(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って第二の速度で掃引することが、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って第一の速度より遅い第二の速度で掃引することを含む、請求項2の方法。
加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って第一の速度で掃引することが、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って、毎秒15インチから毎秒20インチの間の速度で掃引することを含む、請求項2または3の方法。
加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って第二の速度で掃引することが、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って、毎秒5インチから毎秒15インチの間の速度で掃引することを含む、請求項2から4の何れか1の方法。
融着剤ディストリビュータが、プリントヘッドのノズルの第一のアレイを含み、およびディテール化剤ディストリビュータが、プリントヘッドのノズルの第二のアレイを含む、請求項9または10のシステム。
前記命令がさらに3D印刷装置に、焼結性材料の製造ベッド内への伸展、焼結性材料の加熱、着色融着剤の堆積、第一の期間にわたる焼結性材料の放射線への曝露、および第二の期間にわたる焼結性材料の放射線への曝露を繰り返させ、3Dオブジェクトの後続のオブジェクト層を形成する、請求項13または14の媒体。
【発明を実施するための形態】
【0008】
3次元(3D)印刷の幾つかの例では、3Dオブジェクトは光領域処理技術を用いて形成される。光領域処理に際しては、焼結性材料のような構築材料の層全体が、放射線に曝露される。焼結性構築材料の選択領域は融着され(すなわち融合され)、続いて固化または硬化されて、3Dオブジェクトの層になる。幾つかの例では、融合剤または融着剤が、焼結性材料の選択領域と接触して選択的に堆積される。融着剤は、焼結性材料の層の中に浸透し、また焼結性材料の外側表面上で拡散することが可能である。融着剤は放射線を吸収し、吸収した放射線を熱エネルギーに変換することが可能であり、熱エネルギーは次いで、融着剤と接触している焼結性材料を溶融または焼結する。これは焼結性材料の融着、結合、硬化等を生じさせ、3Dオブジェクトの層が形成される。このプロセスを焼結性材料の多数の層について繰り返すことにより、それらの層は合体され、3Dオブジェクトが形成される結果になる。
【0009】
焼結性材料に対して大量の熱エネルギーが与えられ、層が合体して焼結および融着された場合には、改善された機械的強度および機能性を有する高密度の3D部材を製造することができる。しかしながら、焼結に利用可能な熱エネルギーの量は、融着剤が放射線を吸収する強度に部分的に依存しており、また融着剤の放射線吸収性は部分的に、融着剤の色に依存している。例えば、シアン、マゼンタ、またはイエロー(C、M、またはY)のカラー染料を備えた近赤外染料系融着剤の吸収強度は、一般に、カーボンブラック系融着剤のそれよりも低い。従って、3D印刷されたカラー部材について、焼結性材料の融着レベルは、3D印刷されたブラック部材の場合よりも低く、このことは、カラー部材が相当するブラック部材よりも、低い密度および小さい機械的強度ならびに機能性を有するという結果を招来しうる。幾つかの例では、近赤外とカラー染料で製造されたカラー機能性部材の機械的強度は、類似のブラック機能性部材よりも60%から80%小さい。
【0010】
本書に開示される3次元(3D)印刷の例は、3Dブラック部材に匹敵する、高い密度および改善された機械的強度を有する3Dカラー機能性部材の製造を可能にする。一般には、着色融着剤が選択的に堆積されたカラーイメージ領域(すなわち、3Dオブジェクトのカラー断面)を含む、焼結性材料(例えば粉末)の3Dオブジェクト層に対して、予備融着動作が適用される。予備融着動作は、放射線に対する3Dオブジェクト層の短縮された曝露を含む。カラーイメージ領域内での放射線のより大きな吸収は、追加の熱を生成し、これがカラーイメージ領域内で焼結性材料の温度を上昇させる。次いでこの予備融着動作には融着動作が続き、3Dオブジェクト層に対するより長い放射線曝露がもたらされ、焼結性材料はカラーイメージ領域内で融着され、結果として改善された相間接着が行われる。
【0011】
一例では、3次元(3D)印刷の方法が、焼結性材料を適用し、焼結性材料の部分に融着剤を選択的に適用し、第一の量の放射エネルギーを焼結性材料の当該部分に適用し、そして第一の量の放射エネルギーと異なる第二の量の放射エネルギーを焼結性材料の当該部分に適用することを含む。
【0012】
別の例では、3D印刷のシステムが、焼結性材料のための支持体を含んでいる。このシステムは、支持体上に焼結性材料の層をもたらすための焼結性材料ディストリビュータ(分配器)と、焼結性材料の層の部分上に融着剤を選択的に供給するための融着剤ディストリビュータとを含む。このシステムは、放射線源および予備融着/融着モジュールを含み、放射線源を制御して、第一の予備融着動作の間に焼結性材料の層に対して第一の量の放射エネルギーを適用し、融着段階の間に焼結性材料の層に対して第二の量の放射エネルギーを適用する。
【0013】
別の例では、非一時的機械可読式記憶媒体が命令を記憶しており、3D印刷装置のプロセッサによって実行されると、3D印刷装置に、焼結性材料を製造ベッド(床)上に堆積させて3Dオブジェクト層を形成させ、焼結性材料を約50℃から約400℃の範囲の温度に加熱させ、融着剤を焼結性材料の部分上に3Dオブジェクト層の断面のイメージパターンに従って堆積させ、予備融着段階において焼結性材料を放射線に第一の期間にわたり曝露させ、そして融着段階において焼結性材料を放射線に対して第二の期間にわたり曝露させ、ここで第二の期間は第一の期間よりも長い。
【0014】
図1は、ブラック部材に匹敵する改善された機械的強度および密度を有するカラー機能性部材を含む、3Dオブジェクトを製造するための3D印刷システム100の一例を示す。
図1の3D印刷システムは支持部材102を含み、これは製造ベッドとして作用して、3Dオブジェクトを形成するための焼結性材料(
図1には示されていない)を受け取り保持する。一例では、支持部材102は約10cm×10cmから約100cm×100cmまでの範囲にわたる寸法を有するが、形成される3Dオブジェクトに応じて、支持部材102はより大きな、またはより小さな寸法を有してよい。
【0015】
