【実施例】
【0109】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において遺伝子操作に関する各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(Molecular Cloning)」(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.著,Cold Spring Harbor Laboratory Pressより1989年に発刊)に記載の方法により行うか、又は、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って使用した。
【0110】
[実施例1]抗LPS O11抗体のスクリーニング
【0111】
1)−1 免疫
Mueller Hinton Agar(MHA、Becton,Dickinson and Company)で培養した緑膿菌ATCC 29260を生食に懸濁し、ICRマウス(チャールズリバー)の腓腹筋に10−11日おきに5回免疫した。最終免疫6日後に膝下リンパ節を採取し、セルストレーナー(Becton,Dickinson and Company)で細胞を個々に分離し、RPMI1640(Invitrogen)で洗浄した後、セルバンカー(十慈フィールド株式会社)に懸濁して‐80℃で保存した。
【0112】
1)−2 モノクローナル抗体の取得
WO2009/091048、WO2011/027808、WO2012/133572、BMC Biotechnology,11,39(2011)、及びBMC Biotechnology,11,75(2011)に記載の方法に準じて実施した。
【0113】
1)−2−1 抗体産生細胞の単離
免疫マウスのリンパ節から採取した細胞を0.5%BSA/2mM EDTA/PBSで懸濁し、allophycocyanin標識坑マウスCD138抗体(Becton,Dickinson and Company)を添加して4℃で15分間インキュベートした。その後、RPMI1640で細胞を洗浄し、ER−Tracker Blue−White DPX(Invitrogen)を添加し、遮光下にて5分間反応させた。細胞をPBSに懸濁し、FACS Aria(Becton,Dickinson and Company)のセルソーターを用いてダブルポジティブとなる細胞を個々に分離した。
【0114】
1)−2−2 cDNA合成
セルソーターにより個々に分離された細胞をオリゴdT25が結合した磁気ビーズ(Dynabeads mRNA DIRECT Kit、Invitrogen)の入った細胞溶解液(50mM Tris−HCl(pH7.5)、250mM LiCl、5mM EDTA(pH8)、0.5%ドデシル硫酸Li(LiDS)、2.5mM dithiothreitol(DTT))で溶解し、mRNAを磁気ビーズに結合させた。次に磁気ビーズをmRNA洗浄溶液A(10mM Tris−HCl(pH7.5)、0.15M LiCl、1mM EDTA、0.1% LiDS、0.1%TritonX−100)とcDNA合成用溶液(50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl
2、5mM DTT、0.5mM dNTP、0.2% TritonX−100、48unit RNase inhibitor(Invitrogen))で1回ずつ洗浄した後、480unit SuperScriptIII Reverse Transcriptase(Invitrogen)を加えたcDNA合成用溶液でcDNA合成を行った。続いて3’テーリング反応溶液(50mM リン酸カリウム、4mM MgCl
2、0.5mM dGTP、0.2% TritonX−100、48unit RNase inhibitor(Invitrogen))で洗浄した後、480unit Terminal Transferase, recombinant(Roche)を加えた反応溶液で3’テーリング反応を行った。
【0115】
1)−2−3 マウス重、軽鎖可変領域遺伝子断片の増幅
磁気ビーズをTE溶液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.1% TritonX−100)にて洗浄後、5’−RACE PCR法を用いてマウス免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子の増幅を行った。始めに、磁気ビーズをPCR反応溶液(0.2μM プライマー、0.2mM dNTP、0.1unit PrimeSTAR HS DNA Polymerase(TAKARA))に移し、94℃30秒−68℃90秒の反応を35サイクル行った(1st PCR)。次に1st PCR産物を10倍希釈し、これを鋳型に1st PCRと同条件でマウス免疫グロブリン重鎖遺伝子と軽鎖遺伝子の可変領域をそれぞれ別々に増幅した(2nd PCR)。各プライマーセットは下記の通り。
1st PCRプライマーセット
5’−cggtaccgcgggcccgggatcccccccccccccdn−3’(AP3dC−S)(配列番号89)
5’−accytgcatttgaactccttgcc−3’(mIgγRT1 1111−AS)(配列番号90)
5’−actgccatcaatcttccacttgaca−3’(mIgκ 1st 589−AS)(配列番号91)
2nd PCRプライマーセット(重鎖)
5’−cttcgaattctgcagtcgacggtaccgcgggcccggga−3’(MCS−AP3−S)(配列番号92)
5’−ctggacagggatccagagttcca−3’(mIgγ 3rd 656T−AS)(配列番号93)
2nd PCRプライマーセット(軽鎖)
5’−cttcgaattctgcagtcgacggtaccgcgggcccggga−3’(MCS−AP3−S)(配列番号92)
5’−actgaggcacctccagatgttaact−3’(mIgκ3rd 525−AS)(配列番号94)
【0116】
1)−2−4 マウスIgG2aあるいはヒトIgG1定常領域遺伝子連結用二本鎖DNA断片およびマウス軽鎖定常領域遺伝子連結用二本鎖DNA断片の作製
マウスIgG2aあるいはヒトIgG1定常領域遺伝子連結用二本鎖DNA断片およびマウス軽鎖定常領域遺伝子連結用二本鎖DNA断片はそれぞれ配列番号1−3に示すプラスミドpJON mIgG2a、pJON mIgG2a−hIgG1、pJON mIgκを鋳型にそれぞれのプライマーセットでPCRを実施して増幅し、DpnI(Roche)処理して得た。PCRは0.4ng/ml pJONをテンプレートに0.2mM dNTP、0.2μM プライマー、20unit PrimeSTAR HS DNA Polymeraseの反応溶液で94℃40秒−65℃40秒−72℃30秒の反応を25サイクル行った。
pJON mIgG2aおよびpJON mIgG2a−hIgG1用プライマーセット
5’−gcctggtcaagggctatttccctgag−3’(mIgG joint PCR−S)(配列番号95)
5’−gggggggggggggggggatcccgg−3’(polyG−AS)(配列番号96)
pJON mIgκ用プライマーセット
5’−ctgtatccatcttcccaccatccagt−3’(mIgκ joint PCR−S)(配列番号97)
5’−gggggggggggggggggatcccgg−3’(polyG−AS)(配列番号96)
1)−2−5 マウスあるいはヒトキメラ化免疫グロブリン線上化発現ベクターの作製
2nd PCR産物にTerminal Transferase, recombinant(Roche)を16unit加え、37℃にて30分反応させ、その後94℃にて5分間加熱することで酵素反応を停止させた。調製した3’端ポリヌクレオチド付加マウス重鎖可変領域遺伝子溶液に、マウスIgG2aあるいはヒトIgG1定常領域遺伝子連結用二本鎖DNA断片、0.2μM プライマー、0.2mM dNTPを加え、0.1unit PrimeSTAR HS DNA Polymeraseを用いて94℃30秒−70℃4分の反応を5サイクル、引き続き、94℃30秒−60℃30秒−72℃1分の反応を30サイクル行うことでマウス重鎖あるいはヒトキメラ化重鎖遺伝子発現ユニットを作製した。同様に、マウス軽鎖可変領域遺伝子溶液に、マウス軽鎖定常領域遺伝子連結用二本鎖DNA断片を加えて反応を行い、マウス軽鎖遺伝子発現ユニットを作製した。用いたプライマーは下記の通り。
連結用プライマーセット
5’−agagaaaccgtctatcagggcgatggc−3’(miniCMV f1−S)(配列番号98)
5’−agagaccctttgacgttggagtccacg−3’(miniCMV f1−AS)(配列番号99)
1)−2−6 抗体遺伝子の発現
上記の実験で増幅された全長のマウス重鎖またはヒトキメラ重鎖とマウス軽鎖遺伝子発現ユニットをLipofectamine2000(Invitrogen)を用いてHEK293T細胞に遺伝子導入し、37℃、5%CO
2下で4日間培養することで抗体培養上清を得た。
【0117】
1)−3 モノクローナル抗体のスクリーニング
1)−3−1 抗体濃度の測定
Mouse IgG2a ELISA Quantitation Set(Bethyl Laboratories)またはHuman IgG ELISA Quantitation Set(Bethyl Laboratories)を用いて測定した。方法は添付のマニュアルに準じて行った。すなわち、Affinity purified Goat anti−Mouse IgG2a Coating AntibodyまたはAffinity purified Goat anti−Human IgG−Fc Coating Antibodyを0.05MCarbonate−Bicarbonate(pH9.6)で101倍希釈し、100μlをwellに添加して室温で1時間固相化した。150μlの0.05%Tween20添加Tris buffered saline(TBS;Tween20添加TBSはTBST)で3回洗浄し、200μlの1%BSA/TBSをwellに添加して0.5−2時間ブロッキングした。各抗体培養上清あるいは精製抗体を、原液あるいは必要に応じて1%BSA/TBSTで希釈し、100μlをwellに添加し、室温で1時間反応させた。TBSTで3回洗浄し、50000倍希釈したHRP Conjugated Goat anti−Mouse IgG2a Detection Antibodyまたは100000倍希釈したHRP Conjugated Goat anti−Human IgG−Fc Detection Antibodyを100μl/well添加し、1時間反応させた。TBSTで3回洗浄し、SuperSignal ELISA Pico Chemiluminescent Substrate(Thermo Fisher Scientific K.K.)を添加し、添加直後に発光をARVO 1420マルチラベルカウンター(Perkin Elmer)で測定した。キット添付の標準品を用いて検量線を求め、濃度を算出した。
【0118】
1)−3−2 オプソニン活性測定
測定用バッファーとして0.1%gelatin/1%FBS/Hank‘s balanced salt solution(オプソニンバッファー)を調製した。エフェクター細胞としてHL60を0.8%N,N−Dimethylformamideを添加した10%FBS含有RPMI1640(Invitrogen)で5または6日間培養し、好中球様分化HL60をオプソニンバッファーで調製した。ターゲット菌としてMHAで培養した緑膿菌ATCC 29260をオプソニンバッファーで懸濁して調製した。補体としてBaby Rabbit Serum(Cederlane)を氷冷蒸留水で溶解して調製した。菌液(最終濃度2×10
