(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の第1電極と、上記複数の第1電極にそれぞれ電気的に接続され、上記複数の第1電極をそれぞれ駆動する複数の駆動素子と、上記複数の駆動素子を覆う第1平坦化樹脂層と、上記複数の第1電極を覆う誘電体層と、上記誘電体層を覆う第1撥水層とを有する第1基板と、
上記第1基板に対向配置されており、上記複数の第1電極に対向配置された、少なくとも1つの第2電極と、上記少なくとも1つの第2電極を覆う第2撥水層とを有し、上記第1基板との間に、導電性を有する微小流体を、上記複数の第1電極を跨いで移動させる内部空間を形成する第2基板とを備え、
上記複数の第1電極は、上記第1平坦化樹脂層上に設けられているとともに、遮光性を有する金属電極であり、
上記第1平坦化樹脂層は、上記第1撥水層の凹凸を低減するための平坦化層であることを特徴とする微小流体装置。
上記第2平坦化樹脂層は、上記コンタクトホール内および上記複数の第1電極間のうち少なくとも上記コンタクトホール内に設けられており、上記第1電極上には設けられておらず、
上記イオンバリア層は、上記第2平坦化樹脂層および上記複数の第1電極を覆っていることを特徴とする請求項3に記載の微小流体装置。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0033】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、
図1〜
図3に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0034】
本実施形態では、本実施形態にかかる微小流体装置として、セグメント電極がマトリクス状に配置された、アクティブマトリクス型の誘電体エレクトロウェッティング(AM−EWOD)装置を例に挙げて説明する。以下では、説明の便宜上、背景技術で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記して説明を行う。
【0035】
<微小流体装置1の概略構成>
図1は、本実施形態にかかる微小流体装置1の要部の概略構成の一例を模式的に示す断面図である。
図2は、本実施形態にかかる微小流体装置1における薄膜電子回路層12の概略構成の一例を模式的に示す平面図である。
【0036】
本実施形態にかかる微小流体装置1は、
図1および
図2に示すように、互いに対向配置された、アレイ基板10(第1基板)および対向基板40(第2基板)からなる一対の基板を備えている。
【0037】
アレイ基板10と対向基板40とは、互いの対向面の周縁部(
図2に示す例では、例えば、対向基板40の周縁部)に沿って設けられた図示しないシール材によって、一定の間隙(セルギャップ)を有して互いに貼り合わされている。なお、アレイ基板10と対向基板40とは、互いの対向面の周縁部に形成された壁体を介して互いに貼り合わされていてもよい。
【0038】
これにより、微小流体装置1は、微小流体装置本体として、互いに貼り合わされたアレイ基板10と対向基板40とからなる1つの大きなセル2を備えている。
【0039】
アレイ基板10と対向基板40との間の間隙によってセル2の内部に形成される内部空間50は、液滴51(微小流体)を移動させる微小な流路(マイクロ流路)として用いられる。
【0040】
セル2には、液滴51等の流体を、少なくとも、セル2の内部に注入するための図示しない開口部が設けられている。
【0041】
例えば、
図2に示す例では、一例として、アレイ基板10が、対向基板40よりも大きく形成されている。これにより、アレイ基板10は、平面視で、対向基板40と対向配置された状態で、対向基板40よりも外部に突出する拡張部3を有している。
【0042】
壁体またはシール材等によって構成される、セル2の側壁の一部には、上記拡張部3に面して、液滴51等の流体が通過する図示しない開口部が形成されている。該開口部は、液滴51等の流体を、セル2の内部に注入したり、セル2の内部から外部に取り出したりするために用いることができる。
【0043】
但し、本実施形態は、これに限定されるものではなく、例えば対向基板40に上記開口部が形成されていてもよく、アレイ基板10と対向基板40とは、例えば同じ大きさを有していても構わない。
【0044】
図2に示すように、本実施形態にかかる微小流体装置1は、複数のアレイ素子32を有する電極アレイ31を備えている。アレイ素子32は、電極アレイ31上の1つまたは複数の液滴51を操作するように構成されている。
【0045】
本実施形態にかかる微小流体装置1は、前述したように、AM−EWOD装置である。
図2に示すように、電極アレイ31は、マトリクス状に配置された、M×Nのアレイ素子32を有する。ここで、MおよびNは、任意の数値であってもよい。なお、典型的な例においては、MおよびNは2以上である。
【0046】
各アレイ素子32は、
図1に示す、アレイ基板10に設けられた電極14(例えば、電極14a・14b、第1電極)と、対向基板40に設けられた電極42(第2電極)と、を含んでいる。電極14はセグメント電極であり、それぞれ独立して駆動制御される。各アレイ素子32は、対応する電極14の電位を制御するために、アレイ素子回路33を含んでいる。
【0047】
上記セル2内における電極14と電極42との間には、1個または複数個の液滴51を配置可能であり、アレイ素子回路33は、上記複数のアレイ素子32における電極14および電極42に駆動信号を与え、上記複数のアレイ素子32の間で、上記1個または複数個の液滴51を操作するように構成されている。
【0048】
(アレイ基板10)
図1に示すアレイ基板10は、駆動素子として、マトリクス状に配置された複数のTFT20を有するアクティブマトリクス型のTFT基板である。
【0049】
アレイ基板10は、アクティブマトリクス配列内で液滴駆動(EWOD)を実施するAM−EWOD基板として用いられる。
【0050】
TFT20を用いた電子回路を利用したAM−EWOD基板は、駆動回路を、AM−EWOD基板上に集積することができるという利点を有している。また、このようにTFT20を用いた電子回路は、AM−EWOD用途に好適である。
【0051】
図1に示すように、アレイ基板10は、支持基板である絶縁基板11上に、複数のTFT20を備えた薄膜電子回路層12、第1平坦化樹脂層13、EW駆動素子電極である複数の電極14、第2平坦化樹脂層16およびイオンバリア層17からなる誘電体層15、撥水層18が、絶縁基板11側からこの順に積層された構成を有している。
【0052】
なお、
図1では、一例として、絶縁基板11における電極14の形成面(能動面)上にのみ撥水層18が形成されている場合を例に挙げて示している。しかしながら、アレイ基板10は、上記構成に限定されるものではなく、アレイ基板10の全表面が撥水層18で覆われていてもよい。
【0053】
薄膜電子回路層12は、
図1および
図2に示すようにTFT20を含む回路層であり、各電極14を駆動するように構成されている。
【0054】
絶縁基板11上には、配線として、TFT20にそれぞれ接続された、図示しない複数のゲート配線と複数のソース配線とが、互いに直交するように交差して配置されている。TFT20は、例えば、これらゲート配線とソース配線との交差部にそれぞれ対応して設けられている。
【0055】
TFT20は、例えば、
図1に示すように、絶縁基板11上に、ゲート電極21、ゲート絶縁膜22、半導体層23(n+層、i層)、半導体層23におけるn+層に接して設けられたソース電極24およびドレイン電極25が、この順に積層された構造を有している。
【0056】
薄膜電子回路層12は、上記TFT20と、該TFT20の一部を構成するゲート絶縁膜22とを含んでいる。
【0057】
但し、本実施形態にかかる微小流体装置1は、上記構成に限定されるものではない。
図1では、一例として、TFT20がボトムゲート型(逆スタガ型)のTFTである場合を例に挙げて図示している。しかしながら、上記TFT20は、トップゲート型(スタガ型)のTFTであってもよい。
【0058】
