特許第6494631号(P6494631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6494631コルチスタチン類縁体並びにその合成及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494631
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】コルチスタチン類縁体並びにその合成及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07J 71/00 20060101AFI20190325BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C07J71/00CSP
   A61K31/4725
   A61K31/5377
   A61P3/04
   A61P3/10
   A61P9/10 101
   A61P27/02
   A61P29/00
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P43/00 111
【請求項の数】43
【全頁数】218
(21)【出願番号】特願2016-542733(P2016-542733)
(86)(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公表番号】特表2017-509586(P2017-509586A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2014072365
(87)【国際公開番号】WO2015100420
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年11月21日
(31)【優先権主張番号】61/920,674
(32)【優先日】2013年12月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/935,240
(32)【優先日】2014年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/993,329
(32)【優先日】2014年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェア マシュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ラムハルター ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ペリッシュ ヘンリー エフレム
(72)【発明者】
【氏名】リアウ ブライアン ボー−ジェン
(72)【発明者】
【氏名】アン ジェ ヨン
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/024930(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/137335(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/137337(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0060140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
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(式中、
mは、0、1、2、3、又は4であり、
及びRは連結して、式:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
の環を形成し、
nは、0、1、又は2であり、
6Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、−NO、−CN、−OR6C、SR6C、N(R6C、−C(=O)R6C、−C(=O)OR6C、−C(=O)N(R6C、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
6Cはそれぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR6C基は連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、
Gは、−NH−、−NR−、−CH−、−CH(R)−、又は−C(R−であり、
はそれぞれ独立して、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、置換アミノ、置換ヒドロキシル、チオール、置換チオール、カルボニル、スルホニル、スルフィニル、又は窒素原子に付着する場合に窒素保護基であり、
任意に2つのR基が連結して、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリール環、又はオキソ(=O)基を形成し、
任意の置換基は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−N(Rbb、−SH、−SRaa、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
窒素保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−SOaa、及び−SORaaから選択される基であり、
酸素保護基は、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、及び−P(=O)N(Rbbから選択される基であり、
硫黄保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb及び−P(=O)(NRbbから選択される基であり、
aaはそれぞれ独立してC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、及びC6〜14アリールから選択され、
bbはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
ccはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択される
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩。
【請求項2】
式:
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩。
【請求項3】
m及びnが独立して0、1、又は2である、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項4】
mが0であり、nが1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項5】
Gが−CH−、−CH(R)−、又は−C(R−であり、Rがそれぞれ独立してヒドロキシル、アミノ、又はハロゲンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項6】
Gが−CH(R)−であり、Rがそれぞれヒドロキシルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項7】
mが0であり、nが0である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項8】
Gが−CH(R)−であり、Rがアミノである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項9】
式:
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩。
【請求項10】
m及びnが独立して、0、1、又は2である、請求項9に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項11】
m及びnが0である、請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項12】
Gが−CH−、−CH(R)−、又は−C(R−であり、Rがヒドロキシル、アミノ、又はハロゲンである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項13】
Gが−CH(R)−であり、Rがヒドロキシルである、請求項9〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項14】
Gが−CH(R)−であり、Rがアミノである、請求項9〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項15】
式:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
nは、0、1、又は2であり、
mは、0、1、2、3、又は4であり、
Gは、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CH−、−CH(R)−、又は−C(R−であり、
はそれぞれ独立して、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、置換アミノ、置換ヒドロキシル、チオール、置換チオール、カルボニル、スルホニル、スルフィニル、又は窒素原子に付着する場合に窒素保護基であり、
任意に2つのR基が連結して、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリール環、又はオキソ(=O)基を形成し、
6Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、−NO、−CN、−OR6C、SR6C、N(R6C、−C(=O)R6C、−C(=O)OR6C、−C(=O)N(R6C、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
6Cはそれぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR6C基は連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ
任意の置換基は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−N(Rbb、−SH、−SRaa、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
窒素保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−SOaa、及び−SORaaから選択される基であり、
酸素保護基は、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、及び−P(=O)N(Rbbから選択される基であり、
硫黄保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb及び−P(=O)(NRbbから選択される基であり、
aaはそれぞれ独立してC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、及びC6〜14アリールから選択され、
bbはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
ccはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択されるの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩。
【請求項16】
m及びnが独立して、0、1、又は2である、請求項15に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項17】
Gが−O−、−CH−、−CH(R)−、又は−C(R−であり、Rがそれぞれ独立して、ヒドロキシル、アミノ、又はハロゲンである、請求項15又は16に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項18】
前記化合物が、
【化6】
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、及びそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項19】
前記化合物が、
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
、及びそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、請求項9に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項20】
前記化合物が、
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
、及びそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、請求項15に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項22】
CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性を阻害することにより医学的状態を治療する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記状態が、糖尿病状態、炎症状態、黄斑変性症、肥満、アテローム性動脈硬化症、血管新生と関連する病態、又は増殖性障害である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記状態が増殖性障害であり、該増殖性障害が原発性骨髄線維症(PMF)である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記状態が癌である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記癌が固形腫瘍又は造血器癌である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記癌が造血器癌であり、該造血器癌が多発性骨髄腫、リンパ腫、及び急性骨髄性白血病(AML)から選択される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
被験体がヒトである、請求項22〜27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
式:
【化9】
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(式中、
mは、0、1、2、3、又は4であり、
6Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、−NO、−CN、−OR6C、SR6C、N(R6C、−C(=O)R6C、−C(=O)OR6C、−C(=O)N(R6C、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
6Cはそれぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR6C基は連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ
任意の置換基は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−N(Rbb、−SH、−SRaa、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
窒素保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−SOaa、及び−SORaaから選択される基であり、
酸素保護基は、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、及び−P(=O)N(Rbbから選択される基であり、
硫黄保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb及び−P(=O)(NRbbから選択される基であり、
aaはそれぞれ独立してC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、及びC6〜14アリールから選択され、
bbはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
ccはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択される)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項30】
式:
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
mは、0、1、2、3、又は4であり、
6Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、−NO、−CN、−OR6C、SR6C、N(R6C、−C(=O)R6C、−C(=O)OR6C、−C(=O)N(R6C、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
6Cはそれぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR6C基は連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ
任意の置換基は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−N(Rbb、−SH、−SRaa、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
窒素保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−SOaa、及び−SORaaから選択される基であり、
酸素保護基は、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、及び−P(=O)N(Rbbから選択される基であり、
硫黄保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb及び−P(=O)(NRbbから選択される基であり、
aaはそれぞれ独立してC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、及びC6〜14アリールから選択され、
bbはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
ccはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択される)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項31】
式:
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
mは、0、1、2、3、又は4であり、
は、水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、又は−Si(Rであり、
は、水素、ハロゲン、又は任意に置換されたアルキルであり、
(a)及び(b)に指定される、
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
はそれぞれ、単結合又は二重結合を表し、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、又は酸素保護基であり、
はそれぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、カルボニル、シリル、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR基は連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、
6Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、−NO、−CN、−OR6C、SR6C、N(R6C、−C(=O)R6C、−C(=O)OR6C、−C(=O)N(R6C、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
6Cはそれぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR6C基は連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ
任意の置換は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−N(Rbb、−SH、−SRaa、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
窒素保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−SOaa、及び−SORaaから選択される基であり、
酸素保護基は、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、及び−P(=O)N(Rbbから選択される基であり、
硫黄保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb及び−P(=O)(NRbbから選択される基であり、
aaはそれぞれ独立してC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、及びC6〜14アリールから選択され、
bbはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
ccはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択される)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項32】
前記化合物が、
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
、及びそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
式:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
mは、0、1、2、3、又は4であり、
は、水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、又は−Si(Rであり、
は、水素、ハロゲン、又は任意に置換されたアルキルであり、
(a)及び(b)に指定される、
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
はそれぞれ、単結合又は二重結合を表し、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、又は酸素保護基であり、
はそれぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、カルボニル、シリル、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR基は連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、
6Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、−NO、−CN、−OR6C、SR6C、N(R6C、−C(=O)R6C、−C(=O)OR6C、−C(=O)N(R6C、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
6Cはそれぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR6C基は連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ
任意の置換は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−N(Rbb、−SH、−SRaa、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
窒素保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−SOaa、及び−SORaaから選択される基であり、
酸素保護基は、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、及び−P(=O)N(Rbbから選択される基であり、
硫黄保護基は、−C(=O)Raa、−COaa、−Si(Raa、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb及び−P(=O)(NRbbから選択される基であり、
aaはそれぞれ独立してC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、及びC6〜14アリールから選択され、
bbはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択され、
ccはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択される)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項34】
式:
【化16】
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の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項35】
化合物:
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
、又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項36】
CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性を阻害することにより医学的状態を治療する、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記状態が、糖尿病状態、炎症状態、黄斑変性症、肥満、アテローム性動脈硬化症、血管新生と関連する病態、又は増殖性障害である、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記状態が増殖性障害であり、該増殖性障害が原発性骨髄線維症(PMF)である、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記状態が癌である、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記癌が固形腫瘍又は造血器癌である、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記癌が造血器癌であり、該造血器癌が多発性骨髄腫、リンパ腫、及び急性骨髄性白血病(AML)から選択される、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
被験体がヒトである、請求項36〜41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記化合物が、
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
、又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項30に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は2013年12月24日付けで出願された米国仮特許出願第61/920,674号、2014年2月3日付けで出願された同第61/935,240号及び2014年5月15日付けで出願された同第61/993,329号(各々の内容全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に対する米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
コルチスタチンは、2006年に海綿コルチシウム・シンプレックス(Corticium simplex)から初めて単離された抗血管新生ステロイダルアルカロイド群である。例えば非特許文献1を参照されたい。単離日から現在に至るまで、これらの天然産物は特に全合成及び新たな生物活性のある非天然類縁体の開発において多くの研究の対象となっている。例えば非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5を参照されたい。このため、新たなコルチスタチン類縁体及びそれらの調製方法の開発に積極的な関心が持たれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Aoki, et al., JACS (2006) 128: 3148-9
【非特許文献2】Aoki et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry (2007) 15: 6758-62
【非特許文献3】Mousseau et al., Cell Host & Microbe (2012) 12: 97-108
【非特許文献4】Chen et al., Organic & Biomolecular Chemistry (2010) 8: 2900
【非特許文献5】Hardin et al., European Journal of Organic Chemistry (2010)19: 3553
【発明の概要】
【0004】
一つにはスキーム1に示されるような、任意に式(C)のイミン中間体を介して式(A)のアミノ化生成物を得るための式(B)のケトンの還元的アミノ化によって合成される式(A)、(B)及び(C)の新たなコルチスタチン類縁体、並びにその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩及びN−オキシドが本明細書で提供される。
【0005】
式(D)のC3−ヒドロキシル化合物を得るための式(B)のケトンの還元によって調製される新たなコルチスタチン類縁体が更に提供される。また、式(D)の化合物の置換によって調製される式(E)の化合物が更に提供される。かかる化合物を、好適な条件下でアミンにより処理することで式(A)の化合物に変換することもできる。
【0006】
驚くべきことに、式(A−1)と称される式(A)のβ異性体が、CDK8キナーゼ活性及びAML細胞の増殖の阻害についてコルチスタチンAと等効力であるか又はより効力が高いことが見出されており、式(A−2)と称される対応する式(A)のα異性体は同様に非常に効力が高いことも見出されている。さらに、式(B)の化合物が培養下のAML細胞系列の成長及び細胞中のCDK8キナーゼ活性に対して活性を有することが発見されている。
【0007】
式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)のコルチスタチン類縁体又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物が更に提供される。使用及び治療の方法が更に提供される。
スキーム1
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
【0008】
このため、本明細書に更に記載されるように一態様では、式(A)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを作製する方法であって、式(B)の化合物又は薬学的に許容可能な塩(ただし、RB1及びRB2は連結してオキソ基を形成しない)と式HNRのアミン又はその塩とを還元的アミノ化条件下で接触させることを含む、方法が提供される。
【0009】
別の態様では、式(D)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を作製する方法であって、式(B)の化合物又は薬学的に許容可能な塩と還元剤とを接触して、式(D)の化合物を得ることを含む、方法が提供される。
【0010】
別の態様では、式(E)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を作製する方法であって、式(D)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と式R−LG(式中、LGは脱離基である)の化合物とを接触させ、式(E)の化合物を得ることを含む、方法が提供される。
【0011】
別の態様では、式(A)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを作製する方法であって、RがC(=O)Rである式(E)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と式NHRの化合物とを接触させ、式(A)の化合物を得ることを含む、方法が提供される。
【0012】
別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドを含む医薬組成物が提供される。
【0013】
別の態様では、血管新生と関連する病態を治療する方法であって、それを必要とする対象に式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシド、又はその医薬組成物を投与することを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、前記病態が、糖尿病状態、炎症状態、黄斑変性症、肥満、アテローム性動脈硬化症又は増殖性障害である。
【0014】
更に別の態様では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態を治療する方法であって、それを必要とする対象に式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシド、又はその医薬組成物を投与することを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態では、前記病態が増殖性障害である。幾つかの実施の形態では、前記増殖性障害が癌である。幾つかの実施の形態では、前記癌が造血器癌(hematopoietic cancer)である。幾つかの実施の形態では、前記造血器癌がリンパ腫である。幾つかの実施の形態では、前記造血器癌が白血病である。幾つかの実施の形態では、前記造血器癌が多発性骨髄腫である。幾つかの実施の形態では、前記白血病が急性骨髄性白血病(AML)である。幾つかの実施の形態では、前記増殖性障害が骨髄増殖性腫瘍である。幾つかの実施の形態では、前記骨髄増殖性腫瘍が原発性骨髄線維症(PMF)である。幾つかの実施の形態では、前記癌が固形腫瘍である。
【0015】
更に別の態様では、細胞においてCDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性を阻害する方法であって、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシド、又はその医薬組成物と前記細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。
【0016】
更に別の態様では、細胞においてβ−カテニン経路を調節する方法であって、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシド、又はその医薬組成物と前記細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。
【0017】
更に別の態様では、細胞においてSTAT1活性を調節する方法であって、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシド、又はその医薬組成物と前記細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。
【0018】
更に別の態様では、細胞においてTGFβ/BMP経路を調節する方法であって、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシド、又はその医薬組成物と前記細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。
【0019】
更に別の態様では、細胞においてHIF−1−A(HIF−1−α)活性を調節する方法であって、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシド、又はその医薬組成物と前記細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。
【0020】
更に別の態様では、細胞においてアポトーシスを誘導するためにBIM発現を増大する方法であって、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシド、又はその医薬組成物と前記細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。
【0021】
上で列挙される方法のいずれにおいても、方法はin vitro方法又はin vivo方法である。
【0022】
CDK8又はCDK19 Tpr105点突然変異体及びその使用方法が更に提供される。例えば、一態様では、CDK8又はCDK19 Trp105点突然変異体とコルチスタチン又はコルチスタチン類縁体とを接触させることによって、細胞においてCDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性を検証する方法が提供される。別の態様では、CDK8 Trp105点突然変異体が提供される。幾つかの実施の形態では、前記CDK8 Trp105点突然変異体が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の相同性を有するタンパク質が更に提供される。更に別の態様では、CDK19 Trp105点突然変異体が提供される。幾つかの実施の形態では、CDK19 Trp105点突然変異体が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の相同性を有するタンパク質が更に提供される。
【0023】
本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細を添付の図面において説明する。本発明の他の特徴、目的及び利点は発明を実施するための形態、実施例及び特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】コルチスタチンA及び他の既知のコルチスタチンの構造を示す図である。
図2A-2B】化合物14A及び14B並びにそれらの対応するN−オキシドを得るためのケトン13の例示的な還元的アミノ化(図2A)、並びにジメチルアミンがβ(アキシアル)である化合物14Bの分子構造(図2B)を示す図である。
図3A-3M】本発明の例示的な化合物を示す図である。付加的な化合物が本明細書で更に記載される。
図4A-4B】コルチスタチンA及び指定の類縁体による7日間の処理後のAML細胞系列MV4;11(4A)及びMOLM−14(4B)の増殖の用量依存的阻害を示す図である。細胞を継代し、新鮮な化合物を3日目に添加した(平均±標準誤差、n=3)。
図5A-5B】指定のコルチスタチン類縁体による3日間又は10日間の処理後のAML細胞系列MV4;11の増殖の用量依存的阻害を示す図である。細胞を継代し、新鮮な化合物を3日目及び7日目に添加した(平均±標準誤差、n=3)。
図6A-6B】指定のコルチスタチン類縁体による3日間又は10日間の処理後のAML細胞系列MOLM−14の増殖の用量依存的阻害を示す図である。細胞を継代し、新鮮な化合物を3日目及び7日目に添加した(平均±標準誤差、n=3)。
図7】コルチスタチンAが細胞中で選択的にCDK8モジュールキナーゼ活性を強く阻害することを実証する図である。CDK8は、STAT1 S727のインターフェロンγ刺激によるリン酸化を阻害することが報告されている。例えば、Bancerek et al., Immunity (2013) 38:250-262を参照されたい。HepG2細胞をコルチスタチンAとともに1時間インキュベートし、続いてヒト組み換えインターフェロン−γ(IFN−γ)を1時間添加した。細胞を溶解し、ウエスタンブロットによって精査した。示されるように、コルチスタチンAはSTAT1 pY701又は総STAT1及びアクチンのレベルを変化させることなく、STAT1 pS727のIFN−γ刺激による増大を強く阻害した。
図8A-8C】コルチスタチンAが、様々な血液悪性疾患を有し、多様な発癌ドライバー(oncogenic drivers)を保有する患者に由来するヒト細胞系列の増殖を阻害することを実証する図である。これらの細胞系列によって表される血液悪性疾患は、骨髄増殖性腫瘍(MPN、UKE−1及びSET−2)を有する患者に由来するものを含むAML、T−ALL、B−ALL、CML及びMMである。発癌ドライバーとしては、FLT3−内部タンデム重複(FLT3−ITD)を有する(MOLM−14及びMV4;11)及びFLT3−ITDを有しない(RS4;11)MLL融合、JAK2V617F及びBCR−ABLが挙げられる。以前に記載されているようなJAK1/2阻害剤ルキソリチニブ(SET−2per、UKE−1per)による長期処理に供したJAK2V617F発現細胞系列も示される。例えば、Koppikar et al., Nature (2012) 489:155-159を参照されたい。示されるように、コルチスタチンAはルキソリチニブの存在下で持続するこれらの細胞の増殖も阻害した。細胞を継代し、新鮮なコルチスタチンAを3日目及び7日目に添加した(平均±標準誤差、n=3)。
図9】指定のコルチスタチン類縁体による10日間の処理後の多発性骨髄腫細胞系列MM.1Sの増殖の用量依存的阻害を示す図である。細胞を継代し、新鮮な化合物を3日目及び7日目に添加した(平均±標準誤差、n=3)。
図10A-10C】CDK8及びCDK19の対立遺伝子により、細胞がコルチスタチンAによる成長阻害に抵抗性を示し(図10A)、in vitro(図10B)及び細胞中(図10C)でコルチスタチンAによるCDK8キナーゼ阻害に抵抗性を示すようになることを示すことによって、CDK8/CDK19がコルチスタチンAの抗増殖効果を媒介することを実証する図である。
図11A-11B】コルチスタチンAの薬物動態結果を示す図である。図11A:コルチスタチンAをpH6の10%DMSO/リン酸緩衝食塩水中で雄性CD−1マウスに10mg/kgでIP投与し、連続血漿サンプルを採取し、コルチスタチンAの存在を分析した。示されるように、Cmaxは1時間の時点で1.4μMであり、算出T1/2は6.06時間であった。このPK研究及びコルチスタチンAのin vitro効力に基づくと、コルチスタチンAが少なくとも0.16mg/kgの1日1回処理でマウスにおける有効用量を維持し得ることが予測される。図11B:雄性CD−1マウスに20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPCD)中1mg/kgのコルチスタチンAの単回IP注射を行った。Cmaxは30分の時点で762nMであり、0.5時間〜2時間の算出T1/2は33分間であった。
図12A-12G】コルチスタチンAがAMLのMV4;11播種性白血病マウスモデルにおいて効果的であることを実証する図である。mCherry、ルシフェラーゼ及びピューロマイシン耐性遺伝子を発現するMV4;11 AML細胞を、免疫不全NOD−SCID−IL2Rcγnull(NSG)マウスの尾静脈に注射した。7日後に生着を生物発光イメージングによって記録し、マウスをビヒクル(20%2−ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン)、0.05mg/kg及び0.16mg/kgで15日間にわたって1日1回処理した。初回の処理後の時間を指定する。図12Aは各時点での生物発光の中央値を有するマウスの生物発光画像を示し、経時的な疾病負荷の低下が示される。図12Bは二元配置ANOVAによって決定される平均生物発光±標準誤差(n=11、P<0.0001)を示す。図12Cはカプラン−マイヤー生存分析を示す(n=8、P<0.0001、ログランク検定)。図12D図12Fは30日目の脾臓重量(D)を示し、ビヒクル対処理の一元配置ANOVAによって決定される脾臓(E)及び大腿骨髄(F)におけるMV4;11細胞(mCherry陽性)のパーセンテージが最高、最低及び中央の29日目生物発光を有する各群のマウスについて示される(、P<0.05、**、P<0.01、***、P<0.001)。図12Dの点線は、健常8週齢雌性NSGマウスについて平均値の1標準偏差内の範囲を表示するものである。図12Gは平均体重がコルチスタチンAによる処理後に減少しなかったことを示し、コルチスタチンA処理が耐容性を示すことが示唆される。平均体重±標準誤差、n=11。
図13A-13B】コルチスタチンAが健常CD−1マウスにおいて耐容性を示すことを実証する図である。CD−1マウスを図12と同じ投与計画で処理し(15日間にわたって1日1回)、体重及び全血球計算(CBC)を行った。図13A、平均体重±標準誤差、n=3。図13B、15日目の最終投与の2時間後に収集したCBCデータ。CBC分析からビヒクルと0.16mg/kgとの有意差は示されない。RBC、赤血球(×10細胞/μl);HGB、ヘモグロビン(g/dl);HCT、ヘマトクリット(%);MCV、平均赤血球容積(fl);MCH、平均赤血球ヘモグロビン量(pg);MCHC、平均赤血球ヘモグロビン濃度(g/dl);PLT、血小板(×10血小板/μl);WBC、白血球(×10細胞/μl);LYMPH、リンパ球(×10細胞/μl)。
図14A-14C】コルチスタチンAが原発性骨髄線維症(PMF)の治療における治療剤として有望であることを実証する図である。結果はPMFのマウスモデルにおける予備研究によるものである。このモデルでは、造血幹細胞におけるMPLW515L過剰発現はin vivoで骨髄増殖とともに著しい骨髄線維症、脾腫及び巨核球増殖を生じた(例えば、Pikman et al., PLoS Med. (2006) 3:e270を参照されたい)。このモデルでは、マウスにMPLW515L形質導入骨髄を移植した。14日後に、生着及び重症MPN(血小板増加症、白血球増加症及び骨髄線維症を含む)の発症を可能にするために、マウスを無作為化してビヒクル又はコルチスタチンAを1日1回腹腔内で与えた。6回の毎日のコルチスタチンAの投薬の後、1群当たり3匹のマウスを屠殺すると、0.31mg/kg及び0.62mg/kgで脾臓重量の顕著な低減が示される(A)。脾腫の巨視的低減が(C)に示される。4回の毎日の処理後の血球数の分析により、末梢血におけるGFPパーセンテージに反映されるように対立遺伝子量の顕著な低減が示される(MSCV−IRES−GFPレトロウイルスを用いてMPLW515L突然変異体を発現させる)(B)。
図15A-15E】コルチスタチンAがWnt/β−カテニン(A、B)及びTGF−β(C)経路を調節することができ、細胞においてBCL2L11発現を誘導することができる(D及びE)ことを実証する図である。図15Aは、コルチスタチンAがWnt/β−カテニン経路刺激によるレポーター遺伝子発現を阻害することを示す。HEK−293細胞に幾つかのTCF結合部位の制御下のルシフェラーゼレポーター(SuperTOPflashと称される)を安定にトランスフェクトした(例えば、Xu, et al., Cell 2004, 116, 883-895を参照されたい)。Wnt/β−カテニン経路を刺激するWnt3A又は10μM GSK3β阻害剤アザケンパウロンによる24時間の処理後に、コルチスタチンAはHEK−293細胞の生存性に影響を与えることなく、発光によって測定されるルシフェラーゼの発現を阻害した(IC50=1.5nM)。縦棒=SEM、n=3。図15Bは、コルチスタチンAがAML細胞系列MV4;11において推定Wnt/β−カテニン応答遺伝子を阻害することを示す。MV4;11細胞をコルチスタチンAで24時間処理し、遺伝子発現分析及び遺伝子セット濃縮分析(GSEA)を行った。GSEAから、コルチスタチンAがGSK3−β阻害時に上方調節される遺伝子セットを下方調節することが明らかとなった。GSK3−β阻害はβ−カテニン誘導転写を刺激することができるため、これらの遺伝子は推定Wnt/β−カテニン経路遺伝子となる。図15Cは、コルチスタチンA(CA)がTGF−β刺激によるSMAD2/3リン酸化を用量依存的に阻害したことを示す。HaCat細胞をビヒクル又はCAで1時間、続いてTGF−βで1時間処理した。次いで細胞を洗浄し、溶解し、ウエスタンブロットによって分析した。図15D及び図15Eは、コルチスタチンAがMV4;11及びMOLM−14細胞の24時間の処理後にBCL2L11のmRNAレベルを用量依存的に増大することを示す。
図16A-16D】CDK8/サイクリンC ATP結合部位に対するコルチスタチンAの結合を示す図である。図16Aは、2.4Å解像度でのコルチスタチンA/CDK8/サイクリンC三重複合体のX線結晶構造を示す。図16Bは、優れた(正:exquisite)形状相補性を示す結合ポケットを示す。図16CはCDK8とコルチスタチンAとの間の重要な接触残基を示す。点線はコルチスタチンAのイソキノリンNとCDK8の主鎖アミドN−Hとの間のH結合を示す。コルチスタチンAの電子密度も示される。図16CはATPの構造アラインメント(シアン/橙色、CDK2−ATP構造による)とともにCDK8におけるコルチスタチンAのX線構造(黄色)も含む。Trp105がATPに接触しないことに留意されたい。図16DはTrp105とコルチスタチンAのN,N−ジメチル基との接触の拡大図を示す。本明細書に更に記載されるように、Trp105突然変異(Metによる置換え)はコルチスタチンAに耐性を与える。
図17A-17B】図17Aは、トリエチルアミンで処理したシリカゲルによるコルチスタチンAの処理に対するコルチスタチンAをシリカゲルに曝露した際のコルチスタチンAのC−N−オキシドの合成を示す。図17Bは、コルチスタチンA及びコルチスタチンA N−オキシドによる処理に対するHUVECの感受性を示し、2つの化合物が等効力であることが示される。HUVECの96時間の処理後の成長阻害を、Celltiter Blue(Promega)とともに最大成長を示すビヒクル(DMSO)及び最大成長阻害を示す10μMドキソルビシンを用いた蛍光シグナルによって測定した。
図18】コルチスタチンAがJAK2V617F誘導増殖のSET−2皮下異種移植モデルにおいて効果的であることを実証する図である。50%マトリゲル中の1×10のSET−2細胞腫瘍細胞を8週齢〜12週齢雌性SCID Beigeマウスの脇腹に皮下注射した。腫瘍が80mm〜120mmの平均サイズに達した後、マウスをビヒクル又は0.16mg/kgで研究期間中毎日処理すると、68%の腫瘍成長阻害がもたらされた(n=10、P<0.001、二元配置ANOVA)。
図19】化合物14BのN−オキシドが安定性の改善を示すことを実証するin vitro肝臓ミクロソーム代謝的安定性アッセイを示す図である。
図20】化合物14Bがヒト肝臓ミクロソームにおいて化合物24BへのCでのN−モノ脱メチル化を受けることを実証するin vitro肝臓ミクロソームアッセイの結果を示す図である。
図21A-21E】試験した細胞系列における化合物14BのN−オキシド及び化合物14Bの等効力を実証する図である。細胞を継代し、新鮮な化合物を3日目及び7日目に添加した(平均±標準誤差、n=3)。
図22A-22B】CDK19(図22A)及びCDK8(図22B)の対立遺伝子がMV4;11細胞を化合物14BのN−オキシド(14BNO)による成長阻害に対して抵抗性に変えることを実証し、CDK8/CDK19が14BNOの抗増殖効果を媒介することを示す図である。
図23】化合物14BのN−オキシド(14BNO)が、プールされたヒト肝細胞との混合後に許容可能な半減期及びクリアランス速度を有することを実証する図である。
図24A-24C】3mg/kg IV(図24A)、3mg/kg IP(図24B)又は10mg/kg経口(PO)(図24C)で単回用量を与えた雄性CD−1マウスにおける20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン中で配合した化合物(14A)を用いた薬物動態研究の結果を示す図である。投薬前に、マウスを一晩投薬の4時間後まで絶食させた。血液サンプルを指定の時点で採取し、HPLC/MS/MSによって分析して、(14A)の濃度を評価した。経口投薬後のCmaxは2時間後に255ng/mLであり、算出T1/2はおよそ5時間であり、経口バイオアベイラビリティは44%であった。IVクリアランスは29/ml/分/kgであり、Vssは11.7L/kgであり、IPバイオアベイラビリティは95%であった。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
化学的定義
特定の官能基及び化学用語の定義を下記でより詳細に説明する。化学元素は化学物理学ハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)第75版の内表紙の元素周期表(CAS方式)に従って同定され、特定の官能基は概してそれに記載のように定義される。付加的には、有機化学の一般原理、並びに特定の官能部分及び反応性はOrganic Chemistry, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999、Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001、Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989及びCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0026】
本明細書に記載の化合物は1つ又は複数の不斉中心を含むことができ、そのため様々な立体異性体、例えば鏡像異性体及び/又はジアステレオマーで存在し得る。例えば、本明細書に記載の化合物は個々の鏡像異性体、ジアステレオマー若しくは幾何異性体の形態であり得るか、又はラセミ混合物及び1つ若しくは複数の立体異性体に富んだ混合物を含む立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体はキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)並びにキラル塩の形成及び結晶化を含む当業者に既知の方法によって混合物から単離することができるか、又は好ましい異性体を不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacques et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen et al., Tetrahedron 33:2725 (1977)、Eliel, E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962)及びWilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)を参照されたい。本発明は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体、代替的には様々な異性体の混合物である化合物を付加的に包含する。
【0027】
特に指定のない限り、本明細書に示される構造は1つ又は複数の同位体富化原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素又は三重水素による水素の置換え、18Fによる19Fの置換え、又は13C若しくは14C富化炭素による炭素の置換えを除いて本発明の構造を有する化合物は本開示の範囲内である。かかる化合物は、例えば生物学的アッセイにおける分析ツール又はプローブとして有用である。
【0028】
値の範囲が挙げられる場合、その範囲内の各々の値及び部分範囲を包含することを意図する。例えば、「C1〜6アルキル」はC、C、C、C、C、C、C1〜6、C1〜5、C1〜4、C1〜3、C1〜2、C2〜6、C2〜5、C2〜4、C2〜3、C3〜6、C3〜5、C3〜4、C4〜6、C4〜5及びC5〜6アルキルを包含することを意図する。
【0029】
「脂肪族」という用語は本明細書で使用される場合、アルキル、アルケニル、アルキニル及び炭素環式基を指す。同様に、「ヘテロ脂肪族(heteroaliphatic)」という用語は本明細書で使用される場合、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル及び複素環式基を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は1個〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和炭化水素基のラジカルを指す(「C1〜10アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個〜9個の炭素原子を有する(「C1〜9アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個〜8個の炭素原子を有する(「C1〜8アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個〜7個の炭素原子を有する(「C1〜7アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個〜6個の炭素原子を有する(「C1〜6アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個〜5個の炭素原子を有する(「C1〜5アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個〜4個の炭素原子を有する(「C1〜4アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個〜3個の炭素原子を有する(「C1〜3アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個〜2個の炭素原子を有する(「C1〜2アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は1個の炭素原子を有する(「Cアルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は2個〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルキル」)。C1〜6アルキル基の例としては、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソプロピル(C)、n−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、イソ−ブチル(C)、n−ペンチル(C)、3−ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3−メチル−2−ブタニル(C)、第三級アミル(C)、及びn−ヘキシル(C)が挙げられる。アルキル基の更なる例としては、n−ヘプチル(C)、n−オクチル(C)等が挙げられる。他に指定のない限り、アルキル基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換アルキル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換アルキル」)。幾つかの実施形態では、アルキル基は非置換C1〜10アルキル(例えば−CH)である。幾つかの実施形態では、アルキル基は置換C1〜10アルキルである。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は水素原子の1つ又は複数が独立してハロゲン、例えばフルオロ、ブロモ、クロロ又はヨードに置き換えられる本明細書に規定の置換アルキル基である。「ペルハロアルキル」はハロアルキルのサブセットであり、水素原子の全てが独立してハロゲン、例えばフルオロ、ブロモ、クロロ又はヨードに置き換えられるアルキル基を指す。幾つかの実施形態では、ハロアルキル部分は1個〜8個の炭素原子を有する(「C1〜8ハロアルキル」)。幾つかの実施形態では、ハロアルキル部分は1個〜6個の炭素原子を有する(「C1〜6ハロアルキル」)。幾つかの実施形態では、ハロアルキル部分は1個〜4個の炭素原子を有する(「C1〜4ハロアルキル」)。幾つかの実施形態では、ハロアルキル部分は1個〜3個の炭素原子を有する(「C1〜3ハロアルキル」)。幾つかの実施形態では、ハロアルキル部分は1個〜2個の炭素原子を有する(「C1〜2ハロアルキル」)。一部の実施形態では、ハロアルキル水素原子の全てがフルオロに置き換えられ、ペルフルオロアルキル基が得られる。一部の実施形態では、ハロアルキル水素原子の全てがクロロに置き換えられ、「ペルクロロアルキル」基が得られる。ハロアルキル基の例としては、−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CCl、−CFCl、−CFCl等が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」は、親鎖内の(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入される)及び/又は親鎖の1つ若しくは複数の末端位置に位置する酸素、窒素又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(例えば1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子)を更に含む本明細書に規定のアルキル基を指す。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜10個の炭素原子及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する飽和基を指す(「ヘテロC1〜10アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜9個の炭素原子及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜9アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜8個の炭素原子及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜8アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜7個の炭素原子及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜7アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜6個の炭素原子及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜6アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜5個の炭素原子及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜5アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜4個の炭素原子及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜4アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜3個の炭素原子及び1つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜3アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個〜2個の炭素原子及び1つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜2アルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1個の炭素原子及び1つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロCアルキル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、親鎖内に2個〜6個の炭素原子及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC2〜6アルキル」)。他に指定のない限り、ヘテロアルキル基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換ヘテロアルキル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキル」)。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキル基は非置換のヘテロC1〜10アルキルである。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキル基は置換ヘテロC1〜10アルキルである。
