(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494911
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】草刈り機用回転刃およびこれを用いた草刈り機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/416 20060101AFI20190325BHJP
A01D 34/90 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
A01D34/416 110
A01D34/90 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-551795(P2013-551795)
(86)(22)【出願日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2012083894
(87)【国際公開番号】WO2013100059
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】特願2011-287590(P2011-287590)
(32)【優先日】2011年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591111972
【氏名又は名称】山田機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】桐谷 定作
【審査官】
小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−181439(JP,A)
【文献】
特開2010−178751(JP,A)
【文献】
実開昭60−098340(JP,U)
【文献】
特開2008−289373(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3152249(JP,U)
【文献】
米国特許第06601373(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0257940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D34/412−34/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈り機の回転刃取付け軸に取付けられて回転させられる保持部材と、上記保持部材に基端側が保持され、先端側が上記保持部材の半径方向外方に延出させられるコード状切断部材と、を備え、上記コード状切断部材は、その複数本が上記保持部材の周方向の同一箇所から延出させられている草刈り機用回転刃であって、
上記保持部材は、上記コード状切断部材の基端側が連結される複数の連結部と、上記複数の連結部のいずれかに連結された上記コード状切断部材を掛け回して当該コード状切断部材の先端側を上記保持部材の半径方向外方に延出させる掛け回し部と、を備えており、
上記複数の連結部のうち、2以上の連結部に一端が連結された2本以上の上記コード状切断部材が、同一の上記掛け回し部に掛け回されて上記保持部材の半径方向外方に延出させられていることを特徴とする、草刈り機用回転刃。
【請求項2】
上記複数の連結部から上記掛け回し部までの距離は、それぞれ異なる、請求項1に記載の草刈り機用回転刃。
【請求項3】
上記複数の連結部は、上記保持部材の回転中心を中心とした円周方向に所定間隔で並んでいる、請求項2に記載の草刈り機用回転刃。
【請求項4】
上記保持部材は、その回転中心から上記掛け回し部までの距離より大の半径の円形外周をもつフランジ部を有しており、上記掛け回し部を掛け回された上記複数本の上記コード状切断部材は、上記フランジ部の上面上を延出させられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の草刈り機用回転刃。
【請求項5】
上記保持部材の下位において、上記保持部材の回転軸心を中心として上記保持部材に対して相対回転可能な接地部材をさらに備える、請求項4に記載の草刈り機用回転刃。
【請求項6】
上記接地部材は、上記フランジ部の外径よりも小で、上記フランジ部の外径の1/2よりも大の外径を有する、請求項5に記載の草刈り機用回転刃。
【請求項7】
動力源と、この動力源の動力によって回転駆動される回転刃取付け軸と、を備え、
上記回転刃取付け軸には、請求項1ないし6のいずれかに記載の草刈り機用回転刃が取付けられていることを特徴とする、草刈り機。
【請求項8】