焼結性材料ディストリビュータ104は、焼結性材料の層を支持部材102上に供給する。適切な焼結性材料ディストリビュータの例には、ワイパーブレード、ローラー、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの例では、焼結性材料ディストリビュータ104は供給ベッドと製造ピストンを含んでよく、以下でさらに説明するようにして、焼結性材料を支持部材102へと押し出す。焼結性材料は、焼結性材料ディストリビュータ104へと、ホッパーその他の適切な配給システムから供給可能である。
図1に示された例示的なシステム100においては、焼結性材料ディストリビュータ104は支持部材102の長さ方向(Y軸)に移動して、焼結性材料の層を堆積させる。
【0016】
以下で記述するように、第一の焼結性材料の層が支持部材102上に堆積され、続いて先に堆積された(そして固化された)層の上に、後続の焼結性材料の層が堆積される。そこで、焼結性材料の新たな層が堆積される場合に、直前に形成された層の表面と、融着剤ディストリビュータ106aおよびディテール化剤(仕上剤)ディストリビュータ106bとして例示された添加剤ディストリビュータ106の下側表面との間に、所定のギャップが維持されるように、支持部材102はZ軸に沿って移動可能であってよい。他の例では、支持部材102はZ軸に沿って固定されてよく、こうした所定のギャップを維持するため、添加剤ディストリビュータ106がZ軸に沿って移動可能とされてよい。
【0017】
添加剤ディストリビュータ106は融着剤および/またはディテール化剤を、融着剤ディストリビュータ106aおよびディテール化剤ディストリビュータ106bのそれぞれを介して、支持部材102上にもたらされた焼結性材料の層の部分上へと選択的な仕方で供給する。例えば、融着剤ディストリビュータ106aは融着剤を焼結性材料の層の選択部分へと供給してよく、他方ディテール化剤ディストリビュータ106bはディテール化剤を、支持部材102上にもたらされた焼結性材料の層の同じ部分および/または他の部分へと供給してよい。添加剤ディストリビュータ106aおよび106bはそれぞれ、供給量の融着剤およびディテール化剤を含んでいてもよく、或いはそれぞれ、融着剤およびディテール化剤の別個の供給元に対して作動可能に接続されていてもよい。
【0018】
他の種類の添加剤ディストリビュータも使用可能でありまた本書で考慮されたものであるが、
図1の3D印刷システム100の例で示されている添加剤ディストリビュータ106(すなわち106a、106b)は、一つまたは多数の、サーマルインクジェットプリントヘッドまたは圧電(ピエゾ)インクジェットプリントヘッドのようなプリントヘッドを含んでいる。プリントヘッド106aおよび106bは、ドロップオンデマンド式のプリントヘッドまたは連続液滴式プリントヘッドであってよい。プリントヘッド106aおよび106bは、融着剤およびディテール化剤のそれぞれを、それらの添加剤が適切な液体形態である場合に、選択的に供給するように使用してよい。印刷システム100の他の例では、単一のプリントヘッド106を用いて、融着剤およびディテール化剤の両者を選択的に供給してよい。そのような例では、単一のプリントヘッド106にあるプリントヘッドノズルの第一の組が融着剤を供給可能であり、そして単一のプリントヘッド106にあるプリントヘッドノズルの第二の組がディテール化剤を供給可能である。以下に記載するように、融着剤およびディテール化剤の各々は水のような水性ビヒクル、共溶媒(単数または複数)、界面活性剤(単数または複数)等を含み、プリントヘッド106aおよび106bを介しての供給を可能にしている。
【0019】
各々のプリントヘッド106はノズルのアレイを含むことができ、これを介して液滴を選択的に吐出することができる。一例では、各々の液滴は一滴当たり約10ピコリットル(pl)程度であってよいが、より大きなまたはより小さなサイズの液滴を使用してよいことが考慮されている。幾つかの例では、プリントヘッド106aおよび106bは、可変のサイズの液滴を供給可能である。一例では、プリントヘッド106aおよび106bは融着剤およびディテール化剤の液滴を、インチ当たり約300ドット(DPI)から約1200DPIの範囲の解像度で供給可能である。他の例では、プリントヘッド106aおよび106bは融着剤およびディテール化剤の液滴を、より高いまたはより低い解像度で供給機能である。液滴速度は約5m/sから約24m/sの範囲にあってよく、噴射周波数は約1kHzから約100kHzの範囲にあってよい。
【0020】
プリントヘッド106aおよび106bは印刷システム100と一体の部分であってよく、またはユーザーが交換可能なものであってもよい。プリントヘッド106aおよび106bをユーザー交換可能なものとする場合は、それらを適切なディストリビュータ受けまたはインタフェースモジュール(図示せず)中に着脱可能なものとしてよい。
【0021】
図1に示されているように、添加剤ディストリビュータ106aおよび106bの各々は、ページ幅アレイ構成でもって、支持部材102の幅全体にわたることが可能な長さを有する。一例では、ページ幅アレイ構成は、多数のプリントヘッドの適切な配置を通じて達成される。別の例では、ページ幅アレイ構成は、支持部材102の幅にわたることが可能な長さを有するノズルのアレイを備えた、単一のプリントヘッドを通じて達成される。印刷システム100のさらに別の例では、添加剤ディストリビュータ106aおよび106bは、支持部材102の幅全体にわたることが可能でない、より短い長さを有してよい。
【0022】
幾つかの例では、添加剤ディストリビュータ106aおよび106bは可動キャリッジ上に設けられて、支持部材102の長さ方向に図示のY軸に沿って、双方向に移動することが可能である。これは融着剤およびディテール化剤を支持部材102の全長および全幅にわたり、単一のパスで選択的に供給することを可能にする。他の例では、支持部材102が、固定された位置にとどまる添加剤ディストリビュータ106aおよび106bに対して相対的に移動することが可能である。
【0023】
本書で使用するところでは、「幅」という用語は一般に、
図1に示されたX軸およびY軸に平行な平面における、最も短い寸法を示し、「長さ」という用語は、その平面における最も長い寸法を示す。しかしながら、他の例において、「幅」という用語は「長さ」という用語と交換可能であってよい。一例として、添加剤ディストリビュータ106は、支持部材102の全長におよぶことが可能な長さを有してよく、他方可動キャリッジは、支持部材102の幅にわたって双方向に移動可能であってよい。
【0024】
添加剤ディストリビュータ106aおよび106bが、支持部材102の幅全体にわたることが可能でない、短い長さを有する例では、ディストリビュータ106aおよび106bはまた、図示のX軸において、支持部材102の幅に対して双方向に移動可能であってよい。この構成は、融着剤およびディテール化剤を多数回パスを用いて、支持部材102の全幅および全長にわたって選択的に供給することを可能にする。
