(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、シンク内にごみかごを設けることにより、大きめの野菜くず等はごみかごに捨て、小さめの野菜くず等は排水口の網や蓋で補足することができ、シンクにおける作業性を高めることができる。しかしながら、シンクでは、排水口が配置されている領域は食器等を載置しづらいため、ごみかごを載置すると、シンクの底面において利用可能な領域が更に狭まってしまう(底面の利用効率が低下する)。またごみかごを設けると、そこに入れたごみくず等からの水滴がシンク底面に滴り落ち、ごみかごの下方のシンク底面にぬめりが生じやすくなるため、清潔性や清掃性が損なわれることも課題となっていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、シンク底面の利用効率を低下させることなく、且つ高い清潔性および清掃性を得ることが可能なキッチン用シンクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかるキッチン用シンクの代表的な構成は、奥行き方向で手前側に向かうにしたがって下方に傾斜する傾斜面と、傾斜面の側縁に沿って配置された排水口と、傾斜面の手前側の縁から側縁に沿って延びて排水口まで
下方に傾斜する誘導溝と、
排水口に取り付けられたごみ受け皿の上方に取り付けられる排水口の蓋と、を備え、
排水口の蓋は、シンクの底面に沿って取り付けられ、三角形であり、三角形の一辺がシンクの底面に沿っていて、シンクの底面に沿う一辺から三角形の対角に向かってくぼんでいて、対角の近傍に水切り穴が形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、シンクの底面である傾斜面を流れる水は、誘導溝を流れて蓋の下側に流れこむ。このため、蓋にのせたごみは調理の水や皿を洗う水によって流されることがない。したがって、排水口の蓋を排水口用ごみかご(以下、ごみかごと称する)として使用することができる。シンクの底面にごみかごを別途設ける必要がないため、シンクの底面のより広い領域を使用することが可能となる。またごみかごとして機能する排水口の蓋は、かかる排水口の上方に配置される。したがって、野菜くず等から滴った水は、水切り穴から排水口に落ちるため、シンク底面への水滴への滴り落ちが生じなくなり、シンク底面において高い清潔性および清掃性を得ることが可能である。
【0008】
ここで、従来のキッチン用シンクでは、排水口に向かって底面が傾斜していることが一般的であり、シンク底面は排水口を中心にしてすり鉢状の傾斜を有している。シンクにおいて食材の調理や食器の洗浄を行った際、食器に付着していた食べ残しや、調理時の食材の野菜くず等(以下、野菜くず等と称する)が発生する。このとき、従来のシンクでは、水栓からの吐水位置よりも排水口側にある野菜くず等は洗浄時の水流によって排水口に流れていくものの、吐水位置より排水口の反対側にある野菜くず等はそこに滞留してしまう。このため、使用者は、滞留した野菜くず等を手でかき集めて排水口に流さなくてはならず、煩雑な手間が生じてしまうという課題があった。また野菜くず等が滞留しやすいと汚れが付着しやすくなるため、清掃に手間がかかり、清掃性の低下を招いていた。
【0009】
上記に対し、本発明では、シンクの底面は、排水口ではなく手前側の縁に沿った誘導溝に向かうほぼ平坦な傾斜である。なお、「ほぼ平坦」とは、理想的には平坦であるが、成形上の理由から、厳密には(止む無く)若干のすり鉢状ないし太鼓状の湾曲を有する場合も含んでおり、溝等のような凹凸が意図的には形成されていないという意味である。なお、以下の説明では、「ほぼ平坦」を単に「平坦」と表現する。
【0010】
上述したように傾斜面が平坦であることにより、野菜くず等が発生するシンク手前側の領域よりも、水栓からの吐水位置の方が底面の傾斜の上流側に位置することになる。したがって、野菜くず等は、シンクの底面である傾斜面を流れる水流によって誘導溝に向かって流される。また底面が平坦な傾斜であることから、すり鉢状の傾斜の場合よりも広い領域に水流が流れる。
【0011】
そして、誘導溝に至った野菜くず等は、かかる誘導溝に流れ込んだ水によって排水口に向かって流れていく。したがって、例えば、皿を洗う水流によって自然に野菜くず等も流されることになり、皿を洗い終わる頃には野菜くず等の清掃も終了している。このため、使用者は従来のような野菜くずをかき集める作業を行う必要がなく、煩雑な手間が省かれ、高い快適性を得ることが可能となる。また野菜くず等の滞留が防がれることにより、シンク底面への汚れの付着が防がれ、常に清潔な状態が保たれる。このため、シンクの清掃を容易に行うことができ、高い清掃性を得ることが可能となる。
【0012】
当該シンクの奥側の面から手前側にせり出した水栓を立ち上げるための膨出部を更に備え、膨出部は、シンクに隣接する調理スペース側に配置されていて、排水口は、膨出部の手前側に配置されているとよい。かかる構成のように膨出部を設けることにより、シンクは、奥側の一部が切欠かれた形状となる。これにより、シンク内部の空間を広げることができ、作業性を高めることができる。また膨出部の手前側に排水口が配置されることにより、シンクの奥行方向での誘導溝の長さが短くなるため、誘導溝の傾斜を緩くし、深さを浅くすることができる。これにより、シンクの成形が容易になり、且つ清掃性を高めることが可能となる。
【0013】
