特許第6494909号(P6494909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494909
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】フロントガラスワイパー
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/46 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   B60S1/46 D
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-255222(P2013-255222)
(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-139070(P2014-139070A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2016年12月5日
(31)【優先権主張番号】1261817
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、カイユ
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−515274(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3161006(JP,U)
【文献】 仏国特許出願公開第02704817(FR,A1)
【文献】 特開2007−112392(JP,A)
【文献】 特表2007−532380(JP,A)
【文献】 特開2005−297941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00− 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ウインドウ(3)用のフロントガラスワイパー(1)であって、
長手方向に延伸するワイパーブレード(5)と、
下側に開いた下側キャビティ(13)の範囲を定める長手方向に延伸するマウント(11)であって、前記下側キャビティが前記ワイパーブレード(5)のヘッド(15)を受容するマウント(11)と、
当該フロントガラスワイパーを空気流から保護する空気力学的デフレクタ(9)であって、前記ワイパーブレード(5)のヘッドの上方に長手方向に延伸する空気力学的デフレクタ(9)であって、前記マウント(11)に組み付けられた空気力学的デフレクタ(9)であって、少なくとも1つの下側側方スカートを有する空気力学的デフレクタ(9)と、
少なくとも1つのスプレーオリフィス(35)を有する少なくとも1つの長手方向に延伸する流体循環ダクト(31、32)であって、前記空気力学的デフレクタ(9)の側方部分に位置する少なくとも1つの流体循環ダクト(31、32)とを備え、
前記少なくとも1つの下側側方スカート(43、44)は、前記ワイパーブレード(5)および前記スプレーオリフィス(35)の側方側に長手方向に延伸
前記スプレーオリフィス(35)は、前記ワイパーブレード(5)と前記下側側方スカート(43、44)との間に位置し、
前記スプレーオリフィス(35)は、前記下側側方スカート(43、44)の方へほぼ向けられたスプレー方向(37)を有することを特徴とするフロントガラスワイパー(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの下側側方スカート(43、44)は、前記ワイパーブレード(5)に対して傾斜されることを特徴とする、請求項に記載のフロントガラスワイパー(1)。
【請求項3】
前記下側側方スカート(43、44)は、0°〜60°の傾斜角度(β1、β2)で傾斜されることを特徴とする、請求項に記載のフロントガラスワイパー(1)。
【請求項4】
前記スプレーオリフィス(35)は、前記ワイパーブレードにほぼ平行に向けられたスプレー方向(37)を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のフロントガラスワイパー(1)。
【請求項5】
前記下側側方スカート(43、44)は、フロントガラス洗浄液(33)の噴射流を前記スプレー方向(37)に放射するための少なくとも1つのリリーフ(49)を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のフロントガラスワイパー(1)。
【請求項6】
前記空気力学的デフレクタは、上流面(23)と、下流面(24)とを備え、