【0033】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、2個〜10個の炭素原子及び1つ又は複数の炭素間二重結合(例えば1つ、2つ、3つ又は4つの二重結合)を有する直鎖又は分岐炭化水素基のラジカルを指す。一部の実施形態では、アルケニル基は2個〜9個の炭素原子を有する(「C2〜9アルケニル」)。一部の実施形態では、アルケニル基は2個〜8個の炭素原子を有する(「C2〜8アルケニル」)。一部の実施形態では、アルケニル基は2個〜7個の炭素原子を有する(「C2〜7アルケニル」)。一部の実施形態では、アルケニル基は2個〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルケニル」)。一部の実施形態では、アルケニル基は2個〜5個の炭素原子を有する(「C2〜5アルケニル」)。一部の実施形態では、アルケニル基は2個〜4個の炭素原子を有する(「C2〜4アルケニル」)。一部の実施形態では、アルケニル基は2個〜3個の炭素原子を有する(「C2〜3アルケニル」)。一部の実施形態では、アルケニル基は2個の炭素原子を有する(「Cアルケニル」)。1つ又は複数の炭素間二重結合は内部にあっても(2−ブテニルの場合等)又は末端にあってもよい(1−ブテニルの場合等)。C2〜4アルケニル基の例としては、エテニル(C)、1−プロペニル(C)、2−プロペニル(C)、1−ブテニル(C)、2−ブテニル(C)、ブタジエニル(C)等が挙げられる。C2〜6アルケニル基の例としては、上述のC2〜4アルケニル基に加えて、ペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)等が挙げられる。アルケニルの更なる例としては、ヘプテニル(C)、オクテニル(C)、オクタトリエニル(C)等が挙げられる。他に指定のない限り、アルケニル基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換アルケニル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換アルケニル」)。幾つかの実施形態では、アルケニル基は非置換のC2〜10アルケニルである。幾つかの実施形態では、アルケニル基は置換C2〜10アルケニルである。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルケニル」は、親鎖内の(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入される)及び/又は親鎖の1つ若しくは複数の末端位置に位置する酸素、窒素又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(例えば1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子)を更に含む本明細書に規定のアルケニル基を指す。幾つかの実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜10個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する基を指す(「ヘテロC2〜10アルケニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜9個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜9アルケニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜8個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜8アルケニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜7個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜7アルケニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜6個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルケニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜5個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜5アルケニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜4個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜4アルケニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜3個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜3アルケニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基は親鎖内に2個〜6個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルケニル」)。他に指定のない限り、ヘテロアルケニル基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換ヘテロアルケニル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルケニル」)。幾つかの実施形態では、ヘテロアルケニル基は非置換のヘテロC2〜10アルケニルである。幾つかの実施形態では、ヘテロアルケニル基は置換ヘテロC2〜10アルケニルである。
【0035】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」は、2個〜10個の炭素原子及び1つ又は複数の炭素間三重結合(例えば1つ、2つ、3つ又は4つの三重結合)を有する直鎖又は分岐炭化水素基のラジカルを指す(「C2〜10アルキニル」)。一部の実施形態では、アルキニル基は2個〜9個の炭素原子を有する(「C2〜9アルキニル」)。一部の実施形態では、アルキニル基は2個〜8個の炭素原子を有する(「C2〜8アルキニル」)。一部の実施形態では、アルキニル基は2個〜7個の炭素原子を有する(「C2〜7アルキニル」)。一部の実施形態では、アルキニル基は2個〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルキニル」)。一部の実施形態では、アルキニル基は2個〜5個の炭素原子を有する(「C2〜5アルキニル」)。一部の実施形態では、アルキニル基は2個〜4個の炭素原子を有する(「C2〜4アルキニル」)。一部の実施形態では、アルキニル基は2個〜3個の炭素原子を有する(「C2〜3アルキニル」)。一部の実施形態では、アルキニル基は2個の炭素原子を有する(「Cアルキニル」)。1つ又は複数の炭素間三重結合は内部にあっても(2−ブチニルの場合等)又は末端にあってもよい(1−ブチニルの場合等)。C2〜4アルキニル基の例としては、エチニル(C)、1−プロピニル(C)、2−プロピニル(C)、1−ブチニル(C)、2−ブチニル(C)等が挙げられるが、これらに限定されない。C2〜6アルケニル基の例としては、上述のC2〜4アルキニル基に加えて、ペンチニル(C)、ヘキシニル(C)等が挙げられる。アルキニルの更なる例としては、ヘプチニル(C)、オクチニル(C)等が挙げられる。他に指定のない限り、アルキニル基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換アルキニル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換アルキニル」)。幾つかの実施形態では、アルキニル基は非置換のC2〜10アルキニルである。幾つかの実施形態では、アルキニル基は置換C2〜10アルキニルである。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキニル」は、親鎖内の(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入される)及び/又は親鎖の1つ若しくは複数の末端位置に位置する酸素、窒素又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(例えば1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子)を更に含む本明細書に規定のアルキニル基を指す。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜10個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する基を指す(「ヘテロC2〜10アルキニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜9個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜9アルキニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜8個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜8アルキニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜7個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜7アルキニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜6個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つ又は複数のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルキニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜5個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜5アルキニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜4個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜4アルキニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜3個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜3アルキニル」)。一部の実施形態では、ヘテロアルキニル基は親鎖内に2個〜6個の炭素原子、少なくとも1つの三重結合及び1つ又は2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルキニル」)。他に指定のない限り、ヘテロアルキニル基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換ヘテロアルキニル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキニル」)。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキニル基は非置換のヘテロC2〜10アルキニルである。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキニル基は置換ヘテロC2〜10アルキニルである。
【0037】
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」又は「炭素環式」は、非芳香環系中に3個〜14個の環炭素原子(「C3〜14カルボシクリル」)及び0個のヘテロ原子を有する非芳香族環状炭化水素基のラジカルを指す。一部の実施形態では、カルボシクリル基は3個〜10個の環炭素原子を有する(「C3〜10カルボシクリル」)。一部の実施形態では、カルボシクリル基は3個〜9個の環炭素原子を有する(「C3〜9カルボシクリル」)。一部の実施形態では、カルボシクリル基は3個〜8個の環炭素原子を有する(「C3〜8カルボシクリル」)。一部の実施形態では、カルボシクリル基は3個〜7個の環炭素原子を有する(「C3〜7カルボシクリル」)。一部の実施形態では、カルボシクリル基は3個〜6個の環炭素原子を有する(「C3〜6カルボシクリル」)。一部の実施形態では、カルボシクリル基は4個〜6個の環炭素原子を有する(「C4〜6カルボシクリル」)。一部の実施形態では、カルボシクリル基は5個〜6個の環炭素原子を有する(「C5〜6カルボシクリル」)。一部の実施形態では、カルボシクリル基は5個〜10個の環炭素原子を有する(「C5〜10カルボシクリル」)。C3〜6カルボシクリル基の例としては、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)等が挙げられるが、これらに限定されない。C3〜8カルボシクリル基の例としては、上述のC3〜6カルボシクリル基に加えて、シクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)等が挙げられるが、これらに限定されない。C3〜10カルボシクリル基の例としては、上述のC3〜8カルボシクリル基に加えて、シクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ−1H−インデニル(C)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)等が挙げられるが、これらに限定されない。上述の例で説明されるように、幾つかの実施形態では、カルボシクリル基は単環式(「単環式カルボシクリル」)又は多環式(例えば二環系(「二環式カルボシクリル」)又は三環系(「三環式カルボシクリル」)等の縮合系、架橋系又はスピロ環系を含有する)であり、飽和していても、又は1つ若しくは複数の炭素間二重若しくは三重結合を含有していてもよい。「カルボシクリル」には、上に規定のカルボシクリル環が1つ又は複数のアリール又はヘテロアリール基と縮合し、付着点がカルボシクリル環上にある環系も含まれ、このような場合に炭素の数は炭素環式環系の炭素の数を指定し続ける。他に指定のない限り、カルボシクリル基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換カルボシクリル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換カルボシクリル」)。幾つかの実施形態では、カルボシクリル基は非置換C3〜14カルボシクリルである。幾つかの実施形態では、カルボシクリル基は置換C3〜14カルボシクリルである。
【0038】
一部の実施形態では、「カルボシクリル」は3個〜10個の環炭素原子を有する単環式の飽和カルボシクリル基である(「C3〜10シクロアルキル」)。一部の実施形態では、シクロアルキル基は3個〜9個の環炭素原子を有する(「C3〜9シクロアルキル」)。一部の実施形態では、シクロアルキル基は3個〜8個の環炭素原子を有する(「C3〜8シクロアルキル」)。一部の実施形態では、シクロアルキル基は3個〜6個の環炭素原子を有する(「C3〜6シクロアルキル」)。一部の実施形態では、シクロアルキル基は4個〜6個の環炭素原子を有する(「C4〜6シクロアルキル」)。一部の実施形態では、シクロアルキル基は5個〜6個の環炭素原子を有する(「C5〜6シクロアルキル」)。一部の実施形態では、シクロアルキル基は5個〜10個の環炭素原子を有する(「C5〜10シクロアルキル」)。C5〜6シクロアルキル基の例としてはシクロペンチル(C)及びシクロヘキシル(C)が挙げられる。C3〜6シクロアルキル基の例としては、上述のC5〜6シクロアルキル基に加えてシクロプロピル(C)及びシクロブチル(C)が挙げられる。C3〜8シクロアルキル基の例としては、上述のC3〜6シクロアルキル基に加えて、シクロヘプチル(C)及びシクロオクチル(C)が挙げられる。他に指定のない限り、シクロアルキル基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換シクロアルキル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換シクロアルキル」)。幾つかの実施形態では、シクロアルキル基は非置換C3〜10シクロアルキルである。幾つかの実施形態では、シクロアルキル基は置換C3〜10シクロアルキルである。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」又は「複素環式」は、環炭素原子及び1個〜4個の環ヘテロ原子を有し、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される3員〜14員の非芳香環系のラジカルを指す(「3員〜14員ヘテロシクリル」)。1つ又は複数の窒素原子を含有するヘテロシクリル基では、付着点は原子価が許す限り、炭素又は窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は単環式(「単環式ヘテロシクリル」)又は多環式(例えば、二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)又は三環式系(「三環式ヘテロシクリル」)等の縮合系、架橋系又はスピロ環系)であり、飽和していても、又は1つ若しくは複数の炭素間二重若しくは三重結合を含有していてもよい。ヘテロシクリル多環式環系は、一方又は両方の環に1つ又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよい。「ヘテロシクリル」は、上に規定のヘテロシクリル環が1つ若しくは複数のカルボシクリル基と縮合し、付着点がカルボシクリル若しくはヘテロシクリル環上にある環系、又は上に規定のヘテロシクリル環が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリール基と縮合し、付着点がヘテロシクリル環上にある環系も含み、このような場合に環員の数はヘテロシクリル環系中の環員の数を指定し続ける。他に指定のない限り、ヘテロシクリルはそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換ヘテロシクリル」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。幾つかの実施形態では、ヘテロシクリル基は非置換の3員〜14員ヘテロシクリルである。幾つかの実施形態では、ヘテロシクリル基は置換された3員〜14員ヘテロシクリルである。
【0040】
一部の実施形態では、ヘテロシクリル基は環炭素原子及び1個〜4個の環ヘテロ原子を有し、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される5員〜10員の非芳香環系である(「5員〜10員ヘテロシクリル」)。一部の実施形態では、ヘテロシクリル基は環炭素原子及び1個〜4個の環ヘテロ原子を有し、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される5員〜8員の非芳香環系である(「5員〜8員ヘテロシクリル」)。一部の実施形態では、ヘテロシクリル基は環炭素原子及び1個〜4個の環ヘテロ原子を有し、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される5員〜6員の非芳香環系である(「5員〜6員ヘテロシクリル」)。一部の実施形態では、5員〜6員ヘテロシクリルは窒素、酸素及び硫黄から選択される1個〜3個の環ヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、5員〜6員ヘテロシクリルは窒素、酸素及び硫黄から選択される1個〜2個の環ヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、5員〜6員ヘテロシクリルは窒素、酸素及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
【0041】
1つのヘテロ原子を含有する3員のヘテロシクリル基の例としては、アジリジニル(正:aziridinyl)、オキシラニル及びチイラニルが挙げられるが、これらに限定されない。1つのヘテロ原子を含有する4員のヘテロシクリル基の例としては、アゼチジニル、オキセタニル及びチエタニルが挙げられるが、これらに限定されない。1つのヘテロ原子を含有する5員のヘテロシクリル基の例としては、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル及びピロリル−2,5−ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。2つのヘテロ原子を含有する5員のヘテロシクリル基の例としては、ジオキソラニル、オキサチオラニル及びジチオラニルが挙げられるが、これらに限定されない。3つのヘテロ原子を含有する5員のヘテロシクリル基の例としては、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル及びチアジアゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。1つのヘテロ原子を含有する6員のヘテロシクリル基の例としては、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル及びチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。2つのヘテロ原子を含有する6員のヘテロシクリル基の例としては、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられるが、これらに限定されない。3つのヘテロ原子を含有する6員のヘテロシクリル基の例としては、トリアジナニルが挙げられるが、これに限定されない。1つのヘテロ原子を含有する7員のヘテロシクリル基の例としては、アゼパニル、オキセパニル及びチエパニルが挙げられるが、これらに限定されない。1つのヘテロ原子を含有する8員のヘテロシクリル基の例としては、アゾカニル、オキセカニル及びチオカニルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロシクリル基の例としては、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチジニル、デカヒドロ−1,8−ナフチジニル、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、インドリニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、クロマニル、クロメニル、1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7−テトラヒドロピラノ[3,4−b]ピロリル、5,6−ジヒドロ−4H−フロ[3,2−b]ピロリル、6,7−ジヒドロ−5H−フロ[3,2−b]ピラニル、5,7−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]ピラニル、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、2,3−ジヒドロフロ[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3,2−c]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−b]ピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,6−ナフチジニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、芳香環系内に6個〜14個の環炭素原子及び0個のヘテロ原子を備える単環式又は多環式(例えば二環式又は三環式)の4n+2芳香環系(例えば6個、10個又は14個のπ電子が環状配置で共有される)のラジカルを指す(「C6〜14アリール」)。一部の実施形態では、アリール基は6個の環炭素原子を有する(「Cアリール」;例えばフェニル)。一部の実施形態では、アリール基は10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例えば、1−ナフチル及び2−ナフチル等のナフチル)。一部の実施形態では、アリール基は14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例えばアントラシル(anthracyl))。「アリール」は、上に規定のアリール環が1つ又は複数のカルボシクリル又はヘテロシクリル基と縮合し、ラジカル又は付着点がアリール環上にある環系も含み、このような場合に炭素原子の数はアリール環系中の炭素原子の数を指定し続ける。他に指定のない限り、アリール基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換アリール」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換アリール」)。幾つかの実施形態では、アリール基は非置換のC6〜14アリールである。幾つかの実施形態では、アリール基は置換C6〜14アリールである。
【0043】
「アラルキル」は「アルキル」のサブセットであり、本明細書に規定のアリール基で置換され、付着点がアルキル部分上にある本明細書に規定のアルキル基を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、芳香環系内に環炭素原子及び1個〜4個の環ヘテロ原子を備え、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される5員〜14員の単環式又は多環式(例えば二環式、三環式)の4n+2芳香環系(例えば6個、10個又は14個のπ電子が環状配置で共有される)のラジカルを指す(「5員〜14員ヘテロアリール」)。1つ又は複数の窒素原子を含有するヘテロアリール基では、付着点は原子価が許す限り、炭素又は窒素原子であり得る。ヘテロアリール多環式環系は一方又は両方の環に1つ又は複数のヘテロ原子を含み得る。「ヘテロアリール」は、上に規定のヘテロアリール環が1つ又は複数のカルボシクリル又はヘテロシクリル基と縮合し、付着点がヘテロアリール環上にある環系を含み、このような場合に環員の数はヘテロアリール環系の環員の数を指定し続ける。「ヘテロアリール」は上に規定のヘテロアリール環が1つ又は複数のアリール基と縮合し、付着点がアリール又はヘテロアリール環上にある環系も含み、このような場合に環員の数は縮合多環式(アリール/ヘテロアリール)環系の環員の数を指定する。1つの環がヘテロ原子を含有しない多環式ヘテロアリール基(例えばインドリル、キノリニル、カルバゾリル等)では、付着点はいずれかの環、すなわちヘテロ原子を保有する環(例えば2−インドリル)又はヘテロ原子を含有しない環(例えば5−インドリル)上であり得る。
【0045】
一部の実施形態では、ヘテロアリール基は芳香環系内に環炭素原子及び1個〜4個の環ヘテロ原子を備え、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される5員〜10員芳香環系である(「5員〜10員ヘテロアリール」)。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は芳香環系内に環炭素原子及び1個〜4個の環ヘテロ原子を備え、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される5員〜8員芳香環系である(「5員〜8員ヘテロアリール」)。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は芳香環系内に環炭素原子及び1個〜4個の環ヘテロ原子を備え、各ヘテロ原子が独立して窒素、酸素及び硫黄から選択される5員又は6員芳香環系である(「5員又は6員ヘテロアリール」)。一部の実施形態では、5員又は6員ヘテロアリールは窒素、酸素及び硫黄から選択される1個〜3個の環ヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、5員又は6員ヘテロアリールは窒素、酸素及び硫黄から選択される1個又は2個の環ヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、5員又は6員ヘテロアリールは窒素、酸素及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。他に指定のない限り、ヘテロアリール基はそれぞれ独立して非置換であるか(「非置換ヘテロアリール」)、又は1つ若しくは複数の置換基で置換されている(「置換ヘテロアリール」)。幾つかの実施形態では、ヘテロアリール基は非置換の5員〜14員ヘテロアリールである。幾つかの実施形態では、ヘテロアリール基は置換された5員〜14員ヘテロアリールである。
【0046】
1つのヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール基の例としては、ピロリル、フラニル及びチオフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。2つのヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール基の例としては、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル及びイソチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。3つのヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール基の例としては、トリアゾリル、オキサジアゾリル及びチアジアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。4つのヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール基の例としては、テトラゾリルが挙げられるが、これに限定されない。1つのヘテロ原子を含有する6員のヘテロアリール基の例としては、ピリジニルが挙げられるが、これに限定されない。2つのヘテロ原子を含有する6員のヘテロアリール基の例としては、ピリダジニル、ピリミジニル及びピラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。3つ又は4つのヘテロ原子を含有する6員のヘテロアリール基の例としてはそれぞれ、トリアジニル及びテトラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。1つのヘテロ原子を含有する7員のヘテロアリール基の例としては、アゼピニル、オキセピニル及びチアピニルが挙げられるが、これらに限定されない。5,6−二環式ヘテロアリール基の例としては、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル及びプリニルが挙げられるが、これらに限定されない。6,6−二環式ヘテロアリール基の例としては、ナフチジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル及びキナゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリール基の例としては、フェナントリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル及びフェナジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「ヘテロアラルキル」は「アルキル」のサブセットであり、本明細書に規定のヘテロアリール基で置換され、付着点がアルキル部分上にある本明細書に規定のアルキル基を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「部分的に不飽和の」という用語は少なくとも1つの二重又は三重結合を含む環部分を指す。「部分的に不飽和の」という用語は、多数の不飽和部位を有する環を包むことを意図するが、本明細書に規定の芳香族基(例えば、アリール又はヘテロアリール部分)を含むことを意図するものではない。
【0049】
本明細書で使用される場合、「飽和した」という用語は、二重又は三重結合を含有しない環部分、すなわち全て単結合を含有する環を指す。
【0050】
接尾語「エン(-ene)」を基に付けることで、その基が二価部分であることが示される。例えばアルキレンはアルキルの二価部分であり、アルケニレンはアルケニルの二価部分であり、アルキニレンはアルキニルの二価部分であり、ヘテロアルキレンはヘテロアルキルの二価部分であり、ヘテロアルケニレンはヘテロアルケニルの二価部分であり、ヘテロアルキニレンはヘテロアルキニルの二価部分であり、カルボシクリレンはカルボシクリルの二価部分であり、ヘテロシクリレンはヘテロシクリルの二価部分であり、アリーレンはアリールの二価部分であり、ヘテロアリーレンはヘテロアリールの二価部分である。
【0051】
上記から理解されるように、本明細書で定義されるようなアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、カルボシクリル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は幾つかの実施形態では任意に置換されている。任意に置換されるとは、置換していても又は置換されていなくてもよい基(例えば「置換」若しくは「非置換」アルキル基、「置換」若しくは「非置換」アルケニル基、「置換」若しくは「非置換」アルキニル基、「置換」若しくは「非置換」ヘテロアルキル基、「置換」若しくは「非置換」ヘテロアルケニル基、「置換」若しくは「非置換」ヘテロアルキニル基、「置換」若しくは「非置換」カルボシクリル基、「置換」若しくは「非置換」ヘテロシクリル基、「置換」若しくは「非置換」アリール基、又は「置換」若しくは「非置換」ヘテロアリール基)を指すものである。概して、「置換された」という用語は、基上に存在する少なくとも1つの水素が許容可能な置換基、例えば置換後に安定した化合物、例えば転位、環化、脱離又は他の反応等の変換を自然に受けることがない化合物を生じる置換基に置き換えられることを意味する。他に指定のない限り、「置換された」基は基の1つ又は複数の置換可能な位置に置換基を有し、任意の所与の構造中の2つ以上の位置が置換される場合、置換基は各位置で同じか又は異なる。本発明は、安定した化合物に達するために任意及び全てのかかる組合せを企図する。本発明の目的上、窒素等のヘテロ原子はヘテロ原子の原子価を満たし、安定した部分の形成をもたらす本明細書に記載の水素置換基及び/又は任意の好適な置換基を有し得る。
【0052】
例示的な置換基としては、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−ON(Rbb、−N(Rbb、−N(Rbb、−N(ORcc)Rbb、−SH、−SRaa、−SSRcc、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−C(ORcc、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−OC(=NRbb)N(Rbb、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−Si(Raa、−OSi(Raa、−C(=S)N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−OC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、−SC(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、−P(Rcc、−P(Rcc、−OP(Rcc、−OP(Rcc、−B(Raa、−B(ORcc、−BRaa(ORcc)、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリール(ここで、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRdd基で置換されるか、又は、
炭素原子上の2つのジェミナル水素が基=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbb又は=NORccに置き換えられ、
aaはそれぞれ独立してC1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択されるか、又は2つのRaa基が連結して3員〜14員ヘテロシクリル若しくは5員〜14員ヘテロアリール環を形成し、ここで各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRdd基で置換され、
bbはそれぞれ独立して水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)N(Rcc、−P(=O)(NRcc、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択されるか、又は2つのRbb基が連結して3員〜14員ヘテロシクリル若しくは5員〜14員ヘテロアリール環を形成し、ここで各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRdd基で置換され、
ccはそれぞれ独立して水素、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールから選択されるか、又は2つのRcc基が連結して3員〜14員ヘテロシクリル若しくは5員〜14員ヘテロアリール環を形成し、ここで各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRdd基で置換され、
ddはそれぞれ独立してハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORee、−ON(Rff、−N(Rff、−N(Rff、−N(ORee)Rff、−SH、−SRee、−SSRee、−C(=O)Ree、−COH、−COee、−OC(=O)Ree、−OCOee、−C(=O)N(Rff、−OC(=O)N(Rff、−NRffC(=O)Ree、−NRffCOee、−NRffC(=O)N(Rff、−C(=NRff)ORee、−OC(=NRff)Ree、−OC(=NRff)ORee、−C(=NRff)N(Rff、−OC(=NRff)N(Rff、−NRffC(=NRff)N(Rff,−NRffSOee、−SON(Rff、−SOee、−SOORee、−OSOee、−S(=O)Ree、−Si(Ree、−OSi(Ree、−C(=S)N(Rff、−C(=O)SRee、−C(=S)SRee、−SC(=S)SRee、−P(=O)ee、−P(=O)(Ree、−OP(=O)(Ree、−OP(=O)(ORee、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜10員ヘテロシクリル、C6〜10アリール、5員〜10員ヘテロアリールから選択され、ここで各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個のRgg基で置換されるか、又は2つのジェミナルRdd置換基が連結して=O若しくは=Sを形成してもよく、
eeはそれぞれ独立してC1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、C6〜10アリール、3員〜10員ヘテロシクリル及び3員〜10員ヘテロアリールから選択され、ここで各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRgg基で置換され、
ffはそれぞれ独立して水素、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜10員ヘテロシクリル、C6〜10アリール及び5員〜10員ヘテロアリールから選択されるか、又は2つのRff基が連結して3員〜14員ヘテロシクリル若しくは5員〜14員ヘテロアリール環を形成し、ここで各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRgg基で置換され、
ggはそれぞれ独立してハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−OC1〜6アルキル、−ON(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)、−NH(C1〜6アルキル)、−NH(C1〜6アルキル)、−NH、−N(OC1〜6アルキル)(C1〜6アルキル)、−N(OH)(C1〜6アルキル)、−NH(OH)、−SH、−SC1〜6アルキル、−SS(C1〜6アルキル)、−C(=O)(C1〜6アルキル)、−COH、−CO(C1〜6アルキル)、−OC(=O)(C1〜6アルキル)、−OCO(C1〜6アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−OC(=O)NH(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)C(=O)(C1〜6アルキル)、−NHCO(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)N(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)NH(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)NH、−C(=NH)O(C1〜6アルキル)、−OC(=NH)(C1〜6アルキル)、−OC(=NH)OC1〜6アルキル、−C(=NH)N(C1〜6アルキル)、−C(=NH)NH(C1〜6アルキル)、−C(=NH)NH、−OC(=NH)N(C1〜6アルキル)、−OC(NH)NH(C1〜6アルキル)、−OC(NH)NH、−NHC(NH)N(C1〜6アルキル)、−NHC(=NH)NH、−NHSO(C1〜6アルキル)、−SON(C1〜6アルキル)、−SONH(C1〜6アルキル)、−SONH、−SO1〜6アルキル、−SOOC1〜6アルキル、−OSO1〜6アルキル、−SOC1〜6アルキル、−Si(C1〜6アルキル)、−OSi(C1〜6アルキル)、−C(=S)N(C1〜6アルキル)、C(=S)NH(C1〜6アルキル)、C(=S)NH、−C(=O)S(C1〜6アルキル)、−C(=S)SC1〜6アルキル、−SC(=S)SC1〜6アルキル、−P(=O)(C1〜6アルキル)、−P(=O)(C1〜6アルキル)、−OP(=O)(C1〜6アルキル)、−OP(=O)(OC1〜6アルキル)、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、C6〜10アリール、3員〜10員ヘテロシクリル、5員〜10員ヘテロアリールであるか、又は2つのジェミナルRgg置換基が連結して=O若しくは=Sを形成することができ、ここでXは対イオンである)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
幾つかの実施形態では、例示的な置換基は、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−N(Rbb、−SH、−SRaa、−SSRcc、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−S(=O)Raa、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員のヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員のヘテロアリールからなる群から選択されるものであり、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールはそれぞれ独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRdd基で置換される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語はフッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)又はヨウ素(ヨード、−I)を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「対イオン」は電気的中性を維持するために正に帯電した第四級アミンと結びつく負に帯電した基である。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えばF、Cl、Br、I)、NO、ClO、OH、HPO、HSO、スルホン酸イオン(例えばメタンスルホネート(methansulfonate)、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、10−カンファースルホネート、ナフタレン−2−スルホネート、ナフタレン−1−スルホン酸−5−スルホネート、エタン−1−スルホン酸−2−スルホネート等)及びカルボン酸イオン(例えばアセテート、エタノエート、プロパノエート、ベンゾエート、グリセレート、ラクテート、タルトレート、グリコレート等)が挙げられる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「脱離基」は不均一結合開裂において電子対とともに離れる分子断片を指す当該技術分野で理解される用語であり、分子断片はアニオン又は中性分子である。例えば、Smith, March Advanced Organic Chemistry 6th ed. (501-502)を参照されたい。例示的な脱離基としては、ハロ(例えばクロロ、ブロモ、ヨード)及び−OSOaa(式中、Raaは本明細書に規定される通りである)が挙げられるが、これらに限定されない。基−OSOaaはトシル、メシル及びベシル等の脱離基を包含し、Raaは任意に置換されたアルキル(例えば−CH)又は任意に置換されたアリール(例えばフェニル、トリル)である。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル」又は「ヒドロキシ」という用語は基−OHを指す。その延長で「置換ヒドロキシル」又は「置換ヒドロキシル」という用語は、親分子に直接付着した酸素原子が水素以外の基で置換されたヒドロキシル基を指し、−ORaa、−ON(Rbb、−OC(=O)SRaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−OC(=O)N(Rbb、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)N(Rbb、−OS(=O)Raa、−OSOaa、−OSi(Raa、−OP(Rcc、−OP(Rcc、−OP(=O)aa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−OP(=O)N(Rbb及び−OP(=O)(NRbb(ここでRaa、Rbb及びRccは本明細書に規定される通りである)から選択される基を含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、「チオール」又は「チオ」という用語は基−SHを指す。その延長で「置換チオール」又は「置換チオ」という用語は、親分子に直接付着した硫黄原子が水素以外の基で置換されたチオール基を指し、−SRaa、−S=SRcc、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa及び−SC(=O)Raa(ここでRaa及びRccは本明細書に規定される通りである)から選択される基を含む。
【0059】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は基−NHを指す。その延長で「置換アミノ」という用語は、本明細書に規定の一置換アミノ又は二置換アミノを指す。幾つかの実施形態では、「置換アミノ」は一置換アミノ又は二置換アミノ基である。
【0060】
本明細書で使用される場合、「一置換アミノ」という用語は、親分子に直接付着した窒素原子が1つの水素及び水素以外の1つの基で置換されたアミノ基を指し、−NH(Rbb)、−NHC(=O)Raa、−NHCOaa、−NHC(=O)N(Rbb、−NHC(=NRbb)N(Rbb、−NHSOaa、−NHP(=O)(ORcc及び−NHP(=O)(NRbb(式中、Raa、Rbb及びRccは本明細書に規定される通りであり、基−NH(Rbb)のRbbは水素ではない)から選択される基を含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「二置換アミノ」という用語は、親分子に直接付着した窒素原子が水素以外の2つの基で置換されたアミノ基を指し、−N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb、−NRbbSOaa、−NRbbP(=O)(ORcc及び−NRbbP(=O)(NRbb(式中、Raa、Rbb及びRccは本明細書に規定される通りであるが、但し(正:with the provision)親分子に直接付着した窒素原子は水素では置換されない)から選択される基を含む。
【0062】
本明細書で使用される場合、「スルホニル」という用語は−SON(Rbb、−SOaa及び−SOORaa(式中、Raa及びRbbは本明細書に規定される通りである)から選択される基を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「スルフィニル」という用語は基−S(=O)Raa(式中、Raaは本明細書に規定される通りである)を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「カルボニル」という用語は、親分子に直接付着した炭素がspハイブリダイズし、酸素、窒素又は硫黄原子で置換される基、例えばケトン(−C(=O)Raa)、カルボン酸(−COH)、アルデヒド(−CHO)、エステル(−COaa、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa)、アミド(−C(=O)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−C(=S)N(Rbb)及びイミン(−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa)、−C(=NRbb)N(Rbb)(式中、Raa及びRbbは本明細書に規定される通りである)から選択される基を指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「シリル」という用語は基−Si(Raa(式中、Raaは本明細書に規定される通りである)を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「オキソ」という用語は基=Oを指し、「チオキソ」という用語は基=Sを指す。
【0067】
窒素原子は原子価が許す限り置換されていても又は非置換であってもよく、第一級、第二級、第三級及び第四級窒素原子を含む。例示的な窒素原子置換基としては、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)N(Rcc、−P(=O)(NRcc、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、又はN原子に付着した2つのRcc基が連結して3員〜14員ヘテロシクリル若しくは5員〜14員ヘテロアリール環を形成し、ここで各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRdd基で置換され、Raa、Rbb、Rcc及びRddは上に規定される通りである。
【0068】
幾つかの実施形態では、窒素原子上に存在する置換基は窒素保護基(本明細書で「アミノ保護基」とも称される)である。窒素保護基としては、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1〜10アルキル(例えばアラルキル、ヘテロアラルキル)、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3員〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール及び5員〜14員ヘテロアリール基(ここで、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール及びヘテロアリールは独立して0個、1個、2個、3個、4個又は5個のRdd基で置換され、Raa、Rbb、Rcc及びRddは本明細書に規定される通りである)が挙げられるが、これらに限定されない。窒素保護基は当該技術分野で既知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999(引用することにより本明細書の一部をなす)に詳細に記載されているものを含む。
【0069】
例えば、アミド基(例えば−C(=O)Raa)等の窒素保護基としては、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトロ(正:nitro)フェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシアシルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシンナミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミド及びo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
カルバメート基(例えば−C(=O)ORaa)等の窒素保護基としては、メチルカルバメート、エチルカルバメート(正:carbamate)、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオレニル(正:fluorenyl)メチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−及び4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトロベンジルカルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル(boryl))ベンジルカルバメート、5−ベンズイソオキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシアシルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニル(正:isobornyl)カルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート及び2,4,6−トリメチルベンジルカルバメートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
スルホンアミド基(例えば−S(=O)aa)等の窒素保護基としては、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド及びフェナシルスルホンアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
他の窒素保護基としては、フェノチアジニル−(10)−アシル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノアシル誘導体、N’−フェニルアミノチオアシル誘導体、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加体(STABASE)、5置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン(正:pyrrolin)−3−イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ブラン誘導体、N−ジフェニルボリン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタアシルクロム−又はタングステン)アシル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホルアミデート、ジベンジルホスホルアミデート、ジフェニルホスホルアミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド及び3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
幾つかの実施形態では、酸素原子上に存在する置換基は酸素保護基(本明細書で「ヒドロキシル保護基」とも称される)である。酸素保護基としては、−Raa、−N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(Rcc、−P(Rcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb及び−P(=O)(NRbb(ここでRaa、Rbb及びRccは本明細書に規定される通りである)が挙げられるが、これらに限定されない。酸素保護基は当該技術分野で既知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999(引用することにより本明細書の一部をなす)に詳細に記載されているものを含む。
【0074】
酸素保護基の例としては、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル S,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド(正:oxide)、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4’’−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4’’−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンズイソチアゾリル S,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート)、メチルカーボネート、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、イソブチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネート、t−ブチルカーボネート(BOC)、p−ニトロフェニルカーボネート、ベンジルカーボネート、p−メトキシベンジルカーボネート、3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、o−ニトロベンジルカーボネート、p−ニトロベンジルカーボネート、S−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチル(正:naphthyl)カーボネート、メチルジチオカーボネート、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエート、o−(メトキシアシル)ベンゾエート、α−ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN−フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェネート、スルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、及びトシレート(Ts)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
幾つかの実施形態では、硫黄原子上に存在する置換基は硫黄保護基(「チオール保護基」とも称される)である。硫黄保護基としては、−Raa、−N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(Rcc、−P(Rcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb及び−P(=O)(NRbb(ここで、Raa、Rbb及びRccは本明細書で規定される通りである)が挙げられるが、これらに限定されない。硫黄保護基は当該技術分野で既知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999(引用することにより本明細書の一部をなす)に詳細に記載されているものを含む。
【0076】
これらの及び他の例示的な置換基は、発明を実施するための形態、実施例及び特許請求の範囲により詳細に記載される。本発明は、上記の例示的な置換基のリストによって限定されることを何ら意図するものではない。
【0077】
他の定義
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、正しい医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー応答等なしにヒト及び下等動物の組織と接触させる使用に好適であり、妥当なリスク対効果比に見合う塩を指す。薬学的に許容可能な塩は当該技術分野で既知である。例えば、Berge et al.はJ. Pharmaceutical Sciences (1977) 66:1-19に薬学的に許容可能な塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来するものを含む。薬学的に許容可能な非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸とともに、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸等の有機酸とともに、又はイオン交換等の当該技術分野で用いられる他の方法を使用することにより形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。適切な塩基から誘導される薬学的に許容可能な塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。更なる薬学的に許容可能な塩としては、適切な場合にハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネート及びアリールスルホネート等の対イオンを用いて形成される、非毒性のアンモニウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン及びアミンカチオンが挙げられる。
【0078】
投与が企図される「対象」としては、ヒト(すなわち任意の年齢層、例えば小児対象(例えば乳児、幼児、青年)又は成人対象(例えば若年成人、中年成人又は老人)の男性又は女性)及び/又は他の非ヒト動物、例えば哺乳動物(例えば霊長類(例えばカニクイザル、アカゲザル);ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ及び/又はイヌ等の商業関連の哺乳動物)、鳥類(例えばニワトリ、カモ、ガチョウ及び/又はシチメンチョウ等の商業関連の鳥類)、爬虫類、両生類及び魚類が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、非ヒト動物は哺乳動物である。非ヒト動物は雄性であっても又は雌性であってもよく、任意の成長段階である。非ヒト動物はトランスジェニック動物であってもよい。
【0079】
本明細書で使用される場合、他に規定のない限り、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」及び「治療」という用語は疾患、障害若しくは病態の重症度を低減するか、又は疾患、障害若しくは病態の進行を遅延若しくは減速する、対象が特定の疾患、障害又は病態を患っている際に行われる行為を企図し(「治療的処置」)、対象が特定の疾患、障害又は病態を患い始める前に行われる行為も企図する(「予防的処置」)。
【0080】
概して、化合物の「有効量」は所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。当業者には理解されるように、本発明の化合物の有効量は所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、治療される疾患、投与方法、並びに対象の年齢、健康及び状態のような因子に応じて変化し得る。有効量は治療的処置及び予防的処置を包含する。
【0081】
本明細書で使用される場合、他に規定のない限り、化合物の「治療有効量」は疾患、障害若しくは病態の治療において治療効果をもたらすか、又は疾患、障害若しくは病態と関連する1つ若しくは複数の症状を遅延させる若しくは最小限に抑えるのに十分な量である。化合物の治療有効量は疾患、障害又は病態の治療において治療効果をもたらす単独又は他の療法と組み合わせた治療剤の量を意味する。「治療有効量」という用語は、療法全体を改善する、疾患若しくは病態の症状若しくは原因を低減若しくは回避する、又は別の治療剤の治療的有効性を向上させる量を包含し得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、他に規定のない限り、化合物の「予防有効量」は疾患、障害若しくは病態、若しくは疾患、障害若しくは病態と関連する1つ若しくは複数の症状を予防するか、又はその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防有効量は疾患、障害又は病態の予防において予防効果をもたらす単独又は他の作用物質と組み合わせた治療剤の量を意味する。「予防有効量」という用語は、予防法全体を改善するか、又は別の予防剤の予防的有効性を向上させる量を包含し得る。