4cells/ml)と抗体培養上清あるいは精製抗体を混合し、4℃で30分間静置した後、調製した好中球用分化HL60(最終濃度4×10
6cells/ml)と補体(最終濃度10%)を添加し、37℃、5%CO
2下で緩やかに撹拌しながら1時間培養した。培養後、各サンプルをMHAに塗沫し、翌日にコロニー数をカウントした。抗体非添加のコントロールと比較して、50%増殖抑制効果を示したサンプルを活性ありと判定した。
【0119】
1)−3−3 CDR配列の決定
1)−2−3で得たマウス重、軽鎖可変領域遺伝子産物をテンプレートとして下記シーケンスプライマーでシーケンスを確認した。シーケンス解析は遺伝子配列解析装置Applied Biosystems 3730xl DNA Analyzer(Life technologies)を用いて実施した。得られた配列をもとにAndrew C.R. MartinらのAbysisデータベース(http://www.bioinf.org.uk/abs/#cdrid)に従って、CDR配列を決定した。
シーケンスプライマー(重鎖用)
5’−acaccgctggacagggatccagag−3’(mIgG sequence)(配列番号100)
シーケンスプライマー(軽鎖用)
5’−gtagaagttgttcaagaagcacac−3’(mIgκ sequence)(配列番号101)
【0120】
1)−3−4 モノクローナル抗体の選抜
以上のスクリーニングからオプソニン活性が強く、CDR配列がユニークな抗体培養上清サンプルNo.76、#1G5、#4C12を見出した。No.76はpJON mIgG2aとpJON mIgκを、#1G5と#4C12はpJON mIgG2a−hIgG1とpJON mIgκをそれぞれ用いて作製した抗体である。それぞれの重鎖と軽鎖の可変領域とCDRのアミノ酸配列を配列番号4−27に示した。配列表の配列番号20に示される#4C12の軽鎖はアミノ酸番号75にシステインを含むが、チロシンに置き換えたものを「#4C13」と命名した。また、#4C12の重鎖と#1G5の軽鎖を組み合わせたものを「#4C13K」と命名した。#4C13Kは1)−2−5で作製された#4C12のヒトキメラ化重鎖遺伝子発現ユニットおよび#1G5のマウス軽鎖遺伝子発現ユニットを1)−2−6の方法に従って、HEK293Tで発現させた。#1G5と#4C13KはProteinG(GE Healthcare)で精製し、それぞれ「c#1G5M」、「c#4C13KM」と命名した。抗体濃度は1)−3−1の方法で算出した。
【0121】
[実施例2] ヒトキメラ化抗LPS O11抗体およびMeiji1640、Meiji1656、ヒトIgG1タイプ1BO11(1BO11 hIgG1)、マウスIgG2aタイプNo.76(No.76 mIgG2a)の調製
【0122】
2)−1 キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKの構築
プラスミドpcDNA3.3-TOPO/LacZ(INVITROGEN社)を制限酵素XbaI及びPmeIで消化して得られる約5.4kbのフラグメントと、配列番号28に示すヒト軽鎖分泌シグナル、及びヒト軽鎖定常領域をコードするDNA配列を含むDNA断片をIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて結合して、pcDNA3.3/LKを作製した。
【0123】
pcDNA3.3/LKを鋳型として、下記プライマーセットでPCRを行い、得られた約3.8kbのフラグメントをリン酸化後セルフライゲーションすることによりCMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、及びヒト軽鎖定常領域を持つ、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを構築した。
プライマーセット
5’−tataccgtcgacctctagctagagcttggc−3’(3.3−F1)(配列番号102)
5’−gctatggcagggcctgccgccccgacgttg−3’(3.3−R1)(配列番号103)
2)−2 キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1の構築
pCMA−LKをXbaI及びPmeIで消化して軽鎖分泌シグナル及びヒト軽鎖定常領域を取り除いたDNA断片と、配列番号29に示すヒト重鎖シグナル配列、及びヒトIgG1定常領域のアミノ酸をコードするDNA配列を含むDNA断片をIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて結合して、CMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、ヒトIgG1重鎖定常領域をもつキメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を構築した。
【0124】
2)−3 ヒトキメラ化抗LPS O11抗体の作製
2)−3−1 ヒトキメラ化No.76軽鎖発現ベクターの構築
実施例1)−2−3で得られたNo.76軽鎖の可変領域を含むcDNAをテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで軽鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化No.76軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/No.76」と命名した。ヒトキメラ化No.76軽鎖のヌクレオチド配列を配列表の配列番号30に示し、アミノ酸配列を配列番号31に示した。
ヒトキメラ化No.76軽鎖用プライマーセット
5’−atctccggcgcgtacggcaacattgtaatgacccaatctcccaaatc−3’(76L−F)(配列番号104)
5’−ggagggggcggccacagcccgttttatttccagcttggtcctccc−3’(76L−R)(配列番号105)
【0125】
2)−3−2 ヒトキメラ化No.76重鎖発現ベクターの構築
実施例1)−2−3で得られたNo.76重鎖の可変領域を含むcDNAをテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで重鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化No.76重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/No.76」と命名した。ヒトキメラ化No.76重鎖のヌクレオチド配列を配列表の配列番号32に示し、アミノ酸配列を配列番号33に示した。
ヒトキメラ化No.76重鎖用プライマーセット
5’−ccagatgggtgctgagccaggtccaactgcagcagcctggtgctgag−3’(76H−F)(配列番号106)
5’−cttggtggaggctgagctgactgtgagagtggtgccttggccccag−3’(76H−R)(配列番号107)
【0126】
2)−3−3 ヒトキメラ化#1G5軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号34に示すヒトキメラ化#1G5軽鎖をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒトキメラ化#1G5軽鎖をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素XbaIとPmeIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化#1G5軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/1G5」と命名した。ヒトキメラ化#1G5軽鎖のアミノ酸配列を配列表の配列番号35に示した。
ヒトキメラ化#1G5軽鎖用プライマーセット
5’−ccagcctccggactctagagccacc−3’(CM−inf−F)(配列番号108)
5’−agttagcctcccccgtttaaactc−3’(CM−inf−R)(配列番号109)
【0127】
2)−3−4 ヒトキメラ化#1G5重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号36に示すヒトキメラ化#1G5重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至449に示されるヒトキメラ化#1G5重鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒトキメラ化#1G5重鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりヒトキメラ化#1G5重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/1G5」と命名した。ヒトキメラ化#1G5重鎖のアミノ酸配列を配列表の配列番号37に示した。
ヒトキメラ化#1G5重鎖用プライマーセット
5’−agctcccagatgggtgctgagc−3’(EG−Inf−F)(配列番号110)
5’−gggcccttggtggaggctgagc−3’(EG1−Inf−R)(配列番号111)
【0128】
2)−3−5 ヒトキメラ化#4C13軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号38に示すヒトキメラ化#4C13軽鎖をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒトキメラ化#4C13軽鎖をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素XbaIとPmeIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化#4C13軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/4C13」と命名した。ヒトキメラ化#4C13軽鎖のアミノ酸配列を配列表の配列番号39に示した。
ヒトキメラ化#4C13軽鎖用プライマーセット
5’−ccagcctccggactctagagccacc−3’(CM−inf−F)(配列番号108)
5’−agttagcctcccccgtttaaactc−3’(CM−inf−R)(配列番号109)
【0129】
2)−3−6 ヒトキメラ化#4C13重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号40に示すヒトキメラ化#4C13重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至437に示されるヒトキメラ化#4C13重鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒトキメラ化#4C13重鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりヒトキメラ化#4C13重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/4C13」と命名した。ヒトキメラ化#4C13重鎖のアミノ酸配列を配列表の配列番号41に示した。
ヒトキメラ化#4C13重鎖用プライマーセット
5’−agctcccagatgggtgctgagc−3’(EG−Inf−F)(配列番号110)
5’−gggcccttggtggaggctgagc−3’(EG1−Inf−R)(配列番号111)
2)−3−7 ヒトキメラ化抗LPS O11抗体の調製
2)−3−7−1 ヒトキメラ化抗LPS O11抗体の生産
