【0022】
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
(1)ペーパーとゴム(バリ)の境界部より分離してしまう問題を解決するため、境界面にゴムの離型抵抗力が作用するのを低減するように根元部にR(アール)を付ける。
(2)ペーパーの上下をゴムで挟む構造のままで根元部にRを付けて、ペーパーとゴムの境界部に応力が集中しないようにする。
(3)ペーパーの上下をゴムで挟む構造を廃止しながら、根元部にRを付ける。
(4)ペーパーとゴムの境界部に離型抵抗が集中するのを回避するようにRを付けることで、ペーパーとゴムの一体性がアップされる。特にペーパー離型は全面を同時に剥がすことはなく一辺より離型していくことから、ペーパーとゴムにモーメントが作用しながら剥がすこととなる。そのため、ペーパーとゴムの接触面積を増加させても一体離型性に対しては効果が得られにくく、最初に引き上げられる部位の、ペーパーとゴムの境界に作用する力を低減させることが重要となる。Rを付けることで境界部に作用する力が分散され、結果としてペーパー離型時にゴムが分離するのを回避することができる。尚、離型する方向は製品により様々であることから、全周にRを付けた形状がより安定している。
(5)上下ゴム挟み構造のままで、根元全周にRを付ける。尚、根元Rを追加することにより離型時の一体力がアップするので、上下ゴム挟み構造をとらなくとも一体離型させることができる。また、R根元の先にゴムの薄膜を追加することにより更にペーパーとの一体力を大きくすることができ、より安定することを確認している。
(6)上下ゴム挟み構造を取らない場合、複雑な材料流路構造(ペーパーの上下を流れる流路構造)を採用する必要がなく、シンプルな流路にてのペーパー離型が可能となる。また、ペーパーを破ってゴムが流れる回数を3回から1回に減らすことで、ペーパーを突き破った時に発生する恐れがあるペーパーの繊維が材料中に混入するリスクを最小限に抑えることができる。
(7)本発明の成形方法および成形型が成形するのは例えば、燃料電池セルシール等の燃料電池用ガスケットであっても良い。燃料電池用ガスケットとしては、セパレータ等の基材プレートに対しゴム状弾性体製のガスケットを一体成形(インサート成形)するのが一般であるので、本発明の成形方法および成形型は、成形に際してインサート部品を成形型内に挿入(インサート)するインサート成形用の成形方法および成形型であっても良い。
(8)ペーパーは、これに代えて不織布などであっても良く、本発明では、紙または不織布等の柔軟性のあるシート部材とする。
(9)本発明は、複数のランナーバリをまとめて除去するときに用いられ、また複数のランナーバリおよびベントバリをまとめて除去するときに用いられる。
【実施例】
【0023】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0024】
第1実施例・・・
図1(A)は、本発明の第1実施例に係る成形型1を示し、この成形型1はその成形品としてゴム状弾性体よりなるガスケット等のシール部品51を成形(射出成形)するものである。成形型1は、第1分割型2と、この第1分割型2に対し開閉可能に組み合わされる第2分割型3と、この第2分割型3に対し開閉可能に組み合わされる第3分割型4とを備え、図における下から上へ第1分割型(下型)2、第2分割型(中型)3および第3分割型(上型)4が配置されている。
【0025】
第1分割型2および第2分割型3間のパーティング部5にゲート21およびキャビティ22が設けられている。キャビティ22はガスケット等のシール部品が一般に無端状であるのに合わせて無端状に設定され、その周上複数個所(図では2箇所)にゲート21が設けられている。
【0026】
第3分割型4に、これを板厚方向に貫通するようスプルー11が設けられ、第3分割型4における第2分割型側の面に、スプルー11の先端部から通じるスプルー側ランナー13が溝状であってかつ放射状に設けられている。第2分割型3に、各スプルー側ランナー13の先端部から各ゲート21へ通じるゲート側ランナー14が板厚方向に貫通するよう孔状に設けられている。また、第2分割型3における第3分割型側の面に、スプルー11と平面上の位置を合わせてスプルー溜まり12が設けられている。
【0027】
