【文献】
杉本昭彦,“事例研究 行動ターゲティング広告 三井住友銀行「三井住友銀行カードローン」 3カ月単位で出稿ルールの見直し続けCPAはノンターゲティングと比べ25%改善”,日経ネットマーケティング,日本,日経BP社,2009年 8月25日,第23号,pp.34〜35
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る推定装置、推定方法及び推定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る推定装置、推定方法及び推定プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.実施形態に係る推定処理の一例〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る推定処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る推定処理の一例を示す図である。
図1では、推定装置100が、推定処理の対象である所定のユーザの資産情報を推定する処理の一例を示す。
【0012】
図1に示す推定装置100は、ユーザの資産情報を推定する処理を行うサーバ装置である。推定装置100は、ユーザが利用する端末から所定の情報を取得し、取得した情報に基づいて、ユーザの資産情報を推定する処理を行う。
【0013】
図1に示すユーザ端末10は、ユーザU01によって利用される情報処理端末である。また、ユーザ端末11は、ユーザU02によって利用される情報処理端末である。例えば、ユーザ端末10及び11は、スマートフォンやタブレット端末等によって実現される。なお、以下の説明において、ユーザ端末10及び11を区別する必要のないときは、総称してユーザ端末10と表記するものとする。また、以下の説明では、ユーザ端末をユーザと置き換えて表記する場合がある。例えば、「ユーザU01が所定の情報を推定装置100に送信する」と表記した場合、「ユーザU01の操作に従うユーザ端末10が所定の情報を推定装置100に送信する」ことを意味する場合がある。
【0014】
実施形態において、推定装置100は、ユーザ端末10及び11からユーザ情報を取得する。ユーザ情報とは、ユーザ端末10及び11に保持される情報であり、例えば、ユーザU01及びユーザU02のネットワーク上の行動履歴を含む。ユーザU01及びユーザU02のネットワーク上の行動履歴とは、例えば、インターネット上においてユーザU01及びユーザU02が行った操作履歴である。具体的には、ネットワーク上の行動履歴とは、検索サービスにおいてユーザU01及びユーザU02が送信した検索クエリの履歴や、ウェブサイトの閲覧履歴や、ユーザU01及びユーザU02が利用するSNS(Social Networking Service)に記事や画像を投稿した履歴等を含む。
【0015】
そして、推定装置100は、取得したユーザ情報に基づいて、ユーザU01及びユーザU02の資産情報を推定する。例えば、推定装置100は、ユーザU01及びユーザU02の年収や可処分所得や貯蓄額等を推定する。
【0016】
一般に、民間企業等の事業者が、年収や可処分所得や貯蓄額等の具体的な数値を一個人から得ることは難しい。例えば、金融サービスを提供する事業者は、ユーザから申告を受けることでユーザの年収や勤務先等の情報を得る場合があるが、ユーザが申告した額が正しいものであるという保証はなく、また、ユーザが副業を有していたり、不労所得を得ていたりする場合もあるため、ユーザの正確な資産情報を得ることは難しい。
【0017】
事業者は、ユーザの正確な資産情報が推定できれば、ユーザの資産に合わせたサービスを提供することが可能となる。例えば、クレジットカードを発行する会社は、ユーザの資産が正確に推定できれば、クレジットカードの新規発行を促したり、クレジットカードのステータスを上げたり、限度額を引き上げたりといったサービスをユーザに提供することができる。しかし、上述のように、事業者が個人の資産情報を得ることは難しく、上記のようなサービスを適切に提供することができない場合がある。また、金融サービス以外のサービスを提供する事業者も同様で、例えば、特定の年収を有するユーザ層を対象としてサービスを提供したいと考えても、個人ごとに年収等のデータを取得することは難しいため、そのようなユーザ層を特定することができず、ターゲティングを絞った宣伝を行うこと等ができない場合がある。
【0018】
そこで、推定装置100は、一個人から具体的な年収等に関するデータを取得するのではなく、ユーザ端末10から取得されるユーザ情報、特に、ユーザのネットワーク上の行動履歴に基づいて、ユーザの資産情報を推定する。これにより、推定装置100は、一個人から具体的な年収等のデータを取得せずとも、ユーザの資産情報を推定することができる。具体的には、推定装置100は、任意のユーザ同士のペアを作成し、双方のネットワーク上の行動履歴を比較することで、いずれのユーザがより資産を有しているユーザか、といった順序を判定することにより、ユーザの資産情報を推定する。以下、かかる推定処理について、
図1を用いて流れに沿って説明する。
【0019】
図1に示す例において、推定装置100は、ユーザ端末10及び11の各々からユーザ情報を取得する(ステップS01)。例えば、推定装置100は、ユーザU01のネットワーク上の行動履歴、及び、ユーザU02のネットワーク上の行動履歴を取得する。
【0020】
続いて、推定装置100は、ユーザ情報を取得したユーザ同士のペアを作成する。例えば、推定装置100は、ユーザU01とユーザU02とをペアとする。
【0021】
そして、推定装置100は、ペアとしたユーザU01とユーザU02とに関して、ユーザU01の行動履歴とユーザU02の行動履歴との比較に基づいて、ユーザU01とユーザU02との順序を判定する処理を行う。ここで、ペアにおける順序とは、互いの行動履歴を比較した場合にいずれがより資産を有する可能性が高いか(ペアを比べて、どちらがより資産を有するユーザと思われるか)、という判定要素のもと、ペアを形成する各ユーザに付与する順番を意味する。例えば、互いの行動履歴を比較した場合に、ユーザU01の方がユーザU02に比べて資産を有するユーザである、という判定がなされた場合には、ユーザU01に「1」、ユーザU02に「2」の順序が付与される。
【0022】
推定装置100は、ユーザU01及びユーザU02のみならず、一定の信頼性を得るために充分なサンプル数のペアに対して、このような判定を行う。なお、ペアを形成するユーザは、重複していてもよい。例えば、推定装置100は、ユーザU01とユーザU02のペアに対して判定を行うとともに、ユーザU01とユーザU03のペアに対して判定を行ってもよい。なお、判定処理手法の詳細については後述する。
【0023】
かかる処理を繰り返すことにより、推定装置100は、推定処理を行うために充分な数(例えば、推定処理の対象地域における労働人口の1%など)の複数のユーザにおける序列を判定する。ここで、序列とは、複数のユーザについて、各々の行動履歴を比較した場合にいずれのユーザがより資産を有する可能性が高いか(より資産を有するユーザと思われるか)、といった判定要素のもと、複数のユーザを並べた順番を意味する。例えば、サンプル数が10000である場合、推定装置100は、10000人のユーザを「資産を有すると想定される」順に並べた順番を、当該ユーザ群の序列とする。推定装置100は、このようにして判定された序列に基づいて、複数のユーザの資産情報の推定を行う。
【0024】
上記のように、推定装置100は、ユーザをペアとして各々の順序を判定する処理を繰り返すことにより、複数のユーザの序列を導出することができる。しかし、サンプル数が膨大になる場合、サンプルとなるユーザの全てを組み合わせてペアを作成して判定処理を行うことは、処理負荷が増大する。このため、実施形態において、推定装置100は、判定処理を効率良く行うためのモデルを生成してもよい。
【0025】
推定装置100は、モデルを生成するための素性を得るため、判定処理に関する正解データを取得するための処理を行う。例えば、推定装置100は、第三者にペアの情報を提示し、いずれのユーザの方が資産を有していると思われるかという回答を得る。そして、推定装置100は、得た回答を正解データとして、いずれのユーザの方が資産を有しているかを出力するためのモデルを生成する。
【0026】
図1の例では、推定装置100は、例えばクラウドソーシング(crowdsourcing)を利用して、第三者が利用する第三者端末50に対して、ペアの情報を提示する(ステップS02)。具体的には、推定装置100は、ユーザU01の行動履歴とユーザU02の行動履歴とを第三者端末50に送信する。例えば、推定装置100は、ユーザU01が検索サービスに送信した検索クエリに関する情報と、ユーザU02が検索サービスに送信した検索クエリに関する情報とを第三者端末50に送信し、第三者に提示する。
