(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。また、
図2は、
図1における切断面線II−IIから見た断面図である。
半導体装置1は、n
+型の半導体基板2と、半導体基板2上に形成されたn
−型のエピタキシャル層3とを含む。半導体基板2の不純物濃度は、たとえば、5.0×10
19cm
−3〜5.0×10
21cm
−3であり、エピタキシャル層3の不純物濃度は、たとえば、5.0×10
14cm
−3〜2.0×10
16cm
−3である。n型の不純物としては、たとえば、P(リン),As(砒素)等が挙げられる。
【0012】
エピタキシャル層3の表面には、p
−型ボディ領域4が形成されている。p
−型ボディ領域4は、エピタキシャル層3の表面から厚さ方向に向けて、1.0μm〜2.0μmの深さに至るまで形成されている。p
−型ボディ領域4の不純物濃度は、たとえば、5.0×10
16cm
−3〜1.0×10
18cm
−3である。p型の不純物としては、たとえば、B(ホウ素)が挙げられる。
【0013】
エピタキシャル層3には、エピタキシャル層3の表面の法線方向から見た平面視においてストライプ状に形成された複数のゲートトレンチ5と、互いに隣り合う一対のゲートトレンチ5によって区画された、ストライプ状の単位セル6とが形成されている。
ゲートトレンチ5は、エピタキシャル層3の表面を厚さ方向に向けて掘り下げて形成されている。ゲートトレンチ5の側面は、エピタキシャル層3の表面に対してほぼ垂直に形成されている。また、ゲートトレンチ5の底部は、p
−型ボディ領域4を貫きエピタキシャル層3に至っており、ゲートトレンチ5の側面から丸みを帯びるように形成されている。
【0014】
ゲートトレンチ5は、後述するように、互いに隣り合う一対のゲートトレンチ5の中心間のピッチDが、2.0μm〜5.0μmに形成されることが好ましく、また、ゲートトレンチ5の幅Wが、0.2μm〜0.8μmに形成されることが好ましい。
ゲートトレンチ5には、ゲート絶縁膜7を介してゲート電極8が埋め込まれている。ゲート絶縁膜7は、たとえば、ゲートトレンチ5の側面および底部におけるエピタキシャル層3を酸化させて形成したシリコン酸化膜である。また、ゲート電極8は、たとえば、ポリシリコンを含む電極材料からなる。ゲート電極8の表面には、エピタキシャル層3とほぼ面一な表面を有するシリコン酸化膜9が形成されている。
【0015】
単位セル6には、エピタキシャル層3の表面から露出するようにn
+型ソース領域10と、p
+型ボディコンタクト領域11とが形成されている。
n
+型ソース領域10は、ゲートトレンチ5と交差する横方向の一方側のみに形成されており、隣り合う単位セル6との間に連続性を持って設けられている。つまり、n
+型ソース領域10は、全ての単位セル6内において、ゲートトレンチ5と交差する横方向の一方側の側面に接するように形成されており、ゲート絶縁膜7を挟んでゲート電極8と対向している。
【0016】
n
+型ソース領域10は、互いに隣り合う一対のゲートトレンチ5の間の中央部に至るように、一方側のゲートトレンチ5の側面から他方側のゲートトレンチ5に向けて引き出されている。
n
+型ソース領域10は、一方のゲートトレンチ5側に位置し、ゲート絶縁膜7を挟んでゲート電極8に対向する一方側端部と、他方のゲートトレンチ5側に位置する他方側端部(ゲート絶縁膜7とn
+型ソース領域10との界面の反対側の端部)とを有している。n
+型ソース領域10の他方側端部は、他方のゲートトレンチ5の開口端のエッジ部分に位置していてもよい。すなわち、n
+型ソース領域10は、ゲートトレンチ5の開口端のエッジ部分を起点として、他方側端部から一方側端部に向けて徐々に深くなるように形成されていてもよい。
【0017】
n
+型ソース領域10の他方側端部は、p
+型ボディコンタクト領域11に選択的に覆われるように形成されている。n
+型ソース領域10の底部は、エピタキシャル層3の表面から厚さ方向に向けて0.2μm〜1.0μmの深さに至るまで形成されている。n
+型ソース領域10の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3である。
【0018】
n
+型ソース領域10の下方において、ゲートトレンチ5の側面を形成するp
−型ボディ領域4がチャネル領域20である。チャネル領域20におけるチャネルの形成は、ゲート電極8により制御される。
p
+型ボディコンタクト領域11は、ゲートトレンチ5と交差する横方向の他方側(n
+型ソース領域10の反対側)のみに形成されている。p
