特許第6494727号(P6494727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6494727
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ペット収容家具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/04 20060101AFI20190325BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20190325BHJP
   A47B 81/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   A01K15/04
   A47B55/00
   A47B81/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-225319(P2017-225319)
(22)【出願日】2017年11月24日
【審査請求日】2017年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】514219721
【氏名又は名称】ナサ流通企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】長尾 弥
(72)【発明者】
【氏名】杉山 陽輔
(72)【発明者】
【氏名】北越 一利
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−219418(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3091546(JP,U)
【文献】 特開2000−041517(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3116458(JP,U)
【文献】 実開平02−009057(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00− 1/035,15/04
A47B 55/00−85/00
A47D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板(3)と左右側板(4)と背板(5)とで家具本体(6)を形成し、かつその内部に収容空間(7)を形成し、この収容空間(7)内にケージ形成体(A)を収納したペット収容家具であって、
前記ケージ形成体(A)は、左右各側板(4)の前部に枢支されていて収容空間(7)前面を塞ぐ前面位置から外方へ揺動して突出可能な第1揺動扉枠(9)と、左右各第1揺動扉枠(9)の自由端に枢支されていて互いに対向する方向に展開可能な第2揺動扉枠(10)と、前記左右第1揺動扉枠(9)を突出しかつ前記第2揺動扉枠(10)を展開して前記収容空間(7)の前側に延長収容空間(7E)を形成した状態で、前記展開した左右第2揺動扉枠(10)を連結可能な連結部材(11)とを有することを特徴とするペット収容家具。
【請求項2】
前記左右側板(4)の前部に蝶番を介して第1揺動扉枠(9)を連結し、前記左右各第1揺動扉枠(9)の自由端に蝶番を介して第2揺動扉枠(10)を連結しており、第1揺動扉枠(9)は第2揺動扉枠(10)を折り畳んだ状態で左右側板(4)間の収容空間(7)前面位置に配置可能であり、
前記左右の第1揺動扉枠(9)及び第2揺動扉枠(10)の少なくとも一方の下部に家具本体(6)の家具設置面に接する接地体(13)を設けていることを特徴とする請求項1に記載のペット収容家具。
【請求項3】
前記天板(3)の下面に、第1揺動扉枠(9)に折り畳まれた第2揺動扉枠(10)の上部と当接して収容空間(7)奥への移動を阻止するストッパ(14)を設けていることを特徴とする請求項2に記載のペット収容家具。
【請求項4】
前記連結部材(11)は、左右第2揺動扉枠(10)の上部に同時に嵌合可能でありかつ一方のみにも嵌合可能な断面略コ字状の金具であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のペット収容家具。
【請求項5】
前記第1揺動扉枠(9)と第2揺動扉枠(10)の内の少なくとも一方は、一対の縦材(L)の上下端部をそれぞれ上下横材(H)で連結し、複数本の平行な棒材(S)を一対の縦材(L)間で上下横材(H)に着脱自在に連結していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のペット収容家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット収容ケージを備えたペット収容家具に関する。