すなわち、TFT20は、絶縁基板11上に、半導体層23、ゲート絶縁膜22、ゲート電極21、ゲート電極21を覆う層間絶縁膜、層間絶縁膜を介して半導体層23にそれぞれ接続されたソース電極24およびドレイン電極25が、この順に積層された構造を有していてもよい。したがって、薄膜電子回路層12は、上記層間絶縁膜をさらに含んでいてもよい。
【0059】
また、薄膜電子回路層12は、
図2に示すように、集積された行駆動回路34および列駆動回路35をさらに含んでいる。行駆動回路34および列駆動回路35は、アレイ素子回路33に制御信号を供給する。行駆動回路34および列駆動回路35は、薄膜電子部品として実装することが可能であるともに、アレイ素子回路33の一部または全てに対して制御信号を与えるために利用することが可能である。
【0060】
また、薄膜電子回路層12は、シリアル入力のデータストリームを処理し、電極アレイ31に必要な電圧を書き込むシリアルインターフェース36を備えていてもよい。また、薄膜電子回路層12は、各電極14に供給する電圧、対向基板40における電極42の駆動電圧、および、他の必要とされる電圧を供給する電圧供給インターフェース37を備えていてもよい。薄膜電子回路層12が、これらシリアルインターフェース36や電圧供給インターフェース37を備えることで、電極アレイ31のサイズが大きい場合であっても、アレイ基板10と図示しない外部駆動電子回路との間の接続ワイヤ38の数および電源等の数を、比較的少なくすることができる。
【0061】
また、アレイ素子回路33は、センサ機能を追加的に含んでいてもよい。例えば、アレイ素子回路33は、電極アレイ31におけるそれぞれのアレイ素子32の位置において液滴51が存在していることを検出し、かつ、当該液滴51のサイズを検出するための機構を備えていてもよい。
【0062】
このため、薄膜電子回路層12は、各アレイ素子32からセンサデータを読み出し、当該データを1つ以上のシリアル出力信号に統合するための図示しない列検出回路を備えていてもよい。当該シリアル出力信号は、シリアルインターフェース36を介して与えられ、1つ以上の接続ワイヤ38によって、微小流体装置1から出力されてもよい。
【0063】
アレイ素子回路33は、液滴51に所定の液滴駆動電圧を印加できるように構成されており、図示しないメモリ素子や反転回路等を備えていてもよい。上記メモリ素子には、例えば、列駆動回路35から伸びる列書込ライン(同じ列内のアレイ素子に共通であってもよい)、行駆動回路34から伸びる行選択ライン(同じ行内のアレイ素子に共通であってもよい)、容量性記憶装置、DC(直流電流)供給電圧、スイッチトランジスタ等が含まれていてもよい。
【0064】
図1に示すように、薄膜電子回路層12上には、TFT20を含む薄膜電子回路層12の表面の凹凸を平坦化する第1平坦化樹脂層13が、TFT20を覆うように形成されている。第1平坦化樹脂層13には、各電極14とTFT20のドレイン電極25とを接続するためのコンタクトホール19が複数形成されている。
【0065】
第1平坦化樹脂層13上には、複数の電極14がマトリクス状に形成されている。電極14は、AM(アクティブマトリクス)電極(アレイ素子電極)であり、
図2に示す電極アレイ31の一部を構成している。各電極14は、
図1に示すように、各コンタクトホール19を介して各TFT20のドレイン電極25に電気的に接続されている。
【0066】
なお、TFT20を介して薄膜電子回路層12に接続された複数の電極14は、薄膜電子回路層12を構成する層の一部と解釈することもできる。このような構成は、エレクトロウェッティング駆動素子と称される。つまり、薄膜電子回路層12は、TFT20、第1平坦化樹脂層13、および複数の電極14を含むと解釈することもできる。
【0067】
なお、エレクトロウェッティング駆動素子は、特定のアレイ素子32と関連付けられた電極14であってもよいし、上記電極14に直接接続された電子回路のノードであってもよい。また、特定のアレイ素子32に関連付けられた電極14、および、この電極14に直接接続された電気回路のノードとの両方を指してエレクトロウェッティング駆動素子と称する場合もある。
【0068】
第1平坦化樹脂層13上には、上記複数の電極14を覆うように誘電体層15が設けられている。本実施形態にかかる誘電体層15は、第2平坦化樹脂層16と、無機膜からなるイオンバリア層17と、を含んでいる。これら第2平坦化樹脂層16およびイオンバリア層17は、各電極14を、アレイ基板10における、対向基板40との対向面に設けられた撥水層18から分離する。
【0069】
図1に示すように、コンタクトホール19は、第2平坦化樹脂層16で埋められていることが望ましい。
【0070】
本実施形態では、第2平坦化樹脂層16は、コンタクトホール19内にのみ設けられており、電極14上には設けられていない。第2平坦化樹脂層16は、例えば、その表面が、コンタクトホール19内以外の電極14の表面と面一となるように形成されている。
【0071】
コンタクトホール19内に形成された第2平坦化樹脂層16の上面は、イオンバリア層17で覆われている。また、コンタクトホール19以外の電極14上には、誘電体層15として、イオンバリア層17のみが設けられている。
【0072】
本実施形態では、上述したように、液滴51を移動させる内部空間50に面する、TFT20を含む薄膜電子回路層12の表面の凹凸を第1平坦化樹脂層13で平坦化するとともに、上記内部空間に面する、コンタクトホール19による段差(窪み、凹部)および隣り合う電極14間の段差(窪み、凹部)を第2平坦化樹脂層16で平坦化している。これにより、上記内部空間50における、TFT20および電極14の配設に由来する、アレイ基板10の表面の凹凸を平坦化している。
【0073】
なお、本実施形態では、コンタクトホール19内および隣り合う電極14間に第2平坦化樹脂層16が形成されている場合を例に挙げて図示しているが、液滴51が電極14に対し十分に大きい場合には、コンタクトホール19内および隣り合う電極14間に第2平坦化樹脂層16が形成されている必要は必ずしもない。
【0074】
但し、電極14は、第1平坦化樹脂層13上に形成されていることで、コンタクトホール19は、例えば2μm程度の高低差を有している。このため、コンタクトホール19内および隣り合う電極14間のうち、少なくともコンタクトホール19内を上記第2平坦化樹脂層16で埋めることで、平坦で緻密な撥水層18を形成することができる。
【0075】
なお、電極14の厚みは、例えば50nm〜100nmであり、コンタクトホール19の高さと比べれば、電極14による段差は非常に小さい。このため、電極14間の段差は致命的な問題とはならないが、液滴51が、隣り合う電極14間の段差を往復することで、僅かな段差であっても、液滴51の操作を繰り返すうちに電極14の角部において撥水層18の剥がれを引き起こす等してエレクトロウェッティング性能に影響を及ぼす可能性がある。したがって、コンタクトホール19内だけでなく、隣り合う電極14間も第2平坦化樹脂層16で埋めることで、電極14間の段差を無くすことができるので、そのような問題が生じることを防止することができ、信頼性をさらに向上させることができる。
【0076】
イオンバリア層17は、液滴51中のイオンの透過を防止する層である。イオンバリア層17は、第1平坦化樹脂層13、電極14、および第2平坦化樹脂層16上に、これら第1平坦化樹脂層13、電極14、および第2平坦化樹脂層16を覆うように形成されている。
【0077】
撥水層18は、平坦な表面を有するイオンバリア層17上に、アレイ基板10における対向基板40との対向面全面を覆うように、均一な厚みで形成されている。
【0078】
(対向基板40)
図1に示すように、対向基板40は、支持基板である絶縁基板41におけるアレイ基板10との対向面に、対向電極(共通電極)として、電極42が設けられた構成を有している。
【0079】
電極42は、例えばベタ状に形成されており、典型的には、電極42が、全てのアレイ素子32に共有されている。しかしながら、各アレイ素子32または複数のアレイ素子32のグループが、それぞれ固有の電極42を有していてもよい。
【0080】
電極42は、撥水層43で覆われている。撥水層43は、対向基板40におけるアレイ基板10との対向面全面に、ベタ状に形成されている。
【0081】
(内部空間50)