+型ボディコンタクト領域11は、ゲートトレンチ5の側面に接するように形成されており、ゲート絶縁膜7を挟んでゲート電極8と対向している。
【0019】
p
+型ボディコンタクト領域11のゲート電極8と対向しない側の端部は、n
+型ソース領域10の端部を選択的に覆うように形成されている。すなわち、隣り合うゲートトレンチ5で挟まれた単位セル6の表面部には、エピタキシャル層3の表面の法線方向から見た平面視において、単位セル6を幅方向に2分割する直線状の境界によって分離されたn
+型ソース領域10およびp
+型ボディコンタクト領域11が互いに隣接して形成されている。そして、これらの領域10,11がそれぞれ別々のゲートトレンチ5の側面に露出している。
【0020】
p
+型ボディコンタクト領域11の底部は、n
+型ソース領域10の底部よりも深く形成されており、エピタキシャル層3の表面から厚さ方向に向けて0.4μm〜2.0μmの深さに至るまで形成されている。また、p
+型ボディコンタクト領域11の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜5.0×10
20cm
−3である。
単位セル6におけるエピタキシャル層3上には、n
+型ソース領域10およびp
+型ボディコンタクト領域11を接続するソースコンタクト12が形成されている。ソースコンタクト12は、一定の間隔を空けながら、n
+型ソース領域10およびp
+型ボディコンタクト領域11の境界(ゲートトレンチ5に平行なストライプ状の境界)を跨ぐように形成されている。ソースコンタクト12は、たとえば、0.6μm〜4.0μmの幅で形成されている。ソースコンタクト12には、図示しない外部配線が接続されている。また、半導体基板2の裏面には、図示しない裏面メタルが接続されている。
【0021】
このように、半導体装置1では、ゲートトレンチ5と交差する横方向の一方側のゲートトレンチ5の側面のみにユニポーラトランジスタとしてのMOSFET(電界効果トランジスタ)が形成される。
次に
図3を参照して、半導体装置1におけるゲートトレンチ5のピッチDおよび幅Wと、アクティブクランプ耐量Eとの関係について説明する。
【0022】
図3は、半導体装置1とゲートトレンチ5のピッチDとの関係を説明するためのグラフである。
図3は、ゲートトレンチ5のピッチDとMOSFETのオン抵抗R
onとの関係を表したグラフG
1に、ゲートトレンチ5のピッチDとアクティブクランプ耐量Eとの関係を表したグラフG
2〜G
4を追加して示したものである。
図3において、横軸は、ゲートトレンチ5のピッチDを表しており、左側の縦軸は、1/R
onを表しており、右側の縦軸はアクティブクランプ耐量Eを表している。なお、実線で示したグラフG
2は、ゲートトレンチ5の幅Wが0.6μmのときにおけるグラフであり、一点鎖線で示したグラフG
3およびグラフG
4は、ゲートトレンチ5の幅Wが0.8μmおよび0.2μmのときにおけるグラフである。
【0023】
グラフG
1を参照すれば、ゲートトレンチ5のピッチDの値が増加するにつれて、1/R
onの値が減少している。換言すれば、ゲートトレンチ5のピッチDの値が増加するにつれて、MOSFETのオン抵抗R
onの値が増加している。したがって、良好なオン抵抗R
onの値を得るためには、ゲートトレンチ5のピッチDの値は小さい方が好ましい。
他方、グラフG
2を参照すれば、ゲートトレンチ5のピッチDの値が増加するにつれて、アクティブクランプ耐量Eの値が増加している。したがって、良好なアクティブクランプ耐量Eの値を得るためには、ゲートトレンチ5のピッチDの値は大きい方が好ましい。
【0024】
これらの関係から、良好なオン抵抗R
onの値およびアクティブクランプ耐量Eの値を得るためには、グラフG
1およびグラフG
2〜G
4が交差する点におけるゲートトレンチ5のピッチDを求めればよいことが分かる。
グラフG
1とグラフG
2〜G
4とが交差する点におけるゲートトレンチ5のピッチDの値を、それぞれD
1,D
2およびD
3とすれば、D
1は2.0μmであり、D
2は3.0μmであり、D
3は5.0μmであった。
【0025】
このようにして、各グラフの特性に基づきオン抵抗R
onの値の増加を抑制しながらも、良好なアクティブクランプ耐量Eの値を得ることのできるゲートトレンチ5のピッチDおよび幅Wを定めることができる。ただし、トレンチ幅(ゲートトレンチ5の幅W)は、加工精度上の制約から決められることが多い。
次に、
図4A〜
図4Fを参照して、半導体装置1の製造工程について説明する。
図4A〜
図4Fは、本発明の半導体装置1の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【0026】