【0027】
図1の例では、ユーザU01は、検索クエリとして、「ゴルフ、資産運用、旅行」のような検索クエリを用いて、頻繁に検索を行っているものとする。この場合、推定装置100は、このような検索クエリをユーザU01に関する検索履歴として保持する。また、ユーザU02は、検索クエリとして、「テレビ、趣味、スマホ」のような検索クエリを用いて、頻繁に検索を行っているものとする。この場合、推定装置100は、このような検索クエリをユーザU02に関する検索履歴として保持する。そして、推定装置100は、このような検索クエリを第三者に提示し、「いずれのユーザの方が資産を有すると思うか」を回答させる。この例では、第三者は、ユーザU01とユーザU02のうち、どちらのユーザの方が資産を有していると思うかを回答する(ステップS03)。
【0028】
例えば、第三者がユーザU01の方が資産を有すると回答すれば、当該ペアにおいて、ユーザU01に「1」の順序が付与され、ユーザU02に「2」の順序が付与される。第三者端末50は、クラウド(ネットワーク)を介して、かかる回答結果を推定装置100に送信する(ステップS04)。推定装置100は、同様の質問を複数の第三者に送信することにより、ユーザU01とユーザU02のペアに関して、一定の信頼性が得られる充分な数の回答を得る。
【0029】
なお、推定装置100は、検索クエリのみならず、例えば、ネットワーク上のユーザU01及びユーザU02の行動履歴(例えば、インターネット上におけるウェブサイトの閲覧履歴)や、SNSに関する情報(例えば、タイムラインに表示される記事や、友達数や、アップされた画像数)を第三者に提示する情報としてもよい。また、推定装置100は、これらの情報を適宜組み合わせて、第三者に提示してもよい。
【0030】
そして、推定装置100は、回答結果に基づき学習を行い、モデルを生成する(ステップS05)。例えば、推定装置100が生成するモデルは、異なる2つのユーザ情報、すなわち異なるユーザのネットワーク情報の行動履歴を入力とした場合に、いずれのユーザの方が資産情報を有するか、といった出力を返す。
【0031】
例えば、第三者端末50からの回答において、検索クエリの履歴に「ゴルフ、資産運用、旅行」といったクエリが含まれるユーザの方が、それらのクエリが含まれないユーザよりも「資産があると思われる」という回答を多く得る傾向にあったとする。この場合、検索クエリの履歴に「ゴルフ、資産運用、旅行」といったクエリが含まれることが、ペアのユーザのいずれがより資産を有しているか、という判定のための説明変数となりうる。推定装置100は、ユーザの行動履歴の内容と回答結果とを学習(例えば、回帰分析)することで、ペアのうちいずれのユーザの方が資産情報を有するか、といった出力を精度よく返すモデルを生成する。
【0032】
そして、推定装置100は、生成したモデルを利用して、ユーザU01やユーザU02のみならず、充分な数のユーザに対して判定処理を行う。これにより、推定装置100は、処理対象とする複数のユーザに対して序列を判定する。
【0033】
推定装置100は、充分な数のユーザに対して序列を判定することで、複数のユーザを順番に並べた情報を得る。この序列は、言い換えれば、いずれのユーザがより資産情報を有するか、という判定要素に基づいて、複数のユーザを順に並べた場合の順番を示す。例えば、推定装置100は、10000ユーザに対する序列を判定する。すなわち、推定装置100は、生成されたモデルを用いることで、ユーザ情報を取得した10000ユーザを、資産を有すると判定された順に並べることができる。
【0034】
推定装置100は、このように判定された序列から、ユーザの資産情報を推定する(ステップS06)。例えば、推定装置100は、公的機関が公表するデータに基づいて、処理対象とするユーザが属する地域(例えば、日本国内)における労働人口の年収と、処理対象とするユーザが属する地域における労働人口の構成比とを取得する。
【0035】
そして、推定装置100は、処理対象とする複数のユーザを、公的機関が公表する年収と構成比とに照らし合わせることにより、複数のユーザに含まれる所定のユーザの年収を推定する。
【0036】
具体例として、ユーザU01が、10000ユーザのうち「3000」番目の序列であると判定された場合を例に挙げる。この場合、ユーザU01は、序列が判定された複数のユーザのうち、上位から数えて30%の位置に属するユーザである。推定装置100は、公的機関が公表するデータにおいて、ユーザU01が属する地域における労働人口の構成比において、上から30%の位置に属する人間がどのくらいの年収を得ているかを照合する。例えば、ユーザU01が属する地域における労働人口の構成比のうち上から30%に位置する群に属する人間の年収が「600万円〜700万円」である場合、推定装置100は、判定したユーザ群についても同様の構成比を適用し、ユーザU01の年収を「600万円〜700万円」と推定することができる。
【0037】
また、推定装置100は、ユーザU02についても同様に資産情報の推定を行うことができる。例えば、ユーザU02が10000ユーザのうち「6500」番目の序列であると判定された場合、ユーザU02は、序列が判定された複数のユーザのうち、上位から数えて65%の位置に属するユーザである。推定装置100は、上記と同様の構成比において、上から65%の位置に属する人間がどのくらいの年収を得ているかを照合する。例えば、ユーザU02が属する地域における労働人口の構成比のうち上から65%に位置する群に属する人間の年収が「300万円〜400万円」である場合、推定装置100は、判定したユーザ群についても同様の構成比を適用し、ユーザU02の年収を「300万円〜400万円」と推定することができる。
【0038】
推定装置100は、例えば、推定した資産情報に基づいて、所定のサービスを宣伝するコンテンツをユーザに配信するなどの処理を行ってもよい。例えば、推定装置100は、ある一定以上の資産情報を有すると推定されるユーザ群に対して、クレジットカードの新規発行を宣伝する広告コンテンツを配信するなどの処理を行う。また、推定装置100は、所定の年収と推定されるユーザ群に対して、特定の商材を宣伝する広告コンテンツを配信するなどの処理を行う。これにより、推定装置100は、ユーザの資産情報に合わせたサービスを提供することができる。
【0039】
このように、実施形態に係る推定装置100は、複数のユーザのネットワーク上における行動履歴を取得する。また、推定装置100は、取得された行動履歴のうち、第1のユーザ(例えば、ユーザU01)の行動履歴と第2のユーザ(例えば、ユーザU02)の行動履歴との比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。そして、推定装置100は、決定された順序に基づいて、複数のユーザの資産情報を推定する。
【0040】
すなわち、実施形態に係る推定装置100は、資産情報の推定において、具体的な年収等の数値を当てることを目的とするのではなく、複数のユーザの序列を判定することによって、結果として所定のユーザの年収等の資産情報を推定することができる。例えば、推定装置100は、必ずしも具体的な年収等の数値を特定しなくとも、ユーザU02よりもユーザU01の方がより資産を有するユーザであるという情報が得られれば、かかる情報によって提供するサービスをユーザごとに調整することができる。さらに、上述のように、推定装置100は、統計的に有意な数のユーザの序列を判定することにより、あるコミュニティにおける人口の構成比との照合が行える場合には、公表されている平均の年収と構成比等の関係性に基づいて、より詳細にユーザの資産情報を推定することができる。このように、推定装置100は、個人の資産情報を精度よく推定することができる。
【0041】
また、実施形態に係る推定装置100によれば、具体的な年収等のデータをユーザから取得することなく、ユーザの日常の行動履歴等からユーザの資産情報を推定することができるため、ユーザに情報の申請を行わせる処理負荷や、ユーザから申請された情報を統計する処理負荷等を軽減することができる。
【0042】
なお、
図1の例において、推定装置100は、ユーザ端末10及び11からユーザ情報を取得することを示した。推定装置100は、例えば、所定時間おきにユーザ端末10及び11をクロール(crawl)することにより、ユーザ情報を取得するようにしてもよい。また、推定装置100は、ユーザ端末10にインストールされたプログラム(例えば、スマートフォン専用のアプリ)を介して、ユーザ情報を継続的に取得するようにしてもよい。
【0043】
〔2.推定システムの構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る推定装置100が含まれる推定システム1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る推定システム1の構成例を示す図である。