前記上流面(23)および前記下流面(24)は、円弧状のものであることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のフロントガラスワイパー(1)。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載されたフロントガラスワイパー(1)の製造方法であって、
少なくとも1つの下側側方スカート(43、44)と、少なくとも1つの流体循環ダクト(31、32)とを備える形状要素が押し出し成形されるステップと、
少なくとも1つのスプレーオリフィス(35)が、前記下側側方スカート(43、44)を通って前記少なくとも1つの流体循環ダクト(31、32)内に穿孔されるステップとを含む方法。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載されたフロントガラスワイパー(1)の製造方法であって、
少なくとも1つの下側側方スカート(43、44)と、少なくとも1つの流体循環ダクト(31、32)とを備える形状要素が押し出し成形されるステップと、
前記少なくとも1つの流体循環ダクト(31、32)の下側部分へのアクセスが開かれるステップと、
スプレーオリフィス(35)が、前記少なくとも1つの流体循環ダクト(31、32)内に穿孔されるステップと、
前記少なくとも1つの流体循環ダクト(31、32)の前記下側部分への前記アクセスが再度閉ざされるステップとを含む方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流体循環ダクト(31、32)の下側部分への前記アクセスは、前記少なくとも1つの下側側方スカート(43、44)を持ち上げることによって開かれる、請求項に記載のフロントガラスワイパー(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ウインドウ用のフロントガラスワイパーに関する。特に、本発明は、空気力学的デフレクタと、フロントガラス洗浄液用の少なくとも1つの一体ノズルとを備えるフロントガラスワイパーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の高速移動時、1つまたは複数のフロントガラスワイパーおよびフロントガラスワイパーのワイパーアームは、フロントガラスワイパーをウインドウから離れた場所に持ち上げうる空気流を受ける。このような持ち上げにより、水膜および/またはフロントガラス洗浄液膜が払拭される表面上に残り、最終的に、運転者の視界を妨げることになる。さらに、フロントガラスワイパーによって放射されるフロントガラス洗浄液の噴射流もこれらの空気流を受けるとともに、1つまたは複数のフロントガラスワイパーおよびフロントガラスワイパーのワイパーアームによってもたらされ、前記噴射流の軌跡を変更する外乱から生じる空気流を受ける。結果的に、フロントガラス洗浄液は、車両のウインドウにわたってうまく分配されず、ウインドウの洗浄度が損なわれる。
【0003】
図1に示すような従来のフロントガラスワイパー111が知られている。このような従来のフロントガラスワイパー111は、ワイパーブレード501と、ワイパーブレード501の上方に配置された空気力学的デフレクタ901と、流体循環ダクト310、320およびスプレーオリフィス350を備えるフロントガラス洗浄液用の少なくとも1つのノズルとを備える。従来のフロントガラスワイパー111の動作時、すなわち、車両のウインドウ3の払拭時、フロントガラスワイパー111は、空気力学的デフレクタ901の上流面231の方へ流れる空気流21と、空気力学的デフレクタ901の下流面241の方へ反対方向に流れる再循環空気流41とを受ける。空気力学的デフレクタ901は、空気流21の一部の流れを上向きに変える。このようにして、空気力学的デフレクタ901は、空気力学的デフレクタ、さらには、従来のフロントガラスワイパー111をウインドウ3の方へ押しつけようとする空力的圧力を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフロントガラスワイパー111は、空気流21、41からフロントガラス洗浄液33の噴射流を保護できない。フロントガラス洗浄液33の噴射流の軌跡は乱され、例えば、フロントガラス洗浄液33の一部は、ウインドウ3に到達せず、フロントガラスワイパー111の効果が損なわれる。
【0005】
本発明の目的の1つは、空気流からフロントガラス洗浄液の噴射流を保護可能な改良されたフロントガラスワイパーを提案することによって、このような従来技術の欠点を少なくとも部分的に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の主題は、自動車ウインドウ用のフロントガラスワイパーデバイスであって、
−長手方向に延伸するワイパーブレードと、
−前記ワイパーブレードの上方に長手方向に延伸する空気力学的デフレクタと、
