特許第6494734号(P6494734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494734
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】有機発光ダイオード表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20190325BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   G09G3/3233
   G09G3/20 611H
   G09G3/20 621A
   G09G3/20 622D
   G09G3/20 622P
   G09G3/20 623C
   G09G3/20 623D
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 623G
   G09G3/20 623F
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-240372(P2017-240372)
(22)【出願日】2017年12月15日
(65)【公開番号】特開2019-12257(P2019-12257A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2017年12月18日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0083711
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, テフン
(72)【発明者】
【氏名】グウォン, キタエ
(72)【発明者】
【氏名】キム, キュジン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジア
【審査官】 橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−210407(JP,A)
【文献】 特開2013−033228(JP,A)
【文献】 特開2014−123129(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0092200(US,A1)
【文献】 特開2009−288767(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/065596(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード、前記有機発光ダイオードと高電位電源ラインとの間に配されて前記有機発光ダイオードを駆動する駆動トランジスタ、及び前記駆動トランジスタのゲートとデータラインとの接続の有無をスイッチングするスイッチングトランジスタを含む表示パネルであって前記スイッチングトランジスタのゲートに接続されるゲートライン及び前記データラインと接続されるピクセルが配置される表示パネルと、
前記ゲートラインにゲート信号を供給するゲート駆動部と、
映像データを受け、映像データ電圧または前記映像データ電圧より大きい値に設定される補償データ電圧を生成し、前記映像データ電圧または前記補償データ電圧を前記データラインに供給するデータ駆動部とを含む有機発光ダイオード表示装置であって
前記データ駆動部は、
第1サンプリング期間に、前記補償データ電圧を前記データラインに供給し、
第2サンプリング期間に、前記映像データ電圧を前記データラインに供給し、
前記第1及び第2サンプリング期間において、
前記駆動トランジスタのゲート電極とドレイン電極は、フローティング状態で互いにダイオード接続され、前記駆動トランジスタのソース電極は、前記映像データ電圧または前記補償データ電圧の入力を受け、
前記駆動トランジスタの前記ゲート電極は、前記ソース電極から前記ドレイン電極に流れる駆動電流によって電圧レベルが上昇し、
前記データ駆動部は、
前記映像データの入力を受けて前記映像データをラッチするラッチ部と、
前記ラッチ部からの前記映像データを前記映像データ電圧に変換する第1デジタルアナログコンバータと、
前記ラッチ部と前記第1デジタルアナログコンバータとの接続の有無を選択的にスイッチングする第1スイッチと、
前記ラッチ部から前記映像データを受け、補償データを生成する補償データ生成部と、
前記補償データ生成部からの前記補償データをラッチする補償ラッチ部と、
前記補償ラッチ部からの前記補償データの入力を受け、前記補償データ電圧を生成する第2デジタルアナログコンバータと、