草刈り機の回転刃取付け軸に取付けられて回転させられる保持部材と、上記保持部材に基端側が保持され、先端側が上記保持部材の半径方向外方に延出させられるコード状切断部材と、を備え、複数本の上記コード状切断部材を、上記保持部材の周方向の同一位置から延出させる、草刈り機用回転刃におけるコード状切断部材の取り付け方法であって、
上記保持部材は、各1本の上記コード状切断部材の基端側が連結される複数の連結部と、上記複数の連結部のいずれかに連結された上記コード状切断部材を掛け回して当該コード状切断部材の先端側を上記保持部材の半径方向外方に延出させる掛け回し部と、を備えており、
上記複数の連結部のうち、2以上の連結部に一端を連結した2本以上の上記コード状切断部材を、同一の上記掛け回し部に掛け回して上記保持部材の半径方向外方に延出させることを特徴とする、草刈り機用回転刃におけるコード状切断部材の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り機用回転刃およびこれを用いた草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
田畑の土手等に生育する雑草等を除去するための器具として、携帯型動力草刈り機がある。この草刈り機は、刈払機とも呼ばれるタイプのものであり、小型エンジンによって発生させられる回転動力を操作管の先端に支持させた回転刃に伝えるように構成されており、作業者は、スロットルレバーによってエンジンないしこれによって回転させられる回転刃の回転を制御しつつ、操作管を左右に振回して所望の草刈り作業を行う。
【0003】
この種の携帯型動力草刈り機に適した回転刃のうち、ナイロンコード式の回転刃として、たとえば、特許文献1、2に示されたものがある。
【0004】
特許文献1に示された回転刃は、取付け円盤の周部上面に複数の円形の巻取りブロックを立設し、隣接する巻取りブロック間の間隔をナイロンコードが通過しうる程度に設定してある。このような構成において、ナイロンコードは、所定長さとしつつ、一端に結び目をつくるなどして基端側に大径部を設けておき、これを先端側の自由端から隣接する巻取りブロック間に取付け円盤の内側から通すことにより、簡単に取り付けることができる。この状態において、ナイロンコードは、隣接する巻取りブロック間に基端側の大径部が係止されて、先端側の自由端が取付け円盤の外周から延出した状態が維持される。
【0005】
また、特許文献2には、回転刃取付け軸とともに回転し、ナイロンコードを巻回保持する保持部材に加え、この保持部材に対して回転軸を中心として回転可能に支持されたガイド部材を装備したナイロンコード式の回転刃が示されている。
【0006】
この特許文献2に示された回転刃は、ナイロンコードが磨耗により延出長さが短くなったときには、保持部材に巻回されているナイロンコードを繰り出して延出長さを延長できる調整機能を備えているとともに、ガイド部材の外周より内方への雑草等の切断対象の進入がガイド部材によって阻止されることから、切断対象が高速旋回するナイロンコードの先端部分によって効率的に切断されるという機能を有する。
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に示された回転刃はいずれも、周方向の各所から各1本のナイロンコードが延出するように構成されているので、ナイロンコードの先端部分による切断能力には自ずと限界があり、所定以上の太い茎をもつ雑草等や、乾いて固くなった雑草等を容易に刈り取ることができない、という難点があった。
【0008】
【特許文献1】特開平7−177812号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/023758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、従来のナイロンコード式の回転刃に用いられるナイロンコードを用いながら、より切断能力を高めた草刈り機用回転刃を提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0011】
本発明の第1の側面によって提供される草刈り機用回転刃は、草刈り機の回転刃取付け軸に取付けられて回転させられる保持部材と
、上記保持部材に基端側が保持され、先端側が上記保持部材の半径方向外方に延出させられるコード状切断部材と、を備え
、上記コード状切断部材は、その複数本が上記保持部材の周方向の同一箇所から延出させられている草刈り機用回転刃であって、
上記保持部材は、上記コード状切断部材の基端側が連結される複数の連結部と、上記複数の連結部のいずれかに連結された上記コード状切断部材を掛け回して当該コード状切断部材の先端側を上記保持部材の半径方向外方に延出させる掛け回し部と、を備えており、上記複数の連結部のうち、2以上の連結部に一端が連結された2本以上の上記コード状切断部材が、同一の上記掛け回し部に掛け回されて上記保持部材の半径方向外方に延出させられていることを特徴とする。