−少なくとも1つのスプレーオリフィスを有する少なくとも1つの長手方向に延伸する流体循環ダクトとを備え、
ワイパーは、ワイパーブレードおよびスプレーオリフィスの側方側に長手方向に延伸する少なくとも1つの下側側方スカートを備え、スプレーオリフィスは、ワイパーブレードと下側側方スカートとの間に位置することを特徴とするフロントガラスワイパーデバイスである。
【0007】
特に好適な方法において、流体循環ダクトは、デフレクタの側方部分に配置されてもよい。
【0008】
単独でまたは組み合わせたものとして備えるフロントガラスワイパーの1つ以上の特徴によれば、
−少なくとも1つの下側側方スカートは、ワイパーブレードに対して傾斜される。
−下側側方スカートは、0°〜60°の傾斜角度で傾斜される。
−スプレーオリフィスは、ワイパーブレードにほぼ平行に向けられたスプレー方向を有する。
−スプレーオリフィスは、下側側方スカートの方へほぼ向けられたスプレー方向を有する。
−下側側方スカートは、フロントガラス洗浄液の噴射流をスプレー方向に放射するための少なくとも1つのリリーフを有する。
−空気力学的デフレクタは、上流面と、下流面とを備え、前記上流面および下流面は円弧状のものであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、フロントガラスワイパーの製造方法であって、
−少なくとも1つの下側側方スカートと、少なくとも1つの流体循環ダクトとを備える形状要素が押し出し成形されるステップと、
−少なくとも1つのスプレーオリフィスが、下側側方スカートを通って少なくとも1つの流体循環ダクト内に穿孔されるステップとを含む方法も含む。
【0010】
また、この製造方法は、
−少なくとも1つの下側側方スカートと、少なくとも1つの流体循環ダクトとを備える形状要素が押し出し成形されるステップと、
−少なくとも1つの流体循環ダクトの下側部分へのアクセスが開かれるステップと、
−スプレーオリフィスが、少なくとも1つの流体循環ダクト内に穿孔されるステップと、
−少なくとも1つの流体循環ダクトの下側部分へのアクセスが再度閉ざされるステップと、
−少なくとも1つの流体循環ダクトの下側部分へのアクセスが、少なくとも1つの下側側方スカートを持ち上げることによって開かれるステップとを含む方法を含む。
【0011】
以下、本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、非制限的な実施例として与えられる以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来技術によるフロントガラスワイパーの概略断面図。
図2】2つの下側側方スカートを有する空気力学的デフレクタを備え、車両ウインドウの方へフロントガラス洗浄液を放射する、本発明によるフロントガラスワイパーの概略断面図。
図3】下側側方スカートの方へフロントガラス洗浄液を放射する、動作状態にあるフロントガラスワイパーの概略断面図。
図4】空気力学的デフレクタの製造方法におけるさまざまなステップの流れ図。
図5】空気力学的デフレクタの製造方法による流体循環ダクト内にスプレーオリフィスを穿孔するステップの第1の変形例。
図6a】流体循環ダクト内にスプレーオリフィスを穿孔するステップの第2の変形例の第1のステップ。
図6b】流体循環ダクト内にスプレーオリフィスを穿孔するステップの第2の変形例の第2のステップ。
図6c】流体循環ダクト内にスプレーオリフィスを穿孔するステップの第2の変形例の第3のステップ。
図6d】流体循環ダクト内にスプレーオリフィスを穿孔するステップの第2の変形例の第4のステップ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これらの図面において、同一の要素は同一の参照番号を有する。
【0014】
本発明の記載において、「垂直」、「水平」、「下側」、「上側」、「底部」、「上部」という用語は、非制限的に、かつ、理解しやすいようにするために、フロントガラスワイパー1の長手方向、垂直方向、横断方向に相当する図2および図3に示す三面座標系L、V、Tの向きを参照しながら使用される。さらに、「上流」という用語は、フロントガラスワイパー1が受ける空気流の流れの最上流に位置する部分を指し示すように使用される。「下流」という用語は、空気流の流れの最下流に位置する部分を指し示すように使用される。
【0015】
長手方向Lに伸びるフロントガラスワイパー1についての考慮がなされる。図2図3および図5図6dは、フロントガラスワイパー1の横断垂直平面(V,T)の断面を示す。フロントガラスワイパー1は、自動車ウインドウ3、例えば、自動車のフロントガラスを払拭することを目的としている。同図において、ウインドウ3は、長手方向Lおよび垂直方向Vに水平および平行に示されている。実際、ウインドウ3は湾曲されたものであってもよい。
【0016】