図2に例示するように、実施形態に係る推定システム1には、ユーザ端末10及び11と、ウェブサーバ30と、第三者端末50と、推定装置100とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。また、
図2に示す推定システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、推定システム1には、複数台のユーザ端末10や、ウェブサーバ30や、第三者端末50が含まれてもよい。
【0044】
ユーザ端末10及び11は、上述のように、スマートフォンを含む携帯電話機や、タブレット端末や、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理端末である。また、ユーザ端末10及び11には、眼鏡型や時計型の情報処理端末であるウェアラブルデバイス(wearable device)も含まれる。さらに、ユーザ端末10及び11には、ユーザ情報を推定装置100に送信する情報処理機能を有する種々のスマート機器が含まれてもよい。例えば、ユーザ端末10及び11には、TV(Television)や冷蔵庫、掃除機などのスマート家電や、自動車などのスマートビークル(Smart vehicle)や、ドローン(drone)、家庭用ロボットなどが含まれてもよい。
【0045】
ウェブサーバ30は、ウェブページ等のサービスページを配信するウェブサーバである。例えば、ウェブサーバ30は、ポータルサイト、ニュースサイト、オークションサイト、天気予報サイト、ショッピングサイト、ファイナンス(株価)サイト、路線検索サイト、地図提供サイト、旅行サイト、飲食店紹介サイト、SNSサイト、ウェブブログなどに関連する各種情報を含むウェブページをユーザ端末10及び11に配信する。
【0046】
ウェブサーバ30によって配信されるウェブページは、例えば、HTMLにより記述されたHTMLファイルや、XML(Extensible Markup Language)により記述されたXMLファイル等により形成される。また、ウェブサーバ30によって配信されるウェブページには、コンテンツ(広告)取得命令が含まれてもよい。例えば、ウェブページを形成するHTMLファイル等には、所定の広告サーバのURL等が広告取得命令として記述される。この場合、ユーザ端末10又は11は、HTMLファイル等に記述されているURLにアクセスすることで、所定の広告サーバから広告コンテンツを取得する。なお、実施形態では、推定装置100が、上記広告サーバに対応するようなコンテンツ配信処理を行うものとする。
【0047】
第三者端末50は、ユーザ同士のペアについてどちらのユーザがより資産を有するかといったことを判定し、判定結果を回答として推定装置100に送信する情報処理端末である。第三者端末50は、ユーザ端末10及び11と同様、スマートフォンやタブレット端末、PC等により実現される。
【0048】
推定装置100は、上述のように、ユーザ情報に基づいてユーザ同士の順序を判定することで、ユーザの資産情報を推定するサーバ装置である。
【0049】
〔3.実施形態に係る推定装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る推定装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る推定装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、推定装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、推定装置100は、推定装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0050】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、ユーザ端末10やウェブサーバ30や第三者端末50との間で情報の送受信を行う。
【0051】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図3に示すように、記憶部120は、ペア情報記憶部121と、ユーザ情報記憶部122と、モデル記憶部126と、推定情報記憶部127と、コンテンツ記憶部128とを有する。
【0052】
(ペア情報記憶部121について)
ペア情報記憶部121は、ユーザ同士のペアに関する情報を記憶する。ここで、
図4に、実施形態に係るペア情報記憶部121の一例を示す。
図4は、実施形態に係るペア情報記憶部121の一例を示す図である。
図4に示した例では、ペア情報記憶部121は、「ペアID」、「ユーザID」、「順序」といった項目を有する。
【0053】
「ペアID」は、ユーザ同士のペアを識別する識別情報を示す。「ユーザID」は、ユーザを識別する識別情報を示す。なお、実施形態において、識別情報は、説明に用いる参照符号と一致するものとする。例えば、ユーザID「U01」で識別されるユーザは、ユーザU01を示す。「順序」は、ペアに対して判定された順序を示す。なお、ペアに対して順序が判定されていない場合には、順序の項目は空欄が記憶される。
【0054】
すなわち、
図4の一例では、ペアID「P01」で識別されるペアP01は、ユーザID「U01」で識別されるユーザU01と、ユーザID「U02」で識別されるユーザU02とが含まれており、ユーザU01の順序は「1」で、ユーザU02の順序は「2」であることを示している。
【0055】
(ユーザ情報記憶部122について)
ユーザ情報記憶部122は、ユーザに関する情報を記憶する。ユーザ情報記憶部122は、データテーブルとして、検索情報テーブル123と、SNS情報テーブル124と、閲覧情報テーブル125とを含む。
【0056】
(検索情報テーブル123について)
検索情報テーブル123は、ユーザの行動履歴のうち、検索クエリの履歴などの検索情報を記憶する。ここで、
図5に、実施形態に係る検索情報テーブル123の一例を示す。
図5は、実施形態に係る検索情報テーブル123の一例を示す図である。
図5に示すように、検索情報テーブル123は、「ユーザID」、「検索クエリ」といった項目を有する。
【0057】
「ユーザID」は、
図4で示した項目と同様である。「検索クエリ」は、ユーザが検索サービスに送信したクエリを示す。なお、
図5での図示は省略しているが、検索クエリの項目には、クエリが検索サービス側に送信された時間や、所定期間において同一のクエリが送信された回数や頻度、同一ユーザが送信するクエリのランキング等が記憶されてもよい。また、検索クエリの項目には、クエリそのものの他に、当該クエリが属するカテゴリやジャンル等が記憶されてもよい。
【0058】
すなわち、
図5の一例では、ユーザU01は、検索クエリとして、「ゴルフ」や「資産運用」や「旅行」等のクエリを送信した履歴があることを示している。また、ユーザU02は、検索クエリとして、「テレビ」や「趣味」や「スマホ」等のクエリを送信した履歴があることを示している。
【0059】
(SNS情報テーブル124について)
SNS情報テーブル124は、ユーザが利用するSNSに関する情報を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係るSNS情報テーブル124の一例を示す。
図6は、実施形態に係るSNS情報テーブル124の一例を示す図である。
図6に示すように、SNS情報テーブル124は、「ユーザID」、「最新記事データ」、「友達数」、「画像数」といった項目を有する。
【0060】
「ユーザID」は、
図4で示した項目と同様である。「最新記事データ」は、ユーザから投稿された記事のうち、最新の記事に関する情報を示す。なお、
図6の例では、最新記事データを「T01」のような概念で示しているが、実際には、最新記事データの項目には、最新記事に含まれるテキストデータや画像データ等を示す。なお、最新記事データは、常に最新の記事である必要はなく、例えば、SNSにおけるユーザのトップページに表示される記事の内容や、タイムラインに表示される記事の内容のことであってもよい。
【0061】
「友達数」は、SNS上において関係性を有するユーザ、すなわち、SNS上においてつながりを有するユーザ数を示す。「画像数」は、ユーザがSNS上に投稿した画像データの数を示す。なお、画像数は、SNS上に投稿した画像データの累積数ではなく、例えば、所定期間(例えば1週間など)に投稿した画像データ数の平均値等であってもよい。
【0062】
すなわち、
図6の一例では、ユーザU01は、SNS上に、最新記事データとして「T01」を投稿しており、また、ユーザU01のSNS上における友達数は「120」であり、ユーザU01がSNS上に投稿した画像数は「225」であることを示している。
