(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御手段は、物体検出手段による物体の検出情報に基づいて本体ケースが狭所に入り込んだと判断したときには、前記本体ケースの旋回角度を徐々に小さくする第1走行モードに切り換わる
ことを特徴とした請求項1記載の自律走行体。
制御手段は、側方の物体に沿って走行する第2走行モードを備え、第1走行モード時に前記本体ケースの旋回角度を小さくしたときに物体検出手段が物体を所定時間以内に所定回数以上検出すると前記第2走行モードに切り換わる
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の自律走行体。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1ないし
図8において、11は自律走行体としての電気掃除機であり、この電気掃除機11は、例えば充電回路を内蔵した図示しない基地装置としての充電装置(充電台)などとともに、自律走行体装置としての電気掃除装置を構成する。
【0009】
そして、電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナ(掃除ロボット)である。この電気掃除機11は、中空状の本体ケース15と、この本体ケース15を床面上で走行させる走行部16と、床面などの塵埃を掃除する掃除部17と、充電装置を含む外部装置と通信する通信部18と、各種情報を表示する表示部19と、走行部16、掃除部17、通信部18および表示部19を制御する制御手段20と、これら走行部16、掃除部17、通信部18、表示部19および制御手段20などに給電する二次電池21とを備えている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース15)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図5ないし
図7に示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。また、
図1などに示す矢印Xの指す方向が、電気掃除機11(本体ケース15)の前側を表すものとする。
【0010】
本体ケース15は、例えば合成樹脂などにより扁平な円柱状(円盤状)などに形成されており、床面に対向する下面に吸込口22および排気口23がそれぞれ開口されている。
【0011】
走行部16は、複数(一対)の駆動部としての駆動輪25,25と、これら駆動輪25,25を駆動させる動作部としての駆動手段であるモータ26,26と、旋回用の旋回輪27と、各種センサを有するセンサ部28などを備えている。
【0012】
各駆動輪25は、電気掃除機11(本体ケース15)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものであり、左右幅方向に沿って図示しない回転軸を有し、幅方向に対称に配置されている。
【0013】
各モータ26は、例えば駆動輪25のそれぞれに対応して配置されており、各駆動輪25を独立して駆動させることが可能となっている。
【0014】
旋回輪27は、本体ケース15の下面の幅方向の略中央部で、かつ、前部に位置しており、床面に沿って旋回可能な従動輪である。
【0015】
センサ部28は、例えば各駆動輪25(各モータ26)の回転数を検出する回転数検出手段30と、所定距離以内の壁や家具などの物理的な物体(障害物)の存否を検出する(第1の)障害物検出手段である物体検出手段31と、本体ケース15の側部前方の所定距離以内の壁や家具などの物理的な物体(障害物)の存否を検出する(第2の)障害物検出手段である検出手段32と、充電装置などからの帰還信号(赤外線信号)および衝突防止信号を受信するフォトトランジスタなどの帰還信号検出手段および衝突防止信号検出手段の機能を有する受信手段33とを備えている。このセンサ部28には、他に、例えば床面の段差などを検出する赤外線センサなどの図示しない段差検出手段、および、床面の塵埃量を検出する図示しない塵埃量検出手段などを備えていてもよい。
【0016】
回転数検出手段30は、例えば光エンコーダなどであり、この測定した駆動輪25(モータ26)の回転数によって電気掃除機11(本体ケース15)の旋回角度θや進行距離を検出するようになっている。すなわち、この回転数検出手段30は、旋回角度検出手段、および、距離検出手段の機能をそれぞれ有している。
【0017】
