(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494783
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】可撓性外歯車および波動歯車装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
F16H1/32 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-548609(P2017-548609)
(86)(22)【出願日】2015年11月6日
(86)【国際出願番号】JP2015081416
(87)【国際公開番号】WO2017077657
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2018年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 優
(72)【発明者】
【氏名】保科 達郎
【審査官】
岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭48−045544(JP,Y1)
【文献】
特開昭58−180858(JP,A)
【文献】
特開2003−97654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波動発生器によって半径方向に撓められて剛性内歯車に対して部分的にかみ合う、波動歯車装置の可撓性外歯車であって、
半径方向に撓み可能な円筒状胴部と、
前記円筒状胴部の一方の端から半径方向の内側あるいは外側に延びている円盤状のダイヤフラムと、
前記円筒状胴部の他方の開口端の側の外周面部分において、当該外周面部分の周方向に沿って一定のピッチで形成された外歯と、
前記円筒状胴部の内周面において、当該内周面の周方向に沿って前記外歯と同一のピッチで形成された溝部と、
を備えており、
前記溝部は、前記外歯の歯山中心線を溝部中心線とする波形断面形状の溝部であり、前記円筒状胴部の前記内周面において、前記開口端から、前記外歯における前記ダイヤフラム側の歯幅方向の端に対応する位置まで、前記外歯の歯幅方向に延びており、
前記内周面において、前記溝部に連続して、前記ダイヤフラムに到る途中位置までの間には、前記溝部の深さおよび幅が漸減する延長溝部分が形成されている波動歯車装置の可撓性外歯車。
【請求項2】
前記溝部において、前記溝部中心線上における前記内周面からの深さDは、前記外歯の歯底部中立線径をd1、前記外歯の歯底円径をd2とすると、
(3d1+d2)/4 ≦ D ≦ (d1+3d2)/4
である請求項1に記載の波動歯車装置の可撓性外歯車。
【請求項3】
前記溝部の前記波形断面形状は、
前記溝部中心線上の位置を中心とする半径R1の半径方向の外側に凸の第1円弧と、
前記第1円弧および前記内周面のそれぞれに滑らかに接する半径方向の内側に凸の第2円弧と、
によって規定されており、
前記半径R1は、前記外歯のモジュールの(0.4±0.1)倍の長さである請求項2に記載の波動歯車装置の可撓性外歯車。
【請求項5】
前記溝部は潤滑剤溜まりである請求項1に記載の波動歯車装置の可撓性外歯車。
【請求項6】
剛性内歯車と、
請求項1,2,3および5のうちのいずれか一つの項に記載の可撓性外歯車と、
前記可撓性外歯車を半径方向に撓めて前記剛性内歯車に対して部分的にかみ合わせ、前記剛性内歯車および前記可撓性外歯車のかみ合い位置を円周方向に移動させる波動発生器と、
を有している波動歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は波動歯車装置の可撓性外歯車に関する。
【背景技術】
【0002】
波動歯車装置としては、特許文献1、2、3に記載されているように、可撓性外歯車がカップ形状をしたカップ型波動歯車装置、シルクハット形状をしたシルクハット型波動歯車装置、円筒形状をしたフラット型波動歯車装置が知られている。波動歯車装置では、波動発生器によって可撓性外歯車が非円形、例えば楕円状に撓められて、剛性内歯車に対して部分的にかみ合わされ、波動発生器が回転すると両歯車のかみ合い位置が円周方向に移動する。
【0003】
波動歯車装置において、波動発生器によって各部分が繰り返し半径方向に撓められる可撓性外歯車の歯底疲労強度は、楕円形状の撓み(曲げ)変形によって生じる可撓性外歯車の歯底部の引張応力と、負荷トルクによって生じる歯底部の引張応力が関係している。現行の波動歯車装置においては、これら双方の影響を考慮して、可撓性外歯車の歯底厚を適切な厚さに設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−177938号公報