【0063】
(閲覧情報テーブル125について)
閲覧情報テーブル125は、ユーザが閲覧したサービスページ(例えばウェブサイト)に関する情報を記憶する。ここで、
図7に、実施形態に係る閲覧情報テーブル125の一例を示す。
図7は、実施形態に係る閲覧情報テーブル125の一例を示す図である。
図7に示すように、閲覧情報テーブル125は、「ユーザID」、「閲覧サイトID」といった項目を有する。
【0064】
「ユーザID」は、
図4で示した項目と同様である。「閲覧サイトID」は、ユーザが閲覧したウェブサイトを識別する識別情報を示す。なお、
図7での図示は省略するが、ユーザが閲覧したウェブサイトを示す情報としては、識別情報の他に、ウェブサイトに掲載された内容が属するカテゴリやジャンル、ウェブサイトの閲覧の頻度、リファラ(referer)等のウェブサイト閲覧のリンクに関する情報等が含まれてもよい。また、ユーザの閲覧情報には、所定のショッピングサイトやオークションサイトでのユーザの行動履歴(購買履歴や取引履歴等)が含まれてもよい。
【0065】
すなわち、
図7の一例では、ユーザU01は、閲覧サイトID「W01」や、「W02」や、「W03」で識別されるウェブサイトを閲覧した履歴を有していることを示している。
【0066】
(モデル記憶部126について)
モデル記憶部126は、推定装置100が生成したモデルに関する情報を記憶する。ここで、
図8に、実施形態に係るモデル記憶部126の一例を示す。
図8は、実施形態に係るモデル記憶部126の一例を示す図である。
図8に示すように、モデル記憶部126は、「モデルID」、「学習データ」、「更新日」といった項目を有する。
【0067】
「モデルID」は、モデルを識別する識別情報を示す。「学習データ」は、モデルの生成に用いられたサンプルデータを示す。
図8の例では、学習データを「E01」のような概念で示しているが、実際には、学習データの項目には、モデルにおいて正例負例となる情報(例えば、ペアとなるユーザにおいて資産を有すると判定されたユーザの行動履歴と、判定されなかったユーザの行動履歴)や、モデル生成に用いられたサンプル数等の情報が記憶される。なお、学習データは、サンプルデータが推定装置100に取得される度に更新されてもよい。「更新日」は、新たな学習データの追加によりモデルが更新された日を示す。
【0068】
すなわち、
図8の一例では、モデルID「M01」によって識別されるモデルM01は、学習データ「E01」に基づいて生成された(学習された)モデルであり、更新日は「2016年10月20日」であることを示している。
【0069】
(推定情報記憶部127について)
推定情報記憶部127は、推定装置100が行う推定処理に関する情報を記憶する。ここで、
図9に、実施形態に係る推定情報記憶部127の一例を示す。
図9は、実施形態に係る推定情報記憶部127の一例を示す図である。
図9に示すように、推定情報記憶部127は、「序列」、「ユーザID」、「資産情報判定」といった項目を有する。
【0070】
「序列」は、処理対象とする複数のユーザに対して判定された序列を示す。「ユーザID」は、
図4で示した項目と同様である。「資産情報判定」は、資産情報の所定の評価値を示すものであり、例えば、10を最大とし、1を最少とする10段階の数値で示される。
【0071】
すなわち、
図9の一例では、ユーザID「U01295」で識別されるユーザは、序列が「1」であり、資産情報判定は「10」であることを示している。また、ユーザU01は、序列が「3000」であり、資産情報判定は「7」であることを示している。また、ユーザU02は、序列が「6500」であり、資産情報判定は「6」であることを示している。
【0072】
(コンテンツ記憶部128について)
コンテンツ記憶部128は、コンテンツに関する情報を記憶する。ここで、
図10に、実施形態に係るコンテンツ記憶部128の一例を示す。
図10は、実施形態に係るコンテンツ記憶部128の一例を示す図である。
図10に示すように、コンテンツ記憶部128は、「コンテンツID」、「資産情報判定」、「コンテンツ情報」、「内容」、「属性情報」、「種別」といった項目を有する。
【0073】
「コンテンツID」は、コンテンツを識別する識別情報を示す。「資産情報判定」は、
図9に示した項目と同様であり、各コンテンツに予め設定された評価値であるものとする。例えば、コンテンツに対応する資産情報判定の値は、配信するコンテンツを決定するためのターゲティング等に利用される。
【0074】
「コンテンツ情報」は、コンテンツに関する詳細な情報を示す。「内容」は、コンテンツに含まれる内容を示す。例えば、内容は、コンテンツが宣伝するサービスの内容を示す。「属性情報」は、コンテンツのターゲティングに関する属性情報の設定を示す。
図10の例では、属性情報を「G01」のような概念で示しているが、実際には、属性情報の項目には、コンテンツの配信先となるユーザの年齢や、性別や、居住地などの具体的な属性情報が記憶される。推定装置100は、コンテンツに設定された属性情報にマッチングするユーザを配信先として特定して、当該コンテンツを配信する。
【0075】
「種別」は、コンテンツが配信される形態の種別を示す。例えば、種別には、ユーザ端末10がウェブページやアプリを表示した際にともに表示される広告枠に配信される広告としての形態(例えば、ウェブページにおけるバナー広告)や、プッシュ通知やメールによる通知として配信される形態や、ショッピングサイトのレコメンドなどが含まれる。
【0076】
すなわち、
図10では、コンテンツID「A01」によって示されるコンテンツA01は、資産情報判定「6」以上のユーザにターゲティングされたコンテンツであり、内容は「クレジットカード新規契約」を宣伝するコンテンツであることを示している。また、コンテンツA01に設定されたターゲティングの属性情報が「G01」であり、コンテンツの種別は「広告」であることを示している。
【0077】
(制御部130について)
制御部130は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、推定装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(推定プログラムの一例に相当)がRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0078】
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、判定部132と、生成部133と、受信部134と、推定部135と、決定部136と、配信部137とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0079】
(取得部131について)
取得部131は、各種情報を取得する。例えば、取得部131は、複数のユーザ端末10から、各々のユーザ情報を取得する。具体的には、取得部131は、複数のユーザのネットワーク上における行動履歴を取得する。
【0080】
例えば、取得部131は、ユーザのネットワーク上の行動履歴として、ユーザが検索サービスに送信した検索クエリに関する情報を取得する。より具体的には、取得部131は、送信した検索クエリが示す辞書的情報の類似性や、検索クエリが属するカテゴリやジャンルや、送信する検索クエリの頻度等に基づいて、ユーザがどのような検索クエリを頻繁に送信するかといった傾向を示す情報を取得する。言い換えれば、取得部131は、検索クエリの送信履歴から、ユーザの興味関心に関する情報を取得する。例えば、第三者は、ユーザが送信した検索クエリの内容に基づいて、いずれのユーザがより資産を有するユーザであるかを判定する。
【0081】
また、取得部131は、ユーザが利用するSNSに関する情報を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザからSNSに投稿された比較的新しい記事の内容(例えば、いわゆるタイムラインに表示される記事の内容)、ユーザからSNSに投稿された画像数、SNS上において関係性を有するユーザ数(例えば、友達数)の少なくともいずれか一つを取得する。
【0082】
例えば、取得部131は、ユーザからSNSに投稿された最新記事のテキストデータに含まれる単語の傾向を取得する。これにより、取得部131は、ユーザが興味関心を有する事象に関する情報を取得する。あるいは、取得部131は、SNSに投稿された画像数や画像の内容、SNS上において関係性を有するユーザ、すなわち、SNS上においてつながりを有するユーザ数(例えば、友人の数やフォロワーの数)を取得する。これにより、取得部131は、ユーザがどのような日常生活を送っているかを示す情報を取得する。例えば、第三者は、ユーザが利用しているSNSの内容に基づいて、いずれのユーザがより資産を有するユーザであるかを判定する。
【0083】
