【実施例1】
【0024】
図1に示す本発明の一例の射出成形機1は、粒状の熱可塑性樹脂としてのペレットを原料として成形体を製造するものであり、射出成形機1には機台2を備え、機台2上には、射出ユニット3、型締ユニット4が配設されている。
【0025】
型締ユニット4には、固定金型5に対し可動金型6を前進後退させ型締(型閉)及び型開を行う型開閉機構を備えており、本実施例における型開閉機構としては、モータの駆動力を駆動源としてトグルリンク機構7を屈曲作動することで可動ダイプレート9を進退させ、固定ダイプレート8に固定された固定金型5に対して可動ダイプレート9に固定された可動金型6を繰り返し型開閉する。
【0026】
また、射出ユニット3には、筒型の加熱シリンダ10、加熱シリンダ10の先端に設けた射出ノズル11、加熱シリンダ10内に設けられ当該加熱シリンダ内に供給された熱可塑性樹脂を混練するスクリュー12、スクリュー12を回転自在に支持する支持部材13、熱可塑性樹脂であるペレットが投入されるホッパ14、ホッパ14が設けられたホッパブロック15等が構成されている。
【0027】
加熱シリンダ10内に設けられたスクリュー12が回転されると、加熱シリンダ10の後部側へ供給口16から供給された熱可塑性樹脂は、射出ノズル11の設けられた加熱シリンダ10の先端側へ混練されながら送り出されるようになっており、加熱シリンダ10内に供給されて、この加熱シリンダ10内で加熱溶融された熱可塑性樹脂は、図示しない、計量用モータ等からなる回転駆動手段によりスクリュー12が回転されることで計量部にて計量された後、射出用モータ、ボールネジ機構等からなる進退駆動手段によりスクリュー12が前進されることで、金型の型閉されたキャビティへ所定量の溶融された熱可塑性樹脂が射出ノズル11を通じて射出される。なお、加熱シリンダ10の外側には、
図1に示すように加熱ヒータ17が設けられており、加熱ヒータ17が高温に加熱されることで、加熱シリンダ10の内部に供給された熱可塑性樹脂であるペレットは溶融される。
【0028】
ここで、加熱シリンダ10の先端に装着された射出ノズル11について
図2〜
図6により以下に説明する。
【0029】
図2に示すように、射出ノズル11には、型閉された金型のキャビティに対し、先端より熱可塑性樹脂を射出する射出部20と、射出部20を加熱シリンダ10の先端に着脱自在に連結する連結部21とが構成されている。
【0030】
図3〜6に示すように、射出部20の内部には、複数の乱流板22を備えたミキシングエレメント23を挿脱できるようになっている。射出部20の内部に挿通されたミキシングエレメント23は、
図2に示すように、加熱シリンダ10の先端に射出ノズル11を装着するため、射出部20が連結部21に螺着された状態のときには、当該ミキシングエレメント23の前後が、射出部20と連結部21との間に挟持されることにより、前後に動くことがないよう保持され、その状態では、ミキシングエレメント23の後部に設けた回転規制手段24により、当該ミキシングエレメント23が射出部20の内部で回転することがないよう阻止される。
【0031】
ミキシングエレメント23には、
図4〜6に示すように、内部に樹脂経路25が形成された筒状の筒状部を備え、筒状部内に有する乱流板22は、筒状部の内壁面の4箇所から半径方向に延出され中心で交差した十字型に形成されている。換言すると、乱流板22は、筒状部の内壁面に架け渡すようにして十字型に形成されている。そして、乱流板22は、熱可塑性樹脂の流れる方向に複数、具体的には、
図6に示すように、乱流板22の6個が、熱可塑性樹脂の流れる方向に断続的に配設されている。
【0032】
樹脂の流れる方向から視て十字型に形成された複数の乱流板22は、熱可塑性樹脂の流れる方向の上流側から下流側の順に、1、2、3・・・の整数順に番号を付与すると、1、3、5番の奇数番の乱流板22については、相互に対向するように配置される一方で、2、4、6番の偶数番の乱流板22についても同様に相互に対向するように配置される。そして、奇数番の乱流板22と偶数番の乱流板22とは、位置ずらし角度を45度として、奇数番の乱流板22と偶数番の乱流板22とが相互に対向しないよう位置をずらして配置し、ミキシングエレメント23の筒状部内である樹脂経路25を熱可塑性樹脂が通過するときには、各乱流板22により、熱可塑性樹脂が分流されることで乱流が起こり当該熱可塑性樹脂の混練が金型のキャビティに射出される前に十分に行われる。なお、複数の十字型の乱流板22を備え、これら複数の乱流板22が、熱可塑性樹脂の流れる方向に交互に45度の角度で位置ずれするようにして配置された複雑な形状を有する本実施例のミキシングエレメント23は、一般的な公知な切削加工のみでは成形することが困難であるため、積層加工が可能な3Dプリンタを用いて一体成形している。
【0033】
以上のような実施例1の射出成型機1によれば、射出ノズル11の射出部20の筒状部内に供給されてきた熱可塑性樹脂を分流することで乱流を起こす乱流板22を、射出部内部に設けたミキシングエレメント23に備えることから、加熱シリンダ10内のスクリュー12の回転に伴う熱可塑性樹脂の混練に加え、射出ノズル11内でも乱流板22により熱可塑性樹脂の混練を行うことができることから、熱可塑性樹脂の混練を十分に行うことができる。そして、ひいては、良質な成形体を得ることができる。
【0034】
さらに、メンテナンス等のため、射出成形機1の外部へミキシングエレメント23を取り出すときには、射出部20と加熱シリンダ10とを連結する連結部21から射出部20を取り外すだけで、射出成形機1の外部へミキシングエレメント23を取り出すことが可能となる。よって、ミキシングエレメント23の取り出し作業のほか、当該ミキシングエレメント23の取り付け作業についても、短時間で容易に行うことが可能となる。
【0035】
さらに、熱可塑性樹脂の流れる方向に配置された複数の乱流板22は、隣り合う関係では、相互に対向されることがないよう配置されることになるため、位置をずらした乱流板22の間等を通過する熱可塑性樹脂に対し効果的に乱流を発生させることができる。よって、当該熱可塑性樹脂の混練を効果的に行うことが可能となる。
【0036】
さらに、ミキシングエレメント23内に形成される乱流板22は、奇数番の乱流板22と偶数番の乱流板22とは相互に対向しないよう位置をずらして配置されているため、複雑な構造を有している。そのため、本実施形態の内部構造が複雑なミキシングエレメント23は、一般的な切削加工では成形することが困難ではあるが、積層加工が可能な3Dプリンタを適用することで、複雑な内部構造を有するミキシングエレメント23であっても成形することができる。
【0037】
さらに、ミキシングエレメント23の回転を阻止する回転規制手段24を備えることから、射出ノズル11内の樹脂経路25であるミキシングエレメント内を熱可塑性樹脂が通過しながら混練されるときに、ミキシングエレメント23が回転してしまうことを阻止することができる。