【0025】
図1に示されているように、3D印刷システム100は放射線源108を含み、放射線Rを放出する。放射線源108は種々の手法で実施可能であり、例えば、赤外、近赤外、UV、または可視光硬化ランプ、赤外、近赤外、UV、または可視光発光ダイオード(LED)、または特定波長のレーザーが含まれる。使用される放射線源108は、少なくとも部分的に、使用される融着剤の種類に依存する。放射線源108は例えば、プリントヘッド(単数または複数)106をも保持するキャリッジ(図示せず)に取り付けてよい。キャリッジは放射線源108を、支持部材102に隣接する位置へと運んでよい。異なる例では、放射線源108はエネルギーを、堆積された焼結性材料の層、融着剤、およびディテール化剤に対して適用するものであり、焼結性材料の部分の固化を生じさせる。一例では、放射線源108は、支持部材102上に堆積された材料に対してエネルギーを一様に適用可能な単一のエネルギー源である。別の例では、放射線源108はエネルギー源のアレイを含み、堆積された材料に対してエネルギーを一様に適用する。
【0026】
幾つかの例では、放射線源108は、支持部材102上に堆積された焼結性材料の層の全表面に対して、エネルギーを実質的に一様な仕方で適用可能である。この種の放射線源108は、非合焦エネルギー源として参照してよい。焼結性材料の層の全体をエネルギーに同時に曝露することは、3次元オブジェクトが生成される速度を増大させるのを助けうる。
【0027】
図1に示されているように、3D印刷システム100はコントローラ110を含む。
図1に示された例示的なコントローラ110は、印刷システム100を制御して、本書に記載の予備融着動作および融着動作を実施して、3Dブラック部材に匹敵する高い密度と改善された機械的強度とを有する3Dカラー機能性部材の製造を可能にするのに適している。コントローラ110は一般に、プロセッサ(CPU)112およびメモリ114を含み、また付加的に、3D印刷システム100の種々の部品と通信し制御するためのファームウェアおよび他の電子回路を含んでよい。
【0028】
メモリ114は、揮発性メモリ部品(すなわちRAM)および不揮発性メモリ部品(例えばROM、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、磁気テープ、フラッシュメモリ等)の両方を含むことができる。メモリ114の部品は、3D印刷システム100のプロセッサ112によって実行可能な、機械可読式コード化プログラム命令、データ構造、プログラム命令モジュール、JDF(ジョブ定義フォーマット)、およびその他のデータおよび/または命令の格納を行う、非一時的、機械可読式(例えばコンピュータ/プロセッサ可読式)媒体を含む。メモリ114に格納される命令の例には、モジュール116および118に関連する命令が含まれ、他方、格納されるデータの例には、分配(供給)制御データ120が含まれる。モジュール116および118は、プロセッサ112によって実行可能なプログラム命令であって、3D印刷システム100に以下で
図3および
図4のそれぞれについて記載する、方法300および400の動作のような、種々の一般的および/または特定的な機能を行わせるプログラム命令を含むことができる。
【0029】
メモリ114に格納されたプログラム命令、データ構造、モジュール等は、本書で記載する例のような種々の例を実施するため、プロセッサ112によって実行可能なインストールパッケージの一部であってよい。かくして、メモリ114はCD、DVD、またはフラッシュドライブのような可搬式媒体であってよく、あるいはサーバによって保持されていて、インストールパッケージをダウンロードしてインストール可能なメモリであってよい。別の例では、メモリ114に格納されたプログラム命令、データ構造、モジュール等は、アプリケーションまたは既にインストールされたアプリケーションの一部であってよく、その場合はメモリ114はハードドライブのような一体的なメモリを含んでよい。
【0030】
上記したように、コントローラ110は3D印刷システム100を制御して、3Dブラック部材に匹敵する高い密度および改善された機械的強度を有する3Dカラー機能性部材の製造を可能にする、予備融着動作および融着動作を実施する。幾つかの例では、コントローラ110はメモリ114からの供給制御データ120およびプログラム命令(例えばモジュール116、118にある命令)を使用して、印刷システム100内での焼結性材料、融着剤およびディテール化剤、および放射線の照射を管理し、3D部材の製造を促進する。より具体的には、コントローラ110はコンピュータのようなホストシステムから供給制御データ120を受け取り、データ120をメモリ114に格納する。データ120は例えば、印刷すべき3Dオブジェクトを定義するオブジェクトファイル、焼結性材料の層に対する融着剤およびディテール化剤の選択的な供給を制御するための関連する添加剤供給データ、および適用される放射エネルギーの量および放射線源108によって焼結性材料の層に対して放射線が照射される態様を制御する、関連する放射線源制御データを表す。かくしてデータ120は、印刷システム100のための一つまたはより多くの3D印刷ジョブを形成し、印刷ジョブの各々は、印刷ジョブコマンドおよび/またはコマンドパラメータを含んでいる。データ120からの印刷ジョブを使用して、コントローラ110にあるプロセッサ112は命令を実行し(例えばモジュール116、118からの)、印刷システム100の部品(例えば、支持部材102、焼結性材料ディストリビュータ104、添加剤ディストリビュータ106、放射線源108)を制御し、以下でより詳細に説明する3D印刷プロセスを通じて、3Dオブジェクトを一度に一層ずつ形成する。
【0031】
イメージングモジュール116は、供給制御データ120に従って、支持部材102上への焼結性材料の層の適用を制御するために実行可能なプログラム命令を含んでいる。イメージングモジュール116からの命令はさらに、供給制御データ120に従って、3Dオブジェクトの断面を規定する焼結性材料層の選択部分上への、融着剤の適用を制御するために実行可能である。例えば、イメージングモジュール116からの命令を実行すると、コントローラ110はプリントヘッド106aに、供給制御データ120に従って焼結性材料の層の選択された部分上へと、液体形態の融着剤を噴射させることができる。幾つかの例では、イメージングモジュール116からの命令はさらに、焼結性材料の層上へのディテール化剤の適用を制御するために実行される。例えば、イメージングモジュール116からの命令を実行すると、コントローラ110はプリントヘッド106bに、供給制御データ120に従って焼結性材料の層の上の選択された他の部分および/または同じ部分上へと、液体形態のディテール化剤を噴射(即ち吐出)させることができる。