FreeStyle 293F細胞(INVITROGEN社)はマニュアルに従い、継代、培養をおこなった。
【0130】
対数増殖期の1.2×10
9個のFreeStyle 293F細胞(INVITROGEN社)を3L Fernbach Erlenmeyer Flask(CORNING社)に播種し、FreeStyle293 expression medium (INVITROGEN社)で希釈して1.0×10
6細胞/mlに調製したのちに、37℃、8%CO
2インキュベーター内で90rpmで一時間振とう培養した。Polyethyleneimine(Polyscience #24765)3.6mgをOpti−Pro SFM(INVITROGEN社)20mlに溶解し、次にPureLink HiPure Plasmidキット(INVITROGEN社)を用いて調製した軽鎖発現ベクター(0.8mg)及び重鎖発現ベクター(0.4mg)を20mlのOpti−Pro SFM(INVITROGEN社)に懸濁した。Polyethyleneimine/Opti−Pro SFM混合液20mlに、発現ベクター/Opti−Pro SFM混合液20mlを加え穏やかに攪拌し、さらに5分間放置した後にFreeStyle 293F細胞に添加した。37℃、8%CO
2インキュベーターで7日間、90rpmで振とう培養して得られた培養上清をDisposable Capsule Filter (ADVANTEC #CCS−045−E1H)でろ過した。
【0131】
pCMA−LK/No.76とpCMA−G1/No.76との組合せによって取得されたヒトキメラ化No.76を「cNo.76」、pCMA−LK/1G5とpCMA−G1/1G5との組合せによって取得されたヒトキメラ化#1G5を「c#1G5」、pCMA−LK/4C13とpCMA−G1/4C13との組合せによって取得されたヒトキメラ化#4C13を「c#4C13」と命名した。
【0132】
2)−3−7−2 ヒトキメラ化抗LPS O11抗体の精製
上記2)−3−7−1で得られた培養上清から抗体を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー(4−6℃下)1段階工程で精製した。rProteinAアフィニティークロマトグラフィー精製後のバッファー置換工程は4−6℃下で実施した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したMabSelectSuRe(GE Healthcare Bioscience社製)が充填されたカラムにアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、カラム容量2倍以上のPBSでカラムを洗浄した。次に2Mアルギニン塩酸塩溶液(pH4.0)で溶出し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を透析(Thermo Scientific社、Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette)によりHBSor(25mMヒスチジン/5% ソルビトール、pH6.0)への液置換を行った。Centrifugal UF Filter Device VIVASPIN20(分画分子量UF10K,Sartorius社,4℃下)にて濃縮し、IgG濃度を5mg/ml以上に調製した。最後にMinisart−Plus filter(Sartorius社)でろ過し、精製サンプルとした。
2)−4 Meiji1640およびMeiji1656、ヒトIgG1タイプ1BO11(1BO11 hIgG1)、マウスIgG2aタイプNo.76(No.76 mIgG2a)の作製
2)−4−1 Meiji1640の作製
Meiji1640はWO2011/102551に記載されている軽鎖、及び重鎖のアミノ酸配列をもとに作製した。
【0133】
2)−4−1−1 Meiji1640軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号42に示すMeiji1640軽鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号38乃至408に示されるMeiji1640軽鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでMeiji1640軽鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりMeiji1640軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/Meiji1640」と命名した。Meiji1640軽鎖のアミノ酸配列を配列表の配列番号43に示した。
Meiji1640軽鎖用プライマーセット
5’−ctgtggatctccggcgcgtacggc−3’(CM−LKF)(配列番号112)
5’−ggagggggcggccaccgtacg−3’(KCL−Inf−R)(配列番号113)
【0134】
2)−4−1−2 Meiji1640重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号44に示すMeiji1640重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至458に示されるMeiji1640重鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでMeiji1640重鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりMeiji1640重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/Meiji1640」と命名した。Meiji1640重鎖のアミノ酸配列を配列表の配列番号45に示した。
Meiji1640重鎖用プライマーセット
5’−agctcccagatgggtgctgagc−3’(EG−Inf−F)(配列番号110)
5’−gggcccttggtggaggctgagc−3’(EG1−Inf−R)(配列番号111)
2)−4−2 Meiji1656の作製
Meiji1656はWO2011/102551に記載されている軽鎖、及び重鎖のアミノ酸配列をもとに作製した。
【0135】
2)−4−2−1 Meiji1656軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号46に示すMeiji1656軽鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号38乃至402に示されるMeiji1656軽鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでMeiji1656軽鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりMeiji1656軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/Meiji1656」と命名した。Meiji1656軽鎖のアミノ酸配列を配列表の配列番号47に示した。
Meiji1656軽鎖用プライマーセット
5’−ctgtggatctccggcgcgtacggc−3’(CM−LKF)(配列番号112)
5’−ggagggggcggccaccgtacg−3’(KCL−Inf−R)(配列番号113)
【0136】
2)−4−2−2 Meiji1656重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号48に示すMeiji1656重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至467に示されるMeiji1656重鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでMeiji1656重鎖可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりMeiji1656重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/Meiji1656」と命名した。Meiji1656重鎖のアミノ酸配列を配列表の配列番号49に示した。
Meiji1656重鎖用プライマーセット
5’−agctcccagatgggtgctgagc−3’(EG−Inf−F)(配列番号110)
5’−gggcccttggtggaggctgagc−3’(EG1−Inf−R)(配列番号111)
2)−4−3 ヒトIgG1タイプ1BO11(1BO11 hIgG1)の作製
1BO11 hIgG1はWO2006/084758の
図2、及び
図1に記載されている軽鎖、及び重鎖のアミノ酸配列をもとに作製した。
【0137】
2)−4−3−1 1BO11 hIgG1軽鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号50に示すマウスIgG2bタイプキメラ化1BO11軽鎖をコードするDNA断片を合成した(MBL社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで軽鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、1BO11 hIgG1軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/1BO11」と命名した。1BO11 hIgG1軽鎖のヌクレオチド配列を配列表の配列番号51に示し、アミノ酸配列を配列番号52に示した。
1BO11 hIgG1軽鎖用プライマーセット
5’−atctccggcgcgtacggcgacgtggtgatgacccagagccctctgtcc−3’(h1BO−LF)(配列番号114)
5’−gggcggccaccgtacgcttgatctccaccttggtgcctccgccg−3’(h1BO−LR)(配列番号115)
【0138】
2)−4−3−2 1BO11 hIgG1重鎖発現ベクターの構築
配列表の配列番号53に示すマウスIgG2bタイプキメラ化1BO11重鎖をコードするDNA断片を合成した(MBL社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで重鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、1BO11 hIgG1重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/1BO11」と命名した。1BO11 hIgG1重鎖のヌクレオチド配列を配列表の配列番号54に示し、アミノ酸配列を配列番号55に示した。
1BO11 hIgG1重鎖用プライマーセット
5’−ccagatgggtgctgagcgaggagcaagtggtggagagcgg−3’(h1BO−HF)(配列番号116)
5’−cttggtggaggctgagctcacggtcaccatggtgccttgtc−3’(h1BO−HR)(配列番号117)
【0139】
2)−4−4 マウスIgG2aタイプNo.76(No.76 mIgG2a)の作製
2)−4−4−1 No.76 mIgG2a軽鎖発現ベクターの作製
