特許第6494810号(P6494810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6494810自動車のデータをアップロードするための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494810
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】自動車のデータをアップロードするための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   G06F13/00 560A
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-568098(P2017-568098)
(86)(22)【出願日】2016年5月13日
(65)【公表番号】特表2018-529141(P2018-529141A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】EP2016060825
(87)【国際公開番号】WO2017001104
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年12月28日
(31)【優先権主張番号】102015212128.3
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン スクーピン
(72)【発明者】
【氏名】マークス ランゲンベルク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ツァウン
(72)【発明者】
【氏名】ハノ ホーマン
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ ミヒャエル クノル
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス クライノフスキ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ジェラルディ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル パーゲル
(72)【発明者】
【氏名】エムレ チャカール
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン マルクス
(72)【発明者】
【氏名】イザベラ ヒンターライトナー
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ミーレンツ
【審査官】 木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−249552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のデータをアップロードするための方法において、
・センサ装置(10)によって前記自動車の周囲データを検出するステップと、
・前記検出された周囲データに対する地理的参照を作成して、前記検出された周囲データをサーバ装置(40)のデータ記憶装置(42)の既知の周囲データに対応付けるステップと、
・前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して新規度(N)を表す第1の優先度係数(P1)を割り当てるステップと、
・前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して規定された関連度(R)を表す第2の優先度係数(P2)を割り当てるステップと、
・前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して、前記第1の優先度係数(P1)及び前記第2の優先度係数(P2)から総優先度係数(PG)を特定するステップと、
・前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して特定された前記総優先度係数(PG)前記サーバ装置(40)の前記データ記憶装置(42)の前記既知の周囲データに対して規定された閾値(SW)と比較することによって、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトを評価するステップと、
前記総優先度係数(PG)の前記閾値(SW)との比較結果に基づいて、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトを前記サーバ装置(40)にアップロードするステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
記新規度(N)は、前記データオブジェクトの、対応する既知のデータオブジェクトに対する非類似性が大きければ大きいほど高い、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記第1の優先度係数(P1)は、前記新規度(N)が高ければ高いほど大きい、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
記関連度(R)は、前記データオブジェクトの関連性が高ければ高いほど高い、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