【0032】
予備融着/融着モジュール118は、融着剤(および場合によってはディテール化剤)が焼結性材料上へと噴射された後に、各々の焼結性材料の層に対する放射線源108からのエネルギーの適用を制御するために実行可能なプログラム命令を含んでいる。第一の予備融着動作では、第一の量の放射エネルギーが焼結性材料の層に適用される。幾つかの例では、放射エネルギーは焼結性材料の層の全域にわたる放射線源108の高速掃引で適用され、層の「イメージングされたばかりの」領域(すなわち、融着剤を受容したばかりの領域)の温度を、周囲の焼結性材料の温度まで、またはそれより僅かに高く上昇させる。第二の融着動作では、第二の量の放射エネルギーが焼結性材料の層に適用される。幾つかの例では、これは焼結性材料の層の全域にわたる放射線源108の低速掃引で放射エネルギーを適用することを含み、イメージングされたばかりの領域の温度をずっと高く、層のイメージングされたばかりの領域を完全に融着させる温度へと上昇させる。
【0033】
3D印刷システム100の他の例では、モジュール116および118の機能性は、3D印刷システム100のエンジンのそれぞれとして実施されてよく(例えばイメージングエンジンおよび予備融着/融着エンジン)、各々のエンジンは以下に記載するように、そのエンジンの機能性を実施するためのハードウェアおよびプログラムの任意の組み合わせを含む。かくして、
図2に示されているように、3D印刷システム100のコントローラ110’は、イメージングエンジン116’および予備融着/融着エンジン118’を含むことができる。エンジン116’および118’は例えば、以下で
図3および
図4に関してそれぞれ記載される方法300および400における動作のような、指定された機能を実行するためのハードウェアおよびプログラムの種々の組み合わせを含むことができる。エンジン116’および118’の各々のためのハードウェアは、例えば、個別の電子部品、ASIC(特定用途向け集積回路)、プロセッサ、およびメモリを含むことができ、他方プログラム命令はエンジンのメモリおよび/またはメモリ114に格納され、指摘された機能を行うべくプロセッサにより実行されてよい。
【0034】
図3、
図4、および
図5はそれぞれ、3D印刷システム100のような3D印刷システムにおける3Dカラー機能性部材の製造に関する例示的な方法300、400および500を示す流れ図である。方法300〜500は、
図1〜2、および
図6a〜
図6f(後述)に関して本書で記述される例に関連しており、これらの方法において示された動作の詳細は、それらの例に関連する記述中に見出すことができる。方法300〜500の動作は、
図1に示されたメモリ114のような、非一時的な機械可読式(例えばコンピュータ/プロセッサ可読式)の媒体に格納されたプログラム命令として具体化してよい。幾つかの例では、方法300〜500の動作の実施は、メモリ114に格納されたモジュール116および118からの命令のようなプログラム命令を読み出して実行する、
図1に示されたプロセッサ112のようなプロセッサによって達成可能である。幾つかの例では、方法300〜500の動作の実施は、ASIC(特定用途向け集積回路)および/または他のハードウェア部品ようなハードウェアを単独で、またはプロセッサによって実行可能なプログラム命令と組み合わせて含む、3D印刷システムのエンジンを使用して達成可能である。
【0035】
幾つかの例では、方法300〜500は一つより多い実施形態を含んでよく、方法300〜500の異なる実施形態は、
図3〜
図5の流れ図のそれぞれに表された全ての動作を用いなくともよい。従って、方法300〜500の動作は流れ図中において特定の順序で提示されているが、それらの提示順序は、動作が実際に実施されてよい順序について、あるいは、動作の全てが実施されてよいかどうかについて、限定することを意図したものではない。例えば、方法400の一つの実施形態は、多数の初期動作を行い、後続の動作の一つまたはより多くを行わないことによって達成されてもよく、他方、方法400の別の実施形態は、動作の全てを行うことによって達成されてもよい。
【0036】
さて
図3の流れ図を参照すると、3次元(3D)印刷の例示的な方法300はブロック302で開始され、焼結性材料のような構築材料が適用される。焼結性構築材料の適用は、焼結性材料の層を3D印刷システムの支持部材または製造ベッド上へと、例えば、堆積し、蓄積し、配設し、構築し、またはその他により置くことを含みうる。焼結性材料の適用の一例には、
図6a〜
図6fを参照して後述するように、供給床のような焼結性材料ディストリビュータを使用して、焼結性材料を支持部材上へと押し出すことが含まれる。
【0037】
ブロック304に示されているように、方法300は続いて、焼結性材料の層の部分に対して、融着剤を選択的に適用することができる。焼結性材料の部分に対して融着剤を選択的に適用することは、インクジェットプリントヘッドのような融着剤ディストリビュータから焼結性材料上へと、供給制御データに従い、3Dオブジェクトの断面を規定するパターンでもって、融着剤を供給することを含み得る。幾つかの例では、融着剤は、3Dオブジェクトのカラーイメージ領域断面を規定するカラー融着剤である。
【0038】
ブロック306に示されているように、方法300は続いて、第一の量の放射エネルギーを焼結性材料の当該部分に適用することができる。第一の量の放射エネルギーを焼結性材料の当該部分に適用することは、カラーイメージ領域内で焼結性材料に熱を生じさせて温度を上昇させる、予備融着動作を含む。このような予備融着動作にには次いで、融着動作が続くことができ、これはブロック308で示すように、第一の量の放射エネルギーと異なる第二の量の放射エネルギーを、焼結性材料の当該部分に適用することを含む。融着動作は第一の量の放射エネルギーよりも大きな第二の量の放射エネルギーをもたらして、カラーイメージ領域内で焼結性材料を融着させることができる。
【0039】
今度は
図4の流れ図を参照して、3D印刷の例示的な方法400について記述すると、そこでは方法300の動作の幾つかに対して付加的な、または代替的な動作が含まれている。方法400はブロック402で開始され、焼結性材料が適用される。上述したように、焼結性材料の適用には、焼結性材料ディストリビュータを使用して焼結性材料を支持部材上へと押し出すような、3D印刷システムの支持部材または製造ベッド上へと焼結性材料の層を堆積する各種の手法が含まれうる。方法400は続いて、ブロック404において、焼結性材料の層の部分に対して融着剤を選択的に適用することができるが、これは例えば、インクジェットプリントヘッドのような融着剤ディストリビュータから焼結性材料上へと、供給制御データに従い、3Dオブジェクトの断面を規定するパターンでもって、融着剤を供給することを含み得る。幾つかの例では、融着剤は、3Dオブジェクトのカラーイメージ領域断面を規定するカラー融着剤である。
