(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6494850
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】遮蔽扉
(51)【国際特許分類】
E06B 5/18 20060101AFI20190325BHJP
E06B 7/18 20060101ALI20190325BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20190325BHJP
E05C 17/14 20060101ALI20190325BHJP
E05C 17/58 20060101ALI20190325BHJP
E05F 15/72 20150101ALI20190325BHJP
【FI】
E06B5/18
E06B7/18 A
E06B7/22 J
E05C17/14
E05C17/58
E05F15/72
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-207002(P2018-207002)
(22)【出願日】2018年11月2日
【審査請求日】2018年11月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596013224
【氏名又は名称】株式会社関東技研
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 洋伸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 洋
【審査官】
小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3035649(JP,U)
【文献】
特開平10−184226(JP,A)
【文献】
特開平10−008851(JP,A)
【文献】
特許第6165587(JP,B2)
【文献】
特開2007−070950(JP,A)
【文献】
日本原子力発電株式会社,東海第二発電所 ブローアウトパネルについて,2017年10月12日,第10、11頁参照。,[2018年11月30日検索],URL,http://www.japc.co.jp/shinsei/tokai/pdf/20171012_11.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00−5/20
E06B 7/16−7/24
E05F 1/00−13/04
E05F 15/00−15/79
E05C 17/00−17/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋に複数配置されたブローアウトパネルが開放された後の一の開口部を塞ぐための開閉板と、
前記開閉板が回動可能に設けられ前記開口部の周縁の取付範囲にそこから出ないように取付可能な枠体と、
前記開閉板が前記開口部を延長した空間に存在しないように開いた状態を維持する開手段と、
前記開手段が解除されたときに前記開閉板で前記開口部を密閉するために介在させるシール材と、を有し、
前記開手段は、前記枠体に固定された支持材に係止することで前記開閉板を水平に保持し、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記支持材への係止が外れた前記開閉板を前記シール材に押し付けるための弾性体を備える、
ことを特徴とする遮蔽扉。
【請求項2】
建屋に複数配置されたブローアウトパネルが開放された後の一の開口部を塞ぐための開閉板と、
前記開閉板が回動可能に設けられ前記開口部の周縁の取付範囲にそこから出ないように取付可能な枠体と、
前記開閉板が前記開口部を延長した空間に存在しないように開いた状態を維持する開手段と、
前記開手段が解除されたときに前記開閉板で前記開口部を密閉するために介在させるシール材と、を備え、
前記開手段は、前記枠体に固定された支持材に係止することで前記開閉板を水平に保持し、
前記シール材に傾斜面を設けることにより、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記支持材への係止が外れた前記開閉板がその自重によって前記シール材の傾斜面に押し付けられる、
ことを特徴とする遮蔽扉。
【請求項3】