第2分割型3および第3分割型4間に、紙または不織布等の柔軟性のあるシート部材(以下、ペーパーとも称する)31が挟み込まれる構造とされている。挟み込まれたシート部材31は、第2分割型3の第3分割型側の面および第3分割型5の第2分割型の面間で挟圧されるとともにスプルー11、スプルー溜まり12、スプルー側ランナー13およびゲート側ランナー14に面するので、これら各部に充填されるゴム状成形材料がシート部材31に接触し一部は含浸し、硬化後、各バリ(スプルー11にて形成されるスプルーバリ52、スプルー溜まり12にて形成されるスプルーバリ53、スプルー側ランナー13にて形成されるランナーバリ54およびゲート側ランナー14にて形成されるランナーバリ55)としてシート部材31に付着する。
【0028】
尚、ゴム状成形材料の注入時、ゴム状成形材料はシート部材31を厚み方向に浸透しまたはシート部材31を一部で破ることによりスプルー11からスプルー溜まり12へ、スプルー側ランナー13からゲート側ランナー14へそれぞれ流入する。
【0029】
孔状のゲート側ランナー14については、シート部材31側からゲート21側へ開口断面積が徐々に縮小するよう漏斗状に設定されているが、そのシート部材31側の端部は、ここで形成されるランナーバリ55の一部(根元部)がシート部材31に対する付着部55aとされるのでこの付着部55aによる付着面積を広く確保すべく、比較的大径の円盤状の空間とされている。しかしながらこの円盤状の空間の内周面がシート部材31の平面に対し直角のままでは、上記したようにバリ除去工程において応力集中が発生しやすく、シート部材31からバリ55が分離しやすい。そこで、当該実施例では
図1(B)および(C)に拡大して示すように、シート部材31に対するランナーバリ55の付着部55aの周りの部位に断面円弧形のアール形状56を賦形するよう設定され、このためゲート側ランナー14にて形成されるランナーバリ55に対し断面円弧形のアール形状56を賦形すべくアール形状賦形部15がゲート側ランナー14におけるシート部材31側の開口周縁部に設けられている。アール形状56は凹状のアール、アール形状賦形部15は凸状のアールであり、これらが全周に亙って設けられている。
【0030】
上記成形型1による成形は、成形方法として、スプルー11、スプルー溜まり12、スプルー側ランナー13、ゲート側ランナー14、ゲート21およびキャビティ22を備える成形型1にて成形品51を成形し型開きした後、複数のゲート側ランナー14にて形成された複数のランナーバリ55を含む各バリ52,53,54,55を成形型1から除去するバリ除去工程を実施し、このバリ除去工程の実施に際して、成形型1に予め組み込んだシート部材31に対し各バリ52,53,54,55を付着させシート部材31を成形型1の分割型3から引き剥がすことにより各バリ52,53,54,55をシート部材31とともに除去するものであって、上記したように引き剥がしに際しシート部材31から各ランナーバリ55が分離しにくいようシート部材31に対する各ランナーバリ55の付着部55aの周りの部位に成形型1によって断面円弧形のアール形状56を賦形することにしたものである。
【0031】
したがって当該実施例によれば、所謂ペーパー離型を実施するため、バリ除去工程に要する時間を短縮することができ、しかもシート部材31に対する各ランナーバリ55の付着部55aの周りの部位に断面円弧形のアール形状56を設けるようにしたため、このアール形状56によって応力集中が発生しにくくなり、シート部材31からランナーバリ55が分離しにくくなる。
【0032】
尚、当該実施例では
図2(A)に更に拡大して示すように、バリ55の根元の付着部55aの周りに断面円弧形を呈する環状のアール形状56を略90度の角度範囲に亙って設けるところ、
図2(B)(C)に示すようにアール形状56の更に外側(外周側)にバリ55と一体の薄膜状被着部57を追加で設けるようしても良い。この薄膜状被着部57はバリ55の一部としてシート部材31に付着するものであり、また、成形型1におけるアール形状賦形部15の更に外側に設けた薄膜成形部16によってバリ55の一部として環状に成形されるものである。したがってこのようにアール形状56の更に外側にバリ55と一体の薄膜状被着部57を成形することにより、この薄膜状被着部57もシート部材31に付着するため、シート部材31に対するバリ55の付着力を一層増大させることができる。