アレイ基板10と対向基板40との間隙には、アレイ基板10と対向基板40と図示しないシール材とによって囲まれた内部空間50が形成されている。
【0082】
内部空間50内には、導電性を有する液滴51が束縛されている。液滴51は、例えばイオン性液体からなり、内部空間50内における、液滴51によって占有されない空間は、液滴51と混和されない、非導電性の非イオン性液体52で満たされていてもよい。
【0083】
液滴51には、例えば、水、電解液(電解質の水溶液)、アルコール類、各種イオン性液体等の液体を用いることができる。液滴51としては、エレクトロウェッティングにより操作が可能な液体であれば、特に限定されるものではなく、例えば、水、全血検体、細菌性細胞懸濁液、タンパク質あるいは抗体溶液、牛血清アルブミン(BSA)溶液、血漿緩衝液(PBS)等の種々の緩衝液、酵素の溶液、細胞を含む食塩水、DNAまたはRNA断片、一般的な生化学における免疫学的検定を含む定量に用いられる試薬を含有する溶液等であってもよい。
【0084】
非イオン性液体52としては、液滴51と混和されない液体であればよい。非イオン性液体52としては、一般的に、液滴51よりも表面張力が小さい液体が使用される。非イオン性液体52の一例としては、例えば、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ウンデカン等の炭化水素系溶媒(低分子炭化水素系溶媒)、シリコーンオイル等のオイル、フルオロカーボン系溶媒等が挙げられる。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。なお、非イオン性液体52は、一種類のみを使用してもよく、適宜複数種類を混合して用いてもよい。
【0085】
また、非イオン性液体52には、例えば、液滴51の比重よりも比重が小さい液体が選択される。液滴51が電解質水溶液である場合、液滴51の比重は、ほぼ水の比重と同じ(≒1.0)であり、非イオン性液体52には、例えばシリコーンオイル等、比重が1.0未満の液体が使用される。
【0086】
また、液滴51および非イオン性液体52は、粘度が低いことが好ましい。液滴51は、所定の粘度となるように、水等で希釈調整されていてもよい。
【0087】
<液滴51の駆動>
液滴51は、撥水層18の表面が、液滴51と気体(もしくは非イオン性液体52)とに接触しているときに、これら3相の接触する境界線において液滴51の液面が撥水層18の表面となす角度で示される接触角θをなして配されている。
【0088】
液滴51と撥水層18との接触角θは、液滴51に電場を印加することで変化する。これは、液滴51に電場を印加することで、電極14と液滴51との間に形成されるキャパシタの静電エネルギー分、誘電体層15の表面エネルギーが変化することで、撥水層18と液滴51との間の表面張力(界面エネルギー)が変化するためである。
【0089】
なお、接触角θは、撥水層18の表面の疎水性の尺度であり、θ<90度の場合は表面が親水性であり、θ>90度の場合は表面が疎水性であるとして定義され得る。そして、接触角θと90度との差に従って、疎水性または親水性の程度が定義される。
【0090】
微小流体装置1の駆動時において、異なる電極14(例えば、電極14a・14b)のそれぞれに対して、異なる電圧(エレクトロウェッティング駆動電圧)が印加されることで、電圧印加によって生じた電気的な力によって、撥水層18・43の疎水性(撥水性)が有効に制御される。このため、例えば、異なるエレクトロウェッティング駆動電圧が印加されるように異なる電極(電極14a・14b)を配置することにより、上記内部空間50において、液滴51を、撥水層18の表面に沿って移動させることができる。液滴51は、親水性がより大きい領域(言い換えれば、疎水性がより小さい領域)に向かって移動する。
【0091】
具体的には、電極42には、常にHi(ハイ)レベルの電圧が印加されている。このため、電極42上の撥水層43は、常に疎水性を示しており、隣り合う電極14a・14bに印加される電圧をHi(ハイ)レベルとLo(ロー)レベルとで切り替えることにより、疎水性と親水性とを切り替え、電極14上のぬれ性に勾配をつける。
【0092】
例えば、
図1に示す液滴51を、
図1に矢印で示すように内部空間50内を移動させる場合、電極14aの電圧をHi(ハイ)電圧とし、該電極14aに隣り合う電極14bの電圧をLo(ロー)電圧とすることで、電極14a上の撥水層18が疎水性となり、電極14b上が親水性となるので、電極14a上の液滴51は、電極14b上に移動する。
【0093】
このようにして、液滴51を移動させたい電極14にLo電圧を印加し、液滴51を移動させたくない電極14にHi電圧を印加することで、液滴51の移動を制御することができる。
【0094】
<微小流体装置1の製造方法>
次に、微小流体装置1の製造方法について接続する。まず、微小流体装置1の各層の材料および形成方法について説明する。
【0095】
支持基板となる絶縁基板11・41のうち少なくとも絶縁基板41には、透明な絶縁性基板が使用される。絶縁基板11・41としては、例えばガラス基板が使用されるが、これに限定されるものではなく、プラスチック基板あるいはセラミック基板等を使用してもよい。
【0096】
ゲート絶縁膜22の材料としては、例えば、窒化シリコン(SiNx)、スピンオンガラス(SOG)、SiO
2等が挙げられる。ゲート絶縁膜22は、各種のCVD(化学気相成長)法、スピンコート法等、公知の方法で成膜することができる。
【0097】
TFT20としては、公知のTFTを使用することができる。前述したように、
図3では、ボトムゲート型(逆スタガ型)のTFT20を例に挙げて図示しているが、TFT20の構造は、特に限定されない。なお、TFT20を構成する各層の材料およびTFT20の形成方法は公知であり、ここでは、その説明を省略する。また、ゲート絶縁膜22を含め、TFT20を構成する各層の厚みは、従来と同様に設定することができる。
【0098】
電極14は、遮光性を有する金属電極であり、電極14には、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)等の金属およびその合金が用いられる。
【0099】
金属の表面は、ITOの表面と比較して平滑であり、電極14を金属電極とすることで、ITO電極と比較して平滑な表面を有するセグメント電極を形成することができる。
【0100】
また、上記材料のなかでも、特にMoは、ウェットエッチングでのエッチングレートが速いため、電極14のエッジのテーパが緩やかになる。このため、電極14のエッジを被覆する誘電体層15の被覆性が向上する。特に、電極14のエッジをイオンバリア層17で直接覆う場合、電極14を覆うイオンバリア層17の被覆性が向上する。
【0101】
電極42は、透光性電極であり、電極42には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)等の透明電極材料が用いられる。なお、電極42は、透明電極材料に代えて上記金属の薄膜を用いた半透明電極であってもよい。電極42に、金属材料からなる反透明電極を使用することで、電極42および該電極42を覆う撥水層43の表面を平坦化することができ、液滴51が撥水層43に接触している場合に、液滴51の滑り易さをさらに向上させることができる。
【0102】
また、ゲート配線およびソース配線にも、上記金属およびその合金を用いることができる。なお、電極14、ゲート配線、およびソース配線は、同じ材料で形成されていてもよく、それぞれ異なる材料で形成されていてもよい。
【0103】
これら電極14・42、ゲート配線、およびソース配線は、それぞれ、上記材料からなる導電膜を成膜した後、パターニングすることで形成することができる。
【0104】
上記導電膜の成膜には、スパッタリング法等の公知の方法を用いることができる。また、上記導電膜のパターニングには、フォトリソグラフィ法等の公知のパターニング方法を用いることができる。
【0105】
電極42、ゲート配線、およびソース配線の厚みは、特に限定されるものではなく、従来と同様に設定することができる。
【0106】