記第2の優先度係数(P2)は、前記データオブジェクトの前記関連度(R)が高ければ高いほど大きい、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記周囲データの前記地理的参照は、幾何学的記述又は位相幾何学的記述を含む、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
自動車のデータをアップロードするための装置(20)において、
・検出された周囲データをサーバ装置(40)の既知の周囲データと比較することによって、前記検出された周囲データを評価するための、検証装置(21)及び関連度分類装置(22)と、
・前記検出された周囲データを中間記憶するための中間記憶装置(23)と、
を備え、
・前記関連度分類装置(22)によって、前記検出された周囲データに対する地理的参照を作成して、前記検出された周囲データを前記サーバ装置(40)のデータ記憶装置(42)の既知の周囲データに対応付け、
・前記検証装置(21)によって、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して新規度(N)を表す第1の優先度係数(P1)を割り当て、
・前記関連度分類装置(22)によって、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して規定された関連度(R)を表す第2の優先度係数(P2)を割り当て、
・前記検証装置(21)によって、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して、前記第1の優先度係数(P1)及び前記第2の優先度係数(P2)から総優先度係数(PG)を特定し、
・前記検証装置(21)によって、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して特定された前記総優先度係数(PG)を前記サーバ装置(40)の前記データ記憶装置(42)の前記既知の周囲データに対して規定された閾値(SW)と比較し、それにより、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトを評価し、
前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトは、前記総優先度係数(PG)の前記閾値(SW)との比較結果に基づいて、前記中間記憶装置(23)から前記サーバ装置(40)にアップロードされる、
ことを特徴とする装置(20)。
【請求項8】
請求項に記載の装置(20)上で実行される場合に、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項に記載のコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み出し可能データ担体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のデータをアップロードするための方法に関する。本発明はさらに、自動車のデータをアップロードするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
ナビゲーション技術では、できるだけ高い最新性を有するデータを提供するための方法が公知である。この場合、データサービスプロバイダは、データを検出し、検出されたデータを集約し、集約されたデータの最新版を規定された時間間隔で(例えば四半期毎又は毎年)ユーザに提供することができる。
【0003】
集約すべきデータの検出が実施される装置と同一の装置上でデータ集約が実施される、いわゆる自給自足型のデータ集約が公知である。この装置上で集約されたデータは、もっぱらこの装置で使用するためだけに利用することができる。
【0004】
さらには、データ集約がセントラルインスタンス、典型的にはサーバ又はサーバネットワークによって実施される、いわゆる集合型のデータ集約が公知である。データサービスのユーザ及び/又はデータコレクタの特別なグループが、データ検出を実施する。検出されたデータは、その後、集約のためにサーバに伝送される。
【0005】
後者の概念は、集合データを検出して集約のためにサーバに提供し、中央で集約されたデータのその時々の現在の状態をサーバによってデータコンシューマに提供することにより、集約されたデータの極めて高い最新性を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の開示
本発明の課題は、自動車のデータをアップロードするための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、第1の態様によれば、自動車のデータをアップロードするための方法において、
・センサ装置によって前記自動車の周囲データを検出するステップと、
・前記検出された周囲データの地理的参照を作成するステップと、
・前記検出された周囲データをサーバ装置のデータ記憶装置の既知の周囲データと比較することによって、前記検出された周囲データを評価するステップと、
・前記評価に基づいて、前記検出された周囲データを前記サーバ装置にアップロードするステップと、
を有する方法によって解決される。
【0008】