前記シール材は、感圧ゴムであり、前記開閉板による押付圧力を遠隔監視可能に出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遮蔽扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の建屋などに設けたブローアウトパネルが開放されたときに開口部を塞ぐための遮蔽扉に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所など原子力施設においては、原子炉建屋やタービン建屋の壁に予め開口部を設け、ブローアウトパネル(破裂板式安全装置)で塞いでいる。放射性物質を含む水蒸気などが原子炉格納容器などから漏洩したとしても気密性は維持されているが、建屋内の圧力が急激に増加した場合に、建屋全体の爆発を避けるためにブローアウトパネルを開放して圧力を逃がす構造を取っている。
【0003】
ブローアウトパネルは、建屋内の圧力上昇により建屋に固定するための部材が変形することで外れ、建屋の外側に落下するタイプと、主蒸気建屋内の圧力上昇により中央部が開裂し、周辺部分が塑性変形して外周部に拡がることで中央部が開口するタイプのものがある。特許文献1に記載されているように、全電源喪失状態でも遠隔からブローアウトパネルを開放でき、設置に際しては建屋外部から施工することができるブローアウトパネル開放装置の発明も開示されている。
【0004】
建屋内に放射性物質があれば、ブローアウトパネルの開放により大気にも漏洩するおそれがある。建屋が爆発するよりは放射性物質の漏洩は少なくて済むと考えられるが、ブローアウトパネルを開放したままだと、徐々に放射性物質が大気に漏洩していくため、建屋内の圧力が下がったら開口部を塞ぐ必要性が生じる。特許文献2に記載しているように、原子力発電所の建屋などに設けたブローアウトパネルが開放されたときに開口部を塞ぐための遮蔽扉の気密維持機構の発明も開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6165587号公報
【特許文献2】特願2018−115772号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原子炉建屋で発生させた蒸気は、主蒸気管トンネル室を介してタービン建屋に送られ、発電に利用されるが、主蒸気管トンネル室のブローアウトパネルは、壁一面に密集して複数個が設置されている。しかしながら、特許文献2に記載の遮蔽扉は、横方向にスライドさせて開口部を塞いでおり、複数のブローアウトパネルが密集している場合や、建屋との間隔が狭く既設構造物等と干渉する場合など、設置するスペースが無いケースもある。
【0007】
そこで、本発明は、原子力発電所の建屋などに密集、隣接、場合によっては不規則に複数配置されたブローアウトパネルが開放されたときに開口部を塞ぐための遮蔽扉を、周囲と干渉しないように設置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明である遮蔽扉は、建屋に複数配置されたブローアウトパネルが開放された後の一の開口部を塞ぐための開閉板と、前記開閉板が回動可能に設けられ前記開口部の周縁の取付範囲にそこから出ないように取付可能な枠体と、前記開閉板が前記開口部を延長した空間に存在しないように開いた状態を維持する開手段と、前記開手段が解除されたときに前記開閉板で前記開口部を密閉するために介在させるシール材と、を有し、前記開手段は、前記枠体に固定された支持材に係止することで前記開閉板を水平に保持し、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記支持材への係止が外れた前記開閉板を前記シール材に押し付けるための弾性体を備える、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明である遮蔽扉は、建屋に複数配置されたブローアウトパネルが開放された後の一の開口部を塞ぐための開閉板と、前記開閉板が回動可能に設けられ前記開口部の周縁の取付範囲にそこから出ないように取付可能な枠体と、前記開閉板が前記開口部を延長した空間に存在しないように開いた状態を維持する開手段と、前記開手段が解除されたときに前記開閉板で前記開口部を密閉するために介在させるシール材と、を備え、前記開手段は、前記枠体と前記開閉板とをリニアアクチュエータで繋ぐことで前記開閉板を水平に保持し、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記開閉板を前記リニアアクチュエータによって前記シール材に押し付ける、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明である遮蔽扉は、建屋に複数配置されたブローアウトパネルが開放された後の一の開口部を塞ぐための開閉板と、前記開閉板が回動可能に設けられ前記開口部の周縁の取付範囲にそこから出ないように取付可能な枠体と、前記開閉板が前記開口部を延長した空間に存在しないように開いた状態を維持する開手段と、前記開手段が解除されたときに前記開閉板で前記開口部を密閉するために介在させるシール材と、を備え、前記開手段は、前記枠体に固定された支持材に係止することで前記開閉板を水平に保持し、前記シール材に傾斜面を設けることにより、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記支持材への係止が外れた前記開閉板がその自重によって前記シール材の傾斜面に押し付けられる、ことを特徴とする。