【0013】
好ましい実施の形態では、上記複数の連結部から上記掛け回し部までの距離は、それぞれ異なっている。
【0014】
好ましい実施の形態では、上記複数の連結部は、上記保持部材の回転中心を中心とした円周方向に所定間隔で並んでいる。
【0015】
好ましい実施の形態では、上記保持部材は、その回転中心から上記掛け回し部までの距離より大の半径の円形外周をもつフランジ部を有しており、上記掛け回し部を掛け回された上記複数本の上記コード状切断部材は、上記フランジ部の上面上を延出させられている。
【0016】
好ましい実施の形態では、上記保持部材の下位において、上記保持部材の回転軸心を中心として上記保持部材に対して相対回転可能な接地部材をさらに備える。
【0017】
好ましい実施の形態では、上記接地部材は、上記フランジ部の外径よりも小で、上記フランジ部の外径の1/2よりも大の外径を有する。
【0019】
本発明の第
2の側面によって提供される草刈り機は、動力源と、この動力源の動力によって回転駆動される回転刃取付け軸と、を備え、上記回転刃取付け軸には、上記本発明の第
1の側面に係る草刈り機用回転刃が取付けられていることを特徴とする。
【0020】
本発明の第
3の側面によって提供される草刈り機用回転刃におけるコード状切断部材の取付け方法は、草刈り機の回転刃取付け軸に取付けられて回転させられる保持部材と、上記保持部材に基端側が保持され、先端側が上記保持部材の半径方向外方に延出させられるコード状切断部材と、を備え、複数本の上記コード状切断部材を、上記保持部材の周方向の同一位置から延出させる、草刈り機用回転刃におけるコード状切断部材の取り付け方法であって、上記保持部材は、各1本の上記コード状切断部材の基端側が連結される複数の連結部と、上記複数の連結部のいずれかに連結された上記コード状切断部材を掛け回して当該コード状切断部材の先端側を上記保持部材の半径方向外方に延出させる掛け回し部と、を備えており、上記複数の連結部のうち、2以上の連結部に一端を連結した2本以上の上記コード状切断部材を、同一の上記掛け回し部に掛け回して上記保持部材の半径方向外方に延出させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る草刈り機用回転刃の斜視図である。
【
図2】
図1に示す草刈り機用回転刃の平面図である。
【
図3】
図2のIII-III線断面に相当する図であり、草刈り機に対する取付け構造を併せ示す。
【
図6】
図1に示す草刈り機用回転刃の接地部材の底面図である。
【
図7】コード状切断部材(ナイロンコード)の取付け方法の一例の説明図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る草刈り機用回転刃の斜視図である。
【
図9】
図1に示す草刈り機用回転刃の平面図である。
【
図10】
図9のX-X線断面に相当する図であり、草刈り機に対する取付け構造を併せ示す。
【
図12】
図1に示す草刈り機用回転刃の作用説明図である。
【
図13】コード状切断部材(ナイロンコード)の取付け方法の他の例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1ないし
図7は、本発明の第1の実施形態に係る刈り機用回転刃Aおよびこれが用いられた草刈り機Bの一実施形態を示している。
図1および
図3によく表れているように、草刈り機Bにおいては、操作管12の基端側には、駆動源としての小型エンジン(図示略)が連結されており、その回転出力が、操作管12に内挿された伝動軸13を介して操作管12の先端部に伝達される構成となっている。小型エンジンとしては、作業者の携帯性を考慮して、たとえば排気量が25cc程度のものが用いられる。操作管12の基端には小型エンジンが直接的に取り付けられる場合もあるし、フレシキブルな伝動軸を介してたとえば背負い枠に搭載されるエンジンが連結される場合もある。
【0025】
図3によく表れているように、操作管12の先端部のギヤケース16には、回転刃取付け軸14が支持され、この回転刃取付け軸14と伝動軸13とは、ベベルギヤ機構(図示略)によって連携されている。回転刃取付け軸14には、その外周にスプラインが形成されているとともに、軸端には、軸方向に延びるねじ穴14aが形成されている。回転刃取付け軸14には、金属製の回転刃押さえ17がスプライン嵌合させられている。この回転刃押さえ17の下面には、短軸円柱状の膨出部17aが形成されている。
【0026】
上記回転刃取付け軸14には、本発明によって特徴づけられる回転刃Aが取り付けられる。
【0027】
