル差異を最大化するために線形検出フィルター(Hotellingオブザーバー)を用いることによって受信者操作特性面積−曲線下面積(ROC−AUC、receiver area characteristic-area under the curve)を最大化することを試みることによりChIP−seqシグナル中のピークを検出する。6kBのカーネルサイズ及びゼロ平均フィルターを用いて、6つの細胞型(hESC、APS、DE、AFG、PFG、及びMHG)のそれぞれにおいてDFilterによりH3K27acピークを個々に同定し、全てのピークが、対応する入力ライブラリービン(対照局所タグ密度)におけるよりも、少なくとも1つの100bpビンにおいて15倍以上のH3K27acタグを有することが必要であった。chr_randomコンティグ、部分重複、サテライトリピート及びリボソームRNAリピートにマッピングされるピークを除去した。その後、任意のRefSeq TSS又はUCSC Known Gene TSSの1kB以内にあるピークを切り取り、遠位ピークを得た。次いで、6つの細胞型のそれぞれに由来する重複する遠位H3K27acピークを融合させ、試験した少なくとも1つの系列において活性な全てのエンハンサーの融合体を得た。この活性エンハンサー融合の結果を、図26中に、バイナリークラスタリングの後に表示した。
【0167】
「細胞型特異的活性エンハンサー」(例えば、DE特異的活性エンハンサー)を同定するために、エンハンサーは、所与の系列(例えば、DE)と未分化のhESCにおいてピーク領域内に4倍以上多いH3K27acタグを有する必要があった(かくして、分化の際に有意な量のH3K27acを獲得するエンハンサーを同定する)。次いで、10,543の「DE特異的活性エンハンサー」のこのコホートを、遺伝子オントロジー及びモチーフ分析のために用いた。
【0168】
内胚葉特異的活性エンハンサーと関連する遺伝子オントロジー用語を、GREATにより確認した(McLean, C.Y., Bristor, D., Hiller, M., Clarke, S.L., Schaar, B.T., Lowe, C.B., Wenger, A.M., and Bejerano, G. (2010). GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol 28, 495-501):それぞれのエンハンサーについて、100kB以内の最も近い遺伝子を用いた(TSSから1kB上流又は2kB下流のエレメントを除去する「ベーサルプラス伸長」)。図28中に、最も有意に関連するGO用語(生物学的プロセス及びMGI発現)を記載し、任意の用語の以前の予備選択又は予備フィルタリングなしにオンラインGREATポータル(http://bejerano.stanford.edu/great/public/html/)上に示されたようにP値により順位付けた。
【0169】
内胚葉エンハンサーの平均進化的保存を、図30に示されるようなエンハンサー中心の周囲の±3kBのウィンドウ内でCistromeのConservation Plot関数(http://cistrome.org/ap/)を用いて評価した。
【0170】
DE特異的エンハンサー中で富化された転写因子モチーフを、HOMER(Heinz, S., Benner, C., Spann, N., Bertolino, E., Lin, Y.C., Laslo, P., Cheng, J.X., Murre, C., Singh, H., and Glass, C.K. (2010). Simple combinations of lineage-determining transcription factors prime cis-regulatory elements required for macrophage and B cell identities. Mol Cell 38, 576-589)(http://biowhat.ucsd.edu/homer/chipseq/)を用いて決定し、トップ30ヒット内の代表的な転写因子モチーフを、図32に示した。
【0171】
内胚葉TFが活性DEエンハンサーにどのように収束するかを理解するために、DE中のEomes、Smad2/3、Smad4及びFoxh1 ChIP−seqデータ(Kim, S.W., Yoon, S.-J., Chuong, E., Oyolu, C., Wills, A.E., Gupta, R., and Baker, J. (2011). Chromatin and transcriptional signatures for Nodal signaling during endoderm formation in hESCs. Developmental Biology 357, 492-504、Teo, A.K.K., Arnold, S.J., Trotter, M.W.B., Brown, S., Ang, L.T., Chng, Z., Robertson, E.J., Dunn, N.R., and Vallier, L. (2011). Pluripotency factors regulate definitive endoderm specification through eomesodermin. Genes & Development 25, 238-250)をGEOからダウンロードし(それぞれ、GSE26097及びGSE29422)、上記のように整列、入力正規化し、最後にHOMERを用いてピークをコールした。全てのDE TF ChIP−seqピークの融合体を作出し、重複するピークを融合させ、RefSeqの1kB以内にある全てのピークを除去して、全部で53,902の遠位DE TF結合部位を得た。HOMERを用いて、それぞれのDE TF結合部位の周囲のビン化されたタグ計数を抽出し、k平均クラスタリングを適用して、3つの主要なクラスの結合事象:(i)Eomes結合のみ、(ii)Smad2/3/4及びFoxh1結合、並びに(iii)Eomes、Smad2/3/4及びFoxh1による同時結合を同定し、これを図33中のDE及びhESC中のH3K27ac ChIP−seqデータと一緒に空間ヒートマップ中で可視化した。
【0172】
SR1により誘導された内胚葉エンハンサーサインと以前の内胚葉エンハンサーサインの比較
アクチビンA、Wnt3a及び0.5%FBS処理により4日間分化させたHUES64由来DE集団のChIP−seqデータは以前に報告されており(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)、未分化のHUES64及びHUES64由来Cxcr4+DEに関するH3K27ac ChIP−seqデータをダウンロードした(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/roadmap/epigenomics/?view=matrix)。その後、HUES64 ChIP−seqデータを、SR1 ChIP−seqデータについて上記されたのと同一に処理した:H3K27ac読取りをhg19と整列させ、対応する対照ライブラリーに対して入力正規化した。HUES64由来DE中で富化された活性エンハンサーを同定するために、H3K27acピークをDFilter(Kumar, V., Muratani, M., Rayan, N.A., Kraus, P., Lufkin, T., Ng, H.H., and Prabhakar, S. (2013). Uniform, optimal signal processing of mapped deep-sequencing data. Nature Biotechnology 31, 615-622)により割り当て、DEと未分化HUES64におけるH3K2acタグ計数の倍数変化を算出した。上から10,000のDE富化エンハンサー(DEと未分化HUES64における最も高いH3K27acの倍数変化を有する)をコールして、偏りのない比較を提供し、SR1 DEデータセットからの上から10,000のDE富化エンハンサーを、未分化のHUES64に対するSR1 DE H3K27acタグ計数の倍数変化を比較することによりコールした。続いて、SR1データセット又はGifford et al.のデータセットから引き出した上から10,000のDE富化活性エンハンサーを抽出し、富化されたGO用語を、以下のパラメータ:単一の最も近い遺伝子、1,000,000bpの最大伸長及びキュレートされた(curated)調節ドメインを含ませてGREAT(McLean, C.Y., Bristor, D., Hiller, M., Clarke, S.L., Schaar, B.T., Lowe, C.B., Wenger, A.M., and Bejerano, G. (2010). GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol 28, 495-501)を用いて対照的に関連させた。この対照DEエンハンサー比較の結果を、図31に提示する。
【0173】
hESCにおけるプレエンハンサークロマチン状態の同定
DEエンハンサーが分化の前に未分化hESC中でどのようにマークを付けられるかを確認するために、本発明者らは最初に10,543のDE特異的エンハンサーの上記一覧を予備フィルタリングして、TSSの±3kBにあるピークを完全に廃棄して、プロモーターシグナルの裏抜けを最小化した。本発明者らは、それぞれ、GEO(GSE29611)又はUCSC Genome Browserダウンロードポータル(http://hgdownload.cse.ucsc.edu/goldenPath/hg19/encodeDCC/wgEncodeBroadHistone)から、24を超えるマークについてChIP−seqデータをダウンロードした:10のヒストン改変(H3K4me1、H3K4me2、H3K4me3、H3K9me3、H3K36me3、H3K79me2、H4K20me1、H3K9ac、H3K27ac及びH2AZ)(Ernst, J., Kheradpour, P., Mikkelsen, T.S., Shoresh, N., Ward, L.D., Epstein, C.B., Zhang, X., Wang, L., Issner, R., Coyne, M., et al. (2011). Mapping and analysis of chromatin state dynamics in nine human cell types. Nature 473, 43-49)並びに14のクロマチン調節因子(Chd1、Chd7、Ezh2、Hdac2、Hdac6、Jarid1a、Jmjd2a、p300、Phf8、Plu1、Rbbp5、Sap30、Sirt6、Suz12)(Ram, O., Goren, A., Amit, I., Shoresh, N., Yosef, N., Ernst, J., Kellis, M., Gymrek, M., Issner, R., Coyne, M., et al. (2011). Combinatorial patterning of chromatin regulators uncovered by genome-wide location analysis in human cells. Cell 147, 1628-1639)。全ての可能な「プレエンハンサー」状態を体系的に同定することを目的として、実質的に最も公知のヒストン改変及びクロマチン調節因子によるhESC中のDEエンハンサーの占有を包括的に評価するために、これを行った。「プレエンハンサー」クロマチン状態の理路整然としたパターンを同定するために、本発明者らは、クラスタリングのためのChIP−seqデータを調製した:所与のエンハンサーでの複数のヒストン改変及びクロマチン調節因子ChIP−seqシグナルをクラスター化するために、最初にそれぞれのChIP−seqシグナルをエンハンサー領域にわたって200bpのビン中のタグ計数の形態に分解した。ビン化されたタグ計数シグナルを、全ライブラリー中の平均タグ計数により正規化した。正規化されたタグ計数シグナルの対数を用いて、さらなるクラスタリングのための空間ヒートマップ(図35)を作製した。それぞれのChIP−seqライブラリーについて、エンハンサー中心の1kB以内にある最大ビン化タグ計数を、2次元(n x k)(ここで、nは分析されたDEエンハンサーの数であり、kは試験したChIP−seqライブラリーの総数である)行列の列に示した。この2D行列をk平均クラスタリング(Matlab)のために用いて、プレエンハンサークラスを学習した。プレエンハンサークラスを学習した後、1つの2D行列(n x 2w)をそれぞれのChIP−seqライブラリーについて作製し、行列の行としてそれぞれのエンハンサーの周囲のwビン中のシグナルを取った。次いで、それぞれのChIP−seqライブラリーについて、算出された2D行列(n x 2w)を、imagesc関数(Matlab)を用いてプロットした。ヒストン改変及びクロマチン調節因子の相対的普及を評価するために、hESC中のDEプレエンハンサーの「プレマーキング」、ヒストン改変及びクロマチン調節因子ENCODEピークコール(http://hgdownload.cse.ucsc.edu/goldenPath/hg19/encodeDCC/wgEncodeBroadHistone)による全てのDEプレエンハンサーの被覆率を確認した(図36)。容易な視覚的表示のために、DEエンハンサーを約5%を超えてマークしたヒストン改変又はクロマチン調節因子のみを、図35〜36に示した。hESCにおける中胚葉プレエンハンサークラスを同定するために、中胚葉活性エンハンサーの一覧を、CD56/NCAM1+hESC由来中胚葉集団の以前のH3K27ac ChIP−seqプロファイリングから差し引いたこと以外は、内胚葉プレエンハンサーを評価するために用いたものと同様の手順を用いた(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)。
【0174】
DE分化の際のDE TFによる異なるプレエンハンサークラスの占有を全体的に評価するために、DEにおける平均Eomes、Smad2/3、Smad4及びFoxh1 ChIP−seqシグナルを、6kBのウィンドウサイズを用いて全てのクラス1プレエンハンサー(H2AZのみ)及び全てのクラス5プレエンハンサー(大部分は潜在的)にわたってプロットした(図37)。
【0175】
ChIP−seq、RNA−seq、及びマイクロアレイデータ寄託
内胚葉分化に関する生のChIP−seq、RNA−seq、及びマイクロアレイデータ(図20にまとめる)を、ユーザー名「review123」及びパスワード「review」の下でhttp://collaborations.gis.a-star.edu.sg/~cmb6/kumarv1/endoderm/にオンラインで寄託した。生データは、受託時に公共オンラインリポジトリーにアップロードされる。
【0176】
実験結果
BMP及びWntシグナリングにおける動的スイッチは原始線条を誘導し、続いて胚体内胚葉発生を抑制する
これは、アクチビンが、FGF、BMP及びPI3Kインヒビター(「AFBLy」)と共に(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)又は動物血清と一緒になって(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)、hESCからDEを特定化するという知見から始まった。しかしながら、これらの方法は、5つのhESC株の分化中に明らかな、混合した系列の結果を依然としてもたらした(図1図6〜7、図39〜61)。例えば、AFBLy(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)は同時に中胚葉を生成し、骨格、血管及び心臓遺伝子を上方調節したが(P<10−8図1図39〜42)、アクチビン及び血清処理(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)は一定割合の未分化細胞をもたらした(図6〜8)。純粋でない初期DE集団の作出は、下流分化の後の非内胚葉系列の発生を説明することができる(Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452、Rezania, A., Bruin, J.E., Riedel, M.J., Mojibian, M., Asadi, A., Xu, J., Gauvin, R., Narayan, K., Karanu, F., O'Neil, J.J., et al. (2012). Maturation of human embryonic stem cell-derived pancreatic progenitors into functional islets capable of treating pre-existing diabetes in mice. Diabetes)。
【0177】
無血清条件におけるhPSC分化の特定の胚段階で発生シグナルを選択的に摂動させ(個別に、又は組み合わせて、3,200を超えるシグナリング条件)、qPCRにより得られた系列の結果を評価した(16,000を超えるデータ点が得られる、図39〜63)。これらのシグナリング摂動は、DE誘導の基礎となるシグナリング論理の要素を示していた(図1〜23)。
【0178】