物体検出手段31は、本実施形態では、本体ケース15の前側半分を構成する可動的な円弧状の接触子であるバンパ35と、このバンパ35の移動によって動作されるスイッチ36とを有し、バンパ35と物体との接触を検出する接触センサである。すなわち、本実施形態の物体検出手段31は、本体ケース15に対して接触する(ゼロ距離に位置する)物体を検出するようになっている。
【0018】
バンパ35は、本体ケース15の径方向に沿って移動可能となっており、例えば図示しないばねなどの付勢手段によって、本体ケース15から突出する方向に付勢されている。なお、このバンパ35は、例えば本体ケース15の一側から前部を介して他側まで連続する半円弧状としてもよいし、本体ケース15の一側から前部を介して他側までの半円弧領域を複数に分割した円弧状としてもよい。このようにバンパ35を複数に分割して構成する場合には、左右対称な配置とすることが好ましく、例えば前部と左右両側との3箇所などに分割するものとする。
【0019】
スイッチ36は、物体との接触によって相対的に後退したバンパ35との接触により動作すなわちオンオフが切り換わるもので、少なくとも本体ケース15の両側にてバンパ35の背面側に対向して配置されている。そして、これらスイッチ36のいずれのオンオフが切り換わったかにより、バンパ35の物体との接触、および、その接触位置(接触方向)を検出可能となっている。本実施形態では、例えば本体ケース15(バンパ35)の左右方向の中心位置を含む前側の左右略均等な所定角度ずつに亘る前側領域と、この前側領域の右側に隣接し本体ケース15(バンパ35)の右側部に亘る右側の所定角度の右側領域と、前側領域の左側に隣接し本体ケース15(バンパ35)の左側部に亘る左側の所定角度の左側領域とのそれぞれのうち、どの領域が物体と接触したかを検出可能となっている。
【0020】
検出手段32は、本体ケース15に対して所定距離に離間された位置の物体を検出する、換言すれば側部前方に位置する物体との距離を検出する例えば超音波センサ、あるいは赤外線センサなどの非接触センサである。すなわち、この検出手段32は、物体検出手段(測距手段)の機能を有している。この検出手段32は、本実施形態では、例えば本体ケース15の前方に対して左右方向にそれぞれ52.5°の角度に傾斜した位置に配置されている。したがって、この検出手段32は、左右対称に配置されている。
【0021】
受信手段33は、充電装置やバーチャルガードからの無線信号である帰還信号を検出することで充電装置やバーチャルガードの位置を推定するとともに、電気掃除機本体11(本体ケース15)が充電装置やバーチャルガードなどへと必要以上に接近していないかなどを制御手段20により判断する際に用いられるのである。すなわち、この受信手段33は、この無線信号によって外部装置の周囲や領域内などに形成された仮想的な物体(障害物)を検出する、物体検出手段の機能を有している。この受信手段33には、例えば本体ケース15の前部に位置する(一方および他方の)前側受信部としての左正面受信手段33aおよび右正面受信手段33bが少なくとも設定されている。これら左正面受信手段33aおよび右正面受信手段33bは、本体ケース15の外周面において左右方向の中央部を挟む前部両側に位置する。また、本実施形態では、受信手段33には、さらに本体ケース15の外周面において前方左右の所定角度、例えば略45°方向あるいは略60°方向に位置する左前受信手段33cおよび右前受信手段33d、本体ケース15の外周面において後方左右の所定角度、例えば略45°方向あるいは略60°方向に位置する左後受信手段33eおよび右後受信手段33f、および、本体ケース15の外周面において左右方向の中央部を含む後部に位置する後受信手段33gが設定されている。したがって、受信手段33は、例えば左右対称に配置されている。この受信手段33のうち、充電装置への接近動作(アプローチ)に用いられる受信手段33a,33b、および、充電装置への接続動作の前の位置決めに用いられる後受信手段33gは指向性が比較的狭く、例えば所定方向である受信手段33a,33b,33gが向けられた方向の所定の角度範囲内からの無線信号を主として検出するようになっている。また、この受信手段33のうち、受信手段33c,33d,33e,33fは、無線信号の見落としを防止するために指向性が比較的広く、例えば受信手段33c,33d,33e,33fが向けられた方向の受信手段33a,33b,33gよりも広い所定角度範囲内からの無線信号を検出するようになっている。なお、以下、受信手段33とは、特記しない限り、受信手段33a〜33gの少なくともいずれかあるいは全体を指すものとする。
【0022】
