(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記集塵室内に配置されて前記分離室から前記集塵室へ流れ込み旋回する空気の流れを妨げて渦を生じさせる抵抗体を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について
図1から
図7を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な管部3と、を備える。掃除機本体2と管部3とは流体的に接続される。
【0012】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の左右両側方にそれぞれ配置される一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に配置される着脱自在な塵埃分離集塵装置7と、本体ケース5の後半部に収納される電動送風機8と、主に電動送風機8を制御する本体制御部9と、電動送風機8へ電力を導く電源コード11と、を備える。掃除機本体2は、電源コード11を経て供給される電力で電動送風機8を駆動し、電動送風機8の駆動にともなう負圧を管部3に作用させ、管部3を通じて被掃除面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに分離後の空気を排気する。
【0013】
本体ケース5の正面部分には、本体接続口12が設けられる。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口であり、管部3と塵埃分離集塵装置7とを流体的に接続する。
【0014】
車輪6は、大径の走行輪であり、掃除機本体2を支える。
【0015】
塵埃分離集塵装置7は、電動送風機8が発生させる負圧によって被掃除面から管部3および本体接続口12を経て流れ込む塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する。他方、塵埃分離集塵装置7は、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送り込む。
【0016】
塵埃分離集塵装置7は、掃除機本体2に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する。他方、塵埃分離集塵装置7は、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送る。塵埃分離集塵装置7は、遠心分離方式を採り、旋回流によって塵埃と空気とを分離する。
【0017】
電動送風機8は、塵埃分離集塵装置7から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
【0018】
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備える。記憶装置は予め設定される複数の運転モードを記憶する。予め設定される複数の運転モードは、管部3で受け付けられる使用者の操作に対応する。それぞれの運転モードは相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値)に設定される。本体制御部9は、管部3で受け付けられる使用者の操作に応じ、その操作内容に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、読み出した運転モードにしたがって電動送風機8を制御する。
【0019】
電源コード11は、配線用差込接続器(図示省略、所謂コンセント)から掃除機本体2へ電力を供給する。電源コード11は自由端部に差込プラグ14を備える。
【0020】
管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ案内する。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続される継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続される集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続される手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に設けられる操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続される延長管25と、延長管25に着脱自在に接続される吸込口体26と、を備える。
【0021】
接続管19は、本体接続口12へ着脱自在な継手であり、本体接続口12を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続される。
