【文献】
Kinetics of Influenza Hemagglutinin-Mediated Membrane Fusion as a Function of Technique,Analytical Biochemistry,2002年,vol.303,p.145-152
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記標識子は、自己消光された染料(self−quenched dye)、蛍光染料、電気化学発光物質、消光剤、発光染料及び燐光染料よりなる群から選択された一つ以上である、請求項1に記載のウイルス検出用キット。
前記プローブは、両親媒性高分子と結合された染料及び両親媒性高分子と結合された消光剤よりなる群から選択された一つ以上を含む、請求項1に記載のウイルス検出用キット。
前記両親媒性高分子は、親水性高分子A及び疎水性高分子Bを含むA−Bタイプのブロック共重合体、B−A−Bタイプの三重ブロック共重合体、脂質高分子及びこれらの組合よりなる群から選択される、請求項1に記載のウイルス検出用キット。
前記プローブは、ミセル(micelle)、ポリマーソーム(polymersome)、コロイドソーム(colloidsome)、ベシクル(vesicle)、リポソーム(liposome)又は液滴(droplet)の形態である、請求項1に記載のウイルス検出用キット。
前記酵素は、フーリン、トリプシン、セリン、エンドプロテアーゼ(endoprotease)及びカルボキシペプチダーゼ(carboxypeptidase)よりなる群から選択された一つ以上である、請求項1に記載のウイルス検出用キット。
前記プローブの変化は、蛍光強度、発光強度、燐光強度、吸光強度、電気的信号、表面増強ラマン分光(surface−enhanced Raman spectroscopy;SERS)信号、色及びプローブの分散度よりなる群から一つ以上の変化を測定するものである、請求項14に記載のウイルス検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
インフルエンザウイルス、エボラウイルスを含んですべてのウイルスは、宿主細胞侵入のために宿主細胞に結合する表面タンパク質であるヘマグルチニン(hemagglutinin、HA)、成熟したビリオン(virion)が宿主細胞から放出されるのに関与するノイラミニダーゼ(neuraminidase)、水素イオン濃度の均衡を調節するM2イオンチャネル、ウイルスの遺伝情報を持っているRNP(Ribonucleoprotein)などよりなる。
【0014】
本発明者らは、前述したウイルスの共通された特性に基づいて、ウイルスを早期に検出できる方法を開発するために研究した。その結果、ウイルスの表面タンパク質と特異的に反応する生体分子を通じてウイルスを活性化し、かくして活性化されたウイルスと反応し、前記ウイルスの存在有無を検出できるプローブを利用して、簡単な方法でウイルスを検出できることを知見し、本発明を完成した。
【0015】
したがって、本発明は、ウイルスの表面タンパク質と特異的に反応する生体分子と、前記生体分子により活性化されたウイルスと反応するプローブとを含み、前記プローブは、両親媒性高分子と結合された標識子を含むウイルス検出用キットを提供する。
【0016】
本発明のプローブは、「両親媒性高分子と結合された標識子」を含む。前記「両親媒性高分子と結合された標識子」は、「標識子が結合された両親媒性高分子」であることができる。
【0017】
本発明において使用された用語「プローブ」は、ウイルスの表面タンパク質と特異的に反応する生体分子により活性化されたウイルスと反応し、前記ウイルス又は活性型ウイルスの存在有無を検出できる物質を意味する。プローブは、ウイルス以外の物質又は不活性型ウイルスと比較して活性型ウイルスとの反応能力が格別に優れているか、又は、活性型ウイルスと特異的に反応し、活性型ウイルスの存在有無を有意に検出できる物質であれば、すべて含まれ、その種類及び形態は、特に制限されない。本明細書で前記プローブは、「検出因子」と混用して使用される。
【0018】
「両親媒性高分子と結合された標識子」を含む本発明のプローブの場合、膜を形成し、カプセルの役目又は担体の役目をする高分子と標識子が直接結合されているので、検出過程で標識子が初期に放出されることを制御でき、検出敏感度及び正確度を向上させることができ、製造段階で透析する過程を省略でき、製造効率に優れているという効果がある。
【0019】
本発明において使用された用語「結合」は、原子やイオンが会って分子を形成することを意味する。前記両親媒性高分子と標識子との間の原子又はイオンが会って形成し得る形態の結合であれば、共有結合、イオン結合、金属結合及び配位結合などを含む結合の種類に制限されない。
【0020】
例えば、前記結合は、エステル結合、アミド結合、イミン結合、ヒドラゾン結合又はアセタール結合であることができる。
【0021】
本発明において「標識子」は、プローブと活性型ウイルスの反応可否を判別できる、又は判別できるようにする物質を意味する。標識子の種類は、特に制限されず、プローブの反応の前後の変化によってプローブの変化又は信号を確認できる標識子であれば、制限なしに利用可能である。
【0022】
本発明の具体例において、前記標識子は、両親媒性高分子に結合された標識子(第1標識子)と異なる種類の標識子(第2標識子)をさらに含むことができる。
【0023】
前記第2標識子は、高分子と結合又は担持された形態であることができる。すなわち、本発明のプローブは、両親媒性高分子と結合された第1標識子と、前記プローブの内部に担持された第2標識子をさらに含むか、又は第1標識子が結合された親水性高分子及び第2標識子が結合された親水性高分子をそれぞれ含むことができる。
【0024】
本発明の一具体例において、前記標識子は、自己消光された染料(self−quenched dye)、蛍光染料、電気化学発光物質、消光剤、発光染料及び燐光染料よりなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0025】
前記両親媒性高分子に結合された標識子は、1種以上であることができる。また、同じ種類の標識子の中でも1つ以上の互いに異なる物質がそれぞれ両親媒性高分子と結合された形態であることができる。一具体例において第1標識子が蛍光染料である場合、第2標識子は、消光剤であることができ、他の具体例において、第1標識子が消光剤である場合、第2標識子が蛍光染料であることができる。
【0026】
本発明の一具体例において、前記プローブは、両親媒性高分子と結合された染料及び/又は両親媒性高分子と結合された消光剤を含むことができる。
【0027】
本発明において染料は、特定波長の光を選択的に吸収又は放出する物質を意味する。前記特定波長の光は、紫外線光、赤外線光又は可視光であることができる。
【0028】
本発明において自己消光された染料は、染料(self−quenched dye)が互いに隣接する位置にある場合には、消光作用が起こり、結合している染料が放出され、広がると、脱消光作用によって蛍光が現われる物質を意味する。
【0029】