インビボでは、DEは原始線条(PS、約E6.5)から生じる(Levak-Svajger, B., and Svajger, A. (1974). Investigation on the origin of the definitive endoderm in the rat embryo. J Embryol Exp Morphol 32, 445-459)。最前部PS(APS)はDEを生成するが(約E7.0〜E7.5)、後部PS(PPS)は中胚葉を形成する(Lawson, K.A., Meneses, J.J., and Pedersen, R.A. (1991). Clonal analysis of epiblast fate during germ layer formation in the mouse embryo. Development 113, 891-911、Tam, P.P., and Beddington, R.S. (1987). The formation of mesodermal tissues in the mouse embryo during gastrulation and early organogenesis. Development 99, 109-126)。
【0179】
APSとPPSは両方とも、hESC分化の1日目にBMP、FGF及びWntにより組合せで誘導された。これらのシグナルはPS誘導において個々に関与していたが(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Blauwkamp, T.A., Nigam, S., Ardehali, R., Weissman, I.L., and Nusse, R. (2012). Endogenous Wnt signalling in human embryonic stem cells generates an equilibrium of distinct lineage-specified progenitors. Nat Commun 3, 1070、Gadue, P., Huber, T.L., Paddison, P.J., and Keller, G.M. (2006). Wnt and TGF-β signaling are required for the induction of an in vitro model of primitive streak formation using embryonic stem cells. Proc Natl Acad Sci USA 103, 16806-16811)、PSパターン化におけるそれらの役割は詳細に解明されていない。BMP、FGF又はWntのいずれかが阻害された場合、APSとPPS形成は両方とも失敗し(図2)、BMP及びWnt経路ノックアウトマウスにおけるPSの欠如を裏付けるものである(Beppu, H., Kawabata, M., Hamamoto, T., Chytil, A., Minowa, O., Noda, T., and Miyazono, K. (2000). BMP type II receptor is required for gastrulation and early development of mouse embryos. Dev Biol 221, 249-258、Liu, P., Wakamiya, M., Shea, M.J., Albrecht, U., Behringer, R.R., and Bradley, A. (1999). Requirement for Wnt3 in vertebrate axis formation. Nature Genetics 22, 361-365、Mishina, Y., Suzuki, A., Ueno, N., and Behringer, R.R. (1995). Bmpr encodes a type I bone morphogenetic protein receptor that is essential for gastrulation during mouse embryogenesis. Genes & Development 9, 3027-3037)。FGFシグナリングはAPSとPPSの両方の発生について同等に許容され、内因性FGFはいずれかの結果を駆動するのに十分なものであった(図2i、図47〜49)。しかしながら、PS誘導を最大化するためには外因性Wnt(Wnt3a又はGSK3阻害のいずれか[CHIR])が必要であり、WntはAPSとPPSの両方を広く促進した(図2ii〜iii)。外因性Wntがない場合、限られたPS形成が起こり得たが、内因性Wntに依存していた(図2ii)。BMPレベルはAPSとPPSの間を仲裁した:より低い(内因性)BMPレベルはAPSを惹起したが、より高いBMPはPPSをもたらした(図2iv、図48)。しかしながら、BMPは典型的には中胚葉形成と関連していたため(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155)、MIXL1−GFPAPS誘導にとってのBMPの絶対的必要性(図4i、P<0.025)は予想外であった。従って、FGF、Wnt及び低いBMPは、APS特定化にとって必須であった。
【0180】
APSをDEに向かってさらに分化させるために、以前の研究は両方の系列を3〜5日間にわたって誘導する同様の因子を用いた(Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)。その代わりに、APS及びDEを、分化の24時間以内に正反対のシグナルにより連続的に駆動した。BMP及びWntは1日目にhESCからAPSを初期に特定したが、24時間後に、BMP及びWntは中胚葉を誘導し、分化の2〜3日目にPSからのDE形成を相互に抑制した(図3i〜ii)。興味深いことに、外因性BMPを除去するだけでなく、内因性BMPを中和すること(ノギン又はDM3189/LDN−193189を用いて)は、中胚葉を除去し、DEに一方的に向かうPS分化を相互に逸らすために必要であった(図3i)。これは、2つの別々のhESC株におけるMESP1の約3000倍の下方調節並びにSOX17、HHEX、FOXA1及びFOXA2の同時的上方調節により立証された(図41〜43)。長期的なBMP及びWntは中胚葉を誘導することが公知であったことを考慮すると(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Gadue, P., Huber, T.L., Paddison, P.J., and Keller, G.M. (2006). Wnt and TGF-β signaling are required for the induction of an in vitro model of primitive streak formation using embryonic stem cells. Proc Natl Acad Sci USA 103, 16806-16811、Gertow, K., Hirst, C.E., Yu, Q.C., Ng, E.S., Pereira, L.A., Davis, R.P., Stanley, E.G., and Elefanty, A.G. (2013). WNT3A Promotes Hematopoietic or Mesenchymal Differentiation from hESCs Depending on the Time of Exposure. Stem Cell Reports 1, 53-65)、その結果は全て、hESCからDEを誘導するための以前の持続的BMP処理に対して異議を唱えるものであり(Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384、Goldman, O., Han, S., Sourrisseau, M., Dziedzic, N., Hamou, W., Corneo, B., D’souza, S., Sato, T., Kotton, Darrell N., Bissig, K.-D., et al. (2013). KDR Identifies a Conserved Human and Murine Hepatic Progenitor and Instructs Early Liver Development. Cell Stem Cell 12, 748-760、Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)、本発明者らはDEの無効化及びその代わりに中胚葉を特定したことを示す。時宜を得たBMP阻害はまた、mESCからのDE誘導も改善したが、BMP阻害が作用する発生段階は依然として不明であった(Sherwood, R.I., Maehr, R., Mazzoni, E.O., and Melton, D.A. (2011). Wnt signaling specifies and patterns intestinal endoderm. Mech Dev 128, 387-400)。
【0181】
同様に、2〜3日目の内因性Wntの阻害(IWP2、Dkk1又はXAV939を用いて)が2つのhESC株からの中胚葉形成を遮断するように、内因性Wnt/β−カテニンシグナルはPSを中胚葉に対して指向させた(図3ii、図45〜46)。しかしながら、BMP又はWntのいずれかを個別に阻害することは、中胚葉を無効化するのに十分であり、これは両方の阻害が不必要であることを示していた(図46)。かくして、続いて、PSからDEを誘導するためにBMPのみを阻害した。最後に、結果はDEを誘導するための長期のWnt処理と対照的であり(Sumi, T., Tsuneyoshi, N., Nakatsuji, N., and Suemori, H. (2008). Defining early lineage specification of human embryonic stem cells by the orchestrated balance of canonical Wnt/β-catenin, Activin/Nodal and BMP signaling. Development 135, 2969-2979)、本発明者らはその代わりにPSから中胚葉を特定し、DEを遮断したことを示す。全体として、BMP及びWntはPSから中胚葉を誘導し、内胚葉を抑制した;従って、その阻害は中胚葉を除去し、分化をDEに向かって逸らした。
【0182】
BMP及びWntは中胚葉を特定したが、PSからのDE形成はTGFβと共にFGFにより一緒に駆動された(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)。FGFが阻害された場合、中胚葉形成はBMPの非存在下であっても再度可能になった(さもなければ中胚葉形成にとって必須である)が、これはFGFが将来のDEの中胚葉への非正統的な変換を防止したことを示している。FGFはまた、mESCからのDE形成にとっても必須であり、逆説的ではあるが、外因性FGFはDE誘導にとって有害であることが以前に見出されており(Hansson, M., Olesen, D.R., Peterslund, J.M.L., Engberg, N., Kahn, M., Winzi, M., Klein, T., Maddox-Hyttel, P., and Serup, P. (2009). A late requirement for Wnt and FGF signaling during activin-induced formation of foregut endoderm from mouse embryonic stem cells. Developmental Biology 330, 286-304)、これは観察されなかった(図3iii)。
【0183】
結論として、これらのデータは、BMP及びWntと、FGF及びTGFβがそれぞれ、PSから中胚葉と内胚葉を誘導し、別の運命を交叉抑制することによりそうしたシグナリング交叉拮抗作用を明らかにした(図4ii〜iii)。さらに、BMP及びWntは曝露の発生時間に依存して二分された系列結果をもたらし、その効果は24時間以内に逆転するようになった(図4図44)。
【0184】
連続的APS形成及び中胚葉抑制による多様なhPSC株からの高度に精製されたDEの普遍的生成
APS及びDEが反対のシグナルにより連続的に特定されたという上記の知見は、PSから中胚葉を除去するためのBMP阻害の必要性と一緒になって、DE誘導のための無血清単層手法(「SR1」)を動機付けた。最初に、高いアクチビン/TGFβを、CHIR(Wnt/β−カテニンシグナリングを模倣する)及びPI3K/mTOR阻害と組み合わせること(「ACP」と省略される)により外胚葉を排除しながら(図49〜51)、hPSCを24時間でAPSに分化させた(図5)。これにより、99.3±0.1%のMIXL1−GFPPS集団(Davis, R.P., Ng, E.S., Costa, M., Mossman, A.K., Sourris, K., Elefanty, A.G., and Stanley, E.G. (2008). Targeting a GFP reporter gene to the MIXL1 locus of human embryonic stem cells identifies human primitive streak-like cells and enables isolation of primitive hematopoietic precursors. Blood 111, 1876-1884)が得られ、全PS TF BRACHYURYがAPS特異的TF EOMES、FOXA2及びLHX1と同時発現された(図5図54)。24時間後、CHIRを取り出した後、APSを、中胚葉を排除するためのBMP遮断剤(DM3189)と併用した高アクチビンによりDEに分化させた。内因性FGFが十分であった場合、外因性FGFは余分であった(図3iii、図47)。
【0185】
連続的なAPS形成、次いで、DE誘導により、分化の3日以内に7つの多様なhESC(H1、H7、H9、HES2及びHES3)並びにhiPSC(BJC1及びBJC3)株から93.9±3.1%のCXCR4PDGFRαDE集団が普遍的に得られ(図6〜9、図55)、株間の誘導変動性を克服した。SR1は広いFOXA2及びSOX17同時発現を惹起し(図7図60)、hPSCマーカーであるCD90を下方調節した(図56)。hESC(94.0±3.1%)及びhiPSC(93.9±3.9%)は、DE誘導効率において有意に異ならなかった(P>0.97、図61)。SOX17−mCHERRYノックインhESCリポーター株をさらに活用して(LA, ESN, AGE, EGS,未公開)、分化効率を定量し、SR1が90%を超えるSOX17−mCHERRYDE集団を誘導したことがわかった(図8)。
【0186】
SR1によるDE誘導を、5つの多様なhESC株にわたって2つの広まっているプロトコール、AFBLy(Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)又はアクチビン及び血清処理(D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)に対して直接比較し、得られる系列結果を追跡した(図58a〜f)。SR1分化により、最小中胚葉、胚外内胚葉又は神経外胚葉を含む全部で5つのhESC株からDEが一方的に得られた(SOX17、FOXA1、FOXA2、CER1、FZD8)(図6図58a〜f)。対照的に、他のDEプロトコールは混合した系列結果をもたらした:AFBLyは中胚葉TF(FOXF1、HAND1、MSX1、ISL1)を上方調節したが、多能性TF発現(OCT4、SOX2、NANOG)は5つ全部の株にわたって血清誘導後に持続した(図6図58a〜f)。従って、AFBLy及び血清は両方とも、より低いSOX17FOXA2DE収率をもたらし(図7図60)、内胚葉TFを中程度に上方調節したに過ぎなかった(図6図58a〜f)。FACS定量により、SR1がAFBLy又は血清処理のいずれかよりも純粋なDEをもたらすことが確認された(P<2.2x10−12図7図58a〜f)。クローンレベルで、単一細胞qPCRは、内胚葉TFが大部分のSR1誘導細胞中で強固に上方調節されることを示した:20/20の細胞がFOXA2であり(図10)、それぞれの細胞について、遺伝子発現値をYuhaziに対して正規化した(それ自身を0と設定した)。その後、+6.5よりも低いものを全てFOXA2+陽性と見なした。対照的に、AFBLy(1/20の細胞)又は血清処理(2/20の細胞)集団中のいくつかの細胞がFOXA2を高度に発現した(図10)。かくして、3つ全ての分化プロトコールが高アクチビンを用いたとしても、明らかにアクチビンだけでは純粋なDEを生成するには不十分であった。
【0187】
最後に、神経分化能は、SR1誘導の24時間以内に放棄されたが(図11)、これは相互排他的な系列潜在能力がAPS/DE運命付けの際に失われたことを示す。
【0188】
BMP、FGF、RA、TGFβ及びWntシグナリングによるhESC由来DEのAFG、PFG及びMHGドメインへの相互排他的な前後パターン化
インビボでのその初期の特定化の後、DEは前後軸に沿って、内胚葉器官に対する領域的先祖である異なるドメインにパターン化される(Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251)。前腸前部(AFG)は、肺及び甲状腺を生じさせ、前腸後部(PFG)は膵臓及び肝臓を生じさせ、中腸/後腸(MHG)は小腸及び大腸を生じさせる(図12〜13)。従って、3日目までにhPSCからほぼ均質なDEを誘導したら、本発明者らは次に、インビボ(Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251)及びインビトロ(例えば、(Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、Sherwood, R.I., Maehr, R., Mazzoni, E.O., and Melton, D.A. (2011). Wnt signaling specifies and patterns intestinal endoderm. Mech Dev 128, 387-400、Spence, J.R., Mayhew, C.N., Rankin, S.A., Kuhar, M.F., Vallance, J.E., Tolle, K., Hoskins, E.E., Kalinichenko, V.V., Wells, S.I., Zorn, A.M., et al. (2011). Directed differentiation of human pluripotent stem cells into intestinal tissue in vitro. Nature 470, 105-109))でのDEパターン化を制御するシグナルの増大する知識に基づいて、その後の4日間の分化によってそれを異なるAFG、PFG又はMHG集団に前後パターン化させることを試みた(図12)。