前記補償ラッチ部と前記第2デジタルアナログコンバータとの接続の有無を選択的にスイッチングする第2スイッチとを含む、有機発光ダイオード表示装置。
【請求項2】
全体のピクセルラインがn個であり、フレームレートがk(Hz)である場合に、前記第1及び第2サンプリング期間は、「1/(n×k)」で定義される1水平期間内で実行される請求項に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項3】
前記第1スイッチは、前記第2サンプリング期間にターンオンされ、
前記第2スイッチは、前記第1サンプリング期間にターンオンされる請求項に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項4】
前記補償データ生成部は、
前記映像データに補償値を乗じて前記補償データを生成し、
前記補償値は、Vsat/Vsamで算定され、
前記Vsatは前記映像データ電圧によって前記駆動トランジスタのゲート電極の電圧が理想的に飽和される値であり、
前記Vsamは1水平期間に、前記映像データ電圧によって前記駆動トランジスタのゲート電極の電圧が飽和される測定値である請求項に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項5】
有機発光ダイオード、前記有機発光ダイオードと高電位電源ラインとの間に配されて前記有機発光ダイオードを駆動する駆動トランジスタ、及び前記駆動トランジスタのゲートとデータラインとの接続の有無をスイッチングするスイッチングトランジスタを含む表示パネルであって、前記スイッチングトランジスタのゲートに接続されるゲートライン、及び前記データラインと接続されるピクセルが配置される表示パネルと、
前記ゲートラインにゲート信号を供給するゲート駆動部と、
映像データを受け、映像データ電圧または前記映像データ電圧より大きい値に設定される補償データ電圧を生成し、前記映像データ電圧または前記補償データ電圧を前記データラインに供給するデータ駆動部とを含む有機発光ダイオード表示装置であって、
前記データ駆動部は、
第1サンプリング期間に、前記補償データ電圧を前記データラインに供給し、
第2サンプリング期間に、前記映像データ電圧を前記データラインに供給し、
前記第1及び第2サンプリング期間において、
前記駆動トランジスタのゲート電極とドレイン電極は、フローティング状態で互いにダイオード接続され、前記駆動トランジスタのソース電極は、前記映像データ電圧または前記補償データ電圧の入力を受け、
前記駆動トランジスタの前記ゲート電極は、前記ソース電極から前記ドレイン電極に流れる駆動電流によって電圧レベルが上昇し、
前記データ駆動部は、
前記映像データの入力を受けて前記映像データをラッチするラッチ部と、
前記ラッチ部から前記映像データを受け、補償データを生成する補償データ生成部と、
前記補償データ生成部からの前記補償データをラッチする補償ラッチ部と、
前記第2サンプリング期間に前記ラッチ部からの前記映像データを前記映像データ電圧に変換し、前記第1サンプリング期間に前記補償ラッチ部からの入力を受けて前記補償データ電圧を生成するデジタルアナログコンバータと、
前記第2サンプリング期間に前記ラッチ部と前記デジタルアナログコンバータとを接続する第1スイッチと、
前記第1サンプリング期間に前記補償ラッチ部と前記デジタルアナログコンバータとを接続する第2スイッチとを含む、有機発光ダイオード表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリックス型の有機発光ダイオード表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリックス型の有機発光ダイオード表示装置は、自発光する有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)を含み、応答速度が速く、発光効率、輝度及び視野角が大きい長所がある。
【0003】
自発光素子である有機発光ダイオードは、アノード電極及びカソード電極と、これらの間に形成された有機化合物層(HIL,HTL,EML,ETL,EIL)を含む。この有機化合物層は、正孔注入層(Hole Injection layer:HIL)、正孔輸送層(Hole transport layer:HTL)、発光層(Emission layer、EML)、電子輸送層(Electron transport layer:ETL)及び電子注入層(Electron Injection layer:EIL)からなる。アノード電極とカソード電極の間に駆動電圧が印加されると正孔輸送層(HTL)を通過した正孔及び電子輸送層(ETL)を通過した電子が、発光層(EML)に移動して励起子を形成し、その結果、発光層(EML)が可視光を発生するようになる。
