(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記青色色材が、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、及びトリアリールメタン系レーキ色材よりなる群から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載のカラーフィルタの青色着色層用色材分散液。
前記紫色色材が、C.I.ピグメントバイオレット23、アントラキノン系色材、シアニン系色材、及びキサンテン系色材よりなる群から選択される1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタの青色着色層用色材分散液。
前記青色色材が、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、及びトリアリールメタン系レーキ色材よりなる群から選択される1種以上である、請求項5又は6に記載のカラーフィルタの青色着色層用着色樹脂組成物。
前記紫色色材が、C.I.ピグメントバイオレット23、アントラキノン系色材、シアニン系色材、及びキサンテン系色材よりなる群から選択される1種以上である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のカラーフィルタの青色着色層用着色樹脂組成物。
前記バインダー成分が、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤とを含み、更に、メルカプト化合物を含有する、請求項5〜8のいずれか1項に記載のカラーフィルタの青色着色層用着色樹脂組成物。
C光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標が、x=0.120以上0.147以下、y=0.038以上0.180以下の範囲にある硬化膜を形成可能な、請求項5〜11のいずれか1項に記載のカラーフィルタの青色着色層用着色樹脂組成物。
透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項5〜12のいずれか1項に記載のカラーフィルタの青色着色層用着色樹脂組成物の硬化物である青色着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、表示装置について、順に詳細に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
また、C.I.ピグメントブルーを「PB」、C.I.ピグメントバイオレットを「PV」、C.I.ピグメントグリーンを「PG」と適宜略記する。
【0018】
[色材分散液]
本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液は、色材と、分散剤と、溶剤とを含有する色材分散液であって、
前記色材が、青色色材、紫色色材、及び、C.I.ピグメントグリーン59を含み、
前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体であることを特徴とする。
【0019】
【化2】
(一般式(I)中、R
1は水素原子又はメチル基、Aは、2価の連結基、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R
2及びR
3が互いに結合して環構造を形成してもよい。)
【0020】
本発明の色材分散液は、前記特定の色材を組合せ、且つ分散剤として、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体を組み合わせて用いることから、色材分散安定性に優れ、溶剤再溶解性が向上し、且つ青色再現域が拡大する着色樹脂組成物を形成可能である。
青色色材は、未だ原因は分からないが、溶剤再溶解性が悪い傾向があり、色材濃度を高めると、非常に溶剤再溶解性が悪くなる傾向がある。また、青色色材を用いて色材濃度を高めても、青色再現域の拡大には限界があり不十分である。特許文献1のように、青色色材と緑色色材とを混合すると、高色濃度の色度を達成することが可能な場合があるものの、溶剤再溶解性は悪かった。青色色材と緑色色材とを混合して高色濃度の色度を達成するためには、組成物中の色材濃度をかなり高くする必要があるため、溶剤再溶解性が悪くなっていると推定される。
それに対して、本発明の色材分散液においては、青色色材に、紫色色材、及び、C.I.ピグメントグリーン59と、特定の一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である分散剤とを組み合わせて用いる。
本発明において色材として用いられるC.I.ピグメントグリーン59(以下、PG59と略す場合がある)は、単色で青味の緑色を呈し、着色力が比較的強く、且つ輝度が高い。このようなPG59と青色色材の組み合わせに、更に紫色色材を組み合わせると、色材中の青色色材の含有量を抑えても、また、P/V比((組成物中の色材全質量)/(組成物中の色材以外の固形分全質量)比)を抑えても、前記高色濃度の青の色度領域に含まれる青色画素を作製することができることを見出した。そのため、青色色材分散液として好適に用いられる。また、PG59を用いて青色画素を作製すると、PG58を用いて青色画素を作製する場合よりも輝度が高くなる傾向がある。
また、前記特定の色材の組み合わせに、分散剤として一般式(I)で表される構成単位を有する重合体を組み合わせることから、前記特定の色材がそれぞれ一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位にしっかり吸着して良好に分散され、分散剤に取り囲まれた前記特定の色材が、再溶解性の溶剤に分散剤に吸着したまま流されやすいと推定される。
高色濃度の青の色度領域に含まれる青色画素を作製するための着色樹脂組成物を、色材中の青色色材の含有量を抑えて、また、P/V比を抑えて調製することが可能であり、且つ、上記特定の分散剤の作用も有する。これらのことにより、溶剤再溶解性が向上した着色樹脂組成物を形成可能であると推定される。
更に、高色濃度の青の色度領域に含まれる青色画素を作製するための着色樹脂組成物中の色材成分の合計含有量を抑えることができることから、バインダー成分の含有量を相対的に増加させることができるため、製版性が向上し、現像カケが抑制され易く、一方で現像残渣が抑制され易く、且つ、基板との密着性等が改善される。
【0021】
本発明の色材分散液は、少なくとも色材と、分散剤と、溶剤とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような本発明の色材分散液の各成分について、順に詳細に説明する。
【0022】
<色材>
本発明において、色材は、青色色材、紫色色材、及び、C.I.ピグメントグリーン59を含むことを特徴とする。
C.I.ピグメントグリーン59(PG59)は、亜鉛フタロシアニン顔料である。
PG59は、単体でC光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標として、x=0.10以上0.30以下、y=0.30以上0.64以下を表示できる色材であって、中でもx=0.13以上0.20以下、y=0.32以上0.60以下を表示できることが特徴の色材である。
【0023】
PG59は、単体でC光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系において、下記方程式1、2及び3で囲まれるxy色度座標領域を表示できることを特徴とする。
(方程式1)
y=6.715×x-0.286
但し方程式1において、0.121<x<0.133
(方程式2)
y=7147.200×x
5−8466.000×x
4+3891.400×x
3−854.200×x
2+86.380×x−2.579
但し方程式2において、0.133<x<0.310
(方程式3)
y=1189.500×x
6+1817.000×x
5−3011.300×x
4+1447.800×x
3−307.420×x
2+27.628×x−0.285
但し方程式3において、0.121<x<0.310
【0024】
前記方程式1、2及び3で囲まれるxy色度座標領域の中でも、x=0.13以上0.20以下、y=0.32以上0.60以下の領域が最も特徴的であり、有効である。
【0025】
本発明に用いられるPG59は、450nmの透過率を5%とした場合、400nm以上700nm以下における分光透過率スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が505nm以上535nm以下である。更に、前記波長(Tmax)における透過率が70%以上である。また、本発明に用いられるPG59は、435nmにおける前記分光透過率スペクトルの透過率が15%以下であり、更に、575nmにおける前記分光透過率スペクトルの透過率が5%以下である。
【0026】
PG59を単体で塗膜化して測色するためには、PG59に適当な分散剤、バインダー成分及び溶剤を配合して塗工液を調製し、透明基板上に塗工して乾燥し、必要に応じて硬化させればよい。バインダー成分としては、測色を行い得る透明な塗膜を形成できる限り、非硬化性の熱可塑性樹脂組成物を用いても良いし、光硬化性(感光性)又は熱硬化性の樹脂組成物を用いても良い。また、後述する本発明の着色樹脂組成物において、色材としてPG59のみ含有する組成物を用いることで、色材としてPG59のみ含有する塗膜を形成し、測色を行うこともできる。具体的には例えば、後述の実施例1の樹脂組成物に用いられた色材以外の固形分を、バインダー成分とすることができる。
分散剤、バインダー成分を含む、測色を行い得る透明な塗膜としては、例えば、膜厚2.0μmで、380nm以上780nm以下における分光透過率スペクトルの透過率が95%以上であることを目安にすることができる。
なお、分光透過率スペクトルは、分光測定装置(例えば、オリンパス製 顕微分光光度計 OSP−SP200)を用いて測定することができる。
PG59は、単色で青味の緑色を呈し、着色力が比較的強く、且つ輝度が高い。更に、PG59は、従来の緑色顔料であるPG7等と比べて分散性が良好な傾向があり、コントラストを向上させやすく、また、再溶解性が良好な傾向を有する。
【0027】
また、本発明で用いられる青色色材としては、P/V=0.2で2.5μmの塗膜を形成し分光透過率スペクトルを測定した場合に、440nm透過率が60%以上且つ520nm透過率が10%以上且つ580nm透過率が10%未満の色材が用いられる。
なお、青色色材を単体で塗膜化して測色することは、前述のPG59と同様に行うことができる。
【0028】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に用いられる青色色材としては、特に限定されず、公知の青色有機顔料、青色染料、及び青色染料の造塩化合物である青色レーキ色材等を用いることができる。ここで、青色有機顔料は、染料やレーキ色材に比べ、耐熱性や耐光性等の諸耐性に優れ、青色染料は、可溶性のため有機顔料に比べて透過性が高い。また、レーキ色材は、染料由来のため、通常の顔料に比べて透過率が高く、高輝度化の要求を達成することが可能である。
【0029】
前記青色有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。中でも、比較的輝度に優れる点から、銅フタロシアニン系の青色顔料が好ましい。
【0030】
前記青色染料としては、例えば、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料等が挙げられる。
【0031】
前記青色染料の造塩化合物である青色レーキ色材においてカウンターイオンは、上記染料の種類に応じて異なり、酸性染料のカウンターイオンはカチオンであり、塩基性染料のカウンターイオンはアニオンである。
酸性染料のカウンターカチオンとしては、アンモニウムカチオンの他、金属カチオンや、無機ポリマー等が挙げられる。
アンモニウムイオンを発生するレーキ化剤としては、例えば、1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物等が好適なものとして挙げられ、中でも、耐熱性及び耐光性に優れる点から、2級アミン化合物又は3級アミン化合物を用いることが好ましい。
また金属カチオンを発生するレーキ化剤としては、所望の金属イオンを有する金属塩の中から適宜選択すればよい。
酸性染料のカウンターカチオンは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
一方、塩基性染料のカウンターアニオンとしては、有機アニオンであっても、無機アニオンであってもよい。当該有機アニオンとしては、アニオン性基を置換基として有する有機化合物が挙げられる。
また、有機アニオンとして公知の酸性染料を用いてもよい。この場合、レーキ色材は、酸性染料と塩基性染料とがイオン対となって存在する。これらの有機アニオンを発生するレーキ化剤としては、上記の有機アニオンのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
一方、無機アニオンとしては、例えば、オキソ酸のアニオン(リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO
42−)、モリブデン酸イオン(MoO
42−)等)や、複数のオキソ酸が縮合したポリ酸アニオン等の無機アニオンやその混合物を挙げることができる。
上記ポリ酸としては、イソポリ酸アニオン(M
mO
n)
c−であってもヘテロポリ酸ア
ニオン(X
lM
mO
n)
c−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテ
ロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。
中でも、耐熱性の点から、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)のうち少なくとも一方を含むポリ酸アニオンであることが好ましく、少なくともタングステンを含むc価のポリ酸アニオンであることがより好ましい。
無機アニオンを発生するレーキ化剤としては、上記無機アニオンのアルカリ塩やアルカリ金属塩等が挙げられる。
レーキ色材における塩基性染料のカウンターアニオンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
青色レーキ色材としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー1:2、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー8、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー12、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー18、C.I.ピグメントブルー19、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー53、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー56:1、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー61:1、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー78等が挙げられる。
【0034】
前記青色染料及び前記青色レーキ色材としては、特に限定されないが、中でも、着色層の輝度及びコントラストを向上する点から、トリアリールメタンを基本骨格として含むトリアリールメタン系色材が好ましい。
トリアリールメタン系の青色色材としては、例えば、下記一般式(1)で表されるトリアリールメタン骨格を有するトリアリールメタン系染料、及びトリアリールメタン系レーキ色材等が挙げられる。
【0035】
【化3】
(一般式(1)中、R
i〜R
viは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R
iとR
ii、R
iiiとR
iv、R
vとR
viが結合して環構造を形成してもよい。Ar
iは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR
i〜R
vi及びAr
iはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0036】
前記一般式(1)において、R
i〜R
viにおけるアルキル基は、特に限定されず、例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、製造及び原料調達の容易さの点からより好ましく、中でも特にエチル基及びメチル基が好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
R
i〜R
viにおけるアリール基は、特に限定されないが、例えば、炭素数6〜12のアリール基等が挙げられ、具体的には例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
R
iとR
ii、R
iiiとR
iv、R
vとR
viが結合して環構造を形成しているとは、R
iとR
ii、R
iiiとR
iv、R
vとR
viが窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
【0037】
Ar
iにおける2価の芳香族基は特に限定されず、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。
芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Ar
iは炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましく、中でも特にフェニレン基やナフチレン基であることが好ましい。
また、1分子内に複数あるR
i〜R
vi及びAr
iは、同一であっても異なっていてもよい。
【0038】
前記一般式(1)で表されるトリアリールメタン系染料の具体例としては、例えば、ベーシック ブルー7、ベーシック ブルー26等が挙げられる。
【0039】
また、前記トリアリールメタン系レーキ色材としては、前記一般式(1)で表される、塩基性トリアリールメタン系染料の、モリブデン、タングステン、ケイ素、リンから選ばれる1つないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンからなるレーキ色材が、着色層の高輝度化を達成する点から好適に用いられる。アニオンとしては、中でも、モリブデン及びタングステンの少なくとも1つを必須元素として含有するヘテロポリ酸もしくはイソポリ酸のアニオンであることが好ましい。その中でも、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングストモリブデン酸、及びケイタングストモリブデン酸よりなる群から選択される1種以上が好適に用いられる。
上記アニオンとしては、その中でも特に、(PMo
xW
12−xO
40)
3−/3(ここで、x=1、2、又は3の整数)、(SiMoW
11O
40)
4−/4、(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6(ここで、y=1、2、又は3の整数)が好適に用いられる。(SiMoW
11O
40)
4−/4及び(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6(ここで、y=1、2、又は3の整数)の少なくとも1つを用いる場合には、耐熱性が向上する点から好ましい。
このようなレーキ色材は、例えば国際公開第2012/039416号パンフレット及び国際公開第2012/039417号パンフレットを参考にして調製することができる。
【0040】
また、トリアリールメタン系レーキ色材としては、下記一般式(2)で表されるものも、着色層の高輝度化を達成する点から好適に用いられる。
【0041】
【化4】
(一般式(2)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。B
c−はc価のアニオンを表す。R
XI〜R
XVは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R
XIIとR
XIII、R
XIVとR
XVが結合して環構造を形成してもよい。Ar
1は置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR
XI〜R
XV及びAr
1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
【0042】
一般式(2)におけるAは、N(窒素原子)と直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)が含まれていてもよいものである。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
Aにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、Aにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。
中でも、骨格の堅牢性の点から、Aは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。有橋脂環式炭化水素基の中でも、ノルボルナンが好ましい。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
【0043】
Aにおける価数aは、カチオンを構成する発色性カチオン部位の数であり、aは2以上の整数である。このレーキ色材においては、カチオンの価数aが2以上であるため、耐熱性に優れており、中でも、カチオンの価数aが3以上であることが好ましい。aの上限は特に限定されないが、製造の容易性の点から、aが4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
【0044】
一般式(2)中のAr
1及びR
XI〜R
XVの具体例としては、国際公開第2012/144520号パンフレットに記載のものが挙げられる。
【0045】
一般式(2)で表されるレーキ色材において、アニオン部(B
c−)は、特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであってもよい。ここで有機アニオンとは、炭素原子を少なくとも1つ含有するアニオンを表す。また、無機アニオンとは、炭素原子を含有しないアニオンを表す。本発明においては、高輝度で耐熱性に優れる点から、B
c−が無機アニオンであることが好ましい。
有機アニオン及び無機アニオンの具体例としては、国際公開第2012/144520号パンフレットに記載のものが挙げられる。
中でも、高輝度で耐熱性に優れる点から、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含む無機酸のアニオンであることが好ましい。