この回転刃Aは、
図1、
図2および
図3に表れているように、上記回転刃取付け軸14に取付けられて回転させられる保持部材100と、この保持部材100に基端側が保持され、先端側が当該保持部材100の半径方向外方に延出させられる複数本のコード状切断部材と、上記保持部材100の下方において、この保持部材100に対してその回転軸心を中心として相対回転可能に支持された接地部材200とを備える。コード状切断部材としては、
図4に良く表れているように、基端に大径部40aを有し、3mm程度の太さと所定長さをもつ市販のナイロンコード40を用いることができる。
【0028】
図3に良く表れているように、保持部材100は、回転刃押さえ17の膨出部17aの外径と対応した径の取付け孔110aを中心に有する水平円盤状の取付け基部110と、この取付け基部110の外周部に上記取付け基部110の上面に連続する上面を有するとともに上記取付け基部110の厚みより肉厚状に形成された厚肉環状部120と、この厚肉環状部120の下面から水平方向に延出し、一定外径を有するフランジ部160とを有する。実施形態では、上記取付け基部110と上記厚肉環状部120とがたとえば樹脂により一体に形成され、これと別体に樹脂により形成された上記フランジ部160がねじ152(
図5参照)により一体化させられている。フランジ部160の外径は、たとえば、200〜400mm、好ましくは250〜350mmとされるが、これに限定されない。
【0029】
厚肉環状部120は、複数本のナイロンコード40を保持する部位であり、直径方向に対向する2つの領域において、それぞれ次のような構成を有する。
【0030】
厚肉環状部120には、当該厚肉環状部120が延びる円周方向に沿ってほぼ90°の中心角の範囲で延びる断面矩形のコード挿通空間130が形成され、このコード挿通空間130は、その一端が閉じ、他端が厚肉環状部120の外周面120aに開放している。このコード挿通空間130の天井壁131には、4箇所のコード連結部141,142,143,144が等間隔に形成されている。各コード連結部141,142,143,144は、
図4に良く表れているように、ナイロンコード40の一般部を通挿可能であり、大径部40aを挿通不可能な大きさの孔132を上記天井壁131に貫通状に設けることにより形成される。本実施形態では、ナイロンコード40の大径部40aが着座する座面132aを傾斜状とし、孔132を通ってコード挿通空間130に至るナイロンコード40の湾曲の程度が軽減されるようにしており、かつ、孔132の内壁におけるナイロンコード40の湾曲部が接触する部位を滑らかにラウンドさせている。さらに、コード挿通空間130の出口付近には、当該コード挿通空間130に挿通されたナイロンコード40の先端側の方向を変えて保持部材100の半径方向外方に延出させるための掛け回し部150が設けられている。本実施形態においてこの掛け回し部150は、
図3に表れているように、厚肉環状部120の天井壁131の一部とフランジ部160との間に、これらを掛け渡すように配置したねじ152に套嵌するようにして所定外径の円筒状カラー151を介装することによって形成している。
【0031】
接地部材200は、
図3に表れているように、全体として、滑らかに下方に膨出し、保持部材100における厚肉環状部120の内側面によって規定される空間に収容される短軸ドーム状を呈しており、内周に筒部210を有する。また、この接地部材200の下面には、
図6に示すように、半径方向に延び、かつ十字状に配された4本の凹溝260が設けられている。この接地部材200は、たとえば金属または樹脂により形成される。この接地部材200は、回転刃取付け軸14ないし保持部材100と一体的なベアリング受け220と上記筒部210との間にベリアング250を介装することにより、回転刃取付け軸14ないし保持部材100に対して回転刃取付け軸14を回転中心として回転可能に支持される。
【0032】
上記構成の回転刃Aは、本実施形態においては、保持部材100の取付け基部110の取付け孔110aを回転刃押さえ17の膨出部17aに外嵌し、取付け基部110の下面側にベアリング押さえ230を介して上記のように接地部材200を回転可能に支持したベアリング受け220を重ね、ベアリング受け220の中心孔221およびベアリング押さえ230の中心孔231に下方から通した取付けボルト15を回転刃取付け軸14のねじ穴14aにねじ込むことにより、回転刃取付け軸14に取付けられる。
【0033】
本発明においては、保持部材100における周方向の同一箇所から、複数本のナイロンコード40が延出させられる。以下においては、保持部材100における周方向の同一箇所から2本のナイロンコード40を延出させる場合のナイロンコード40の取付け方法の例について、説明する。