掃除部17は、例えば本体ケース15内に位置して塵埃を吸い込む電動送風機37と、吸込口22に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる回転清掃体としての回転ブラシ38およびこの回転ブラシ38を回転駆動させるブラシモータ39と、本体ケース15の前側などの両側に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段であるサイドブラシ40およびこのサイドブラシ40を駆動させるサイドブラシモータ41と、塵埃を溜める集塵部42となどを備えている。なお、電動送風機37と、回転ブラシ38およびブラシモータ39と、サイドブラシ40およびサイドブラシモータ41とは、少なくともいずれかを備えていればよい。
【0023】
通信部18は、例えば充電装置などの外部装置に対して無線信号(赤外線信号)を送信する赤外線発光素子などの送信手段46を備えている。なお、この通信部18には、例えばアクセスポイントなどを介して例えば携帯端末などの外部装置との無線信号の送受信をする無線LANデバイスなどとを備えていてもよい。
【0024】
表示部19は、時刻や時間、あるいは電気掃除機11に関する各種情報などを表示するものであり、例えば本体ケース15の上部に配置されている。なお、この表示部19は、例えば使用者が各種設定を直接入力可能である入力操作手段の機能を兼ね備えるタッチパネルなどとしてもよい。
【0025】
制御手段20は、例えばCPUやタイマおよびカウンタなどを備えたマイコンであり、センサ部28による検出結果に基づいて、自律走行しつつ掃除部17により掃除をする掃除モードと、充電装置を探索して充電装置へと帰還する帰還モードと、充電装置を介して二次電池21を充電する充電モードと、動作待機中の待機モードとを有している。そして、掃除モード中および帰還モード中には、複数、例えば2つの走行モード、すなわち第1走行モードと第2走行モードとが設定されている。
【0026】
第1走行モードは、物体(障害物)が少ない領域(オープンスペース)を効率よく走行するためのモードであり、電気掃除機11(本体ケース15)が部屋の中を物体に対して所定距離以内に接近する(物体に衝突する)毎に向きを変えつつ直進する、ランダムバウンド走行モードとも呼び得るもので、電気掃除機11(本体ケース15)を直進させるとともに、物体検出手段31あるいは検出手段32により物理的な物体(障害物)を所定距離以内に検出(電気掃除機11(本体ケース15(バンパ35))との接触を検出)したり、受信手段33により仮想的な物体(障害物)を所定距離以内に検出したりすると、その位置で所定の角度範囲内でランダムかつ可変可能な旋回角度θだけ旋回(超信地旋回)して走行方向をランダムに変え、さらに直進させるようにモータ26,26(駆動輪25,25)の動作を制御するものである(
図9中の矢印S1に示す)。なお、以下、直進とは、直線に沿って進行するものだけでなく、直線に近似した円弧などに沿って進行する、実質的な直進も含むものとする。
【0027】
第2走行モードは、物体の近傍を走行するためのモードであり、電気掃除機11(本体ケース15)が検出手段32あるいは受信手段33により検出した物理的あるいは仮想的な物体である障害物(壁)などの領域の外縁に対して所定の距離を保って走行する、壁沿い走行モードとも呼び得るもので、電気掃除機11(本体ケース15)を壁に沿って直線状に走行させるとともに、検出手段32あるいは受信手段33により電気掃除機11(本体ケース15)の前方の所定距離以内に壁が位置する(壁に対して電気掃除機11(本体ケース15)が所定距離以内に接近した)ことを検出すると、壁に対して略平行な方向へと前進方向を変え、さらに壁に沿って直進して走行させるようにモータ26,26(駆動輪25,25)の動作を制御するものである(
図10中の矢印S2に示す)。なお、本実施形態では、第2走行モードは、以下、電気掃除機11(本体ケース15)の左側に壁を臨みながら、換言すれば電気掃除機11(本体ケース15)の左側を物体である障害物(壁)に沿わせながら走行する、いわゆる左手沿いのモードとするが、動作を左右反転した右手沿いのモードとしてもよいし、これら左手沿いのモードと右手沿いのモードとを所定条件に基づいて、例えば第2走行モードに切り換わる毎に切り換えるようにしてもよい。
【0028】
また、二次電池21は、例えば本体ケース15の下面の後部の両側に露出する接続部としての充電端子48,48と電気的に接続されており、これら充電端子48,48が充電装置側の充電用端子と電気的および機械的に接続されることで、充電装置を介して充電されるようになっている。
【0029】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0030】