【0046】
一般式(2)におけるbはカチオンの数を、dは分子会合体中のアニオンの数を示し、b及びdは1以上の整数を表す。bが2以上の場合、分子会合体中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。また、dが2以上の場合、分子会合体中に複数あるアニオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよく、有機アニオンと無機アニオンを組み合わせて用いることもできる。
【0047】
一般式(2)におけるeは、0又は1の整数である。e=0はトリアリールメタン骨格を表し、e=1はキサンテン骨格を表す。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。本発明に用いられる一般式(2)で表されるレーキ色材においては、少なくともトリアリールメタン骨格を含むものが好適に用いられる。
なお、一般式(2)で表されるレーキ色材としては、例えば、国際公開第2012/144520号パンフレットを参考にして調製することができる。
【0048】
前記青色色材としては、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、及びトリアリールメタン系レーキ色材よりなる群から選択される1種以上であることが、色相の点から好ましい。
また、前記青色色材としては、C.I.ピグメントブルー16が、色相、特に色再現域を広げる点から好ましい。C.I.ピグメントブルー16は、着色力が強くてP/V比を下げられることから、製版性が向上し、現像カケが抑制され易く、一方で現像残渣が抑制され易く、且つ、基板との密着性等が改善される。
【0049】
また、本発明で用いられる紫色色材としては、P/V=0.2で2.5μmの塗膜を形成し分光透過率スペクトルを測定した場合に、440nm透過率が40%以上且つ520nm透過率が10%未満且つ680nm透過率が40%以上の色材が用いられる。
本発明で用いられる紫色色材には、赤色染料の呼称が付けられている赤紫色色材まで包含される。
なお、紫色色材を単体で塗膜化して測色することは、前述のPG59と同様に行うことができる。
【0050】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に用いられる紫色色材としては、特に限定されず、公知の紫色有機顔料、紫色染料、及び紫色レーキ色材等を用いることができる。
【0051】
前記紫色有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、14、15、19、23、29、32、33、36、37、38等が挙げられる。中でも、比較的着色力に優れる点から、ピグメントバイオレット23が好ましい。
【0052】
前記紫色染料としては、例えば、C.I.アシッドバイオレット29,31,33,34,36,36:1,39,41,42,43,47,51,63,76,103,118,126等のアントラキノン系酸性染料、C.I.ベーシックレッド12等のシアニン系酸性染料、アシッドバイオレット15,16,17,19,21,23,24,25,38,49,72等のトリアリールメタン系酸性染料、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドバイオレット9、C.I.アシッドバイオレット30等のローダミン系酸性染料;また、C.I.ベーシックバイオレット1,3,14等のトリアリールメタン系塩基性染料、C.I.ベーシックバイオレット11等のキサンテン系塩基性染料等が挙げられる。
【0053】
前記紫色レーキ色材としては、例えば、上記のような紫色染料をレーキ化剤によりレーキ化したもの等が挙げられる。
レーキ色材においてカウンターイオンは、上記染料の種類に応じて異なり、酸性染料のカウンターイオンはカチオンであり、塩基性染料のカウンターイオンはアニオンである。酸性染料のカウンターカチオンであり、塩基性染料のカウンターアニオンとしては、前記青色染料と挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0054】
前記紫色レーキ色材としては、アントラキノン系色材、シアニン系色材、及びキサンテン系色材よりなる群から選択される1種以上であることが、色相の点から好ましい。
【0055】
また、前記紫色染料及び前記紫色レーキ色材としては、着色層の輝度及びコントラストを向上する点から、キサンテンを基本骨格として含み、ローダミン系色材を包含する、キサンテン系色材が好ましい。
当該レーキ色材におけるキサンテン系酸性染料としては、中でも、下記一般式(3)で表される化合物、即ち、ローダミン系酸性染料を有することが好ましい。
【0056】
【化5】
(一般式(3)中、R
a〜R
dは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、R
aとR
b、R
cとR
dが結合して環構造を形成してもよい。R
eは、酸性基、Xは、ハロゲン原子を表す。mは0〜5の整数を表す。一般式(3)は酸性基を1個以上有するものであり、nは0以上の整数である。)
【0057】
R
a〜R
dにおけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基等が挙げられ、更に置換基としてハロゲン原子や、酸性基を有していてもよい。
R
a〜R
dにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、炭素数6〜20の置換基を有していてもよいアリール基が挙げられ、中でも、フェニル基、ナフチル基等を有する基が好ましい。R
a〜R
dにおけるヘテロアリール基は、炭素数5〜20の置換基を有していてもよいヘテロアリール基が挙げられ、ヘテロ原子として、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものが好ましい。
アリール基又はヘテロアリール基が有してもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、酸性基、水酸基、アルコキシ基、カルバモイル基、カルボン酸エステル基等が挙げられる。
なお、R
a〜R
dは、同一であっても異なっていてもよい。
【0058】
酸性基又はその塩の具体例としては、カルボキシ基(−COOH)、カルボキシラト基(−COO
−)、カルボン酸塩基(−COOM、ここでMは金属原子を表す。)、スルホナト基(−SO
3−)、スルホ基(−SO
3H)、スルホン酸塩基(−SO
3M、ここでMは金属原子を表す。)等が挙げられ、中でも、スルホナト基(−SO
3−)、スルホ基(−SO
3H)、又はスルホン酸塩基(−SO
3M)の少なくとも1種を有することが好ましい。なお金属原子Mとしては、ナトリウム原子、カリウム原子等が挙げられる。
【0059】
一般式(3)で表される化合物としては、高輝度化の点から、中でも、アシッドレッド289、アシッドバイオレット9、アシッドバイオレット30等が好ましい。
また、耐熱性の点からは、一般式(3)において、m=1、且つn=0であるベタイン構造を有する化合物が好ましい。
また、中でも、m=1、且つn=0であって、R
a及びR
cは各々独立にアルキル基又はアリール基であり、R
b及びR
dは各々独立にアリール基又はヘテロアリール基であることが、輝度及び耐光性に優れた着色層を形成可能になる点から好ましい。
上記一般式(3)で表される化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2010−211198号公報を参考に得ることができる。
【0060】
上記キサンテン系酸性染料のレーキ色材としては、金属レーキ色材が好適に用いられる。金属レーキ色材は、レーキ化剤として、金属原子を含むものが用いられる。金属原子を含むレーキ化剤を用いることにより、色材の耐熱性が高くなる。このようなレーキ化剤としては、2価以上の金属カチオンとなる金属原子を含むレーキ化剤が好ましい。
【0061】
本発明の色材分散液においては、色材として、青色色材と、紫色色材と、PG59とを組み合わせて用いるが、後述の着色樹脂組成物に例示したような他の色材を組み合わせて用いてもよい。他の色材としては、例えば、赤色色材、オレンジ色色材、緑色色材等が好適に用いられ、中でも色相の点から、後述の着色樹脂組成物に例示したような赤色色材、緑色色材が好適に用いられる。
【0062】
本発明の色材分散液において、青色色材と、紫色色材と、PG59の各含有割合、更にその他の色材を用いる場合の含有割合は、後述の着色樹脂組成物と同様の含有割合とすることが好ましい。但し、色材分散液は、適宜2種以上混合して用いて、着色樹脂組成物を製造することができるため、後述の着色樹脂組成物と同様の含有割合としなくても好適に用いられる。
【0063】
本発明に用いられる色材の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる色材の種類によっても異なるが、10nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましく、15nm以上60nm以下であることがより好ましい。色材の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明の色材分散液を用いて製造されたカラーフィルタを備えた表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
【0064】
また、色材分散液中の色材の平均分散粒径は、用いる色材の種類によっても異なるが、10nm以上100nmの範囲内であることが好ましく、15nm以上60nm以下の範囲内であることがより好ましい。
色材分散液中の色材の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶剤で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分布粒径は、体積平均粒径である。
【0065】
本発明の色材分散液において、色材の含有量は、特に限定されない。色材の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散液中の全固形分100質量部に対して、5質量部以上80質量部以下、より好ましくは8質量部以上70質量部以下の割合で配合することが好ましい。
特に色材濃度が高い塗膜乃至着色層を形成する場合には、色材分散液中の全固形分100質量部に対して、30質量部以上80質量部以下、より好ましくは40質量部以上75質量部以下の割合で配合することが好ましい。
【0066】
<分散剤>
本発明においては、分散剤として、前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体を用いる。前記一般式(I)で表される構成単位は塩基性を有し、色材に対する吸着部位として機能する。
本発明の色材分散液は、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体を用いることにより、色材への吸着性能が向上し、色材の分散性及び分散安定性が向上する。
【0067】
一般式(I)において、Aは、2価の連結基である。Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素原子数1以上10以下のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(I)におけるAは、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
【0068】
R
2及びR
3における、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基における炭化水素基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素原子数は、1以上18以下が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、更に7以上14以下が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素原子数は、6以上24以下が好ましく、更に6以上12以下が好ましい。なお、上記好ましい炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
【0069】
R
2とR
3が互いに結合して環構造を形成しているとは、R
2とR
3が窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。R
2及びR
3が形成する環構造にヘテロ原子が含まれていても良い。環構造は特に限定されないが、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環等が挙げられる。
【0070】
本発明においては、中でも、R
2とR
3が各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、フェニル基であるか、又は、R
2とR
3が結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環を形成していることが好ましく、中でもR
2及びR
3の少なくとも1つが炭素原子数1以上5以下のアルキル基、フェニル基であるか、又は、R
2とR
3が結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環を形成していることが好ましい。
【0071】
上記一般式(I)で表される構成単位としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキル基置換アミノ基含有(メタ)アクリレート等、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアルキル基置換アミノ基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でも分散性、及び分散安定性が向上する点でジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを好ましく用いることができる。
一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
【0072】
一般式(I)で表される構成単位を有する重合体としては、分散性を向上する点から、更に溶剤親和性を有する部位を含むことが好ましい。溶剤親和性部位としては、一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマーと重合可能な、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの中から、溶剤親和性を有するように溶剤に応じて適宜選択して用いられることが好ましい。目安として、組み合わせて用いられる溶剤に対して、重合体の23℃における溶解度が50(g/100g溶剤)以上となるように、溶剤親和性部位を導入することが好ましい。
本発明において用いられる重合体としては、色材の分散性及び分散安定性並びに樹脂組成物の耐熱性を向上し、高輝度且つ高コントラストな着色層を形成できる点から、中でも、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましく、ブロック共重合体が特に好ましい。以下、特に好ましいブロック共重合体について詳細に説明する。
【0073】
(ブロック共重合体)
前記一般式(I)で表される構成単位を含むブロックをAブロックとすると、当該Aブロックは、前記一般式(I)で表される構成単位が塩基性を有し、色材に対する吸着部位として機能する。一方、前記一般式(I)で表される構成単位を含まないBブロックは、溶剤親和性を有するブロックとして機能するようにする。本発明においてブロック共重合体の各ブロックの配置は特に限定されず、例えば、ABブロック共重合体、ABAブロック共重合体、BABブロック共重合体等とすることができる。中でも、分散性に優れる点で、ABブロック共重合体、又はABAブロック共重合体が好ましい。
【0074】
Bブロックを構成する構成単位としては、一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマーと共重合可能な不飽和二重結合を有する単量体を挙げることができ、中でも下記一般式(II)で表される構成単位が好ましい。
【0075】
【化6】
(一般式(II)中、A’は、直接結合又は2価の連結基、R
4は、水素原子又はメチル基、R
5は、炭化水素基、−[CH(R
6)−CH(R
7)−O]
x−R
8又は−[(CH
2)
y−O]
z−R
8で示される1価の基である。R
6及びR
7は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R
8は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH
2CHO、又は−CH
2COOR
9で示される1価の基であり、R
9は水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基である。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1以上30以下の整数、yは1以上5以下の整数、zは1以上18以下の整数を示す。)
【0076】
一般式(II)の2価の連結基A’としては、一般式(I)におけるAと同様のものとすることができる。中でも、A’は、有機溶剤への溶解性の点から、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。得られたポリマーの耐熱性や溶剤として好適に用いられるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に対する溶解性、また比較的安価な材料である点から、A’は、−COO−基であることが好ましい。
【0077】
R
5における炭化水素基としては、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であることが好ましい。
上記炭素原子数1以上18以下のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−エトキシエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素原子数2以上18以下のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
アルキル基やアルケニル基等の脂肪族炭化水素の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0078】
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられ、更に置換基を有していてもよい。アリール基の炭素原子数は、6以上24以下が好ましく、更に6以上12以下が好ましい。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられ、更に置換基を有していてもよい。アラルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、更に7以上14以下が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素原子数1以上4以下の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
【0079】
上記R
5において、xは1以上30以下の整数、好ましくは1以上26以下の整数、より好ましくは1以上18以下の整数、より更に好ましくは1以上4以下の整数、特に好ましくは1以上2以下の整数であり、yは1以上5以下の整数、好ましくは1以上4以下の整数、より好ましくは2又は3である。zは1以上18以下の整数、好ましくは1以上4以下の整数、より好ましくは1以上2以下の整数である。
【0080】
上記R
8における炭化水素基は、前記R
5で示したものと同様のものとすることができる。中でも、上記R
8における炭化水素基としては、炭素原子数1以上18以下のアルキル基であることが、現像性が優れる点から好ましい。
R
9は水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基であって、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。
また、上記一般式(II)で表される構成単位中のR
5は、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0081】
上記R
5としては、中でも、後述する溶剤との相溶性に優れたものとなるように選定することが好ましく、具体的には、例えば上記溶剤が、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の溶剤として一般的に使用されているグリコールエーテルアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶剤を用いる場合には、メチル基、エチル基、イソブチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
また、Bブロックを構成する構成単位中に、上記R
5として、−[CH(R
6)−CH(R
7)−O]
x−R
8又は−[(CH
2)
y−O]
z−R
8であるものを含有することが、現像性が優れ、現像残渣の抑制に優れる点から好ましい。
【0082】
さらに、上記R
5は、上記ブロック共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基等の置換基によって置換されたものとしてもよく、また、上記ブロック共重合体の合成後に、上記置換基を有する化合物と反応させて、上記置換基を付加させてもよい。
【0083】
本発明において上記ブロック共重合体の溶剤親和性のブロック部のガラス転移温度(Tg)は、適宜選択すればよい。耐熱性の点から、中でも、溶剤親和性のブロック部のガラス転移温度(Tg)が、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
本発明における溶剤親和性のブロック部のガラス転移温度(Tg)は下記式で計算することができる。また同様に色材親和性ブロック部及びブロック共重合体のガラス転移温度も計算することが出来る。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、溶剤親和性のブロック部はi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用することができる。
【0084】
溶剤親和性のブロック部を構成する構成単位の数は、色材分散性が向上する範囲で適宜調整すればよい。中でも、溶剤親和性部位と色材親和性部位が効果的に作用し、色材の分散性を向上する点から、溶剤親和性のブロック部を構成する構成単位の数は、10以上200以下であることが好ましく、10以上100以下であることがより好ましく、更に10以上70以下であることがより好ましい。