【背景技術】
【0002】
犬、猫等のペットを飼育可能にしたペット収容家具として、特許文献1の図6に記載された技術は、囲み枠に左右一対のサークルフェンス収納ユニットを収納しており、左右各サークルフェンス収納ユニットは、正面視縦長の形状をした筐体の内側面に、スライド部材を設けて、複数のフェンスパネルを幾重にも折畳んだ状態のままスライドするようにして収納してあり、このフェンスパネル同士は、蝶番によって両方向に拡開自在になるように連結されており、拘束側の一端は幾分か上下方向に移動できるように拘束されており、使用する際に筐体から折畳まれた状態のフェンスパネルを引き出し、適宜ペットのプレイスペースとなる領域を確保するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3116458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、囲み枠からフェンスパネルを引き出してペットのプレイスペースを必要なときに区画し、設置することができ、必要のないときは、ペットの室内飼育用ユニットに完全に収納することができるため、比較的大きいために収納が困難であるサークルフェンスが、室内に収納されないまま放置されることを回避できる。
しかしながら、前記従来技術は、囲み枠の前面にフェンスパネルによってペット収納空間が形成されるだけで、囲み枠自体にはペット収納空間、特にフェンスパネルを折り畳み収納していた空間はペットを収納するのには利用されていなく、ペット収納空間を拡大形成することが困難になっている。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたペット収容家具を提供することを目的とする。
本発明は、家具本体内部の収容空間からケージ形成体の左右の第1揺動扉枠と第2揺動扉枠とを突出して、収容空間の前側に延長収容空間を形成することにより、ケージで形成するペット収納空間を拡大形成できるようにしたペット収容家具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、天板3と左右側板4と背板5とで家具本体6を形成し、かつその内部に収容空間7を形成し、この収容空間7内にケージ形成体Aを収納したペット収容家具であって、
前記ケージ形成体Aは、左右各側板4の前部に枢支されていて収容空間7前面を塞ぐ前面位置から外方へ揺動して突出可能な第1揺動扉枠9と、左右各第1揺動扉枠9の自由端に枢支されていて互いに対向する方向に展開可能な第2揺動扉枠10と、前記左右第1揺動扉枠9を突出しかつ前記第2揺動扉枠10を展開して前記収容空間7の前側に延長収容空間7Eを形成した状態で、前記展開した左右第2揺動扉枠10を連結可能な連結部材11とを有することを特徴とする。
【0007】
第2に、前記左右側板4の前部に蝶番を介して第1揺動扉枠9を連結し、前記左右各第1揺動扉枠9の自由端に蝶番を介して第2揺動扉枠10を連結しており、第1揺動扉枠9は第2揺動扉枠10を折り畳んだ状態で左右側板4間の収容空間7前面位置に配置可能であり、
前記左右の第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10の少なくとも一方の下部に家具本体6の家具設置面に接する接地体13を設けていることを特徴とする。
【0008】
第3に、前記天板3の下面に、第1揺動扉枠9に折り畳まれた第2揺動扉枠10の上部と当接して収容空間7奥への移動を阻止するストッパ14を設けていることを特徴とする

第4に、前記連結部材11は、左右第2揺動扉枠10の上部に同時に嵌合可能でありかつ一方のみにも嵌合可能な断面略コ字状の金具であることを特徴とする。
【0009】
第5に、前記第1揺動扉枠9と第2揺動扉枠10の内の少なくとも一方は、一対の縦材Lの上下端部をそれぞれ上下横材Hで連結し、複数本の平行な棒材Sを一対の縦材L間で上下横材Hに着脱自在に連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、家具本体内部の収容空間からケージ形成体の左右の第1揺動扉枠と第2揺動扉枠とを突出して、収容空間の前側に延長収容空間を形成することができ、ケージで形成するペット収納空間を拡大形成できる。
即ち、請求項1に係る発明は、家具本体6の収容空間7の前面を塞ぐ前面位置から、ケージ形成体Aの左右の第1揺動扉枠9と第2揺動扉枠10とを外方に突出展開することにより、収容空間7の前側に延長収容空間7Eを形成することができ、収容空間7には底板がないので、バリアフリーの拡大されたペット収納空間を形成できる。
