【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項に記載の対象によって解決される。別の実施例は、従属請求項および以下の説明より明らかになる。
【0010】
本発明の第1の態様は、交流電流を直流電流に変換するための整流器、特に5kAを上回る、例えば50kAを上回る処理電流に適合されている高電流用および/または高電力用整流器に関する。整流器は、能動的な整流器であってよい。つまり整流器は、制御型半導体スイッチを基礎とすることができる、かつ/または高電流および/または高電力の負荷、例えばアルミニウム電解装置、塩素電解装置またはアーク炉(ただし負荷はこれらに限定されるものではない)に電流を供給するために使用することができる。しかしながら、整流器は、ダイオードを含んでいる受動的な整流器であってもよい。
【0011】
本発明の1つの実施の形態によれば、整流器は、それぞれが半導体スイッチを有している少なくとも2つのハーフブリッジを含んでおり、このハーフブリッジは、整流器の直流出力の2つの出力相に関して並列に接続されており、また各ハーフブリッジは、整流器の交流入力の入力相を整流するように適合されており、さらに整流器は、整流器のアーク故障を検出するためのアーク検出装置と、この検出装置によって始動されると、出力相および入力相のうちの少なくとも一方を短絡させるための短絡装置と、を含んでいる。短絡装置は、短絡電流を導通させるための、少なくとも1つのスイッチング可能な半導体、例えばサイリスタを含んでいる。
【0012】
通常の場合、整流器の交流入力は、3つの入力相を含んでおり、また整流器の直流出力は、2つの出力相を含んでいる。この場合、3つのハーフブリッジが直流出力に並列に接続されている。
【0013】
交流入力を変圧器に接続することができ、この変圧器は例えば、配電網からの交流電流を、整流器によって整流されるべき、より低い電圧(典型的には1,700V以下)に、しかしながら非常に高い電流(典型的には50kA〜120kA)に逓降変圧する。整流された電流を、上述のように高電流負荷に供給することができる。
【0014】
一般的に、ハーフブリッジは、2つのブランチを含んでおり、各ブランチは、各入力相を2つの出力相に相互接続している。各ブランチは、複数の半導体スイッチを含んでおり、それらの半導体スイッチを能動的にスイッチングすることができる。つまり、整流器は、能動的な整流器または位相整流型の整流器であってよい。
【0015】
整流器の高電力コンポーネント(例えばハーフブリッジ)を、アークに関する測定装置またはセンシング装置を設けることができるコンテナ内に設けることができる。例えば、そのようなセンシング装置は、アークから発せされる光の光学的な検出を基礎とするものであってよい。センシング装置は、そのセンシング装置の信号に基づいてアーク故障を検出するように適合されているコントローラの一部であってよい。コントローラは、入力相を相互に短絡させるように、かつ/または出力相を相互に短絡させるように、かつ/または2つの出力相のうちの一方を接地するように適合されている短絡装置をトリガする、または始動させることができる。
【0016】
この短絡装置は、サイリスタを基礎としており、このサイリスタは、一方では非常に短い時間でスイッチングすることができる。そのようにして、位相の短絡を、アーク故障の発生後4ms未満に実行することができる。そのような短い時間によって、整流器のコンポーネントおよび/または容器の損傷を阻止することができる。
【0017】
他方では、サイリスタは、アークを消弧させるのに十分な長さの期間にわたり短絡電流を導通させるように適合されることができる。短絡電流が導通している間に、短絡装置が損傷する可能性があることを理解しなければならない。アーク故障の発生後に、短絡装置、または短絡装置の少なくとも一部を交換することができ、これは損傷した整流器の交換に比べて非常に廉価で済むと考えられる。したがって、センシング装置は、給電源からの整流器の切断のトリガも行えるものでなければならない。
【0018】
要約すると、サイリスタから構成されている短絡装置を、(特に高電力用および/または高電流用)整流器の交流入力および/または直流出力におけるアーク保護および/またはアーク消弧のために使用することができる。
【0019】
一般的に、短絡装置は、直流出力および/または交流入力を短絡させることができる。この短絡を、1つまたは複数のサイリスタの点弧によって実行することができ、このサイリスタを、短絡装置のゲートユニットによって制御することができる。このゲートユニットは、アークセンシング装置から、またはセンシング装置に接続されているコントローラから、交流入力および/または直流出力の短絡を開始するための信号を受信することができる。通常の場合、交流入力は、3つの入力相を含むことができる。この場合、3つの位相は、短絡装置によって相互に短絡されなければならない。
【0020】