電極14の厚みは、上記導電膜の材料に応じて、遮光性が得られるように適宜設定されていればよく、特に限定されるものではないが、遮光の目的から、50nm以上の厚みを有していることが好ましい。但し、電極14の厚みが大きくなると、誘電体層15および撥水層18の表面の平坦化が行い難くなる。このため、電極14の厚みは、例えば、50nm〜200nm程度に設定されることが望ましい。
【0107】
第1平坦化樹脂層13および第2平坦化樹脂層16の材料としては、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の樹脂が挙げられる。上記レジスト材料としては、例えば、感光性アクリレート材料等の感光性樹脂材料を使用することができる。
【0108】
第1平坦化樹脂層13および第2平坦化樹脂層16は、例えば数μmの厚みを有している。これら第1平坦化樹脂層13および第2平坦化樹脂層16の成膜方法としては、例えば、スピンコート法あるいはスリットコート法等が挙げられる。
【0109】
第1平坦化樹脂層13を成膜後に、フォトリソグラフィ法等により第1平坦化樹脂層13をパターニングすることで、コンタクトホール19を形成することができる。
【0110】
また、第2平坦化樹脂層16を成膜後に、フォトリソグラフィ法等により第2平坦化樹脂層16をパターニングすることで、第2平坦化樹脂層16を島状に形成することができる。本実施形態では、第2平坦化樹脂層16は、コンタクトホール19内のみを埋めるように形成される。このため、フォトリソグラフィ条件をシビアにコントロールすることが望ましい。
【0111】
イオンバリア層17の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料が挙げられる。
【0112】
イオンバリア層17は、例えば、CVD法、真空蒸着法等、公知の方法により形成することができる。
【0113】
撥水層18に絶縁性はなく、イオンバリア層の絶縁性が重要となる。イオンバリア層17の厚みが薄くなると、十分な絶縁性が得られず、液滴51を介して電極42との間でリーク(リーク電流)が発生する。一方、イオンバリア層17の厚みが厚くなると、エレクトロウェッティング現象が生じ難くなる。イオンバリア層17は、例えば、数百nm(例えば250nm)の厚みに形成される。
【0114】
また、エレクトロウェッティング現象の生じ易さは、誘電体層15の誘電率、特に、イオンバリア層17の誘電率にも影響される。イオンバリア層17の材料として、例えば上述したように窒化シリコンを用いた場合、イオンバリア層17の誘電率は、6〜6.5(F/m)程度である。
【0115】
撥水層18の材料としては、例えば、パーフルオロアモルファス樹脂等のフッ素系の撥水処理剤等が挙げられる。そのような撥水処理剤としては、例えば、AGC旭硝子株式会社製の「サイトップ(登録商標)−CTL107MK」や「サイトップ(登録商標)−CTL809A」等が挙げられる。
【0116】
撥水層18は、例えば、ディップコート法、スピンコート法、スリットコート法等、公知の方法により形成することができる。
【0117】
エレクトロウェッティング現象の生じ易さは、撥水層18の厚みにも影響される。撥水層18の厚みを厚くすると、エレクトロウェッティング現象が生じ難くなる。撥水層18は、例えば数十nm(例えば50nm)の厚みに形成される。
【0118】
次に、上記微小流体装置1の製造工程について説明する。
【0119】
まず、例えば大判ガラス基板からなる絶縁基板11を洗浄した後、常用の方法により、絶縁基板11上に、例えば、ゲート電極21およびゲート配線、ゲート絶縁膜22、半導体層23(n+層、i層)、ソース電極24およびドレイン電極25並びにソース配線を、この順に形成する(駆動素子形成工程)。これにより、絶縁基板11上に、ゲート絶縁膜22、TFT20、ゲート配線、およびソース配線を形成する。
【0120】
このように絶縁基板11上にTFT20を形成することで、上記TFT20を含む薄膜電子回路層12の表面には、1600nm以下の高低差を有する凹凸が存在する。
【0121】
次いで、上記TFT20を覆うように、常用の方法により、第1平坦化樹脂層13を形成する。これにより、上記TFT20を含む薄膜電子回路層12の表面の凹凸を平坦化する(第1平坦化樹脂層形成工程)。
【0122】
次に、上記第1平坦化樹脂層13におけるドレイン電極25上の領域に、レジストマスクを設け、エッチングを行って、上記第1平坦化樹脂層13にコンタクトホール19を形成する(コンタクトホール形成工程)。なお、エッチングは、ドライエッチング法やウェットエッチング法で行う。
【0123】
一例として、例えば、第1平坦化樹脂層13とドレイン電極25との境界面における開口径(直径)が5μm、高さが2μmのコンタクトホール19が形成される。
【0124】
次いで、上記第1平坦化樹脂層13上に、スパッタ法を用いて、電極14となる、遮光性を有する膜厚の金属からなる導電膜の成膜を行う。その後、上記導電膜の所定の領域にレジストマスクを設け、エッチングを行うことによって、パターン化された複数の電極14を形成する(第1電極形成工程)。
【0125】
これにより、電極14の形成後に、コンタクトホール19を介して、電極14と、TFT20のドレイン電極25とが電気的に接続される。
【0126】
次いで、第1平坦化樹脂層13上に、コンタクトホール19および電極14間の段差を埋めるように、第2平坦化樹脂層16を形成する(第2平坦化合物樹脂層形成工程、誘電体層形成工程)。
【0127】
第2平坦化樹脂層16は、第1平坦化樹脂層13の形成方法と同様の方法により形成することができる。本実施形態では、第2平坦化樹脂層16となる樹脂層を成膜後、第1平坦化樹脂層13の形成に使用するフォトマスクとは異なるフォトマスクを使用し、第1平坦化樹脂層形成工程と同じプロセス条件で露光、現像、消色、プリベーク、ポストベークを行い、コンタクトホール19内および電極14間の第2平坦化樹脂層16の表面が、コンタクトホール19以外の電極14の表面と面一となるように、第2平坦化樹脂層16を形成した。
【0128】
次に、上記絶縁基板11に、上記第2平坦化樹脂層16、電極14、および第1平坦化樹脂層13を覆うように、常用の方法により、イオンバリア層17を形成する(イオンバリア層形成工程、誘電体層形成工程)。
【0129】
本実施形態では、例えば、CVD法により、窒化シリコン(SiNx)からなる250nmの厚みを有するイオンバリア層17を成膜した後、接続ワイヤ38等の外部との接続部等が露出されるように、フォトリソグラフィにより、必要に応じてパターン化した。
【0130】
その後、撥水層形成工程(撥水処理工程)を行い、上記イオンバリア層17が形成された絶縁基板11に、撥水層18を形成する。
【0131】
その後、上記絶縁基板11を、必要に応じて、所望の大きさにカットし、表面を洗浄する。なお、上記絶縁基板11に撥水層18を形成する前に、上記絶縁基板11を、必要に応じて、所望の大きさにカットしてもよい。
【0132】
これにより、表面に、疎水面(撥水面)として撥水層18が形成されたアレイ基板10が完成する。
【0133】
その後、上記アレイ基板10を、従来と同様にして作製した対向基板40と、互いの電極14・電極42が対向するように、図示しないシール材で貼り合わせる。このとき、必要に応じて、アレイ基板10と対向基板40との間に、非イオン性液体52を封入するとともに、液体注入用の図示しない開口部を形成する。これにより、微小流体装置1が製造される。
【0134】
なお、対向基板40は、例えば、電極42として例えばベタ状のITO膜が設けられた絶縁基板41に、例えばアレイ基板10と同様にして撥水層43を形成することで作製することができる。また、アレイ基板10と対向基板40との間に液体注入用の図示しない開口部を形成する代わりに、対向基板40に、液体注入用の図示しない開口部を形成してもよい。
【0135】
<効果>
上述したように、微小流体装置1は、撥水層18・43で導電性を有する液滴51を挟み、液滴51と、該液滴51の直下の誘電体層15の下の電極14との間に電位差を生じさせることにより、エレクトロウェッティング現象を生じさせて、液滴51を、撥水層18上で移動させる。
【0136】
このとき、液滴51は、隣り合う電極14a・14bに異なる電圧を印加することで、複数の電極14を跨いで、撥水層18上を移動する。