【0034】
厚肉環状部120に各コード挿通空間130に沿って各4箇所設けたコード連結部141,142,143,144のうち、掛け回し部150から近い順に、第1コード連結部141、第2コード連結部142、第3コード連結部143、および第4コード連結部144とする。2本のナイロンコード40は、同一のものが用いられ、
図4および
図7に示すように、第3および第4コード連結部143,144に基端を連結する。具体的には、まず、第3コード連結部143および第4コード連結部144の各孔132にナイロンコード40をその先端部から通してコード挿通空間130を通し、掛け回し部150を掛け回して保持部材100の半径方向外方に引き出す。これらのナイロンコード40は、
図4に表れているようにそれらの基端側の大径部40aが孔132の外面の傾斜状の座面132aに着座して係止され、これにより、基端側が第3コード連結部143および第4コード連結部144に実質的に連結される。これにより、2本のナイロンコード40が、同一の掛け回し部150を掛け回され、保持部材100の周方向の同一箇所から半径方向に延出させられることになる。なお、ナイロンコード40の長さは、たとえば、第4コード連結部144に基端が連結された場合に、保持部材100の半径方向に延出させた状態で、その先端がフランジ部160の外縁から30〜60mm程度突出するように設定される。
【0035】
この草刈り機用回転刃Aを用いて後記するようにして草刈り作業を一定時間行うと、ナイロンコード40の先端が磨耗し、次第にフランジ部160から延出する長さが短くなってくる。その場合には、第3コード連結部143に連結されていたナイロンコード40を第2コード連結部142に連結しなおし、第4コード連結部144に連結されていたナイロンコード40を第3コード連結部143に連結しなおす。ナイロンコード40は、その基端側の大径部40aを引っ張ることにより、容易に取り外すことができ、上記したのと同じ要領で当該ナイロンコード40を隣のコード連結部に連結しなおすことができる。これにより、隣り合うコード連結部141,142,143,144間の距離に相当する長さ分、ナイロンコード40のフランジ部160からの延出長さを延長することができる。こうして第2および第3コード連結部142,143に連結された2本のナイロンコード40の先端が再び磨耗して短くなった場合には、さらに、第1および第2コード連結部141,142に連結しなおせばよい。
【0036】
草刈り機Bを用いて草刈り作業を行う際には、たとえば、スロットルレバーを操作するなどしてエンジンのスロットルの開度を上げると、エンジンの回転出力により、回転刃Aのうち保持部材100ないしナイロンコード40が回転させられる。エンジンの回転出力は、伝動軸13からギヤケース16内のベベルギア(図示略)により減速され、回転刃取付け軸14を介して保持部材100ないしナイロンコード40へと伝えられる。保持部材100ないしナイロンコード40の回転数は、たとえば、5,000〜6,000rpmに達する。回転刃Aの保持部材100の外径(フランジ部160の外径)をたとえば300mmとすると、保持部材100の外周部分でのナイロンコード40の周速は、約340km/hに達する。この回転刃Aを地面に沿って移動させてゆくと、雑草等の切断対象は、フランジ部160によってそれ以上の半径方向内方への進入を阻止されつつ、高速で旋回するナイロンコード40による横方向からの強烈な衝撃を受け、切断される。
【0037】
しかも、本実施形態の回転刃Aにおいては、保持部材100の同一箇所から延出するナイロンコード40は、2本またはそれ以上となる。前述のように、回転刃Aの回転中、ナイロンコード40が高速で雑草等の切断対象に高速で衝突してこれを切断するが、切断対象には、2本以上のナイロンコード40が同時に衝突するので切断対象が受ける衝撃力は1本のナイロンコード40が衝突する場合に比較して複数倍となり、したがって、比較的太い茎をもつ雑草や、乾燥して固くなった雑草等をも容易に刈り取ることができる。これにより、安全なコード式の回転刃Aを用いて行いうる草刈り作業の適用範囲が飛躍的に拡大する。しかも、従前からこの種のコード式の回転刃に用いられるナイロンコード40をそのまま用いることができるので、便利である。
【0038】