【特許文献2】特開2012−072912号公報
【特許文献3】特開2009−257510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
波動歯車装置において、その可撓性外歯車の歯底疲労強度を高めようとして、単に歯底厚を増加させると、負荷トルクによる引張応力は減少するが、撓み変形によって生じる曲げ応力が増加してしまう。このため、単に歯底厚を増加するのみでは疲労強度の向上を図るのは限度がある。
【0006】
例えば、現行の波動歯車装置において、その可撓性外歯車の歯底厚、撓み変形によって生じる曲げ応力および歯底疲労強度を基準にすると、当該歯底厚を1.2倍、1.4倍にした場合における撓み変形によって生じる曲げ応力比、および、歯底疲労強度比は、次の表に示すように変化する。
【0007】
【0008】
このように、波動歯車装置の可撓性外歯車においては、歯底厚を増加させるだけで、その疲労強度を向上させることには限界がある。
【0009】
本発明の課題は、撓み易さを維持し、かつ、かみ合いによる接線力に耐えうる歯形形状を維持しつつ、歯底厚を増加して歯底疲労強度を高めることのできる波動歯車装置の可撓性外歯車を提供することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、歯底疲労強度を高めると共に、波動発生器のベアリング外周面との間の接触部の潤滑状態を改善することのできる波動歯車装置の可撓性外歯車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、波動発生器によって半径方向に撓められて剛性内歯車に対して部分的にかみ合う、波動歯車装置の可撓性外歯車であって、
半径方向に撓み可能な円筒状胴部と、
前記円筒状胴部の外周面に、当該外周面の周方向に沿って一定のピッチで形成された外歯と、
前記円筒状胴部の内周面において、当該内周面の周方向に沿って前記外歯と同一のピッチで形成された溝部と、
を備えており、
前記溝部は、前記外歯の歯山中心線を溝部中心線とする波形断面形状の溝部であり、前記外歯の歯幅方向に延びていることを特徴としている。
【0012】
本発明の可撓性外歯車では、各外歯に対応する内周面の部位に溝部が形成されているので、当該可撓性外歯車は半径方向に撓め易い。したがって、内周面に溝部が付いていない可撓性外歯車と比較した場合に、歯底厚を増加しても同程度の撓み易さを維持でき、撓み変形に起因する引張応力の増加を抑制できるので、疲労強度を高めることができる。
【0013】
また、可撓性外歯車の内周面に形成した溝部によって、当該可撓性外歯車の撓み易さが維持されるので、外周面に形成される外歯の歯形形状に変更を加える必要がない。歯底厚を増加でき、外歯の歯形形状として適切な形状を採用できるので、剛性内歯車との間の歯のかみ合いの接線力による外歯の変形も小さい。
【0014】
前記溝部において、溝部中心線上における内周面からの深さDは、外歯の歯底部中立線径をd1、外歯の歯底円径をd2とすると、
(3d1+d2)/4 ≦ D ≦ (d1+3d2)/4
であることが望ましい。
【0015】
溝部の深さDが大きいほど、可撓性外歯車は撓み易くなり、外歯の歯元の応力集中係数が小さくなる。深さDが上記の範囲よりも小さいと、歯底厚を厚くした場合において、可撓性外歯車の半径方向への撓み易さを維持できず、その歯底疲労強度の向上が殆ど得られないので好ましくない。逆に、深さDが上記の範囲よりも大きいと、両歯車の歯のかみ合いの接線力によって波形状の一歯が曲がり易くなり、ばね定数が低下し、ラチェッティングトルクも大幅に低下し、実用に適さない。
【0016】
溝部の深さを上記のように設定する場合に、溝部の波形断面形状は、溝部中心線上の位置を中心とする半径R1の半径方向の外側に凸の第1円弧、および、第1円弧および可撓性外歯車の内周面のそれぞれに滑らかに接する半径方向の内側に凸の第2円弧によって規定することが望ましい。第1、第2円弧によって溝部の波形断面形状を規定することにより、溝部が形成されている部分の応力集中を避けることができる。
【0017】
可撓性外歯車の撓め易さ(外歯の歯底の引張応力)と波形状の一歯の曲がり易さは、第1円弧の半径R1、第2円弧の半径R2および溝部の深さDの全てが影響し、半径R1と深さDが決まれば、半径R2は決まる。溝部の深さDが大きい程、また、第1円弧の半径R1が大きい程、第2円弧の半径R2は小さくなり、可撓性外歯車は撓み易くなる。
【0018】