一般に、電気掃除機11は、掃除をする掃除作業と、充電装置によって二次電池21を充電する充電作業とに大別される。そして、掃除作業は、充電装置から電気掃除機11が離脱する離脱動作、この離脱動作の後掃除部17によって掃除をする掃除動作、この掃除動作の後あるいは掃除動作の最中に充電装置の探索をする探索動作、この探索動作により検出した充電装置に向かって電気掃除機11が走行する接近(アプローチ)動作、および、充電装置に接近した電気掃除機11が充電装置と接続(ドッキング)する接続動作などにより構成されている。
【0031】
(掃除作業)
電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときなど、掃除の開始のタイミングで、制御手段20が待機モードから掃除モードに切り換わり、掃除部17および走行部16などを駆動させ、充電装置から例えば直線状に離脱する(離脱動作)。
【0032】
次いで、制御手段20は、センサ部28からの検出に対応して駆動輪25,25(モータ26,26)を駆動させることで、物体(障害物)や段差などを回避しながら電気掃除機11(本体ケース15)を、第1走行モードと第2走行モードとのいずれかを用いて、あるいはそれらを所定の順番で所定時間ずつ用いて床面上を走行させつつ、掃除部17によって床面の塵埃を掃除して捕集する(掃除動作)。
【0033】
そして、掃除領域の掃除が完了した、または、二次電池21の容量が所定量まで低下して掃除を完了させるのに不足している(二次電池21の電圧が放電終止電圧近傍まで低下している)などの所定条件時には、電気掃除機11は、制御手段20が帰還モードに切り換わり、この制御手段20により駆動輪25,25(モータ26,26)を駆動させて走行しながら充電装置を探索する(探索動作)。
【0034】
この探索動作では、電気掃除機11は、第1走行モードあるいは第2走行モードを切り換えつつ用いて走行しながら、充電装置の信号出力手段から発信されている無線信号を受信手段により受信するかどうかを検出する。
【0035】
そして、探索動作によって探索して検出した充電装置に向かうように電気掃除機11(本体ケース15)を走行させた後、所定距離まで近づくと、充電端子48,48を充電装置に向けて、無線信号(誘導信号)に沿って直線状に充電装置へと接近する(接近動作)。この後、充電端子48,48を充電用端子と接続(ドッキング)する(接続動作)。そして、電気掃除機11と充電装置との接続が終了すると、制御手段20は、掃除部17および走行部16などを停止させて掃除作業を終了する。
【0036】
上記の掃除動作中および探索動作中の第1走行モードと第2走行モードとの切り換えについて詳細に説明する。
【0037】
第1走行モード時には、通常、制御手段20は、モータ26,26(駆動輪25,25)の動作を制御し、電気掃除機11(本体ケース15)を直進させ、物体検出手段31あるいは検出手段32により物体を所定距離以内に検出(電気掃除機11(本体ケース15(バンパ35))との接触を検出)するとその位置で所定の角度範囲内でランダムかつ可変可能な旋回角度θだけ旋回(超信地旋回)して走行方向をランダムに変え、さらに直進させる。すなわち、電気掃除機11(本体ケース15)は、検出した物体の近傍の位置(本実施形態では物体と接触した位置)で異なる方向に跳ね返るような挙動を取る。この旋回角度θは、回転数検出手段30により検出する各駆動輪25(各モータ26)の回転数に基づいて管理され、例えば90°より大きい鈍角に設定されており、物体近傍で方向を変えて直進したときに同じ物体を再度検出する(同じ物体と再接触(再衝突)する、すなわち二度当たりする)ことを確実に防止している。
【0038】
一方、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により所定時間(例えば7秒)以内に所定回数(例えば5回)以上物体を検出した場合(例えば
図4(a))、あるいは、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により左右交互に所定回数(例えば2回ずつ)以上物体を検出した場合、換言すれば、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33による物体の検出によって電気掃除機11(本体ケース15)の旋回方向が左右を交互に所定回数以上繰り返す場合(例えば
