(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の諸観点について説明し、図中、同一の参照符号は、別段の指定がなければ、全体を通じて同一の部分を示している。
【0013】
図1Aおよび
図1B(ひとまとめに、「
図1」という)を参照すると、
図1Aは、本発明の一観点によるシリンジ100の正面図であり、
図1Bは、本発明の一観点によるシリンジ100の左側面図であることが理解されよう。シリンジ100は、筒102、プランジャ104、および投与量分割器106を有する。プランジャ104は、少なくとも部分的に筒102内に設けられ、このプランジャ104は、筒102内で摺動係合関係をなすように構成されている。投与量分割器106は、プランジャ104に取り外し可能に取り付けられている。
【0014】
図2は、本発明の一観点によるシリンジ100の2‐2線矢視分解組立て断面正面図である。筒102は、外壁108および外壁108内に設けられた内側ステム110を有する。外壁108は、この中に筒空所114を画定するとともに外壁108の近位孔116を画定した内面112を有している。内側ステム110は、この中にステム空所120を画定するとともに内側ステム110の遠位孔122を画定した内面118を有している。遠位孔122は、出口カニューレまたは針、流体アトマイザ、または当該技術分野で知られた任意他のシリンジ出口構造体に流体結合されるのが良い。
【0015】
内側ステムは、ステムコネクタ124およびカニューレ126を更に有する。カニューレ126は、ステムコネクタ124を貫通して突き出ていてステム空所120を経て遠位孔122と流体連通状態にある。ステムコネクタ124は、ねじ山付きコネクタ、テーパ付きコネクタ、締り嵌め型コネクタ、ルアー(Luer)型コネクタ、または当該技術分野において知られている任意他のコネクタであるのが良い。
【0016】
本発明の一観点によれば、カニューレ126および遠位孔122は各々、シリンジ100の長手方向軸線128上に整列しており、カニューレ128は、長手方向130に沿って遠位孔122から突き出てこれから遠ざかるようになっている。本発明の別の観点によれば、カニューレ126およびステムコネクタ124は、各々、長手方向軸線128上に整列している。しかしながら、理解されるように、カニューレ126は、遠位孔122とステムコネクタ124のいずれとも同軸である必要はない。
【0017】
筒102は、外壁108から突き出てこれから少なくとも部分的に半径方向134に遠ざかって延びるフランジ132を更に有し、この場合、半径方向134は、長手方向130に垂直である。本発明の一観点によれば、フランジ132は、外壁108から半径方向134に突き出てこれから遠ざかって延びている。
【0018】
プランジャ104は、バイアル140およびピストン142を有している。バイアル140は、バイアル空所146を画定するとともにプランジャ104の遠位孔148を画定した内面144を有する。ピストン142は、バイアル140の内面144と摺動かつ密封係合関係をなしてバイアル空所146内に設けられている。したがって、内面144およびピストン142は、長手方向130に沿うバイアル140内のピストン142の存在場所に応じて、可変容積を有する内容積部または流体チャンバ150を少なくとも部分的に画定することができる。
【0019】
ピストン142は、隔膜156からピストン142の近位孔158まで延びる近位導管154を画定することができる内面152を有し、この場合、近位孔158は、流体チャンバ150と流体連通状態にある。ピストン142の内面152は、隔膜156から遠位孔162まで延びる遠位導管160もまた画定するのが良い。隔膜156は、ピストン142を介して遠位孔162と近位孔158の流体連通状態を阻止するよう構成されているのが良い。
【0020】
ピストン142は、ピストン142の遠位端に設けられたピストンコネクタ164を更に有するのが良い。ピストンコネクタ164は、ねじ山付きコネクタ、テーパ付きコネクタ、締り嵌め型コネクタ、ルアー型コネクタ、または当該技術分野において知られている任意他のコネクタであるのが良い。本発明の一観点によれば、ピストンコネクタ164は、ステムコネクタ124と相補関係をなしており、その結果、ピストンコネクタ164とステムコネクタ124の結合により、長手方向130、半径方向134、またはこれらの方向の組み合わせに沿ってピストン142と筒102の内側ステム110の空間的関係を固定することができるようになっている。本発明の別の観点によれば、ピストンコネクタ164およびステムコネクタ124の各々は、長手方向軸線128と整列している。本発明の別の観点によれば、隔膜156およびカニューレ126の各々は、長手方向軸線128と整列している。