【0083】
本明細書で使用される場合、「調節する(modulating)」は、例えば細胞内で(例えば、細胞培地中の細胞等のin vitroで又は対象内の細胞等のin vivoで)ビヒクルと比べて特定の生物学的プロセス(例えばキナーゼ活性、過剰発現)を増大又は阻害する化合物の能力を指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、「阻害」、「阻害する(inhibiting)」、「阻害する(inhibit)」及び「阻害剤」等は、例えば細胞内で(例えば、細胞培地中の細胞等のin vitroで又は対象内の細胞等のin vivoで)ビヒクルと比べて特定の生物学的プロセスの活性(例えばキナーゼ活性、過剰発現)を低減、減速、停止又は阻止する化合物の能力を指す。
【0085】
本明細書で使用される場合、「増大する(increasing)」又は「増大する(increase)」等は、例えば細胞内で(例えば、細胞培地中の細胞等のin vitroで又は対象内の細胞等のin vivoで)ビヒクルと比べて特定の生物学的プロセスの活性(例えばキナーゼ活性)を刺激する化合物の能力を指す。
【0086】
本発明の幾つかの実施形態の詳細な説明
概して本明細書に記載されるように、一つには、任意に式(C)のイミン中間体を介して式(A)のアミノ化生成物を得るための式(B)のケトンの還元的アミノ化によって合成され得る新たなコルチスタチン類縁体が提供される。式(D)及び式(E)の新たなコルチスタチン類縁体が更に提供される。例えば、上述のスキーム1を参照されたい。
【化2】
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(式中、
は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−OR、−SR、−N(R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−S(=O)若しくは窒素保護基であり、
は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−S(=O)若しくは窒素保護基であるか、又は、
及びRが連結して、任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリールを形成し、
は水素又は任意に置換されたアルキルであり、
は水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル又は−Si(Rであり、
は水素、ハロゲン又は任意に置換されたアルキルであり、
(a)、(b)及び(c)に指定される、
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
はそれぞれ単結合又は二重結合を表すが、(c)に指定される、
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
が二重結合を表す場合において、RB1及びRB2の一方が存在せず、(c)に指定される、
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
が単結合を表す場合において、RB1及びRB2の両方が存在し、
B1及びRB2はそれぞれ独立して水素、−L−RB3若しくは−X(ここでXは−O−、−S−又は−N(R)−である)であるか、又はRB1及びRB2の少なくとも一方が水素でない限りにおいて、RB1及びRB2が連結してオキソ基を形成し、
は結合、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)S−、−C(=O)N(R)−又は−N(R)−(C(RLL−であり、ここでRは水素、任意に置換されたアルキル又は窒素保護基であり、RLLはそれぞれ独立して水素、ハロゲン又は任意に置換されたアルキルであり、pは0、1又は2であり、
B3は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールであるが、Lが結合である場合において、RB3は水素ではなく、
はそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、カルボニル、シリル、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、任意にRB1及びRB2が各々−Xである場合、2つのR基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル環を形成することができ、
は任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R又は酸素保護基である)及びその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩又はN−オキシド。
【0087】
概して、本明細書に記載の式のいずれかに含まれる任意の原子を、その原子の同位体に置き換えることができる、例えば水素原子(H)を重水素(H、D)又は三重水素(H、T)原子に置き換えることができ、炭素原子(12C)をその14C同位体に置き換えることができ、フッ素原子(18F)をその19F同位体に置き換えることができることが理解される。
【0088】
概して式(B)の還元的アミノ化は、概して本明細書で式(A−1)、β異性体及び式(A−2)、α異性体と称される式(A)に含まれるα及びβアミノ化異性体の両方をもたらし、通例β異性体が反応の主要生成物である。α異性体は他のコルチスタチン天然産物と共通のC3立体化学を有する。例えば図1を参照されたい。さらに、ケトンの還元は概して、本明細書で式(D−1)、β異性体及び式(D−2)、α異性体と称される式(D)に含まれるα及びβ還元異性体の両方をもたらす。これらの式(D)の異性体の続く保護により、それぞれ式(E−1)、β異性体及び式(E−2)、α異性体がもたらされる。
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
【0089】
コルチスタチンA/CDK8/サイクリンC三重複合体の(2.4Å)結晶構造(例えば図16を参照されたい)により、コルチスタチンAがCDK8のATP結合ポケットと顕著な形状相補性を示し、密接に接触した(3.4Å)コルチスタチンAの荷電N,N−ジメチルアンモニウムイオンとCDK8のTrp105との間に明らかなカチオン−π相互作用が存在することが明らかとなる。CDK8及びCDK19のみがアミノ酸105にTrpを有するCDKであり、カチオン−π相互作用及びコルチスタチンAとTrp105との間の疎水性接触がCDK8に対するコルチスタチンAの高い親和性及び選択性に重要であり得ることが示唆される。この結晶構造に基づき、β異性体がTrp105と立体的に衝突することが予測された。
【0090】
結晶構造から、コルチスタチンA上のA環ヒドロキシル基がCDK8と水素結合を形成せず、コルチスタチンA結合ポケットの外側でCDK8から離れて配向するため結合に重要でない場合があることも明らかとなった。加えて、コルチスタチンA中に存在するヒドロキシル基を欠くコルチスタチンJはHUVEC増殖の阻害について8倍低い効力しか有さず(例えば非特許文献2を参照されたい)、アミン及びヒドロキシル置換基の両方が置き換えられた幾つかの合成コルチスタチンA類縁体は強力なHUVEC抗増殖活性を保持する(例えば、Nicolaou, et al., J. Am. Chem. Soc. (2009) 131: 10587-10597を参照されたい)。
【0091】
しかしながら最も驚くべきことには、A環上に任意のヒドロキシル基を含有しない式(A)のβ異性体が、CDK8キナーゼ活性及びAML細胞の増殖の阻害についてコルチスタチンAと等効力であるか又はより効力が高いことが見出されており、同様にA環上に任意のヒドロキシル基を含有しない対応するα異性体は同様に非常に効力が高いことも見出されている。
【0092】
式(B)の化合物が、培養下のAML細胞系列の成長及び細胞中のCDK8キナーゼ活性に対して活性を有することも発見された。Rが−ORであるオキシム等の式(C)のイミンも活性を有することが想定される。
【0093】
さらに、荷電N,N−ジメチルアンモニウムイオンのカチオン−π相互作用が失われているにもかかわらず、式(D)及び(E)の化合物も驚くほど極めて活性に富む。
【0094】
第四級アミン塩及びN−オキシド
幾つかの実施形態では、本明細書で提供されるように、式(A)、(B)、(C)、(D)又は(E)の化合物は第四級アミン塩及び/又はN−オキシドも含み得る。
【0095】
「第四級アミン塩」は本明細書で使用される場合、窒素原子が正電荷を有し、電荷が対アニオン(例えば、本明細書に規定のX)と釣り合う(中和する)ように窒素原子が4価の結合を含む(例えば、水素及び/又は非水素基であり得る4つの基で置換される)アミノ基を指す。
【0096】
「N−オキシド」は本明細書で使用される場合、窒素原子が正電荷を有し、オキシジル基が窒素原子の正電荷と釣り合う(中和する)ように窒素原子が4価の結合を含む(例えば、水素及び/又は非水素基であり得る4つの基で置換され、窒素原子に直接付着した1つの基がオキシジル(oxidyl)基(−O)である)アミノ基を指す。
【0097】
式(A)、(B)、(C)、(D)又は(E)のいずれか1つが、アミノ基が位置し得る任意の位置に第四級アミン塩及び/又はN−オキシド基を含み得ることを理解されたい。
【0098】
特に、式(A)の化合物はC位置に、アミノ基−NRが環Aに付着した第四級アミン塩又はN−オキシド基を含み得る(「第四級C3−アミン塩」及び「C3−N−オキシド」とも称される)。
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【0099】
幾つかの実施形態では、C位置のアミノ基:
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
を第四級アミン塩の式:
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
とすることで、例えば式(A−QA):
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定され、
Yは任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
は対アニオンである)の化合物を得ることができる。
【0100】
第四級C3−アミン塩は、遊離C3−アミンと基Y−X(式中、Yは上記に規定され(例えば任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル又は任意に置換されたヘテロシクリル)、Xは本明細書に規定の脱離基である)との反応によって形成することができる。それにより生じる対イオンXはイオン交換方法、例えばイオン交換クロマトグラフィーによって別の対イオンXと交換することができる。例示的なX対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えばF、Cl、Br、I)、NO、ClO、OH、HPO、HSO、スルホン酸イオン(例えばメタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、10−カンファースルホネート、ナフタレン−2−スルホネート、ナフタレン−1−スルホン酸−5−スルホネート、エタン−1−スルホン酸−2−スルホネート等)及びカルボン酸イオン(例えばアセテート、エタノエート、プロパノエート、ベンゾエート、グリセレート、ラクテート、タルトレート、グリコレート等)が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、Yは任意に置換されたアルキル(例えばメチル)である。幾つかの実施形態では、Xはハロゲン化物イオンである。
【0101】
幾つかの実施形態では、式(A−QA)の第四級アミン塩は以下の式:
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定される通りである)のβ(A−1−QA)又はα(A−2−QA)異性体である。
【0102】
代替的には、幾つかの実施形態では、C位置のアミノ基:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
を式:
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
のN−オキシドとすることで、例えば式(A−NO):
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定される通りである)の化合物を得ることができる。
【0103】
幾つかの実施形態では、式(A−NO)のN−オキシドは以下の式:
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定される通りである)のβ(A−1−NO)又はα(A−2−NO)異性体である。
【0104】
HUVEC増殖の阻害においてコルチスタチンAのC N−オキシドがコルチスタチンAと等効力であることが発見された。例えば、図17A及び図17Bを参照されたい。
【0105】
本明細書に記載の式(A−1−NO)のβN−オキシドが、肝臓ミクロソームにおける安定性が対応する式(A−1)の遊離βアミノ類縁体と比較して増大していることが更に発見された。例えば、化合物14Bと比較した14B−N−オキシドの安定性の増大を実証する図19を参照されたい。
【0106】
基R及びR
本明細書で概して規定されるように、式(A)及び(C)の幾つかの実施形態では、Rは水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−OR、−SR、−N(R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−S(=O)又は窒素保護基である。
【0107】
さらに、式(A)の幾つかの実施形態では、Rは水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、−S(=O)又は窒素保護基である。
【0108】
例えば、式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が水素である。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの両方が水素である。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの一方が水素であり、他方が非水素基、例えば任意に置換されたアルキルである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは水素である。
【0109】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が任意に置換されたアルキル、例えば任意に置換されたC1〜6アルキルである。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRはそれぞれ独立して任意に置換されたアルキルである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキル、例えば任意に置換されたC1〜6アルキルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは、任意に置換されたCアルキル、任意に置換されたCアルキル、任意に置換されたCアルキル、任意に置換されたCアルキル、任意に置換されたCアルキル、又は任意に置換されたCアルキルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは、任意に置換されたメチル(C)、任意に置換されたエチル(C)、任意に置換されたn−プロピル(C)、任意に置換されたイソプロピル(C)、任意に置換されたn−ブチル(C)、又は任意に置換されたt−ブチル(C)である。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは1つ又は複数のハロゲン置換基(正:substituents)(例えばフルオロ)で置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは−CH又は−CFである。幾つかの実施形態では、R及びRはそれぞれ独立して−CH又は−CFである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは1つ又は複数のハロゲン(例えばフルオロ)、アミノ(−NH)、置換アミノ、ヒドロキシル(−OH)、置換ヒドロキシル、チオール(−SH)、置換チオール又はスルホニル置換基で置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは任意に置換されたカルボシクリル(例えばシクロプロピル)又は任意に置換されたヘテロシクリル(例えばオキセタニル)環で置換されたアルキルである。
【0110】
例えば、幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方を式:
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
の基とすることで、例えば式(A−f)、(A−1−f)若しくは(A−2−f):
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定の通りであり、
pは1、2、3、4、5又は6であり、
Zは−CH、−CH(X、−C(X、−OR、−SR、−N(R、−S(O)N(R
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
であり、ここでRはそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、
はそれぞれ独立してフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであり、
wは1〜10(1及び10を含む)の整数である)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0111】
幾つかの実施形態では、R及びRはそれぞれ独立して式:
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
の基である。
【0112】
幾つかの実施形態では、pは1である。幾つかの実施形態では、pは2である。幾つかの実施形態では、pは3である。幾つかの実施形態では、wは1、2、3又は4である。幾つかの実施形態では、Rは水素又は任意に置換されたアルキル(例えば−CH)である。幾つかの実施形態では、Zは−OR、例えば−OH又は−ORであり、ここでRは非水素基であり、例えばRは−CH等の任意に置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、Zは−N(R、例えば−NH、−NHR又は−N(Rであり、ここでRは非水素基であり、例えばRは−CH等の任意に置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、Zは−CH、−CH(X、−C(Xであり、ここでXは例えばフルオロである。幾つかの実施形態では、Zは−S(O)N(R、例えば−S(O)NH又は−S(O)NHCHである。
【0113】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が任意に置換されたアルケニル、例えば任意に置換されたC2〜6アルケニルである。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの両方が任意に置換されたアルケニルである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルケニル、例えば任意に置換されたC2〜6アルケニルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは任意に置換されたCアルケニル、任意に置換されたCアルケニル、任意に置換されたCアルケニル、任意に置換されたCアルケニル又は任意に置換されたCアルケニルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは任意に置換されたビニル(C)又は任意に置換されたアリル(C)である。
【0114】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が任意に置換されたアルキニル、例えば任意に置換されたC2〜6アルキニルである。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの両方が任意に置換されたアルキニルである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキニル、例えば任意に置換されたC2〜6アルキニルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは任意に置換されたCアルキニル、任意に置換されたCアルキニル、任意に置換されたCアルキニル、任意に置換されたCアルキニル又は任意に置換されたCアルキニルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは任意に置換されたアセチレニル(C)又は任意に置換されたプロパルギル(C)である。
【0115】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が任意に置換されたカルボシクリル、例えば任意に置換されたC3〜6カルボシクリルである。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの両方が任意に置換されたカルボシクリルである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたカルボシクリル、例えば任意に置換されたC3〜6カルボシクリルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは任意に置換されたCカルボシクリル、任意に置換されたCカルボシクリル、任意に置換されたCカルボシクリル又は任意に置換されたCカルボシクリルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは任意に置換されたシクロプロピル(C)、任意に置換されたシクロブチル(C)、任意に置換されたシクロペンチル(正:cyclopentyl)(C)又は任意に置換されたシクロヘキシル(C)である。
【0116】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が任意に置換されたヘテロシクリル、例えば任意に置換された3員〜6員ヘテロシクリルである。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの両方が任意に置換されたヘテロシクリルである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたヘテロシクリル、例えば任意に置換された3員〜6員ヘテロシクリルである。幾つかの実施形態では、R及び/又はRは任意に置換された3員のヘテロシクリル(例えば任意に置換されたオキセタニル)、任意に置換された4員のヘテロシクリル、任意に置換された5員のヘテロシクリル又は任意に置換された6員のヘテロシクリル、例えば酸素、硫黄又は窒素から選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む任意に置換された6員のヘテロシクリルである。
【0117】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が任意に置換されたアリール、例えば任意に置換されたフェニルである。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの両方が任意に置換されたフェニルである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアリール、例えば任意に置換されたフェニルである。
【0118】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が任意に置換されたヘテロアリール、例えば任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールである。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの両方が任意に置換されたヘテロアリールである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rが任意に置換されたヘテロアリール、例えば任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールである。
【0119】
式(A)及び(C)の幾つかの実施形態では、Rは−OR、例えば−OH又は−OCHである。式(A)及び(C)の幾つかの実施形態では、Rは−SRである。式(A)及び(C)の幾つかの実施形態では、Rは−N(Rである。
【0120】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が−C(=O)R、−C(=O)OR又は−C(=O)N(Rである。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは−C(=O)R、−C(=O)OR又は−C(=O)N(Rである。
【0121】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が窒素保護基である。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは窒素保護基である。
【0122】
さらに、本明細書に概して規定されるように、式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRは連結して任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリールを形成する。
【0123】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が−S(O)である。幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキル(例えば−CH)である。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRの一方が−S(O)であり、他方が任意に置換されたアルキル(例えば−CH)である。式(C)の幾つかの実施形態では、Rは−S(O)である。
【0124】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRが連結して任意に置換されたヘテロシクリル、例えば任意に置換された3員〜6員ヘテロシクリルを形成する。式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRが連結して任意に置換された3員のヘテロシクリル、任意に置換された4員のヘテロシクリル、任意に置換された5員のヘテロシクリル又は任意に置換された6員のヘテロシクリルを形成する。幾つかの実施形態では、R及びRが連結して任意に置換された3員のヘテロシクリル、すなわち任意に置換されたアジリジニルを形成する。幾つかの実施形態では、R及びRが連結して任意に置換された4員のヘテロシクリル、例えば任意に置換されたアゼチジニルを形成する。幾つかの実施形態では、R及びRが連結して任意に置換された5員のヘテロシクリル、例えば任意に置換されたピロリジニル又は任意に置換されたイミダゾリジン−2,4−ジオンを形成する。幾つかの実施形態では、R及びRが連結して任意に置換された6員のヘテロシクリル、例えば任意に置換されたピペリジニル、任意に置換されたテトラヒドロピラニル、任意に置換されたジヒドロピリジニル、任意に置換されたチアニル、任意に置換されたピペラジニル、任意に置換されたモルホリニル、任意に置換されたジチアニル、任意に置換されたジオキサニル又は任意に置換されたトリアジナニルを形成する。
【0125】
例えば、幾つかの実施形態では、R及びRは連結して式:
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
の基を形成することで、例えば式(A−a)、(A−1−a)若しくは(A−2−a):
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定される通りであり、
Gは−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CH−、−CH(R)−又は−C(R−であり、
はそれぞれ独立してハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシル、置換ヒドロキシル、チオール、置換チオール、カルボニル、スルホニル、スルフィニル、又は窒素原子に付着する場合に窒素保護基であり、
任意に2つのR基が連結して任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール環又はオキソ(=O)基を形成し、
nが0、1、2、3又は4である)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0126】
幾つかの実施形態では、R及びRは連結して式:
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
の基を形成することで、例えば式(A−b)、(A−1−b)若しくは(A−2−b):
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定される通りであり、
Gは−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CH−、−CH(R)−又は−C(R−であり、
はそれぞれ独立してハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシル、置換ヒドロキシル、チオール、置換チオール、カルボニル、スルホニル、スルフィニル、又は窒素原子に付着する場合に窒素保護基であり、
任意に2つのR基が連結して任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール環又はオキソ(=O)基を形成し、
nは0、1、2、3又は4である)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0127】
幾つかの実施形態では、R及びRは連結して式:
【化31】
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の基を形成することで、例えば式(A−c)、(A−1−c)、(A−2−c):
【化32】
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(式中、
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定される通りであり、
Gは−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CH−、−CH(R)−又は−C(R−であり、
はそれぞれ独立してハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシル、置換ヒドロキシル、チオール、置換チオール、カルボニル、スルホニル、スルフィニル、又は窒素原子に付着する場合に窒素保護基であり、
任意に2つのR基が連結して任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール環又はオキソ(=O)基を形成し、
nは0、1、2、3又は4である)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0128】
幾つかの実施形態では、nは0であり、R及びRが連結することによって形成される環系は本明細書に規定のR基で置換されない。幾つかの実施形態では、nは1、2、3又は4であり、環系は本明細書に規定の1つ、2つ、3つ又は4つのR基で置換される。幾つかの実施形態では、nは1である。幾つかの実施形態では、nは2である。幾つかの実施形態では、nは3である。幾つかの実施形態では、nは4である。
【0129】
幾つかの実施形態では、nは0ではなく(すなわちnは1、2、3又は4である)、少なくとも1つのRが炭素原子に付着し、Rはハロゲン(例えばフルオロ)、ヒドロキシル、置換ヒドロキシル又はカルボニル(例えば−COH)である。幾つかの実施形態では、nは0ではなく(すなわちnは1、2、3又は4である)、2つのR基が同じ炭素原子に付着し、2つのR基は各々のハロゲン、例えばフルオロである。幾つかの実施形態では、nは0ではなく(すなわちnは1、2、3又は4である)、2つのR基が同じ炭素原子に付着し、2つのR基は連結して任意に置換されたカルボシクリル環又は任意に置換されたヘテロシクリル環(例えば任意に置換されたオキセタニル環)を形成する。幾つかの実施形態では、nは0ではなく(すなわちnは1、2、3又は4である)、2つのR基が異なる炭素原子に付着し、2つのR基は連結して任意に置換されたカルボシクリル環又は任意に置換されたヘテロシクリル環を形成する。
【0130】
幾つかの実施形態では、Gは−O−である。幾つかの実施形態では、Gは−NR−であり、例えばRは任意に置換されたアルキル(例えば−CH)である。幾つかの実施形態では、Gは−CH(R)−又は−C(R−であり、少なくとも1つのRがヒドロキシル、置換ヒドロキシル又はカルボニル(例えば−COH)である。
【0131】
幾つかの実施形態では、基:
【化34】
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は、
【化35】
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である。
【0132】
幾つかの実施形態では、基:
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
は、
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0133】
幾つかの実施形態では、基:
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
は、
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0134】
式(A)の幾つかの実施形態では、R及びRは連結して任意に置換されたヘテロアリール、例えば任意に置換された5員ヘテロアリール又は任意に置換された6員ヘテロアリールを形成する。
【0135】
基R
本明細書で概して規定されるように、式(E)について、Rは任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R又は酸素保護基である。
【0136】
式(E)の幾つかの実施形態では、Rが任意に置換されたアルキル、例えば任意に置換されたC1〜6アルキル、例えば任意に置換されたCアルキル、任意に置換されたCアルキル、任意に置換されたCアルキル、任意に置換されたCアルキル、任意に置換されたCアルキル又は任意に置換されたCアルキルである。幾つかの実施形態では、Rが任意に置換されたメチル(C)、任意に置換されたエチル(C)、任意に置換されたn−プロピル(C)、任意に置換されたイソプロピル(C)、任意に置換されたn−ブチル(C)、又は任意に置換されたt−ブチル(C)である。幾つかの実施形態では、Rは1つ又は複数のハロゲン置換基(例えばフルオロ)で置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、Rは−CH又は−CFである。幾つかの実施形態では、Rは1つ又は複数のハロゲン(例えばフルオロ)、アミノ(−NH)、置換アミノ、ヒドロキシル(−OH)、置換ヒドロキシル、チオール(−SH)、置換チオール又はスルホニル置換基で置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたカルボシクリル(例えばシクロプロピル)又は任意に置換されたヘテロシクリル(例えばオキセタニル)環で置換されたアルキルである。
【0137】
例えば、幾つかの実施形態では、Rを式:
【化40】
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の基とすることで、例えば式(E−f)、(E−1−f)若しくは(E−2−f):
【化41】
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(式中、
【化42】
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、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定の通りであり、
pは1、2、3、4、5又は6であり、
Zは−CH、−CH(X、−C(X、−OR、−SR、−N(R、−S(O)N(R
【化43】
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であり、ここでRはそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)N(R、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、
はそれぞれ独立してフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであり、
wは1〜10(1及び10を含む)の整数である)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0138】
幾つかの実施形態では、pは1である。幾つかの実施形態では、pは2である。幾つかの実施形態では、pは3である。幾つかの実施形態では、wは1、2、3又は4である。幾つかの実施形態では、Rは水素又は任意に置換されたアルキル(例えば−CH)である。幾つかの実施形態では、Zは−OR、例えば−OH又は−ORであり、ここでRは非水素基であり、例えばRは−CH等の任意に置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、Zは−N(R、例えば−NH、−NHR又は−N(Rであり、ここでRは非水素基であり、例えばRは−CH等の任意に置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、Zは−CH、−CH(X、−C(Xであり、ここでXは例えばフルオロである。幾つかの実施形態では、Zは−S(O)N(R、例えば−S(O)NH又は−S(O)NHCHである。
【0139】
式(E)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルケニル、例えば任意に置換されたC3〜6アルケニル、例えば任意に置換されたCアルケニル、任意に置換されたCアルケニル、任意に置換されたCアルケニル又は任意に置換されたCアルケニルである。
【0140】
式(E)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキニル、例えば任意に置換されたC3〜6アルキニル、例えば任意に置換されたCアルキニル、任意に置換されたCアルキニル、任意に置換されたCアルキニル又は任意に置換されたCアルキニルである。
【0141】
式(E)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたカルボシクリル、例えば任意に置換されたC3〜6カルボシクリル、例えば任意に置換されたCカルボシクリル、任意に置換されたCカルボシクリル、任意に置換されたCカルボシクリル又は任意に置換されたCカルボシクリルである。幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたシクロプロピル(C)、任意に置換されたシクロブチル(C)、任意に置換されたシクロペンチル(C)又は任意に置換されたシクロヘキシル(C)である。
【0142】
式(E)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたヘテロシクリル、例えば任意に置換された3員〜6員ヘテロシクリル、例えば任意に置換された3員のヘテロシクリル(例えば任意に置換されたオキセタニル)、任意に置換された4員のヘテロシクリル、任意に置換された5員のヘテロシクリル又は任意に置換された6員のヘテロシクリル、例えば酸素、硫黄又は窒素から選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む任意に置換された6員のヘテロシクリルである。
【0143】
式(E)の幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が任意に置換されたアリール、例えば任意に置換されたフェニルである。
【0144】
式(A)の幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたヘテロアリール、例えば任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールである。
【0145】
式(E)の幾つかの実施形態では、Rは−C(=O)R、−C(=O)OR又は−C(=O)N(Rである。幾つかの実施形態では、Rは水素又は任意に置換されたアルキル(例えば−CH)である。例えば幾つかの実施形態では、Rは−C(=O)CH、−C(=O)OCH、−C(=O)N(CH又は−C(=O)NHCHである。
【0146】
式(E)の幾つかの実施形態では、Rは酸素保護基である。
【0147】
基R、R、R並びに式:
【化44】
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の結合(a)、(b)及び(c)
本明細書で概して規定されるように、式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)について、Rは水素又は任意に置換されたアルキルである。
【0148】
幾つかの実施形態では、Rは水素である。かかる化合物には18−ノルエストロン等の出発物質を使用することが可能である。
【0149】
幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキル、例えばメチル(−CH)である。かかる化合物にはエストロン、及びメチルについてテトラロン等の出発物質を使用することが可能である。
【0150】
本明細書で概して規定されるように、式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)について、Rは水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル又は−Si(Rである。
【0151】
例えば幾つかの実施形態では、Rは水素である。幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキル、例えばメチルである。幾つかの実施形態では、Rは−Si(Rであり、例えばRはそれぞれ独立して任意に置換されたアルキル又は任意に置換されたフェニルである。
【0152】
本明細書で概して規定されるように、Rは水素、ハロゲン又は任意に置換されたアルキルである。幾つかの実施形態では、Rは水素である。幾つかの実施形態では、Rはハロゲン(例えばブロモ、ヨード、クロロ)である。幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキル、例えばメチルである。
【0153】
本明細書で概して規定されるように、(a)、(b)及び(c)に指定される、
【化45】
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はそれぞれ単結合又は二重結合を表すが、(c)に指定される、
【化46】
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が二重結合を表す場合において、RB1及びRB2の一方が存在せず、(c)に指定される、
【化47】
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が単結合を表す場合において、RB1及びRB2の両方が存在する。
【0154】
幾つかの実施形態では、(a)に指定される結合
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
は単結合である。幾つかの実施形態では、(a)に指定される結合
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
は二重結合である。
【0155】
幾つかの実施形態では、(b)に指定される結合
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
は単結合である。幾つかの実施形態では、(b)に指定される結合
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
は二重結合である。
【0156】
幾つかの実施形態では、(c)に指定される結合
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
は単結合である。幾つかの実施形態では、(c)に指定される結合
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
は二重結合であり、RB2は存在しない。
【0157】
幾つかの実施形態では、(a)に指定される結合
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
は二重結合であり、(b)に指定される結合
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
は二重結合である。この場合、幾つかの実施形態では、(c)に指定される結合
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
は二重結合であり、RB2は存在しない。しかしながらこの場合、他の実施の形態では、(c)に指定される結合
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
は単結合である。
【0158】
例えば、式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の幾つかの実施形態では、Rはメチルであり、Rは水素であり、Rは水素であり、(c)に指定される結合は単結合であり、式(A−d)、(A−1−d)、(A−2−d)、(B−d)、(C−d)、(D−d)、(D−1−d)、(D−2−d)、(E−d)、(E−1−d)及び(E−2−d):
【化58】
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(式中、R、R、R、RB1及びRB2は本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0159】
式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の他の実施の形態では、Rはメチルであり、Rは水素であり、(c)に指定される結合は二重結合であり、RB2は存在せず、式(A−e)、(A−1−e)、(A−2−e)、(B−e)、(C−e)、(D−e)、(D−1−e)、(D−2−e)、(E−e)、(E−1−e)、(E−2−e):
【化59】
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(式中、R、R、R、R及びRB1は本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0160】
基RB1及びRB2
本明細書で概して規定されるように、RB1及びRB2はそれぞれ独立して、水素、−L−RB3又は−X(ここでXは−O−、−S−又は−N(R)−である)が、又はRB1及びRB2の少なくとも一方が水素でない限りにおいて、RB1及びRB2が連結してオキソ基を形成し、
は結合、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)S−、−C(=O)N(R)−又は−N(R)−(C(RLL−であり、ここでRは水素、任意に置換されたアルキル又は窒素保護基であり、RLLはそれぞれ独立して水素、ハロゲン又は任意に置換されたアルキルであり、pは0、1又は2であり、
B3は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールであり、Lが結合である場合において、RB3は水素ではなく、
はそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、カルボニル、シリル、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、任意にRB1及びRB2が各々の−Xである場合、2つのR基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル環を形成することができる。
【0161】
幾つかの実施形態では、RB1及びRB2の少なくとも一方が−L−RB3である。この場合、幾つかの実施形態では、RB1及びRB2の他方が水素又は−X(例えば−OR)である。例えば、幾つかの実施形態では、(c)に指定される、
【化60】
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が単結合を表す場合、RB1は−L−RB3であり、RB2は水素又は−X(例えば−OR)である。他の実施形態では、(c)に指定される、
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
が単結合を表す場合、RB2は−L−RB3であり、RB1は水素又は−X(例えば−OR)である。代替的には、幾つかの実施形態では、(c)に指定される、
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
が二重結合を表す場合、RB1は−L−RB3であり、RB2は存在しない。
【0162】
例えば、式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の幾つかの実施形態では、RB1は−L−RB3であり、式(A−g)、(A−1−g)、(A−2−g)、(B−g)、(C−g)、(D−g)、(D−1−g)、(D−2−g)、(E−g)、(E−1−g)、(E−2−g):
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、R、RB2、L及びRB3は本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0163】
幾つかの実施形態では、Lは結合であり、RB3は任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールである。
【0164】
幾つかの実施形態では、Lは−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)S−、−C(=O)N(R)−又は−N(R)−(C(RLL−であり、ここでRは水素、任意に置換されたアルキル又は窒素保護基であり、RLLはそれぞれ独立して水素、ハロゲン又は任意に置換されたアルキルであり、RB3は水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールである。幾つかの実施形態では、Lは−C(=O)−である。幾つかの実施形態では、Lは−C(=O)O−である。幾つかの実施形態では、Lは−C(=O)S−である。幾つかの実施形態では、Lは−C(=O)N(R)−である。幾つかの実施形態では、Lは−N(R)−C(RLL−である。幾つかの実施形態では、Rは水素又は任意に置換されたアルキル、例えばメチルである。幾つかの実施形態では、RLLはそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、例えばメチル又はフルオロである。幾つかの実施形態では、pは0である。幾つかの実施形態では、pは1である。幾つかの実施形態では、pは2である。
【0165】
幾つかの実施形態では、Lは−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)S−、−C(=O)N(R)−又は−N(R)−(C(RLL−であり、RB3は水素であり、式−C(=O)H、−C(=O)OH、−C(=O)SH、−C(=O)N(R)H又は−N(R)Hの基が提供される。
【0166】
しかしながら幾つかの実施形態では、Lが結合又は−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)S−、−C(=O)N(R)−又は−N(R)−(C(RLL−である場合、RB3は任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールである。
【0167】
幾つかの実施形態では、RB3は非環式基であり、例えばRB3は任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル又は任意に置換されたアルキニルである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアルキル、例えば任意に置換されたC1〜6アルキルである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアルケニル、例えば任意に置換されたC2〜6アルケニルである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアルキニル、例えば任意に置換されたC2〜6アルキニルである。
【0168】
しかしながら幾つかの実施形態では、RB3は環式基であり、例えばRB3は任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールである。幾つかの実施形態では、RB3は非芳香族環式基であり、例えば幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたカルボシクリル又は任意に置換されたヘテロシクリルである。幾つかの実施形態では、RB3は芳香族環式基であり、例えば幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールである。
【0169】
幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたカルボシクリル、例えば任意に置換されたC3〜6カルボシクリルである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたCカルボシクリル、任意に置換されたCカルボシクリル、任意に置換されたCカルボシクリル又は任意に置換されたCカルボシクリルである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたシクロペンチル(C)又は任意に置換されたシクロヘキシル(C)である。
【0170】
幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール環に縮合した任意に置換されたカルボシクリルであり、付着点はカルボシクリル環上にある。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール環に縮合した任意に置換されたカルボシクリル、例えば任意に置換されたC3〜6カルボシクリルである。幾つかの実施形態ではRB3は任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール環に縮合した任意に置換されたCカルボシクリル、任意に置換されたCカルボシクリル、任意に置換されたCカルボシクリル又は任意に置換されたCカルボシクリルである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール環に縮合した任意に置換されたシクロペンチル(C)又は任意に置換されたシクロヘキシル(C)である。幾つかの実施形態では、縮合アリール環は任意に置換されたフェニル環である。幾つかの実施形態では、縮合ヘテロアリール環は任意に置換された6員のヘテロアリール環、例えば任意に置換されたピリジニル環である。
【0171】
幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたヘテロシクリル、例えば任意に置換された3員〜6員ヘテロシクリルである。幾つかの実施形態では、RB3は例えば酸素、硫黄又は窒素から選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む任意に置換された3員のヘテロシクリル、任意に置換された4員のヘテロシクリル、任意に置換された5員のヘテロシクリル又は任意に置換された6員のヘテロシクリルである。
【0172】
幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール環に縮合した任意に置換されたヘテロシクリルであり、付着点はヘテロシクリル環上にある。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール環に縮合した任意に置換されたヘテロシクリル、例えば任意に置換された3員〜6員ヘテロシクリルである。幾つかの実施形態では、RB3は例えば酸素、硫黄又は窒素から選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール環に縮合した任意に置換された3員のヘテロシクリル、任意に置換された4員のヘテロシクリル、任意に置換された5員のヘテロシクリル又は任意に置換された6員のヘテロシクリルである。幾つかの実施形態では、縮合アリール環は任意に置換された縮合フェニル環である。幾つかの実施形態では、縮合ヘテロアリール環は6員のヘテロアリール環、例えば任意に置換されたピリジニル環である。幾つかの実施形態では、RB3の付着点は窒素原子を介するものである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換された1,2,3,4−テトラヒドロ−2,7−ナフチリジニル環、3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジニル環、3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−オン環又は3,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−e][1,3]オキサジン−2−オン環であり、付着点は非芳香族ヘテロシクリル環上にある。
【0173】
幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアリール、例えば任意に置換されたC6〜14アリールである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたフェニルである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたナフチルである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたフェニルテトラヒドロイソキノリニル等の任意に置換されたヘテロシクリル環に縮合した任意に置換されたフェニルである。縮合ヘテロシクリル環を含む任意に置換されたアリール環系に関して、親分子に対する付着点がアリール(例えばフェニル)環上にあることが理解される。
【0174】
幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたヘテロアリール、例えば任意に置換された5員〜14員ヘテロアリールである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換された5員ヘテロアリール又は任意に置換された6員のヘテロアリールである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換された二環式ヘテロアリール、例えば任意に置換された5,6−二環式ヘテロアリール又は任意に置換された6,6−二環式ヘテロアリールである。幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたナフチリジニル、任意に置換されたプテリジニル、任意に置換されたキノリニル、任意に置換されたイソキノリニル、任意に置換されたシンノリニル、任意に置換されたキノキサリニル、任意に置換されたフタラジニル及び任意に置換されたキナゾリニルからなる群から選択される任意に置換された5,6−二環式ヘテロアリール又は任意に置換された6,6−二環式ヘテロアリール環系である。幾つかの実施形態では、RB3の付着点は窒素原子を介するものである。
【0175】
幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたヘテロシクリルであり、−L−RB3は、
【化65】
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(式中、
6Aはそれぞれ独立してハロゲン、−NO、−CN、−OR6C、−SR6C、−N(R6C、−C(=O)R6C、−C(=O)OR6C、−C(=O)N(R6C、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
6Bはそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、
6Cはそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR6C基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、
mは0又は1〜4の整数(1及び4を含む)であるが、
但しLは−N(R)−(C(RLL−(ここで、pは0である)ではない)からなる群から選択される。
【0176】
幾つかの実施形態では、RB3は任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールであり、−L−RB3は、
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
6Aはそれぞれ独立してハロゲン、−NO、−CN、−OR6C、−SR6C、−N(R6C、−C(=O)R6C、−C(=O)OR6C、−C(=O)N(R6C、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールであり、
6Bはそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、
6Cはそれぞれ独立して水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、酸素に付着する場合に酸素保護基、硫黄に付着する場合に硫黄保護基又は窒素に付着する場合に窒素保護基であり、任意にNに付着する場合に、2つのR6C基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することができ、
mは0又は1〜4の整数(1及び4を含む)である)からなる群から選択される。
【0177】
幾つかの実施形態では、mは0である。幾つかの実施形態では、mは1、2、3又は4である。幾つかの実施形態では、mは1、2、3又は4であり、少なくとも1つのR6Aがハロゲン(例えばフルオロ)、−OR6C、−SR6C又は−N(R6Cである。
【0178】
幾つかの実施形態では、Lは結合又は−C(=O)N(R)−であり、ここでRは水素又は任意に置換されたアルキル(例えばメチル)であり、RB3は本明細書に記載の任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリールである。
【0179】
例えば、式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の幾つかの実施形態では、基−L−RB3は式:
【化67】
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(式中、Lは結合である)の基であり、式(A−h)、(A−1−h)、(A−2−h)、(B−h)又は(C−h)、(D−h)、(D−1−h)、(D−2−h)、(E−h)、(E−1−h)、(E−2−h):
【化68】
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(式中、
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、R6A及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0180】
例えば、式(A)、(B)及び(C)の幾つかの実施形態では、基−L−RB3は式:
【化70】
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(式中、Lは結合である)の基であり、式(A−i)、(A−1−i)、(A−2−i)、(B−i)又は(C−i):