【0004】
有機発光ダイオード表示装置は、有機発光ダイオードに流れる駆動電流を制御するために、駆動トランジスタとして薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を含む。しきい値電圧、移動度などのような駆動トランジスタの電気的特性は、すべてのピクセル(pixel:画素)において同じように設計されるのが望ましいが、実際には、工程条件、駆動環境等によりピクセルごとに駆動トランジスタの電気的特性は、不均一である。このような理由から、同一のデータ電圧に応じた駆動電流は、ピクセルごとに異なり、その結果、ピクセルの間の輝度ばらつきが発生することになる。これを解決するために、各ピクセルから駆動トランジスタの特性パラメータ(しきい値電圧、移動度)をセンシングし、センシング結果に応じて入力データを適切に補正することにより、輝度不均一を減少させる画質補償技術が知られている。
【0005】
画質補償技術の内、内部補償方式は、有機発光ダイオードが発光する間、駆動トランジスタの電気的特性を排除させるように、ピクセル構造と駆動タイミングを制御する。内部補償方式は、基本的に駆動トランジスタのゲート電圧をソースフォロワ方式で上昇させて一定のレベルに飽和(sturation)させるサンプリング動作を実行する。内部補償方式で駆動トランジスタのゲート電圧を所望のレベルに飽和させるためには十分な時間が必要である。しかし、表示パネルが大画面化され、解像度が高くなり、更には1つのピクセルラインをサンプリングするための時間が短くなり、サンプリング動作が円滑に行われない問題が発生している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、短い時間内でサンプリング動作を正確に行うことができる有機発光ダイオード表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る有機発光ダイオード表示装置は、表示パネルと、ゲート駆動部と、データ駆動部とを含む。表示パネルは、有機発光ダイオード及び有機発光ダイオードを駆動する駆動トランジスタを含み、複数のゲートライン及びデータラインと接続されるピクセルが配置される。ゲート駆動部は、ゲートラインにゲート信号を供給する。データ駆動部は、映像データを受け、映像データ電圧または映像データ電圧より大きい値に設定される補償データ電圧を生成する。そして、データ駆動部は、第1サンプリング期間に補償データ電圧をデータラインに供給し、第2サンプリング期間に映像データ電圧をデータラインに供給する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る有機発光ダイオード表示装置は、第1サンプリング期間にオーバードライビングをし、第2サンプリング期間に実際の映像データに基づいて駆動することにより、短い時間内に正確なサンプリング動作を実行することができる。特に、本発明は、駆動周波数を上げずに二段階のサンプリング動作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置のピクセル構造の一例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態において、内部補償動作を実行するピクセルの一例を示す図である。
図4図3に示されたピクセルを駆動するためのゲート信号のタイミングを示す図である。
図5図3に示されたピクセルにおいて、第1ノードの電圧変化を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態におけるデータ駆動部を示す図である。
図7図6に示された第1及び第2制御信号のタイミングを示す図である。
図8】本発明の第1実施形態において、イニシャル期間とサンプリング期間での第1ノードの電圧変化を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態におけるデータ駆動部を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態におけるデータ駆動部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して本発明に係る好ましい実施形態を詳細に説明する。明細書の全体に亘って同一の参照番号は実質的に同一の構成要素を意味する。以下の説明において、本発明と関連した公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0011】
