(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記食品改質剤が、水100mLに該食品改質剤を30質量%になるように添加・混合し、得られた混合物を内径30mm×長さ150mm×厚さ0.1mmの塩化ビニリデン製チューブに充填し、温度95℃で45分間加熱し、その後、冷却して、温度5℃で24時間保存したときに、8g/cm2以上の破断強度を有し、硬く、弾力を有するゲル形成性および強度を有する請求項1に記載の食品改質剤。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[食品改質剤]
本発明の食品改質剤は、グルテンおよびバイタルグルテンから選択されるグルテン成分と、電荷および/または還元性を有する食品素材とを含む食品改質剤であり、
該食品改質剤は、
(A)水96mLに該食品改質剤4gを添加・混合し、得られた混合物の撹拌下に大豆油100gを添加・混合し、次いで得られた混合物を乳化処理に付し、得られた乳化物を容量100mlの比色管に移し、24時間静置したときの乳化物残存率が70〜100体積%である乳化安定性、および
(B)水90mLに該食品改質剤10gを添加・混合し、次いで得られた混合物を8.6メッシュ、18メッシュ、42メッシュ、60メッシュおよび235メッシュのJIS標準篩に通したときに、8.6メッシュおよび18メッシュのJIS標準篩上に残存する凝集物の合計残存率が40質量%未満である分散性
を有することを特徴とする。
本発明の食品改質剤に含まれる成分は、すべて食品そのもの、または指定添加物リストや既存添加物名簿収載品目リストなどに掲載された厚生労働省認定の食品添加物である。
以下、本発明の食品改質剤の特徴的な物性、その構成成分およびその製造方法について説明する。
【0015】
[乳化安定性]
本発明の食品改質剤は、水96mLに該食品改質剤4gを添加・混合し、得られた混合物の撹拌下に大豆油100gを添加・混合し、次いで得られた混合物を乳化処理に付し、得られた乳化物を容量100mlの比色管に移し、24時間静置したときの乳化物残存率が70〜100体積%である乳化安定性を有する。
本発明においては、完全乳化状態になる乳化物残存率100体積%が最も好ましい形態であり、被添加食品の種類や所望の乳化状態によっては、乳化物残存率が70体積%以上であればよい。好ましい乳化物残存率は75体積%以上である。
乳化物残存率は、15〜25℃程度の常温下で測定すればよく、測定方法の詳細については、実施例において説明する。
【0016】
[ゲル成形性]
本発明の食品改質剤は、後述するような用途の中でも麺類などに用いる場合には、水100mLに該食品改質剤を30質量%になるように添加・混合し、得られた混合物を内径30mm×長さ150mm×厚さ0.1mmの塩化ビニリデン製チューブに充填し、温度95℃で45分間加熱し、その後、冷却して、温度5℃で24時間保存したときに、8g/cm
2以上の破断強度を有し、硬く、弾力を有するゲル形成性および強度を有するのが好ましい。
本発明においては、ゲル成形性の指標となる破断強度が8g/cm
2以上であり、硬く、弾力を有するゲルであるのが好ましく、20g/cm
2以上の破断強度を有し、非常に硬く、弾力を有するゲルであるのがより好ましい。
破断強度が8g/cm
2未満では、本発明の優れた効果が発揮されないことがある。
ゲルの破断強度は、15〜25℃程度の常温下で測定すればよく、測定方法の詳細については、実施例において説明する。
【0017】
[分散性]
本発明の食品改質剤は、水90mLに該食品改質剤10gを添加・混合して静置したときに、得られた混合液が、凝集物がなく均一に分散するか、または小さな凝集物が多く存在する性状である分散性を有するのが好ましい。
さらに、本発明の食品改質剤は、水90mLに該食品改質剤10gを添加・混合し、次いで得られた混合物を8.6メッシュ、18メッシュ、42メッシュ、60メッシュおよび235メッシュのJIS標準篩に通したときに、8.6メッシュおよび18メッシュのJIS標準篩上に残存する凝集物の合計残存率が40質量%未満である分散性を有する。
混合液が、凝集物塊を形成するが軽い撹拌で分散する、さらには凝集物塊を形成し、軽い撹拌でも分散しない性状であるような分散性では、本発明の優れた効果が発揮されないことがある。
分散性は、15〜25℃程度の常温下で測定すればよく、測定方法の詳細については、実施例において説明する。
【0018】
[グルテン成分]