一具体例において、自己消光された染料は、3、3−ジオクタデシルオキサカルボシアニンペルクロラート(3、3−Dioctadecyloxacarbocyanine Perchlorate;Dio;Dioc)、3、3−ジオクタデシル−5、5−ジ(4−スルホフェニル)オキサカルボシアニンソジウム塩(3、3−dioctadecyl−5、5−di(4−sulfophenyl)oxacarbocyanine sodium salt)、4−(4−(ジヘキサデシルアミノ)スチリル)−N−メチルピリジニウムヨージド(4−(4−(dihexadecylamino)styryl)−N−methylpyridinium iodide;DiA;4−Di−16−ASP)、4−(4−(ジデシルアミノ)スチリル)−N−メチルピリジニウムヨージド(4−(4−(Didecylamino)Styryl)−N−Methylpyridinium Iodide;4−Di−10−ASP)、1、1−ジオクタデシル−3、3、3、3−テトラメチルインドカルボシアニンペルクロラート(1、1−dioctadecyl−3、3、3、3−tetramethylindocarbocyanine perchlorate;Dil)、1、1−ジオクタデシル−6、6−ジ(4−スルホフェニル)−3、3、3、3−テトラメチルインドカルボシアニン(1、1−Dioctadecyl−6、6−Di(4−Sulfophenyl)−3、3、3、3−tetramethylindocarbocyanine)、4、4−ジイソチオシアナトスチルベン−2、2−ジスルホン酸ジソジウム塩(4、4−diisothiocyanatostilbene−2、2−disulfonic acid disodium salt;DIDS)、1、1−ジオクタデシル−3、3、3、3−テトラメチルインドトリカルボシアニンヨージド(1、1−dioctadecyl−3、3、3、3−tetramethylindotricarbocyanine iodide;DiR)、1、1−ジオレイル−3、3、3、3−テトラメチルインドカルボシアニン(1、1−dioleyl−3、3、3、3−tetramethylindocarbocyanine)、フルオレシン(fluorescein)、ボディピー(BODIPY)、テトラメチルローダミン (Tetramethylrhodamine)、オクタデシルローダミンBクロリド(R18)、アレクサ(Alexa)、シアニン(Cyanine)及びアロピコシアニン(allopicocyanine)よりなる群から選択される一つ以上であることができる。前記蛍光染料の平均粒径は、200nm以下、又は50nm〜10000nmであることができる。
【0030】
一具体例において、電気化学発光物質は、これに制限されるものではないが、トリス(2、2’−ビピリジル)ルテニウム(II)[Ru(bpy)32+]を含む。
【0031】
一具体例において蛍光染料(dye)は、光に含まれた波長を吸収し、色光を替えて再放射する性質を有する物質を意味する。蛍光染料は、発光染料とも言い、当業界によく知られている蛍光染料を制限なしに利用できる。一具体例において、蛍光染料は、テキサスレッド(Texas red)、フルオレセイン(fluorescein)、4−クロロ−7−ニトロベンゾフラザン(4−chloro−7−nitrobenzofurazan;NBD−Cl)、ルミノール(luminol)、フラーレン(fullerene)及び芳香族基を含む化合物よりなる群から選択される一つ以上であることができる。
【0032】
一具体例において、消光剤(quencher)は、分子の浮き上がりエネルギーを除去し、発光又は蛍光を阻害する物質を意味する。前記消光剤は、本発明の属する分野において通常的に知られており、その種類に制限なしに使用できる。一具体例において、消光剤は、BHQ−1、BHQ−2、及びBHQ−3よりなる群から選択される一つ以上のものであることができる。
【0033】
一具体例において、燐光染料は、照明光中で吸収した波長を替えて再放射することによって、光輝性効果を示す物質を意味する。一例として、硫化鉱物(X
mZ
nXは、金属原素、Zは、非金属元素)又はアルカリ土金属の硫化物であることができるが、その種類に制限されない。
【0034】
本発明において使用された用語「両親媒性」というのは、親水性と疎水性の性質を共に有することを意味する。また、両親媒性粒子は、親水性を示す領域と疎水性を示す領域を有する粒子を意味する。前記両親媒性高分子は、親水性高分子A及び疎水性高分子Bを含むA−Bタイプのブロック共重合体、B−A−Bタイプの三重ブロック共重合体、脂質高分子及びこれらの組合よりなる群から選択され得る。
【0035】
一具体例において、親水性高分子は、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリアクリックアッシド(PAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)及び親水性ポリアミノ酸よりなる群から選択される一つ以上であることができる。好ましくは、親水性高分子は、モノメトキシポリエチレングリコール、モノアセトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンとプロピレングリコールの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリグルタミン、ポリグルタミン酸、ポリスレオニン、ポリアスパラギン、ポリアルギニン及びポリセリンよりなる群から選択される一つ以上であることができる。親水性Aブロックは、200〜50,000ダルトン又は1,000〜20,000ダルトンの数平均分子量を有することができる。
【0036】
一具体例において、疎水性高分子は、親水性高分子とともに両親媒性高分子を形成できる物質であれば、制限なしに利用可能である。一具体例において、疎水性高分子Bブロックは、ポリエステル、ポリアンヒドリド、疎水性ポリアミノ酸、ポリオルトエステル及びポリホスファジンよりなる群から選択される一つ以上であることができる。好ましくは、疎水性高分子Bブロックは、ポリロイシン、ポリイソロイシン、ポリバリン、ポリフェニルアラニン、ポリフロリン、ポリグリシン、ポリメチオニン、ポリトリプトファン、ポリアラニン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン−2−オン、ポリラクチドとグリコリドの共重合体、ポリラクチドとジオキサン−2−オンの共重合体、ポリラクチドとカプロラクトンの共重合体、及びポリグリコリドとカプロラクトンの共重合体よりなる群から選択される一つ以上であることができる。また、前記疎水性高分子は、その誘導体を含む。疎水性Bブロックは、50〜50,000ダルトン、又は200〜20,000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0037】
本明細書で使用した用語「脂質高分子」は、「脂質」とも言う。二重層の膜構造を形成できるものであれば、リン脂質、脂質タンパク質、糖脂質、陽イオン性脂質などをすべて含み、その種類に制限されない。また、前記脂質は、自然的に誘導されて得られたもの及び合成された脂質誘導体をすべて含む。前記リン脂質(phospholipids)は、グリセロリン脂質(glycerophos pholipids)及びスフィンゴリン脂質(sphingophospholipid、Phosphosphingolipid)を含む。前記グリセロリン脂質は、ジアクリルグリセリド構造を有するものであることができ、具体的に、ホスファチジン酸(phosphatidate、Phosphatidic acid、PA)、レシチン(lecithin、Phosphatidylcholine、PC)、セファリン(cephalin)及びホスホイノシタイド類(Phosphoinositides)を含む。前記セファリンリン脂質は、ホスファチジルセリン(Phosphatidylserine、PS)及びホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine、PE)を含む。また、前記ホスホイノシタイド類リン脂質は、ホスファチジルイノシトール(Phosphatidylinositol、PI)、ホスファチジルイノシトールフォスフェート(Phosphatidylinositol phosphate、PIP)、ホスファチジルイノシトール二リン酸(Phosphatidylinositol bisphosphate、PIP2)及びホスファチジルイノシトール三リン酸(Phosphatidylinositol triphosphate、PIP3)を含む。前記スフィンゴリン脂質は、セラミドホスホリルコリン(Ceramide phosphorylcholine、Sphingomyelin、SPH)、セラミドホスホリルエタノールアミン(Ceramide phosphorylethanolamine、Sphingomyelin、Cer−PE)及びセラミドフォスフォリルリピッド(Ceramide phosphoryllipid)を含む。
【0038】