図2(C)の例では薄膜状被着部57の厚みを薄くすべくアール形状56と薄膜状被着部57との間に段差部58が設けられ、アール形状賦形部15と薄膜成形部16との間に段差成形部17が設けられている。
【0033】
第2実施例・・・
また、上記第1実施例では、第3分割型4における第2分割型側の面に位置して、スプルー11の先端部から通じるスプルー側ランナー13を溝状であってかつ放射状に設けたところ、この構成に代えて、第2分割型3における第3分割型側の面に、スプルー11の先端部から通じるスプルー側ランナー13を溝状であってかつ放射状に設けるようにしても良く、この場合の例として第2実施例として示す
図3(A)では、第2分割型3における第3分割型側の面に、スプルー11からスプルー溜まり12を経由してゲート側ランナー14へ通じるスプルー側ランナー13が溝状であってかつ放射状に設けられている。
【0034】
この場合、
図3(B)(C)に拡大して示すようにスプルー側ランナー13はゲート側ランナー14の根元部に直接連通し、スプルー側ランナー13にて形成されるバリ54はゲート側ランナー14にて成形されるバリ55の根元部(付着部55a)に直接つながった状態で形成されるので、シート部材31に対するランナーバリ55の付着部55aの周りの部位においては、その全周のうちスプルー側ランナー13にて形成されるバリ54がつながった部位以外の部位に断面円弧形のアール形状56が賦形されることになる。
【0035】
第3実施例・・・
図4(A)は、本発明の第3実施例に係る成形型1を示し、この成形型1はその成形品としてゴム状弾性体よりなるガスケット等のシール部品51を成形(射出成形)するものである。成形型1は、第1分割型2と、この第1分割型2に対し開閉可能に組み合わされる第2分割型3と、この第2分割型3に対し開閉可能に組み合わされる第3分割型4とを備え、図における下から上へ第1分割型(下型)2、第2分割型(中型)3および第3分割型(上型)4が配置されている。
【0036】
第1分割型2および第2分割型3間のパーティング部5にゲート21およびキャビティ22が設けられている。キャビティ22はガスケット等のシール部品が一般に無端状であるのに合わせて無端状に設定され、その周上1箇所または複数個所(図では1箇所)にゲート21が設けられている。
【0037】
第3分割型4に、これを板厚方向に貫通するようスプルー11が設けられ、第3分割型4における第2分割型側の面に、スプルー11の先端部から通じるスプルー側ランナー13が溝状であってかつ放射状に設けられている。第2分割型3に、スプルー側ランナー13の先端部からゲート21へ通じるゲート側ランナー14が板厚方向に貫通するよう孔状に設けられ、またキャビティ22から通じるエアベント孔23が同じく板厚方向に貫通するよう孔状を設けられている。また、第2分割型3における第3分割型側の面に、スプルー11と平面上の位置を合わせてスプルー溜まり12が設けられ、第3分割型4における第2分割型側の面に、エアベント孔23と平面上の位置を合わせてベント溜まり24が設けられている。
【0038】
第2分割型3および第3分割型4間に、紙または不織布等の柔軟性のあるシート部材(以下、ペーパーとも称する)31が挟み込まれる構造とされている。挟み込まれたシート部材31は、第2分割型3の第3分割型側の面および第3分割型5の第2分割型の面間で挟圧されるとともにスプルー11、スプルー溜まり12、スプルー側ランナー13、ゲート側ランナー14、エアベント孔23およびベント溜まり24に面するので、これら各部に充填されるゴム状成形材料がシート部材31に接触し一部は含浸し、硬化後、各バリ(スプルー11にて形成されるスプルーバリ52、スプルー溜まり12にて形成されるスプルーバリ53、スプルー側ランナー13にて形成されるランナーバリ54、ゲート側ランナー14にて形成されるランナーバリ55、エアベント孔23にて形成去るベントバリ59およびベント溜まり24にて形成されるベントバリ60)としてシート部材31に付着する。
【0039】
尚、ゴム状成形材料の注入時、ゴム状成形材料はシート部材31を厚み方向に浸透しまたはシート部材31を一部で破ることによりスプルー11からスプルー溜まり12へ、スプルー側ランナー13からゲート側ランナー14へ、エアベント孔23からベント溜まり24へそれぞれ流入する。
【0040】
