特許第6494735号(P6494735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6494735
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】クラッシャ装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 4/32 20060101AFI20190325BHJP
   F16H 7/12 20060101ALI20190325BHJP
   B02C 4/02 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   B02C4/32
   F16H7/12 A
   B02C4/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-242549(P2017-242549)
(22)【出願日】2017年12月19日
【審査請求日】2018年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智
(72)【発明者】
【氏名】細田 敦
(72)【発明者】
【氏名】越島 広行
(72)【発明者】
【氏名】松本 昌
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−51893(JP,A)
【文献】 特開昭57−201546(JP,A)
【文献】 特開2003−24810(JP,A)
【文献】 特開昭58−88251(JP,A)
【文献】 特開平6−47298(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/37941(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00− 7/18
B02C 15/00−17/24
F16H 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定のフレーム(F)に揺動自在のアーム(3)と、
前記フレーム(F)に設けた軸回りに回転する第一の回転ロール(1)と、
前記アーム(3)に設けられてそのアーム(3)の揺動に伴って前記第一の回転ロール(1)に対して接近又は離反する軸回りに回転する第二の回転ロール(2)と、
前記アーム(3)に設けた駆動軸(5a)と前記第二の回転ロール(2)の回転軸(2a)とを連結するベルト(4)又はチェーンと、
前記アーム(3)に設けた前記ベルト(4)又はチェーンの緊張装置(10)と、
を備えて、前記第一、第二の回転ロール(1、2)の間で被処理物(a)を破砕するクラッシャ装置。
【請求項2】
上記緊張装置(10)は、上記アーム(3)に移動可能なスライドベース(11)と、そのスライドベース(11)に設けたアイドルプーリ(17)とを備え、前記スライドベース(11)の移動による前記アイドルプーリ(17)の上記ベルト(4)又はチェーンへの張力負荷調整によってそのベルト(4)又はチェーンの張力を調整する請求項1に記載のクラッシャ装置。
【請求項3】
上記スライドベース(11)は、アーム(3)に設けたガイド軸(12)に上記移動方向に長い長孔(13)を介して移動可能になっている請求項2に記載のクラッシャ装置。
【請求項4】
上記スライドベース(11)とアーム(3)に、上記移動方向で対向する軸受(14、15)をそれぞれ設け、その両軸受(14、15)にねじ軸(16)を貫通し、そのねじ軸(16)を介して両軸受(14、15)を接離・固定可能として上記アーム(3)に対しスライドベース(11)を移動・固定可能とした請求項2又は3に記載のクラッシャ装置。
【請求項5】
上記アイドルプーリ(17)を上記ベルト(4)又はチェーンの走行方向に沿って複数設けた請求項2乃至4の何れか1つに記載のクラッシャ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、種々の被処理物をその大きさに合わせて選別する選別装置等の下流側等に設けられ、二つの回転ロール間で被処理物を破砕する二軸クラッシャ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、大きさの異なる物が混合している被処理物を、その大きさに応じて選別するために、選別装置が用いられる。選別装置としては、例えば、被処理物を回転駆動される複数のリング(ロータ)付きのローラ上に載せて、そのリングの回転によって排出側へ送り出しながら、ローラ間に形成された隙間に落とし込んで選別作業を行うローラスクリーンと呼ばれるものがある(特許文献1段落0003〜0007、図4参照)。