前記合成リン脂質誘導体は、その種類に制限されないが、一具体例として、1、2−ジドデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(EPC、1、2−didodecanoyl−sn−glycero−3−ethylphosphocholine)、1、2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC、1、2−dioleoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(POPE、1−palmitoyl−2−oleoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリン(POPS、1−palmitoyl−2−oleoyl−sn−glycero−3−phospho−L−serine)及びこれらの組合よりなる群から選択され得る。
【0039】
本発明の一例によるプローブは、公知された方法を自由に利用して製造し得る。例えば、親水性領域と疎水性領域を含む両親媒性ブロック共重合体を水溶液に分散させた後、超音波を加える方法、有機溶媒に分散又は溶解させた後、過量の水で有機溶媒を抽出又は蒸発させる方法、有機溶媒に分散又は溶解させた後、過量の水で透析する方法、有機溶媒に分散又は溶解させた後、均質器又は高圧乳化器を利用して強く溶媒を蒸発させる方法、又は薄膜水和法(Thin film hydration)などを使用して製造し得る。
【0040】
本発明の一例によるプローブは、親水性領域と疎水性領域を含む両親媒性ブロック又は高分子が自己組織化して粒子化されたものであることができる。
【0041】
本発明のプローブは、検出対象ウイルス又はウイルスの表面タンパク質の種類、使用される高分子の種類、製造方法によって多様な構造又は形態を示すことができる。
【0042】
本発明の一具体例において、プローブは、膜(membrane)構造を示すことができる。
【0043】
本発明において使用した用語「膜(membrane)構造」とは、膜又はシェル(shell)によって内部が取り囲まれている構造を意味する。ベシクル(vesicel)、人工細胞(artificial cell)又はマイクロカプセルのようなカプセル形態の粒子(encapsulation particle)は、その種類を制限せず、すべて含む。本明細書で前記膜構造は、シェル(shell)構造と混用して使用する。前記膜構造は、前記内部には、流体又は別途の構成を含む構造まで含む。
【0044】
前記膜(membrane)は、単一層(monolayer)又は二重層(bilayer)構造を含む。前記単一層(monolayer)は、「疎水性領域−親水性領域」を含む膜構造であって、一具体例において、水溶性溶液内で疎水性コアと親水性シェルを含む構造であることができる。前記二重層(bilayer)は、「親水性領域−疎水性領域−疎水性領域−親水性領域」を含む膜構造である。一具体例において、前記二重層(bilayer)は、前記2個の単一層(monolayer)が結合された形態であることができる。また、前記二重層(bilayer)は、親水性コアと前記親水性コアを取り囲んでいる疎水性領域及び前記疎水性領域を取り囲んでいる親水性シェルを含む構造であることができる。
【0045】
前記膜(membrane)構造は、単一膜(single membrane)及び単一膜を2つ以上有する多重膜(multimembrane)をすべて含む。一例として、単一膜を有する粒子がさらに一つの単一膜で取り囲まれた場合、多重膜を有する粒子になり得る。前記単一膜及び多重膜は、単一層及び二重層と区別される概念である。具体的に、二重層(bilayer)構造の膜を一つだけ含む粒子は、単一膜を有するものであり、単一層(monolayer)構造の膜を含む粒子をさらに単一層構造の膜が取り囲んでいる粒子は、多重膜構造の粒子を意味する。
【0046】
前記膜構造を有するプローブは、本発明の属する通常の方法によって製造され得、一具体例において、微細溶液化装備を利用した微細流動化方法(microfludization)、超高圧均質法(High−pressure homogenization)、乳液法(Emulsion method)又は超音波などを利用して製造できるが、これに制限されるものではない。
【0047】
前記膜構造を有する粒子は、その種類に制限されず、すべて本発明のプローブに含まれることができる。一具体例において、ミセル(micelle)、ポリマーソーム(polymersome)、コロイドソーム(colloidsome)、ベシクル(vesicle)、リポソーム(liposome)、液滴(droplet)であることができるが、前記例に制限されるものではない。本発明のキットは、互いに異なる膜構造を有する1種以上のプローブを含むことができる。
【0048】
前記「ミセル(micelle)」は、疎水性コアと親水性シェルを有する粒子を意味する。一具体例において、前記ミセルは、界面活性剤のミセル又は高分子自己組織化ミセルであることができる。自己組織化によるミセルの場合、共重合体を形成する高分子の種類によって多様な形態を有することができ、その形態に制限を受けるものではない。前記ミセルは、単一層(monolayer)を2つ以上含む多重膜形態をも含む。前記ミセルは、その形態の制限はないが、一例によって、球形、楕円形(ellipsoid)又はシリンダー形(cylinder)を含む。前記ミセル構造のプローブは、疎水性コア領域に標識子及び無機粒子のような構成をさらに含むことができる。
【0049】
前記「ポリマーソーム(polymersome)」は、「親水性領域−疎水性領域−疎水性領域−親水性領域」を有する2重層膜構造を持って、前記疎水性及び親水性領域に高分子又は共重合体を含む粒子を意味する。前記高分子又は共重合体は、人為的に合成されたものと脂質(lipid)を一緒に含むか、人為的に合成されたものを含むことができる。前記人為的に合成されたものは、自然的に発生する脂質(lipid)を除いたすべての高分子及び共重合体を含む意味である。前記ポリマーソームは、二重層膜構造の単一膜及び単一膜を2つ以上含む多重膜をすべて含む。
【0050】
前記ポリマーソームは、リポソームと区分して人為的に合成された高分子又は共重合体を含むことができる。前記ポリマーソームは、二重層形態の膜だけよりなる単一膜及び前記2重層の単一膜を2つ以上含む多重膜形態をも含む。
【0051】
前記「リポソーム(liposome)」は、少なくとも一つの脂質二重層を有する粒子を意味する。両親媒性の生体膜を模倣した脂質膜を有するものであれば、単一膜及び多重膜をすべて含む。リポソームを形成する方法は、当業界によく知られており、通常、リン脂質を塩類水溶液中に懸濁するか、リン脂質を含む水溶液を超音波処理などを行うことによって収得することができるが、製造方法によって本発明が制限されない。
【0052】
前記「コロイドソーム」は、1nm〜1000nmサイズのコロイド状粒子又は前記粒子が緻密にパッキングされた構造物を意味する。膜を形成する親水性及び疎水性領域の高分子の種類によって、単一層及び二重層を含むことができる。また、単一膜及び多重膜をすべて含む。
【0053】
前記「液滴(droplet)」は、前記膜構造粒子中において水玉の形態を示すものを意味する。単一層及び二重層を含み、単一膜及び多重膜をすべて含む。
【0054】
本発明のプローブは、形態(shape)によって区分できるが、前記形態に制限されない。一具体例において、前記プローブの形態(shape)は、ロッド(rod)、球、リング(ring)、板(flat)、シリンダー、楕円形、膜で取り囲まれた形態及びこれらの組合を含む。
【0055】
前記ロッド(rod)形態は、ロッド、棒又は竿のような一直線形態を総称する意味である。前記球形態は、丸い形の形態を意味するもので、完全球形と不完全球形をすべて含む。前記リング(ring)形態は、一般的に、球又は円形の形態において中央が空いている形態を意味する。前記板(flat)形態は、薄くて、平たい形態の平板、板状の形態を意味する。一具体例において、板形態のプローブは、基材又は担体の上部又は外部に板状のプローブがコーティングされた形態であることができる。