【0189】
脊椎動物の胚においては、尾芽中胚葉はBMP4、FGF4/8及びWNT3Aを発現し、後部内胚葉と並列しているが、これはこれらのシグナルがMHGの近くで後部パターン化し得ることを示唆する。インビトロでは、BMPはDEを顕著に後方化し(図14i)、MHG TF(例えば、CDX2、EVX1及び5’HOX遺伝子)を誘導し、ゼブラフィッシュデータを反映している(Tiso, N., Filippi, A., Pauls, S., Bortolussi, M., and Argenton, F. (2002). BMP signalling regulates anteroposterior endoderm patterning in zebrafish. Mech Dev 118, 29-37)。Wnt(CHIRにより模倣される)は同様に後方化しており(図14ii)、FGFはPFGをMHGに部分的に後方化することができたが(図62)、これは以前の研究(Sherwood, R.I., Maehr, R., Mazzoni, E.O., and Melton, D.A. (2011). Wnt signaling specifies and patterns intestinal endoderm. Mech Dev 128, 387-400、Spence, J.R., Mayhew, C.N., Rankin, S.A., Kuhar, M.F., Vallance, J.E., Tolle, K., Hoskins, E.E., Kalinichenko, V.V., Wells, S.I., Zorn, A.M., et al. (2011). Directed differentiation of human pluripotent stem cells into intestinal tissue in vitro. Nature 470, 105-109)を確認するものである。相互に、BMP、FGF及びWntは全て、前部内胚葉TFのSOX2を抑制した(図14図62)。従って、BMP、CHIR及びFGFの組合せを用いて、無血清条件で前腸(図16)を抑制しながら、3日目のDEを、99%を超えるCDX2MHG(図15)にパターン化させた。
【0190】
逆に、後方化するBMPシグナルの阻害は、前部内胚葉(前腸)を広くもたらした。BMP阻害とTGFβ阻害とを組み合わせると(Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol)、インビボでOTX2最前部咽頭内胚葉を刺激する、分化の7日目までに98%を超えるOTX2AFG(図15)が得られた(表1)。別に、BMP阻害はRAシグナリングと共に、PFGを生成し(図16〜17)、これはRAがインビボでPFGをどのように認識するかと一致する(Stafford, D., and Prince, V.E. (2002). Retinoic acid signaling is required for a critical early step in zebrafish pancreatic development. Curr Biol 12, 1215-1220)。AFGとPFGは機能的に異なっていたが、PFGのみが肝臓及び膵臓の潜在能力を担持し(図18)、これはPFGのみが肝臓及び膵臓をその後形成する能力を獲得したことを示す。
【0191】
上記シグナリング論理を発動すれば、マイクロアレイ及びqPCR分析により立証されたように、DEに由来する別々のAFG、PFG及びMHG集団が相互排他的な様式で生成された。前後遺伝子発現は明らかに発生的に境界があった(図16〜17、2つのhESC株で再現された)。段階的な、空間的に同一線上のHOX遺伝子発現(Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251)が、インビトロパターン化の後に観察され、それによりPFGは3’前部HOX遺伝子(例えば、HOXA1)を発現し、対照的に、MHGは5’後部HOX遺伝子及びCDX遺伝子を排他的に発現した(図16〜17)。
【0192】
TGFβは、膵臓及び肝臓運命の相互排他的な分岐を特定するBMP/MAPKシグナリングと競合する
インビボでは、肝臓及び膵臓は、二分系列決定に向かう共通のPFG前駆体から発生する(Chung, W.-S., Shin, C.H., and Stainier, D.Y.R. (2008). Bmp2 signaling regulates the hepatic versus pancreatic fate decision. Developmental cell 15, 738-748、Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881)。膵臓及び肝臓誘導シグナルはインビボ及びインビトロで同定されているが、肝臓及び膵臓がPSC分化の間にどのように分離されるかはあまり明らかではない。BMP及びFGFは典型的には、肝臓を誘導するために用いられるが、ヘッジホッグ阻害及びFGFは膵臓を生成するために適用される(例えば、(Cho, C.H.-H., Hannan, N.R.-F., Docherty, F.M., Docherty, H.M., Joao Lima, M., Trotter, M.W.B., Docherty, K., and Vallier, L. (2012). Inhibition of activin/nodal signalling is necessary for pancreatic differentiation of human pluripotent stem cells. Diabetologia、Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452))。500を超える条件を包含するシグナリング摂動分析(図19図63)により、膵臓と肝臓の相互排他的特定化のためのシグナリングスイッチが明確になった(図19)。
【0193】
TGFβシグナリングは膵臓形成(PDX1により追跡される)を促進することがわかったが、BMP及びFGF/MAPKシグナリングは肝臓を特定化した(AFP)(図19)。重要なことに、これらのシグナルのそれぞれが別の系列の形成を相互に抑制することが明確になった(図19)が、これはPFG系列決定がどれぐらい双安定であるかを強調するものである(Chung, W.-S., Shin, C.H., and Stainier, D.Y.R. (2008). Bmp2 signaling regulates the hepatic versus pancreatic fate decision. Developmental cell 15, 738-748)。そのような交叉抑制のため、前膵臓TGFβの除去は肝臓を相互に拡張したが(図19i〜ii)、前肝臓FGF/MAPKの阻害(Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881)は分化を膵臓に向かって逸らした(図19iv)。本明細書に提示される結果は、以前の研究と異なり、肝臓又は膵臓誘導における以前の不十分性を説明することができる。膵臓誘導のためのFGFの以前の使用(Cho, C.H.-H., Hannan, N.R.-F., Docherty, F.M., Docherty, H.M., Joao Lima, M., Trotter, M.W.B., Docherty, K., and Vallier, L. (2012). Inhibition of activin/nodal signalling is necessary for pancreatic differentiation of human pluripotent stem cells. Diabetologia、Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452、Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871)は事実、胚研究により示唆されたように(Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881)、膵臓を遮断し、その代わりに肝臓を特定化することができる(図19iv)。他方、肝臓誘導のためのTGFβの提供(Rashid, S.T., Corbineau, S., Hannan, N., Marciniak, S.J., Miranda, E., Alexander, G., Huang-Doran, I., Griffin, J., Ahrlund-Richter, L., Skepper, J., et al. (2010). Modeling inherited metabolic disorders of the liver using human induced pluripotent stem cells. J Clin Invest 120, 3127-3136)は、肝臓を無効化し、その代わりに膵臓を駆動してもよい(図19i〜ii)。
【0194】
機構的には、それぞれ膵臓と肝臓を特定化する際のTGFβとBMPにおける二分(図20)は、以前には解明されておらず、これらのシグナリング経路が互いの伝達をしばしば交叉抑制する方法によく似ている(Candia, A.F., Watabe, T., Hawley, S.H., Onichtchouk, D., Zhang, Y., Derynck, R., Niehrs, C., and Cho, K.W. (1997). Cellular interpretation of multiple TGF-β signals: intracellular antagonism between activin/BVg1 and BMP-2/4 signaling mediated by Smads. Development 124, 4467-4480)。これらのモルフォゲン間で組合せ相互作用がさらに同定された。例えば、TGFβが同時に阻害された場合、FGFMAPK阻害は無効であったため、TGFβシグナリングとFGF/MAPK阻害とが膵臓形成にとって必須であった(図63i)。逆に、FGF/MAPKが同時に阻害された場合、TGFβ阻害は肝臓を効率的に作出することができなかったため、肝臓誘導はTGFβ阻害とFGF/MAPKシグナリングを協働的に必要とした(図19iv、図63i)。
【0195】
hESC由来肝臓子孫は条件付けられていないマウス肝臓中で長期間生着する
膵臓を明確に阻害しながら肝臓に向かってDEを分化させるために、本発明者らは、DEをPFGに向かって1日間誘導し(図20i、図63iv)、次いで、BMP及び他の因子と共にTGFβ阻害を用いて、膵臓夾雑を最少にしながらその後3日間にわたって肝臓に向かってPFGを指向させた(図64)。本発明者らは、分化の7日以内に4つのhESC株から72.3±6.3%のAFP初期肝臓前駆体(図64)を生成し、これは以前の方法の2倍迅速であった(Rashid, S.T., Corbineau, S., Hannan, N., Marciniak, S.J., Miranda, E., Alexander, G., Huang-Doran, I., Griffin, J., Ahrlund-Richter, L., Skepper, J., et al. (2010). Modeling inherited metabolic disorders of the liver using human induced pluripotent stem cells. J Clin Invest 120, 3127-3136):さらに肝臓マーカーは以前のプロトコールと比較して約60〜210倍高く誘導された(図65)。
【0196】
初期AFP肝臓前駆体の肝臓潜在能力を検証するために、それらをオンコスタチンM及びデキサメタゾン(Kamiya, A., Kinoshita, T., Ito, Y., Matsui, T., Morikawa, Y., Senba, E., Nakashima, K., Taga, T., Yoshida, K., Kishimoto, T., et al. (1999). Fetal liver development requires a paracrine action of oncostatin M through the gp130 signal transducer. EMBO J 18, 2127-2136)を用いてインビトロで混合アルブミン(hALB)肝芽細胞集団に経験的に成熟させたところ(図66)、ある程度のCYP3A4代謝活性を示し(図22i)、LDLRを発現し、コレステロールを取り込むことができた(図22ii)。新生児マウス肝臓に移植した場合、初期AFP肝臓前駆体は生着することができなかったが(図67)、その分化したhALB子孫を移植した場合、移植の2〜3カ月後にレシピエントの47%の血中でヒトアルブミンが検出され(両側Mann-Whitney検定により決定された場合、平均7.2ng/mL)、長期的生着を示した(図23)。実際、hALBhESC由来肝細胞の巣(移植前に構成的に発現されるGFPでマークされる)が成体肝臓の全ての小葉に存在していた(図23図67)。これは、hALB肝細胞が肝臓を通して統合及び/又は移動し、それらが移植部位で単に局部的に持続していたのではないことを示唆していた。最後にhALB細胞はヒト肝臓マーカーHepPar1を同時発現していたが(図68)、胎児マーカーAFPを検出可能に発現せず(図69)、これはそれらが胎児段階を通過して進行したことを示唆している。これは、hESC由来肝細胞がマウス肝臓中に長期間生着することができ、広範な薬理学的又は遺伝的損傷により損なわれなかったことを初めて証明するものである((Yusa, K., Rashid, S.T., Strick-Marchand, H., Varela, I., Liu, P.-Q., Paschon, D.E., Miranda, E., Ordonez, A., Hannan, N.R.F., Rouhani, F.J., et al. (2011). Targeted gene correction of α1-antitrypsin deficiency in induced pluripotent stem cells. Nature 478, 391-394)を参照されたい)。
【0197】
内胚葉誘導及び前後パターン化の包括的転写状態及びクロマチン状態のマッピング
hESC由来内胚葉系列のむしろ同種の集団を取得する能力を利用して、4つのヒストンH3改変(K4me3、K27me3、K27ac及びK4me2;図24〜38、図66〜80)に関するRNA−seq及びChIP−seqを用いて6つの純粋な前駆体集団(hESC、APS、DE、AFG、PFG及びMHG)の階層をプロファイリングすることにより、転写及びクロマチン動力学を内胚葉発生中に捕捉した。これにより、4つの胚段階(胚盤葉上層、PS、DE及び前後パターン化)に広がる30の転写及びクロマチン状態マップが得られ、合計13億を超える整列された読取りであった(図70)。
【0198】
この分析は、急性発生移行を捕捉した。RNA−seqは、インビトロでの多能性からAPSへの同期的移行中の24時間以内に劇的な転写的変化を示し(図24)、どれぐらいの胚盤葉上層(約E5.5)及びPS(約E6.5)がマウスにおいて1日以内に生じるかを反映している。BRACHYURY及びNODALプロモーターは、hESC中で活性化関連K4me3及び抑制関連K27me3により二価的にマークされたが、APS誘導の24時間以内に、それらは一方的に分解され、抑制的K27me3を失い、APSにおける迅速なBRACHYURY及びNODAL上方調節と共に活性マークK27ac及びK4me3を獲得した(図25)。
【0199】
内胚葉エンハンサー活性化はEOMES、SMAD2/3/4及びFOXH1同時占有と関連する
遠位K27ac富化により同定される異なる一連の活性エンハンサー(Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)はそれぞれの細胞運命移行中に発動された(図26)。APSエンハンサー(例えば、BRACHYURY及びNODAL)は24時間以内に迅速に開始された(図25)。DEパターン化中に、異なるコホートのエンハンサーがAFG(SIX1及びTBX1;図79)、PFG(HOXA1;図80)及びMHG(CDX2及びPAX9;図27図72)中のそれぞれの前後ドメイン中で任命された。
【0200】
10,543のDEエンハンサーがDE特定化の際に活性化され、hESC中で大部分不活性であるにも拘らずK27acを獲得した。活性DEエンハンサーは、典型的なDE調節因子、例えば、SOX17(図34)及びCXCR4(図71)に隣接していた。遺伝子オントロジー(GO)分析(McLean, C.Y., Bristor, D., Hiller, M., Clarke, S.L., Schaar, B.T., Lowe, C.B., Wenger, A.M., and Bejerano, G. (2010). GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol 28, 495-501)はこれらのエンハンサーを内胚葉発生(P<3.84x10−26)及び原腸形成(P<7.92x10−26図28)と最も有意に関連付けたが、これは分化したDE集団の純度を支持する。活性DEエンハンサーに隣接する遺伝子は、インビボで原腸段階の内胚葉中で(P<1.38x10−39図28)及びインビトロでDE分化の際に(図29)上方調節された。真正染色質マークK4me2と一致した活性DEエンハンサー(図73)は、抑制関連K27me3がなく(図73)、進化的に保存され(図75)、他の系列では広く不活性であった(図74)。