配列番号118に示すNo.76 mIgG2a軽鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 Strings DNA Fragments)。合成したDNA断片を、キメラおよびヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素XbaIおよびPmeIで消化してκ鎖分泌シグナルおよびヒトκ鎖定常領域を取り除いた箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりNo.76 mIgG2a軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA /No.76 mIgG2aL」と命名した。No.76 mIgG2a軽鎖のアミノ酸配列を配列番号119に示した。
2)−4−4−2 No.76 mIgG2a重鎖発現ベクターの作製
配列番号120に示すNo.76 mIgG2a重鎖をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでNo.76 mIgG2a重鎖をコードする配列を含むDNA断片を増幅し、キメラおよびヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素XbaIおよびPmeIで消化してκ鎖分泌シグナルおよびヒトκ鎖定常領域を取り除いた箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりNo.76 mIgG2a重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA /No.76 mIgG2aH」と命名した。No.76 mIgG2a重鎖のアミノ酸配列を配列番号121に示した。
No.76 mIgG2a重鎖用プライマーセット
5’−ccagcctccggactctagagccacc−3’(CM−inf−F)(配列番号108)
5’−agttagcctcccccgtttaaactc−3’(CM−inf−R)(配列番号109)
2)−4−5 Meiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1、No.76 mIgG2aの生産および精製
2)−4−5−1 Meiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1、No.76 mIgG2aの生産
実施例2)−3−7−1と同様の方法で生産した。
【0140】
Meiji1640はpCMA−LK/Meiji1640とpCMA−G1/Meiji1640との組合せにより取得し、Meiji1656はpCMA−LK/Meiji1656とpCMA−G1/Meiji1656との組合せにより取得し、1BO11 hIgG1はpCMA−LK/1BO11とpCMA−G1/1BO11の組み合わせにより取得し、No.76 mIgG2aはpCMA /No.76 mIgG2aLとpCMA /No.76 mIgG2aHの組み合わせにより取得した。
2)−4−5−2 Meiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1、No.76 mIgG2aの精製
上記2)−4−5−1で得られた培養上清から抗体を実施例2)−3−7−2と同様の方法で精製した。
【0141】
[実施例3]抗LPS O11抗体のin vitro活性
3)−1 緑膿菌ATCC 29260に対するオプソニン活性
1)−3−2の方法に従ってATCC 29260に対するcNo.76、c#1G5M、c#1G5、c#4C13KM、c#4C13、Meiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1のオプソニン活性を測定した。オプソニン活性は50%増殖阻害最小濃度で示した。その結果を表2に示す。
【0142】
【表2】
【0143】
cNo.76、c#1G5M、c#1G5、c#4C13KM、c#4C13のオプソニン活性はほぼ同等で、それらはMeiji1640より27−81倍、Meiji1656より9−27倍、1BO11 hIgG1より243−729倍強い活性を示した。
【0144】
3)−2 緑膿菌O11株に対する結合特異性
各種O抗原保有緑膿菌に対するcNo.76、c#1G5、c#4C13の結合特異性をwhole cell ELISAによって確認した。用いた菌株とO抗原を表3に示す。
【0145】
【表3】
【0146】
MHAで培養した菌を生食で懸濁してOD
600=0.5−0.6に調製し、1時間固相化した。5%skim milk(Becton,Dickinson and Company)/TBSTで2時間ブロッキングした後、1次抗体として0.1μg/mlのcNo.76、c#1G5、c#4C13を添加して1時間反応させた。続いて2次抗体としてAnti−Human IgG,HRP−Linked WholeAb Sheep(GE Healthcare)を1時間反応させた後、SuperSignal ELISA Pico Chemiluminescent Substrate(Thermo Fisher Scientific K.K.)を添加し、添加直後に発光をARVO 1420マルチラベルカウンター(Perkin Elmer)で測定した。各ステップ間はTBSTで2または3回洗浄した。ポジティブコントロールとして緑膿菌ATCC 29260を、ネガティブコントロールとして大腸菌ATCC 25922を用いた。cNo.76、c#1G5、c#4C13はO11株に対して高い結合活性を示した。一方、他のO抗原保有株に結合活性を示さなかったことから、O11抗原を特異的に認識することが明らかとなった(
図4)。
【0147】
3)−3 緑膿菌O11臨床分離株に対する結合活性
第一三共株式会社保有の緑膿菌O11臨床分離31株およびポジティブコントロールとしてATCC 29260に対する結合活性をwhole cell ELISAによって測定した。緑膿菌のO抗原は緑膿菌群別免疫血清(デンカ生研)20μlと菌液20μlを混合し、抗原抗体反応による凝集の有無によって判定した。Whole cell ELISAは3)−2と同様に行い、1次抗体として0.1μg/mlのcNo.76、c#1G5M、c#4C13KM、Meiji1640、Meiji1656と6.4μg/mlの1BO11 hIgG1を調製し、1時間反応させた。用いた菌株の情報を表4に、測定結果を表5に示す。
【0148】
【表4】
【0149】
【表5】
【0150】
大腸菌に対する結合活性と比較して4倍以上活性が強い場合、結合活性ありと判断したところ、cNo.76、c#1G5M、c#4C13KMは全ての株に対して結合活性を示し、Meiji1640は22株、Meiji1656は25株、1BO11 hIgG1は21株にのみ結合活性を示した。cNo.76、c#1G5M、c#4C13KM、Meiji1640、Meiji1656、及び1BO11 hIgG1のO11臨床分離株に対するカバー率は、それぞれ100%、100%、100%、71%、81%、及び68%であった。
【0151】
3)−4 緑膿菌O11臨床分離株に対するオプソニン活性
3)−3で用いたO11株のうちNo.9、12、18、24、26、31株に対するオプソニン活性を測定した。方法は1)−3−2と同様の方法で行い、50%増殖阻害活性が認められる最小濃度を求めた。その結果を表6に示す。
【0152】
【表6】
【0153】
cNo.76、c#1G5またはc#1G5M、c#4C13またはc#4C13KMは全ての株に活性を示した。一方、Meiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1は結合活性が認められなかったNo.9、12、18株に対してオプソニン活性を示さなかった。これらの結果からin vitroにおいてcNo.76、c#1G5またはc#1G5M、c#4C13またはc#4C13KMは、Meiji1640、Meiji1656、および1BO11 hIgG1と比較してO11株に対するカバー率が高いことが明らかとなった。
【0154】
[実施例4]抗LPS O11抗体のin vivo活性
4)−1 緑膿菌ATCC 29260によるマウス肺感染モデルにおける治療効果(静脈内投与)
MHAで培養した緑膿菌ATCC 29260をOD
600=0.10に調製した後、Mueller Hinton Broth(Becton,Dickinson and Company)で10
0−10
9の10倍希釈系列を調製し、35℃で一晩培養した。希釈系列のうち、OD
600=0.10または0.10を超える最大希釈率の菌液を用いてOD
600=0.10に調製し、4倍希釈して接種菌液とした。ICRマウス(チャールズリバー)に接種菌液を50μl経鼻接種し、接種1時間後にcNo.76、Meiji1640、Meiji1656を3または10mg/kg静脈内投与した(n=3)。接種24時間後に肺内生菌数を測定し、治療効果を判定した。抗体非投与のコントロール群と比較してcNo.76投与群で良好な治療効果が確認され、またその治療効果はMeiji1640、Meiji1656と同等以上であった(
図5)。
【0155】
4)−2 緑膿菌臨床分離株によるマウス肺感染モデルにおける治療効果
4)−2−1 緑膿菌臨床分離株No.12によるマウス肺感染モデルにおける治療効果(菌と抗体の混合投与)
MHAで培養した緑膿菌臨床分離株No.12を生食に懸濁し、OD
600=2.0に調製した(10倍希釈液が0.2となる菌液を調製)。菌と抗体の結合が確実に起こるよう、菌液と20または100μg/mlのcNo.76、Meiji1640、またはMeiji1656を1:9の割合で混合し、それらをICRマウス(チャールズリバー)に50μl経鼻接種した(n=3)。接種24時間後に肺内生菌数を測定し、治療効果を判定した。また、対象としてレボフロキサシン(LVFX)の治療効果も検討した(No.12株に対するLVFXの最小発育阻止濃度(MIC)は>128μg/ml)。すなわち、菌液と生食を1:9で混合し、50μl接種したマウスに240mg/kgのLVFXを接種直後に皮下投与した。抗体非投与のコントロール群と比較してcNo.76は良好な治療効果を示したが、Meiji1640、Meiji1656、LVFX投与群では治療効果は認められなかった(
図6)。
【0156】
4)−2−2 緑膿菌臨床分離株No.31によるマウス肺感染モデルにおける治療効果(菌と抗体の混合投与)
MHAで培養した緑膿菌臨床分離株No.31を生食に懸濁し、OD
600=5.0に調製した(10倍希釈液が0.5となる菌液を調製)。菌と抗体の結合が確実に起こるよう、菌液と20または100μg/mlのcNo.76、Meiji1640、またはMeiji1656を1:9の割合で混合し、それらをICRマウス(チャールズリバー)に50μl経鼻接種した(n=3)。接種24時間後に肺内生菌数を測定し、治療効果を判定した。また、対象としてLVFXの治療効果も検討した(No.31株に対するLVFXのMICは32μg/ml)。すなわち、菌液と生食を1:9で混合し、50μl接種したマウスに240mg/kgのLVFXを接種直後に皮下投与した。抗体非投与のコントロール群と比較してcNo.76、Meiji1640、Meiji1656は良好な治療効果を示したが、LVFX投与群では治療効果は認められなかった(
図7)。
【0157】
4)−2−3 緑膿菌臨床分離株No.12によるマウス肺感染モデルにおける治療効果(静脈内投与)
MHAで培養した緑膿菌臨床分離株No.12を生食に懸濁し、OD
600=0.20に調製し、それを接種菌液とした。ICRマウス(チャールズリバー)に50μl経鼻接種し、接種直後にcNo.76、Meiji1640、Meiji1656を2または10mg/kg静脈内投与した(n=3)。接種24時間後に肺内生菌数を測定し、治療効果を判定した。また、対象としてLVFXも240mg/kg皮下投与し、治療効果を検討した。静脈内投与においてもcNo.76は良好な治療効果を示したが、Meiji1640、Meiji1656、LVFX投与群では治療効果は認められなかった(
図8)。以上の結果から、cNo.76はLVFXのような既存薬が無効である多剤耐性緑膿菌に対しても有効である可能性が示された。また、cNo.76は実施例3で示されたin vitroにおける高いカバー率の特長がin vivoにおいても示された。