【0056】
本発明の一具体例において、両親媒性粒子が下記式1によって計算された質量分率(mass fraction)が0.25〜0.40を満足するとき、両親媒性粒子は、ポリマーソーム形態を示し、質量分率が0.40超過且つ0.70以下であるとき、両親媒性粒子は、ミセル構造を示す。
【0057】
[式1]
質量分率(mass fraction)=親水性高分子の質量/(親水性高分子の質量+疎水性高分子の質量)
【0058】
また、前記質量分率を質量%(percent)で示す場合、質量%が25%〜40%を満足するとき、両親媒性粒子は、ポリマーソーム形態を示し、質量%が40%超過且つ70%以下であるとき、両親媒性粒子は、ミセル構造を示す。
【0059】
一具体例において、プローブのサイズは、制限されない。プローブは、ナノ又はマイクロ粒子であることができ、例えば平均粒径は、50〜10000nmであることができる。
【0060】
本発明の他の一例によれば、プローブは、ウイルスとの反応可否をさらに明確に判断するために、金、銀及びこれらの組合から選択された無機粒子をさらに含むことができる。
【0061】
本発明のキット又は組成物は、前記プローブを単一種類だけ含むか、2種類以上のプローブを一緒に含むことができる。
【0062】
本発明において使用した用語「ウイルス」は、偏性細胞内寄生体(obligatory intracellular parasite)であって、核酸としてDNA又はRNAを有し、増殖は、核酸から始まり、二分裂増殖されず、ATP生産に必要な酵素系を持っていないことを意味する。
【0063】
本発明のウイルスは、露出ウイルス(naked virus)と外膜ウイルス(enveloped virus)を含み、具体的に、本発明の一例によるウイルスは、外膜ウイルス(enveloped virus)であることができる。
【0064】
前記外膜ウイルスは、具体的に、ヘルペスウイルス(herpesvirus)、ポックスウイルス(poxvirus)及びヘパドナウイルス(hepadnavirus)を含むDNAウイルスと、フラビウイルス(flavivirus)、トガウイルス(togavirus)、コロナウイルス(coronavirus)、ヘパタイティスD(hepatitis D)、オルトミクソウイルス(orthomyxovirus)、パラミクソウイルス(paramyxovirus)、ラブドウイルス(rhabdovirus)、ブニヤウイルス(bunyavirus)、フィロウイルス(filovirus)及びレトロウイルス(retrovirus)を含むRNAウイルスに属するものであれば、すべて含む。
【0065】
前記オルトミクソウイルスは、インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC、イサウイルス(isavirus)、トゴトウイルス(thogotovirus)及びクアランジャウイルス(quaranjavirus)属に含まれるすべてのウイルスを含む。
【0066】
前記コロナウイルスは、アルファコロナウイルス(alphacoronavirus)、ベータコロナウイルス(betacoronavirus)、ガンマコロナウイルス(gammacoronavirus)及びデルタコロナウイルス(deltacoronavirus)属に含まれるすべてのウイルスを含む。
【0067】
前記パラミクソウイルスは、パラミクソウイルス、ルブラウイルス、モルビリウイルス及びニューモウイルス属に含まれるすべてのウイルスを含む。
【0068】
前記ウイルスは、核酸と、これを取り囲んでいるタンパク質を含む。このようなウイルスのタンパク質は、ウイルス遺伝物質を保護し、ウイルス粒子が細胞に吸着及び/又は融合するのに関与し、ウイルスの抗原性を決定し、ウイルスの形態を維持する構造タンパク質(structural protein)と、タンパク質と核酸などを合成するのに関連するタンパク質である非構造タンパク質(non−structural protein)を含む。
【0069】
本発明において使用した用語「ウイルスの表面タンパク質」は、前記構造タンパク質を意味する。具体的に、本発明の「表面タンパク質」は、ウイルスの特異抗原性を持って、ウイルスが細胞に吸着及び/又は融合するのに関与する糖タンパク質(glycoprotein)であってもよく、細胞への融合(fusion)に関与する融合タンパク質(fusion protein)であってもよい。
【0070】
本発明の一例によれば、前記ウイルスの表面タンパク質は、ヘマグルチニン(HA)、スパイクタンパク質(spike protein)又はFタンパク質(F protein)であってもよい。
【0071】
本発明の一例によれば、本発明のウイルスは、宿主細胞の細胞膜に吸着し、膜融合を起こす表面タンパク質を含むものであることができる。具体的に、本発明のウイルスは、不活性型状態に存在する表面タンパク質が生体分子により活性型に変わると、宿主細胞の細胞膜と吸着及び/又は膜融合を起こす性質を有する表面タンパク質を含むものであることができる。
【0072】
本発明の一例によれば、「ウイルス」は、インフルエンザウイルス又は高病原性インフルエンザウイルスであることができる。インフルエンザウイルスは、「ウイルスの表面タンパク質」として、糖タンパク質であるヘマグルチニン(HA)を含む。ヘマグルチニンは、一つのポリペプチド(前駆体HA
0)で発現された後、タンパク質の加水分解によってHA
Oの切断部位(cleavage site)がHA
1及びHA
2に分けられると、酸性条件の下で疎水性アミノ酸残基で構成された融合ペプチド(fusionp eptide)が活性化される。HAは、インフルエンザウイルスの病原性の程度によって切断部位のアミノ酸と融合ペプチドのアミノ酸の構成が異なる。
【0073】
本発明の他の一例によれば、「ウイルス」は、コロナウイルスであることができる。コロナウイルスは、表面タンパク質としてスパイクタンパク質(spike protein)を含み、前記スパイクタンパク質は、S
1とS
2部位を含む。スパイクタンパク質のS
1部位が宿主細胞に結合すると、タンパク質分解酵素(protease)によってS
1とS
2に切断され、S
2の終端部分にある疎水性部位が露出され、活性化される。
【0074】
本発明のさらに他の一例によれば、「ウイルス」は、パラミクソウイルスであることができる。パラミクソウイルスは、表面タンパク質としてHNタンパク質(HN protein)を含む。HNタンパク質は、ウイルスを宿主細胞に付着又は吸着させる付着(又は吸着)タンパク質であって、ウイルス不活性状態では、前駆体(precursor)HN
0として存在するが、加水分解によってC−末端でアミノ酸残基が除去されると、活性化される。また、パラミクソウイルスは、表面タンパク質としてFタンパク質(F protein)を含む。Fタンパク質は、ウイルス不活性状態で前駆体F
0として存在するが、生体分子によりF
1とF
2に切断された後、新しいN−末端形態のF
1として活性化される。前記Fタンパク質は、切断部位に多塩基性残基を有するものと、単一塩基性残基を有するものをすべて含む。好ましくは、多塩基性残基を有するFタンパク質であることができる。
【0075】
本発明において使用した用語「反応」は、或る物質が他の物質と接触し、状態、色、形状又は化学結合などの物理及び/又は化学的状態の変化が起こること、又はその現象を意味する。一具体例において、ウイルスの表面タンパク質が生体分子と反応する場合、ウイルスの表面タンパク質が変化し、融合ペプチドなどを形成するなどの活性化されたウイルスに状態変化が起こる。他の具体例において、活性化されたウイルスとプローブの反応は、融合反応又は凝集反応であることができる。前記融合反応は、一具体例において、活性型ウイルスと本発明のプローブの一部が結合される現象であることができる。融合反応は、融合によってプローブ内部の物質などが外部に排出される現象まで含むものと理解され得る。一例として、活性型ウイルスの表面タンパク質に存在する融合ペプチドがエンドソームの細胞膜を融合する原理を利用して、活性型ウイルスとプローブの融合可否を確認することによって、活性型ウイルスを検出できる。前記凝集反応は、溶液内で分子又は粒子などが互いにくっついて結合する現象を意味する。本発明の一具体例において、凝集反応は、検出対象であるウイルスによって本発明のプローブの安定性が低くなって、プローブ同士が互いに結合し、凝集及び/又は沈殿される現象を意味する。