上記の課題は、第2の態様によれば、自動車のデータをアップロードするための装置において、
・検出された周囲データをサーバ装置の既知の周囲データと比較することによって、前記検出された周囲データを評価するための、検証装置及び関連度分類装置と、
・前記検出された周囲データを中間記憶するための第2の中間記憶装置と、
を備え、
前記検出された周囲データは、当該周囲データの前記評価に基づいて、前記第2の中間記憶装置から前記サーバ装置にアップロード可能である、
装置によって解決される。
【0009】
このようにして、自動車の検出された周囲データの、サーバ装置へのアップロードを、利用可能な通信帯域幅に基づいて最適化することができる。この場合には、好ましくは、高い優先度係数を有するデータが優先的にアップロードされる。有利には、このことは特に、高度に自動化された自動車、又は、自律的に動作可能な自動車に対して使用可能である。
【0010】
本方法及び本装置の有利な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0011】
本方法の有利な1つの発展形態においては、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して新規度が割り当てられ、前記新規度は、前記データオブジェクトの、対応する既知のデータオブジェクトに対する非類似性が大きければ大きいほど高い。
【0012】
本方法のさらなる有利な発展形態においては、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して第1の優先度係数が割り当てられ、前記第1の優先度係数は、前記新規度が高ければ高いほど大きい。
【0013】
本方法のさらなる有利な発展形態は、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して規定された関連度が割り当てられ、前記関連度は、前記データオブジェクトの関連性が高ければ高いほど高い、ことにおいて優れている。
【0014】
本方法のさらなる有利な発展形態においては、前記検出された周囲データのそれぞれのデータオブジェクトに対して第2の優先度係数が割り当てられ、前記第2の優先度係数は、前記データオブジェクトの前記関連度が高ければ高いほど大きい。
【0015】
本方法のさらなる有利な発展形態においては、前記第1の優先度係数及び前記第2の優先度係数から、総優先度係数が特定される。
【0016】
本方法のさらなる有利な発展形態においては、前記検出された周囲データの、前記サーバ装置への前記アップロードが、前記総優先度係数に基づいて実施される。このようにして、それぞれのデータオブジェクトに対して2段階での優先度決定プロセスが実施され、その結果として、周囲データの、サーバ装置への規定された選択的なアップロードが実施される。例えば、総優先度係数が高い場合には、データを短時間でサーバ装置に伝送することができ、総優先度係数が低い場合には、データは、規定された時間遅延を伴ってサーバ装置に伝送される。このようにして有利には、どの「知識レベル」を自動車又はシステム全体が既に有しているかを考慮することができる。その結果、これによって、自動車とサーバ装置との間の通信リンク上におけるデータトラフィックを最適に伝送することができる。
【0017】
本方法のさらなる有利な発展形態においては、前記周囲データの前記地理的参照が、幾何学的記述又は位相幾何学的記述を含む。これによって有利には、周囲データの地理的参照を作成するための複数の異なる概念を実現することができる。
本発明の他の態様は、自動車のデータをアップロードするための装置(20)上で実行される場合に、又は、コンピュータ読み出し可能データ担体上に記憶されている場合に、自動車のデータをアップロードするための本発明に係る方法を実施するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムである。
【0018】
以下においては、本発明を、さらなる特徴及び利点と共に2つの図面に基づいて詳細に説明する。記載又は図示されている全ての特徴は、特許請求の範囲における本発明の概要又は特許請求の範囲の引用関係とは関係なく、さらには、明細書又は図面における本発明の記載及び図示とは関係なく、単独で又は任意の組合せで本発明の対象を形成する。図面は、特に、本発明の本質的な原理を説明するために想定されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る装置の1つの実施形態の概略図である。
図2】本発明に係る方法の1つの実施形態の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態の説明
データ集約の概念は、元々、多量のデータが処理されて適切に記憶される、クラウドコンピューティング及び/又はデータマイニングの分野から来ている。非常に精確な位置特定のために、基準データの集合型の集約を利用する場合に考えられる課題は、クライアントとサーバとの間における、対応するデータのできるだけリアルタイムでの伝送である。なぜなら、自動化された自動車の位置特定のために必要なデータ量は、例えば約500MByte/kmの範囲であり、典型的には非常に膨大であるからである。
【0021】