さらに、本実施形態の回転刃Aでは、保持部材100の下部に、保持部材100ないし回転刃取付け軸14に対して保持部材100の回転軸を中心として回転可能に支持された接地部材200を備えている。この接地部材200には、エンジンからの回転駆動力は作用しないので、接地部材200が地面に接触した状態で、保持部材100ないしナイロンコード40を回転させることができる。しかも、本実施形態における接地部材200は、滑らかに下方に膨出する短軸ドーム状をしているので、地面に接地したまま、地面に対して容易に滑り移動することができる。このことは、草刈り機Bの操作管12の先端部ないし回転刃Aの重量を接地部材200を介して地面に支持させつつ、回転刃Aを地面に沿って移動させながら草刈り作業を行うことができることを意味する。これにより、作業者の労力が著しく軽減されるとともに、草刈り後の切株の高さが揃った、品位のよい草刈り作業を行うことができる。そして、接地部材200は、保持部材100における厚肉環状部120の内側面によって規定される空間に収容されるように配されているので、ナイロンコード40によって切断された草片が接地部材200の内部に侵入してこの接地部材200の取付け軸14に対する相対回転を阻害するといった事態を効果的に回避することができる。さらに、接地部材200は、その下面に半径方向に延びる凹溝260が設けられているので、地面に接触した状態において不用意に回転することはなく、地面に対する良好な滑り動を実現できる。
【0039】
図8ないし
図13は、本発明の第2の実施形態に係る草刈り機用回転刃A1およびこれが用いられた草刈り機B1を示している。この実施形態の草刈り機用回転刃A1は、第1の実施形態の草刈り機用回転刃Aに対し、接地部材200aの構成およびナイロンコード40aの取付け構造において相違し、その余の構成は同じである。以下においては、第1の実施形態の草刈り機用回転刃Aに対する相違点を中心に説明し、草刈り機用回転刃Aと同一の部材または部分については、
図1ないし
図7において付したのと同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
接地部材200aは、ベアリング受け220に対して上下一対のベアリング250を介して回転可能に支持される中心筒部210aと、保持部材100における厚肉環状部120の内側面の内側に位置する中間筒部211aと、中心筒部210aと中間筒部211aの各下端部間をつなぐドーナツ状の底部壁212aと、この底部壁212aに連続するようにして半径方向外方に延出するフランジ部213aとを備える。底壁部212aとフランジ部213aの底面は、ほぼ平面となっており、フランジ部213aの外周部のみ、やや上向きに変位している。この接地部材200aは、金属または樹脂によって形成することができるが、本実施形態では、
図10に表れているように、中心筒部210aから底壁部212aの途中までをたとえば、アルミニウムなどの金属で形成し、その余の部分を樹脂によって一体成形することにより構成することができる。このようにすることによって、ベアリング250を上下一対用いることと、このベアリング250に支持される中心筒部210aが金属で形成されていることにより、接地部材200aの回転可能な支持状態をより安定したものとすることができるとともに、軽量化をも図ることができる。
【0041】
そして、この接地部材200aのフランジ部213aの外径は、保持部材100のフランジ部160の外径よりも小であり、このフランジ部160の外径の1/2より大、好ましくは2/3より大の範囲で、次のような考え方のもとで適切な寸法に設定される。
【0042】
すなわち、ナイロンコード40aと接地部材200aの底面との間に上下差があるため、切断対象の雑草をその根元で切断するためには、
図12に示すように、接地部材200aの周部を地面に接地させた状態で回転刃A1を地面に対してたとえば10°〜15°傾けながら移動させる必要がある。その際、ナイロンコード40aとともに高速回転する保持部材100のフランジ部160が地面に接触しない程度に接地部材200aのフランジ部213aの外径を設定するのである。
【0043】
次に、本実施形態の回転刃A1では、ナイロンコード40aとして、長尺のナイロンコードを所定長さに切断したものが用いられる。すなわち、
図11および
図13によく表れているように、第3および第4コード連結部143,144の各孔132にナイロンコード40aの両端を挿入し、その両端をコード挿通空間130を経て、掛け回し部150を掛け回して保持部材100の半径方向外方に引き出す。これにより、第3および第4コード連結部143,144に基端が連結された2本のナイロンコード40aが、保持部材100における周方向の同一箇所から延出させられたのと同じになる。この2本のナイロンコード40aは、第3および第4コード連結部143,144の外面側で1本につながっているので、不用意に抜け落ちることはない。また、2本のナイロンコード40aを保持部材100の半径方向に延出させた状態で、その先端がフランジ部160の外縁から30〜60mm程度突出するように、使用する1本のナイロンコードの長さが設定される。
【0044】