【0158】
[実施例5]#1G5、#4C13Kのヒト化デザイン
5)−1 #1G5のヒト化バージョンの設計
5)−1−1 #1G5の可変領域の分子モデリング
#1G5の可変領域の分子モデリングは、相同性モデリングとして一般的に公知の方法(Methodsin Enzymology,203,121−153,(1991))によって実行された。ProteinData Bank(Nuc.AcidRes.35,D301−D303(2007))に登録されるヒト免疫グロブリンの可変領域の1次配列(X線結晶構造から誘導される三次元構造が入手可能である)を、上で決定された#1G5の可変領域と比較した。結果として、1UYWが、#1G5の軽鎖の可変領域に対して同様にフレームワーク中に欠損がある抗体の中で、最も高い配列相同性を有するとして選択された。また、3GI9が、#1G5の重鎖の可変領域に対して最も高い配列相同性を有するとして選択された。フレームワーク領域の三次元構造は、#1G5の軽鎖及び重鎖に対応する1UYW及び3GI9の座標を組み合わせて、「フレームワークモデル」を得ることによって作製された。次いで、それぞれのCDRについての代表的なコンホメーションがフレームワークモデルに組み込まれた。
【0159】
最後に、エネルギーの点で#1G5の可変領域の可能性のある分子モデルを得るために、不利な原子間接触を除くためのエネルギー計算を行った。上記手順を、市販の蛋白質立体構造解析プログラムDiscoveryStudio(Accelrys,Inc.)を用いて行った。
【0160】
5)−1−2 ヒト化#1G5に対するアミノ酸配列の設計
ヒト化#1G5抗体の構築を、CDRグラフティング(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029−10033(1989))として一般的に公知の方法によって行った。アクセプター抗体は、フレームワーク領域内のアミノ酸相同性に基づいて選択された。#1G5のフレームワーク領域の配列を、抗体のアミノ酸配列のKabatデータベース(Nuc.AcidRes.29,205−206(2001))の全てのヒトフレームワークと比較し、結果として、HuMc3抗体がフレームワーク領域についての75%の配列相同性に起因して、アクセプターとして選択された。HuMc3についてのフレームワーク領域のアミノ酸残基を、#1G5についてのアミノ酸残基と整列させ、異なるアミノ酸が使用される位置を同定した。これらの残基の位置は、上で構築された#1G5の三次元モデルを使用して分析され、そしてアクセプター上にグラフティングされるべきドナー残基が、Queenet al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA86,10029−10033(1989))によって与えられる基準によって選択された。選択されたいくつかのドナー残基をアクセプター抗体に移入することによって、ヒト化#1G5配列を以下の実施例に記載されるように構築した。
【0161】
5)−2 #1G5重鎖のヒト化
5)−2−1 h#1G5−H1タイプ重鎖:
配列表の配列番号37に示される#1G5重鎖のアミノ酸番号24(グルタミン)をバリンに、アミノ酸番号26(プロリン)をセリンに、アミノ酸番号30(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号57(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号59(アルギニン)をアラニンに、アミノ酸番号67(イソロイシン)をメチオニンに、アミノ酸番号86(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号87(アラニン)をバリンに、アミノ酸番号89(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号91(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号95(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号101(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号106(スレオニン)をアルギニンに、アミノ酸番号108(アスパラギン酸)をグルタミン酸に、アミノ酸番号110(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号116(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号139(セリン)をロイシンに、アミノ酸番号141(イソロイシン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5重鎖を「h#1G5−H1タイプ重鎖」と命名した。
【0162】
h#1G5−H1タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号57に記載されている。配列番号57のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至144番目のアミノ酸残基からなる配列、145乃至474番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号57のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号56に記載されている。配列番号56のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至432番目のヌクレオチドからなる配列、433乃至1422番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号56のヌクレオチド配列及び配列番号57のアミノ酸配列は、
図9にも記載されている。
【0163】
5)−2−2 h#1G5−H2タイプ重鎖:
配列表の配列番号37に示される#1G5重鎖のアミノ酸番号24(グルタミン)をバリンに、アミノ酸番号26(プロリン)をセリンに、アミノ酸番号30(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号57(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号59(アルギニン)をアラニンに、アミノ酸番号67(イソロイシン)をメチオニンに、アミノ酸番号86(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号87(アラニン)をバリンに、アミノ酸番号95(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号101(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号106(スレオニン)をアルギニンに、アミノ酸番号108(アスパラギン酸)をグルタミン酸に、アミノ酸番号110(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号139(セリン)をロイシンに、アミノ酸番号141(イソロイシン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5重鎖を「h#1G5−H2タイプ重鎖」と命名した。
【0164】
h#1G5−H2タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号59に記載されている。配列番号59のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至144番目のアミノ酸残基からなる配列、145乃至474番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号59のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号58に記載されている。配列番号58のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至432番目のヌクレオチドからなる配列、433乃至1422番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号58のヌクレオチド配列及び配列番号59のアミノ酸配列は、
図10にも記載されている。
【0165】
5)−2−3 h#1G5−H3タイプ重鎖:
配列表の配列番号37に示される#1G5重鎖のアミノ酸番号30(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号57(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号59(アルギニン)をアラニンに、アミノ酸番号67(イソロイシン)をメチオニンに、アミノ酸番号86(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号95(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号101(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号108(アスパラギン酸)をグルタミン酸に、アミノ酸番号110(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号139(セリン)をロイシンに、アミノ酸番号141(イソロイシン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5重鎖を「h#1G5−H3タイプ重鎖」と命名した。
【0166】
h#1G5−H3タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号61に記載されている。配列番号61のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至144番目のアミノ酸残基からなる配列、145乃至474番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号61のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号60に記載されている。配列番号60のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至432番目のヌクレオチドからなる配列、433乃至1422番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号60のヌクレオチド配列及び配列番号61のアミノ酸配列は、
図11にも記載されている。
【0167】
5)−2−4 h#1G5−H4タイプ重鎖:
配列表の配列番号37に示される#1G5重鎖のアミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号57(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号59(アルギニン)をアラニンに、アミノ酸番号139(セリン)をロイシンに、アミノ酸番号141(イソロイシン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5重鎖を「h#1G5−H4タイプ重鎖」と命名した。
【0168】