半導体装置1を製造するには、
図4Aに示すように、たとえば、シリコン基板である半導体基板2が用意される。次に、半導体基板2のシリコンがエピタキシャル成長されてエピタキシャル層3が形成される。次に、p
−型ボディ領域4を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物イオンが注入される。これにより、エピタキシャル層3の表面にp
−型ボディ領域4が形成される。p
−型ボディ領域4が形成された後、イオン注入マスクは除去される。
【0027】
次に
図4Bに示すように、エピタキシャル層3上にストライプ状のゲートトレンチ5を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク13が形成される。そして、ハードマスク13を介してエピタキシャル層3にエッチング処理を施される。これにより、ストライプ状に形成された複数のゲートトレンチ5と、互いに隣り合う一対のゲートトレンチ5によって区画された、ストライプ状の単位セル6とが形成される。ゲートトレンチ5が形成された後、ハードマスク13は、除去される。
【0028】
次に、
図4Cに示すように、ゲートトレンチ5の側面および底部を含むエピタキシャル層3の表面に熱酸化処理が施されて酸化シリコンを含むゲート絶縁膜7が形成される。次に、ゲートトレンチ5を埋め戻して、エピタキシャル層3を覆うようにゲート電極8用の電極材料が堆積されて電極材料層14が形成される。電極材料層14は、たとえば、CVD法によりポリシリコンを堆積させて形成することができる。
【0029】
次に、
図4Dに示すように、ゲートトレンチ5外の領域に形成された電極材料層14およびゲート絶縁膜7の不要な部分が、たとえば、エッチング処理によって除去される。このとき、ゲート電極8の表面は、エピタキシャル層3の表面よりも深いところに位置するようにエッチングされる。この後、熱酸化工程を経ることにより、ゲート電極8の表面にエピタキシャル層3とほぼ面一な表面を有するシリコン酸化膜9が形成される。
【0030】
次に、
図4Eに示すように、p
+型ボディコンタクト領域11を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク15が形成される。そして、イオン注入マスク15を介してp型の不純物イオンがエピタキシャル層3に注入されてp
+型ボディコンタクト領域11が形成される。p
+型ボディコンタクト領域11が形成された後、イオン注入マスク15は、除去される。
【0031】
次に、
図4Fに示すように、n
+型ソース領域10を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク16が形成される。そして、イオン注入マスク16を介してn型の不純物イオンがエピタキシャル層3に注入されてn
+型ソース領域10が形成される。n
+型ソース領域10が形成された後、イオン注入マスク16は、除去される。
次に、単位セル6におけるエピタキシャル層3上に、n
+型ソース領域10およびp
+型ボディコンタクト領域11の境界を跨ぐようにソースコンタクト12が形成される。次に、図示しない外部配線および裏面メタルがソースコンタクト12および半導体基板2の裏面に接続される。以上の工程を経て、
図1および
図2に示した半導体装置1が製造される。
【0032】
次に、
図5および
図6を参照してゲートトレンチ5のピッチDと単位面積当たりのチャネル幅との関係について、より具体的に説明する。
図5は、参考例の半導体装置17の図解的な平面図である。また、
図6は、本発明の半導体装置1の図解的な平面図である。
図5および
図6では、半導体装置1,17に形成された単位面積当たりのMOSFETを回路記号を用いて示した図である。
【0033】
図5を参照すれば、参考例の半導体装置17では、単位面積当たり5本のゲートトレンチ18が形成されており、ゲートトレンチ18を挟んで相対するチャネル領域19(MOSFET)が形成されている。すなわち、参考例の半導体装置17では、チャネル領域19が単位面積当たり合計10本形成されている。
ゲートトレンチ18のピッチD
5は、たとえば、4.0μmである。また、チャネル領域19の一つ当たりにおけるチャネル幅W
2は、たとえば、1000μmである。したがって、参考例の半導体装置17では、合計10本のチャネル領域19が形成されているので、単位面積当たりのチャネル幅は、10000μmとなる。
【0034】
これに対して、本発明の半導体装置1では、