ローラスクリーンで処理される被処理物としては、例えば、石炭等の鉱石、砕石、鉱滓、その他石材、建設廃材、木材、土砂等、が挙げられる。
【0003】
選別装置の下流側には、駆動力によって回転する二つの回転ロール間で被処理物を破砕するクラッシャ装置が設けられる(特許文献1図1図3参照)。
このクラッシャ装置の一例として、本願の一実施形態を示す図1図3を参照して説明すると、固定の四角枠体状のフレームFに、第一の回転ロール1と、第二の回転ロール2を有する揺動アーム3とを設け、そのアーム3の揺動に伴って第一の回転ロール1に対して第二の回転ロール2を接近又は離反させ、その第一、第二の回転ロール1、2の間に被処理物aを投入して破砕するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−51893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のクラッシャ装置は、第一の回転ロール1と第二の回転ロール2をモータ(電動機)等の駆動機によって駆動しており、その駆動機から各回転ロール1、2にはベルト4又はチェーン(以下、ベルトとチェーンの両者をベルト4等という)によって駆動力が伝達されている。
そのベルト4等は、時間経過とともに(経時的に)弛み、駆動機から第一、第二の回転ロール1、2に回転力が円滑に伝達されなくなる。
【0006】
この場合、従来では、駆動軸5aと第一、第二の回転ロール1、2の回転軸1a、2aとの間隔を調整してベルト4等の弛みをなくして緊張させ、駆動力が円滑に伝達されるようにしている。
しかし、この軸移動によるベルト4等の張力の調整は、第一、第二の回転ロール1、2の回転軸1a、2a又は駆動軸5aの軸受台を移動・固定して行っており、その作業は繁雑である。
【0007】
この発明は、以上の実情に鑑み、揺動アーム3に設けた第二の回転ロールへの駆動力伝達用ベルト4等の経時的な弛みを簡単な構成によって解消し得るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、この発明は、固定のフレームに揺動自在のアームと、前記フレームに設けた軸回りに回転する第一の回転ロールと、前記アームに設けられてそのアームの揺動に伴って第一の回転ロールに対して接近又は離反する軸回りに回転する第二の回転ロールと、前記アームに設けた駆動軸と第二の回転ロールの回転軸とを連結するベルト等と、前記アームに設けたベルト等の緊張装置と、を備えて、前記第一、第二の回転ロール間で被処理物を破砕する構成のクラッシャ装置を採用した。
【0009】
このクラッシャ装置は、駆動軸と第二の回転ロールの回転軸とを連結するベルト等の緊張装置を揺動するアームに設けたので、アームの揺動に伴って前記ベルト等が弛むことがなく、ベルト等の経時的な弛みを直す作用で十分なため、簡単な構成とすることができる。
例えば、その緊張装置は、アームに移動可能なスライドベースと、そのスライドベースに設けたアイドルプーリとを備え、前記スライドベースの移動によるアイドルプーリのベルト等への張力負荷調整によってそのベルト等の張力を調整する。そのスライドベースは、例えば、アームに設けたガイド軸に前記移動方向に長い長孔を介して移動可能とすることができる。
そのスライドベースの移動は、例えば、スライドベースとアームに、上記移動方向で対向する軸受をそれぞれ設け、その両軸受にねじ軸を貫通し、そのねじ軸を介して両軸受を接離・固定可能とした構成を採用することができる。
【0010】
上記アイドルプーリの数は、クラッシャ装置の大きさやベルト等の負荷張力値等に応じて、1つ、2つ等と任意であるが、少なくとも2つ以上の複数とすれば、各アイドルプーリの間隔を適宜に設定することによって、ベルト等の張り出す長さを少なくして適切な張力を付与することができる。また、ベルト等の屈曲度も小さくできるため、ベルト等の劣化を抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、以上のように構成したので、経時的なベルト等の弛みを簡単な構成でもって調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明に係るクラッシャ装置の一実施形態を示す正面図
図2】同実施形態の一作用の正面図
図3】同実施形態の平面図
図4】同実施形態の緊張装置部分の拡大正面図
図5】同実施形態の緊張装置の他例の拡大正面図
図6】同実施形態の緊張装置のさらに他例の拡大正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明に係るクラッシャ装置の一実施形態を図1乃至図4に示し、この実施形態のクラッシャ装置Aも、従来と同様に、各種選別装置の下流側に設けられる。選別装置としては、例えば、ローラスクリーンの他、種々のものを採用することができる。