h#1G5−H4タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号63に記載されている。配列番号63のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至144番目のアミノ酸残基からなる配列、145乃至474番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号63のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号62に記載されている。配列番号62のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至432番目のヌクレオチドからなる配列、433乃至1422番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号62のヌクレオチド配列及び配列番号63のアミノ酸配列は、
図12にも記載されている。
【0169】
5)−2−5 h#1G5−H5タイプ重鎖:
配列表の配列番号37に示される#1G5重鎖のアミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5重鎖を「h#1G5−H5タイプ重鎖」と命名した。
【0170】
h#1G5−H5タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号65に記載されている。配列番号65のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至144番目のアミノ酸残基からなる配列、145乃至474番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号65のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号64に記載されている。配列番号64のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至432番目のヌクレオチドからなる配列、433乃至1422番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号64のヌクレオチド配列及び配列番号65のアミノ酸配列は、
図13にも記載されている。
【0171】
5)−3 #1G5軽鎖のヒト化
5)−3−1 h#1G5−L1タイプ軽鎖:
配列表の配列番号35に示される#1G5軽鎖のアミノ酸番号21(アスパラギン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号29(リジン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号31(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号32(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号33(メチオニン)をバリンに、アミノ酸番号35(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号39(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号41(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号42(セリン)をアスパラギンに、アミノ酸番号60(アラニン)をプロリンに、アミノ酸番号61(グルタミン酸)をグリシンに、アミノ酸番号63(セリン)をプロリンに、アミノ酸番号66(プロリン)をロイシンに、アミノ酸番号83(スレオニン)をセリンに、アミノ酸番号88(アラニン)をグリシンに、アミノ酸番号98(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号103(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号105(アスパラギン酸)をバリンに、アミノ酸番号107(ヒスチジン)をチロシンに、アミノ酸番号120(グリシン)をグルタミンに、アミノ酸番号124(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号129(アラニン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5軽鎖を「h#1G5−L1タイプ軽鎖」と命名した。
【0172】
h#1G5−L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号67に記載されている。配列番号67のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号67のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号66に記載されている。配列番号66のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号66のヌクレオチド配列及び配列番号67のアミノ酸配列は、
図14にも記載されている。
【0173】
5)−3−2 h#1G5−L2タイプ軽鎖:
配列表の配列番号35に示される#1G5軽鎖のアミノ酸番号29(リジン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号31(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号32(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号33(メチオニン)をバリンに、アミノ酸番号35(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号39(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号41(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号60(アラニン)をプロリンに、アミノ酸番号61(グルタミン酸)をグリシンに、アミノ酸番号83(スレオニン)をセリンに、アミノ酸番号98(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号103(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号105(アスパラギン酸)をバリンに、アミノ酸番号124(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号129(アラニン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5軽鎖を「h#1G5−L2タイプ軽鎖」と命名した。
【0174】
h#1G5−L2タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号69に記載されている。配列番号69のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号69のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号68に記載されている。配列番号68のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号68のヌクレオチド配列及び配列番号69のアミノ酸配列は、
図15にも記載されている。
【0175】
5)−3−3 h#1G5−L3タイプ軽鎖:
配列表の配列番号35に示される#1G5軽鎖のアミノ酸番号29(リジン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号31(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号32(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号33(メチオニン)をバリンに、アミノ酸番号35(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号39(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号41(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号60(アラニン)をプロリンに、アミノ酸番号61(グルタミン酸)をグリシンに、アミノ酸番号83(スレオニン)をセリンに、アミノ酸番号98(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号103(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号124(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号129(アラニン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5軽鎖を「h#1G5−L3タイプ軽鎖」と命名した。
【0176】
h#1G5−L3タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号71に記載されている。配列番号71のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号71のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号70に記載されている。配列番号70のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号70のヌクレオチド配列及び配列番号71のアミノ酸配列は、
図16にも記載されている。
【0177】
5)−3−4 h#1G5−L4タイプ軽鎖:
配列表の配列番号35に示される#1G5軽鎖のアミノ酸番号29(リジン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号39(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号98(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号129(アラニン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5軽鎖を「h#1G5−L4タイプ軽鎖」と命名した。
【0178】
h#1G5−L4タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号73に記載されている。配列番号73のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号73のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号72に記載されている。配列番号72のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号72のヌクレオチド配列及び配列番号73のアミノ酸配列は、
図17にも記載されている。
【0179】
5)−3−5 h#1G5−L5タイプ軽鎖:
配列表の配列番号35に示される#1G5軽鎖のアミノ酸番号29(リジン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号98(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号129(アラニン)をスレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#1G5軽鎖を「h#1G5−L5タイプ軽鎖」と命名した。