【0137】
このため、微小流体装置1は、電極14上の撥水層18が平坦で流体摩擦が小さいことが望ましい。
【0138】
特に、上述したように複数の電極14を跨いで液滴を移動させる微小流体装置1では、エレクトロウェッティングディスプレイよりも高い電圧を印加する必要がある。液滴51は、電極14に印加される電圧が高いほど滑り易い。しかしながら、各電極14に電気的に接続されたTFT20の耐圧や誘電体層15の耐圧、特にイオンバリア層17の耐性を考えれば、電極14に印加される電圧は、できるだけ低いことが望ましい。液滴51の滑りが悪ければ、液滴51をスムーズに移動させるために、より高い電圧をかけなければならない。
【0139】
したがって、微小流体装置1における電極14に印加される電圧を下げるには、電極14上の撥水層18上における液滴51の滑り易さを高めることが非常に重要である。
【0140】
特に、電極14の表面に凹凸が多く存在すると、その上層の誘電体層15の表面にも多くの凹凸が形成され、さらに、その上層の液滴輸送面となる、撥水層18の最表面にも多くの凹凸が形成される。このように、液滴輸送面に凹凸があると、液滴輸送面と液滴51との界面で流体摩擦が生じ易くなり、液滴51の移動が途中で止まったり、意図した通り液滴51を移動させることができなくなったりするおそれがある。
【0141】
また、撥水層18の下地となる誘電体層15の凹凸も、液滴51が移動する際に抵抗(流体摩擦)となり、液滴51の移動を阻害する。
【0142】
以上のように、本願発明者らが鋭意検討した結果、本願発明者らは、液滴51の移動が阻害されたり、液滴51を移動させるために電極14に印加する電圧が高くなったりする要因は、上述したように、突き詰めれば電極14の表面の凹凸にあることを見出した。そして、本願発明者らは、エレクトロウェッティングディスプレイとは全く異なる、複数の電極14を跨いで液滴を移動させる微小流体装置1では、液滴51をスムーズに移動させる上で、液滴51を滑らせる撥水層18の表面の平坦性が重要であり、特に、電極14上の撥水層18の平坦性を高めることが重要であることを見出した。そして、本願発明者らは、電極14上の撥水層18の平坦性を高めるためには、電極14の表面の平坦性を高めることが重要であることを見出した。
【0143】
上述したように、金属の表面は、ITOの表面と比較して平滑である。そして、撥水層18の表面の平坦性は、その下地となる誘電体層15の表面の平坦性に追随し、誘電体層15の表面の平坦性は、その下地となる電極14の表面の平坦性に追随する。
【0144】
したがって、第1平坦化樹脂層13により、複数のTFT20による、薄膜電子回路層12の表面の凹凸を平坦化し、該第1平坦化樹脂層13上に、電極14として、遮光性を有する金属電極を形成することで、電極14の表面の平坦性を従来よりも向上させることができる。この結果、電極14上の撥水層18の表面の平坦性を従来よりも向上させることができるので、液滴51の流体摩擦を低減させることができる。
【0145】
また、誘電体層15や撥水層18の表面に凹凸が存在すると、液滴51の流体摩擦により液滴51の移動が阻害され、この結果、
図7に二点鎖線で示したように、液滴51が移動したとしても、液滴51の一部が流路上に残留し、液滴51が複数(
図7に示す例では2つの液滴51a・51b)に分離してしまうという問題が生じるおそれがある。
【0146】
しかしながら、本実施形態によれば、液滴51が移動する際の抵抗(流体摩擦)を低減させることができるので、
図1に示すように、液滴51が分離されること無しに液滴51を移動させることができる。
【0147】
このため、本実施形態によれば、電極14上の撥水層18の表面が平坦であり、内部空間50において液滴51を移動させ易い微小流体装置1を提供することができる。
【0148】
また、本実施形態では、コンタクトホール19内および隣り合う電極14間を第2平坦化樹脂層16で埋めるとともに、エレクトロウェッティングディスプレイのように、内部空間50内に、画素隔離壁等の突起部(突部)は設けられていない。このため、液滴輸送面となる撥水層18の表面は、突部を有さない平坦面であり、本実施形態によれば、撥水層18の表面が平坦であり、内部空間50において液滴51を移動させ易い微小流体装置1を提供することができる。
【0149】
また、電極14に凹凸があると、誘電体層15の被覆性が悪くなるとともに、凸部に電界集中し易いため、液滴51を介して電極14と電極42との間でリークが発生し易くなる。
【0150】
また、撥水層18には絶縁性が無いため、誘電体層15に微小であっても欠陥があると、リークパスとなり、液滴51を介して電極14と電極42との間でリークが発生し、この結果、電極14と電極42とがショートして微小流体装置1が破壊されてしまう。
【0151】
しかしながら、本実施形態によれば、上述したように、誘電体層15による電極14の被覆性を向上させることができる。また、電極14上に凸部が存在せず、電界集中し難く、リークが発生し難くなる。
【0152】
また、上記微小流体装置1は、エレクトロウェッティングディスプレイとは異なり、偏光板やカラーフィルタのように外光を遮蔽する遮光体がなく、TFT20が外光に曝露され易い。
【0153】
図3は、TFT20のドレイン電流Idsの絶対値とゲート電圧Vgsと外光の照度との関係を示すグラフである。
【0154】
図3では、外光の照度が0Lux、32Lux、57Lux、151Lux、6480Lux、15750Lux、および31800Luxである場合のIds−Vgs特性を示している。
【0155】
図3に示すように、外光の照度が強いほど、TFT20がオフ(OFF)時にTFT20に流れるオフリーク電流の値は大きくなる。
【0156】
本実施形態によれば、電極14は、遮光性を有する金属電極であるため、外光を遮光することができる。したがって、例えば
図3に0Luxで示すように、オフリーク電流を流れ難くすることができる。このため、外光の曝露によるTFT20の誤動作等の回路動作異常を防止することができる。
【0157】
なお、外光遮光は、第1平坦化樹脂層13上に、光透過率の低い材料からなる遮光層を別途設けるか、もしくは、第1平坦化樹脂層13に遮光機能をもたせることで第1平坦化樹脂層13を遮光層とすることでも実現できる。しかしながら、そのような遮光層をITO電極と組み合わせる場合、ITO電極により、撥水層18の表面に多くの凹凸が形成されてしまう。
【0158】
本実施形態によれば、電極14を、遮光性を有する金属電極とすることで、別途、遮光層を追加することなく、オフリークを防止することができる。
【0159】
〔実施形態2〕
本実施形態について、
図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0160】
<微小流体装置1の概略構成>
図4は、本実施形態にかかる微小流体装置1の要部の概略構成の一例を示す断面図である。
【0161】
図4に示すように、本実施形態にかかる微小流体装置1は、アレイ基板10において、第2平坦化樹脂層16が、複数の電極14を覆っている点を除けば、実施形態1にかかる微小流体装置1と同じ構成を有している。
【0162】
本実施形態では、第2平坦化樹脂層16が、コンタクトホール19内を埋めるとともに、コンタクトホール19の外部の電極14をごく薄く覆うように、第1平坦化樹脂層13上に積層されている。これにより、第1平坦化樹脂層13の表面における、コンタクトホール19および隣り合う電極14間の凹凸を平坦化している。
【0163】
コンタクトホール19の外部における電極14上の第2平坦化樹脂層16の厚みは、好ましくは10nm〜10μmの範囲内であり、さらに好ましくは、500nm〜1μmの範囲内である。特に、コンタクトホール19の外部における電極14上の第2平坦化樹脂層16の厚みを500nm〜1μmの範囲内とすることで、十分な平坦化効果を得ることができるとともに、イオンバリア層17の絶縁性を担保し、かつ、エレクトロウェッティングに必要な静電容量を確保することができる。
【0164】
このため、本実施形態では、イオンバリア層17は、平坦な表面を有する第2平坦化樹脂層16上に、電極14とは、離間して、均一な厚みで形成されている。
【0165】