【0014】
クラッシャ装置Aは、図1乃至図3に示すように、固定の四角枠体状の金属製フレームFに、回転軸1aの軸心回りに回転する第一の回転ロール1と、その第一の回転ロール1に沿って配置されて、第一の回転ロール1に対して接近及び離反する方向へ移動自在の第二の回転ロール2とを備える。第一の回転ロール1は、図1及び図2に示すように、固定のフレームFに設けた回転軸1aの軸心回りに回転自在である。回転軸1aの軸心の位置は、フレームFに対して不変となっている。クラッシャ装置Aは、駆動力によって回転する二つの回転ロール1、2間で被処理物aを破砕する。
【0015】
第二の回転ロール2は、フレームFに設けた揺動軸(駆動軸)5aの軸心周りに揺動自在の上下方向のアーム3を介して吊り下げられている。アーム3は四角状枠からなってフレームFの両側に設けられ、揺動軸5aの両端にそれぞれアーム3の上端が軸受を介して取り付けられて、各アーム3が揺動軸5aの軸心回り左右方向に揺動する。また、第二の回転ロール2の回転軸2aの両端が各アーム3の下端部に軸受を介して取り付けられている。このアーム3が、揺動軸5aの軸心回りに揺動することにより、第二の回転ロール2は揺動軸5aの軸心周りの左右円弧方向に移動する。これにより、第二の回転ロール2は第一の回転ロール1との間の距離が可変となっている。なお、図中の符号6はアーム3の揺動範囲を規制するストッパを、符号7は衝撃吸収装置をそれぞれ示している。
【0016】
第一の回転ロール1と第二の回転ロール2の表面は、それぞれ被破砕物の素材に応じて、例えば、この実施形態のように円筒面状である場合もあるし、それ以外にも、適度な凹凸あるいは先鋭な凸部(破砕歯)を備えたものが採用される場合もある。
【0017】
第一の回転ロール1と第二の回転ロール2はそれぞれモータ等の駆動源からの駆動力によってその軸心回りに回転する。この実施形態においては、第一の回転ロール1の回転軸1aは、駆動源(図示せず)に直接に又はベルト等を介して連結されて、その駆動源によって第一の回転ロール1が図1において左回り(反時計回り)に回転する。一方、第二の回転ロール2の回転軸2aはプーリ2b、5bを介してVベルト4によって連結されている。ベルト4は複数本からなる。
プーリ5bは揺動軸5aと一体になっており、この揺動軸5aが駆動源(図示せず)によって回転する。このため、駆動源による揺動軸5aの回転により、プーリ5b、ベルト4、プーリ2b及び回転軸2aを介して第二の回転ロール2が図1において右回り(時計回り)に回転する。このとき、アーム3は揺動軸5aに軸受を介して支持されているため、揺動軸5aの回転に伴って揺動することはない。
【0018】
両回転ロール1、2が逆方向に回転している状態において、その両回転ロール1、2間に被破砕物aが供給されて破砕される。このとき、第一の回転ロール1と第二の回転ロール2との間に異物(硬い大きな被処理物a等)が入り込むと、第二の回転ロール2を支えるアーム3が図2に示すように揺動して、第二の回転ロール2が第一の回転ロール1から離れて、異物aの噛み込みが防止される。
【0019】
この実施形態では、揺動する側の回転ロールである第二の回転ロール2の方が、固定側の回転ロールである第一の回転ロール1よりも大径となっているが、回転ロール1、2の径は自由に設定でき、また、摩耗によって徐々に小径となっていく。例えば、使用開始時において、第二の回転ロール2と第一の回転ロール1とを同一径としてもよいし、あるいは、第二の回転ロール2の方を第一の回転ロール1よりも小径としてもよい。
【0020】
アーム3にはこの発明の特徴部分であるベルト4の緊張装置(テンション装置)10が設けられている。この緊張装置10はアーム3の中央付近に位置させてバランスをとることが好ましく、そのアーム幅方向に移動可能な鉄板からなるスライドベース11と、そのスライドベース11に設けたアイドルプーリ17とを備える。
スライドベース11は、アーム3に設けたガイド軸12(例えば、頭部付ボルト)にスライドベース11に形成したアーム3の幅方向に長い長孔13を介してその長さ方向に移動・固定可能となっている。
【0021】
また、スライドベース11とアーム3にはそれぞれ軸受14、15が設けられている。この実施形態では、両軸受14、15はスライドベース11とアーム3にそれぞれ固定されてねじ軸16がその軸方向に移動自在に貫通している。ねじ軸16には各軸受14,15を挟んで締結ナット14a、15aがそれぞれねじ込まれており、各ナット14a、15aを適宜に緩めたり、ねじ込んだりして両軸受14、15を接離させると、スライドベース11がアーム3の幅方向に移動する(図4の実線及び鎖線参照)。