本発明の食品改質剤の主成分であるグルテン成分としては、当該技術分野で公知のグルテン類、具体的には、グルテンおよびバイタルグルテンが挙げられる。
(1)グルテン
小麦粉に少量の水を添加して捏ねると、小麦中のタンパク質、グリアジンとグルテニンによって三次元網状構造(ネットワーク)が形成され、特異な粘弾性をもつドウが得られる。グルテンは、このドウを多量の水でデンプン、水性成分を洗い出すと得られる灰褐色のガム状の粘弾性物質である。
対象となる穀物は小麦に限定されず、タンパク質であるグルテンを含む穀類であればよく、例えば、米、大麦、もろこし、ライ麦などが挙げられる。これらの中でも、優れた起泡性や乳化性を被添加食品に付与し得る観点から小麦が特に好ましい。
本発明におけるグルテンは、生グルテン(ウエットグルテン)またはしっぷ(湿麩)ともいい、上記のように穀物から分取され、乾燥工程を経ていないもの、さらに乾燥工程を経て次項のバイタルグルテンを得、これに水を加えて混錬したもののいずれであってもよい。それらの水分量は、通常、60〜70質量%である。
本発明では、公知の方法で穀物から調製したグルテン、市販のグルテンを用いることができる。
(2)バイタルグルテン
バイタルグルテンは、グルテンのタンパク質の性質を変えないように乾燥して粉末化したもので、水を加えると元のグルテン(生グルテン)に復元する性質を有する。活性グルテン、穀物が小麦の場合には、活性小麦タンパク質または粉末状小麦タンパク質ともいう。
本発明では、公知の方法で穀物から調製したバイタルグルテン、市販のバイタルグルテンを用いることができる。
【0019】
[食品素材]
本発明の食品素材は、電荷および/または還元性を有しかつ食品の被添加成分の特性を損なわないものであれば特に限定されず、食品の被添加成分により適宜選択される。
「電荷を有する」とは、食品素材が水に溶解または分散されたときに、アニオン性またはカチオン性を有することを意味する。
「還元性を有する」とは、他の物質を還元させ、自身が酸化することに伴い、電荷を発現することを意味する。
食品素材としては、例えば、タンパク質、加工デンプン、増粘化合物および糖などが挙げられ、これらから選択されるのが好ましい。
以下に具体的な食品素材を例示するが、これらはいずれかを単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
(1)タンパク質
タンパク質としては、例えば、両性電解質であるタンパク質、アルブミンおよびグロブリンから選択される1種以上のαラクトアルブミン、血清アルブミン、βラクトアルブミン、大豆グロブリン、ミオゲン、リゾチーム、ミオシンやその加水分解物ならびにグルテンの加水分解物が挙げられる。
具体的には、例えば、乳清タンパク質、カゼインナトリウム、大豆タンパク質、エンドウタンパク、卵白およびゼラチンが挙げられ、これらから選択されるのが好ましい。さらに、これらのタンパク質の中でも、本発明の効果、被添加食品との相性などの点で、乳清タンパク質、エンドウタンパクが特に好ましい。
【0021】
タンパク質は、グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、0.5〜50質量部含まれるのが好ましい。
タンパク質が0.5質量部未満では、本発明の優れた効果が発揮されないことがある、一方、50質量部を超えてタンパク質を配合しても、それ以上の効果が期待できないことがある。
タンパク質の配合量は、グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、10〜50質量部であるのがより好ましく、10〜30質量部であるのがさらに好ましく、15〜30質量部であるのが特に好ましい。
【0022】
したがって、食品素材が乳清タンパク質、カゼインナトリウム、大豆タンパク質、エンドウタンパク、卵白、ゼラチンおよびグルテンの加水分解物から選択されるタンパク質であり、タンパク質がグルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、0.5〜50質量部含まれるのが好ましい。
【0023】
(2)加工デンプン
加工デンプンは、例えば、電荷を有する、酸化デンプンおよびリン酸架橋デンプンが挙げられ、これらから選択されるのが好ましい。
加工デンプンの原料となる小麦デンプンは電荷を有さず、本発明の食品素材からは除外される。
【0024】
加工デンプンは、グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、0.5〜50質量部含まれるのが好ましい。
