【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一局面によれば、冷却装置内の冷却液中に浸漬されて直接冷却される電子機器に適用される、液浸冷却用プロセッサモジュールは、
第1の回路基板及び第2の回路基板であって、それぞれの基板の一の面にプロセッサ実装領域とメモリ実装領域とを有し、前記プロセッサ実装領域に少なくとも1つのプロセッサを実装し、前記メモリ実装領域に櫛状配列された複数のメモリモジュールを実装し、前記第1の回路基板の前記一の面と前記第2の回路基板の前記一の面とが向かい合わせに組み合わされた状態にある、第1の回路基板及び第2の回路基板と、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間を電気的に接続するコネクタと、
を含み、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、前記第1の回路基板の前記プロセッサ実装領域及び前記メモリ実装領域が前記第2の回路基板の前記プロセッサ実装領域及び前記メモリ実装領域とそれぞれ向かい合うように、かつ、前記第1の回路基板の前記櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部及び前記第2の回路基板の前記櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部が、隣り合うメモリモジュール間に隙間を作って互い違いに並ぶように、位置合わせされている。
【0013】
本発明の一局面に係る液浸冷却用プロセッサモジュールの好ましい実施の形態において、前記メモリ実装領域は、個々のメモリモジュールを固定する複数のメモリソケットを含み、前記第1の回路基板の前記一の面と前記第2の回路基板の前記一の面との距離Hは、前記一の面からの前記メモリモジュールの高さh
1、前記メモリソケットの高さh
2に関して、(h
1+h
2)<H<2h
1を満たすとよい。
【0014】
また、本発明の一局面に係る液浸冷却用プロセッサモジュールの好ましい実施の形態において、前記メモリモジュールがStandard Heightのメモリモジュールであり、当該モジュールは、メモリモジュールの基板面が前記一の面に対し垂直にもしくは傾斜して、前記メモリソケットに差し込まれるとよい。
【0015】
また、本発明の一局面に係る液浸冷却用プロセッサモジュールの好ましい実施の形態において、前記第1の回路基板の前記プロセッサと前記第2の回路基板の前記プロセッサとが、プロセッサ間相互接続用インターフェースを介して接続されているとよい。
【0016】
本発明のもう一つの局面によれば、冷却装置内の冷却液中に浸漬されて直接冷却される電子機器は、前記電子機器用の直流電圧を供給する電圧入力端を備えるキャリア基板であって、前記電圧入力端は、電源ユニットの電圧出力端に電気的に接続される、キャリア基板と、
前記キャリア基板の一の面に配置された複数のモジュールコネクタと、
複数のプロセッサモジュールであって、前記複数のプロセッサモジュールの各々は、前記複数のモジュールコネクタの各々に電気的に結合されるモジュールコネクタプラグを有する、プロセッサモジュールと、
前記電子機器が前記電源ユニットと電気的に接続されたときに、前記冷却装置が備える冷却槽の底部に設置された前記電源ユニットの上部に位置するように前記キャリア基板を支持する支持部材と、
を含み、
前記プロセッサモジュールは、
第1の回路基板及び第2の回路基板であって、それぞれの基板の一の面にプロセッサ実装領域とメモリ実装領域とを有し、前記プロセッサ実装領域に少なくとも1つのプロセッサを実装し、前記メモリ実装領域に櫛状配列された複数のメモリモジュールを実装し、前記第1の回路基板の前記一の面と前記第2の回路基板の前記一の面とが向かい合わせに組み合わされた状態にある、第1の回路基板及び第2の回路基板と、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間を電気的に接続するコネクタと、
を含み、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、前記第1の回路基板の前記プロセッサ実装領域及び前記メモリ実装領域が前記第2の回路基板の前記プロセッサ実装領域及び前記メモリ実装領域とそれぞれ向かい合うように、かつ、前記第1の回路基板の前記櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部及び前記第2の回路基板の前記櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部が、隣り合うメモリモジュール間に隙間を作って互い違いに並ぶように、位置合わせされている。
【0017】
本発明のもう一つの局面に係る電子機器の好ましい実施の形態において、前記支持部材は、前記キャリア基板が一の面に固定されるバックボード又はフレーム構造を含むとよい。