【0022】
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は接続管19に流体的に接続される。集塵ホース21は、接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続される。
【0023】
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを中継する。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続される。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続される。
【0024】
把持部23は電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状を呈して手元操作管22から突出する。
【0025】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備える。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ24bと、を備える。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続される。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機8の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能する。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→………の順で切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
【0026】
延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25は、複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造を有する。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)と手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)とは着脱自在な継手構造を備える。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続される。
【0027】
吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在あるいは滑走自在な構造を有するとともに、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。また、吸込口体26は、吸込口28に配置される回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備える。吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造を備える。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続される。つまり、吸込口体26、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21、接続管19、および塵埃分離集塵装置7は、電動送風機8から吸込口28へ至る吸込風路である。
【0028】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bに対する使用者の操作を受け付けると電動送風機8を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機8が停止している状態で起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、再び起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機8を中運転モードで運転し、三度、起動スイッチ24bに対する操作を受け付けると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機8に対する入力値が小さい。始動した電動送風機8は、塵埃分離集塵装置7から空気を排気してその内部を負圧にする。
【0029】
塵埃分離集塵装置7内の負圧は、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、延長管25、および吸込口体26を順次に通じて吸込口体26の吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵装置7は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する。他方、塵埃分離集塵装置7は、含塵空気から分離した空気を電動送風機8へ送る。電動送風機8は塵埃分離集塵装置7から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
【0030】
次に、塵埃分離集塵装置7について詳細に説明する。
【0031】
図2は、本発明に係る電気掃除機の塵埃分離集塵装置を模式的に示す縦断面図である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態に係る塵埃分離集塵装置7は、全体で略円柱形状を呈する。塵埃分離集塵装置7は、容器本体35と、吸込管36と、第一濾過フィルタ部37と、隔離部38と、戻り濾過フィルタ部39と、回転支持部41と、蓋壁42と、吐出管43と、第二濾過フィルタ部45と、を備える。
【0033】
なお、塵埃分離集塵装置7は、掃除機本体2に装着状態における姿勢として円筒形状の容器本体35の中心線Cを垂直方向に向けても良いし、水平方向に向けても良く、この他の任意の角度に傾けていても良い。
【0034】
容器本体35は、一方の端部に開放端47、および他方の端部に閉塞端48を有する円筒形状を呈する。容器本体35は、含塵空気を塵埃と空気とに遠心分離する分離室51、および分離された塵埃を蓄積する集塵室52を仕切る外殻である。
【0035】
吸込管36は、容器本体35の側壁35aの開放端47側に偏倚されて容器本体35に接続される。吸込管36は、塵埃分離集塵装置7の流体的な入口である。吸込管36は、管部3から塵埃分離集塵装置7へ流入する空気を容器本体35の内周面の接線方向へ向けて容器本体35内へ導き、容器本体35内に旋回流Fを発生させる。吸込管36は側壁35aに一体成形される。なお、吸込管36は容器本体35内に旋回流Fを発生させる限りにおいて、容器本体35の中心線Cに直交する平面、例えば中心線Cが鉛直方向に向いている場合の水平面に対して傾いていても良い。
【0036】
第一濾過フィルタ部37は、容器本体35よりも短い円筒形状を呈する。第一濾過フィルタ部37の一方の端部(容器本体35の開放端47に近い側の端部)は蓋壁42に隣接される。第一濾過フィルタ部37は、容器本体35内に収納されて容器本体35との間に環状の分離室51を仕切る。第一濾過フィルタ部37は塵埃分離集塵装置7の一次フィルタである。分離室51は第一濾過フィルタ部37の外周面と容器本体35の内周面とを隔て、旋回流Fを発生させて含塵空気から塵埃と空気とを分離する。第一濾過フィルタ部37は、電動送風機8の始動直後や停止過渡など分離室51内の旋回流Fが十分に発達していない期間において、また旋回流Fが発達した後も当然に、容器本体35から吐出管43へ向かう塵埃の流出を防ぐ。
【0037】
また、第一濾過フィルタ部37は、側面に大きく開口する円筒形状の保形枠53と、保形枠53に設けられる第一濾過フィルタ55と、を備える。第一濾過フィルタ55は保形枠53を囲むようにして円筒形状に巻き付けられる。
【0038】
保形枠53は、第一濾過フィルタ55を円筒形状に保持する。保形枠53は、円筒形状の側面に相当する部分に配置される直線状の枠部材56と、枠部材56に連結されて円筒形状の両端部それぞれの縁に相当する環状の枠部材57と、を備える。
【0039】
隔離部38は、第一濾過フィルタ部37よりも大きく容器本体35よりも小さい外径形状を呈する。隔離部38は、第一濾過フィルタ部37の他方の端部(容器本体35の閉塞端48に近い側の端部)に隣接される。隔離部38は、互いに隣り合う分離室51と集塵室52とを区切る。隔離部38は開口58を有する。開口58は隔離部38の外周縁と容器本体35の内周面との隙間59よりも容器本体35の中心線Cに近く、隙間59と同様に分離室51と集塵室52とを流体的に接続する。隔離部38よりも容器本体35の底面側の空間は、分離室51から隙間59を通じて流れ込む塵埃を蓄積する集塵室52である。隙間59は分離室51内で発生する旋回流Fを塵埃とともに集塵室52に導き、開口58は集塵室52内に導かれた旋回流Fを分離室51へ戻す。
【0040】
なお、隔離部38は、
図2中、二点鎖線で示すように容器本体35の底面へ向けて開放される有底円筒形状を呈していても良い。この場合、二点鎖線で示す隔離部38は、容器本体35との間に隙間61を隔て、容器本体35の底面との間に隙間62を隔てる円筒形状の側壁63を備える。分離室51、および集塵室52は隙間59、61、62を通じて流体的に接続される。隙間61は、容器本体35の内周面、隔離部38の外周面を全周に渡って隔てる。隙間59、61、62は、分離室51内で発生した旋回流Fを塵埃とともに集塵室52に導く。