加工デンプンが0.5質量部未満では、本発明の優れた効果が発揮されないことがある、一方、50質量部を超えて加工デンプンを配合しても、それ以上の効果が期待できないことがある。
加工デンプンの配合量は、グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、10〜50質量部であるのがより好ましく、10〜30質量部であるのがさらに好ましく、15〜30質量部であるのが特に好ましい。
【0025】
したがって、食品素材が酸化デンプンおよびリン酸架橋デンプンから選択される加工デンプンであり、加工デンプンがグルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、10〜50質量部含まれるのが好ましい。
【0026】
(3)増粘化合物
増粘化合物は、例えば、カチオンに荷電したキトサン、アニオンに荷電したカラギーナンやアルギン酸などの高分子電解質やその加水分解物が挙げられ、これらから選択されるのが好ましい。
【0027】
増粘化合物は、グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、0.01〜50質量部含まれるのが好ましい。
増粘化合物が0.01質量部未満では、本発明の優れた効果が発揮されないことがある、一方、50質量部を超えて増粘化合物を配合しても、それ以上の効果が期待できないことがある。
増粘化合物の配合量は、グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、0.05〜10質量部であるのがより好ましく、0.08〜5質量部であるのがさらに好ましく、0.1〜0.5質量部であるのが特に好ましい。
【0028】
したがって、食品素材がキトサン、アルギン酸およびカラギーナンから選択される増粘化合物であり、増粘化合物がグルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、0.01〜50質量部含まれるのが好ましい。
【0029】
(4)糖
糖は、例えば、還元性を有するフルクトース、キシロース、グルコースなどの糖が挙げられ、これらから選択されるのが好ましい。さらに、これらの糖の中でも、本発明の効果、被添加食品との相性などの点で、還元性を有するフルクトースが特に好ましい。
【0030】
糖は、グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、0.5〜50質量部含まれるのが好ましい。
糖が0.5質量部未満では、本発明の優れた効果が発揮されないことがある、一方、50質量部を超えて糖を配合しても、それ以上の効果が期待できないことがある。
糖の配合量は、グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、10〜50質量部であるのがより好ましく、10〜30質量部であるのがさらに好ましく、15〜30質量部であるのが特に好ましい。
【0031】
したがって、食品素材が糖としてのフルクトースであり、糖がグルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して、0.5〜50質量部含まれるのが好ましい。
【0032】
[食品改質剤の形態]
本発明の食品改質剤は、加工食品である被添加食品に添加し易い形態であれば特に限定されず、粉末状や固塊状などの固体、分散液状やペースト状のような液体のいずれであってもよいが、流通や保管における簡易性、使用簡便性を踏まえると、固形状が好ましく、粉末状が特に好ましい。
【0033】
[食品改質剤の製造方法]
本発明の食品改質剤の製造方法は、
(a)グルテン成分を酸性溶液に分散させてグルテン成分の酸性分散液を得る工程、
(b)得られた酸性分散液に食品素材を添加して混合溶液を得る工程、および
(c)得られた混合溶液にアルカリ溶液を添加して中和混合溶液を得る工程
または
(a)グルテン成分を酸性溶液に分散させてグルテン成分の酸性分散液を得る工程、
(b’)得られた酸性分散液にアルカリ溶液を添加して中和溶液を得る工程、および
(c’)得られた中和溶液に食品素材を添加して中和混合溶液を得る工程
を含み、
前記工程(a)〜(c)、(b’)および(c’)が、0℃以上でかつ前記グルテン成分の変性温度以下で行われることを特徴とする。
【0034】