【化71】
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(式中、
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、R6A及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0181】
式(A)、(B)及び(C)の幾つかの実施形態では、基−L−RB3は式:
【化73】
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(式中、Lは結合である)の基であり、式(A−p)、(A−1−p)、(A−2−p)、(B−p)又は(C−p):
【化74】
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(式中、
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、R6A及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0182】
式(A)、(B)及び(C)の幾つかの実施形態では、基−L−RB3は式:
【化76】
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(式中、Lは結合である)の基であり、式(A−q)、(A−1−q)、(A−2−q)、(B−q)又は(C−q):
【化77】
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(式中、
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、R6A及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0183】
式(A)、(B)及び(C)の幾つかの実施形態では、基−L−RB3は式:
【化79】
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(式中、Lは結合である)の基であり、式(A−r)、(A−1−r)、(A−2−r)、(B−r)又は(C−r):
【化80】
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(式中、
【化81】
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、R、R、R、R、R、R6A及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0184】
式(A−i)、(A−1−i)、(A−2−i)、(B−i)、(C−i)、(A−p)、(A−1−p)、(A−2−p)、(B−p)、(C−p)、(A−q)、(A−1−q)、(A−2−q)、(B−q)、(C−q)、(A−r)、(A−1−r)、(A−2−r)、(B−r)及び(C−r)の化合物はコルチスタチンAのイソキノリンを模倣するように設計され、改善された代謝的安定性を有することが想定される。
【0185】
式(A)、(B)及び(C)の他の実施形態では、RB1は−L−RB3であり、Lは−C(=O)N(R)−であり、式(A−j)、(A−1−j)、(A−2−j)、(B−j)又は(C−j):
【化82】
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(式中、
【化83】
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、R、R、R、R、R、R及びRB3は本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0186】
式(A)、(B)及び(C)の他の実施形態では、RB1は−L−RB3であり、Lは−N(R)−(C(RLL−であり、pは1であり、式(A−n)、(A−1−n)、(A−2−n)、(B−n)又は(C−n):
【化84】
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(式中、
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、R及びRB3は本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0187】
式(A−j)、(A−1−j)、(A−2−j)、(B−j)、(C−j)、(A−n)、(A−1−n)、(A−2−n)、(B−n)及び(C−n)の化合物はコルチスタチンAのイソキノリンを模倣するように設計され、改善された薬物動態特性を有することが想定される(正:envisioned)。特に、−L−RB3が式:
【化86】
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(式中、Lは−C(O)N(R)−又は−N(R)−((CRLL−であり、pは1である)の基である化合物が本明細書で企図される。
【0188】
代替的には、幾つかの実施形態では、RB1及びRB2の少なくとも一方が−Xである。この場合、幾つかの実施形態では、RB1及びRB2の他方が水素又は−X(例えば−OR)である。例えば、幾つかの実施形態では、(c)に指定される、
【化87】
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が単結合を表す場合、RB1は−X(例えば−OR)であり、RB2は水素又は−X(例えば−OR)である。他の実施形態では、(c)に指定される、
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
が単結合を表す場合、RB2は−X(例えば−OR)であり、RB1は水素又は−X(例えば−OR)である。代替的には、幾つかの実施形態では、(c)に指定される、
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
が二重結合を表す場合、RB1は−X(例えば、Rが水素ではない−OR)であり、RB2は存在しない。
【0189】
幾つかの実施形態では、RB1及びRB2はそれぞれ−Xである。この実施の形態では、幾つかの場合、2つのR基は連結して任意に置換されたヘテロシクリル環、例えば任意に置換された5員又は6員ヘテロシクリル環を形成することができる。例えば、式(A)、(B)及び(C)の幾つかの実施形態では、RB1及びRB2はそれぞれ−Xであり、式(A−k)、(A−1−k)、(A−2−k)及び(B−k)、並びに(C−k):
【化90】
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(式中、
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R、R、X及びRは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0190】
幾つかの実施形態では、RB1及びRB2は連結してオキソ基(=O)を形成する。例えば、式(A)、(B)及び(C)の幾つかの実施形態では、RB1及びRB2は連結してオキソ基(=O)を形成し、式(A−m)、(A−1−m)、(A−2−m)、(B−m)若しくは(C−m):
【化92】
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(式中、
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
、R、R、R、R及びRは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。
【0191】
例示的な化合物
幾つかの実施形態の様々な組合せが本明細書で更に企図される。
【0192】
例えば、式(A−1−h)、(A−1−i)、(A−1−p)、(A−1−q)、(A−1−r)、(A−1−j)、(A−1−n)、(A−2−h)、(D−1−h)、(D−2−h)、(E−1−h)、(E−2−h)の幾つかの実施形態では、(c)に指定される結合
【化94】
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は単結合であり、RB2は水素であり、式:
【化95】
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(式中、
【化96】
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、R、R、R、R、R、R、R6A、R6B、R、RLL及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。幾つかの実施形態では、Rはメチルである。幾つかの実施形態では、Rは水素である。幾つかの実施形態では、Rは水素である。幾つかの実施形態では、(a)及び(b)に指定される結合
【化97】
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は二重結合である。幾つかの実施形態では、R及びRはそれぞれ任意に置換されたアルキル、例えば−CHである。幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が式
【化98】
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(式中、p及びZは本明細書に規定される通りである)の基である。幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が−S(=O)である。幾つかの実施形態では、R及びRは連結して任意に置換されたヘテロシクリルを形成する。幾つかの実施形態では、R及びRは連結して式:
【化99】
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(式中、R、n及びGは本明細書に規定される通りである)の環を形成する。幾つかの実施形態では、化合物はN−オキシドであり、例えば基:
【化100】
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は式:
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
となる。幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキル、例えば−CH又は式:
【化102】
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(式中、Z及びpは本明細書に規定される通りである)の基である。幾つかの実施形態では、Rは−C(=O)R、−C(=O)OR又は−C(=O)N(R、例えば−C(=O)CH、−C(=O)OCH、−C(=O)N(CH又は−C(=O)NHCHである。
【0193】
式(A−1−h−i)、(A−1−i−i)、(A−1−p−i)、(A−1−q−i)、(A−1−r−i)、(A−1−j−i)、(A−1−n−i)、(A−2−h−i)、(D−1−h−i)、(D−2−h−i)、(E−1−h−i)及び(E−2−h−i)の幾つかの実施形態では、Rはメチルであり、R及びRは水素であり、(a)及び(b)に指定される結合
【化103】
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は二重結合であり、式:
【化104】
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(式中、R、R、R、R6A、R6A、R6B、R、RLL及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。幾つかの実施形態では、R及びRはそれぞれ任意に置換されたアルキル、例えば−CHである。幾つかの実施形態では、R及びRの一方が水素であり、R及びRの一方が任意に置換されたアルキル、例えば−CHである。幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が式:
【化105】
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(式中、p及びZは本明細書に規定される通りである)の基である。幾つかの実施形態では、R及びRの少なくとも一方が−S(=O)である。幾つかの実施形態では、R及びRは連結して任意に置換されたヘテロシクリルを形成する。幾つかの実施形態では、R及びRは連結して式:
【化106】
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(式中、R、n及びGは本明細書に規定される通りである)の環を形成する。幾つかの実施形態では、化合物はN−オキシドであり、例えば基:
【化107】
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は式:
【化108】
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となる。幾つかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキル、例えば−CH又は式:
【化109】
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(式中、Z及びpは本明細書に規定される通りである)の基である。幾つかの実施形態では、Rは−C(=O)R、−C(=O)OR又は−C(=O)N(R、例えば−C(=O)CH、−C(=O)OCH、−C(=O)N(CH又は−C(=O)NHCHである。
【0194】
式(A−1−h−ii)及び(A−2−h−ii)の幾つかの実施形態では、R及びRは連結して任意に置換されたヘテロシクリルを形成し、式:
【化110】
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(式中、R、R6A、n及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。幾つかの実施形態では、GはOである。幾つかの実施形態では、GはN−CHである。幾つかの実施形態では、mは0である。幾つかの実施形態では、mは1である。幾つかの実施形態では、nは0である。幾つかの実施形態では、nは1である。
【0195】
式(A−1−h−ii)又は(A−2−h−ii)の幾つかの実施形態では、R及びRは連結して任意に置換されたヘテロシクリルを形成し、式:
【化111】
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(式中、R、R6A、n及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。幾つかの実施形態では、Gは−CH−である。幾つかの実施形態では、mは0である。幾つかの実施形態では、mは1である。幾つかの実施形態では、nは0である。幾つかの実施形態では、nは1である。
【0196】
式(A−1−h−ii)の幾つかの実施形態では、R及びRはそれぞれ−CHであり、式:
【化112】
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(式中、R6A及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。幾つかの実施形態では、mは0である。幾つかの実施形態では、mは1である。
【0197】
式(A−2−h−ii)の幾つかの実施形態では、R及びRの一方は水素であり、R及びRの他方は−CHであり、式:
【化113】
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(式中、R6A及びmは本明細書に規定される通りである)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドが提供される。幾つかの実施形態では、mは0である。幾つかの実施形態では、mは1である。
【0198】
例示的な式(A)の化合物としては、
【化114】
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、並びにその薬学的に許容可能な塩、その第四級アミン塩及びN−オキシド、例えば
式:
【化115】
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のN−オキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
しかしながら、幾つかの実施形態では、式(A)の化合物は、
【化116】
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又はその薬学的に許容可能な塩若しくは第四級アミン塩、若しくはそのN−オキシドではない。
【0200】
例示的な式(B)の化合物としては、
【化117】
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及びその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩又はN−オキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0201】
例示的な式(C)の化合物としては、
【化118】
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、及びその薬学的に許容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0202】
例示的な式(D)の化合物としては、
【化119】
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、及びその薬学的に許容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
例示的な式(E)の化合物としては、
【化120】
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、及びその薬学的に許容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
医薬組成物
幾つかの実施形態では、本発明は式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。幾つかの実施形態では、化合物は有効量、例えば治療有効量又は予防有効量で存在する。
【0205】
薬学的に許容可能な賦形剤としては、所望の特定の投与形態に適したあらゆる溶媒、希釈剤又は他の液体ビヒクル、分散液又は懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤又は乳化剤、保存料、固体結合剤、潤滑剤等が挙げられる。医薬組成物の作用物質の配合及び/又は製造の概論は例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition (Lippincott Williams & Wilkins, 2005)に見ることができる。
【0206】
本明細書に記載の医薬組成物は、薬理学の技術分野で既知の任意の方法によって調製することができる。概して、かかる調製方法は、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシド(「有効成分」)と賦形剤及び/又は1つ若しくは複数の他の副成分とを合わせる工程、次いで必要及び/又は所望に応じて、生成物を所望の単回又は複数回投与単位へと成形及び/又は包装する工程を含む。
【0207】
医薬組成物は、単回単位用量及び/又は複数の単回単位用量として調製、包装及び/又はバルク販売することができる。本明細書で使用される場合、「単位用量」は所定量の有効成分を含む医薬組成物の個々の量である。有効成分の量は概して、対象へ投与される有効成分の投与量及び/又はかかる投与量の好都合な割合、例えばかかる投与量の半分又は3分の1に等しい。
【0208】
本発明の医薬組成物中の有効成分、薬学的に許容可能な担体及び/又は任意の付加的な成分の相対量は治療される対象の独自性、大きさ及び/又は状態に応じて異なり、組成物を投与する経路に更に左右される。例としては、組成物は0.1%〜100%(w/w)の有効成分を含み得る。
【0209】
与えられた医薬組成物の製造に用いられる薬学的に許容可能な賦形剤としては、不活性希釈剤、分散及び/又は造粒剤、界面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤、及び/又は油が挙げられる。カカオ脂及び坐剤ワックス等の賦形剤、着色剤、被覆剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤が組成物に存在していてもよい。
【0210】
希釈剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖等、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0211】
造粒及び/又は分散剤の例としては、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クレイ、アルギン酸、グアーガム、柑橘パルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木質製品、海綿、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、シリケート、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル−ピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、αデンプン(pregelatinized starch)(スターチ1500)、微結晶性デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物等、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0212】
界面活性剤及び/又は乳化剤の例としては、天然乳化剤(例えばアカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドルクス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス及びレシチン)、コロイド状粘土(例えばベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びVeegum[ケイ酸マグネシウムアルミニウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えばステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリル及びモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン[Tween 20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween 60]、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン[Tween 80]、モノパルミチン酸ソルビタン[Span 40]、モノステアリン酸ソルビタン[Span 60]、トリステアリン酸ソルビタン[Span 65]、モノオレイン酸グリセリル、モノパルミチン酸ソルビタン[Span 80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン[Myrj 45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシメチレン、及びSolutol)、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えばCremophor)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij 30])、ポリ(ビニル−ピロリドン)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic F 68、Poloxamer 188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウム等、及び/又はそれらの組合せが挙げられる。
【0213】
結合剤の例としては、デンプン(例えばコーンスターチ及びデンプンペースト)、ゼラチン、糖(例えばスクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール等)、天然及び合成ガム(例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワー(panwar)ガム、ガディガム、イサポール皮(isapol husks)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、セルロースアセテート、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(Veegum)及びカラマツのアラビノガラクタン(正:arabinogalactan))、アルギン酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコール等、及び/又はそれらの組合せが挙げられる。
【0214】
防腐剤の例としては、抗酸化剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤及び他の防腐剤が挙げられる。
【0215】
抗酸化剤の例としては、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0216】
キレート剤の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)並びにそれらの塩及び水和物(例えばエデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二カリウム等)、クエン酸並びにそれらの塩及び水和物(例えばクエン酸一水和物)、フマル酸並びにそれらの塩及び水和物、リンゴ酸並びにそれらの塩及び水和物、リン酸並びにそれらの塩及び水和物、並びに酒石酸並びにそれらの塩及び水和物が挙げられる。抗菌防腐剤の例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、フェニル水銀ニトレート、プロピレングリコール及びチメロサールが挙げられる。
【0217】
抗真菌防腐剤の例としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム及びソルビン酸が挙げられる。
【0218】
アルコール防腐剤の例としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート及びフェニルエチルアルコールが挙げられる。
【0219】
酸性防腐剤の例としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β−カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸及びフィチン酸が挙げられる。
【0220】
他の防腐剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(正:hydroxytoluene)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、Kathon及びEuxylが挙げられる。幾つかの実施形態では、防腐剤は抗酸化剤である。他の実施形態では、防腐剤はキレート剤である。
【0221】
緩衝剤の例としては、クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、リン酸カルシウムヒドロキシド、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱物質除去水、等張食塩水、リンガー液、エチルアルコール等、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0222】
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、マルト、ベヘン酸(正:behenate)グリセリル、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム等、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0223】
天然油の例としては、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、クロフサスグリ(正:black currant)の種、ルリジサ、カデ、カモミール、セイヨウアブラナ、ヒメウイキョウ、ブラジルロウヤシ、トウゴマ、シナモン、カカオ脂、ココナツ、クローバーの葉、コーヒー、トウモロコシ、綿の種、エミュー、ユーカリ、マツヨイグサ、魚、亜麻の種、ゲラニオール、ヒョウタン、ブドウの種、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイの実、ラバンジン、ラベンダー、レモン、アオモジ、マカダミアナッツ、ゼニアオイ、マンゴーの種、メドウフォームの種、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナッツ、ケシの種、カボチャの種、菜種、米糠、ローズマリー、ベニバナ、サンダルウッド、サザンカ(正:sasanqua)、セイバリー(正:savory)、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチバー、クルミ及び小麦胚芽の油が挙げられる。合成油の例としては、ステアリン酸ブチル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0224】
経口及び非経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが挙げられる。有効成分(複数の場合もある)に加えて、液体剤形は、例えば水又は他の溶媒等の当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、可溶化剤、並びにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば綿の種、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、トウゴマ及びゴマの油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル等の乳化剤、並びにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物には、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤等のアジュバントが含まれ得る。非経口投与についての幾つかの実施形態では、本発明のコンジュゲートを、Cremophor、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、ポリマーコンジュゲート(例えばIT−101/CLRX101)、及びそれらの組合せ等の可溶化剤と混合する。
【0225】
注射用調製物、例えば滅菌注射用水性又は油性懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いる既知の技術に従って配合することができる。滅菌注射用調製は非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液又はエマルション、例えば1,3−ブタンジオール溶液であり得る。用いることができる許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンガー液(米国薬局方)及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油が溶媒又は懸濁媒体として慣習的に用いられている。この目的で、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無菌固定油を用いることができる。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が注射剤の調製に使用される。
【0226】
注射用配合物は、例えば細菌保持(bacterial-retaining)フィルターを通して濾過するか、又は滅菌水若しくは他の滅菌注射用媒体へと使用前に溶解若しくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0227】
有効成分の効果を持続させるために、多くの場合、皮下又は筋肉注射からの有効成分の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性に乏しい結晶性又は非晶質材料の液体懸濁液を用いて達成することができる。次いで、有効成分の吸収速度はその溶解速度に応じて異なり、その溶解速度は結晶サイズ及び結晶形態に左右され得る。代替的には、非経口的に投与される形態の遅延吸収は、有効成分を油ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
【0228】
直腸又は膣内投与用の組成物は通例、本発明のコンジュゲートと、常温で固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸又は膣腔内で融解し、有効成分を放出するココアバター、ポリエチレングリコール又は坐剤ろう等の好適な非刺激性賦形剤又は担体とを混合することによって調製することができる坐剤である。
【0229】
経口投与用の固体投与形態には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末及び顆粒が含まれる。かかる固体投与形態では、有効成分をクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの不活性の薬学的に許容可能な賦形剤又は担体、及び/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸等の充填剤又は増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース及びアラビアゴム等の結合剤、c)グリセロール等の湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、幾つかのケイ酸塩及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレイ等の吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物等の潤滑剤と混合する。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、投与形態は緩衝剤を含み得る。
【0230】
同様のタイプの固体組成物を、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を使用する軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒の固体投与形態は、腸溶コーティング及び医薬品配合技術分野で既知の他のコーティング等のコーティング及びシェルを用いて調製することができる。これらの固体投与形態は乳白剤を任意に含んでいても、腸管の或る特定の部分でのみ又は優先的に有効成分(複数の場合もある)を任意に遅延方式で放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例としては、高分子物質及びろうが挙げられる。同様のタイプの固体組成物を、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレン(正:polyethylene)グリコール等のような賦形剤を使用する軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることができる。
【0231】
有効成分(複数の場合もある)は、上述の1つ又は複数の賦形剤とともにマイクロカプセル化形態とすることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒の固体投与形態は、腸溶コーティング、放出制御コーティング及び医薬品配合技術分野で既知の他のコーティング等のコーティング及びシェルを用いて調製することができる。かかる固体投与形態では、有効成分をスクロース、ラクトース又はデンプン等の少なくとも1つの不活性希釈剤と混ぜることができる。かかる投与形態は通常の慣行のように、不活性希釈剤以外の付加的な物質、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースのような錠剤化潤滑剤及び他の錠剤化助剤を含み得る。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、投与形態は緩衝剤を含み得る。これらの投与形態は乳白剤を任意に含んでいても、腸管の或る特定の部分でのみ又は優先的に有効成分(複数の場合もある)を任意に遅延方式で放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例としては、高分子物質及びろうが挙げられる。
【0232】
本発明の化合物の局所及び/又は経皮投与用の投与形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤及び/又はパッチを挙げることができる。概して、有効成分を滅菌条件下で薬学的に許容可能な担体及び/又は任意の必要な保存料及び/又は必要とされ得る緩衝剤と混ぜる。本発明は付加的に、身体への有効成分の制御送達をもたらす追加の利点を有することが多い経皮パッチの使用を企図する。かかる投与形態は、例えば有効成分を適当な媒体に溶解及び/又は分注することによって調製することができる。代替的又は付加的に、律速膜を設ける及び/又は有効成分をポリマーマトリックス及び/又はゲルに分散させることによって速度を制御することができる。
【0233】
本明細書に記載の皮内医薬組成物の送達に使用される好適なデバイスには、米国特許第4,886,499号、同第5,190,521号、同第5,328,483号、同第5,527,288号、同第4,270,537号、同第5,015,235号、同第5,141,496号及び同第5,417,662号に記載されるような短針デバイスが含まれる。皮内組成物は、国際公開第99/34850号に記載されるような皮膚への針の有効侵入長を制限するデバイス、及びその機能的同等物によって投与することができる。液体ジェット式注射器、及び/又は角質層を貫通し、真皮に達する噴流を生じる針によって液体ワクチンを真皮へと送達するジェット式注射デバイスが好適である。ジェット式注射デバイスは、例えば米国特許第5,480,381号、同第5,599,302号、同第5,334,144号、同第5,993,412号、同第5,649,912号、同第5,569,189号、同第5,704,911号、同第5,383,851号、同第5,893,397号、同第5,466,220号、同第5,339,163号、同第5,312,335号、同第5,503,627号、同第5,064,413号、同第5,520,639、同第4,596,556号、同第4,790,824号、同第4,941,880号、同第4,940,460号、並びに国際公開第97/37705号及び国際公開第97/13537号に記載されている。粉末形態のワクチンを加速して皮膚の外層を通して真皮へと送るために圧縮ガスを用いるバリスティック粉末/粒子送達デバイスが好適である。代替的又は付加的には、従来のシリンジを皮内投与の古典的マントー法に使用することができる。
【0234】
局所投与に好適な配合物としては、塗布剤、ローション等の液体及び/又は半液体調製物、クリーム、軟膏及び/又はペースト等の水中油型及び/又は油中水型エマルション、及び/又は溶液及び/又は懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。局所投与可能な配合物は、例えば約1%〜約10%(w/w)の有効成分を含み得るが、有効成分の濃度は溶媒中の有効成分の溶解限度に達していてもよい。局所投与用の配合物は、本明細書に記載の付加的な成分の1つ又は複数を更に含み得る。
【0235】
医薬組成物は口腔を介した経肺投与に好適な配合物に調製、包装及び/又は販売することができる。かかる配合物は、有効成分を含み、直径が約0.5ナノメートル〜約7ナノメートル又は約1ナノメートル〜約6ナノメートルの範囲の乾燥粒子を含み得る。かかる組成物は、粉末を分散させる噴射剤流を指向することができる乾燥粉末リザーバを備えるデバイスを用いた、及び/又は密閉容器内の低沸点噴射剤に溶解及び/又は懸濁した有効成分を含むデバイス等の自己噴射溶媒/粉末分注容器を用いた投与のための乾燥粉末の形態であるのが好都合である。かかる粉末は少なくとも98重量%の粒子が0.5ナノメートルを超える直径を有し、少なくとも95数量(by number)%の粒子が7ナノメートル未満の直径を有する粒子を含む。代替的には、少なくとも95重量%の粒子が1ナノメートルを超える直径を有し、少なくとも90数量%の粒子が6ナノメートル未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は糖等の固体微粉末希釈剤を含むことができ、単位剤形で都合よく提供される。
【0236】
低沸点噴射剤は概して、沸点が大気圧で65°F未満の液体噴射剤を含む。概して、噴射剤は組成物の50%〜99.9%(w/w)を占めてもよく、有効成分は組成物の0.1%〜20%(w/w)を占めてもよい。噴射剤は、液体非イオン性及び/又は固体アニオン性界面活性剤及び/又は固体希釈剤(有効成分を含む粒子と同程度の粒子サイズを有し得る)等の付加的な成分を更に含み得る。
【0237】
経肺送達用に配合された医薬組成物は、溶液及び/又は懸濁液の液滴の形態で有効成分を供給することができる。かかる配合物は、有効成分を含む任意に滅菌された水性及び/又は希釈アルコール溶液及び/又は懸濁液として調製、包装及び/又は販売することができ、任意の噴霧化及び/又は微粒化デバイスを用いて都合よく投与され得る。かかる配合物は、サッカリンナトリウム等の着香料、揮発油、緩衝剤、界面活性剤、及び/又はヒドロキシ安息香酸メチル等の保存料を含むが、これらに限定されない1つ又は複数の付加的な成分を更に含み得る。この投与経路によって供給される液滴は約0.1ナノメートル〜約200ナノメートルの範囲の平均直径を有し得る。
【0238】
経肺送達に有用であるとして本明細書に記載される配合物は、本発明の医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に好適な別の配合物は、有効成分を含み、平均粒子サイズが約0.2マイクロメートル〜500マイクロメートルの粗粉末である。かかる配合物は、鼻孔の側に保持される粉末の容器からの鼻腔を通した急速吸入によって投与される。
【0239】
経鼻投与用の配合物は、例えば最低で(as little as)約0.1%(w/w)及び最大で(as much as)100%(w/w)の有効成分を含み、本明細書に記載の付加的な成分の1つ又は複数を含み得る。本発明の医薬組成物は、口腔内投与用の配合物に調製、包装及び/又は販売することができる。かかる配合物は、例えば従来の方法を用いて作製される錠剤及び/又は舐剤の形態であってもよく、例えば0.1%〜20%(w/w)の有効成分を含有し、その残りは経口で溶解及び/又は崩壊し得る組成物、並びに任意に本明細書に記載の付加的な成分の1つ又は複数を含んでいてもよい。代わりに(正:Alternatively)、口腔内投与用の配合物は、有効成分を含む粉末及び/又はエアロゾル化及び/又は微粒化溶液及び/又は懸濁液を含み得る。かかる粉末化、エアロゾル化及び/又は微粒化配合物は、分散させた場合に約0.1ナノメートル〜約200ナノメートルの範囲の平均粒子及び/又は液滴サイズを有し、本明細書に記載の付加的な成分の1つ又は複数を更に含み得る。
【0240】
医薬組成物は、眼内投与用の配合物に調製、包装及び/又は販売することができる。かかる配合物は例えば、例えば水性又は油性液体担体中の有効成分の0.1/1.0%(w/w)溶液及び/又は懸濁液を含む点眼剤の形態であり得る。かかる滴剤は緩衝剤、塩、及び/又は本明細書に記載の1つ又は複数の他の付加的な成分を更に含み得る。他の有用な眼内投与可能な配合物としては、微結晶形態及び/又はリポソーム調製物で有効成分を含む配合物が挙げられる。点耳剤及び/又は点眼剤が本発明の範囲内であることが企図される。
【0241】
本明細書で提供される医薬組成物についての記載は主にヒトへの投与に好適な医薬組成物に向けたものであるが、かかる組成物が概してあらゆる種類の動物への投与に好適であることが当業者には理解される。組成物を様々な動物への投与に好適なものとするためのヒトへの投与に好適な医薬組成物の変更は良く理解され、通常の知識を有する獣医薬理学者はかかる変更を通常の実験によって設計及び/又は実行することができる。医薬組成物の配合及び/又は製造の概論は例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005に見ることができる。
【0242】
また、医薬パック及び/又はキットが本発明に更に包含される。提供される医薬パック及び/又はキットは、提供される組成物及び容器(例えばバイアル、アンプル、ボトル、シリンジ及び/又はディスペンサーパッケージ、又は他の好適な容器)を含み得る。一部の実施形態では、提供されるキットは、任意に対象への投与の調製のための提供される組成物の希釈又は懸濁用の好適な水性担体を含む第2の容器を更に含み得る。一部の実施形態では、提供される配合容器及び溶媒容器の内容物を合わせて、少なくとも1つの単位投与形態を形成する。
【0243】
任意に、単一容器は提供される組成物を含有する1つ若しくは複数のコンパートメント、及び/又は懸濁若しくは希釈用の適切な水性担体を含み得る。一部の実施形態では、単一容器は変更に適切であり得るために、コンパートメント及び/又は個々のコンパートメントの構成要素の組合せを可能とするような物理的変更を受けることができる。例えば、フォイル又はプラスチックバッグは、シールを破く合図が生じた後に2つの個々のコンパートメントの内容物が合わせられるように破られ得る有孔シールによって分離された2つ以上のコンパートメントを含み得る。このため、医薬パック又はキットは、提供される組成物及び懸濁用の適切な溶媒及び/又は適切な水性担体を含むかかるマルチコンパートメント容器を含み得る。
【0244】
任意に、かかる本発明のキットは使用説明書を付加的に備える。かかる説明書は概して、例えば投与量及び投与の指示を与え得る。他の実施形態では、説明書は特定の投与用の容器及び/又はシステムの特殊な指示に関する付加的な詳細を更に提供し得る。さらに、説明書は付加的な療法と併用した及び/又は組み合わせた使用に関する特殊な指示を提供し得る。
【0245】
治療方法
「メディエーターキナーゼ」と称されるCDK8及びCDK19は、メディエーター複合体に可逆的に結合する多タンパク質複合体へと集合する。メディエーター複合体はエンハンサー結合転写因子をプロモーター結合RNA pol IIホロ酵素に結び付け、クロマチン構造に影響し、未だ殆ど理解されていない機構によって転写及び遺伝子発現を調節する。200人のAML患者に由来するサンプルの近年の包括的ゲノムワイドシークエンシングから、注目すべきことに、推定癌誘導タンパク質におけるほぼ全ての突然変異が遺伝子発現の調節と関連することが明らかとなった。例えば、Aerts, et al., Nature (2013) 499:35-36、The Cancer Genome Atlas Research Network, 2013. Genomic and Epigenomic Landscapes of Adult De Novo Acute Myeloid Leukemia. N. Engl. J. Med. 368, 2059-2074を参照されたい。したがって、メディエーターキナーゼの特異的阻害は、一部のAML突然変異がAML細胞成長を誘導する遺伝子発現プログラムを脱調節する能力を妨害する新たな手段となり得る。特異的なCDK8/CDK19の小分子阻害は、遺伝子発現の脱調節に依存する他の癌の治療に有益であることも証明することができる。CDK8/サイクリンCがアルツハイマー病(AD)患者のニューロン及び星状膠細胞においてより高度に発現されることが更に観察され、したがってCDK8の特異的な小分子阻害がAD等の変性障害の治療に有益であることも証明することができる。例えば、Hessel et al., Neurobiology of Aging (2003) 24:427-435を参照されたい。コルチスタチンAはCDK8及びCDK19に結合することが報告されている。例えば、Cee et al., Angew Chem Int Ed (2009) 48:8952及び米国特許出願公開第20120071477号を参照されたい。さらに、図7図10A図10C及び図16A図16Dに実証されるように、コルチスタチンAは一つにはこの結合に起因してCDK8キナーゼ活性を阻害する。CDK8及びCDK19は非常に類似した配列及び触媒ドメインを有し、CDK8の阻害が同様にCDK19を阻害する可能性があることが示唆される。例えば、Ries et al., Semin. Cell Dev. Biol. (2011) 22:735-740を参照されたい。CDK8対CDK19のBlastアラインメントにより、アミノ酸の同一性が70%、類似性が82%であることも示されている。
【0246】
このため一態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドと細胞とを接触させることを含む、細胞においてCDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性を阻害する方法が提供される。幾つかの実施形態では、該方法はin vitro方法である。幾つかの実施形態では、該方法はin vivo方法である。別の態様では、それを必要とする対象に式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドを投与することを含む、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態を治療する方法が提供される。
【0247】
幾つかの実施形態では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態は増殖性障害、例えば癌である。CDK8キナーゼ活性は大腸癌と関連付けられている。例えば、Firestein, et al., Nature (2008) 455:547-551を参照されたい。
【0248】
幾つかの実施形態では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態は糖尿病状態、例えば糖尿病である。
【0249】
幾つかの実施形態では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態は変性障害、例えばアルツハイマー病(AD)である。
【0250】
CDK8は、癌等の疾患の維持及び誘導に関与する多数のシグナル伝達経路及び転写プログラムの調節と関連付けられている。これらの経路及びプログラムとしては、Wnt/β−カテニン経路、Notch経路、TGF−β/BMPシグナル伝達、JAK−STAT経路、p53経路及び低酸素応答が挙げられる。異常なWnt/β−カテニンシグナル伝達は白血病及び多くの他の癌と関連する。例えば、大腸癌において最も一般的な突然変異は、Wnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化、Wnt標的遺伝子の発現及び腫瘍形成をもたらす突然変異である。腫瘍形成におけるその中心的役割のために、Wnt/β−カテニンシグナル伝達の安全で効果的な阻害剤の同定に大きな関心が持たれている。例えば、Wang, et al., Science(2010) 327:1650-1653、Polakis, EMBO J. (2012) 31: 2737-2746を参照されたい。
【0251】
このため別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、β−カテニン経路関連病態を治療する方法が提供される。別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドと細胞とを接触させることを含む、細胞におけるβ−カテニン経路を(例えばβ−カテニン標的遺伝子の発現を阻害することによって)調節する方法が提供される。幾つかの実施形態では、該方法はin vitro方法である。幾つかの実施形態では、該方法はin vivo方法である。
【0252】
図15に示されるように、コルチスタチンAはレポーター遺伝子アッセイにおけるβ−カテニン活性化(正:activated)転写及びAML細胞における推定Wnt/β−カテニン標的遺伝子の発現を阻害する。多数の研究によりβ−カテニン経路活性化と腫瘍の発生、維持及び成長とが関連付けられている。Wnt/β−カテニン経路の変化が乳癌、結腸直腸癌、肝細胞癌、髄芽腫、膵臓癌、リンパ腫/白血病、肺癌、腎臓癌及びウィルムス腫瘍において観察されている。例えば、Saito-Diaz, et al., Growth Factors (2013) 31:1-31を参照されたい。癌に加えて、Wnt/β−カテニン経路が過剰活性化した他の疾患には、高骨量疾患及び肥大性肥満が含まれる。さらに、Wnt−βカテニン経路転写因子TCF7L2の変異体は糖尿病と関連している。例えば、MacDonald et al., Developmental Cell (2009) 17, 9-26を参照されたい。
【0253】
別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、JAK−STAT経路関連病態を治療する方法が提供される。別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドと細胞とを接触させることを含む、細胞におけるSTAT1活性を(例えば、JAK−STAT経路におけるSTAT1 S727のリン酸化を阻害し、特定のSTAT1関連遺伝子の上方又は下方調節(正:regulation)をもたらすことによって)調節する方法が提供される。幾つかの実施形態では、該方法はin vitro方法である。幾つかの実施形態では、該方法はin vivo方法である。
【0254】
図7に示されるように、コルチスタチンAはインターフェロン−γ刺激によるSTAT1リン酸化を阻害する。STAT1リン酸化の阻害は、STAT1媒介β細胞アポトーシスの予防によりアテローム性動脈硬化症を含む異常(正:aberrant)炎症を治療するため、MPN及び白血病を含む癌を治療するため、並びに糖尿病を治療するための治療的戦略となり得る。IFN−γはアテローム性動脈硬化病変において高レベルで発現され、STAT1活性化により炎症の増大をもたらし、またIFN−γはSTAT1を活性化してβ細胞アポトーシスを誘導する。例えば、Gysemans et al., Biochem. Soc. Trans (2008) 36:328を参照されたい。また、CDK8によるSTAT1のリン酸化はNK活性化及び腫瘍監視(正:surveillance)を制限することが示されている。したがって、CDK8キナーゼ活性の阻害は、腫瘍細胞の増殖の直接的な阻害に加えて、NKによって媒介される腫瘍細胞死滅を有利に可能にし得る。例えば、Putz et al., CellReports (2013) 4:437-444を参照されたい。
【0255】
CDK8等の核CDKは、BMP及びTGF−βにおけるSMAD転写活性化及び代謝回転を誘導することが報告されている。例えば、Alarcon et al., Cell (2009) 139:757-769を参照されたい。このため、更に別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、TGF−β/BMP経路関連病態を治療する方法が提供される。別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドと細胞とを接触させることを含む、細胞におけるTGF−β/BMP経路を(例えば、TGF−β/BMP経路においてCDK8/CDK19リン酸化SMADタンパク質を阻害し、特定のSMADタンパク質関連遺伝子の上方又は下方調節をもたらすことによって)調節する方法が提供される。幾つかの実施形態では、該方法はin vitro方法である。幾つかの実施形態では、該方法はin vivo方法である。
【0256】
TGF−β及びBMP経路は組織の恒常性に不可欠であり、TGF−β及びBMP経路の活性の調節は筋ジストロフィー(例えば、Ceco, FEBS J. (2013) 280:4198-4209を参照されたい)、移植片に対する免疫応答、癌、線維症及びマルファン症候群(例えば、Akhurst and Hata, Nat Rev Drug Discov (2012) 11:790-811を参照されたい)を含むが、これらに限定されない病態に対する治療戦略となり得る。
【0257】
低酸素症は身体又は身体の領域が十分な酸素供給を失う病態であり、高山病、虚血、脳卒中、心臓発作、貧血、癌及び一酸化炭素中毒に起因し得る。CDK8は低酸素応答の調節と関連付けられており、HIF−1−A(HIF−1−α)標的遺伝子の誘導の役割を果たす。これらの遺伝子は腫瘍の維持及び成長に不可欠なプロセスである、血管新生、解糖、代謝的適応(正:adaptation)、及び細胞生存に関与する。例えば、Galbraith, et al., Cell 153:1327-1339を参照されたい。
【0258】
このため一態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、低酸素症関連病態を治療する方法が提供される。別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、低酸素損傷を軽減する方法が提供される。更に別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドと細胞とを接触させることを含む、細胞におけるHIF−1−A(HIF−1−α)活性を(例えば、HIF−1−α関連遺伝子の発現を阻害することによって)調節する方法が提供される。幾つかの実施形態では、該方法はin vitro方法である。幾つかの実施形態では、該方法はin vivo方法である。
【0259】
別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドと細胞とを接触させることを含む、細胞においてアポトーシスを誘導するためにBIM発現(例えば、BCLC2L11発現)を増大する方法が提供される。幾つかの実施形態では、該方法はin vitro方法である。幾つかの実施形態では、該方法はin vivo方法である。細胞におけるBCL2L11発現を厳重に調節する。BCL2L11はアポトーシス促進タンパク質であるBIMをコードする。BCL2L11は多くの癌において下方調節され、BIMは慢性骨髄性白血病(CML)及び非小細胞肺癌(NSCLC)を含む多くの癌で阻害され、そのBCL2L11発現の抑制はチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を与え得る。例えば、Ng et al., Nat. Med.(2012) 18:521-528を参照されたい。
【0260】
さらに、化合物の一種であるコルチスタチンが血管新生抑制(正:anti-angiogenic)活性を有することが見出されている。例えば非特許文献1を参照されたい。血管新生は、既存の血管系から新たな毛細血管が生成するプロセスである。出生後に血管新生は臓器成長に寄与するが、成人期ではこれは厳密に調節され、創傷治癒及び女性生殖サイクルにおいてのみ生じる。例えば、Klagsbrun et al., Molecular angiogenesis. Chemistry & Biology 1999, 6 (8), R217-R224を参照されたい。正常な生理条件下では血管新生は、制御された期間にわたる血管成長を可能にする一連の血管新生促進因子及び抗血管新生因子によって厳重に制御される。例えば、Ferrara, Vascular Endothelial Growth Factor as a Target for Anticancer Therapy. The Oncologist 2004, 9:2-10を参照されたい。持続的で無秩序な血管新生は関節リウマチ、黄斑変性症、アテローム性動脈硬化症、肥満、良性新生物及び癌を含む広範な疾患に関連している。例えば、Moulton et al., Angiogenesis inhibitors endostatin or TNP-470 reduce intimal neovascularization and plaque growth in apolipoprotein E-deficient mice. Circulation 1999, 99, (13), 1726-1732、及びHanahan et al., The hallmarks of cancer. Cell 2000, 100, (1), 57-70を参照されたい。これらの病的状態はそれらの状態により「血管新生依存性疾患」としてまとめられるが、その他の点で関連性がないことから、生物学における「組織化原理」としての血管新生の概念がFolkmanにより提案され、これにより多くのタイプの一見異なる現象を結びつけることができる。Folkman, Opinion-Angiogenesis: an organizing principle for drug discovery? Nature Reviews Drug Discovery 2007, 6(4):273-286を参照されたい。
【0261】
このため更に別の態様では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、例えば糖尿病状態(例えば糖尿病性網膜症)、炎症状態(例えば関節リウマチ)、黄斑変性症、肥満、アテローム性動脈硬化症又は増殖性障害等の血管新生と関連する病態を治療する方法が提供される。
【0262】
幾つかの実施形態では、血管新生と関連する病態は糖尿病状態又は関連合併症である。幾つかの実施形態では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、糖尿病状態又は関連合併症を治療する方法が提供される。
【0263】
本明細書で使用される場合、「糖尿病状態」は糖尿病及び糖尿病前症を指す。糖尿病は、身体が十分なインスリンを産生しないか、又は細胞が産生されるインスリンに応答しないために個体が高血糖を有する代謝的疾患群を指す。この高血糖により多尿症(頻尿)、多飲症(口渇感の増大)及び多食症(空腹感の増大)の古典的症状が生じる。幾つかのタイプの糖尿病が存在する。1型糖尿病は身体のインスリン産生不良に起因し、現時点では個体はインスリンを注射するか又はインスリンポンプを身に付ける必要がある。2型糖尿病は細胞がインスリンを適切に使用することができない状態であるインスリン耐性に起因し、絶対的インスリン欠乏を伴う場合もある。妊娠性糖尿病は、以前に糖尿病と診断されていない妊婦に高血中グルコースレベルが見られる場合に生じる。糖尿病の他の形態としては、インスリン分泌の遺伝的欠陥に起因する先天性糖尿病、嚢胞性線維症関連糖尿病、高用量のグルココルチコイドによって誘導されるステロイド糖尿病、及び幾つかの形態の単一遺伝子糖尿病、例えば若年発症成人型糖尿病(mature onset diabetes of the young)(例えばMODY1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10)が挙げられる。糖尿病前症は、個体の血中グルコースレベルが正常よりも高いが、糖尿病と診断されるほどには高くない病態を指す。
【0264】
全ての形態の糖尿病が長期合併症(本明細書で糖尿病状態の「関連合併症」と称される)のリスクを増大する。これらは通例、何年もたってから発症するが、そうでなければその時点まで診断を受けていない個体における最初の症状となる場合もある。主な長期合併症は血管の損傷に関連する。糖尿病は、虚血性心臓病(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中及び末梢血管疾患等の心血管疾患及び大血管疾患のリスクを倍にする。糖尿病は大血管合併症、例えば微小血管の損傷も引き起こす。目の網膜における血管形成に影響を及ぼす糖尿病性網膜症は視覚症状、視力の低下、潜在的には失明をもたらし得る。糖尿病の腎臓に対する影響である糖尿病性腎症は腎組織における瘢痕変化、尿中への少量又は徐々に大量のタンパク質の流出、最終的には透析を必要とする慢性腎疾患をもたらし得る。糖尿病性神経障害は神経系に対する糖尿病の影響であり、最も一般には足にしびれ、刺痛及び疼痛を引き起こすとともに、感覚変化による皮膚損傷のリスクを増大する。足における血管疾患とともに、神経障害も糖尿病に関連する足の問題、例えば治療が困難であり、切断術が必要となる場合もある糖尿病性足潰瘍のリスクに寄与する。
【0265】