入力相を相互接続するサイリスタは、デルタ結線で接続されており、この場合、短絡装置のサイリスタは、1つのリングにおいて入力相に接続されており、そのリング内ではすべてのサイリスタが同一の向きを有している。換言すれば、入力相を相互接続しており、かつデルタ結線で接続されているすべてのサイリスタを直列に接続し、それによってリングを形成することができる。すなわち、各サイリスタは自身のコレクタを用いて、別のサイリスタのエミッタに接続されている(しかしながら、そのコレクタを用いて、第1のサイリスタには接続されていない)。リングを周回する第1の方向に関して、すべてのサイリスタを遮断状態にできる場合、かつ/またはリングを周回する、第1の方向とは逆方向の第2の方向に関して、すべてのサイリスタを導通状態にできる場合、それらすべてのサイリスタは同一の向きを有することができる。
【0021】
そのようにして、2つの入力相間の直接的な電流経路が、並列接続されており、かつそれら2つの入力相を相互接続している1つまたは複数のサイリスタによって遮断されている場合でさえも、短絡電流は、いずれか2つの入力相間を流れることができる。短絡電流は、続いて他の(1つまたは複数の)入力相を介して直列に接続されているサイリスタを介して流れることができる。
【0022】
一方の電流経路を、2つの入力相を相互接続しているサイリスタによって提供することができ、また2つの位相間の逆並列電流経路を、直列接続されており、かつそれら2つの位相を第3の位相に接続している2つのサイリスタによって提供することができる。そのようにして、サイリスタを節約することができる。サイリスタのうちの半分だけを、同一の定格電流を提供するために使用することができる。
【0023】
本発明の1つの実施の形態によれば、短絡装置は、並列接続されており、かつ2つの入力相を相互接続しているサイリスタしか含んでいない。2つの入力相の各々が少なくとも2つの並列なサイリスタによって接続されていてもよい。短絡装置が、逆並列接続されており、かつ2つの入力相を相互接続しているサイリスタを含んでいる必要はない。
【0024】
本発明の1つの実施の形態によれば、短絡装置は、アーク検出装置によって始動されると、出力相を短絡させるように適合されており、また短絡装置は、少なくとも2つの直流出力相を相互接続している少なくとも1つのサイリスタを含んでいる。
【0025】
本発明の1つの実施の形態によれば、短絡装置は、アーク検出装置によって始動されると、出力相を短絡させるように適合されており、また短絡装置は、少なくとも1つの直流出力相を接地点に相互接続している少なくとも1つのサイリスタを含んでいる。
【0026】
本発明の1つの実施の形態によれば、短絡装置は、短絡電流を分配するために、並列接続されているサイリスタを含んでいる。いずれの場合にも、すなわちデルタ結線において入力相を短絡させる場合、出力相を短絡させる場合、または出力相を接地する場合に、短絡電流を導通させるために2つ以上のサイリスタを使用することができる。
【0027】
例えば、出力相を相互接続することができる逆並列サイリスタの場合には、4つのサイリスタ、すなわち2組の逆並列サイリスタを使用することができる。
【0028】
本発明の1つの実施の形態によれば、ハーフブリッジの各ブランチは、並列接続されている半導体スイッチを含んでいる。特に、高電力用および/または高電流用整流器の場合には、整流されるべき電流を2つ以上の半導体装置間で分配するために、それらの電流をスイッチングするための半導体スイッチを並列に接続することができる。
【0029】
本発明の1つの実施の形態によれば、ハーフブリッジの各ブランチの半導体スイッチは、ヒューズに直列に接続されている。通常の場合、整流器のすべての高電力用半導体スイッチを、ヒューズによって保護することができる。整流器の故障時には、このヒューズを犠牲にして、半導体スイッチを保護することができる。例えば、ハーフブリッジの各半導体スイッチは、別個のヒューズに直列に接続されている。2つ以上の半導体スイッチが、スイッチング電流を分配するために並列に接続されている場合には、ヒューズも並列に接続することができる。それらのヒューズは、アーク故障時に整流器を内部的に短絡させるための特定のスイッチングパターンを使用することを阻止することができる。
【0030】
本発明の1つの実施の形態によれば、ハーフブリッジの半導体スイッチは、サイリスタまたはダイオードである。短絡装置および整流器は、同一のタイプの半導体装置を含むことができる。
【0031】
本発明の別の態様は、上記において説明した、また下記において説明する整流器を少なくとも1つまたは複数含んでいる、整流器システムに関する。複数の整流器を、それらの直流出力に関して並列に接続することができる。交流入力を、1つまたは複数の交流電源に接続することができる。高電力用および/または高電流用整流器を、並列にスイッチングすることができる。この場合には、また特に、負荷プロセスが電気的な容量を有している場合には、交流側および直流側に対して短絡装置を提供するには有益であると考えられる。
【0032】
本発明の上記の態様および他の態様は、以下の実施の形態の参照により、明らかになり、また理解される。
【0033】
以下では、本発明の主たる対象を、添付の図面に示した実施例を参照しながらより詳細に説明する。