【0076】
本発明において使用した用語「生体分子(biomolecule)」は、生物の構造、機能、情報伝達などに必要な分子を意味する。前記生体分子は、機能、情報伝達などを行うための特異的構造及び/又は部位を含むことができる。このような生体分子の特異的構造は、分子間の結合反応を通じて反応を起こす原動力である。生体分子は、アミノ酸とタンパク質、糖と炭水化物、脂肪酸と脂質、及びヌクレオチドと核酸などを含み、生体内で作われたもの及び/又は人為的に合成されたものをすべて含む。本発明の一例によれば、「生体分子」は、約62個〜2500個のアミノ酸残基よりなるタンパク質である酵素であることができる。
【0077】
一つの具体例において、前記酵素は、タンパク質分解酵素であることができる。一例として、最初合成された形態では不活性化されているが、特定部位が除去(又は切断)されると、活性を示すタンパク質において、タンパク質分解酵素は、前記特定の部位を切断(cleave)し、不活性化タンパク質を活性化させる。タンパク質分解酵素は、特定の部位を切断すできるものであれば、種類に制限なしに使用できる。
【0078】
一具体例において、タンパク質分解酵素は、フーリン(furin)、トリプシン(trypsin)、セリン(serine)、エンドプロテアーゼ(endoprotease)及びカルボキシペプチダーゼ(carboxypeptidase)よりなる群から選択された一つ以上であるこどができる。前記タンパク質分解酵素は、誘導体又は改質された形態をすべて含む。例えば、タンパク質分解酵素は、組換えヒトフーリン、組換えマウスフーリン、トリプシン−EDTA、アセチル化されたトリプシン、TPCK−トリプシン(N−tosyl−L−phenylalanine chloromethyl ketone−trypsin)、アクリリックトリプシン(Trypsin−acrylic)、フーリン型プロテアーゼ(Furin like protease)、Kex2プロテアーゼ(Kex2 proteases)、膜貫通セリンプロテアーゼ(Transmembrane protease serine)、TMPRSS2、TMPRSS4、トリプターゼクララ(Tryptase clara)、プラスミン(plasmin)、セリン系プロテアーゼ(serine protease)、サブチリシン型エンドプロテアーゼ(subtilisin like endoprotease)、カルボキシペプチダーゼ(carboxypeptidase)及びこれらの組合を含むことができる。
【0079】
一具体例において、トリプシンがインフルエンザウイルスの表面タンパク質であるヘマグルチニン(HA)と反応する場合、トリプシンの酵素分解作用は、His57−Asp102−Ser195位置で起こり、フーリンの酵素分解作用は、His194−Asp153−Ser368位置で起こる。トリプシンは、高病原性及び低病原性インフルエンザウイルスのヘマグルチニンを全部分解できるため、トリプシンを利用して高/低病原性インフルエンザウイルスを検出できる。また、フーリンは、高病原性インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのみを分解できるため、フーリンを利用して高病原性インフルエンザウイルスを検出できる。
【0080】
他の一具体例において、タンパク質分解酵素とコロナウイルスの表面タンパク質が反応する場合、加水分解酵素の作用は、S1とS2の部位の境界で起こる。したがって、前記加水分解酵素の作用によって切断後、S2の疎水性部位が露出されることによって、コロナウイルスが活性化され、本発明のプローブを利用して検出できる。
【0081】
さらに他の具体例において、パラミクソウイルスの表面タンパク質と反応する生体分子は、C−末端(Carboxyl side)のアルギニン残基で切断が可能なタンパク質分解酵素又はカルボキシペプチダーゼ(carboxylpeptidase)であることができる。前記タンパク質分解酵素は、R−X−K/R−R配列を含むFタンパク質を認識して切断し得る。具体的な例として、フーリン又はサブチリシン型エンドプロテアーゼ(subtilisin−like endoprotease)であることができる。
【0082】
本発明において使用した用語「活性型ウイルス」又は「活性化されたウイルス」は、ウイルスの表面タンパク質と特異的に反応する生体分子によりウイルスの表面タンパク質が活性化されたウイルスを意味する。ここで、ウイルスの表面タンパク質が活性化されたというのは、ウイルスの表面タンパク質が宿主細胞及び/又はプローブと反応、例えば特異的に反応し得る状態に変化したことを意味する。ここで、「ウイルスの活性化」は、不活性型ウイルスが前記活性型ウイルスに変換される過程を意味する。ウイルスが感染を起こすためには、ウイルスの活性化過程が必須に要求されるので、前記活性型ウイルスの存在有無を検出することによって、ウイルスによる感染可否を判別できる。
【0083】
一つの具体例において、ウイルス表面タンパク質が活性化されたものというのは、ウイルスの表面タンパク質に存在する融合タンパク質又は融合ペプチドが宿主細胞の膜又は本発明のプローブの表面と融合反応を起こすことができる状態であることを意味する。
【0084】
一つの具体例において、インフルエンザウイルスの場合、活性化されたウイルスとは、表面タンパク質であるヘマグルチニン(HA)が酵素により分解され、不活性形態からヘマグルチニンの内部に存在する融合ペプチドが露出した形態に変換されたことを意味する。
【0085】
すなわち、前記HAの切断部位を特異的に分解する酵素には、フーリン及び/又はトリプシンが含まれる。フーリンは、高病原性インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのみを分解できるため、インフルエンザウイルスのHAがフーリンにより分解される場合、前記インフルエンザウイルスは、高病原性を示す。また、トリプシンは、高病原性及び低病原性インフルエンザウイルスのヘマグルチニンを全部分解できるため、トリプシンにより分解される場合には、高病原性又は低病原性を示す。低病原性インフルエンザウイルスの切断部位は、C−末端が−R−よりなり、高病原性インフルエンザウイルスの切断部位は、R/K−R−K−K−Rよりなる。
【0086】
HAの切断部位を特異的に分解する酵素によってHAが活性化されると、HAの再配列が起こり、HA内の融合ペプチドが外側に露出し、活性型ウイルスになる。このように、酸性条件の下で活性化されたインフルエンザウイルスが本発明の一例によるプローブに会うと、インフルエンザウイルスの融合ペプチドによってインフルエンザウイルスとプローブの反応が起こる。プローブの反応によって変わる信号を測定することによって、ウイルス感染可否を検出できる。
【0087】
他の具体例において、コロナウイルスの場合、活性化されたウイルスというのは、表面タンパク質であるスパイクタンパク質(S protein)が生体分子により不活性形態からスパイクタンパク質の内部に存在した疎水性部位が露出した形態に変換されたことを意味する。具体的に、スパイクタンパク質のS1部分が宿主細胞と結合すると、タンパク質分解酵素(protease)によりS1とS2に切断され、S2の終端部にある疎水性部位が露出し、ウイルスが活性化される。前記S2で露出した疎水性部位が宿主細胞の細胞膜内疎水性領域に付着され、他の一方は、ウイルス外膜と結合された状態でS2部位の中間が折れる構造変形(conformation change)が起こり、膜融合が起こる。したがって、本発明のプローブと活性化されたコロナウイルスが会って反応すると、プローブの安定性に変化が起こり、多様な信号を発生し、前記変化を測定することによって、ウイルス感染可否を検出できる。
【0088】