当業者に理解されるように、糖尿病状態又は合併症の治療では、投与される有効量の化合物は、例えば以下の症状のいずれか1つを緩和、予防するか又は発症を遅らせることができる:空腹時血漿グルコースレベルを減少させる[典型的な糖尿病レベルは7.0mmol/l(126mg/dl)以上である;典型的な糖尿病前症範囲は6.1mmol/l〜6.9mmol/lである];血漿グルコースを減少させる[典型的な糖尿病レベルは、グルコース負荷試験のような75g経口グルコース負荷の2時間後に11.1mmol/l(200mg/dL)以上である];高血糖の症状及び随時血漿グルコースを減少させる[典型的な糖尿病レベルは11.1mmol/l(200mg/dl)以上である];糖化ヘモグロビン(Hb A1C)のレベルを減少させる[典型的な糖尿病レベルは6.5%以上である]。空腹時グルコースレベルが110mg/dl〜125mg/dl(6.1mmol/l〜6.9mmol/l)の対象は、空腹時グルコースが異常であるとみなされる。75g経口グルコース負荷の2時間後に血漿グルコースが140mg/dL(7.8mmol/L)以上であるが、200mg/dL(11.1mmol/L)を超えない対象は、耐糖能が異常であるとみなされる。
【0266】
幾つかの実施形態では、関連合併症は糖尿病性網膜症である。例えば、幾つかの実施形態では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、糖尿病性網膜症を治療する方法が提供される。
【0267】
幾つかの実施形態では、血管新生と関連する病態は黄斑変性症である。幾つかの実施形態では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、黄斑変性症を治療する方法が提供される。
【0268】
幾つかの実施形態では、血管新生と関連する病態は肥満である。本明細書で使用される場合、「肥満」及び「肥満の(obese)」は、世界保健機関によって規定される肥満クラスI、肥満クラスII、肥満クラスIII及び前肥満(例えば「過体重」である)を指す。幾つかの実施形態では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、肥満を治療する方法が提供される。証拠により脂肪組織の拡大が血管系発生に依存することが示唆される。したがって、血管新生の阻害は肥満を予防及び治療するために脂肪組織の拡大を制限する治療的戦略となり得る。例えば、Christiaens and Lijnen, Molecular and Cellular Endocrinology (2010) 318:2-9を参照されたい。
【0269】
幾つかの実施形態では、血管新生と関連する病態はアテローム性動脈硬化症である。幾つかの実施形態では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症を治療する方法が提供される。証拠により新たな血管新生がアテローム性動脈硬化病変に生じ、それらの成長及び破裂に寄与することが示唆される。したがって、血管新生の阻害は、アテローム性動脈硬化症を予防及び治療するために動脈硬化性プラークの拡大、成長及び最終的な破裂を制限する治療的戦略となり得る。例えば、Ho-Tin-Noe et al., Trends Cariovasc. Med. (2011) 21:183-187を参照されたい。
【0270】
幾つかの実施形態では、血管新生と関連する病態は増殖性障害である。幾つかの実施形態では、式(A)、(B)、(C)、(D)若しくは(E)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを、それを必要とする対象に投与することを含む、増殖性障害を治療する方法が提供される。
【0271】
例示的な増殖性障害としては、腫瘍(例えば固形腫瘍)、良性(正:benign)新生物、前癌新生物(pre-malignant neoplasms)(上皮内癌)及び悪性(正:malignant)新生物(癌)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0272】
癌の例としては、聴神経腫、腺癌、副腎癌、肛門癌、脈管肉腫(angiosarcoma)(例えばリンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、血管肉腫)、虫垂癌、良性単クローン性ガンマグロブリン血症、胆道癌(例えば胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳腺癌(mammary cancer)、乳房の髄様癌)、脳腫瘍(brain cancer)(例えば髄膜腫;神経膠腫、例えば星状細胞腫、乏突起膠腫;髄芽腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、子宮頸癌(例えば子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸癌(例えば結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、上皮癌、上衣腫、内皮筋腫(例えばカポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば食道の腺癌、バレット腺癌(正:adenocarcinoma))、ユーイング肉腫、眼腫瘍(eye cancer)(例えば眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性過好酸球増加症、胆嚢癌、胃癌(例えば胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部癌(例えば頭頸部扁平上皮癌、口腔癌(例えば口腔扁平上皮癌(OSCC)、咽喉癌(例えば喉頭癌、咽頭癌、上咽頭癌、中咽頭癌))、造血器癌(例えば急性リンパ芽球性白血病又は急性リンパ性白血病(例えばB細胞 ALL、T細胞 ALL)としても知られる急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えばB細胞 AML、T細胞 AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えばB細胞 CML、T細胞 CML)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)(例えばB細胞 CLL、T細胞 CLL);リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫(HL)(例えばB細胞 HL、T細胞 HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えばびまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えばびまん性大B細胞型リンパ腫(DLBCL)等のB細胞 NHL)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、外套細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯B細胞リンパ腫)、縦隔原発B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち「ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症」)、有毛細胞白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆体B−リンパ芽球性リンパ腫及び原発中枢神経系(CNS)リンパ腫;並びにT細胞 NHL、例えば前駆体T−リンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば菌状息肉腫(正:mycosis fungoides)、セザリー症候群)、血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫);上記のような1つ又は複数の白血病/リンパ腫の混合物;並びに多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えばα鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病)、血管芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、免疫球性アミロイドーシス、腎臓癌(例えばウィルムス腫瘍としても知られる腎芽腫、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば肝細胞癌(HCC)、悪性肝細胞腫)、肺癌(例えば気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば全身性肥満細胞症)、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、骨髄線維症(MF)としても知られる特発性骨髄化生(AMM)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば1型又は2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば胃腸膵神経内分泌(正:neuroendocrine)腫瘍(GEP−NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣癌(例えば嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓癌(例えば膵臓腺癌(正:adenocarcinoma)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm)(IPMN)、膵島細胞腫瘍)、陰茎癌(例えば陰茎及び陰嚢のパジェット病)、松果体腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、前立腺癌(例えば前立腺の腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば虫垂癌)、軟組織肉腫(例えば悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば精上皮腫、精巣胎芽性癌)、甲状腺癌(例えば甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、膣癌、並びに外陰癌(例えば外陰部のパジェット病)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0273】
幾つかの実施形態では、癌はCDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する。
【0274】
幾つかの実施形態では、癌は造血器癌である。幾つかの実施形態では、造血器癌はリンパ腫である。幾つかの実施形態では、造血器癌は白血病である。幾つかの実施形態では、白血病は急性骨髄性白血病(AML)である。図4図5図6及び図8に示されるように、コルチスタチンA又はコルチスタチンA類縁体はAML細胞系列の増殖をin vitroで阻害し、図12に示されるように、コルチスタチンAはAMLの進行をin vivoで阻害する。
【0275】
幾つかの実施形態では、増殖性障害は骨髄増殖性腫瘍である。幾つかの実施形態では、骨髄増殖性腫瘍(MPN)は原発性骨髄線維症(PMF)である。図8に示されるように、コルチスタチンAはMPNを有する患者に由来する細胞系列の増殖を阻害し、図14に示されるように、コルチスタチンAはPMFのin vivoモデルにおいて有効である。
【0276】
幾つかの実施形態では、癌は固形腫瘍である。固形腫瘍は本明細書で使用される場合、通常は嚢胞又は液体領域を含有しない異常な組織塊を指す。種々のタイプの固形腫瘍が、それを形成する細胞のタイプから名付けられている。固形腫瘍群の例としては、本明細書で上記される肉腫、癌及びリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。固形腫瘍の付加的な例としては、扁平上皮癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌及び黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0277】
式(A)、(B)、(C)、(D)又は(E)の化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン及びN−オキシドは、投与の容易さ及び投与量の均一性のために投与単位形態に配合することができる。しかしながら、本明細書に記載の化合物を含む組成物の総一日使用量は、主治医によって正しい医学的判断の範囲内で決定されることを理解されたい。任意の特定の対象又は生物に対する特定の治療上効果的な用量レベルは、治療される疾患、障害又は病態、及び障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;対象の年齢、体重、全身健康状態、性別及び食習慣;投与時間、投与経路及び用いられる特定の化合物の排出速度;治療期間;用いられる特定の化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬物;並びに医療技術において既知の同様の因子を含む様々な因子に応じて異なる。
【0278】
本明細書で提供される化合物及び組成物は、経腸(例えば経口)、非経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、皮下、脳室内、経皮、皮内、直腸、腟内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、クリーム及び/又は滴剤として)、粘膜、経鼻、口腔内(正:buccal)、舌下を含む任意の経路によって;気管内注入、気管支注入及び/又は吸入によって;及び/又は口腔スプレー、鼻腔用スプレー及び/又はエアロゾルとして投与することができる。具体的に企図される経路は経口投与、静脈内投与(例えば全身静脈注射)、血液及び/又はリンパ液供給を介した局部投与、及び/又は患部への直接投与である。概して、最も適切な投与経路は、作用物質の性質(例えば、胃腸管環境におけるその安定性)、対象の状態(例えば、対象が経口投与を耐容し得るか否か)を含む様々な因子に応じて異なる。
【0279】
有効量を達成するのに必要とされる化合物の正確な量は対象によって異なり、例えば対象の種、年齢及び全身状態、副作用又は障害の重症度、特定の化合物(複数の場合もある)の同一性、投与方法等に左右される。所望の投与量は1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、2日おき、毎週、2週間おき、3週間おき又は4週間おきに送達することができる。幾つかの実施形態では、所望の投与量を複数回投与(例えば2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回又はそれ以上の投与)を用いて送達することができる。
【0280】
幾つかの実施形態では、70kgの成人に対して1日1回又は複数回投与される化合物の有効量は、単位投与形態当たり約0.0001mg〜約3000mg、約0.0001mg〜約2000mg、約0.0001mg〜約1000mg、約0.001mg〜約1000mg、約0.01mg〜約1000mg、約0.1mg〜約1000mg、約1mg〜約1000mg、約1mg〜約100mg、約0.1mg〜約10mg又は約0.1mg〜約15mgの化合物を含み得る。
【0281】
幾つかの実施形態では、所望の治療効果を得るために化合物を1日当たり約0.001mg/kg〜約100mg/kg、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg〜約40mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg〜約30mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、より好ましくは約0.01mg/kg〜約1mg/kg(対象の体重)を送達するのに十分な投与量レベルで成人に経口で又は非経口的に1日1回又は複数回投与することができる。
【0282】
本明細書に記載の用量範囲が、提供される医薬組成物の成人に対する投与への指針を与えることが理解される。例えば幼児又は青年に投与される量は医師又は当業者により決定され、成人に投与される量以下であり得る。
【0283】
本明細書に記載の化合物又は組成物は、1つ又は複数の付加的な治療活性物質と組み合わせて投与することができることも理解される。化合物又は組成物は、それらのバイオアベイラビリティを改善し、それらの代謝を低減及び/又は変更し、それらの排出を阻害し、及び/又は身体内でのそれらの分散を変更する付加的な治療活性物質と組み合わせて投与することができる。用いられる療法が同じ障害に対して所望の効果を達成し(例えば、化合物を抗炎症剤、抗癌剤等と組み合わせて投与することができる)、及び/又は異なる効果を達成し得る(例えば有害な副作用の制御、例えば制吐剤による嘔吐の制御)ことも理解される。
【0284】
化合物又は組成物は、1つ又は複数の付加的な治療活性物質と同時に、その前に又はその後に投与することができる。概して、各々の作用物質はその作用物質について決定される量及び/又はタイムスケジュールで投与される。この組合せで利用される付加的な治療活性物質を単一の組成物中でとともに投与しても、又は異なる組成物中で別個に投与してもよいことが更に理解される。計画中で用いる特定の組合せには、付加的な治療活性物質及び/又は達成すべき所望の治療効果との本化合物の適合性を考慮に入れる。概して、組合せで利用される付加的な治療活性物質は、それらを個別に利用するレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。一部の実施形態では、組合せで利用されるレベルは個別に利用されるレベルよりも低くなる。
【0285】
付加的な治療活性物質の例としては、小有機分子、例えば薬剤化合物(例えば、連邦規制基準(CFR)に提示されるように食品医薬品局によって認可された化合物)、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチド又はタンパク質、タンパク質と結び付いた小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミン及び細胞が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、付加的な治療活性物質は抗癌剤、例えば放射線療法剤及び/又は1つ若しくは複数の化学療法剤である。
【0286】
調製方法
式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の化合物を作製する方法が更にまた提供される。本明細書で企図される例示的な化合物の合成をスキーム2〜スキーム14に提示する。
【0287】
初めに、式(I)の化合物を出発物質として用いた合成が企図される。エストロン(Rが−CHである)又はノルエストロン(RがHである)(I)の酸化(例えばDDQ、MnO)により式(III)の化合物が得られる。例えば、Stephan et al., Steroid, 1995, 60, 809-811を参照されたい。式(III)の化合物をアセタール又はケタール(例えば、HX又はHX−RH(式中、2つのR基は連結し、RB1及びRB2は各々独立して−Xである)との反応による)として保護し、(IV)−A及び(IV)−Bの混合物(例えば1:1混合物)を得る。保護について企図される例示的な条件には、PTSA及びエチレングリコール、PTSA及びCH(OMe)、PTSA及びCH(OEt)、PTSA及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)が含まれる。次いで、保護された化合物をアルキル化剤(例えば、MeSO及びKCO、EtN(i−Pr)及びTMS−ジアゾメタン)を用いてアルキル化(例えばメチル化)し、(V)−A及び(V)−B(式中、Eは任意に置換されたアルキルである)を得る。スキーム2を参照されたい。
【化121】
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【0288】
スキーム3に、例えばRが−CHである式(IV−B)の化合物を得るための他の例示的な経路を提示する。例えば、式(V)−Bの化合物は、スキーム3(A)に記載のように4つの工程で6−メトキシ−1−テトラロンからラセミ混合物として達成される。グリニャール反応については、例えばSaraber et al., Tetrahedron, 2006, 62, 1726-1742を参照されたい。水素化については、例えばSugahara et al., Tetrahedron Lett, 1996, 37, 7403-7406を参照されたい。スキーム3(B)に、高光学純度の(enantiopure)Torgovの中間体をキラル分割によって得る方法を示す。例えば、Bucourt et al., J. Bull. Soc. Chim. Fr. (1967) 561-563を参照されたい。スキーム3(C)には、酵素還元によって補助される高光学純度のTorgovの中間体を調製する別の方法を提示する。例えば、Gibian et al., Tetrahedron Lett. (1966) 7:2321-2330を参照されたい。
【化122】
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【0289】
式(IV−A)及び(IV−B)の化合物を用いて、エポキシ化/エポキシド開環/エポキシ化反応をワンポットで行い(例えばMMPP、mCPBA)、式(IX−A)及び(IX−B)の化合物を得る。これらは主要化合物である(IX−A)と平衡下にある。スキーム4A及び4Bを参照されたい。
【化123】
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【0290】
式(IX−A)及び(IX−B)の化合物を、バーチ還元条件(例えば、Li/NH及びt−BuOH、Na/NH及びt−BuOH)に曝露し、脱芳香化化合物(X)を得る。次いで、A環のC3をアセタール又はケタール(例えば、HX又はHX−RH(式中、2つのR基は連結し、RB1及びRB2は各々独立して−Xである)との反応による)として保護し、化合物(XI)を得る。例示的な保護条件には、PTSA及びエチレングリコール、PTSA及びCH(OMe)、PTSA及びCH(OEt)、並びにPTSA及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールが含まれる。スキーム5を参照されたい。
【化124】
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【0291】
化合物(XI)を、エーテル化(例えばNBS、NIS、例えばXがBr又はIである場合)によって式(XIII)の化合物へと変換する。次いで、この化合物を酸化し(例えば、SO・Py/DMSO及びトリエチルアミン、IBX、(COCl)/DMSO及びトリエチルアミン)、式(XIV)の化合物を得る。次いで、この化合物を塩基(例えばDBU、トリエチルアミン)で処理し、式(XV)の化合物を得る。次いで、この化合物を還元し(例えば、NaBH及びCeCl、L−selectride)、式(XVI)の化合物を得る。スキーム6を参照されたい。
【化125】
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【0292】
次いで、式(XVI)の化合物をシクロプロパン化試薬(例えば、ZnEt及びClCHI、ZnEt及びCH、Zn−Cu及びCH)で処理し、式(XVII)の化合物を得る。LGがスルホニルであるシクロプロパン化生成物のアルコールを活性化し(例えば、アルコールをTfO、MsClで処理して、LGがTf又はMsである活性化アルコールを得る)、塩基(例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン、2,6−ルチジン、トリエチルアミン)で処理して、式(XX)の化合物を得る。例えば、Magnus et al., Org. Lett. 2009, 11, 3938-3941を参照されたい。スキーム7を参照されたい。
【化126】
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【0293】
次いで、式(XX)の化合物のD環上の保護基を酸性条件下(例えば、PTSA及びアセトン/水、TFA/水)で脱保護し、式(XXI)のケトン中間体を得る。この生成物をRB1−X(例えばRB1−Br、RB1−I)から調製される式RB1−Mの化合物(例えばRB1−CeCl、RB1−Mg)で処理し、RB1が本明細書に規定の非水素基である式(XXII)の化合物を得る。式(XXII)の化合物を活性化し(例えば、TFAA及びピリジン、PhNCS及びKH)、式(XXIII)の化合物を得る。式(XXIII)の化合物(例えば、AIBN及びBuSnH)の還元により式(XXIV)の化合物を得る。工程S14、S15及びS16については、例えばFlyer et al., Nature. Chem. 2010, 2, 886-892.及びYamashita et al., J. Org. Chem. 2011, 76, 2408-2425を参照されたい。スキーム8Aを参照されたい。
【0294】
化合物(XXIV)は、(XX)からLGがスルホニルである活性化アルコールへの変換(例えば、アルコールをTfO、MsClで処理し、LGがTf又はMsである活性化アルコールを得る;トリフレート化(triflation)、例えばKHMDS及びPhNTf、LiHMDS及びPhNTf、TfO及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジンによる)、続いて式(XXVI)の化合物を得るためのRB1−M(式中、Mは置換ホウ素(例えば−B(R’)、ここで各々のR’は−OR’’又はアルキルであり、アルキル及びR’’はアルキルであっても、又は連結して環を形成してもよい)によるパラジウム触媒クロスカップリングによって調製することもできる。例示的なパラジウム触媒クロスカップリング条件としては、RB1−B(pin)、RB1−(9−BBN−H)、RB1−OBBD若しくはRB1−B(cat)及びPd(PPh及びNaCO、又はPd(dppf)Cl及びKPO)(pin=ピナコール;cat=カテコール;OBBD=9−オキサ−10−ボラビシクロ(正:borabicyclo)[3.3.2]デカン;9−BBN−H=9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Nicolaou et al., J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 10587-10597を参照されたい。C16−C17二重結合の水素化(例えば、Pd/C及びH、ラネーニッケル及びH)により式(XXIV)の化合物が得られる。スキーム8Bを参照されたい。
【化127】
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【0295】
次いで、式(XXVI)又は(XXIV)の化合物のいずれか一方を脱保護し(例えば、PTSA及びアセトン/水、TFA/水、HCl)、得られるα炭素を求電子試薬(例えばR−LG(式中、LGは脱離基、例えば−OSOaaである))によりアルキル化し、Rが非水素基である対応するアルキル化生成物を得ることができる。スキーム9A及び9Bを参照されたい。
【化128】
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【0296】
次いで、スキーム9(A)及び9(B)に提示されるケトン化合物を式HNRのアミンで処理し、工程S22に示されるように縮合生成物であるイミンを形成することができる。ケトン化合物を式HNRのアミン又はその塩により還元的アミノ化条件下で処理し、工程S23に示されるようにアミノ化生成物を得ることができる。例示的な還元的アミノ化条件としては、酸性pH(例えばpH3)下でのNaCNBH、NaCN(9BBN)H又はNaBH(OAc)が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ化生成物は、工程S25に示されるように対応するN−オキシドへと更に酸化することができる。例示的な酸化条件としては、H、mCPBA又はDMDOが挙げられるが、これらに限定されない。スキーム10A〜10Dを参照されたい。
【化129】
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【0297】
式(XXV)の化合物は、CO及びHN(R)RB3(例えば、Pd(PPh及びトリエチルアミン、Pd(dppf)Cl及びトリエチルアミン)を用いたパラジウム触媒カルボニル化アミノ化によって式(XXV−i)の化合物へと変換することができる。式(XXV−i)、(XXV−iii)、(XXV−iv)及び(XXV−v)の化合物を得るための以下の工程の条件は先に記載したものと同じである。スキーム11を参照されたい。
【化130】
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【0298】
次いで、スキーム11に提示されるケトン化合物を、先に記載の対応するイミン、アミン及びN−オキシドへと変換することができる。スキーム12A及び12Bを参照されたい。
【化131】
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【0299】
モノケトン化合物(XXI)を、先に記載の条件下でHNRB4B5(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロ−[2,7]ナフチリジン)を用いて還元的にアミノ化し、式(正:Formula)(XXVII)の化合物を得ることができる。化合物(XXVII)は先に記載の対応するイミン、アミン及びN−オキシドへと変換することができる。スキーム13を参照されたい。
【化132】
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【0300】
ケトンを更に合成的に操作して、対象となる他の化合物を得ることができる。式(XXIV−i)のケトンを例とすると、ケトンを還元剤の存在下で還元し(工程S26に示されるように)、C−3ヒドロキシル化化合物を得ることができる。スキーム14を参照されたい。例示的な還元剤としては、L−selectride、K−selectride、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBALH)及び水素化アルミニウムリチウム(LAH)が挙げられる。さらに、様々な還元剤により、主要異性体として一方のC−3ヒドロキシル化化合物が他方に対して優先的に生成される。例えばL−selectrideを使用すると、好ましくはβ異性体が主要異性体として生成するが、水素化アルミニウムリチウム(LAH)を使用すると、好ましくはα異性体が主要異性体として生成する。
【0301】
本明細書で使用される場合、「主要異性体」は他の異性体を上回って、すなわち反応により生成する2つの異性体の合計の50%超、例えば反応により生成する2つの異性体の合計の60%、70%、80%、90%又は95%超生成する異性体を指す。
【0302】
次いで、式(D)のC−3ヒドロキシル化化合物を(例えば、光延反応条件下(例えば、HOC(=O)R、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)又はアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)及びPPh)での式−C(=O)R基による置換により、反応を開始する前又はin situで(反応中に)、基LG−C(=O)R(式中、LGは脱離基である)との反応によって)式(E)の化合物へと活性化した後、式NHRのアミンで処理し、主要異性体としてC3立体化学が逆転した式(A)の化合物を得ることができる(工程S28に示される)。代替的に(正:Alternatively)、式(D)のC−3ヒドロキシル化(正:hydroxylated)化合物を塩基及び式R−LG(式中、LGは脱離基である)の化合物で処理し、主要異性体としてC3−立体化学が保持された保護C3−ヒドロキシル化合物を得ることができる(工程S27に示される)。
【化133】
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【0303】
このため、一態様では、式(A):
【化134】
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の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを作製する方法であって、式(B):
【化135】
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の化合物又はその薬学的に許容可能な塩(ただし、RB1及びRB2は連結してオキソ基を形成しない)と式HNRのアミン又はその塩とを還元的アミノ化条件下で接触させることを含む、方法が提供される。幾つかの実施形態では、該方法は他の異性体を上回る主要異性体として1つのC3異性体を調製することを含む。例えば、幾つかの実施形態では、該方法は式(A−1)の化合物を主要異性体として調製することを含む。他の実施形態では、該方法は式(A−2)の化合物を主要異性体として調製することを含む。
【化136】
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【0304】
幾つかの実施形態では、該方法は式(A)の化合物を酸化して(正:oxidizing)、式(A−NO):
【化137】
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のN−オキシド又はその薬学的に許容可能な塩を得ることを更に含む。
【0305】
他の実施形態では、式(D):
【化138】
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の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを作製する方法であって、式(B):
【化139】
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の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と還元剤とを接触させることを含む、方法が提供される。幾つかの実施形態では、該方法は他の異性体を上回る主要異性体として1つのC3異性体を調製することを含む。例えば、幾つかの実施形態では、該方法は式(D−1)の化合物を主要異性体として調製することを含む。他の実施形態では、該方法は式(D−2)の化合物を主要異性体として調製することを含む。
【化140】
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【0306】
別の態様では、式(E):
【化141】
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の化合物、その薬学的に許容可能な塩を作製する方法であって、式(D):
【化142】
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の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と式R−LG(式中、LGは脱離基である)の化合物とを接触させ、式(E)の化合物を得ることを含む、方法が提供される。
【0307】
別の態様では、式(A):
【化143】
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の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、第四級アミン塩若しくはN−オキシドを作製する方法であって、式(E):
【化144】
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(式中、Rは−C(=O)Rである)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を準備することと、式(E)の化合物を式NHRの化合物で処理し、式(A)の化合物を得ることとを含む、方法が提供される。幾つかの実施形態では、Rが−C(=O)Rである式(E)の化合物を、式R−LGの化合物による式(D)の化合物の活性化によってin situで生成する。幾つかの実施形態では、式(E)の化合物は式(E−1)の化合物であり、該方法により式(A−2)の化合物が主要異性体として生成する。幾つかの実施形態では、式(E)の化合物は式(E−2)の化合物であり、該方法により式(A−1)の化合物が主要異性体として生成する。
【0308】
突然変異体及びアッセイ方法
概して本明細書に記載されるように、新規のCDK8及びCDK19点突然変異体及びそれらの使用方法が更に提供される。
【0309】
Trp105Met等のTrp105に点突然変異を有するCDK8及びCDK19は細胞活性及びin vitro活性を保持するが、コルチスタチン又はコルチスタチン類縁体による阻害に非感受性であり得る。図10に示されるように、FLAG−CDK8 W105M及びFLAG−CDK19 W105Mの発現は、コルチスタチンAによる成長阻害に対するMOLM−14細胞の感度を低減し、FLAG−CDK8W105MはコルチスタチンAの存在下でキナーゼ活性を保持する。CDK8及び/又はCDK19 Trp105点突然変異体は、異なる疾患に対する薬物標的としての状況を含む種々の状況でCDK8及びCDK19キナーゼ活性を検証するために、コルチスタチン又はコルチスタチン類縁体とともに使用することができる。加えて、CDK8及び/又はCDK19 Trp105点突然変異体は、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ基質及びシグナル伝達経路を解明するためにコルチスタチン又はコルチスタチン類縁体とともに使用することができる。これらの点突然変異体は過剰発現又はノックインを用いて細胞中で発現させ、構成的に発現させるか又は誘導発現することができる。これらの点突然変異体は、CDK8及び/又はCDK19を選択的に標的とする新たな化学構造を発見するためにスクリーニングプログラムに使用することができる。
【0310】
CDK8の野生型アミノ酸配列を下記配列番号1に提示する。Trp105に下線を付けている。本明細書で有用なCDK8 Trp105点突然変異体は105位にアミノ酸置換を含む。
【0311】
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【0312】
CDK19の野生型アミノ酸配列を下記配列番号2に提示する。Trp105に下線を付けている。本明細書で有用なCDK19 Trp105点突然変異体は105位にアミノ酸置換を含む。
【0313】

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【0314】
このため一態様では、CDK8又はCDK19 Trp105点突然変異体と本明細書に記載のコルチスタチン又はコルチスタチン類縁体とを接触させることによって、細胞におけるCDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性を検証する方法が提供される。別の態様では、CDK8又はCDK19 Trp105点突然変異体を細胞中で発現させ、該細胞を本明細書に記載のコルチスタチン又はコルチスタチン類縁体に対して脱感作するによって、細胞におけるCDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性を検証する方法が提供される。
【0315】
別の態様では、CDK8 Trp105点突然変異体が提供される。幾つかの実施形態では、CDK8 Trp105点突然変異体は配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、例えば少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約97%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、例えば少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約97%の相同性を有するタンパク質が更に提供される。
【0316】
更に別の態様では、CDK19 Trp105点突然変異体が提供される。幾つかの実施形態では、CDK19 Trp105点突然変異体は配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、例えば少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約97%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、例えば少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約97%の相同性を有するタンパク質が更に提供される。
【0317】
更に別の態様では、CDK19 Trp105点突然変異体が提供される。幾つかの実施形態では、CDK19 Trp105点突然変異体は配列番号2に挙げられるアミノ酸配列を有する。配列番号2に80%相同なタンパク質が更に提供される。
【0318】
一実施形態では、本明細書の方法に有用なCDK8 Trp105点突然変異体は、配列番号1のCDK8ポリペプチドの105位に位置するメチオニン置換を有する。一実施形態では、本明細書の方法に有用なCDK19 Trp105点突然変異体は配列番号2のCDK19ポリペプチドの105位に位置するメチオニン置換を有する。上述の実施形態のいずれにおいても、他の天然又は非天然アミノ酸等の別のアミノ酸がTrp105の代わりに置換されていてもよい。天然アミノ酸の非限定的な例としては、イソロイシン、ロイシン、バリン、アラニン、リシン、アルギニン、スレオニン、グルタミン酸、メチオニン及びシステインが挙げられる。非天然アミノ酸の非限定的な例としてはエチオニン又はノルロイシンが挙げられる。
【0319】
一実施形態では、本明細書で有用なCDK8 Trp105点突然変異体は配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約97%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。一実施形態では、配列番号1のCDK8 Trp105点突然変異体は1つ又は複数のアミノ酸の付加的な1つ又は複数の置換、欠失、及び/又は挿入を含む。別の実施形態では、CDK8 Trp105点突然変異体は配列番号1の対立遺伝子変異体である。対立遺伝子変異体は、同じ染色体座を占める遺伝子の2つ以上の代替形態のいずれかを表す。対立遺伝子変異は突然変異によって自然に生じ、集団内に多型をもたらし得る。遺伝子突然変異はサイレントであっても(コードされるポリペプチドに変化なし)、又はアミノ酸配列の変更を有するポリペプチドをコードしていてもよい。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子変異体によってコードされるポリペプチドである。
【0320】
一実施形態では、CDK8 Trp105点突然変異体は、CDK8活性を有する配列番号1のフラグメント又はその対立遺伝子変異体である。配列番号1のフラグメントは、配列番号1のアミノ及び/又はカルボキシル末端から1つ若しくは複数のアミノ酸が欠失したCDK8 Trp105点突然変異体、又はその対立遺伝子変異体である。
【0321】
本明細書で有用なCDK8 Trp105点突然変異体は、配列番号1のCDK8ポリペプチドの少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%又は少なくとも約95%のCDK8キナーゼ活性を有する。
【0322】
一実施形態では、本明細書で有用なCDK19 Trp105点突然変異体は配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約97%の相同性を有するアミノ酸配列を有する。一実施形態では、配列番号2のCDK19 Trp105点突然変異体は1つ又は複数のアミノ酸の付加的な1つ又は複数の置換、欠失、及び/又は挿入を含む。別の実施形態では、CDK19 Trp105点突然変異体は配列番号2の対立遺伝子変異体である。
【0323】
一実施形態では、CDK19 Trp105点突然変異体は、CDK19活性を有する配列番号2のフラグメント又はその対立遺伝子変異体である。配列番号2のフラグメントは、配列番号2のアミノ及び/又はカルボキシル末端から1つ若しくは複数のアミノ酸が欠失したCDK19 Trp105点突然変異体、又はその対立遺伝子変異体である。
【0324】
本明細書で有用なCDK19 Trp105点突然変異体は、配列番号2のCDK19ポリペプチドの少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%又は少なくとも約95%のCDK19キナーゼ活性を有する。
【0325】
一実施形態では、本明細書で有用なCDK8又はCDK19 Trp105点突然変異体は、ペプチドタグ(例えばFLAG(商標)タグ、GSTタグ、ヒトインフルエンザ血球凝集素(HA)タグ、キチン結合タンパク質(CBP)タグ、マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)タグ、ポリ(His)タグ、V5−タグ、Myc−タグ)又は蛍光タグ(例えばeGFPタグ、mCherryタグ)等のタグを含む。
【0326】
コルチスタチン又はコルチスタチン類縁体に対する対象の応答を予測又は決定する方法も企図される。例えば、対象がCDK8及び/又はCDK19のTrp105に位置する点突然変異を有するか否かを決定するために対象に由来するサンプルを分析する方法が提供される。一実施形態では、点突然変異はTrp105Metである。Trp105突然変異の1つ又は複数の存在は概して、コルチスタチン又はコルチスタチン類縁体に対する対象の応答の低下又は不良の指標となる。一実施形態では、対象がCDK8及び/又はCDK19のTrp105に位置する点突然変異を有する場合に、コルチスタチン又はコルチスタチン類縁体に加えて異なる薬物を対象に投与する。
【実施例】
【0327】
本明細書に記載の本発明をより完全に理解するために、以下の実施例を説明する。これらの実施例が例示のみを目的とし、本発明を決して限定するものと解釈されないことを理解されたい。
【0328】
合成方法
材料及び計測装置
特に断りのない限り、全ての反応をアルゴンの陽圧下において火力乾燥ガラス器具内で行った。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル60(40μm〜63μm、Whatman)を用いてStill et al., J. Org. Chem. 1978, 43, 2923-2925に記載のように行った。
【0329】
以下の点を例外として、市販の試薬及び溶媒をそのまま使用した。テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(CHCl)はアルゴンを用いて脱気し、Pangborn et al., Organometallics 1996, 15, 1518-1520に記載のようにアルミナカラムを利用した溶媒精製システム(Glass ContourのJ. C. Meyerによって設計される)に通した。ピリジン及びトリエチルアミンは使用前に水素化カルシウムで蒸留した。使用したセライトは、J.T. Bakerから購入したCelite(商標) 545であった。n−ブチルリチウム溶液のモル濃度は、1,10−フェナントロリンを指示薬として用いる滴定によって決定した(3回の決定の平均)。
【0330】
H NMRスペクトルはVarian INOVA−600又はVarian INOVA−500分光計を用いて記録した。プロトン化学シフトをパーツパーミリオン(parts per million)(δスケール)で報告し、残留非重水素化溶媒を内部参照として用いて較正する(CDCl:δ7.26(CHCl)、C:δ7.15(CH))。H NMRスペクトルのデータは以下のように報告する:化学シフト(δppm)(多重度、カップリング定数(Hz)、積分値)。多重度は以下のように報告する:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、br=ブロード、app=見掛け(apparent)又はそれらの組合せ。13C NMRスペクトルはVarian INOVA−500分光計を用いて記録した。高分解能質量スペクトル(HRMS)はハーバード大学質量分析学研究室によって得られ、Agilentの6210 TOF LC/MS機器でエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析(MS)実験が行われた。
【0331】
実施例1. イソキノリン含有化合物の合成
【化145】
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【0332】
経路1:6−メトキシ−1−テトラロンからの8,9−不飽和メトキシエチレンケトンの合成(化合物1)
20.0g(113mmol、1.00当量)の6−メトキシ−1−テトラロンを用いてグリニャール反応を行い、生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製せずに使用した。例えば、Saraber et al., Tetrahedron 2006, 62, 1726-1742を参照されたい。グリニャール反応生成物及び2−メチル−1,3−ペンタジエノン(12.8g、114mmol、1.01当量)のキシレン(140mL)溶液にAcOH(64.6mL、1.13mol、10.0当量)を添加し、反応混合物を温めて還流させた。2時間後、反応を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。トルエン及びエチルエーテルの1:1混合物を添加して固体残渣を溶解し、混合物を濾過した。濾液を飽和NaHCO溶液(200mL)及びブラインで順次洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1:1 ヘキサン:EtOAc:DCM)によって精製して、Torgovのジエンを得た。スペクトルデータは以前に報告されたものと一致していた。例えば、Soorukram, D.; Knochel, P. Org. Lett. 2007, 9, 1021-1023を参照されたい。Torgovのジエンを、文献により既知の手順に基づき8,9−不飽和メトキシエチレンケトン化合物1(15.0g、3工程で47%)へと変換した。例えば、Sugahara et al., Tetrahedron Lett. 1996, 37, 7403-7406を参照されたい。
【0333】
経路1:8,9−不飽和メトキシエチレンケタールの合成(化合物2)
化合物1(15.0g、53.1mmol、1.0当量)のベンゼン(215mL)及びエチレングリコール(72mL)溶液に、シュウ酸(2.30g、12.1mmol、0.22当量)を添加した。反応混合物を温めて還流させ、ディーン−スターク装置によって水を捕集した。16時間後、反応を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液(150mL)を添加した。有機層及び水層を分離し、水相を酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:15:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、8,9−不飽和メトキシエチレンケタール化合物2(15.5g、89%)を得た。
【0334】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=7.13(d,J=8.3Hz,1H)、6.73−6.67(m,2H)、4.05−3.85(m,4H)、3.79(s,3H)、2.82−2.65(m,2H)、2.52−2.45(m,2H)、2.23−2.17(m,2H)、2.14(ddd,J=2.2,11.6,14.0Hz,1H)、1.99−1.82(m,4H)、1.64(td,J=4.2,12.2Hz,1H)、1.49(dq,J=6.8,11.6Hz,1H)、0.86(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2127[M+H]:327.1955、実測値327.1947。
【0335】
経路1:エポキシアルコール3及び3aの合成
8,9−不飽和エチレンケタール2(1.63g、5.00mmol、1.0当量)のCHCl(50mL)溶液を0℃まで冷却し、mCPBA(最大77%、2.46g、11.0mmol、2.2当量)を添加した。反応混合物を0℃で10分間撹拌し、室温まで温めた。更に50分後、10%Na溶液(40mL)及び飽和NaHCO溶液(40mL)を順次添加した。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1→1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、エポキシアルコール3及び3a(1.40g、75%)を得た。3及び3aは任意の溶媒中で平衡下にあり、3が主要であった。エポキシアルコール3についてH NMRを分析した。指定がある(正:indicated)場合には、コルチスタチン類縁体(12、13、14A、14B、15B、16B及び17B)を6−メトキシ−1−テトラロンで構成されるラセミ混合物として生物学的実験に適用した。
【0336】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=7.77(d,J=8.3Hz,1H)、6.76(dd,J=2.0,8.3Hz,1H)、6.63(d,J=2.0Hz,1H)、4.78(dd,J=7.8,9.8Hz,1H)、3.95−3.87(m,4H)、3.78(s,3H)、2.84(dt,J=5.9,14.4Hz,1H)、2.49(dd,J=4.4,15.1Hz,1H)、2.36−2.29(m,1H)、2.26(dd,J=5.9,14.2Hz,2H)、2.06(t,J=11.7Hz,1H)、1.97(dd,J=7.3,12.2Hz,1H)、1.94−1.88(m,2H)、1.75(dt,J=5.4,14.2Hz,1H)、1.63−1.53(m,1H)、1.46(t,J=11.0Hz,1H)、0.75(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2127[M+H]:359.1853、実測値359.1852。
【0337】
経路2:8,9及び9,11−不飽和メトキシエチレンケタール化合物2及び4の合成
DDQ酸化を22.0g(81.4mmol、1.0当量)のエストロンを用いて行い、生成物をフラッシュクロマトグラフィーによる精製なしに使用した。例えば、Stephan et al., Steroid. 1995, 60, 809-811を参照されたい。9,11−不飽和エストロンのベンゼン(375mL)溶液にエチレングリコール(110mL、1.99mol、24.4当量)及びPTSA(3.00g、16.3mmol、0.20当量)を添加した。反応混合物を温めて還流させ、ディーン−スターク装置によって水を捕集した。18時間後、反応を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液(300mL)を適用した。水相を酢酸エチル(2×300mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0338】
エチレンケタール(8,9及び9,11−不飽和位置異性体の混合物)をアセトン(420mL)に溶解し、KCO(22.5g、163mmol、2.00当量)を添加した。これに続いてMeSO(9.30mL、97.6mmol、1.20当量)を添加し、反応混合物を温めて還流させた。18時間後、反応を室温まで冷却し、アセトンを蒸発させた。2M NaOH溶液を添加し(300mL)、水相を酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:15:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、8,9及び9,11−不飽和メトキシエチレンケタール化合物2及び4の混合物(16.3g、3工程で61%、8,9−不飽和位置異性体:9,11−不飽和位置異性体の約4:5の混合物)を得た。
【0339】
9,11−不飽和異性体については、識別可能なピークのみを割り当てた:H NMR(500MHz,CDCl)シフト=7.53(d,J=8.8Hz,1H)、6.60(d,J=2.0Hz,1H)、6.13(td,J=2.6,5.0Hz,1H)、3.79(s,3H)、2.59(td,J=3.2,17.6Hz,1H)、2.09−2.00(m,3H)、1.45−1.33(m,2H)、0.90(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2127[M+H]:327.1955、実測値327.1951。
【0340】
経路2:エポキシアルコール化合物3及び3a
8,9及び9,11−不飽和エチレンケタール化合物2及び4の混合物(15.7g、48.1mmol、1.00当量)のジクロロメタン(700mL)溶液に、モノペルオキシフタル酸マグネシウム六水和物(68.4g、111mmol、2.30当量)及び水(4.8mL)を添加した。反応混合物を室温で20時間撹拌した後、10%Na水溶液(300mL)及び飽和NaHCO溶液(300mL)の混合物でクエンチした。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×500mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(300mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1→2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、エポキシアルコール3及び3a(8.60g、50%)を得た。スペクトルデータは、8,9−不飽和メトキシエチレンケタール2で構成されるエポキシアルコール3及び3aと一致する。
【0341】
ジオール化合物5の合成
アンモニアガスを凝縮し(240mL)、この液体アンモニアにLi(3.90g、565mmol、25.0当量)を−78℃で添加した。30分間撹拌した後、THF(110mL)中のエポキシアルコール3及び3a(8.10g、22.6mmol、1.0当量)をカニューレにより投入し(cannulated)、この温度で更に1.5時間撹拌した。反応混合物にt−BuOH(32mL)及びTHF(16mL)の混合物を−78℃で添加し、この温度で更に20分間撹拌した。t−BuOH(92mL)及びTHF(38mL)の混合物、続いてベンゼン(50mL)及び水(50mL)を−78℃で添加し、フラスコを開け、冷却浴を取り外すことによって液体アンモニアを穏やかに蒸発させた。水(200mL)を添加し、水相を酢酸エチル(2×250mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。生成物を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0342】
バーチ還元生成物のTHF(300mL)及びエチレングリコール(75mL)溶液に、PTSA(430mg、2.26mmol、0.10当量)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、飽和NaHCO溶液(200mL)を添加した。有機層及び水層を分離し、水相を酢酸エチル(4×250mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:4:1 ヘキサン:EtOAc→100%EtOAc→10:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、ジオール5(4.60g、52%)を得た。
【0343】
H NMR(500MHz,C)シフト=3.67−3.42(m,9H)、3.25−3.14(m,1H)、2.40(dd,J=5.9,13.2Hz,1H)、2.31(br.s,2H)、2.23−2.09(m,2H)、2.03(t,J=10.7Hz,1H)、1.97−1.90(m,2H)、1.89(dd,J=8.3,14.2Hz,1H)、1.85−1.75(m,4H)、1.66−1.50(m,4H)、1.00(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2232NaO[M+Na]:415.2091、実測値415.2076
【0344】
エノン化合物6の合成
ジオール5(4.05g、10.3mmol、1.00当量)のジクロロメタン(230mL)溶液に、NBS(2.00g、11.4mmol、1.10当量)を−10℃で一度に添加し、反応混合物を室温まで温めた。反応をTLC(完了に約30分)によってモニタリングした。反応が行われた後、反応混合物を−40℃まで冷却し、トリエチルアミン(17.3mL、124mmol、12.0当量)を添加した。室温で20分間予め撹拌したDMSO(115mL)中のSO・Py(16.4g、103mmol、10.0当量)を−40℃で反応混合物に添加し、これを続いて−10℃までゆっくりと温めた。4時間後、飽和NHCl溶液(130mL)を添加し、反応を室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成物を更に精製することなく使用した。
【0345】
酸化生成物をジクロロメタン(300mL)に溶解し、反応混合物を−40℃まで冷却し、続いてDBU(3.90mL、25.6mmol、2.50当量)をゆっくりと添加した。15分後、飽和NHCl溶液(130mL)を添加し、反応を室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1→1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、エノン6(3.16g、3工程で80%)を得た。
【0346】
H NMR(500MHz,C)シフト=3.58−3.51(m,1H)、3.49−3.34(m,6H)、3.28−3.23(m,2H)、3.19(dt,J=4.2,7.7Hz,1H)、2.80(d,J=16.1Hz,1H)、2.60(ddd,J=6.8,12.7,19.0Hz,1H)、2.55(d,J=13.2Hz,1H)、2.43(d,J=16.1Hz,1H)、2.31(dd,J=1.5,13.2Hz,1H)、1.98−1.88(m,2H)、1.88−1.80(m,3H)、1.71(ddd,J=4.2,9.6,11.6Hz,1H)、1.68−1.59(m,3H)、1.20(ddd,J=3.7,8.4,11.4Hz,1H)、0.90(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2228NaO[M+Na]:411.1778、実測値411.1786
【0347】
アリルアルコール化合物7の合成
エノン6(3.20g、8.32mmol、1.00当量)のMeOH(150mL)及びTHF(20mL)溶液に、CeCl・7HO(9.20g、24.7mmol、3.00当量)を室温で添加した。5分間撹拌した後、反応を−20℃まで冷却し、続いてNaBH(623mg、16.5mmol、2.00当量)を添加した。30分後、飽和NHCl溶液(50mL)及び水(50mL)を添加し、これを室温まで温めた。水相を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1 DCM:MeOH)によって精製して、アリルアルコール(正:alcohol)7(2.72g、85%)を得た。
【0348】
H NMR(500MHz,C)シフト=4.39−4.30(m,1H)、3.58−3.36(m,8H)、3.22(dd,J=3.7,16.4Hz,1H)、2.94(dd,J=7.1,12.5Hz,1H)、2.66(d,J=13.2Hz,1H)、2.49−2.41(m,1H)、2.39(dd,J=2.2,12.9Hz,1H)、2.07−1.99(m,1H)、1.96−1.79(m,6H)、1.73(br.s,3H)、1.66−1.57(m,1H)、1.15−1.07(m,1H)、0.86(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2230NaO[M+Na]:413.1935、実測値413.1942。
【0349】
シクロプロパン化合物8の合成
ClCHI(1.98mL、27.1mmol、4.00当量)の1,2−ジクロロエタン(140mL)溶液に、EtZnのジエチルエーテル(1M、13.6mL、13.6mmol、2.00当量)溶液を0℃で添加した。5分間撹拌した後、1,2−ジクロロエタン(70mL)中のアリルアルコール7(2.65g、6.79mmol、1.00当量)を反応フラスコに0℃で添加した。30分後、反応を飽和NHCl溶液(100mL)によってクエンチし、室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×120mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:2:1→1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、シクロプロパン8(2.59g、93%)を得た。
【0350】