この草刈り機用回転刃A1を用いて草刈り作業を一定時間行うと、ナイロンコード40aの先端が磨耗し、次第にフランジ部160から延出する長さが短くなってくるが、その場合には、厚肉環状部120の上面において第3コード連結部143と第4コード連結部144の間を渡っている部分を引っ張ってナイロンコードを抜き取り、第2および第3コード連結部142,143の各孔132にナイロンコード40aの両端を挿入してコード挿通空間130を通し、掛け回し部150を掛け回して保持部材100の半径方向外方に引き出す。これにより、隣り合うコード連結部141,142,143,144間の距離に相当する長さ分、ナイロンコード40aのフランジ部160の外縁からの延出長さを延長することができる。そして、再びナイロンコード40aの先端が磨耗してフランジ部160からの延出長さが短くなった場合には、ナイロンコード40aを上記と同様にして抜き取り、両端を第1および第2コード連結部141,142の各孔132に挿入して上記と同様に掛け回し部150を掛け回して半径方向外方に引き出せばよい。
【0045】
この第2の実施形態の草刈り機用回転刃A1は、保持部材100の周方向の同一個所から複数本のナイロンコード40aが延出させられている点、および、回転刃取付け軸14に対して相対回転可能な接地部材200aを備えている点において、第1の実施形態の刈り機用回転刃Aと共通している。したがって、第2の実施形態の草刈り機用回転刃A1を用いて草刈り作業を行う場合においても、第1の実施形態の草刈り機用回転刃Aを用いて草刈り作業を行う場合について上述したのと同様に、切断対象である雑草等をきわめて効率的に刈り取ることができる。
【0046】
第2の実施形態の草刈り機用回転刃A1はとくに、特に、接地部材200aの外径が所定のように大きく、かつ、その底面において平面となっている領域が広いので、この接地部材200aを地面に接地しつつ、安定して地面に沿って移動させることができる。また、接地部材200aの外径が上記のように所定のように大きいので、
図12に示すように、この接地部材200aの周縁を接地させつつ、回転刃A1を地面に対してたとえば10〜15°傾け、雑草等の切断対象をその根元から刈り取ろうとする場合においても、ナイロンコード40aとともに高速回転するフランジ部160が不用意に地面に接触して回転刃A1の回転が減速するといった事態を効果的に回避し、効率的な草刈り作業を継続することができる。
【0047】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【0048】
保持部材100の周方向の同一箇所から複数本のナイロンコード40,40a(コード状切断刃)を延出させるための具体的構成については、実施形態のものに限定されない。
【0049】
各実施形態では、4つのコード連結部141,142,143,144を周方向に並べて設けているが、このコード連結部の数は、2以上であればよい。
【0050】
第1の実施形態では、4つのコード連結部141,142,143,144のうち、2つのコード連結部を用い、2本のナイロンコード40の基端を隣接する2つのコード連結部に連結して、同一の掛け回し部150から2本のナイロンコード40の先端側が延出するようにした例を説明したが、3つのコード連結部を用い、3本のナイロンコード40を隣接する3つのコード連結部に連結して、同一の掛け回し部150から3本のナイロンコード40の先端側が延出するようにしてもよい。
【0051】
さらに、各実施形態における保持部材100は、所定長さのナイロンコード40の基端側を保持するようにしているが、ナイロンコードの保持形態もこれに限られない。たとえば、特許文献2(国際公開WO2007/023758号公報)に示されているもののように、保持部材として、長尺状のナイロンコードを巻回保持するようにしたものを採用し、これに複数本のナイロンコードを巻回保持させて、1つの導出孔から2本またはそれ以上の本数のナインコードを導出させるようにしてもよい。
【0052】
さらに、本発明の回転刃Aが取付けられて使用される草刈り機Bは、
図1および
図3に示したような操作管12の先端に回転刃取付け軸14を備える構成のものに限定されない。車輪を有して地面を移動可能なフレームに、エンジン等の動力源およびこの動力源によって回転駆動される回転刃取付け軸を有する、いわゆる自走式の草刈り機などにも本発明の回転刃を取付けて使用することができる。
【符号の説明】
【0053】
A,A1 回転刃
B 草刈り機
40,40a ナイロンコード(コード状切断部材)
14 回転刃取付け軸
17 回転刃押さえ
17a 膨出部(回転刃押さえの)
100 保持部材
110 取付け基部
120 厚肉環状部
130 コード挿通空間
141,142,143,144 コード連結部
150 掛け回し部
160 フランジ部
200,200a 接地部材