フロントガラスワイパー1は、一般に、ワイパーブレード5と、少なくとも1つの補強ブレード7と、空気力学的デフレクタ9とを備える。これらの要素5、7、9は、フロントガラスワイパーのマウント11によって組み立てられる。マウント11は、例えば、剛性または半剛性のプラスチック材料を成形することによって作られる。
【0017】
フロントガラスワイパー1の下側部分は、ワイパーブレード5を備える。このため、マウント11は、下向きに開いた下側キャビティ13の範囲を定めるフックを形成する「L」字形の断面を有する2つの対向する下側リブ12を有する。この下側キャビティ13は、ワイパーブレードのヘッド15を受ける。ワイパーブレード5は、自動車のウインドウ3と接触状態になるようにされた下側スクレーパ17を有する。ワイパーブレード5は、従来、押し出しによって作られまたは成形されるゴムまたは天然もしくは合成エラストマー製のものである。
【0018】
フロントガラスワイパー1の中央部分は、実質的に矩形の断面を有する補強ブレード7を備え、補強ブレード7は、例えば、マウント11の上側部分に挿入される。この目的のために、マウント11は、下側キャビティ13に沿った位置にある中空内部ハウジング19の範囲を定める。内部ハウジング19は、補強ブレード7が受け入れられる実質的に矩形の外形を有する。この補強ブレード7は、好適には、フロントガラスワイパー1を曲げることができるようにするために、特に、長手方向にわずかに相対運動できるように遊びをもたせて受けられる。マウント11に関連して、補強ブレードは、フロントガラスワイパー1の構造体をなし、垂直面および長手面での弾性をフロントガラスワイパー1に与えることで、払拭されるウインドウ3の形状、特に、払拭されるウインドウ3の外面または上面の曲線に適応することができるようになる。補強ブレード7は、例えば、鋼から作られる。
【0019】
フロントガラスワイパーの上側部分は、空気力学的デフレクタ9を備える。空気力学的デフレクタ9は、車両の移動時に払拭されるウインドウ3に沿って流れる空気流21からフロントガラスワイパーを保護する。特に、空気力学的デフレクタ9は、空気流の速度を低下させるとともに、空気力学的デフレクタ、ひいては、フロントガラスワイパー1に圧力がかかり、この圧力がフロントガラスワイパー1をウインドウ3に押しつける。
【0020】
空気力学的デフレクタ9は、上流面23と、下流面24とを有してもよい。空気流21は、上流面23によって速度が低下され、流れの向きが変えられることで、フロントガラスワイパー1は、空気力学的デフレクタ9およびフロントガラスワイパー1をウインドウ3の方向に押しつけようとする空力的圧力を受ける。
【0021】
例示した実施例によれば、上流面23の断面および下流面24の断面は、実質的に、円弧状のものである。他の形状が可能であることは言うまでもなく、例えば、上流面23および下流面24は、傾斜平面を形成する実質的に直線のものであってもよい。
【0022】
しかしながら、デフレクタ9は、上流面23および下流面24を有さず、単に、上面が平坦な形状のものや、わずかに特殊な形状のものであり、空気流の速度を低下させてフロントガラスワイパー1をウインドウ3に押しつけることができる形状のものにすることができる。
【0023】
空気力学的デフレクタ9は、例えば、剛性または可撓性の合成材料の押し出し成形によって作られる。
【0024】
空気力学的デフレクタ9は、マウント11に組み立てられる。この目的のために、マウント11は、例えば、側方リセス27の範囲を定めるフックを形成する「L」字状の断面を有する2つの対向する側方リブ25を備える。空気力学的デフレクタは、フックを形成する「L」字状断面を有する対向する側方突出部29を有する。対向する側方突出部29は、特に、長手方向にわずかに相対運動できるように遊びをもたせて側方リセス27に受けられる。側方リブ25のフックおよび側方突出部29のフックは、対向する方向にある。このようにして、デフレクタ9およびマウント11は、しっかりと連結された状態を維持する。
【0025】
フロントガラスワイパー1はまた、実線の矢印で示されたフロントガラス洗浄液33を循環可能にする少なくとも1つの流体循環ダクト31、32を備える。図2および図3に示す実施例において、フロントガラスワイパー1は、2つの循環ダクト31、32を備える。流体循環ダクト31、32の少なくとも1つは、少なくとも1つのスプレーオリフィス35を備える。スプレーオリフィス35は、フロントガラスワイパー1からフロントガラス洗浄液33を放射可能にする。好適には、流体循環ダクト31は、長手方向に分配された複数のスプレーオリフィス35を備える。図示した実施例によれば、循環ダクト31、32のうちの1つのみが、見える状態のスプレーオリフィス35を備える。スプレーオリフィス35は、実質的に下向きに、すなわち、ウインドウ3の方向に向けられる。さらに詳細には、スプレーオリフィス35は、二重線で表されるスプレー方向37を有する。このスプレー方向37は、ワイパーブレード5の垂直軸39に対して角度α(図3に示す)をなすものであってもよい。ワイパーブレード5の垂直軸39は破線で示されており、理解しやすいように、この垂直軸39は、図面の異なる場所において横軸Tに沿って平行移動させて描かれている。この角度αは鋭角であり、例えば、0°〜45°である。図2において、角度αは0°であり、フロントガラス洗浄液33の噴射流は、ワイパーブレード5に平行にウインドウ3の方へ直接放射される。