H NMR(500MHz,C)シフト=3.92(dd,J=3.7,11.0Hz,1H)、3.51−3.40(m,8H)、2.72(dd,J=7.1,12.9Hz,1H)、2.39(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、2.38(d,J=12.2Hz,1H)、2.15(d,J=12.2Hz,1H)、2.12(dt,J=4.9,12.2Hz,1H)、2.02(ddd,J=2.9,11.2,14.6Hz,1H)、1.92−1.82(m,3H)、1.82−1.73(m,2H)、1.69−1.54(m,5H)、1.52(dd,J=6.1,12.0Hz,1H)、1.49−1.44(m,1H)、0.98(s,3H)、0.86(d,J=2.4Hz,1H)、0.15(d,J=2.9Hz,1H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2332NaO[M+Na]:427.2091、実測値427.2088
【0351】
オキサビシクロ[3.2.1]オクタン化合物9の合成
シクロプロパン8(2.45g、6.06mmol、1.00当量)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(4.40g、21.2mmol、3.50当量)をベンゼンにより共沸乾燥させ、ジクロロメタン(120mL)に溶解した。4Å分子篩(3.1g)を添加し、反応フラスコを0℃まで冷却した。トリフル酸無水物(triflic anhydride)のジクロロメタン(1M、12.1mL、12.1mmol、2.00当量)溶液を滴加し、氷浴を取り外して、反応フラスコを室温まで温めた。2時間後、反応をトリエチルアミン(20mL)でクエンチし、セライトパッドを通して濾過した。飽和NaHCO溶液(100mL)を添加し、水相をジクロロメタン(2×120mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1 ペンタン:ジエチルエーテル)によって精製して、オキサビシクロ[3.2.1]オクタン化合物9(1.42g、60%)を得た。Magnus et al., Org. Lett. 2009, 11, 3938-3941も参照されたい。
【0352】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=5.73(s,1H)、5.29−5.26(m,1H)、4.04−3.76(m,8H)、2.58−2.50(m,1H)、2.46(t,J=15.1Hz,1H)、2.31−2.24(m,2H)、2.19(t,J=11.2Hz,1H)、2.09(d,J=13.2Hz,1H)、1.99(dt,J=4.4,13.2Hz,1H)、1.94(dd,J=2.4,13.2Hz,1H)、1.91−1.84(m,1H)、1.83−1.71(m,3H)、1.71−1.53(m,5H)、0.88(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2330[M+H]:387.2166、実測値387.2180
【0353】
モノケトン化合物10の合成
ビスエチレンケタール9(110mg、285μmol、1.0当量)のアセトン(14.6mL)及び水(3.6mL)溶液にPTSA(21.6mg、85.2μmol、0.30当量)を添加し、反応混合物を3日間撹拌した。飽和NaHCO溶液(5mL)及び酢酸エチル(25mL)を反応に順次添加した。層を分離し、水相を酢酸エチル(2×15mL)で抽出した。有機相を合わせ、ブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:4:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、モノケトン10(79.0mg、81%)を得た。
【0354】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=5.73(s,1H)、5.29−5.25(m,1H)、3.98−3.90(m,4H)、2.48(dd,J=8.8,19.5Hz,1H)、2.46−2.40(m,1H)、2.36(dd,J=5.9,12.7Hz,1H)、2.34−2.25(m,2H)、2.24−2.08(m,5H)、2.09(d,J=13.2Hz,1H)、1.95(dd,J=2.4,13.2Hz,1H)、1.90−1.81(m,1H)、1.79−1.70(m,2H)、1.70−1.61(m,2H)、0.89(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2127[M+H]:343.1909、実測値343.1919
【0355】
1−クロロイソキノリン付加化合物11の合成
反応フラスコ内のCeCl(565mg、2.30mmol、10.0当量)を真空下、140℃で2時間加熱した。フラスコにArを充填し、0℃まで冷却した。30分後、THF(2.8mL)を添加し、0℃で2時間撹拌した。次いで、フラスコを室温まで温め、更に16時間撹拌した。
【0356】
1−クロロ−7−ヨードイソキノリンを、Subasinghe et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2013, 23, 1063-1069に提示される手順に従って合成した。
【0357】
CeCl/THF複合体の溶液にTHF(1.4mL)中の1−クロロ−7−ヨードイソキノリン(396mg、1.40mmol、6.00当量)を添加し、続いて室温で10分間撹拌した後、これを−78℃まで冷却した。次いで、n−ブチルリチウムのヘキサン(1.6M、716μL、1.10mmol、5.00当量)溶液を滴加した。反応混合物を同じ温度で更に30分間撹拌し、モノケトン10(78.5mg、229μmol、1.00当量)をTHF(1.4mL)にカニューレにより投入した。更に30分後、飽和NHCl溶液(5mL)を撹拌反応混合物に添加した後、これを室温まで温めた。混合物をEtOAc(5mL)で希釈し、層を分離した。水層をEtOAc(3×5mL)で抽出し、有機層を合わせ、ブライン(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、1−クロロイソキノリン付加物11(115mg、97%)を得た。
【0358】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.34(br.s,1H)、8.24(d,J=5.9Hz,1H)、7.89−7.83(m,1H)、7.76(d,J=8.3Hz,1H)、7.56(d,J=5.9Hz,1H)、5.63(s,1H)、5.16−4.99(m,1H)、4.02−3.87(m,4H)、2.62(ddd,J=4.4,9.8,14.2Hz,1H)、2.48−2.38(m,2H)、2.36−2.26(m,3H)、2.26−2.19(m,1H)、2.18−2.08(m,2H)、1.96(dd,J=2.4,13.7Hz,1H)、1.88(dd,J=5.1,17.8Hz,1H)、1.82−1.70(m,2H)、1.67−1.57(m,3H)、1.49(d,J=17.6Hz,1H)、1.20−1.08(m,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3032NaONCl[M+Na]:528.1918、実測値528.1929。
【0359】
イソキノリン化合物12の合成
1−クロロイソキノリン付加物11(115mg、227μmol、1.00当量)のジクロロメタン(20mL)溶液を0℃まで冷却した。次いで、ピリジン(183μL、2.30mmol、10.0当量)及びDMAP(13.9mg、114μmol、0.50当量)を溶液に順次添加した。5分後、トリフルオロ酢酸無水物(158μL、1.14mmol、5.00当量)を滴加し、更に30分間撹拌し、その時点でpH7のリン酸緩衝液(15mL)を添加し、続いて反応フラスコを室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水層をジクロロメタン(2×15mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をショートフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、トリフルオロアセチル化生成物を得て、これを迅速に次の工程に使用した。
【0360】
トリフルオロアセチル化生成物(130mg、216mmol、1.00当量)をベンゼンにより共沸乾燥させ、ベンゼン(4.3mL)に溶解した。AIBN(106mg、647μmol、3.00当量)を添加し、反応フラスコを凍結ポンプ融解(freeze-pump thaw)プロセス(3サイクル)によって脱気した。BuSnH(1.16mL、4.31mmol、20.0当量)を添加し、反応混合物を温めて還流させた。3時間後、反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:4:1→3:1→1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、イソキノリン12(67.0mg、2工程で65%)を得た。Yamashita et al., J. Org. Chem. 2011, 76, 2408-2425も参照されたい。
【0361】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.21(s,1H)、8.46(d,J=5.9Hz,1H)、7.77(s,1H)、7.73(d,J=8.3Hz,1H)、7.61(d,J=5.9Hz,1H)、7.57(d,J=8.3Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.29−5.23(m,1H)、4.00−3.90(m,4H)、3.11(t,J=10.0Hz,1H)、2.49(dd,J=8.3,11.2Hz,1H)、2.47−2.41(m,1H)、2.38−2.24(m,4H)、2.24−2.14(m,2H)、2.12(d,J=13.2Hz,1H)、2.06−1.95(m,2H)、1.91(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.83(dq,J=4.9,11.7Hz,1H)、1.77(td,J=2.3,12.9Hz,1H)、1.72−1.59(m,3H)、0.52(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3033NaNO[M+Na]:478.2353、実測値478.2347
【0362】
ケトン13の合成
イソキノリン12(19.0mg、41.7μmol、1.00当量)のアセトン(1.4mL)及び水(350μL)溶液にPTSA(20.9mg、83.4μmol、2.00当量)を添加し、反応混合物を55℃まで温めた。14.5時間後、反応を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液(2mL)及び酢酸エチル(2.5mL)を反応に順次添加した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×2.5mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(2mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:2→1:2 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、ケトン13(15.0g、87%)を得た。
【0363】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.23(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.78(d,J=8.3Hz,1H)、7.65(d,J=5.9Hz,1H)、7.61(d,J=8.3Hz,1H)、5.91(s,1H)、5.40−5.35(m,1H)、3.15(t,J=10.0Hz,1H)、2.94(d,J=15.1Hz,1H)、2.68(d,J=15.1Hz,1H)、2.67−2.59(m,1H)、2.58−2.41(m,4H)、2.41−2.24(m,3H)、2.24−2.10(m,2H)、2.04(tt,J=4.6,13.2Hz,1H)、1.96(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.86(dq,J=5.1,12.1Hz,1H)、1.80−1.67(m,2H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2830NO[M+H]:412.2271、実測値412.2288
【0364】
スキーム1−3. 最適化経路2
【化146】
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【0365】
エポキシアルコール化合物3及び3a
エストロン(180g、667mmol、1.00当量)のDMSO(2.8L)溶液に、KOHペレット(85%テクニカルグレード、150g、2.26mol、3.40当量)及びCHI(83.0mL、1.33mol、2.00当量)を添加した。反応混合物を室温で3.5時間撹拌し、蒸留水(2L)を0℃でゆっくりと添加した。水層をジクロロメタン(3×1.5L)で抽出し、合わせた有機層をブライン(1.5L)で洗浄した。有機層を窒素フロー下で濃縮して白色結晶を得て、これを冷メタノールで洗浄した。180gの粗混合物を更に精製することなく次の工程に使用した。残りの3工程は2つのバッチ中で行った。
【0366】
粗混合物(100g、352mmol、1.00当量)のメタノール(750mL)及びジクロロメタン(750mL)溶液に、NaHCO(93.8g、1.05mmol、3.00当量)を添加した。DDQ(120g、527mmol、1.50当量)を4回に分けて5分間隔で添加し、反応混合物を2時間撹拌した後、10%Na水溶液(500mL)でクエンチした。反応フラスコを更に30分間撹拌し、セライトを通して濾過し、クロロホルムで洗浄した。2M NaOH溶液(500mL)を添加し、有機層及び水層を分離し、水相をクロロホルム(3×700mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(700mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ、89gの粗混合物を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0367】
粗混合物(81.4g、291mmol、1.00当量)のベンゼン(1.25L)溶液に、エチレングリコール(162mL、2.91mol、10当量)及びPTSA(11.1g、58.3mmol、0.20当量)を添加した。反応混合物を温めて還流させ、ディーン−スターク装置によって水を捕集した。24時間後、反応を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液(500mL)を適用した。水相を酢酸エチル(3×300mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(500mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で蒸発させた。81.4gの粗生成物を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0368】
8,9及び9,11−不飽和エチレンケタールの混合物(81.4g、249mmol、1.00当量)のジクロロメタン(1.28L)溶液に、モノペルオキシフタル酸マグネシウム六水和物(354g、573mmol、2.30当量)及び水(25mL)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した後、セライトパッドを通して濾過した。濾液に飽和NaHCO溶液(800mL)を添加し、有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(3×700mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(700mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1→2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、エポキシアルコール3及び3a(3:3a=8:1、180gから81.0g、4工程で34%)を得た。H NMR及び13C NMRをエポキシアルコール3について分析した。
【0369】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=7.77(d,J=8.3Hz,1H)、6.76(dd,J=2.0,8.3Hz,1H)、6.63(d,J=2.0Hz,1H)、4.78(dd,J=7.8,9.8Hz,1H)、3.95−3.87(m,4H)、3.78(s,3H)、2.84(dt,J=5.9,14.4Hz,1H)、2.49(dd,J=4.4,15.1Hz,1H)、2.36−2.29(m,1H)、2.26(dd,J=5.9,14.2Hz,2H)、2.06(t,J=11.7Hz,1H)、1.97(dd,J=7.3,12.2Hz,1H)、1.94−1.88(m,2H)、1.75(dt,J=5.4,14.2Hz,1H)、1.63−1.53(m,1H)、1.46(t,J=11.0Hz,1H)、0.75(s,3H);13CNMR(500MHz,CDCl)シフト=159.1,139.5,130.2,125.9,117.6,114.3,111.1,69.0,67.5,65.4,64.5,61.8,55.2,47.4,46.8,37.0,34.9,26.2,25.0,21.3,14.9;FTIR(cm−1)3464,2944,2885,1610,1503;HRMS(ESI)(m/z)算出値C2127[M+H]:359.1853、実測値359.1852;[α]=-147.4o(c=0.01g/mLinCHCl
【0370】
ジオール化合物5
3及び3a(10.0g、27.9mmol、1.00当量)の1,2−ジクロロエタン(175mL)溶液に、NaBHCN(3.51g、55.8mmol、2.00当量)及びAcOH(3.19mL、55.8mmol、2.00当量)を室温で順次添加した。2.5時間後、飽和NaHCO溶液(150mL)を添加し、有機層及び水層を分離した。水相をジクロロメタン(3×150mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0371】
アンモニアガスを凝縮し(60mL)、この液体アンモニアにLi(1.94g、279mmol、10.0当量)を−78℃で添加した。30分間撹拌した後、THF(10mL)及びEtOH(6mL)中の粗混合物をカニューレにより投入し、反応を−40℃まで温めた。1.5時間後、反応混合物にEtOH(20mL)及びEtOH:HO=1:1(20mL)を順次添加し、フラスコを開け、冷却浴を取り外すことによって液体アンモニアを穏やかに蒸発させた。水(50mL)を添加し、水相をジエチルエーテル(3×90mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。生成物を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0372】
バーチ還元生成物のTHF(300mL)及びエチレングリコール(75mL)溶液に、PTSA(530mg、2.79mmol、0.100当量)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、飽和NaHCO溶液(200mL)を添加した。有機層及び水層を分離し、水相をクロロホルム(4×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:4:1 ヘキサン:EtOAc→100%EtOAc→10:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、ジオール5(6.6g、3工程で60%)を得た。
【0373】
H NMR(500MHz,C)シフト=3.67−3.42(m,9H)、3.25−3.14(m,1H)、2.40(dd,J=5.9,13.2Hz,1H)、2.31(br.s,2H)、2.23−2.09(m,2H)、2.03(t,J=10.7Hz,1H)、1.97−1.90(m,2H)、1.89(dd,J=8.3,14.2Hz,1H)、1.85−1.75(m,4H)、1.66−1.50(m,4H)、1.00(s,3H);13CNMR(500MHz,CDCl)シフト=127.8,126.9,118.3,108.5,74.2,72.0,65.3,64.7,64.4,64.3,63.7,58.9,52.5,45.9,41.2,40.5,33.8,31.6,27.6,25.8,18.0,16.6;FTIR(cm−1)3417,2940,2884;HRMS(ESI)(m/z)算出値C2232NaO[M+Na]:415.2091、実測値415.2076;[α]=-13.4o(c=0.01g/mLinCHCl
【0374】
アリルアルコール化合物7
ジオール5(4.05g、10.3mmol、1.00当量)のジクロロメタン(230mL)溶液に、NBS(2.00g、11.4mmol、1.10当量)を−10℃で一度に添加し、反応混合物を室温まで温めた。反応をTLC(完了に約30分)によってモニタリングした。反応が行われた後、反応混合物を−40℃まで冷却し、トリエチルアミン(17.3mL、124mmol、12.0当量)を添加した。室温で20分間予め撹拌したDMSO(115mL)中のSO・Py(16.4g、103mmol、10.0当量)を−40℃で反応混合物に添加し、これを続いて室温までゆっくりと温めた。3時間後、飽和NHCl溶液(130mL)を添加し、反応を室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を更に精製することなく使用した。
【0375】
粗混合物をジクロロメタン(300mL)に溶解し、反応混合物を−40℃まで冷却し、続いてDBU(3.90mL、25.6mmol、2.50当量)をゆっくりと添加した。15分後、飽和NHCl溶液(130mL)を添加し、反応を室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0376】
粗混合物(3.20g、8.32mmol、1.00当量)のMeOH(150mL)及びTHF(20mL)溶液に、CeCl・7HO(9.20g、24.7mmol、3.00当量)を室温で添加した。5分間撹拌した後、反応を−20℃まで冷却し、続いてNaBH(623mg、16.5mmol、2.00当量)を添加した。30分後、飽和NHCl溶液(50mL)及び水(50mL)を添加し、これを室温まで温めた。水相を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1 DCM:MeOH)によって精製して、アリルアルコール7(2.60g、4工程で64%)を得た。
【0377】
H NMR(500MHz,C)シフト=4.39−4.30(m,1H)、3.58−3.36(m,8H)、3.22(dd,J=3.7,16.4Hz,1H)、2.94(dd,J=7.1,12.5Hz,1H)、2.66(d,J=13.2Hz,1H)、2.49−2.41(m,1H)、2.39(dd,J=2.2,12.9Hz,1H)、2.07−1.99(m,1H)、1.96−1.79(m,6H)、1.73(br.s,3H)、1.66−1.57(m,1H)、1.15−1.07(m,1H)、0.86(s,3H);13CNMR(500MHz,C)シフト=140.6,139.1,118.7,109.5,88.3,86.2,67.1,65.4,64.6,64.2,47.9,46.5,41.3,40.9,34.7,34.2,33.9,30.0,20.4,19.8,15.6;HRMS(ESI)(m/z)算出値C2230NaO[M+Na]:413.1935、実測値413.1942
【0378】
還元的アミノ化
方法A
ケトン13(1.00当量)の1,2−ジクロロエタン(0.02M)溶液にアミン(4.00当量)、AcOH(1.50当量)及びNaBHCN(3.50当量)を室温で順次添加した。反応アミンがHCl塩の形態である場合、トリエチルアミン(4当量)を添加した(方法AA)。反応が行われた後、飽和NaHCO溶液を添加し、層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。(α−NR:β−NR=約1:1.2〜約1:5)。
【0379】
方法B
ケトン13(1.00当量)の1,2−ジクロロエタン(0.02M)溶液にアミン(2.00当量)、AcOH(2.00当量)及びNaBH(OAc)(2.00当量)を室温で順次添加した。反応アミンがHCl塩の形態である場合、トリエチルアミン(2.00当量)を添加した(方法BB)。反応が行われた後、飽和NaHCO溶液を添加し、層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。(α−NR:β−NR=約1:1.2〜約1:5)。
【0380】
方法C
第二級アミン(1.00当量)のジクロロメタン(0.02M)溶液にホルムアルデヒド又はアセトアルデヒド(5.00当量)を添加し、室温で1時間撹拌した後、NaBH(OAc)(2.00当量)を添加した。反応が行われた後、飽和NaHCO溶液を添加し、層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0381】
方法D:α−アミンを優先する一般的方法
ケトン13(1.00当量)のTHF及びt−BuOH(4:1、0.02M)溶液に、アミン(5.00当量)及びTi(Oi−Pr)(3.00当量)を順次添加し、室温で15時間撹拌した(MeNH、MeNH及びNHについては4時間)。反応混合物を−20℃まで冷却し、NaBH(1.50当量)を添加した。反応が行われた後、飽和NaHCO溶液を添加し、層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。(α−NR:β−NR=約1.1:1〜約3.7:1)。
【0382】
方法E:メタンスルホンアミド形成のための一般的方法
アミン(1.00当量)のジクロロメタン(0.013M)溶液に、トリメチルアミン(4.00当量)を添加し、反応混合物を−20℃まで冷却した。メタンスルホン酸無水物(2.50当量)をジクロロメタン溶液として添加し、同じ温度で30分間撹拌した。2N NaOH溶液を添加し、層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0383】
β−ジメチルアミン14B及びα−ジメチルアミン14A
【化147】
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粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって順次精製して、β−ジメチルアミン14B(21.5mg、65%)を得た。およそ0.6mgのα−ジメチルアミン14Aを3mgの13からHPLC(Eclipse XDB−C8カラム、9.4mm×25cm;勾配=30分にわたる0%→35% MeCN(0.1%ギ酸):HO(0.1%ギ酸))によって調製した。
【0384】
β−ジメチルアミン14B:H NMR(500MHz,C)シフト=9.31(s,1H)、8.61(d,J=5.4Hz,1H)、7.43(s,1H)、7.39(d,J=8.8Hz,1H)、7.25(d,J=5.4Hz,1H)、7.23(d,J=8.8Hz,1H)、5.73(br.s,1H)、5.18(s,1H)、2.74(t,J=10.0Hz,1H)、2.63(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.48−2.28(m,2H)、2.27−2.20(m,1H)、2.19−2.03(m,6H)、2.00(br.s,6H)、1.95−1.84(m,2H)、1.83−1.66(m,5H)、1.41(tt,J=5.4,13.2Hz,1H)、0.45(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3037O[M+H]:441.2900、実測値441.2910。
【0385】
α−ジメチルアミン14A:H NMR(600MHz,C)シフト=9.26(s,1H)、8.56(d,J=5.9Hz,1H)、7.44−7.39(m,1H)、7.36(d,J=8.2Hz,1H)、7.21−7.20(m,1H)、7.20(d,J=5.9Hz,1H)、5.68−5.65(m,1H)、5.15−5.11(m,1H)、2.72−2.66(m,J=10.0Hz,1H)、2.59(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.34(tt,J=2.9,12.1Hz,1H)、2.16(td,J=3.2,16.0Hz,1H)、2.09(s,6H)、2.13−1.92(m,8H)、1.85(ddd,J=5.0,9.0,13.6Hz,1H)、1.73(dt,J=5.3,12.3Hz,1H)、1.72−1.66(m,2H)、1.60−1.57(m,1H)、1.57−1.49(m,1H)、1.20(dq,J=4.1,12.3Hz,1H)、0.40(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3037O[M+H]:441.2900、実測値441.2909。
【0386】
β−モルホリン15B及びα−モルホリン15A
【化148】
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β−モルホリン15B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:100%EtOAc→35:1→20:1→10:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、β−モルホリン15B(21mg、66%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.3Hz,1H)、7.62(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(dd,J=1.0,8.8Hz,1H)、5.71(s,1H)、5.24(d,J=2.9Hz,1H)、3.73(br.s,4H)、3.13(t,J=10.0Hz,1H)、2.65−2.28(m,11H)、2.23−2.11(m,3H)、2.06(d,J=13.2Hz,1H)、2.01(dt,J=4.4,9.0Hz,1H)、1.93(dd,J=4.9,17.1Hz,1H)、1.89−1.79(m,1H)、1.75−1.53(m,4H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3239[M+H]:483.3006、実測値483.3012。
【0387】
β−N−メチルピペラジン16B及びα−N−メチルピペラジン16A
【化149】
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β−N−メチルピペラジン16B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、第1のカラム:溶離液:100%MeOH→10:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液/第2のカラム:溶離液:20:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって順次精製して、β−N−メチルピペラジン16B(20mg、55%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(d,J=8.2Hz,1H)、5.70(s,1H)、5.25−5.22(m,1H)、3.13(t,J=9.7Hz,1H)、2.53(br.s.,1H)、2.50(dd,J=8.8,11.7Hz,1H)、2.41(t,J=12.9Hz,1H)、2.38−2.33(m,3H)、2.32(br.s,3H)、2.22−2.11(m,3H)、2.10−1.95(m,3H)、1.95−1.89(m,2H)、1.84(dq,J=5.3,11.7Hz,1H)、1.79−1.50(m,11H)、0.62−0.43(m,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3342O[M+H]:496.3322、実測値496.3337。
【0388】
β−アゼチジン18B及びα−アゼチジン18A
【化150】
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β−アゼチジン18B:粗混合物を分取TLC(溶離液:1:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、β−アゼチジン18B(2.7mg、50%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.4Hz,1H)、7.59(d,J=8.3Hz,1H)、5.69(s,1H)、5.22(d,J=2.4Hz,1H)、3.20−3.05(m,5H)、2.59−2.43(m,4H)、2.39−2.28(m,2H)、2.23−2.12(m,2H)、2.07−1.96(m,4H)、1.92(dd,J=5.1,17.3Hz,1H)、1.89−1.79(m,3H)、1.75−1.55(m,3H)、1.40(t,J=13.2Hz,1H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3137O[M+H]:453.2906、実測値453.2916。
【0389】
β−ピロリジン19B及びα−ピロリジン19A
【化151】
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β−ピロリジン19B:粗混合物を分取TLC(溶離液:20:10:3 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−ピロリジン19B(2.0mg、40%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.4Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.3Hz,1H)、7.62(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(d,J=8.3Hz,1H)、5.70(br.s.,1H)、5.22(br.s.,1H)、3.13(t,J=9.8Hz,1H)、2.59−2.46(m,6H)、2.44(br.s.,1H)、2.41−2.28(m,3H)、2.23−2.12(m,2H)、2.11−2.00(m,2H)、2.00−1.82(m,4H)、1.79−1.65(m,6H)、1.64−1.51(m,2H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3239O[M+H]:467.3057、実測値467.3053。
【0390】
β−ジメチルアミン17,18−不飽和イソキノリン23B及びα−ジメチルアミン17,18−不飽和イソキノリン23A
【化152】
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β−ジメチルアミン17,18−不飽和イソキノリン23B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって順次精製して、β−ジメチルアミン17,18−不飽和イソキノリン23B(6.5mg、74%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(br.s.,1H)、8.51(d,J=5.4Hz,1H)、7.94(s,1H)、7.84−7.76(m,2H)、7.63(d,J=5.4Hz,1H)、6.27(br.s.,1H)、5.97(s,1H)、5.50(dd,J=2.4,4.9Hz,1H)、2.98(d,J=14.6Hz,1H)、2.78(dd,J=6.8,11.2Hz,1H)、2.71(d,J=14.6Hz,1H)、2.72−2.63(m,1H)、2.61(d,J=5.4Hz,1H)、2.59−2.54(m,2H)、2.54−2.50(m,2H)、2.50−2.42(m,2H)、2.39(ddd,J=1.5,11.0,12.9Hz,1H)、2.20(ddd,J=1.5,9.5,11.5Hz,1H)、2.01(ddd,J=7.3,8.8,12.7Hz,1H)、1.79(dt,J=7.3,11.2Hz,1H)、1.18(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3035O[M+H]:439.2744、実測値439.2753。
【0391】
β−モノメチルアミン24B及びα−モノメチルアミン24A
【化153】
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β−モノメチルアミン24B:粗混合物を分取TLC(溶離液:10:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−モノメチルアミン24B(およそ1.5mg、58%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.4Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(dd,J=1.0,8.3Hz,1H)、5.72(d,J=1.0Hz,1H)、5.24(dd,J=2.2,5.1Hz,1H)、3.13(t,J=10.0Hz,1H)、3.03−2.98(m,1H)、2.57−2.50(m,1H)、2.51(dd,J=8.3,11.7Hz,1H)、2.44(s,3H)、2.36(d,J=15.2Hz,1H)、2.36−2.28(m,2H)、2.26−2.13(m,2H)、2.09(dd,J=3.7,16.4Hz,1H)、2.07−1.99(m,2H)、1.98−1.92(m,1H)、1.93(dd,J=5.9,17.6Hz,1H)、1.85(dq,J=4.9,11.7Hz,1H)、1.82−1.76(m,1H)、1.76−1.58(m,3H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2935O[M+H]:427.2744、実測値427.2740。
【0392】
β−重水素ジメチルアミン26B及びα−重水素ジメチルアミン26A
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
β−重水素ジメチルアミン26B:トリエチルアミンを添加した。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって順次精製して、β−重水素ジメチルアミン26B(4mg、62%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.77(d,J=8.3Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(d,J=8.3Hz,1H)、5.74(br.s.,1H)、5.26(br.s.,1H)、3.15(t,J=10.0Hz,1H)、2.51(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.50−2.42(m,1H)、2.37(d,J=17.1Hz,1H)、2.38−2.26(m,2H)、2.26−2.09(m,4H)、2.08−1.98(m,2H)、1.95(dd,J=5.1,17.3Hz,1H)、1.87(dq,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.80−1.68(m,3H)、1.62(br.s.,2H)、0.63−0.50(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3031O[M+H]:447.3277、実測値447.3281。
【0393】
β−2−メトキシエチルメチルアミン27B及びα−2−メトキシエチルメチルアミン27A
【化155】
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β−2−メトキシエチルメチルアミン27B:粗混合物を分取TLC(溶離液:10:10:1 ヘキサン:EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−2−メトキシエチルメチルアミン27B(およそ1.2mg、20%)を得た。1H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.21(s,1H)、8.40(d,J=5.4Hz,1H)、7.99(s,1H)、7.90(d,J=8.8Hz,1H)、7.81(d,J=5.9Hz,1H)、7.77(s,1H)、5.80(s,1H)、5.35−5.27(m,1H)、3.60(t,J=5.4Hz,2H)、3.39(s,2H)、3.24(t,J=10.0Hz,1H)、3.15−2.88(m,2H)、2.56(br.s.,3H)、2.51(dd,J=9.3,10.7Hz,1H)、2.48−2.39(m,3H)、2.35−2.28(m,1H)、2.25−2.09(m,4H)、2.02−1.84(m,7H)、1.76(s,2H)、0.59(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3241[M+H]:485.3163、実測値485.3170。
【0394】
β−ビス−2−メトキシエチルアミン28B及びα−ビス−2−メトキシエチルアミン28A
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
β−ビス−2−メトキシエチルアミン28B:粗混合物を分取TLC(溶離液:10:1 ジクロロメタン:MeOH)によって精製して、β−ビス−2−メトキシエチルアミン28B(およそ1.1mg、19%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.21(s,1H)、8.39(d,J=5.9Hz,1H)、7.99(s,1H)、7.90(d,J=8.8Hz,1H)、7.81(d,J=5.9Hz,1H)、7.77(s,1H)、5.74(s,1H)、5.29−5.24(m,1H)、3.47(t,J=6.1Hz,4H)、3.36(s,6H)、3.24(t,J=10.5Hz,1H)、3.06−2.93(m,1H)、2.78(d,J=5.9Hz,4H)、2.52(dd,J=9.0,11.5Hz,1H)、2.49−2.43(m,1H)、2.44(d,J=17.6Hz,1H)、2.40−2.35(m,1H)、2.35−2.26(m,1H)、2.24−2.10(m,3H)、2.07−1.94(m,3H)、1.91(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.85(d,J=14.6Hz,1H)、1.82−1.67(m,3H)、0.59(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3445[M+H]:529.3425、実測値529.3434。
【0395】
β−2−フルオロエチルメチルアミン29B及びα−2−フルオロエチルメチルアミン29A
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
β−2−フルオロエチルメチルアミン29B:粗混合物を分取TLC(溶離液:20:1 ジクロロメタン:MeOH)によって精製して、β−2−フルオロエチルメチルアミン29B(2.7mg、51%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.77(d,J=8.8Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(dd,J=1.0,8.3Hz,1H)、5.74(br.s.,1H)、5.26(br.s.,1H)、4.68−4.46(m,2H)、3.15(t,J=9.8Hz,1H)、2.99−2.69(m,3H)、2.52(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.47−2.30(m,6H)、2.29−2.16(m,4H)、2.16−2.00(m,3H)、2.01−1.92(m,1H)、1.94(dd,J=5.1,17.3Hz,1H)、1.86(dq,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.79−1.64(m,3H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3138OF[M+H]:473.2963、実測値473.2971。
【0396】
β−2,2−ジフルオロエチルメチルアミン30B及びα−2,2−ジフルオロエチルメチルアミン30A
【化158】
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β−2,2−ジフルオロエチルメチルアミン30B:粗混合物を分取TLC(溶離液:1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、β−2,2−ジフルオロエチルメチルアミン30B(およそ1.1mg、19%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.28(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.86(s,1H)、7.83(d,J=8.3Hz,1H)、7.75(d,J=5.4Hz,1H)、7.69(d,J=8.3Hz,1H)、6.15−5.83(m,1H)、5.75(s,1H)、5.27(dd,J=2.4,5.4Hz,1H)、3.17(t,J=10.0Hz,1H)、2.91(br.s.,2H)、2.52(dd,J=8.8,11.7Hz,1H)、2.47(br.s,3H)、2.45−2.30(m,4H)、2.27−2.11(m,6H)、2.11−1.99(m,2H)、1.95(dd,J=5.1,17.3Hz,1H)、1.88(dq,J=6.3,12.7Hz,1H)、1.77−1.68(m,3H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3137OF[M+H]:491.2868、実測値491.2879。
【0397】
β−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン31B及びα−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン31A
【化159】
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β−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン31B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:10:10:1→10:10:2 ヘキサン:EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン31B(3mg、50%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.81(s,1H)、7.77(d,J=8.3Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.61(d,J=8.3Hz,1H)、5.71(br.s.,1H)、5.24(br.s.,1H)、3.43(br.s.,2H)、3.15(t,J=9.8Hz,1H)、2.69(br.s.,2H)、2.52(t,J=9.8Hz,1H)、2.46(br.s.,1H)、2.37(d,J=17.6Hz,1H)、2.38−2.29(m,1H)、2.27−2.13(m,3H)、2.11−1.92(m,6H)、1.87(dq,J=5.9,12.7Hz,1H)、1.86−1.79(m,1H)、1.78−1.60(m,8H)、1.55(t,J=13.2Hz,1H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3441O[M+H]:493.3213、実測値493.3224。
【0398】
β−イソプロピルアミン32B及びα−イソプロピルアミン32A
【化160】
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β−イソプロピルアミン32B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:10:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−イソプロピルアミン32B(5mg、70%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(d,J=8.2Hz,1H)、5.71(s,1H)、5.24(d,J=2.9Hz,1H)、3.24(br.s.,1H)、3.13(t,J=9.7Hz,1H)、2.90(br.s.,1H)、2.50(dd,J=8.5,11.4Hz,2H)、2.41−2.26(m,3H)、2.24−2.13(m,3H)、2.09(dd,J=2.9,15.3Hz,1H)、2.06−1.98(m,2H)、1.93(dd,J=5.3,17.6Hz,1H)、1.85(dq,J=5.3,12.3Hz,1H)、1.75−1.62(m,4H)、1.07(br.s.,6H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3139O[M+H]:455.3057、実測値493.3049。
【0399】
β−イソプロピルメチルアミン33B
【化161】
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粗混合物を分取TLC(溶離液:20:10:3 ヘキサン:EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−イソプロピルメチルアミン33B(4mg、78%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl)シフト=9.22(br.s.,1H)、8.49(d,J=4.7Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.3Hz,1H)、7.59(d,J=8.2Hz,1H)、5.70(br.s.,1H)、5.22(br.s.,1H)、3.22(br.s.,1H)、3.13(t,J=10.0Hz,1H)、2.77(br.s.,1H)、2.50(t,J=8.2Hz,1H)、2.43(t,J=12.9Hz,1H)、2.36(d,J=17.6Hz,1H)、2.35−2.28(m,2H)、2.22−2.14(m,2H)、2.17(dt,J=4.4,9.0Hz,1H)、2.11(br.s.,3H)、2.08−1.99(m,2H)、1.98−1.91(m,1H)、1.93(dd,J=4.1,17.0Hz,1H)、1.85(dq,J=5.3,12.3Hz,1H)、1.69(br.s.,2H)、1.59(br.s.,1H)、1.56(br.s.,1H)、0.96(br.s.,6H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3241O[M+H]:455.3057、実測値493.3049。
【0400】
β−イソプロピルエチルアミン34B
【化162】
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粗混合物を分取TLC(溶離液:100%MeOH)によって精製して、β−イソプロピルエチルアミン34B(およそ1.5mg、20%)を得た。H NMR(600MHz,CDOD)シフト=9.19(s,1H)、8.38(d,J=5.9Hz,1H)、7.97(s,1H)、7.88(d,J=8.8Hz,1H)、7.79(d,J=5.9Hz,1H)、7.74(d,J=8.2Hz,1H)、5.76(br.s.,1H)、5.27(br.s.,1H)、3.26−3.19(m,1H)、2.91−2.66(m,3H)、2.50(dd,J=9.4,11.2Hz,1H)、2.48−2.36(m,3H)、2.29(t,J=10.6Hz,1H)、2.23−2.06(m,4H)、2.00−1.86(m,5H)、1.86−1.79(m,1H)、1.79−1.66(m,2H)、1.21−1.08(m,9H)、0.57(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3343O[M+H]:483.3370、実測値483.3382。
【0401】
β−(R)−3−フルオロピロリジン35B及びα−(R)−3−フルオロピロリジン35A
【化163】
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β−(R)−3−フルオロピロリジン35B:粗混合物を分取TLC(溶離液:47.5:47.5:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−(R)−3−フルオロピロリジン35B(2.2mg、38%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=δ9.22(s,1H)、8.49(d,J=5.4Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.4Hz,1H)、7.59(d,J=8.8Hz,1H)、5.71(d,J=2.0Hz,1H)、5.23(m,1H)、5.11(m,1H)、3.40(m,1H)、3.13(dd,J=9.3,9.3Hz,1H)、2.88−2.96(m,2H)、2.66−2.77(m,1H)、2.48−2.58(m,3H)、2.29−2.45(m,3H)、2.12−2.23(m,3H)、1.99−2.09(m,5H)、1.83−1.97(m,2H)、1.67−1.74(m,2H)、1.59(m,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3238FNO[M+H]:485.2968、実測値485.2915。
【0402】
β−(S)−3−フルオロピロリジン36B及びα−(S)−3−フルオロピロリジン36A
【化164】
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β−(S)−3−フルオロピロリジン36B:粗混合物を分取TLC(溶離液:47.5:47.5:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−(S)−3−フルオロピロリジン36B(2.7mg、46%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.21−9.18(m,1H)、8.37(d,J=5.87Hz,1H)、7.98−7.96(m,1H)、7.88(d,J=8.80Hz,1H)、7.80−7.77(m,1H)、7.74(dd,J=8.56,1.71Hz,1H)、5.71(d,J=1.47Hz,1H)、5.23(m,1H)、5.22−5.07(m,2H)、3.22(t,J=9.8Hz,1H)、3.08−2.97(m,1H)、2.90(td,J=8.19,5.62Hz,1H)、2.70−2.64(m,1H)、2.62−2.58(m,1H)、2.52−2.34(m,6H)、2.33−2.24(m,1H)、2.23−2.03(m,3H)、2.03−1.85(m,6H)、1.77−1.67(m,2H)、1.67−1.56(m,1H)、0.57(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3238FNO[M+H]:485.6553、実測値485.6551。
【0403】
β−3,3−ジフルオロピロリジン37B及びα−3,3−ジフルオロピロリジン37A
【化165】
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β−3,3−ジフルオロピロリジン37B:粗混合物を分取TLC(溶離液:80:15:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−3,3−ジフルオロピロリジン37B(2.9mg、40%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=δ9.22(s,1H)、8.49(d,J=5.4Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.3Hz,1H)、7.62(d,J=5.4Hz,1H)、7.59(d,J=8.8Hz,1H)、5.72(d,J=2.0Hz,1H)、5.25(dd,J=5.4Hz,2.0Hz,1H)、3.13(dd,J=9.3Hz,9.3Hz,1H)、2.86−3.03(m,2H)、2.14(dd,J=6.9,6.9Hz,2H)、2.58(m,1H)、2.50(dd,J=11.7,8.3Hz,2H)、2.13−2.44(m,6H)、1.98−2.10(m,2H)、1.90−1.96(m,1H)、1.83−1.89(m,2H)、1.66−1.74(m,2H)、1.53−1.61(m,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3237O[M+H]:503.2874実測値503.2814。
【0404】
α−3,3−ジフルオロピロリジン37A:粗混合物を分取TLC(溶離液:80:15:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、α−3,3−ジフルオロピロリジン37A(6.0mgから2.9mg、40%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=δ9.22(s,1H)、8.49(d,J=5.4Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.4Hz,1H)、7.59(d,J=8.8Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.28(d,J=2.4Hz,1H)、3.15(dd,J=9.3Hz,9.3Hz,1H)、3.01(dt,J=13.7,2.4Hz,2H)、2.83(dd,J=6.8,6.8Hz,2H)、2.52(dd,J=11.2,8.3Hz,2H)、2.15−2.40(m,6H)、2.02−2.07(m,3H)、1.79−1.97(m,3H)、1.72(m,3H)、1.61(m,3H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3237O[M+H]:503.2874実測値503.2807。
【0405】
β−2−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタン38B及びα−2−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタン38A
【化166】
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β−2−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタン38B:粗混合物を分取TLC(溶離液:47.5:47.5:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−2−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタン38B(3.4mg、55%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.21(s,1H)、8.39(d,J=5.4Hz,1H)、7.99(s,1H)、7.90(d,J=8.8Hz,1H)、7.81(d,J=5.9Hz,1H)、7.76(dd,J=1.7,8.5Hz,1H)、5.73−5.70(m,1H)、5.28−5.23(m,1H)、4.63(d,J=2.4Hz,4H)、3.28−3.21(m,1H)、2.90(dd,J=9.3,49.8Hz,2H)、2.62(t,J=7.3Hz,2H)、2.54−2.40(m,5H)、2.36−2.27(m,2H)、2.23−2.16(m,1H)、2.13(s,2H)、2.10−2.05(m,1H)、2.02−1.88(m,6H)、1.81−1.66(m,2H)、1.66−1.57(m,1H)、0.58(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3441[M+H]:509.7015、実測値509.7013。
【0406】
β−シクロプロピルアミン39B及びα−シクロプロピルアミン39A
【化167】
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β−シクロプロピルアミン39B:粗混合物を分取TLC(溶離液:47.5:47.5:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−シクロプロピルアミン39B(3.7mg、55%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.21(s,1H)、8.39(d,J=5.9Hz,1H)、7.99(s,1H)、7.90(d,J=8.8Hz,1H)、7.81(d,J=5.4Hz,1H)、7.76(dd,J=1.7,8.5Hz,1H)、5.73(d,J=2.0Hz,1H)、5.28−5.24(m,1H)、3.24(t,J=20.0Hz,1H)、3.18−3.12(m,1H)、2.54−2.40(m,4H)、2.36−2.27(m,2H)、2.18(s,3H)、2.05−2.00(m,2H)、2.00−1.95(m,2H)、1.94−1.91(m,1H)、1.91−1.84(m,2H)、1.77−1.66(m,3H)、0.58(s,3H)、0.51(d,J=4.4Hz,2H)、0.39(dd,J=2.2,3.7Hz,2H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3137O[M+H]: 453.6383、実測値 453.6381。
【0407】
β−シクロプロピルメチルアミン40B
【化168】
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粗混合物を分取TLC(溶離液:47.5:47.5:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−メチルシクロプロピルメチルアミン40B(1.1mg、85%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.21(s,1H)、8.39(d,J=5.4Hz,1H)、8.00−7.98(m,1H)、7.90(d,J=7.8Hz,1H)、7.81(d,J=5.9Hz,1H)、7.76(dd,J=1.5,9.3Hz,1H)、5.78−5.74(m,1H)、5.29−5.25(m,1H)、3.26−3.24(m,1H)、3.23(t,J=9.8Hz,1H)、3.27−3.21(m,1H)、2.88(t,J=1.0Hz,1H)、2.56−2.49(m,1H)、2.48−2.41(m,2H)、2.37(s,3H)、2.33−2.26(m,1H)、2.23−2.10(m,3H)、2.03(d,J=7.3Hz,2H)、2.01−1.96(m,1H)、1.96−1.88(m,2H)、1.88−1.82(m,1H)、1.79−1.68(m,2H)、0.59(m,5H)、0.50−0.46(m,2H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3239O[M+H]: 467.6649、実測値 467.6645
【0408】
β−3−メチル−3−オキセタナミン41B及びα−3−メチル−3−オキセタナミン41A
【化169】
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β−3−メチル−3−オキセタナミン41B:粗混合物を分取TLC(溶離液:47.5:47.5:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−3−メチル−3−オキセタナミン41B(4.7mg、81%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.21(s,1H)、8.39(d,J=5.4Hz,1H)、7.99(s,1H)、7.90(d,J=8.8Hz,1H)、7.81(d,J=5.9Hz,1H)、7.78−7.74(m,1H)、5.75(d,J=1.5Hz,1H)、5.29−5.26(m,1H)、4.61(dd,J=3.4,5.9Hz,2H)、4.36(dd,J=5.9,8.3Hz,2H)、3.27−3.21(m,1H)、3.19−3.11(m,1H)、2.50(d,J=8.3Hz,4H)、2.29(s,2H)、2.23−2.13(m,2H)、2.02−1.95(m,2H)、1.94−1.87(m,3H)、1.80−1.67(m,4H)、1.55(br.s.,4H)、0.59(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3239[M+H]:483.6643、実測値483.6640。