さらに他の具体例において、パラミクソウイルスで活性化されたウイルスというのは、HNタンパク質が生体分子によりC−末端の残基が除去された状態を意味する。具体的に、HNタンパク質は、不活性化状態(HN
0)を維持しつつ、C−末端の約90個の残基が除去されると、HNタンパク質が活性化され、宿主細胞又は標的の膜にパラミクソウイルスが付着される。また、活性型パラミクソウイルスは、Fタンパク質が生体分子によりF
1とF
2に切断された状態を意味する。不活性型パラミクソウイルスにおいてFタンパク質は、前駆体F
0状態で、生体分子に会うと、F
1とF
2に切断され、宿主細胞の細胞膜と融合できる活性型ウイルスになる。すなわち、SS−結合鎖F
1とF
2を含有する活性表面タンパク質を形成し、広範囲な疎水性を示すF
1のN−末端残基を宿主細胞の細胞膜又はターゲットの細胞膜に固定しながら膜融合が始まる。したがって、パラミクソウイルスは、本発明の生体分子が表面タンパク質と反応して活性化され、さらに活性化されたウイルスが本発明のプローブと反応し、プローブの変化を起こす。したがって、前記変化を測定することによって、ウイルスを検出できる。
【0089】
本発明の一具体例において、キット又は組成物は、pH6以下の酸性物質をさらに含むことができる。例えば、pH6以下の酸性物質は、酸性溶液であることができ、前記pH範囲の酸性溶液をキットに含むこともでき、使用時、直接製造して使用することもできる。pH6以下の酸性溶液は、前記pH条件を満足する溶液であれば、制限なしに使用できる。市販される保存溶液を利用することもでき、直接製造して使用することもできる。例えば、濃い酸性溶液である保存溶液(stock solution)をpH6以下になるように水に希釈して使用できる。例えば、前記酸性溶液は、pH4〜6又はpH5〜pH5.7であることができる。前記範囲が、宿主細胞内のpH範囲と同様なので、検出効率を高めることができる。
【0090】
一具体例において、本発明のキット及び組成物は、反応補助剤をさらに含むことができる。
【0091】
前記反応補助剤は、生体分子とウイルスの反応を補助する生体分子の反応補助剤であることができ、又はプローブと標的分子の反応を補助する反応補助剤であることができる。具体的な一例として、タンパク質分解酵素と表面タンパク質の反応を補助する補助剤、又はプローブと活性型ウイルス活性化された表面タンパク質、活性型ウイルスの抗原性タンパク質を含む標的分子との反応を補助する補助剤であることができる。
【0092】
本発明において使用した用語「補助剤」は、前記などの作用を通じてウイルスの検出敏感度及び/又は特異度を高めることができるものであれば、すべてを含む意味である。前記ウイルスの検出敏感度及び/又は特異度を高めるものの例として、反応の速度を速くするか、反応が起こる最小値を低める作用又は表面タンパク質と生体分子の反応外に、他の反応を抑制する作用があるが、前記メカニズムに制限されない。補助剤は、生体分子及びこれと反応する表面タンパク質の種類によって検出敏感度及び/又は特異度を高めることができるものであれば、種類に制限なしにすべてを含む。
【0093】
前記補助剤は、ケトンであることができる。
【0094】
前記ケトン化合物の例は、フェニルエチルクロロメチルケトン、トシルフェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK、Tosyl phenylalanyl chloromethyl ketone)及びこれらの組合を含むが、これに制限されない。
【0095】
本発明の一具体例において、インフルエンザウイルスの検出時、補助剤としてケトンをさらに含むことができる。この場合、他の酵素の活性を低め、ヘマグルチニン(HA)分解酵素、特にトリプシンの活性を高め、キットの敏感度をさらに高めることができる。
【0096】
本発明は、ウイルス検出方法に関する。
【0097】
本発明の検出方法は、試料を生体分子に接触させる段階と、前記生体分子に接触した試料をプローブに接触させる段階とを含む。具体的に、個体から収得した試料を、ウイルスの表面タンパク質と特異的に反応する生体分子に接触させる段階と、前記生体分子に接触した試料を、前記生体分子により活性化されたウイルスと反応するプローブに接触させる段階とを含む。前記プローブは、両親媒性高分子と結合された標識子を含む。
【0098】
本発明の検出方法は、前記接触によって起こる反応の可否を確認することによって、ウイルスを検出できる。一例として、活性型ウイルスの表面タンパク質に存在する融合ペプチドがエンドソームの細胞膜を融合する原理を利用して、活性型ウイルスとプローブの融合反応可否を確認することによって、活性型ウイルスを検出できる。他の例として、活性型ウイルスの表面タンパク質に存在する融合ペプチドがプローブの安定性を低める原理を利用して、プローブの凝集反応可否を確認することによって、活性型ウイルスを検出できる。
【0099】
本発明において反応の可否を確認する方法で、反応によるプローブの信号又は変化を測定できる。一例として、活性型ウイルスとプローブが反応する場合に現われる変化又は信号は、蛍光強度、発光強度、燐光強度、吸光強度、電気的信号、表面増強ラマン分光(surface−enhanced Raman spectroscopy;SERS)信号、FET(field−effect transistor)、色及びプローブの分散度よりなる群から選択された一つ以上の変化であることができるが、これに制限されない。
【0100】
例えば、プローブの反応可否を判別できる標識子として、自己消光された染料を利用する場合、活性型ウイルスによってプローブとの反応が起こり、プローブの高分子に結合された自己消光された染料のような標識子が放出又はプローブの外部に露出される。標識子が露出又は放出されたプローブでは、脱消光作用によって蛍光が現われる。したがって、蛍光強度の変化を測定することによって、ウイルスの存在有無を検出できる。
【0101】
また、プローブの反応可否を判別できる標識子として蛍光染料を利用する場合、活性型ウイルスによってプローブとの反応が起こると、プローブ粒子の高分子膜の崩壊によってプローブの高分子と結合された蛍光染料が膜外部に露出又はプローブの内部に担持された蛍光染料が高分子膜の外部に溶出されるので、この際の蛍光強度を測定することによって、ウイルスの感染可否を検出できる。発光強度、燐光強度、吸光強度も、蛍光強度と同様に、波長によって変わるため、これらを測定し、ウイルスの感染可否を検出できる。 特に、蛍光染料のうち、ルミノールやフラーレンなどは、特別な機器により蛍光強度を測定することなく、目視でも色の変化を感知できる。
【0102】
また、標識子として、蛍光染料及び消光剤の各々を一つのプローブに含む場合、活性型ウイルスとプローブの反応が起こると、高分子膜が崩壊されない場合、膜内部に消光剤と蛍光染料が一緒に存在しながら発光しないが、膜崩壊によって染料が露出又は溶出される場合、プローブの蛍光強度が変化するので、前記変化を測定し、ウイルスの存在有無を検出できる。
【0103】
蛍光染料以外にも、トリス(2、2’−ビピリジル)ルテニウム(II)[Ru(bpy)32+])のような電気化学発光物質を含むことができ、この場合、目視で色の変化観察が可能である。
【0104】
また、ナノギャップセンサーを利用して電気的信号を測定することによって、ウイルスを検出できる。電気的信号は、電流変化を測定するか、又はFET(Field−effect transistor)を利用して測定することもできる。ナノギャップセンサーとは、ギャップの間隔が約100nm以下の電極が含まれたセンサーを意味する。例えば、プローブの反応可否を判別できる標識子として蛍光染料を利用する場合、活性型ウイルスによってプローブの融合が起こると、プローブ内部の蛍光染料が放出され、ナノギャップセンサーのナノギャップに位置する。この際、ナノギャップセンサーにあらかじめ位置させた金、銀、クロム、チタン、白金、銅、パラジウム、ITO(indium tin oxide)、又はアルミニウムなどの金属粒子の電流変化を測定することによっで、ウイルスの感染可否を検出できる。金属粒子の平均粒径は、数ナノメートルであることができ、例えば、2〜4nmであることができる。