【0040】
ブロック406に示されているように、方法400は続いて、予備融着動作において、第一の量の放射エネルギーを焼結性材料の当該部分に適用することができ、カラーイメージ領域内で焼結性材料に熱を生じさせ、温度を上昇させる。幾つかの例では、第一の量の放射エネルギーを適用することは、焼結性材料の当該部分を横切って加熱ランプを第一の速度で掃引することを含む。方法400では、焼結性材料の当該部分を横切って加熱ランプを第一の速度で掃引することは、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って、例えば、毎秒15インチから毎秒20インチの間の速度で掃引することを含んでよい。
【0041】
次いで方法400は続いて、ブロック408に示されたような融着動作において、第一の量の放射エネルギーと異なる第二の量の放射エネルギーを焼結性材料の当該部分に適用することができる。幾つかの例では、第二の量の放射エネルギーを適用することは、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って、第一の速度とは異なる第二の速度で掃引することを含む。方法400において、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って第二の速度で掃引することは、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って、第一の速度よりも遅い速度で掃引することを含んでよい。幾つかの例では、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って第二の速度で掃引することは、加熱ランプを焼結性材料の当該部分を横切って、毎秒5インチから毎秒15インチの間の速度で掃引することを含む。
【0042】
ブロック410において示されているように、方法400は、焼結性材料の同じ部分、別の部分、または同じ部分と他の部分の両方に対して、ディテール化剤を選択的に適用することを含み得る。幾つかの例では、ディテール化剤を選択的に適用することは、無機塩、界面活性剤、共溶媒、湿潤剤、殺生物剤、および水を含むディテール化剤を適用することを含む。
【0043】
方法400のブロック412で示されているように、幾つかの例では、ブロック404に示すように融着剤を適用する前に、焼結性材料を可能することができる。幾つかの例では、焼結性材料を加熱することは、焼結性材料を約50℃から約400℃の範囲の温度に加熱することを含むことができる。
【0044】
さて
図5の流れ図を参照すると、3D印刷に関する例示的な方法500はブロック502で開始され、焼結性材料が製造ベッド上へと堆積されて、3Dオブジェクト層が形成される。ブロック504において、この方法は続いて、焼結性材料を約50℃から約400℃の範囲の温度に加熱する。融着剤が次いで、ブロック506に示されるように、焼結性材料の部分上へと、3Dオブジェクト層の断面のイメージパターンに従って堆積される。融着剤を堆積することは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびこれらの組み合わせを含む色の群から選択された色を有する、着色融着剤を堆積することを含み得る。
【0045】
方法500は続いてブロック508において、予備融着段階で焼結性材料を放射線に対し、第一の期間にわたり曝露する。ブロック510において、焼結性材料は次いで融着段階において、第二の期間にわたり放射線に曝露される。この第二の期間は、第一の期間より長い。ブロック512に示されるように、次いでディテール化剤が、焼結性材料の当該部分、別の部分、または当該部分と別の部分の両方に対して堆積される。次いで、ブロック514に示されるように、方法500は続いて、焼結性材料を製造ベッドへと展開し、焼結性材料を加熱し、融着剤を堆積し、焼結性材料を第一の期間にわたり放射線に曝露し、そして焼結性材料を第二の期間にわたり放射線に曝露する動作を繰り返し、3Dオブジェクトの後続のオブジェクト層を形成する。
【0046】
次に
図6(
図6a〜
図6f)を参照すると、3D印刷システム100’の別の例が描かれている。このシステム100’は、供給床122、供給ピストン126、ローラー128、製造ベッド130(接触表面132を有する)、および製造ピストン134を含んでいる。供給/分配床122は、焼結性材料124のような構築材料の供給量を含んでいる。システム100’の物理的要素の各々は、
図1に示された印刷システム100のコントローラ110のようなコントローラ(図示せず)に対して、作動可能に接続されてよい。非一時的な、有形のコンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラム命令を実行するプロセッサが、プリンタのレジスタやメモリ内の物理(電子)量として表されたデータを操作し変換して、物理的要素を制御し、3Dオブジェクトを生成する。焼結性材料124、融着融合剤等の選択的な供給のためのデータは、形成すべき3Dオブジェクトのモデルから導いてよい。
【0047】
供給ピストン126および製造ピストン134は、同じ種類のピストンであってよいが、逆の方向に移動するように制御可能である(例えば
図1のコントローラ110によって)。一例では、3Dオブジェクトの第一の層を形成する場合、供給ピストン126は焼結性材料124の所定量を供給床122にある開口から押し出すように制御されてよく、そして製造ピストン134は製造ベッド130の深さを増大させるべく、供給ピストン126と反対方向に移動するように制御されてよい。ローラー128が焼結性材料124を製造ベッド130内部へ、そして接触表面132上へと押し出した場合に、製造ベッド130の深さが十分にあって焼結性材料124の層136がベッド130に形成されうるように、供給ピストン126は十分に前進される。ローラー128は、焼結性材料124を製造ベッド130内へと広げることができ、厚みが比較的一様な層136を形成する。一例では、層136の厚みは約90μmから約110μmの範囲にあるが、より薄い、またはより厚い層を使用してもよい。焼結性材料124を広げるために、種類の異なる粉末を広げる場合に望ましいであろうブレードや、またはローラーとブレードの組み合わせといった、ローラー128以外の道具を使用してよい。
【0048】