図4(b))には、電気掃除機11(本体ケース15)が例えば椅子の脚の内方、あるいは掃除領域の角部に配置した充電装置と壁との間の領域など、電気掃除機11(本体ケース15)の周囲近傍が物体によって囲まれているような狭所に入り込んだものと判断する。このときには、制御手段20は、旋回角度θを相対的に小さくすることにより、移動性を向上して脱出の可能性を向上する。具体的に、旋回角度θは、本体ケース15が物体に対して接近した角度θ1(物体の法線方向に対する接近中の本体ケース15の二次元の傾斜角度(本体ケース15の進行方向と物体の法線方向とがなす角度))と、本体ケース15が物体から離反する角度θ2(物体の法線方向に対する離反中の本体ケース15の二次元の傾斜角度)との和が鈍角となるように旋回角度θを設定し(
図1)、例えば45°以上90°以下(未満)の所定の固定角度、あるいはこの角度範囲中のランダムな角度とする。
【0039】
例えば
図2に示すように、物体(壁)Wと、外部装置の周囲に発信されている衝突防止信号Sとに囲まれた狭所に電気掃除機11(本体ケース15)が入り込んだときには、実線に示すように旋回角度θを小さくする第1走行モードに切り換わることにより、物体W、あるいは衝突防止信号Sを検出したときに電気掃除機11(本体ケース15)が物体Wから離反する角度を浅くして、狭所からの脱出の確率を向上する。そして、この第1走行モード中に、旋回角度θを小さくした状態で、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により所定時間以内に所定回数以上物体を検出しない場合には、狭所を脱出したものと判断して旋回角度θを元に戻す。
【0040】
また、第1走行モード中に、旋回角度θを小さくした状態で、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により所定時間以内に所定回数以上物体を検出した場合には、第1走行モードでは脱出することが容易でない狭所に入り込んだものと判断し、第2走行モードに切り換わる。
【0041】
第2走行モード時には、制御手段20は、検出手段32あるいは受信手段33により検出した物理的あるいは仮想的な物体である障害物(壁)などの領域の外縁に対して所定の距離を保ちながら走行するようにモータ26,26(駆動輪25,25)の動作を制御する。
【0042】
例えば
図3に示すように、物体(壁)Wと、外部装置の周囲に発信されている衝突防止信号Sとに囲まれた狭所に電気掃除機11(本体ケース15)が入り込んで、第1走行モードから第2走行モードに切り換わったとき、検出手段32を用いて、電気掃除機11(本体ケース15)の例えば左手に臨む物体Wに沿って所定の距離を保ちながら走行することで、狭所からの脱出の確率を向上する。そして、この第2走行モード時に所定距離以上走行したことを検出した場合には、制御手段20は、狭所を脱出したものと判断し、旋回角度θを元に戻した第1走行モードに切り換わる。
【0043】
(充電作業)
充電装置に電気掃除機11が接続された後、所定のタイミング、例えば予め設定された充電開始時刻となったとき、あるいは電気掃除機11が充電装置に接続されてから所定時間が経過したときなどに、制御手段20は充電モードに移行し、充電装置から二次電池21の充電を開始する。そして、二次電池21の電圧が所定の使用可能電圧まで上昇したと判断すると、充電作業を終了し、制御手段20が待機モードとなる。
【0044】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33による物体の検出情報に基づいて電気掃除機11(本体ケース15)が狭所に入り込んだと判断したときには、電気掃除機11(本体ケース15)が物体に対して接近した角度θ1と、電気掃除機11(本体ケース15)がこの物体から離反する角度θ2との和が鈍角となるように電気掃除機11(本体ケース15)の旋回角度θを小さくした第1走行モードに切り換わるので、電気掃除機11(本体ケース15)の移動性、すなわち前進方向への移動量を大きくして、狭所から脱出する確率をより向上できる。
【0045】
次に、第2の実施形態を
図11および
図12を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態において、制御手段20が、電気掃除機11(本体ケース15)が狭所に入り込んだと判断したときには、旋回角度θを徐々に小さくするように変化させる第1走行モードに切り換わるものである(
図11)。
【0047】