また、取得部131は、ユーザのネットワーク上の行動履歴として、所定のサービスページをユーザが閲覧した履歴を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザが閲覧したウェブサイトの履歴を取得する。この場合、取得部131は、ウェブサイトのカテゴリ(例えば、ニュースサイトや、ショッピングサイトや、株式情報サイトなど)別に履歴を取得し、ユーザがどのようなカテゴリのサイトを頻繁に閲覧するかといった傾向を示す情報を取得してもよい。言い換えれば、取得部131は、ウェブサイトの閲覧履歴から、ユーザの興味関心に関する情報を取得する。例えば、第三者は、ユーザが閲覧したウェブサイトの内容に基づいて、いずれのユーザがより資産を有するユーザであるかを判定する。
【0084】
(判定部132について)
判定部132は、取得部131によって取得された行動履歴のうち、第1のユーザの行動履歴と第2のユーザの行動履歴との比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。
【0085】
例えば、判定部132は、第1のユーザの検索クエリと、第2のユーザの検索クエリとの比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。上述のように、検索クエリは、ユーザの興味関心を示す要素となりうる。このため、判定部132は、ペアとなるユーザ同士について、各々の検索クエリを比較することにより、ペアの順序を判定することができる。
【0086】
同様に、判定部132は、取得部131によって取得された第1のユーザのSNSに関する情報と、第2のユーザのSNSに関する情報との比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定してもよい。具体的には、判定部132は、取得部131によって取得された、第1のユーザからSNSに投稿された記事の内容と第2のユーザからSNSに投稿された記事の内容、第1のユーザからSNSに投稿された画像数と第2のユーザからSNSに投稿された画像数、第1のユーザがSNS上において関係性を有するユーザ数と第2のユーザがSNS上において関係性を有するユーザ数、の少なくともいずれか一つの比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。
【0087】
また、判定部132は、取得部131によって取得された第1のユーザの所定のサービスページの閲覧履歴と、第2のユーザの所定のサービスページの閲覧履歴との比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定してもよい。
【0088】
判定部132は、例えば、所定の端末装置から送信される結果であって、第1のユーザの行動履歴と第2のユーザの行動履歴とを比較して順序付けを行った結果を統計することにより、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定してもよい。具体的には、判定部132は、
図1で示したように、クラウドソーシング等を利用して、第三者端末50に第1のユーザの行動履歴と第2のユーザの行動履歴とを送信する。そして、判定部132は、第三者端末50から送信された回答結果を統計することにより、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。
【0089】
また、判定部132は、第三者端末50からの回答等の結果を学習することにより、第三者等を介することなく、ペアのユーザ同士の順序を判定してもよい。かかる処理においては、後述する生成部133によって生成されたモデルを利用することで、判定部132は、ペアのユーザ同士の順序を判定することができる。
【0090】
(生成部133について)
生成部133は、判定部132によって判定された結果に基づいて、所定のユーザ同士における順序を推定するためのモデルを生成する。具体的には、生成部133は、第三者端末50によって得られた回答結果を統計した判定部132による判定結果を学習することにより、ペアのユーザ同士における順序を推定するためのモデルを生成する。
【0091】
すなわち、生成部133は、ユーザの行動履歴を入力とし、いずれのユーザがより資産を有するユーザであるかを示す所定の指標値(より資産を有するユーザであるという傾向)を出力するようなモデルを生成する。なお、モデルが出力する情報は、いずれのユーザがより資産を有するユーザであるかを示す所定の指標値に限定されず、例えば、いずれのユーザがより資産を有するユーザであるかを「1」、「0」のようなバイナリで表示した結果を出力するモデルであってもよい。
【0092】
例えば、生成部133は、「このユーザが資産を有するユーザである」という事象を機械学習における目的変数とし、ユーザの行動履歴を構成する各々の特徴情報を機械学習における説明変数とする。そして、生成部133は、目的変数と説明変数とを用いて、ユーザに対する判定結果とユーザ情報(ユーザの行動履歴)との関係性を示すモデルを生成する。
【0093】
生成部133は、種々の説明変数を用いてモデルを生成する。上述のように、判定部132は、例えば第三者端末50からの回答に基づいて、どのような行動履歴を有するユーザが「資産を有する」と判定され、どのような行動履歴を有するユーザが「(一方と比較して)資産を有さない」と判定されたかという正解データ(サンプルデータ)を有している。生成部133は、これらのサンプルデータを学習することにより、一方のユーザが「資産を有する」と判定された結果に対して寄与した説明変数を特定することで、モデルを生成することができる。言い換えれば、生成部133は、判定に寄与した説明変数の重み値が大きくなるようなモデルを生成することで、ある特徴情報を有する行動履歴が入力された場合に、当該行動履歴に対応するユーザが「資産を有する」ユーザであるか否か、を精度よく判定するモデルを生成することができる。
【0094】
生成部133は、判定部132が判定要素とする情報、すなわち、取得部131によって取得されたユーザ情報について、あらゆる情報を用いてモデルを生成してよい。例えば、生成部133は、ユーザの検索クエリの傾向や、SNSに関する情報や、閲覧履歴等を、当該ユーザの特徴情報として利用する。
【0095】
下記に、生成部133が生成するモデルの一例を説明する。なお、生成部133が生成するモデルに関する学習手法は、下記の例に限らず、種々の既知の機械学習の手法が採用されてもよい。
【0096】
例えば、生成部133は、あるユーザが「資産を有する」と判定されたユーザであるか否かを示す事象と、ユーザの行動履歴との関係を示す式を生成する。さらに、生成部133は、ユーザの行動履歴における個々の特徴情報が、判定結果に対して、どのような重みを有するかを算出する。これにより、生成部133は、あるユーザが「資産を有する」と判定されるという事象に対して、ユーザの行動履歴に含まれる種々の特徴情報がどのくらい寄与するのかといった情報を得ることができる。例えば、生成部133は、下記式(1)を作成する。
【0097】
y(U01) = ω1・x1 + ω2・x2 + ω3・x3 ・・・+ ωN・xN ・・・(1)(Nは任意の数)
【0098】
上記式(1)は、例えば、ユーザU01に関して作成される式である。上記式(1)において、「y(U01)」は、ユーザU01が「資産を有する」ユーザと判定されたか否かを示す。例えば、「y(U01)」は、ユーザU01が「資産を有する」ユーザと判定された場合には「1」が入力され、ユーザU01が「資産を有する」ユーザと判定されていない場合には「0」が入力される。
【0099】
また、上記式(1)において、「x」は、ユーザU01の行動履歴に含まれる各説明変数に対応する。例えば、上記式(1)における「x1、x2、x3、・・・、xN」という説明変数は、検索クエリの送信履歴や、SNSに関する情報や、ウェブサイトの閲覧履歴や、ネット上での購買履歴等が該当する。すなわち、上記式(1)の右辺は、ユーザU01の行動履歴に含まれる特徴情報に対応する。
【0100】
また、上記式(1)において、「ω」は、「x」の係数であり、所定の重み値を示す。具体的には、「ω1」は、「x1」の重み値であり、「ω2」は、「x2」の重み値であり、「ω3」は、「x3」の重み値である。このように、上記式(1)は、行動履歴に含まれる特徴情報に対応する説明変数「x」と、所定の重み値「ω」とを含む変数(例えば、「ω1・x1」)を組み合せることにより作成される。
【0101】
例えば、上記式(1)において、仮に、「x1」が「検索クエリの送信履歴」に対応し、「x2」が「SNSに関する情報」に対応し、「x3」が「ウェブサイトの閲覧履歴」に対応する説明変数であるとする。この場合、ユーザU01に対応する上記式(1)は、以下の式(2)のように表すことができる。
【0102】