【0011】
請求項2に係る発明は、左右側板4の前部と第1揺動扉枠9、左右各第1揺動扉枠9と第2揺動扉枠10をそれぞれ蝶番を介して連結して、折り畳んだ状態で収容空間7前面位置にコンパクトに収納しておくことができ、家具本体6の床面に接する接地体13によって、第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10の展開・収納が円滑にできる。
請求項3に係る発明は、折り畳まれた第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10はストッパ14によって収容空間7の前面位置に収納されるので、これらは収容空間7の前面を塞いで家具の前面部材として機能できる。
【0012】
請求項4に係る発明は、連結部材11は断面略コ字状の金具であって、左右第2揺動扉枠10の上部に同時に嵌合して、両者の連結ができ、第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10を折り畳んで収納するときは、一方の第2揺動扉枠10に嵌合しておけば、家具本体内部の収容空間に配置され、家具外部から見えなくすることができる。
請求項5に係る発明は、第1揺動扉枠9と第2揺動扉枠10の内の少なくとも一方は、一対の縦材L間の棒材Sが上下横材Hに着脱自在に連結されているので、揺動扉枠の清掃、棒材Sの取り替え等が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態を示すケージ形成体展開状態の斜視図である。
図2】ケージ形成体収納状態の斜視図である。
図3図1のX−X線断面図である。
図4】ケージ形成体展開状態の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜4において、ペット収容家具1は天板3と左右側板4と背板5とで家具本体6を形成し、かつその内部に収容空間7を形成し、この収容空間7内にケージ形成体Aを収納している。
前記家具本体6は天板3上に上背板16、仕切り板17、この仕切り板17の上の棚板18等を有し、左右側板4の上部は上背板16及び棚板18と連結されている。家具本体6には底板は設けられていなく、左右側板4と背板5とで区画された収容空間7はその底は家具接地面(床面)になっている。
【0015】
収容空間7内に収納されているケージ形成体Aは、前方へ展開することにより、ペットを飼育する空間を形成するケージとなるものである。
ケージ形成体Aは、基部が左右各側板4の前部に枢支された第1揺動扉枠9と、この左右各第1揺動扉枠9の自由端に枢支された第2揺動扉枠10と、左右第2揺動扉枠10を連結する連結部材11とを有する。
【0016】
前記第1揺動扉枠9と第2揺動扉枠10とは略同一形状であり、一対の縦材Lの上下端部をそれぞれ上下横材Hで連結し、複数本の平行な棒材Sを一対の縦材L間で上下横材Hに着脱自在に連結している。棒材Sは細い線材又はパイプ材で形成され、図4に示される
ように、上下横材Hの対向面に形成された孔21に挿入されている。
前記第1揺動扉枠9と第2揺動扉枠10とは少なくとも一方が棒材Sを有してケージ内を見られるようにしておけばよく、棒材Sを使用しない場合は、一対の縦材Lと上下横材Hで囲まれる空間に板材、ガラス板又は格子材等を嵌め込んで扉枠を形成する。
【0017】
前記第1揺動扉枠9の基部は側板4の内面前部に上下一対の蝶番Tを介して枢支連結され、天板3の前縁と平行な位置、即ち、収容空間7前面を塞ぐ前面位置から外方へ揺動可能であり、90度外方へ揺動すると側板4から前方へ突出した観音開き状の展開位置になる。
第2揺動扉枠10の基部は第1揺動扉枠9の自由端に上下一対の蝶番Tを介して枢支連結され、第1揺動扉枠9と平行な折り畳み位置から、第1揺動扉枠9に対して90度に開いた位置、及び180度開いた延長位置とに展開可能になっている。
【0018】
前記左右の第2揺動扉枠10の下部、基部側と自由端側とに家具本体6の床面に接する接地体13を設けている。この接地体13は第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10の展開・収納を円滑にするためのものであり、左右の第1揺動扉枠9の自由端側の下部に設けてもよい。
前記第2揺動扉枠10を第1揺動扉枠9に対して折り畳み、かつ第1揺動扉枠9を収容空間7前面を塞ぐ前面位置へ移動すると(図3に仮想線で示す。)、第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10は収容空間7の前部に収納される(図2に実線で示す。)。