孔状のゲート側ランナー14についてはシート部材31側からゲート21側へ開口断面積が徐々に縮小するよう漏斗状に設定されているが、そのシート部材31側の端部は、ここで形成されるランナーバリ55の一部(根元部)がシート部材31に対する付着部55aとされるのでこの付着部55aによる付着面積を広く確保すべく、比較的大径の円盤状の空間とされている。しかしながらこの円盤状の空間の内周面がシート部材31の平面に対し直角のままでは、上記したようにバリ除去工程において応力集中が発生しやすく、シート部材31からバリ55が分離しやすい。そこで、当該実施例では
図4(B)に拡大して示すように、シート部材31に対するランナーバリ55の付着部55aの周りの部位に断面円弧形のアール形状56を賦形するよう設定され、このためゲート側ランナー14にて形成されるランナーバリ66に対し断面円弧形のアール形状56を賦形すべくアール形状賦形部15がゲート側ランナー14におけるシート部材31側の開口周縁部に設けられている。アール形状56は凹状のアール、アール形状賦形部15は凸状のアールであり、これらが全周に亙って設けられている。
【0041】
また、孔状のエアベント孔23については、キャビティ22側からシート部材31側へかけて開口断面積が徐々に拡大するよう漏斗状に形成されているが、そのシート部材31側の端部は、ここで形成されるベントバリ59の一部(根元部)がシート部材31に対する付着部59aとされるのでこの付着部59aによる付着面積を広く確保すべく、比較的大径の円盤状の空間とされている。しかしながらこの円盤状の空間の内周面がシート部材31の平面に対し直角のままでは、上記したようにバリ除去工程において応力集中が発生しやすく、シート部材31からバリ59が分離しやすい。そこで、当該実施例では
図4(C)に拡大して示すように、シート部材31に対するベントバリ59の付着部59aの周りの部位に断面円弧形のアール形状61を賦形するように設定され、このためエアベント孔23にて形成されるベントバリ59に対し断面円弧形のアール形状61を賦形すべくアール形状賦形部25がエアベント孔23におけるシート部材31側の開口周縁部に設けられている。アール形状61は凹状のアール、アール形状賦形部25は凸状のアールであり、これらが全周に亙って設けられている。
【0042】
上記成形型1による成形は、成形方法として、スプルー11、スプルー溜まり12、スプルー側ランナー13、ゲート側ランナー14、ゲート21、キャビティ22、エアベント孔23およびベント溜まり24を備える成形型1にて成形品51を成形し型開きした後、ゲート側ランナー14にて形成されたランナーバリ52およびエアベント孔23にて形成されたベントバリ59を含む各バリ52,53,54,55,59,60を成形型1から除去するバリ除去工程を実施し、このバリ除去工程の実施に際して、成形型1に予め組み込んだシート部材31に対し各バリ52,53,54,55,59,60を付着させシート部材31を成形型1の分割型3から引き剥がすことにより各バリ52,53,54,55,59,60をシート部材31とともに除去するものであって、上記したように引き剥がしに際しシート部材31からランナーバリ52およびベントバリ59が分離しにくいようシート部材31に対するランナーバリ52およびベントバリ59の付着部52a,59aの周りの部位に成形型1によって断面円弧形のアール形状53,61を賦形することにしたものである。
【0043】
したがって当該実施例によれば、所謂ペーパー離型を実施するため、バリ除去工程に要する時間を短縮することができ、しかもシート部材31に対するランナーバリ52およびベントバリ59の付着部52a,59aの周りの部位に断面円弧形のアール形状56,61を設けるようにしたため、このアール形状56,61によって応力集中が発生しにくくなり、シート部材31からランナーバリ55およびベントバリ59が分離しにくくなる。
【0044】
尚、当該実施例では
図2(A)に示すように、バリ52,62の根元の付着部52a,62aの周りに断面円弧形のアール形状53,63を設けるところ、