【0085】
溶剤親和性のブロック部は、溶剤親和性部位として機能するように選択されれば良く、溶剤親和性のブロック部を構成する繰り返し単位は1種からなるものであっても良いし、2種以上の繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0086】
また、中でも、本発明において分散剤は、前記一般式(II)で表される構造を含みアミン価が40mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である重合体が、分散性が良好で塗膜形成時に異物を析出せず、輝度及びコントラストを向上する点から好ましい。
アミン価が上記範囲内であることにより、粘度の経時安定性や耐熱性に優れると共に、アルカリ現像性や、溶剤再溶解性にも優れている。本発明において、分散剤のアミン価は、分散性および分散安定性の点から、中でも、アミン価が60mgKOH/g以上であることが好ましく、90mgKOH/g以上であることがより好ましい。一方、溶剤再溶解性の点から、分散剤のアミン価は、115mgKOH/g以下であることが好ましく、105mgKOH/g以下であることがより好ましい。
アミン価は、試料1g中に含まれるアミン成分を中和するのに要する過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数をいい、JIS−K7237に定義された方法により測定することができる。当該方法により測定した場合には、分散剤中の有機酸化合物と塩形成しているアミノ基であっても、通常、当該有機酸化合物が解離するため、分散剤として用いられるブロック共重合体そのもののアミン価を測定することができる。
【0087】
本発明に用いられる分散剤の酸価は、現像残渣の抑制効果の点から、下限としては、1mgKOH/g以上であることが好ましい。中でも、現像残渣の抑制効果がより優れる点から、分散剤の酸価は2mgKOH/g以上であることがより好ましい。一方で、分散剤の酸価は、分散性及び分散安定性の点からは、1mgKOH/g未満であっても良く、0mgKOH/gであることが好ましい。また、本発明に用いられる分散剤の酸価は、現像密着性の悪化や溶剤再溶解性の悪化を防止できる点から、分散剤の酸価の上限としては、18mgKOH/g以下であることが好ましい。中でも、現像密着性、及び溶剤再溶解性が良好になる点から、分散剤の酸価は、12mgKOH/g以下であることがより好ましく、8mgKOH/g以下であることがさらにより好ましい。
本発明に用いられる分散剤においては、塩形成前のブロック共重合体の酸価が1mgKOH/g以上であることが好ましく、2mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。現像残渣の抑制効果が向上するからである。一方で、塩形成前のブロック共重合体の酸価は、分散性及び分散安定性の点からは、1mgKOH/g未満であっても良く、0mgKOH/gであることが好ましい。また、塩形成前のブロック共重合体の酸価の上限としては18mgKOH/g以下であることが好ましいが、12mgKOH/g以下であることがより好ましく、8mgKOH/g以下であることがさらにより好ましい。現像密着性、及び溶剤再溶解性が良好になるからである。
【0088】
また、本発明において、分散剤のガラス転移温度は、現像密着性が向上する点から、30℃以上であることが好ましい。すなわち、分散剤が、塩形成前ブロック共重合体であっても、塩型ブロック共重合体であっても、そのガラス転移温度は、30℃以上であることが好ましい。分散剤のガラス転移温度が低いと、特に現像液温度(通常23℃程度)に近接し、現像密着性が低下する恐れがある。これは、当該ガラス転移温度が現像液温度に近接すると、現像時に分散剤の運動が大きくなり、その結果、現像密着性が悪化するからと推定される。ガラス転移温度が30℃以上であることによって、現像時の分散剤の分子運動が抑制されることから、現像密着性の低下が抑制されると推定される。
分散剤のガラス転移温度は、現像密着性の点から中でも32℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましい。一方、精秤が容易など、使用時の操作性の観点から、200℃以下であることが好ましい。
本発明における分散剤のガラス転移温度は、JIS K7121に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)により測定することにより求めることができる。
【0089】
色材濃度を高め、分散剤含有量が増加すると、相対的にバインダー量が減少することから、着色樹脂層が現像時に下地基板から剥離し易くなる。分散剤がカルボキシ基含有モノマー由来の構成単位を含むBブロックを含み、前記特定の酸価及びガラス転移温度を有することにより、現像密着性が向上する。酸価が高すぎると、現像性に優れるものの、極性が高すぎて却って現像時に剥離が生じ易くなると推定される。
【0090】
以上のことから、本発明において前記分散剤は、前記一般式(I)で表される構造を含みアミン価が40mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である重合体であって、且つ、酸価が1mgKOH/g以上18mgKOH/g以下で、ガラス転移温度が30℃以上であることが、色材分散安定性に優れてコントラストを向上し、着色樹脂組成物とした際に、現像残渣の発生が抑制されながら、溶剤再溶解性に優れ、更に、高い現像密着性を有する点から好ましい。
【0091】
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、一般式(I)で表される構成単位を有するモノマーと共重合可能で、不飽和二重結合とカルボキシ基を含有するモノマーを用いることができる。このようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシ基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの酸無水物基含有モノマーを用いてもよい。中でも、共重合性やコスト、溶解性、ガラス転移温度などの点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0092】
塩形成前のブロック共重合体中、カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位の含有割合は、ブロック共重合体の酸価が前記特定の酸価の範囲内になるように適宜設定すればよく、特に限定されないが、ブロック共重合体の全構成単位の合計質量に対して、0.05質量%以上4.5質量%以下であることが好ましく、0.07質量%以上3.7質量%以下であることがより好ましい。
カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位の含有割合が、前記下限値以上であることより、現像残渣の抑制効果が発現され、前記上限値以下であることより現像密着性の悪化や溶剤再溶解性の悪化を防止できる。
なお、カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位は、上記特定の酸価となればよく、1種からなるものであっても良いし、2種以上の構成単位を含んでいてもよい。
【0093】
また、本発明に用いられる分散剤のガラス転移温度を特定の値以上とし、現像密着性が向上する点から、モノマーの単独重合体のガラス転移温度の値(Tgi)が10℃以上であるモノマーを、合計でBブロック中に75質量%以上とすることが好ましく、更に85質量%以上とすることが好ましい。
【0094】
前記ブロック共重合体において、前記Aブロックの構成単位のユニット数mと、前記Bブロックの構成単位のユニット数nの比率m/nとしては、0.05以上1.5以下の範囲内であることが好ましく、0.1以上1.0以下の範囲内であることが、色材の分散性、分散安定性の点からより好ましい。
【0095】
前記ブロック共重合体の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、色材分散性及び分散安定性を良好なものとする点から、1000以上20000以下であることが好ましく、2000以上15000以下であることがより好ましく、更に3000以上12000以下であることがより好ましい。
ここで、重量平均分子量は(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求める。なお、ブロック共重合体の原料となるマクロモノマーや塩型ブロック共重合体、グラフト共重合体についても、上記条件で行う。
【0096】
上記ブロック共重合体の製造方法は、特に限定されない。公知の方法によってブロック共重合体を製造することができるが、中でもリビング重合法で製造することが好ましい。連鎖移動や失活が起こりにくく、分子量の揃った共重合体を製造することができ、分散性等を向上できるからである。リビング重合法としては、リビングラジカル重合法、グループトランスファー重合法等のリビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法等を挙げることができる。これらの方法によりモノマーを順次重合することによって共重合体を製造することができる。例えば、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックを構成する構成単位を重合することにより、ブロック共重合体を製造することができる。また上記の製造方法においてAブロックとBブロックの重合の順番を逆にすることもできる。また、AブロックとBブロックを別々に製造し、その後、AブロックとBブロックをカップリングすることもできる。
【0097】
このような前記一般式(I)で表される構成単位を含むブロック部と溶剤親和性を有するブロック部とを有するブロック共重合体の具体例としては、例えば、特許第4911253号公報に記載のブロック共重合体を好適なものとして挙げることができる。
【0098】
本発明においては、色材の分散性や分散安定性の点から、前記一般式(I)で表される構成単位を含む重合体中のアミノ基のうちの少なくとも一部と、有機酸化合物やハロゲン化炭化水素とが塩を形成したものを分散剤として用いても好ましい(以下、このような重合体を、塩型重合体と称することがある)。
中でも、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体がブロック共重合体であって、前記有機酸化合物がフェニルホスホン酸やフェニルホスフィン酸等の酸性有機リン化合物であることが、色材の分散性及び分散安定性に優れる点から好ましい。このような分散剤に用いられる有機酸化合物の具体例としては、例えば、特開2012−236882号公報等に記載の有機酸化合物が好適なものとして挙げられる。
また、前記ハロゲン化炭化水素としては、臭化アリル、塩化ベンジル等のハロゲン化アリル及びハロゲン化アラルキルの少なくとも1種であることが、色材の分散性及び分散安定性に優れる点から好ましい。
【0099】
本発明の色材分散液において、分散剤としては、前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体の少なくとも1種を用い、その含有量は、用いる色材の種類、更に後述するカラーフィルタ用着色樹脂組成物中の固形分濃度等に応じて適宜選定される。
分散剤の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散液中の全固形分100質量部に対して、3質量部以上45質量部以下、より好ましくは5質量部以上35質量部以下の割合で配合することが好ましい。
特に色材濃度が高い塗膜乃至着色層を形成する場合には、分散剤の含有量は、色材分散液中の全固形分100質量部に対して、3質量部以上25質量部以下、より好ましくは5質量部以上20質量部以下の割合で配合することが好ましい。
尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、溶剤中に溶解しているモノマー等も含まれる。
【0100】
<溶剤>
本発明に用いられる溶剤としては、色材分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。溶剤は単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
溶剤の具体例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、i−プロピルアルコール、メトキシアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、ヒドロキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシプロピオン酸エチル、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、酪酸n−ブチル、クロヘキサノールアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のジアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;テトラヒドロフランなどの環状エーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中ではグリコールエーテルアセテート系溶剤、カルビトールアセテート系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤が他の成分の溶解性の点で好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、及び、3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0101】
また、現像性や溶剤再溶解性等の観点から、2種類以上の溶剤を含有する混合溶剤を使用するのも好ましい。
【0102】
混合溶剤を使用する場合、第1溶剤としては、安全性の高い;適度な揮発性を持つ;適度な溶解性を持つために分散性が良好である;等の理由から、前記したグリコールエーテルアセテート系溶剤を使用するのが好ましい。また、その中でも、沸点(大気圧における沸点をいう。以下同じ。)が150℃未満である2−メトキシエチルアセテート、又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が特に好ましい。
【0103】
第2溶剤(第1溶剤以外の溶剤)としては、アルコール性水酸基を有する溶剤や、沸点150℃以上の溶剤が好ましい。第2溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0104】
第2溶剤としてアルコール性水酸基を有する溶剤を使用すると、分散性が良好になり溶剤再溶解性が良好になりやすい。
アルコール性水酸基を有する溶剤の例としては、上記アルコール系溶剤、上記カルビトール系溶剤、上記グリコールエーテル系溶剤が挙げられ、具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)等が挙げられる。
【0105】
混合溶剤を使用する場合に、アルコール性水酸基を有する溶剤の含有量は、全溶剤中10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。
上記範囲内であると、分散剤の溶解性が良好になりやすく、また、分散剤の第1溶剤への溶解を阻害しなくなるため、分散安定性が良好になりやすい。
【0106】
第1溶剤が沸点150℃未満の溶剤である場合、第2溶剤として沸点150℃以上の溶剤を使用すると、乾燥ムラが発生し難くなり、異物が生じ難く、溶剤再溶解性も良好になり易い。
沸点150℃以上の溶剤の例としては、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点179℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート(沸点188℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点179℃)、3−メトキシブチルアセテート(沸点172℃)等が挙げられる。
【0107】
混合溶剤を使用する場合、沸点150℃以上の溶剤の含有量は、全溶剤中40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。
上記範囲内であると、乾燥ムラが発生しにくく、また、乾燥時間が長くなり過ぎず生産性が良好となりやすい。
【0108】
上記「沸点150℃以上の溶剤」の沸点は、乾燥時間が長くなり過ぎない等の点から、240℃以下であることが好ましく、200℃以下であることが特に好ましい。
【0109】
本発明の色材分散液は、以上のような溶剤を、当該溶剤を含む色材分散液全量に対して、通常、55質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、中でも65質量%以上90質量%以下の範囲内であることが好ましく、70質量%以上88質量%の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であると、分散性が向上し、粘度安定性が得られ、目標とする色度座標に達成することができる。
【0110】
<その他の成分>
本発明の色材分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、更に必要に応じて、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述するカラーフィルタ用着色樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0111】
本発明の色材分散液は、後述するカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いられる。すなわち、色材分散液とは、後述のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製する前段階において予備調製される、P/V(組成物中の色材全質量)/(組成物中の色材以外の固形分全質量)比の高い色材分散液である。具体的には、(組成物中の色材全質量)/(組成物中の色材以外の固形分全質量)比は通常1.0以上である。色材分散液と、後述する各成分とを混合することにより、分散性に優れたれカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製することができる。
【0112】
[色材分散液の製造方法]
本発明において、色材分散液の製造方法は、前記色材が、前記分散剤により、溶剤中に分散された色材分散液が得られる方法であれば特に限定されない。中でも、色材の分散性及び分散安定性に優れる点から、以下の2つの製造方法のうちのいずれかとすることが好ましい。
【0113】
即ち、本発明に係る色材分散液の第一の製造方法は、前記分散剤を準備する工程と、溶剤中、前記分散剤の存在下で、色材を分散する工程とを有するものである。溶剤中、前記分散剤の存在下で、2種以上の色材を共分散しても良いし、1種以上の色材を分散乃至共分散した後、2種以上の色材分散液を混合することにより本発明の色材分散液を得ても良い。
【0114】
また、塩型ブロック共重合体である分散剤を用いる場合の本発明に係る色材分散液の第二の製造方法は、溶剤と、前記ブロック共重合体と、前記有機酸化合物やハロゲン化炭化水素と、色材とを混合して、前記一般式(I)で表される構成単位が有する末端の窒素部位の少なくとも一部と、前記有機酸化合物やハロゲン化炭化水素とを塩形成しながら、色材を分散する工程とを有するものである。このような塩形成しながら色材を分散する場合においても、2種以上の色材を共分散しても良いし、1種以上の色材を分散乃至共分散した後、2種以上の色材分散液を混合することにより本発明の色材分散液を得ても良い。
【0115】
上記第一の製造方法及び上記第二の製造方法において色材は、従来公知の分散機を用いて分散することができる。
分散機の具体例としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03mm以上3.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.05以上2.0mm以下である。
【0116】
[カラーフィルタ用着色樹脂組成物]
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、色材と、分散剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物であって、
前記色材が、青色色材、紫色色材、及び、C.I.ピグメントグリーン59を含み、
前記分散剤が、前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体であることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、前記本発明の色材分散液と同様に色材分散安定性に優れ、また前記本発明の色材分散液の項で述べたように、溶剤再溶解性が向上し、且つ青色再現域が拡大した着色層を形成可能である。
【0117】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、色材と、分散剤と、バインダー成分と、溶剤とを少なくとも含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の成分を含有してもよいものである。以下、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる各成分について説明するが、色材のうち必須成分である青色色材、紫色色材、PG59、分散剤、及び溶剤については、上記本発明の色材分散液において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0118】
<色材>
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物における色材は、必須成分として青色色材、紫色色材、及び、C.I.ピグメントグリーン59を含むが、色調を調整するために、更に他の色材を組み合わせて用いてもよい。
カラーフィルタの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の有機顔料、無機顔料、分散可能な染料を、単独で又は2種以上混合して用いることができる。中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
また、上記分散可能な染料としては、染料に各種置換基を付与したり、公知のレーキ化(造塩化)手法を用いて、溶剤に不溶化することにより分散可能となった染料や、溶解度の低い溶剤と組み合わせて用いることにより分散可能となった染料が挙げられる。このような分散可能な染料と、前記分散剤とを組み合わせて用いることにより当該染料の分散性や分散安定性を向上することができる。