【0201】
以前の研究のほとんどがプロモーターマークのみを評価したため(Kim, S.W., Yoon, S.-J., Chuong, E., Oyolu, C., Wills, A.E., Gupta, R., and Baker, J. (2011). Chromatin and transcriptional signatures for Nodal signaling during endoderm formation in hESCs. Developmental Biology 357, 492-504、Xie, R., Everett, L.J., Lim, H.-W., Patel, N.A., Schug, J., Kroon, E., Kelly, O.G., Wang, A., D'amour, K.A., Robins, A.J., et al. (2013). Dynamic chromatin remodeling mediated by polycomb proteins orchestrates pancreatic differentiation of human embryonic stem cells. Cell Stem Cell 12, 224-237、Xie, W., Schultz, M.D., Lister, R., Hou, Z., Rajagopal, N., Ray, P., Whitaker, J.W., Tian, S., Hawkins, R.D., Leung, D., et al. (2013). Epigenomic analysis of multilineage differentiation of human embryonic stem cells. Cell 153, 1134-1148)、DEエンハンサーは以前には依然として理解しにくかった。しかしながら、hESC由来DEのエンハンサープロファイリングが最近報告され(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)、従って、本発明者らの2つのDEデータベースを、同一の分析方法を用いて比較した。逆説的ではあるが、神経TF BRN2及びPAX3のためのエンハンサーは活性化されたが、SOX17エンハンサーは実質的に沈黙化されたため(図75)、前者のデータセット(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)からのDEエンハンサーは、神経機能について高度に富化されていた(P<3.93x10−28図31)。DEエンハンサーの神経遺伝子との結合は、内胚葉及び外胚葉発生が関連するという以前の結論(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28)を導いたが、これは胚葉分離のインビボでの順序と対照的である((Tzouanacou, E., Wegener, A., Wymeersch, F.J., Wilson, V., and Nicolas, J.-F. (2009). Redefining the progression of lineage segregations during mammalian embryogenesis by clonal analysis. Developmental Cell 17, 365-376)を参照されたい)。対照的に、神経期間はSR1由来DE中に大部分存在せず(図28)、最終的にはわずか4.8%のDEエンハンサーが、本発明者らのデータセットと彼らのデータセットとの間で共有された。かくして、混合DE集団の分子プロファイリング(外胚葉について潜在的に富化される;(Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28))は、内胚葉発生の正確な分子的説明を不可能にしてきた。
【0202】
DEエンハンサーが分化の間にどのように開始されるかは依然として不明確である。DE特定因子EOMES及びFOXA2並びにTGFβシグナリングエフェクターSMAD2/3及びFOXH1(P=10−59〜10−197)などの複数のTFのためのモチーフはDEエンハンサー中で富化されていたが(図32)、これはこれらのTFがインビボでDEをどのように特定するかと一致していた(例えば、(Dunn, N.R., Vincent, S.D., Oxburgh, L., Robertson, E.J., and Bikoff, E.K. (2004). Combinatorial activities of Smad2 and Smad3 regulate mesoderm formation and patterning in the mouse embryo. Development 131, 1717-1728、Teo, A.K.K., Arnold, S.J., Trotter, M.W.B., Brown, S., Ang, L.T., Chng, Z., Robertson, E.J., Dunn, N.R., and Vallier, L. (2011). Pluripotency factors regulate definitive endoderm specification through eomesodermin. Genes & Development 25, 238-250))。興味深いことに、本発明者らは、EOMES、SMAD2/3、SMAD4及びFOXH1(Kim, S.W., Yoon, S.-J., Chuong, E., Oyolu, C., Wills, A.E., Gupta, R., and Baker, J. (2011). Chromatin and transcriptional signatures for Nodal signaling during endoderm formation in hESCs. Developmental Biology 357, 492-504、Teo, A.K.K., Arnold, S.J., Trotter, M.W.B., Brown, S., Ang, L.T., Chng, Z., Robertson, E.J., Dunn, N.R., and Vallier, L. (2011). Pluripotency factors regulate definitive endoderm specification through eomesodermin. Genes & Development 25, 238-250)がSOX17エンハンサー(図34)を含む、広範囲の一連のDEエンハンサー(図33)を同時占有することを見出した。EOMESはいくつかのエレメントに個々に関与したが、EOMESと、TGFβシグナリングエフェクターSMAD2/3/4及びFOXH1との共局在化は、最大のエンハンサーであるアセチル化と相関していた(図33、Fisherの直接確率検定により算出された場合、P<10−300、4TF対1〜3TFクラス)。かくして、系列特定化及びシグナリングエフェクターTFの両方の収束は、分化の際に本格的なエンハンサー活性化を推進することができる(Calo, E., and Wysocka, J. (2013). Modification of enhancer chromatin: what, how, and why? Molecular Cell 49, 825-837)。
【0203】
内胚葉エンハンサーは活性化の前に運命付けられていない細胞中で多様な「プレエンハンサー」状態にある
DEエンハンサーがhESC分化の際にどれぐらい迅速に関与するかは依然として不明確である。SMAD2/3/4及びFOXH1は分化の際にDEエンハンサーを占有するが、運命付けられていない状態では稀にしかそうしない(図73)。おそらく、その代わりにこれらのエンハンサーはクロマチンのレベルで活性化のためにプライミングされる。ESC中の真正染色質K4me1による発生エンハンサーのプレマーキングは、その後のエンハンサー活性化のための「機会のウィンドウ」を示す(Calo, E., and Wysocka, J. (2013). Modification of enhancer chromatin: what, how, and why? Molecular Cell 49, 825-837、Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)。発生の進行を再検討し、エンハンサー活性化の前にhESC中での24を超えるヒストン改変及びクロマチン調節因子(Ernst, J., Kheradpour, P., Mikkelsen, T.S., Shoresh, N., Ward, L.D., Epstein, C.B., Zhang, X., Wang, L., Issner, R., Coyne, M., et al. (2011). Mapping and analysis of chromatin state dynamics in nine human cell types. Nature 473, 43-49)によるDEエンハンサーの占有を評価した(図35)。予想外に、K4me1はhESC中の将来のDEエンハンサーの1/3未満しか標識しなかったが、これはhESC中でのK4me1による「平衡化(poising)」は、即時のエンハンサー活性化にとって常に必須であるというわけではないことを暗示している(図35〜36)。かくして、本発明者らは、hESC中のDEエンハンサーの全ての可能な「プレエンハンサー」クロマチン状態を体系的に発見することを求めた。
【0204】
監視されていないクラスタリングにより、25%のDEエンハンサーが、ヒストンバリアントH2AZ及び他の公知でないクロマチンマークにより大部分定義されたhESC中で新しいプレエンハンサー状態(クラスター1)で存在していることが示された(図35図76)。K4me1の実質的な非存在にも拘らず、H2AZマークされたプレエンハンサーは、DE誘導の3日以内に迅速に活性化されるようになった(図35)。DEエンハンサーは、異質染色質マークK9me3により指定される抑制された状態(クラスター2)(Zhu, Y., van Essen, D., and Saccani, S. (2012). Cell-type-specific control of enhancer activity by H3K9 trimethylation. Molecular Cell 46, 408-423)又は公知のヒストン改変を大部分欠く「潜在的な」プレエンハンサー状態(クラスター5、図35)(Ostuni, R., Piccolo, V., Barozzi, I., Polletti, S., Termanini, A., Bonifacio, S., Curina, A., Prosperini, E., Ghisletti, S., and Natoli, G. (2013). Latent enhancers activated by stimulation in differentiated cells. Cell 152, 157-171)で存在することはあまりなかった。わずか10%のDEエンハンサーがhESC中でK27me3によりマークされたが(図36)、これはポリコーム(Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)がhESC中の発生エンハンサーを抑制するのに常に必要であるわけではないことを示唆している:おそらく、K27ac/ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)の非存在は、不活性を与えるのに十分であった。ほんのわずかのDEエンハンサー(10%)がHAT p300に予備充填されたが(Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)(図36)、これは分化中の迅速なエンハンサーアセチル化がデノボでのHAT動員を大部分含んでもよいことを示唆している。
【0205】
他の検出可能な識別因子を用いずにH2AZにより単に説明された「プレエンハンサー」状態は、以前には記載されていなかった。H2AZは活性エンハンサーと関連することが多いが(Hu, G., Cui, K., Northrup, D., Liu, C., Wang, C., Tang, Q., Ge, K., Levens, D., Crane-Robinson, C., and Zhao, K. (2013). H2A.Z facilitates access of active and repressive complexes to chromatin in embryonic stem cell self-renewal and differentiation. Cell Stem Cell 12, 180-192)、それはまた不活性エンハンサーを修飾することが見出された(図35)。H2AZを積んだヌクレオソームは不安定であり、TFにより容易に置換される(Hu, G., Cui, K., Northrup, D., Liu, C., Wang, C., Tang, Q., Ge, K., Levens, D., Crane-Robinson, C., and Zhao, K. (2013). H2A.Z facilitates access of active and repressive complexes to chromatin in embryonic stem cell self-renewal and differentiation. Cell Stem Cell 12, 180-192、Jin, C., Zang, C., Wei, G., Cui, K., Peng, W., Zhao, K., and Felsenfeld, G. (2009). H3.3/H2A.Z double variant-containing nucleosomes mark 'nucleosome-free regions' of active promoters and other regulatory regions. Nat Genet 41, 941-945)。これにより、内胚葉TFは分化の際にDEエンハンサーに迅速に浸潤し、迅速なエンハンサー活性化を説明することができる。実際、hESC中のH2AZによりマークされたDEプレエンハンサーは、潜在的なプレエンハンサーと比較して、分化の際にEOMES、SMAD2/3/4及びFOXH1をより容易に誘引した(図37、P=10−13〜10−15)。これは、mESC中のH2AZによりマークされたプロモーターが、どれぐらい分化の際にFOXA2結合により感受性であるかと同等である(Li, Z., Gadue, P., Chen, K., Jiao, Y., Tuteja, G., Schug, J., Li, W., and Kaestner, K.H. (2012). Foxa2 and H2A.Z Mediate Nucleosome Depletion during Embryonic Stem Cell Differentiation. Cell 151, 1608-1616)。
【0206】
まとめると、初期のK4me1「平衡化」は、その後のエンハンサー活性化の唯一の予測因子ではない。データは、クロマチンマークの異なる組合せにより特徴付けられるプレエンハンサー状態の多様性が存在することを示す(図38)。
【0207】
考察
PSC分化は、典型的には、PSC株間で変化する一定範囲の発生結果をもたらす。ここで、単一系列の正確な誘導を、別の運命が発生分岐点で排除される方法を理解することにより、及び動的シグナリング移行の正確な時間的動力学を精査することにより達成することができる。本発明者らは、PSCからのヒト内胚葉の誘導及び前後パターン化に関する、並びに膵臓と肝臓のその後の分岐に関するシグナリング論理を説明し、それぞれのステップにおける別の系列の分離を明確にした。そのような知識により、多様なhESC/hiPSC株からの精製された内胚葉の普遍的生成が可能になった。このレベルの内胚葉純度により、内胚葉発生の正確なクロマチン状態の分析及び長期間生着するhESC由来肝臓細胞の産生が可能になった。
【0208】
相互排他的な内胚葉運命の発生的分離
PSCから内胚葉と中胚葉の両方を惹起するために、BMP、FGF、TGFβ及びWntシグナルが用いられ(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384、Gertow, K., Hirst, C.E., Yu, Q.C., Ng, E.S., Pereira, L.A., Davis, R.P., Stanley, E.G., and Elefanty, A.G. (2013). WNT3A Promotes Hematopoietic or Mesenchymal Differentiation from hESCs Depending on the Time of Exposure. Stem Cell Reports 1, 53-65、Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)、従って、これらのシグナルにより駆動される正確な系列結果は依然として不明瞭であった。これらの矛盾する知見は、ここで調整されるが、これは、これらの因子が実際にその時間的動力学に基づいて内胚葉又は中胚葉のいずれかを特定することを示している。4つの連続する段階の内胚葉発生を通して、所与の系列を指示するか、又は抑制するシグナルは正確に定義され、内胚葉系列の分岐がどのように駆動されるかのより明確な見解を提供する。事実、この正確な理解は、以前のプロトコールがDE形成を抑制する不正確なシグナルを提供し、それによって、非効率的な分化をもたらすことを示唆した。
【0209】