【0022】
スライドベース11にはねじ軸16に対し上下対称のアイドルプーリ17、17が設けられている。この対のプーリ17をベルト4の内側にあてがい、スライドベース11を上記幅方向に移動することによってベルト4に適切な張力を付与することができる。
このため、ナット15aを回転させることによるねじ軸16を介した軸受14、15の接離によってベルト4に適切な張力を付与した状態で、ナット15aのねじ止めによって両軸受14、15間を固定してその張力状態を固定する。この張力状態は、アーム3の揺動に伴って、ベルト4とともに緊張装置10も揺動するため、安定してベルト4が弛むことはない。張力固定するナット15aはダブルナットとすることが好ましい。
【0023】
揺動する側である第二の回転ロール2は、アーム5に取り付けられたウェイト装置30の重力によって、第一の回転ロール1に押しつけられ、被処理物aの安定した破砕を可能としている。そのウェイト装置30はリンク機構20によって第二の回転ロール2に連結されている。この実施形態では、リンク機構20は、その一端が、第二の回転ロール2の回転軸2aを支持するアーム3に取り付けられ、他端は、固定のフレームFに取り付けられている。すなわち、リンク機構20は、アーム3を介してフレームFと第二の回転ロール2とを結んでいる。
【0024】
リンク機構20は、フレームFのブラケット25に第一ピン23aを介して揺動自在の第一リンクバー21と、アーム3のブラケット24に第三ピン23cを介して揺動自在の第二リンクバー22とからなる。第一リンクバー21の他端と第二リンクバー22の一端とは第二ピン23bを介して揺動自在である。
【0025】
第二の回転ロール2が揺動軸5aの軸心回りに揺動して、第一の回転ロール1に対する位置が相対移動するのに対応して、リンク機構20の各リンクバー21、22は、図1図2のように、互いにピン23a、23b、23c周りに揺動し、ブラケット24、25間の距離の変化に対応して、リンク機構20の全長が伸縮する。
【0026】
ウェイト装置30は、第一リンクバー21に取り付けられており、第二の回転ロール2が第一の回転ロール1から遠ざかることによるリンク機構20の動きに伴って、徐々に第二の回転ロール2を第一の回転ロール1側へ押圧する力が少なくなるようになっている。この押圧力の変化は、ウェイト装置30を取り付けたリンクバー21の水平方向に対する角度(仰角)の変化によって生じる。
【0027】
すなわち、いま、図1から図2に示す状態へと、リンク機構20が動作したとする。このとき、第二の回転ロール2が第一の回転ロール1から遠ざかるのに伴って、ウェイト装置30を取り付けた第一リンクバー21は、図1の水平に近い状態から、図2の鉛直に近い状態へと、水平方向に対する仰角(ただし、仰角は90°未満の鋭角)が増大する。
この仰角の増大により、ウェイト装置30の重力の第一リンクバー21への作用分力、すなわち、第一リンクバー21の両端のピン23a、23b中心間を結ぶリンク軸方向に対して直交する方向への分力が小さくなる。このため、第一リンクバー21への作用分力が小さくなり、第二の回転ロール2を第一の回転ロール1側へ押圧する力が少なくなる。これにより、異物の噛み込み及び異物の排出が円滑に作用するようになる。
【0028】
なお、ウェイト装置30は、第二の回転ロール2から最も遠い第一リンクバー21に取り付けられているが、これを、他のリンクバーに取り付けてもよい。例えば、ウェイト装置30を、第二の回転ロール2に最も近い第二リンクバー22に取り付けてもよい。ウェイト装置30は、所定の重量のものを複数組み合わせることにより、所望の荷重に設定できるようになっている。
【0029】
また、この実施形態では、アーム3を第二の回転ロール2の回転軸2aの軸方向両端にそれぞれ備えている。さらに、ウェイト装置30を備えたリンク機構20を、両方のアーム3とフレームFとの間にそれぞれ備えている(図3参照)。このため、第一の回転ロール1と第二の回転ロール2との間に異物を噛み込んだ際、又は、噛み込みを生じかけた際に、第一の回転ロール1と第二の回転ロール2とが非平行状態となることを抑制し、平行状態を維持しやすい。
さらに、図3に示すように、一方のリンク機構20と他方のリンク機構20とがウェイト装置30で連結されているので、第一の回転ロール1と第二の回転ロール2とが非平行状態になることをさらに効果的に抑制する。
【0030】
上記実施形態において、アイドルプーリ17は、上下対に限らず、ベルト4に適切な張力を付与できれば、その数や間隔は任意である。例えば、図5に示すように、1つのアイドルプーリ17とすることもできる。