分散可能な染料としては、従来公知の染料の中から適宜選択することができる。このような染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、フタロシアニン染料などを挙げることができる。
なお、目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して染料の溶解量が10mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該染料が分散可能であると判定することができる。
【0119】
他の色材としては、中でも他の緑色色材、赤色色材が好ましく用いられる。
他の色材としては、例えば以下が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
赤色色材として、C.I.ピグメントレッド177、168、254等。
緑色色材として、C.I.ピグメントグリーン7、36、58等。
【0120】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において、色材全体に対する青色色材の含有割合は、所望の色度に合わせて適宜調整されればよく、特に限定されない。
中でも、溶剤再溶解性が向上し、且つ青色再現域が拡大した着色層を形成可能な点から、色材全量に対して、青色色材を15質量%以上98質量%以下含有することが好ましく、青色色材を20質量%以上90質量%以下含有することがより好ましく、25質量%以上80質量%以下含有することがより更に好ましく、27質量%以上70質量%以下含有することが特に好ましい。
【0121】
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において、青色色材に対する紫色色材の含有割合は、所望の色度に合わせて適宜調整されればよく、特に限定されない。中でも、溶剤再溶解性が向上し、且つ青色再現域が拡大した着色層を形成可能な点から、青色色材を100質量部に対して、紫色色材を3質量部以上100質量部以下含有することが好ましく、5質量部以上80質量部以下含有することがより好ましい。
また、色材全量に対して、紫色色材を1質量%以上45質量%以下含有することが好ましく、3質量%以上40質量%以下含有することがより好ましく、5質量%以上40質量%以下含有することが更に好ましく、10質量%以上40質量%以下含有することがより更に好ましい。
【0122】
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において、青色色材に対するPG59の含有割合は、所望の色度に合わせて適宜調整されればよく、特に限定されない。中でも、溶剤再溶解性が向上し、且つ青色再現域が拡大した着色層を形成可能な点から、青色色材を100質量部に対して、PG59を2質量部以上250質量部以下含有することが好ましく、5質量部以上200質量部以下含有することがより好ましい。
また、色材全量に対して、PG59を1質量%以上65質量%以下含有することが好ましく、2質量%以上60質量%以下含有することがより好ましく、10質量%以上50質量%以下含有することがより更に好ましい。
【0123】
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において、PG59に対する紫色色材の含有割合は、所望の色度に合わせて適宜調整されればよく、特に限定されない。中でも、溶剤再溶解性が向上し、且つ青色再現域が拡大した着色層を形成可能な点から、PG59を1質量部に対して、紫色色材を0.03質量部以上20質量部以下含有することが好ましく、0.05質量部以上10質量部以下含有することがより好ましく、0.1質量部以上7質量部以下含有することがより更に好ましい。
【0124】
溶剤再溶解性が向上し、且つ青色再現域が拡大した着色層を形成可能な点から、好適な配合割合乃至組合せとしては色材全量に対して、青色色材が15質量%以上98質量%以下、紫色色材が1質量%以上45質量%以下、PG59が1質量%以上65質量%以下であることが好ましく、青色色材が20質量%以上90質量%以下、紫色色材が1質量%以上45質量%以下、PG59が1質量%以上65質量%以下であることが更に好ましく、青色色材が25質量%以上80質量%以下、紫色色材が3質量%以上40質量%以下、PG59が2質量%以上60質量%以下であることがより更に好ましく、青色色材が27質量%以上70質量%以下、紫色色材が10質量%以上40質量%以下、PG59が10質量%以上50質量%以下であることが特に好ましい。
【0125】
また、本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において、PG59以外の緑色色材を更に含有する場合、色材全体に対するPG59を含む緑色色材の含有割合は、所望の色度に合わせて適宜調整されればよく、特に限定されない。
PG59以外の緑色色材を更に含有する場合であっても、PG59を含む緑色色材全量に対して、PG59は、50質量%を超えることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
色材全体に対するPG59を含む緑色色材の含有割合、PG59を含む緑色色材に対する紫色色材の含有割合は、それぞれ、前述の色材全体に対するPG59の含有割合、PG59に対する紫色色材の含有割合と同様であることが好ましい。
【0126】
また、本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物において、中でも、青色再現域が拡大した着色層を形成可能な点から、色材全量に対して、黄色色材は0.1質量%以下であることが好ましく、更に0.01質量%未満であることが好ましい。
【0127】
また、本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物においては、本発明の効果が損なわれない範囲で、色材中に、青色色材、紫色色材及びPG59以外の他の色材を更に含んでいても良いが、青色色材、紫色色材及びPG59の合計含有量は、色材全量に対して、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがより更に好ましい。
【0128】
<バインダー成分>
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するためにバインダー成分を含有する。塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
【0129】
着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。なお、感光性バインダー成分に、熱硬化性バインダー成分を更に用いてもよい。
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂と、感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物とを含んだ系等が挙げられる。
【0130】
一方、ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
【0131】
青色再現域を拡大するために、特許文献1のように、青色色材と、PG58、PG7又はPG36のような緑色色材とに、ネガ型感光性バインダー成分を組み合わせて青色着色層用の感光性着色樹脂組成物とすると、当該感光性着色樹脂組成物は、光開始剤の吸収波長(ラジカル発生波長)である300nm前後を吸収してしまうため、露光時に着色層内部の硬化不足が発生し、現像時のえぐれ、それに伴う、現像時のカケ、ハガレが発生しやすい。また、えぐれたまま表面だけ固まってしまう事による空隙(着色層内部の空間)が生じると、斜め方向から着色層を見た時の光の乱反射による色ムラが発生する。また、着色層にえぐれた部分があると、次の着色層やオーバーコート層等を塗布する際に、樹脂組成物がえぐれた部分に流れ込み、塗布液が途切れて塗布ムラが生じやすいという問題があった。
それに対して、本発明では、紫色色材とPG59の2種類を、青色色材と混合することにより、紫色色材とPG59の2種類の組み合わせが300nm前後の波長を吸収し難いので、ネガ型感光性バインダー成分を組み合わせて青色着色層用の感光性着色樹脂組成物としても、露光時に着色層内部の硬化不足が生じ難いというメリットがある。そのため、本発明の着色樹脂組成物を、青色着色層用の感光性着色樹脂組成物とする場合、現像時のえぐれ、それに伴う、現像時のカケ、ハガレが生じ難く、更に空隙も生じ難いため、斜め方向から着色層を見た時の光の乱反射による色ムラが発生し難いという効果がある。
【0132】
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
【0133】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられるアルカリ現像液に可溶性であるものの中から、適宜選択して使用することができる。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂とは、酸価が40mgKOH/g以上であることを目安にすることができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基、通常カルボキシ基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシ基を有するアクリル系共重合体及びカルボキシ基を有するスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシ基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、並びにエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0134】
カルボキシル基を有する構成単位を有するアクリル系共重合体、及びカルボキシ基を有するスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂は、例えば、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー、及び必要に応じて共重合可能なその他のモノマーを、公知の方法により(共)重合して得られた(共)重合体である。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。中でも、共重合性やコスト、溶解性、ガラス転移温度などの点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0135】
アルカリ可溶性樹脂は、着色層の密着性が優れる点から、更に炭化水素環を有することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂に嵩高い基である、炭化水素環を有することにより硬化時の収縮が抑制され、基板との間の剥離が緩和し、基板密着性が向上する。また、本発明者らは、炭化水素環を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることにより、得られた着色層の耐溶剤性、特に着色層の膨潤が抑制されるとの知見を得た。作用については未解明であるが、着色層内に嵩高い炭化水素環が含まれることにより、着色層内における分子の動きが抑制される結果、塗膜の強度が高くなり溶剤による膨潤が抑制されるものと推定される。
このような炭化水素環としては、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、及びこれらの組み合わせが挙げられ、炭化水素環がアルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、アミド基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
炭化水素環は、1価の基として含まれていても良いし、2価以上の基として含まれていても良い。
【0136】
炭化水素環の具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン(ジシクロペンタン)、アダマンタン等の脂肪族炭化水素環;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン等の芳香族炭化水素環;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環や、カルド構造(9,9−ジアリールフルオレン)等が挙げられる。
【0137】
炭化水素環として、脂肪族炭化水素環を含む場合には、着色層の耐熱性や密着性が向上すると共に、得られた着色層の輝度が向上する点から好ましい。
また、前記カルド構造を含む場合には、着色層の硬化性が向上し、耐溶剤性(NMP膨潤抑制)が向上する点から特に好ましい。
【0138】
アルカリ可溶性樹脂は、2つ以上の環が2以上の原子を共有した構造を有する脂肪族炭化水素環である、架橋環式炭化水素環を有するのも好ましい。
架橋環式炭化水素環の具体例としては、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセン、トリシクロペンテン、トリシクロペンタン、トリシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン;これらの基の一部が置換基によって置換された基が挙げられる。
上記置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0139】
架橋環式炭化水素環の炭素数は、他の材料との相溶性やアルカリ現像液に対する溶解性の観点から、下限は5以上が好ましく、7以上が特に好ましい。上限は、12以下が好ましく、10以下が特に好ましい。
【0140】
また、アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(III)で表されるマレイミド構造を有するのも好ましい。
【0141】
【化7】
[一般式(III)において、R
Mは、置換されていてもよい炭化水素環である。]
【0142】
アルカリ可溶性樹脂が、一般式(III)で表されるマレイミド構造を有する場合、炭化水素環に窒素原子を有するため、前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である塩基性分散剤との相溶性が非常によく、現像速度が速く、現像残渣の抑制効果が向上する。
【0143】
一般式(III)のR
Mにおける、置換されていてもよい炭化水素環の具体例としては、前記炭化水素環の具体例と同様のものが挙げられる。
例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の脂肪族炭化水素環や、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素環、これらの基の一部が置換基によって置換された基が挙げられる。
【0144】
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂において、カルボキシ基を有する構成単位とは別に、上記炭化水素環を有する構成単位を有するアクリル系共重合体を用いることが、各構成単位量を調整しやすく、上記炭化水素環を有する構成単位量を増加して当該構成単位が有する機能を向上させやすい点から好ましい。
カルボキシ基を有する構成単位と、上記炭化水素環とを有するアクリル系共重合体は、前述の“共重合可能なその他のモノマー”として炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーを用いることにより調製することができる。
【0145】
炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレンなどが挙げられ、現像後の着色層の断面形状が加熱処理においても維持される効果が大きい点から、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びスチレンから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0146】
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂はまた、側鎖にエチレン性二重結合を有することが好ましい。エチレン性二重結合を有する場合には、カラーフィルタ製造時における樹脂組成物の硬化工程において、当該アルカリ可溶性樹脂同士、乃至、当該アルカリ可溶性樹脂と多官能モノマー等が架橋結合を形成し得る。硬化膜の膜強度がより向上して現像耐性が向上し、また、硬化膜の熱収縮が抑制されて基板との密着性に優れるようになる。
アルカリ可溶性樹脂中に、エチレン性二重結合を導入する方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、アルカリ可溶性樹脂が有するカルボキシル基に、分子内にエポキシ基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等を付加させ、側鎖にエチレン性二重結合を導入する方法や、水酸基を有する構成単位を共重合体に導入しておいて、分子内にイソシアネート基とエチレン性二重結合とを備えた化合物を付加させ、側鎖にエチレン性二重結合を導入する方法などが挙げられる。
【0147】
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、更にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等、エステル基を有する構成単位等の他の構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
【0148】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する構成単位と、炭化水素環を有する構成単位とを有するアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂であることが好ましく、カルボキシル基を有する構成単位と、炭化水素環を有する構成単位と、エチレン性二重結合を有する構成単位とを有するアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂であることがより好ましい。
【0149】
アルカリ可溶性樹脂は、各構成単位の仕込み量を適宜調整することにより、所望の性能を有するアルカリ可溶性樹脂とすることができる。
【0150】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの仕込み量は、良好なパターンが得られる点から、モノマー全量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。一方、現像後のパターン表面の膜荒れ等を抑制する点から、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの仕込み量は、モノマー全量に対して50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの割合が上記下限値以上であると得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が十分であり、また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの割合が上記上限値以下であると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れが起こり難い傾向がある。
【0151】
また、アルカリ可溶性樹脂としてより好ましく用いられる、エチレン性二重結合を有する構成単位とを有するアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂において、エポキシ基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物はカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの仕込み量に対して、10質量%以上95質量%以下であることが好ましく、15質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0152】
カルボキシ基含有共重合体の好ましい重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜50,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜20,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下する場合があり、50,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
なお、カルボキシ基含有共重合体の上記重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてショウデックスGPCシステム−21H(Shodex GPC System−21H)により測定することができる。
【0153】
カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0154】
アルカリ可溶性樹脂は、現像液に用いるアルカリ水溶液に対する現像性(溶解性)の点から、酸価が50mgKOH/g以上のものを選択して用いることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、現像液に用いるアルカリ水溶液に対する現像性(溶解性)の点、及び基板への密着性の点から、酸価が70mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、中でも、80mgKOH/g以上280mgKOH/g以下であることが好ましい。
なお、本発明において酸価はJIS K 0070に従って測定することができる。
【0155】
アルカリ可溶性樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を有する場合のエチレン性不飽和結合当量は、硬化膜の膜強度が向上して現像耐性が向上し、基板との密着性に優れるといった効果を得る点から、100〜2000の範囲であることが好ましく、特に、140〜1500の範囲であることが好ましい。該エチレン性不飽和結合当量が、2000以下であれば現像耐性や密着性に優れている。また、100以上であれば、前記カルボキシ基を有する構成単位や、炭化水素環を有する構成単位などの他の構成単位の割合を相対的に増やすことができるため、現像性や耐熱性に優れている。
ここで、エチレン性不飽和結合当量とは、上記アルカリ可溶性樹脂におけるエチレン性不飽和結合1モル当りの重量平均分子量のことであり、下記数式(1)で表される。
【0156】
数式(1)
エチレン性不飽和結合当量(g/mol)=W(g)/M(mol)
(数式(1)中、Wは、アルカリ可溶性樹脂の質量(g)を表し、Mはアルカリ可溶性樹脂W(g)中に含まれるエチレン性二重結合のモル数(mol)を表す。)
【0157】