本開示は、内胚葉発生のいくつかの連続する段階に広がる統合されたシグナリング「ロードマップ」を解決しようと試み、本発明者らはインビボで胚葉分離の階層後の全ての段階で別の運命を合理的に排除することができた(Tzouanacou, E., Wegener, A., Wymeersch, F.J., Wilson, V., and Nicolas, J.-F. (2009). Redefining the progression of lineage segregations during mammalian embryogenesis by clonal analysis. Developmental Cell 17, 365-376)。かくして、DE特定化の基礎となるシグナリング論理の解明により、典型的には現在の分化戦略から生じる外因性系列なしに、無血清条件で多様なhESC及びhiPSC株からの高度に純粋なDE集団の体系的生成が可能になった。例えば、DEは、中胚葉又は外胚葉の実質的な非存在下で生成した。BMP、FGF、TGFβ及びWntシグナリングの組合せ($10、Blauwkamp, T.A., Nigam, S., Ardehali, R., Weissman, I.L., and Nusse, R. (2012). Endogenous Wnt signalling in human embryonic stem cells generates an equilibrium of distinct lineage-specified progenitors. Nat Commun 3, 1070、$44)が、APS(99%を超えるMIXL1)を特定し、外胚葉(Murry, C.E., and Keller, G. (2008). Differentiation of embryonic stem cells to clinically relevant populations: lessons from embryonic development. Cell 132, 661-680)を抑制するのに必要であり、APS誘導の24時間以内に外胚葉分化能を無効化することがわかった。外胚葉の排除後、中胚葉はBMP阻害により連続的に除去され、TGFβ及びFGFシグナリング(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541)と組み合わせた場合、PSをDEに向かって排他的に駆動した。重要なことに、純粋なDE集団を達成するためには、PS内の内因性BMP及びWntシグナリングを抑制することが必須であった。1つのシグナルの受容が他のシグナルへの応答を変化させたことを示す、シグナルの組合せの解釈における微妙な差異も明確化された。例えば、BMP阻害は典型的には中胚葉を絶滅させたが、DEを誘導するFGFが並行して遮断された場合、中胚葉形成は再び可能となった。かくして、FGFはDEの運命付けを確立するために必須であった。
【0210】
PFG形成の後、TGFβとBMPシグナリングは、膵臓と肝臓を特定化するように争った。ある運命を特定化する誘導シグナルは別の運命を相互に交叉抑制し、胚形成の間の双安定の系列割当ての想起(Graf, T., and Enver, T. (2009). Forcing cells to change lineages. Nature 462, 587-594)を例示した。従って、効率的な肝臓誘導には、肝臓を積極的に駆動するBMP及びFGF/MAPKと共に膵臓運命を除去するTGFβ阻害及びその逆が必要であった。まとめると、抑制シグナルの阻害は、それぞれの分岐点で効率的なhPSC分化を誘導するための誘導シグナルの提供と同等に重要である。
【0211】
それぞれの岐路での別の運命の除去は、以前のプロトコールにより典型的に誘導される外因性系列なしに、7つの多様なhESC/hiPSC株を高度に純粋なDE集団に普遍的に分化させるための単一の有効な戦略を定義した。これは、異なるhPSC株が異なる分化の偏りを有し、それぞれが効率的な運命付けを駆動するためのカスタマイズされたシグナルを必要としてもよいという意見に反する。細胞補充療法のための必要条件は既定の無血清条件下でのhPSCからの均質なヒト系列の生成であるため、本明細書に記載の観察は時宜を得ている(Cohen, D.E., and Melton, D. (2011). Turning straw into gold: directing cell fate for regenerative medicine. Nature Reviews Genetics、McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308)。hPSCから「自己複製する」DE(Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384)又は肝芽(Takebe, T., Sekine, K., Enomura, M., Koike, H., Kimura, M., Ogaeri, T., Zhang, R.-R., Ueno, Y., Zheng, Y.-W., Koike, N., et al. (2013). Vascularized and functional human liver from an iPSC-derived organ bud transplant. Nature 499, 481-484)を生成するための最近の戦略は魅力的である;しかしながら、それらは異種フィーダーとの同時培養を必要とし、かくして、異なる型の適用を適合させる必要がある。
【0212】
必須の内胚葉シグナリング入力は高度に時間的に動的である
インビボ及びインビトロでの動的内胚葉シグナリング移行の重要性にも拘らず(Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol、Wandzioch, E., and Zaret, K.S. (2009). Dynamic signaling network for the specification of embryonic pancreas and liver progenitors. Science 324, 1707-1710)、そのようなシグナルの正確な配列及び動力学は依然として完全には解明されていない。例えば、BMP及びWntは、数日にわたる長期的処理の研究により中胚葉誘導と伝統的に関連してきた(Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155、Gadue, P., Huber, T.L., Paddison, P.J., and Keller, G.M. (2006). Wnt and TGF-β signaling are required for the induction of an in vitro model of primitive streak formation using embryonic stem cells. Proc Natl Acad Sci USA 103, 16806-16811)。しかしながら、BMP及びWntはAPSを初期に特定するが、分化の24時間以内に、シグナリング要件は逆転し、BMP及びWntがPSからのDE生成を抑制し、その代わりに中胚葉を誘導することがわかった。重要なことに、以前のスキームは単一の長さの段階にAPS及びDE誘導を減少させ、3〜5日間にわたってBMPを持続的に提供し(Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871、Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765)、同様により後の段階の中胚葉の夾雑をもたらし、DE形成を阻害した。注目すべきことに、BMP及びWntがインビトロで(24時間以内に)解釈された驚くべき時間的ダイナミズムは、胚盤葉上層、PS及びDEがマウス胚中で互いに24時間以内にどのように生じるかを正確に追跡した。従って、前内胚葉又は抗内胚葉のいずれかとしてBMP及びWntを割り当てることは、これらのシグナルはちょうど24時間以内に二分された結果を得るために動的に解釈されるため、誤った名称である。
【0213】
発生能力及びプレエンハンサー状態の多様性
発生能力に関するWaddingtonの形式主義以来(Waddington, C.H. (1940). Organisers and Genes (Cambridge, UK, Cambridge University Press))、その分子的基礎は依然として謎が多い。運命付けられていない細胞中での発生エンハンサーの許容されるクロマチンプライミングは、能力の前兆となり得る(Calo, E., and Wysocka, J. (2013). Modification of enhancer chromatin: what, how, and why? Molecular Cell 49, 825-837)。様々なモデルが、活性化の前に「平衡化された」又は「潜在的な」クロマチン状態のいずれかにある迅速な誘導のためにプライミングされるエンハンサーを提唱した(Ostuni, R., Piccolo, V., Barozzi, I., Polletti, S., Termanini, A., Bonifacio, S., Curina, A., Prosperini, E., Ghisletti, S., and Natoli, G. (2013). Latent enhancers activated by stimulation in differentiated cells. Cell 152, 157-171、Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283)。しかしながら、「平衡化された」又は「潜在的な」プレエンハンサー状態の相対的普及(及びそれらが全ての可能なプレエンハンサー状態を表すかどうか)は依然として不明確であった。
【0214】
hESC中の全ての予想されるDEエンハンサーのクロマチン状態を、監視されていないクラスタリングを用いて問い合わせた。個々のDEエンハンサーは、「平衡化された」又は「潜在的な」状態を超えて伸長する、活性化の前に広く連続する示差的にマークされるプレエンハンサー状態で存在することがわかった。DEエンハンサーのサブセットのみが、hESC中のK4me1、K27me3、p300又は他の提唱された「平衡化」因子によってプレマークされ、普遍的な平衡化サインは存在しないことを示した。
【0215】
驚くべきことに、多くの予想されるDEエンハンサーは、他の「開いた」又は「閉じた」クロマチンマークの全体的非存在下でH2AZにより排他的にマークされることがわかった。これは、H2AZがmESCからのDE誘導にとって機能的に必須であり、プロモーターでのその存在がFOXA2動員の増加と相関したという最近の知見を補完するものである(Li, Z., Gadue, P., Chen, K., Jiao, Y., Tuteja, G., Schug, J., Li, W., and Kaestner, K.H. (2012). Foxa2 and H2A.Z Mediate Nucleosome Depletion during Embryonic Stem Cell Differentiation. Cell 151, 1608-1616)。H2AZは時には最も早く認識可能なエンハンサーマークであることが示された(K4me1の代わりに)。従って、エンハンサー活性化の間のクロマチン変化の複数の可能な配列が存在し、従って、普遍的な初期エンハンサー「平衡化」事象は存在しない。DEエンハンサーにH2AZを予め配置することにより、分化の際に系列特定因子EOMES及びシグナリングエフェクターSMAD2/3/4及びFOXH1により最適な浸潤が可能となり、これらのTFの全てによる同時占有が最大のエンハンサー活性化と相関することがさらに推測された。要するに、これにより、hESC中のDEエンハンサーの始原クロマチン状態が分化の際のその将来の関与に影響し得ることが証明された。
【0216】
複数の連続的内胚葉系列分岐の基礎となる発生シグナリング論理の説明は、多様なhPSC株からの精製された内胚葉の普遍的生成において決定的であることが証明された。任意の運命付けられた細胞型の生成は、複数の前駆体の仲介によって起こる:従って、それぞれの中間体段階での高度に効率的な分化が、最終生成物の富化された収率を得るために必要である(McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308)。本発明者らは、高度に純粋な内胚葉集団が生着可能な内胚葉誘導体を生成し、内胚葉運命付けにおける正確な分子的洞察を得るための必須の基礎であることを示す。DE集団における異種性は以前には雑多な細胞型をもたらし、DE分化の分子サインを不明瞭にしてきた。発生TF及び細胞表面マーカー発現、クロマチン状態分析及び限定された発生能力の試験は全て、この研究において産生される内胚葉集団の純度及び同一性を実証及び確認するものである。
【0217】
まとめると、本明細書の開示は、内胚葉特定化及びパターン化を促進し、従って、hPSC分化を利用し、独特の視点からヒト発生生物学の知識を富化するシグナリング論理及びクロマチン動力学の理路整然とした見解を提供する。特に、hPSC分化から行われる観察は、独特な視点からの発生生物学の我々の知識を相互に富化するであろう。本明細書で報告されるシグナリング摂動、転写プロファイリング及びクロマチン分析はそれぞれ、ヒト内胚葉発生を活発にする外来シグナル、調節遺伝子及びゲノム調節エレメントを明らかにするものである。
【0218】
(参考文献)
1. Ang, S.L., Conlon, R.A., Jin, O., and Rossant, J. (1994). Positive and negative signals from mesoderm regulate the expression of mouse Otx2 in ectoderm explants. Development 120, 2979-2989
2. Ang, S.L., Wierda, A., Wong, D., Stevens, K.A., Cascio, S., Rossant, J., and Zaret, K.S. (1993). The formation and maintenance of the definitive endoderm lineage in the mouse: involvement of HNF3/forkhead proteins. Development 119, 1301-1315
3. Avilion, A.A., Nicolis, S.K., Pevny, L.H., Perez, L., Vivian, N., and Lovell-Badge, R. (2003). Multipotent cell lineages in early mouse development depend on SOX2 function. Genes & Development 17, 126-140
4. Bain, J., Plater, L., Elliott, M., Shpiro, N., Hastie, C.J., McLauchlan, H., Klevernic, I., Arthur, J.S.C., Alessi, D.R., and Cohen, P. (2007). The selectivity of protein kinase inhibitors: a further update. Biochem J 408, 297-315
5. Barnes, J.D., Crosby, J.L., Jones, C.M., Wright, C.V., and Hogan, B.L. (1994). Embryonic expression of Lim-1, the mouse homolog of Xenopus Xlim-1, suggests a role in lateral mesoderm differentiation and neurogenesis. Developmental Biology 161, 168-178
6. Beck, F., Erler, T., Russell, A., and James, R. (1995). Expression of Cdx-2 in the mouse embryo and placenta: possible role in patterning of the extra-embryonic membranes. Dev Dyn 204, 219-227
7. Becker, D., Jiang, Z., Knodler, P., Deinard, A.S., Eid, R., Kidd, K.K., Shashikant, C.S., Ruddle, F.H., and Schughart, K. (1996). Conserved regulatory element involved in the early onset of Hoxb6 gene expression. Dev Dyn 205, 73-81
8. Bell, E., Ensini, M., Gulisano, M., and Lumsden, A. (2001). Dynamic domains of gene expression in the early avian forebrain. Dev Biol 236, 76-88
9. Beppu, H., Kawabata, M., Hamamoto, T., Chytil, A., Minowa, O., Noda, T., and Miyazono, K. (2000). BMP type II receptor is required for gastrulation and early development of mouse embryos. Dev Biol 221, 249-258