以下、図を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置を示す図である。
【0013】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置は、表示パネル10、データ駆動部12、ゲート駆動部13及びタイミングコントローラ11を備える。
【0014】
表示パネル10では、複数のデータライン部14と複数のゲートライン部15とが交差し、この交差領域ごとにピクセル(画素P)がマトリックス形態で配置される。ピクセル(P)のそれぞれは、図示しない電源発生部から高電位駆動電圧(VDD)と低電位駆動電圧(VSS)の供給を受ける。
【0015】
タイミングコントローラ11は、垂直同期信号(Vsync)、水平同期信号(Hsync)、ドットクロック信号(DCLK)及びデータイネーブル信号(DE)などのタイミング信号に基づいて、データ駆動部12の動作タイミングを制御するためのデータ制御信号(DDC)と、ゲート駆動部13の動作タイミングを制御するためのゲート制御信号(GDC)とを発生する。
【0016】
また、タイミングコントローラ11は、補償値設定部100を含む。補償値設定部100は、データ駆動部12が出力する補償データ電圧の倍率を算定する。補償データ電圧はサンプリング期間に駆動トランジスタのしきい値電圧をセンシングする過程でオーバードライビング(Over Driving)するためのものであり、詳細な説明は後述する。
【0017】
データ駆動部12は、補償期間に、センシング用データ電圧をピクセル(P)に供給し、データライン部14を介して表示パネル10から入力されるセンシング電圧をデジタル値に変換して、タイミングコントローラ11に供給する。データ駆動部12は、画像表示期間に、画像表示用のデータ電圧をデータライン部14に供給する。
【0018】
ゲート駆動部13は、タイミングコントローラ11からのゲート制御信号(GDC)に基づいてゲート信号を発生し、ゲート信号は、スキャン信号とエミッション信号とを含むことができる。ピクセル構造によって、ゲート信号は異なり、また、補償期間に印加されるゲート信号及び画像表示期間に印加されるゲート信号のタイミングも異なる。ゲート駆動部13は、GIP(Gate-driver In Panel)の形で表示パネル10に直接形成することができる。
【0019】
図2(a),(b)は、本発明の第1実施形態に係る有機発光ダイオード表示装置のピクセル構造の一例を示す図である。
【0020】
図2(a)を参照すると、1つのピクセルは、スイッチングトランジスタ(SW)、駆動トランジスタ(DT)、補償回路(CC)及び有機発光ダイオード(OLED)を含む。有機発光ダイオード(OLED)は、駆動トランジスタ(DT)によって生成された駆動電流に応じて発光するように動作する。
【0021】
スイッチングトランジスタ(SW)は、第1ゲートライン(GL1)を介して供給されたゲート信号に応答して、第1データライン(DL1)を介して供給されるデータ信号がキャパシタ(Cst)にデータ電圧として蓄積されるようにスイッチング動作する。駆動トランジスタ(DT)は、キャパシタ(Cst)に蓄積されたデータ電圧に応じて高電位駆動電圧(VDD)の電源ラインと低電位駆動電圧(GND)の電源ラインとの間に駆動電流が流れるように動作する。補償回路(CC)は、駆動トランジスタ(DT)のしきい電圧などを補償するための回路である。また、スイッチングトランジスタ(SW)や駆動トランジスタ(DT)に接続されたキャパシタ(Cst)は、補償回路(CC)の内部に位置することができる。
【0022】
補償回路(CC)は、複数の薄膜トランジスタとキャパシタで構成される。補償回路(CC)の構成は、補償方法に応じて非常に多様であるため、これに対する具体的な例示と説明は省略する。
【0023】
また、図2(b)に示すように、補償回路(CC)が含まれた場合、ピクセルには補償用の薄膜トランジスタを駆動するとともに、特定の信号や電源を供給するための信号ラインと電源線などがさらに含まれる。追加された信号ラインは、ピクセルに含まれた補償用の薄膜トランジスタを駆動するための第1−2ゲートライン(GL1b)と定義することができる(既設のゲートラインは第1−1ゲートライン(GL1a)とする)。そして追加された電源ラインは、ピクセルの特定のノードを特定の電圧に初期化するための初期化電源ライン(Iini)と定義することができる。しかし、これは一例であり、これに限定されない。
【0024】
図3は、本発明の第1実施形態において、内部補償動作を実行するピクセルの一例を示す図である。図3に示されたピクセルを中心に、内部補償方法は次の通りである。