上記エチレン性不飽和結合当量は、例えば、JIS K 0070:1992に記載のよう素価の試験方法に準拠して、アルカリ可溶性樹脂1gあたりに含まれるエチレン性二重結合の数を測定することにより算出してもよい。
【0158】
カラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては特に制限はないが、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対してアルカリ可溶性樹脂は好ましくは5質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が上記下限値以上であると、充分なアルカリ現像性が得られやすく、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が上記上限値以下であると、現像時に膜荒れやパターンの欠けを抑制しやすい。
【0159】
(多官能モノマー)
カラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、前記光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が好適に用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、特開2013−029832号公報に記載のもの等が挙げられる。
【0160】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0161】
カラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して多官能モノマーは好ましくは5質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲内である。多官能モノマーの含有量が上記下限値以上であると十分に光硬化が進み、露光部分が現像時の溶出を抑制でき、また、多官能モノマーの含有量が上記上限値以下であるとアルカリ現像性が十分である。
【0162】
(光開始剤)
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
開始剤としては、芳香族ケトン類、ベンゾインエーテル類、ハロメチルオキサジアゾール化合物、α−アミノケトン、ビイミダゾール類、N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ハロメチル−S−トリアジン系化合物、チオキサントン等を挙げることができる。開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体等のビイミダゾール類、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。
中でも、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントンが好ましく用いられる。更に2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンのようなα−アミノアセトフェノン系開始剤とジエチルチオキサントンのようなチオキサントン系開始剤を組み合わせることが感度調整、水染みを抑制し、現像耐性が向上する点から好ましい。
α−アミノアセトフェノン系開始剤とチオキサントン系開始剤を用いる場合のこれらの合計含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5質量%以上15質量%以下が好ましい。開始剤量が15質量%以下だと製造プロセス中の昇華物が低減するため好ましい。開始剤量が5質量%以上であると水染み等、現像耐性が向上する。
【0163】
本発明において、開始剤は、感度を向上させる観点から、中でも、オキシムエステル系光開始剤を含むことが好ましい。オキシムエステル系光開始剤を用いることにより、細線パターンを形成する際に、面内の線幅のばらつきが抑制され易い。更に、オキシムエステル系光開始剤を用いることにより、現像耐性が向上し、水染み発生抑制効果が高くなる傾向がある。なお、水染みとは、アルカリ現像性を高くする成分を用いると、アルカリ現像後、純水でリンスした後に、水が染みたような跡が発生することをいう。このような水染みは、ポストベーク後に消えるので製品としては問題がないが、現像後にパターニング面の外観検査において、ムラ異常として検出されてしまい、正常品と異常品の区別がつかないという問題が生じる。そのため、外観検査において検査装置の検査感度を下げると、結果として最終的なカラーフィルタ製品の歩留まり低下を引き起こし、問題となる。
当該オキシムエステル系光開始剤としては、分解物によるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の汚染や装置の汚染を低減する点から、中でも、芳香環を有するものが好ましく、芳香環を含む縮合環を有するものがより好ましく、ベンゼン環とヘテロ環を含む縮合環を有することがさらに好ましい。
オキシムエステル系光開始剤としては、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−、2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2010−527339、特表2010−527338、特開2013−041153等に記載のオキシムエステル系光開始剤の中から適宜選択できる。市販品として、カルバゾール骨格を有するイルガキュアOXE−02(BASF製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料社製)、ジフェニルスルフィド骨格を有するアデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、TR−PBG−345、TR−PBG−3057(以上、常州強力電子新材料社製)、イルガキュアOXE−01(BASF製)、フルオレン骨格を有するTR−PBG−365(常州強力電子新材料社製)などを用いても良い。特にジフェニルスルフィド骨格又はフルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いることが輝度の点から好ましい。またカルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いることが感度の高い点から好ましい。
またオキシムエステル系光開始剤を2種類以上併用することは、現像耐性や輝度が向上しやすく、水染み発生抑制効果が高い点で好ましい。特にジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤2種類の併用又は、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤とフルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を併用することは輝度が高く、耐熱性が高い点から好ましい。また、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤と、フルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤又はジフェニルスルフィドを有するオキシムエステル系光開始剤を併用することは感度、水染み発生抑制効果に優れる点で好ましい。
【0164】
また、オキシムエステル系光開始剤に、3級アミン構造を有する光開始剤を組み合わせて用いることが、水染みを抑制し、また、感度向上の点から、好ましい。3級アミン構造を有する光開始剤は、分子内に酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、開始剤から発生したラジカルが酸素により失活し難く、感度を向上させることができるからである。上記3級アミン構造を有する光開始剤の市販品としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(例えば、ハイキュアABP、川口薬品製)などが挙げられる。
また、オキシムエステル系光開始剤に、チオキサントン系開始剤を組み合わせることが感度調整、水染みを抑制し、現像耐性が向上する点から好ましく、オキシムエステル系光開始剤を2種類以上と、チオキサントン系開始剤を組み合わせることが輝度、現像耐性が向上し、感度調整をしやすく、水染み発生抑制効果が高く、現像耐性が向上する点で好ましい。
【0165】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能モノマー100質量部に対して、通常0.01質量部以上100質量部以下程度、好ましくは5質量部以上60質量部以下である。この含有量が上記下限値以上であると十分に光硬化が進み露光部分が現像時に溶出することを抑制し、一方上記上限値以下であると得られる着色層の黄変性が弱くなって輝度が低下することを抑制できる。
また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤として、オキシムエステル系光開始剤2種以上の合計含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、0.1質量%以上12.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上8.0質量%以下の範囲内であることが、これらの光開始剤の併用効果を十分に発揮させる点から好ましい。
【0166】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられるバインダー成分は、これらの合計含有量が、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して35質量%以上97質量%以下が好ましく、40質量%以上96質量%以下の割合で配合するのがより好ましい。上記下限値以上であれば、硬度や、基板との密着性に優れた着色層を得ることができる。また上記上限値以下であれば、現像性に優れ、熱収縮による微小なシワの発生も抑制される。
【0167】
<任意添加成分>
カラーフィルタ用着色樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤を含むものであってもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤の他、メルカプト化合物、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
【0168】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、更に酸化防止剤を含有することが、耐熱性が向上し、色材の退色が抑制され、輝度が向上する点から好ましい。
酸化防止剤は従来公知のものの中から適宜選択すればよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられ、耐熱性の点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。
【0169】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、少なくとも1つのフェノール構造を含有し、当該フェノール構造の水酸基の2位と6位の少なくとも1つに炭素原子数4以上の置換基が置換されている構造を有する酸化防止剤を意味する。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1010、BASF製)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名:イルガノックス3114、BASF製)、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)メシチレン(商品名:イルガノックス1330、BASF製)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン(商品名:イルガノックス565、BASF製)、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1035、BASF製)、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン(商品名:イルガノックスMD1024、BASF製)、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル(商品名:イルガノックス1135、BASF製)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(商品名:イルガノックス1520L、BASF製)、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド](商品名:イルガノックス1098、BASF製)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス259、BASF製)、1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:ADK STAB AO−80、アデカ製)、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロピオン酸)エチレンビス(オキシエチレン)(商品名:イルガノックス245、BASF製)、1,3,5−トリス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名:イルガノックス1790、BASF製)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名:スミライザーMDP−S、住友化学製)、6,6’−チオビス(2−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名:イルガノックス1081、BASF製)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル(商品名:イルガモド195、BASF製)、アクリル酸2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル(商品名:スミライザーGM、住友化学製)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール) (商品名:スミライザーWX−R、住友化学製)、6,6'−ジ−tert−ブチル−4,4'−ブチリデンジ−m−クレゾール(商品名:アデカスタブ AO−40、ADEKA製)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
中でも、耐熱性及び耐光性の点から、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:商品名:IRGANOX1010、BASF社製)が好ましい。
また、分子量が1000以下で且つフェノール性水酸基1個あたりの分子量が280当量以下、さらには分子量が500以下で且つフェノール性水酸基1個あたりの分子量が200当量以下であるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、輝度及びコントラストが向上した着色層を形成可能な点から好ましい。このような酸化防止剤は、流動性が高く、重量当たりの活性点も多いので、ラジカルトラップにより露光時及びポストベーク時での急激な硬化収縮による色材凝集を抑制することや、樹脂等の黄変を抑制することに起因して上記効果が得られやすいと推定される。このような酸化防止剤としては例えば、6,6'−ジ−tert−ブチル−4,4'−ブチリデンジ−m−クレゾール(商品名:アデカスタブ AO−40、ADEKA製)等が挙げられる。
【0170】
また、本発明においては、酸化防止剤として、潜在性酸化防止剤を用いることが、コントラストが向上した着色層を形成可能な点から好ましい。潜在性酸化防止剤を用いると、特にポストベーク時にラジカルトラップ効果が高くなるので、ポストベーク時での急激な硬化収縮による色材凝集を抑制することに起因して上記効果が得られやすいと推定される。本発明において潜在性酸化防止剤とは、加熱により脱離可能な保護基を有する化合物であって、当該保護基が脱離することにより、酸化防止機能を発現する化合物である。中でも150℃以上で加熱することにより、保護基が脱離しやすくなるものが好ましい。例えば、国際公開第2014/021023号に記載されているような潜在性酸化防止剤が挙げられる。
本発明において好適に用いられる潜在性酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のフェノール性水酸基を加熱により脱離可能な保護基で保護した潜在性ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。潜在性ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のフェノール性水酸基と、酸無水物、酸塩化物、Boc化試薬、アルキルハライド化合物、シリルクロライド化合物、又はアリルエーテル化合物等との反応物が挙げられる。潜在性ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のフェノール基の水素をt−ブトキシカルボニル基のようなカルバメート系保護基で置換した構造が好適に用いられ、具体例としては、下記化学式(a)〜(c)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0172】
前記潜在性酸化防止剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開昭57−111375、特開平3−173843、特開平6−128195、特開平7−206771、特開平7−252191、特表2004−501128の各公報に記載された方法により製造されたフェノール系化合物と、酸無水物、酸塩化物、Boc化試薬、アルキルハライド化合物、シリルクロライド化合物、アリルエーテル化合物等を反応させて得ることができる。また、市販品を用いてもよい。
【0173】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、感光性着色樹脂組成物として、前記オキシムエステル系光開始剤と、酸化防止剤とを組み合わせて含有すると、相乗効果で、マスク開口部よりも外側部分に侵入する弱い光で硬化することが抑制され、現像時のえぐれ、それに伴う、現像時のカケ、ハガレが更に生じ難くなり、斜め方向から着色層を見た時の光の乱反射による色ムラが更に発生し難くなる点から好ましい。
【0174】
酸化防止剤の含有量としては、着色樹脂組成物中の全固形分100質量部に対して、酸化防止剤が0.05質量部以上10.00質量部以下であることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下であることがより好ましい。上記下限値以上であれば、耐熱性及び耐光性に優れている。一方、上記上限値以下であれば、本発明の着色樹脂組成物を高感度の感光性樹脂組成物とすることができる。
【0175】
酸化防止剤を前記オキシムエステル系光開始剤と組み合わせて用いる場合、酸化防止剤の含有量としては、前記オキシムエステル系光開始剤の合計量100質量部に対して、酸化防止剤が1質量部以上250質量部以下であることが好ましく、3質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上45質量部以下であることがより更に好ましい。上記範囲内であれば、上記組み合わせの効果に優れている。
【0176】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、更にメルカプト化合物を含有することが、水染み発生抑制効果が向上する点から好ましい。
また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、感光性着色樹脂組成物として、前記オキシムエステル系光開始剤と、メルカプト化合物とを組み合わせて含有すると、現像耐性が向上する点、水染み発生抑制効果が更に向上する点、及び、細線パターンを形成する際に、直線性がより向上したり、マスク線幅の設計通りに細線パターンを形成する能力が向上する点から好ましい。また、前記オキシムエステル系光開始剤と、メルカプト化合物とを組み合わせて含有すると、相乗効果で、現像時のえぐれ、それに伴う、現像時のカケ、ハガレが更に生じ難くなり、斜め方向から着色層を見た時の光の乱反射による色ムラが更に発生し難くなる点から好ましい。
なお、「直線性が向上する」とは、着色組成物を塗布した後の現像工程において形成される着色層の端部の凹凸が少なく、直線状または略直線状に形成されることをいう。
【0177】
メルカプト化合物は、連鎖移動剤として機能し得るものであり、反応の遅いラジカルからラジカルを受け取って反応を早め、硬化性を向上するという性質を有する。
メルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびテトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
メルカプト化合物としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、メルカプト基を1分子中に2個以上有する多官能メルカプト化合物からなる群から選択される1種以上を用いることが、架橋密度が高くなり、水染み抑制効果が向上する点から好ましい。
また、長期保存した場合にも、良好な水染み抑制効果が維持され易い点から、メルカプト基が結合する炭素原子が第2級炭素原子である2級メルカプト基を有する2級メルカプト化合物が好ましく、更に当該2級メルカプト基を1分子中に2個以上有する多官能2級メルカプト化合物であることがより好ましい。
【0178】
カラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられるメルカプト化合物の含有量は、特に制限はないが、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、メルカプト化合物は、0.2質量%以上7質量%以下、さらに0.5質量%以上5質量%以下の範囲内であることが、前記効果を十分に発揮させる点から好ましい。
【0179】
また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、更に紫外線吸収剤を含有することが、コントラストが向上した着色層を形成可能な点から好ましい。これらの特性を向上する効果は、露光工程での急激な硬化収縮による色材凝集を抑制することに起因すると推定される。紫外線吸収剤は従来公知のものの中から適宜選択すればよい。紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。中でも、コントラストが向上した着色層を形成可能な点から、ベンゾトリアゾール系化合物を用いることが好ましい。