自動化された運転又は自律的な運転の場合には、自動車は、実質的に人間による支援を受けることなくもっぱらセンサによって環境を知覚して、運転者を安全かつ無事に目的地に連れて行くことが求められている。これに関して、自動車の周囲を検出するために種々のセンサが使用され、自車両位置特定のために現在の基準データが使用され、これらの現在の基準データが、本実施例における集約すべきデータである。
【0022】
移動無線システムのアップロードリンクは、典型的には対応するダウンロードリンクよりも小さい帯域幅を使用するので、利用可能な通信帯域幅の最大限の活用を可能にするような、現在の情報の中央集約のためのデータアップロード戦略が提案される。
【0023】
集合型のデータ集約においてこれまで使用されてきた従来のアップロード戦略は、以下の特徴によって説明することができる。
【0024】
A)サーバ上での集約のために必要な全てのデータは、典型的には、これらのデータがクライアント上で検出された直後にサーバに伝送される。このことは、いわばデータのリアルタイム伝送であり、同時期に検出されたデータのバンドリングが可能である。
【0025】
B)クライアント上で検出された全てのデータは、クライアント上で収集され、これらのデータの検出時点に対して比較的大きい時間遅延を伴って、1つの大きなバンドルで一緒にサーバに伝送される(例えばWLAN無線ネットワークが利用可能な場合には、目的地への到着時に)。
【0026】
特徴A)は、クライアントからサーバに伝送すべきデータに関するデータレートが、利用可能な通信帯域幅よりも格段に小さいような用途にしか適していないという欠点を有する。
【0027】
特徴B)は、検出されたデータが、サーバ上での集約のために著しい時間遅延を伴ってしか利用できないという欠点を有する。即ち、集約されたデータは、特徴A)の場合よりも最新性が劣ることとなる。
【0028】
アップロード戦略に対する本提案のアプローチは、特徴A)及びB)の特別な組み合わせを実施する。このようにして、検出されたデータが重要な情報内容を有する場合、及び/又は、高い関連性を有する場合には、これらの検出されたデータは、好ましくは特徴A)に従ってサーバに伝送される(即ち、用途が、例えば、特定の情報に関して非常に精確かつ最新の集約を必要とする)。
【0029】
そうでない場合には、検出されたデータは、好ましくは特徴B)に従ってサーバに伝送される。このように2つの特徴を組み合わせることにより、集約されたデータの最新性を、特徴B)の場合よりも高くすることができ、有利には、準リアルタイム伝送のために必要となる平均データ伝送速度が、特徴A)の場合よりも遅くなる。
【0030】
結果として、以下で説明するアップロード戦略によれば、集約されたデータの高い最新性が支援されると同時に、必要とされるデータ伝送速度に関する要求が低くなる。
【0031】
図1は、データをアップロードするための装置20の1つの実施形態を概略的に示す。全てのデータが地理的参照を有しているので、装置20は、当該装置20の現在の周囲に関して、データサービスを介してサーバ装置40の中央データ記憶装置42から集約されたデータの現在の状態をダウンロードし、これをローカルの第1の中間記憶装置30に記憶する。中央データ記憶装置42は、集約装置41によって集約されたデータを含む。本実施例においては、集約装置41は、サーバ装置40の構成要素であるが、集約装置41の全体又は一部をサーバ装置40の上流に配置することも可能である。装置20は、例えば自動化された自動車又は自律的な自動車(図示せず)に配置されている。
【0032】
自動車のセンサ装置10は、周囲における現在のデータ又はデータオブジェクトを検出することができる。センサ装置10は、好ましくは自動車のビデオセンサ、レーダセンサなどとして構成されている。センサ装置10によって、自動車の周囲においてデータを検出することが可能である。センサ装置10によって、検出された周囲データの地理的参照を、例えばGPSセンサ(全地球測位システム)を用いてWGS84座標(世界測地系1984)の形態で、又は、検出されたデータオブジェクトの位相幾何学的記述の形態で作成することも可能である。このようにして、検出された周囲データがロケーションに具体的に対応付けられる。
【0033】
センサ装置10は、特に、ポイントクラウド、線特徴などの形態で画像データを検出する。上述したデータは、例えば、樹木、街灯装置、建物などのような意味的特徴を含むこともできる。
【0034】
装置20によって、検出された周囲データが、どのようにして、又は、いつ、集約装置41上での集約のために伝送されるかが決定される。集合的に検出された、地理的参照された周囲データから、集約装置41によって位置特定用基準データ又はランドマークデータが集約される。これらのデータは、中央データ記憶装置42に記憶され、自動車用の自車両位置特定の目的で利用可能であり、これによって、最終的に、それぞれの自動車の位置特定の改善が支援されている。このために装置20は、優先度決定装置として構成されており、多段階での優先度決定プロセスを実施する。この装置20は、構成要素として検証装置21と、関連度分類装置22と、第2の中間記憶装置23とを含む。図示されていない選択的形態においては、上述した構成要素を自動車内で互いに別個に配置することも考えられる。
【0035】