【0025】
図3を参照すると、実施形態に係るピクセルは、駆動トランジスタ、第1〜第6トランジスタ(T1〜T6)及びストレージキャパシタ(Cst)を含む。
【0026】
駆動トランジスタ(DT)は、ソースゲート間電圧(Vgs)に基づいて、有機発光素子(OLED)に供給される駆動電流を制御する。駆動トランジスタ(DT)のゲート電極は第1ノード(N1)に接続され、ソース電極は第3ノード(N3)に接続され、ドレイン電極は第2ノード(N2)に接続される。第1トランジスタ(T1)は、第nスキャン信号(SCAN(n))に応答して、第1ノード(N1)と第2ノード(N2)とを接続させる。第2トランジスタ(T2)は、第nスキャン信号(SCAN(n))に応答して、データライン部14(Vdata)と第3ノード(N3)とを接続させる。第3トランジスタ(T3)は、第nエミッション信号(EM(n))に応答して、第3ノード(N3)と高電位駆動電圧(VDD)の入力端とを接続させる。第4トランジスタ(T4)は、第nエミッション信号(EM(n))に応答して、第2ノード(N2)と第4ノード(N4)を接続させる。第5トランジスタ(T5)は、第n−1スキャン信号(SCAN(n−1))に応答して、第1ノード(N1)と初期化電圧(Vinit)の入力端を接続させる。第6トランジスタ(T6)は、第nスキャン信号(SCAN(n))に応答して、初期化電圧(Vinit)の入力端と第4ノード(N4)を接続させる。また、ストレージキャパシタ(Cst)は、第1ノード(N1)と高電位駆動電圧(VDD)の入力端との間に接続される。
【0027】
図4は、図3に示されたピクセルを駆動するためのゲート信号のタイミングを示す図である。図3及び図4を参照して、ピクセルの駆動は以下の通りである。
【0028】
イニシャル期間(Ti)において、第5トランジスタ(T5)は、第n−1スキャン信号(SCAN(n−1))に応答して、第1ノード(N1)と初期化電圧(Vinit)の入力端を接続させる。その結果、第1ノード(N1)は、初期化電圧(Vinit)に初期化される。初期化電圧(Vinit)は、有機発光ダイオード(OLED)の動作電圧より十分に低い電圧範囲内で選択され、低電位駆動電圧(VSS)と同じか、低電位駆動電圧(VSS)より低く設定することができる。
【0029】
サンプリング期間(Ts)において、第nスキャン信号(SCAN(n))に応答して、第1トランジスタ(T1)及び第2トランジスタ(T2)はターンオンされる。その結果、第1トランジスタ(T1)は、第1ノード(N1)及び第2ノード(N2)をダイオード接続(diode connection)させる。第2トランジスタ(T2)は、データライン(DL1)から供給されるデータ電圧(Vdata)を第3ノード(N3)に充電する。第6トランジスタ(T6)は、初期化電圧(Vinit)を第4ノード(N4)に充電する。
【0030】
サンプリング期間(Ts)において、駆動トランジスタ(DT)のソースドレイン間には電流(Ids)が流れ、これにより、第2ノード(N2)の電圧は、データ電圧(Vdata)から駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧(Vth)の絶対値を引いた値(Vdata−|Vth|)となる。第1ノード(N1)は、第2ノード(N2)と同じ電圧になる。
【0031】
エミッション期間(Te)において、第3トランジスタ(T3)は、第nエミッション信号(EM(n))に応答して、高電位駆動電圧(VDD)を第2ノード(N2)に供給する。そして、第4トランジスタ(T4)もターンオンして、第2ノード(N2)と第4ノード(N4)が接続される。エミッション期間(Te)において、駆動トランジスタ(DT)のゲートソース間にセッティングされた電圧に応じて、第3ノード(N3)で第2ノード(N2)を経由する電流が発生する。
【0032】
エミッション期間(Te)から有機発光ダイオード(OLED)に流れる駆動電流(Ioled)の関係式は、下記式(1)のようになる。
【0033】
Ioled=k/2(Vgs−Vth)=k/2(Vg−Vs−Vth)=k/2{(Vdata−|Vth|)−VDD−Vth)} …(1)
【0034】
このとき、Vth<0であるので、上記式(1)は、結局「k/2(Vdata−VDD)」になる。
【0035】
上記式(1)において、k/2は、駆動トランジスタ(DT)の電子移動度、寄生キャパシタンスとチャネル容量などによって決定される比例定数を示す。結局、発光期間(Te)の間、有機発光ダイオード(OLED)に流れる駆動電流は、駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧(Vth)の影響を受けない。