【0026】
図2および図3に示す実施例において、空気力学的デフレクタ9は、マウント11の両側に位置付けられた2つの循環ダクト31、32を備える。第1の変形例において、単一流体循環ダクト31、32は、フロントガラス洗浄液33の供給源(図示せず)に接続される。この場合、フロントガラスワイパー1は、シングルスプレーバータイプのものである。例示した実施例によれば、下流流体循環ダクト32は、供給源に接続される。
【0027】
第2の変形例によれば、2つの循環ダクト31、32は、フロントガラス洗浄液33の1つ以上の供給源(図示せず)に接続される。この場合、フロントガラスワイパー1は、ダブルスプレーバータイプのものである。2つの循環ダクト31、32の各々は、少なくとも1つのスプレーオリフィス35を有する。これらのスプレーオリフィス35のそれぞれのスプレー方向37は異なるものであってもよい。
【0028】
好適には、空気力学的デフレクタ9の単一モデルが、フロントガラス洗浄液33用の2つの循環ダクト31、32とともに押し出し成形される。このように、この単一モデルは、シングルスプレーバーまたはダブルスプレーバーのフロントガラスワイパー用に使用されてもよい。このようにして、製造コストが削減される。
【0029】
フロントガラスワイパー1は、フロントガラスワイパー1がウインドウ3と適切な接触状態を維持するように空気流の流れを誘導するだけでなく、上流側および下流側で空気流21、41からフロントガラス洗浄液33の噴射流を保護する改良された空気力学的デフレクタ9を備える。詳細には、空気力学的デフレクタ9の上流面23によって方向が変えられる空気流21は、下流面24側で再循環する。空気流の再循環は、湾曲した矢印41で示されている。
【0030】
この目的のために、空気力学的デフレクタ9は、ワイパーブレード5およびスプレーオリフィス35の長手側に延伸する少なくとも1つの下側側方スカート43、44を備える。例示した実施例において、空気力学的デフレクタ9は、ワイパーブレード5の両側に延伸する2つの下側側方スカート43、44を備える。このように、スプレーオリフィス35は、ワイパーブレード5と下側側方スカート43、44との間に配置される。結果的に、スプレーオリフィス35から放射されるフロントガラス洗浄液33の噴射流は、空気流21、41から保護される。フロントガラス洗浄液33はウインドウ3に当たり、このようにして、洗浄が改善される。
【0031】
下側側方スカート43、44は、ワイパーブレード5と反対の傾斜方向45、46に向けられる。傾斜方向45、46は鎖線で示されている。傾斜方向45、46は、ワイパーブレードの垂直軸39に対して傾斜角度β、βをなす。この傾斜角度β、βは、0°〜60°である。傾斜角度β、βは、洗浄効率および所望の空気力学的性能に応じて決定される。好適には、角度β、βはゼロではなく、下側側方スカート43、44は、ワイパーブレード5に対して傾斜される。
【0032】
下側側方スカート43、44は、空気流によるフロントガラスワイパーの押圧および下側スクレーパ17の経年的な摩耗にかかわらず、下側側方スカート43、44の端部がウインドウ3と接触状態にならないように、例えば、1〜5mmの長さl、lを有する。この長さl、lは、洗浄効率および所望の空気力学的性能に応じて決定される。
【0033】
図2に示す変形例によれば、スプレーオリフィス35は、ワイパーブレードの垂直軸に実質的に平行に向けられる。このように、空気流21、41から保護される液体33の噴射流は、自動車のウインドウ3に実質的に垂直に向けられる。
【0034】
図3に示す別の変形例によれば、スプレーオリフィス35は、下流下側側方スカート44の方へ向けられる。このように、液体33の噴射流は、下流下側側方スカート44に放射される。液体33の噴射流は、下流下側側方スカート44に当たると、ウインドウ3に当たる前に複数の方向44に広がる。このように、フロントガラス洗浄液は、ウインドウ3のより広い表面積にわたって分配されることで、ウインドウ3の洗浄が改善される。
【0035】
フロントガラスワイパーがダブルスプレーバータイプのものである場合、上流流体循環ダクト31のオリフィスからの液体噴射流は、上流下側側方スカート43の方向に放射される。