【0409】
β−N−メチル−1−(3−メチル−3−オキセタニル)メタンアミン42B及びα−N−メチル−1−(3−メチル−3−オキセタニル)メタンアミン42A
【化170】
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β−N−メチル−1−(3−メチル−3−オキセタニル)メタンアミン42B:粗混合物を分取TLC(溶離液:47.5:47.5:5 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−N−メチル−1−(3−メチル−3−オキセタニル)メタンアミン42B(1.5mg、24%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.22(s,1H)、8.39(d,J=5.9Hz,1H)、7.99(s,1H)、7.90(d,J=8.3Hz,1H)、7.81(d,J=5.9Hz,1H)、7.76(dd,J=1.7,8.5Hz,1H)、5.75−5.72(m,1H)、5.31−5.27(m,1H)、4.57−4.51(m,2H)、4.32(dd,J=1.5,5.9Hz,2H)、3.28−3.22(m,1H)、2.69(s,2H)、2.57−2.31(m,5H)、2.30−2.15(m,4H)、2.04−1.86(m,5H)、1.82(t,J=24.9Hz,1H)、1.77−1.69(m,1H)、1.68−1.57(m,2H)、1.39(d,J=2.9Hz,6H)、0.58(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3443[M+H]:511.7174、実測値511.7173。
【0410】
β−t−ブチルアミン43B及びα−t−ブチルアミン43A
【化171】
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β−t−ブチルアミン43B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:50:1 EtOAc:トリエチルアミン)によって精製して、β−t−ブチルアミン43B(3.4mg、60%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.49(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.3Hz,1H)、7.62(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(d,J=8.3Hz,1H)、5.75(d,J=2.0Hz,1H)、5.29(m,1H)、3.14(dd,J=10.8,10.8Hz,1H)、2.52(dd,J=11.7,8.8Hz,1H)、2.32−2.38(m,2H)、2.13−2.26(m,5H)、2.01−2.08(m,2H)、1.94(dd,J=17.6,5.4Hz,1H)、1.84−1.87(m,3H)、1.62−1.74(m,3H)、1.25(brs,9H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3241O[M+H]:469.3219、実測値469.3265。
【0411】
β−アジリジン78B及びα−アジリジン78A
【化172】
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ケトン13(6mg、0.0146mmol)のメタノール(0.5mL)溶液に、2−クロロエチルアミン塩酸塩(5.1mg、0.0437mmol)、続いてトリエチルアミン(0.006mL、0.0437mmol)を添加した。この混合物を室温で15分間撹拌した。氷酢酸(0.0025mL、0.0437mmol)を添加し、この混合物を室温で20分間撹拌した。この混合物を0℃まで冷却し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(3.2mg、0.0510mml)を添加した。反応を16時間かけて室温まで温めた後、塩化アンモニウム(5mL)の飽和溶液でクエンチした。この混合物を酢酸エチル(3×8mL)で抽出した。合わせた有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液として酢酸エチル、2%トリエチルアミン)によって精製して、所望のβ−アジリジン78B(4.5mg、収率72%)を得た。
【0412】
H NMR(500MHz,CDCl)δ=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.87Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.80Hz,1H)、7.63(d,J=5.38Hz,1H)、7.59(d,J=8.80Hz,1H)、5.74(d,J=1.96Hz,1H)、5.25(m,1H)、3.34(m,2H)、3.14(dd,J=10.27,10.27Hz,1H)、2.75(m,3H)、2.51(dd,J=11.25,8.31,1H)、2.44(m,1H)、2.29−2.37(m,3H)、2.12−2.27(m,3H)、1.81−2.08(m,3H)、1.54−1.74(m,4H)、1.15(m,1H)、1.05(m,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3035O[M+H]:439.2749実測値439.2721。
【0413】
β−ヒドロキシプロリン65B及びα−ヒドロキシプロリン65A
【化173】
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ケトン13とヒドロキシプロリンメチルエステルとを「方法B」条件下で反応させた。粗混合物をTHF:MeOH:HO中の1M LiOH=3:3:1に溶解し、55℃で1.5時間撹拌した。粗混合物を粗濃縮し、pH3.7の酢酸ナトリウム緩衝液を適用し、続いてクロロホルムで3回抽出した。粗混合物を分取(正:preparative)TLC(溶離液:5:1 CHCl:MeOH)によって精製して、β−ヒドロキシプロリン65B(3.7mg、2工程で58%)を得た。
【0414】
H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(br.s.,1H)、8.47(br.s.,1H)、7.77(br.s.,1H)、7.75(d,J=8.2Hz,1H)、7.63(br.s.,1H)、7.57(d,J=8.2Hz,1H)、5.77(s,1H)、5.30(br.s.,1H)、4.47(br.s.,1H)、4.21−4.08(m,1H)、4.01−3.90(m,0H)、3.55(br.s.,1H)、3.19−3.11(m,1H)、3.12(t,J=8.8Hz,1H)、2.51−2.44(m,J=10.6,10.6Hz,1H)、2.44−2.37(m,2H)、2.35(d,J=17.6Hz,2H)、2.31−2.14(m,6H)、2.11(dd,J=6.2,13.2Hz,1H)、2.06−1.96(m,2H)、1.92(dd,J=4.7,17.6Hz,1H)、1.87−1.68(m,3H)、0.53(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3339[M+H]:527.2904、実測値527.2921。
【0415】
α−ジメチルアミン14A及びβ−ジメチルアミン14B
【化174】
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粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって順次精製して、α−ジメチルアミン14A(2.2mg、68%)を得た。H NMR(600MHz,C)シフト=9.26(s,1H)、8.56(d,J=5.9Hz,1H)、7.44−7.39(m,1H)、7.36(d,J=8.2Hz,1H)、7.21−7.20(m,1H)、7.20(d,J=5.9Hz,1H)、5.68−5.65(m,1H)、5.15−5.11(m,1H)、2.72−2.66(m,J=10.0Hz,1H)、2.59(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.34(tt,J=2.9,12.1Hz,1H)、2.16(td,J=3.2,16.0Hz,1H)、2.09(s,6H)、2.13−1.92(m,8H)、1.85(ddd,J=5.0,9.0,13.6Hz,1H)、1.73(dt,J=5.3,12.3Hz,1H)、1.72−1.66(m,2H)、1.60−1.57(m,1H)、1.57−1.49(m,1H)、1.20(dq,J=4.1,12.3Hz,1H)、0.40(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3037O[M+H]:441.2900、実測値441.2909。
【0416】
α−モノメチルアミン24A及びβ−モノメチルアミン24B
【化175】
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粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:10:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、α−モノメチルアミン24A(およそ1.2mg、37%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.81(s,1H)、7.77(d,J=8.8Hz,1H)、7.64(d,J=5.4Hz,1H)、7.61(dd,J=1.0,8.8Hz,1H)、5.76(s,1H)、5.29(d,J=2.4Hz,1H)、3.16(t,J=10.0Hz,1H)、2.61−2.50(m,3H)、2.49(s,3H)、2.43−2.30(m,3H)、2.30−2.15(m,4H)、2.13−1.99(m,2H)、1.95(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.88(dq,J=4.9,11.7Hz,1H)、1.79−1.60(m,3H)、1.19(dq,J=4.4,12.7Hz,1H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2935O[M+H]:427.2744、実測値427.2759。
【0417】
α−第一級アミン62A及びβ−第一級アミン62B
【化176】
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粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:25:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、α−第一級アミン62A(3.7mg、38%)及びβ−第一級アミン62B(2.5mg、26%)を得た。
【0418】
α−第一級アミン62A:H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.3Hz,1H)、7.59(dd,J=1.2,8.2Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.27(d,J=2.9Hz,1H)、3.14(t,J=10.0Hz,1H)、2.85(tt,J=3.2,11.7Hz,1H)、2.51(dd,J=8.5,11.4Hz,1H)、2.40−2.28(m,3H)、2.27−2.12(m,4H)、2.10−1.96(m,3H)、1.93(dd,J=5.3,17.6Hz,1H)、1.92−1.81(m,2H)、1.76−1.62(m,2H)、1.22(dtd,J=4.1,11.7,13.5Hz,1H)、0.53(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2833O[M+H]:413.2587、実測値413.2590。
【0419】
β−第一級アミン62B:H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.2Hz,1H)、7.62(d,J=5.3Hz,1H)、7.59(dd,J=1.5,8.5Hz,1H)、5.73(d,J=1.2Hz,1H)、5.25(d,J=2.9Hz,1H)、3.47(td,J=3.7,7.9Hz,1H)、3.13(t,J=10.0Hz,1H)、2.58(dt,J=5.3,14.1Hz,1H)、2.51(dd,J=8.5,11.4Hz,1H)、2.39−2.21(m,5H)、2.17(dq,J=5.3,9.4Hz,1H)、2.13(ddd,J=2.3,4.7,15.8Hz,1H)、2.10−1.99(m,2H)、1.93(dd,J=5.3,17.0Hz,1H)、1.86(dq,J=5.3,12.3Hz,1H)、1.82(ddd,J=1.8,4.1,13.5Hz,1H)、1.78−1.66(m,3H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2833O[M+H]:413.2587、実測値413.2599。
【0420】
α−モルホリン15A及びβ−モルホリン15B
【化177】
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粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:40:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、α−モルホリン15A(およそ1.5mg、38%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl)シフト=9.23(s,1H)、8.49(d,J=5.4Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.76(d,J=8.3Hz,1H)、7.63(d,J=5.4Hz,1H)、7.60(d,J=8.3Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.29(d,J=2.9Hz,1H)、3.73(br.s.,4H)、3.15(t,J=10.0Hz,1H)、2.60(br.s.,4H)、2.52(dd,J=8.5,11.5Hz,2H)、2.46−2.29(m,3H)、2.29−2.13(m,4H)、2.12−1.99(m,2H)、1.94(dd,J=5.1,17.3Hz,1H)、1.94−1.81(m,3H)、1.73(td,J=8.2,12.3Hz,1H)、1.70−1.63(m,1H)、1.38(dq,J=4.4,12.2Hz,1H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3239[M+H]:483.3006、実測値483.3000。
【0421】
α−ピロリジン19A及びβ−ピロリジン19B
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:20:10:3 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、α−ピロリジン19A(2.5mg、55%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.2Hz,1H)、7.62(d,J=5.3Hz,1H)、7.59(d,J=8.8Hz,1H)、5.72(s,1H)、5.27(d,J=2.9Hz,1H)、3.14(t,J=10.0Hz,1H)、2.63(br.s.,4H)、2.52(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.42−2.29(m,3H)、2.28−2.15(m,5H)、2.12(d,J=12.3Hz,1H)、2.10−2.00(m,2H)、1.93(dd,J=5.3,17.0Hz,1H)、1.90−1.83(m,2H)、1.80(br.s.,4H)、1.72(td,J=8.8,12.9Hz,1H)、1.63(br.s.,1H)、1.37(dq,J=3.5,11.7Hz,1H)、0.53(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3239O[M+H]:467.3057、実測値467.3064。
【0422】
α−アゼチジン18A及びβ−アゼチジン18B
【化179】
[この文献は図面を表示できません]
粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:1:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、α−アゼチジン18A(およそ1.5mg、38%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.4Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.77(d,J=8.8Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(d,J=8.8Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.28(br.s.,1H)、3.24(br.s.,4H)、3.16(t,J=9.8Hz,1H)、2.54(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.42−2.30(m,3H)、2.30−2.13(m,5H)、2.12−2.00(m,2H)、1.95(dd,J=5.4,18.1Hz,1H)、1.93−1.78(m,3H)、1.74(td,J=8.3,12.2Hz,1H)、1.67−1.54(m,3H)、1.11(q,J=12.2Hz,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3137O[M+H]:453.2906、実測値453.2900。
【0423】
α−t−ブチルアミン43A及びβ−t−ブチルアミン43B
【化180】
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粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:10:1 CHCl3:i−PrOH)によって精製して、α−t−ブチルアミン43A(2.4mg、42%)及びβ−t−ブチルアミン43B(1.6mg、28%)を得た。
【0424】
α−t−ブチルアミン43A:H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(br.s.,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.78(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.3Hz,1H)、7.58(dd,J=1.2,8.2Hz,1H)、5.73(s,1H)、5.28(d,J=2.3Hz,1H)、3.14(t,J=9.7Hz,1H)、2.49(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.46−2.40(m,1H)、2.39−2.29(m,3H)、2.28−2.12(m,5H)、2.08−1.99(m,1H)、1.93(dd,J=5.3,17.0Hz,1H)、1.83(dq,J=5.0,12.2Hz,2H)、1.76−1.60(m,3H)、1.55(br.s.,9H)、1.26−1.18(m,1H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3241O[M+H]:469.3213、実測値469.3223。
【0425】
β−t−ブチルアミン43B:H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.3Hz,1H)、7.78(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(d,J=9.4Hz,1H)、5.73(br.s.,1H)、5.25(br.s.,1H)、3.38−3.23(m,1H)、3.13(t,J=10.0Hz,1H)、2.57−2.48(m,1H)、2.49(dd,J=8.5,10.9Hz,1H)、2.40−2.27(m,2H)、2.25−2.08(m,4H)、2.07−1.98(m,2H)、1.93(dd,J=5.3,17.6Hz,2H)、1.84(dq,J=5.3,12.3Hz,1H)、1.76−1.66(m,2H)、1.65−1.47(m,3H)、1.42−0.94(br.s.,9H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3241O[M+H]:469.3213、実測値469.3225。
【0426】
α−ヒドロキシアゼチジン70A及びβ−ヒドロキシアゼチジン70B
【化181】
[この文献は図面を表示できません]
粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:2:3 EtOAc:MeOH)によって精製して、α−ヒドロキシアゼチジン70A(1.2mg、30%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.4Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.77(d,J=8.3Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(d,J=8.3Hz,1H)、5.77(s,1H)、5.32(d,J=2.4Hz,1H)、4.66−4.55(m,1H)、3.94(br.s.,2H)、3.34(br.s.,2H)、3.16(t,J=9.8Hz,1H)、2.53(dd,J=8.5,11.5Hz,1H)、2.41(dd,J=15.6,28.3Hz,2H)、2.34(dt,J=4.9,11.2Hz,1H)、2.28(t,J=11.2Hz,1H)、2.25−2.14(m,3H)、2.10−1.98(m,2H)、1.95(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.96−1.89(m,1H)、1.86(dd,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.84−1.76(m,2H)、1.74(td,J=8.4,12.4Hz,1H)、1.65(dt,J=7.8,10.5Hz,1H)、1.40−1.27(m,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3137[M+H]:469.2850、実測値469.2872。
【0427】
α−ヒドロキシメチルアゼチジン69A及びβ−ヒドロキシメチルアゼチジン69B
【化182】
[この文献は図面を表示できません]
粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:1:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、α−ヒドロキシメチルアゼチジン69A(2.3mg、53%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl)シフト=9.23(s,1H)、8.49(d,J=5.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.76(d,J=8.2Hz,1H)、7.63(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(d,J=8.8Hz,1H)、5.76(s,1H)、5.30(d,J=2.9Hz,1H)、3.65−3.35(m,4H)、3.15(t,J=10.0Hz,1H)、2.52(dd,J=8.5,11.4Hz,1H)、2.40(dd,J=16.4,25.8Hz,2H)、2.33(dt,J=4.1,11.7Hz,1H)、2.26(t,J=11.4Hz,1H)、2.24(m,3H)、2.09−2.00(m,1H)、1.98(br.s.,1H)、1.94(dd,J=5.0,17.3Hz,1H)、1.92−1.77(m,4H)、1.73(td,J=8.2,12.9Hz,1H)、1.67−1.59(m,1H)、1.58−1.50(br.s.,3H)、1.39−1.28(m,1H)、0.58−0.51(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3239[M+H]:483.3006、実測値483.3000。
【0428】
α−アミノエチルスルホンアミド71A及びβ−アミノエチルスルホンアミド71B
【化183】
[この文献は図面を表示できません]
粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:100% EtOAc)によって精製して、β−アミノエチルスルホンアミド71B(0.7mg、15%)及びα−アミノエチルスルホンアミド71A(1.1mg、24%)を得た。
【0429】
β−アミノエチルスルホンアミド71B:H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.21−917(m,1H)、8.37(d,J=5.9Hz,1H)、7.97(s,1H)、7.88(d,J=8.3Hz,1H)、7.79(d,J=5.4Hz,1H)、7.74(dd,J=1.5,8.8Hz,1H)、5.74−5.69(m,1H)、5.28−5.22(m,1H)、3.26−3.18(m,J=9.8Hz,1H)、3.14−3.00(m,4H)、2.59−2.38(m,4H)、2.37−2.26(m,2H)、2.23−2.06(m,3H)、2.03−1.86(m,5H)、1.85−1.76(m,1H)、1.76−1.59(m,3H)、0.57(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3038S[M+H]:520.2628、実測値520.2640。
【0430】
α−アミノエチルスルホンアミド71A:H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.19(s,1H)、8.37(d,J=5.9Hz,1H)、7.97(s,1H)、7.88(d,J=8.8Hz,1H)、7.79(d,J=5.9Hz,1H)、7.74(dd,J=1.7,8.6Hz,1H)、5.77−5.71(m,1H)、5.30−5.24(m,1H)、3.29−3.24(m,2H)、3.23(dd,J=9.0,11.0Hz,1H)、3.13(dt,J=2.7,6.7Hz,2H)、2.73(tt,J=3.1,12.0Hz,1H)、2.50(dd,J=8.6,11.5Hz,1H)、2.47−2.38(m,2H)、2.39−2.34(m,1H)、2.32(d,J=11.2Hz,1H)、2.30−2.22(m,2H)、2.17(dtd,J=5.9,9.3,14.7Hz,2H)、2.10−2.03(m,1H)、2.01(s,1H)、2.00−1.92(m,1H)、1.90(dd,J=6.4,17.1Hz,1H)、1.72(td,J=8.3,12.3Hz,1H)、1.68−1.60(m,2H)、1.18(dq,J=4.4,12.2Hz,1H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3038S[M+H]:520.2628、実測値520.2643。
【0431】
α−ヒドロキシアミノメチルオキセタン72A及びβ−ヒドロキシアミノメチルオキセタン72B
【化184】
[この文献は図面を表示できません]
粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:100% EtOAc)によって精製して、α−ヒドロキシアミノメチルオキセタン72A(1.5mg、34%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD)シフト=9.19(s,1H)、8.38(d,J=5.4Hz,1H)、7.97(s,1H)、7.88(d,J=8.3Hz,1H)、7.79(d,J=5.9Hz,1H)、7.74(dd,J=1.5,8.8Hz,1H)、5.84−5.78(m,1H)、5.35−5.30(m,1H)、4.64(d,J=7.3Hz,2H)、4.57(dd,J=3.7,7.1Hz,2H)、3.48−3.40(m,2H)、3.24(dd,J=9.0,11.0Hz,2H)、2.54−2.48(m,J=8.8Hz,1H)、2.48−2.40(m,3H)、2.40−2.24(m,4H)、2.24−2.13(m,3H)、2.01−1.85(m,4H)、1.80−1.64(m,2H)、1.46(dq,J=4.9,12.2Hz,1H)、0.57(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3239[M+H]:499.2955、実測値499.2933。
【0432】
β−PEGアミン75B及びα−PEGアミン75A
【化185】
[この文献は図面を表示できません]
β−PEGアミン75B:粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:5:5:1 EtOAc:ジクロロメタン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−PEGアミン75B(1.0mg、18%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.81(s,1H)、7.77(d,J=8.3Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.61(dd,J=1.7,8.5Hz,1H)、5.72(d,J=1.5Hz,2H)、5.25(dd,J=2.2,5.1Hz,1H)、3.71−3.64(m,6H)、3.62(t,J=5.4Hz,2H)、3.58(dd,J=3.7,5.6Hz,2H)、3.41(s,3H)、3.19−3.12(m,J=10.7Hz,1H)、3.11(t,J=3.9Hz,1H)、2.79(t,J=5.4Hz,2H)、2.56(t,J=16.1Hz,1H)、2.52(dd,J=8.3,11.2Hz,1H)、2.42−2.29(m,3H)、2.27−2.13(m,2H)、2.12−2.01(m,2H)、2.02(dd,J=3.7,13.9Hz,1H)、1.95(br.s.,2H)、1.86(dq,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.80−1.73(m,1H)、1.71(dd,J=3.2,11.5Hz,1H)、1.68−1.58(m,2H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3547[M+H]:559.3530、実測値559.3545。
【0433】
α−PEGアミン75A:粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:100:5:1 EtOAc:MeOH:トリメチルアミン)によって精製して、α−PEGアミン75A(1.1mg、20%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.81(s,1H)、7.77(d,J=8.8Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.61(dd,J=1.5,8.8Hz,1H)、5.75(d,J=2.0Hz,1H)、5.28(dd,J=2.2,5.1Hz,1H)、3.70−3.65(m,7H)、3.64(t,J=5.4Hz,2H)、3.61−3.55(m,2H)、3.41(s,3H)、3.16(dd,J=9.0,10.5Hz,1H)、2.87(t,J=5.1Hz,2H)、2.67(t,J=11.5Hz,1H)、2.54(dd,J=8.3,11.7Hz,1H)、2.38(d,J=16.1Hz,3H)、2.24(d,J=12.2Hz,2H)、2.22−2.14(m,2H)、2.11−2.02(m,2H)、1.95(dd,J=5.4,16.6Hz,1H)、1.88(dq,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.78−1.69(m,2H)、1.68−1.62(m,1H)、1.27−1.19(m,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3547[M+H]:559.3530、実測値559.3542。
【0434】
α−メチルスルホンアミド73A
【化186】
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粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:40:1 MeOH:ジクロロメタン)によって精製して、α−メチルスルホンアミド73A(2.0mg、82%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(br.s.,1H)、8.51(d,J=4.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.77(d,J=8.3Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(dd,J=1.5,8.3Hz,1H)、5.78(d,J=1.5Hz,1H)、5.36−5.29(m,1H)、4.24(d,J=7.8Hz,1H)、3.53(tdt,J=3.9,7.7,11.7Hz,1H)、3.20−3.11(m,J=10.7Hz,1H)、3.04(s,3H)、2.51(dd,J=8.3,11.7Hz,1H)、2.37(d,J=16.6Hz,3H)、2.28(br.s.,2H)、2.25−2.10(m,4H)、2.10−2.00(m,1H)、1.96(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.88(dt,J=5.4,11.7Hz,1H)、1.85(t,J=12.2Hz,1H)、1.80−1.66(m,2H)、1.47−1.35(m,J=4.4Hz,1H)、0.55(s,3H);HRMS(ESI)(m/z)算出値C2935S[M+H]:491.2363、実測値491.2387。
【0435】
β−メチルスルホンアミド73B
【化187】
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粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:40:1 MeOH:ジクロロメタン)によって精製して、β−メチルスルホンアミド73B(1.7mg、90%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.78(d,J=8.8Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(dd,J=1.5,8.3Hz,1H)、5.79(d,J=1.5Hz,1H)、5.35−5.30(m,1H)、4.31(d,J=6.3Hz,1H)、4.00(quind,J=3.6,6.7Hz,1H)、3.16(dd,J=9.0,10.5Hz,1H)、3.03(s,3H)、2.52(dd,J=8.5,11.5Hz,1H)、2.41(t,J=16.1Hz,1H)、2.39(br.s.,2H)、2.32−2.26(m,2H)、2.26−2.14(m,3H)、2.12−1.99(m,2H)、1.96(dd,J=5.1,17.3Hz,2H)、1.86(dq,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.83−1.72(m,3H)、0.56(s,3H);HRMS(ESI)(m/z)算出値C2935S[M+H]:491.2363、実測値491.2376。
【0436】
α−メチル−メチルスルホンアミド76A
【化188】
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粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:40:1 MeOH:ジクロロメタン)によって精製して、α−メチル−メチルスルホンアミド76A(0.7mg、57%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.51(d,J=5.9Hz,1H)、7.81(s,1H)、7.78(d,J=8.3Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(dd,J=1.5,8.3Hz,1H)、5.79(s,1H)、5.33(dd,J=2.2,5.6Hz,1H)、3.98(tt,J=3.4,12.4Hz,1H)、3.16(dd,J=9.0,10.5Hz,1H)、2.89(s,3H)、2.80(s,3H)、2.52(dd,J=8.5,11.5Hz,1H)、2.44(ddd,J=2.7,4.1,16.6Hz,1H)、2.36(br.s.,3H)、2.28(d,J=10.7Hz,2H)、2.21(dq,J=4.9,9.1Hz,1H)、2.14(t,J=12.7Hz,1H)、2.10−2.00(m,0H)、1.97(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.93(dd,J=2.9,12.2Hz,1H)、1.88(dd,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.87−1.81(m,1H)、1.80−1.60(m,3H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3037S[M+H]:505.2519、実測値505.2537。
【0437】
実施例2. イソキノリン化合物10から12への別の可能な経路
イソキノリン12への新たな経路を設計した。下記スキーム2−1を参照されたい。トリフレート化/鈴木クロスカップリング反応を、同様の基質に対して図面に示される指定の試薬を用いて達成した。例えば、Nicolaou et al.,J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 10587-10597を参照されたい。
【化189】
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【0438】
トリフレート20の合成
モノケトン10(200mg、584μmol、1.00当量)のTHF(4mL)溶液に、NaHMDS(1M、701μL、701μmol、1.20当量)を−78℃で滴加した。1.5時間撹拌した後、THF(2.5mL)中のPhNTf(313mg、876μmol、1.50当量)をカニューレにより投入し、反応混合物を0℃まで温めた。更に30分後、飽和NHCl溶液(8mL)を撹拌反応混合物に添加し、EtOAc(10mL)で希釈した。層を分離し、水層をEtOAc(2×6mL)で抽出し、有機層を合わせ、ブライン(15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:8:1→5:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、トリフレート20(237mg、86%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=5.76(s,1H)、5.67(br.s.,1H)、5.32(dd,J=2.0,4.9Hz,1H)、4.02−3.94(m,4H)、2.67(dd,J=6.8,10.7Hz,1H)、2.49(t,J=14.6Hz,1H)、2.45(ddd,J=3.7,6.5,15.2Hz,1H)、2.38−2.28(m,4H)、2.17(ddd,J=1.5,10.7,12.7Hz,1H)、2.12(d,J=13.2Hz,1H)、2.10(dd,J=5.9,17.6Hz,1H)、1.98(dd,J=2.7,13.4Hz,1H)、1.88(ddd,J=7.6,8.9,12.8Hz,1H)、1.80(tdd,J=2.4,4.8,12.7Hz,1H)、1.74−1.63(m,2H)、1.03(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2226S[M+H]:475.1397、実測値475.1411。
【0439】
トリフレート20からの17,18−不飽和イソキノリン21の鈴木クロスカップリング合成
トリフレート20(1.00当量)及びイソキノリン−7−ボロン酸(3.00当量)の1,4−ジオキサン及びHO(10:1、0.02M)溶液にKCO(3.00当量)を添加し、溶液を不活性Arで5分間バブリングした。Pd(dppf)Cl・CHCl(0.05当量)を添加し、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液を適用した。混合物をEtOAcで希釈し、層を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0440】
粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:2:1→1:1→1:2 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、17,18−不飽和イソキノリン21(490mg、84%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.23(s,1H)、8.49(d,J=5.4Hz,1H)、7.94(s,1H)、7.85−7.81(m,1H)、7.80−7.75(m,1H)、7.63(d,J=5.4Hz,1H)、6.26(br.s.,1H)、5.82(s,1H)、5.40(d,J=3.4Hz,1H)、4.08−3.90(m,4H)、2.76(dd,J=7.1,11.0Hz,1H)、2.58(dt,J=5.4,17.6Hz,1H)、2.56−2.40(m,3H)、2.40−2.28(m,4H)、2.16(d,J=13.2Hz,1H)、2.02(dd,J=2.0,13.2Hz,1H)、1.94(td,J=8.8,13.2Hz,1H)、1.81(td,J=2.0,12.7Hz,1H)、1.76−1.67(m,2H)、1.18(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3032NO[M+H]:454.2377、実測値454.2366。
【0441】
17,18−不飽和イソキノリン21からのイソキノリン12の合成
17,18−不飽和イソキノリン21(400mg、877μmol、1.0当量)のTHF(36mL)溶液に10wt%Pd/C(280mg、263μmol、0.30当量)を添加し、Hバルーンを取り付けた。3時間後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、0.2M NHのMeOH(40mL)溶液で洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:1→1:2 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、イソキノリン12(325mg、80%)を得た。スペクトルデータは1−クロロイソキノリン付加物11で構成されるイソキノリン12と一致していた。
【0442】
実施例3. イソキノリン類縁体の合成
【化190】
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【0443】
トリフレート20からの17,18−不飽和5−インダゾール56の鈴木クロスカップリング
トリフレート20(1.00当量)及びインダゾール−5−ボロン酸エステル(3.00当量)の1,4−ジオキサン及びHO(10:1、0.02M)溶液にKCO(3.00当量)を添加し、溶液を不活性Arで5分間バブリングした。Pd(dppf)Cl・CHCl(0.05当量)を添加し、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液を適用した。混合物をEtOAcで希釈し、層を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0444】
粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:3→1:1 EtOAc:ヘキサン)によって精製して、17,18−不飽和6−インダゾール56(13mg、70%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.04(s,1H)、7.67(d,J=10.0Hz,1H)、7.49(s,1H)、7.27(d,J=10.0Hz,1H)、6.12(br.s.,1H)、5.78(br.s.,1H)、5.36(t,J=5.0Hz,1H)、3.99(m,4H)、2.72(m,1H)、2.53−2.44(m,3H)、2.40(br.d.,J=10.0Hz,1H)、2.36−2.25(m,4H)、2.14(d,J=10.0Hz,1H)、2.00(dd,J=10.0,5.0Hz,1H)、1.93−1.87(m,1H)、1.79(m,1H)、1.72−1.66(m,2H)、1.10(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2831[M+H]:443.5573、実測値443.5571。
【0445】
トリフレート20からの17,18−不飽和6−インダゾール59の鈴木クロスカップリング
トリフレート20(1.00当量)及びインダゾール−6−ボロン酸エステル(3.00当量)の1,4−ジオキサン及びHO(10:1、0.02M)溶液にKCO(3.00当量)を添加し、溶液を不活性Arで5分間バブリングした。Pd(dppf)Cl・CHCl(0.05当量)を添加し、反応混合物を80℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液を適用した。混合物をEtOAcで希釈し、層を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0446】
粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:4→3:1 EtOAc:ヘキサン)によって精製して、17,18−不飽和5−インダゾール59(5.9mg、65%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=10.04(brs,1H)、8.05(s,1H)、7.75(s,1H)、7.46(ABq,JAB=8.8Hz,Δν=33.5Hz,2H)、6.02(s,1H)、5.79(s,1H)、5.38(dd,J=3.4,3.4Hz,1H)、3.94−4.01(m,4H)、2.73(dd,J=10.7,6.8Hz,1H)、2.44−2.53(m,3H)、2.40(d,12.2Hz,1H)、2.28−2.36(m,3H)、2.15(d,J=13.2Hz,1H)、2.03(parobsd,J=11.2Hz,1H)、2.01(parobsdd,J=13.2,2.4Hz,1H)、1.91(dt,J=12.21,9.3Hz,1H)、1.77−1.82(m,1H)、1.66−1.73(m,2H)、1.10(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2831[M+H]:443.2335、実測値443.4956.1
【0447】
β−ジメチルアミンアミノメチルピリジン46B及びα−ジメチルアミンアミノメチルピリジン46A
【化191】
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β−ジメチルアミンアミノメチルピリジン46B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:10:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−ジメチルアミンアミノメチルピリジン46B(5mg、55%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.58(s,1H)、8.51(dd,J=1.5,4.9Hz,1H)、7.71(td,J=2.0,7.8Hz,1H)、7.26(dd,J=4.9,7.8Hz,1H)、5.71(s,1H)、5.24(dd,J=2.4,4.4Hz,1H)、3.88−3.80(m,2H)、2.81(t,J=9.0Hz,1H)、2.45(dt,J=6.3,13.7Hz,1H)、2.46−2.37(m,1H)、2.30(br.s.,6H)、2.26−2.19(m,3H)、2.17−2.07(m,5H)、1.92(dd,J=2.9,13.7Hz,2H)、1.79(dddd,J=4.9,8.3,10.3,13.2Hz,1H)、1.74−1.59(m,4H)、1.39(ddt,J=4.4,9.8,12.7Hz,1H)、0.80(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2738O[M+H]:420.3009、実測値420.2999。
【0448】
β−ジメチルアミン17,18−不飽和アミドピリジン49B及びα−ジメチルアミン17,18−不飽和アミドピリジン49A
【化192】
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β−ジメチルアミン17,18−不飽和アミドピリジン49B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:8:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−ジメチルアミン17,18−不飽和アミドピリジン49B(2.1mg、44%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.58(d,J=2.4Hz,1H)、8.36(dd,J=1.0,4.9Hz,1H)、8.23(td,J=2.0,8.3Hz,1H)、7.49(s,1H)、7.29(dd,J=4.9,8.8Hz,1H)、6.57(br.s.,1H)、5.73(s,1H)、5.33(dd,J=2.0,5.4Hz,1H)、2.66−2.56(m,2H)、2.54(dd,J=3.2,6.6Hz,1H)、2.51−2.32(m,5H)、2.28(br.s.,6H)、2.20(ddd,J=1.2,11.0,12.7Hz,1H)、2.10(td,J=6.4,13.1Hz,2H)、1.97−1.89(m,3H)、1.76(dt,J=7.8,11.2Hz,1H)、1.66−1.55(m,1H)、1.14(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2734[M+H]:432.2646、実測値432.2649。
【0449】
β−ジメチルアミン17,18−不飽和フタラジン55B及びα−ジメチルアミン17,18−不飽和フタラジン55A
【化193】
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β−ジメチルアミン17,18−不飽和フタラジン55B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:9:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−ジメチルアミン17,18−不飽和フタラジン55B(5.5mg、73%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.50(s,2H)、7.97−8.03(m,1H)、7.89(d,J=4.39Hz,2H)、6.34−6.39(m,1H)、5.77−5.83(m,1H)、5.32−5.43(m,1H)、2.72(dd,J=11.23,6.84Hz,1H)、2.38−2.50(m,4H)、2.47(br.m.,6H)、2.24−2.30(m,3H)、2.09−2.20(m,2H)、2.03(d,J=10.25Hz,2H)、1.88−1.99(m,2H)、1.75−1.86(m,2H)、1.17(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2833O[M+H]:440.5998、実測値440.5995。
【0450】
β−ジメチルアミン17,18−不飽和6−インダゾール58B及びα−ジメチルアミン17,18−不飽和6−インダゾール58A
【化194】
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β−ジメチルアミン17,18−不飽和6−インダゾール58B:粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:9:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−ジメチルアミン17,18−不飽和6−インダゾール58B(3.9mg、73%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.03(s,1H)、7.67(d,J=8.30Hz,1H)、7.49(s,1H)、7.25−7.28(m,1H)、6.12(t,J=2.44Hz,1H)、5.75(s,1H)、5.33(t,J=3.42Hz,1H)、3.22−3.38(m,1H)、2.71(dd,J=11.23,6.84Hz,1H)、2.44−2.50(m,4H)、2.41(br.m.,6H)、2.22−2.31(m,3H)、2.09−2.20(m,2H)、2.04(d,J=2.93Hz,2H)、1.78(td,J=11.35,7.08Hz,2H)、1.52−1.64(m,1H)、1.07−1.15(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2833O[M+H]:428.5891、実測値428.5889。
【0451】
β−ジメチルアミン17,18−不飽和5−インダゾール61B及びα−ジメチルアミン17,18−不飽和5−インダゾール61A
【化195】
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β−ジメチルアミン17,18−不飽和5−インダゾール61B:粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:9:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、β−ジメチルアミン17,18−不飽和5−インダゾール61B(2.5mg、70%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.05(s,1H)、7.75(s,1H)、7.47(ABq,JAB=8.8Hz,Δν=33.5Hz,2H)、6.02(dd,J=2.0,2.0Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.33(dd,J=3.4,3.4Hz,1H)、2.72(dd,J=11.2,6.8Hz,1H)、2.43−2.48(m,5H)、2.37−2.41(m,2H)、2.26−2.35(m,8H)、2.11(m,2H)、2.04(d,J=6.8Hz,1H)、1.88−1.98(m,3H)、1.77(m,1H)、1.10(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2834O[M+H]:428.2702、実測値428.2653。
【0452】
β−ジメチルアミンアミドピリジン50Bの合成
【化196】
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β−ジメチルアミン17,18−不飽和アミドピリジン49B(およそ1.2mg)のMeOH(300μL)溶液にMg(およそ1mg)を添加し、室温で48時間撹拌した。反応混合物にHO(700μL)を添加し、EtOAc(700μL)で希釈した。水相をEtOAc(2×0.5mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(0.5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をHPLC(Eclipse XDB−C8カラム、9.4mm×25cm;勾配=30分にわたる0%→35% MeCN(0.1%ギ酸):HO(0.1%ギ酸))によって精製して、β−ジメチルアミンアミドピリジン50B(およそ0.3mg、25%)を得た。少量であるため、特徴的(diagnostic)ピークのみを割り当てた。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.56(br.s,1H)、8.37(d,J=3.4Hz,1H)、8.21(d,J=8.3Hz,1H)、7.09(br.s.,1H)、5.81(s,1H)、5.39−5.33(m,1H)、2.78(br.s.,6H)、0.83(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2735[M+H]:434.2802、実測値434.2815。
【0453】
フタラジン6−トリフレート51の合成
6−フタラジノール(588.4mg、4.26mmol、1.0当量)のCHCl溶液にN−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(1.73g、4.83mmol、1.2当量)、EtN(0.9mL、6.04mmol、1.5当量)及びDMAP(触媒)を添加した。混合物を60℃まで温め、3時間撹拌した。反応を室温まで冷却し、飽和NaHCO及びCHClでクエンチし、層を分離した。水層をCHClで抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:9:1 ジクロロメタン:MeOH)によって精製して、フタラジン6−トリフレート51(995mg、90%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.68(d,J=3.91Hz,2H)8.19(d,J=8.79Hz,1H)7.96(br.s.,1H)7.84−7.89(m,1H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値CS[M+H]:279.2157、実測値279.2152。
【0454】
フタラジン6−トリメチルスズ52の合成
フタラジン6−トリフレート52(992mg、3.57mmol、1.0当量)のC溶液にLiCl(907mg、21.59mmol、6.0当量)、Pd(PPh(412mg、0.3565mmol、0.1当量)及び(MeSn)(0.78mL、3.743mmol、1.05当量)を添加した。溶液を超音波処理器において10分間アルゴンでバブリングし、混合物を105℃まで温め、1時間撹拌した。反応を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、セライトで濾過した。有機部分を飽和NaHCOで洗浄し、NaSOで乾燥させた後、減圧下で濃縮した。粗混合物をフラッシュカラム(正:column)クロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:1 EtOAc:ヘキサン)によって精製して、フタラジン6−トリメチルスズ52(656mg、63%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.54(d,J=4.39Hz,2H)8.12(br.s.,1H)8.08(d,J=7.81Hz,1H)7.92(d,J=7.81Hz,1H)0.43(s,9H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C1115Sn[M+H]:293.9602、実測値293.9601。
【0455】
17,18−不飽和フタラジン53の合成
トリフレート20(20mg、42.15μmol、1.0当量)のDMSO溶液に(トリメチルスタンニル)フタラジン52(31mg、105.40μmol、2.0当量)、CuCl(42mg、421.50μmol、10.0当量)及びLiCl(18mg、421.50μmol、10.0当量)を添加した。混合物を凍結融解法によって4回脱酸素化し、Pd(PPh)(5mg、4.22μmol、0.1当量)を添加した。混合物を60℃まで加熱し、1時間撹拌した。反応を5%NHOH及び酢酸エチルでクエンチし、層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:4→1:1→3:1 EtOAc:ヘキサン)によって精製して、17,18−不飽和フタラジン53(16.3mg、85%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.51(d,J=5.0Hz,2H)8.02(d,J=5.0Hz,1H)、7.91(s,1H)、7.90(d,J=5.0Hz,1H)、6.37(br.s.,1H)、5.80(br.s.,1H)、5.37(br.m.,1H)、3.98(m,4H)、2.75(m,1H)、2.59−2.52(m,2H)、2.50−2.42(m,3H)、2.37−2.26(m,3H)、2.14(d,J=15.0Hz,1H)、2.00(dd,J=15.0,2.5Hz,1H)、1.93(m,1H)、1.79(m,1H)、1.72−1.66(m,2H)、1.16(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2931[M+H]:455.5680、実測値455.5679。
【0456】
17,18−不飽和アミドピリジン47の合成
トリフレート20(20mg、42.1μmol、1.0当量)及び3−アミノピリジン(19.8mg、210μmol、5.0当量)のDMF(1mL)溶液に、トリエチルアミン(12μL、84.3μmol、2.0当量)及びPd(dppf)Cl・CHCl(1.72mg、2.10μmol、0.05当量)を添加した。反応フラスコにCOバルーンを取り付け、溶液を室温で5分間パージした。次いで、反応混合物を85℃まで加熱し、4時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAc(3mL)及びHOを添加した。層を分離し、水層をEtOAc(3×2mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(3mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:10:10:1→10:10:2 ヘキサン:EtOAc:MeOH)によって精製して、17,18−不飽和アミドピリジン47(17mg、89%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.57(d,J=2.4Hz,1H)、8.33(dd,J=1.2,4.6Hz,1H)、8.20(d,J=8.3Hz,1H)、7.70(s,1H)、7.26(dd,J=4.9,7.8Hz,1H)、6.55(br.s.,1H)、5.77(s,1H)、5.36(d,J=2.9Hz,1H)、4.03−3.89(m,4H)、2.63−2.56(m,2H)、2.52(ddd,J=2.9,7.3,17.1Hz,1H)、2.52−2.37(m,3H)、2.36−2.27(m,2H)、2.20(t,J=12.2Hz,1H)、2.12(d,J=13.2Hz,1H)、1.97(dd,J=2.2,12.9Hz,1H)、1.89(td,J=8.8,13.2Hz,1H)、1.78(tdd,J=2.4,4.8,12.8Hz,1H)、1.71−1.62(m,2H)、1.11(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2731[M+H]:447.2278、実測値447.2289。
【0457】
実施例4. ケトン合成の一般的方法
0℃のケタールのTHF溶液に、6N HCl(THF:6N HCl=1:1、0.05M)を添加した。混合物を室温まで温め、1時間撹拌した。反応を6N NaOH及び酢酸エチルでクエンチし、層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0458】
ケトン45の合成
粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:15:1 ジクロロメタン:MeOH)によって精製して、ケトン45(8.5mg、95%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.60(s,1H)、8.52(d,J=3.9Hz,1H)、7.74(br.s.,1H)、7.28(dd,J=4.4,8.3Hz,1H)、5.91(s,1H)、5.37(dd,J=2.7,4.6Hz,1H)、3.88(d,J=13.7Hz,1H)、3.84(d,J=13.7Hz,1H)、2.91(d,J=14.6Hz,1H)、2.82(t,J=9.0Hz,1H)、2.65(d,J=15.1Hz,1H)、2.64(dd,J=10.3,14.6Hz,1H)、2.59−2.41(m,3H)、2.32−2.20(m,3H)、2.19−2.07(m,3H)、1.85−1.72(m,2H)、1.72−1.61(m,2H)、1.44(br.s.,1H)、0.82(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2531[M+H]:391.2380、実測値391.2366。