更に膨出部が調理スペース側に配置されていることにより、かかる膨出部に取り付けられる水栓も調理スペース側に配置されることとなる。これにより、調理スペースでの作業時に水栓を使用しやすくなり、作業効率の向上を図ることができる。また膨出部が調理スペース側に配置されていることにより、かかる膨出部の手前側に配置される排水口も調理スペース側に配置されることとなる。これにより、調理スペースでの作業時に出た野菜くず等を、くずかごとして機能する排水口の蓋に捨てやすくなるため、作業効率を更に高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シンク底面の利用効率を低下させることなく、且つ高い清潔性および清掃性を得ることが可能なキッチン用シンクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明にかかるキッチン用シンクの好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態にかかるキッチン用シンク(以下、シンク100と称する)の全体斜視図である。
図1に示すように、本実施形態にかかるシンク100は、傾斜面110、排水口120および誘導溝130を含んで構成される。傾斜面110は、シンク100の底面であり、その周囲の縁からは壁面140が立設している。また本実施形態では、シンク100の奥側の左隅において、水栓(不図示)を立ち上げるための取付孔152が上面に配置された膨出部150が、シンク100の奥側の面である壁面140から手前側にせり出している。これにより、シンク100の内部が、奥側の一部が切欠かれた形状となるため、シンク内部の空間を広げることができ、作業性を高めることができる。
【0018】
更に本実施形態では、シンク100の奥側の角部において、膨出部150の手前側に、傾斜面110の側縁112bに沿うように排水口120が配置されている。本実施形態のように、膨出部150の手前側のシンク100の角部に排水口120を配置することにより、他の領域に排水口を配置した場合に比してデットスペースを減らすことができるため、シンク100の底面(傾斜面110)をより効率的に使用することが可能となる。
【0019】
図1に示すように、誘導溝130は、傾斜面110の手前側の縁(以下、手前縁112aと称する)から側縁112bに沿って延びて排水口120に連続している。説明の便宜上、本実施形態では、シンク100の手前側の左コーナーを境に、傾斜面110の手前縁112aに沿って延びる、すなわちシンク100の長手方向に延びる誘導溝を長手側誘導溝130aと称し、傾斜面110の側縁112bに沿って延びる、すなわちシンク100の短手方向に延びる誘導溝を短手側誘導溝130bと称する。またこれらの長手側誘導溝130aおよび短手側誘導溝130bの両方をさす場合には誘導溝130と称する。
【0020】
図2は、
図1の断面図であり、
図2(a)は、
図1のA−A断面図であり、
図2(b)は、
図1のB−B断面図であり、
図2(c)は、
図1のC−C断面図である。
図2(a)に示すように傾斜面110は、奥行き方向で手前側に向かうにしたがって下方に傾斜している。これにより、水栓からの水は、矢印D1方向、すなわちシンク100の手前側に向かって流れていくこととなる。
【0021】
図2(b)および(c)に示すように、誘導溝130である長手側誘導溝130aおよび短手側誘導溝130bは、傾斜面110よりも下方に窪んだ溝であり、排水口120に向かうにしたがって下方に傾斜している。詳細には、
図2(b)に示すように、長手側誘導溝130aは、左右方向において排水口120が設けられている側(本実施形態においては左側)に向かうにしたがって下方に傾斜している。
図2(c)に示すように、短手側誘導溝130bは、奥行き方向において排水口120が設けられている側、すなわち奥側に向かうにしたがって下方に傾斜している。
【0022】
上記説明したように、本実施形態のシンク100において、その底面となる傾斜面110は、従来のような排水口120に向かうすり鉢状の傾斜ではなく、かかる傾斜面110の手前側に設けられた誘導溝130(厳密には長手側誘導溝130a)に向かう平坦な傾斜である。そして、水栓が取り付けられる取付孔152がシンク100の奥側に設けられていることから、傾斜面110において、水栓からの吐水位置は、野菜くず等が発生する手前側の領域よりも上流側に位置することとなる。これにより、
図1に模式的に示す野菜くず等(以下、野菜くず102と称する)は、傾斜面110の奥側(上流側)からD1方向に流れてきた水流によって長手側誘導溝130aに向かって流される。
【0023】
そして、長手側誘導溝130aが排水口120に向かうにしたがって下方に傾斜していることにより、長手側誘導溝130aに流れこんだ野菜くず102は、それと一緒に長手側誘導溝130aに流れ込んだ水流によって、
図1に示す矢印D2方向、すなわち排水口120と連続している短手側誘導溝130bに向かって流れていく。このとき、短手側誘導溝130bにおいても排水口120に向かうにしたがって下方に傾斜していることにより、短手側誘導溝130bに流れ込んだ野菜くず102は、そこに流れ込んだ水によって矢印D3方向に流されて排水口120に至り、短手側誘導溝130bを流れる水は排水口120へと導かれる。
【0024】
上記構成によれば、食器等を洗浄する際に流れた水が傾斜面110を流れることにより、傾斜面110の手前側の領域にある野菜くず102が自然に誘導溝130に向かって流れ、排水口120に案内される。したがって、食器等の洗浄作業が終了する頃には野菜くず102の除去も完了することとなる。これにより、使用者は従来のような野菜くず102をかき集める作業が不要となり、高い快適性を得ることが可能となる。