【0036】
図5に示す別の変形例によれば、下側側方スカート43、44(図5に下側側方スカートを1つのみ図示)は、同じスプレー方向37に向けられた放射リリーフ49を有してもよい。このように、液体33の噴射流は、放射リリーフ49の方向に放射される。液体の噴射流は、放射リリーフと接触すると、複数の方向(図示せず)に広がるため、フロントガラス洗浄液は、ウインドウ3のより広い表面積にわたって分配されることで、縞模様の出現を回避することによってウインドウ3の洗浄を改善する。放射リリーフ49は、例えば、穴を備える。
【0037】
好適には、図2および図3に示すように、空気力学的デフレクタ9は、ワイパーブレード5の両側に長手方向に延伸する2つの下側側方スカート43、44を備える。このように、1つの下側側方スカートが上流43に位置し、1つの下側側方スカートが下流44に位置する。このように、空気力学的デフレクタ9の単一モデルが、ダブルスプレーバータイプおよびシングルスプレーバータイプのフロントガラスワイパー1に対して使用されてもよい。このようにして、製造コストが削減される。
【0038】
上流下側側方スカート43および下流下側側方スカート44は、異なる傾斜角度β、βをそれぞれ有してもよい。これらの傾斜角度β、βは、洗浄効率および所望の空気力学的性能に応じて決定される。上流下側側方スカート43および下流下側側方スカート44は、異なる長さl、lをそれぞれ有してもよい。これらの長さl、lは、洗浄効率および所望の空気力学的性能に応じて決定される。
【0039】
また、本発明は、空気力学的デフレクタ9の製造方法100(図4)に関する。
【0040】
空気力学的デフレクタ9の製造方法の第1のステップ101中、空気力学的デフレクタ9と、少なくとも1つの下側側方スカート43、44と、少なくとも1つの流体循環ダクト31とを備える形状要素が押し出し成形される。
【0041】
第2のステップ102中、少なくとも1つのスプレーオリフィス35が、少なくとも1つの流体循環ダクト31内に穿孔される。この方法ステップにおいて、下側側方スカート43、44は、流体循環ダクト31の下側部分へのアクセスを閉ざし、流体循環ダクト31が直接穿孔されないようにする。
【0042】
第2のステップ102の第1の実施形態によれば(図5を参照)、少なくとも1つのスプレーオリフィス35の穿孔と同時に放射リリーフ49が作られる。
【0043】
結果的に、スプレーオリフィス35は、下側側方スカート43、44を通って穿孔される。このような穿孔を行う際、下側側方スカート43、44内に穴があけられる。これは、下側側方スカート43、44が流体循環ダクト32へのアクセスを閉ざし、流体循環ダクト32が直接穿孔されないようにするためである。スプレーオリフィス35および下側側方スカート43、44の穴は、同じスプレー方向37を有する。このようにしてあけられた穴は、放射リリーフ49を形成する。スプレーオリフィス35および穴のスプレー方向37は、ワイパーブレード5とは反対向きである。スプレーオリフィス35および穴は、例えば、レーザによってあけられる。好適には、複数のスプレーオリフィス35および穴は、少なくとも1つの流体循環ダクト32の長さにわたってあけられる。単一の流体循環ダクト31を穿孔すると、シングルスプレーバーのフロントガラスワイパーを作ることができる。2つの循環ダクト32を穿孔すると、ダブルスプレーバーのフロントガラスワイパーを作ることができる。
【0044】
第2のステップ102の第2の実施形態によれば(図6a〜図6dを参照)、流体循環ダクト32の下側部分へのアクセスが開かれ、例えば、下側側方スカート43、44は、モバイルバリア(図示せず)によって持ち上げられる(図6a)。このようにして開かれることで、流体循環ダクト32の下側部分に直接アクセスが可能になる(図6b)。次に、方向37において流体循環ダクト32内にオリフィス35が穿孔される(図6c)。最後に、流体循環ダクト32へのアクセスは、例えば、モバイルバリアを取り外すことによって再度閉ざされる(図6d)。
【0045】
このようにして、少なくとも1つの下側側方スカート43、44を備えるフロントガラスワイパー1により、フロントガラス洗浄液33の噴射流を、自動車の移動時に自動車のウインドウ3の近傍に流れる空気流21、41から保護することができることを理解されたい。このように、フロントガラス洗浄液はウインドウに達し、洗浄が改善される。
【0046】
加えて、フロントガラス洗浄液33の噴射流は、下側側方スカート43、44の方に向けられてもよい。洗浄液33の噴射流は、下側側方スカート43、44と接触すると、複数の方向に広がる。フロントガラス洗浄液は、ウインドウ3にわたって良好に分配され、洗浄がさらに改善される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d