【0459】
ケトン54の合成
粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:1 EtOAc:ヘキサン)によって精製して、ケトン54(8.7mg、80%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.54(d,J=10.0Hz,2H)8.04(d,J=10.0Hz,1H)、7.93(br.s.,2H)、6.40(br.s.,1H)、5.95(br.s.,1H)、5.47(br.m.,1H)、2.95(d,J=10.0Hz,1H)、2.77(m,1H)、2.71−2.62(m,2H)、2.59−2.44(m,7H)、2.34(t,J=10.0Hz,1H)、2.19(t,J=10.0Hz,1H)、2.00(m,1H)、1.78(m,1H)、1.18(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2727[M+H]:411.5155、実測値411.5152。
【0460】
ケトン57の合成
粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:1 EtOAc:ヘキサン)によって精製して、ケトン57(13.7mg、72%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.04(br.s.,1H)、7.68(d,J=10.0Hz,1H)、7.48(br.s.,1H)、7.27(d,J=10.0Hz,1H)、6.13(br.s.,1H)、5.93(br.s.,1H)、5.45(br.t.,J=5Hz,1H)、2.97(d,J=15.0Hz,1H)、2.76−2.64(m,3H)、2.53−2.43(m,6H)、2.40−2.34(m,2H)、2.17(t,J=10.0Hz,1H)、1.98(m,1H)、1.77(m,1H)、1.11(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2627[M+H]:399.5048、実測値399.5047。
【0461】
ケトン60の合成
粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:1→3:1 EtOAc:ヘキサン、2%トリエチルアミンで緩衝化)によって精製して、ケトン60(3.3mg、68%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.93−10.27(brs,1H)、8.06(s,1H)、7.75(s,1H)、7.47(ABq,JAB=8.8Hz,Δν=29.5Hz,2H)、6.03(dd,J=2.0,2.0Hz,1H)、5.94(s,1H)、5.47(dd,J=3.9,3.9Hz,1H)、2.97(d,J=15.1Hz,1H)、2.63−2.76(m,3H)、2.53−2.59(m,1H)、2.44−2.50(m,5H)、2.35−2.42(m,2H)、2.17(dd,J=9.3,9.3Hz,1H)、1.95−2.01(m,1H)、1.74−1.80(m,1H)、1.11(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2627[M+H]:399.2073、実測値399.2043。
【0462】
ケトン22の合成
方法については、「ケトン13の合成」を参照されたい。次いで、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:2→1:2 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、ケトン22(8.2mg、61%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(br.s.,1H)、8.51(d,J=5.4Hz,1H)、7.94(s,1H)、7.84−7.76(m,2H)、7.63(d,J=5.4Hz,1H)、6.27(br.s.,1H)、5.97(s,1H)、5.50(dd,J=2.4,4.9Hz,1H)、2.98(d,J=14.6Hz,1H)、2.78(dd,J=6.8,11.2Hz,1H)、2.71(d,J=14.6Hz,1H)、2.72−2.63(m,1H)、2.61(d,J=5.4Hz,1H)、2.59−2.54(m,2H)、2.54−2.50(m,2H)、2.50−2.42(m,2H)、2.39(ddd,J=1.5,11.0,12.9Hz,1H)、2.20(ddd,J=1.5,9.5,11.5Hz,1H)、2.01(ddd,J=7.3,8.8,12.7Hz,1H)、1.79(dt,J=7.3,11.2Hz,1H)、1.18(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2828NO[M+H]:410.2115、実測値410.2111。
【0463】
ケトン48の合成
方法については、「ケトン13の合成」を参照されたい。次いで、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:10:3 ヘキサン:EtOAc:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、ケトン48(5.0mg、74%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=8.60(d,J=2.0Hz,1H)、8.37(dd,J=1.0,4.9Hz,1H)、8.24−8.20(m,1H)、7.55(s,1H)、7.30(dd,J=4.9,8.3Hz,1H)、6.57(br.s.,1H)、5.94(s,1H)、5.48(dd,J=2.2,5.1Hz,1H)、2.95(d,J=15.1Hz,1H)、2.69(d,J=14.6Hz,1H)、2.68(d,J=12.7Hz,1H)、2.66−2.61(m,2H)、2.61−2.53(m,2H)、2.52−2.44(m,3H)、2.41(d,J=18.1Hz,1H)、2.29(ddd,J=1.5,11.1,12.8Hz,1H)、2.22−2.15(m,J=1.5,9.4,11.1Hz,1H)、1.98(ddd,J=7.6,9.0,12.7Hz,1H)、1.76(dt,J=7.3,11.2Hz,1H)、1.14(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2527[M+H]:403.2016、実測値403.2023。
【0464】
実施例5. N−オキシド合成の一般的方法
アミン(1.00当量)のメタノール(0.028M)溶液に、H(32.0当量)を室温で添加した。25時間後、飽和NaHCO溶液を添加し、ジクロロメタンで希釈し、層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0465】
14B−N−オキシド(14BNO)の合成
【化197】
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粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:90:9:1→80:18:2 クロロホルム:メタノール:5N NHOHのHO溶液)によって精製して、N−オキシド14BNO(23.5mg、95%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.21(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.77(s,1H)、7.75(d,J=8.3Hz,1H)、7.61(d,J=5.9Hz,1H)、7.57(dd,J=1.0,8.8Hz,1H)、5.76(s,1H)、5.28(d,J=2.9Hz,1H)、3.44−3.36(m,1H)、3.22(s,3H)、3.12(t,J=10.8Hz,1H)、3.10(d,J=1.0Hz,3H)、2.47(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.44−2.29(m,5H)、2.28−2.13(m,4H)、2.09(ddd,J=1.5,9.3,11.2Hz,1H)、2.06−1.97(m,2H)、1.94(dd,J=5.1,17.4Hz,1H)、1.85(dq,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.83−1.76(m,1H)、1.72(td,J=9.3,12.2Hz,1H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3037[M+H]:457.2850、実測値457.2842。
【0466】
14A−N−オキシド(14ANO)の合成
【化198】
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粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:90:9:1→80:18:2 クロロホルム:メタノール:5N NHOHのHO溶液)によって精製して、N−オキシド14ANO(3.6mg、77%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.77(d,J=8.8Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(d,J=8.8Hz,1H)、5.81(s,1H)、5.36(d,J=2.9Hz,1H)、3.46(t,J=12.4Hz,1H)、3.24(s,3H)、3.18(s,3H)、3.16(t,J=9.8Hz,1H)、2.64(dd,J=3.2,7.1Hz,1H)、2.59−2.47(m,3H)、2.43−2.28(m,4H)、2.28−2.15(m,2H)、2.09−1.99(m,2H)、1.97(dd,J=5.1,12.4Hz,1H)、1.88(dq,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.81−1.71(m,2H)、1.51(dq,J=4.1,12.3Hz,1H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3037[M+H]:457.2850、実測値457.2846
【0467】
コルチスタチンA N−オキシド形成
【化199】
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コルチスタチンA N−オキシド:コルチスタチンA(2mg)の酢酸エチル(1mL)溶液にAldrichのシリカゲルDavisil(商標)(200メッシュ)(200mg)を添加し、この溶液を撹拌し、空気に1時間曝露した。シリカゲルを濾過し、濾液を濃縮して粗コルチスタチンA N−オキシドを得て、これをSiOクロマトグラフィー(溶離液:50%メタノール/酢酸エチル)によって更に精製して、コルチスタチンA N−オキシド(1.8mg、収率90%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ9.22(s,1H)、8.50(d,J=5.8Hz,1H)、7.78(s,1H)、7.76(d,J=8.8Hz,1H)、7.63(d,J=5.9Hz,1H)、7.58(d,J=8.8Hz,1H)、6.28(s,1H)、5.49(m,1H)、4.15(d,J=9.3Hz,1H)、3.83(t,J=9.8,9.8Hz,1H)、3.31−3.36(m,1H)、3.26(s,3H)、3.19(s,3H)、3.16(dd,J=9.3,9.3Hz,1H)、2.50(dd,J=11.7,8.8Hz,1H)、2.14−2.40(m,5H)、1.97−2.07(m,3H)、1.81−1.90(m,2H)、1.68−1.75(m,1H)、1.49−1.65(m,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3037[M+H]:489.2753、実測値489.5928。
【0468】
実施例6. C3−アルコール及び置換類縁体の合成
【化200】
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【0469】
β−アルコール17Bの合成
【化201】
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β−アルコール17B:ケトン13(2.00mg、4.85μmol、1.0当量)のTHF(350μL)溶液を−78℃まで冷却し、L−selectrideのTHF(1M、9.71μL、9.71μmol、2.0当量)溶液を添加した。1時間後、飽和NHCl溶液(400μL)及び酢酸エチル(300μL)を添加し、これを室温まで温めた。水相を酢酸エチル(3×1mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(1mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLC(溶離液:1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、β−アルコール17B(およそ1.2mg、60%)を得た。
【0470】
H NMR(600MHz,CDCl)シフト=9.26(br.s,1H)、8.49(br.s,1H)、7.82(s,1H)、7.78(d,J=8.2Hz,1H)、7.69(br.s,1H)、7.63(d,J=7.6Hz,1H)、5.75(s,1H)、5.26(br.s,1H)、4.36(br.s,1H)、3.15(t,J=9.7Hz,1H)、2.63(t,J=13.5Hz,1H)、2.51(dd,J=9.1,10.9Hz,1H)、2.42−2.28(m,2H)、2.24(t,J=10.6Hz,1H)、2.21−2.12(m,2H)、2.12−1.97(m,3H)、1.93(dd,J=5.0,17.3Hz,2H)、1.90−1.80(m,2H)、1.79−1.58(m,3H)、0.54(s,2H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2832NO[M+H]:414.2428、実測値414.2436。
【0471】
α−アルコール17A
【化202】
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ケトン13(9.6mg、23.3μmol、1.00当量)のTHF(750μL)溶液を−78℃まで冷却し、LAHのジエチルエーテル(1.0M、35.0μL、35.0μmol、1.50当量)溶液を添加した。10分後、飽和NHCl溶液(500μL)及び酢酸エチル(500μL)を添加し、これを室温まで温めた。水相を酢酸エチル(3×1mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(1mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:1→1:5 ヘキサン:EtOAc→100%EtOAc)によって精製して、α−アルコール17A(8.5mg、88%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.47(d,J=5.3Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.2Hz,1H)、7.63(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(dd,J=1.2,8.8Hz,1H)、5.75(s,1H)、5.28(d,J=2.3Hz,1H)、3.78(tt,J=4.0,11.3Hz,1H)、3.14(t,J=10.0Hz,1H)、2.51(dd,J=8.5,11.4Hz,1H)、2.40−2.33(m,2H)、2.32(dt,J=4.7,12.3Hz,1H)、2.28−1.98(m,7H)、1.93(dd,J=5.0,17.3Hz,1H)、1.90−1.81(m,2H)、1.74−1.62(m,2H)、1.40(dtd,J=5.9,11.6,13.8Hz,1H)、0.53(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2832NO[M+H]:414.2428、実測値414.2437。
【0472】
α−メチルエーテル64A
【化203】
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α−アルコール17A(2.0mg、4.83μmol、1.00当量)のDMF(300μL)溶液に60wt%NaH(1.0mg、24.1μmol、5.00当量)を室温で添加し、30分間予め撹拌した。温度を−10℃まで下げ、MeI(2.0μL、29.0μmol、6.00当量)を添加した。2.5時間後、2M NaOH溶液(200μL)及び酢酸エチル(500μL)を添加し、これを室温まで温めた。水相を酢酸エチル(3×1mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(1mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLC(溶離液:1:2 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、α−メチルエーテル64A(およそ1.2mg、58%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.63(d,J=5.9Hz,1H)、7.59(dd,J=1.5,8.5Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.28(d,J=2.9Hz,1H)、3.39(s,3H)、3.29(tt,J=3.5,11.4Hz,1H)、3.14(t,J=10.0Hz,1H)、2.52(dd,J=8.5,11.4Hz,1H)、2.42−2.29(m,3H)、2.25(t,J=11.7Hz,1H)、2.24−2.08(m,5H)、2.06(td,J=4.1,12.9Hz,1H)、1.93(dd,J=5.3,17.0Hz,1H)、1.86(dq,J=5.3,12.3Hz,1H)、1.79(t,J=12.0Hz,1H)、1.75−1.61(m,2H)、1.32(dtd,J=4.7,11.5,14.0Hz,1H)、0.53(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2832NO[M+H]:428.2584、実測値428.2573。
【0473】
β−メチルエーテル64B
【化204】
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反応条件はα−メチルエーテル64Aの合成と同じである。残渣を分取TLC(溶離液:1:2 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、C3β−メチルエーテル64B(1.2mg、58%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.76(d,J=8.8Hz,1H)、7.63(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(dd,J=1.5,8.3Hz,1H)、5.74−5.70(m,1H)、5.25(dd,J=2.2,5.1Hz,1H)、3.75−3.69(m,1H)、3.35(s,3H)、3.18−3.10(m,J=9.3Hz,1H)、2.51(dd,J=8.5,11.5Hz,1H)、2.52−2.44(m,1H)、2.40−2.26(m,4H)、2.17(s,3H)、2.14−2.08(m,1H)、2.07−1.96(m,2H)、1.96−1.90(m,2H)、1.86(dq,J=4.9,12.0Hz,1H)、1.76−1.61(m,1H)、1.55−1.45(m,1H)、0.54(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2832NO[M+H]:428.2584、実測値428.2599。
【0474】
α−モノメチルカルバメート68A
【化205】
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α−アルコール17A(3.5mg、8.5μmol、1.00当量)のCHCN(350μL)溶液にCDI(2.1mg、12.7μmol、1.50当量)を添加し、反応混合物を4時間還流させた。粗混合物を減圧下で濃縮し、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0475】
粗混合物のDCM(300μL)溶液にTHF(2M、50μL)中のMeNHを室温で添加し、14時間撹拌した。粗混合物を減圧下で濃縮し、分取TLC(溶離液:1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、C3α−モノメチルカルバメート68A(2.4mg、2工程で60%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.28(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.87(s,1H)、7.83(d,J=8.8Hz,1H)、7.75(d,J=5.9Hz,1H)、7.69(d,J=8.8Hz,1H)、5.77(s,1H)、5.30(dd,J=2.2,4.6Hz,1H)、4.76(t,J=11.7Hz,1H)、4.61(br.s.,1H)、3.17(t,J=10.0Hz,1H)、2.82(d,J=4.4Hz,3H)、2.53(dd,J=8.5,11.5Hz,1H)、2.38(d,J=17.1Hz,2H)、2.32(dd,J=3.7,11.5Hz,1H)、2.30−2.14(m,5H)、2.13−2.01(m,2H)、1.95(dd,J=5.1,17.3Hz,1H)、1.94−1.82(m,2H)、1.78−1.67(m,2H)、1.43(dq,J=4.9,12.7Hz,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3035[M+H]:471.2642、実測値471.2631。
【0476】
α−メトキシエチルエーテル63A
【化206】
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α−アルコール17A(2.0mg、4.83μmol、1.00当量)のDMF(300μL)溶液に60wt%NaH(1.0mg、24.1μmol、5.00当量)を室温で添加し、30分間予め撹拌した後、MeO(CHBr(1.6μL、16.6μmol、3.00当量)を添加した。36時間後、2M NaOH溶液(200μL)及び酢酸エチル(500μL)を添加した。水相を酢酸エチル(3×1mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(1mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLC(溶離液:2:5 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、C3α−メトキシエチルエーテル63A(およそ0.7mg、27%)を得た。H NMR(600MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.81(s,1H)、7.77(d,J=8.3Hz,1H)、7.65(d,J=5.9Hz,1H)、7.61(d,J=8.8Hz,1H)、5.75(s,1H)、5.29(d,J=2.4Hz,1H)、3.74−3.63(m,2H)、3.61−3.51(m,2H)、3.44(tt,J=3.9,11.7Hz,1H)、3.44−3.39(s,3H)、3.16(t,J=9.8Hz,1H)、2.54(dd,J=8.5,11.5Hz,1H)、2.43−2.30(m,3H)、2.30−2.17(m,4H)、2.17−2.02(m,3H)、1.95(dd,J=5.1,17.3Hz,1H)、1.92−1.82(m,2H)、1.78−1.62(m,J=8.3Hz,2H)、1.41(dtd,J=4.1,11.9,13.5Hz,1H)、0.55(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C2832NO[M+H]:472.2846、実測値472.2850。
【0477】
実施例7. アルコールからのアミンの合成
α−ジメチルヒダントイン74A
【化207】
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β−アルコール17B(5.0mg、12.3μmol、1.0当量)のTHF(400μL)溶液に、ジメチルヒダントイン(7.8mg、61.6μmol、5.0当量)及びPPh(9.7mg、36.9μmol、3.0当量)を添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、DEAD(40wt%のトルエン溶液16.1μL、36.9μmol、3.0当量)を添加した。反応を50℃まで温め、17時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、1N NaOH溶液(300μL)を添加し、水相を酢酸エチル(3×0.5mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(1mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:40:1 MeOH:ジクロロメタン)によって精製して、α−ジメチルヒダントイン74A(0.9mg、14%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)シフト=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.4Hz,1H)、7.81(s,1H)、7.77(d,J=8.8Hz,1H)、7.64(d,J=5.4Hz,1H)、7.61(dd,J=1.5,8.8Hz,1H)、5.79(d,J=1.5Hz,1H)、5.32(dd,J=2.7,5.1Hz,1H)、5.18(s,1H)、4.10(tdd,J=3.2,11.3,13.1Hz,1H)、3.16(dd,J=9.3,10.7Hz,1H)、2.86(t,J=12.7Hz,1H)、2.54(dd,J=8.3,11.7Hz,1H)、2.45(dd,J=2.9,14.6Hz,1H)、2.30(br.s.,6H)、2.19(tq,J=4.4,9.0Hz,1H)、2.09−2.00(m,1H)、1.96(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.92−1.80(m,2H)、1.80−1.64(m,3H)、1.42(d,J=4.9Hz,6H)、0.56(s,3H)。HRMS(ESI)(m/z)算出値C3338[M+H]:524.2908、実測値524.2892。
【0478】
生物学的方法
細胞培養及び細胞系列
MV4;11、RS4;11、HL−60、K562、L−Wnt3A及びL細胞はATCCから入手した。HEL、NB4、KG1、UKE−1、UKE−1per、SET−2及びSET−2per細胞はRoss Levine(MSKCC)により提供された。MOLM−14はScott Armstrong(ボストン小児病院)により提供された。MV4;11−mCLP細胞はAndrew Kung(ダナファーバー癌研究所)により提供された。HEK293STF細胞はJeremy Nathans(ジョンズホプキンス大学医学部)により提供された。全ての細胞を37℃、5%COに設定した加湿インキュベーター内で維持した。MV4;11、RS4;11、K562、HEL、NB4、MOLM−14及びKG1細胞は10%FBS、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI−1640中で成長させた。HaCaT及びHEK293STF細胞は10%FBS、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン、HEK293STF細胞については200μg/ml G418を含むDMEM中で成長させた。L−Wnt3A及びL細胞は10%FBS、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び400μg/ml G418(L−Wnt3Aのみ)を含むDMEM中で成長させた。SET−2細胞は20%FBS、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI−1640中で成長させた。HL−60は20%FBS、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含むIMDM中で成長させた。UKE−1細胞は10%FBS、10%ウマ血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び1μMヒドロコルチゾンを含むRPMI−1640中で成長させた。SET−2per及びUKE−1per細胞は、それぞれ0.7μM及び1μMルキソリチニブの存在下で維持した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)はLife Technologiesから入手し、低血清成長サプリメント(low serum growth supplement)(LSGS、Life Technologies)を含むM200培地中で培養した。
【0479】
試薬
試験用の化合物は100%DMSOストック溶液として調製し、アルゴン下、−80℃で保管した。ドキソルビシンHCl、抗FLAG(F1804)及び抗アクチン(A5060)抗体はSigma-Aldrichから入手した。抗Smad 2/3(8565)、抗Stat1(9172)、抗ホスホ−Stat1 Tyr701(9171)及び抗ホスホ−Stat1 Ser727(9177)抗体はCell Signaling Technologiesから入手した。抗ホスホ−Smad 2/3 T220/T179はRocklandから入手し、IFNγはLife Technologiesから入手し、TGFβ1はR&D Systemsから入手した。Wnt3A馴化培地及びL−細胞馴化培地はATCCによって記載されるように得た。
【0480】
プラスミド、突然変異誘発、パッケージング及び形質導入。
5’−FLAGタグ付きCDK8を、EcoRI(5’)及びXbaI(3’)制限部位を付加してpBabe.puro.CDK8.flag(Addgene,原資料Firestein et al., Nature (2008) 455, 547-551)からPCR増幅し、付着末端ライゲーション(EcoRI及びXbaI)によってレンチウイルス発現ベクターpLVX−EF1α−IRES−mCherry(Clonetech)にクローニングし、大腸菌(E. coli)(One Shot Stbl3、Invitrogen)に形質転換した。5’−FLAGタグ付きCDK19を、SpeI(5’)及びXbaI(3’)制限部位を付加してF−CDK8L(Addgene,原資料Conaway et al., FEBS Letters (2005) 579, 904-908)からPCR増幅し、付着末端ライゲーションによってレンチウイルス発現ベクターpLVX−EF1α−IRES−ZsGreen1(Clonetech)にクローニングし、大腸菌(One Shot Stbl3、Invitrogen)に形質転換した。点突然変異を全プラスミドPCR(QuikChange II XL Site−Directed Mutagenesis Kit、Agilent)によって導入した。5’−FLAGタグ付きCDK8又はCDK19突然変異体を、続いてEF1αフォワードプライマー及びIRESリバースプライマー(表1を参照されたい)を用いてPCR増幅し、pLVX−EF1α−IRES−mCherry又はpLVX−EF1α−IRES−ZsGreen1にそれぞれクローニングし、大腸菌(One Shot Stbl3、Invitrogen)に形質転換した。CDK8及びCDK19のクローニング、並びにW105M点突然変異の各タンパク質への導入に使用したプライマーを表1に提示する。
【0481】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0482】
レンチウイルス発現ベクターは、パッケージングベクターpsPAX2(Addgene)及びエンベロープベクターpMD2.G(Addgene)を用いた293T細胞の同時トランスフェクションによりマサチューセッツ大学RNAiコア施設によってパッケージングされた。トランスフェクションの48時間後に、ウイルス上清を採取し、0.45μmフィルター(Millipore)に通し、形質導入に使用した(293T細胞についてはMOI 2)。形質導入を、RetroNectin(Clontech)を用いて製造業者の取扱説明書に従って行った。簡潔に述べると、滅菌24ウェルプレートを滅菌PBS中500μLの20μg/ml RetroNectinでコーティングし、4℃で一晩保管した。翌日、RetroNectin溶液を吸引し、プレートを滅菌PBS中の2%BSAにより室温で30分間ブロッキングした。次いで、プレートをPBSで1回洗浄し、300μL〜500μLのウイルス上清を添加した。次いで、プレートを2000×gで1.5時間遠心分離し、45分後に向きを180度変えた。次いで、プレートを37℃、5%COに設定した加湿インキュベーター内で2時間インキュベートした。次いで、ウイルス上清を除去し、500μLの200000細胞/mlを各ウェルに添加した。1日〜3日間のプレートのインキュベーションの後、細胞を増殖させ、蛍光タンパク質発現細胞をFACSによって単離した。
【0483】
CDK8及びCDK19がコルチスタチンA又はコルチスタチンA類縁体の抗増殖効果を媒介するか否かを決定するために、細胞をコルチスタチンAによる成長阻害に対して抵抗性に変える両方のメディエーターキナーゼの対立遺伝子を同定した。本発明の結晶構造による指針に基づいて、分子モデリングによりATPではなくコルチスタチンAへのCDK8結合が破壊されることが示唆されたことから、CDK8 Trp105をMetへの突然変異に選択した。FLAG−CDK8 W105M又はFLAG−CDK19 W105Mを過剰発現するMOLM−14細胞は、コルチスタチンA(50倍超、図10A)及び14BNO(50倍超、図22)の成長阻害に対して高度に脱感作されることが見出された。さらに、CDK8 W105Mは触媒的に有能であるが、in vitro(図10B)及び細胞中(図10C)でコルチスタチンAによるキナーゼ阻害に対してはるかに感受性が低かったため、これらの突然変異がATPではなくコルチスタチンAに対する親和性を低減することによって作用することが証明される(図10B)。総合すると、これらの結果により、CDK8及びCDK19が重複してコルチスタチンAの抗増殖効果を媒介するように作用することの明確な証拠が得られる。図10A及び図22については、細胞を継代し、新鮮な化合物を3日目に添加した(平均±標準誤差、n=3)。図10Bについては、FLAG−CDK8及びFLAG−CDK8 W105Mを、各々のタンパク質を過剰発現するMOLM−14細胞から単離し、指定の濃度のコルチスタチンAの存在下でキナーゼ反応に供した。図10Cについては、同レベルのFLAG−CDK8又はFLAG−CDK8 W105Mを発現するMOLM−14細胞を指定の濃度のコルチスタチンAで1時間、続いてIFN−γで1時間処理した。次いで、細胞を採取し、溶解させ、ウエスタンブロットによって分析した。
【0484】
細胞成長アッセイ
HUVECを96ウェルプレートにおいて75μL中に1000細胞/ウェルの密度、三連でプレーティングした。24時間後、化合物を培地で段階希釈し、25μL中の4倍溶液(アッセイのために0.1%のDMSO最終濃度)として細胞に供給した。化合物添加の96時間後に、CellTiter−Blue(Promega)をウェルに添加し、プレートを37℃で90分間インキュベートし、SPECTRAmax M3を用いて蛍光(555nm励起、580nm発光)を検出した。GraphPad Prism 5.0を用いてデータを4パラメーター用量応答曲線に適合することによってIC50を決定した。
【0485】
他の全ての細胞系列については、化合物を培地で段階希釈し、96ウェルプレートに三連で分注し(アッセイのために0.1%のDMSO最終濃度)、続いて対数増殖期細胞を5000細胞/ウェル〜30000細胞/ウェルの範囲の密度で添加した。細胞を、ビヒクル(0.1%DMSO)を含有する2つの付加的な対照ウェルにも播種した。3日後に、一方の対照ウェルにおける生存細胞の数を血球計算盤又はMOXI Z(Orflo)によって計数し、対照ウェルについて得られる播種密度が5000細胞/ウェル〜30000細胞/ウェルとなり、そのウェルにおける初期播種密度と一致するように、全ウェルについて同量の細胞を新鮮なビヒクル/化合物で再び分割した。この手順を7日目及び10日目に繰り返した。成長%を成長%=100×(ウェルにおける総推定細胞数−0日目の開始細胞数)/(総平均ビヒクル推定(正:estimated)細胞数−0日目の開始細胞数)として算出した。各ウェルにおける推定細胞数を決定するために、対照ウェルにおいて計数した細胞を8点希釈系列について3倍希釈し、384ウェルプレートに1ウェル当たり20μL、二連で移した。他の全てのウェルの細胞を4倍希釈し、384ウェルプレートに1ウェル当たり20μL、二連で移した。20μLのCellTiter−Glo(Promega)を続いて全てのウェルに添加し、SPECTRAmax M3を用いて発光を検出した。対照ウェルの希釈系列を線形回帰に適合し、各ウェルの推定細胞数の算出のための標準として使用した。7日目及び10日目については、総推定細胞数は分割調整した理論細胞数である。
【0486】
in vitro CDK8キナーゼアッセイ
in vitroキナーゼアッセイを以前に記載されているように行った(例えば、Knuesel et al., Mol. Cell. Biol. (2009) 29, 650-661を参照されたい)。FLAG−CDK8及びFLAG−CDK8 W105Mを過剰発現させ、MOLM−14細胞から精製した。
【0487】
X線結晶構造
CDK8/サイクリンCに結合したコルチスタチンA(CA)のX線結晶構造は、Proteros Biostructures GmbHによって得られた。CDK8/サイクリンCの発現及び精製は以前に記載されているように行った(例えば、Schneider et al., J. Mol. Biol. (2011) 412, 251-266を参照されたい)。回析データはSWISS LIGHT SOURCE(SLS,Villigen,Switzerland)で収集された。構造を2.40Åの最終分解能まで解明及び精密化した。プログラムXDS及びXSCALEを用いてデータを処理した。構造の決定及び分析に必要とされる位相情報は、以前に解明されたCDK8/CycCの構造を検索モデルとして用いる分子置換によって得られた。その後のモデル構築及び精密化を、ソフトウェアパッケージCCP4及びCOOTを用いて行った。最終モデルの正確さを相互検証する手段である自由R因子の算出については、約3.4%の測定反射を精密化手順から除外した。TLS精密化(REFMAC5、CCP4を使用)を行い、より低いR因子及びより高い品質の電子密度マップを得た。対応するライブラリーファイルのリガンドパラメーター化及び生成をCORINAにより行った。水モデルは水分子を3.0で輪郭を示すF−Fマップのピークに配置し、続いてREFMAC5により精密化し、COOTの検証ツールにより全ての水を検査することにより、COOTの「Find waters」アルゴリズムを用いて構築した。疑わしい水のリストの基準は、80Å超のB因子、1.2σ未満の2F−Fマップ、2.3Å未満又は3.5Å超の最も近い接触までの距離とした。疑わしい水分子及び活性部位中の水分子(阻害剤までの距離10Å未満)を手作業で検査した。F−Fマップ(−3.0σで輪郭を示す)の負のピーク内にある側鎖の占有率を0に設定し、続いて次の精密化サイクル後に正のピークが生じる場合に0.5に設定した。最終モデルのラマチャンドランプロットにより、全残基の93.2%が最も好ましい領域、6.6%が付加的に許容される領域、0.2%が寛容的に許容される領域にあることが示される。許容されない領域に残基は見られない。データの収集、処理及び精密化を下記表にまとめる。括弧内の値は最高分解能binを指す。
【0488】
【表2】
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【0489】
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0490】
コルチスタチンAがCDK8をどのように阻害するかを理解するために、コルチスタチンA/CDK8/サイクリンC三重複合体のX線結晶構造を2.40Åの分解能で解明した(図16A)。コルチスタチンAはCDK8のATP結合部位に結合し、コルチスタチンAのイソキノリン窒素とヒンジ領域に位置するAla100の主鎖アミドN−Hとの間でCDK8と単一のH結合を形成する(破線、図16C)。コルチスタチンAとCDK8との間の残りの接触は疎水性であり、コルチスタチンAはATP結合部位と顕著な形状相補性を示す(図16B)。特に、コルチスタチンAのC13核間メチル基及びC5−C9エタン架橋はHis106、Ala155、Trp105及びAsp103の側鎖によって形成される疎水性空洞を完全に満たす(図16C)。他のCDKは、コルチスタチンAのC13−メチル及びC5−C9エタン架橋を収容する同様の疎水性空洞を有さず、おそらくはCDK8/CDK19に対するコルチスタチンAの優れた選択性が説明される。
【0491】
また、密接に接触した(3.4Å)、コルチスタチンAの荷電C3−N,N−ジメチルアンモニウムイオンとCDK8のTrp105との間には明らかなカチオン−π相互作用が存在する。CDK8及びCDK19のみがアミノ酸105にTrpを有するCDKであり、コルチスタチンAとTrp105との間のカチオン−π相互作用及び疎水性接触がCDK8に対するコルチスタチンAの高い親和性及び選択性に重要であることが示唆される。Trp105とコルチスタチンAのN,N−ジメチルアンモニウムイオンとの間の接触の拡大図を図16Dに示す。コルチスタチンAのN,N−ジメチルアミンの1つのメチル基とTrp105との間に直接的な接触が存在し、これがカチオン−π相互作用に最適である。
【0492】
非常に驚くべきことに14Bは、C3アミンがこの場合アキシアルであり、Trp105と衝突することが期待されているため、細胞成長阻害及びCDK8キナーゼ阻害においてコルチスタチンAと同様又はそれ以上の効力があった(およそ2倍の効力)。
【0493】
ウエスタンブロット法
STAT1研究のために、MOLM−14細胞をビヒクル(0.1%DMSO)又は化合物で1時間処理し、続いてIFNγ(Life Technologies,PHC4031)を1時間添加した。次いで、細胞を採取し、冷PBSで2回洗浄し、液体窒素中で急速凍結した。全てのウエスタンブロット法について、全細胞溶解物をホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害添加剤(Sigma-Aldrich,P8340、P0044、P5762)を含むRIPAバッファー(Sigma-Aldrich,R0278)中で調製し、タンパク質濃度をBCAアッセイ(Thermo Scientific,23225)によって決定した。RIPA抽出物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Life Technologies,NuPAGE)によって分解し、Mini Trans−Blotシステム(BioRad)を用いてPVDF膜(Millipore)に転写した。抗体製造業者によって推奨されるように膜を精査し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合二次抗体を用いる化学発光によってタンパク質を検出した。SMAD2/3研究については、HaCaT細胞をSTAT1について記載したようにIFNγの代わりにTGFβ1(R&D Systems)を添加して処理した。
【0494】
レポーターアッセイ
対数増殖期HEK293STFを96ウェルプレートに75μL中5000細胞/ウェルの密度、三連でプレーティングした。アザケンパウロンを用いる実験については、24時間後に40μMアザケンパウロンを含有する培地でコルチスタチンAを段階希釈し、細胞に25μL中の4倍溶液(アッセイのために0.2%のDMSO及び10μMのアザケンパウロン最終濃度)として供給した。各プレート上の付加的な三連の対照ウェルは、細胞を含まない培地又はアザケンパウロンを含まない細胞を有するものであった。Wnt3A馴化培地を用いる実験については、24時間後に化合物をWnt3A馴化培地で1倍溶液(0.1%のDMSO最終濃度)として段階希釈した。古い培地を細胞から除去し、化合物/Wnt3A培地に交換した。各プレート上の付加的な三連の対照ウェルは細胞を含まない培地又はL−馴化培地(Wnt3Aを含まない)で処理した細胞を有するものであった。24時間後に、続いてCellTiter−Fluor及びSteady−Gloアッセイ(Promega)を連続して行い、各ウェルにおける生存性及び発光をそれぞれ決定した(測定はSPECTRAmax M3(Molecular Devices)で行う)。非線形回帰をS字形用量応答曲線(変数勾配)に適合して、Prism 5(GraphPad Software, Inc.)でグラフを作成した。
【0495】
遺伝子発現
対数増殖期MOLM−14、MV4;11及びK562細胞を、12ウェルプレートにおいて1mLの培地中に500000細胞/mL〜800000細胞/mLの密度で播種し、続いてMOLM−14及びMV4;11細胞についてはビヒクル(0.1%DMSO)又はコルチスタチンAを10nM(「CA10」)で、K562細胞については25nMで三連のウェルに添加した。24時間後、細胞を冷PBSで2回洗浄し、急速凍結し、RNAをRNeasy Plus Microkit(Qiagen)又はTRIzol(Life Technologies)によって単離した。RNAはダナファーバー癌研究所のマイクロアレイコア施設によってプロセシングされ、ヒト U133 Plus 2.0マイクロアレイ(Affymetrix)にハイブリダイズさせた。マイクロアレイはaffyQCReport Bioconductorパッケージを用いて品質管理した(例えば、Gentleman et al., Genome Biol (2004) 5: R80; R Development Core Team, R: A Language and Environment for Statistical Computing. Vienna, Austria. ISBN 3-900051-07-0を参照されたい)。十分なアレイをバックグラウンドに対して補正し、正規化し、affy Bioconductorパッケージのrma機能を用いてlog2変換した(例えば、Rafael et al., Nucleic Acids Research (2003) 31:e15、Bolstad et al., Bioinformatics (2003) 19:185-193、Irizarry et al., Biostatistics (2003) 4: 249-264を参照されたい)。存在/非存在コールを、affyパッケージのmas5calls機能を用いて作製した。サンプルの20%超に存在し、四分位範囲がlog2(1.2)を超えるプローブセットを更なる分析のために保持した。細胞型(MOLM−14対MV4;11)によるバッチ補正をComBatにより行った(例えば、Johnson et al., Biostatistics (2007) 8:118-127を参照されたい)。GenePatternを、ユークリッド距離に基づくサンプルの教師なし階層的クラスタリングに使用した。DMSO対照サンプルに対してCA10処理サンプルにおいて少なくとも1.5倍顕著に上方又は下方調節されるプローブセットを、limma Bioconductorパッケージを用いて同定した(例えば、Smyth, G. K. (2005). Limma: linear models for microarray data. In: 'Bioinformatics and Computational Biology Solutions using R and Bioconductor'. R. Gentleman, V. Carey, S. Dudoit, R. Irizarry, W. Huber (eds), Springer, New York, 2005を参照されたい)。本発明の有意性カットオフとして、Benjamini−Hochberg法(例えば、Benjamini, Y. & Hochberg, Y. J. R. Stat. Soc., B (1995) 57:289-300を参照されたい)により多重仮説検定について補正した0.05未満のp値を設定した。遺伝子セット濃縮分析(例えば、Subramanian et al., Proc Natl Acad Sci U S A. (2005) 102:15545-50を参照されたい)を、測定法としてlog2値に対するt検定を用いて行った。シグネチャーには、BroadのMSigDBからダウンロードした精選遺伝子セット(C2)及び文献から社内で精選されたシグネチャーが含まれていた。
【0496】
in vivo研究
コルチスタチンA(CA)を用いる薬物動態研究については、CD−1マウスからの血液サンプルを10mg/kg(図11A)及び1mg/kg(図11B)でのコルチスタチンAのi.p.投与後に指定の時点で採取し、HPLC/MS/MSによって分析して、コルチスタチンAの濃度を評価した。
【0497】
(14A)を用いる薬物動態研究については、(14A)を20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPCD)に配合し、雄性CD−1マウスに14Aを3mg/kgでi.p.及び静脈内(i.v.)、10mg/kgで経口(p.o.)単回投薬した。投薬前にマウスを一晩、投薬の4時間後まで絶食させた。血液サンプルを指定の時点で採取し、HPLC/MS/MSによって分析して、(14A)の濃度を評価した。図24を参照されたい。これらの研究により以下の観察結果が得られた:(1)化合物(14A)は雄性CD−1マウスにおいて29mL/分/kgのIVクリアランスを有し、これはこの種における肝血流量の僅か1/3であり、(14A)が良好な安定性を有することを示す;(2)Vssが大きく(およそ11.7L/kg)、そのため(14A)が良好な組織分布を有する;(3)経口バイオアベイラビリティはおよそ44%であることが見出された;(4)経口投薬後のCmaxは255ng/mLであった;(5)経口投薬後のt1/2はおよそ5時間であった(経口C24トラフ濃度は14.2ng/mLであった);及び(5)IPバイオアベイラビリティは95%であった。
【0498】
MV4;11異種移植モデルを用いた有効性研究を以前に記載されているように行った。例えば、Etchin et al., Leukemia (2013) 27, 66-74を参照されたい。簡潔に述べると、200万のMV4;11 mCLP細胞を、7週齢雌性NOD−SCID−IL2Rcγnull(NSG)マウス(The Jackson Laboratory)に尾静脈注射によって導入した。腫瘍量を、IVIS Spectrumシステム(Caliper Life Sciences)を用いる生物発光イメージング(BLI)によって評定した。注射の7日後に、白血病の確立をBLIによって記録し、マウスをビヒクル(20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)又はコルチスタチンA(0.05及び0.16mg/kg)を与える処理群に分け、15日間にわたって1日1回処理した。処理開始日の30日後に、1群当たり3匹のマウスを屠殺し、Hemavet 950 F機器(Drew Scientific)を用いて血球数を得て、脾臓、大腿及び末梢血細胞を採取し、フローサイトメトリー(LSR Fortessa、BD Biosciences)によって分析した。マウス及び脾臓の一部を更に組織病理学のためにブアン中で保存した。マウスを切開し、パラフィン包埋し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。薬物処理マウスの生存を、療法開始から瀕死状態までの時間として測定した。生存利益をカプラン−マイヤー分析によって評定した。コルチスタチンAによる安全性試験(図13)のために、雌性CD−1マウスをビヒクル(20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)又はコルチスタチンA(0.16mg/kg)で15日間にわたって1日1回処理し、毎日体重測定した。最後の投薬の2時間後に、マウスを屠殺し、血球数を得て、血液の化学的性質を分析し、病理組織診断のためにマウスをブアンで固定した。原発性骨髄線維症のマウスモデル(MPLW515Lマウス)を用いた有効性研究を、ビヒクル(20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)又はコルチスタチンAの1日1回の投薬により以前に記載されているように行った(例えば、Marubayashi, et al., J. Clin, Invest. (2010) 120, 3578-3593を参照されたい)。SET−2皮下異種移植モデルを用いた有効性研究については、50%マトリゲル中の1×10のSET−2細胞の腫瘍細胞を、8週齢〜12週齢の雌性SCID Beigeマウスの脇腹に皮下注射した。腫瘍が80mm〜120mmの平均サイズに達した後、マウスをビヒクル又は0.16mg/kgで研究期間を通して毎日処理した。
【0499】
肝臓ミクロソーム代謝安定性アッセイ
試験化合物を、1マイクロモルで多数のドナーからプールされた肝臓ミクロソームとともにNADPH再生系の存在下、0.5mg/mlのミクロソームタンパク質、37℃でインキュベートした。0分、5分、10分、20分、30分及び60分の時点で、サンプルを取り出し、内部標準を含有する冷アセトニトリルと混合した。タンパク質分離の後、サンプルを試験化合物の消失について、内部標準に対する分析物のピーク面積の比率を用いてLC/MS/MSによって分析した。この値からミクロソームクリアランスを算出した。使用した種はヒト、Sprague Dawleyラット、ビーグルイヌ及びCD−1マウスであった。
【0500】
ヒト肝細胞安定性アッセイ
試験化合物を凍結保存肝細胞とともに37℃、二連でインキュベートした。細胞を融解し、生存細胞を計数し、供給業者の指示書に従って平衡化した。穏やかにかき混ぜながら37℃で30分間平衡化した後、試験化合物を1μMという所望の最終濃度が得られるように細胞に添加した。細胞懸濁液を37℃で上記のようにインキュベートした。指定の時点でサンプルを取り出し、等量の氷冷停止溶液(内部標準を含有するアセトニトリル)と混合した。停止した反応を氷上で少なくとも10分間インキュベートし、更なる量の水を添加した。サンプルを遠心分離して沈殿タンパク質を除去し、上清をLC/MS/MSによって分析して、残存親物質を定量化した。データを0時点の濃度値によって除算することによって残存%へと変換した。データを一次崩壊モデルに適合し、半減期を決定した。時間に対するlog(ln)ピーク面積のプロットから線の傾きを決定した。続いて、下記方程式を用いて半減期及び固有クリアランスを算出した:消失速度定数(k)=(−傾き);半減期(T1/2)分=0.693/k;固有クリアランス(CLint)(ml/分/100万細胞)=(V×0.693)/T1/2;V=インキュベーション容量ml/細胞数。
【0501】
in vitroデータ
【0502】
【表4】
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【0503】
他の実施形態
特許請求の範囲において、数量を特定していない冠詞(articles such as "a," "an," and "the")は、反対の指定がないか又は文脈からそうでないことが明らかでない限り1つ又は2つ以上を意味し得る。群の1つ又は複数の成員の間に「又は」を含む請求項又は記載は、反対の指定がないか又は文脈からそうでないことが明らかでない限り、群の成員の1つ、2つ以上又は全てが所与の生成物又はプロセスに存在する、用いられる又は別の形で関連する場合に満たされるとみなされる。本発明は、厳密に群の1つの成員が所与の生成物又はプロセスに存在する、用いられる又は別の形で関連する実施形態を含む。本発明は、群の成員の2つ以上又は全てが所与の生成物又はプロセスに存在する、用いられる又は別の形で関連する実施形態を含む。
【0504】
さらに、本発明は記載の請求項のうちの1つ又は複数による1つ又は複数の限定、要素、条項及記述用語が別の請求項に導入される全ての変形形態、組合せ及び並べ替えを包含する。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、同じ基本請求項に従属する任意の他の請求項に見られる1つ又は複数の限定を含むように変更され得る。要素が列挙として、例えばマーカッシュ群形式で提示される場合、要素の各々の下位群も開示され、任意の要素(複数の場合もある)を群から除外することができる。概して、本発明又は本発明の態様が特定の要素及び/又は特徴を含むと称される場合、本発明の幾つかの実施形態又は本発明の態様が、かかる要素及び/又は特徴からなる又は本質的になることを理解されたい。簡略化のために、これらの実施形態は本明細書においてそのような文言で(in haec verba)具体的に説明されていない。「含む」及び「含有する」という用語は非限定的であることを意図し、付加的な要素又は工程を含むことを認めるものであることにも留意されたい。
【0505】
範囲が与えられる場合、端点も含まれる。さらに、他に指定されるか又は文脈及び当業者の理解からそうでないことが明らかでない限り、範囲として表される値は、本発明の異なる実施形態における規定の範囲内の任意の具体的な値又は部分範囲を、文脈上そうでないことが明らかに指示されない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで想定し得る。
【0506】
本願では様々な交付済み特許、公開特許出願、学術論文及び他の刊行物に言及するが、その全てが引用することにより本明細書の一部をなす。援用される参照文献のいずれかと本明細書との間に矛盾が存在する場合、本明細書が優先されるものとする。加えて、従来技術の範囲に含まれる本発明の任意の特定の実施形態は、請求項の任意の1つ又は複数から明示的に除外される可能性がある。かかる実施形態は当業者に既知とみなされることから、その除外が本明細書で明示的に説明されていなくとも除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、従来技術の存在に関連するか否かを問わず、任意の理由で任意の請求項から除外される可能性がある。
【0507】
当業者は、単なる日常実験を用いることで本明細書に記載の具体的な実施形態の多くの均等物を認識するか又は確認することが可能である。本明細書に記載の本実施形態の範囲は上記の明細書に限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲で説明される。添付の特許請求の範囲において規定される本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく、本明細書に対して様々な変化及び変更を行うことができることが当業者には理解される。
図1
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図2
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図3A
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図3B
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図3C
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図3D
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図3E
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図3F
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図3G
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図3H
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図3I
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図3J
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図3K
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図3L
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図3M
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図4
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図5
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図6
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図7
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図8A-8B】
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図8C
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図9
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図10
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図11A
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図11B
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図12A
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図12B-12C】
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図12D-12G】
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図13
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図14
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図15A-15C】
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図15D-15E】
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図16A-16B】
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図16C
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図16D
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図17
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図18
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図19
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図20
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図21A
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図21B-21E】
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図22
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図23
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図24A
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図24B
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図24C
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