【0180】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2−メトキシ−1−メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルの化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
市販品としては、例えば、BASF製の「TINUVIN P」、「TINUVIN PS」、「TINUVIN 109」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN 328」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 384−2」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 928」、「TINUVIN 99−2」、「TINUVIN 1130」等が挙げられる。
【0181】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、コントラストが向上した着色層を形成可能な点から、下記一般式(IV)で表されるベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
【0182】
【化9】
(一般式(IV)中、R
11及びR
12はそれぞれ独立して、水素原子又はフェニル基で置換されていても良い炭素数1〜20のアルキル基、Xは、水素原子又は塩素原子を表す。)
【0183】
一般式(IV)において、中でも、R
12は、メチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、又はα,α-ジメチルベンジル基であることが好ましく、R
11は、水素原子、t−ブチル基、t−アミル基、又はα,α-ジメチルベンジル基であることが好ましい。
【0184】
カラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる紫外線吸収剤の含有量は、特に制限はないが、着色樹脂組成物中の全固形分100質量部に対して、紫外線吸収剤が0.05質量部以上10.00質量部以下であることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下であることがより好ましい。上記下限値以上であれば、耐熱性及び耐光性に優れている。一方、上記上限値以下であれば、本発明の着色樹脂組成物を高感度の感光性樹脂組成物とすることができる。
【0185】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、着色樹脂組成物として、前記オキシムエステル系光開始剤と、紫外線吸収剤とを組み合わせて含有すると、相乗効果で、現像時のえぐれ、それに伴う、現像時のカケ、ハガレが更に生じ難くなり、斜め方向から着色層を見た時の光の乱反射による色ムラが更に発生し難くなる点から好ましい。
【0186】
紫外線吸収剤を前記オキシムエステル系光開始剤と組み合わせて用いる場合、紫外線吸収剤の含有量としては、前記オキシムエステル系光開始剤の合計量100質量部に対して、紫外線吸収剤が1質量部以上250質量部以下であることが好ましく、3質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上45質量部以下であることがより更に好ましい。上記範囲内であれば、上記組み合わせの効果に優れている。
【0187】
また、界面活性剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、特開2013−029832号公報に記載のものが挙げられる。
【0188】
また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、更にシランカップリング剤を含有することが、塗膜のハガレ抑制が向上する点から好ましい。シランカップリング剤としては、例えばKBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−903、KBE−903、KBM573、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−303、KBM−802、KBM−803、KBE−9007、X−12−967C(信越シリコーン社製)などが挙げられる。中でもSiN基板の密着性の点からメタクリル基、アクリル基を有するKBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103が好ましい
【0189】
シランカップリング剤の含有量としては、着色樹脂組成物中の全固形分100質量部に対して、シランカップリング剤が0.05質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。上記下限値以上、上記上限値以下であれば、塗膜のハガレ抑制に優れている。
【0190】
<カラーフィルタ用着色樹脂組成物における各成分の配合割合>
色材の合計の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、3質量%以上65質量%以下、より好ましくは4質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0μm以上5.0μm以下)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、保存安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、色材の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、15質量%以上65質量%以下、より好ましくは25質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。
また、分散剤の含有量としては、色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して1質量%以上40質量%以下用いることができる。更に、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して2質量%以上30質量%以下の割合で配合するのが好ましく、特に3質量%以上25質量%以下の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、色材の分散性及び分散安定性に優れ、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の保存安定性により優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、分散剤の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、2質量%以上25質量%以下、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
また、溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含むカラーフィルタ用着色樹脂組成物の全量に対して、通常、55質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、中でも、65質量%以上88質量%以下の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0191】
ネガ型感光性バインダー成分を組み合わせて青色着色層用の感光性着色樹脂組成物とする際に、現像時のカケ、ハガレ、及び色ムラを抑制する点から、色材中の青色色材、紫色色材、及びPG59の色材比率(質量比)は、下記の平均透過率を満たす色材比率とすることが好ましい。
適当な分散剤及び溶剤を用いて所定の色材比率になるように試験色材分散液を準備し、色材の合計含有量が0.001質量%になるように前記試験色材分散液をPGMEAで希釈し、希釈後の試験色材分散液を光路長10mmの石英セルに入れて分光透過率測定を行う。当該分光透過率測定において、280nm以上360nm以下の範囲の平均透過率が、36%以上となることが好ましく、39%以上となることが更に好ましく、40%以上となることがより更に好ましい。分光透過率は、紫外可視分光光度計(例えば、島津製作所製 紫外可視近赤外分光光度計UV−3150)を用いて測定することができる。
また、適当な分散剤及び溶剤としては、具体的には例えば、後述の実施例1の色材分散液に用いられた分散剤及び溶剤を用いることができ、前記試験色材分散液は、実施例1の色材分散液と同様に調製することができる。
【0192】
また、ネガ型感光性バインダー成分を組み合わせて青色着色層用の感光性着色樹脂組成物とする際に、現像時のカケ、ハガレ、及び色ムラを抑制する点から、色材中の青色色材、紫色色材、及びPG59の色材比率(質量比)は、下記の平均透過率を満たす色材比率とすることが好ましい。
膜厚が2.8μm以下であり、且つ、単一画素でC光源で測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標において、x=0.120以上0.147以下、y=0.038以上0.180以下の範囲の色空間を表示できる硬化膜、好ましくはx=0.125以上0.147以下、y=0.038以上0.120以下の範囲の色空間を表示できる硬化膜の色材中の青色色材、紫色色材、及びPG59の色材比率を維持し、当該硬化膜の色材濃度(色材全質量/硬化膜の固形分全質量)の6万分の1の色材濃度(色材全質量/溶剤を含む色材分散液全質量)を有する希釈試験色材分散液を準備し、当該希釈試験色材分散液を光路長10mmの石英セルに入れて分光透過率測定を行う。当該分光透過率測定において、280nm以上360nm以下の範囲の平均透過率が、42%以上となることが好ましく、44%以上となることが更に好ましく、46%以上となることがより更に好ましい。分光透過率は、前記と同様に紫外可視分光光度計を用いて測定することができる。
また、前記希釈試験色材分散液は、具体的には例えば、青色色材、紫色色材、及びPG59を前記硬化膜中の色材比率に基づく所望の比率とし、後述の実施例1の色材分散液に用いられた分散剤及び溶剤を用いて実施例1と同様に色材分散液を調製し、硬化膜の色材濃度(色材全質量/硬化膜の固形分全質量)の6万分の1の色材濃度(色材全質量/溶剤を含む色材分散液全質量)となるように、PGMEA等の溶剤で希釈することによって調製することができる。
【0193】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物においては、P/V比((組成物中の色材全質量)/(組成物中の色材以外の固形分全質量)比)は、青色再現域の拡大の点から、0.10以上であることが好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.20以上であることがより更に好ましく、一方、溶剤再溶解性、現像残渣、現像密着性、現像耐性、現像カケやムラの発生抑制効果、及びコントラスト等に優れる点から、0.60以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましく、0.45以下であることがより更に好ましく、0.35以下であることが特に好ましい。
【0194】
<カラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化膜>
カラーフィルタ用着色樹脂組成物は、C光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標が、x=0.110以上0.150以下、y=0.035以上0.190以下の範囲にある硬化膜を形成可能であることが好ましい。
中でも、色再現性を向上する点から、C光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標が、x=0.120以上0.147以下、y=0.038以上0.180以下の範囲にある硬化膜を形成可能であることが好ましく、x=0.122以上0.147以下、y=0.038以上0.150以下の範囲にある硬化膜を形成可能であることが更に好ましく、x=0.125以上0.147以下、y=0.038以上0.120以下の範囲にある硬化膜を形成可能であることがより更に好ましい。
【0195】
カラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化膜は、中でも、膜厚が2.8μm以下であり、且つ、単一画素でC光源で測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標において、x=0.120以上0.147以下、y=0.038以上0.180以下の範囲の色空間を表示できることが好ましく、x=0.122以上0.147以下、y=0.038以上0.150以下の範囲の色空間を表示できることがより好ましく、x=0.125以上0.147以下、y=0.038以上0.120以下の範囲の色空間を表示できることがより更に好ましい。
カラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化膜は、中でも、膜厚が2.8μm以下であり、且つ、単一画素でC光源で測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標において、x=0.137以上0.147以下、y=0.038以上0.060未満の範囲の色空間を表示するのに良好な配合割合乃至組合せとしては色材全量に対して、青色色材が43質量%以上85質量%以下、紫色色材が14質量%以上40質量%以下、PG59が1質量%以上24質量%以下であることが好ましい。
同様に、x=0.132以上0.145以下、y=0.060以上0.080未満の範囲の色空間を表示するのに良好な配合割合乃至組合せとしては色材全量に対して、青色色材が43質量%以上93質量%以下、更に43質%以上90質量%以下が好ましく、紫色色材が5質量%以上39質量%以下、PG59が1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
同様に、x=0.128以上0.138以下、y=0.080以上0.100未満の範囲の色空間を表示するのに良好な配合割合乃至組合せとしては色材全量に対して、青色色材が35質量%以上98質量%以下、更に35質量%以上90質量%以下が好ましく、紫色色材が1質量%以上23質量%以下、PG59が1質量%以上49質量%以下であることが好ましい。
同様に、x=0.125以上0.147以下、y=0.100以上0.120未満の範囲の色空間を表示するのに良好な配合割合乃至組合せとしては色材全量に対して、青色色材が25質量%以上98質量%以下、更に27質量%以上90質量%以下が好ましく、紫色色材が1質量%以上26質量%以下、PG59が1質量%以上53質量%以下であることが好ましい。
同様に、x=0.122以上0.147以下、y=0.120以上0.150未満の範囲の色空間を表示するのに良好な配合割合乃至組合せとしては色材全量に対して、青色色材が27質量%以上89質量%以下、紫色色材が1質量%以上26質量%以下、PG59が10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
同様に、x=0.120以上0.147以下、y=0.150以上0.180以下の範囲の色空間を表示するのに良好な配合割合乃至組合せとしては色材全量に対して、青色色材が26質量%以上73質量%以下、紫色色材が1質量%以上13質量%以下、PG59が21質量%以上65質量%以下であることが好ましい。
なお、ここでの硬化膜の膜厚は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を、塗布、乾燥後、露光して多官能モノマーを硬化後、230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークした後の膜厚をいう。
【0196】
<カラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法>
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、前記本発明の色材分散液に、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤と、必要に応じてその他の成分を添加し、公知の混合手段を用いて混合することにより得ることができる。或いは、前記分散剤を用いて、各色材の色材分散液とを各々準備し、各々の色材分散液と、バインダー成分と、必要に応じてその他の成分を、公知の混合手段を用いて混合することにより得ることができる。
【0197】
[カラーフィルタ]
本発明に係るカラーフィルタは、基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化物である着色層を有する。
【0198】
このような本発明に係るカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0199】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化物、すなわち前記着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層である。
着色層は、通常、後述する基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1μm以上5μm以下の範囲であることが好ましい。
【0200】
当該着色層は、例えば、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法などの塗布手段を用いて後述する基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。なかでもスピンコート法、ダイコート法を好ましく用いることができる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて硬化塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0201】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0202】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法、感光性レジストを熱転写する方法等がある。
【0203】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2μm以上0.4μm以下程度で設定され、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5μm以上2μm以下程度で設定される。
【0204】
(基板)
基板としては、後述する透明基板やシリコン基板、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、TFT等のトランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0205】
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm以上1mm以下程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や配向突起、柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0206】
[表示装置]
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係るカラーフィルタを有することを特徴とする。本発明において表示装置の構成は特に限定されず、従来公知の表示装置の中から適宜選択することができ、例えば、液晶表示装置や、有機発光表示装置などが挙げられる。本発明では、横電界方式の液晶表示装置においても、緑色画素の電気的特性に起因する液晶の配向乱れ、スイッチングの閾値ずれによる焼き付き現象など、様々な表示不良が抑制されることから、液晶表示装置が好適に選択される。
【0207】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。
図2は、本発明の表示装置の一例を示す概略図であり、液晶表示装置の一例を示す概略図である。
図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この
図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0208】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
【0209】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
【0210】
<有機発光表示装置>
本発明に係る有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。
図3は、本発明の表示装置の他の一例を示す概略図であり、有機発光表示装置の一例を示す概略図である。
図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
【0211】
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この
図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
【実施例】
【0212】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
なお、塩形成前のブロック共重合体の酸価は、JIS K 0070に記載の方法に準ずる方法により求めた。
塩形成前のブロック共重合体のアミン価は、JIS K 7237に記載の方法に準ずる方法により求めた。
塩形成前のブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、前述の本発明の測定方法に従って、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算値として求めた。
塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に記載の方法に準ずる方法により、示差走査熱量測定(DSC)(SIIナノテクノロジー社製、EXSTAR DSC 7020)を用いて測定した。
【0213】