y(A01、U01)(= 1) = ω1・(検索クエリの送信履歴) + ω2・(SNSに関する情報) + ω3・(ウェブサイトの閲覧履歴) + ωN・xN ・・・(2)
【0103】
上記式(2)のような式を利用して、生成部133は、ユーザU01のみならず、モデル生成に充分な量の判定結果と行動履歴との関係式を作成する。そして、これらの関係式を回帰分析すること等により重み値を算出し、判定結果とユーザの行動履歴との関係性を示すモデルを生成する。例えば、上記の学習を経て、検索クエリの送信履歴に関する重み値が他の説明変数に比べて大きくなる場合には、ウェブサイトの閲覧履歴やSNSに関する情報に比べて、検索クエリの送信履歴によって、あるユーザが「資産を有する」と判定されるユーザであるか否かを示す事象が判定されることになる。
【0104】
なお、生成部133は、モデル生成のための式に代入可能なようにユーザの行動履歴を正規化して指標値として入力するなど、既知の様々な手法を用いてモデルを生成するようにしてもよい。
【0105】
また、上記の例では、説明を簡単にするため、「検索クエリの送信履歴」といった大まかな情報を示したが、実際には、種々のクエリごとに重み値が算出されてもよい。かかる処理によって、例えば、過去に「資産運用」という検索クエリを送信しているユーザは「資産を有する」と判定され易い傾向にあるユーザである、といったように、ユーザの行動が判定結果に与える影響を、より詳細に捉えることのできるモデルが生成される。
【0106】
生成部133は、生成したモデルをモデル記憶部126に登録する。また、生成部133は、モデルを生成した後に、取得部131が新たなユーザ情報を取得した場合には、随時、モデルを更新してもよい。
【0107】
(受信部134について)
受信部134は、各種情報を受信する。例えば、受信部134は、新たに処理対象となるユーザ端末10から、新たなユーザ情報を受信する。
【0108】
一例として、受信部134は、コンテンツの配信機会が生じたタイミング、例えば、ユーザ端末10によってウェブページが表示され、当該ウェブページに広告等のコンテンツが配信される機会が生じたタイミングで、ユーザ端末10から送信される広告配信要求とともに、新たなユーザ情報を受信する。受信部134は、受信したユーザ情報を推定部135に送る。
【0109】
(推定部135について)
推定部135は、判定部132によって判定された順序に基づいて、複数のユーザの資産情報を推定する。例えば、推定部135は、判定部132によって複数のユーザの全ての組み合わせに対して順序が判定された場合、かかる順序に基づいて複数のユーザに序列を付与する。そして、推定部135は、付与した序列に基づいて複数のユーザの資産情報を推定する。
【0110】
すなわち、実施形態に係る推定部135は、具体的な年収や可処分所得などの数値によってユーザの資産情報を示すのではなく、複数のユーザにおける序列に基づいて、ユーザの資産情報を推定する。例えば、推定部135は、具体的な数値による資産情報ではなく、序列に基づいてユーザの資産情報を判定する評価値である資産情報判定等の値をユーザに付与することで、ユーザの資産情報を推定する。例えば、推定部135は、上位から数えて所定の割合に属するユーザから順に、高い資産情報判定を付与する。
【0111】
これにより、推定部135は、具体的な数値などのデータを取得しにくい個人ユーザに対しても資産情報を推定することができる。さらに、推定部135は、ユーザの年収や可処分所得や貯蓄額などの資産情報を、当該ユーザが属するコミュニティにおける序列に基づいて推定してもよい。例えば、当該コミュニティの平均年収が得られれば、推定部135は、コミュニティにおける序列に基づいて、所定のユーザの年収を推定することができる。
【0112】
推定部135は、生成部133によって生成されたモデルを利用して、複数のユーザの資産情報を推定してもよい。かかる処理によれば、推定部135は、判定部132によって複数のユーザの全ての組み合わせに対して順序が判定されなくとも、新たに受信したユーザ情報をモデルに入力することで、当該ユーザがどのような序列となるかを判定することができる。すなわち、推定部135は、モデルを利用してユーザを判定することで、効率良く複数のユーザに序列を付与することができる。
【0113】
また、推定部135は、複数のユーザに対して付与した序列と、資産情報に関する統計データとを照合することにより、複数のユーザに含まれる所定のユーザの資産情報を推定してもよい。資産情報に関する統計データとは、例えば、公的機関から公表される資産情報のデータである。この点について、
図11を用いて説明する。
【0114】
図11は、実施形態に係る推定処理を説明するための図である。
図11に示す統計データ200は、ユーザが属するコミュニティにおける公的機関から公表された統計データを示す。例えば、統計データ200は、世帯数構成比と、世帯年収との関係を示すグラフである。
【0115】
また、
図11に示す統計データ210は、推定部135が処理対象とする複数のユーザの統計データである。統計データ210は、統計データ構成比と、推定年収との関係を示すグラフである。ここで、推定部135は、統計データ200における世帯数構成比と、統計データ210における統計データ構成比とを対応させる。すなわち、推定部135は、処理対象とする複数のユーザを統計データ200における世帯数構成比に割り当てることで、公的機関が公表するデータを処理対象とする複数のユーザに応用可能なように対応させる。
【0116】
そして、推定部135は、例えば処理対象とする複数のユーザのうちの所定のユーザについて、求めた序列に従い、統計データ200が示す世帯数構成比に対応する位置を特定する。例えば、
図11に示すように、推定部135は、最上位から30%の位置に属するユーザU01について、年収「600−700万」の位置であると特定する。また、推定部135は、最上位から65%の位置に属するユーザU02について、年収「300−400万」の位置であると特定する。これにより、推定部135は、ユーザの資産情報を推定することができる。
【0117】
(決定部136について)
決定部136は、推定部135によって推定された資産情報に基づいて、複数のユーザに含まれる所定のユーザに配信するコンテンツを決定する。例えば、決定部136は、所定のユーザに配信するコンテンツとして、所定の金融サービスに関するコンテンツを決定する。
【0118】
より具体的には、決定部136は、所定の金融サービスに関するコンテンツとして、クレジットカード契約の提案、融資の提案、不動産契約の提案、又は、金融投資の提案の少なくともいずれか一つのサービスに関するコンテンツを決定する。例えば、決定部136は、
図10に示すように、推定部135によって付与された資産情報判定の値に基づいて、クレジットカード新規契約のサービスを提供するのに適するユーザに対して、当該サービスに対応するコンテンツを配信することを決定する。あるいは、決定部136は、自動車ローン等の融資の提案や、不動産契約や、ゴルフ会員などの商材の提案など、各種サービスを宣伝するコンテンツを配信するユーザを決定する。
【0119】
なお、決定部136は、資産情報判定に応じて、優先的にユーザに配信するコンテンツを決定してもよい。例えば、決定部136は、ユーザの資産情報判定が「7」であり、同様のサービスに関するコンテンツであって、資産情報判定が「7」と「5」という2つのコンテンツがある場合には、資産情報判定がユーザと一致している「7」のコンテンツを優先的に配信する。これは、資産情報判定が近い方が、ユーザに対して適した内容のコンテンツである可能性が高いことによる。
【0120】
なお、決定部136は、コンテンツを決定するにあたり、推定された資産情報のみならず、例えば、属性情報のマッチング等に基づいて、コンテンツを決定してもよい。また、決定部136は、コンテンツが広告である場合、例えば、広告の配信に関する入札額等に基づいて、コンテンツを決定してもよい。このように、決定部136は、既知のターゲティング手法やコンテンツ配信手法に基づいて、配信するコンテンツを決定するようにしてもよい。
【0121】
(配信部137について)
配信部137は、各種コンテンツを配信する。例えば、配信部137は、決定部136によって決定されたコンテンツをユーザ端末10に配信する。この場合、配信部137は、予めコンテンツに設定された種別に適合する配信機会が生じた場合に、決定部136によって決定されたコンテンツをユーザ端末10に配信する。例えば、配信部137は、ユーザ端末10がウェブページを表示し、ウェブページに含まれる広告枠への広告配信機会が生じた場合には、ウェブページに含まれる広告枠に対応する種別を有するコンテンツを配信する。
【0122】