【0021】
投与量分割器106は、フランジ170およびフランジ170に設けられた凹状シェル172を有する。投与量分割器106のフランジ170は、凹状シェル172の半径方向広がりを越えて少なくとも部分的に半径方向134に延びている。凹状シェル172は、フランジ170の遠位表面174から凹状シェル172の遠位表面176まで少なくとも部分的に長手方向130に延びている。投与量分割器106は、バイアル140の近位端178に取り外し可能に結合されるようになっており、その結果、投与量分割器106とバイアル140の結合により、半径方向134、長手方向130、またはこれらの方向の組み合わせにおける投与量分割器106とバイアル140の空間的関係を固定することができるようになっている。
【0022】
本発明の別の観点によれば、投与量分割器106には、プランジャ104とのねじ山付き連結手段が全くなく、しかもプランジャ104と協働関係をなすラチェット駆動機構がまったくない。本発明の別の観点によれば、シリンジ100は、投与量分割器106とプランジャ104との間に設けられていてプランジャ104に対する投与量分割器106の位置を付勢するよう働くばねまたは弾性部材をまったく備えていない。
【0023】
図3A、
図3B、
図3Cおよび
図3D(ひとまとめに、「
図3」という)を参照すると、
図3Aは、本発明の一観点による投与量分割器106の斜視図であり、
図3Bは、本発明の一観点による投与量分割器106の左側面図であり、
図3Cは、本発明の一観点による投与量分割器106の正面図であり、
図3Dは、本発明の一観点による投与量分割器106の底面図であることが理解されよう。
図3Aでは、凹状シェル172は、第1の円周方向縁202から第2の円周方向縁204まで円周方向200周りに延びており、この第1の円周方向縁202と第2の円周方向縁204との間には隙間が形成されている。したがって、凹状シェル172の窪み220は、半径方向134ならびに長手方向130において投与量分割器106の環境に対して開いているのが良い。
【0024】
凹状シェル172は、半径方向134および円周方向200によって定められた平面で見て広義の筒形断面を有するのが良い。広義の筒形断面は、円筒形断面であっても良く、多項式筒形断面、正方形筒形断面、不規則筒形断面、これらの組み合わせ、または投与量分割器106とプランジャ104との取り外し可能な取り付けを可能にするよう構成された当該技術分野において知られている任意他の断面であって良い。
【0025】
本発明の一観点によれば、投与量分割器106は、プランジャ104に沿って長手方向130に自由に動くことができるが、円周方向200においてプランジャ104に対して固定されている。本発明の別の観点によれば、投与量分割器は、プランジャ104に沿って長手方向130と円周方向200の両方向に自由に摺動することができる。
【0026】
第1の円周方向縁202と第2の円周方向縁204との間の離隔距離は、第1の円周方向離隔角度206から第2の円周方向離隔角度208まで長手方向130に沿って変化しているのが良い。本発明の一観点によれば、第1の円周方向離隔角度206は、長手方向130に沿って第2の円周方向離隔角度208よりもフランジ170の近くに位置し、第2の円周方向離隔角度208は、第1の円周方向離隔角度よりも大きい。本発明の一観点によれば、第2の円周方向離隔角度は、凹状シェル172の長手方向長さ210に沿って実質的に一定であるのが良い。
【0027】
本発明の一観点によれば、第2の円周方向離隔角度208は、180°以下である。本発明の別の観点によれば、第2の円周方向離隔角度208は、約170°以下である。本発明の別の観点によれば、第2の円周方向離隔角度208は、180°以下でありかつ90°以上である。
【0028】
フランジ170の近位端212は、半径方向134、円周方向200、またはこれらの方向の組み合わせに沿ってフランジ170の近位端212を横切るオペレータの指の摺動に抵抗するよう模様付け特徴部214を有するのが良い。模様付け特徴部214は、隆起部、バンプ、刻み付け、これらの組み合わせまたは当該技術分野において知られている任意他の表面模様付け特徴部であって良い。
【0029】
図4Aおよび
図4B(ひとまとめに、「
図4」という)を参照すると、
図4Aは、本発明の一観点による投与量分割器106の正面図であり、
図4Bは、本発明の一観点による投与量分割器の右側面図であることが理解されよう。
図4では、凹状シェル172は、長手方向130に沿って凹状シェル172の長さの少なくとも一部にわたり円周方向200に沿って投与量分割器106周りにぐるりと延びている。かくして、凹状シェル172は、