図2(B)(C)に示すようにアール形状53,63の更に外側(外周側)にバリ52,62と一体の薄膜状被着部54,64を追加で設けるようしても良い。この薄膜状被着部54,64はバリ52,62の一部としてペーパー31に付着するものであり、また、成形型1におけるアール形状賦形部15,25の更に外側に設けた薄膜成形部16,26によってバリ52,62の一部として成形されるものである。したがってこのようにアール形状53,63の更に外側にバリ52,62と一体の薄膜状被着部54,64を成形することにより、この薄膜状被着部54,64もペーパー31に付着するため、ペーパー31に対するバリ52,62の付着力を一層増大させることができる。
図2(C)の例では薄膜状被着部54,64の厚みを薄くすべくアール形状53,63と薄膜状被着部54,64との間に段差部55,65が設けられ、アール形状賦形部15,25と薄膜成形部16,26との間に段差成形部17,27が設けられている。
【0045】
尚、当該実施例では
図2(A)に更に拡大して示したように、バリ55(または59)の根元の付着部55a(または59a)の周りに断面円弧形を呈する環状のアール形状56(または61)を略90度の角度範囲に亙って設けるところ、
図2(B)(C)に示すようにアール形状56(または61)の更に外側(外周側)にバリ55(または59)と一体の薄膜状被着部57を追加で設けるようしても良い。この薄膜状被着部57はバリ55(または59)の一部としてシート部材31に付着するものであり、また、成形型1におけるアール形状賦形部15(または25)の更に外側に設けた薄膜成形部16によってバリ55(または59)の一部として環状に成形されるものである。したがってこのようにアール形状56(または61)の更に外側にバリ55(または59)と一体の薄膜状被着部57を成形することにより、この薄膜状被着部57もシート部材31に付着するため、シート部材31に対するバリ55(または59)の付着力を一層増大させることができる。
図2(C)の例では薄膜状被着部57の厚みを薄くすべくアール形状56(または61)と薄膜状被着部57との間に段差部58が設けられ、アール形状賦形部15(または25)と薄膜成形部16との間に段差成形部17が設けられている。
【0046】
第4実施例・・・
また、上記第3実施例では、第3分割型4における第2分割型側の面に位置して、スプルー11の先端部から通じるスプルー側ランナー13を溝状であってかつ放射状に設けたところ、この構成に代えて、第2分割型3における第3分割型側の面に、スプルー11の先端部から通じるスプルー側ランナー13を溝状であってかつ放射状に設けるようにしても良く、この場合の例として第4実施例として示す
図5(A)では、第2分割型3における第3分割型側の面に、スプルー11からスプルー溜まり12を経由してゲート側ランナー14へ通じるスプルー側ランナー13が溝状であってかつ放射状に設けられている。
【0047】
この場合、
図5(B)に拡大して示すようにスプルー側ランナー13はゲート側ランナー14の根元部に直接連通し、スプルー側ランナー13にて形成されるバリ54はゲート側ランナー14にて成形されるバリ55の根元部(付着部55a)に直接つながった状態で形成されるので、シート部材31に対するランナーバリ55の付着部55aの周りの部位においては、その全周のうちスプルー側ランナー13にて形成されるバリ54がつながった部位以外の部位に断面円弧形のアール形状56が賦形されることになる。
【0048】
また、上記構成を備える第4実施例には、第3実施例対比で、以下のメリットがある。
【0049】
すなわち第3実施例では上記したように、ゴム状成形材料の注入時、ゴム状成形材料がスプルー11からスプルー溜まり12へかけての1箇所目、スプルー側ランナー13からゲート側ランナー14へかけての2箇所目およびエアベント孔23からベント溜まり24へかけての3箇所目でそれぞれシート部材31を通過するのに対し、第4実施例では、ゴム状成形材料がスプルー11からスプルー溜まり12へかけての1箇所目およびエアベント孔23からベント溜まり24へかけての2箇所目のみ(図示するようにベント溜まり24が省略される場合は、スプルー11からスプルー溜まり12へかけての1箇所のみ)でゴム状成形材料がシート部材31を通過する。したがって第4実施例では第5実施例対比で、シート部材31の繊維がコンタミとして成形品51中に入り込むリスクを低減させることができる。
【0050】
本発明による成形品はとくにその種類を限定されないが、例えば、燃料電池用ガスケットなどであっても良い。成形品は、基材にゴムシールを一体成形した、例えば、燃料電池セルシールなどであっても良い。