図6で示している通り、単位面積当たり8本のゲートトレンチ5が形成されており、各ゲートトレンチ5の一方側の側面(単位セル6において横方向の同じ側)にチャネル領域20(MOSFET)が形成されている。すなわち、本発明の半導体装置1では、チャネル領域20が単位面積当たり合計8本形成されている。
【0035】
本発明の半導体装置1によれば、参考例の半導体装置17と異なり、ゲートトレンチ5の一方側の側面にn
+型ソース領域10を形成すればよく、ゲートトレンチ5の他方側の側面にn
+型ソース領域10を形成する必要がないので、n
+型ソース領域10を形成しない領域の分だけゲートトレンチ5のピッチDを狭めることができる。
これにより、半導体装置1におけるゲートトレンチ5のピッチDを、たとえば、参考例の半導体装置17におけるゲートトレンチ18のピッチD
5の60%程度である2.5μmと設定することができ、単位面積当たりのゲートトレンチ5の数を、参考例の半導体装置17よりも多い、8本に増加させることができる。チャネル領域20の一つ当たりのチャネル幅W
3は、参考例の半導体装置17と同様に、1000μmである。したがって、本発明の半導体装置1では、合計8本のチャネル領域20が形成されているので、単位面積当たりのチャネル幅は、参考例の半導体装置17におけるゲートトレンチ18のチャネル幅の80%程度である8000μmとなる。
【0036】
以上のように、半導体装置1によれば、ゲートトレンチ5と交差する横方向の一方側のみにしかチャネル領域20が形成されないので、参考例の半導体装置17と異なり、ゲートトレンチ5を挟んで相対するチャネル領域20(MOSFET)は形成されない。これにより、各単位セル6のチャネル領域20における発熱が隣りの単位セル6に影響を与えることを効果的に抑制することができる。その結果、ゲートトレンチ5の一方側の側面および他方側の側面における過渡的かつ局所的な発熱を効果的に抑制することができる。
【0037】
また、半導体装置1の構成によれば、単位面積当たりのチャネル幅は、参考例の半導体装置17の構成と比較して80%程度になるものの、各単位セル6のチャネル領域20における発熱が隣りの単位セル6に影響を与えることを効果的に抑制することができるので、アクティブクランプ耐量Eを参考例の半導体装置17と比較して2倍〜5倍程度まで向上させることができる。その結果、アクティブクランプ動作で求められる極めて広い安全動作領域を得ることができるため、優れたアクティブクランプ耐量Eを確保することができる。
【0038】
また、半導体装置1の構成によれば、全ての単位セル6にn
+型ソース領域10を設けてチャネル領域20を形成することができるので、限られたMOSFETの形成領域を有効活用することができる。その結果、単位面積当たりのチャネル幅を効果的に増加させることができ、MOSFETのオン抵抗R
onの増加を効果的に抑制することができる。
さらに、ゲートトレンチ5の幅Wを0.2μm〜0.8μmと設定することにより、単純にトレンチ幅を拡大してアクティブクランプ耐量を稼ぐ場合に比べて、ゲートトレンチ5の底部における寄生容量の増加も効果的に抑制することができる。
【0039】
次に、
図7および
図8を参照して、本発明の他の実施形態に係る半導体装置21について説明する。
図7は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置21の模式的な平面図である。また、
図8は、
図7における切断面線VIII−VIIIから見た断面図である。
図7および
図8において、前述の
図1および
図2に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0040】
半導体装置21における単位セル6には、エピタキシャル層3の表面から露出するようにn
+型ソース領域22と、p
+型ボディコンタクト領域23とが形成されている。
n
+型ソース領域22は、エピタキシャル層3の表面を法線方向から見た平面視において、p
+型ボディコンタクト領域23との境界の一部がゲートトレンチ5と交差する横方向に沿って形成されるように、当該横方向に突出した領域24を選択的に有している。
【0041】
換言すると、p
+型ボディコンタクト領域23は、n
+型ソース領域22との境界の一部がゲートトレンチ5と交差する横方向に沿って形成されるように、n
+型ソース領域22の突出した領域24とは反対の横方向に突出した領域26を有している。そして、n
+型ソース領域22の突出した領域24およびp
+型ボディコンタクト領域23の突出した領域26は、互いに挟み込むように形成されている。
【0042】
p
+型ボディコンタクト領域23の突出した領域26は、当該横方向と直交する方向に向かって、n