【0011】
さらに前記遮蔽扉において、前記シール材は、感圧ゴムであり、前記開閉板による押付圧力を遠隔監視可能に出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原子力発電所の建屋などに密集・隣接して複数配置されたブローアウトパネルが開放されたときに、お互いに干渉することなく、各開口部を塞ぐことができる。建屋内の圧力が逃げた後に、遮蔽扉を押し付けるように開口部を密閉することで、放射性物質が徐々に大気へ漏洩していくのを抑えることができる。
【0013】
ブローアウトパネルごとに遮蔽扉を取り付けるので、開口部が不規則な配置でも取り付けることが可能であり、さらに小型軽量化することができるので、作業スペースが狭くても取り付けることができる。また、遮蔽扉ごとに交換などメンテナンスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明である遮蔽扉を備えたブローアウトパネルが複数配置された建屋を示す正面図及び側面図である。
【
図2】本発明である遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明である遮蔽扉で開口部を塞いだ状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明である遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明である遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明である遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明である遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明である遮蔽扉で開口部を塞いだ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0016】
まず、本発明である遮蔽扉について説明する。
図1は、遮蔽扉を備えたブローアウトパネルが複数配置された建屋を示す(a)正面図及び(b)側面図である。
図2は、遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
図3は、遮蔽扉で開口部を塞いだ状態を示す斜視図である。
図4は、遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
【0017】
図1(a)に示すように、建屋100は、原子力施設における原子炉建屋やタービン建屋であり、安全装置としてブローアウトパネル200を備える。原子炉建屋で発生させた蒸気は、主蒸気管を通ってタービン建屋に送られ、発電に利用される。高圧の蒸気等により建屋100内の圧力が急激に高くなった場合、ブローアウトパネル200を破裂させて圧力を開放することにより、建屋100全体の爆発を回避する。
【0018】
図1(b)に示すように、建屋100に設けたブローアウトパネル200が高圧の蒸気等により吹き飛ばされると、それにより空いた開口部によって建屋100内の気密性が失われるため、建屋100内の圧力が下がった後に、遮蔽扉300で開口部を塞ぐ。これにより、原子炉格納容器などから放射性物質が漏洩したとしても、建屋100内の気密性を維持することが可能となる。
【0019】
ブローアウトパネル200は、建屋100の壁面に空けられた開口部を塞ぐように破裂板が取り付けられ、圧力開放時は建屋100の外側へ飛ばされて落下する。遮蔽扉300は、建屋100の外側に開いた状態で保持され、ブローアウトパネル200が外れた開口部を塞ぐように閉じられる。
【0020】
例えば、主蒸気管トンネル室においては、壁面に複数の開口部が密集するように空けられ、それぞれにブローアウトパネル200が設けられる。1つの大きな開口部を区分して複数の小さな開口部として配列される。複数の開口部をまとめて塞ぐ遮蔽扉300を取り付けても良いし、開口部ごとに遮蔽扉300を取り付けても良い。
【0021】
しかし、開口部が不規則に配置される場合もあり、さらに、主蒸気管トンネル室と建屋との間にはスペースが少ないため、サイズが大きくて重量のある遮蔽扉300を取り付けるのは困難である。また、個別に遮蔽扉300を取り付ける場合には、区分されていることから取り付ける範囲に制限が生じる。
【0022】
図2及び