焼結性材料124の層136が製造ベッド130に堆積された後、
図6bに示すように、層136は熱に曝露することができる。加熱は、焼結性材料124の融点未満の温度へと、焼結性材料124を予備加熱するように行うことができる。よって、選択される温度は、使用される焼結性材料124に依存することになる。例として、加熱温度は焼結性材料の融点の約5℃から約50℃下であってよい。一例では、加熱温度は約50℃から約400℃の範囲にわたる。別の例では、加熱温度は約150℃から約170℃の範囲にわたる。焼結性材料124の層136の予備加熱は、製造ベッド130にある焼結性材料124の全部を熱に曝露する、任意の適切な熱源を用いて達成してよい。熱源の例には、サーマル熱源または光放射源が含まれる。
【0049】
層136を予備加熱した後、
図6cに示すように、層136にある焼結性材料124の部分に対して、融着剤138が選択的に適用される。
図6cに示されているように、融着剤138は、インクジェットプリントヘッド106aから供給されてよい。
図6cには単一のプリントヘッドが示されているが、理解されるように、製造ベッド130の幅全部にわたる、多数のプリントヘッドを使用してよい。プリントヘッド106aは、融着剤138を所望の領域(単数または複数)に付着させるためにプリントヘッド106aを製造ベッド130に隣接して移動させる、可動式のXYステージまたは平行移動キャリッジ(そのいずれも示されていない)に取り付けてよい。
【0050】
プリントヘッド106aは、形成する3Dオブジェクトの層についての断面のパターンに従って融着剤138を堆積するために、コントローラ110 によって制御されてよい。本書で使用するところでは、形成するオブジェクトの層についての断面とは、接触表面132に平行な断面を参照するものである。プリントヘッド106aは、融着されて3Dオブジェクトの最初の層になる層136の部分(単数または複数)に対して、融着剤138を選択的に適用する。一例として、最初の層が立方体または円筒のような形状とされる場合には、融着剤138はそれぞれ、焼結性材料124の層136の少なくとも一部に対して、正方形のパターンまたは円形のパターン(上から見て)で堆積される。
図6cに示された例では、融着剤138は層136の部分140に対して正方形のパターンで堆積されているが、部分142には堆積されていない。
【0051】
適切な融着剤138の例は水性分散物であり、放射線吸収性の結合剤(すなわち活性材料)を含んでいる。この活性剤は赤外光吸収剤、近赤外光吸収剤、または可視光吸収剤であってよい。一例として、融着剤138はインク型の配合物であってよく、活性剤としてカーボンブラックを含む。このインク型の配合物の例は、Hewlett−PackardCompanyから入手可能なCM997Aとして商業的に既知である。活性剤として可視光エンハンサを含むインクの例は、染料系の着色インクおよび顔料系の着色インクである。顔料系インクの例には、Hewlett−PackardCompanyから入手可能な市販のインクCM993AおよびCE042Aが含まれる。
【0052】
融着剤138が水性であるという性質は、融着剤138を少なくとも部分的に、焼結性材料124の層136の中へと浸透させることを可能にする。焼結性材料124は疎水性であってよく、そして融着剤138中における共溶媒および/または界面活性剤の存在は、所望とする濡れ挙動を獲得するのを補助しうる。幾つかの例では、単一の融着剤138を選択的に適用して3Dオブジェクトの層を形成してよく、これに対し他の例においては、多数の融着剤138を選択的に適用して3Dオブジェクトの層を形成してよい。
【0053】
融着剤138が所望の部分(単数または複数)140に選択的に適用された後、焼結性材料124の同じ部分(単数または複数)および/または異なる部分(単数または複数)に対して、ディテール化剤144を選択的に適用可能である。ディテール化剤144の選択的な適用の一例は、
図6dに概略的に示されており、そこでは参照番号142が、ディテール化剤144が選択的に適用された焼結性材料124の部分を表している。
【0054】
ディテール化剤144は、無機塩、界面活性剤、共溶媒、湿潤剤、殺生物剤、および水を含む。幾つかの例では、ディテール化剤144はこれらの成分を含み、他の成分を含まない。成分のこの特定の組み合わせは、部分的には無機塩の存在のゆえに、意図しない融合のはみ出しを効果的に低減させまたは防止することが見出されいてる。
【0055】
ディテール化剤144に使用される無機塩は比較的高い熱容量を有しているが、しかし熱放射性は比較的低い。こうした特性によってディテール化剤144は、照射された放射線(およびそれに伴う熱エネルギー)を吸収し、そして熱エネルギーの大部分を保持することが可能になる。それゆえディテール化剤144からは、あったとしても非常に僅かな熱エネルギーだけしか、ディテール化剤と接触する焼結性材料124へは伝達されない。加えて、無機塩はまた、焼結性材料124の熱伝導度および/または融点よりも、そして幾つかの場合には融着剤138中の活性材料よりも、低い熱伝導度および/または高い融点を有してよい。放射線および熱エネルギーの吸収に際して、無機塩は溶融せず、そしてまた周囲の焼結性材料124へと十分な量の熱を伝達しない。従ってディテール化剤144は、焼結性材料124が融着剤138およびディテール化剤144の両者と接触している場合は、焼結性材料124の硬化を効果的に低減させることができ、そして焼結性材料124がディテール化剤144のみと接触している場合は、焼結性材料124の硬化を防止することができる。
【0056】
無機塩は水溶性である。適切な水溶性無機塩の例には、ヨウ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、水酸化カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、リン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせが含まれる。無機塩は、ディテール化剤144の合計重量に関して、約5.0重量%から約50重量%の範囲の量で存在してよい。
【0057】
ディテール化剤144はまた、界面活性剤を含む。界面活性剤の種類と量は、焼結性材料124の接触線との接触角Θが45°未満となるように選択されてよい。接触角Θが45°未満であると、ディテール化剤144が焼結性材料124を十分に濡らすことが確実になる。ディテール化剤144の成分は一緒に混合されてよく、そのとき界面活性剤の量を調節して、所望の接触角を達成してよい。所望とする接触角Θを達成するのに適切な界面活性剤の量は、ディテール化剤144の合計重量に関して、約0.1重量%から約10重量%の範囲であってよいことが見出されている。適切な界面活性剤の例には、テトラエチレングリコール、Liponicエチレングリコール1(LEG−1)、アセチレンジオールの化学的性質に基づく自己乳化性のノニオン性湿潤剤(例えばAir Products and Chemicals, Inc.からのSURFYNOL