(合成例1:分散剤aの調製)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコにTHF250質量部、塩化リチウム0.6質量部を加え、充分に窒素置換を行った。反応フラスコを−60℃まで冷却した後、ブチルリチウム4.9質量部(15質量%ヘキサン溶液)、ジイソプロピルアミン1.1質量部、イソ酪酸メチル1.0質量部をシリンジを用いて注入した。Bブロック用モノマーのメタクリル酸1−エトキシエチル(EEMA)3.3質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)18.2質量部、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)4.2質量部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)7.0質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)24.7質量部、メタクリル酸メチル(MMA)13.3質量部を、添加用ロートを用いて60分かけて滴下した。30分後、Aブロック用モノマーであるメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA)30.8質量部を20分かけて滴下した。30分間反応させた後、メタノール1.5質量部を加えて反応を停止させた。得られた前駆体ブロック共重合体THF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、PGMEAで希釈し固形分30質量%溶液とした。水を32.5質量部加え、100℃に昇温し7時間反応させ、EEMA由来の構成単位を脱保護しメタクリル酸(MAA)由来の構成単位とした。得られたブロック共重合体PGMEA溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックとカルボキシ基含有モノマー由来の構成単位を含み親溶剤性を有するBブロックとを含むブロック共重合体A−1(酸価 12mgKOH/g、Tg44℃)を得た。このようにして得られたブロック共重合体A−1を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて確認したところ、重量平均分子量Mwは8100であった。また、アミン価は110mgKOH/gであった。
100mL丸底フラスコ中でPGMEA29.35質量部に、ブロック共重合体A−1を29.35質量部溶解し、フェニルホスホン酸(東京化成製)1.59質量部(フェニルホスホン酸がブロック共重合体A−1のDMMAユニット1モルに対し、0.1モル)加え、反応温度30℃で20時間攪拌することにより、塩型ブロック共重合体A−1(分散剤a)溶液を得た。塩形成後のアミン価は具体的には、以下のように算出した。
NMR試料管に塩型ブロック共重合体A−1(再沈殿後の固形物)を9質量部、クロロホルム−D1NMR用を91質量部で混合した溶液を1g入れ、
13C−NMRスペクトルを核磁気共鳴装置(日本電子製、FT NMR、JNM−AL400)を用い、室温、積算回数10000回の条件にて測定した。得られたスペクトルデータのうち、末端の窒素部位(アミノ基)において、塩形成されていない窒素原子に隣接する炭素原子ピークと、塩形成されている窒素原子に隣接する炭素原子ピークの積分値の比率より、アミノ基総数に対する塩形成されているアミノ基数の比率を算出し、理論的な塩形成比率と相違ない(全フェニルホスホン酸の2つの酸性基がブロック共重合体A−1のDMMAの末端の窒素部位と塩形成している)ことを確認した。
塩形成前のアミン価110mgKOH/gから、DMMAユニットの0.20モル分のアミン価(22mgKOH/g)を差し引いて、塩形成後のアミン価を88mgKOH/gと算出した。塩形成後のブロック共重合体A−1の酸価は塩形成前ブロック共重合体A−1と同じである。塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体A−1の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
【0214】
(合成例2〜4:分散剤b〜dの製造)
合成例1において、表1に示す含有量に変更した以外は、合成例1と同様にして、塩形成前ブロック共重合体A−2〜A−4、及び塩型ブロック共重合体A−2(分散剤b)〜A−4(分散剤d)溶液を合成した。なお、メタクリル酸1−エトキシエチル(EEMA)を合成例2においては2.8質量部、合成例3においては2.2質量部、合成例4においては1.1質量部使用した。得られた塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
【0215】
(合成例5:分散剤eの調製)
500mlの4口セパラブルフラスコを減圧して乾燥後、Ar(アルゴン)置換した。
Arフローしながら、脱水THF100g、メチルトリメチルシリルジメチルケテンアセタール2.0g、テトラブチルアンモニウム−3−クロロベンゾエート(TBACB)の1Mアセトニトリル溶液0.15ml、メシチレン0.2gを加えた。そこに滴下ロートを用いて、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)13.4質量部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)14.3質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)9.9質量部、メタクリル酸メチル(MMA)35.7質量部を45分かけて滴下した。反応が進むと発熱するため、氷冷することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMMA)26.7gを15分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール5gを加えて反応を停止させた。溶剤を減圧除去して、ブロック共重合体A−5を得た。GPC測定(NMP LiBr10mM)により求めた重量平均分子量は8,350、アミン価は95mgKOH/gであった。
100mL丸底フラスコ中でPGMEA29.35質量部に、ブロック共重合体A−5を29.35質量部溶解し、フェニルホスホン酸(PPA、東京化成製)3.17質量部(フェニルホスホン酸がブロック共重合体A−5のDMMAユニット1モルに対し、0.20モル)加え、反応温度30℃で20時間攪拌することにより、塩型ブロック共重合体A−5(分散剤e)溶液を得た。塩形成後のアミン価は、合成例1と同様に算出した。得られた塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
【0216】
(合成例6:分散剤fの調製)
合成例5において、フェニルホスホン酸に代えて、塩化ベンジル(東京化成製)を
3.80質量部(塩化ベンジルがブロック共重合体A−5のDMMAユニット1モルに対し、0.3モル)使用したこと以外は合成例5と同様にして、塩型ブロック共重合体A−6(分散剤f)溶液を合成した。得られた塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
【0217】
(合成例7:分散剤gの調製)
合成例5において、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)13.4質量部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)14.3質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)9.9質量部、及びメタクリル酸メチル(MMA)35.7質量部に代えて、メタクリル酸n−ブチル(BMA)7.6質量部、メタクリル酸メチル(MMA)32.9質量部、及びPME−1000(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(ポリエチレングリコール鎖の繰り返し数n≒23)、商品名ブレンマーPME−1000、日油製)39.9質量部を用い、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMMA)を26.7質量部に代えて、19.6質量部用いた以外は合成例5と同様にして、塩形成前ブロック共重合体A−7、及び塩型ブロック共重合体A−7(分散剤g)溶液を得た。塩形成後のアミン価は、合成例1と同様に算出した。得られた塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
【0218】
【表1】
【0219】
(合成例8:アルカリ可溶性樹脂A溶液の調製)
BzMA 40質量部、MMA 15質量部、MAA 25質量部、及びAIBN 3質量部の混合液を、PGMEA 150質量部を入れた重合槽中に、窒素気流下、100℃で、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃で、3時間加熱し、重合体溶液を得た。この重合体溶液の重量平均分子量は、7000であった。
次に、得られた重合体溶液に、グリシジルメタクリレート(GMA) 20質量部、トリエチルアミン0.2質量部、及びp−メトキシフェノール0.05質量部を添加し、110℃で10時間加熱し、反応溶液中に、空気をバブリングさせた。得られたアルカリ可溶性樹脂Aは、BzMAとMMA、MAAの共重合により形成された主鎖にGMAを用いてエチレン性二重結合を有する側鎖を導入した樹脂であり、固形分42.6質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてショウデックスGPCシステム−21H(Shodex GPC System−21H)により重量平均分子量を測定した。また酸価の測定方法は、JIS K 0070に基づいて測定した。
【0220】
(合成例9:アルカリ可溶性樹脂B溶液の調製)
合成例8において重合時のコモノマー種としてBzMAを40質量部用いる代わりに、スチレンを20質量部、及び、N−フェニルマレイミド(東京化成工業株式会社)を20質量部用いた以外は合成例8と同様にしてアルカリ可溶性樹脂B溶液を得た。固形分42.6質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
【0221】
(合成例10:青色色材1の合成)
(1)中間体1の合成
国際公開第2012/144521号に記載の中間体3及び中間体4の製造方法を参照して、下記化学式(A)で示される中間体1を15.9g(収率70%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.48%、7.78%);理論値(78.06%、7.75%、7.69%)
【0222】
【化10】
【0223】
(2)青色色材1の合成
中間体1 5.00g(4.58mmol)を水300mlに加え、90℃で溶解させ中間体2溶液とした。次に日本無機化学工業製リンタングステン酸・n水和物 H
3[PW
12O
40]・nH
2O(n=30) 10.44g(3.05mmol)を水100mLに入れ、90℃で攪拌し、リンタングステン酸水溶液を調製した。先の中間体2溶液にリンタングステン酸水溶液を90℃で混合し、生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥して下記化学式(B)で表される青色色材1を13.25g(収率98%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。(モル比W/Mo=100/0)
・MS(ESI) (m/z):510(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (41.55%、5.34%、4.32%);理論値(41.66%、5.17%、4.11%)
また、リンタングステン酸のポリ酸構造が青色色材1となった後も保たれていることを
31P−NMRにより確認した。
【0224】
【化11】
【0225】
(合成例11:紫色色材2の合成)
下記式で表されるアシッドレッド289(AR289;紫色色材1、東京化成社製) 5.0gを水500mlに加え、80℃で溶解させ、染料溶液を調製した。ポリ塩化アルミニウム(「商品名:タキバイン#1500」多木化学社製、Al
2(OH)
5Cl、塩基度83.5質量%、アルミナ分として23.5質量%)3.85gを水200mlに入れ、80℃で攪拌し、ポリ塩化アルミニウム水溶液を調製した。調製したポリ塩化アルミニウム水溶液を、80℃で15分かけて前記染料溶液に滴下し、さらに80℃で1時間攪拌した。生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥してローダミン系酸性染料の金属レーキ色材(紫色色材2)を6.30g(収率 96.2%)を得た。
【0226】
【化12】
【0227】
(合成例12:潜在性酸化防止剤(化合物a)の合成)
下記化学式(4)で表されるフェノール化合物0.01mol、二炭酸ジ−tert−ブチル0.05mol及びピリジン30gを混合し、窒素雰囲気下、室温で4−ジメチルアミノピリジン0.025molを加え、60℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液をイオン交換水150gに注ぎ、クロロホルム200gを加えて油水分離を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣にメタノール100gを加えて晶析を行った。得られた白色粉状結晶を60℃で3時間減圧乾燥させ、前記化学式(a)で表される潜在性酸化防止剤(化合物a)を得た。なお、得られた潜在性酸化防止剤の構造はIR及びNMRで確認した。
【0228】
【化13】
【0229】
(実施例1)
(1)色材分散液B1の製造
分散剤として合成例1の分散剤a溶液を6.23質量部、青色色材としてC.I.ピグメントブルー15:6(商品名FASTOGEN BLUE A510 DIC(株)製))を6.42質量部、紫色色材としてC.I.ピグメントバイオレット23(商品名Hostaperm Violet RL−NF クラリアント社製)を1.61質量部、C.I.ピグメントグリーン59(PG59、商品名FASTOGEN GREEN C100 DIC(株)製)4.97質量部、合成例8で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を14.59質量部、PGMEAを66.12質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、色材分散液B1を得た。
【0230】
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物B1の製造
上記(1)で得られた色材分散液B1を8.18質量部、合成例8で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を1.08質量部、多官能モノマー(商品名アロニックスM−403、東亞合成(株)社製)を0.71質量部、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(光開始剤:商品名イルガキュア907(IRG907)、(株)BASF製)を0.07質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光開始剤:商品名イルガキュア369(IRG369)、BASF製)を0.04質量部、ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、「DETX−S」(DETX))を0.02質量部、オキシムエステル系開始剤(常州強力電子新材料社製、「TR−PBG−3057」(PBG3057))を0.02質量部、フッ素系界面活性剤(商品名メガファックF559、DIC(株)製)を0.07質量部、シランカップリング剤(商品名KBM−503、信越シリコーン製)0.07質量部、メルカプト化合物(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート))0.05質量部、PGMEAを58.85質量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートを3.92質量部加え、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B1を得た。
(3)着色層の形成
上記(2)で得られた着色樹脂組成物B1を、厚み0.7mmで100mm×100mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥し、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm
2の紫外線を照射し、更に230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークすることにより、硬化後の膜厚が2.50μmとなるように膜厚を調整して着色層B1を形成した。
【0231】
(実施例2〜12、比較例1〜4)
(1)色材分散液B2〜B9、CB1〜CB4の製造
実施例2〜6及び比較例1においては、実施例1の(1)において、それぞれ表2に示すように、分散剤a溶液の代わりに、分散剤の種類と使用量を固形分が同じ質量部となるように変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例1の(1)と同様にして、色材分散液B2〜B6及び色材分散液CB1を得た。
また、実施例7〜9においては、実施例3の(1)において、それぞれ表2に示すように、色材の種類と使用量を変更した以外は実施例3の(1)と同様にして、色材分散液B7〜B9を得た。
また、比較例2〜4においては、実施例1の(1)において、表2に示すように、分散剤a溶液の代わりに、分散剤の種類と使用量を固形分が同じ質量部となるように変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整し、更に色材の種類と使用量を変更した以外は、実施例1の(1)と同様にして、色材分散液CB2〜CB4を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物B2〜B12、CB1〜CB4の製造
実施例2〜9及び比較例1〜4においては、実施例1の(2)における色材分散液B1の代わりにそれぞれ表2に示すように、上記色材分散液B2〜B9、CB1〜CB4を用いて、実施例1の(3)の方法で膜厚を2.50μmとするために前記P/V比がそれぞれ表2に示した値となるようにアルカリ可溶性樹脂の量を調整した以外は、実施例1の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B2〜B9、CB1〜CB4を得た。
また、実施例10においては、実施例3において、更に、酸化防止剤IRGANOX1010(BASF社製)0.03質量部を添加した以外は、実施例3の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B10を得た。
また、実施例11においては、実施例3においてアルカリ可溶性樹脂A溶液を用いた代わりに、合成例9で得られたアルカリ可溶性樹脂B溶液を用い、更に、酸化防止剤IRGANOX1010(BASF社製)0.03質量部を添加した以外は、実施例3の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B11を得た。
また、実施例12においては、実施例11において、光開始剤について表2に示すように、IRG369を0.04質量部の代わりに、オキシムエステル系光開始剤(常州強力電子新材料社製、「TR−PBG−365」(PBG365)を0.04質量部用いた以外は、実施例11の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B12を得た。
なお、比較例3〜4の色材の組合せでは、実施例1の(3)の方法で膜厚が2.5μmで、x=0.130、y=0.119の色度を実現できるような着色樹脂組成物を調製することはできなかった。
(3)着色層の形成
実施例1の(3)において、着色樹脂組成物B1の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物B2〜B12、CB1〜CB2を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色層B2〜B12、CB1〜CB2を得た。
【0232】
【表2】
【0233】
ここで、表中各略号は、以下の通りである。
PB15:3 :C.I.ピグメントブルー15:3(商品名:クロモファインブルーA−220JC 大日精化工業株式会社製)
青色色材1: 合成例10の青色色材1
紫色色材1:アシッドレッド289(AR289、東京化成社製)
紫色色材2: 合成例11の紫色色材2
PG58:C.I.ピグメントグリーン58(商品名:FASTOGEN GREEN A110、DIC株式会社製)
Byk161:商品名Disperbyk−161(ビックケミー製、ウレタン系分散剤、固形分30質量%)
Byk2001:商品名Disperbyk−2001(ビックケミー製、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体、固形分46質量%)
溶剤A:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
溶剤B:3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート
【0234】
(実施例13〜15)
(1)色材分散液B13〜B15の製造
実施例13〜15においては、実施例3の(1)において、それぞれ表3に示すように、色材の種類と配合量を変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例3の(1)と同様にして、色材分散液B13〜B15を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物B13〜B15の製造
実施例12の(2)における色材分散液B3の代わりにそれぞれ上記色材分散液B13〜B15を用い、実施例1の(3)の方法で膜厚を2.50μmとするために前記P/V比がそれぞれ表3に示した値となるようにアルカリ可溶性樹脂の量を調整した以外は、実施例12の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B13〜B15を得た。
(3)着色層の形成
実施例12の(3)において、着色樹脂組成物B12の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物B13〜B15を用いた以外は、実施例12の(3)と同様にして、着色層B13〜B15を得た。
【0235】
(比較例5〜7)
(1)色材分散液CB5〜CB7の製造
比較例5〜7においては、実施例1の(1)において、表3に示すように、分散剤a溶液の代わりに、分散剤の種類と使用量を固形分が同じ質量部となるように変更し、更にそれぞれ表3に示すように、色材の種類と配合量を変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例1の(1)と同様にして、色材分散液CB5〜CB7を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物CB5〜CB7の製造
実施例12の(2)における色材分散液B3の代わりにそれぞれ上記色材分散液CB5〜CB7を用い、実施例1の(3)の方法で膜厚を2.50μmとするために前記P/V比がそれぞれ表3に示した値となるようにアルカリ可溶性樹脂の量を調整した以外は、実施例12の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物CB5〜CB7を得た。