すなわち、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により所定時間(例えば7秒)以内に所定回数(例えば5回)以上物体を検出した場合、あるいは、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により左右交互に所定回数(例えば2回ずつ)以上物体を検出した場合には、電気掃除機11(本体ケース15)が狭所に入り込んだものと判断し、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により物体を検出する毎に電気掃除機11(本体ケース15)を旋回させる際の旋回角度θを徐々に小さくして、電気掃除機11(本体ケース15)の移動性を増加させるようにする。
【0048】
この旋回角度θは、下限値および上限値を徐々に小さくした角度範囲内でランダムに設定してもよいし、予め徐々に小さくなるように設定された複数の固定の角度から選択するようにしてもよい。
【0049】
そして、上記第2の実施形態によれば、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33による物体の検出情報に基づいて電気掃除機11(本体ケース15)が狭所に入り込んだと判断したときには、本体ケース15の旋回角度θを徐々に小さくする第1走行モードに切り換わるので、電気掃除機11(本体ケース15)の移動性、すなわち前進方向への移動量を、方向を変える毎に大きくして、狭所から脱出する確率をより向上できる。
【0050】
なお、上記各実施形態において、物体検出手段31と検出手段32とのいずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0051】
また、上記各実施形態では、制御手段20は、基本的に第1走行モードで電気掃除機11(本体ケース15)を走行させ、狭所に入り込んだときに第2走行モードに切り換わるが、通常の掃除動作中や探索動作中であっても、より精度よく掃除をしたり、充電装置をよりきめ細かく探索したりする場合など、必要に応じて第2走行モードに切り換わるようにしてもよい。そして、この第2走行モード中に、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により所定時間以内に所定回数以上物体を検出した場合には、電気掃除機11(本体ケース15)の周囲近傍が物体によって囲まれているような狭所に入り込んだものと判断して、旋回角度θを小さくした第1走行モードに切り換わることで、上記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
さらに、掃除動作は、充電装置から開始する他に、掃除領域中の任意の位置を開始位置とすることができる。
【0053】
そして、電気掃除機11に自律走行体の機能を持たせたが、自律走行体としては、掃除をするものに限定されない。
【0054】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33による物体の検出情報に基づいて電気掃除機11(本体ケース15)が狭所に入り込んだと判断したとき、すなわち、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により所定時間(例えば7秒)以内に所定回数(例えば5回)以上物体を検出した場合、あるいは、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により左右交互に所定回数(例えば2回ずつ)以上物体を検出した場合には、制御手段20が電気掃除機11(本体ケース15)の旋回角度θを小さくした第1走行モードに切り換わることで、電気掃除機11(本体ケース15)が狭所から短時間で脱出可能となる。このため、狭所からの脱出に時間を要することによる二次電池21の容量の浪費を抑制できるとともに、狭所に入り込んで掃除をしても脱出できるので、短時間で効率よく掃除領域全体を掃除することが可能になる。
【0055】
また、旋回角度θを小さくした第1走行モード中に、物体検出手段31、検出手段32あるいは受信手段33により物体を所定時間以内に所定回数以上検出したときには、第1走行モードによる脱出が容易でない狭所に入り込んだものと判断して、物体に沿って走行する第2走行モードに切り換わることで、狭所からの脱出の可能性をより向上できる。
【0056】
さらに、狭所で第2走行モードに切り換わった場合に、電気掃除機11(本体ケース15)が所定距離以上走行した場合には旋回角度θが通常値である第1走行モードに切り換わることで、狭所から脱出した後には移動性が大きい第1走行モードを用いて、効率よく走行できるとともに、狭所に対して短時間でより遠くに離れることができ、再度同じ狭所に戻りにくい。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。