【0180】
h#1G5−L5タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号75に記載されている。配列番号75のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号75のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号74に記載されている。配列番号74のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号74のヌクレオチド配列及び配列番号75のアミノ酸配列は、
図18にも記載されている。
【0181】
5)−4 #4C13Kのヒト化バージョンの設計
5)−4−1 #4C13Kの可変領域の分子モデリング
#4C13Kの可変領域の分子モデリングは、相同性モデリングとして一般的に公知の方法(Methodsin Enzymology,203,121−153,(1991))によって実行された。ProteinData Bank(Nuc.AcidRes.35,D301−D303(2007))に登録されるヒト免疫グロブリンの可変領域の1次配列(X線結晶構造から誘導される三次元構造が入手可能である)を、上で決定された#4C13Kの可変領域と比較した。結果として、1UYWが、#4C13Kの軽鎖の可変領域に対して同様にフレームワーク中に欠損がある抗体の中で、最も高い配列相同性を有するとして選択された。また、1CICが、#4C13Kの重鎖の可変領域に対して最も高い配列相同性を有するとして選択された。フレームワーク領域の三次元構造は、#4C13Kの軽鎖及び重鎖に対応する1UYW及び1CICの座標を組み合わせて、「フレームワークモデル」を得ることによって作製された。次いで、それぞれのCDRについての代表的なコンホメーションがフレームワークモデルに組み込まれた。
【0182】
最後に、エネルギーの点で#4C13Kの可変領域の可能性のある分子モデルを得るために、不利な原子間接触を除くためのエネルギー計算を行った。上記手順を、市販の蛋白質立体構造解析プログラムDiscoveryStudio(Accelrys,Inc.)を用いて行った。
【0183】
5)−4−2 ヒト化#4C13Kに対するアミノ酸配列の設計
ヒト化#4C13K抗体の構築を、CDRグラフティング(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029−10033(1989))として一般的に公知の方法によって行った。アクセプター抗体は、フレームワーク領域内のアミノ酸相同性に基づいて選択された。#4C13Kのフレームワーク領域の配列を、抗体のアミノ酸配列のKabatデータベース(Nuc.AcidRes.29,205−206(2001))の全てのヒトフレームワークと比較し、結果として、HuMc3抗体がフレームワーク領域についての73%の配列相同性に起因して、アクセプターとして選択された。HuMc3についてのフレームワーク領域のアミノ酸残基を、#4C13Kについてのアミノ酸残基と整列させ、異なるアミノ酸が使用される位置を同定した。これらの残基の位置は、上で構築された#4C13Kの三次元モデルを使用して分析され、そしてアクセプター上にグラフティングされるべきドナー残基が、Queenet al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA86,10029−10033(1989))によって与えられる基準によって選択された。選択されたいくつかのドナー残基をアクセプター抗体に移入することによって、ヒト化#4C13K配列を以下の実施例に記載されるように構築した。ヒト化#4C13K配列の軽鎖は、ヒト化#1G5配列の軽鎖と完全に共通のものとした。
【0184】
5)−5 #4C13K重鎖のヒト化
5)−5−1 h#4C13K−H1タイプ重鎖:
配列表の配列番号41に示される#4C13K重鎖のアミノ酸番号24(グルタミン)をバリンに、アミノ酸番号26(プロリン)をセリンに、アミノ酸番号30(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号56(メチオニン)をバリンに、アミノ酸番号57(グルタミン)をアルギニンに、アミノ酸番号59(アルギニン)をアラニンに、アミノ酸番号67(イソロイシン)をメチオニンに、アミノ酸番号86(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号87(アラニン)をバリンに、アミノ酸番号89(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号91(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号95(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号101(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号103(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号106(スレオニン)をアルギニンに、アミノ酸番号108(アスパラギン酸)をグルタミン酸に、アミノ酸番号110(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号116(スレオニン)をアラニンに、アミノ酸番号135(スレオニン)をロイシンにアミノ酸番号136(ロイシン)をバリンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#4C13K重鎖を「h#4C13K−H1タイプ重鎖」と命名した。
【0185】
h#4C13K−H1タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号77に記載されている。配列番号77のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号77のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号76に記載されている。配列番号76のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号76のヌクレオチド配列及び配列番号77のアミノ酸配列は、
図19にも記載されている。
【0186】
5)−5−2 h#4C13K−H2タイプ重鎖:
配列表の配列番号41に示される#4C13K重鎖のアミノ酸番号24(グルタミン)をバリンに、アミノ酸番号26(プロリン)をセリンに、アミノ酸番号30(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号56(メチオニン)をバリンに、アミノ酸番号57(グルタミン)をアルギニンに、アミノ酸番号59(アルギニン)をアラニンに、アミノ酸番号67(イソロイシン)をメチオニンに、アミノ酸番号86(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号87(アラニン)をバリンに、アミノ酸番号95(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号101(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号103(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号106(スレオニン)をアルギニンに、アミノ酸番号108(アスパラギン酸)をグルタミン酸に、アミノ酸番号110(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号135(スレオニン)をロイシンにアミノ酸番号136(ロイシン)をバリンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#4C13K重鎖を「h#4C13K−H2タイプ重鎖」と命名した。
【0187】
h#4C13K−H2タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号79に記載されている。配列番号79のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号79のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号78に記載されている。配列番号78のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号78のヌクレオチド配列及び配列番号79のアミノ酸配列は、
図20にも記載されている。
【0188】
5)−5−3 h#4C13K−H3タイプ重鎖:
配列表の配列番号41に示される#4C13K重鎖のアミノ酸番号30(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号67(イソロイシン)をメチオニンに、アミノ酸番号86(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号95(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号101(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号103(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号108(アスパラギン酸)をグルタミン酸に、アミノ酸番号110(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号135(スレオニン)をロイシンにアミノ酸番号136(ロイシン)をバリンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#4C13K重鎖を「h#4C13K−H3タイプ重鎖」と命名した。
【0189】
h#4C13K−H3タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号81に記載されている。配列番号81のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号81のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号80に記載されている。配列番号80のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号80のヌクレオチド配列及び配列番号81のアミノ酸配列は、
図21にも記載されている。
【0190】
5)−5−4 h#4C13K−H4タイプ重鎖:
配列表の配列番号41に示される#4C13K重鎖のアミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号101(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号103(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号135(スレオニン)をロイシンにアミノ酸番号136(ロイシン)をバリンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#4C13K重鎖を「h#4C13K−H4タイプ重鎖」と命名した。
【0191】