(3)着色層の形成
実施例12の(3)において、着色樹脂組成物B12の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物CB5〜CB7を用いた以外は、実施例12の(3)と同様にして、着色層CB5〜CB7を得た。
【0236】
【表3】
【0237】
ここで、表中各略号は、以下の通りである。
PG36:C.I.ピグメントグリーン36(商品名:FASTOGEN GREEN 2YK−50、DIC株式会社製)
PG7:C.I.ピグメントグリーン7(商品名:クロモファイングリーン6428EC、大日精化工業製)
【0238】
(実施例16〜33)
(1)色材分散液B16〜B33の製造
実施例16〜33においては、実施例3の(1)において、それぞれ表4に示すように、色材の種類と配合量を変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例3の(1)と同様にして、色材分散液B16〜B33を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物B16〜B33の製造
実施例12の(2)における色材分散液B3の代わりにそれぞれ上記色材分散液B16〜B33を用い、実施例1の(3)の方法で膜厚を2.80μmとするために前記P/V比がそれぞれ表4に示した値となるようにアルカリ可溶性樹脂の量を調整した以外は、実施例12の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B16〜B33を得た。
(3)着色層の形成
実施例12の(3)において、着色樹脂組成物B12の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物B16〜B33を用いた以外は、実施例12の(3)と同様にして、着色層B16〜B33を得た。
【0239】
【表4】
ここで、表中各略号は、以下の通りである。
PB16 :C.I.ピグメントブルー16(商品名:ヘリオゲンブルー D7490 BASF製)
【0240】
(実施例34)
(1)色材分散液の製造
分散剤として合成例3の分散剤c溶液を6.23質量部、色材としてC.I.ピグメントブルー15:6(商品名FASTOGEN BLUE A510 DIC(株)製))を13.0質量部、合成例8で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を14.59質量部、PGMEAを66.20質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、青色色材分散液b1を得た。
前記青色色材分散液b1において、色材としてC.I.ピグメントブルー15:6を13.0質量部用いる代わりに、色材としてC.I.ピグメントバイオレット23(商品名Hostaperm Violet RL−NF クラリアント社製)を13.0質量部用いた以外は前記青色色材分散液b1と同様にして、紫色色材分散液v1を得た。
前記青色色材分散液b1において、色材としてC.I.ピグメントブルー15:6を13.0質量部用いる代わりに、色材としてC.I.ピグメントグリーン59(PG59、商品名FASTOGEN GREEN C100 DIC(株)製)を13.0質量部用いた以外は前記青色色材分散液b1と同様にして、緑色色材分散液g1を得た。
【0241】
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物B34の製造
上記(1)で得られた青色色材分散液b1を4.00質量部、紫色色材分散液v1を1.01質量部、緑色色材分散液g1を3.12質量部、合成例8で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を1.08質量部、多官能モノマー(商品名アロニックスM−403、東亞合成(株)社製)を0.71質量部、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(光開始剤:商品名イルガキュア907(IRG907)、(株)BASF製)を0.07質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光開始剤:商品名イルガキュア369(IRG369)、BASF製)を0.04質量部、ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、「DETX−S」(DETX))を0.02質量部、オキシムエステル系開始剤(常州強力電子新材料社製、「TR−PBG−3057」(PBG3057))を0.02質量部、フッ素系界面活性剤(商品名メガファックF559、DIC(株)製)を0.07質量部、シランカップリング剤(商品名KBM−503、信越シリコーン製)0.07質量部、メルカプト化合物(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート))0.05質量部、PGMEAを58.85質量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートを3.92質量部加え、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B34を得た。
(3)着色層の形成
実施例1の(3)において、着色樹脂組成物B1の代わりに、上記着色樹脂組成物B34を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色層B34を得た。
得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物B34は、実施例3のカラーフィルタ用着色樹脂組成物B3と同じ組成となっており、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B34及び着色層B34の評価結果は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B3及び着色層B3の評価結果と同じになった。
【0242】
(実施例35〜40)
(1)色材分散液B39の製造
実施例39においては、実施例1の(1)において、それぞれ表5に示すように、分散剤a溶液の代わりに、分散剤g溶液を用いて固形分が同じ質量部となるように変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例1の(1)と同様にして、色材分散液B39を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物B35〜B40の製造
実施例35においては、実施例3において、光開始剤について表5に示すように、IRG369を0.04質量部の代わりに、オキシムエステル系光開始剤(商品名イルガキュアOXE 01(OXE01)、BASF製)を0.02質量部用い、PGB3057を0.02質量部の代わりに、オキシムエステル系開始剤(商品名イルガキュアOXE 02(OXE02)、BASF製)を0.04質量部用いた以外は、実施例3の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B35を得た。
また、実施例36においては、実施例10において、酸化防止剤(商品名IRGANOX1010(1010)、BASF社製)0.03質量部の代わりに、酸化防止剤(商品名アデカスタブ AO−40(AO−40)、ADEKA製)0.03質量部を用いた以外は、実施例10の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B36を得た。
また、実施例37においては、実施例10において、酸化防止剤(商品名IRGANOX1010(1010)、BASF社製)0.03質量部の代わりに、合成例12の潜在性酸化防止剤(化合物a)0.03質量部を用いた以外は、実施例10の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B37を得た。
また、実施例38においては、実施例10において、酸化防止剤(商品名IRGANOX1010(1010)、BASF社製)0.03質量部を添加する代わりに、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系化合物、商品名TINUVIN 329 BASF製)0.03質量部を添加した以外は、実施例10の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B38を得た。
実施例39においては、実施例3において、色材分散液B3の代わりに、色材分散液B39を用いた以外は、実施例3の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B39を得た。
実施例40においては、実施例35において、色材分散液B3の代わりに、色材分散液B39を用い、更にアルカリ可溶性樹脂A溶液を用いた代わりに、合成例9で得られたアルカリ可溶性樹脂B溶液を用い、酸化防止剤(商品名アデカスタブ AO−40(AO−40)、ADEKA製)0.03質量部と、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系化合物、商品名TINUVIN 329 BASF製)0.03質量部とを添加した以外は、実施例35の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物B40を得た。
(3)着色層の形成
実施例1の(3)において、着色樹脂組成物B1の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物B35〜B40を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色層B35〜B40を得た。
【0243】
【表5】
【0244】
[評価方法]
<色材分散液の分散性評価>
実施例及び比較例で得られた色材分散液についてそれぞれ、調製直後と、25℃で30日間保存後の粘度を測定し、保存前後の粘度から粘度変化率を算出し、粘度安定性を評価した。粘度測定には振動式粘度計を用いて、25.0±0.5℃における粘度を測定した。
(粘度安定性評価基準)
A:保存前後の粘度の変化率が10%未満
B:保存前後の粘度の変化率が10%以上20%未満
C:保存前後の粘度の変化率が20%以上30%未満
D:保存前後の粘度の変化率が30%以上
ただし、色材分散液の溶剤を含めた合計質量に対して、色材を13質量%としたときの値である。
評価結果がCでも色材分散液は実用上使用できるが、評価結果がBであれば色材分散液はより良好であり、評価結果がAであれば色材分散液は、分散安定性に優れている。
【0245】
<光学性能評価、コントラスト評価>
実施例及び比較例で得られた着色層のコントラストと色度(x、y)、輝度(Y)を大塚電子製分光特性測定装置LCF−1500Mと壺坂電気製コントラスト測定装置CT−1Bを用いて測定した。
(コントラスト評価基準)
・C光源でyが0.038〜0.070としたときの値
AA:5000超過
A:3500〜4999
B:1500〜3499
C:1500未満
・C光源でyが0.071〜0.110としたときの値
AA:6000超過
A:4000〜5999
B:2000〜3999
C:2000未満
・C光源でyが0.111〜0.140としたときの値
AA:7000超過
A:4500〜6999
B:2500〜4499
C:2500未満
・C光源でyが0.141〜0.180としたときの値
AA:7500超過
A:5000〜7499
B:3000〜4999
C:3000未満
上記評価基準がAA、A又はBであれば、コントラスト良好と評価され、実用上問題なく使用できるが、評価結果がA、更にAAであればより効果が優れている。
【0246】
<溶剤再溶解性評価>
幅0.5cm長さ10cmのガラス基板の先端を、実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物に浸漬させ、ガラス基板の長さ1cm部分に塗布した。引き上げたガラス基板を、ガラス面が水平になるように恒温恒湿機に入れ、温度23℃、湿度80%RHで10分間の条件で乾燥させた。次に、乾燥させた塗膜が付着したガラス基板をPGMEA中に15秒間浸漬させた。このとき乾燥塗膜の再溶解状態を目視で判別し、評価した。
(溶剤再溶解性評価基準)
AA:8秒以下で乾燥塗膜が完全に溶解した
A:乾燥塗膜が完全に溶解した
B:溶剤中に乾燥塗膜の薄片が生じ、溶液が着色した
C:溶剤中に乾燥塗膜の薄片が生じず、溶液が着色しなかった
上記評価基準がAA、A又はBであれば、溶剤再溶解性良好と評価され、実用上問題なく使用できるが、評価結果がA、更にAAであればより効果が優れている。
【0247】
<現像残渣評価>
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、それぞれ厚み0.7mmで100mm×100mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて60℃で3分間乾燥することにより、厚さ2.5μmの着色層を形成した。上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した。上記着色層の形成後のガラス基板の未露光部(50mm×50mm)を、目視により観察した後、エタノールを含ませたレンズクリーナー(東レ社製、商品名トレシーMKクリーンクロス)で十分に拭き取り、そのレンズクリーナーの着色度合いを目視で観察した。
(現像残渣評価基準)
AA:厚さ3.5μmの着色層による同様の評価でも、目視により現像残渣が確認されず、レンズクリーナーが全く着色しなかった
A:目視により現像残渣が確認されず、レンズクリーナーが全く着色しなかった
B:目視により現像残渣が確認されず、レンズクリーナーの着色がわずかに確認された
C:目視により現像残渣がわずかに確認され、レンズクリーナーの着色が確認された
D:目視により現像残渣が確認され、レンズクリーナーの着色が確認された
上記評価基準がAA、A、B又はCであれば、実用上使用できるが、評価結果がB、更にA、より更にAAであればより効果が優れている。
【0248】
<現像耐性評価>
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、それぞれ厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った後、超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm
2の紫外線を照射した。この時点での膜厚を測定して、T1(μm)とする。その後、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像した。現像後の膜厚を測定してT2(μm)とする。T2/T1×100(%)を計算した。
(現像耐性評価基準)
AA:98%以上
A:95%以上98%未満
B:90%以上95%未満
C:90%未満
評価結果がAA、A、Bであれば実用上使用できるが、上記評価基準がA、更にAAであれば、より効果が優れている。
【0249】
<現像カケ>
各実施例及び各比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、それぞれ厚み0.7mmで100mm×100mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて60℃で3分間乾燥することにより、ポストベーク(230℃のクリーンオーブンで30分間)後に表に記載の膜厚になるように回転数を調整し、着色層を形成した。この着色層に80μmのマスク開口幅、160μmのマスク遮光幅をもつフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて30mJ/cm
2の紫外線を照射した。上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて100秒間シャワー現像した。現像後の基板を光学顕微鏡により観察し、50mm×50mmの範囲の着色層のエッジ部のカケの個数を測定した。
(現像カケ評価基準)
AA:カケ無し
A:20個未満
B:20個以上50個未満
C:50個以上
現像カケ評価基準がAA、A又はBであれば、実用上使用できるが、評価結果がA、更にAAであればより効果が優れている。
【0250】
<ムラ>
各実施例及び各比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、それぞれ厚み0.7mmで100mm×100mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて60℃で3分間乾燥することにより、ポストベーク後に表に記載の膜厚になるように回転数を調整し、着色層を形成した。この着色層に80μmのマスク開口幅、160μmのマスク遮光幅をもつフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm
2の紫外線を照射した。上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した。次に、当該着色基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークした基板を投光機下で目視により着色層のムラを観察し、更に光学顕微鏡により50mm×50mmの範囲の着色層のエッジ部の空隙の個数を測定した。
(ムラ評価基準)
AA:ムラ無し、エッジ部の空隙無し
A:ムラ無し、エッジ部の空隙が20個未満
B:一部でムラが観察された
C:全体でムラが観察された
ムラ評価基準がAA又はAであれば、実用上使用できるが、評価結果がA、更にAAであればより効果が優れている。
【0251】
[結果のまとめ]
表の結果から、青色色材に、紫色色材と、PG59とを組み合わせ、更に、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である分散剤とを組み合わせた実施例1〜33、及び39の色材分散液は、粘度安定性が良好であることが明らかにされた。一方、青色色材に、紫色色材と、PG59とに、ウレタン系分散剤を組み合わせた比較例1の色材分散液は、粘度安定性が悪いことが明らかにされた。
また、青色色材に、従来の緑色色材を組み合わせた比較例2、5〜7の色材分散液は、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である分散剤を用いても、粘度安定性に劣ることが示された。
【0252】
また、青色色材に、紫色色材と、PG59とを組み合わせ、更に、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である分散剤を組み合わせた実施例1〜40のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、溶剤再溶解性が向上し、且つ青色再現域が拡大した着色層を形成可能なカラーフィルタ用着色樹脂組成物であることが明らかにされた。また、実施例1〜40の感光性着色樹脂組成物を用いた着色層はそれぞれ、現像カケやムラの発生が抑制されることも明らかにされた。
一方、青色色材に、紫色色材と、PG59とに、ウレタン系分散剤を組み合わせた比較例1は、同じ色度座標(x、y)の実施例と比較して、溶剤再溶解性が劣り、コントラスト、更には現像残渣、現像耐性、現像カケ、ムラが劣るものであった。前記色材の組み合わせに対してウレタン系分散剤を組み合わせると、分散性や分散安定性が悪いため、色材が分散剤に良好に取り囲まれておらず、再溶解性の溶剤に分散剤に吸着したまま色材が流され難いと推定される。
また、比較例3〜4の色材では、x=0.130、y=0.119の色度を実現できるような着色樹脂組成物を調製することはできなかった。
また、比較例2、5〜7では、同じ色度座標(x、y)の実施例と比較して、着色樹脂組成物におけるP/V比が大きくなる傾向があり溶剤再溶解性が劣っていた。更に、比較例2、5〜7では、同じ色度座標(x、y)の実施例と比較して、現像カケ及びムラが発生し易かった。
実施例1〜40の着色樹脂組成物の色材とその比率は以下の条件(膜厚が2.8μm以下であり、且つ、単一画素でC光源で測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標において、x=0.120以上0.147以下、y=0.038以上0.180以下の範囲の色空間を表示できる硬化膜の色材中の青色色材、紫色色材、及びPG59の比率を維持し、当該硬化膜の色材濃度(色材全質量/硬化膜の固形分全質量)の6万分の1の色材濃度(色材全質量/溶剤を含む色材分散液全質量)を有する希釈試験色材分散液を準備し、当該希釈試験色材分散液を厚さ1cmのセルに入れて分光透過率測定を行った場合に、280nm以上360nm以下の範囲の平均透過率が42%以上である)を満たしていた。それに対して、比較例2、5〜7の着色樹脂組成物では、前記280nm以上360nm以下の範囲の平均透過率が41%未満であった。
【0253】
実施例の中でも、アルカリ可溶性樹脂として、炭化水素環を有するマレイミド構造とスチレン構造の両方を含む実施例では、現像残渣の抑制が向上した着色樹脂組成物が得られることが明らかにされた。
また、オキシムエステル系光開始剤2種類を組み合わせて用いると、現像耐性が向上した着色樹脂組成物が得られることが明らかにされた。
【0254】
実施例の中でも、オキシムエステル系光開始剤と酸化防止剤を組み合わせた実施例では、現像カケとムラの抑制効果が向上した着色樹脂組成物が得られた。酸化防止剤を添加した実施例では、コントラストも向上した着色層が得られることが明らかにされた。実施例10〜12のコントラストはAAに近いAであった。中でも、分子量が500以下で且つフェノール性水酸基1個あたりの分子量が200当量以下であるヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いた実施例36は、高いコントラストを有する着色層が得られた。
また、潜在性酸化防止剤を用いた実施例37は、ムラの抑制効果が向上した着色樹脂組成物が得られ、現像密着性が良好で、コントラストも向上した着色層が得られた。
また、オキシムエステル系光開始剤と紫外線吸収剤を組み合わせた実施例38は、現像カケとムラの抑制効果が向上した着色樹脂組成物が得られた。紫外線吸収剤を添加した実施例では、コントラストも向上した着色層が得られた。
また、炭化水素環を有するマレイミド構造とスチレン構造の両方を含むアルカリ可溶性樹脂を用い、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤とジフェニルスルフィドを有するオキシムエステル系光開始剤を併用し、更に、分子量が500以下で且つフェノール性水酸基1個あたりの分子量が200当量以下であるヒンダードフェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤とを組み合わせて用いた実施例40は、現像残渣の抑制効果、現像カケとムラの抑制効果、及び現像耐性が向上した着色樹脂組成物が得られ、コントラストも向上した着色層が得られた。