登録商標SEF)、ノニオン性フルオロ界面活性剤(例えば以前はZONYL FSOとして知られていた、DuPontからのCAPSTONE
登録商標フルオロ界面活性剤)、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0058】
上記したように、ディテール化剤144はまた共溶媒、湿潤剤、および殺生物剤を含む。共溶媒は約1.0重量%から約20重量%の範囲の量で存在し、湿潤剤は約0.1重量%から約15重量%の範囲の量で存在し、そして殺生物剤は約0.01重量%から約5重量%の範囲の量で存在し、それらの各々は、ディテール化剤144の合計重量に対してのものである。適切な共溶媒には、2−ヒドロキシエチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、1,6−ヘキサンジオール、およびこれらの組み合わせが含まれる。適切な湿潤剤の例には、ジ−(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン(例えば、Lonza, Inc.からのDANTOCOL
登録商標DHF)、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、グリセリルトリアセテート、ビニルアルコール、ネオアガロビオース、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ポリデキストロース、キラヤ、グリセリン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、およびこれらの組み合わせが含まれる。適切な殺生物剤の例には、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、Arch Chemicals, Inc.からのPROXEL
登録商標GXL)、四級アンモニウム化合物(例えば、BARDAC
登録商標2250および2280、BARQUAT
登録商標50−65B、およびCARBOQUAT
登録商標250−T、すべてLonzaLtd. Corp.から)、およびメチルイソチアゾロンの水溶液(例えば、The Dow Chemical Co.からのKORDEK
登録商標MLX)が含まれる。
【0059】
ディテール化剤144の残部は水である。よって、水の量は、含まれている無機塩、界面活性剤、共溶媒、湿潤剤、および殺生物剤の量に応じて変化してよい。
【0060】
ディテール化剤144は、融着剤138に類似した仕方で選択的に適用されてよい。一例では、ディテール化剤144は単一のパスを用いて、または多数のパスを用いて、融着剤138が供給されるのと同時に適用されてよい。別の例では、ディテール化剤144は融着剤138が供給された後に適用されてよい。
図6dに示されているように、ディテール化剤144は、インクジェットプリントヘッド106bから供給されてよい。
図6dには単一のプリントヘッドが示されているが、理解されるように、製造ベッド130の全幅にわたる多数のプリントヘッドを使用してよい。プリントヘッド106bは、ディテール化剤144を所望の領域(単数または複数)に付着させるためにプリントヘッド106bを製造ベッド130に隣接して移動させる、可動式のXYステージまたは平行移動キャリッジ(そのいずれも示されていない)に取り付けてよい。プリントヘッド106bは、部分(単数または複数)140および/または142といった所望の部分(単数または複数)にディテール化剤144を堆積するように制御されてよい。
【0061】
一例では、形成されつつある3Dオブジェクトの層の縁またはエッジ(単数または複数)を強化、精密化、平滑化等することが望ましいであろう。この例では、融着剤138は3Dオブジェクトの層のための断面(これは接触表面132に平行である)のパターンに従って選択的に適用されてよく、そしてディテール化剤144は、
図6d(システム100’の側部断面図)に示されているように、その断面のエッジ境界146の少なくとも一部に沿って、選択的に適用されてよい。図示の例では、形成される3Dオブジェクト層の形状は直方体の角柱であり、そして接触表面132に平行な断面のパターンは、エッジ境界146を有する正方形または長方形である。エッジ境界146の内側にある焼結性材料124は部分140であり、その上に融着剤138が選択的に適用される。エッジ境界146と、製造ベッド130の端との間に配置された焼結性材料124は、断面のパターンの外側にあり、かくしてディテール化剤144が選択的に適用される部分142である。
【0062】
一般に、ディテール化剤144は焼結性材料124の部分142の硬化(融着、焼結、その他)を防止することができ、これに対して融着剤138は、焼結性材料124の部分140の硬化(融着、焼結、その他)を増進させることができる。幾つかの例では、形成されつつある3Dオブジェクトの層の内部で、異なるレベルの硬化/融着/焼結を得ることが望ましいであろう。異なるレベルの硬化/融着/焼結は、3Dオブジェクトの内部応力分散、反り、機械的強度性能、および/または伸長性能を制御するのに望ましいであろう。そうした例では、融着剤138は、3Dオブジェクトの層のための断面(接触表面132に平行)のパターンに従って選択的に適用されてよく、そしてディテール化剤144は、その断面の少なくとも一部の中に選択的に適用されてよい。こうしてディテール化剤144は、融着剤138が適用された焼結性材料124の部分140の全部または一部に対して適用される。一例として、ディテール化剤144は、焼結性材料124の部分140の中央またはその付近に適用されてよく、焼結性材料124の部分140のエッジ境界146付近には適用されなくてよい。この型式の適用は、形成される層のエッジが層の内側よりも機械的強度を高くされる場合に望ましいであろう。この例では、ディテール化剤144は、焼結性材料124の部分140の中央において、硬化(融着、焼結、その他)のレベルを低減させることができる。部分140においてはディテール化剤144と共に融着剤138が存在するから、硬化は完全には妨げられない。また理解されるように、ディテール化剤144が融着剤138と同じ部分140中に適用される場合、ディテール化剤144は所望とする任意のパターンで適用されてよい。
【0063】