第1円弧の半径R1は、外歯のモジュールの(0.4±0.1)倍の長さであることが望ましい。先に述べたように、半径R1が大きい程、半径R2は小さくなり、また、可撓性外歯車は撓み易くなる。半径R1が上記の値よりも大きいと、可撓性外歯車の歯底部の等価厚さに大きく影響し、疲労強度が低下するので好ましくない。逆に、半径R1が上記の値よりも小さいと、応力集中が大きくなり、疲労強度が低下するので好ましくない。例えば、可撓性外歯車を楕円状に撓める場合には、その楕円形状の短軸側での引張応力によって疲労強度が低下してしまう。
【0019】
ここで、可撓性外歯車の円形内周面には波動発生器が嵌め込まれ、当該波動発生器によって楕円形状等の非円形に撓められ、この状態で、波動発生器が回転する。波動発生器のベアリング外周面に接触している可撓性外歯車の内周面には溝部が形成されており、当該溝部が潤滑剤溜まりとして機能する。可撓性外歯車の内周面と波動発生器のベアリング外周面との間の接触部の潤滑状態を改善できるので、これらの転動疲労強度を高めることができる。
【0020】
次に、本発明の波動歯車装置は、剛性内歯車、上記構成の可撓性外歯車、および、可撓性外歯車を半径方向に撓めて剛性内歯車に対して部分的にかみ合わせ、剛性内歯車および可撓性外歯車のかみ合い位置を円周方向に移動させる波動発生器を有していることを特徴としている。
【0021】
可撓性外歯車は溝部を備えており、歯底厚を厚くして疲労強度を高めることができるので、全体として耐久性に優れた波動歯車装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明を適用した波動歯車装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の波動歯車装置の縦断面図および横断面図である。
【
図3】
図1の可撓性外歯車の半縦断面、b−b線で切断した部分の模式図、およびフラットタイプの可撓性外歯車に形成した溝部を示す説明図である。
【
図4】
図1の可撓性外歯車の外歯を示す部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して本発明を適用した波動歯車装置の実施の形態を説明する。以下の実施の形態はカップ型波動歯車装置に関するものであるが、本発明はシルクハット型波動歯車装置、フラット型波動歯車装置にも同様に適用可能である。
【0024】
図1は実施の形態に係る波動歯車装置の斜視図であり、
図2(a)はその縦断面図であり、
図2(b)はその横断面図である。波動歯車装置1は、円環状の剛性内歯車2と、この内側に同軸に配置したカップ形状の可撓性外歯車3と、この内側に嵌め込まれた波動発生器4とを備えている。可撓性外歯車3は、波動発生器4によって非円形、例えば楕円形状に撓められ、当該楕円形状の長軸L1の両端において、外歯14が剛性内歯車2の内歯2aにかみ合っている。
【0025】
波動発生器4がモーター等(図示せず)によって回転すると、両歯車2、3のかみ合い位置が円周方向に移動する。かみ合い位置が1周すると、両歯車の歯数差分だけ、両歯車の間に相対回転が生じる。波動発生器4の回転を、両歯車の一方から大幅に減速された減速回転として取り出すことができる。
【0026】
可撓性外歯車3は、半径方向に撓み可能な円筒状胴部11と、この円筒状胴部11の後端から半径方向の内側に延びている円盤状のダイヤフラム12と、ダイヤフラムの内周縁に繋がっている剛体である円環状のボス13と、円筒状胴部11の開口端の側の外周面部分に形成した外歯14とを備えている。波動発生器4は、円筒状のハブ21と、この外周面に取り付けたカム板22と、カム板22の楕円状外周面に装着したベアリング23とを備えている。円筒状胴部11の外歯14が形成されている外歯形成部分15が、波動発生器4によって楕円形状に撓められている。なお、
図2(b)においてはベアリング23のボールリテーナーの図示を省略してある。
【0027】
図3(a)は外歯形成部分15の半縦断面図であり、
図3(b)はそのb−b線で切断した部分の横断面を示す模式図である。これらの図に示すように、可撓性外歯車3の円筒状胴部11の外歯形成部分15において、その外周面には、その周方向に沿って一定のピッチで所定のモジュールの外歯14が形成されている。また、外歯形成部分15の内周面16には、その周方向に沿って外歯14と同一ピッチで溝部17が形成されている。溝部17は波形断面形状の溝部であり、外歯14の歯幅方向に直線状に延びている。
【0028】
例えば、溝部17は、外歯形成部分15の内周面16において、開口端11aから両歯のかみ合い部分を包含する範囲(外歯14のダイヤフラム側の端までの範囲)に亘って形成されている。すなわち、図において、開口端11aから位置11bまでの間は、一定深さ、一定幅の溝部17が延びている。また、位置11bからボス13の側に向かって、その途中の位置11cまでの間は、溝部17に連続して、深さおよび幅が漸減する延長溝部分17bが形成されている。