図3に示されているような第1の円周方向縁202および第2の円周方向縁204を備えていないのが良い。さらに、凹状シェル172の窪み220は、半径方向134ではなく、長手方向130に沿ってのみ投与量分割器106の環境に対して開かれているのが良い。
【0030】
図9Aおよび
図9B(ひとまとめに、「
図9」という)を参照すると、
図9Aは、本発明の一観点による投与量分割器106の正面図であり、
図9Bは、本発明の一観点による投与量分割器106の断面右側面図であることが理解されよう。
図9では、凹状シェル172は、第1の部分180および第2の部分182を有する。第1の部分180は、第1の円周方向縁202から第2の円周方向縁204まで時計回りの円周方向200Aに延びており、第2の部分182は、第1の円周方向縁202から第2の円周方向縁204まで反時計回りの円周方向200Bに延びている。
【0031】
本発明の一観点によれば、第1の部分180は、第1の材料を含み、第2の部分182は、第2の材料を含み、第1の材料は、第2の材料とは異なっている。本発明の別の観点によれば、第1の部分180は、第1の材料から成り、第2の部分182は、第2の材料から成る。
【0032】
したがって、第1の円周方向縁202および第2の円周方向縁204は各々、凹状シェル172の第1の部分180と第2の部分182の接合部によって構成できることは理解されよう。さらに、凹状シェル172の第2の部分182の円周方向広がりは、
図3を参照して上述した隙間と同様に第2の円周方向離隔角度208を張るのが良い。
【0033】
投与量分割器106は、ポリマー、ガラス、セラミック、金属、木材、これらの組み合わせ、または当該技術分野において知られている任意他の類似の材料で製作できる。本発明の一観点によれば、投与量分割器106は、実質的に不透明であるポリマーを含み、その結果、プランジャ104への書き込みは、投与量分割器106越しには読めないようになっている。本発明の別の観点によれば、投与量分割器106は、実質的に透明なまたは半透明なポリマーを含み、その結果、プランジャ104への書き込みは、投与量分割器106越しに見えるようになっている。
【0034】
次に
図9を参照すると、凹状シェル172の第1の部分180の第1の材料は、第2の部分182の第2の材料の不透明度とは異なる不透明度を有するのが良い。本発明の一観点によれば、第1の材料は、実質的に不透明であり、第2の材料は、実質的に透明または半透明である。本発明の別の観点によれば、凹状シェル172の第1の部分180と第2の部分182の両方は、ポリマーで製作される。
【0035】
次に、
図5〜
図8を参照してシリンジ100の動作原理について説明する。
【0036】
図5は、本発明の一観点に従って第1の形態に配置されたシリンジ100の断面正面図である。
図5では、ピストンコネクタ164は、カニューレ126がピストン142の隔膜156を突き通すようステムコネクタ124に結合されている。それにより、流体チャンバ150は、カニューレ126を介してステムコネクタ124の遠位孔122と流体連通状態にある。バイアル140の遠位端230は、ピストンコネクタ164がステムコネクタ124に結合されると、筒空所114内に配置されるのが良い。
【0037】
依然として
図5を参照すると、投与量分割器106は、投与量分割器106のフランジ170の遠位表面174がバイアル140の近位端178に当接するようプランジャ104に取り外し可能に取り付けられている。理解されるように、フランジ170の遠位表面170の遠位表面174は、バイアル140の近位端178にこれらの間に設けられた中間構造体を介して当接するのが良く、その結果、フランジ170の遠位表面174は、バイアル140の近位端178には直接的には接触しないようになっている。本発明の一観点によれば、フランジ170の遠位表面174は、バイアル140の近位端178に直接接触関係をなして当接する。
【0038】
投与量分割器106の凹状シェル172は、半径方向134、円周方向200、またはこれらの組み合わせの方向に沿ってバイアル140の少なくとも一部分に向いている。第1の形態では、投与量分割器106の遠位表面176は、長手方向130に沿って距離234だけフランジ132の近位表面232から隔てられている。本発明の一観点によれば、長手方向に沿うバイアル140の近位端178からフランジ132の近位表面232までの距離236は、距離234とフランジ170の遠位表面174から凹状シェル172の遠位表面176までの距離238の合計に等しい。
【0039】