【0036】
このような内部補償回路の動作で発光期間(Te)に駆動トランジスタ(DT)のしきい値電圧(Vth)の影響を排除するためには、サンプリング期間(Ts)の間に第1ノードが「Vdata−|Vth|」の値で十分飽和(saturation)するようにしなければならない。
【0037】
しかしながら、表示パネル10の解像度が高くなり、1つのピクセルラインを駆動するための1水平期間(1H)が短くなり、それに応じてサンプリング期間(Ts)もまた短くなる。図5は、図3に示されたピクセルにおいて、第1ノードの電圧変化を示す図である。もし、図5のように、1水平期間(1H)のサンプリング期間(Ts)の間に第1ノード(n1)の値が十分な値に飽和されないのであれば、サンプリング偏差(ΔV)が発生し、内部補償に誤差が発生する。
【0038】
補償値設定部100及びデータ駆動部12は、短いサンプリング期間内で駆動トランジスタのしきい値電圧をさらに正確にサンプリングすることができる。これを説明すると以下の通りである。
【0039】
タイミングコントローラ11の補償値設定部100は、補償データ電圧を生成するのに利用される補償値(α)を設定する。補償値(α)は、サンプリング期間(Ts)を十分に長くしたときに、第1ノード(N1)が飽和される電圧値(Vsat)に対する、1水平期間(1H)のサンプリング期間(Ts)に第1ノード(n1)に充電される電圧値(Vsam)の割合で算定することができる。つまり、補償値(α)は、「Vsat/Vsam」で算定される。1水平期間(1H)の間に第1ノード(N1)に充電される電圧値(Vsam)は、第1ノード(N1)が飽和される電圧値(Vsat)より同じまたは小さいので、補償値(α)は、1より大きい値になる。補償値(α)は、すべての階調に対して同様に適用されるか、または階調ごとに異なるように設定されることもできる。
【0040】
図1において補償値設定部100は、タイミングコントローラ11に属する実施形態を示しているが、補償値設定部100は、別の集積回路によって実現することもできる。
【0041】
図6は、本発明の第1実施形態におけるデータ駆動部を示す図である。図6には、1つのデータラインにデータ電圧を出力する構成を示している。
【0042】
図6を参照すると、第1実施形態におけるデータ駆動部12は、ラッチ部(Latch1,Latch2)、第1スイッチ(SW1)、第1デジタルアナログコンバータ(DAC1)、補償データ生成部120、補償ラッチ部(MLatch1,MLatch2)、第2スイッチ(SW2)、第2デジタルアナログコンバータ(DAC2)及び出力バッファ(BF)を含む。ラッチ部(Latch1,Latch2)は、第1ラッチ(Latch1)及び第2ラッチ(Latch2)を含み、補償ラッチ部(MLatch1,MLatch2)は、第1補償ラッチ(MLatch1)及び第2補償ラッチ(MLatch2)を含む。
【0043】
第1ラッチ(Latch1)は、タイミングコントローラ11からのデジタル形式の映像データ(Data)をサンプリングしてラッチし、ラッチしたデータを同時に出力する。第2ラッチ(Latch2)は、第1ラッチ(Latch1)からの映像データ(Data)をラッチして、他のソースドライバの第2ラッチ(Latch2)と同期してラッチした映像データ(Data)を同時に出力する。
【0044】
第1スイッチ(SW1)は、第1制御信号(S1)に応答して、第2ラッチ(Latch2)と第1デジタルアナログコンバータ(DAC1)とを接続させる。
【0045】
第1デジタルアナログコンバータ(DAC1)は、第2ラッチ(Latch2)から入力される映像データ(Data)をアナログ形態であるデータ電圧(Vdata)に変換する。
【0046】
補償データ生成部120は、第1ラッチ(Latch1)からのデータに補償値(α)を適用して補償データ(Mdata)を生成する。補償データ(Mdata)は、データ(Data)に補償値(α)を乗算することにより生成できる。補償データ生成部120は、補償データ(Mdata)を第1補償ラッチ(MLatch1)に出力する。
【0047】
第1補償ラッチ(MLatch1)は補償データ生成部120からの補償データ(Mdata)をサンプリングしてラッチし、ラッチしたデータを同時に出力する。
【0048】
第2補償ラッチ(MLatch2)は、第1補償ラッチ(MLatch1)からの補償データ(Mdata)をラッチし、他のソースドライバの第2補償ラッチ(MLatch2)と同期してラッチした補償データを同時に出力する。
【0049】