【0025】
また野菜くず102が洗浄作業時の水流によって自然に排水口120に移動することにより、シンク100の底面(傾斜面110)への野菜くずの滞留が防がれる。特に傾斜面110が平坦に傾斜していることにより、従来のようなすり鉢状の傾斜の場合よりも広い領域に水流が流れ、野菜くず102の滞留が一層抑制される。これにより、野菜くず102の滞留に起因するシンク100の底面への汚れの付着を好適に防ぐことができ、常に清潔な状態を保つことができる。したがって、使用者はシンク100の清掃を容易に行うことができ、高い清掃性を得ることが可能となる。
【0026】
更に本実施形態では、上述したように膨出部150の手前側に排水口120が配置される。これにより、シンク100の奥行方向での短手側誘導溝130bの長さを短くすることができるため、誘導溝130の傾斜が緩くなり、深さも浅くなる。したがって、シンク100の成形を容易とすることができ、且つ清掃性を高めることが可能となる。
【0027】
図3は、
図1のC−C断面図であり、
図3(a)は、ごみ受け皿160および蓋170が設置される前の状態のシンク100を例示していて、
図3(b)は、ごみ受け皿160および蓋170が設置された後のシンク100を例示している。
図4は、
図1に示す排水口120の蓋170の拡大図であり、
図4(a)は蓋170の平面図であり、
図4(b)は
図4(a)のD−D断面図である。
図1に示すように、本実施形態のシンク100は、ごみ受け皿160および蓋170を含んで構成される。
図3(a)に示すように、ごみ受け皿160および蓋170は、上方から排水口120に取り付けられる。
【0028】
図3(b)に示すように、ごみ受け皿160は、誘導溝130(
図3(b)では、短手側誘導溝130bを図示)より下方で排水口120に取り付けられる。
図1、
図3(a)および(b)に示すように、ごみ受け皿160には水切り穴162が形成されている。これにより、
図3(b)に示す矢印のように、傾斜面110および誘導溝130を通過して流れてきた野菜くず102等(
図1参照)および水がごみ受け皿160に至ると、そこに形成された水切り穴162から水が排水口120に流れ落ち、野菜くず102等がごみ受け皿160に捕捉される。
【0029】
一方、
図3(b)に示すように、排水口120の蓋170は、誘導溝130(
図3(b)では、短手側誘導溝130bを図示)より上方で排水口120に取り付けられる。
図4(b)に示すように、蓋170は、上面172が全体的に下方にくぼんでいる。これにより、
図3(b)に示すように、大きめの野菜くず104等のごみを受けることができる。また
図4(a)に示すように、蓋170には水切り穴174が形成されている。これにより、受けたごみからの水滴が水切り穴174を通過して排水口120に落下する。
【0030】
上記説明したように、蓋170が下方にくぼんだ形状であり且つ水切り穴174が形成されていることにより、かかる蓋170をごみかごとして使用することができる。このとき、蓋170が排水口120の上方に配置されることから、蓋170はシンク100の底面(傾斜面110)に接地面積を要しない。したがって、シンク100の底面にごみかごを設けた場合に比して、シンク100の底面のより広い領域を使用することができ、底面の利用効率を高めることが可能となる。
【0031】
また蓋170が排水口120の上方に配置されることにより、蓋170に入れられた野菜くず104等のごみからのシンク100の底面(傾斜面110)への水滴への滴り落ちを防ぐことができる。したがって、シンク100の底面のぬめりを抑制することができ、清掃性および清潔性を高めることが可能となる。
【0032】
更に、膨出部150は、シンク100の左右方向において、かかるシンク100に隣接する調理スペース(不図示)側に配置されているとよい。本実施形態では、キッチンの調理スペースがシンク100の左側に設けられることを想定し、膨出部150をシンク100の左側に寄せて配置している。これにより、膨出部150に取り付けられる水栓も調理スペース側に配置されることとなるため、調理スペースでの作業時に水栓を使用しやすくなり、作業効率の向上を図ることができる。
【0033】
また膨出部150が調理スペース側に配置されることで、膨出部150の手前側に配置される排水口120も調理スペース側に配置されることとなる。これにより、調理スペースでの作業時に出た野菜くず等を、くずかごとして機能する排水口120の蓋170に捨てやすくなり、作業効率をより高めることが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態では、シンク100の形状を横長の四角形状としているが、これに限定するものではなく、シンク100は、例えば丸型やL字型等の他の形状としてもよい。また
図1に示すシンク100では膨出部150を備える構成を例示しているが、これにおいても限定されず、膨出部150を設けずに、シンク100の外側に水栓が取り付けられる構成とすることも可能である。更に、膨出部150ひいては水栓(取付孔152)の位置においても、必ずしもシンク100の奥側の左隅とする必要はなく、中央や右隅等、任意の位置に配置してよい。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。