【0018】
また、本発明のもう一つの局面に係る電子機器の好ましい実施の形態において、前記バックボード又はフレーム構造は、前記冷却槽内に垂直に起立して固定された複数の支持柱によってスライド可能に支持されるとよい。
【0019】
また、本発明のさらにもう一つの局面によれば、冷却装置内の冷却液中に浸漬されて直接冷却される電子機器に適用される、液浸冷却用プロセッサモジュールは、
第1の回路基板及び第2の回路基板であって、それぞれの基板の一の面にプロセッサ実装領域とメモリ実装領域とを有し、前記プロセッサ実装領域に少なくとも1つのプロセッサを実装し、前記メモリ実装領域に櫛状配列された複数のメモリモジュールを実装し、前記第1の回路基板の前記一の面と前記第2の回路基板の前記一の面とが向かい合わせに組み合わされた状態にある、第1の回路基板及び第2の回路基板と、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間を電気的に接続する第1のコネクタと、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間に配置される、第3の回路基板と、
前記第3の回路基板と前記第1の回路基板もしくは前記第2の回路基板との間を電気的に接続する第2のコネクタと、
を含み、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、前記第1の回路基板の前記プロセッサ実装領域及び前記メモリ実装領域が前記第2の回路基板の前記プロセッサ実装領域及び前記メモリ実装領域とそれぞれ向かい合うように、かつ、前記第1の回路基板の前記櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部及び前記第2の回路基板の前記櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部が、隣り合うメモリモジュール間に隙間を作って互い違いに並ぶように、位置合わせされており、
前記第3の回路基板は、前記第1の回路基板及び前記第2の回路基板の前記プロセッサの上面が互いに向かい合ってできる空間内に配置されている。
【0020】
本発明のさらにもう一つの局面に係る液浸冷却用プロセッサモジュールの好ましい実施の形態において、前記メモリ実装領域は、個々のメモリモジュールを固定する複数のメモリソケットを含み、前記第1の回路基板の前記一の面と前記第2の回路基板の前記一の面との距離Hは、前記一の面からの前記メモリモジュールの高さh
1、前記メモリソケットの高さh
2に関して、(h
1+h
2)<H<2h
1を満たすとよい。
【0021】
また、本発明のさらにもう一つの局面に係る液浸冷却用プロセッサモジュールの好ましい実施の形態において、前記メモリモジュールがStandard Heightのメモリモジュールであり、当該モジュールは、メモリモジュールの基板面が前記一の面に対し垂直にもしくは傾斜して、前記メモリソケットに差し込まれるとよい。
【0022】
また、本発明のさらにもう一つの局面に係る液浸冷却用プロセッサモジュールの好ましい実施の形態において、前記第1の回路基板の前記プロセッサと前記第2の回路基板の前記プロセッサとが、プロセッサ間相互接続用インターフェースを介して接続されているとよい。
【0023】
また、本発明のさらにもう一つの局面に係る液浸冷却用プロセッサモジュールの好ましい実施の形態において、前記第3の回路基板は、ストレージデバイス及び/又はI/O制御用チップセットを搭載した回路基板であるとよい。
【0024】
本発明のさらにもう一つの局面によれば、冷却装置内の冷却液中に浸漬されて直接冷却される電子機器は、
前記電子機器用の直流電圧を供給する電圧入力端を備えるキャリア基板であって、前記電圧入力端は、電源ユニットの電圧出力端に電気的に接続される、キャリア基板と、
前記キャリア基板の一の面に配置された複数のモジュールコネクタと、
複数のプロセッサモジュールであって、前記複数のプロセッサモジュールの各々は、前記複数のモジュールコネクタの各々に電気的に結合されるモジュールコネクタプラグを有する、プロセッサモジュールと、
前記電子機器が前記電源ユニットと電気的に接続されたときに、前記冷却装置が備える冷却槽の底部に設置された前記電源ユニットの上部に位置するように前記キャリア基板を支持する支持部材と、
を含み、
前記プロセッサモジュールは、
第1の回路基板及び第2の回路基板であって、それぞれの基板の一の面にプロセッサ実装領域とメモリ実装領域とを有し、前記プロセッサ実装領域に少なくとも1つのプロセッサを実装し、前記メモリ実装領域に櫛状配列された複数のメモリモジュールを実装し、前記第1の回路基板の前記一の面と前記第2の回路基板の前記一の面とが向かい合わせに組み合わされた状態にある、第1の回路基板及び第2の回路基板と、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間を電気的に接続する第1のコネクタと、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間に配置される、第3の回路基板と、