第2スイッチ(SW2)は、第2制御信号(S2)に応答して、第2補償ラッチ(MLatch2)と第2デジタルアナログコンバータ(DAC2)とを接続させる。
【0050】
第2デジタルアナログコンバータ(DAC2)は、第2補償ラッチ(MLatch2)から入力される補償データ(Mdata)をアナログ形態である補償データ電圧(MVdata)に変換する。
【0051】
出力部(BF)は、第1デジタルアナログコンバータ(DAC1)または第2デジタルアナログコンバータ(DAC2)からのデータ電圧(Vdata)または補償データ電圧(MVdata)をデータライン(DL1)に供給する。
【0052】
図7は、図6に示された第1及び第2制御信号のタイミングを示す図である。図8は、本発明の第1実施形態において、イニシャル期間とサンプリング期間での第1ノードの電圧変化を示す図である。第1実施形態において、ピクセルを駆動するためのゲート信号は、比較例と同じである。すなわち、図3に示されたピクセルを駆動するために、図4に示されたゲート信号を利用することができる。
【0053】
図3及び図4と、図6図8を参照して、補償データ電圧を利用したサンプリング動作を説明すると、以下の通りである。
【0054】
イニシャル期間(Ti)において、第5トランジスタ(T5)は、第n−1スキャン信号(SCAN(n−1))に応答して、第1ノード(N1)と初期化電圧(Vinit)の入力端を接続させる。その結果、第1ノード(N1)は、初期化電圧(Vinit)に初期化される。初期化電圧(Vinit)は、有機発光ダイオード(OLED)の動作電圧より十分に低い電圧範囲内で選択され、低電位駆動電圧(VSS)と同じか、低電位駆動電圧(VSS)より低く設定することができる。
【0055】
第1サンプリング期間(Ts1)及び第2サンプリング期間(Ts2)において、第nスキャン信号(SCAN(n))に応答して、第1トランジスタ(T1)、第2トランジスタ(T2)及び第6トランジスタ(T6)はターンオンされる。その結果、第1トランジスタ(T1)は、第1ノード(N1)及び第2ノード(N2)をダイオード接続(diode connection)させる。
【0056】
第1サンプリング期間(Ts1)に第2制御信号(S2)は、ターンオン電圧となる。その結果、データ駆動部12の第2デジタルアナログコンバータ(DAC2)は、第2補償ラッチ(MLatch2)から補償データ(MData)を受け、補償データ電圧(MVdata)を生成する。出力部(BF)は、第1サンプリング期間(Ts1)に補償データ電圧(MVdata)をデータライン(DL1)に出力する。
【0057】
第2トランジスタ(T2)は、データライン(DL1)から供給されるデータ電圧(Vdata)を第3ノード(N3)に充電する。補償データ電圧(MVdata)は、データ電圧(Vdata)より大きい値であるので、第1サンプリング期間(Ts1)で第3ノード(N3)は、データ電圧(Vdata)より大きい値に充電される。その結果、第1サンプリング期間(Ts1)で第1ノード(N1)の電圧は、オーバードライビングの効果で第3ノード(N3)にデータ電圧(Vdata)が充電されるよりもさらに大きい値まで充電される。
【0058】
第2サンプリング期間(Ts2)に、第2制御信号(S2)は、ターンオフ電圧となり、第1制御信号(S1)は、ターンオン電圧となる。その結果、データ駆動部12の第1デジタルアナログコンバータ(DAC1)は、第1ラッチ(Latch1)から映像データ(Data)を受け、映像データ電圧(Vdata)を生成する。出力部(BF)は、第2サンプリング期間(Ts2)に、映像データ電圧(Vdata)をデータライン(DL1)に出力する。
【0059】
第2トランジスタ(T2)は、データライン(DL1)から供給されるデータ電圧(Vdata)を第3ノード(n3)に充電する。映像データ電圧(Vdata)は補償データ電圧(MVdata)より小さい値であるので、第2サンプリング期間(Ts2)に、第1ノード(N1)の電圧が充電される速度は小さくなる。特に、映像データ電圧(Vdata)は、タイミングコントローラ11が入力を受けた映像データ(data)に対応する電圧であるため、第2サンプリング期間(Ts2)の後に、第1ノード(N1)は、所望の階調表現に対応する大きさの電圧値(Vdata−|Vth|)で正確にサンプリングすることができる。
【0060】
エミッション期間(Te)においては、駆動トランジスタ(DT)のゲートソース間にセッティングされた電圧に応じて、第3ノード(N3)で第2ノード(N2)を経由する電流が発生し、有機発光ダイオード(OLED)は、所望の階調で発光する。
【0061】