本発明の別の観点によれば、投与量分割器106の遠位表面176は、筒102のフランジ132に向いており、その結果、フランジ132に向かう投与量分割器106の並進の結果として、投与量分割器106の遠位表面176は、フランジ132に当接するようになっているのが良い。理解されるように、投与量分割器106の遠位表面176は、力を投与量分割器106から長手方向130に沿って筒102に伝えることができる介在コンポーネントを介して筒102に当接するのが良い。本発明の別の観点によれば、シリンジ102は、長手方向130に沿う投与量分割器106の遠位表面176の突き出し又は延長方向において投与量分割器106の遠位表面176とフランジ132との間には介在コンポーネントがなく、その結果、筒102に向かう投与量分割器106の並進の結果として、投与量分割器の遠位表面176はフランジ132に、これらの間に直接的接触関係をなして、当接することができるようになっている。
【0040】
長手方向130に沿うバイアル140の近位端178に向かうピストン142の並進は、流体チャンバ150内の容積を減少させるよう作用し、カニューレ126および内側ステム110の遠位孔122を経て流体チャンバ150から物質を放出するよう作用する。力を長手方向130に沿って内側ステム110の遠位孔122に向かって投与量分割器106の近位端212に加えることによりバイアル140を内側ステム110の遠位孔122に向かって並進させることによって、ピストン142をバイアル140の近位端178に向かって並進させることができる。
【0041】
本発明の一観点によれば、バイアル140の流体チャンバ150は、ピストンコネクタ164がステムコネクタ124に結合される前に、流体物質であらかじめ充填されている。本発明の別の観点によれば、あらかじめ充填された物質は、薬物である。しかしながら、理解されるように、バイアル140の流体チャンバ150は、シリンジ100の特定の用途に合う任意の流体であらかじめ充填できる。
【0042】
図6は、本発明の一観点に従って第2の形態に配置されたシリンジ100の断面正面図である。
図5のシリンジ100の第1の形態と同様、
図6のシリンジ100の第2の形態は、ステムコネクタ124に結合されたピストンコネクタ164を有し、その結果、カニューレ126は、ピストン142の隔膜156を突き通し、投与量分割器106のフランジ170の遠位表面174は、バイアル140の近位端178に当接するようになっている。しかしながら、
図6に示されている第2の形態では、バイアル140は、例えば距離234(
図5参照)だけ内側ステム110の遠位孔122の方へ並進させられており、その結果、投与量分割器106の凹状シェル172の遠位表面176は、筒102に当接している。かくして、シリンジ100の第1の形態(
図5参照)と第2の形態との間において、流体チャンバ150内に入っている物質の第1の部分が内側ステム110の遠位孔122を経てシリンジ100から送り出される。
【0043】
本発明の一観点によれば、凹状シェル172の遠位表面176は、シリンジ100がその第2の形態に配置されているとき、筒102のフランジ132の近位表面232に当接する。本発明の別の観点によれば、バイアル140の近位端178は、シリンジ100がその第2の形態にあるとき、距離238だけフランジ132の近位表面232から隔てられるのが良い。
【0044】
図7は、本発明の一観点に従って第3の形態配置されたシリンジ100の断面正面図である。バイアル140は、
図6に示された第2の形態と筒102に対して同一の配置場所または実質的の同一の配置場所にあるが、
図7では、投与量分割器106は、プランジャ104から取り外されている。投与量分割器106は、投与量分割器106を長手方向130、半径方向134、またはこれらの組み合わせ方向に沿ってプランジャ104に対して並進させることによってプランジャ104から取り外されているのが良い。本発明の一観点によれば、バイアル140の近位端178は、シリンジがその第3の形態にあるとき、距離238だけフランジ132の近位表面232から隔てられている。
【0045】
図8は、本発明の一観点に従って第4の形態に配置されたシリンジ100の正面断面図である。
図7のシリンジ100の第3の形態と同様、
図6のシリンジ100の第4の形態は、カニューレ126がピストン142の隔膜156を突き通すようステムコネクタ124に結合されたピストンコネクタ164を有している。しかしながら、
図8に示されている第4の形態では、バイアル140は、長手方向130に沿って内側ステム110の遠位孔122の方へ更に並進させられており、その結果、バイアル140の内面144のうちの近位表面250がピストン142に当接し、バイアル140の遠位端230が筒102の内面112の遠位表面252に当接し、またはこれらの組み合わせが生じるようになっている。かくして、シリンジ100の第3の形態(
図7参照)と第2の形態との間において、流体チャンバ150(