【0105】
また、表面増強ラマン分光信号を測定し、ウイルスを検出できる。表面増強ラマン分光信号を測定するために、試料と結合可能な基材を利用できる。基材は、ナノ粒子、コロイド、液状であることができるが、これに制限されない。例えば、プローブの融合可否を判別できる標識子として蛍光染料を利用する場合、活性型ウイルスによってプローブの融合が起こると、プローブ内部の蛍光染料が放出される。放出された蛍光染料を基材と結合させた後、前記基材と結合された蛍光染料にさらに金属粒子を導入する。金、銀などの金属粒子を導入することによって、ラマン分光を増幅させることができる。その後、ラマン分光器で前記蛍光染料のラマンスペクトルを測定することによって、ウイルスの感染可否を検出できる。
【0106】
他の例として、活性型ウイルスによってプローブの凝集が起こることによって、プローブの凝集可否、すなわち分散度の変化を確認することによって、ウイルスを検出できる。例えば、プローブとして有機・無機粒子を利用する場合、活性型ウイルスによって有機・無機粒子の安定性が低くなるにつれて、前記粒子の凝集が起こる。
【0107】
一具体例において、少なくとも一つ以上の段階は、pH6以下の条件の下で行われることができる。例えば、pH4〜pH6、pH5〜pH5.5の酸性条件の下で行われることができる。本発明の一具体例において、インフルエンザウイルスを検出する場合、酸性条件で行うことが、宿主細胞内環境と非常に類似の条件を提供でき、検出正確度を高めることができる利点がある。
【0108】
要約するに、pH6以下、pH4〜pH6、又はpH5〜pH5.5の下で、フーリン及び/又はトリプシンが存在するウェルに個体から収得した試料を入れ、前記試料内に存在するインフルエンザウイルスを活性化した後、本発明の一例によるプローブを処理する。インフルエンザウイルスが存在する場合、融合ペプチドによって活性型インフルエンザウイルスとプローブの反応が起こり、反応可否によって変わる信号を測定することによって、インフルエンザウイルスの存在有無が分かる。前記で記述したように、活性型インフルエンザウイルスとプローブの反応は、融合又は凝集であることができる。前記活性型インフルエンザウイルスとプローブの反応及びこれによって変わる信号について、前述した通りである。
【0109】
本発明において使用した用語「試料」は、ウイルスの検出のために母体を代表するように採取されたものを意味する。一具体例において、試料は、唾液、口腔粘膜又は糞尿試料であることができる。
【0110】
本発明は、また、ウイルスの表面タンパク質と特異的に反応する生体分子と、前記生体分子により活性化されたウイルスと反応するプローブとを含むウイルス検出用組成物に関する。前記でウイルス検出キット及びウイルス検出方法について記述したすべての内容がウイルス検出用組成物にも適用又は準用され得る。
【0111】
本発明は、また、両親媒性高分子と標識子を結合させる段階を含むウイルス検出用プローブ又は検出用キットの製造方法に関する。
【0112】
一具体例において、両親媒性高分子と第1標識子を結合させる段階と、前記両親媒性高分子と結合された標識子で膜構造の粒子を形成する段階とを含む。
【0113】
他の具体例において、前記粒子形成段階前に、第1標識子が結合された両親媒性高分子及び第2標識子を溶媒に分散させる段階をさらに含むことができる。前記第2標識子が一緒に分散された溶液から膜構造の粒子を形成すると、第2標識子が担持されたプローブを製造し得る。
【0114】
さらに他の一具体例において、両親媒性高分子と第1標識子を結合させる段階と、両親媒性高分子と第2標識子を結合させる段階と、前記第1標識子が結合された両親媒性高分子及び第2標識子が結合された両親媒性高分子を溶媒に分散させて、膜構造の粒子を形成する段階とを含むことができる。
【0115】
前記膜構造の粒子を形成する段階は、本発明の属する分野において通常的に使用されるコロイド、リポソーム、ミセル又はポリマーソームを形成する方法によって行うことができ、一例として、親水性領域と疎水性領域を含む両親媒性ブロック共重合体を水溶液に分散させた後、超音波を加える方法、有機溶媒に分散又は溶解させた後、過量の水で有機溶媒を抽出又は蒸発させる方法、有機溶媒に分散又は溶解させた後、過量の水で透析する方法、有機溶媒に分散又は溶解させた後、均質器又は高圧乳化器を利用して強く溶媒を蒸発させる方法、又は薄膜水和法(Thin film hydration)などを使用して膜構造の粒子を製造し得る。
【0116】
前記膜構造の粒子を形成する段階で、標識子が結合されない両親媒性高分子と標識子が結合された両親媒性高分子は、高分子の比率が1:1〜10の重量比の範囲で混合して使用され得る。
【0117】
本発明の製造方法によるプローブは、膜を形成し、カプセルの役目又は担体の役目をする高分子と標識子が直接結合されているので、検出過程で初期に標識子が放出されることを制御でき、標識子の放出が制御されるので、製造段階で透析段階を進行しなくてもよいため、ウイルス検出用キットの製造効率に優れているという長所がある。
【0118】
前記でウイルス検出キット及びウイルス検出方法について記述したすべての内容がウイルス検出用プローブ製造方法にも適用又は準用され得る。
【0119】
以下、本発明を実施例を通じて詳しく説明する。下記実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0121】
[製造例1]親水性高分子−疎水性高分子−蛍光染料が結合された高分子を含む粒子内部に消光剤を担持したプローブの製造
【0122】
両親媒性共重合体を利用して、標識子で蛍光染料を結合させ、その内部に消光剤を担持しているミセル(Micelle)又はポリマーソーム(Polymersome)形態のプローブを製造した。mPEG−NH
2は、Laysan bio、Cy5.5−NHSエステルは、GE Healthcare、BHQ3−NHSエステルは、iosearch Technologies、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及びジメチルスルホキシドは、Sigma Aldrichで購入して使用した。
【0123】
具体的に、mPEG−b−PLeu10mgにCy5.5−NHSエステル2.5mg及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド8.9mgをジメチルスルホキシド2mLにとかした後、12時間常温で反応させた。反応済みの溶液を冷たいエチルエーテル4mLで沈殿させ、遠心分離し、上澄み液を除去した。凍結乾燥後、親水性高分子−疎水性高分子−蛍光染料結合体を得た。
【0124】
mPEG−b−PLeuとmPEG−b−PLeu−蛍光染料結合体を高分子1:1比率で10mgを用意し、BHQ3−NHSエステル0.04mgと混合し、透析し、粒子を形成する方法で、プローブを製造した。透析段階後、洗浄段階は省略した。
【0125】
製造されたプローブの形状をTEM(transmission electron microscope)イメージで確認して
図2に示し、製造されたプローブ粒子のサイズをDLS(dynamic light scattering)法を利用して測定し、平均直径を
図5に示した。
【0126】
図2及び
図5に示されたように、不完全球形又は楕円形の形態を有し、平均直径は、62.5±3.6nmであるプローブが製造されたことを確認することができた。
【0127】
また、前記プローブのうちポリマーソーム形態のプローブは、分子量が6500g/molであり、ミセル形態のプローブは、分子量が3300g/molであった。
【0128】
[製造例2]親水性高分子−疎水性高分子−消光剤が結合された高分子を含む粒子内部に蛍光染料を担持したプローブの製造
【0129】
両親媒性高分子に消光剤を結合させ、蛍光染料を担持させたこと以外に、製造例1と同一の方法でプローブを製造した。
【0130】
mPEG−NH