また、アイドルプーリ17の数は、クラッシャ装置の大きさやベルト4の負荷張力値等に応じて、1つ、2つ等と任意であるが、少なくとも2つ以上の複数とすれば、各アイドルプーリ17の間隔を適宜に設定することによって、ベルト4の張り出し長さを少なくして適切な張力を付与することができる。さらに、ベルト4の屈曲度も小さくできるため、ベルト4の劣化を抑制できる。
複数のアイドルプーリ17の場合の相互の間隔は、同様に、クラッシャ装置の大きさやベルト等の負荷張力値等に応じて適宜に設定する。
この各アイドルプーリ17に対してスライドベース11をそれぞれ設ければ、各アイドルプーリ17の間隔を自由に設定でき、ベルト4等の負荷を軽減したり、軽量化を図り得たりすることが期待できる。一方、実施形態のように、一のスライドベース11に複数のアイドルプーリ17を設ければ、一のスライドベース11の移動によってそのベース11の複数のアイドルプーリ17が同時に動くため、ベルト4の張力負荷が安定する。
【0031】
なお、上記実施形態においては、一方(図3において下側)のアーム3にプーリ2b、5b、ベルト4の駆動力伝達機構を設けたが、図3鎖線で示すように、他方(同上側)のアーム3に駆動力伝達機構を設けたり、両方(図3において上下両方側)に駆動力伝達機構を設けたりすることができる。これらの場合、同様に、駆動力伝達機構に緊張装置10を設けることは勿論である。また、両駆動力伝達機構の駆動力を2つの駆動機でそれぞれ行う場合は両駆動機を同期させることは勿論である。
また、ベルト4によって、駆動機からの動力を回転ロール1、2に伝達したが、ベルト4に代えてチェーンを採用し得ることは勿論である。このとき、プーリ2b、5bはスプロケットとすることは言うまでもない。さらに、第一の回転ロール1へのベルト等の伝達手段にも、アイドルプーリ17を有するスライドベース11等からなる緊張装置10をフレームFに設けて付設することができる。
緊張装置10は、ねじ軸16等に代えてばね等の弾性体や油圧シリンダによってスライドベース11をベルト4等に対して押し付けるようにすることもできる。このとき、ばねや油圧シリンダの押圧力はベルト4等が所要の張力を得るように適宜に設定する。
【0032】
上記軸受14、15の接離・固定は、上記の構成に限らず、他の種々の手段を採用することができる。例えば、前記軸受14、15の一方をねじ軸受とし、他方の軸受にねじ軸16の一端を軸心回りに回転自在に支持する等であり、図6に示す実施形態では、スライドベース11の軸受14がナット14a、14aでもってねじ軸16の一端を軸心回りに回転自在に支持され、アーム3の軸受15がねじ軸受となってねじ軸16の他端がねじ結合して貫通している。このため、ねじ軸16の他端の角柱部16aをスパナ等によって回転することによってねじ軸16が回転する。ねじ軸16はその回転により軸受15に対して進退し、その進退に伴ってスライドベース11がアーム3の幅方向に移動する(図6の実線及び鎖線参照)。
【0033】
緊張装置10は、図1において、アーム3の右方にそのスライドベース11が突出するようにする構造とすることができる。また、アーム3上のスペース及び構造的に許容されれば、ベルト4等の外側(アーム3の左右外側)から張力を付与するようにすることもできる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0034】
A クラッシャ装置
F フレーム
a 被処理物
1 第一の回転ロール
2 第二の回転ロール
1a、2a 回転軸
3 アーム
4 ベルト(チェーン)
5a 揺動軸(駆動軸)
10 緊張装置
11 スライドベース
12 ガイド軸
13 長孔
14、15 軸受
14a、15a 締結ナット
16 ねじ軸
17 アイドルプーリ
20 リンク機構
21、22 リンクバー
23a、23b、23c リンクバー連結ピン
30 ウェイト装置
【要約】      (修正有)
【課題】揺動アームに設けた回転ロールの駆動用ベルトの経時的な弛みを調整する。
【解決手段】固定のフレームFに揺動自在のアーム3と、そのフレームに設けた第一の回転ロール1と、アームに設けられてそのアームの揺動に伴って第一の回転ロール1に対して接近又は離反する第二の回転ロール2と、アームに設けた駆動軸5aと第二の回転ロール2の回転軸2aとを連結するベルト4と、前記アームに設けたベルト等の緊張装置10と、を備えるクラッシャ装置Aである。その緊張装置は、アームにガイド軸12、長孔13を介して移動可能なスライドベースと、そのスライドベースに設けたアイドルプーリ17とを備える。この緊張装置によって経時的なベルト4の弛みを防止できる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6