上記のように、本発明に係るデータ駆動部11は、第1サンプリング期間(Ts1)の間、補償値(α)が適用された補償データ電圧(MVdata)を利用して、サンプリング動作を実行することにより、サンプリング動作を速くすることができる。従って、1水平期間(1H)が短くなっても所望のサンプリング期間にしきい値電圧が反映された正確な大きさの電圧(Vsat)で駆動トランジスタ(DT)のゲートソース電圧をサンプリングすることができる。つまり、1水平期間(1H)が短くなると、サンプリング期間(Ts1,Ts2)の間に第1ノード(N1)は、「Vsam」の電圧レベルに充電されてサンプリング動作が正確ではないことがある。しかし、本発明によれば、第1サンプリング期間(Ts1)のオーバードライビング駆動によってで1水平期間(1H)内でしきい値電圧が反映された正確な大きさの電圧(Vsat)に第1ノード(n1)の電圧をサンプリングすることができる。
【0062】
特に、本発明は、駆動周波数を上げずに、オーバードライビング効果を行うことができる。したがって、単純にデータ電圧を大きくして、サンプリング動作を実行すると、サンプリングされる電圧値が所望の大きさを超えうる。これを防止するためには、サンプリング期間に印加されるデータ電圧を、最終的に入力映像データに対応する大きさで制御しなければならない。しかしながら、有機発光ダイオード表示装置でサンプリング期間を決定するスキャン信号のパルス幅の長さは、少なくとも1水平期間に該当するので、サンプリング動作を2回行うためには、駆動周波数を高めなければならない。
【0063】
対して、本発明では、データ駆動部11において映像データ(Data)を利用した映像データ電圧(Vdata)と補償値(α)が反映された補償データ電圧(MVdata)の出力を1水平期間(1H)内で分割して出力する。したがって、駆動周波数を高くすることなく、スキゃン信号のタイミングを可変にすることなく、オーバードライビング駆動を行うことができる。
【0064】
図9は、本発明の第2実施形態におけるデータ駆動部を示す図である。
【0065】
図9を参照すると、第2実施形態におけるデータ駆動部12は、ラッチ部(Latch1)、第1スイッチ(SW1)、第1デジタルアナログコンバータ(DAC1)、補償データ生成部120、補償ラッチ部(MLatch1)、第2スイッチ(SW2)、第2デジタルアナログコンバータ(DAC2)及び出力バッファ(BF)を含む。すなわち、第2実施形態におけるラッチ部及び補償ラッチ部は、それぞれ1つのラッチで構成される。第1及び第2実施形態に区分されるラッチ部(Latch)の数は、タイミングコントローラまたはデータ駆動部の設計に応じて変えることができる。第2実施形態において、補償ラッチ部(MLatch)の動作は、前述した第1実施形態と同一であり、データ駆動部が補償データ電圧を出力するタイミングもまた、第1実施形態と同様である。
【0066】
図10は、本発明の第3実施形態におけるデータ駆動部を示す図である。
【0067】
図10を参照すると、第3実施形態におけるデータ駆動部12は、ラッチ部(Latch1,Latch2)、第1スイッチ(SW1)、補償データ生成部120、補償ラッチ部(MLatch1,MLatch2)、第2スイッチ(SW2)、デジタルアナログコンバータ(DAC)及び出力バッファ(BF)を含む。ラッチ部(Latch1,Latch2)は、第1ラッチ(Latch1)及び第2ラッチ(Latch2)を含み、補償ラッチ部(MLatch1,MLatch2)は、第1補償ラッチ(MLatch1)及び第2補償ラッチ(MLatch2)を含む。デジタルアナログコンバータ(DAC)は、第1スイッチ(SW1)のターンオン時に、第2ラッチ(Latch2)から入力される映像データ(Data)をアナログ形態であるデータ電圧(Vdata)に変換する。デジタルアナログコンバータ(DAC)は、第2スイッチ(SW2)のターンオン時に、第2補償ラッチ(MLatch2)から入力される映像データ(Mdata)をアナログ形態である補償データ電圧(Vdata)に変換する。
【0068】
このように、第3実施形態では、1つのデジタルアナログコンバータ(DAC)を利用して映像データ電圧(Vdata)または補償データ電圧(MVdata)を選択的に生成して出力することができる。
【0069】
図10に示されたラッチ部と補償ラッチ部は第2実施形態と同様に1つのラッチによって実現されてもよい。
図1
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図3
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図6
図7
図8
図9
図10