【0041】
戻り濾過フィルタ部39は、隔離部38の開口58に設けられる。戻り濾過フィルタ部39は、集塵室52に流れ込んだ糸くずや綿埃などの繊維状の塵埃が分離室51へ戻らない程度に目の粗いもの、例えばメッシュフィルタで良い。
【0042】
回転支持部41は容器本体35の中心線Cを回転軸として第一濾過フィルタ部37を回転自在に支持する。回転支持部41は、容器本体35の底部に設けられる第一軸芯保持部65と、容器本体35の開放端47側に配置される第二軸芯保持部66と、第一軸芯保持部65と第二軸芯保持部66との間に架け渡される軸芯部67と、第一濾過フィルタ部37の他方の端部(容器本体35の閉塞端48に近い側の端部)に設けられる第一軸受68と、第一濾過フィルタ部37の一方の端部(容器本体35の開放端47に近い側の端部)に設けられる第二軸受69と、を備える。
【0043】
第一軸芯保持部65、および第二軸芯保持部66は、容器本体35の中心線C上に、棒状の軸芯部67を支えるボスである。
【0044】
第二軸芯保持部66は容器本体35の中心線Cに対して同心に配置される。第二軸芯保持部66は、放射状に延びる複数の骨材71によって蓋壁42、または吐出管43に固定される。複数の骨材71間の空間は第一濾過フィルタ部37の内側から吐出管43へ向かう空気の流れを通過させる。
【0045】
軸芯部67は、第一軸芯保持部65と第二軸芯保持部66との間に架け渡されて容器本体35に対して固定される。軸芯部67は、容器本体35底部の第一軸芯保持部65から隔離部38へ到達する第一軸芯半部72と、第一軸芯半部72に継がれて第二軸芯保持部66へ達する第二軸芯半部73と、を備える。
【0046】
第一軸芯半部72は隔離部38を支持し、隔離部38を容器本体35に対して非回転に固定する。第一軸芯半部72は集塵室52内に配置されて分離室51から集塵室52へ流れ込み旋回する空気の流れを妨げて渦を生じさせる抵抗体75を備える。
【0047】
抵抗体75は、第一軸芯半部72から容器本体の径方向へ突出する板形状を呈する。抵抗体75は、第一軸芯半部72周囲の空気流を乱し、集塵室52内の塵埃を第一軸芯半部72の周囲に滞留させたり、纏わり付かせたりして集塵室52における塵埃の集積を促進させる。なお、抵抗体75は、第一軸芯半部72の他に、容器本体35の底部に設けられて容器本体35に一体成形されていても良く、容器本体35の内周面側に偏倚していても良い。
【0048】
第二軸芯半部73は、金属製であり、第一軸受68、および第二軸受69を介して第一濾過フィルタ部37を回転自在に保持する。
【0049】
第一軸受68、および第二軸受69は、潤滑油の含浸されたすべり軸受であり、自己潤滑性を発揮する所謂オイルレスベアリングまたはボールベアリングである。
【0050】
第一濾過フィルタ部37は、第一軸受68を保持する第一軸受保持部76と、第二軸受69を保持する第二軸受保持部77と、を備える。
【0051】
第一軸受保持部76は第一濾過フィルタ部37の他方の端部(容器本体35の閉塞端48に近い側の端部)を塞ぐ底壁37aに設けられる。
【0052】
第二軸受保持部77は第一濾過フィルタ部37の一方の端部(容器本体35の開放端47に近い側の端部)、かつ第一濾過フィルタ部37に対して同心に配置される。第二軸受保持部77は放射状に延びる複数の骨材78によって第一濾過フィルタ部37に固定される。複数の骨材78間の空間は第一濾過フィルタ部37の内側から吐出管43へ向かう空気の流れを通過させる。
【0053】
第一濾過フィルタ部37は、回転支持部41によって回転自在に支持されているため、分離室51を旋回する空気の流れ、つまり旋回流Fを受けて回転する。旋回流Fは第一濾過フィルタ部37の外周面に沿って流れる過程や、第一濾過フィルタ55を通じて第一濾過フィルタ部37の内側に流れ込む過程で、第一濾過フィルタ部37に回転力を付与する。
【0054】
蓋壁42は容器本体35の開放端47を塞ぐ。蓋壁42は容器本体35に対して略同心の開口42aを有する。開口42aは第一濾過フィルタ部37の内側の空間と吐出管43とを流体的に接続する。
【0055】
第一濾過フィルタ部37と隔離部38との隣接部分には、塵埃の侵入を防ぐ段状嵌合部79が設けられる。
【0056】
第一濾過フィルタ部37が蓋壁42に対して相対的には回転するため、蓋壁42と第一濾過フィルタ部37との隣接部分には、分離室51側から第一濾過フィルタ部37の内側空間への空気の流入を妨げるシール部81が設けられる。仮に、第一濾過フィルタ部37と蓋壁42との微小な隙間に塵埃等が入り込んでしまうと、第一濾過フィルタ部37は回転を阻害される。そこで、シール部81は、第一濾過フィルタ部37と蓋壁42との微小な隙間における空気の流通、または塵埃の侵入を妨げて第一濾過フィルタ部37の確実な回転を確保する。シール部81は、例えば、所謂ラビリンス構造を呈する。