周囲データのアップロードの優先度決定に関して、まず始めに、センサ装置10によって検出されたデータが、検証装置21によって、第1の中間記憶装置30からの対応するデータと比較される。この場合、第1の中間記憶装置30内のデータは、サーバ装置40の中央データ記憶装置42の既知のデータの部分集合である。第1のステップにおいては、検出された周囲データと、既知の周囲データとの類似性が検査され、比較の結果として、定量化された新規性値Nが、以下の関係式に従って第1の優先度係数P1にマッピングされる:
P1=f(N) (1)
【0036】
このようにして、検出されたそれぞれのデータオブジェクトに対して第1の優先度係数P1が割り当てられ、なお、この場合には、
・新規性Nが大きい場合には、P1は大きく、
・新規性Nが小さい場合には、P1は小さい、
が当てはまる。
【0037】
次のステップにおいては、関連度分類装置22によって、検出されたそれぞれのデータオブジェクトに対して、データオブジェクトタイプに関する関連度Rが検査され、それぞれのデータオブジェクトに対して、それぞれのデータタイプtに応じて関連度Rが割り当てられ、この関連度Rは、以下の関係式に従って第2の優先度係数P2にマッピングされる:
P2=f(R) (2)
【0038】
このようにして、検出されたそれぞれのデータオブジェクトに対して第2の優先度係数P2が割り当てられ、なお、この場合には、
・データオブジェクトタイプtの関連度Rが高い場合には、P2は大きく、
・データオブジェクトタイプtの関連度Rが低い場合には、P2は小さい、
が当てはまる。
【0039】
このようにして、検出されたデータオブジェクトに対して、対応する優先度係数P1及びP2が特定された後、当該データオブジェクトに対して、2つの優先度係数P1,P2から、例えば、以下の関係式に従って総優先度係数PGが特定される:
PG=P1+P2 (3)
【0040】
優先度係数P1,P2の間における他の計算手順も考えられ、優先度係数P1,P2を重み付けすることも可能である。
【0041】
総優先度係数PGに起因して、データオブジェクトは、装置20の第2の中間記憶装置23に伝送される。第2の中間記憶装置23においては、データオブジェクトの総優先度係数PGに基づいて、どのデータオブジェクトがいつ、どのようにしてサーバ装置40にアップロードされるかが決定され、このサーバ装置40において、データオブジェクトは、その後、集約装置41によってさらに処理され、次いで、集約結果が中央データ記憶装置42に記憶される。総優先度係数PGが、例えば、システム全体で既知の規定された閾値SWに達するか又は超過した場合には、対応するデータオブジェクトの、サーバ装置40への直接的な伝送が開始され、この伝送は、利用可能な無線技術に応じて、移動無線を介して、利用可能であれば好ましくはWLANを介して実施される。上述した閾値SWは、好ましくはサーバ装置40にも既知であり、例えばサーバ装置40から装置20に伝送することができる。
【0042】
これに対して、総優先度係数PG<SWである場合には、対応するデータオブジェクトは即座には伝送されず、差し当たり第2の中間記憶装置23に中間記憶される。この場合には、データオブジェクトをより後の時点に、例えばデータオブジェクトの総優先度係数PGの順序で(大きい優先度係数PGが先、小さい優先度係数PGが後)サーバ装置40に伝送又はアップロードするために、十分に大きく、空いていて、ひいては低コストである通信帯域幅が利用可能となるまで(例えば、WLANの利用可能性による)、この中間記憶を実施することが好ましい。
【0043】
装置20の技術的な実装は、好ましくは自動車の電子制御装置(図示せず)のソフトウェアとして実現され、これによって、装置20の性能特性の簡単な更新及び修正が支援されている。これに代えて、装置20をハードウェアとして、例えばASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)として実装することも可能である。
【0044】
図示されていない変形形態においては、サーバ装置40を自動車の内部に配置することも可能である。この場合には、伝送すべきデータ量が車載データベースに合わせて最適化されており、これによって、伝送すべきデータ量をより効率的に設計することができるという利点を達成することが可能となる。
【0045】
図2は、本方法の原理的なシーケンスを示す。
【0046】
ステップ200においては、センサ装置10によって、自動車の周囲データが検出される。
【0047】
ステップ210においては、検出された周囲データに対する地理的参照が作成される。
【0048】
ステップ220においては、検出された周囲データをサーバ装置40のデータ記憶装置42の既知の周囲データと比較することによって、検出された周囲データが評価される。
【0049】
最後にステップ230においては、評価に基づいて、検出された周囲データがサーバ装置40にアップロードされる。
【0050】
以上をまとめると、本発明によれば、自動車のデータの、サーバ装置へのアップロードを、データオブジェクトの事前の評価に基づいて実施することを可能にする方法及び装置が提案される。このようにして、利用可能な通信帯域幅を効率的に利用することが可能となり、これによって、システム全体ができるだけ多数の交通参加者を効率的にリンクさせることが可能となる。
【0051】
これによって、さらに有利には、例えば位置特定のために実際に必要とされるデータだけがサーバに伝送されることが支援されている。
【0052】
当業者は、本発明の核心から逸脱することなく本発明の特徴を適切に変更し、及び/又は、互いに組み合わせるであろう。
図1
図2