+型ソース領域22の突出した領域24よりも長く形成されている。
単位セル6におけるエピタキシャル層3上には、n
+型ソース領域22とp
+型ボディコンタクト領域23とを接続するソースコンタクト25が形成されている。
ソースコンタクト25は、n
+型ソース領域22の突出した領域24を覆い、互いに隣り合うp
+型ボディコンタクト領域23の突出した領域26に跨るように形成されている。ソースコンタクト25は、前述の一実施形態に係る半導体装置1のソースコンタクト12よりも細く形成されている。ソースコンタクト25の幅は、たとえば、0.15μm〜0.6μmである。
【0043】
その他の構成は、前述の一実施形態に係る半導体装置1の構成と同様であるので、説明を省略する。
以上のように、本発明の他の実施形態によれば、半導体装置21の製造工程時においてソースコンタクト25がn
+型ソース領域22側またはp
+型ボディコンタクト領域23側に偏って配置される等の横方向のアライメントずれが発生したとしても、ソースコンタクト25を、n
+型ソース領域22の突出した領域を覆うように、かつ、p
+型ボディコンタクト領域23に跨るように形成することができる。その結果、n
+型ソース領域22およびp
+型ボディコンタクト領域23の良好な接続を確保できる半導体装置21を提供することができる。
【0044】
この半導体装置21は、半導体装置1に比べてゲートピッチをより詰めることができ、R
onを低減する方向に調整したい場合に有用である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の一実施形態および他の実施形態では、p
+型ボディコンタクト領域11,23がn
+型ソース領域10,22と隣接するように形成された構成について説明したが、p
+型ボディコンタクト領域11,23が形成されていない構成であってもよい。このような構成であっても、n
+型ソース領域10,22の下方において、ゲートトレンチ5の側面を形成するp
−型ボディ領域4がチャネル領域20となるので、ゲートトレンチ5の一方側の側面だけにチャネル領域20(MOSFET)を形成することができる。
【0045】
なお、この際において、n
+型ソース領域10,22のゲート電極8と対向しない側の端部(つまり、ゲート絶縁膜7とn
+型ソース領域10,22との界面と反対側の端部)は、隣接するゲートトレンチ5の開口端のエッジ部分に位置していてもよい。すなわち、n
+型ソース領域10,22は、当該開口端のエッジ部分を起点として、ゲート電極8と対向する側に向けて徐々に深くなるように形成されている構成であってもよい。さらに、このような構成の下で、n
+型ソース領域10,22と接するようにp
+型ボディコンタクト領域11,23が形成されていてもよい。
【0046】
また、前述の一実施形態および他の実施形態では、n
+型ソース領域10,22のゲート電極8と対向する側と反対側の端部がp
+型ボディコンタクト領域11,23に覆われている構成について説明したが、n
+型ソース領域10,22の当該端部は、p
+型ボディコンタクト領域11,23と接するように形成されていてもよい。また、n
+型ソース領域10,22とp
+型ボディコンタクト領域11,23とは、同一の深さで形成されていてもよい。
【0047】
また、前述の一実施形態および他の実施形態において、ストライプ状のゲートトレンチ5は、ゲートトレンチ5のピッチDが2.0μm〜5.0μmの範囲において、ほぼ等しい間隔を空けて形成されていてもよい。この場合、単位面積当たりのチャネル幅をより精確に調整することができる。
また、前述の一実施形態および他の実施形態において、ゲートトレンチ5の底部が側面から丸みを帯びるように形成されている構成について説明したが、ゲートトレンチ5の底部がエピタキシャル層3の表面と平行になるように形成された構成であってもよい。
【0048】
また、前述の一実施形態および他の実施形態において、エピタキシャル層3の表面に対してほぼ垂直な側面を有するゲートトレンチ5について説明したが、エピタキシャル層3の表面から厚さ方向に向かうにつれて開口幅が徐々に狭まるテーパ型のゲートトレンチが形成されていてもよい。
また、前述の一実施形態および他の実施形態において、n
+型の半導体基板2が形成されている構成について説明したが、導電型を反転させたp
+型の半導体基板2が形成された構成であってもよい。この場合、他の不純物領域等の導電型も反転された構成となる。
【0049】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。この明細書および図面から抽出される特徴の例を以下に示す。