撥水層18は、平坦な表面を有するイオンバリア層17上に、均一な厚みで形成されている。
【0166】
<微小流体装置1の製造方法>
本実施形態にかかる微小流体装置1は、実施形態1において、第2平坦化樹脂層形成工程で、コンタクトホール19の内外におけるコーティングギャップ等のスリットコート条件を変更するとともに、フォトリソグラフィの条件を変更する以外は、実施形態1と同様にして製造することができる。
【0167】
本実施形態では、コンタクトホール19の外部の電極14上の第2平坦化樹脂層16を除去せずに残すことで、イオンバリア層17の成膜後に、第2平坦化樹脂層16のパターン化およびイオンバリア層17のパターン化を、1回のフォトリソグラフィにより、併せて行うことができる。
【0168】
<効果>
本実施形態によれば、コンタクトホール19内が第2平坦化樹脂層16で埋められていることで、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0169】
また、微小流体装置1では、イオンバリア層17の絶縁性およびリーク耐性が重要である。
【0170】
液滴51に電場を印加すると、液滴51中のイオンが移動する。しかしながら、イオンバリア層17のような無機層には分子レベルで欠陥が存在することから、液滴51中のイオンが撥水層18およびイオンバリア層17の欠陥を通り超して電極14に達すると、リークが生じてしまう。
【0171】
誘電体層15に無機材料からなるイオンバリア層17を用いると、誘電率が高くなることから、液滴51を移動させるための電圧が下がる。しかしながら、その一方で、リーク耐性のリスクが高まる。
【0172】
本実施形態によれば、第2平坦化樹脂層16が、コンタクトホール19の外部の電極14を覆っていることで、電極14上の第2平坦化樹脂層16によって、絶縁性を高めることができるので、イオンバリア層17の絶縁性を担保することができる。
【0173】
また、樹脂層は、水等のイオン性液体をはじくとともに、イオンを通し難いという性質を有している。このため、第2平坦化樹脂層16が、コンタクトホール19の外部の電極14を覆っていることで、イオンバリア層17の耐リーク性を補強することができるので、上記アレイ基板10のリーク耐性を向上させることができる。
【0174】
また、本実施形態によれば、実施形態1のように第2平坦化樹脂層16の表面が電極14の表面と面一になるようにコンタクトホール19内を第2平坦化樹脂層16で埋める場合と比較して、第2平坦化樹脂層16のフォトリソグラフィ条件におけるマージンを、より多く取ることができる。
【0175】
さらに、本実施形態によれば、第2平坦化樹脂層16が複数の電極14を覆っていることで、電極14間の凹凸を平坦化することができる。前述したように、電極14間の段差は致命的な問題とはならないが、液滴51の操作を繰り返すうちに、電極14の角部において撥水層18の剥がれを引き起こす等してエレクトロウェッティング性能に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、上記アレイ基板10の表面のより完全な平坦化を実現することができる。したがって、信頼性をさらに向上させることができる。
【0176】
〔実施形態3〕
本実施形態について、
図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1、2との相違点について説明するものとし、実施形態1、2で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0177】
<微小流体装置1の概略構成>
図5は、本実施形態にかかるアレイ基板10の要部の概略構成の一例を示す断面図である。
【0178】
図5に示すように、本実施形態にかかる微小流体装置1は、アレイ基板10において、イオンバリア層17が複数の電極14を覆っており、第2平坦化樹脂層16がイオンバリア層17上を覆っている点を除けば、実施形態1、2にかかる微小流体装置1と同じ構成を有している。
【0179】
すなわち、本実施形態では、イオンバリア層17が、電極14と第2平坦化樹脂層16との間に設けられており、イオンバリア層17が、コンタクトホール19の内外における電極14を直接覆っている。第2平坦化樹脂層16は、コンタクトホール19を、イオンバリア層17の上から埋めるとともに、コンタクトホール19の外部のイオンバリア層17をごく薄く覆うように、イオンバリア層17上に積層されている。
【0180】
コンタクトホール19の外部における電極14上の第2平坦化樹脂層16の厚みは、実施形態1同様、好ましくは10nm〜10μmの範囲内であり、さらに好ましくは、500nm〜1μmの範囲内である。実施形態1で説明したように、特に、コンタクトホール19の外部における電極14上の第2平坦化樹脂層16の厚みを500nm〜1μmの範囲内とすることで、十分な平坦化効果を得ることができるとともに、イオンバリア層17の絶縁性を担保し、かつ、エレクトロウェッティングに必要な静電容量を確保することができる。
【0181】
本実施形態でも、実施形態1、2同様、撥水層18は、平坦な表面を有するイオンバリア層17上に、均一な厚みで形成されている。
【0182】
<微小流体装置1の製造方法>
本実施形態にかかる微小流体装置1は、実施形態2において、イオンバリア層形成工程と、第2平坦化樹脂層形成工程との順番を入れ替える以外は、実施形態2と同様にして製造することができる。
【0183】
すなわち、本実施形態では、パターン化された電極14を形成した後、電極14を覆うように、第1平坦化樹脂層13上に、実施形態1と同様にしてイオンバリア層17を形成する。その後、イオンバリア層17上に、実施形態2と同様にして第2平坦化樹脂層16を形成した後、第2平坦化樹脂層16上に、撥水層18を形成する。
【0184】
<効果>
本実施形態によれば、コンタクトホール19内が第2平坦化樹脂層16で埋められているとともに、第2平坦化樹脂層16が、イオンバリア層17を介してコンタクトホール19の外部の電極14を覆っていることで、実施形態1、2と同様の効果を得ることができる。
【0185】
また、微小流体装置1の場合、電極14上の層の膜質や膜密度が重要となる。
【0186】
実施形態2では、第2平坦化樹脂層16上にイオンバリア層17を形成していることから、第2平坦化樹脂層16からのデガスによるガスで、イオンバリア層17の膜質が低下されることが懸念される。しかしながら、本実施形態によれば、アレイ基板10におけるほぼ全ての領域で、電極14上に、直接イオンバリア層17が形成されるので、上述したような懸念が低減できる。
【0187】
〔実施形態4〕
本実施形態について、
図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、主に、実施形態1〜3との相違点について説明するものとし、実施形態1〜3で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0188】
近年、例えば特許文献2に示すように、磁性粒子を用いた液滴操作が提案されている。
【0189】
磁性粒子は、磁性を帯びている。このため、抗体を固定化した磁性粒子やタンパク質を結合させた磁性粒子を磁石に引き寄せることで、例えば蛋白質を分離する共免疫沈降法等において、溶液中のターゲットを、遠心分離機を使用せずに迅速かつ穏やかな条件下で分離することができる。また、磁性粒子を用いることで、特許文献2に示すように、生体サンプル(たとえば血液または尿)内のターゲットを、当該ターゲットに特有な抗体を用いて検出する免疫アッセイのための洗浄を行うことができる。
【0190】
本実施形態では、微小流体装置1を、免疫アッセイのための液滴51の洗浄に利用する場合を例に挙げて説明する。
【0191】
<微小流体装置1の概略構成>
図6は、本実施形態にかかる微小流体装置1の要部の概略構成の一例を示す断面図である。
【0192】
図6に示すように、本実施形態にかかる微小流体装置1は、液滴51が磁性粒子53を含んでいる点、および磁石61が設けられている点を除けば、実施形態1〜3にかかる微小流体装置1と同じ構成を有している。
【0193】