さらに別の例では、形成されつつある3Dオブジェクトの層の縁またはエッジ(単数または複数)を強化、精密化、平滑化等し、そして形成されつつある3Dオブジェクトの層の内部で、異なるレベルの硬化/融着/焼結を得ることが望ましいであろう。この例では、融着剤138は3Dオブジェクトの層のための断面(これは接触表面132に平行である)のパターンに従って選択的に適用されてよく、そしてディテール化剤144は、その断面のエッジ境界146の少なくとも一部に沿って/外側に(すなわち部分142において)選択的に適用されてよく、またその断面の少なくとも一部の中に(すなわち部分140において)選択的に適用されてよい。
【0064】
3Dオブジェクトの層がZ方向に組み上げられていくにつれて、硬化/融着/焼結の均一性または変動を、XY平面に沿っておよび/またはZ軸に沿って達成してよい。実質的に均一な硬化/融着/焼結は、融着剤138を各々の層のパターンの断面内に適用し、ディテール化剤144を各々の層のエッジ境界146の外側に、同じボクセル(立体ピクセル)密度で適用することによって達成してよい。一つの例では、層の断面内での硬化/融着/焼結の変動は、融着剤138を各々の層に同じボクセル密度で適用し、そしてまたディテール化剤144をそれぞれの層の各々の断面にわたって、異なるボクセル密度で適用することによって達成してよい。一例として、硬化/融着/焼結のレベルを層から層へとZ軸に沿って低減させることが望ましい場合には、それぞれの断面内に堆積されるディテール化剤144のボクセル密度は、最初の層で最も低く、次々に形成される層において増大するようにしてよい。
【0065】
融着剤138およびディテール化剤144が所望の部分140および/または142に選択的に適用された後、
図6eに示すように、焼結性材料124の層136の全体が、放射線源108から発せられる放射線Rに曝露される。幾つかの例では、
図1〜5に関して上記したように、焼結性材料の層124は融着剤138が適用された後に、しかしディテール化剤144を適用されることなしに、放射線Rに曝露することができる。さらにまた上記したように、焼結性材料層は予備融着動作において第一の期間にわたって放射線に曝露され、次いで再度、融着動作の間に第二の期間にわたって放射線に曝露されることができる。例えば予備融着動作においては、焼結性材料を横切って放射線源108(例えば加熱ランプ)を第一の速度で掃引可能であり(例えば高速曝露のため)、続いて融着動作が行われ、そこでは放射線源108が焼結性材料を横切って第二の速度で掃引される(例えば低速曝露のため)。
【0066】
放射線源108は、赤外、近赤外、UV、または可視光硬化ランプ、赤外、近赤外、UV、または可視光発光ダイオード(LED)、または特定波長のレーザーのように、放射線Rを放出してよい。使用される放射線源108は少なくとも部分的に、使用される融着剤138の種類に依存する。放射線源108は、例えば、プリントヘッド(単数または複数)106a、106bをも保持するキャリッジに取り付けてよい。キャリッジは放射線源108を、製造ベッド130に隣接する位置へと移動させてよい。放射線源108は層136を、融着剤138およびディテール化剤144を含めて、放射線Rに曝露するように制御されてよい。放射線Rが照射される時間の長さ、すなわちエネルギー曝露時間は、例えば:放射線源108の特性;焼結性材料124の特性;および/または融着剤138の特性の一つまたはより多くに依存してよい。
【0067】
融着剤138は放射線Rの吸収を増進し、吸収した放射線を熱エネルギーに変換し、そしてそれが接触している焼結性材料124へのサーマル熱の伝達を促進する(すなわち部分140において)。一例では、融着剤138は部分140において、焼結性材料124の温度を融点(単数または複数)超へと十分に昇温し、焼結性材料124の粒子の硬化(例えば焼結、結合、融着、その他)を可能にする。
【0068】
部分(単数または複数)140の少なくとも一部において、ディテール化剤144が融着剤138と共に適用されている場合には、異なる硬化レベルを達成してよい。この例では、ディテール化剤144の存在は、融着剤138に、焼結性材料124をその融点未満であるが、焼結性材料124の粒子の軟化および結合を生ずるのに適切な温度まで加熱させるようにしてよい。さらにまた、適用された融着剤138は有さないが適用されたディテール化剤144を有している焼結性材料124の部分142は、エネルギーを吸収する。しかしながら、変性を行っているディテール化剤144は、吸収したエネルギーを、隣接する焼結性材料124に放出しない。従って、これらの場合には、部分(単数または複数)142の中にある焼結性材料粒子124は、一般に融点を超えず、硬化しない。
【0069】
図6fに示されているように、放射線Rに対する曝露は、形成する3Dオブジェクト156の一つの層148を形成する。
図6a〜
図6fに関して上述した動作は繰り返すことが可能であり、層150、152、および154(
図6f)のような後続する層が生成されて、そして最終的に、3Dオブジェクト156が形成される。放射エネルギーの照射の間、融着剤138が供給されまたは浸透している焼結性材料124の部分で吸収された熱は、層148のような先に固化された層に伝播されてよく、そうした層の少なくとも幾らかが、その融点を超えて加熱されるようになる。この効果は、3Dオブジェクト156の隣接する層の間で、強い層間結合が生成されるのを助ける。
図6fは、3Dオブジェクト156の一つの例を示している。しかしながら、3Dオブジェクトを形成する層(例えば、層148、150、152、154)の形状、大きさ、および厚みにおける変化を通じて、無限の多様性を持つ3Dオブジェクトを実現可能である。
【0070】
図6fに示されているように、層148、150、152、および154が形成されるにつれて、供給ピストン126は供給床122の開口付近まで押し上げられ、供給床122にある焼結性材料124の供給量は減少する(例えば
図6aにある供給量と比較して)。製造ピストン134は、焼結性材料124の後続する層(単数または複数)、選択的に適用された融着剤138、および選択的に適用されたディテール化剤144を収容するために、製造ベッド130の開口からさらに離れて押し下げられる。各々の層148、150、152、および154が形成された後、焼結性材料124の少なくとも幾らかは未硬化のままであるから、3Dオブジェクト156は少なくとも部分的に、製造ベッド130内で未硬化の焼結性材料124およびディテール化剤144によって囲まれている。3Dオブジェクト156が完成したなら、それは製造ベッド130から取り出してよく、そして未硬化の焼結性材料124およびディテール化剤144は相互に分離してよい。一例では、ディテール化剤144を焼結性材料124から除去するために、水での処理(例えば、ディテール化剤の溶解、濾過、その他)を用いてよい。未硬化の焼結性材料124は洗浄し、次いで再使用してよい。