10. Bernardo, A.S., Faial, T., Gardner, L., Niakan, K.K., Ortmann, D., Senner, C.E., Callery, E.M., Trotter, M.W., Hemberger, M., Smith, J.C., et al. (2011). BRACHYURY and CDX2 mediate BMP-induced differentiation of human and mouse pluripotent stem cells into embryonic and extraembryonic lineages. Cell Stem Cell 9, 144-155
11. Biben, C., Stanley, E., Fabri, L., Kotecha, S., Rhinn, M., Drinkwater, C., Lah, M., Wang, C.C., Nash, A., Hilton, D., et al. (1998). Murine cerberus homologue mCer-1: a candidate anterior patterning molecule. Developmental Biology 194, 135-151
12. Blauwkamp, T.A., Nigam, S., Ardehali, R., Weissman, I.L., and Nusse, R. (2012). Endogenous Wnt signalling in human embryonic stem cells generates an equilibrium of distinct lineage-specified progenitors. Nat Commun 3, 1070
13. Blum, M., Gaunt, S.J., Cho, K.W., Steinbeisser, H., Blumberg, B., Bittner, D., and De Robertis, E.M. (1992). Gastrulation in the mouse: the role of the homeobox gene goosecoid. Cell 69, 1097-1106
14. Bosse, A., Zulch, A., Becker, M.B., Torres, M., Gomez-Skarmeta, J.L., Modolell, J., and Gruss, P. (1997). Identification of the vertebrate Iroquois homeobox gene family with overlapping expression during early development of the nervous system. Mech Dev 69, 169-181
15. Calo, E., and Wysocka, J. (2013). Modification of enhancer chromatin: what, how, and why? Molecular Cell 49, 825-837
16. Candia, A.F., Watabe, T., Hawley, S.H., Onichtchouk, D., Zhang, Y., Derynck, R., Niehrs, C., and Cho, K.W. (1997). Cellular interpretation of multiple TGF-β signals: intracellular antagonism between activin/BVg1 and BMP-2/4 signaling mediated by Smads. Development 124, 4467-4480
17. Chambers, S.M., Fasano, C.A., Papapetrou, E.P., Tomishima, M., Sadelain, M., and Studer, L. (2009). Highly efficient neural conversion of human ES and iPS cells by dual inhibition of SMAD signaling. Nat Biotechnol 27, 275-280
18. Chapman, D.L., Agulnik, I., Hancock, S., Silver, L.M., and Papaioannou, V.E. (1996a). Tbx6, a mouse T-Box gene implicated in paraxial mesoderm formation at gastrulation. Developmental Biology 180, 534-542
19. Chapman, D.L., Garvey, N., Hancock, S., Alexiou, M., Agulnik, S.I., Gibson-Brown, J.J., Cebra-Thomas, J., Bollag, R.J., Silver, L.M., and Papaioannou, V.E. (1996b). Expression of the T-box family genes, Tbx1-Tbx5, during early mouse development. Dev Dyn 206, 379-390
20. Chen, Q., Khoury, M., Limmon, G., Choolani, M., Chan, J.K., and Chen, J. (2013). Human Fetal Hepatic Progenitor Cells Are Distinct from, but Closely Related to, Hematopoietic Stem/Progenitor Cells. Stem cells (Dayton, Ohio)
21. Cheng, X., Ying, L., Lu, L., Galvao, A.M., Mills, J.A., Lin, H.C., Kotton, D.N., Shen, S.S., Nostro, M.C., Choi, J.K., et al. (2012). Self-renewing endodermal progenitor lines generated from human pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 10, 371-384
22. Chetty, S., Pagliuca, F.W., Honore, C., Kweudjeu, A., Rezania, A., and Melton, D.A. (2013). A simple tool to improve pluripotent stem cell differentiation. Nature Methods
23. Cho, C.H.-H., Hannan, N.R.-F., Docherty, F.M., Docherty, H.M., Joao Lima, M., Trotter, M.W.B., Docherty, K., and Vallier, L. (2012). Inhibition of activin/nodal signalling is necessary for pancreatic differentiation of human pluripotent stem cells. Diabetologia
24. Chung, W.-S., Shin, C.H., and Stainier, D.Y.R. (2008). Bmp2 signaling regulates the hepatic versus pancreatic fate decision. Developmental cell 15, 738-748
25. Ciruna, B.G., and Rossant, J. (1999). Expression of the T-box gene Eomesodermin during early mouse development. Mech Dev 81, 199-203
26. Coffinier, C., Barra, J., Babinet, C., and Yaniv, M. (1999). Expression of the vHNF1/HNF1beta homeoprotein gene during mouse organogenesis. Mech Dev 89, 211-213
27. Cohen, D.E., and Melton, D. (2011). Turning straw into gold: directing cell fate for regenerative medicine. Nature Reviews Genetics
28. Costa, M., Dottori, M., Sourris, K., Jamshidi, P., Hatzistavrou, T., Davis, R., Azzola, L., Jackson, S., Lim, S.M., Pera, M., et al. (2007). A method for genetic modification of human embryonic stem cells using electroporation. Nature Protocols 2, 792-796
29. Cserjesi, P., Brown, D., Lyons, G.E., and Olson, E.N. (1995). Expression of the novel basic helix-loop-helix gene eHAND in neural crest derivatives and extraembryonic membranes during mouse development. Developmental Biology 170, 664-678
30. Damjanov, I., Damjanov, A., and Damsky, C.H. (1986). Developmentally regulated expression of the cell-cell adhesion glycoprotein cell-CAM 120/80 in peri-implantation mouse embryos and extraembryonic membranes. Dev Biol 116, 194-202
31. D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541
32. D'Amour, K.A., Agulnick, A.D., Eliazer, S., Kelly, O.G., Kroon, E., and Baetge, E.E. (2005). Efficient differentiation of human embryonic stem cells to definitive endoderm. Nat Biotechnol 23, 1534-1541
33. Davidson, B.P., and Tam, P.P. (2000). The node of the mouse embryo. Curr Biol 10, R617-619
34. Davis, R.P., Ng, E.S., Costa, M., Mossman, A.K., Sourris, K., Elefanty, A.G., and Stanley, E.G. (2008). Targeting a GFP reporter gene to the MIXL1 locus of human embryonic stem cells identifies human primitive streak-like cells and enables isolation of primitive hematopoietic precursors. Blood 111, 1876-1884
35. Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J., and Zaret, K.S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-881
36. Ding, J., Yang, L., Yan, Y.T., Chen, A., Desai, N., Wynshaw-Boris, A., and Shen, M.M. (1998). Cripto is required for correct orientation of the anterior-posterior axis in the mouse embryo. Nature 395, 702-707
37. Dolle, P., Izpisua-Belmonte, J.C., Boncinelli, E., and Duboule, D. (1991). The Hox-4.8 gene is localized at the 5' extremity of the Hox-4 complex and is expressed in the most posterior parts of the body during development. Mech Dev 36, 3-13
38. Dono, R., Scalera, L., Pacifico, F., Acampora, D., Persico, M.G., and Simeone, A. (1993). The murine cripto gene: expression during mesoderm induction and early heart morphogenesis. Development 118, 1157-1168
39. Drukker, M., Tang, C., Ardehali, R., Rinkevich, Y., Seita, J., Lee, A.S., Mosley, A.R., Weissman, I.L., and Soen, Y. (2012). Isolation of primitive endoderm, mesoderm, vascular endothelial and trophoblast progenitors from human pluripotent stem cells. Nat Biotechnol
40. Duncan, S.A., Manova, K., Chen, W.S., Hoodless, P., Weinstein, D.C., Bachvarova, R.F., and Darnell, J.E. (1994). Expression of transcription factor HNF-4 in the extraembryonic endoderm, gut, and nephrogenic tissue of the developing mouse embryo: HNF-4 is a marker for primary endoderm in the implanting blastocyst. Proc Natl Acad Sci USA 91, 7598-7602
41. Dunn, N.R., Vincent, S.D., Oxburgh, L., Robertson, E.J., and Bikoff, E.K. (2004). Combinatorial activities of Smad2 and Smad3 regulate mesoderm formation and patterning in the mouse embryo. Development 131, 1717-1728
42. Dush, M.K., and Martin, G.R. (1992). Analysis of mouse Evx genes: Evx-1 displays graded expression in the primitive streak. Developmental Biology 151, 273-287
43. Ernst, J., Kheradpour, P., Mikkelsen, T.S., Shoresh, N., Ward, L.D., Epstein, C.B., Zhang, X., Wang, L., Issner, R., Coyne, M., et al. (2011). Mapping and analysis of chromatin state dynamics in nine human cell types. Nature 473, 43-49
44. Gadue, P., Huber, T.L., Paddison, P.J., and Keller, G.M. (2006). Wnt and TGF-βsignaling are required for the induction of an in vitro model of primitive streak formation using embryonic stem cells. Proc Natl Acad Sci USA 103, 16806-16811
45. Gertow, K., Hirst, C.E., Yu, Q.C., Ng, E.S., Pereira, L.A., Davis, R.P., Stanley, E.G., and Elefanty, A.G. (2013). WNT3A Promotes Hematopoietic or Mesenchymal Differentiation from hESCs Depending on the Time of Exposure. Stem Cell Reports 1, 53-65
46. Gharbi, S.I., Zvelebil, M.J., Shuttleworth, S.J., Hancox, T., Saghir, N., Timms, J.F., and Waterfield, M.D. (2007). Exploring the specificity of the PI3K family inhibitor LY294002. Biochem J 404, 15-21