図3に示すように、ブローアウトパネル200が設けられた開口部110ごとに遮蔽扉300を取り付ける。遮蔽扉300は、開口部110の周縁に着脱可能に取り付けられるが、隣接する他の開口部にも別の遮蔽扉が取り付けられることから、周囲に干渉しないように取付範囲120からはみ出さないようにサイズが制限される。また、遮蔽扉300を開閉させたときに、隣接する建屋との間隔に収まるようにサイズが制限される。
【0023】
遮蔽扉300は、開口部110を塞ぐための開閉板320、開閉板320が回動可能に設けられた枠体310、開閉板320を開いた状態で維持するための開手段、開閉板320で開口部110を密閉するために介在させるシール材330等を有する。
【0024】
開閉板320は、枠体310の上部に蝶番等のヒンジ340によって、上(水平状態)から下(垂直状態)へ回動可能に設けられた金属等の扉である。上に開いた状態においては、開閉板320が水平に保持されれば良い。下に閉じた状態においては、シール材330に押し付けられれば良い。なお、開閉板320を下(水平状態)から上(垂直状態)へ回動可能に設けても良い。また、縦方向ではなく横方向に回動可能に設けても良い。例えば、枠体310の左部又は右部において開口部110と直角な状態から、開口部110と平行な状態に回動させても良い。
【0025】
枠体310は、開口部110と同様に内部が空いた枠であり、開口部110に合わせて取り付けても取付範囲120からはみ出さない。なお、開閉板320、シール材330、ヒンジ340、支持材350、ガススプリング360、及びラッチ370についても、取付範囲120を建屋100の外側へ延長した空間内に収まる。
【0026】
開手段は、枠体310に固定された支持材350に対しラッチ370により開閉板320を係止することで、開閉板320を水平に保持する。ブローアウトパネル200が開放された後に、ラッチ370を外して支持材350への係止が解除された開閉板320をシール材330に押し付けるための弾性体としてガススプリング360を備える。
【0027】
ガススプリング360は、圧縮空気の弾力性を利用した空気バネである。例えば、ガススプリング360の一端(シリンダ)を支持材350に、他端(ピストン)を開閉板320に固定する。ガススプリング360は、開閉板320の側面の片側だけでも良いし、両側に付けても良い。
【0028】
開閉板320を開いてガススプリング360を収縮(空気を圧縮)させた状態でラッチ370により係止する(
図2)。ラッチ370を外すと開閉板320の自重に加えてガススプリング360が伸張して開閉板320が閉じられ、さらにシール材330に開閉板320を押し付ける(
図3)。
【0029】
ラッチ370は、開閉板320を支持材350に係止するための留金である。例えば、支持材350を枠体310から水平に突出させておけば、開閉板320を支持材350に沿って係止すれば、開閉板320を水平に保持することが可能である。ラッチ370は、支持材350の長さを短くして開閉板320の根元側で留めても良いし、長く延ばして先端側で留めても良い。
【0030】
ブローアウトパネル200の状態を遠隔監視し、ブローアウトパネル200が開放されたときに、遠隔操作でラッチ370を解除すれば、開閉板320閉じることも可能である。開口部110全体を閉じても良いし、空いた部分だけ個別に閉じても良い。なお、閉じた開閉板320を開くときは手動で水平位置まで戻し、支持材350に対してラッチ370により係止する。
【0031】
シール材330は、枠体310と開閉板320とが重なる部分に配置することで、開閉板320を閉じたときに開口部110を気密するためのパッキング等である。シール材330も枠体310に沿って内部が空いており、開閉板320を開いた状態においては、建屋100内の圧力と共にブローアウトパネル200が通過するように、開口部110を建屋100の外側へ延長した空間には何も存在しない。
【0032】
シール材330として感圧ゴムを使用して、開閉板320による押付圧力を信号出力させることで、複数の遮蔽扉300の開閉状態を遠隔監視することが可能となる。気密性能が低下した場合には、事前に点検するなど予防保全に利用することができる。感圧ゴムではなく、リミットスイッチを設けて信号を取得しても良い。
【0033】
図4に示すように、建屋100内が高温になる等、ガススプリング360に適した環境でない場合、ガススプリング360の代わりにバネ360aを使用しても良い。バネ360aとしては、コイルバネ等を用いれば良い。
【0034】
例えば、バネ360aの一端を枠体310に、他端を開閉板320に固定する。開閉板320を開いてバネ360aを伸ばして付勢させた状態でラッチ370により係止する。ラッチ370を外すとバネ360aが元に戻って開閉板320を引き寄せ、さらにシール材330に開閉板320を押し付ける。