【0057】
吐出管43は、容器本体35の開放端47を塞ぎ、蓋壁42を覆い隠す。吐出管43は、塵埃分離集塵装置7の流体的な出口であり、第一濾過フィルタ部37、および第二濾過フィルタ部45を通過する空気を電動送風機8へ送り出す排気風路82を仕切る。
【0058】
第二濾過フィルタ部45は、蓋壁42の開口42aから排気風路82へ流れ込む空気を濾過する。第二濾過フィルタ部45は、電動送風機8の始動直後や停止直後など分離室51の旋回流Fが十分に発達していない期間に、第一濾過フィルタ部37を透過する微細な粒子状の細塵を捕集し、微細な粒子状の細塵が電動送風機8に達することを防ぐ。第二濾過フィルタ部45は、円盤形状を呈し、中心側から放射状に延びる山折り部分と谷折り部分が交互に並ぶプリーツフィルタである。
【0059】
第一濾過フィルタ部37、隔離部38、戻り濾過フィルタ部39、および回転支持部41は、蓋壁42、および吐出管43に一体化されていて、容器本体35の開放端47を通じて取り出し、再度容器本体35内へ収納できる。
【0060】
図3は、本発明に係る電気掃除機の第一濾過フィルタ部を示す斜視図である。
【0061】
図3に示すように、本実施形態に係る塵埃分離集塵装置7は、第一濾過フィルタ部37に設けられて分離室51を旋回する空気の流れを受ける翼板83を備える。
【0062】
翼板83は、第一濾過フィルタ部37の内周側に設けられ、第一濾過フィルタ部37の中心線、つまり容器本体35の中心線Cに向かって延びる。翼板83は保形枠53に一体化されている。換言すれば、保形枠53は翼板83を兼ねている。翼板83は、第一濾過フィルタ55を通過して第一濾過フィルタ部37の内側に流れ込む空気を受けて、第一濾過フィルタ部37の回転力に変換する。
【0063】
次いで、本発明に係る電気掃除機1の動作について説明する。
【0064】
ここで、先ず、比較のために、容器本体101に対して固定されて回転しない第一濾過フィルタ部102を備える従来の電気掃除機104について説明する。
【0065】
図4(a)、(b)、および(c)は、従来の電気掃除機の塵埃分離集塵装置を模式的に示す横断面図である。
【0066】
図5は、従来の電気掃除機の塵埃分離集塵装置を模式的に示す縦断面図である。
【0067】
図4(a)に示すように、従来の電気掃除機104では、塵埃分離集塵装置105に第一濾過フィルタ部102の外周長を超える長尺な繊維状の塵埃fiが旋回流Fによって流れ込むと、塵埃fiの一方の端部が濾過フィルタ106に突き刺さるようにして付着する場合がある。そして、従来の電気掃除機104では、第一濾過フィルタ部102が回転しないため、
図4(b)に示すように、一方の端部を濾過フィルタ106に付着させた繊維状の塵埃fiが、旋回流Fに流されるまま濾過フィルタ106に巻き付き始める。
【0068】
ついには、
図4(c)、および
図5に示すように、従来の電気掃除機104では、繊維状の塵埃fiが濾過フィルタ106に巻き付いて、容易には解きほぐせなくなる。
【0069】
図6(a)、(b)、(c)、および(d)は、本発明に係る電気掃除機の塵埃分離集塵装置を模式的に示す横断面図である。
【0070】
図7は、本発明に係る電気掃除機の塵埃分離集塵装置を模式的に示す縦断面図である。
【0071】
図6(a)に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1でも、塵埃分離集塵装置7に第一濾過フィルタ部37の外周長を超える長尺な繊維状の塵埃fiが旋回流Fによって流れ込むと、塵埃fiの一方の端部が第一濾過フィルタ55に突き刺さるようにして付着する場合がある。
【0072】
そして、
図6(b)に示すように、電気掃除機1でも、一方の端部を第一濾過フィルタ55に付着させた繊維状の塵埃fiが、旋回流Fに流されるまま第一濾過フィルタ55に巻き付き始める。しかし、電気掃除機1では、第一濾過フィルタ部37が旋回流Fに随伴して回転する(
図6中、実線矢R)ため、第一濾過フィルタ55が付着した繊維状の塵埃fiとともに回転することで、旋回流Fに流される塵埃fiと第一濾過フィルタ55との相対的な速度差が従来の電気掃除機104に比べて小さく、塵埃fiが第一濾過フィルタ55に巻き付くまでには分離室51内でより長時間、より長距離、流されることになる。
【0073】
塵埃fi、および第一濾過フィルタ部37の回転が継続している最中、旋回流Fの僅かな乱れなどを切っ掛けにして、
図6(c)に示すように、塵埃fiの一方の端部が第一濾過フィルタ55から離脱、または脱落する。本実施形態に係る電気掃除機1は、従来の電気掃除機104に比べて、塵埃fiと第一濾過フィルタ55との相対的な速度差が小さく、塵埃fiが第一濾過フィルタ55に巻き付くまでにより長時間、より長距離の余裕がある。このため、電気掃除機1では、旋回流Fの僅かな乱れなどの切っ掛けにより多数回遭遇することが可能になり、塵埃fiが第一濾過フィルタ55から離脱、または脱落する機会が相当程度に高まる。