【0029】
溝部17は、外歯形成部分15の内周面16において、両歯のかみ合い部分を包含する領域に形成すればよいが、延長溝部分17bによって、溝部17を設けたことによる円筒状胴部11およびダイヤフラム12への影響を無くす、あるいは、低減するようにしている。
【0030】
なお、本発明をフラット型波動歯車装置に適用する場合には、その可撓性外歯車の外歯形成部分の内周面の全幅に亘って、一定深さ、一定幅の溝部を形成することができる。
図3(c)はフラットタイプの可撓性外歯車に形成した溝部を示す説明図である。この図に示すように、フラット形状(円筒形状)の可撓性外歯車3Aにおいて、その内周面16Aの全幅に亘って一定深さ、一定幅の溝部17Aを形成する。
【0031】
図4は外歯形成部分15の一歯分を示す部分拡大横断面図である。この図に示すように、各溝部17は、
外歯14の歯山中心線L2を溝部中心線とする波形断面形状の溝部である。
【0032】
具体的に説明すると、溝部17における溝部中心線(L2)上における内周面16からの深さDが当該溝部17の最大深さである。この深さDは、外歯14の歯底部中立線径をd1、外歯14の歯底円径をd2とすると、次の条件式で規定される範囲内の値とされる。
(3d1+d2)/4 ≦ D ≦ (d1+3d2)/4
【0033】
深さDが(3d1+d2)/4よりも浅いと、歯底厚を厚くした場合において、可撓性外歯車3の半径方向への撓み易さを維持できず、歯底疲労強度を向上させることができない。深さDが(d1+3d2)/4よりも深いと、歯底厚を厚くした場合においても可撓性外歯車3の撓み易さを維持できるものの、歯のかみ合いの接線力による外歯の変形が大きくなり、ラチェッティングトルクが大きく低下し、実用に適さなくなるので好ましくない。
【0034】
本例では、例えば、
図4において実線で示すように、深さDが、上記条件式の最大値と最小値の中間の標準深さDaに設定される。
Da = (d1+d2)/2
【0035】
なお、図において破線Dminは上記条件式の最小値に深さを設定した場合の溝部断面形状の例を示し、一点鎖線Dmaxは上記条件式の最大値に深さを設定した場合の溝部断面形状の例を示す。
【0036】
次に、溝部17の波形断面形状は、溝部中心線(L2)上の位置を中心O1とする半径R1の半径方向の外側に凸の第1円弧C1と、当該第1円弧C1および外歯形成部分15の内周面16のそれぞれに滑らかに接する半径方向の内側に凸の第2円弧C2とによって規定されている。半径R1は、外歯14のモジュールの(0.4±0.1)倍の長さに設定されている。
【0037】
第2円弧C2は、例えば、外歯14の歯溝中心線上に中心O2が位置する円弧であり、その大きさ(半径R2)は、内周面16の内径d3、溝部17の深さD、および、第1円弧C1の半径R1によって決まる。第2円弧C2が小さいほど、可撓性外歯車3が半径方向により撓み易くなる。
【0038】
第1、第2円弧
C1、C2によって溝部17の波形断面形状を規定することにより、溝部17が形成されている部分の応力集中を避けることができる。また、溝部17の底面を規定する第1円弧C1の半径R1を、外歯14のモジュールの(0.4±0.1)倍の長さに設定することで、溝部17の底の部分の応力集中を回避できる。
【0039】
例えば、
図4において想像線で示す輪郭形状の外歯14Aを備えた既存の可撓性外歯車において、その歯底厚を、実線で示すようにΔTだけ厚くすると共に内周面16に溝部17を設けることによって、本例の可撓性外歯車3が得られる。可撓性外歯車3は、既存の可撓性外歯車の外歯形状に変更を加えることなく、その歯底厚を厚くすることができる。また、歯底厚を厚くしても、溝部17を設けてあるので、楕円形状への撓め易さを既存の可撓性外歯車と同様な程度に維持でき、撓み変形に起因する引張応力の増加を抑えることができる。したがって、可撓性外歯車3の疲労強度を既存の可撓性外歯車に比べて向上させることができる。
【0040】
また、
図1、
図2を参照して説明したように、可撓性外歯車3の内周面16には波動発生器4が嵌め込まれ、当該波動発生器4によって可撓性外歯車3の外歯形成部分15は楕円形状に撓められ、この状態で、波動発生器4が回転する。本例においては、
図3に示すように、波動発生器4のベアリング外周面24に接触している可撓性外歯車3の内周面16には溝部17が一定のピッチで形成されている。したがって、溝部17は潤滑剤溜まりとして機能し、可撓性外歯車3の内周面16と波動発生器4のベアリング外周面24との間の接触部の潤滑状態が改善される。これにより、接触部の転動疲労強度を高めることができる。