グルテン成分および電荷を有する食品素材の種類や組み合わせにより、前者の工程(a)、(b)および(c)、後者の工程(a)、(b’)および(c’)を選択すればよく、例えば、電荷を有する食品素材がキトサンやアルギン酸のような増粘化合物である場合には、前者の工程が好ましく、電荷を有する食品素材がカゼインナトリウムのようなタンパク質である場合には、後者の工程が好ましい。
【0035】
すべての工程は、0℃以上でかつグルテン成分の変性温度以下で行われる。
これらの処理温度がグルテン成分の変性温度を超えると、グルテンが変性して乳化安定性が低下する。
含水グルテンは70℃以上の温度に曝されると変性を起こすため、反応温度は60℃以下が好ましく、15〜35℃がより好ましい。
本発明の食品改質剤の製造方法については、実施例においてより具体的に説明する。
【0036】
工程(a)
グルテン成分を酸性溶液に分散させてグルテン成分の酸性分散液を得る。
グルテン成分の酸性分散液の濃度は特に限定されないが、処理効率などの点から10〜40%が好ましく、20〜40%がより好ましい。
用いる酸としては、塩酸、酢酸、リン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
分散液のpHは特に限定されないが、pH5.0未満が好ましく、pH3.0〜4.5がより好ましい。
グルテンを含む混合溶液の分散には、ホモミキサー、二軸エクストルーダーなど公知の分散装置を用いることができ、それらの運転条件は適宜設定すればよく、以下に説明する各工程の分散についても同様である。
【0037】
混合溶液中のグルテンの分散を促進する目的で、必要に応じて分散剤を添加してもよい。本発明の効果を阻害しない限りにおいて、分散剤は特に限定されず、例えば、酸化還元剤、酸化還元酵素、塩類、乳化剤などが挙げられ、具体的には、ピロ亜硫酸ナトリウム、システイン、グルコースオキシダーゼ、などの酸化還元酵素、酢酸モノグリセライドなどの有機酸系乳化剤が挙げられる。
それらの添加量は、適宜設定すればよい。
【0038】
工程(b)
得られたグルテン成分の酸性分散液に食品素材を添加して混合溶液を得る。
上記の配合割合の食品素材をグルテンの酸性分散液に加えて、さらに混合する。
【0039】
工程(c)
得られた混合溶液にアルカリ溶液を添加して中和混合溶液を得る。
用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。
分散液のpHは特に限定されないが、pH8.0未満が好ましく、pH6.0〜7.5がより好ましい。
【0040】
工程(b’)
得られた酸性溶液にアルカリ溶液を添加して中和溶液を得る。
この工程は、上記の工程(c)に準ずる。
【0041】
工程(c’)
得られた中和溶液に食品素材を添加して中和混合溶液を得る。
この工程は、上記の工程(b)に準ずる。
【0042】
後処理工程
本発明の食品改質剤の使用形態によっては、上記工程において得られた液体状混合物(分散液、ペースト液)をそのまま用いることもできるが、水分調整を要する場合や固体状で用いる場合には、公知の乾燥装置を用いて乾燥させてもよい。
乾燥は真空乾燥、気流乾燥、凍結乾燥などが良く使用されるが、加熱による熱変性を防止するためにフラッシュドライ(連続瞬間気流乾)法や真空乾燥法が好ましく60℃以下の乾燥または凍結乾燥が好ましい。
【0043】
[その他の成分]
本発明の安定化乳化剤組成物は、その用途に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、食品衛生法による食品添加剤の規格基準に適合したシリコーン消泡剤(例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、製品名:TSA737F)や、糊料(キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、グアガム)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル)、静菌剤(グリシン、アラニン)などが挙げられる。
それらの配合割合は、本発明の効果が阻害されない範囲で適宜設定すればよい。
【0044】
[食品改質剤の用途]
本発明の食品改質剤は、優れた分散性、起泡性および乳化力と乳化安定性を備えているので乳化剤として機能する食品素材として使用できる。また、食品改質剤は熱ゲル化性を有するため加工食品に対して弾力感などの従来の加工食品にはない斬新な食感を備えさせることができるため、食感改質剤として機能する食品素材としても使用できる。