すなわち、本実施形態では、液滴51の内部には、複数の磁性粒子53が含まれている。磁性粒子53は、磁場の存在下において固定される。磁場は、磁石61のN極61NおよびS極61Sによって、液滴51の内部にある複数の磁性粒子53に与えられる。
【0194】
なお、ここで、磁性粒子53を固定(固定化)するとは、磁性粒子53が、液滴51の所定の位置において実質的に動かなくなることを意味する。
【0195】
磁性粒子53の材料の例としては、常磁性体、強磁性体、フェリ磁性体、およびメタ磁性体が挙げられる。適切な常磁性体の例としては、鉄、ニッケル、コバルト、並びに、Fe
3O
4、BaFe
12O
19、CoO、NiO、Mn
2O
3、Cr
2O
3、CoMnP等の金属酸化物が挙げられる。
【0196】
磁石61のS極61Sは、絶縁基板41の上面に配置されている。また、磁石61のN極61Nは、絶縁基板11の下面に配置されている。このとき、磁石61は、微小流体装置1と一体化されてもよく、絶縁基板41および絶縁基板11に十分に近接して配置されてもよい。
【0197】
磁石61が絶縁基板41および絶縁基板11に近接して配置されることで、磁性粒子53は、適切に引き付けられて、液滴51内に固定化される。このとき、全てまたは実質的に全ての磁性粒子53は、単一の液滴51内に保持される。磁石61に引き付けられる磁性粒子53は、例えば、液滴51内の中央位置に局在化して配置される。磁石61は、単一のU字形、C字形、蹄鉄型の永久磁石、または電磁石であってもよい。磁石61が設けられる目的は、磁性粒子53を磁場により固定し、保持することである。
【0198】
なお、
図6では、絶縁基板41の上面および絶縁基板11の下面に対向して磁石61が配置される場合を例に挙げて図示しているが、本実施形態は、これに限定されるものではない。磁石61は、絶縁基板11・41のうち何れか一方の絶縁基板のみ面して設けられていてもよい。また、磁石61は、磁性粒子53を移動させるために、移動自在に設けられていてもよい。本実施形態でも、非イオン性液体52は必須ではない。
【0199】
本実施形態にかかる微小流体装置1は、磁石61を備え、磁石61を用いて磁性粒子53の少なくとも固定化を行う。
【0200】
このため、電極14・42には、磁石61の磁場の影響を受けない非磁性材料が使用される。本実施形態では、電極14の材料に、非磁性金属材料が使用される。非磁性金属材料としては、Al、Cu、Ti、Mo、Ag、およびその合金等、前記実施形態1で例示した金属材料が挙げられる。なお、ITO等の透明電極は非磁性であり、電極42には、前記実施形態1で例示した透明電極もしくは非磁性の金属の薄膜からなる半透明電極等の透光性電極を使用することができる。
【0201】
<微小流体装置1を用いた免疫アッセイのための液滴51の洗浄>
典型的な免疫アッセイでは、磁性粒子53に結合された第1の抗体(磁性粒子−抗体複合体)を含む液滴51と、ターゲットを含む液滴51とを混合することで、ターゲットが、磁性粒子−抗体複合体に結合される。その後、この液滴51に、蛍光物に共役された第2の抗体を含む液滴51が加えられると、第2の抗体は、磁性粒子−抗体複合体に結合されたターゲットに結合して、磁性粒子53、第1の抗体、ターゲット、および第2の抗体の複合体である結合抗体複合体を形成する。
【0202】
洗浄は、誤った正信号を与えかねない非結合の第2の抗体を取り除き、上記結合抗体複合体のみを残すために、結合抗体複合体を、非結合の抗体から分離することを示す。
【0203】
洗浄工程において、上記結合抗体複合体を含む液滴51は、洗浄バッファからなる液滴51と混合される。洗浄は、具体的には、以下のようにして行われる。なお、
図6では、液滴51中の抗体およびターゲットの図示を省略し、液滴51中には、磁性粒子53のみを図示している。
【0204】
まず、磁性粒子53を含む液滴51(第1の液滴51)および洗浄のための液滴51(第2の液滴51)のうち少なくとも一方を、エレクトロウェッティングを用いた液滴操作により移動させて混合し、磁石61により磁場を付与することによって、磁性粒子53を固定する。
【0205】
洗浄前の状態において、磁性粒子53を含む液滴51(第1の液滴51)は、自由な非結合の抗体とともに結合抗体複合体を含む汚れた液滴であり、洗浄のための液滴51(第2の液滴51)は、洗浄バッファ(例えばHEPES:4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)のみを含む綺麗なバッファ液滴である。
【0206】
液滴51の移動が完了し、上記第1の液滴51が上記第2の液滴51と混合されると、結合抗体複合体は、第1の液滴51から第2の液滴51に移動する。なお、このとき、結合抗体複合体が第1の液滴51から第2の液滴51に移動することができるように磁石61が移動してもよい。
【0207】
この結果、第1の液滴51は、非結合の抗体のみを含み、第2の液滴51は、非結合の抗体をできるだけ少なく含みつつ結合抗体複合体のみを含む。
【0208】
次いで、液滴操作を用いて、混合された液滴51を、第1の液滴51と第2の液滴51とに分離する。これにより、混合された液滴51を、磁性粒子53を含む液滴51と、磁性粒子53を実質的に含まない液滴51とに分離する。
【0209】
そして、上記磁性粒子53を含む液滴51(この段階では、結合抗体複合体を含む第2の液滴)が磁石61により固定化されて静止状態を維持し、汚れた液滴51(この段階では、第1の液滴51)が第2の液滴51から離れるように、汚れた液滴51を、
図6に矢印で示す方向に移動する。これにより、磁性粒子53を囲む一部または全ての液滴51を除去する。この操作を、所定の精製の度合いが達成されるまで繰り返す。
【0210】
<効果>
以上のように、本実施形態にかかる微小流体装置1は、磁石61を備え、磁石61を用いて磁性粒子53の固定化あるいは移動を行う。
【0211】
このため、電極14・42には、磁場の影響を受けない非磁性材料が使用される。このとき、電極14には金属材料が使用されることから、上記金属材料としては、非磁性金属材料が使用される。
【0212】
このように電極14が、非磁性金属材料からなる、遮光性を有する金属電極であることで、磁場の影響を受けずに液滴51を移動させることができるとともに、電極14上の撥水層18の表面の平坦性が高く、液滴51を移動させ易く、かつ、電極14と電極42との間で、液滴51を介してリークが発生し難い微小流体装置1を提供することができる。
【0213】
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかる微小流体装置1は、(I)複数の第1電極(電極14・14a・14b)と、上記複数の第1電極にそれぞれ電気的に接続され、上記複数の第1電極をそれぞれ駆動する複数の駆動素子(TFT20)と、上記複数の駆動素子を覆う第1平坦化樹脂層13と、上記複数の第1電極を覆う誘電体層15と、上記誘電体層15を覆う第1撥水層(撥水層18)とを有する第1基板(アレイ基板10)と、(II)上記第1基板に対向配置されており、上記複数の第1電極に対向配置された、少なくとも1つの第2電極(電極42)と、上記少なくとも1つの第2電極を覆う第2撥水層(撥水層43)とを有し、上記第1基板との間に、導電性を有する微小流体(液滴51)を、上記複数の第1電極を跨いで移動させる内部空間50を形成する第2基板(対向基板40)とを備え、上記複数の第1電極は、上記第1平坦化樹脂層13上に設けられているとともに、遮光性を有する金属電極である。
【0214】
すなわち、上記微小流体装置1は、互いに対向配置された第1基板(アレイ基板10)と第2基板(対向基板40)とを備え、上記第1基板は、複数の第1電極(電極14)と、上記複数の第1電極にそれぞれ電気的に接続され、上記複数の第1電極をそれぞれ駆動する複数の駆動素子(TFT20)と、上記複数の駆動素子の表面の凹凸を平坦化する第1平坦化樹脂層13と、上記複数の第1電極を覆う誘電体層15と、上記誘電体層15を覆う第1撥水層(撥水層18)とを含み、上記第2基板(対向基板40)は、上記複数の第1電極に対向配置された、少なくとも1つの第2電極(電極42)と、上記少なくとも1つの第2電極を覆う第2撥水層(撥水層43)とを含み、上記第1基板と上記第2基板との間には、導電性を有する微小流体(液滴51)を、上記複数の第1電極を跨いで移動させる内部空間50が形成されており、上記複数の第1電極は、上記第1平坦化樹脂層13上に設けられているとともに、遮光性を有する金属電極である。