なお、配信部137は、推定装置100からユーザ端末10に直接的にコンテンツを配信せずに、所定の配信サーバを介して、コンテンツを配信してもよい。この場合、配信部137は、所定の配信サーバを制御することにより、ユーザ端末10へコンテンツの配信を実行させる。また、配信部137が配信するコンテンツのデータは、必ずしもコンテンツ記憶部128に格納されていることを要さず、外部のストレージサーバに格納されていてもよい。この場合、配信部137は、コンテンツIDに基づいてユーザ端末10に配信するコンテンツを特定し、当該コンテンツのデータをストレージサーバから取得し、取得したデータをユーザ端末10に配信してもよい。
【0123】
また、配信部137は、ウェブページのバナー広告や、メール広告や、プッシュ通知や、ウェブページに表示されるレコメンドなど、種々の種別に対応させてコンテンツを配信する。
【0124】
〔4.実施形態に係る処理手順〕
次に、
図12及び
図13を用いて、実施形態に係る推定装置100による処理の手順について説明する。まず、
図12を用いて、実施形態に係る生成処理の手順について説明する。
図12は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャート(1)である。
【0125】
図12に示すように、取得部131は、ユーザ端末10からユーザ情報を取得したか否かを判定する(ステップ101)。取得部131は、ユーザ情報を取得していない場合(ステップS101;No)、取得するまで待機する。
【0126】
一方、ユーザ情報を取得した場合(ステップS101;Yes)、判定部132は、ユーザ同士のペアを作成する(ステップS102)。そして、判定部132は、例えば第三者端末50等を利用して、ペアにおける順序を判定する(ステップS103)。
【0127】
続いて、生成部133は、判定結果に基づいてモデルを生成する(ステップS104)。生成部133は、生成したモデルをモデル記憶部126に登録する(ステップS105)。
【0128】
次に、
図13を用いて、実施形態に係る推定処理の手順について説明する。
図13は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャート(2)である。
【0129】
図13に示すように、受信部134は、ユーザ端末10から新たなユーザ情報を取得したか否かを判定する(ステップS201)。受信部134は、ユーザ情報を取得していない場合(ステップS201;No)、取得するまで待機する。
【0130】
一方、ユーザ情報を取得した場合(ステップS201;Yes)、推定部135は、ユーザ情報を生成部133が生成したモデルに入力する(ステップS202)。そして、推定部135は、複数のユーザの序列を判定する(ステップS203)。
【0131】
続いて、推定部135は、序列に基づいてユーザの資産情報を推定する(ステップS204)。決定部136は、推定された資産情報に基づいてユーザに配信するコンテンツを決定する(ステップS205)。配信部137は、決定したコンテンツをユーザ端末10に配信する(ステップS206)。
【0132】
〔5.変形例〕
上述した推定装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、実施形態の変形例について説明する。
【0133】
〔5−1.属性情報の利用〕
上記実施形態では、推定装置100は、ユーザ情報のうち、ユーザのネットワーク上の行動履歴に基づいて資産情報を推定する例を示した。ここで、推定装置100は、ユーザ情報として、ユーザの属性情報に基づいて資産情報を推定してもよい。すなわち、推定装置100は、属性情報が互いに類似する第1のユーザと第2のユーザに関して順序を判定するようにしてもよい。なお、ユーザの属性情報とは、例えば、ユーザの性別や年齢や居住地等である。
【0134】
例えば、推定装置100は、ユーザ同士のペアを作成するにあたり、ユーザの属性が類似するユーザ同士をペアとする。これにより、推定装置100は、類似するユーザ同士の順序を判定することとなるので、判定において、より有意な要素を抽出しやすくなる。例えば、そもそも類似しないユーザ同士の行動履歴を比較した場合、行動履歴を構成する情報に隔たりが大きく、行動履歴を構成する情報のうち、どのような要素が判定に影響を及ぼすかが抽出されにくい場合がありうる。推定装置100は、予め属性が類似するユーザ同士をペアとすることで、両者の行動履歴を構成する情報の隔たりを抑え、判定に影響を与えると想定される要素を、より抽出させやすくすることができる。これにより、推定装置100は、生成するモデルの精度を向上させることができる。
【0135】
〔5−2.資産情報の利用〕
上記実施形態では、推定装置100は、ユーザの資産情報に基づいてコンテンツのターゲティングを行い、コンテンツを配信する例を示した。しかし、推定装置100が推定する資産情報は、他の用途に利用されてもよい。
【0136】
例えば、推定装置100は、ユーザに対して推定した資産情報を銀行や証券会社やクレジットカード会社等に提供してもよい。そして、銀行や証券会社やクレジットカード会社等は、推定された資産情報に基づいて業務を遂行してもよい。例えば、クレジットカード会社は、推定されたユーザの資産情報を、カード発行時点の与信判定等に利用してもよい。
【0137】
〔5−3.画像認識〕
上記実施形態では、推定装置100は、SNSに関する情報として、SNSにおける画像数等を推定処理に用いることを示した。ここで、推定装置100は、画像数のみならず、画像認識等によって画像が示す内容に基づいて処理を行ってもよい。
【0138】
例えば、推定装置100は、ユーザ同士のペアの判定において、画像の内容そのものに基づいて、いずれのユーザが資産を有するかを判定してもよい。例えば、推定装置100は、互いのユーザがSNSにアップしている画像のうち、画像に写っている人物、風景、画質等に基づいて、いずれのユーザが資産を有するかを判定してもよい。これにより、いずれのユーザが資産を有するか、が直感的に判定された結果を利用して、ユーザの資産情報を推定することができる。すなわち、推定装置100は、第三者が行なった判定結果であって、所定のユーザのSNSを閲覧した印象に応じていずれのユーザが資産を有するかといった直感に基づく判定結果を、より推定処理に反映させることができる。
【0139】
〔6.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0140】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、
図3に示した判定部132と、生成部133とは統合されてもよい。また、例えば、記憶部120に記憶される情報は、ネットワークNを介して、外部に備えられた記憶装置に記憶されてもよい。
【0141】
また、例えば、上記実施形態では、推定装置100が、ユーザ端末10のユーザ情報を取得する取得処理と、資産情報を推定する推定処理とを行う例を示した。しかし、上述した推定装置100は、取得処理を行う取得装置と、推定処理を行う推定装置とに分離されてもよい。この場合、取得装置は、取得部131を少なくとも有する。推定装置は、推定部135を少なくとも有する。この場合、実施形態に係る推定装置100による処理は、取得装置と、推定装置といった各装置を含む推定システム1によって実現される。
【0142】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0143】
〔7.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る推定装置100やユーザ端末10は、例えば
図14に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、推定装置100を例に挙げて説明する。
図14は、推定装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0144】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
【0145】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(
図2に示したネットワークNに対応)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網500を介して他の機器へ送信する。