図7参照)内に入っている物質の第2の部分が内側ステム110の遠位孔122を経てシリンジ100から送り出される。本発明の一観点では、シリンジ100によって送り出される物質の第2の部分の量は、シリンジ100によって送り出される物質の第1の部分の量に実質的に等しい。
【0046】
本発明は、シリンジ一般に利用でき、特に、シリンジから送り出される物質の量についての手応えをユーザにもたらすシリンジに利用できる。さらに、本発明は、医学、製造、建築、保守および修理、農業、食品調理の状況で、またはシリンジを用いることができる任意他の状況で用いられるシリンジに利用できる。したがって、本発明の観点は、薬物を患者に送り出し、または他の流体物質、例えば空気、接着剤、潤滑剤、食品などを送り出すシリンジに利用できる。
【0047】
本出願人は、多数回投与分の薬物の各々を送り出すために迅速なプランジャ動作を用いて多数回投与分の薬物を単一のシリンジから送り出す必要性を認識した。例えば、薬物の経鼻投薬は、部分投与量を患者の各外鼻孔に迅速に連続してかつ高い噴霧化度で送り出す手法から恩恵を受けることができる。
【0048】
噴霧化度は、噴霧化オリフィス前後の圧力降下の増大およびかくして噴霧化オリフィスを通る流量の増加につれて増大する。したがって、噴霧化度は、薬物送り出し中における筒102に対するプランジャ104の高い速度から恩恵を受けることができる。そして、本出願人は、多数回投与型シリンジに関して高いプランジャ速度の結果として、投与分がシリンジの筒102内におけるプランジャ104の相対位置の視覚的フィードバックにより制御される場合、各投与分における薬物の量とおよび噴霧化度の両方に関して反復性および再現性の面における誤差が生じる場合がある。確かに、視覚的フィードバックに基づく投与量の誤差は、少なくともプランジャ104を迅速に減速させると同時に所望の投与分に対した軸方向存在場所のところで正確に停止させるのが困難なために、高いプランジャ速度の必要性によって深刻化する場合がある。
【0049】
本発明の観点は、経済的かつ直感的な構造を用いて、シリンジ100の投与量分割器106と筒102との間の可変締め代によって投与分の手応えを提供することによって従来方式の欠点を解決している。上述したように、投与量分割器106は、投与量分割器106と筒102との間の触感による可変締め代度を提供するようプランジャ104に取り外し可能に結合される。確かに、投与量分割器106と筒102との間の可変締め代度を提供して個々の投与量を制限することによって、シリンジユーザは、プランジャの移動量および患者の鼻に対するシリンジ100の遠位孔122の存在場所に一層注意を向けることができ、それにより投与量と噴霧化度の両方の繰り返し性および再現性を向上させることができる。
【0050】
さらに、本発明の観点によれば、筒102、予備充填バイアル140、および投与量分割器106を含むシリンジキットが提供され、この場合、ユーザは、キットを組み立てて本発明の観点によるシリンジ100を構成する。
【0051】
シリンジ100は、シリンジ100から送り出される物質の第1の部分がシリンジ100から送り出される物質の第2の部分と量が実質的に等しくなることができるように構成されているのが良い。しかしながら、理解されるように、シリンジ100はまた、他の物質送り出しプロセスに関し、物質の第1の部分の量が物質の第2の部分の量とは異なるよう構成されていても良い。
【0052】
本明細書において他に特定されていなければ、「実質的に」という用語は、「かなりの程度」を意味するものとし、又は、「大部分が特定されているが必ずしも完全に特定されている必要がない」ことを意味するものとする。
【0053】
理解されるように、上記説明は、開示した装置および方法の実施例を提供している。しかしながら、本発明の他の具体化例が上述の実施例とは細部において異なる場合のあることが想定される。本発明または本発明の実施例といった場合これらは全て、その時点で説明されている特定の実施例を参照していることを意図しており、本発明の範囲全般に関する限定を意味することを意図しているものではない。ある特定の特徴に関する全ての差別的記載および軽視的記載は、これらの特徴について優先性または好適性が不足していることを示すものであるが、別段の指定がなければ本発明の範囲からかかる特徴を全く排除するものではない。
【0054】
本明細書に示されている値の範囲についての記載は、本明細書において別段の指定がなければ、その範囲に含まれる別々の値の各々を個々に参照する簡潔な表記法として役立つことを意図しているに過ぎず、別々の値の各々は、これが個別的に本明細書に記載されているかのごとく本明細書中に組み込まれる。本明細書において説明した方法の全ては、別段の指定がなければまたは文脈上明らかに矛盾しない限り、任意適当な順序で実施できる。