【0019】
その収納状態から左右の第1揺動扉枠9を前方へ揺動し、左右の第2揺動扉枠10を第1揺動扉枠9に対して90度開く(互いに対向する方向に展開していく)と、左右の第2揺動扉枠10は自由端同士が対向し、左右の第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10は平面視コの字状のケージを形成し、収容空間7の前側に延長収容空間7Eを形成する(図1、3、4に実線で示す。)。前記収容空間7には底板がないので、延長収容空間7Eは収容空間7の前側に連通していてバリアフリーの拡大されたペット収納空間となる。第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10は左右片方ずつ展開してもよい。
【0020】
前記蝶番Tは第2揺動扉枠10の基部の端面と第1揺動扉枠9の自由端の端面とに取り付けられており、ケージを展開したとき、蝶番Tはケージの外側から目視できる位置にあり、ケージの内側に露出していないので、延長収容空間7Eに収納されるペットとの触れ合いは回避されるようになっている。
前記対向する左右の第2揺動扉枠10の自由端は連結部材11で連結される。この連結部材11は断面略コ字状の金具であり、左右第2揺動扉枠10の上部に同時に嵌合して両者を連結し、連結位置からスライドして一方の第2揺動扉枠10のみに嵌合して連結を解消することができる。
【0021】
連結部材11は上部が第2揺動扉枠10の上横材Hに上から嵌合して密接する断面コ字形状であり、前側は後側より下方に突出しかつ上横材Hから離れる方向に突出しており、この下方突出部分11aを把持して、第2揺動扉枠10に対する連結部材11のスライド及び着脱ができるようになっている。
前記ケージ形成体Aを収容空間7内に収納するとき、また、第2揺動扉枠10を第1揺動扉枠9に対して180度開くとき、連結部材11は一方の第2揺動扉枠10のみに嵌合させておく。
【0022】
前記第2揺動扉枠10を第1揺動扉枠9に対して180度開くと、左右の第2揺動扉枠10は左右各第1揺動扉枠9と直線状配置となり、延長収容空間7Eは前方に開放され、収容空間7の奥まで掃除ができるようになる。
前記天板3の左右方向中央の下面にストッパ14を設けている。このストッパ14はマグネットキャッチで形成され、左右第2揺動扉枠10の枢支側基部の上部に鉄板等の磁着板19が設けられており、第2揺動扉枠10を折り畳んだ状態の第1揺動扉枠9を収容空間7内へ揺動すると、第2揺動扉枠10の磁着板19がストッパ14と当接して磁着され、第1揺動扉枠9及び第2揺動扉枠10が収容空間7奥へ移動するのを阻止し、かつ収納状態を維持する。
【0023】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合
わせ等を変更したりすることもできる。
例えば、連結部材11は断面略コ字状の金具の代わりに、一方の第2揺動扉枠10に打ち板を枢支し、他方の第2揺動扉枠10に掛け受けを設ける「打掛」であってもよい。
家具本体6は天板3の上側や左右側板4の側方に引き出しや物品収納部を形成してもよく、また、ストッパ14は第2揺動扉枠10が収容空間7奥へ移動を規制する木片であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 ペット収容家具
3 天板
4 側板
5 背板
6 家具本体
7 収容空間
7E 延長収容空間
9 揺動扉枠
10 揺動扉枠
11 連結部材
11a 下方突出部分
13 接地体
14 ストッパ
19 磁着板
A ケージ形成体
H 上下横材
H 上横材
L 縦材
S 棒材
T 蝶番
【要約】
【課題】 ケージで形成するペット収納空間を拡大形成できるようにする。
【解決手段】 天板3と左右側板4と背板5とで家具本体6を形成し、かつその内部に収容空間7を形成し、この収容空間7内にケージ形成体Aを収納している。前記ケージ形成体Aは、左右各側板4の前部に枢支されていて収容空間7前面を塞ぐ前面位置から外方へ揺動して突出可能な第1揺動扉枠9と、左右各第1揺動扉枠9の自由端に枢支されていて互いに対向する方向に展開可能な第2揺動扉枠10と、前記左右第1揺動扉枠9を突出しかつ前記第2揺動扉枠10を展開して前記収容空間7の前側に延長収容空間7Eを形成した状態で、前記展開した左右第2揺動扉枠10を連結可能な連結部材11とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4