また、発明の食品改質剤は、例えば、従来の乳化剤の代わりに被添加食品に添加して用いることができる。このような被添加食品としては、例えば、ソーセージ、ハンバーグ、ロースハム、ベーコンなどの食肉加工品;中華麺、うどん、そば、パスタ類などの麺類;クッキー、ドーナツ、スナック菓子、シリアル食品などの菓子類;食パン、バターロール、スポンジケーキ、マフィンなどのパン類;その他として、バッターミックス、たん白強化食品、各種冷凍食品などが挙げられる。
【0045】
このように本発明の食品改質剤は、従来にはない新しいタイプのタンパク素材(食品素材)として、様々な加工食品に用いることができる。
さらに、本発明の食品改質剤により、酢酸やアルカリ剤を使用することなく容易に高濃度のグルテン分散液を得ることができるため、酸や酵素によるグルテンの加水分解物を簡便に効率的かつ高品質な加水分解調味料やペプチドを調製することができる。
【0046】
被添加食品またはその原料混合物に対して、本発明の食品改質剤の粉末を直接添加するか、本発明の食品改質剤の水分散品やペーストを直接添加するか、それらを使用する水に希釈・分散して用いることができる。
添加量は、通常、被添加食品100質量部に対して1〜6質量%であるが、被添加食品の種類や所望の特性(物性)により適宜設定すればよい。
【実施例】
【0047】
本発明を製剤例および試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0048】
製剤例および試験例においては、次の原料を使用した。
(A)グルテン成分
小麦粉100質量部に水70質量部を加え混錬して生地(ドウ)を得、得られたドウを水洗してデンプン成分を除去し、得られた小麦グルテン(水分量67質量%の生グルテン)を製剤原料として用いた。
【0049】
(B)タンパク質
乳清タンパク質
(電荷あり、日本新薬株式会社製、製品名:エンラクトHG)
カゼインナトリウム
(電荷あり、日本新薬株式会社製、製品名:カゼインナトリウムLW)
大豆タンパク質
(電荷あり、日清オイリオグループ株式会社製、製品名:ソルピー4000H)
エンドウタンパク
(電荷あり、オルガノフードテック株式会社製、製品名:エンドウたん白PPCS)
卵白
(電荷あり、キューピータマゴ株式会社製、製品名:乾燥卵白Kタイプ)
ゼラチン
(電荷あり、株式会社ニッピ製、製品名:ニッピゼラチンCSI−200)
グルテンの加水分解物
(電荷あり、株式会社光洋商会製、製品名:酵素分解小麦タンパク メリプロ500)
【0050】
(C)加工デンプン
酸化デンプン
(電荷あり、日澱化學株式会社製、製品名:ラスターゲンFO)
リン酸架橋デンプン
(電荷あり、日澱化學株式会社製、製品名:スターチ100)
【0051】
(D)増粘化合物
キトサン
(電荷あり、日本化薬フードテクノ株式会社製、製品名:キトサミン)
アルギン酸
(電荷あり、株式会社キミカ製、製品名:キミカアシッドG)
カラギーナン
(電荷あり、三菱商事フードテック株式会社製、製品名:NEWGELIN GJ−300)
【0052】
(E)糖
フルクトース(果糖)
(還元性あり、エー・ディー・エム・ジャパン株式会社製、製品名:結晶果糖フルクトース)
【0053】
(F)その他
水
(精製水、長田産業株式会社工場内の井戸により得られた水)
ピロ亜硫酸ナトリウム
(大東化学株式会社製、無水重亜硫酸ナトリウム)
塩酸
(11.7%、南海化学株式会社製、塩酸)
カセイソーダ(水酸化ナトリウム)
(12%、南海化学株式会社製、苛性ソーダ)
小麦デンプン
(電荷なし、長田産業株式会社製、製品名:浮粉)
スクロース(ショ糖)
(電荷なし、和光純薬工業株式会社、試薬)
タマリンドガム
(電荷なし、DSP五協フード&ケミカル株式会社製、製品名:グリエイト)
市販のグルテン含有食品改質剤/特開2012−044985号公報に該当
(奥野製薬工業株式会社製、製品名:プロフェクトS)
【0054】
[製剤例1]
生グルテン100質量部に、ピロ亜硫酸ナトリウム0.026質量部を加え、縦型ミキサー(エスケーミキサー株式会社製、型式:SK250−10、容量:25L)を用いて、高速回転(280rpm)で5分間撹拌した。得られた混合物にさらに11.7%塩酸3.2質量部を加え、同様の高速回転で5分間撹拌した。撹拌時の混合物はpH3.5、温度20℃であった。その後、得られた混合物に乳清タンパク質6.6質量部(グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して20質量部に相当)を加え、同様の高速回転で5分間撹拌した。