前記第3の回路基板と前記第1の回路基板もしくは前記第2の回路基板との間を電気的に接続する第2のコネクタと、
を含み、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、前記第1の回路基板の前記プロセッサ実装領域及び前記メモリ実装領域が前記第2の回路基板の前記プロセッサ実装領域及び前記メモリ実装領域とそれぞれ向かい合うように、かつ、前記第1の回路基板の前記櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部及び前記第2の回路基板の前記櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部が、隣り合うメモリモジュール間に隙間を作って互い違いに並ぶように、位置合わせされており、
前記第3の回路基板は、前記第1の回路基板及び前記第2の回路基板の前記プロセッサの上面が互いに向かい合ってできる空間内に配置されている。
【0025】
第1の回路基板の一の面と第2の回路基板の一の面とが向かい合わせに組み合わされるようにするとき、メモリモジュールが互いに干渉するのを避けるためには、基板間の距離を、当該一の面からのメモリモジュールの高さh
1の2倍よりも長くとる必要があった。本発明によれば、第1の回路基板と第2の回路基板とは、第1の回路基板のプロセッサ実装領域及びメモリ実装領域が第2の回路基板のプロセッサ実装領域及びメモリ実装領域とそれぞれ向かい合うように、かつ、第1の回路基板の櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部及び第2の回路基板の櫛状配列された複数のメモリモジュールの先端部が、隣り合うメモリモジュール間に隙間を作って互い違いに並ぶように、位置合わせされているため、メモリモジュールが互いに干渉し合うという課題を解決し、より小さい体積内に超高密度にプロセッサ及びメモリモジュールを実装することができる。例えば、メモリ実装領域が、個々のメモリモジュールを差し込む複数のメモリソケットを含む場合、第1の回路基板の一の面と第2の回路基板の一の面との距離Hを、一の面からのメモリモジュールの高さh
1、メモリソケットの高さh
2に関して、(h
1+h
2)<H<2h
1を満たすように、短くすることができる。なお、複数のメモリモジュールの先端部は、隣り合うメモリモジュール間に隙間を作って互い違いに並んでいるため、冷却液が当該隙間を通ってメモリモジュールの表面から熱を奪う。メモリモジュールの発熱量は、プロセッサの発熱量に比べてはるかに小さいため、隣り合うメモリモジュール間の隙間が比較的狭くても、冷却液による奪熱作用が損なわれることはない。
【0026】
液浸冷却用のモジュールに実装されるプロセッサにおいては、一般的にプロセッサの上面にヒートスプレッダ(ヒートスプレッダが一体化されたプロセッサも市販されている。)及びヒートシンクを熱的に接続して、その上を流通する冷却液がプロセッサからの発熱を効率的に奪うことができるよう構成している。空冷のときには、比較的大きい放熱面積を得るためにヒートシンクのフィンを高くする必要があるのとは対象的に、液浸冷却によると、冷却液による奪熱効率が優れるため、ヒートシンクのフィンの高さが低くてもよい。したがって、第1の又は第2の回路基板の一の面から、ヒートスプレッダ及びヒートシンクを含めたプロセッサの上面までの高さは、当該一の面からのメモリモジュールの高さh
1よりも低くできる。本発明によれば、この高低差を利用し、第1の回路基板の一の面と第2の回路基板の一の面とが向かい合わせに組み合わされるときに、プロセッサの上面が互いに向かい合ってできる比較的大きなスペース内に、第3の回路基板を配置するようにした。これにより、プロセッサモジュールの内部に作り出すことのできるスペースを活用して、プロセッサモジュールの機能を拡張もしくは増強することができる。また、プロセッサモジュール内の余ったスペースに別の回路基板が配置されているので、より一層の超高密度実装を実現することができる。
【0027】
なお、本明細書における「開放空間」を有する冷却槽には、電子機器の保守性を損なわない程度の簡素な密閉構造を有する冷却槽も含まれるものである。例えば、冷却槽の開口部に、冷却槽の開放空間を閉じるための天板を置くことのできる構造や、パッキン等を介して天板を着脱可能に取り付けることのできる構造は、簡素な密閉構造といえる。
【0028】
上記した本発明の目的及び利点、並びに他の目的及び利点は、以下の実施の形態の説明を通じてより明確に理解される。もっとも、以下に記述する実施の形態は例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。