【0146】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0147】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0148】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る推定装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0149】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る推定装置100は、取得部131と、判定部132と、推定部135とを有する。取得部131は、複数のユーザのネットワーク上における行動履歴を取得する。判定部132は、取得部131によって取得された行動履歴のうち、第1のユーザの行動履歴と第2のユーザの行動履歴との比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。推定部135は、判定部132によって判定された順序に基づいて、複数のユーザの資産情報を推定する。
【0150】
このように、実施形態に係る推定装置100は、個人の資産情報の推定において、具体的な年収等の数値を当てることを目的とするのではなく、複数のユーザの序列を判定することによって、結果として所定のユーザの年収等の資産情報を推定する。このように、推定装置100は、具体的な年収等のデータをユーザから取得することなく、個人の資産情報を精度よく推定することができる。
【0151】
また、実施形態に係る推定装置100は、判定部132によって判定された結果に基づいて、所定のユーザ同士における順序を推定するためのモデルを生成する生成部133をさらに備える。推定部135は、生成部133によって生成されたモデルを利用して、複数のユーザの資産情報を推定する。
【0152】
このように、実施形態に係る推定装置100は、モデルを生成することにより、ユーザ同士の順序を効率良く判定することができる。これにより、推定装置100は、個人の資産情報の推定処理を迅速に行うことができる。
【0153】
また、推定部135は、生成部133によって生成されたモデルを利用して、複数のユーザに対して序列を付与することにより、複数のユーザの資産情報を推定する。
【0154】
このように、実施形態に係る推定装置100は、資産を有すると想定される順序付けに基づいて複数のユーザに序列を付与することで、具体的な数値に依ることなく、各ユーザの資産情報を推定することができる。例えば、金融サービス等を提供する事業者が、サービスの提供先を選択する場合には、具体的な数値によらずとも、ある集団の中で資産を有する上位10%にサービスを提供したいなどの需要が発生する場合がありうる。推定装置100は、複数のユーザに序列を付与することで、上記のような需要に応える推定処理を行うことができる。
【0155】
また、推定部135は、複数のユーザに対して付与した序列と、資産情報に関する統計データとを照合することにより、複数のユーザに含まれる所定のユーザの資産情報を推定する。
【0156】
このように、実施形態に係る推定装置100は、複数のユーザに含まれる所定のユーザの資産情報を推定する場合には、例えば、複数のユーザに付与した序列と、資産情報に関する統計データとの照合を行うことで、公表されている平均の年収と構成比等の関係性に基づいて詳細にユーザの資産情報を推定することができる。
【0157】
また、取得部131は、ネットワーク上の行動履歴として、複数のユーザが検索サービスに送信した検索クエリに関する情報を取得する。判定部132は、取得部131によって取得された第1のユーザの検索クエリと、第2のユーザの検索クエリとの比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。
【0158】
このように、実施形態に係る推定装置100は、ユーザが送信した検索クエリに関する情報を用いて判定処理を行う。上述のように、ユーザが送信する検索クエリは、そのユーザの興味関心を具体的に表現するものといえる。かかる情報を判定処理に用いることにより、推定装置100は、いずれのユーザが資産を有するかといった順序をより正確に判定することができる。
【0159】
また、取得部131は、複数のユーザが利用するSNS(Social Networking Service)に関する情報を取得する。判定部132は、取得部131によって取得された第1のユーザのSNSに関する情報と、第2のユーザのSNSに関する情報との比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。
【0160】
このように、実施形態に係る推定装置100は、ユーザが利用するSNSに関する情報を取得してもよい。SNSには、ユーザが日々の生活の中で興味を持ったり、自身が行動したりした結果を記録としてアップロードされるため、SNSに保持される情報は、そのユーザの特徴を示す情報となりうる。このようなユーザの特徴を示す情報を判定処理に用いることにより、推定装置100は、いずれのユーザが資産を有するかといった順序をより正確に判定することができる。
【0161】
また、取得部131は、複数のユーザからSNSに投稿された記事の内容、SNSに投稿された画像数、当該SNS上において関係性を有するユーザ数の少なくともいずれかを取得する。判定部132は、取得部131によって取得された、第1のユーザからSNSに投稿された記事の内容と第2のユーザからSNSに投稿された記事の内容、第1のユーザからSNSに投稿された画像数と第2のユーザからSNSに投稿された画像数、第1のユーザがSNS上において関係性を有するユーザ数と第2のユーザがSNS上において関係性を有するユーザ数、の少なくともいずれか一つの比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。
【0162】
このように、実施形態に係る推定装置100は、より具体的なSNSに関する情報を取得してもよい。推定装置100は、具体的な情報同士を判定の要素とすることで、より判定処理の精度を向上させることができる。
【0163】
また、取得部131は、ネットワーク上の行動履歴として、所定のサービスページの閲覧履歴を取得する。判定部132は、取得部131によって取得された第1のユーザの所定のサービスページの閲覧履歴と、第2のユーザの所定のサービスページの閲覧履歴との比較に基づいて、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。
【0164】
このように、実施形態に係る推定装置100は、所定のサービスページ(例えば、ウェブページや、ニュースアプリや情報提供アプリが提供するページなど)をユーザが閲覧した履歴に基づいて判定処理を行ってもよい。一般に、ネットワーク上におけるサービスページの閲覧履歴は、そのユーザの興味関心を表し、また、ユーザの興味関心は、そのユーザが有する資産によって一定の類似する傾向を持つ。このため、推定装置100は、サービスページの閲覧履歴を要素として判定処理を行うことで、判定処理の精度を向上させることができる。
【0165】
また、判定部132は、所定の端末装置(例えば、第三者端末50)から送信される結果であって、第1のユーザの行動履歴と第2のユーザの行動履歴とを比較して順序付けを行った結果を統計することにより、第1のユーザと第2のユーザとの順序を判定する。
【0166】
このように、実施形態に係る推定装置100は、第三者端末50から回答を得て判定処理を統計することによって、あるユーザが他のユーザよりも資産を有するか否かといった順序付けをより正確に行うことができる。これにより、推定装置100は、個人の資産情報を推定する処理の精度を向上させることができる。
【0167】
また、実施形態に係る推定装置100は、推定部135によって推定された資産情報に基づいて、複数のユーザに含まれる所定のユーザに配信するコンテンツを決定する決定部136をさらに備える。
【0168】
このように、実施形態に係る推定装置100は、推定した資産情報を用いてコンテンツの決定処理を行ってもよい。これにより、推定装置100は、ユーザに即したコンテンツを提供することができる。
【0169】
また、決定部136は、所定の金融サービスに関するコンテンツとして、クレジットカード契約の提案、融資の提案、不動産契約の提案、又は、金融投資の提案の少なくともいずれか一つのサービスに関するコンテンツを決定する。
【0170】
このように、実施形態に係る推定装置100は、種々のコンテンツの中から、ユーザの資産情報に応じたコンテンツを決定することができる。このため、推定装置100は、ユーザにとって有用なコンテンツを決定する精度を向上させることができる。
【0171】
また、判定部132は、属性情報が互いに類似する第1のユーザと第2のユーザに関して順序を判定する。
【0172】
このように、実施形態に係る推定装置100は、ユーザの行動履歴のみならず、ユーザの属性情報の類似性を用いて判定処理を行ってもよい。これにより、推定装置100は、判定処理の精度を向上させることができる。
【0173】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0174】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。