次いで、得られた混合物にさらに12%カセイソーダ4.0質量部を加え、同様の高速回転で5分間撹拌した。撹拌時の混合物はpH6.5、温度20℃であった。
次いで、得られたペースト液を真空ベルト乾燥機(株式会社日阪製作所製、型式:SBD−40)を用いて設定温度50〜65℃で乾燥させ、粉砕機(株式会社レッチェ(現:ヴァーダー・サイエンティフィク株式会社)製、型式:ZM1)を用いて粉砕して、食品改質剤粉末(「製剤1」とする)約40gを得た。
【0055】
[製剤例2〜6]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質の代わりに、それぞれタンパク質としてのカゼインナトリウム、大豆タンパク、エンドウタンパク、卵白またはゼラチンを用いること、カゼインナトリウムの場合には、カセイソーダと食品素材の添加順序を逆にすること(工程(b’)および(C’)に相当)以外は製剤例1と同様にして、食品改質剤粉末(それぞれ「製剤2〜6」とする)約40gを得た。
【0056】
[製剤例7および8]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質の代わりに、それぞれ加工デンプンとしての酸化デンプンまたはリン酸架橋デンプンを用いること以外は製剤例1と同様にして、食品改質剤粉末(それぞれ「製剤7および8」とする)約40gを得た。
【0057】
[製剤例9〜11]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質20質量部の代わりに、それぞれ増粘化合物としてのキトサン、アルギン酸またはカラギーナン6.6質量部(グルテン成分中の乾燥グルテン100質量部に対して0.5質量部に相当)を用いること以外は製剤例1と同様にして、食品改質剤粉末(それぞれ「製剤9〜11」とする)約32gを得た。
【0058】
[製剤例12]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質の代わりに、糖としての還元性を有するフルクトースを用いること以外は製剤例1と同様にして、食品改質剤粉末(「製剤12」とする)約40gを得た。
【0059】
[製剤例13]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質の代わりに、グルテンの加水分解物を用いること以外は製剤例1と同様にして、食品改質剤粉末(「製剤13」とする)約40gを得た。
【0060】
[比較製剤例1:ブランク]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質を用いないこと以外は製剤例1と同様にして、グルテン粉末(「比較製剤1」とする)約32gを得た。
【0061】
[比較製剤例2]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質の代わりに、小麦デンプンを用いること以外は製剤例1と同様にして、グルテン粉末(「比較製剤2」とする)約40gを得た。
【0062】
[比較製剤例3]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質の代わりに、スクロースを用いること以外は製剤例1と同様にして、グルテン粉末(「比較製剤3」とする)約40gを得た。
【0063】
[比較製剤例4]
食品素材のタンパク質としての乳清タンパク質20質量部の代わりに、タマリンドガム6.6質量部を用いること以外は製剤例1と同様にして、グルテン粉末(「比較製剤4」とする)約32gを得た。
【0064】
[試験例1:食品改質剤粉末の分散性評価]
製剤例1〜13で調製した食品改質剤粉末(製剤1〜13)および比較製剤例1〜4で調製したグルテン粉末(比較製剤1〜4)10g(10質量部)のそれぞれを入れた容量200mLのビーカーに、精製水90mL(90質量部)を添加し、撹拌機(新東科学株式会社製、型式:汎用撹拌機BL1200)を用いて、回転数500rpmで3分間撹拌した。撹拌後、得られた混合液の性状を観察した。
また同時に、得られた混合液をJIS規格による標準篩(JIS Z−8801:8.6メッシュ、18メッシュ、42メッシュ、60メッシュおよび235メッシュ)に通し、8.6メッシュおよび18メッシュのJIS標準篩上に残存した凝集物の
質量を合計し総
質量で除した値を合計残存率(質量%)として算出し、評価した。
【0065】
得られた観察結果を次の4段階の基準で区分し、分散性を評価した。