47. Gifford, Casey A., Ziller, Michael J., Gu, H., Trapnell, C., Donaghey, J., Tsankov, A., Shalek, Alex K., Kelley, David R., Shishkin, Alexander A., Issner, R., et al. (2013). Transcriptional and Epigenetic Dynamics during Specification of Human Embryonic Stem Cells. Cell, 1-28
48. Goldman, O., Han, S., Sourrisseau, M., Dziedzic, N., Hamou, W., Corneo, B., D’souza, S., Sato, T., Kotton, Darrell N., Bissig, K.-D., et al. (2013). KDR Identifies a Conserved Human and Murine Hepatic Progenitor and Instructs Early Liver Development. Cell Stem Cell 12, 748-760
49. Goulding, M.D., Chalepakis, G., Deutsch, U., Erselius, J.R., and Gruss, P. (1991). Pax-3, a novel murine DNA binding protein expressed during early neurogenesis. EMBO J 10, 1135-1147
50. Graf, T., and Enver, T. (2009). Forcing cells to change lineages. Nature 462, 587-594
51. Grapin-Botton, A., and Melton, D.A. (2000). Endoderm development: from patterning to organogenesis. Trends in Genetics 16, 124-130
52. Green, M.D., Chen, A., Nostro, M.-C., D'Souza, S.L., Schaniel, C., Lemischka, I.R., Gouon-Evans, V., Keller, G., and Snoeck, H.-W. (2011). Generation of anterior foregut endoderm from human embryonic and induced pluripotent stem cells. Nat Biotechnol
53. Gualdi, R., Bossard, P., Zheng, M., Hamada, Y., Coleman, J.R., and Zaret, K.S. (1996). Hepatic specification of the gut endoderm in vitro: cell signaling and transcriptional control. Genes & Development 10, 1670-1682
54. Guz, Y., Montminy, M.R., Stein, R., Leonard, J., Gamer, L.W., Wright, C.V., and Teitelman, G. (1995). Expression of murine STF-1, a putative insulin gene transcription factor, in beta cells of pancreas, duodenal epithelium and pancreatic exocrine and endocrine progenitors during ontogeny. Development 121, 11-18
55. Hansson, M., Olesen, D.R., Peterslund, J.M.L., Engberg, N., Kahn, M., Winzi, M., Klein, T., Maddox-Hyttel, P., and Serup, P. (2009). A late requirement for Wnt and FGF signaling during activin-induced formation of foregut endoderm from mouse embryonic stem cells. Developmental Biology 330, 286-304
56. Hart, A.H., Hartley, L., Ibrahim, M., and Robb, L. (2004). Identification, cloning and expression analysis of the pluripotency promoting Nanog genes in mouse and human. Dev Dyn 230, 187-198
57. Hawkins, R.D., Hon, G.C., Lee, L.K., Ngo, Q., Lister, R., Pelizzola, M., Edsall, L.E., Kuan, S., Luu, Y., Klugman, S., et al. (2010). Distinct epigenomic landscapes of pluripotent and lineage-committed human cells. Cell Stem Cell 6, 479-491
58. Heinz, S., Benner, C., Spann, N., Bertolino, E., Lin, Y.C., Laslo, P., Cheng, J.X., Murre, C., Singh, H., and Glass, C.K. (2010). Simple combinations of lineage-determining transcription factors prime cis-regulatory elements required for macrophage and B cell identities. Mol Cell 38, 576-589
59. Hou, J., Charters, A.M., Lee, S.C., Zhao, Y., Wu, M.K., Jones, S.J.M., Marra, M.A., and Hoodless, P.A. (2007). A systematic screen for genes expressed in definitive endoderm by Serial Analysis of Gene Expression (SAGE). BMC Dev Biol 7, 92
60. Hu, G., Cui, K., Northrup, D., Liu, C., Wang, C., Tang, Q., Ge, K., Levens, D., Crane-Robinson, C., and Zhao, K. (2013). H2A.Z facilitates access of active and repressive complexes to chromatin in embryonic stem cell self-renewal and differentiation. Cell Stem Cell 12, 180-192
61. Initiative, I.S.C., Amps, K., Andrews, P.W., Anyfantis, G., Armstrong, L., Avery, S., Baharvand, H., Baker, J., Baker, D., Munoz, M.B., et al. (2011). Screening ethnically diverse human embryonic stem cells identifies a chromosome 20 minimal amplicon conferring growth advantage. Nat Biotechnol 29, 1132-1144
62. Jacquemin, P., Pierreux, C.E., Fierens, S., van Eyll, J.M., Lemaigre, F.P., and Rousseau, G.G. (2003). Cloning and embryonic expression pattern of the mouse Onecut transcription factor OC-2. Gene Expr Patterns 3, 639-644
63. James, R.G., Kamei, C.N., Wang, Q., Jiang, R., and Schultheiss, T.M. (2006). Odd-skipped related 1 is required for development of the metanephric kidney and regulates formation and differentiation of kidney precursor cells. Development 133, 2995-3004
64. Jiang, R., Lan, Y., Norton, C.R., Sundberg, J.P., and Gridley, T. (1998). The Slug gene is not essential for mesoderm or neural crest development in mice. Developmental Biology 198, 277-285
65. Jiang, W., Zhang, D., Bursac, N., and Zhang, Y. (2013). WNT3 Is a Biomarker Capable of Predicting the Definitive Endoderm Differentiation Potential of hESCs. Stem Cell Reports 1, 46-52
66. Jin, C., Zang, C., Wei, G., Cui, K., Peng, W., Zhao, K., and Felsenfeld, G. (2009). H3.3/H2A.Z double variant-containing nucleosomes mark 'nucleosome-free regions' of active promoters and other regulatory regions. Nat Genet 41, 941-945
67. Jung, J., Zheng, M., Goldfarb, M., and Zaret, K.S. (1999). Initiation of mammalian liver development from endoderm by fibroblast growth factors. Science 284, 1998-2003
68. Kamiya, A., Kinoshita, T., Ito, Y., Matsui, T., Morikawa, Y., Senba, E., Nakashima, K., Taga, T., Yoshida, K., Kishimoto, T., et al. (1999). Fetal liver development requires a paracrine action of oncostatin M through the gp130 signal transducer. EMBO J 18, 2127-2136
69. Kanai-Azuma, M., Kanai, Y., Gad, J.M., Tajima, Y., Taya, C., Kurohmaru, M., Sanai, Y., Yonekawa, H., Yazaki, K., Tam, P.P.L., et al. (2002). Depletion of definitive gut endoderm in Sox17-null mutant mice. Development 129, 2367-2379
70. Kim, S.W., Yoon, S.-J., Chuong, E., Oyolu, C., Wills, A.E., Gupta, R., and Baker, J. (2011). Chromatin and transcriptional signatures for Nodal signaling during endoderm formation in hESCs. Developmental Biology 357, 492-504
71. Knight, Z.A., Gonzalez, B., Feldman, M.E., Zunder, E.R., Goldenberg, D.D., Williams, O., Loewith, R., Stokoe, D., Balla, A., Toth, B., et al. (2006). A pharmacological map of the PI3-K family defines a role for p110alpha in insulin signaling. Cell 125, 733-747
72. Kroon, E., Martinson, L.A., Kadoya, K., Bang, A.G., Kelly, O.G., Eliazer, S., Young, H., Richardson, M., Smart, N.G., Cunningham, J., et al. (2008). Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo. Nat Biotechnol 26, 443-452
73. Kumar, V., Muratani, M., Rayan, N.A., Kraus, P., Lufkin, T., Ng, H.H., and Prabhakar, S. (2013). Uniform, optimal signal processing of mapped deep-sequencing data. Nature Biotechnology 31, 615-622
74. Landry, C., Clotman, F., Hioki, T., Oda, H., Picard, J.J., Lemaigre, F.P., and Rousseau, G.G. (1997). HNF-6 is expressed in endoderm derivatives and nervous system of the mouse embryo and participates to the cross-regulatory network of liver-enriched transcription factors. Developmental Biology 192, 247-257
75. Langmead, B., Trapnell, C., Pop, M., and Salzberg, S.L. (2009). Ultrafast and memory-efficient alignment of short DNA sequences to the human genome. Genome Biol 10, R25
76. Lawson, K.A., Meneses, J.J., and Pedersen, R.A. (1991). Clonal analysis of epiblast fate during germ layer formation in the mouse embryo. Development 113, 891-911
77. Levak-Svajger, B., and Svajger, A. (1974). Investigation on the origin of the definitive endoderm in the rat embryo. J Embryol Exp Morphol 32, 445-459
78. Li, H., Arber, S., Jessell, T.M., and Edlund, H. (1999). Selective agenesis of the dorsal pancreas in mice lacking homeobox gene Hlxb9. Nature Genetics 23, 67-70
79. Li, Z., Gadue, P., Chen, K., Jiao, Y., Tuteja, G., Schug, J., Li, W., and Kaestner, K.H. (2012). Foxa2 and H2A.Z Mediate Nucleosome Depletion during Embryonic Stem Cell Differentiation. Cell 151, 1608-1616
80. Lints, T.J., Parsons, L.M., Hartley, L., Lyons, I., and Harvey, R.P. (1993). Nkx-2.5: a novel murine homeobox gene expressed in early heart progenitor cells and their myogenic descendants. Development 119, 969
81. Liu, P., Wakamiya, M., Shea, M.J., Albrecht, U., Behringer, R.R., and Bradley, A. (1999). Requirement for Wnt3 in vertebrate axis formation. Nature Genetics 22, 361-365
82. Loh, K.M., and Lim, B. (2011). A precarious balance: pluripotency factors as lineage specifiers. Cell Stem Cell 8, 363-369.