【0215】
セグメント電極を跨いで液滴を移動させる微小流体装置では、エレクトロウェッティングディスプレイよりも高い電圧を印加する必要がある。
【0216】
したがって、微小流体装置におけるセグメント電極に印加される電圧を下げるには、セグメント電極上の撥水層上における微小流体の滑り易さを高めることが非常に重要である。
【0217】
金属の表面は、ITOの表面と比較して平滑である。そして、撥水層の表面の平坦性は、その下地となる誘電体層の表面の平坦性に追随し、誘電体層の表面の平坦性は、その下地となる第1電極の表面の平坦性に追随する。
【0218】
上記態様によれば、第1平坦化樹脂層13により、駆動素子の表面の凹凸が平坦化されているとともに、該第1平坦化樹脂層13上に、セグメント電極として上記複数の第1電極が設けられている。そして、上記複数の第1電極が、遮光性を有する金属電極であるため、ITO電極を用いた微小流体装置よりも、上記第1撥水層の表面の平坦性が高く、流体摩擦が生じ難い。このため、上記第1撥水層表面で微小流体が滑り易い。
【0219】
また、上記第1撥水層の下地の凹凸は、微小流体が移動する際に抵抗(流体摩擦)となる。
【0220】
上記態様によれば、上記第1平坦化樹脂層13上に、表面が平滑な金属で上記第1電極を形成することで、上記誘電体層15による上記第1電極の被覆性を向上させることができるとともに、微小流体が移動する際の抵抗(流体摩擦)を低減させることができる。このため、上記態様によれば、上記第1撥水層の剥離により微小流体の移動が阻害されることがない。
【0221】
したがって、上記態様によれば、従来よりもセグメント電極上の撥水層の表面の平坦性が高く、上記内部空間50において微小流体を移動させ易い微小流体装置1を提供することができる。
【0222】
また、上記第1電極に凹凸があると、上記誘電体層15の被覆性が悪くなるとともに、凸部に電界集中し易いため、微小流体を介して第1電極と第2電極との間でリークが発生し易くなる。
【0223】
また、一般的に、撥水層には絶縁性が無く、上記誘電体層の絶縁性が重要である。上記誘電体層に微小であっても欠陥があると、リークパスとなり、微小流体を介して上記第1電極と上記第2電極とがショートし、微小流体装置1が破壊されてしまう。
【0224】
しかしながら、上記態様によれば、上記第1平坦化樹脂層13上に、表面が平滑な金属で上記第1電極を形成することで、上記誘電体層15の被覆性を向上させることができる。また、上記第1電極上に凸部が存在せず、電界集中し難く、リークが発生し難くなる。
【0225】
また、上記微小流体装置1は、エレクトロウェッティングディスプレイとは異なり、偏光板やカラーフィルタのように外光を遮蔽するものがない。しかしながら、上記態様によれば、上記複数の第1電極が、遮光性を有する金属電極であるため、外光を遮断することができる。このため、上記駆動素子のオフリーク電流が流れ難く、外光の曝露による上記駆動素子の誤動作等の回路動作異常を防止することができる。
【0226】
本発明の態様2にかかる微小流体装置1は、上記態様1において、上記複数の第1電極は、上記第1平坦化樹脂層13に設けられたコンタクトホール19を介して上記複数の駆動素子にそれぞれ接続されており、上記誘電体層15は、上記コンタクトホール19を埋める少なくとも1層の第2平坦化樹脂層16と、無機材料からなる少なくとも1層のイオンバリア層17とを含んでいてもよい。
【0227】
上記の構成によれば、平坦化樹脂層を、上記駆動素子を覆う第1平坦化樹脂層13と、上記コンタクトホール19を埋める第2平坦化樹脂層16との少なくとも2層で構成し、上記コンタクトホール19を上記第2平坦化樹脂層16で埋めることで、平坦で緻密な撥水層18を形成することができる。
【0228】
本発明の態様3にかかる微小流体装置1は、上記態様2において、上記第2平坦化樹脂層16が上記複数の第1電極を覆っており、上記イオンバリア層17が上記第2平坦化樹脂層16を覆っていてもよい。
【0229】
上記の構成によれば、上記第1電極上の第2平坦化樹脂層16によって、絶縁性を高めることができるので、イオンバリア層17の絶縁性を担保することができる。
【0230】
また、樹脂層は、水等のイオン性液体をはじくとともに、イオンを通し難いという性質を有している。このため、上記の構成によれば、上記イオンバリア層17の耐リーク性を補強することができるので、上記微小流体装置1のリーク耐性を向上させることができる。
【0231】
また、上記の構成によれば、第2平坦化樹脂層16の表面が上記第1電極の表面と面一になるようにコンタクトホール19内を第2平坦化樹脂層16で埋める場合と比較して、第2平坦化樹脂層16のフォトリソグラフィ条件におけるマージンを、より多く取ることができる。
【0232】
さらに、上記の構成によれば、第2平坦化樹脂層16が、上記複数の第1電極を覆っていることで、上記第1電極間の凹凸を平坦化することができる。このため、上記の構成によれば、上記第1基板の表面のより完全な平坦化を実現することができるので、信頼性をさらに向上させることができる。
【0233】
本発明の態様4にかかる微小流体装置1は、上記態様2において、上記イオンバリア層17が上記複数の第1電極を覆っており、上記第2平坦化樹脂層16が上記イオンバリア層17を覆っていてもよい。
【0234】
上記の構成によれば、第2平坦化樹脂層16が、上記複数の第1電極を覆うイオンバリア層17を覆っていることで、上記第1電極間の凹凸を平坦化することができる。このため、上記の構成によれば、上記第1基板の表面のより完全な平坦化を実現することができるので、信頼性をさらに向上させることができる。
【0235】
また、上記の構成によれば、第2平坦化樹脂層16からのデガスによるガスでイオンバリア層17の膜質が低下することを抑制することができる。
【0236】
本発明の態様5にかかる微小流体装置1は、上記態様2において、上記第2平坦化樹脂層16は、上記コンタクトホール19内および上記複数の第1電極間のうち少なくとも上記コンタクトホール19内に設けられており、上記第1電極上には設けられておらず、上記イオンバリア層17は、上記第2平坦化樹脂層16および上記複数の第1電極を覆っていてもよい。
【0237】
上記の構成によれば、上記第2平坦化樹脂層16は、上記コンタクトホール19内および上記複数の第1電極間のうち少なくとも上記コンタクトホール19内に設けられており、上記第1電極上には設けられていないことで、使用材料の削減並びにアレイ基板10の薄型化を図ることができる。
【0238】
本発明の態様6にかかる微小流体装置1は、上記態様1〜5の何れかにおいて、上記微小流体は磁性粒子53を含む微小流体であり、上記磁性粒子53を固定化する磁石61をさらに備え、上記第1電極は、非磁性金属材料で形成されていてもよい。
【0239】
上記の構成によれば、上記第1電極に非磁性金属材料を使用することで、上記したように微小流体装置1が、磁性粒子53を固定化する磁石61を備えている場合であっても、磁場の影響を受けることなく、磁性粒子を含む上記微小流体を移動させることができる。このため、上記の構成によれば、磁場の影響を受けずに上記微小流体を移動させることができるとともに、上記第1電極上の第1撥水層の表面の平坦性が高く、上記微小流体を移動させ易く、かつ、上記第1電極と上記第2電極との間で、上記微小流体を介してリークが発生し難い微小流体装置1を提供することができる。
【0240】
本発明の態様7にかかる微小流体装置1は、上記態様1〜6の何れかにおいて、上記第1電極はモリブデンで形成されていてもよい。
【0241】
上記の構成によれば、上記第1電極をモリブデンで形成することで、ITO電極と比較して平滑な表面を有するセグメント電極を形成することができる。また、金属のなかでも特にモリブデンはウェットエッチングでのエッチングレートが速い。このため、上記第1電極をモリブデンで形成することで、上記第1電極のエッジのテーパが緩やかになるため、上記第1電極のエッジを覆う誘電体層の被覆性が向上する。
【0242】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。