2は、Laysan bio、Cy5.5−NHSエステルは、GE Healthcare、BHQ3−NHSエステルは、iosearch Technologies、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及びジメチルスルホキシドは、Sigma Aldrichで購入して使用した。
【0131】
具体的に、mPEG−b−PLeu10mg、BHQ3−NHSエステル1.8mg及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド8.9mgをジメチルスルホキシド2mLにとかした後、12時間常温で反応させた。反応済みの溶液を冷たいエチルエーテル4mLで沈殿させ、遠心分離し、上澄み液を除去した。凍結乾燥後、親水性高分子−疎水性高分子−消光剤結合体を得た。
【0132】
mPEG−b−PLeuとmPEG−b−PLeu−消光剤結合体を高分子基準で1:1比率で10mg用意し、cy5.5−NHSエステル0.04mgと混合し、透析し、粒子を形成する方法で、プローブを製造した。
【0133】
製造されたプローブの形状をTEM(transmission electron microscope)イメージで確認して
図3に示し、製造されたプローブ粒子のサイズをDLS(dynamic light scattering)法を利用して測定し、平均直径を
図5に示した。
【0134】
図3及び
図5に示されたように、不完全球形又は楕円形の形態を有し、平均直径は、48.4±4.5nmであるプローブが製造されたことを確認することができた。
【0135】
[製造例3]親水性高分子−疎水性高分子−消光剤が結合された高分子及び親水性高分子−疎水性高分子−蛍光染料が結合された高分子を含むプローブの製造
【0136】
蛍光染料が結合された高分子及び消光剤が結合された高分子を利用してプローブを製造したこと以外に、製造例1と同一の方法でプローブを製造した。
【0137】
mPEG−NH
2は、Laysan bio、Cy5.5−NHSエステルは、GE Healthcare、BHQ3−NHSエステルは、iosearch Technologies、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及びジメチルスルホキシドは、Sigma Aldrichで購入して使用した。
【0138】
具体的に、mPEG−b−PLeu10mgにCy5.5−NHSエステル2.5mg及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド8.9mgをジメチルスルホキシド2mLにとかした後、12時間常温で反応させた。反応済みの溶液を冷たいエチルエーテル4mLで沈殿させ、遠心分離し、上澄み液を除去した。凍結乾燥後、親水性高分子−疎水性高分子−蛍光染料結合体を得た。
【0139】
mPEG−b−PLeu10mgにBHQ3−NHSエステル1.8mg及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド8.9mgをジメチルスルホキシド2mLにとかした後、12時間常温で反応させた。反応済みの溶液を冷たいエチルエーテル4mLで沈殿させ、遠心分離し、上澄み液を除去した。凍結乾燥後、親水性高分子−疎水性高分子−消光剤結合体を得た。
【0140】
前記それぞれ得られた結合体を高分子を基準で1:1比率で10mgを用意し、透析し、両親媒性粒子プローブを製造した。
【0141】
製造されたプローブの形状をTEM(transmission electron microscope)イメージで確認して
図4に示し、製造されたプローブ粒子のサイズをDLS(dynamic light scattering)法を利用して測定し、平均直径を
図5に示した。
【0142】
図4及び
図5に示されたように、不完全球形又は楕円形の形態を有し、平均直径は、52.7±2.2nmであるプローブが製造されたことを確認することができた。
【0143】
[実験例1]プローブのウイルス検出効果確認
【0144】
製造例1の方法によって製造されたプローブによるウイルス検出効果を確認した。
【0145】
具体的に、検出対象ウイルスとしては、3つのタイプの高病原性インフルエンザウイルスとして、H5N1_01、H5N1_02及びH5N6、11個のタイプの低病原性インフルエンザウイルスとして、H1N1_01、H1N1_02、H2N1、H2N4、H3N8、H5N2、H5N3、H7N9、H7N7、H9N2_01及びH9N2_02に対して実験を行った。ウイルスと反応する生体分子として、インフルエンザウイルスの表面タンパク質であるヘマグルチニンを特異的に分解できるフーリン(furin)とトリプシン(trypsin)を利用した。低病原性インフルエンザウイルスは、緑十字社の医薬品から、高病原性ウイルスは、Hanoi university of agricultureから提供されて使用した。pH条件は、酸性保存溶液(stock solution)を利用して適正pHに合わせて実施した。
【0146】
96−ウェルプレートにおいて一つのウェルに各処理群に適当な酵素を入れ、酵素が担持されたウェルに検出対象ウイルスを入れて接触させた。次に、本発明のプローブを入れて接触させた後、前記プローブの蛍光強度の変化を測定した(Ex:675nm、Em:694nm)。
【0147】
インフルエンザウイルス総14種に対して、検出環境(ウェルのpH条件)をpH5.5及びpH7.4に区分し、各pH条件によって(1)フーリン単独処理群、(2)トリプシン単独処理群、(3)フーリン及びトリプシン処理
群に分けて実験を行った。その結果を下記表
1に示した。
【0149】
表1に示されたように、酵素未処理群、非酸性条件実験群では、プロープの蛍光変化が観察されなかった。しかし、高病原性インフルエンザウイルス実験群において酸性条件が満足された場合、プローブとトリプシンを一緒に処理した場合、高病原性及び低病原性インフルエンザ実験群の両方において蛍光変化が確認され、フーリンを処理した場合には、高病原性インフルエンザ実験群だけにおいて蛍光変化が確認された。トリプシンを通じて高病原性及び低病原性インフルエンザを共に検出でき、フーリンを利用する場合、
高病原性インフルエンザを検出できることが分かる。
【0150】
[実験例2]プローブのウイルス検出効果確認
【0151】
製造例2の方法によって製造されたプローブによるウイルス検出効果を確認した。
【0152】
具体的な実験方法は、製造例1のプローブの代わりに、製造例2のプローブを使用したこと以外には、前記実験例1と同一の条件で実験を実施した。蛍光強度の測定結果を下記表
2に示した。
【0154】
表2に示されたように、フーリンを処理した場合、酵素未処理群、非酸性条件実験群では、プローブの蛍光変化が観察されなかった。しかし、高病原性インフルエンザウイルス実験群において酸性条件が満足された場合、プローブとトリプシンを一緒に処理した場合、高病原性及び低病原性インフルエンザ実験群の両方で蛍光変化が確認され、フーリンを処理した場合には、高病原性インフルエンザ実験群だけにおいて蛍光変化が確認された。トリプシンを通じて高病原性及び低病原性インフルエンザを共に検出でき、フーリンを利用する場合、
高病原性インフルエンザを検出できることが分かる。
【0155】
[実験例3]プローブのウイルス検出効果確認
【0156】
製造例3の方法によって製造されたプローブによるウイルス検出効果を確認した。
【0157】
具体的な実験方法は、製造例1のプローブの代わりに、製造例3のプローブを使用したこと以外には、前記実験例1と同一の条件で実験を実施した。蛍光強度の測定結果を下記表
3に示した。
【0159】
表3に示されたように、フーリンを処理した場合、酵素未処理群、非酸性条件実験群では、プローブの蛍光変化が観察されなかった。しかし、高病原性インフルエンザウイルス実験群において酸性条件が満足された場合、プローブとトリプシンを一緒に処理した場合、高病原性及び低病原性インフルエンザ実験群の両方において蛍光変化が確認され、フーリンを処理した場合には、高病原性インフルエンザ実験群だけにおいて蛍光変化が確認された。トリプシンを通じて高病原性及び低病原性インフルエンザを共に検出でき、フーリンを利用する場合、
高病原性インフルエンザを検出できることが分かる。