83. Lu, C.C., Robertson, E.J., and Brennan, J. (2004). The mouse frizzled 8 receptor is expressed in anterior organizer tissues. Gene Expr Patterns 4, 569-572
84. Mahlapuu, M., Ormestad, M., Enerback, S., and Carlsson, P. (2001). The forkhead transcription factor Foxf1 is required for differentiation of extra-embryonic and lateral plate mesoderm. Development 128, 155-166
85. McGrath, K.E., Koniski, A.D., Maltby, K.M., McGann, J.K., and Palis, J. (1999). Embryonic expression and function of the chemokine SDF-1 and its receptor, CXCR4. Developmental Biology 213, 442-456
86. McKnight, K., Wang, P., and Kim, S.K. (2010). Deconstructing pancreas development to reconstruct human islets from pluripotent stem cells. Cell Stem Cell 6, 300-308
87. McLean, C.Y., Bristor, D., Hiller, M., Clarke, S.L., Schaar, B.T., Lowe, C.B., Wenger, A.M., and Bejerano, G. (2010). GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol 28, 495-501
88. McLean, C.Y., Bristor, D., Hiller, M., Clarke, S.L., Schaar, B.T., Lowe, C.B., Wenger, A.M., and Bejerano, G. (2010). GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol 28, 495-501
89. Mishina, Y., Suzuki, A., Ueno, N., and Behringer, R.R. (1995). Bmpr encodes a type I bone morphogenetic protein receptor that is essential for gastrulation during mouse embryogenesis. Genes & Development 9, 3027-3037
90. Murry, C.E., and Keller, G. (2008). Differentiation of embryonic stem cells to clinically relevant populations: lessons from embryonic development. Cell 132, 661-680
91. Neubuser, A., Koseki, H., and Balling, R. (1995). Characterization and developmental expression of Pax9, a paired-box-containing gene related to Pax1. Developmental Biology 170, 701-716
92. Niederreither, K., Vermot, J., Le Roux, I., Schuhbaur, B., Chambon, P., and Dolle, P. (2003). The regional pattern of retinoic acid synthesis by RALDH2 is essential for the development of posterior pharyngeal arches and the enteric nervous system. Development 130, 2525-2534
93. Nieto, M.A., Bennett, M.F., Sargent, M.G., and Wilkinson, D.G. (1992). Cloning and developmental expression of Sna, a murine homologue of the Drosophila snail gene. Development 116, 227-237
94. Norris, D.P., Brennan, J., Bikoff, E.K., and Robertson, E.J. (2002). The Foxh1-dependent autoregulatory enhancer controls the level of Nodal signals in the mouse embryo. Development 129, 3455-3468
95. Nostro, M.C., Sarangi, F., Ogawa, S., Holtzinger, A., Corneo, B., Li, X., Micallef, S.J., Park, I.-H., Basford, C., Wheeler, M.B., et al. (2011). Stage-specific signaling through TGFβ family members and WNT regulates patterning and pancreatic specification of human pluripotent stem cells. Development 138, 861-871
96. Orr-Urtreger, A., Bedford, M.T., Do, M.S., Eisenbach, L., and Lonai, P. (1992). Developmental expression of the alpha receptor for platelet-derived growth factor, which is deleted in the embryonic lethal Patch mutation. Development 115, 289-303
97. Ostuni, R., Piccolo, V., Barozzi, I., Polletti, S., Termanini, A., Bonifacio, S., Curina, A., Prosperini, E., Ghisletti, S., and Natoli, G. (2013). Latent enhancers activated by stimulation in differentiated cells. Cell 152, 157-171
98. Pearce, J.J., and Evans, M.J. (1999). Mml, a mouse Mix-like gene expressed in the primitive streak. Mech Dev 87, 189-192
99. Plusa, B., Piliszek, A., Frankenberg, S., Artus, J., and Hadjantonakis, A.-K. (2008). Distinct sequential cell behaviours direct primitive endoderm formation in the mouse blastocyst. Development 135, 3081-3091
100. Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Prescott, S., Brugmann, S.A., Swigut, T., and Wysocka, J. (2012). Epigenomic annotation of enhancers predicts transcriptional regulators of human neural crest. Cell Stem Cell 11, 633-648
101. Rada-Iglesias, A., Bajpai, R., Swigut, T., Brugmann, S.A., Flynn, R.A., and Wysocka, J. (2011). A unique chromatin signature uncovers early developmental enhancers in humans. Nature 470, 279-283
102. Radice, G.L., Rayburn, H., Matsunami, H., Knudsen, K.A., Takeichi, M., and Hynes, R.O. (1997). Developmental defects in mouse embryos lacking N-cadherin. Developmental Biology 181, 64-78
103. Ram, O., Goren, A., Amit, I., Shoresh, N., Yosef, N., Ernst, J., Kellis, M., Gymrek, M., Issner, R., Coyne, M., et al. (2011). Combinatorial patterning of chromatin regulators uncovered by genome-wide location analysis in human cells. Cell 147, 1628-1639
104. Rashid, S.T., Corbineau, S., Hannan, N., Marciniak, S.J., Miranda, E., Alexander, G., Huang-Doran, I., Griffin, J., Ahrlund-Richter, L., Skepper, J., et al. (2010). Modeling inherited metabolic disorders of the liver using human induced pluripotent stem cells. J Clin Invest 120, 3127-3136
105. Rausa, F., Samadani, U., Ye, H., Lim, L., Fletcher, C.F., Jenkins, N.A., Copeland, N.G., and Costa, R.H. (1997). The cut-homeodomain transcriptional activator HNF-6 is coexpressed with its target gene HNF-3 beta in the developing murine liver and pancreas. Developmental Biology 192, 228-246
106. Rezania, A., Bruin, J.E., Riedel, M.J., Mojibian, M., Asadi, A., Xu, J., Gauvin, R., Narayan, K., Karanu, F., O'Neil, J.J., et al. (2012). Maturation of human embryonic stem cell-derived pancreatic progenitors into functional islets capable of treating pre-existing diabetes in mice. Diabetes
107. Saga, Y., Hata, N., Koseki, H., and Taketo, M.M. (1997). Mesp2: a novel mouse gene expressed in the presegmented mesoderm and essential for segmentation initiation. Genes & Development 11, 1827-1839
108. Saga, Y., Miyagawa-Tomita, S., Takagi, A., Kitajima, S., Miyazaki, J.i., and Inoue, T. (1999). MesP1 is expressed in the heart precursor cells and required for the formation of a single heart tube. Development 126, 3437-3447
109. Sasaki, H., and Hogan, B.L. (1993). Differential expression of multiple fork head related genes during gastrulation and axial pattern formation in the mouse embryo. Development 118, 47-59
110. Schier, A.F., and Talbot, W.S. (2005). Molecular genetics of axis formation in zebrafish. Annu Rev Genet 39, 561-613
111. Shaner, N.C., Campbell, R.E., Steinbach, P.A., Giepmans, B.N.G., Palmer, A.E., and Tsien, R.Y. (2004). Improved monomeric red, orange and yellow fluorescent proteins derived from Discosoma sp. red fluorescent protein. Nat Biotechnol 22, 1567-1572
112. Shawlot, W., Deng, J.M., and Behringer, R.R. (1998). Expression of the mouse cerberus-related gene, Cerr1, suggests a role in anterior neural induction and somitogenesis. Proc Natl Acad Sci USA 95, 6198-6203
113. Sherwood, R.I., Chen, T.-Y.A., and Melton, D.A. (2009). Transcriptional dynamics of endodermal organ formation. Dev Dyn 238, 29-42
114. Sherwood, R.I., Maehr, R., Mazzoni, E.O., and Melton, D.A. (2011). Wnt signaling specifies and patterns intestinal endoderm. Mech Dev 128, 387-400
115. Si-Tayeb, K., Noto, F.K., Nagaoka, M., Li, J., Battle, M.A., Duris, C., North, P.E., Dalton, S., and Duncan, S.A. (2010). Highly efficient generation of human hepatocyte-like cells from induced pluripotent stem cells. Hepatology 51, 297-305
116. Smith, A.G. (2001). Embryo-derived stem cells: of mice and men. Annu Rev Cell Dev Biol 17, 435-462
117. Spence, J.R., Mayhew, C.N., Rankin, S.A., Kuhar, M.F., Vallance, J.E., Tolle, K., Hoskins, E.E., Kalinichenko, V.V., Wells, S.I., Zorn, A.M., et al. (2011). Directed differentiation of human pluripotent stem cells into intestinal tissue in vitro. Nature 470, 105-109
118. Stafford, D., and Prince, V.E. (2002). Retinoic acid signaling is required for a critical early step in zebrafish pancreatic development. Curr Biol 12, 1215-1220
119. Stafford, D., and Prince, V.E. (2002). Retinoic acid signaling is required for a critical early step in zebrafish pancreatic development. Curr Biol 12, 1215-1220
120. Sumi, T., Tsuneyoshi, N., Nakatsuji, N., and Suemori, H. (2008). Defining early lineage specification of human embryonic stem cells by the orchestrated balance of canonical Wnt/β-catenin, Activin/Nodal and BMP signaling. Development 135, 2969-2979
121. Svajger, A., and Levak-Svajger, B. (1974). Regional developmental capacities of the rat embryonic endoderm at the head-fold stage. J Embryol Exp Morphol 32, 461-467
122. Takebe, T., Sekine, K., Enomura, M., Koike, H., Kimura, M., Ogaeri, T., Zhang, R.-R., Ueno, Y., Zheng, Y.-W., Koike, N., et al. (2013). Vascularized and functional human liver from an iPSC-derived organ bud transplant. Nature 499, 481-484
123. Tam, P.P., and Beddington, R.S. (1987). The formation of mesodermal tissues in the mouse embryo during gastrulation and early organogenesis. Development 99, 109-126
124. Tam, P.P.L., and Loebel, D.A.F. (2007). Gene function in mouse embryogenesis: get set for gastrulation. Nature Reviews Genetics 8, 368-381
125. Tang, C., Lee, A.S., Volkmer, J.-P., Sahoo, D., Nag, D., Mosley, A.R., Inlay, M.A., Ardehali, R., Chavez, S.L., Pera, R.R., et al. (2011). An antibody against SSEA-5 glycan on human pluripotent stem cells enables removal of teratoma-forming cells. Nat Biotechnol 29, 829-834
126. Teo, A.K.K., Arnold, S.J., Trotter, M.W.B., Brown, S., Ang, L.T., Chng, Z., Robertson, E.J., Dunn, N.R., and Vallier, L. (2011). Pluripotency factors regulate definitive endoderm specification through eomesodermin. Genes & Development 25, 238-250
127. Thomas, P.Q., Brown, A., and Beddington, R.S. (1998). Hex: a homeobox gene revealing peri-implantation asymmetry in the mouse embryo and an early transient marker of endothelial cell precursors. Development 125, 85-94
128. Thorvaldsdottir, H., Robinson, J.T., and Mesirov, J.P. (2012). Integrative Genomics Viewer (IGV): high-performance genomics data visualization and exploration. Brief Bioinform
129. Tiso, N., Filippi, A., Pauls, S., Bortolussi, M., and Argenton, F. (2002). BMP signalling regulates anteroposterior endoderm patterning in zebrafish. Mech Dev 118, 29-37
130. Touboul, T., Hannan, N.R.F., Corbineau, S., Martinez, A., Martinet, C., Branchereau, S., Mainot, S., Strick-Marchand, H., Pedersen, R., Di Santo, J., et al. (2010). Generation of functional hepatocytes from human embryonic stem cells under chemically defined conditions that recapitulate liver development. Hepatology 51, 1754-1765
131. Trapnell, C., Pachter, L., and Salzberg, S.L. (2009). TopHat: discovering splice junctions with RNA-Seq. Bioinformatics 25, 1105-1111
132. Tzouanacou, E., Wegener, A., Wymeersch, F.J., Wilson, V., and Nicolas, J.-F. (2009). Redefining the progression of lineage segregations during mammalian embryogenesis by clonal analysis. Developmental Cell 17, 365-376
133. Visel, A., Blow, M.J., Li, Z., Zhang, T., Akiyama, J.A., Holt, A., Plajzer-Frick, I., Shoukry, M., Wright, C., Chen, F., et al. (2009). ChIP-seq accurately predicts tissue-specific activity of enhancers. Nature 457, 854-858
134. Vlahos, C.J., Matter, W.F., Hui, K.Y., and Brown, R.F. (1994). A specific inhibitor of phosphatidylinositol 3-kinase, 2-(4-morpholinyl)-8-phenyl-4H-1-benzopyran-4-one (LY294002). The Journal of biological chemistry 269, 5241-5248
135. Waddington, C.H. (1940). Organisers and Genes (Cambridge, UK, Cambridge University Press)
136. Wandzioch, E., and Zaret, K.S. (2009). Dynamic signaling network for the specification of embryonic pancreas and liver progenitors. Science 324, 1707-1710
137. Wang, Z., Oron, E., Nelson, B., Razis, S., and Ivanova, N. (2012). Distinct lineage specification roles for NANOG, OCT4, and SOX2 in human embryonic stem cells. Cell Stem Cell 10, 440-454
138. Wilkinson, D.G., Bhatt, S., and Herrmann, B.G. (1990). Expression pattern of the mouse T gene and its role in mesoderm formation. Nature 343, 657-659
139. Xie, R., Everett, L.J., Lim, H.-W., Patel, N.A., Schug, J., Kroon, E., Kelly, O.G., Wang, A., D'amour, K.A., Robins, A.J., et al. (2013). Dynamic chromatin remodeling mediated by polycomb proteins orchestrates pancreatic differentiation of human embryonic stem cells. Cell Stem Cell 12, 224-237
140. Xie, W., Schultz, M.D., Lister, R., Hou, Z., Rajagopal, N., Ray, P., Whitaker, J.W., Tian, S., Hawkins, R.D., Leung, D., et al. (2013). Epigenomic analysis of multilineage differentiation of human embryonic stem cells. Cell 153, 1134-1148
141. Xu, P.-X., Zheng, W., Laclef, C., Maire, P., Maas, R.L., Peters, H., and Xu, X. (2002). Eya1 is required for the morphogenesis of mammalian thymus, parathyroid and thyroid. Development 129, 3033-3044
142. Yusa, K., Rashid, S.T., Strick-Marchand, H., Varela, I., Liu, P.-Q., Paschon, D.E., Miranda, E., Ordonez, A., Hannan, N.R.F., Rouhani, F.J., et al. (2011). Targeted gene correction of α1-antitrypsin deficiency in induced pluripotent stem cells. Nature 478, 391-394
143. Zhang, X., Huang, C.T., Chen, J., Pankratz, M.T., Xi, J., Li, J., Yang, Y., Lavaute, T.M., Li, X.-J., Ayala, M., et al. (2010). Pax6 is a human neuroectoderm cell fate determinant. Cell Stem Cell 7, 90-100
144. Zorn, A.M., and Wells, J.M. (2009). Vertebrate endoderm development and organ formation. Annu Rev Cell Dev Biol 25, 221-251
145. Zwart, R., Broos, L., Grosveld, G., and Meijer, D. (1996). The restricted expression pattern of the POU factor Oct-6 during early development of the mouse nervous system. Mech Dev 54, 185-194
146. Zhu, Y., van Essen, D., and Saccani, S. (2012). Cell-type-specific control of enhancer activity by H3K9 trimethylation. Molecular Cell 46, 408-423
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58-1】
図58-2】
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67
図68
図69
図70
図71
図72
図73
図74
図75
図76
図77
図78
図79
図80
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]