【0074】
ついには、
図6(d)に示すように、繊維状の塵埃fiが第一濾過フィルタ55から離脱、脱落して、
図7に示すように、集塵室52に蓄積される。
【0075】
ところで、旋回流Fは、1周する毎に吸込管36から分離室51に流れ込む新規の含塵空気に合流しつつ、容器本体35の中心線C方向、換言すると第一濾過フィルタ55へ近づく方向へと風向を変える。風向を変えた旋回流Fの一部は第一濾過フィルタ55を通過し、塵埃分離集塵装置7外へと導かれる。
【0076】
この過程において、従来の電気掃除機104の場合、回転しない濾過フィルタ106を備えているため、風向を変えた旋回流Fの一部が濾過フィルタ106の略定位置を通過し続けることになる。そうすると、濾過フィルタ106の当該箇所には徐々に塵埃が付着し、やがて目詰まってしまう。濾過フィルタ106のある箇所に目詰まりが起これば、目詰まり箇所の流速が低下し、範囲が広がって、ついには濾過フィルタ106全体の目詰まりを誘発する。
【0077】
他方、本実施形態に係る電気掃除機1では、第一濾過フィルタ55を旋回流Fにともなわせて回転させるため、風向を変えた旋回流Fの一部が第一濾過フィルタ55の定位置を通過し続けることがなく、通過箇所が全周に渡って広く分散する。したがって、電気掃除機1は、第一濾過フィルタ55のある狭い範囲で目詰まりが起きにくく、通気性を維持し易く、ひいては第一濾過フィルタ55全体の通気性を維持し易い。
【0078】
このように、本実施形態に係る電気掃除機1は、容器本体35内に回転自在な第一濾過フィルタ部37を備えるため、分離室51内を旋回する塵埃、特に繊維状の塵埃が第一濾過フィルタ部37に巻き付くことを防ぐ。特に、電気掃除機1は、旋回流Fによって回転させる部位を第一濾過フィルタ部37に絞り込むことによって、第一濾過フィルタ部37の回転速度を得やすく、旋回流Fに対する第一濾過フィルタ部37の相対的な速度差を大幅に減少させて繊維状の塵埃が第一濾過フィルタ部37に巻き付くことを防ぐ。しかも、電気掃除機1は、旋回流Fによって回転させる部位を第一濾過フィルタ部37に絞り込むことによって、電気掃除機1の始動時、早急に第一濾過フィルタ部37の回転と旋回流Fとの同期を図りやすく、始動過渡時にも、旋回流Fに対する第一濾過フィルタ部37の相対的な速度差を大幅に減少させて繊維状の塵埃が第一濾過フィルタ部37に巻き付くことを防ぐ。
【0079】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、容器本体35内に生じる旋回流Fで第一濾過フィルタ部37を回転させるため、追加的な原動機等の部材や、旋回流Fの流速に同期させるための測定器や、制御システムを必要とせず、部品点数の増加数量を抑えて信頼性を確保できる。
【0080】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、第一濾過フィルタ部37に翼板83を備えるため、第一濾過フィルタ部37の駆動トルクを大きくさせ、旋回流Fと第一濾過フィルタ部37、および隔離部38の回転とを同期させやすい。
【0081】
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1は、翼板83を兼ねる保形枠53を備えるため、第一濾過フィルタ部37の組立に追加的な作業を必要としない。
【0082】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、第一濾過フィルタ部37の内周側に翼板83を備えるため、第一濾過フィルタ55の外周面、つまり旋回流Fに晒される面に流速の複雑な分布や渦流を生じさせることがなく、第一濾過フィルタ55への塵埃の付着を回避できる。
【0083】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、集塵室52内に抵抗体75を備えるため、集塵室52内の塵埃の蓄積効率を高め、より多量の塵埃が塊に纏まって散らばりにくいことによる廃棄の容易化、清潔化を図ることができる。
【0084】
したがって、本実施形態に係る電気掃除1によれば、円筒形状の容器本体35の内部にある円筒形状の第一濾過フィルタ55に繊維状の塵埃が巻き付きにくい電気掃除機1を提案できる。
【0085】
なお、本実施形態に係る電気掃除機1は、キャニスタ型のものに限らず、アップライト型、スティック型、あるいはハンディ型などのものであってもよい。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。