[項1]ユニポーラトランジスタとしての電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、複数のゲートトレンチがストライプ状に形成された第1導電型の半導体層と、ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチに埋め込まれたゲート電極と、それぞれが互いに隣り合う一対の前記ゲートトレンチの間に区画され、ストライプ状に配列された複数の単位セルと、各前記単位セルにおいて、前記半導体層の表面から露出し、前記ゲートトレンチと交差する横方向に関して互いに隣り合う一対の前記ゲートトレンチのうちの一方側の前記ゲートトレンチの一方側の側面のみに沿うように形成され、一方側の前記ゲートトレンチにおいて前記ゲート絶縁膜を挟んで前記ゲート電極と対向する第1導電型のソース領域と、前記半導体層における前記ソース領域の下方の領域において前記ソース領域に接するように形成され、前記ゲート絶縁膜を挟んで前記ゲート電極と対向する第2導電型のボディ領域と、を含む、半導体装置。
【0050】
この構成によれば、ゲートトレンチを挟んで相対するチャネルを完全になくすか、減らすことができる。また、ゲートトレンチのピッチ、つまり、単位セルの幅が2μm〜5μmなので、各単位セルのチャネルにおける熱が隣の単位セルに与える影響が比較的少ない。そのため、チャネルにおける過渡的かつ局所的な発熱を抑制することができる。その結果、アクティブクランプ動作で求められる極めて広い安全動作領域を得ることができるため、優れたアクティブクランプ耐量を確保することができる。
【0051】
さらに、この構成によれば、従来の半導体装置の構成と異なりゲートトレンチの両側面にソース領域を形成する必要がなく、ソース領域をゲートトレンチと交差する横方向の一方側のみに形成すればよい。これにより、ゲートトレンチのピッチを狭めることができるので、単位面積当たりのチャネル幅を確保することができる。その結果、MOSFETのオン抵抗が増加することを抑制することができる。
【0052】
また、この構成によれば、半導体装置の製造工程時においてソースコンタクトがソース領域側またはボディ領域側に偏って配置される等の横方向のアライメントずれが発生したとしても、ソースコンタクトを、ソース領域の突出した領域を覆うように、かつ、ボディコンタクト領域に跨るように形成することができる。その結果、ソース領域およびボディコンタクト領域の良好な接続を確保できる半導体装置を提供することができる。
【0053】
なお、ソース領域のゲート電極と対向しない側の端部(つまり、ゲート絶縁膜とソース領域との界面と反対側の端部)は、隣接するゲートトレンチの開口端のエッジ部分に位置していてもよい。すなわち、ソース領域は、当該開口端のエッジ部分を起点として、ゲート電極と対向する側に向けて徐々に深くなるように形成されていてもよい。
この構成によれば、ゲートトレンチを挟んで相対するチャネルは形成されないので、チャネルにおける過渡的かつ局所的な発熱を効果的に抑制することができる。
【0054】
[項2]前記ソース領域は、隣り合う前記単位セルとの間に連続性を持って設けられている、項1に記載の半導体装置。
チャネルにおける過渡的かつ局所的な発熱を抑制する手段としては、前述のようにゲートトレンチの幅を広げる方法の他、たとえば、ソース領域をストライプ状の単位セルの一つ置きに形成する方法が考えられる。すなわち、選択した単位セルからソース領域を完全に間引くことによって、当該単位セルにはチャネルが形成されないようにし、これにより、ゲートトレンチを挟んで相対するチャネル領域をなくすものである。
【0055】
しかし、この方法では、チャネルが全く形成されない単位セルが一つ置きに存在することになり、限られたMOSFETの形成領域を有効活用できているとは言えない。また、他の面から見れば、単にゲートトレンチの幅を単位セル一本分広げたのと同じことであり、その結果、ゲートトレンチの幅を広げる方法と同じオン抵抗の増加の問題が発生する。
これに対して、項2に係る半導体装置では、チャネルにおける過渡的かつ局所的な発熱を抑制することができるので、全ての単位セルに連続性を持たせてソース領域を設けることができる。これにより、全ての単位セルにチャネルを形成できるので、限られたMOSFETの形成領域を有効活用することができる。その結果、単位面積当たりのチャネル幅を効果的に増加させることができ、MOSFETのオン抵抗の増加を効果的に抑制することができる。
【0056】
[項3]前記ゲートトレンチの幅は、0.2μm〜0.8μmである、項1または2に記載の半導体装置。
この構成によれば、ゲートトレンチの寄生容量が増加することを効果的に抑制することができる。