評価A:20質量%未満の残存率を有し、凝集物がなく均一に分散している
B:20質量%以上40質量%未満の残存率を有し、小さな凝集物が多く存在している
C:40質量%以上60質量%未満の残存率を有し、凝集物塊を形成するが軽い撹拌で分散する
D:60質量%以上の残存率を有し、凝集物塊を形成し、軽い撹拌でも分散しない
得られた結果を、製剤の成分および配合割合と共に表1に示す。
【0066】
[試験例2:食品改質剤粉末の乳化安定性の評価]
製剤例1〜13で調製した食品改質剤粉末(製剤1〜13)および比較製剤例1〜4で調製したグルテン粉末(比較製剤1〜4)4g(4質量部)のそれぞれを入れた容量300mLのビーカーに、精製水96mL(96質量部)を添加し、高速乳化・分散機ホモミキサー(プライミクス株式会社製、型式:TKホモミクサーMARK II)を用いて、回転数3000rpmで1分間撹拌した。次いで、得られた混合物を回転数3000rpmで撹拌しながら、1分間掛けて大豆油100g(100質量部)を添加し、その後、回転数10,000rpmで3分間撹拌し乳化処理を行った。
得られた乳化物を容量100mlの比色管に移し、24時間静置し、乳化相の割合(乳化物残存率:体積%)を測定し、その性状を観察した。
【0067】
得られた乳化物残存率(%)およびその性状を次の4段階の基準で区分し、乳化安定性を評価した。
評価A:75体積%以上100体積%以下の乳化物残存率を有する
B:70体積%以上75体積%未満の乳化物残存率を有する
C:70体積%以上の乳化物残存率を有するが、乳化物がゲル状を呈している
D:70体積%未満の乳化物残存率を有する
E:乳化物が油層と水相に分離している
得られた結果を、製剤の成分および配合割合と共に表1に示す。
【0068】
[試験例3:食品改質剤粉末のゲル形成性(強度)の評価]
精製水100mL(100質量部)を入れた容量200mLのビーカーに、製剤例1〜13で調製した食品改質剤粉末(製剤1〜13)および比較製剤例1〜4で調製したグルテン粉末(比較製剤1〜4)をそれぞれ30質量%になるように(43g)添加・混合した。
得られた混合物を塩化ビニリデン製チューブ(内径30mm×長さ150mm×厚さ0.1mm)に充填し、恒温水槽(株式会社ぞうや製、製品名:IHユニット)を用いて、温度95℃で45分間加熱し、その後、冷却して、温度5℃で24時間保存した。保存後、物性測定器(株式会社レオテック製、型式:FUDOHレオメーターRT−3002D)を用いて、下記の条件でゲル強度として破断強度(g/cm
2)を測定し、その性状を観察した。
【0069】
(条件)
・プランジャー:圧縮弾性用 Dφ10mm
・テーブルスピード:10cm/min
・感度:2kg
・レコーダー:HIOKI
・チャートスピード180mm/min
・感度:0.5V
・サンプル形状:直径48mm×高さ30mm
【0070】
得られた破断強度(g/cm
2)およびその性状を次の4段階の基準で区分し、ゲル形成性(強度)を評価した。
評価A:20g/cm
2以上の破断強度を有し、非常に硬く、弾力を有するゲルである
B:8g/cm
2以上20g/cm
2未満の破断強度を有し、硬く、弾力を有するゲルである
C:4g/cm
2以上8g/cm
2未満の破断強度を有し、硬さ・弾力が共に弱いゲルである
D:4g/cm
2未満の破断強度を有し、辛うじて自立状態を保つゲルである
【0071】
特許文献1に該当する市販のグルテン含有食品改質剤を比較製剤5として、試験例1〜3と同様にして評価した。
試験例1〜3の測定および評価結果を、製剤の原料およびそれらの配合量と共に、表1および表2に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
表1および表2の結果から、次のことがわかる。
(1)本発明の食品改質剤粉末(製剤1〜13)は、殆ど均一に水に分散する分散性および良好な乳化安定性を有し、組み合わせる食品素材により異なるものの、良好なゲル形成性(強度)を有することがわかる。
(2)ブランクのグルテンのみ(比較製剤1)は、分散性および乳化安定性に劣ることがわかる。
(3)電荷を有さない食品素材(小麦デンプン、スクロースおよびタマリンドガム)との組み合わせ(比較製剤2〜4)は、70%前後の乳化物残存率を有するものの、分散性に劣ることがわかる。
(4)特許文献1に該当する市販のグルテン含有食品改質剤(比較製剤5)は、分散性に優れるものの、乳化安定性に劣り、水相と分離してしまうことがわかる。