h#4C13K−H4タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号83に記載されている。配列番号83のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号83のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号82に記載されている。配列番号82のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号82のヌクレオチド配列及び配列番号83のアミノ酸配列は、
図22にも記載されている。
【0192】
5)−5−5 h#4C13K−H5タイプ重鎖:
配列表の配列番号41に示される#4C13K重鎖のアミノ酸番号31(バリン)をリジンに、アミノ酸番号39(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号135(スレオニン)をロイシンにアミノ酸番号136(ロイシン)をバリンに置き換えることを伴い設計されたヒト化#4C13K重鎖を「h#4C13K−H5タイプ重鎖」と命名した。
【0193】
h#4C13K−H5タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号85に記載されている。配列番号85のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号85のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号84に記載されている。配列番号84のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号84のヌクレオチド配列及び配列番号85のアミノ酸配列は、
図23にも記載されている。
【0194】
[実施例6]#1G5、#4C13Kのヒト化抗体の作製
6)−1 #1G5のヒト化抗体の軽鎖発現ベクターの構築
6)−1−1 h#1G5−L2タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号68に示すh#1G5−L2タイプ軽鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号38乃至402に示されるh#1G5−L2タイプ軽鎖の可変領域をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでh#1G5−L2タイプ軽鎖の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりh#1G5−L2タイプ軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/h#1G5−L2」と命名した。
ヒト化抗体軽鎖用プライマーセット
5’−ctgtggatctccggcgcgtacggc−3’ (CM−LKF)(配列番号112)
5’−ggagggggcggccaccgtacg−3’(KCL−Inf−R)(配列番号113)
【0195】
6)−1−2 h#1G5−L3タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号70に示すh#1G5−L3タイプ軽鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号38乃至402に示されるh#1G5−L3タイプ軽鎖の可変領域をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例6)−1−1と同様の方法によりh#1G5−L3タイプ軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/h#1G5−L3」と命名した。
【0196】
6)−2 #1G5のヒト化抗体の重鎖発現ベクターの構築
6)−2−1 h#1G5−H2タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号58に示すh#1G5−H2タイプ重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至432に示されるh#1G5−H2タイプ重鎖の可変領域をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでh#1G5−H2タイプ重鎖の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion HD PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することによりh#1G5−H2タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/h#1G5−H2」と命名した。
ヒト化抗体重鎖用プライマーセット
5’−agctcccagatgggtgctgagc−3’ (EG−Inf−F)(配列番号110)
5’−cttggtggaggctgagctcacggtcacgagggtgccctggcc−3’(H−R)(配列番号122)
【0197】
6)−2−2 h#1G5−H3タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号60に示すh#1G5−H3タイプ重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至432に示されるh#1G5−H3タイプ重鎖の可変領域をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。6)−2−1と同様の方法によりh#1G5−H3タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/h#1G5−H3」と命名した。
【0198】
6)−3 #4C13Kのヒト化抗体の重鎖発現ベクターの構築
6)−3−1 h#4C13K−H2タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号78に示すh#4C13K−H2タイプ重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至420に示されるh#4C13K−H2タイプ重鎖の可変領域をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。6)−2−1と同様の方法によりh#4C13K−H2タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/h#4C13K−H2」と命名した。
【0199】
6)−3−2 h#4C13K−H3タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号80に示すh#4C13K−H3タイプ重鎖のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至420に示されるh#4C13K−H3タイプ重鎖の可変領域をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。6)−2−1と同様の方法によりh#4C13K−H3タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/h#4C13K−H3」と命名した。
【0200】
[実施例7]#1G5、#4C13Kのヒト化抗体の調製
【0201】
7)−1 #1G5、#4C13Kのヒト化抗体の生産
実施例2)−3−7−1と同様の方法で生産した。
【0202】
なお、本明細書では、例えばh#1G5−H1重鎖及びh#1G5−L1を有する抗体を「h#1G5−H1/L1」又は「h#1G5−H1/L1抗体」と呼称し、h#4C13K−H1重鎖及びh#1G5−L1を有する抗体を「h#4C13K−H1/L1」又は「h#4C13K−H1/L1抗体」と呼称する。
【0203】
pCMA−G1/h#1G5−H2とpCMA−LK/h#1G5−L2の組合せによりh#1G5−H2/L2を取得し、pCMA−G1/h#1G5−H3とpCMA−LK/h#1G5−L3の組合せによりh#1G5−H3/L3を取得し、pCMA−G1/h#4C13K−H2とpCMA−LK/h#1G5−L2の組合せによりh#4C13K−H2/L2を取得し、pCMA−G1/h#4C13K−H3とpCMA−LK/h#1G5−L3の組合せによりh#4C13K−H3/L3を取得した。
7)−2 #1G5、#4C13Kのヒト化抗体の精製
上記7)−1で得られた培養上清を、実施例2)−3−7−2と同様の方法で精製した。
【0204】
[実施例8]#1G5、#4C13Kのヒト化抗体のin vitro活性測定
8)−1 緑膿菌ATCC 29260に対するオプソニン活性
1)−3−2の方法に従って、ATCC 29260に対するh#1G5−H2/L2、h#1G5−H3/L3、h#4C13K−H2/L2、及びh#4C13K−H3/L3のオプソニン活性を測定し、c#1G5およびc#4C13と比較した。オプソニン活性は50%増殖阻害最小濃度で示した。その結果を表7に示す。
【0205】
【表7】
【0206】
ヒト化4抗体はc#1G5、c#4C13と同等の活性を示した。
【0207】
8)−2 緑膿菌O11株に対する結合特異性
3)−2の方法に従って、各種O抗原保有緑膿菌に対するh#1G5−H2/L2、h#1G5−H3/L3、h#4C13K−H2/L2、及びh#4C13K−H3/L3の結合特異性を確認した。ヒト化4抗体はc#1G5、c#4C13と同様にO11株に対してのみ特異的に高い結合活性を示した(
図25)。
【0208】
8)−3 緑膿菌O11臨床分離株に対する結合活性
3)−3の方法に従って、第一三共株式会社保有の緑膿菌O11臨床分離31株に対するh#1G5−H2/L2、h#1G5−H3/L3、h#4C13K−H2/L2、及びh#4C13K−H3/L3の結合活性を測定した。ヒト化4抗体はc#1G5、c#4C13と同様に全てのO11臨床分離株に結合活性を示した(
図26)。
【0209】
[実施例9]#1G5、#4C13Kのヒト化抗体のin vivo活性測定
4)−1の方法に従って、ATCC 29260に対するc#1G5、c#4C13、h#1G5−H2/L2、h#1G5−H3/L3、h#4C13K−H2/L2、及びh#4C13K−H3/L3のin vivo活性を測定した。抗体非投与のコントロールと比較してc#1G5、c#4C13、ヒト化4抗体はいずれも治療効果を示し、またその効果はMeiji1656以上であった(
図27)。
【0210】
[実施例10]競合試験
緑膿菌ATCC 29260を用いてwhole cell ELISAにおける結合活性を指標に、No.76 mIgG2aとcNo.76、c#1G5、c#4C13、Meiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1の競合試験を実施した。3)−2の方法に従い、1次抗体としてNo.76 mIgG2a(終濃度0.01μg/mL)とcNo.76、c#1G5、c#4C13、Meiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1のいずれか(終濃度0.01、0.1、1、10、100、1000μg/mL)をそれぞれ添加し、2次抗体としてGoat anti−Mouse IgG2a HRP conjugated(Bethyl Laboratories,Inc.)を用いた。No.76 mIgG2aはcNo.76、c#1G4、c#4C13と競合したが、Meiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1とは競合しなかったことから、cNo.76、c#1G5、c#4C13とMeiji1640、Meiji1656、1BO11 hIgG1はエピトープが異なることが明らかとなった(
図28)。