【実施例2】
【0035】
図5は、遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
図5に示すように、ガススプリング360やバネ360aの代わりにリニアアクチュエータ360bを使用しても良い。なお、支持材350及びラッチ370は不要となる。熱や電磁気の影響を受けにくいものが好ましい。
【0036】
リニアアクチュエータ360bは、電動、油圧、水圧又は空圧などで直線往復運動させるための装置である。電動であれば、移動速度や停止位置などを細かく制御することが可能である。例えば、リニアアクチュエータ360bの一端(シリンダ)を枠体310に、他端(ピストン)を開閉板320に固定する。リニアアクチュエータ360bを伸ばして開閉板320を開いた状態にする。リニアアクチュエータ360bを縮めれば開閉板320が閉じられ、さらにシール材330に押し付けられる。なお、遠隔操作で定期点検等の動作チェックを実施することが可能である。
【実施例3】
【0037】
図6は、遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
図7は、遮蔽扉を支持した状態を示す斜視図である。
図8は、遮蔽扉で開口部を塞いだ状態を示す斜視図である。
図6に示すように、ガススプリング360やバネ360aやリニアアクチュエータ360bを使用せずに、支持材350とラッチ370だけでも良い。
【0038】
例えば、開閉板320を開いて支持材350に対してラッチ370により係止する。ラッチ370を外すと開閉板320が自重により閉じられる。開閉板320をシール材330に押し付けるために、下ラッチ370aで係止しても良い。開閉板320がシール材330に衝突した際に下ラッチ370aでロックして、押し付けられた状態が維持されれば良い。
【0039】
また、
図7及び
図8に示すように、枠体310とシール材330の間に傾斜枠310aを介すことにより、シール材330に傾斜面を設ける。開閉板320も閉じたときに傾斜した状態となり、シール材330の傾斜面を押し付けるので、下ラッチ370aが不要となる。
【0040】
開閉板320が鉛直の場合、下ラッチ370aで係止しないと開いてしまう可能性があるが、傾斜枠310aにより角度を付ければ、開閉板320の自重により開きにくくなる。傾斜枠310aの角度は、0度より大きく、45度以下(5〜30度程度)にすれば良い。
【0041】
なお、シール材330を傾斜させても、開口部110を建屋100の外側へ延長した空間は確保する。傾斜枠310aの角度を大きくした場合には、シール材330の傾斜面の下部まで塞ぐには長さが足りなくなるので、開閉板320の長さを延ばしても良い。
【0042】
本発明によれば、原子力発電所の建屋などに密集・隣接して複数配置されたブローアウトパネルが開放されたときに、お互いに干渉することなく、各開口部を塞ぐことができる。建屋内の圧力が逃げた後に、遮蔽扉を押し付けるように開口部を密閉することで、放射性物質が徐々に大気へ漏洩していくのを抑えることができる。
【0043】
ブローアウトパネルごとに遮蔽扉を取り付けるので、開口部が不規則な配置でも取り付けることが可能であり、さらに小型軽量化することができるので、作業スペースが狭くても取り付けることができる。また、遮蔽扉ごとに交換などメンテナンスすることができる。
【0044】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
100:建屋
110:開口部
120:取付範囲
200:ブローアウトパネル
300:遮蔽扉
310:枠体
310a:傾斜枠
320:開閉板
330:シール材
340:ヒンジ
350:支持材
360:ガススプリング
360a:バネ
360b:リニアアクチュエータ
370:ラッチ
370a:下ラッチ
【要約】
【課題】原子力発電所の建屋などに複数配置されたブローアウトパネルが開放されたときに開口部を塞ぐための遮蔽扉を、周囲と干渉しないように設置する。
【解決手段】遮蔽扉は、建屋に複数配置されたブローアウトパネルが開放された後の一の開口部を塞ぐための開閉板と、前記開閉板が回動可能に設けられ前記開口部の周縁の取付範囲にそこから出ないように取付可能な枠体と、前記開閉板が前記開口部を延長した空間に存在しないように開いた状態を維持する開手段と、前記開手段が解除されたときに前記開閉板で前記開口部を密閉するために介在させるシール材と、を有し、前記開手段は、前記枠体に固定された支持材に係止することで前記開閉板を水平に保持し、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記支持材への係止が外れた前記開閉板を前記シール材に押し付けるための弾性体を備える。
【選択図】
図1